(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025101160
(43)【公開日】2025-07-07
(54)【発明の名称】移植機
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20250630BHJP
【FI】
A01C11/02 350M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217803
(22)【出願日】2023-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】今垣 雄太
(72)【発明者】
【氏名】奥井(原野) 朱莉
(72)【発明者】
【氏名】今里 崇将
(72)【発明者】
【氏名】吉水 健悟
【テーマコード(参考)】
2B064
【Fターム(参考)】
2B064AA05
2B064AA07
2B064AB01
2B064AC01
2B064DB03
2B064DB06
2B064DB11
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で横送り機構の横送り量を検出可能な移植機の提供。
【解決手段】苗マットを載置する苗載台と、苗マットから苗を取り出して圃場に苗を移植する植付機構と、植付機構の駆動と連動して苗載台を左右方向に往復駆動する横送り機構22と、横送り機構22が往復駆動する速さである横送り量を変更する横送り量変更機構16と、横送り量変更機構16の動きに連動して横送り量を自動的に検出する検出部34と、が備えられている移植機。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗マットを載置する苗載台と、
前記苗マットから苗を取り出して圃場に苗を移植する植付機構と、
前記植付機構の駆動と連動して前記苗載台を左右方向に往復駆動する横送り機構と、
前記横送り機構が往復駆動する速さである横送り量を変更する横送り量変更機構と、
前記横送り量変更機構の動きに連動して前記横送り量を自動的に検出する検出部と、が備えられている移植機。
【請求項2】
前記横送り量変更機構と連結され、前記横送り量を変更するための人為操作を受け付けるリンク式操作具が備えられ、
前記検出部は、前記リンク式操作具の操作に基づいて変更される前記横送り量を検出するように構成され、
前記検出部は、前記リンク式操作具を挟んで前記横送り量変更機構側と反対側に配置されている請求項1に記載の移植機。
【請求項3】
前記横送り量変更機構は機体の左右方向における中央領域に配置され、
前記検出部は、前記横送り量変更機構に対して機体横外側の領域に配置されている請求項1に記載の移植機。
【請求項4】
前記横送り機構は機体の左右方向に沿って延ばされ、
前記検出部は、機体の左右方向において前記横送り機構の機体横外側の端部に対応する領域に配置されている請求項3に記載の移植機。
【請求項5】
前記横送り機構は機体の左右方向に沿って延ばされ、
前記検出部は、機体の左右方向において前記横送り機構の機体横外側の端部よりも機体横外側の領域に配置されている請求項3に記載の移植機。
【請求項6】
前記横送り量変更機構と連結され、前記横送り量を変更するための人為操作を受け付けるリンク式操作具が備えられ、
前記リンク式操作具に、前記人為操作を受け付ける揺動レバーと、前記揺動レバーに枢支連結されるとともに前記横送り量変更機構に連結された第一ロッドと、前記揺動レバーに枢支連結されるとともに前記検出部に連結された第二ロッドと、が備えられている請求項1から5の何れか一項に記載の移植機。
【請求項7】
前記第二ロッドは、前記揺動レバーのうち、前記第一ロッドとの連結箇所よりも前記揺動レバーの揺動軸芯側の箇所に枢支連結されている請求項6に記載の移植機。
【請求項8】
前記検出部は、揺動式のポテンショメータであって、前記第二ロッドに枢支連結されている請求項6に記載の移植機。
【請求項9】
前記検出部によって検出された前記横送り量を作業情報として取得する取得部と、
前記横送り量を含む前記作業情報を報知する報知部と、が備えられている請求項1から5の何れか一項に記載の移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2010-213638号公報(特許文献1)に開示された移植機では、横送り機構に、苗載台の横送り量を検出する検出部(文献では「横送りセンサ(104)」)が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで苗載台の裏面部分において、特に横送り機構の位置する箇所では他の機構や機器等で込み合いがちとなる。また、横送り機構は田植えの作業中には常に動作している部分であるため、検出部が常に横送り機構と連動する構成であると、検出部が摺動摩耗等の要因によって故障する可能性も考えられる。このため、いかに簡素な構成で横送り量を検出できるかが課題となる。
【0005】
本発明の目的は、簡易な構成で横送り機構の横送り量を検出可能な移植機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による移植機には、苗マットを載置する苗載台と、前記苗マットから苗を取り出して圃場に苗を移植する植付機構と、前記植付機構の駆動と連動して前記苗載台を左右方向に往復駆動する横送り機構と、前記横送り機構が往復駆動する速さである横送り量を変更する横送り量変更機構と、前記横送り量変更機構の動きに連動して前記横送り量を自動的に検出する検出部と、が備えられていることを特徴とする。
【0007】
本発明によると、検出部は横送り量変更機構の動きに連動して横送り量を自動的に検出する。この構成であれば、検出部は横送り量変更機構が動いた時だけに動き、検出部が常に横送り機構と連動する構成と比較して、検出部が摺動摩耗する虞が軽減される。これにより、簡易な構成で横送り機構の横送り量を検出可能な移植機が実現される。
【0008】
本発明において、前記横送り量変更機構と連結され、前記横送り量を変更するための人為操作を受け付けるリンク式操作具が備えられ、
前記検出部は、前記リンク式操作具の操作に基づいて変更される前記横送り量を検出するように構成され、
前記検出部は、前記リンク式操作具を挟んで前記横送り量変更機構側と反対側に配置されていると好適である。
【0009】
本構成によると、検出部がリンク式操作具の操作に基づいて変更される横送り量を検出する。この構成であれば、検出部がリンク式操作具の操作量や操作位置を検出し、当該操作量や操作位置を横送り量として検出する構成が可能となる。これにより、検出部が横送り量変更機構の動作を直接検出する構成と比較して、検出部の構成が簡素化される。また、検出部がリンク式操作具を挟んで横送り量変更機構側と反対側に設けられている。この構成であれば、横送り機構や横送り量変更機構の位置する側に検出部が設けられる構成と比較して、横送り機構や横送り量変更機構等の機器や、他のセンサ類等との干渉を回避したスペースに配置し易くなり、メンテナンスも容易になる。
【0010】
本発明において、前記横送り量変更機構は機体の左右方向における中央領域に配置され、前記検出部は、前記横送り量変更機構に対して機体横外側の領域に配置されていると好適である。
【0011】
本構成によって、検出部が作業者の手の届き易い位置に配置される。これにより、作業者による検出部の確認やメンテナンスが一層容易になる。
【0012】
本発明において、前記横送り機構は機体の左右方向に沿って延ばされ、前記検出部は、機体の左右方向において前記横送り機構の機体横外側の端部に対応する領域に配置されていると好適である。
【0013】
本構成であれば、他機器やセンサ類等との干渉を回避したスペースに検出部が配置され、かつ、検出部の位置が横送り機構の位置から余り離れない位置に配置される。これにより、検出部を含めた横送り機構の構成がコンパクトになり易い。
【0014】
本発明において、前記横送り機構は機体の左右方向に沿って延ばされ、前記検出部は、機体の左右方向において前記横送り機構の機体横外側の端部よりも機体横外側の領域に配置されていると好適である。
【0015】
本構成であれば、他機器やセンサ類等との干渉を回避したスペースに検出部が配置され、かつ、検出部の位置が作業者の手の届き易い位置に配置される。これにより、作業者による検出部の確認やメンテナンスが一層容易になる。
【0016】
本発明において、前記横送り量変更機構と連結され、前記横送り量を変更するための人為操作を受け付けるリンク式操作具が備えられ、前記リンク式操作具に、前記人為操作を受け付ける揺動レバーと、前記揺動レバーに枢支連結されるとともに前記横送り量変更機構に連結された第一ロッドと、前記揺動レバーに枢支連結されるとともに前記検出部に連結された第二ロッドと、が備えられていると好適である。
【0017】
本構成によると、揺動レバーが第一ロッドを介して横送り量変更機構と連結される。このため、作業者が揺動レバーを揺動することに応じて横送り量が変更される。そして、検出部が第二ロッドを介して揺動レバーと連結されている。この構成によって、検出部が揺動レバーの操作量や操作位置を検出し、当該操作量や操作位置を横送り量として検出する構成が可能となる。
【0018】
本発明において、前記第二ロッドは、前記揺動レバーのうち、前記第一ロッドとの連結箇所よりも前記揺動レバーの揺動軸芯側の箇所に枢支連結されていると好適である。
【0019】
本構成であれば、第二ロッドが第一ロッドとの連結箇所と揺動軸芯の箇所との間の箇所に連結される。この構成であれば、第二ロッドが第一ロッドとの連結箇所よりも遊端側に連結される構成と比較して、第二ロッドと他の機構等との干渉を回避しながら、第二ロッドを短くする構成が可能となる。
【0020】
本発明において、前記検出部は、揺動式のポテンショメータであって、前記第二ロッドに枢支連結されていると好適である。
【0021】
本構成によって、検出部の構成が一層簡素なものとなる。
【0022】
本発明において、前記検出部によって検出された前記横送り量を作業情報として取得する取得部と、前記横送り量を含む前記作業情報を報知する報知部と、が備えられていると好適である。
【0023】
本構成によって、オペレータ等は横送り量を容易に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】縦送り機構及び横送り機構の構成を示す図である。
【
図3】第一苗切れセンサ及び第二苗切れセンサの構成を示す背面図である。
【
図4】第一苗切れセンサの構成を示す
図3のIV-IV視断面図である。
【
図5】苗取量調節システムの構成を示すブロック図である。
【
図6】苗取量調節システムの処理の流れを示すフローチャート図である。
【
図7】苗マットの縦方向の長さについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の田植機を例示する実施形態を
図1~
図8に示す乗用型田植機(移植機の一例)に基づいて説明する。なお、図中に示す矢印「F」の方向を「機体の前方」、図中に示す矢印「B」の方向を「機体の後方」、図中に示す矢印「L」の方向を「機体の左方」、図中に示す矢印「R」の方向を「機体の右方」、図中に示す矢印「U」の方向を「機体の上方」、図中に示す矢印「D」の方向を「機体の下方」とする。
【0026】
〔乗用型田植機の全体構造〕
図1,
図2に示すように、田植機は、乗用型の機体1を備える。機体1は、四輪駆動形式の車輪2と、予備苗収納台3と、運転部4と、を備える。運転部4は機体1の後部領域に設けられ、作業者が搭乗する。なお、作業者の意味は運転者の意味も含む。予備苗収納台3の上方に、GNSS(グローバル・ナビゲーション・サテライト・システム、GPS、GLONASS、Galileo、BeiDou等)の受信装置5が備えられている。受信装置5が受信した測位信号に基づいて、自動走行と自動操舵との少なくとも一方が可能である。
【0027】
機体1の後部に、苗植付装置10がリンク機構9を介して上下昇降可能なように支持されている。苗植付装置10は苗を圃場に植え付ける。また、苗植付装置10は、ローリングすることによって、機体1に対して左右揺動可能なように構成されている。
【0028】
詳述はしないが、機体1には不図示のエンジンが搭載されている。エンジンの動力が、車輪2と苗植付装置10との夫々に伝達される。
【0029】
図1及び
図2に示すように、苗植付装置10に、複数(本実施形態では四個)の伝動ケース11と、複数(本実施形態では八個)の回転ケース12と、整地フロート13と、苗載台14と、が備えられている。回転ケース12は、各伝動ケース11の後部の左側部及び右側部の夫々に回転可能に支持されている。夫々の回転ケース12の両端部に、一対のロータリ式の植付アーム15が備えられている。苗植付装置10に複数の整地フロート13が備えられ、整地フロート13は圃場の田面を整地する。苗載台14に苗マットが載置される。苗マットは植え付け用のマット状の苗である。なお、苗植付装置10に苗取量変更機構25(
図5参照)が備えられている。苗取量変更機構25は、植付アーム15が苗載台14から取り出す苗取量を変更する機構である。植付アーム15は、『植付機構』の一例である。
【0030】
図3に示すように、苗載台14は、機体左右方向に並ぶ複数(本実施形態では八個)の載置面区画14aを有する。各載置面区画14aの左右幅は、苗マットの左右幅に対応している。各載置面区画14aは、一条分の苗マットを載置可能に構成されている。これにより、苗載台14に八条分の苗マットが載置可能である。なお、載置面区画14aの個数は、七個以下でも良いし、九個以上でも良い。
【0031】
後述の横送り機構22が苗載台14を左右に往復横送り駆動するとともに、各回転ケース12が伝動ケース11から伝達される動力によって回転駆動し、各植付アーム15が苗載台14の下部から交互に苗を取り出して圃場の田面に植え付ける。即ち、苗植付装置10は、複数の回転ケース12の植付アーム15で苗を植え付けるように構成されている。
【0032】
〔縦送り機構及び横送り機構の構成〕
図2に示すように、苗植付装置10は、縦送り機構21及び横送り機構22を有する。苗植付装置10に伝動機構16が備えられている。また、機体1に、不図示のエンジンからの動力を苗植付装置10へ伝達するための不図示のPTO軸が備えられている。伝動機構16は、エンジンの動力を、ユニバーサルジョイントを介してPTO軸から受け取る。
【0033】
横送り機構22は、植付アーム15の駆動と連動して苗載台14を左右方向に往復駆動する。横送り機構22は、横送り軸22a及び横送り部材22bを有する。横送り軸22aは、伝動機構16からの動力によって回転する。
【0034】
横送り部材22bは、横送り軸22aに対して相対回転可能な状態で、且つ、横送り軸22aに対してスライド可能な状態で、横送り軸22aに取り付けられている。また、横送り部材22bは、苗載台14に連結されている。
【0035】
そして、横送り軸22aが回転すると、横送り部材22bは、横送り軸22aに形成された螺旋送り溝によって、横送り軸22aの延びる方向に往復移送される。これにより、苗載台14は、左右に往復移送される。この構成によって、苗植付装置10は、植付アーム15で苗植付動作を行いながら、苗載台14を左右に往復移送する。
【0036】
即ち、苗植付装置10は、苗植付動作を行いながら苗載台14を左右に往復移送するように構成されている。苗載台14が左右に往復移送されることによって、機体1に対する苗載台14の位置が、左右方向に変化する。
【0037】
また、
図2に示すように、縦送り機構21は、縦送り軸21a、第一伝動アーム21b、第二伝動アーム21c、受動アーム21d、ワンウェイクラッチ21e、駆動軸21f、縦送りベルト21gを有する。
【0038】
本実施形態においては、田植機は八条植えであるため、八個の縦送りベルト21gが備えられている。なお、縦送りベルト21gの個数は、載置面区画14aの個数と同じであれば、七個以下でも良いし、九個以上でも良い。
【0039】
縦送り軸21aは、伝動機構16からの動力によって回転する。また、第一伝動アーム21b及び第二伝動アーム21cは、縦送り軸21aに対して相対回転不能な状態で、縦送り軸21aに固定されている。第一伝動アーム21bは、第二伝動アーム21cよりも左側に位置している。
【0040】
受動アーム21dは、ワンウェイクラッチ21eを介して、駆動軸21fに連結されている。そして、縦送りベルト21gは、駆動軸21fの回転と連動して回動するように構成されている。
【0041】
苗載台14が左のストロークエンドに到達すると、受動アーム21dが、第一伝動アーム21bの回転域に入る。これにより、第一伝動アーム21bが受動アーム21dに接当する。そして、縦送り軸21aの動力が、第一伝動アーム21b、受動アーム21d、ワンウェイクラッチ21eを介して、駆動軸21fに伝達される。
【0042】
その結果、駆動軸21fが設定回転角だけ回転するとともに、縦送りベルト21gが回動する。このときの縦送りベルト21gの回動量は、所定の送り距離に相当する回動量である。
【0043】
また、苗載台14が右のストロークエンドに到達すると、受動アーム21dが、第二伝動アーム21cの回転域に入る。これにより、第二伝動アーム21cが受動アーム21dに接当する。そして、縦送り軸21aの動力が、第二伝動アーム21c、受動アーム21d、ワンウェイクラッチ21eを介して、駆動軸21fに伝達される。
【0044】
その結果、駆動軸21fが設定回転角だけ回転するとともに、縦送りベルト21gが回動する。このときの縦送りベルト21gの回動量は、所定の送り距離に相当する回動量である。
【0045】
縦送りベルト21gは、苗載台14に載置されている苗マットに接当するように構成されている。そのため、縦送りベルト21gが回動することによって、苗載台14に載置されている苗マットは、予め設定された送り距離だけ下側へ移動する。縦送りベルト21gが回動する際の送り距離は、縦送り機構21における一回当たりの縦送り量である。
【0046】
〔苗切れセンサについて〕
図3に示すように、本実施形態の田植機は、第一苗切れセンサ23、及び、複数の第二苗切れセンサ24を備えている。第一苗切れセンサ23、及び、複数の第二苗切れセンサ24は、苗載台14に残された苗マットの縦方向の長さが予め設定された長さ以下になった苗切れ状態を検出するように構成されている。換言すると、第一苗切れセンサ23、及び、複数の第二苗切れセンサ24は、苗載台14に載置されている苗マットの苗の縦方向の長さに基づいて、苗残量が予め設定された量以下になった状態を検出するように構成されている。第一苗切れセンサ23は、『苗切れセンサ』に相当する。
【0047】
第一苗切れセンサ23は、機体右端から二列目の載置面区画14aに設けられている。第二苗切れセンサ24は各載置面区画14aに設けられている。なお、第一苗切れセンサ23は、機体右端から二列目の載置面区画14aに限定されず、任意の載置面区画14aに設けられて良い。また、二個以上の第一苗切れセンサ23が、八個の載置面区画14aにおいて任意に設けられても良い。
【0048】
図3に示すように、第一苗切れセンサ23は、機体上下方向における苗載台14の上部に設けられている。各第二苗切れセンサ24は、機体上下方向における苗載台14の下部に設けられている。即ち、第一苗切れセンサ23は、第二苗切れセンサ24よりも高い位置に設けられている。
【0049】
図4に示すように、第一苗切れセンサ23は、支持部23Aと揺動部23Bとセンサ部23Cとを有する。揺動部23Bは、揺動軸芯P1まわりに揺動可能なように、支持部23Aに支持されている。なお、揺動部23Bの揺動基端部にトーションバネが巻き回されている。これにより、揺動部23Bは上向きに揺動するように付勢されている。揺動部23Bは、側面視で山型形状の部分を有する。この山型形状の部分として、基端傾斜部23oと、頂上部23pと、先鋭端部23qと、が形成されている。
【0050】
苗マットが第一苗切れセンサ23を踏むと、第一苗切れセンサ23が下側へ変位する。これにより、第一苗切れセンサ23は苗切れを検出しない状態、即ち非検出状態となる。このとき、先鋭端部23qがセンサ部23Cと近接する。また、苗マットが第一苗切れセンサ23を踏んでいない場合、第一苗切れセンサ23はトーションバネの付勢力によって上向きに揺動する。これにより、第一苗切れセンサ23は苗切れ状態を検出する検出状態となる。このとき、先鋭端部23qがセンサ部23Cから離れる。
【0051】
図3には、第一高さ位置H1が示されている。載置面区画14aにおいて、苗上端位置が第一高さ位置H1よりも高い場合、その載置面区画14aに位置する第一苗切れセンサ23は非検出状態となる。なお、苗上端位置とは、載置面区画14aに載置されている苗マットの上端の位置である。第一苗切れセンサ23が配置されている載置面区画14aにおいて、苗上端位置が第一高さ位置H1以下である場合、第一苗切れセンサ23は苗切れ状態を検出する。載置面区画14aの下端部と第一高さ位置H1の箇所とに亘る長さは、『第一長さ』に相当する。つまり、第一苗切れセンサ23は、苗載台14に残された苗マットの縦方向の長さが予め設定された長さ(第一長さ)以下になった苗切れ状態を検知する。
【0052】
第一苗切れセンサ23が苗切れ状態を検出する検出状態であるときの先鋭端部23qの延び方向Qは、載置面区画14aの延び方向に対して直角に近い角度となっている。換言すると、載置面区画14aの延び方向に対する先鋭端部23qの延び方向Qの交差角は、載置面区画14aの延び方向に対する基端傾斜部23oの延び方向Rの交差角よりも直角側に立っている。
【0053】
この構成であれば、苗載台14に苗マットが補給される際に、苗マットが苗載台14の上端部から載置面区画14aに沿って下方へスライドすると、基端傾斜部23oが苗マットの底部と当接することに応じて揺動部23Bが円滑に下向きに揺動する。これにより、第一苗切れセンサ23は、苗マットの下方へのスライドを妨げることなく苗切れの非検出状態から検出状態へ切り替わる。これにより、第一苗切れセンサ23は、苗マットの下方へのスライドを妨げることなく苗切れの非検出状態から検出状態へ切り替わる。また、基端傾斜部23oは先鋭端部23qよりもなだらかな傾斜となっているため、揺動部23Bのうちの出来るだけ多くの面積で苗マットの検知が可能となる。
【0054】
苗上端位置が第一高さ位置H1から第一高さ位置H1以下となったタイミングで、苗マットの苗上縁部分は頂上部23pを超えて搬送方向下手側へ搬送される。先鋭端部23qは、頂上部23pから直角に近い形状に屈曲しており、苗マットの苗上縁部分は頂上部23pを超えてから直ぐに先鋭端部23qと当接しなくなる。このときに、先鋭端部23qは苗マットの底部に接触しなくなったことに応じて、揺動部23Bはトーションバネの付勢力によって上向きにしっかりと揺動する。これにより、苗上端位置が第一高さ位置H1から第一高さ位置H1以下となったタイミングで、第一苗切れセンサ23は苗切れ状態を直ぐに検出できる。また、先鋭端部23qが揺動部23Bの遊端部に位置するため、先鋭端部23qは揺動軸芯P1まわりに大きく揺動する。これにより、センサ部23Cは先鋭端部23qの有無をしっかりと検出でき、第一苗切れセンサ23は苗マットの有無をしっかりと検出できる。
【0055】
苗マットが第二苗切れセンサ24を踏むと、第二苗切れセンサ24が下側へ変位する。これにより、第一苗切れセンサ23は苗切れを検出しない状態、即ち非検出状態となる。また、苗マットが第二苗切れセンサ24を踏んでいない場合、第二苗切れセンサ24は付勢部材の付勢力によって上側へ変位する。これにより、第二苗切れセンサ24は苗切れ状態を検出する検出状態となる。
【0056】
図3には、第二高さ位置H2が示されている。載置面区画14aにおいて、苗上端位置が第二高さ位置H2よりも高い場合、その載置面区画14aに位置する第二苗切れセンサ24は非検出状態となる。また、載置面区画14aにおいて、苗上端位置が第二高さ位置H2以下である場合、その載置面区画14aに位置する第二苗切れセンサ24は苗切れ状態を検出する。
【0057】
〔苗取量調節制御の構成〕
図5に示すように、本実施形態の苗取量調節システムに、制御装置Cと、枚数取得部31と、長さ取得部32と、縦送り検出部33と、横送り検出部34と、が備えられている。制御装置Cは、例えば田植機に備えられたECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)等のマイコン機器などに組み込まれたプログラムやハードウェアの集合体として構成されている。制御装置Cに、苗取量調節部30と作業情報取得部35とが備えられている。
【0058】
苗取量調節部30は、第一苗切れセンサ23と、枚数取得部31と、長さ取得部32と、縦送り検出部33と、横送り検出部34と、の夫々から情報を受信し、当該情報に基づいて苗取量を設定したり変更したりするために苗取量変更機構25を制御するように構成されている。
【0059】
作業情報取得部35は、横送り検出部34によって検出された横送り量を作業情報として取得する。また、作業情報取得部35は、横送り量以外にも、縦送り検出部33によって検出された縦送り回数(縦送り量)、第一苗切れセンサ23の検出結果、及び、第二苗切れセンサ24の検出結果、等を作業情報として取得する。これらの作業情報は作業情報取得部35から報知部26へ送られる。
【0060】
報知部26は、例えば運転部4の操作パネルに備えられる表示モニタであっても良いし、積層表示灯であっても良いし、ブザーや音声スピーカ等であっても良いし、オペレータ等が携帯所持する携帯端末(スマートフォンやタブレットコンピュータ)等であっても良い。報知部26は、横送り量を含む作業情報を報知するように構成されている。また、報知部26は、苗取量調節部30が算出した実苗取量等の算出結果を受信し、実苗取量等を報知したり、当該算出結果に基づいて圃場において必要な苗マットの枚数等を報知したりする構成であっても良い。
【0061】
枚数取得部31と長さ取得部32との夫々は、例えば運転部4の操作パネルで設定されるものであっても良いし、遠隔地の管理コンピュータや携帯端末から無線通信ネットワークを介して受信するものであっても良い。携帯端末とは、例えばスマートフォンやタブレットコンピュータ等である。
【0062】
枚数取得部31は、圃場において苗の植え付けに使用する使用予定の苗マットの枚数(予定使用枚数)を取得する。苗マットの予定使用枚数は、苗の種別、単位面積あたりの株数等に基づいて設定される。
【0063】
長さ取得部32は、植付機構による作業開始前に苗載台14において、載置された苗マットが存在する領域の縦方向における実際の長さL3(
図7参照)を取得するように構成されている。本実施形態では、苗載台14の上部に縦方向に沿って目盛り14B(
図3及び
図4参照)が刻まれている。作業者は、載置面区画14aに載置されている苗マットの上端の位置、即ち苗上端位置を目盛り14Bで読み取って長さ取得部32に目盛り14Bの情報を入力する。苗載台14において苗マットが存在する領域の縦方向における実際の長さL3は、『第二長さ』に相当する。
【0064】
また、長さ取得部32は、苗載台14に載置される前の苗マットの縦方向の寸法L2(
図7参照)も取得可能に構成されている。一枚の苗マットの縦方向の寸法L1(
図7参照)は、予め規格(例えば580mm)で設定されている場合もある。長さ取得部32は、既知の寸法L2を取得する構成であっても良いし、人為入力に基づいて寸法L2を取得する構成であっても良い。
【0065】
縦送り検出部33は、
図2に示す縦送り機構21の受動アーム21d、駆動軸21f、及び、縦送りベルト21gが作動したことを検出するスイッチ式のセンサである。横送り検出部34は、リンク式操作具40(
図8参照)に連動連結された揺動式のポテンショメータである。横送り検出部34は、リンク式操作具40の揺動レバー41の位置を検出することによって、横送り機構22の横送り量を検出する。横送り量とは、横送り機構22が往復駆動する速さである。横送り機構22が往復運動するストローク量を横送り量で割り算すると、横送り回数が算出される。換言すると、横送り検出部34は、縦送り機構21が一度駆動してから次に駆動するまでの間における横送り回数を検出する。
【0066】
図6に示すフローチャートに基づいて、苗取量調節制御の流れについて説明する。ステップ#01において、苗取量調節部30は、田植え作業が開始される前に、苗載台14に苗マットが投入されたか否かを判定する。このときの苗マットの投入とは、少なくとも、第一苗切れセンサ23が配置された載置面区画14aに苗マットが全く載置されていない状態から、第一苗切れセンサ23が苗切れ状態を検出しない状態になるまで苗マットが投入されたことを意味する。苗取量調節部30は、第一苗切れセンサ23が苗切れ状態を検出していない状態であるか否かを判定する。第一苗切れセンサ23が苗切れ状態を検出していれば(ステップ#01:No)、ステップ#01の判定がループする。
【0067】
第一苗切れセンサ23が苗切れ状態を検出していない状態であれば(ステップ#01:Yes)、ステップ#02~ステップ#06において、苗取量調節部30は、苗取量を初期設定するために必要な情報を取得する。
【0068】
ステップ#02において、苗取量調節部30は、圃場において苗の植え付けに使用する使用予定の苗マットの枚数(予定使用枚数)を枚数取得部31から取得する。予定使用枚数は、圃場全体における予定使用枚数であっても良いし、単位面積(例えば10アール)当たりの予定使用枚数であっても良い。
【0069】
ステップ#03において、苗取量調節部30は、苗載台14に載置される前の苗マットの縦方向の寸法L2を長さ取得部32から取得する。
図7に、その寸法L2が示されている。寸法L2は、苗マット一枚分の寸法L1と、苗載台14に載置される苗マットの縦方向の枚数と、から導出される。本実施形態では、苗載台14は縦方向に二枚の苗マットを載置可能に構成されている。このため、寸法L2は『寸法L1×2』である。
【0070】
ステップ#04において、苗取量調節部30は、苗載台14に載置された苗マットの縦方向の実際の長さL3を長さ取得部32から取得する。
図7に、その長さL3が示されている。苗載台14の上部に縦方向に沿って目盛り14Bが刻まれているため、その目盛り14Bに基づいて長さL3が取得される。
【0071】
ステップ#05において、苗取量調節部30は潰れ量ΔLを長さ取得部32から取得する。
図7に示すように、長さ取得部32は、苗載台14に載置される前の苗マットの縦方向の寸法L2と、苗載台14に載置された苗マットの実際の長さL3と、の差分に基づいて苗マットが苗載台14に載置された際の潰れ量ΔLを取得する。つまり、潰れ量ΔLは『寸法L2-長さL3』である。
【0072】
ステップ#06において、苗取量調節部30は、横送り検出部34によって検出された横送り機構22の横送り量(横送り回数)を取得する。横送り量の違いによって、設定するべき苗取量が異なるためである。
【0073】
そしてステップ#07において苗取量調節部30は、ステップ#02~ステップ#06の処理で取得した情報に基づいて、植付アーム15における苗取量を初期設定として算出する。このとき、苗取量調節部30は、潰れ量ΔLに基づいて苗取量を精度良く初期設定する。
【0074】
苗取量が初期設定されると、田植機の田植え作業が開始される。ステップ#08において苗取量調節部30は、第一苗切れセンサ23が苗切れ状態を検出したか否かを判定する。ステップ#07において苗取量が初期設定された直後であればステップ#08の判定はNoとなるが、田植機の田植え作業が継続されると、苗載台14に載置された苗の残量が減少し続ける。そして、第一苗切れセンサ23が配置されている載置面区画14aにおいて、苗上端位置が第一高さ位置H1以下になると、第一苗切れセンサ23は苗切れ状態を検出する(ステップ#08:Yes)。
図7においては、苗上端位置が第一高さ位置H1以下になったときの苗マットの縦方向の長さL4を示している。
【0075】
ステップ#08でYesの判定になったタイミングで、第一苗切れセンサ23が苗切れ状態を検出したときに苗載台14に残された苗マットの縦方向の長さ(第一長さ)は、
図7に示す長さL4で既知である。このため、苗取量調節部30は、苗取量が初期設定されたときの苗マットの縦方向の実際の長さL3と、第一苗切れセンサ23が苗切れ状態を検出したときに苗載台14に残された苗マットの縦方向の長さL4と、の差分を算出する。この差分は、
図7に示すように、消費分の長さL5である。ステップ#09において苗取量調節部30は、苗マットの縦方向における消費分の長さL5を算出する。
【0076】
ステップ#10において苗取量調節部30は、ステップ#07において苗取量が初期設定されてからステップ#08において第一苗切れセンサ23が苗切れ状態を検出する(ステップ#08:Yes)までの間の縦送り機構21の縦送り回数を縦送り検出部33から取得する。
【0077】
そして苗取量調節部30は、苗マットの縦方向における消費分の長さL5と、苗取量が初期設定されてから第一苗切れセンサ23が苗切れ状態を検出するまでの間の縦送り機構21の縦送り回数と、に基づいて植付アーム15における実際の苗取量(実苗取量)を算出する(ステップ#11)。縦送り機構21における一回当たりの縦送り量は予め設定されているため、一回当たりの縦送り量に縦送り回数を掛け算することによって、苗マットの計算上の総縦送り量を算出できる。
【0078】
縦送り機構21の縦送り回数が苗マットの縦方向における消費分の長さL5に対して少ない場合、苗マットの計算上の総縦送り量が長さL5よりも短くなる。苗マットの計算上の総縦送り量が長さL5よりも短い場合、苗マットが柔らかくて崩れ易い等の要因によって、植付アーム15が目標の苗取量よりも多くの苗を取り出している。
【0079】
縦送り機構21の縦送り回数が苗マットの縦方向における消費分の長さL5に対して多い場合、苗マットの計算上の総縦送り量が長さL5よりも長くなる。苗マットの計算上の総縦送り量が長さL5よりも長い場合、苗マットが硬い等の要因によって、植付アーム15が目標の苗取量よりも少なめの苗を取り出している。
【0080】
実苗取量が算出されると、苗取量調節部30は、植付アーム15の実際の苗取量が目標の苗取量に近づくように苗取量変更機構25を制御する(ステップ#12)。植付アーム15は苗載台14の下端部から苗を取り出すため、植付アーム15の実際の苗取量は、植付アーム15が苗を取り出す際の植付アーム15と苗載台14の下端部との距離が関係する。このため、実苗取量が目標の苗取量よりも少ない場合、苗取量調節部30は、植付アーム15が苗を取り出す際の植付アーム15と苗載台14の下端部との距離が短くなるように、苗取量変更機構25を制御する。また、実苗取量が目標の苗取量よりも多い場合、苗取量調節部30は、植付アーム15が苗を取り出す際の植付アーム15と苗載台14の下端部との距離が長くなるように、苗取量変更機構25を制御する。
【0081】
このように、苗取量調節部30は、第一苗切れセンサ23が苗切れ状態を検知したことに応じて、縦送り検出部33の検出結果に基づいて苗マットから苗を取り出す植付アーム15の苗取量を調節する。この構成によって、苗マットを予め用意した枚数を圃場に精度良く植え切ることが可能となり、苗マットが不足したり苗マットが余ったりする可能性が軽減される。
【0082】
〔横送り機構の横送り量を変更するリンク式操作具〕
図8に示すように、本実施形態の田植機では、横送り機構22の横送り量を変更するリンク式操作具40が備えられている。リンク式操作具40に、揺動レバー41と、第一ロッド42と、ブラケット43と、第二ロッド44と、が備えられている。
【0083】
苗載台14の底部に支持フレーム14Fが備えられ、支持フレーム14Fは機体左右方向に沿って延びる。支持フレーム14Fにブラケット43がボルトで固定され、揺動レバー41はブラケット43にピンで揺動軸芯P2まわりに揺動可能に支持されている。つまり、揺動レバー41はブラケット43を介して支持フレーム14Fに支持されている。
【0084】
揺動レバー41のうち、揺動軸芯P2よりも前側の部分は作業者の人為操作を受け付ける操作部分である。また、揺動レバー41のうち、揺動軸芯P2よりも後側の端部に第一ロッド42が枢支連結されている。
【0085】
作業者が揺動レバー41を揺動操作すると、第一ロッド42が左右に変位する。第一ロッド42のうち、揺動レバー41と枢支連結されている側と反対側の端部は、伝動機構16の内部の機構と連結されている。伝動機構16の内部に横送り量変更機構が内蔵されている。横送り量変更機構は横送り量を変更する。横送り量は、横送り機構22が往復駆動する速さである。第一ロッド42が左右に変位することによって、伝動機構16の内部の横送り量変更機構が連動して動作し、横送り機構22の横送り量が変更される。リンク式操作具40は、横送り量変更機構と連結され、横送り機構22の横送り量を変更するための人為操作を受け付ける。
【0086】
横送り検出部34が揺動レバー41の位置を検出する構造について説明する。横送り検出部34は、リンク式操作具40の操作に基づいて変更される横送り量を検出する。横送り検出部34は、第二ロッド44を介して揺動レバー41と連結されている。第二ロッド44の一端部は、揺動レバー41のうちの揺動軸芯P2の位置する部分と第一ロッド42との連結部分との間の箇所に枢支連結されている。つまり、第二ロッド44は、揺動レバー41のうち、第一ロッド42との連結箇所よりも揺動レバー41の揺動軸芯P2側の箇所に枢支連結されている。第二ロッド44の他端部は、横送り検出部34におけるポテンショメータの入力軸に連結された揺動アームの遊端部に枢支連結されている。これにより、揺動レバー41が揺動操作されると、横送り検出部34のポテンショメータが連動して回動する。このことから、横送り検出部34は、横送り量変更機構の動きに連動して横送り量を自動的に検出する。
【0087】
横送り検出部34におけるポテンショメータの回動軸芯P3と第二ロッド44の連結箇所との距離D2は、揺動レバー41における揺動軸芯P2と第二ロッド44の連結箇所との距離D1よりも短い。このため、揺動レバー41が揺動操作されると、横送り検出部34のポテンショメータが揺動レバー41の揺動よりも大きな角度で回動する。これにより、揺動レバー41の操作量が横送り検出部34で増幅される。このことから、揺動レバー41の操作量が僅かであっても、横送り検出部34は揺動レバー41の位置をしっかりと検出できる。
【0088】
横送り検出部34は、リンク式操作具40を挟んで伝動機構16側と反対側に配置されている。具体的には、伝動機構16は機体の左右方向における中央領域に配置され、横送り検出部34は、伝動機構16に対して機体横外側の領域に配置されている。横送り機構22は機体の左右方向に沿って延ばされている。横送り検出部34は、機体の左右方向において横送り機構22の機体横外側の端部よりも機体横外側の領域に配置されている。
【0089】
機体左右方向において揺動レバー41と伝動機構16との間に横送り機構22が存在する。また、揺動レバー41の前方に整地ロータ50があり、機体左右方向において揺動レバー41と伝動機構16との間に整地ロータ50を昇降駆動するための昇降駆動機構51がある。このため、揺動レバー41と伝動機構16との間に横送り検出部34を配置すると、狭いスペースに横送り検出部34を配置する必用があり、作業者が横送り検出部34を組付ける際の作業が煩雑になる。
図8に示すように、横送り検出部34がリンク式操作具40を挟んで伝動機構16側と反対側に配置される構成であれば、揺動レバー41と伝動機構16との間のスペースよりも広いスペースに横送り検出部34を組付けることが可能となる。
【0090】
整地ロータ50のフレームに泥除け板52が取り付けられている。
図8に示していないが、泥除け板52の前方に車輪2が存在する。泥除け板52は、車輪2が跳ね上げた泥を後方で受け止める。そして、横送り検出部34は泥除け板52の後方に配置されている。横送り検出部34は、機体前後方向視において泥除け板52と重複する。これにより、横送り検出部34は、車輪2が跳ね上げた泥を浴び難くなる。また、横送り検出部34は整地フロート13の真上に設けられている。これにより、横送り検出部34は下方からの泥を浴び難くなる。
【0091】
〔別実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0092】
(1)上述の実施形態では、横送り検出部34は、機体の左右方向において横送り機構22の機体横外側の端部よりも機体横外側の領域に配置されている。この実施形態に限定されず、例えば横送り検出部34は、機体の左右方向において横送り機構22の機体横外側の端部に対応する領域に配置されても良い。
【0093】
(2)上述の実施形態では、リンク式操作具40は揺動レバー41を備え、揺動レバー41は揺動軸芯P2まわりに揺動する。この実施形態に限定されず、例えば揺動レバー41はスライド式のレバーであっても良い。
【0094】
(3)上述の実施形態では、揺動レバー41と横送り検出部34との夫々が同一の支持フレーム14Fに支持されている。この実施形態に限定されず、例えば揺動レバー41が支持フレーム14Fに支持され、横送り検出部34は支持フレーム14Fとは別体のフレームに支持される構成であっても良い。
【0095】
(4)上述の実施形態では、横送り検出部34はポテンショメータである。この実施形態に限定されず、例えば横送り検出部34は、磁気式や光学式等のリニアゲージセンサで揺動レバー41の位置を検出するものであっても良いし、LiDAR等のような測距装置で揺動レバー41の位置を検出するものであっても良い。また、所定の横送り位置を接触式センサで検出するものであってもよい。
【0096】
(5)上述の実施形態では、移植機の一例として乗用型田植機を例示した。この実施形態に限定されず、例えば移植機は、野菜移植機であっても良いし、ポット苗移植機であっても良いし、歩行型田植機であっても良い。
【0097】
なお、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、移植機に適用可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 :機体
14 :苗載台
15 :植付アーム(植付機構)
16 :伝動機構(横送り量変更機構)
22 :横送り機構
26 :報知部
34 :横送り検出部(検出部)
35 :作業情報取得部(取得部)
40 :リンク式操作具
41 :揺動レバー
42 :第一ロッド
44 :第二ロッド
P2 :揺動レバーの揺動軸芯