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  • 特開-ドローン用ヘリポート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025101171
(43)【公開日】2025-07-07
(54)【発明の名称】ドローン用ヘリポート
(51)【国際特許分類】
   B64U 80/70 20230101AFI20250630BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250630BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20250630BHJP
   B64U 80/25 20230101ALI20250630BHJP
   B64U 80/30 20230101ALI20250630BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20250630BHJP
   B64U 50/37 20230101ALI20250630BHJP
【FI】
B64U80/70
H02J7/00 301D
H02J50/10
B64U80/25
B64U80/30
B64U10/13
B64U50/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217815
(22)【出願日】2023-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】大野 寛
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】架空地線が架設されている電柱の上空に、ドローンを離着陸可能にするドローン用ヘリポートを提供する。
【解決手段】筒状で電柱Pの頂部P0に装着されて架空地線L1が架設される電柱キャップP1に取り付けられる環状の取付バンド2と、電柱キャップP1の上方に配置され、ドローンDが離着陸する平板状の離着陸ベース3と、棒状で、取付バンド2と離着陸ベース3とを連結し、離着陸ベース3を略水平に支持する複数の支持部材4と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状で電柱の頂部に装着されて架空地線が架設される電柱キャップに取り付けられる環状の取付バンドと、
前記電柱キャップの上方に配置され、ドローンが離着陸する平板状の離着陸ベースと、
棒状で、前記取付バンドと前記離着陸ベースとを連結し、前記離着陸ベースを略水平に支持する複数の支持部材と、
を備えることを特徴とするドローン用ヘリポート。
【請求項2】
前記離着陸ベースに着陸した状態の前記ドローンを覆い、開閉自在の開閉ルーフを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のドローン用ヘリポート。
【請求項3】
前記電柱に配設された変圧器からの電力を、前記離着陸ベースに着陸した状態の前記ドローンの蓄電池に給電する給電装置を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のドローン用ヘリポート。
【請求項4】
外部と通信するための通信装置を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のドローン用ヘリポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドローン(無人航空機)を発着させるためのドローン用ヘリポートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、設備点検や物流などにドローンが広く使用されているが、ドローンを飛行させるには離着陸場所(ヘリポート)が必要で、また、ドローンを長時間飛行させるには充電する必要がある。このため、ドローンを安全に効率よく確実に充電できる、という給電用ドローンポートが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このドローン用ポートは、電力が供給されている電柱の上端・頂部に被せられる円筒形状の柱取り付け部と、この柱取り付け部に設けられドローンが離着陸可能な着陸台と、着陸台に載ったドローンに給電する給電装置と、ドローンまたは給電装置を移動させる位置決め設備と、を備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-98949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電柱のなかには、その頂部に既に架空地線(GW,Ground Wire)が架設されているものが多く存在し、既に架空地線が架設されている電柱に対しても、ドローン用ヘリポートを設置できることが望ましい。しかしなから、特許文献1に記載のドローン用ポートでは、電柱の頂部に円筒形状の柱取り付け部を被せて設置するため、既に架空地線が架設されている電柱の頂部には設置することができない。つまり、架空地線が架設されている電柱の上空では、ドローンを離着陸させることができず、離着陸可能な場所が制限されてしまう。
【0005】
そこで本発明は、架空地線が架設されている電柱の上空で、ドローンを離着陸可能にするドローン用ヘリポートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、筒状で電柱の頂部に装着されて架空地線が架設される電柱キャップに取り付けられる環状の取付バンドと、前記電柱キャップの上方に配置され、ドローンが離着陸する平板状の離着陸ベースと、棒状で、前記取付バンドと前記離着陸ベースとを連結し、前記離着陸ベースを略水平に支持する複数の支持部材と、を備えることを特徴とするドローン用ヘリポートである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のドローン用ヘリポートにおいて、前記離着陸ベースに着陸した状態の前記ドローンを覆い、開閉自在の開閉ルーフを備える、ことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載のドローン用ヘリポートにおいて、前記電柱に配設された変圧器からの電力を、前記離着陸ベースに着陸した状態の前記ドローンの蓄電池に給電する給電装置を備える、ことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1に記載のドローン用ヘリポートにおいて、外部と通信するための通信装置を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、電柱キャップに取付バンドを取り付け、複数の支持部材を介して離着陸ベースを取付バンドに連結することで、離着陸ベースが電柱キャップの上方に略水平に配設される。この際、支持部材が棒状のため、支持部材が架空地線に干渉しないように、離着陸ベースを配設することが可能である。このため、電柱キャップに架空地線が架設されている電柱であっても、その上空でドローンを離着陸させることが可能となり、障害物がなく見晴しのよい電柱上空からの安全かつ容易な離着陸が可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、ドローンを覆う開閉自在な開閉ルーフを備えるため、離着陸ベースに着陸したドローンを風雨や粉塵などから保護し、ドローンの安全かつ安定した飛行を維持することが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、ドローンの蓄電池に給電する給電装置を備えるため、離着陸ベースに着陸したドローンの蓄電池を充電して、ドローンの飛行を継続させることが可能となる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、外部と通信するための通信装置を備えるため、装備品を外部から遠隔制御したり、外部から情報を提供したりすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の実施の形態に係るドローン用ヘリポートを電柱に取り付けた状態を示す正面図である。
図2図1のドローン用ヘリポートの取付バンドを示す正面図(a)と平面図(b)である。
図3図1のドローン用ヘリポートの開閉ルーフを閉じた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0016】
図1は、この実施の形態に係るドローン用ヘリポート1を電柱Pに取り付けた状態を示す正面図である。このドローン用ヘリポート1は、地上に多数設置された電柱Pに取り付けられて、ドローンDを発着・離着陸させるためのヘリポートである。
【0017】
ここで、電柱Pの頂部P0には、筒状(この実施の形態では、略円錐状・コーン状)の電柱キャップP1が装着され、この電柱キャップP1の上部に架空地線L1が架設されている。また、電柱Pの電柱キャップP1の下側に複数の腕金P2が取り付けられ、この腕金P2に配電線L2が接続、架設されて、この実施の形態では、対向する配電線L2同士がジャンパー線L3で接続されている。さらに、この実施の形態では、電柱Pの腕金P2の下側に変圧器P3が配設されている。
【0018】
一方、ドローンDは、蓄電池D1を備え、蓄電池D1に蓄えられた電力によって所定時間飛行可能となっている。また、ドローンDの本体・ケーシングの下部・下面に、蓄電池D1に接続された受電部D2が設けられ、この実施の形態では、後述する給電装置6などから非接触で受電して、蓄電池D1を充電できるようになっている。
【0019】
ドローン用ヘリポート1は、主として、取付バンド2と、離着陸ベース3と、複数の支持部材4と、開閉ルーフ5と、給電装置6と、制御装置(通信装置)7と、を備える。
【0020】
取付バンド2は、電柱キャップP1に取り付けられる環状のバンドである。すなわち、図2に示すように、細長い帯状の金属板で構成され、略円形に形成された環部20の周りに、二重に折り重ねられて外側に突出した接続部21が、略均等な間隔(この実施の形態では、120度間隔)で複数(この実施の形態では、3つ)形成されている。また、環部20の両端部2a、2bが外側に折り曲げられ、ボルト挿入孔(図示せず)が同心に形成されている。
【0021】
そして、環部20を電柱キャップP1の下部(電柱Pの頂部P0の近く)に巻き付けるように配置し、両端部2a、2bのボルト挿入孔にバンド締付ボルト22を挿入して、バンド締付ボルト22にバンド締付ナット23を締め付けることで、取付バンド2が電柱キャップP1の下部に取り付けられるようになっている。
【0022】
また、各接続部21には、後述する連結ボルト41を挿入するためのボルト挿入孔21aが形成されている。
【0023】
離着陸ベース3は、電柱キャップP1の上方に配置され、ドローンDが離着陸する平板状のベースである。すなわち、後述する給電装置6や制御装置7を内蔵可能な厚みを有する円盤体で、その直径は、ドローンDが確実かつ安定して離着陸でき、しかも、後述する開閉ルーフ5が閉じた状態で、ドローンDを確実に覆えるように設定されている。
【0024】
この離着陸ベース3の下面の外周側には、図3に示すように、小片状の接続板31が、離着陸ベース3の下面に対して板面が略垂直に延び、離着陸ベース3の下面(円形下面)の中心から略均等な間隔の放射線状に(この実施の形態では、120度間隔で)、複数(この実施の形態では、3つ)取り付けられている。また、各接続板31には、後述する連結ボルト41を挿入するためのボルト挿入孔31aが形成されている。
【0025】
支持部材4は、棒状で、取付バンド2と離着陸ベース3とを連結し、離着陸ベース3を略水平に支持する部材であり、この実施の形態では、3つ備える。すなわち、棒状の鋼材、この実施の形態では、断面がL字状の山形鋼で構成され、両端部にボルト挿入孔(図示せず)が形成されている。そして、上記のようにして取付バンド2を電柱キャップP1に取り付け、離着陸ベース3を電柱キャップP1の上方に配置した状態で、各支持部材4の一端部(下端部)のボルト挿入孔と取付バンド2のボルト挿入孔21aとに連結ボルト41を挿入して、ナット(図示せず)を締め付ける。同様に、各支持部材4の他端部(上端部)のボルト挿入孔と離着陸ベース3のボルト挿入孔31aとに連結ボルト41を挿入して、ナットを締め付ける。
【0026】
これにより、取付バンド2と離着陸ベース3とが支持部材4を介して連結され、支持部材4によって離着陸ベース3が電柱キャップP1の上方に略水平に配置、支持される。換言すると、このように連結、配置されるように、支持部材4の長さ、ボルト挿入孔の位置などが設定されている。ここで、このように離着陸ベース3を配設する際に、各支持部材4が架空地線L1に干渉しないように、取付バンド2の接続部21や離着陸ベース3の接続板31の位置を調整する。
【0027】
開閉ルーフ5は、離着陸ベース3に着陸した状態のドローンDを覆い、開閉自在なルーフ・カバーである。この実施の形態では、閉じた状態で略四半球状(1/4球)の第1のルーフ51と第2のルーフ52とを備え、2つのルーフ51、52で略半球状になるように配置されている。この略半球状における開口円は、離着陸ベース3の平面形状と略同形に形成されている。また、2つのルーフ51、52は、可撓性および耐候性を有するシート状の部材で構成され、中心軸上(正面から見た円弧の中心)に設けられた回転軸53が回転することで開閉可能となっている。
【0028】
すなわち、回転軸53が一方に回転することで、図1に示すように、2つのルーフ51、52が開き(蛇腹状に縮み)、回転軸53が他方に回転することで、図3に示すように、2つのルーフ51、52が閉じる(四半球状に伸びる)ようになっている。ここで、一方のルーフ51、52が回転軸53の回転方向と同方向に回転し、回転軸53に連結されたギヤ・歯車などを介して、他方のルーフ51、52が回転軸53の回転方向と逆方向に回転することで、2つのルーフ51、52が観音開き状に開閉するようになっている。また、回転軸53を回転させる駆動源・モータは、離着陸ベース3に配設されている。
【0029】
給電装置6は、電柱Pに配設された変圧器P3からの電力を、離着陸ベース3に着陸した状態のドローンDの蓄電池D1などに給電する装置である。すなわち、図1に示すように、離着陸ベース3の略中央部に内蔵され、給電線61を介して変圧器P3から電力を受電する。また、この実施の形態では、送信側コイルを備え、ドローンDの受電部D2に設けられた受信側コイルと送信側コイルが同軸に対向することで、給電装置6から受電部D2に非接触で給電できるようになっている。このように、この実施の形態では、受電部D2つまり蓄電池D1に非接触で給電するが、接触して給電するようにしてもよい。
【0030】
そして、上記のように、受電部D2に給電された電力によって蓄電池D1が充電される。さらに、給電装置6は、回転軸53を回転させる駆動源や後述する制御装置7に接続され、これらにも給電するようになっている。
【0031】
制御装置7は、外部と通信するための通信装置を備え、回転軸53を回転させる駆動源や給電装置6などを制御する装置である。すなわち、この実施の形態では、無線通信するインターフェースを備え、外部からの制御信号を受信して回転軸53の駆動源や給電装置6などを制御する。ここで、外部には、ドローンDを遠隔操作するリモコンや、ドローンDやドローン用ヘリポート1を管理する管理センタなどが含まれる。
【0032】
例えば、外部から開指令(制御信号)を受信すると、回転軸53を一方に回転させて、2つのルーフ51、52を開き、閉指令(制御信号)を受信すると、回転軸53を他方に回転させて、2つのルーフ51、52を閉じる。また、給電指令(制御信号)を受信すると、給電装置6の送信側コイルに電流を流し、離着陸ベース3に着陸したドローンDの受電部D2に給電して、蓄電池D1を充電する。その他、離着陸ベース3にスピーカが配設されている場合、外部から受信したメッセージ(例えば、停電に関する情報)をスピーカから出力したりする。
【0033】
次に、このような構成のドローン用ヘリポート1の作用・動作などについて説明する。まず、上記のようにして、取付バンド2を電柱キャップP1に取り付け、複数の支持部材4を介して離着陸ベース3を電柱キャップP1の上方に略水平に配設する。
【0034】
このようにしてドローン用ヘリポート1を設置した状態で、外部から開指令を送信すると、上記のようにして2つのルーフ51、52が開く。この状態でドローンDが離着陸ベース3に着陸可能となり、ドローンDが着陸した状態で、外部から閉指令を送信すると、上記のようにして2つのルーフ51、52が閉じる。その後、外部から給電指令を送信すると、上記のようにしてドローンDの受電部D2に給電して、蓄電池D1が充電される。また、外部から開指令を送信すると、再度2つのルーフ51、52が開いて、ドローンDが離着陸ベース3から離陸可能となる。
【0035】
以上のように、このドローン用ヘリポート1によれば、電柱キャップP1に取付バンド2を取り付け、複数の支持部材4を介して離着陸ベース3を取付バンド2に連結することで、離着陸ベース3が電柱キャップP1の上方に略水平に配設される。この際、支持部材4が棒状のため、支持部材4が架空地線L1に干渉しないように、離着陸ベース3を配設することが可能である。このため、電柱キャップP1に架空地線L1が架設されている電柱Pであっても、その上空でドローンDを離着陸させることが可能となり、障害物がなく見晴しのよい電柱Pの上空からの安全かつ容易な離着陸が可能となる。
【0036】
また、ドローンDを覆う開閉自在な開閉ルーフ5を備えるため、離着陸ベース3に着陸したドローンDを風雨や粉塵などから保護し、ドローンDの安全かつ安定した飛行を維持することが可能となる。
【0037】
さらに、ドローンDの蓄電池D1に給電する給電装置6を備えるため、離着陸ベース3に着陸したドローンDの蓄電池D1を充電して、ドローンDの飛行を継続させることが可能となる。
【0038】
また、外部と通信可能な制御装置7を備えるため、回転軸53を回転させる駆動源や給電装置6などの装備品を外部から遠隔制御したり、つまり、開閉ルーフ5の開閉やドローンDの蓄電池D1への給電・充電を遠隔制御したり、外部から情報を提供したりすることが可能となる。
【0039】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、開閉ルーフ5が2つのルーフ51、52を備えて観音開き状に開閉するが、その他の開閉機構であってもよい。例えば、略半球状のルーフが片開き状に開閉(半球の円形の開口の半円部のみが開閉)するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 ドローン用ヘリポート
2 取付バンド
3 離着陸ベース
4 支持部材
5 開閉ルーフ
6 給電装置
7 制御装置(通信装置)
P 電柱(柱状体)
P0 頂部
P1 電柱キャップ
P2 腕金
P3 変圧器
L1 架空地線
L2 配電線
D ドローン
D1 蓄電池
D2 受電部
図1
図2
図3