(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025101180
(43)【公開日】2025-07-07
(54)【発明の名称】水処理装置および水処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20230101AFI20250630BHJP
B01D 61/02 20060101ALI20250630BHJP
B01D 61/04 20060101ALI20250630BHJP
B01D 61/08 20060101ALI20250630BHJP
B01D 61/58 20060101ALI20250630BHJP
B01D 61/00 20060101ALI20250630BHJP
【FI】
C02F1/44 A
C02F1/44 E
B01D61/02 500
B01D61/04
B01D61/08
B01D61/58
B01D61/00
C02F1/44 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217832
(22)【出願日】2023-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 徹
(72)【発明者】
【氏名】陳 錦仙
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA23
4D006HA01
4D006HA41
4D006HA61
4D006JA53Z
4D006JA56Z
4D006JA67Z
4D006KA01
4D006KA52
4D006KA53
4D006KA54
4D006KA55
4D006KA57
4D006KB17
4D006KE11R
4D006KE15P
4D006KE30P
4D006MA01
4D006MA03
4D006MC23
4D006PA01
4D006PA04
4D006PB08
4D006PB25
4D006PB27
4D006PC01
(57)【要約】
【課題】アンモニア含有水から安定して高濃度の硫酸アンモニウム溶液を得ることができる水処理装置および水処理方法を提供する。
【解決手段】アンモニア含有水からアンモニアを分離し、分離したアンモニアを硫酸に吸収させて硫酸アンモニウム溶液を得る蒸留手段である気液分離装置12と、硫酸アンモニウム溶液を加圧する加圧手段である加圧ポンプ26と、半透膜34で仕切られた第一空間30と第二空間32とを有する半透膜モジュール18を用いて、硫酸アンモニウム溶液を第一空間30に通水し、第一空間30を加圧して硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を半透膜34を透過させることによって半透膜濃縮水を得るとともに、第二空間32に、硫酸アンモニウム溶液の一部または半透膜濃縮水の少なくとも一部を通水して半透膜希釈水を得る半透膜処理手段である半透膜処理装置5と、を備える、水処理装置1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア含有水からアンモニアを分離し、分離した前記アンモニアを硫酸に吸収させて硫酸アンモニウム溶液を得る蒸留手段と、
前記硫酸アンモニウム溶液を加圧する加圧手段と、
半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する半透膜モジュールを用いて、前記硫酸アンモニウム溶液を前記第一空間に通水し、前記加圧手段による加圧によって前記第一空間を加圧して前記硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって半透膜濃縮水を得るとともに、前記第二空間に、前記硫酸アンモニウム溶液の一部または前記半透膜濃縮水の少なくとも一部を通水して半透膜希釈水を得る半透膜処理手段と、
を備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
アンモニア含有水からアンモニアを分離し、分離した前記アンモニアを硫酸に吸収させて硫酸アンモニウム溶液を得る蒸留手段と、
前記硫酸アンモニウム溶液を加圧する加圧手段と、
半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する、複数段に接続された半透膜モジュールを用いて、前記硫酸アンモニウム溶液を第1段の半透膜モジュールの第一空間に通水し、前記加圧手段による加圧によって前記第一空間を加圧して前記硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって半透膜濃縮水を得て、その濃縮水をさらに次段以降の半透膜モジュールを用いて半透膜濃縮水を得るとともに、各段の半透膜モジュールの第二空間に、前記硫酸アンモニウム溶液の一部または前記半透膜濃縮水の少なくとも一部または他の半透膜モジュールから得られる半透膜希釈水の少なくとも一部を通水して半透膜希釈水を得る半透膜処理手段と、
を備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の水処理装置であって、
前記蒸留手段が気液分離膜を有することを特徴とする水処理装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の水処理装置であって、
前記アンモニア含有水が半導体工場から排出される排水であることを特徴とする水処理装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の水処理装置であって、
前記硫酸が半導体工場から排出される廃硫酸であることを特徴とする水処理装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の水処理装置であって、
前記アンモニア含有水のアンモニア態窒素濃度が、300mg/L以上7000mg/L以下の範囲であることを特徴とする水処理装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の水処理装置であって、
前記半透膜処理手段に通水される硫酸アンモニウム溶液の硫酸アンモニウムの濃度が、20000mg/L以上100000mg/L以下の範囲であり、
前記半透膜処理手段で得られる半透膜濃縮水の硫酸アンモニウムの濃度が、25質量%以上であることを特徴とする水処理装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載の水処理装置であって、
前記硫酸アンモニウム溶液を貯留する循環槽と、
前記循環槽から排出された硫酸アンモニウム溶液を、前記蒸留手段を経て前記循環槽へ返送する循環ラインと、
前記硫酸アンモニウム溶液を前記循環槽から前記循環ラインに流通させる循環手段と、
前記硫酸アンモニウム溶液のpHを測定するpH測定手段と、
前記硫酸アンモニウム溶液の比重を測定する比重測定手段と、
をさらに備え、
前記pH測定手段の測定値が所定の値を超えると前記循環槽へ硫酸を補充し、前記比重測定手段の測定値が所定の範囲を超えると前記硫酸アンモニウム溶液の少なくとも一部を排出することを特徴とする水処理装置。
【請求項9】
アンモニア含有水からアンモニアを分離し、分離した前記アンモニアを硫酸に吸収させて硫酸アンモニウム溶液を得る蒸留工程と、
前記硫酸アンモニウム溶液を加圧する加圧工程と、
半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する半透膜モジュールを用いて、前記硫酸アンモニウム溶液を前記第一空間に通水し、前記加圧工程による加圧によって前記第一空間を加圧して前記硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって濃縮水を得るとともに、前記第二空間に、前記硫酸アンモニウム溶液の一部または前記濃縮水の少なくとも一部を通水して半透膜希釈水を得る半透膜処理工程と、
を含むことを特徴とする水処理方法。
【請求項10】
アンモニア含有水からアンモニアを分離し、分離した前記アンモニアを硫酸に吸収させて硫酸アンモニウム溶液を得る蒸留工程と、
前記硫酸アンモニウム溶液を加圧する加圧工程と、
半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する、複数段に接続された半透膜モジュールを用いて、前記硫酸アンモニウム溶液を第1段の半透膜モジュールの第一空間に通水し、前記加圧工程による加圧によって前記第一空間を加圧して前記硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって濃縮水を得て、その濃縮水をさらに次段以降の半透膜モジュールを用いて濃縮水を得るとともに、各段の半透膜モジュールの第二空間に、前記硫酸アンモニウム溶液の一部または前記濃縮水の少なくとも一部または他の半透膜モジュールから得られる半透膜希釈水の少なくとも一部を通水して半透膜希釈水を得る半透膜処理工程と、
を含むことを特徴とする水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニア含有水からアンモニアを硫酸アンモニウムとして回収する水処理装置および水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場などから排出されるアンモニア含有水中のアンモニアと水とを分離する方法として、例えば特許文献1,2に記載があるように、気液分離膜による膜分離法、ストリッピング法などのアンモニアを蒸留分離する方法が提案されている。
【0003】
特許文献1には、気液分離膜の一次側にアンモニア含有排水、二次側に硫酸溶液を流し、アンモニア含有排水中のアンモニアが気液分離膜を透過し、硫酸溶液に接触することによって硫酸アンモニウムを生成することが記載されている。特許文献1に記載の気液分離膜による分離法は、液体を通さず気体であるアンモニアを透過する疎水性多孔質膜を用いて、排水中のアンモニアをガスとして分離し、除去する方法である。
【0004】
特許文献2には、アンモニア含有排水を、膜蒸留装置またはストリッピング装置によってアンモニアガスの形態で回収し、水に溶解させることが記載されている。特許文献2に記載の方法は、アンモニア含有排水から膜蒸留装置やストリッピング装置によってアンモニアをガスとして水と分離する方法である。
【0005】
これらのアンモニアを蒸留分離する方法では、アンモニアガスを水または硫酸に吸収させて、アンモニア水または硫酸アンモニウム(硫安ともいう)として、アンモニア含有水中のアンモニアを回収することもできる。
【0006】
しかし、これらのアンモニアを蒸留分離する方法では、特に硫酸アンモニウムとしてアンモニアを回収する場合、アンモニア含有水のアンモニア態窒素濃度が低いと、アンモニア含有水中のアンモニア含有量に対して水分の蒸発量の割合が高くなるため、回収する硫酸アンモニウムの濃度を十分に上げることが困難になるという課題がある。また、気液分離膜による分離法の場合、気液分離膜の劣化によって水の透過量が増加し、より硫酸アンモニウムの濃度を上げることが困難になるという問題がある。
【0007】
また、アンモニアをガス化して処理する方法においては、処理水側にアンモニアが残留してしまうことがある。特に高濃度のアンモニア含有排水を処理する場合は、アンモニア含有排水中のアンモニアを十分低い濃度になるまで除去するために、気液分離膜を多段にしたり、放散塔の段数を増やしたり、処理水を循環して再処理したりする必要があり、設備規模が大きくなるという課題がある。また、加温のためのエネルギーが多くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2017-159233号公報
【特許文献2】特許第7112196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、アンモニア含有水から安定して高濃度の硫酸アンモニウム溶液を得ることができる水処理装置および水処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、アンモニア含有水からアンモニアを分離し、分離した前記アンモニアを硫酸に吸収させて硫酸アンモニウム溶液を得る蒸留手段と、前記硫酸アンモニウム溶液を加圧する加圧手段と、半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する半透膜モジュールを用いて、前記硫酸アンモニウム溶液を前記第一空間に通水し、前記加圧手段による加圧によって前記第一空間を加圧して前記硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって半透膜濃縮水を得るとともに、前記第二空間に、前記硫酸アンモニウム溶液の一部または前記半透膜濃縮水の少なくとも一部を通水して半透膜希釈水を得る半透膜処理手段と、を備える、水処理装置である。
【0011】
本発明は、アンモニア含有水からアンモニアを分離し、分離した前記アンモニアを硫酸に吸収させて硫酸アンモニウム溶液を得る蒸留手段と、前記硫酸アンモニウム溶液を加圧する加圧手段と、半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する、複数段に接続された半透膜モジュールを用いて、前記硫酸アンモニウム溶液を第1段の半透膜モジュールの第一空間に通水し、前記加圧手段による加圧によって前記第一空間を加圧して前記硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって半透膜濃縮水を得て、その半透膜濃縮水をさらに次段以降の半透膜モジュールを用いて半透膜濃縮水を得るとともに、各段の半透膜モジュールの第二空間に、前記硫酸アンモニウム溶液の一部または前記半透膜濃縮水の少なくとも一部または他の半透膜モジュールから得られる半透膜希釈水の少なくとも一部を通水して半透膜希釈水を得る半透膜処理手段と、を備える、水処理装置である。
【0012】
前記水処理装置において、前記蒸留手段が気液分離膜を有することが好ましい。
【0013】
前記水処理装置において、前記アンモニア含有水が半導体工場から排出される排水であることが好ましい。
【0014】
前記水処理装置において、前記硫酸が半導体工場から排出される廃硫酸であることが好ましい。
【0015】
前記水処理装置において、前記アンモニア含有水のアンモニア態窒素濃度が、300mg/L以上7000mg/L以下の範囲であることが好ましい。
【0016】
前記水処理装置において、前記半透膜処理手段に通水される硫酸アンモニウム溶液の硫酸アンモニウムの濃度が、20000mg/L以上100000mg/L以下の範囲であり、前記半透膜処理手段で得られる半透膜濃縮水の硫酸アンモニウムの濃度が、25質量%以上であることが好ましい。
【0017】
前記水処理装置において、前記硫酸アンモニウム溶液を貯留する循環槽と、前記循環槽から排出された硫酸アンモニウム溶液を、前記蒸留手段を経て前記循環槽へ返送する循環ラインと、前記硫酸アンモニウム溶液を前記循環槽から前記循環ラインに流通させる循環手段と、前記硫酸アンモニウム溶液のpHを測定するpH測定手段と、前記硫酸アンモニウム溶液の比重を測定する比重測定手段と、をさらに備え、前記pH測定手段の測定値が所定の値を超えると前記循環槽へ硫酸を補充し、前記比重測定手段の測定値が所定の範囲を超えると前記硫酸アンモニウム溶液の少なくとも一部を排出することが好ましい。
【0018】
本発明は、アンモニア含有水からアンモニアを分離し、分離した前記アンモニアを硫酸に吸収させて硫酸アンモニウム溶液を得る蒸留工程と、前記硫酸アンモニウム溶液を加圧する加圧工程と、半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する半透膜モジュールを用いて、前記硫酸アンモニウム溶液を前記第一空間に通水し、前記加圧工程による加圧によって前記第一空間を加圧して前記硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって半透膜濃縮水を得るとともに、前記第二空間に、前記硫酸アンモニウム溶液の一部または前記半透膜濃縮水の少なくとも一部を通水して半透膜希釈水を得る半透膜処理工程と、を含む、水処理方法である。
【0019】
本発明は、アンモニア含有水からアンモニアを分離し、分離した前記アンモニアを硫酸に吸収させて硫酸アンモニウム溶液を得る蒸留工程と、前記硫酸アンモニウム溶液を加圧する加圧工程と、半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する、複数段に接続された半透膜モジュールを用いて、前記硫酸アンモニウム溶液を第1段の半透膜モジュールの第一空間に通水し、前記加圧工程による加圧によって前記第一空間を加圧して前記硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって半透膜濃縮水を得て、その半透膜濃縮水をさらに次段以降の半透膜モジュールを用いて半透膜濃縮水を得るとともに、各段の半透膜モジュールの第二空間に、前記硫酸アンモニウム溶液の一部または前記濃縮水の少なくとも一部または他の半透膜モジュールから得られる半透膜希釈水の少なくとも一部を通水して半透膜希釈水を得る半透膜処理工程と、を含む、水処理方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、アンモニア含有排水から安定して高濃度の硫酸アンモニウム溶液を得ることができる水処理装置および水処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る水処理装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例を示す概略構成図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る水処理装置における半透膜処理装置の他の例を示す概略構成図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る水処理装置における半透膜処理装置の他の例を示す概略構成図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る水処理装置における半透膜処理装置の他の例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0023】
本発明の実施形態に係る水処理装置の一例の概略を
図1に示し、その構成について説明する。
図1に示す水処理装置1は、気液分離膜を用いてアンモニア含有水を処理し、その気液分離膜で処理された硫酸アンモニウム溶液を半透膜で処理する装置である。
【0024】
水処理装置1は、アンモニア含有水からアンモニアを分離し、分離したアンモニアを硫酸に吸収させて硫酸アンモニウム溶液を得る蒸留手段として、気液分離膜28を有する気液分離装置12と、硫酸アンモニウム溶液を加圧する加圧手段として加圧ポンプ26と、半透膜34で仕切られた第一空間30と第二空間32とを有する半透膜モジュールを用いて、硫酸アンモニウム溶液を第一空間30に通水し、加圧ポンプ26による加圧によって第一空間30を加圧して硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を半透膜34を透過させることによって半透膜濃縮水を得るとともに、第二空間32に、硫酸アンモニウム溶液の一部または半透膜濃縮水の少なくとも一部を通水して半透膜希釈水を得る半透膜処理手段として、半透膜モジュール18を有する半透膜処理装置5と、を備える。
【0025】
水処理装置1は、アンモニア含有水を貯留するアンモニア含有水槽10、硫酸アンモニウム溶液を貯留する循環槽14、半透膜モジュール18の被処理水を貯留する半透膜被処理水槽16、半透膜モジュール18で得られた半透膜希釈水を貯留する半透膜希釈水槽20のうちの1つまたは2つ以上を備えてもよい。水処理装置1は、半透膜モジュール18で得られた半透膜希釈水について逆浸透膜処理を行い、逆浸透膜透過水と逆浸透膜濃縮水とを得る逆浸透膜処理手段として、逆浸透膜処理装置22を備えてもよい。
【0026】
図1の水処理装置1において、アンモニア含有水配管40がアンモニア含有水槽10の入口に接続されている。アンモニア含有水槽10の出口と気液分離装置12の一次側36の入口とは、アンモニア含有水供給配管42によって接続されている。気液分離装置12の一次側36の出口には、一次側処理水配管44が接続されている。気液分離装置12の二次側38の出口と循環槽14の硫酸アンモニウム溶液入口とは、循環配管46によって接続されている。循環槽14の硫酸アンモニウム溶液出口と気液分離装置12の二次側38の入口とは、循環配管48によって接続されている。循環槽14の硫酸入口には、硫酸供給配管66が接続されている。循環配管48から分岐された硫酸アンモニウム溶液配管50が半透膜被処理水槽16の硫酸アンモニウム溶液入口に接続されている。半透膜被処理水槽16の半透膜被処理水出口と半透膜モジュール18の第一空間30の入口とは、加圧ポンプ26を介して半透膜被処理水供給配管52によって接続されている。半透膜モジュール18の第一空間30の出口には、半透膜濃縮水配管54が接続されている。半透膜濃縮水配管54から分岐された半透膜濃縮水配管56が半透膜モジュール18の第二空間32の入口に接続されている。半透膜モジュール18の第二空間32の出口と半透膜希釈水槽20の入口とは、半透膜希釈水配管58によって接続されている。半透膜希釈水槽20の出口と逆浸透膜処理装置22の入口とは、逆浸透膜被処理水供給配管60によって接続されている。逆浸透膜処理装置22の逆浸透膜透過水出口には、逆浸透膜透過水配管62が接続されている。逆浸透膜処理装置22の逆浸透膜濃縮水出口と半透膜被処理水槽16の逆浸透膜濃縮水入口とは、逆浸透膜濃縮水配管64によって接続されている。
【0027】
水処理装置1において、気液分離装置12、循環槽14、硫酸供給配管66などが、アンモニア含有水からアンモニアを分離し、分離したアンモニアを硫酸に吸収させて硫酸アンモニウム溶液を得る蒸留手段として機能する。
【0028】
加圧ポンプ26は、例えば、入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動され、硫酸アンモニウム溶液を吸入して半透膜モジュール18に加圧吐出する加圧ポンプである。加圧ポンプ26には、例えば、入力された指令信号に対応する駆動周波数を加圧ポンプ26に出力するインバーターが設置されている。
【0029】
半透膜モジュール18は、半透膜34で仕切られた第一空間30(濃縮側)および第二空間32(透過側)を有し、硫酸アンモニウム溶液を半透膜モジュール18の第一空間入口から第一空間30に通水するとともに、半透膜モジュール18の第一空間30の第一空間出口から排出された半透膜濃縮水の少なくとも一部を半透膜モジュール18の第二空間入口から第二空間32に通水し、第一空間30を加圧することによって、その第一空間30の硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を半透膜34を介して第二空間32に透過させて水を濃縮する装置である。すなわち、水処理装置1において、半透膜34を用いて硫酸アンモニウム溶液が濃縮される。半透膜モジュール18は、半透膜モジュール18の第一空間30に硫酸アンモニウム溶液を供給し、第一空間30の出口から得られた半透膜濃縮水の少なくとも一部を半透膜モジュール18の第二空間32に供給して濃縮処理を行う装置である。
【0030】
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置1の動作について説明する。
【0031】
アンモニアを含有するアンモニア含有水は、アンモニア含有水配管40を通して、必要に応じてアンモニア含有水槽10に貯留され、アンモニア含有水供給配管42を通して、気液分離装置12の一次側36に供給される。アンモニア含有水供給配管42に、アンモニア含有水を気液分離装置12の一次側36に供給する供給ポンプを設けてもよい。一方、循環槽14に硫酸が硫酸供給配管66を通して供給され、気液分離装置12の二次側38では、循環槽14から循環配管48、循環配管46を通して硫酸が循環される。気液分離装置12において、気液分離膜28を用いて一次側36のアンモニア含有水からアンモニアが二次側38に透過されて分離され、分離されたアンモニアが二次側38において硫酸に吸収されて硫酸アンモニウム溶液が得られる(蒸留工程)。得られた硫酸アンモニウム溶液は、循環配管46を通して循環槽14に貯留され、循環配管48を通して気液分離装置12の二次側38に循環される。気液分離装置12の一次側36で得られたアンモニアの量が低減された気液分離膜一次側処理水は、一次側処理水配管44を通して排出される。循環配管48に循環槽14内の硫酸または硫酸アンモニウム溶液を気液分離装置12の二次側38へ供給する循環ポンプを設けてもよい。
【0032】
気液分離装置12の二次側38から、循環配管46、循環槽14、循環配管48を通して循環される硫酸アンモニウム溶液の一部は、循環配管48から分岐された硫酸アンモニウム溶液配管50を通して、必要に応じて半透膜被処理水槽16に貯留され、加圧ポンプ26によって半透膜被処理水供給配管52を通して、半透膜モジュール18の第一空間入口から第一空間30へ加圧送液され、通水される。加圧された硫酸アンモニウム溶液に含まれる水の一部は半透膜34を介して第一空間30から第二空間32に向かって透過する。このとき、イオン類などの大部分は半透膜34を透過することができないので、半透膜34を透過しなかった第一空間30内の水が濃縮される。一方、第二空間32では、半透膜濃縮水配管54,56を通して通水された半透膜濃縮水の一部と、半透膜34を透過したイオン濃度の低い透過水とが合流するため、希釈効果が働く。第一空間30で得られた半透膜濃縮水は、第一空間出口から半透膜濃縮水配管54を通して排出され、半透膜濃縮水の少なくとも一部は、半透膜濃縮水配管54から分岐された半透膜濃縮水配管56を通して、半透膜モジュール18の第二空間入口から第二空間32へ送液され、通水される(半透膜処理工程)。
【0033】
第二空間32で得られた半透膜希釈水は、第二空間出口から半透膜希釈水配管58を通して排出されてもよいし、必要に応じて半透膜希釈水槽20に貯留され、さらに他の処理、例えば逆浸透膜被処理水供給配管60を通して逆浸透膜処理装置22に送液されてさらに逆浸透膜処理が行われてもよい。逆浸透膜処理が行われる場合は、逆浸透膜処理装置22において、半透膜希釈水について逆浸透膜を用いて逆浸透膜処理が行われ、逆浸透膜透過水と、逆浸透膜濃縮水とが得られる(逆浸透膜処理工程)。逆浸透膜処理で得られた逆浸透膜透過水は、逆浸透膜透過水配管62を通して排出される。排出された逆浸透膜透過水は工業用水などに再利用してもよい。逆浸透膜濃縮水は、逆浸透膜濃縮水配管64を通して排出されてもよいし、逆浸透膜濃縮水配管64を通して半透膜モジュール18の前段、例えば半透膜被処理水槽16に返送されてもよい(返送工程)。
【0034】
以上のようにして、処理対象であるアンモニア含有水から、アンモニアの量が低減された気液分離膜一次側処理水、および高濃度に濃縮減容化された濃縮硫酸アンモニウム溶液(半透膜濃縮水)が回収される。また、回収された気液分離膜一次側処理水、硫酸アンモニウム溶液は再利用が可能である。再利用としては、気液分離膜一次側処理水は、工業用水など、硫酸アンモニウム溶液は、肥料や水処理薬品(生物処理の栄養剤)の原料などが挙げられる。
【0035】
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置では、アンモニア含有水からアンモニアを分離することによってアンモニア含有水中の窒素負荷を低減するとともに、分離したアンモニアを硫酸に吸収させて生成した硫酸アンモニウムを高濃度に濃縮減容化し、半透膜濃縮水として濃縮硫酸アンモニウム溶液を得ることができる。
【0036】
処理対象であるアンモニア含有水は、アンモニアを含有する水であり、特に制限はないが、例えば、半導体工場のスクラバー排水、アンモニア・過酸化水素の洗浄排水などの半導体工場から排出される排水などが挙げられる。
【0037】
アンモニア含有水は、蒸留処理を行う前に予め活性炭処理や逆浸透膜による濃縮処理をされていてもよい。予め逆浸透膜で濃縮処理することによって、気液分離膜に供給される水量を低減し、設備を小型化することができる。また、逆浸透膜の透過水を得ることによって、設備全体の水回収率を上げることができる。一方、逆浸透膜の処理性能を保持するためのpH調整による薬品コスト上昇や、逆浸透膜の透過側へアンモニアの一部がリークすることによるアンモニア回収量の低下などが生じるおそれがある。特にアンモニア含有水がアルカリ性の場合は、pH調整による薬品コスト上昇が大きくなるため、蒸留処理の前段には逆浸透膜は設置しなくてもよい。
【0038】
アンモニア含有水のpHは、例えば、9以上12以下である。アンモニア含有水のpHが9未満の場合は、アンモニア含有水は必要に応じて水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリなどのpH調整剤を用いて、pH9以上のアルカリ性に調整されてもよい。また、アンモニア含有水は、例えば30~50℃に加温されて気液分離装置12の一次側36に流入されてもよい。
【0039】
気液分離膜としては、液体をほとんど通さず気体であるアンモニアを透過するポリプロピレンなどの疎水性多孔質膜を用いることができる。
【0040】
気液分離膜一次側処理水は系外に排出されてもよいし、気液分離装置12の前段、例えばアンモニア含有水槽10に循環されて再度蒸留処理されてもよい。アンモニア含有水には、スケール抑制のために、アクリル酸系キレート剤などの分散剤が添加されてもよい。
【0041】
アンモニア含有水のアンモニア態窒素濃度が比較的低濃度(例えば1000mg/L以下)である場合、気液分離装置12を2段以上、例えば、2~3段設置することによって、気液分離装置の一次側のアンモニア態窒素濃度を低濃度まで処理することが可能である。アンモニア含有水中のアンモニア態窒素濃度は、設備を過大なものとせず、気液分離膜一次側処理水のアンモニア態窒素濃度をできるだけ低減するなどの観点から、例えば7000mg/L以下、好ましくは300mg/L以上7000mg/L以下、より好ましくは、300mg/L以上2000mg/L以下とすればよい。本実施形態に係る水処理方法および水処理装置では、アンモニア含有水のアンモニア態窒素濃度が低濃度(例えば1000mg/L以下)であっても、アンモニア含有水から安定して高濃度の硫酸アンモニウム溶液を得ることができる。
【0042】
気液分離装置12の二次側38では、硫酸が循環される。硫酸は、本実施形態に係る水処理装置が設置された工場内の他用途に使用された廃硫酸、例えば、半導体工場から排出される廃硫酸を使用してもよい。硫酸濃度は、アンモニアを十分に吸収できるなどの観点から、例えば30~50質量%の範囲であり、40~50質量%の範囲が好ましい。
【0043】
気液分離装置12の二次側38で濃縮された硫酸アンモニウム溶液は、所定のタイミング(例えば下記のpHや比重、濃度が所定の値に達したとき)で半透膜被処理水槽16に送液、貯留される。
【0044】
例えば、循環槽14または循環配管46,48に、硫酸または硫酸アンモニウム溶液のpHを測定するpH測定手段としてpH測定装置24を備え、硫酸または硫酸アンモニウム溶液のpHを測定してもよい(pH測定工程)。
【0045】
気液分離膜28を介してアンモニア含有水中のアンモニアが透過し、硫酸に吸収されることによって、徐々に硫酸アンモニウム溶液のpHが上昇する。pH測定装置24によって測定したpHが所定のpHを超えた場合、例えばpH3を超えた場合は、硫酸アンモニウムの一部が硫酸アンモニウム溶液配管50を通して排出され、例えばpH3以下になるように、例えば硫酸供給配管66を通して循環槽14内の硫酸アンモニウム溶液に新たに硫酸を供給して硫酸アンモニウム溶液のpHを調整してもよい(pH調整工程)。
【0046】
循環槽14または循環配管46,48に、硫酸または硫酸アンモニウム溶液の比重を測定する比重測定手段として比重測定装置25を備え、硫酸または硫酸アンモニウム溶液の比重を測定してもよいし(比重測定工程)、硫酸または硫酸アンモニウム溶液中の硫酸または硫酸アンモニウムの濃度を測定する濃度測定手段として濃度測定装置をさらに備え、硫酸または硫酸アンモニウムの濃度を測定してもよい(濃度測定工程)。
【0047】
気液分離膜28を介してアンモニア含有水中のアンモニアが透過し、硫酸に吸収されることによって、徐々に硫酸アンモニウム溶液の比重が上昇する。比重測定装置25によって測定した比重が所定の比重を超えた場合、例えば比重が1.14(硫酸約25質量%に相当)を超えた場合は、硫酸アンモニウムの一部が硫酸アンモニウム溶液配管50を通して排出され、例えば比重が1.14以下になるように、例えば硫酸供給配管66を通して循環槽14内の硫酸アンモニウム溶液に新たに硫酸を供給して硫酸アンモニウム溶液の比重を調整してもよい(比重調整工程)。
【0048】
また、気液分離膜28を介してアンモニア含有水中のアンモニアが透過し、硫酸に吸収されることによって、徐々に硫酸アンモニウム溶液中の硫酸アンモニウムの濃度が上昇する。濃度測定装置によって測定した硫酸アンモニウムの濃度が所定の濃度を超えた場合、例えば硫酸アンモニウムの濃度が25質量%を超えた場合は、硫酸アンモニウムの一部が硫酸アンモニウム溶液配管50を通して排出され、例えば濃度が25質量%以下になるように、例えば硫酸供給配管66を通して循環槽14内の硫酸アンモニウム溶液に新たに硫酸を供給して硫酸アンモニウム溶液の濃度を調整してもよい(濃度調整工程)。
【0049】
比重による濃度管理の場合、濃度に対する比重の変化量は導電率などの測定法に比べて小さいため濃度の管理が難しく、硫酸アンモニウムが飽和濃度に達することを抑制するために、低めの濃度で硫酸アンモニウム溶液を引き抜くという運転管理上の問題があるために、実用に適した、例えば25質量%などの高濃度の硫酸アンモニウム溶液を安定して回収することが困難である。例えば硫酸アンモニウム溶液の比重が1.14で硫酸アンモニウムの濃度が約25質量%であり、硫酸アンモニウム溶液の比重が1.13で硫酸アンモニウムの濃度が約23質量%であるため、1質量%刻みで硫酸アンモニウムの濃度管理を行うためには、精密な比重計が必要となるという問題があるが、本実施形態に係る水処理方法および水処理装置では、気液分離装置12(蒸留工程)の後段の半透膜モジュール18(半透膜処理工程)で高濃縮を行うため、前段の気液分離装置12(蒸留工程)で得られる硫酸アンモニウム溶液の硫酸アンモニウムの濃度に多少の幅があっても、最終的に得られる濃縮硫酸アンモニウム溶液(半透膜濃縮水)の硫酸アンモニウムの濃度は調整が可能であるという利点がある。
【0050】
気液分離装置12で得られる硫酸アンモニウム溶液について、塩酸、硫酸などの酸、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリなどのpH調整剤を用いて、例えばpH5~8の範囲にpH調整されてもよい。気液分離装置12で得られる硫酸アンモニウム溶液に、アクリル酸系キレート剤などの分散剤および次亜塩素酸や、臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物などの殺菌剤が添加されてもよい。
【0051】
気液分離装置12で得られ、半透膜処理装置の半透膜モジュール18に通水される硫酸アンモニウム溶液の硫酸アンモニウムの濃度は、例えば、20000mg/L以上100000mg/L以下の範囲であり、30000mg/L以上100000mg/L以下の範囲であることが好ましい。半透膜モジュール18に通水される硫酸アンモニウム溶液の硫酸アンモニウムの濃度が20000mg/L未満であると、濃縮に必要な膜本数が増える場合があり、100000mg/Lを超えると、半透膜処理装置で濃縮するメリットが小さくなる場合がある。
【0052】
半透膜による濃縮では、水を透過させて濃縮するため、スケール原因物質も濃縮されてスケーリングを起こしやすいが、本実施形態に係る水処理方法および水処理装置では前段の気液分離膜を用いる気液分離装置12ではスケール成分がほとんど濃縮されないため、アンモニア含有水について直接半透膜による濃縮を行う場合に比べてスケールが生成しにくいという効果がある。
【0053】
半透膜モジュール18の第一空間30側は、例えば、0.1MPa以上、好ましくは1~7MPaの範囲に加圧され、透過水が第二空間32に移動する。半透膜濃縮水は、少なくとも一部が半透膜モジュール18の第二空間32に供給され、残りは系外に排出されて廃棄または回収される。第二空間32に供給された半透膜濃縮水は透過水と混ざり、半透膜希釈水となって半透膜の第二空間32の出口から排出される。
【0054】
半透膜モジュール18が備える半透膜34としては、例えば、逆浸透膜(RO膜)、正浸透膜(FO膜)、ナノろ過膜(NF膜)などの半透膜が挙げられる。半透膜は、逆浸透膜が好ましい。
【0055】
半透膜34を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、酢酸セルロース系樹脂などのセルロース系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂などのポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられる。
【0056】
半透膜34の形状としては、平膜、中空糸膜、スパイラル膜などが挙げられる。半透膜の表面積を大きくすることができるなどの点から中空糸膜が好ましい。
【0057】
半透膜モジュール18で得られる半透膜濃縮水の硫酸アンモニウムの濃度は、例えば、25質量%以上であり、好ましくは30質量%以上35質量%以下の範囲である。
【0058】
逆浸透膜処理装置22の代わりに、または逆浸透膜処理装置22の前段に、半透膜希釈水を処理するナノろ過膜(NF膜)などを有する膜処理装置を備えてもよい。半透膜モジュール18から排出された半透膜希釈水は、必要に応じて半透膜希釈水槽20に貯留され、逆浸透膜処理装置22またはナノろ過膜(NF膜)などを有する膜処理装置に供給され、清澄な逆浸透膜透過水またはNF膜透過水を得るとともに、逆浸透膜濃縮水を半透膜モジュール18(半透膜処理工程)の前段に返送してもよい。
【0059】
本発明の実施形態に係る水処理装置の他の例の概略を
図2に示し、その構成について説明する。
図2に示す水処理装置3は、放散塔を用いたストリッピング法によってアンモニア含有水を処理し、そのストリッピング法で処理された硫酸アンモニウム溶液を半透膜で処理する装置である。
【0060】
水処理装置3は、アンモニア含有水からアンモニアを分離し、分離したアンモニアを硫酸に吸収させて硫酸アンモニウム溶液を得る蒸留手段として、放散塔70と、硫酸アンモニウム溶液を加圧する加圧手段として加圧ポンプ26と、半透膜34で仕切られた第一空間30と第二空間32とを有する半透膜モジュールを用いて、硫酸アンモニウム溶液を第一空間30に通水し、加圧ポンプ26による加圧によって第一空間30を加圧して硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を半透膜34を透過させることによって半透膜濃縮水を得るとともに、第二空間32に、硫酸アンモニウム溶液の一部または半透膜濃縮水の少なくとも一部を通水して半透膜希釈水を得る半透膜処理手段として、半透膜モジュール18を有する半透膜処理装置5と、を備える。
【0061】
水処理装置3は、熱回収を行うために、放散塔70からの処理ガスを圧縮する圧縮手段として蒸気圧縮装置72、リボイラー74、気液分離槽76を備えてもよい。
【0062】
水処理装置3は、アンモニア含有水を貯留するアンモニア含有水槽10、半透膜モジュール18の被処理水を貯留する半透膜被処理水槽16、半透膜モジュール18で得られた半透膜希釈水を貯留する半透膜希釈水槽20のうちの1つまたは2つを備えてもよい。水処理装置3は、半透膜モジュール18で得られた半透膜希釈水について逆浸透膜処理を行い、逆浸透膜透過水と逆浸透膜濃縮水とを得る逆浸透膜処理手段として、逆浸透膜処理装置22を備えてもよい。
【0063】
図2の水処理装置3において、アンモニア含有水配管40がアンモニア含有水槽10の入口に接続されている。アンモニア含有水槽10の出口と放散塔70の入口とは、アンモニア含有水供給配管80によって接続されている。放散塔70の処理ガス出口と蒸気圧縮装置72の処理ガス入口とは、処理ガス配管82によって接続されている。蒸気圧縮装置72の処理ガス出口とリボイラー74の処理ガス入口とは、処理ガス配管84によって接続されている。リボイラー74の処理ガス出口と気液分離槽76の処理ガス入口とは、処理ガス配管92によって接続されている。リボイラー74の処理水出口と放散塔70の処理水入口とは、処理水配管86によって接続されている。気液分離槽76の分離液出口とアンモニア含有水供給配管80とは、分離液配管94によって接続されている。気液分離槽76の分離ガス出口と半透膜被処理水槽16の分離ガス入口とは、分離ガス配管96によって接続されている。放散塔70の放散塔処理水出口とリボイラー74の放散塔処理水入口とは、放散塔処理水配管88によって接続されている。放散塔処理水配管88から放散塔処理水配管90が分岐されている。
【0064】
半透膜被処理水槽16の硫酸入口には、硫酸供給配管67が接続されている。半透膜被処理水槽16の半透膜被処理水出口と半透膜モジュール18の第一空間30の入口とは、加圧ポンプ26を介して半透膜被処理水供給配管52によって接続されている。半透膜モジュール18の第一空間30の出口には、半透膜濃縮水配管54が接続されている。半透膜濃縮水配管54から分岐された半透膜濃縮水配管56が半透膜モジュール18の第二空間32の入口に接続されている。半透膜モジュール18の第二空間32の出口と半透膜希釈水槽20の入口とは、半透膜希釈水配管58によって接続されている。半透膜希釈水槽20の出口と逆浸透膜処理装置22の入口とは、逆浸透膜被処理水供給配管60によって接続されている。逆浸透膜処理装置22の逆浸透膜透過水出口には、逆浸透膜透過水配管62が接続されている。逆浸透膜処理装置22の逆浸透膜濃縮水出口と半透膜被処理水槽16の逆浸透膜濃縮水入口とは、逆浸透膜濃縮水配管64によって接続されている。
【0065】
水処理装置3において、放散塔70、気液分離槽76、半透膜被処理水槽16、硫酸供給配管67などが、アンモニア含有水からアンモニアを分離し、分離したアンモニアを硫酸に吸収させて硫酸アンモニウム溶液を得る蒸留手段として機能する。
【0066】
加圧ポンプ26は、例えば、入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動され、硫酸アンモニウム溶液を吸入して半透膜モジュール18に加圧吐出する加圧ポンプである。加圧ポンプ26には、例えば、入力された指令信号に対応する駆動周波数を加圧ポンプ26に出力するインバーターが設置されている。
【0067】
半透膜モジュール18は、半透膜34で仕切られた第一空間30および第二空間32を有し、硫酸アンモニウム溶液を半透膜モジュール18の第一空間入口から第一空間30に通水するとともに、半透膜モジュール18の第一空間30の第一空間出口から排出された半透膜濃縮水の少なくとも一部を半透膜モジュール18の第二空間入口から第二空間32に通水し、第一空間30を加圧することによって、その第一空間30の硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を半透膜34を介して第二空間32に透過させて水を濃縮する装置である。すなわち、水処理装置1において、半透膜34を用いて硫酸アンモニウム溶液が濃縮される。半透膜モジュール18は、半透膜モジュール18の第一空間30に硫酸アンモニウム溶液を供給し、第一空間30の出口から得られた半透膜濃縮水の少なくとも一部を半透膜モジュール18の第二空間32に供給して濃縮処理を行う装置である。
【0068】
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置3の動作について説明する。
【0069】
アンモニアを含有するアンモニア含有水は、アンモニア含有水配管40を通して、必要に応じてアンモニア含有水槽10に貯留され、アンモニア含有水供給配管80を通して、放散塔70に供給される。アンモニア含有水供給配管80に、アンモニア含有水を放散塔70に供給する供給ポンプを設けてもよい。放散塔70において、ストリッピング法によって、アンモニア含有水にスチームまたは空気が吹き込まれて、アンモニウムイオンと水酸化イオンとを反応させることによって、アンモニアガスを含む処理ガスと放散塔処理水とに分離される(蒸留工程)。放散塔70で得られた処理ガスは、処理ガス配管82を通して蒸気圧縮装置72へ送られ、蒸気圧縮装置72によって処理ガスが圧縮された後、処理ガス配管84を通してリボイラー74へ送られる。放散塔70で得られた放散塔処理水は放散塔処理水配管88を通してリボイラー74へ送られる。放散塔70で得られた放散塔処理水の一部は、放散塔処理水配管88から分岐された放散塔処理水配管90を通して排出される。リボイラー74において熱交換が行われ、処理ガスは、処理ガス配管92を通して気液分離槽76に送られ、気液分離槽76において気液分離が行われ、分離された分離ガスは、分離ガス配管96を通して半透膜被処理水槽16に送られる。分離された分離液は、分離液配管94、アンモニア含有水供給配管80を通して放散塔70に返送される。リボイラー74で得られた処理水は、処理水配管86を通して放散塔70に送られる。
【0070】
半透膜被処理水槽16には、硫酸供給配管67を通して硫酸が供給され、分離ガス中のアンモニアが硫酸に吸収されて硫酸アンモニウム溶液が得られる。硫酸アンモニウム溶液は、半透膜被処理水槽16から加圧ポンプ26によって半透膜被処理水供給配管52を通して、半透膜モジュール18の第一空間入口から第一空間30へ加圧送液され、通水される。加圧された硫酸アンモニウム溶液に含まれる水の一部は半透膜34を介して第一空間30から第二空間32に向かって透過する。このとき、イオン類などの大部分は半透膜34を透過することができないので、半透膜34を透過しなかった第一空間30内の水が濃縮される。一方、第二空間32では、半透膜濃縮水配管54,56を通して通水された半透膜濃縮水の一部と、半透膜34を透過したイオン濃度の低い透過水とが合流するため、希釈効果が働く。第一空間30で得られた半透膜濃縮水は、第一空間出口から半透膜濃縮水配管54を通して排出され、半透膜濃縮水の少なくとも一部は、半透膜濃縮水配管54から分岐された半透膜濃縮水配管56を通して、半透膜モジュール18の第二空間入口から第二空間32へ送液され、通水される(半透膜処理工程)。
【0071】
第二空間32で得られた半透膜希釈水は、第二空間出口から半透膜希釈水配管58を通して排出されてもよいし、必要に応じて半透膜希釈水槽20に貯留され、さらに他の処理、例えば逆浸透膜被処理水供給配管60を通して逆浸透膜処理装置22に送液されてさらに逆浸透膜処理が行われてもよい。逆浸透膜処理が行われる場合は、逆浸透膜処理装置22において、半透膜希釈水について逆浸透膜を用いて逆浸透膜処理が行われ、逆浸透膜透過水と、逆浸透膜濃縮水とが得られる(逆浸透膜処理工程)。逆浸透膜処理で得られた逆浸透膜透過水は、逆浸透膜透過水配管62を通して排出される。逆浸透膜濃縮水は、逆浸透膜濃縮水配管64を通して排出されてもよいし、逆浸透膜濃縮水配管64を通して半透膜モジュール18の前段、例えば半透膜被処理水槽16に返送されてもよい(返送工程)。
【0072】
以上のようにして、処理対象であるアンモニア含有水から、アンモニアの量が低減された気液分離膜一次側処理水、および高濃度に濃縮減容化された濃縮硫酸アンモニウム溶液が回収される。また、回収された気液分離膜一次側処理水、硫酸アンモニウム溶液は再利用が可能である。
【0073】
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置では、アンモニア含有水を硫酸アンモニウムとして濃縮および水と分離し、アンモニア含有水中の窒素負荷を低減するとともに、高濃度に濃縮減容化された濃縮硫酸アンモニウム溶液を半透膜濃縮水として得ることができる。
【0074】
蒸留工程における蒸留処理としては、気液分離膜を用いる気液分離処理、アンモニアストリッピング処理の他に、膜蒸留処理などを用いてもよい。
【0075】
図1に示す水処理装置1、
図2に示す水処理装置3において、半透膜処理装置は、第二空間32に硫酸アンモニウム溶液の一部を通水する構成であってもよい。このような半透膜処理装置の例を
図3に示す。
【0076】
図3の半透膜処理装置6において、
図1または
図2のように半透膜被処理水槽16の半透膜被処理水出口からの半透膜被処理水供給配管52が半透膜モジュール18の第一空間入口に接続され、半透膜被処理水供給配管52から分岐された半透膜被処理水供給配管53が半透膜モジュール18の第二空間入口に接続されている。半透膜モジュール18の第一空間出口には半透膜濃縮水配管54が接続され、半透膜モジュール18の第二空間出口には半透膜希釈水配管59が接続されている。半透膜モジュール18の第二空間出口からの半透膜希釈水配管59は、
図1または
図2のように半透膜希釈水槽20の入口に接続されている。
【0077】
半透膜モジュール18は、半透膜34で仕切られた第一空間30(濃縮側)および第二空間32(透過側)を有し、硫酸アンモニウム溶液を半透膜モジュール18の第一空間入口から第一空間30と第二空間入口から第二空間32とに通水し、第一空間30を加圧することによって、その第一空間30の硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を半透膜34を介して第二空間32に透過させて水を濃縮する装置である。すなわち、半透膜処理装置6において、半透膜34を用いて硫酸アンモニウム溶液が濃縮される。半透膜処理装置6は、半透膜モジュール18の第一空間30と第二空間32の両方に硫酸アンモニウム溶液を供給して濃縮処理を行う装置である。
【0078】
硫酸アンモニウム溶液は、加圧ポンプ26によって半透膜被処理水供給配管52を通して、半透膜モジュール18の第一空間入口から第一空間30へ加圧送液され、通水される。加圧された硫酸アンモニウム溶液に含まれる水の一部は半透膜34を介して第一空間30から第二空間32に向かって透過する。このとき、イオン類などの大部分は半透膜34を透過することができないので、半透膜34を透過しなかった第一空間30内の水が濃縮される。一方、第二空間32では、半透膜被処理水供給配管53を通して通水された硫酸アンモニウム溶液の一部と、半透膜34を透過したイオン濃度の低い透過水とが合流するため、希釈効果が働く。第一空間30で得られた半透膜濃縮水は、第一空間出口から半透膜濃縮水配管54を通して排出される(半透膜処理工程)。
【0079】
第二空間32で得られた半透膜希釈水は、第二空間出口から半透膜希釈水配管59を通して排出されてもよいし、
図1または
図2のように逆浸透膜処理装置22に送液されてさらに逆浸透膜処理が行われてもよい。
【0080】
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置において、多段式の半透膜モジュールを有する半透膜処理装置を用いてもよい。このような構成の半透膜処理装置の例を
図4に示す。
図4に示す半透膜処理装置7は、半透膜モジュールが直列で3段に組み合わせた構造を有し、第一空間側、第二空間側の通水を直列的に行う装置である。
【0081】
図4に示す半透膜処理装置7は、半透膜34で仕切られた第一空間30(濃縮側)と第二空間32(透過側)とを有する、複数段に接続された半透膜モジュール18を用いて、硫酸アンモニウム溶液を第1段の半透膜モジュール18の第一空間30に通水し、第一空間30を加圧して硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を半透膜34を透過させることによって半透膜濃縮水を得て、その半透膜濃縮水をさらに次段以降の半透膜モジュール18を用いて半透膜濃縮水を得るとともに、各段の半透膜モジュール18の第二空間32に、半透膜濃縮水の少なくとも一部を通水して半透膜希釈水を得る半透膜処理手段として、例えば、1段目の半透膜モジュール18a、2段目の半透膜モジュール18b、3段目の半透膜モジュール18cを備える。それぞれの半透膜モジュールは、半透膜34で仕切られた第一空間30および第二空間32を有する。半透膜モジュール18は、第1段の膜モジュールの第一空間に硫酸アンモニウム溶液を供給し、その半透膜濃縮水を順次次段の膜モジュールの第一空間30に供給して濃縮処理を行う装置である。
【0082】
図4の半透膜処理装置7において、
図1または
図2のように半透膜被処理水槽16の半透膜被処理水出口からの半透膜被処理水供給配管52が1段目の半透膜モジュール18aの第一空間入口に接続されている。1段目の半透膜モジュール18aの第一空間出口と2段目の半透膜モジュール18bの第一空間入口とは、半透膜濃縮水配管100により接続されている。2段目の半透膜モジュール18bの第一空間出口と3段目の半透膜モジュール18cの第一空間入口とは、半透膜濃縮水配管102により接続されている。3段目の半透膜モジュール18cの第一空間出口には、半透膜濃縮水配管104が接続されている。半透膜濃縮水配管104から分岐された半透膜濃縮水配管106が3段目の半透膜モジュール18cの第一空間入口に接続されている。3段目の半透膜モジュール18cの第二空間出口と2段目の半透膜モジュール18bの第二空間入口とは、半透膜希釈水配管108により接続されている。2段目の半透膜モジュール18bの第二空間出口と1段目の半透膜モジュール18aの第二空間入口とは、半透膜希釈水配管110により接続されている。1段目の半透膜モジュール18aの第二空間出口には半透膜希釈水配管112が接続されている。1段目の半透膜モジュール18aの第二空間出口からの半透膜希釈水配管112は、
図1または
図2のように半透膜希釈水槽20の入口に接続されている。
【0083】
半透膜モジュール18は、半透膜34で仕切られた第一空間30および第二空間32を有する多段式の膜モジュールを用い、第1段の半透膜モジュール18aの第一空間30aに硫酸アンモニウム溶液を供給し、その半透膜濃縮水を順次次段の半透膜モジュール18の第一空間30に直列的に通水し、最終段の半透膜モジュール18cの半透膜濃縮水の少なくとも一部を自身の第二空間32cに供給し、得られる半透膜希釈水をその前段の半透膜モジュール18の第二空間32に直列的に通水し、各段の第一空間30を加圧することによってその第一空間30に含まれる水を半透膜34を介して第二空間32に透過させて水を濃縮する装置である。すなわち、半透膜モジュール18において、半透膜34を用いて硫酸アンモニウム溶液が濃縮され、その半透膜濃縮水がさらに次の段の半透膜34を用いて濃縮される。
【0084】
硫酸アンモニウム溶液は、
図1または
図2のように加圧ポンプ26によって半透膜被処理水供給配管52を通して、1段目の半透膜モジュール18aの第一空間30aに送液される。一方、後述する3段目の半透膜モジュール18cの第二空間32c、2段目の半透膜モジュール18bの第二空間32bを経由して送液された半透膜希釈水が半透膜希釈水配管110を通して、1段目の半透膜モジュール18aの第二空間32aに送液される。1段目の半透膜モジュール18aにおいて、第一空間30aが加圧されてその第一空間30aに含まれる水が半透膜34aを介して第二空間32aに透過される(濃縮工程(1段目))とともに、第二空間32aで半透膜希釈水が得られる(希釈工程(1段目))。1段目の半透膜モジュール18aの第一空間30aで得られた半透膜濃縮水は、半透膜濃縮水配管100を通して、2段目の半透膜モジュール18bの第一空間30bへ送液される。1段目の半透膜モジュール10aの第二空間32aで得られた半透膜希釈水は、第二空間出口から半透膜希釈水配管112を通して排出されてもよいし、
図1または
図2のように逆浸透膜処理装置22に送液されてさらに逆浸透膜処理が行われてもよい。
【0085】
2段目の半透膜モジュール18bにおいて、後述する3段目の半透膜モジュール18cの第二空間32cを経由して送液された半透膜希釈水が半透膜希釈水配管108を通して、2段目の半透膜モジュール18bの第二空間32bへ送液される。第一空間30bが加圧されてその第一空間30bに含まれる水が半透膜34bを介して第二空間32bに透過される(濃縮工程(2段目))とともに、第二空間32bで半透膜希釈水が得られる(希釈工程(2段目))。2段目の半透膜モジュール18bの第一空間30bで得られた半透膜濃縮水は、半透膜濃縮水配管102を通して、3段目の半透膜モジュール18cの第一空間30cへ送液される。2段目の半透膜モジュール18bの第二空間32bで得られた半透膜希釈水は、半透膜希釈水配管110を通して1段目の半透膜モジュール18aの第二空間32aへ送液される。
【0086】
3段目の半透膜モジュール18cにおいて、下記の通り3段目の半透膜モジュール18cの第一空間30cで得られた半透膜濃縮水が、半透膜濃縮水配管104,106を通して第二空間32cへ送液される。第一空間30cが加圧されてその第一空間30cに含まれる水が半透膜34cを介して第二空間32cに透過される(濃縮工程(3段目))とともに、第二空間32cで半透膜希釈水が得られる(希釈工程(3段目))(以上、半透膜処理工程)。3段目の半透膜モジュール18cの第一空間30cで得られた半透膜濃縮水は、半透膜濃縮水配管104を通して排出される。半透膜濃縮水配管104から分岐された半透膜濃縮水は、半透膜濃縮水配管106を通して、3段目の半透膜モジュール18cの第二空間32cへ送液される。3段目の半透膜モジュール18cの第二空間32cで得られた半透膜希釈水は、半透膜希釈水配管108を通して2段目の半透膜モジュール18bの第二空間32bへ送液される。
【0087】
図4の半透膜処理装置7において、
図3の半透膜処理装置6のように、第1段の半透膜モジュール18aの第一空間30aおよび第二空間32aに硫酸アンモニウム溶液を供給し、その半透膜濃縮水を順次次段の半透膜モジュールの第一空間に半透膜希釈水を順次次段の半透膜モジュールの第二空間に供給し、各段の第一空間30を加圧することによってその第一空間30に含まれる水を半透膜34を介して第二空間32に透過させて水を濃縮してもよい。すなわち、半透膜モジュール18において、半透膜34を用いて硫酸アンモニウム溶液が濃縮され、その半透膜濃縮水がさらに次の段の半透膜34を用いて濃縮される。
【0088】
このような半透膜処理装置、または
図4の半透膜処理装置7において、第二空間側の通水を直列的に行ってもよいし、各段の半透膜モジュール18a,18b,18cの第二空間32a,32b,32cで得られた半透膜希釈水の一部は、系外へ排出されてもよいし、必要に応じて半透膜希釈水槽へ送液されて貯留された後、系外へ排出されてもよい。
【0089】
図1、
図2、
図3、
図4の半透膜処理装置は装置構成の一例であり、半透膜モジュールの配列や供給水の供給方法などは、適宜変更してもよい。例えば、多段式の半透膜モジュールを用いて、各段の半透膜モジュールとして、並列的に接続された複数本の半透膜モジュールを備える半透膜モジュールユニットを用いてもよい。このような構成の半透膜処理装置の例を
図5に示す。
図5は装置構成の一例であり、半透膜モジュールの段数、並列数、配列や供給水の供給方法などは、適宜変更してもよい。
【0090】
図5に示す半透膜処理装置8は、半透膜34で仕切られた第一空間30(濃縮側)と第二空間32(透過側)とを有する、複数段に接続された半透膜モジュールを用いて、硫酸アンモニウム溶液を第1段の半透膜モジュールの第一空間30に通水し、第一空間30を加圧して硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を半透膜34を透過させることによって濃縮水を得て、その濃縮水をさらに次段以降の半透膜モジュールを用いて濃縮水を得るとともに、各段の半透膜モジュールの第二空間32に、濃縮水の少なくとも一部または他の半透膜モジュールから得られる希釈水の少なくとも一部を通水して希釈水を得る半透膜処理手段として、例えば、1段目半透膜モジュールユニット120a、2段目半透膜モジュールユニット120b、3段目半透膜モジュールユニット120c、4段目半透膜モジュールユニット120dを備える。1段目半透膜モジュールユニット120aは、例えば、並列的に接続された4本の半透膜モジュールを備え、2段目半透膜モジュールユニット120bは、例えば、並列的に接続された4本の半透膜モジュールを備え、3段目半透膜モジュールユニット120cは、例えば、並列的に接続された2本の半透膜モジュールを備え、4段目半透膜モジュールユニット120dは、例えば、並列的に接続された2本の半透膜モジュールを備える。それぞれの半透膜モジュール18は、半透膜34で仕切られた第一空間30および第二空間32を有する。半透膜モジュールユニット120は、第1段の膜モジュールの第一空間に硫酸アンモニウム溶液を供給し、その濃縮水を順次次段の膜モジュールの第一空間に供給して濃縮処理を行う装置である。
【0091】
図5の半透膜処理装置8において、
図1または
図2のように半透膜被処理水槽16の半透膜被処理水出口からの半透膜被処理水供給配管52が1段目半透膜モジュールユニット120aの第一空間入口に接続されている。1段目半透膜モジュールユニット120aの各半透膜モジュールの第一空間出口と2段目半透膜モジュールユニット120bの各半透膜モジュールの第一空間入口とは、半透膜濃縮水配管124により接続されている。2段目半透膜モジュールユニット120bの各半透膜モジュールの第一空間出口と3段目半透膜モジュールユニット120cの各半透膜モジュールの第一空間入口とは、半透膜濃縮水配管126により接続されている。3段目半透膜モジュールユニット120cの各半透膜モジュールの第一空間出口と4段目半透膜モジュールユニット120dの各半透膜モジュールの第一空間入口とは、半透膜濃縮水配管128により接続されている。4段目半透膜モジュールユニット120dの各半透膜モジュールの第一空間出口には、半透膜濃縮水配管130が接続されている。半透膜濃縮水配管130から分岐した半透膜濃縮水配管132が、4段目半透膜モジュールユニット120dの各半透膜モジュールの第二空間入口に接続されている。4段目半透膜モジュールユニット120dの各半透膜モジュールの第二空間出口と、3段目半透膜モジュールユニット120cの各半透膜モジュールの第二空間入口とは、半透膜希釈水配管134により接続されている。3段目半透膜モジュールユニット120cの各半透膜モジュールの第二空間出口と、2段目半透膜モジュールユニット120bの各半透膜モジュールの第二空間入口とは、半透膜希釈水配管136により接続されている。2段目半透膜モジュールユニット120bの各半透膜モジュールの第二空間出口と、1段目半透膜モジュールユニット120aの各半透膜モジュールの第二空間入口とは、半透膜希釈水配管138により接続されている。1段目半透膜モジュールユニット120aの各半透膜モジュールの第二空間出口からの半透膜希釈水配管140は、
図1または
図2のように半透膜希釈水槽20の入口に接続されている。
【0092】
半透膜モジュールユニット120は、半透膜34で仕切られた第一空間30および第二空間32を有する半透膜モジュール18を備える多段式の半透膜モジュールユニットを用い、第1段の半透膜モジュールユニットの各半透膜モジュールの第一空間に硫酸アンモニウム溶液を供給し、その濃縮水を順次次段の半透膜モジュールユニットの各半透膜モジュールの第一空間に直列的に通水し、最終段の半透膜モジュールユニットの各半透膜モジュールの濃縮水の少なくとも一部を自身の第二空間に供給し、得られる希釈水をその前段の半透膜モジュールユニットの各半透膜モジュールの第二空間32に直列的に通水し、各段の第一空間30を加圧することによってその第一空間30に含まれる水を半透膜34を介して第二空間32に透過させて水を濃縮する装置である。すなわち、半透膜モジュールユニット120において、半透膜34を用いて硫酸アンモニウム溶液が濃縮され、その濃縮水がさらに次の段の半透膜34を用いて濃縮される。
【0093】
硫酸アンモニウム溶液は、
図1または
図2のように加圧ポンプ26によって半透膜被処理水供給配管52を通して、1段目半透膜モジュールユニット120aの各半透膜モジュールの第一空間30へ送液される。一方、後述する4段目半透膜モジュールユニット120dの各半透膜モジュールの第二空間32、3段目半透膜モジュールユニット120cの各半透膜モジュールの第二空間32、2段目半透膜モジュールユニット120bの各半透膜モジュールの第二空間32を経由して送液された半透膜希釈水が半透膜希釈水配管138を通して、1段目半透膜モジュールユニット120aの各半透膜モジュールの第二空間32へ送液される。1段目半透膜モジュールユニット120aの各半透膜モジュールにおいて、第一空間30が加圧されてその第一空間30に含まれる水が半透膜34を介して第二空間32に透過される(濃縮工程(1段目))とともに、第二空間32で半透膜希釈水が得られる(希釈工程(1段目))。1段目半透膜モジュールユニット120aの各半透膜モジュールの第一空間30で得られた半透膜濃縮水は、半透膜濃縮水配管124を通して、2段目半透膜モジュールユニット120bの各半透膜モジュールの第一空間30へ送液される。1段目半透膜モジュールユニット120aの各半透膜モジュールの第二空間32で得られた半透膜希釈水は、第二空間出口から半透膜希釈水配管140を通して排出されてもよいし、
図1または
図2のように逆浸透膜処理装置22に送液されてさらに逆浸透膜処理が行われてもよい。
【0094】
2段目半透膜モジュールユニット120bの各半透膜モジュールにおいて、後述する4段目半透膜モジュールユニット120dの各半透膜モジュールの第二空間32、3段目半透膜モジュールユニット120cの各半透膜モジュールの第二空間32を経由して送液された半透膜希釈水が半透膜希釈水配管136を通して、2段目半透膜モジュールユニット120bの各半透膜モジュールの第二空間32へ送液される。第一空間30が加圧されてその第一空間30に含まれる水が半透膜34を介して第二空間32に透過される(濃縮工程(2段目))とともに、第二空間32で半透膜希釈水が得られる(希釈工程(2段目))。2段目半透膜モジュールユニット120bの各半透膜モジュールの第一空間30で得られた半透膜濃縮水は、半透膜濃縮水配管126を通して、3段目半透膜モジュールユニット120cの各半透膜モジュールの第一空間30へ送液される。2段目半透膜モジュールユニット120bの各半透膜モジュールの第二空間32で得られた半透膜希釈水は、半透膜希釈水配管138を通して1段目半透膜モジュールユニット120aの各半透膜モジュールの第二空間32へ送液される。
【0095】
3段目半透膜モジュールユニット120cの各半透膜モジュールにおいて、後述する4段目半透膜モジュールユニット120dの各半透膜モジュールの第二空間32を経由して送液された半透膜希釈水が半透膜希釈水配管134を通して、3段目半透膜モジュールユニット120cの各半透膜モジュールの第二空間32へ送液される。第一空間30が加圧されてその第一空間30に含まれる水が半透膜34を介して第二空間32に透過される(濃縮工程(3段目))とともに、第二空間32で半透膜希釈水が得られる(希釈工程(3段目))。3段目半透膜モジュールユニット120cの各半透膜モジュールの第一空間30で得られた半透膜濃縮水は、半透膜濃縮水配管128を通して、4段目半透膜モジュールユニット120dの各半透膜モジュールの第一空間30へ送液される。3段目半透膜モジュールユニット120cの各半透膜モジュールの第二空間32で得られた半透膜希釈水は、半透膜希釈水配管136を通して2段目半透膜モジュールユニット120bの各半透膜モジュールの第二空間32へ送液される。
【0096】
4段目半透膜モジュールユニット120dの各半透膜モジュールにおいて、下記の通り4段目半透膜モジュールユニット120dの各半透膜モジュールの第一空間30で得られた半透膜濃縮水が、半透膜濃縮水配管130,132を通して第二空間32へ送液される。第一空間30が加圧されてその第一空間30に含まれる水が半透膜34を介して第二空間32に透過される(濃縮工程(4段目))とともに、第二空間32で半透膜希釈水が得られる(希釈工程(4段目))(以上、半透膜処理工程)。4段目半透膜モジュールユニット120dの各半透膜モジュールの第一空間30で得られた半透膜濃縮水は、半透膜濃縮水配管130を通して排出される。半透膜濃縮水配管130から分岐された半透膜濃縮水は、半透膜濃縮水配管132を通して、4段目半透膜モジュールユニット120dの各半透膜モジュールの第二空間32へ送液される。4段目半透膜モジュールユニット120dの各半透膜モジュールの第二空間32で得られた半透膜希釈水は、半透膜希釈水配管134を通して3段目半透膜モジュールユニット120cの各半透膜モジュールの第二空間32へ送液される。
【0097】
半透膜モジュールにおいて硫酸アンモニウム溶液を好ましい濃度まで濃縮するために、半透膜モジュールは直列で複数段組むことが好ましい。多段式の半透膜モジュールを用いる場合、半透膜モジュールの段数は、目的の半透膜濃縮水の濃度などによって決めればよい。例えば、より薄い濃度の硫酸アンモニウム溶液からより濃い濃度の半透膜濃縮水を得たい場合には、半透膜モジュールユニットの段数を増やせばよい。
【0098】
各段の膜モジュールとして、並列的に接続された複数本の半透膜モジュールを備える半透膜モジュールユニットを用いる場合、各半透膜モジュールユニットにおける半透膜モジュールの本数は、硫酸アンモニウム溶液の流量などによって決めればよい。
【0099】
1つ以上の段の半透膜モジュールに、半透膜濃縮水槽や半透膜希釈水槽を設けてもよいし、各段の半透膜モジュールに、半透膜濃縮水槽や半透膜希釈水槽を設けてもよい。
【0100】
本明細書は、以下の実施形態を含む。
(1)アンモニア含有水からアンモニアを分離し、分離した前記アンモニアを硫酸に吸収させて硫酸アンモニウム溶液を得る蒸留手段と、前記硫酸アンモニウム溶液を加圧する加圧手段と、半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する半透膜モジュールを用いて、前記硫酸アンモニウム溶液を前記第一空間に通水し、前記加圧手段による加圧によって前記第一空間を加圧して前記硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって半透膜濃縮水を得るとともに、前記第二空間に、前記硫酸アンモニウム溶液の一部または前記半透膜濃縮水の少なくとも一部を通水して半透膜希釈水を得る半透膜処理手段と、を備える、水処理装置。
【0101】
(2)アンモニア含有水からアンモニアを分離し、分離した前記アンモニアを硫酸に吸収させて硫酸アンモニウム溶液を得る蒸留手段と、前記硫酸アンモニウム溶液を加圧する加圧手段と、半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する、複数段に接続された半透膜モジュールを用いて、前記硫酸アンモニウム溶液を第1段の半透膜モジュールの第一空間に通水し、前記加圧手段による加圧によって前記第一空間を加圧して前記硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって半透膜濃縮水を得て、その半透膜濃縮水をさらに次段以降の半透膜モジュールを用いて半透膜濃縮水を得るとともに、各段の半透膜モジュールの第二空間に、前記硫酸アンモニウム溶液の一部または前記半透膜濃縮水の少なくとも一部または他の半透膜モジュールから得られる半透膜希釈水の少なくとも一部を通水して半透膜希釈水を得る半透膜処理手段と、を備える、水処理装置。
【0102】
(3)(1)または(2)に記載の水処理装置であって、前記蒸留手段が気液分離膜を有する、水処理装置。
【0103】
(4)(1)~(3)のいずれか1つに記載の水処理装置であって、前記アンモニア含有水が半導体工場から排出される排水である、水処理装置。
【0104】
(5)(1)~(4)のいずれか1つに記載の水処理装置であって、
前記硫酸が半導体工場から排出される廃硫酸である、水処理装置。
【0105】
(6)(1)~(5)のいずれか1つに記載の水処理装置であって、
前記アンモニア含有水のアンモニア態窒素濃度が、300mg/L以上7000mg/L以下の範囲である、水処理装置。
【0106】
(7)(1)~(6)のいずれか1つに記載の水処理装置であって、
前記半透膜処理手段に通水される硫酸アンモニウム溶液の硫酸アンモニウムの濃度が、20000mg/L以上100000mg/L以下の範囲であり、
前記半透膜処理手段で得られる半透膜濃縮水の硫酸アンモニウムの濃度が、25質量%以上である、水処理装置。
【0107】
(8)(1)~(7)のいずれか1つに記載の水処理装置であって、
前記硫酸アンモニウム溶液を貯留する循環槽と、
前記循環槽から排出された硫酸アンモニウム溶液を、前記蒸留手段を経て前記循環槽へ返送する循環ラインと、
前記硫酸アンモニウム溶液を前記循環槽から前記循環ラインに流通させる循環手段と、
前記硫酸アンモニウム溶液のpHを測定するpH測定手段と、
前記硫酸アンモニウム溶液の比重を測定する比重測定手段と、
をさらに備え、
前記pH測定手段の測定値が所定の値を超えると前記循環槽へ硫酸を補充し、前記比重測定手段の測定値が所定の範囲を超えると前記硫酸アンモニウム溶液の少なくとも一部を排出する、水処理装置。
【0108】
(9)アンモニア含有水からアンモニアを分離し、分離した前記アンモニアを硫酸に吸収させて硫酸アンモニウム溶液を得る蒸留工程と、前記硫酸アンモニウム溶液を加圧する加圧工程と、半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する半透膜モジュールを用いて、前記硫酸アンモニウム溶液を前記第一空間に通水し、前記加圧工程による加圧によって前記第一空間を加圧して前記硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって半透膜濃縮水を得るとともに、前記第二空間に、前記硫酸アンモニウム溶液の一部または前記半透膜濃縮水の少なくとも一部を通水して半透膜希釈水を得る半透膜処理工程と、を含む、水処理方法。
【0109】
(10)アンモニア含有水からアンモニアを分離し、分離した前記アンモニアを硫酸に吸収させて硫酸アンモニウム溶液を得る蒸留工程と、前記硫酸アンモニウム溶液を加圧する加圧工程と、半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する、複数段に接続された半透膜モジュールを用いて、前記硫酸アンモニウム溶液を第1段の半透膜モジュールの第一空間に通水し、前記加圧工程による加圧によって前記第一空間を加圧して前記硫酸アンモニウム溶液に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって半透膜濃縮水を得て、その半透膜濃縮水をさらに次段以降の半透膜モジュールを用いて半透膜濃縮水を得るとともに、各段の半透膜モジュールの第二空間に、前記硫酸アンモニウム溶液の一部または前記濃縮水の少なくとも一部または他の半透膜モジュールから得られる半透膜希釈水の少なくとも一部を通水して半透膜希釈水を得る半透膜処理工程と、を含む、水処理方法。
【0110】
(11)(9)または(10)に記載の水処理方法であって、前記蒸留工程において気液分離膜を用いる、水処理方法。
【0111】
(12)(9)~(11)のいずれか1つに記載の水処理方法であって、前記アンモニア含有水が半導体工場から排出される排水である、水処理方法。
【0112】
(13)(9)~(12)のいずれか1つに記載の水処理方法であって、
前記硫酸が半導体工場から排出される廃硫酸である、水処理方法。
【0113】
(14)(9)~(13)のいずれか1つに記載の水処理方法であって、
前記アンモニア含有水のアンモニア態窒素濃度が、300mg/L以上7000mg/L以下の範囲である、水処理方法。
【0114】
(15)(9)~(14)のいずれか1つに記載の水処理方法であって、
前記半透膜処理工程に通水される硫酸アンモニウム溶液の硫酸アンモニウムの濃度が、20000mg/L以上100000mg/L以下の範囲であり、
前記半透膜処理工程で得られる半透膜濃縮水の硫酸アンモニウムの濃度が、25質量%以上である、水処理方法。
【0115】
(16)(9)~(15)のいずれか1つに記載の水処理方法であって、
前記硫酸アンモニウム溶液を貯留する循環槽から排出された硫酸アンモニウム溶液を、前記蒸留工程を経て前記循環槽へ返送する循環工程と、
前記硫酸アンモニウム溶液のpHを測定するpH測定工程と、
前記硫酸アンモニウム溶液の比重を測定する比重測定工程と、
をさらに含み、
前記pH測定工程の測定値が所定の値を超えると前記循環槽へ硫酸を補充し、前記比重測定工程の測定値が所定の範囲を超えると前記硫酸アンモニウム溶液の少なくとも一部を排出する、水処理方法。
【実施例0116】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0117】
<実施例1>
[気液分離膜による蒸留処理]
以下の試験条件でアンモニア含有水の処理を行った。実験装置は、
図1に記載のアンモニア含有水槽10、気液分離装置12の部分の通りとし、加温設備をアンモニア含有水槽10に設置した。得られた気液分離膜一次側処理水を回収し、再度、気液分離装置に通水する操作を3回行った。また、気液分離膜二次側で得られたアンモニアを硫酸に吸収させて硫酸アンモニウム溶液を得た。
【0118】
JIS K0102 インドフェノール青吸光光度法にて気液分離膜一次側処理水のアンモニア態窒素濃度(NH4-N濃度(mg/L))を測定し、同方法にて定量したアンモニア態窒素濃度を硫酸アンモニウム濃度に換算して、硫酸アンモニウム溶液中の硫酸アンモニウム濃度(質量%)を求めた。結果を表1に示す。
【0119】
(試験条件)
・アンモニア含有水:硫酸アンモニウム試薬を純水に添加して表1に示す所定の濃度に調整した(実施例1-1:2000mg/L、実施例1-2:4000mg/L、実施例1-3:7000mg/L、)。
・気液分離装置の気液分離膜:ポリプロピレン製、多孔質中空糸膜モジュール
・膜面積:1.4m2×3本
・通水量:0.0385m3/h
・水温:38℃
・アンモニア含有水槽10において水酸化ナトリウム水溶液を添加してアンモニア含有水をpH>12に調整した。
・硫酸:50質量%
【0120】
【0121】
表1からわかるように、気液分離膜単独では、得られる硫酸アンモニウム溶液中の硫酸アンモニウムの濃度を25質量%まで上昇させることができなかった。そこで、引き続き、得られた硫酸アンモニウム溶液について半透膜処理を行った。
【0122】
[半透膜による半透膜処理]
以下の試験条件で、上記にて得られた濃度の硫酸アンモニウム溶液を、半透膜を用いた半透膜モジュールで濃縮した。実験装置は、
図1に記載の半透膜被処理水槽16、半透膜モジュール18、半透膜希釈水槽20の部分の通りとし、半透膜希釈水槽20の半透膜希釈水を半透膜被処理水槽16に循環した。
【0123】
(試験条件)
・半透膜:Hollosep mini(東洋紡製)
・膜面積:1.1m2
・通水量:20L
・供給圧力:5MPa
・循環流量:200mL/min
・水温:30℃
・半透膜被処理水槽16において硫酸を添加して硫酸アンモニウム溶液をpH5に調整した。
【0124】
半透膜モジュールで濃縮した結果、実施例1-1~実施例1-3の3つ条件全てにおいて、33質量%の硫酸アンモニウム溶液を得ることができた。
【0125】
実施例のように、アンモニア含有水を蒸留処理して得られた硫酸アンモニウム溶液を半透膜処理することによって、アンモニア含有水から安定して高濃度の硫酸アンモニウム溶液を得ることができることがわかった。
1,3 水処理装置、5,6,7,8 半透膜処理装置、10 アンモニア含有水槽、12 気液分離装置、14 循環槽、16 半透膜被処理水槽、18 半透膜モジュール、20 半透膜希釈水槽、22 逆浸透膜処理装置、24 pH測定装置、25 比重測定装置、26 加圧ポンプ、28 気液分離膜、30 第一空間、32 第二空間、34 半透膜、36 一次側、38 二次側、40 アンモニア含有水配管、42,80 アンモニア含有水供給配管、44 一次側処理水配管、46,48 循環配管、50 硫酸アンモニウム溶液配管、52,53 半透膜被処理水供給配管、54,56,100,102,104,106,124,126,128,130,132 半透膜濃縮水配管、58,59,108,110,112,134,136,138,140 半透膜希釈水配管、60 逆浸透膜被処理水供給配管、62 逆浸透膜透過水配管、64 逆浸透膜濃縮水配管、66,67 硫酸供給配管、70 放散塔、72 蒸気圧縮装置、74 リボイラー、76 気液分離槽、82,84,92 処理ガス配管、86 処理水配管、88,90 放散塔処理水配管、94 分離液配管、96 分離ガス配管、120,120a,120b,120c,120d 半透膜モジュールユニット。