(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025101363
(43)【公開日】2025-07-07
(54)【発明の名称】メータパネルユニットおよび作業車両
(51)【国際特許分類】
B60K 35/80 20240101AFI20250630BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20250630BHJP
【FI】
B60K35/80
B60R16/02 640K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023218170
(22)【出願日】2023-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【弁理士】
【氏名又は名称】北 倫子
(72)【発明者】
【氏名】替地 修也
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AA00
3D344AB03
3D344AB07
3D344AD01
(57)【要約】
【課題】低電圧時においてもメータパネルユニットの基本的な機能を維持する。
【解決手段】作業車両用のメータパネルユニットは、デジタルディスプレイと、前記デジタルディスプレイを制御するディスプレイコントローラと、前記メータパネルユニットの全体の動作を制御するメインコントローラと、を備える。前記メインコントローラの動作電圧は、前記ディスプレイコントローラの動作電圧よりも低い。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両用のメータパネルユニットであって、
デジタルディスプレイと、
前記デジタルディスプレイを制御するディスプレイコントローラと、
前記メータパネルユニットの全体の動作を制御するメインコントローラと、
を備え、
前記メインコントローラの動作電圧は、前記ディスプレイコントローラの動作電圧よりも低い、
メータパネルユニット。
【請求項2】
1つ以上のアナログメータおよび1つ以上のインジケータをさらに備え、
前記メインコントローラは、前記1つ以上のアナログメータおよび前記1つ以上のインジケータを制御する、
請求項1に記載のメータパネルユニット。
【請求項3】
前記メインコントローラは、前記ディスプレイコントローラを制御する、請求項1または2に記載のメータパネルユニット。
【請求項4】
前記作業車両に設けられたバッテリの出力電圧を第1電圧に降圧して前記メインコントローラに供給する第1電源回路と、
前記バッテリの出力電圧を前記第1電圧よりも高い第2電圧に降圧して前記ディスプレイコントローラに供給する第2電源回路と、
をさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載のメータパネルユニット。
【請求項5】
前記第1電圧は前記第2電圧よりも1ボルト以上低い、請求項4に記載のメータパネルユニット。
【請求項6】
前記第1電圧は前記第2電圧よりも2ボルト以上低い、請求項4に記載のメータパネルユニット。
【請求項7】
前記メインコントローラは、前記バッテリの出力電圧を監視し、前記出力電圧が前記ディスプレイコントローラの動作に必要な閾値を下回ったとき、前記ディスプレイコントローラをシャットダウンさせる、請求項4に記載のメータパネルユニット。
【請求項8】
前記メインコントローラは、前記ディスプレイコントローラをシャットダウンさせた後、前記メータパネルユニットにおける前記デジタルディスプレイ以外の機器の制御を継続する、請求項7に記載のメータパネルユニット。
【請求項9】
前記メインコントローラは、外部装置との通信を行う通信インタフェースをさらに備え、前記バッテリの出力電圧を監視し、前記出力電圧が前記ディスプレイコントローラの動作に必要な閾値を下回ったとき、前記出力電圧が前記ディスプレイコントローラの動作に必要な閾値を下回ったことを示す情報を前記外部の装置に送信する、請求項4に記載のメータパネルユニット。
【請求項10】
前記メインコントローラの最低動作電圧は3ボルト以上であり、
前記ディスプレイコントローラの最低動作電圧は6ボルト以上である、
請求項1から9のいずれか1項に記載のメータパネルユニット。
【請求項11】
請求項1から3のいずれか1項に記載のメータパネルユニットを備えた作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メータパネルユニットおよび作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代農業として、ICT(Information and Communication Technology)およびIoT(Internet of Things)を活用したスマート農業の研究開発が進められている。圃場で使用されるトラクタなどの作業車両の自動化および無人化に向けた研究開発も進められている。例えば、精密な測位が可能なGNSS(Global Navigation Satellite System)などの測位システムを利用して自動操舵で走行する作業車両が実用化されてきた。
【0003】
トラクタなどの農業用作業車両の運転席の正面には、走行速度、エンジンの負荷状態、作業車両の各部の状態を表示して運転者(オペレータ)に通知するメータパネルユニットが設けられている。
【0004】
特許文献1は、一般的な乗用車用のメータユニットを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トラクタなどの農業機械に備え付けられるメータパネルには、走行または作業中の車両に関する種々の情報をオペレータに的確に通知することが求められる。また、このような農業機械は、屋外で様々な作業を実行するため、一般の乗用車に比べて、より多くの情報を表示する必要がある。農業機械がスマート農業に用いられる場合は、更に多くの情報を表示することが必要になる。しかし、メータパネルに表示される情報の量が増大するほど、視認性が低下し、運転者が必要な情報を取得することが難しくなる。
【0007】
また、このようなメータパネルに求められる要求の高まりは、農業機械だけでなく、建設現場での作業に用いられる建設機械についても同様である。以下、移動型の農業機械および建設機械を総称して「作業車両」と称することとする。
【0008】
本開示では、このような課題を解決することが可能なメータパネルユニットを提供する。特に、本開示は、メータパネルユニットに供給される電圧が低い場合においても、基本的な機能を維持することが可能なメータパネルユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、以下の項目に記載の解決手段を提供する。
【0010】
[項目1]
作業車両用のメータパネルユニットであって、
デジタルディスプレイと、
前記デジタルディスプレイを制御するディスプレイコントローラと、
前記メータパネルユニットの全体の動作を制御するメインコントローラと、
を備え、
前記メインコントローラの動作電圧は、前記ディスプレイコントローラの動作電圧よりも低い、
メータパネルユニット。
【0011】
[項目2]
1つ以上のアナログメータおよび1つ以上のインジケータをさらに備え、
前記メインコントローラは、前記1つ以上のアナログメータおよび前記1つ以上のインジケータを制御する、
項目1に記載のメータパネルユニット。
【0012】
[項目3]
前記メインコントローラは、前記ディスプレイコントローラを制御する、項目1または2に記載のメータパネルユニット。
【0013】
[項目4]
前記作業車両に設けられたバッテリの出力電圧を第1電圧に降圧して前記メインコントローラに供給する第1電源回路と、
前記バッテリの出力電圧を前記第1電圧よりも高い第2電圧に降圧して前記ディスプレイコントローラに供給する第2電源回路と、
をさらに備える、項目1から3のいずれか1項に記載のメータパネルユニット。
【0014】
[項目5]
前記第1電圧は前記第2電圧よりも1ボルト以上低い、項目4に記載のメータパネルユニット。
【0015】
[項目6]
前記第1電圧は前記第2電圧よりも2ボルト以上低い、項目4に記載のメータパネルユニット。
【0016】
[項目7]
前記メインコントローラは、前記バッテリの出力電圧を監視し、前記出力電圧が前記ディスプレイコントローラの動作に必要な閾値を下回ったとき、前記ディスプレイコントローラをシャットダウンさせる、項目4から6のいずれか1項に記載のメータパネルユニット。
【0017】
[項目8]
前記メインコントローラは、前記ディスプレイコントローラをシャットダウンさせた後、前記メータパネルユニットにおける前記デジタルディスプレイ以外の機器の制御を継続する、項目7に記載のメータパネルユニット。
【0018】
[項目9]
前記メインコントローラは、外部装置との通信を行う通信インタフェースをさらに備え、前記バッテリの出力電圧を監視し、前記出力電圧が前記ディスプレイコントローラの動作に必要な閾値を下回ったとき、外部装置へ前記出力電圧が前記ディスプレイコントローラの動作に必要な閾値を下回ったことを示す情報を送信する、項目4から8のいずれか1項に記載のメータパネルユニット。
【0019】
[項目10]
前記メインコントローラの最低動作電圧は3V以上であり、
前記ディスプレイコントローラの最低動作電圧は6V以上である、
項目1から9のいずれか1項に記載のメータパネルユニット。
【0020】
[項目11]
項目1から10のいずれか1項に記載のメータパネルユニットを備えた農業機械。
【0021】
本開示の包括的または具体的な態様は、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、もしくはコンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体、またはこれらの任意の組み合わせによって実現され得る。コンピュータが読み取り可能な記憶媒体は、揮発性の記憶媒体を含んでいてもよいし、不揮発性の記憶媒体を含んでいてもよい。装置は、複数の装置で構成されていてもよい。装置が2つ以上の装置で構成される場合、当該2つ以上の装置は、1つの機器内に配置されてもよいし、分離した2つ以上の機器内に分かれて配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本開示の実施形態によれば、農作業時に必要な多様な情報を視認性良く表示することができる情報表示システム、当該情報表示システムを備える作業車両、および画像を表示するための表示方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】本開示の実施形態における作業車両の例を模式的に示す側面図である。
【
図1B】作業車両が備えるキャビンの内部に設けられる操作スイッチ群および操作端末の例を示す図である。
【
図1C】本開示の実施形態における作業車両の他の例を模式的に示す側面図である。
【
図1D】本開示の実施形態において、作業車両の運転席の正面に位置するステアリングホイールの背後に取り付けられた状態のメータパネルユニットを模式的に示す正面図である。
【
図2】本実施形態によるメータパネルユニットの主な構成要素の配置の例を示す正面図である。
【
図3】本実施形態によるメータパネルユニットの壁面部の構成例を示す斜視図である。
【
図4】本実施形態によるメータパネルユニットの透明カバーの構成例を示す斜視図である。
【
図5】本実施形態によるメータパネルユニットのインジケータの配置の例を示す正面図である。
【
図6】本実施形態によるメータパネルユニットのディスプレイ素子に各種情報が表示されている状態の例を示す正面図である。
【
図7】本実施形態によるメータパネルユニットにおけるアナログメータの斜視図である。
【
図8】第1のアナログメータ、円弧型インジケータ、および見返し板の配置関係を示す正面図である。
【
図9】円弧型インジケータの構成例を示す正面図である。
【
図10】第2のアナログメータおよび第2の円弧型インジケータを示す正面図である。
【
図11】本実施形態における情報表示システムの構成例を模式的に示すブロック図である。
【
図12】制御装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図13】制御装置がメータパネルユニットに内蔵されている例を示す図である。
【
図14A】円弧型インジケータの発光領域から放射される光の色と同一の色の円弧が表示されている例を模式的に示す正面図である。
【
図14B】円弧型インジケータの発光領域から放射される光の色と同一の色の円弧と、同一の色の円弧を含む他の形状物が表示されている例を模式的に示す正面図である。
【
図16】表示領域のセグメンテーションの例を模式的に示す図である。
【
図17】メータパネルユニットの構成例を示すブロック図である。
【
図18】メータパネルユニットの動作の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態によるメータパネルユニットを説明する。なお、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一または同等の部分を示す。
【0025】
以下の実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明を以下の実施形態に限定しない。構成要素のサイズ、材料、形状、相対的配置などの記載は、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図している。各図面が示す部材の大きさおよび位置関係は、理解を容易にするために誇張している場合がある。
【0026】
<作業車両の概略構成>
図1Aは、本実施形態における作業車両200の例を模式的に示す側面図である。図示される作業車両200は、インプルメント(交換可能な作業装置)300を牽引するトラクタである。
【0027】
図1Aに示される作業車両200は、車体201と、原動機(エンジン)202と、変速装置(トランスミッション)203とを備える。車体201には、タイヤ付き車輪204を含む走行装置と、キャビン205とが設けられている。走行装置は、4つの車輪204と、4つの車輪を回転させる車軸、および各車軸の制動を行う制動装置(ブレーキ)を含む。この例における車輪204は、一対の前輪204Fと一対の後輪204Rとを含む。前輪204Fおよび後輪204Rの一方または両方は、タイヤ付き車輪ではなく無限軌道(track)を装着した複数の車輪(クローラ)に置き換えられてもよい。
【0028】
キャビン205の内部には、本開示の実施形態に係るメータパネルユニット100、運転席207、ステアリングホイール220、および操作のためのスイッチ群が設けられている。
【0029】
図1Bは、作業車両200が備えるキャビン205の内部に設けられる操作スイッチ群801および操作端末802の例を示す図である。
【0030】
キャビンの内部には、ユーザが操作可能な複数のスイッチを含む操作スイッチ群801が配置されている。操作スイッチ群801は、例えば、主変速または副変速の変速段を選択するためのスイッチ、前進と後進とを切替えるためのスイッチ、およびインプルメントを昇降するためのスイッチ等を含む。
【0031】
操作端末802は、作業車両の走行およびインプルメントの動作に関する操作をユーザが実行するための端末であり、バーチャルターミナル(VT)とも称される。操作端末802は、タッチスクリーン型の表示装置、および/または1つ以上のボタンを備え得る。表示装置は、例えば液晶または有機発光ダイオード(OLED)などのディスプレイであり得る。
【0032】
再び
図1Aを参照する。
図1Aの作業車両200は、作業車両200の周囲をセンシングする複数の外界センサを備える。外界センサは、複数のカメラ270、複数の障害物センサ295、および複数のLiDARセンサ290などの各種のセンサを含み得る。カメラ270は、例えば作業車両200の前後左右に設けられ得る。カメラ270は、作業車両200の周囲の環境を撮影し、画像データを生成する。カメラ270が取得した画像は、例えば遠隔監視を行うための端末装置に送信され得る。カメラ270は必要に応じて設けられ、その個数は任意である。LiDARセンサ290は、作業車両200の周辺環境に位置する物体の分布を示すセンサデータを出力する外界センサの一例である。
図1Aの例では、2つのLiDARセンサ290が、キャビン205上の前部および後部に配置されている。LiDARセンサ290は、他の位置(例えば、車体201の前面下部など)に設けられていてもよい。各LiDARセンサ290は、作業車両200が走行している間、周囲の環境に存在する物体の各計測点までの距離および方向、または各計測点の3次元の座標値を示すセンサデータを繰り返し出力する。LiDARセンサ290の個数は2個に限らず、1個または3個以上でもよい。
図1Aの例において、複数の障害物センサ295は、キャビン205の前部および後部に設けられている。障害物センサ295は、他の部位にも配置され得る。障害物センサ295は、例えばレーザスキャナまたは超音波ソナーを含み得る。LiDARセンサ290および障害物センサ295は、例えば作業車両200が自動運転モードで走行するときに有効化され得る。LiDARセンサ290および障害物センサ295は、必要に応じて設けられ、それぞれの個数は任意である。LiDARセンサ290および障害物センサ295の一方のみが作業車両200に設けられていてもよい。作業車両200が自動運転機能を有しない場合のように、それらが必要でない場合には、作業車両200はLiDARセンサ290および障害物センサ295を備えていなくてもよい。
【0033】
作業車両200は、さらに、GNSSユニット260を備える。GNSSは、GPS(Global Positioning System)、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System、例えばみちびき)、GLONASS、Galileo、およびBeiDouなどの衛星測位システムの総称である。GNSSユニット260は、複数のGNSS衛星から送信される衛星信号(GNSS信号とも称する。)を受信し、衛星信号に基づいて測位を行う。GNSSユニット260は、キャビン205の上部に設けられているが、他の位置に設けられていてもよい。
【0034】
原動機202は、例えばディーゼルエンジンであり得る。ディーゼルエンジンに代えて電動モータが使用されてもよい。変速装置203は、変速によって作業車両200の推進力および移動速度を変化させることができる。変速装置203は、作業車両200の前進と後進とを切り換えることもできる。
【0035】
車体201の後部には、連結装置208が設けられている。連結装置208は、例えば3点支持装置(「3点リンク」または「3点ヒッチ」とも呼ばれる。)、PTO(Power Take Off)軸、ユニバーサルジョイント、および通信ケーブルを含む。連結装置208によってインプルメント300を作業車両200に着脱することができる。連結装置208は、例えば油圧装置によって3点リンクを昇降させ、インプルメント300の位置または姿勢を変化させることができる。また、ユニバーサルジョイントを介して作業車両200からインプルメント300に動力を送ることができる。作業車両200は、インプルメント300を引きながら、インプルメント300に所定の作業を実行させることができる。連結装置は、車体201の前方に設けられていてもよい。その場合、作業車両200の前方にインプルメントを接続することができる。
【0036】
図1Aに示されるインプルメント300は、例えば作物に薬剤を噴霧するスプレイヤであるが、インプルメント300はスプレイヤに限定されない。例えば、モーア(草刈機)、シーダ(播種機)、スプレッダ(施肥機)、レーキ、ベーラ(集草機)、ハーベスタ(収穫機)、プラウ、ハロー、またはロータリなどの、任意のインプルメント300を作業車両200に接続して使用することができる。
【0037】
このように、スマート農業に用いられる作業車両200は、種々のセンサを搭載しており、各種のインプルメント300とともに様々な作業を実行する。そのような作業の過程においては、運転者(ユーザまたはオペレータ)に対して走行状態および作業状態に関する様々な情報を与える必要がある。このため、メータパネルユニット100に表示されるべき情報は、作業の内容および段階に応じて多様に変化し得る。
【0038】
なお、トラクタなどの作業車両200は、手動運転、自動操舵、または自動運転で走行するように構成されていてもよい。
【0039】
本実施形態におけるインプルメントの他の例は、先端にアタッチメントを着脱することが可能なローダである。ローダの先端には、作業内容によって異なる種々のアタッチメントが取り付けられる。アタッチメントは、例えば、ベールグラブ、サイレージグラブなどのグラブ、ロールフォーク、スーパーパレットフォークなどのフォーク、またはバケットである。
【0040】
図1Cは、本実施形態における作業車両200Aの例を模式的に示す側面図である。図示される作業車両200Aは、車両の前方にフロントローダ(以降、単に「ローダ」と記載する。)700が連結されたトラクタである。ローダ700の先端にアタッチメントとしてバケット703が取り付けられている。なお、本実施形態におけるローダは、フロントローダに限定されず、車両の後方に連結されるローダであってもよい。
【0041】
図1Cに例示されるローダ700は、支持フレーム701、ブーム702、バケット703、バケットシリンダ704、およびブームシリンダ705を備える。ローダ700は、更に、ローダの動作を制御するマイクロコントローラ710(
図11参照)を備える。支持フレーム701は、車体201のフレームに固定される。ブーム702は、アーム状の構造を備え、車両の前方および上方に延びるように支持フレーム701に回転可能に支持される。バケット703は、ブーム702の端部によって回転可能に支持される。本実施形態において、ブーム702を回転可能に支持する支点(または回転軸)を「ブーム支点」、バケット703を回転可能に支持する支点(または回転軸)を「バケット支点」と呼ぶ。
【0042】
本実施形態におけるローダ700は、油圧カプラおよび電源コネクタを介して車体201に連結される。ローダ700は、油圧弁を有する油圧システムを備え、油圧制御を受けて動作する。具体的には、ブームシリンダ705を油圧によって伸縮させることで、ブーム支点に位置する回転軸の周りにブーム702を回転させることができる。これにより、ローダ700(またはバケット703)を昇降させることが可能となる。また、バケットシリンダ704を油圧によって伸縮させることで、バケット支点に位置する回転軸の周りにバケット703を回転させることができる。これによって、バケット703のスクイ操作およびダンプ操作が可能となる。
【0043】
キャビン205の内部に設けられる操作スイッチ群801(
図1Bを参照)は、バケット703のダンプ操作およびスクイ操作を行うための操作レバーを含み得る。キャビン205の内部に、バケット703のダンプ操作、スクイ操作および昇降の操作を行うための操作ジョイスティックが設けられ得る。また、操作端末802は、油圧の流量調整用のボタン表示を含む、ローダの油圧制御バルブの設定画面を表示し得る。操作レバー、ジョイスティック、および操作端末802は、ローダのマイクロコントローラに電気的に接続される。ユーザは、操作レバー、ジョイスティック、および操作端末802の設定画面を操作することによって、ブーム702およびバケット703を動作させながら所望の作業を行うことができる。
【0044】
<メータパネルユニットの概略構成>
図1Dは、本開示の実施形態において、作業車両のひとつであるトラクタに取り付けられたメータパネルユニット100を模式的に示す正面図である。図示される例において、メータパネルユニット100は、トラクタの運転席の正面側に配置される。具体的には、メータパネルユニット100は、ステアリングホイール(ハンドル)220を回転可能に支持するハンドルステー230の上方において、メータカバー240の開口部に嵌め込まれている。この例におけるステアリングホイール220は、中央のハブ(ホーンカバー)221と、ホーンカバー221から径方向に延びる3本のスポーク222A、222B、222Cと、スポーク222A、222B、222Cによって支持されるリム223とを有している。メータパネルユニット100は、運転席に着座する運転者から視認できる位置に設けられる。
図1Dの例では、スポーク222Aとスポーク222Bとの間にある開口部からメータパネルユニット100に表示される様々な情報が視認可能である。
【0045】
メータパネルユニット100は、視認性に優れることが求められる。特に自動操舵または自動運転が可能な移動型の作業車両では、様々な農作業を実行する過程で、一般の乗用車では表示されない様々な情報を表示することが求められる。このようなメータパネルユニット100にとって、その視認性は、様々な情報の中でも特に重要度の高い情報が見落とされないように高められることが望ましい。また、メータパネルユニット100を様々な種類の作業車両に搭載する場合、取り付けが容易に行える構造を有していることが望ましい。以下に説明するように、本実施形態におけるメータパネルユニット100は、視認性に優れ、取り付けも容易である。
【0046】
以下、
図2、
図3、および
図4を参照しながらメータパネルユニット100の概略構成を説明する。
図2は、本実施形態によるメータパネルユニット100の主な構成要素の配置の例を示す正面図である。
図3は、メータパネルユニット100の後述する壁面部の構成例を示す斜視図である。
図4は、メータパネルユニット100の後述する透明カバーの構成例を示す斜視図である。これらの図には、参考のため、互いに直交するX軸、Y軸、およびZ軸が示されている(右手座標系)。本明細書では、Y軸の正方向を上方、負方向を下方と呼ぶことがあり、X軸の正方向を右方向、負方向を左方向と呼ぶことがある。また、Z軸の正方向を正面の方向、負方向を背面の方向と呼ぶことがある。
【0047】
図2に示されるメータパネルユニット100は、第1のアナログメータ11と、第2のアナログメータ12と、第1および第2のアナログメータ11、12の間に設けられたディスプレイ素子13と、を有するメータ部10を備える。本明細書では、
図2に示されるメータ部10の表示をする部分を、メータ部10の表示面側と呼ぶこともある。
【0048】
第1のアナログメータ11は、指示針2Aを有し、第2のアナログメータ12は、指示針2B、2Cを有している。指示針2Aは、第1のアナログメータ11の中央付近に位置する回転軸の周りに回転可能に支持されている。指示針2Aは、指示針2Aの先が向く方向によって例えばエンジン回転数を示す。ここで「エンジン回転数」とは、単位時間(例えば1分)あたりのエンジンの回転数を意味する。指示針2B、2Cは、それぞれ、第2のアナログメータ12の異なる場所に位置する2つの回転軸の周りに回転可能に支持されている。指示針2Bは、指示針2Bの先が向く方向によって例えば燃料残量を示す。また、指示針2Cは、指示針2Cの先が向く方向によって例えばエンジン冷却水の温度(水温)を示す。指示針2A、2B、2Cは、メータ部10が備える駆動部(ムーブメント)によって駆動される。駆動部は、エンジン回転数、燃料残量、または水温などのセンサ出力を示す電気信号を受けとり、指示針2A、2B、2Cの向きを変える機械的運動に変換することができる。指示針2A、2B、2Cのそれぞれの駆動部は、ステッピングモータなどのアクチュエータを有している。
【0049】
ディスプレイ素子13は、アナログメータではなくデジタルメータである。ディスプレイ素子13は、例えば、液晶表示パネル、OLED(Organic Light Emitting Diode)などのアクティブマトリックスディスプレイである。以下の説明では、一例として、ディスプレイ素子13が液晶ディスプレイ(LCD)であるものとする。ディスプレイ素子13は、表示領域に二次元的に配列された多数の画素を有しており、多数の画素から発せられる光によって人の目に視認可能な表示が実現される。本実施形態におけるディスプレイ素子13では、各画素がRGBのサブ画素を含み、カラーの画像を表示することができる。ディスプレイ素子13は、アナログメータとは異なり、表示領域内の任意の位置に、任意の大きさの数字、文字、図形、アイコン、記号、静止画像、または動画像を表示することが可能である。厳密には、数字、文字、図形、アイコン、記号も、ディスプレイ素子13が表示領域に表示する画像(静止画像または動画像)の一部である。ディスプレイ素子13は、例えば、見かけ上、指示針を有するアナログメータの全体または一部に似た画像を表示することも可能である。ディスプレイ素子13が「アナログメータ」の画像を表示する場合、画像をフレーム単位で変化させることにより、画像内の「指示針」を動画の一部として任意の向きに回転させることも可能である。なお、作業車両がバッテリで駆動する電動車である場合、エンジン回転数、燃料残量、および水温の表示は、それぞれ、例えばモータ出力、バッテリ残量、およびバッテリ温度などの表示に置き換わり得る。
【0050】
ディスプレイ素子13のような表示装置が表示する「アナログメータ」の画像と、第1のアナログメータ11および第2のアナログメータ12との相違点は、前者は平面的であるのに対して、後者は立体的であることにある。また、前者は、アナログメータの指示針およびメモリの形、色、大きさも変化させることができるが、後者では、それらを変化させることは難しい。更に、前者では、視認性が画像のコントラストに左右されるため、日中の外光が強いとき、視認性の低下が生じる可能性があるのに対して、後者では、そのような可能性が相対的に小さい。これらのことを考慮して、本実施形態では、メータ部10に表示する情報の一部、特に重要性が高く視認性が強く求められる情報については、立体的な構造をもつアナログメータによって表示する。
【0051】
メータ部10を表示面側の正面からみたときのメータ部10の外形は、楕円に似た閉曲線であるが、メータ部10の外形は、このような例に限定されない。メータ部10を正面からみたときのメータ部10の外形は、概略的に、長方形であってもよいし、直線と曲線とが組み合わせられた図形であってもよい。
【0052】
メータパネルユニット100は、更に、メータ部10の表示面側に固定された壁面部20と、メータ部10の表示面に対向する透明カバー30とを備えている。
【0053】
壁面部20は、メータ部10の周縁に沿って、第1のアナログメータ11、ディスプレイ素子13、および第2のアナログメータ12の全体を囲んでいる。壁面部20は、例えばプラスチック(合成樹脂)から形成され得る。壁面部20は、メータ部10の表示面から、垂直方向(Z軸の正方向)に突出している。壁面部20は、メータ部10の表示面に対して垂直である必要はなく、Z軸から傾斜していてもよい。メータ部10の表示面から壁面部20の正面側の端までの距離(「高さ」とも呼ぶ。)は、メータ部10の周縁に沿って一定ではなく、周縁における位置に応じて変化し得る。
【0054】
透明カバー30は、
図4に示されるように、凹面32を含む正面部30Aと、正面部30Aの周縁から壁面部20の外側に沿って延びる側面部30Bと、を有している。透明カバー30の側面部30Bは、壁面部20の外側を全周にわたって覆うことができる。透明カバー30は、例えば無色透明のプラスチック(例えばアクリル)、またはガラスから形成され得る。本実施形態における透明カバー30の正面部30Aと側面部30Bとは、一体部品である。
【0055】
メータパネルユニット100が作業車両に取り付けられた状態において、メータ部10の法線方向から透明カバー30を見たとき、透明カバー30の正面部30Aは、手前に前傾していることが好ましい。このような正面部30Aの前傾があると、オペレータが透明カバー30越しにメータ部10を見るとき、オペレータの顔、およびオペレータの背景が透明カバー30に写り込みにくくなる。
【0056】
次に
図5を参照して、メータ部10のインジケータ領域を説明する。
図5の例において、メータ部10は、ディスプレイ素子13の上部に設けられたインジケータ領域14Tと、ディスプレイ素子13の下部に設けられたインジケータ領域14L、14Rとを有している。インジケータ領域14T、14L、14Rのそれぞれには、各種のインジケータが設けられている。それぞれのインジケータは、背後にあるLED(Light Emitting Diode)などの発光素子が点灯しているとき、警告などの所定の情報を提示する。
【0057】
なお、本実施形態では、ディスプレイ素子13の下部には、左右に分割された2つのインジケータ領域14L、14Rが配置されているが、2つのインジケータ領域を統合した1つのインジケータ領域が配置されていてもよい。
【0058】
ディスプレイ素子13の上方に位置するインジケータ領域14Tは、他のインジケータ領域14L、14Rに比べて、ステアリングホイール220のスポーク222A、222B、222Cによって視認が邪魔されにくい。このため、インジケータ領域14Tには、多数のインジケータの中から、特に重要な情報(警告レベルが高い情報)を示すインジケータ(例えば、照明装置の点灯状態、方向指示、運転者への警報などを示すインジケータ)が選択されて配置されることが好ましい。インジケータが表示する情報の「警告レベル」は、例えば、作業車両の取扱説明書において規定され得る。例えば、エンジンの異常または故障、前照灯の点灯の有無などの情報は高い警告レベルを有する。
【0059】
本実施形態では、インジケータ領域に配置される個々のインジケータは、特徴的な図形(アイコンおよび/または文字を含む)を規定する形状の透光領域と、背後に配置される発光素子によって構成されている。インジケータの点灯/消灯は、背後の発光素子の点灯/消灯によって実行され得る。個々のインジケータの背後には、例えば1個または2個の発光素子が配置される。
【0060】
次に
図6を参照して、ディスプレイ素子13の表示例を説明する。
図6の例において、ディスプレイ素子13の表示領域は、後述するように、幾つかの領域に区分されている。各領域に変速段階、車両速度、各種機能パフォーマンス表示、アワーメータなどの情報を示す「画像」が表示されている。この画像には、文字、数字、図形、アイコン、記号などによって表される各種の情報が含まれる。多様なデジタル画像は、視認性を高めるため、それぞれが異なる色によって示され得る。また、特にオペレータの注目を引くべきときには、文字、数字、図形、アイコン、記号の位置、大きさ、または色の少なくとも1つが変更されて強調した表示が行われ得る。このような強調した表示が行われるとき、スピーカなどの音響装置から音響または音声が発せられてもよい。
【0061】
<コミュニケーションリングおよび見返し板>
次に、
図7から
図9を参照して、円弧型インジケータ(C字型のコミュニケーションリング)および見返し板について説明する。
【0062】
本実施形態のメータパネルユニット100は、指示針2Aの可動領域11Xの周囲に配置された第1の円弧型インジケータ(コミュニケーションリング)40Aと、指示針2B、2Cの可動領域の周囲に配置された第2の円弧型インジケータ40B(
図10を参照)と、を備える。本開示における「円弧」とは、円(円周)の一部を意味するが、この円は「真円」に限定されず、楕円の一部のように曲率が緩やかに、または局所的に変化する部分を含んでいてもよい。
【0063】
第1の円弧型インジケータ40Aと第2の円弧型インジケータ40Bとは、左右対称の構造を有しているため、これらを総称して円弧型インジケータ40と称する。以下、簡単のため、第1の円弧型インジケータ(コミュニケーションリング)40Aを例にとり、円弧型インジケータ40の説明を行う。
【0064】
図7に示されるように、本実施形態のメータパネルユニット100は、円弧型インジケータ40の外側に位置する見返し板50を備えている。見返し板50は、壁面部20の材料と同一の材料(プラスチック)から形成されており、
図3に示されるように、壁面部20と一体化された部品である。見返し板50は、正面から見たとき、概略的に円弧型の形状を有している。見返し板50の上端50Tの高さ(すなわち、メータ部10の表示面からの距離)は、上側の端50Aから下側の端50Bまでの間で連続的に変化しており、中間の位置で最大である。見返し板50は、メータ部10から立ち上がる湾曲した壁である。
【0065】
図8は、第1のアナログメータ11、円弧型インジケータ40、および見返し板50の配置関係を示す正面図である。
図9は、主として円弧型インジケータ40の構成例を示す正面図である。第1のアナログメータ11、円弧型インジケータ40、および見返し板50は、いずれも、
図8に示されるE-E破線よりも右(X軸の正方向)に延びていない。E-E破線よりも右(X軸の正方向)には、ディスプレイ素子13が配置される。
【0066】
このような構成を採用することにより、指示針2Aの長さ、すなわち第1のアナログメータ11の半径を大きくしながら、第1のアナログメータ11の横方向(X軸方向)サイズの拡大を抑制することが可能になる。このことは、第2のアナログメータ12についても同様である。なお、メータ部10の横方向サイズを拡大することは、
図1Dに示されるように、ステアリングホイール220のスポーク222A、222Bが第1および第2のアナログメータ11、12の視認を妨げる可能性を大きくする。このため、メータ部10の横方向サイズを拡大することは好ましくない。本実施形態では、円形ではなく、E-E破線と円弧によって囲まれる形状の内側にアナログメータを収めることにより、限られた横方向サイズを有するメータ部10においても、第1および第2のアナログメータ11、12の視認性を高めつつ、ディスプレイ素子13の横方向(X軸方向)サイズの拡大を可能にする。また、第1および第2のアナログメータ11、12と、ディスプレイ素子13との境界を直線によって区切ることにより、アナログ情報とデジタル情報との表示エリアを明確に分けることができ、アナログ情報およびデジタル情報の両方の情報の視認性が高められる。
【0067】
上記の効果を得るためには、第1のアナログメータ11を囲むように配置される円弧型インジケータ40(40A)の「円弧」の中心角が180°よりも大きく、かつ、270°よりも小さいことが好ましい。「円弧」の中心角が180°以下であれば、第1のアナログメータ11の視認性が低下し、「円弧」の中心角が270°以上であれば、第1のアナログメータ11の横方向(X軸方向)の縮小効果が不十分になる。このことは、第2のアナログメータ12を囲む円弧型インジケータ40(40B)についても同様である。意匠性の観点から、左右の円弧型インジケータ40A、40Bは、ディスプレイ素子13の中心を通る垂直線に関して対称に配置されることが好ましい。
【0068】
円弧型インジケータ40は、指示針2Aの可動領域11Xと見返し板50との間に配置された少なくとも1つの発光領域42を有する。
図9に示される例では、複数の発光領域42が設けられている。この例において、個々の発光領域42は、細くて円弧状に延びる湾曲した形状を有している。そして、複数の発光領域42は、1列の円弧を形成するように配列されて円弧型インジケータ40を形成している。発光領域42の個数が1つである場合、1個の発光領域42が円弧の形状を有している。
【0069】
図に示される例において、第1のアナログメータ11は、円弧型インジケータ40と指示針2Aの可動領域11Xとの間に円弧型の目盛り17を有している。この目盛り17は、表示面から突出した立体形状を有するメモリ(立体目盛り)であり、壁面部20および見返し板50とともにプラスチックから一体的に形成されている。なお、目盛り17は、必ずしも立体形状を有している必要はないが、見やすさを高め観点からは、立体目盛りであることが望ましい。
【0070】
円弧型インジケータ40が有する複数の発光領域42は、それぞれが、光を発する素子(例えばLEDまたはOLED)から形成されていてもよいが、本実施形態では、メータ部10の表示面(すなわちメータ部10の筐体の正面側にある表面)に設けられた複数の透光領域、および、その背後に配置された1または複数の発光素子によって構成される。
【0071】
複数の発光素子は、異なる色の光を発する複数のLEDを含んでいてもよい。本実施形態において、複数の発光素子は、赤色光を放射するLED、緑色光を放射するLED、青色光を放射するLEDを含む。これらのLEDを選択的に発光させることにより、円弧型インジケータ40は、様々な色の光によって情報をオペレータに通知する機能を発揮できる。例えば、
図9に示される複数の発光領域42の全てから赤色光、緑色光、青色光を選択的に発することができる。また、複数の発光領域42のそれぞれに発光素子を割り当て、複数の発光素子から独立して光を放射させることにより、複数の発光領域42から順番(シーケンシャル)に光を発することも可能である。
【0072】
<立体目盛り>
次に、立体目盛り17について説明する。
図7および
図8に示されるように、立体目盛り17は、概略的にC文字を形成するように、円弧型インジケータ40の内側で円弧状に延びる。また、立体目盛り17は、
図3および
図7に示されるように、所定間隔で並んだ複数の切り欠き部17Aを有している。この切り欠き部17Aは、立体目盛り17の幅が局所的に小さくなった部分である。切り欠き部17Aの位置は、第1のアナログメータ11において指示針2Aの先が示す目盛りの位置と整合している。このような立体的な切り欠き部17Aが存在することにより、オペレータによる目盛りの読み取りが容易になる。
【0073】
図7に示されるように、見返し板50は、指示針2Aの可動領域11Xに向かって突出する複数の突出部52を有している。複数の突出部52は、立体目盛り17の切り欠きの位置、言い換えると、目盛りに整合する位置に設けられている。このため、立体目盛り17の切り欠き部17Aが突出部52と一体的な図形として認識され、目盛りの視認性が向上する。複数の突出部52は、それぞれ、円弧型インジケータ40における複数の発光領域42の間を跨いでいる。従って、複数の発光領域42の配列も目盛りの配列と整合している。
【0074】
図3からわかるように、複数の突出部52は、立体目盛り17と見返し板50とをブリッジとして連結している。また、見返し板50は壁面部20に連結されている。本実施形態では、壁面部20、見返し板50、および立体目盛り17は、樹脂から一体的に形成されている。そして、見返し板50から延びる複数の突出部52が円弧型インジケータ40における複数の発光領域42の境界部を規定している。
【0075】
次に
図10を参照して、第2のアナログメータ12および第2の円弧型インジケータ40Bについて説明する。第2の円弧型インジケータ40Bは、第1の円弧型インジケータ40Aと左右対称の関係にあり、その基本的な構成は同一である。第2の円弧型インジケータ40Bの外側には見返し板(右側見返し板)50が設けられている。左側見返し板50は、先に説明した見返し板(左側見返し板)50と左右対称の関係にある。
【0076】
第2の円弧型インジケータ40Bの内側には、立体目盛り17に相当する円弧型凸部17Xが設けられているが、この円弧型凸部17Xには切り欠き部は存在しない。円弧型凸部17Xと右側見返し板50との間には、第2の円弧型インジケータ40Bが有する複数の発光領域42を規定するように突出部(ブリッジ)52が等間隔で配列されている。
【0077】
第2の円弧型インジケータ40Bに囲まれる範囲に、第2の指示針2Bおよび第3の指示針2Cの可動領域13Xが配置されている。第2の指示針2Bの回転角度範囲2BMと第3の指示針2Cの回転角度範囲2CMは、互いに相似または合同の形状を外形として有している。
図10の例において、第2の指示針2Bの回転角度範囲2BMと第3の指示針2Cの回転角度範囲2CMは、上下対称であるが、このような例に限定されない。回転角度範囲2BMおよび回転角度範囲2CMは、例えば、一方を上下方向に平行移動したとき、互いに重なりあうような形状および大きさを有していてもよい。
【0078】
このような構成を採用することにより、第2の指示針2Bと第3の指示針2Cとの動きから目盛りを読みとることが直感的に可能であり、読み誤りが起きにくくなる。
【0079】
<情報表示システム>
以下、
図11から
図14を参照して、本開示の実施形態における情報表示システム500を説明する。
図11は、本開示の実施形態における情報表示システム500の構成例を模式的に示すブロック図である。情報表示システム500は、前述したメータパネルユニット100と、メータパネルユニット100を制御する制御装置400とを備える。制御装置400は、作業車両内に配置される電子制御ユニット(ECU)を含んでいてもよい。情報表示システム500は、ブザー、スピーカなどの音響装置を更に備え得る。
【0080】
情報表示システム500は、作業車両が備えるECU群610、センサ群620およびローダのマイクロコントローラ710にバスBを介して通信可能に接続される。ECU群610を総称して「車両制御装置」と呼んでもよい。本明細書では、作業車両が備える各種のECUを「車両ECU」、情報表示システム500が備える制御装置400におけるECUを「メータECU」と呼んで両者を区別する。各種の車両ECUとメータECUとが、例えばCAN(Controller Area Network)などのビークルバス規格に従って、相互に通信することができる。例えば、作業車両が備えるECU群610のうちの1つの車両ECUが、他の車両ECUからの信号、およびセンサ群620に含まれる各センサから出力されるセンサデータを受け取り、作業車両の状態に応じて、後述するような警告メッセージの表示、または、インジケータの点灯・消灯・点滅をメータECUに指示する。メータECUは、車両ECUからの指示を受け、表示領域に警告メッセージを表示させたり、インジケータを点灯、消灯または点滅させたりする。
【0081】
図11では、バスBの配線以外の配線の図示が簡略化されている。ただし、例えば、作業車両が備えるセンサ群620に含まれる1以上のセンサから制御装置400に信号を直接送信するための配線、または、後述する入力装置と制御装置400とを接続する配線が存在し得る。また、バッテリから、メータパネルユニット100、制御装置400、作業車両のECU群610およびセンサ群620のそれぞれに電力を供給するための電源配線が存在する。
【0082】
本実施形態における制御装置400の一つの例は、少なくとも一つのプロセッサと、プロセッサによって実行される制御プロセスを定義するコンピュータプログラム(コード)を格納する少なくとも一つのメモリと、を備えるコンピューティングデバイスである。制御装置400の他の例は、制御プロセスを実行するように構成されたFPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASSP(Application Specific Standard Product)、またはASIC(Application-Specific Integrated Circuit)などのハードウェアアクセラレータを備えるコンピューティングデバイスである。
【0083】
本実施形態における「プロセッサ」は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ISP(Image Signal Processor)、またはNPU(Neural Network Processing Unit)のようなハードウェア電子回路である。「メモリ」は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)のようなハードウェア電子回路である。メモリの一部は、配線またはネットワークによってプロセッサに接続されるストレージメディアであってもよい。これらのハードウェア電子回路は、一つ以上の集積回路(IC)または大規模集積回路(LSI)によって実装され得る。電子回路内の各機能ユニットまたはブロック、および関連コンポーネントは、個別の集積回路チップとして個別に製造されてもよいし、これらの機能ユニットまたはブロックの一部または全部を組み合わせて単一の集積回路チップとして製造されてもよい。
【0084】
プロセッサの動作を規定するプログラムは、本発明の実施形態における一つ以上の機能、操作、ステップ、またはプロセスをプロセッサが実行するように設計される。
【0085】
図12は、制御装置400のハードウェア構成例を示すブロック図である。制御装置400は、プロセッサ434、ROM435、RAM436、外部I/F437、および通信I/F438を備える。これらの構成要素は、バス439を介して相互に接続される。
【0086】
ROM435は、例えば、書き込み可能なメモリ(例えばPROM)、書き換え可能なメモリ(例えばフラッシュメモリ)、または読み出し専用のメモリである。ROM435は、プロセッサの動作を制御するプログラムを記憶している。ROM435は、単一の記録媒体である必要はなく、複数の記録媒体の集合であり得る。複数の集合体の一部は取り外し可能なメモリであってもよい。
【0087】
RAM436は、ROM435に格納されたプログラムをブート時に一旦展開するための作業領域を提供する。RAM436は、単一の記録媒体である必要はなく、複数の記録媒体の集合であり得る。
【0088】
外部I/F437は、メータパネルユニット100を外部機器に接続するためのインタフェースである。外部I/F437の例は、USB(Universal Serial Bus)インタフェース、および、デジタルまたはアナログ方式のビデオインタフェースを含む。
【0089】
通信I/F438は、制御装置400と他の電子部品またはECUとの間で通信を行うためのインタフェースである。例えば、通信I/F438は、CANまたはイーサネット(登録商標)等の種々のプロトコルに準拠した有線通信を行うことができる。通信I/F438は、Bluetooth(登録商標)規格および/またはWi-Fi(登録商標)規格に準拠した無線通信を行ってもよい。いずれの規格も、2.4GHz帯の周波数を利用した無線通信規格を含む。
【0090】
制御装置400は記憶装置を更に備え得る。記憶装置は、例えば、半導体メモリ、磁気記憶装置、または光学記憶装置、またはそれらの組合せであり得る。
【0091】
作業車両が備えるECU群610は、例えば、速度制御用のECU、ステアリング制御用のECUおよびインプルメント制御用のECUを含む。作業車両(例えばトラクタ)が自動運転で走行するように構成されている場合、ECU群610は、自動運転制御用のECUを更に含み得る。自動運転制御用のECUは、車両本体に搭載された各種のセンサから出力されたデータに基づいて、自動運転を実現するための演算および制御を行う。
【0092】
センサ群620は、例えば、温度センサ、照度センサ、燃料センサ、水温センサ、オイル残量計、エンジン回転センサ、車速センサ、バッテリ電圧センサ、シャトルセンサ、ハンドアクセルセンサ、アクセルペダルセンサ、主変速レバーセンサ、副変速レバーセンサ、シートベルトセンサ、PMセンサ、加速度センサ、角速度センサ、IMU(Inertial Measurement Unit)、地磁気センサ、撮像装置、LiDARセンサ、超音波センサ、障害物接触センサ、GNSS(Global Navigation Satellite System)レシーバを含み得る。
【0093】
情報表示システム500の制御装置400は、メータパネルユニット100内部の基板に実装される集積回路装置であってもよいし、メータパネルユニット100に外付けされる外部の集積回路装置であってもよい。また、制御装置400の機能の一部または全部が、1以上の車両ECUによって実現され得る。あるいは、制御装置400の機能の一部または全部が、通信ネットワークによって通信I/F438を介して接続される1または複数のサーバー(コンピュータ)によって実現され得る。このように、1以上の車両ECUおよび/または1以上のサーバーが制御装置400と協働して、情報表示システム500に求められる各種機能を実現し得る。この場合、車両ECUおよび/またはサーバーは、情報表示システム500の一部として機能する。
【0094】
図13は、制御装置400がメータパネルユニット100の内部に実装されている例を示すブロック図である。この例では、制御装置400は、2つのマイクロコントローラユニット(MCU)を含む。2つのMCUは、メインMCU420およびディスプレイMCU440である。メインMCU420は、メータパネルユニット100の動作全般を制御するコントローラである。メインMCU420は、「メインコントローラ」とも呼ばれ得る。ディスプレイMCU440は、LCD等のディスプレイ素子13(すなわちデジタルディスプレイ)の描画を制御するコントローラである。ディスプレイMCU440は、「ディスプレイコントローラ」または「LCU MCU」とも呼ばれ得る。
【0095】
メインMCU420は、例えばCPU424、ROM425、RAM426等の構成要素を備える。メインMCU420は、ハードウェアインジケータ群140、第1のアナログメータ11、および第2のアナログメータ12(本実施形態では2つのアナログメータ12A、12B)、ディスプレイMCU440を制御する。ハードウェアインジケータ群140は、円弧型インジケータ40、および
図5に示されるインジケータ領域14T、14L、14Rの背後にあるLED等の複数の発光素子を含む。ROM425は、CPU424によって実行されるソフトウェア(プログラムおよび処理に用いられる各種のデータ)を格納する不揮発性メモリである。メインMCU420は、CPU424が当該ソフトウェアを実行することにより、メータパネルユニット100の全体の動作を制御する。メインMCU420は、CAN等の車載ネットワークを介してメータパネルユニット100に接続された1つ以上の車両ECUと通信するためのインタフェースを備え得る。メインMCU420はまた、メータパネルユニット100に直接接続された機器との間でデジタル信号の入出力を可能にする外部インタフェースを備え得る。メインMCU420は、さらに、外部バッテリの電圧等のアナログ信号が入力されるアナログインタフェースも備え得る。
【0096】
ディスプレイMCU440は、例えばCPU444、GPU443、ROM445、RAM446等の構成要素を備える。ROM445は、CPU444およびGPU443によって実行されるソフトウェアを格納する不揮発性メモリである。ディスプレイMCU440は、CPU444およびGPU443が当該ソフトウェアを実行することにより、ディスプレイ素子13(すなわちデジタルディスプレイ)への描画を制御する。
【0097】
図13に示す例では、画像処理に特化したディスプレイMCU440が、メインMCU420とは別に設けられている。これは、比較的大型(例えば10インチ以上)かつ高精細なLCU等のディスプレイ素子13に、カラーのカメラ映像や3D表示などの比較的負荷の高い描画を実現するためである。本実施形態とは異なり、ディスプレイ素子13が小型であったり、モノクロ液晶ディスプレイであったりして、それほど高度な画像処理が必要でない場合には、ディスプレイMCU440を設けず、1つのコントローラ(すなわちメインMCU420)が、描画を含む全ての制御を行ってもよい。
【0098】
<円弧型インジケータおよびディスプレイ素子による情報表示>
本実施形態における情報表示システム500において、制御装置400は、作業車両の起動時、各種の情報をディスプレイ素子13に表示させる前に、円弧型インジケータ40によって情報を表示するように構成されている。このことは、起動時にオペレータが最初に知っておくべき情報を優先的に伝えることを可能にする。このような情報は、作業車両の状態(走行または作業にとって異常と分類される状態)を示す内容を有している。また、制御装置400は、発する光の色を情報の内容に応じて変化させるように動作する。例えば、起動時に異常が無い場合、制御装置400は、円弧型インジケータ40から青色の光を発し、例えば走行に問題が生じるような場合には、起動直後に異常を示す赤色の光を発するように動作し得る。走行に問題が生じるような場合の例は、バッテリの電圧異常、エンジンオイルの圧力異常、エンジンの異常加熱、ブレーキ系統の異常などを含む。なお、発光色は、青および赤に限定されず、緑であってもよい。
【0099】
更に、本実施形態において、制御装置400は、円弧の延長線上に位置する曲線状の画像をディスプレイ素子13に表示させるように構成されている。
図14Aは、円弧型インジケータ40の発光領域42から放射される光の色と同一の色の円弧13Aが表示されている例を模式的に示す正面図である。
図14Aには、一例として、円弧型インジケータ40の円弧と同心の円弧13Aが表示されている。
図14Bは、円弧型インジケータ40の発光領域42から放射される光の色と同一の色の円弧13Bと、同一の色の円弧を含む他の形状物13Cが表示されている例を模式的に示す正面図である。
図14Bに示される例における他の形状物13Cは直線部分である。制御装置400は、発光領域42の円弧と同心の円弧13Bと、円弧13Bに連結する直線部分をディスプレイ素子13に表示させる。当該直線部分は、第1のアナログメータ11とディスプレイ素子14との境界を規定する直線(
図14Bに示すE-E破線に相当)に平行に延びている。このような表示を行うことにより、第1のアナログメータ11を囲む円のうち、E-E破線によって切り取られた部分が第1のアナログメータ11の一部としてオペレータによって視認されるため、第1のアナログメータ11を大きく感じることができる。また、第1のアナログメータ11の一部であるかのように表示される画像(以下、「リング補完画像」と呼ぶ。)は、ディスプレイ素子13に表示される数値または文字などの情報によって部分的に見えなくなってもよい。形状物13Cと同様に円弧13Bの部分が直線形状を含んでいてもよい。ディスプレイ素子13に表示する部分が直線形状を含むことにより、シャープなデザインにすることができる。
【0100】
制御装置400は、
図14Aおよび
図14Bの例に限定されない様々な画像を円弧型インジケータ40の発光領域42から放射される光に合わせてディスプレイ素子13に表示させることができる。また、制御装置400は、円弧型インジケータ40の発光領域42の点滅に同期させて種々の画像をディスプレイ素子13に表示させることができる。このような円弧型インジケータ40の表示とディスプレイ素子13の表示とを強調または連動させることにより、円弧型インジケータ40の表示がオペレータに伝わり易くなる。
【0101】
<ディスプレイ素子の表示および操作の例>
メータパネルユニット100の起動後、ディスプレイ素子13の表示領域にホーム画面が表示される。
図15は、ホーム画面の例を示す図である。ホーム画面を起点に、ユーザが、後述する入力装置を利用して、表示領域上のコンテンツの表示を変更したり、各種の設定項目を選択したりする操作を行うことができる。
【0102】
図15に示される例において、ユーザによるインタラクティブな操作を可能とする入力装置170が、通信ケーブルを介してメータパネルユニット100に接続される。入力装置170は、例えばジョグダイヤルなどのセレクタスイッチ171および操作スイッチ172を有する。入力装置170は、メータパネルユニット100に無線または有線で接続され得る。入力装置170として、ユーザの操作を受け付ける任意の装置を用いることができる。入力装置170は、例えば、ロータリスイッチ、スライドスイッチ、押しボタンスイッチ、タッチスクリーン、ジョイスティック、またはそれらの二つ以上の組合せであってもよい。
【0103】
ディスプレイ素子13は、作業車両に関する情報を示す種々の画像が表示される表示領域を有する。作業車両に関する情報は、例えば、内燃機関(エンジン)、車両本体、PTO軸、油圧/3点ヒッチ、および、車両本体が備える電装品に関連する情報を含む。これらの情報は、車両システムの内部状態を示す情報である。車両本体に関連する情報は、例えば、車両の進行方向、クラッチ、変速、ブレーキ、枕地制御、およびクルーズ制御に関する情報を含む。更に、ディスプレイ素子13の表示領域には、例えばカメラ画像、ラジオ設定画面およびオーディオ設定画面を含む種々のコンテンツが表示され得る。
【0104】
<表示領域のセグメンテーション>
次に
図16を参照して、表示領域のセグメンテーションについて説明する。
図16は、表示領域のセグメンテーションの例を模式的に示す図である。ディスプレイ素子13の表示領域は複数のブロックに区分けされる。言い換えると、ディスプレイ素子13の表示領域は複数の領域を有する。
図16に示される例における複数の領域は、プライマリ領域131、サブ領域132およびLCDインジケータ領域133を含む。
図16におけるプライマリ領域131は、ディスプレイ素子13の表示領域のうちの点線で囲んだ領域である。サブ領域132は、ディスプレイ素子13の表示領域のうちの破線で囲んだ領域である。LCDインジケータ領域133は、ディスプレイ素子13の表示領域のうちの一点鎖線で囲んだ領域である。これらの3つの領域は互いに重ならない。なお、
図16における破線、点線、および一点鎖線は、わかり易さのために、一部が重なって記載されている。
【0105】
プライマリ領域131は、画像を最前面(または手前)に表示するための領域である。
図16に示される例におけるプライマリ領域131は矩形領域(またはパネル状の領域)である。ただし、プライマリ領域131の外形は、例えば、楕円、または直線と曲線とが組み合わせられた図形であってもよい。作業車両に関する情報のうちのより重要な情報(以下、「主要情報」と呼ぶ。)を示すプライマリ画像がプライマリ領域131に表示される。主要情報は、ユーザが優先的に知っておくべき情報であり、例えば、作業車両の進行方向、トランスミッション状態および車両速度(以下、「車速」と呼ぶ。)を示す情報を含む。
【0106】
このようにしてプライマリ領域131に表示されるプライマリ画像が示す主要情報は、表示領域の最前面に表示される。
図15に示されるように、プライマリ画像はリング補完画像よりも手前に表示される。このように、プライマリ画像は、他の画像またはコンテンツによって隠されることなく、ユーザに主要情報を適切に伝達することが可能である。従って、様々な情報の中でも特に重要度の高い主要情報の視認性が向上し、かつ、主要情報の見落としが低減される。
【0107】
図16に示される例では、プライマリ領域131は、横方向に延びる帯状の形状を有する。プライマリ領域131には、作業車両の走行状態に関する複数種類の情報が表示される。プライマリ領域131は、複数の領域に区分けされている。
図16の例では、プライマリ領域131は、横方向に並ぶ第1領域131A、第2領域131B、第3領域131C、および第4領域131Dに区分けされている。
【0108】
左端に位置する第1領域131Aは、作業車両のシャトルレバーの状態、すなわち進行方向を表示する。第1領域131Aは、例えば、シャトルレバーが前進(F)、中立(N)、後進(R)のいずれの状態にあるかを示す情報を表示する。
【0109】
左から2番目に位置する第2領域131Bは、トランスミッション状態、例えば作業車両の変速段の設定に関する情報を表示する。
図16の例では、第2領域131Bには、現在の主変速および副変速のそれぞれの設定が「B3」の記号で表示されている。「B」は副変速の設定段階を示し、「3」は主変速の設定段階を示す。第2領域131Bは、
図16に示すように、自動変速モードにあることを示すアイコン131B1、および自動変速モードにおける変速段階の範囲131B2を表示してもよい。
【0110】
第3領域131Cは、車速の情報を表示する。制御装置400は、例えば車両ECUからの指令に従い、車速の情報をキロメートル単位表示またはマイル単位表示に切り替えて表示する。
【0111】
右端の第4領域131Dは、進行方向、トランスミッション状態、車速以外の情報を表示する。
図16の例では、第4領域131Dには、アワーメータの計測値、すなわち作業車両のこれまでの稼働時間が表示されている。第4領域131Dには、アワーメータの計測値に限らず、他の情報が表示されることもある。例えば、エンジン回転数の上限設定値、またはメモリに記録されたエンジン回転数の目標値などの種々の情報が第4領域131Dに表示され得る。制御装置400は、例えば車両ECUからの指令に従い、第4領域131Dの表示を動的に変化させるように構成され得る。第4領域131Dは、後述する領域132Bとともに、作業車両の走行および作業のパフォーマンスを動的に表示する。このため、第4領域131Dを「ダイナミックパフォーマンスモニタ領域」と呼ぶことがある。
【0112】
サブ領域132はプライマリ領域131の下方に位置する。種々のコンテンツがサブ領域132に表示される。
図16に示される例におけるサブ領域132は、矩形領域であり、3種類の領域にさらに区分けされている。サブ領域132は、パフォーマンスモニタ領域132A、ダイナミックパフォーマンスモニタ領域132B、および2つのゲージ領域132Cを含む。
【0113】
パフォーマンスモニタ領域132Aは、サブ領域132に含まれる3つの領域の中でサイズが最も大きな領域であり、サブ領域132の中で上寄りに位置する。パフォーマンスモニタ領域132Aを、サブ領域132における「上側領域」と称することがある。パフォーマンスモニタ領域132Aは、主に、各種の機能パフォーマンス情報を示す様々な項目の中から、ユーザが選択した1以上の項目(以下、「選択項目」と呼ぶ。)を表示する。ユーザが選択することが可能な項目の例は、エンジン回転数、エンジン回転上限設定値、エンジン回転メモリの値、燃料消費量、燃費、移動距離、負荷率、PTO軸の回転数、スリップ率、ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)再生、および、作業面積に関する情報を含む。
【0114】
選択項目の画面は、ユーザが入力装置を操作することによって頁送りまたは頁戻しが可能な複数の頁から構成され得る。
図16には、複数の頁のうちの1つの頁に表示される複数の選択項目の例が示されている。
図16に示される例では、4個の選択項目が1つの頁に表示される。ただし、1つの頁に表示される選択項目の数は4個に限定されず、例えば2個、3個または5個以上であってもよい。
【0115】
ダイナミックパフォーマンスモニタ領域132Bは、サブ領域132の中で下寄りに位置する。ダイナミックパフォーマンスモニタ領域132Bを、サブ領域132における「下側領域」と称することがある。ダイナミックパフォーマンスモニタ領域132Bには、前述した各種の機能パフォーマンス情報を示す様々な項目が表示され得る。ダイナミックパフォーマンスモニタ領域132Bに表示される情報の表示は、例えば車両ECUからの指令を受けた制御装置400(例えばメータECU)によって制御され得る。制御装置400は、車両ECUからの指令に応じて、ダイナミックパフォーマンスモニタ領域132Bの表示を変更するように構成され得る。
図16に示すように、ダイナミックパフォーマンスモニタ領域132Bには、例えば2個の項目が表示され得る。ただし、項目の個数は2個に限定されない。ダイナミックパフォーマンスモニタ領域132Bには、
図15に示すように何も表示されないこともある。
【0116】
ゲージ領域132Cは、サブ領域132における右側および左側に位置する。左右の2つのゲージ領域132Cの間に、パフォーマンスモニタ領域132Aおよびダイナミックパフォーマンスモニタ領域132Bが位置する。右側および左側のそれぞれのゲージ領域132Cには、アイコンおよび目盛りを含むゲージ画像が表示され得る。ゲージ画像の例は、ディーゼルエキゾーストフルード(DEF)の残量、粒子物質(PM)堆積量およびタイヤの空気圧の残量に関する情報を含む。
【0117】
パフォーマンスモニタ領域132Aおよびダイナミックパフォーマンスモニタ領域132Bに表示される画像は、入力装置を用いたユーザの操作に応じて変更され得る。例えば、パフォーマンスモニタ領域132Aおよびダイナミックパフォーマンスモニタ領域132Bの全体に相当する領域に、カメラ画像、ラジオ設定もしくはオーディオ設定を行うための画像、フロントローダ制御を行うための画像、シリンダ流量制御を行うための画像、操作部材の設定を行うための画像、操舵アシスト制御を行うための画像、自動操舵制御を行うための画像、アタッチメント作業機制御を行うための画像、または、機能項目の一覧を表示するランチャー画像などが表示され得る。このように2以上の領域を統合して1つの領域として利用することによって、画像、コンテンツを比較的大きく表示することができる。
【0118】
LCDインジケータ領域133は、プライマリ領域131の上部に位置する。
図16に示される例におけるLCDインジケータ領域133は、プライマリ領域131およびサブ領域132と同様に矩形領域である。LCDインジケータ領域133は、作業車両の状態を示す情報、警告情報、メンテナンス関連情報などを表示するための領域として機能する。例えば、ブレーキ警告、燃料の残量警告などの警告を発すべき状態になれば点灯し、その状態が解消されれば消灯するインジケータがLCDインジケータ領域133に表示され得る。他の例として、DPF再生、エンジンオイル交換などのメンテナンスをユーザに促すために定期的に点灯するインジケータがLCDインジケータ領域133に表示され得る。更なる例として、エンジン回転数の上げ下げを要求するためのインジケータがLCDインジケータ領域133に表示され得る。LCDインジケータ領域133には、通常時にはいずれのインジケータも表示されず、黒い背景が表示される。警告またはメンテナンス情報を表示すべき状態になると、その警告またはメンテナンス情報に対応するインジケータが点灯する。LCDインジケータ領域133には、最大で例えば10個程度のインジケータが表示され得る。黒い背景にインジケータを強調して表示することができるため、オペレータまたはユーザがLCDインジケータの発生に気づきやすくすることができる。
【0119】
LCDインジケータ領域133は、
図5に示すインジケータ領域14Tの下方に位置する。インジケータ領域14Tに配置されるインジケータは、LEDなどの発光素子によって点灯するハードウェアインジケータである。これに対し、LCDインジケータ領域133に表示されるインジケータは、LCDへの描画処理によって点灯する。本明細書において、LEDによるハードウェアインジケータを「LEDインジケータ」、LCDインジケータ領域133に表示されるインジケータを「LCDインジケータ」と呼び、両者を区別する場合がある。
【0120】
図16に示すサブ領域132には、例えばエンジンまたは電装品の異常または故障が検出されたときに、異常または故障の内容をユーザに通知するためのメッセージ、または、車両システムの内部状態を警告するためのメッセージを含む画像(以下、「ポップアップ画像」と呼ぶ場合がある。)も表示され得る。また、サブ領域132には、メンテナンス情報を示すメッセージを含むポップアップ画像も表示され得る。
【0121】
<バッテリ低電圧時でも基本的な機能を維持するための構成例>
次に、メータパネルユニット100に電力を供給するバッテリの出力電圧が低い場合においても基本的な機能を維持することが可能なメータパネルユニット100の構成例を説明する。
【0122】
図17は、バッテリの出力電圧が低い場合でも基本的な機能を維持することが可能なメータパネルユニット100の構成例を示すブロック図である。このメータパネルユニット100は、
図13に示す例と同様、ディスプレイ素子13(デジタルディスプレイ)と、メータパネルユニット100の全体の動作を制御するメインMCU420(メインコントローラ)と、ディスプレイ素子13を制御するディスプレイMCU440(ディスプレイコントローラ)とを備えている。メインMCU420とディスプレイMCU440とは互いに接続されており、例えばSPI(Serial Peripheral Interface)通信によって相互に通信可能である。メインMCU420は、ディスプレイMCU440を制御することによってディスプレイ素子13への種々の情報の表示を実現する。メータパネルユニット100は、1つ以上のアナログメータ(
図17の例では複数のアナログメータ11、12A、12B)および1つ以上のインジケータ(
図17の例ではハードウェアインジケータ群140)も備える。メインMCU420は、これらのアナログメータ11、12A、12B、およびハードウェアインジケータ群140も制御する。
【0123】
図17に示すメータパネルユニット100は、
図13に示す構成要素に加えて、さらに第1電源回路151および第2電源回路152を備えている。第1電源回路151は、作業車両に設けられたバッテリ160とメインMCU420との間に接続されている。第2電源回路152は、バッテリ160とディスプレイMCU440との間に接続されている。第1電源回路151は、バッテリ160の出力電圧(以下、「バッテリ電圧」とも称する。)を、メインMCU420が必要とする第1電圧に降圧してメインMCU420に供給する。第2電源回路152は、バッテリ160の出力電圧を、ディスプレイMCU440が必要とする第2電圧に降圧してディスプレイMCU440に供給する。なお、本実施形態におけるバッテリ160は、メータパネルユニット100の外部に設けられているが、メータパネルユニット100がバッテリ160を備えていてもよい。バッテリ160は、作業車両が備える発電機(オルタネータ)によって充電される二次電池であり得る。
【0124】
本実施形態において、メインMCU420(すなわちメインコントローラ)の動作電圧は、ディスプレイMCU440(すなわちディスプレイコントローラ)の動作電圧よりも低い。ここで、コントローラの「動作電圧」は、そのコントローラが正常に(すなわち安定して)動作しているときにそのコントローラに印加される電圧の値または範囲を指す。特に、そのコントローラが正常に動作できる最低の電圧値を「最低動作電圧」と称する。本実施形態では、ディスプレイMCU440は、比較的高い処理能力を有するGPU443を備えており、比較的高度な画像処理が可能である。このため、ディスプレイMCU440の最低動作電力はメインMCU420の最低動作電力よりも高い。メインMCU420の最低動作電圧は例えば3ボルト(V)以上であり、ディスプレイMCU440の最低動作電圧は例えば6ボルト以上であり得る。メインMCU420の最低動作電圧は5ボルト以上であってもよく、ディスプレイMCU440の最低動作電圧は7ボルト以上であってもよい。ある例において、メインMCU420の動作電圧は、例えば3ボルトから6ボルトの範囲に含まれ、ディスプレイMCU440の動作電圧は、例えば6ボルトから8ボルトの範囲に含まれ得る。
【0125】
第1電源回路151および第2電源回路152は、メインMCU420に供給される第1電圧がディスプレイMCU440に供給される第2電圧よりも低くなるように設計されている。メインMCU420およびディスプレイMCU440が正常に動作しているとき、第1電圧は、第2電圧よりも例えば1ボルト以上、または2ボルト以上低い。
【0126】
ここで、バッテリ160に蓄積されたエネルギの消費により、バッテリ160の出力電圧がディスプレイMCU440の動作を維持できる閾値よりも低くなる場合がある。本実施形態におけるメインMCU420は、そのような低電圧状態において、ディスプレイMCU440の機能を停止または制限し、ディスプレイ素子13への表示以外の基本機能を維持しながら動作を継続する。具体的には、メインMCU420は、バッテリ160の出力電圧を監視し、当該出力電圧がディスプレイMCU440の動作に必要な閾値を下回ったとき、ディスプレイMCU440をシャットダウンさせる。バッテリ160の出力電圧の情報は、メータパネルユニット100におけるアナログ入力インタフェースを介してメインMCU420に入力される。メインMCU420は、ディスプレイMCU440をシャットダウンさせた後も、メータパネルユニット100におけるディスプレイ素子13以外の機器(ハードウェアインジケータ群140、およびアナログメータ11、12A、12B等)の制御を継続する。このような動作により、バッテリ電圧が低下した場合でも作業車両を停止することなく運転を継続することができる。
【0127】
メインMCU420は、外部装置との通信を行う通信インタフェースを備える。外部装置は、例えば作業車両に搭載された車両ECU、および/またはユーザが使用する携帯端末等を含み得る。通信インタフェースは、前述のように、例えばCAN等の有線通信インタフェース、または無線通信インタフェースを含み得る。メインMCU420は、バッテリ160の出力電圧を監視し、当該出力電圧がディスプレイMCU440の動作に必要な閾値を下回ったとき、当該出力電圧がディスプレイMCU440の動作に必要な閾値を下回ったことを示す情報を外部の装置に送信してもよい。そのような情報を受けた外部装置は、例えばバッテリ160の充電に関する動作を開始したり、ユーザにバッテリ160のエネルギ残量が少ないことを警告したりすることができる。
【0128】
次に、メインMCU420およびディスプレイMCU440の動作の具体例を説明する。
【0129】
図18は、メインMCU420およびディスプレイMCU440によって実行される動作の具体例を示すフローチャートである。
図18に示す動作は、作業車両のキースイッチ(すなわちイグニッションスイッチ)がONにされたときに開始される。以下、
図18に示す各ステップの動作を説明する。
【0130】
まず、メインMCU420のシステムが起動される(ステップS101)。システムの起動は、メインMCU420のCPU424がROM425に格納されたブートローダを実行してオペレーティングシステム(OS)を起動することによって行われ得る。
【0131】
システムが起動すると、メインMCU420は、バッテリ電圧が、ディスプレイMCU440の安定した動作に必要な閾値Vth以上であるか否かを判定する(ステップS102)。バッテリ電圧が閾値Vth以上である場合、ステップS103に進む。バッテリ電圧が閾値Vth未満である場合、ステップS111に進む。
【0132】
ステップS103において、メインMCU420は、ディスプレイMCU440に起動信号を送信する。起動信号は、ディスプレイMCU440を起動させるための信号である。なお、起動信号は、ディスプレイMCU440が起動していない場合にのみ送信される。既にディスプレイMCU440が起動している場合は、ステップS103の処理は省略され、ステップS104に進む。
【0133】
ディスプレイMCU440は、起動信号を受信すると(ステップS201におけるYES)、自身のシステムを起動させる(ステップS202)。システムの起動は、ディスプレイMCU440のCPU444がROM445に格納されたブートローダを実行してOSを実行することによって行われ得る。システム起動後、ディスプレイMCU440は、ディスプレイ素子13への表示動作を実行する(ステップS203)。
【0134】
ステップS103の後、メインMCU420は、通常モードでの動作を実行する(ステップS104)。通常モードにおいて、メインMCU420は、車両ECUおよび入力装置から入力された信号に基づいて、アナログメータ11、12A、12B、ハードウェアインジケータ群140、およびディスプレイMCU440を制御する。これにより、アナログメータ11、12A、12B、ハードウェアインジケータ群140、およびディスプレイ素子13による表示が制御される。ステップS104の後、ステップS120に進む。
【0135】
ステップS102において電圧が閾値Vth未満であると判定された場合、メインMCU420は、低電圧モードでの動作を実行する(ステップS111)。低電圧モードは、ディスプレイMCU440の動作を停止して、ディスプレイ素子13を駆動することなく、最小限の機能でメータパネルユニット100を駆動するモードである。低電圧モードに移行すると、メインMCU420は、終了信号をディスプレイMCU440に送信する(ステップS112)。終了信号は、ディスプレイMCU440の動作を停止させる信号である。なお、終了信号は、ディスプレイMCU440が起動している場合にのみ送信される。ディスプレイMCU440が停止している場合には、ステップS112の処理は省略される。ステップS112の後、ステップS120に進む。
【0136】
メインMCU420は、バッテリ電圧が閾値Vth未満であることを検知して低電圧モードに移行したとき、終了信号をディスプレイMCU440に送るだけでなく、外部装置に通知してもよい。例えば、ユーザが使用する携帯端末に通知してもよい。通知を受けた携帯端末は、バッテリ160のエネルギ残量が少ないことを警告する情報を表示することができる。
【0137】
ステップS120において、メインMCU420は、キースイッチがOFFにされたか否かを判定する。キースイッチがOFFにされた場合、ステップS121に進む。キースイッチがOFFにされていない場合、ステップS102に戻る。以後、キースイッチがOFFにされるまで、ステップS102、S103、S104、S111、S112の処理が繰り返される。
【0138】
ステップS121において、メインMCU420は、終了信号をディスプレイMCU440に送信する。なお、終了信号は、ディスプレイMCU440が起動している場合にのみ送信される。ディスプレイMCU440が起動していない場合は、ステップS121の処理は省略され、ステップS122に進む。ステップS122において、メインMCU420は、自身のシステムをシャットダウンさせる。
【0139】
ディスプレイMCU440は、終了信号を受信すると(ステップS204におけるYES)、自身のシステムをシャットダウンさせる(ステップS205)。以後、ディスプレイMCU440は、再び起動信号を受信するまで動作を停止する。ディスプレイMCU440の動作停止中は、ディスプレイ素子13への表示は停止される。
【0140】
以上の動作により、バッテリ電圧の低下を検知して、ディスプレイMCU440の動作を適切なタイミングで停止することができる。これにより、バッテリ電圧が低い状態でも、ディスプレイ素子13への表示以外の基本的な機能(例えば、ハードウェアインジケータ群140およびアナログメータ11、12A、12Bの制御)を継続することができる。結果として、低電圧状態でもユーザは車両を停止することなく、運転を継続することができる。
【0141】
なお、本実施形態では、メインコントローラおよびディスプレイコントローラとして、MCUが使用されているが、MCU以外の制御回路またはコンピューティングデバイスが用いられてもよい。また、メインコントローラによって制御されるハードウェアインジケータおよびアナログメータのそれぞれの個数は任意であり、複数に限らず1個であってもよい。
【0142】
以上の実施形態におけるメータパネルまたは情報表示システムを、それらの機能を有しない作業車両に後から取り付けることもできる。そのようなシステムは、作業車両とは独立して製造および販売され得る。そのようなシステムで使用されるコンピュータプログラムも、作業車両とは独立して製造および販売され得る。コンピュータプログラムは、例えばコンピュータが読み取り可能な非一時的な記憶媒体に格納されて提供され得る。コンピュータプログラムは、電気通信回線(例えばインターネット)を介したダウンロードによっても提供され得る。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本開示の技術は、例えばスマート農業に利用される様々な種類の作業車両に広く適用される。
【符号の説明】
【0144】
10・・・メータ部、11・・・第1のアナログメータ、12・・・第2のアナログメータ、13・・・ディスプレイ素子、14T・・・インジケータ領域、14L・・・インジケータ領域、14R・・・インジケータ領域、17・・・立体目盛り、20・・・壁面部、30・・・透明カバー、30A・・・透明カバーの正面部、30B・・・透明カバーの側面部、40・・・円弧型インジケータ、50・・・見返し板、100・・・メータパネルユニット、140・・・ハードウェアインジケータ群、151・・・第1電源回路、152・・・第2電源回路、160・・・バッテリ、400・・・制御装置、420・・・メインMCU、440・・・ディスプレイMCU、500・・・情報表示システム