(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025101159
(43)【公開日】2025-07-07
(54)【発明の名称】苗使用量管理システム
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20250630BHJP
【FI】
A01C11/02 350M
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217802
(22)【出願日】2023-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】中井 貴之
(72)【発明者】
【氏名】奥井(原野) 朱莉
(72)【発明者】
【氏名】國安 恒寿
(72)【発明者】
【氏名】尼崎 喬士
(72)【発明者】
【氏名】吉水 健悟
【テーマコード(参考)】
2B064
【Fターム(参考)】
2B064AA05
2B064AA07
2B064AB01
2B064AC01
2B064DB03
2B064DB06
2B064DC01
2B064DC10
(57)【要約】
【課題】出来るだけ簡素な構成で、オペレータ等が作業領域に必要な苗量を把握できる移植機の苗使用量管理システムを提供すること。
【解決手段】入力された苗情報に基づいて、作業領域に応じて移植機で使用する苗量を算出する苗使用量管理システム。移植機に備えられた苗載台と、苗載台に載置された苗の有無を検知する苗検知部と、苗の移植作業のための予め設定された動作に応じて苗の移動に関する計測処理を開始し、苗検知部による苗の有無の検知が変化したことに応じて計測処理を終了して作業領域に必要な苗量を算出する苗量算出部と、苗量算出部によって算出された必要な苗量を報知する報知部と、が備えられている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された苗情報に基づいて、作業領域に応じて移植機で使用する苗量を算出する苗使用量管理システムであって、
前記移植機に備えられた苗載台と、
前記苗載台に載置された苗の有無を検知する苗検知部と、
前記苗の移植作業のための予め設定された動作に応じて前記苗の移動に関する計測処理を開始し、前記苗検知部による前記苗の有無の検知が変化したことに応じて前記計測処理を終了して前記作業領域に必要な前記苗量を算出する苗量算出部と、
前記苗量算出部によって算出された必要な前記苗量を報知する報知部と、が備えられている苗使用量管理システム。
【請求項2】
前記苗検知部は、前記苗載台に載置された苗の載置量に関する情報を検知する苗センサであって、
前記苗量算出部は、前記載置量に関する情報として前記載置量が予め設定された閾値以下に減少したことを示す苗通知情報を前記苗センサが検知したことに応じて、前記作業領域に必要な前記苗量を算出するように構成されている請求項1に記載の苗使用量管理システム。
【請求項3】
前記載置量に関する情報に、前記苗載台に載置された前記苗の縦方向の長さに関する情報が含まれ、
前記苗通知情報は、前記苗載台に残された前記苗の前記縦方向の長さが予め設定された第一長さ以下になったことを示す情報である請求項2に記載の苗使用量管理システム。
【請求項4】
前記移植機に、前記苗載台から前記苗を取り出して圃場に前記苗を移植する植付機構が備えられ、
前記植付機構による作業開始前に前記苗載台に載置された前記苗が存在する領域の前記縦方向における実際の長さである第二長さを取得可能な長さ取得部が備えられている請求項3に記載の苗使用量管理システム。
【請求項5】
前記移植機に、
前記苗載台に載置された前記苗を前記植付機構に向けて前記縦方向に送る縦送り機構と、
前記縦送り機構の動作を検出する縦送り検出部と、が備えられ、
前記苗量算出部は、前記第一長さと前記第二長さとの差分と、前記縦送り検出部の検出結果と、に基づいて前記作業領域に必要な前記苗量を算出するように構成されている請求項4に記載の苗使用量管理システム。
【請求項6】
前記縦送り検出部の検出結果は、前記長さ取得部によって前記第二長さが取得されてから前記苗センサによって前記苗通知情報が検知されるまでの間の前記縦送り機構による縦送りの回数である請求項5に記載の苗使用量管理システム。
【請求項7】
前記縦送り検出部の検出結果は、前記長さ取得部によって前記第二長さが取得されてから前記苗センサによって前記苗通知情報が検知されるまでの間の前記縦送り機構による縦送り量である請求項5に記載の苗使用量管理システム。
【請求項8】
前記苗載台に載置される前記苗は、マット状に形成された苗マットであって、
前記長さ取得部は、前記苗載台に載置される前の前記苗マットの前記縦方向における長さと、前記第二長さと、の差分に基づいて前記苗マットが前記苗載台に載置された際の潰れ量を取得可能に構成されている請求項4から7の何れか一項に記載の苗使用量管理システム。
【請求項9】
前記苗量算出部は、前記潰れ量に基づいて前記作業領域に必要な前記苗量を算出するように構成されている請求項8に記載の苗使用量管理システム。
【請求項10】
前記移植機に、
前記苗載台から前記苗を取り出して圃場に苗を移植する植付機構と、
前記苗載台に載置された前記苗を前記植付機構に向けて縦方向に送る縦送り機構と、
前記縦送り機構の動作を検出する縦送り検出部と、が備えられ、
前記苗検知部による前記苗の有無の検知が変化したことに応じて、前記縦送り検出部の検出結果に基づいて前記苗載台から前記苗を取り出す前記植付機構の苗取量を調節する苗取量調節部が備えられている請求項1に記載の苗使用量管理システム。
【請求項11】
前記移植機に、
前記苗載台から前記苗を取り出して圃場に苗を移植する植付機構と、
前記苗載台に載置された前記苗を前記植付機構に向けて縦方向に送る縦送り機構と、
前記縦送り機構の動作を検出する縦送り検出部と、が備えられ、
前記苗量算出部は、前記苗検知部による前記苗の有無の検知が変化したことに応じて、前記計測処理の開始直後または所定のタイミング後から前記苗の有無の検知の変化までの間における前記縦送り検出部の検出結果に基づいて前記植付機構による実際に苗取量と目標の苗取量の差分である苗崩れ量を算出し、前記苗崩れ量に基づいて前記苗量を算出するように構成されている請求項1に記載の苗使用量管理システム。
【請求項12】
前記苗載台に載置される前記苗は、マット状に形成された苗マットであって、
前記苗載台に載置される前の前記苗マットの前記縦方向における長さと、前記植付機構による作業開始前に前記苗載台に載置された前記苗マットの前記縦方向における実際の長さと、の差分に基づいて前記苗マットが前記苗載台に載置された際の潰れ量を取得可能な長さ取得部が備えられ、
前記苗量算出部は、前記苗崩れ量と前記潰れ量との両方に基づいて、前記作業領域または予め設定された領域に必要な前記苗量を算出するように構成されている請求項11に記載の苗使用量管理システム。
【請求項13】
前記植付機構の駆動と連動して前記苗載台を左右方向に往復駆動する横送り機構と、
前記横送り機構が往復駆動する速さである横送り量を検出する横送り検出部と、が備えられ、
前記苗取量調節部は、前記横送り量に基づいて前記苗取量を調節するように構成されている請求項10に記載の苗使用量管理システム。
【請求項14】
前記苗載台に載置される前記苗は、マット状に形成された苗マットであって、
圃場における使用予定の前記苗マットの枚数を取得する枚数取得部が備えられ、
前記苗取量調節部は、前記苗マットの枚数に基づいて前記苗取量を調節するように構成されている請求項10に記載の苗使用量管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移植機の苗使用量管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移植機が移植作業を行う際に、圃場で移植機作業を完了すると同時に、予め用意された苗マットを使い切ることが理想であるが、従来においては、農機等のマニュアルに記載された目安表で植付装置の苗取量を設定するしか方法が無かった。また、圃場の田植えに必要な苗マットの枚数を厳密に推定するには、非常に煩雑な作業が必要であった。このため、圃場の田植え作業の状況に合わせて植付機構の苗取量を最適化する構成が、例えば特開2023-15792号公報(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、圃場の田植え作業の状況に合わせて植付機構の苗取量を最適化するために、専用のセンサ類を設けることは、コスト面で不利となる。また、移植機の苗載台の裏面領域や植付機構の周辺領域には、種々の機構が配置されている。このため、如何にコストを掛けずに、オペレータ等にとって圃場に必要な苗量を過不足なく用意できるかが課題となる。
【0005】
本発明の目的は、出来るだけ簡素な構成で、オペレータ等が作業領域に必要な苗量を把握できる移植機の苗使用量管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による苗使用量管理システムは、入力された苗情報に基づいて、作業領域に応じて移植機で使用する苗量を算出する苗使用量管理システムであって、前記移植機に備えられた苗載台と、前記苗載台に載置された苗の有無を検知する苗検知部と、前記苗の移植作業のための予め設定された動作に応じて前記苗の移動に関する計測処理を開始し、前記苗検知部による前記苗の有無の検知が変化したことに応じて前記計測処理を終了して前記作業領域に必要な前記苗量を算出する苗量算出部と、前記苗量算出部によって算出された必要な前記苗量を報知する報知部と、が備えられていることを特徴とする。
【0007】
本発明によると、苗量算出部が苗検知部における検知の変化後に、作業領域において必要な苗量を算出する。苗検知部における検知に変化が生じたときには、苗載台に載置された苗が消費された状態である。このため、このときに必要な苗量が算出されて報知されることによって、オペレータ等が実際に必要な苗量を把握できる。これにより、出来るだけ簡素な構成で、オペレータ等が作業領域に必要な苗量を把握できる移植機の苗使用量管理システムが実現される。
【0008】
本発明において、前記苗検知部は、前記苗載台に載置された苗の載置量に関する情報を検知する苗センサであって、前記苗量算出部は、前記載置量に関する情報として前記載置量が予め設定された閾値以下に減少したことを示す苗通知情報を前記苗センサが検知したことに応じて、前記作業領域に必要な前記苗量を算出するように構成されていると好適である。
【0009】
本構成であれば、苗センサは載置量に関する情報を検知するように構成され、載置量が閾値を下回ることによって、苗載台の苗が所定の量以上に消費されたことを検知できる。このときに作業領域において必要な苗量が算出されて報知されることによって、オペレータ等が実際に必要な苗量を把握できる。
【0010】
本発明において、前記載置量に関する情報に、前記苗載台に載置された前記苗の縦方向の長さに関する情報が含まれ、前記苗通知情報は、前記苗載台に残された前記苗の前記縦方向の長さが予め設定された第一長さ以下になったことを示す情報であると好適である。
【0011】
本構成であれば、苗センサは縦方向に搬送される苗の長さに基づいて苗通知情報を検知する。これにより、苗センサの構成が簡素なものとなる。
【0012】
本発明において、前記移植機に、前記苗載台から前記苗を取り出して圃場に前記苗を移植する植付機構が備えられ、前記植付機構による作業開始前に前記苗載台において載置された前記苗が存在する領域の前記縦方向における実際の長さである第二長さを取得可能な長さ取得部が備えられていると好適である。
【0013】
本構成であれば、苗が苗載せ台に載置された際の実際の長さに基づいて作業領域において必要な苗量が算出される。このため、苗取量を一層精度良く調節する構成が可能となる。
【0014】
本発明において、前記移植機に、前記苗載台に載置された前記苗を前記植付機構に向けて前記縦方向に送る縦送り機構と、前記縦送り機構の動作を検出する縦送り検出部と、が備えられ、前記苗量算出部は、前記第一長さと前記第二長さとの差分と、前記縦送り検出部の検出結果と、に基づいて前記作業領域に必要な前記苗量を算出するように構成されていると好適である。
【0015】
本構成によると、苗量算出部は、第一長さと第二長さとの差分から、苗マットに載置された苗の実際の消費量を導き出せる。その苗の実際の消費量と、縦送り検出部の検出結果と、に基づいて作業領域において必要な苗量が算出される。これにより、オペレータ等が実際に必要な苗量を把握できる。
【0016】
本発明において、前記縦送り検出部の検出結果は、前記長さ取得部によって前記第二長さが取得されてから前記苗センサによって前記苗通知情報が検知されるまでの間の前記縦送り機構による縦送りの回数であると好適である。
【0017】
本構成によって、縦送り回数が第一長さと第二長さとの差分に対して多いか少ないか、あるいは適切であるか否かの判断が可能となる。
【0018】
本発明において、前記縦送り検出部の検出結果は、前記長さ取得部によって前記第二長さが取得されてから前記苗センサによって前記苗通知情報が検知されるまでの間の前記縦送り機構による縦送り量であると好適である。
【0019】
本構成によって、縦送量が第一長さと第二長さとの差分に対して多いか少ないか、あるいは適切であるか否かの判断が可能となる。
【0020】
本発明において、前記苗載台に載置される前記苗は、マット状に形成された苗マットであって、前記長さ取得部は、前記苗載台に載置される前の前記苗マットの前記縦方向における長さと、前記第二長さと、の差分に基づいて前記苗マットが前記苗載台に載置された際の潰れ量を取得可能に構成されていると好適である。
【0021】
苗載台に苗マットが載置されると、苗マットが自重によって圧縮しがちである。このため、苗マットの圧縮された状態の長さ、即ち潰れ量が取得されることによって、苗載台に載置された苗量の正確な把握が可能となる。
【0022】
本発明において、前記苗量算出部は、前記潰れ量に基づいて前記作業領域に必要な前記苗量を算出するように構成されていると好適である。
【0023】
本構成であれば、苗量算出部は、苗マットの圧縮された状態の長さ、即ち潰れ量を考慮して、作業領域において必要な苗量を算出可能である。これにより、オペレータ等が実際に必要な苗量を把握できる。
【0024】
本発明において、前記移植機に、前記苗載台から前記苗を取り出して圃場に苗を移植する植付機構と、前記苗載台に載置された前記苗を前記植付機構に向けて縦方向に送る縦送り機構と、前記縦送り機構の動作を検出する縦送り検出部と、が備えられ、前記苗検知部による前記苗の有無の検知が変化したことに応じて、前記縦送り検出部の検出結果に基づいて前記苗載台から前記苗を取り出す前記植付機構の苗取量を調節する苗取量調節部が備えられていると好適である。
【0025】
本構成であれば、苗取量調節部が苗検知部における検知の変化と、縦送り検出部の検出結果と、に基づいて植付機構の苗取量を調節する。苗検知部における検知に変化が生じたときには、苗載台に載置された苗が消費された状態であるため、このときの縦送り検出部の検出結果を取得することによって、苗取量を精度良く調節する構成が可能となる。
【0026】
本発明において、前記移植機に、前記苗載台から前記苗を取り出して圃場に苗を移植する植付機構と、前記苗載台に載置された前記苗を前記植付機構に向けて縦方向に送る縦送り機構と、前記縦送り機構の動作を検出する縦送り検出部と、が備えられ、前記苗量算出部は、前記苗検知部による前記苗の有無の検知が変化したことに応じて、前記計測処理の開始直後または所定のタイミング後から前記苗の有無の検知の変化までの間における前記縦送り検出部の検出結果に基づいて前記植付機構による実際に苗取量と目標の苗取量の差分である苗崩れ量を算出し、前記苗崩れ量に基づいて前記苗量を算出するように構成されていると好適である。
【0027】
本構成であれば、植付機構による実際に苗取量が目標の苗取量と異なった場合であっても、苗崩れ量に基づいて作業領域において必要な苗量が精度良く算出される。これにより、オペレータ等が実際に必要な苗量を精度良く把握できる。
【0028】
本発明において、前記苗載台に載置される前記苗は、マット状に形成された苗マットであって、前記苗載台に載置される前の前記苗マットの前記縦方向における長さと、前記植付機構による作業開始前に前記苗載台に載置された前記苗マットの前記縦方向における実際の長さと、の差分に基づいて前記苗マットが前記苗載台に載置された際の潰れ量を取得可能な長さ取得部が備えられ、前記苗量算出部は、前記苗崩れ量と前記潰れ量との両方に基づいて、前記作業領域または予め設定された領域に必要な前記苗量を算出するように構成されていると好適である。
【0029】
本構成であれば、苗量算出部は、潰れ量と苗崩れ量との両方を考慮して、作業領域において必要な苗量を精度良く算出可能である。これにより、オペレータ等が実際に必要な苗量を精度良く把握できる。
【0030】
本発明において、前記植付機構の駆動と連動して前記苗載台を左右方向に往復駆動する横送り機構と、前記横送り機構が往復駆動する速さである横送り量を検出する横送り検出部と、が備えられ、前記苗取量調節部は、前記横送り量に基づいて前記苗取量を調節するように構成されていると好適である。
【0031】
植付機構の適切な苗取り量は、横送り量の違いによって変化する。本構成であれば、苗取量調節部は横送り量に基づいて苗取量を調節する。これにより、苗取量を一層精度良く調節する構成が可能となる。
【0032】
本発明において、前記苗載台に載置される前記苗は、マット状に形成された苗マットであって、圃場における使用予定の前記苗マットの枚数を取得する枚数取得部が備えられ、前記苗取量調節部は、前記苗マットの枚数に基づいて前記苗取量を調節するように構成されていると好適である。
【0033】
植付機構の適切な苗取り量は、圃場における使用予定の苗マットの枚数の違いによって変化する。本構成であれば、苗取量調節部は使用予定の苗マットの枚数に基づいて苗取量を調節する。これにより、苗取量を一層精度良く調節する構成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図2】縦送り機構及び横送り機構の構成を示す図である。
【
図3】第一苗切れセンサ及び第二苗切れセンサの構成を示す背面図である。
【
図4】第一苗切れセンサの構成を示す
図3のIV-IV視断面図である。
【
図5】苗使用量管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図6】苗使用量管理システムの処理の流れを示すフローチャート図である。
【
図7】苗マットの縦方向の長さについて説明するための図である。
【
図9】
図6に示す処理と別の処理の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の苗使用量管理システムを例示する実施形態を
図1~
図8に示す乗用型田植機(移植機の一例)に基づいて説明する。なお、図中に示す矢印「F」の方向を「機体の前方」、図中に示す矢印「B」の方向を「機体の後方」、図中に示す矢印「L」の方向を「機体の左方」、図中に示す矢印「R」の方向を「機体の右方」、図中に示す矢印「U」の方向を「機体の上方」、図中に示す矢印「D」の方向を「機体の下方」とする。
【0036】
〔乗用型田植機の全体構造〕
図1,
図2に示すように、田植機は、乗用型の機体1を備える。機体1は、四輪駆動形式の車輪2と、予備苗収納台3と、運転部4と、を備える。運転部4は機体1の後部領域に設けられ、作業者が搭乗する。なお、作業者の意味は運転者の意味も含む。予備苗収納台3の上方に、GNSS(グローバル・ナビゲーション・サテライト・システム、GPS、GLONASS、Galileo、BeiDou等)の受信装置5が備えられている。受信装置5が受信した測位信号に基づいて、自動走行と自動操舵との少なくとも一方が可能である。
【0037】
機体1の後部に、苗植付装置10がリンク機構9を介して上下昇降可能なように支持されている。苗植付装置10は苗を圃場に植え付ける。また、苗植付装置10は、ローリングすることによって、機体1に対して左右揺動可能なように構成されている。
【0038】
詳述はしないが、機体1には不図示のエンジンが搭載されている。エンジンの動力が、車輪2と苗植付装置10との夫々に伝達される。
【0039】
図1及び
図2に示すように、苗植付装置10に、複数(本実施形態では四個)の伝動ケース11と、複数(本実施形態では八個)の回転ケース12と、整地フロート13と、苗載台14と、が備えられている。回転ケース12は、各伝動ケース11の後部の左側部及び右側部の夫々に回転可能に支持されている。夫々の回転ケース12の両端部に、一対のロータリ式の植付アーム15が備えられている。苗植付装置10に複数の整地フロート13が備えられ、整地フロート13は圃場の田面を整地する。苗載台14に苗マットが載置される。苗マットは植え付け用のマット状の苗である。なお、苗植付装置10に苗取量変更機構25(
図5参照)が備えられている。苗取量変更機構25は、植付アーム15が苗載台14から取り出す苗取量を変更する機構である。植付アーム15は、『植付機構』の一例である。
【0040】
図3に示すように、苗載台14は、機体左右方向に並ぶ複数(本実施形態では八個)の載置面区画14aを有する。各載置面区画14aの左右幅は、苗マットの左右幅に対応している。各載置面区画14aは、一条分の苗マットを載置可能に構成されている。これにより、苗載台14に八条分の苗マットが載置可能である。なお、載置面区画14aの個数は、七個以下でも良いし、九個以上でも良い。
【0041】
後述の横送り機構22が苗載台14を左右に往復横送り駆動するとともに、各回転ケース12が伝動ケース11から伝達される動力によって回転駆動し、各植付アーム15が苗載台14の下部から交互に苗を取り出して圃場の田面に植え付ける。即ち、苗植付装置10は、複数の回転ケース12の植付アーム15で苗を植え付けるように構成されている。
【0042】
〔縦送り機構及び横送り機構の構成〕
図2に示すように、苗植付装置10は、縦送り機構21及び横送り機構22を有する。苗植付装置10に伝動機構16が備えられている。また、機体1に、不図示のエンジンからの動力を苗植付装置10へ伝達するための不図示のPTO軸が備えられている。伝動機構16は、エンジンの動力を、ユニバーサルジョイントを介してPTO軸から受け取る。
【0043】
横送り機構22は、植付アーム15の駆動と連動して苗載台14を左右方向に往復駆動する。横送り機構22は、横送り軸22a及び横送り部材22bを有する。横送り軸22aは、伝動機構16からの動力によって回転する。
【0044】
横送り部材22bは、横送り軸22aに対して相対回転可能な状態で、且つ、横送り軸22aに対してスライド可能な状態で、横送り軸22aに取り付けられている。また、横送り部材22bは、苗載台14に連結されている。
【0045】
そして、横送り軸22aが回転すると、横送り部材22bは、横送り軸22aに形成された螺旋送り溝によって、横送り軸22aの延びる方向に往復移送される。これにより、苗載台14は、左右に往復移送される。この構成によって、苗植付装置10は、植付アーム15で苗植付動作を行いながら、苗載台14を左右に往復移送する。
【0046】
即ち、苗植付装置10は、苗植付動作を行いながら苗載台14を左右に往復移送するように構成されている。苗載台14が左右に往復移送されることによって、機体1に対する苗載台14の位置が、左右方向に変化する。
【0047】
また、
図2に示すように、縦送り機構21は、縦送り軸21a、第一伝動アーム21b、第二伝動アーム21c、受動アーム21d、ワンウェイクラッチ21e、駆動軸21f、縦送りベルト21gを有する。
【0048】
本実施形態においては、田植機は八条植えであるため、八個の縦送りベルト21gが備えられている。なお、縦送りベルト21gの個数は、載置面区画14aの個数と同じであれば、七個以下でも良いし、九個以上でも良い。
【0049】
縦送り軸21aは、伝動機構16からの動力によって回転する。また、第一伝動アーム21b及び第二伝動アーム21cは、縦送り軸21aに対して相対回転不能な状態で、縦送り軸21aに固定されている。第一伝動アーム21bは、第二伝動アーム21cよりも左側に位置している。
【0050】
受動アーム21dは、ワンウェイクラッチ21eを介して、駆動軸21fに連結されている。そして、縦送りベルト21gは、駆動軸21fの回転と連動して回動するように構成されている。
【0051】
苗載台14が左のストロークエンドに到達すると、受動アーム21dが、第一伝動アーム21bの回転域に入る。これにより、第一伝動アーム21bが受動アーム21dに接当する。そして、縦送り軸21aの動力が、第一伝動アーム21b、受動アーム21d、ワンウェイクラッチ21eを介して、駆動軸21fに伝達される。
【0052】
その結果、駆動軸21fが設定回転角だけ回転するとともに、縦送りベルト21gが回動する。このときの縦送りベルト21gの回動量は、所定の送り距離に相当する回動量である。
【0053】
また、苗載台14が右のストロークエンドに到達すると、受動アーム21dが、第二伝動アーム21cの回転域に入る。これにより、第二伝動アーム21cが受動アーム21dに接当する。そして、縦送り軸21aの動力が、第二伝動アーム21c、受動アーム21d、ワンウェイクラッチ21eを介して、駆動軸21fに伝達される。
【0054】
その結果、駆動軸21fが設定回転角だけ回転するとともに、縦送りベルト21gが回動する。このときの縦送りベルト21gの回動量は、所定の送り距離に相当する回動量である。
【0055】
縦送りベルト21gは、苗載台14に載置されている苗マットに接当するように構成されている。そのため、縦送りベルト21gが回動することによって、苗載台14に載置されている苗マットは、予め設定された送り距離だけ下側へ移動する。縦送りベルト21gが回動する際の送り距離は、縦送り機構21における一回当たりの縦送り量である。
【0056】
〔苗センサについて〕
図3に示すように、本実施形態の田植機は、第一苗切れセンサ23、及び、複数の第二苗切れセンサ24を備えている。第一苗切れセンサ23、及び、複数の第二苗切れセンサ24は、苗載台14に載置された苗の載置量に関する情報を検知する。『苗の載置量に関する情報』には、苗載台14に載置された苗の縦方向に関する情報が含まれる。
【0057】
第一苗切れセンサ23、及び、複数の第二苗切れセンサ24は、苗載台14に残された苗マット(苗)の縦方向の長さが予め設定された長さ以下になった苗通知情報を検出するように構成されている。換言すると、第一苗切れセンサ23、及び、複数の第二苗切れセンサ24は、苗載台14に載置されている苗マットの苗の縦方向の長さに基づいて、苗残量が予め設定された量以下になった状態を検出するように構成されている。第一苗切れセンサ23は、『苗センサ』及び『苗検知部』に相当する。なお、苗通知情報に、いわゆる苗切れの状態と、苗マットの残量に注意するように作業者に通知する情報と、苗マットを補充するように催促することを作業者に通知する情報と、が含まれる。
【0058】
第一苗切れセンサ23は、機体右端から二列目の載置面区画14aに設けられている。第二苗切れセンサ24は各載置面区画14aに設けられている。なお、第一苗切れセンサ23は、機体右端から二列目の載置面区画14aに限定されず、任意の載置面区画14aに設けられて良い。また、二個以上の第一苗切れセンサ23が、八個の載置面区画14aにおいて任意に設けられても良い。
【0059】
図3に示すように、第一苗切れセンサ23は、機体上下方向における苗載台14の上部に設けられている。各第二苗切れセンサ24は、機体上下方向における苗載台14の下部に設けられている。即ち、第一苗切れセンサ23は、第二苗切れセンサ24よりも高い位置に設けられている。
【0060】
図4に示すように、第一苗切れセンサ23は、支持部23Aと揺動部23Bとセンサ部23Cとを有する。揺動部23Bは、揺動軸芯P1まわりに揺動可能なように、支持部23Aに支持されている。なお、揺動部23Bの揺動基端部にトーションバネが巻き回されている。これにより、揺動部23Bは上向きに揺動するように付勢されている。揺動部23Bは、側面視で山型形状の部分を有する。この山型形状の部分として、基端傾斜部23oと、頂上部23pと、先鋭端部23qと、が形成されている。
【0061】
苗マットが第一苗切れセンサ23を踏むと、第一苗切れセンサ23が下側へ変位する。これにより、第一苗切れセンサ23は苗通知情報を検出しない状態、即ち非検出状態となる。このとき、先鋭端部23qがセンサ部23Cと近接する。また、苗マットが第一苗切れセンサ23を踏んでいない場合、第一苗切れセンサ23はトーションバネの付勢力によって上向きに揺動する。これにより、第一苗切れセンサ23は苗通知情報を検出する検出状態となる。このとき、先鋭端部23qがセンサ部23Cから離れる。
【0062】
図3には、第一高さ位置H1が示されている。載置面区画14aにおいて、苗上端位置が第一高さ位置H1よりも高い場合、その載置面区画14aに位置する第一苗切れセンサ23は非検出状態となる。なお、苗上端位置とは、載置面区画14aに載置されている苗マットの上端の位置である。第一苗切れセンサ23が配置されている載置面区画14aにおいて、苗上端位置が第一高さ位置H1以下である場合、第一苗切れセンサ23は苗通知情報を検出する。載置面区画14aの下端部と第一高さ位置H1の箇所とに亘る長さは、『第一長さ』に相当する。つまり、第一苗切れセンサ23は、苗載台14に残された苗マットの縦方向の長さが予め設定された長さ(第一長さ)以下になった苗通知情報を検知する。
【0063】
第一苗切れセンサ23が苗通知情報を検出する検出状態であるときの先鋭端部23qの延び方向Qは、載置面区画14aの延び方向に対して直角に近い角度となっている。換言すると、載置面区画14aの延び方向に対する先鋭端部23qの延び方向Qの交差角は、載置面区画14aの延び方向に対する基端傾斜部23oの延び方向Rの交差角よりも直角側に立っている。
【0064】
この構成であれば、苗載台14に苗マットが補給される際に、苗マットが苗載台14の上端部から載置面区画14aに沿って下方へスライドすると、基端傾斜部23oが苗マットの底部と当接することに応じて揺動部23Bが円滑に下向きに揺動する。これにより、第一苗切れセンサ23は、苗マットの下方へのスライドを妨げることなく苗切れの非検出状態から検出状態へ切り替わる。これにより、第一苗切れセンサ23は、苗マットの下方へのスライドを妨げることなく苗切れの非検出状態から検出状態へ切り替わる。また、基端傾斜部23oは先鋭端部23qよりもなだらかな傾斜となっているため、揺動部23Bのうちの出来るだけ多くの面積で苗マットの検知が可能となり、苗マットの浮き上がり等により苗切れの誤検知が起きにくくなる。
【0065】
苗上端位置が第一高さ位置H1から第一高さ位置H1以下となったタイミングで、苗マットの苗上縁部分は頂上部23pを超えて搬送方向下手側へ搬送される。先鋭端部23qは、頂上部23pから直角に近い形状に屈曲しており、苗マットの苗上縁部分は頂上部23pを超えてから直ぐに先鋭端部23qと当接しなくなる。このときに、先鋭端部23qは苗マットの底部に接触しなくなったことに応じて、揺動部23Bはトーションバネの付勢力によって上向きにしっかりと揺動する。これにより、苗上端位置が第一高さ位置H1から第一高さ位置H1以下となったタイミングで、第一苗切れセンサ23は苗通知情報を直ぐに検出できる。また、先鋭端部23qが揺動部23Bの遊端部に位置するため、先鋭端部23qは揺動軸芯P1まわりに大きく揺動する。これにより、センサ部23Cは先鋭端部23qの有無をしっかりと検出でき、第一苗切れセンサ23は苗マットの有無をしっかりと検出できる。
【0066】
苗マットが第二苗切れセンサ24を踏むと、第二苗切れセンサ24が下側へ変位する。これにより、第一苗切れセンサ23は苗通知情報を検出しない状態、即ち非検出状態となる。また、苗マットが第二苗切れセンサ24を踏んでいない場合、第二苗切れセンサ24は付勢部材の付勢力によって上側へ変位する。これにより、第二苗切れセンサ24は苗通知情報を検出する検出状態となる。
【0067】
図3には、第二高さ位置H2が示されている。載置面区画14aにおいて、苗上端位置が第二高さ位置H2よりも高い場合、その載置面区画14aに位置する第二苗切れセンサ24は非検出状態となる。また、載置面区画14aにおいて、苗上端位置が第二高さ位置H2以下である場合、その載置面区画14aに位置する第二苗切れセンサ24は苗通知情報を検出する。
【0068】
なお、第二苗切れセンサ24は、第一苗切れセンサ23と同じ形状および構成であっても良いし、第一苗切れセンサ23と異なる形状および構成であっても良い。
【0069】
〔苗使用量管理システムの構成〕
図5に示すように、本実施形態の苗使用量管理システムに、制御装置Cと、報知部26と、枚数取得部31と、長さ取得部32と、縦送り検出部33と、横送り検出部34と、が備えられている。制御装置Cは、例えば田植機に備えられたECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)等のマイコン機器などに組み込まれたプログラムやハードウェアの集合体として構成されている。制御装置Cに、苗取量調節部30と苗量算出部35とが備えられている。
【0070】
制御装置Cは、第一苗切れセンサ23と、枚数取得部31と、長さ取得部32と、縦送り検出部33と、横送り検出部34と、の夫々から情報を受信し、当該情報に基づいて苗取量を算出するように構成されている。苗取量調節部30は、算出された当該苗取量に基づいて、苗取量変更機構25を制御して植付アーム15の苗取量を設定するように構成されている。後述するが、苗量算出部35は、圃場の作業領域に必要な苗量(苗マットの枚数)を算出する。苗量算出部35によって算出された必要な苗量は、苗量算出部35から報知部26へ送られる。
【0071】
報知部26は、例えば運転部4の操作パネルに備えられる表示モニタであっても良いし、積層表示灯であっても良いし、ブザーや音声スピーカ等であっても良いし、オペレータ等が携帯所持する携帯端末(スマートフォンやタブレットコンピュータ)等であっても良い。報知部26は、苗量算出部35によって算出された必要な苗量を報知するように構成されている。なお、報知部26は、制御装置Cが取得する種々の情報や算出結果等を報知可能である。
【0072】
枚数取得部31と長さ取得部32との夫々は、例えば運転部4の操作パネルで設定されるものであっても良いし、遠隔地の管理コンピュータや携帯端末から無線通信ネットワークを介して受信するものであっても良い。携帯端末とは、例えばスマートフォンやタブレットコンピュータ等である。
【0073】
枚数取得部31は、圃場において苗の植え付けに使用する使用予定の苗マットの枚数(予定使用枚数)を取得する。苗マットの予定使用枚数は、苗の種別、単位面積あたりの株数等に基づいて設定される。苗マットの予定使用枚数、苗の種別、単位面積あたりの株数等は、『苗情報』の一例である。
【0074】
長さ取得部32は、植付機構による作業開始前に苗載台14において、載置された苗マット(苗)が存在する領域の縦方向における実際の長さL3(
図7参照)を取得するように構成されている。本実施形態では、苗載台14の上部に縦方向に沿って目盛り14B(
図3及び
図4参照)が刻まれている。作業者は、載置面区画14aに載置されている苗マットの上端の位置、即ち苗上端位置を目盛り14Bで読み取って長さ取得部32に目盛り14Bの情報を入力する。苗載台14において苗マットが存在する領域の縦方向における実際の長さL3は、『第二長さ』に相当する。
【0075】
また、長さ取得部32は、苗載台14に載置される前の苗マットの縦方向の寸法L2(
図7参照)も取得可能に構成されている。一枚の苗マットの縦方向の寸法L1(
図7参照)は、予め規格(例えば580mm)で設定されている場合もある。長さ取得部32は、既知の寸法L2を取得する構成であっても良いし、人為入力に基づいて寸法L2を取得する構成であっても良い。
【0076】
縦送り検出部33は、
図2に示す縦送り機構21の受動アーム21d、駆動軸21f、及び、縦送りベルト21gが作動したことを検出するスイッチ式のセンサである。横送り検出部34は、リンク式操作具40(
図8参照)に連動連結された揺動式のポテンショメータである。横送り検出部34は、リンク式操作具40の揺動レバー41の位置を検出することによって、横送り機構22の横送り量を検出する。横送り量とは、横送り機構22が往復駆動する速さである。横送り機構22が往復運動するストローク量を横送り量で割り算すると、横送り回数が算出される。換言すると、横送り検出部34は、縦送り機構21が一度駆動してから次に駆動するまでの間における横送り回数を検出する。
【0077】
図6に示すフローチャートに基づいて、苗量算出処理の流れについて説明する。ステップ#01において、制御装置Cは、田植え作業が開始される前に、苗載台14に苗マットが投入されたか否かを判定する。このときの苗マットの投入とは、少なくとも、第一苗切れセンサ23が配置された載置面区画14aに苗マットが全く載置されていない状態から、第一苗切れセンサ23が苗通知情報を検出しない状態になるまで苗マットが投入されたことを意味する。制御装置Cは、第一苗切れセンサ23が苗通知情報を検出していない状態であるか否かを判定する。第一苗切れセンサ23が苗通知情報を検出していれば(ステップ#01:No)、ステップ#01の判定がループする。
【0078】
第一苗切れセンサ23が苗通知情報を検出していない状態であれば(ステップ#01:Yes)、ステップ#02~ステップ#06において、制御装置Cは、苗取量を初期設定するために必要な情報を取得する。
【0079】
ステップ#02において、制御装置Cは、圃場において苗の植え付けに使用する使用予定の苗マットの枚数(予定使用枚数)を枚数取得部31から取得する。予定使用枚数は、圃場全体における予定使用枚数であっても良いし、単位面積(例えば10アール)当たりの予定使用枚数であっても良い。
【0080】
ステップ#03において、制御装置Cは、苗載台14に載置される前の苗マットの縦方向の寸法L2を長さ取得部32から取得する。
図7に、その寸法L2が示されている。寸法L2は、苗マット一枚分の寸法L1と、苗載台14に載置される苗マットの縦方向の枚数と、から導出される。本実施形態では、苗載台14は縦方向に二枚の苗マットを載置可能に構成されている。このため、寸法L2は『寸法L1×2』である。
【0081】
ステップ#04において、制御装置Cは、苗載台14に載置された苗マットの縦方向の実際の長さL3を長さ取得部32から取得する。
図7に、その長さL3が示されている。苗載台14の上部に縦方向に沿って目盛り14Bが刻まれているため、その目盛り14Bに基づいて長さL3が取得される。
【0082】
ステップ#05において、制御装置Cは潰れ量ΔLを長さ取得部32から取得する。
図7に示すように、長さ取得部32は、苗載台14に載置される前の苗マットの縦方向の寸法L2と、苗載台14に載置された苗マットの実際の長さL3と、の差分に基づいて苗マットが苗載台14に載置された際の潰れ量ΔLを取得する。つまり、潰れ量ΔLは『寸法L2-長さL3』である。
【0083】
ステップ#06において、制御装置Cは、横送り検出部34によって検出された横送り機構22の横送り量(横送り回数)を取得する。横送り量の違いによって、設定するべき苗取量が異なるためである。
【0084】
そしてステップ#07において制御装置Cは、ステップ#02~ステップ#06の処理で取得した情報に基づいて、植付アーム15における苗取量を算出する。このとき、苗取量調節部30は植付アーム15における苗取量の初期設定を行う。
【0085】
苗取量が初期設定されると、田植機の田植え作業が開始される。本実施形態では、ステップ#07の完了後から、作業領域において必要な苗量を算出するための計測処理が開始される。つまり、苗量算出部35は、植付アーム15における苗取量の初期設定が行われたこと(苗の移植作業のための予め設定された動作)に応じて苗の移動に関する計測処理を開始するように構成されている。
【0086】
ステップ#08において制御装置Cは、第一苗切れセンサ23が苗通知情報を検出したか否かを判定する。ステップ#07において苗取量が初期設定された直後であればステップ#08の判定はNoとなるが、田植機の田植え作業が継続されると、苗載台14に載置された苗の残量が減少し続ける。そして、第一苗切れセンサ23が配置されている載置面区画14aにおいて、苗上端位置が第一高さ位置H1以下になると、第一苗切れセンサ23は苗通知情報を検出する(ステップ#08:Yes)。
図7においては、苗上端位置が第一高さ位置H1以下になって第一苗切れセンサ23が苗通知情報の非検知から苗通知情報の検知に変化したときの苗マットの縦方向の長さL4を示している。つまり、苗通知情報は、苗載台14に残された苗マット(苗)の縦方向の長さが予め設定された長さL4(第一長さ)以下になったことを示す情報である。
【0087】
苗量算出部35は、苗載台14に載置された苗マットの載置量に関する情報として当該載置量が予め設定された閾値(長さL4)以下に減少したことを示す苗通知情報を第一苗切れセンサ23が検知したことに応じて、苗の移動に関する計測処理を終了して、圃場に必要な苗マットの数(苗量)を算出するように構成されている。
【0088】
ステップ#08でYesの判定になったタイミングで、第一苗切れセンサ23が苗通知情報を検出したときに苗載台14に残された苗マットの縦方向の長さ(第一長さ)は、
図7に示す長さL4で既知である。このため、苗量算出部35は、苗取量が初期設定されたときの苗マットの縦方向の実際の長さL3と、第一苗切れセンサ23が苗通知情報を検出したときに苗載台14に残された苗マットの縦方向の長さL4と、の差分を算出する。この差分は、
図7に示すように、消費分の長さL5である。ステップ#09において苗量算出部35は、苗マットの縦方向における消費分の長さL5を算出する。
【0089】
ステップ#10において苗量算出部35は、ステップ#07において植付アーム15における苗取量の初期設定が行われて(計測処理の開始タイミング)からステップ#08において第一苗切れセンサ23が苗通知情報を検出する(ステップ#08:Yes、計測処理の終了タイミング)までの間の縦送り機構21の縦送り回数を縦送り検出部33から取得する。
【0090】
そして苗量算出部35は、苗マットの縦方向における消費分の長さL5と、上述の長さL3(第二長さ)が取得されてからから第一苗切れセンサ23が苗通知情報を検出するまでの間の縦送り機構21の縦送り回数と、に基づいて植付アーム15における実際の苗取量(実苗取量)を算出する(ステップ#11)。縦送り機構21における一回当たりの縦送り量は予め設定されているため、一回当たりの縦送り量に縦送り回数を掛け算することによって、苗マットの計算上の総縦送り量を算出できる。
【0091】
縦送り機構21の縦送り回数が苗マットの縦方向における消費分の長さL5に対して少ない場合、苗マットの計算上の総縦送り量が長さL5よりも短くなる。苗マットの計算上の総縦送り量が長さL5よりも短い場合、苗マットが柔らかくて崩れ易い等の要因によって、植付アーム15が目標の苗取量よりも多くの苗を取り出している。
【0092】
縦送り機構21の縦送り回数が苗マットの縦方向における消費分の長さL5に対して多い場合、苗マットの計算上の総縦送り量が長さL5よりも長くなる。苗マットの計算上の総縦送り量が長さL5よりも長い場合、苗マットが硬い等の要因によって、植付アーム15が目標の苗取量よりも少なめの苗を取り出している。
【0093】
実苗取量が算出されると、苗量算出部35は、当該実苗取量と、目標の苗取量と、の差分(苗崩れ量)を算出し、当該差分(苗崩れ量)に基づいて、作業領域に必要な苗量(苗マットの枚数)を算出する(ステップ#12)。作業領域とは、圃場全体であっても良いし、単位面積(例えば10アール)であっても良い。即ち、苗量算出部35は、上述の長さL4(第一長さ)と上述の長さL3(第二長さ)との差分と、縦送り検出部33の検出結果と、に基づいて作業領域に必要な苗量(苗マットの枚数)を算出するように構成されている。
【0094】
このように、苗量算出部35は、第一苗切れセンサ23が苗通知情報を検知した(第一苗切れセンサ23による苗の有無の検知が変化した)ことに応じて、計測処理の開始直後から苗の有無の検知の変化までの間における縦送り検出部33の検出結果に基づいて植付アーム15による実際に苗取量と目標の苗取量の差分である苗崩れ量を算出し、苗崩れ量に基づいて作業領域に必要な苗量(苗マットの枚数)を算出するように構成されている。
【0095】
上述したように、本実施形態では、長さ取得部32は、苗載台14に載置される前の苗マットの縦方向の寸法L2と、苗載台14に載置された苗マットの実際の長さL3と、の差分に基づいて苗マットが苗載台14に載置された際の潰れ量ΔLを取得する。このため、苗量算出部35は、上述の第一長さと上述の第二長さとの差分に対して、潰れ量ΔLに基づく係数を掛け算することによって、作業領域に必要な苗量(苗マットの枚数)を算出するように構成されている。即ち、苗量算出部35は、潰れ量ΔLに基づいて作業領域に必要な苗量(苗マットの枚数)を算出するように構成されている。これにより、苗量算出部35が潰れ量ΔLに基づいて作業領域に必要な苗量を算出しない構成と比較して、苗量算出部35の算出精度が向上する。このように、苗量算出部35は、苗崩れ量と潰れ量ΔLとの両方に基づいて、作業領域に必要な苗量を算出するように構成されている。
【0096】
苗量算出部35が作業領域に必要な苗量(苗マットの枚数)を算出すると、報知部26は、作業領域に必要な苗量をオペレータ等に報知する(ステップ#13)。これにより、オペレータ等は作業領域において必要な苗量(苗マットの枚数)を認識できる。
【0097】
〔横送り機構の横送り量を変更するリンク式操作具〕
図8に示すように、本実施形態の田植機では、横送り機構22の横送り量を変更するリンク式操作具40が備えられている。リンク式操作具40に、揺動レバー41と、第一ロッド42と、ブラケット43と、第二ロッド44と、が備えられている。
【0098】
苗載台14の底部に支持フレーム14Fが備えられ、支持フレーム14Fは機体左右方向に沿って延びる。支持フレーム14Fにブラケット43がボルトで固定され、揺動レバー41はブラケット43にピンで揺動軸芯P2まわりに揺動可能に支持されている。つまり、揺動レバー41はブラケット43を介して支持フレーム14Fに支持されている。
【0099】
揺動レバー41のうち、揺動軸芯P2よりも前側の部分は作業者の人為操作を受け付ける操作部分である。また、揺動レバー41のうち、揺動軸芯P2よりも後側の端部に第一ロッド42が枢支連結されている。
【0100】
作業者が揺動レバー41を揺動操作すると、第一ロッド42が左右に変位する。第一ロッド42のうち、揺動レバー41と枢支連結されている側と反対側の端部は、伝動機構16の内部の機構と連結されている。伝動機構16の内部に横送り量変更機構が内蔵されている。横送り量変更機構は横送り量を変更する。横送り量は、横送り機構22が往復駆動する速さである。第一ロッド42が左右に変位することによって、伝動機構16の内部の横送り量変更機構が連動して動作し、横送り機構22の横送り量が変更される。リンク式操作具40は、横送り量変更機構と連結され、横送り機構22の横送り量を変更するための人為操作を受け付ける。
【0101】
横送り検出部34が揺動レバー41の位置を検出する構造について説明する。横送り検出部34は、リンク式操作具40の操作に基づいて変更される横送り量を検出する。横送り検出部34は、第二ロッド44を介して揺動レバー41と連結されている。第二ロッド44の一端部は、揺動レバー41のうちの揺動軸芯P2の位置する部分と第一ロッド42との連結部分との間の箇所に枢支連結されている。つまり、第二ロッド44は、揺動レバー41のうち、第一ロッド42との連結箇所よりも揺動レバー41の揺動軸芯P2側の箇所に枢支連結されている。第二ロッド44の他端部は、横送り検出部34におけるポテンショメータの入力軸に連結された揺動アームの遊端部に枢支連結されている。これにより、揺動レバー41が揺動操作されると、横送り検出部34のポテンショメータが連動して回動する。
【0102】
横送り検出部34におけるポテンショメータの回動軸芯P3と第二ロッド44の連結箇所との距離D2は、揺動レバー41における揺動軸芯P2と第二ロッド44の連結箇所との距離D1よりも短い。このため、揺動レバー41が揺動操作されると、横送り検出部34のポテンショメータが揺動レバー41の揺動よりも大きな角度で回動する。これにより、揺動レバー41の操作量が横送り検出部34で増幅される。このことから、揺動レバー41の操作量が僅かであっても、横送り検出部34は揺動レバー41の位置をしっかりと検出できる。
【0103】
横送り検出部34は、リンク式操作具40を挟んで伝動機構16側と反対側に配置されている。具体的には、伝動機構16は機体の左右方向における中央領域に配置され、横送り検出部34は、伝動機構16に対して機体横外側の領域に配置されている。横送り機構22は機体の左右方向に沿って延ばされている。横送り検出部34は、機体の左右方向において横送り機構22の機体横外側の端部よりも機体横外側の領域に配置されている。
【0104】
機体左右方向において揺動レバー41と伝動機構16との間に横送り機構22が存在する。また、揺動レバー41の前方に整地ロータ50があり、機体左右方向において揺動レバー41と伝動機構16との間に整地ロータ50を昇降駆動するための昇降駆動機構51がある。このため、揺動レバー41と伝動機構16との間に横送り検出部34を配置すると、狭いスペースに横送り検出部34を配置する必用があり、作業者が横送り検出部34を組付ける際の作業が煩雑になる。
図8に示すように、横送り検出部34がリンク式操作具40を挟んで伝動機構16側と反対側に配置される構成であれば、揺動レバー41と伝動機構16との間のスペースよりも広いスペースに横送り検出部34を組付けることが可能となる。
【0105】
整地ロータ50のフレームに泥除け板52が取り付けられている。
図8に示していないが、泥除け板52の前方に車輪2が存在する。泥除け板52は、車輪2が跳ね上げた泥を後方で受け止める。そして、横送り検出部34は泥除け板52の後方に配置されている。横送り検出部34は、機体前後方向視において泥除け板52と重複する。これにより、横送り検出部34は、車輪2が跳ね上げた泥を浴び難くなる。また、横送り検出部34は整地フロート13の真上に設けられている。これにより、横送り検出部34は下方からの泥を浴び難くなる。
【0106】
〔別実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0107】
(1)上述の実施形態において、作業者は、載置面区画14aに載置されている苗マットの苗上端位置を目盛り14Bで読み取って長さ取得部32に目盛り14Bの情報を入力する。この実施形態に限定されず、例えば長さ取得部32は、載置面区画14aに載置されている苗マットの苗上端位置をLiDAR等のような測距装置で取得する構成であっても良い。
【0108】
(2)上述の実施形態では、長さ取得部32は、苗載台14に載置される前の苗マットの縦方向における寸法L2と、苗載台14に載置された苗マットの実際の長さL3と、の差分に基づいて潰れ量ΔLを取得する。この実施形態に限定されず、長さ取得部32は潰れ量ΔLを取得しない構成であっても良い。この場合、制御装置Cは、潰れ量ΔLに基づく苗取量の算出処理を行わない構成であっても良い。
【0109】
(3)上述の実施形態に限定されず、例えば同一の載置面区画14aにおいて上下位置の異なる二カ所に第一苗切れセンサ23が備えられる構成であっても良い。上下二カ所の第一苗切れセンサ23の位置ずれ距離は既知である。縦送り機構21の縦送り回数が少なくなると、苗マットの計算上の総縦送り量が上下二カ所の第一苗切れセンサ23の位置ずれ距離よりも短くなる。また、縦送り機構21の縦送り回数が多くなると、苗マットの計算上の総縦送り量が上下二カ所の第一苗切れセンサ23の位置ずれ距離よりも長くなる。このため、苗量算出部35は、上側の第一苗切れセンサ23が苗通知情報を検出してから下側の第一苗切れセンサ23が苗通知情報を検出するまでの縦送り機構21の縦送り回数(苗マットの計算上の総縦送り量)に基づいて、作業領域に必要な苗量(苗マットの枚数)を算出する構成であっても良い。この構成においても、苗マットの実際の長さL3(第二長さ)が長さ取得部32によって取得されて良い。
【0110】
(4)上述の苗量算出部35は、田植機に備えられず、例えば遠隔地の管理コンピュータや携帯端末で苗取量を算出して、無線通信ネットワークを介して田植機のECUへ制御信号を送信するものであっても良い。携帯端末とは、例えばスマートフォンやタブレットコンピュータ等である。
【0111】
(5)
図5に示す実施形態の他に、例えば
図9に示すように、ステップ#11において実苗取量が算出されると、苗取量調節部30は、植付アーム15の実際の苗取量が目標の苗取量に近づくように苗取量変更機構25を経時的に制御する構成であっても良い(ステップ#20)。
図9に示すステップ#01~ステップ#11は、
図5に示すものと同様である。植付アーム15は苗載台14の下端部から苗を取り出すため、植付アーム15の実際の苗取量は、植付アーム15が苗を取り出す際の植付アーム15と苗載台14の下端部との距離が関係する。このため、実苗取量が目標の苗取量よりも少ない場合、苗取量調節部30は、植付アーム15が苗を取り出す際の植付アーム15と苗載台14の下端部との距離が短くなるように、苗取量変更機構25を制御する。また、実苗取量が目標の苗取量よりも多い場合、苗取量調節部30は、植付アーム15が苗を取り出す際の植付アーム15と苗載台14の下端部との距離が長くなるように、苗取量変更機構25を制御する。
【0112】
図9に示す実施形態では、苗取量調節部30は、横送り検出部34によって検出された横送り量も算出要素に含めて苗取量を調節するように構成されている。つまり、苗取量調節部30は、横送り量に基づいて苗取量を調節するように構成されている。また、
図9に示す実施形態では、苗取量調節部30は、枚数取得部31によって取得された苗マットの枚数も算出要素に含めて苗取量を調節するように構成されている。つまり、苗取量調節部30は、苗マットの枚数に基づいて苗取量を調節するように構成されている。
【0113】
つまり、苗取量調節部30は、第一苗切れセンサ23による苗の有無の検知が変化したことに応じて、縦送り検出部33の検出結果に基づいて苗マットから苗を取り出す植付アーム15の苗取量を調節する構成であっても良い。この構成によって、苗マットを予め用意した枚数を圃場に精度良く植え切ることが可能となり、苗マットが不足したり苗マットが余ったりする可能性が軽減される。
【0114】
(6)第一苗切れセンサ23のセンサ部23Cは、揺動部23Bが苗マットに押された状態で検出状態となり、揺動部23Bが苗マットに押されずに上向きに揺動した状態で非検知状態となる。この実施形態に限定されず、第一苗切れセンサ23のセンサ部23Cは、揺動部23Bが苗マットに押された状態で非検出状態となり、揺動部23Bが苗マットに押されずに上向きに揺動した状態で検知状態となる構成であっても良い。つまり、第一苗切れセンサ23(苗検知部)は、苗載台14に載置された苗の有無を検知する構成であれば良い。そして苗量算出部35は、第一苗切れセンサ23(苗検知部)による苗の有無の検知が変化したことに応じて、作業領域に必要な苗量の算出を開始する構成であれば良い。
【0115】
(7)第一苗切れセンサ23と第二苗切れセンサ24との夫々は、スイッチ式のセンサに限定されない。例えば、第一苗切れセンサ23と第二苗切れセンサ24との夫々は、例えば、いわゆるLidarのような光学測距方式によって苗マットの長さを測定するものであっても良く、当該長さの測定に基づいて苗の有無を検知する構成であっても良い。また、第一苗切れセンサ23と第二苗切れセンサ24との夫々は、苗マットの重量を検出する重量センサであっても良く、当該重量の検出に基づいて苗の有無を検知する構成であっても良い。例えば苗マットの重量を検出する重量センサが、当該重量に基づいて、苗載台14に載置された苗の載置量に関する情報を検知する構成であっても良い。つまり、苗検知部は、苗載台14に載置された苗の有無を検知する構成であれば良い。そして苗量算出部35は、苗検知部による苗の有無の検知が変化したことに応じて、作業領域に必要な苗量の算出を開始する構成であれば良い。
【0116】
(8)上述の『苗量』は、苗マットの枚数でなくても良く、例えば苗の重量や苗マットの総重量であっても良いし、苗マットの総面積であっても良いし、苗の総株数であっても良い。
【0117】
(9)上述の実施形態では、移植機の一例として乗用型田植機を例示した。この実施形態に限定されず、例えば移植機は、野菜移植機であっても良いし、ポット苗移植機であっても良いし、歩行型田植機であっても良い。
【0118】
(10)上述の実施形態では、苗量算出部35は、植付アーム15における苗取量の初期設定が行われたこと(苗の移植作業のための予め設定された動作)に応じて苗の移動に関する計測処理を開始するように構成されている。『苗の移植作業のための予め設定された動作』とは、例えば移植作業の開始後の所定のタイミングが経過したことであっても良い。例えば苗量算出部35は、移植作業の開始後の所定のタイミングが経過したことに応じて苗の移動に関する計測処理を開始するように構成されても良い。
【0119】
(11)上述の実施形態において、苗量算出部35は、第一苗切れセンサ23が苗通知情報を検知した(第一苗切れセンサ23による苗の有無の検知が変化した)ことに応じて、計測処理の開始直後から、苗通知情報の検知(苗の有無の検知の変化)までの間における縦送り検出部33の検出結果に基づいて苗崩れ量を算出し、苗崩れ量に基づいて作業領域に必要な苗量(苗マットの枚数)を算出するように構成されている。この実施形態に限定されず、苗量算出部35は、第一苗切れセンサ23が苗通知情報を検知した(第一苗切れセンサ23による苗の有無の検知が変化した)ことに応じて、計測処理の開始後の所定のタイミングから苗通知情報の検知までの間における縦送り検出部33の検出結果に基づいて苗崩れ量を算出し、苗崩れ量に基づいて作業領域に必要な苗量を算出するように構成されても良い。
【0120】
(12)上述の実施形態において、苗量算出部35は、作業領域に必要な苗量を算出するように構成されている。この実施形態に限定されず、苗量算出部35は、予め設定された領域に必要な苗量を算出するように構成されても良い。『予め設定された領域』は、例えばオペレータ等が、携帯する端末(作業端末、タブレットコンピュータ、携帯端末、スマートフォン等)で圃場等において任意に設定可能な所定の領域であって良い。
【0121】
なお、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明は、苗使用量管理システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0123】
14 :苗載台
15 :植付アーム(植付機構)
21 :縦送り機構
22 :横送り機構
23 :第一苗切れセンサ(苗検知部、苗センサ)
26 :報知部
30 :苗取量調節部
31 :枚数取得部
32 :長さ取得部
33 :縦送り検出部
34 :横送り検出部
35 :苗量算出部
L3 :第二長さ
L4 :第一長さ
ΔL :潰れ量