(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025101385
(43)【公開日】2025-07-07
(54)【発明の名称】清掃装置
(51)【国際特許分類】
B08B 5/04 20060101AFI20250630BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20250630BHJP
【FI】
B08B5/04 Z
G03G21/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023218203
(22)【出願日】2023-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝口 明仁
【テーマコード(参考)】
2H134
3B116
【Fターム(参考)】
2H134GA01
2H134GA02
2H134GA04
2H134GA07
2H134GB02
2H134HF01
2H134HF02
2H134KF02
3B116AA18
3B116AB01
3B116AB33
3B116AB42
3B116BB71
(57)【要約】
【課題】清掃空間の気体を吸引して回転体の外周面から付着物を除去する構成において、回転体を回転させるための専用の駆動源を設けることなく回転体を回転させることである。
【解決手段】清掃装置は、清掃対象である回転体が配置される清掃空間が内部に形成された清掃部と、清掃空間から気体を吸引する吸引部と、吸引部の吸引に伴って生じる風によって回転する風車と、風車の回転を回転体に伝達する伝達部とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃対象である回転体が配置される清掃空間が内部に形成された清掃部と、
該清掃空間から気体を吸引する吸引部と、
該吸引部の吸引に伴って生じる風によって回転する風車と、
該風車の回転を該回転体に伝達する伝達部と、
を備える清掃装置。
【請求項2】
前記風車の回転軸及び前記回転体の回転軸は、一方向に延びている、
請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
前記吸引部によって気体を吸引する吸引方向は、前記一方向とされている、
請求項2に記載の清掃装置。
【請求項4】
前記清掃空間の一端は開口され、前記清掃空間の他端は閉塞されており、
前記吸引部は、前記他端に設けられ、前記清掃空間から継続して気体を吸引し、
前記回転体を支持すると共に前記開口から前記清掃空間に出入り可能とされる支持部と、
前記支持部が前記清掃空間の外部に移動した状態で、前記伝達部による回転の伝達を解除する解除部と、
を備える請求項1に記載の清掃装置。
【請求項5】
前記伝達部は、
前記回転体の回転軸に連結される連結軸と、
前記連結軸に取り付けられた一の歯車と、
前記風車の回転軸に取り付けられると共に前記一の歯車と噛み合う他の歯車と、を有し、
前記解除部は、前記一の歯車と前記他の歯車との噛み合いを前記支持部の移動に伴い解消することで前記伝達部による回転の伝達を解除する、
請求項4に記載の清掃装置。
【請求項6】
前記回転体を支持する支持部を備え、
前記風車は、前記支持部に対して、前記吸引部によって気体が吸引される側に配置されている、
請求項1に記載の清掃装置。
【請求項7】
前記清掃空間の一端は開口され、前記清掃空間の他端は閉塞されており、
前記伝達部及び前記風車は、前記支持部に取り付けられており、
前記支持部は、前記開口から前記清掃空間に出入り可能とされており、
前記清掃空間の内部に配置される前記支持部を前記清掃空間の外部に移動させた状態で、前記風車が前記支持部と共に前記清掃空間の外部に移動するのを規制する規制部を備える、
請求項6に記載の清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のドラム清掃装置は、感光体ドラムの製造工程において所定画像をトナーにて形成する画像検査に使用された感光体ドラムの外周面を清掃する感光体ドラム清掃装置であって、内部に感光体ドラムが収容される筒体、および筒体内に収容される感光体ドラム外周面の全周にわたって接触するように筒体内に配置された筒状の清掃具を有する清掃手段と、清掃具と清掃具内に収容された感光体ドラムの少なくともいずれか一方を回転させる回転手段と、筒体の内部を吸引する吸引手段とを具備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転可能とされると共に付着物が外周面に付着した回転体を清掃するときに、回転体を清掃空間に配置し、回転体を回転させながら清掃空間の気体を吸引することで回転体の外周面から付着物を除去することがある。このような構成では、回転体を回転させるための専用の駆動源を設ける必要があった。
【0005】
本開示の課題は、清掃空間の気体を吸引して回転する回転体の外周面から付着物を除去する構成において、回転体を回転させるための専用の駆動源を設けることなく回転体を回転させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様に係る清掃装置は、清掃対象である回転体が配置される清掃空間が内部に形成された清掃部と、該清掃空間から気体を吸引する吸引部と、該吸引部の吸引に伴って生じる風によって回転する風車と、該風車の回転を該回転体に伝達する伝達部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本開示の第2態様に係る清掃装置は、第1態様に記載の清掃装置において、前記風車の回転軸及び前記回転体の回転軸は、一方向に延びていることを特徴とする。
【0008】
本開示の第3態様に係る清掃装置は、第2態様に記載の清掃装置において、前記吸引部によって気体を吸引する吸引方向は、前記一方向とされていることを特徴とする。
【0009】
本開示の第4態様に係る清掃装置は、第1態様に記載の清掃装置において、前記清掃空間の一端は開口され、前記清掃空間の他端は閉塞されており、前記吸引部は、前記他端に設けられ、前記清掃空間から継続して気体を吸引し、前記回転体を支持すると共に前記開口から前記清掃空間に出入り可能とされる支持部と、前記支持部が前記清掃空間の外部に移動した状態で、前記伝達部による回転の伝達を解除する解除部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本開示の第5態様に係る清掃装置は、第4態様に記載の清掃装置において、前記伝達部は、前記回転体の回転軸に連結される連結軸と、前記連結軸に取り付けられた一の歯車と、前記風車の回転軸に取り付けられると共に前記一の歯車と噛み合う他の歯車と、を有し、前記解除部は、前記一の歯車と前記他の歯車との噛み合いを前記支持部の移動に伴い解消することで前記伝達部による回転の伝達を解除することを特徴とする。
【0011】
本開示の第6態様に係る清掃装置は、第1態様に記載の清掃装置において、前記回転体を支持する支持部を備え、前記風車は、前記支持部に対して、前記吸引部によって気体が吸引される側に配置されていることを特徴とする。
【0012】
本開示の第7態様に係る清掃装置は、第6態様に記載の清掃装置において、前記清掃空間の一端は開口され、前記清掃空間の他端は閉塞されており、前記伝達部及び前記風車は、前記支持部に取り付けられており、前記支持部は、前記開口から前記清掃空間に出入り可能とされており、前記清掃空間の内部に配置される前記支持部を前記清掃空間の外部に移動させた状態で、前記風車が前記支持部と共に前記清掃空間の外部に移動するのを規制する規制部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本開示の第1態様に係る清掃装置によれば、清掃空間の気体を吸引して回転する回転体の外周面から付着物を除去する構成において、回転体を回転させるための専用の駆動源を設けることなく回転体を回転させることができる。
【0014】
本開示の第2態様に係る清掃装置によれば、風車の回転軸と回転体の回転軸とが異なる方向に延びている場合と比して、伝達部の構成を簡素化することができる。
【0015】
本開示の第3態様に係る清掃装置によれば、吸引方向が一方向とは異なる方向である場合と比して、風車を効果的に回転させることができる。
【0016】
本開示の第4態様に係る清掃装置によれば、伝達部が常に回転を伝達している場合と比して、支持部が清掃空間の外部に移動した状態で回転体の入れ替えが容易となる。
【0017】
本開示の第5態様に係る清掃装置によれば、クラッチを用いて回転の伝達を解除する場合と比して、回転の伝達を簡易な構成で解除することができる。
【0018】
本開示の第6態様に係る清掃装置によれば、支持部が風車に対して吸引部によって気体が吸引される側に配置されている場合と比して、風車を効果的に回転させることができる。
【0019】
本開示の第7態様に係る清掃装置によれば、風車が清掃空間の外部に移動する場合と比して、風車に付着した付着物が清掃空間の外部に放出されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の実施形態に係る清掃装置に設けられた支持部、伝達部、及び風車等の概略構成を示した斜視図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る清掃装置に設けられた支持部、伝達部、及び風車等の概略構成であって、支持部に現像装置が支持された状態を示した斜視図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る清掃装置に設けられた清掃空間、及び吸引部等を示した斜視図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る清掃装置であって、支持部が露出位置に配置されている状態を示した正面図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る清掃装置であって、支持部が清掃位置に配置されている状態を示した正面図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る清掃装置に設けられた伝達部、及び風車等を示した拡大斜視図である。
【
図7】(A)(B)本開示の実施形態に係る清掃装置に設けられた伝達部であって、噛合い位置に移動した状態と、解除位置に移動した状態を示した状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の実施形態に係る清掃装置の一例について、
図1~
図7を用いて説明する。各図に示す矢印Hは、清掃装置の上下方向であって鉛直方向を示し、各図に示す矢印Wは、清掃装置の幅方向あり、矢印Hに対して直交すると共に水平方向を示し、各図に示す矢印Dは、清掃装置の奥行き方向であり、矢印H及び矢印Wに対して直交すると共に水平方向を示す。なお、本実施形態に係る清掃装置は、回転体の外周面に付着した付着物を除去して回転体を清掃する装置である。具体的には、画像形成装置の現像装置に備えられた円筒状のスリーブの外周面に付着した付着物であるトナーを除去してスリーブを清掃する装置である。
【0022】
現像装置100は、
図1に示されるように、図示せぬマグネットロールを覆うと共に奥行き方向に延びる円筒状のスリーブ102と、スリーブ102にトナーを受け渡すと共に奥行き方向に延びる一対のオーガ110とを備えている。さらに、現像装置100は、スリーブ102及び一対のオーガ110を回転可能に支持する筐体114と、スリーブ102の回転軸102aとを備えている。この回転軸102aは、奥行き方向に延びると共に筐体114から装置奥行き方向の奥側に突出している。なお、本実施形態では、スリーブ102が回転すると、一対のオーガ110を回転させる複数の図示せぬ歯車が設けられている。スリーブ102は、回転体の一例である。
【0023】
(清掃装置10)
清掃装置10は、
図1、
図2に示されるように、現像装置100を支持する支持部12と、清掃空間20aが内部に形成された清掃部20と、清掃空間20aから空気を吸引する吸引部30(
図3参照)とを備えている。さらに、清掃装置10は、吸引部30が清掃空間20aから空気を吸引することで生じる風によって回転する風車40と、風車40の回転力をスリーブ102の回転軸102aに伝達する伝達部50とを備えている。空気は気体の一例である。
【0024】
また、清掃装置10は、
図4に示されるように、支持部12を移動させて支持部12を清掃空間20aに出入りさせる移動部56と、伝達部50による回転力の伝達を解除する解除部64と、支持部12に支持された現像装置100に空気を吹き付ける吹付部70とを備えている。
【0025】
〔支持部12〕
支持部12は、
図1、
図2に示されるように、現像装置100を載せる載せ面14aが形成された支持台14と、支持台14を奥行き方向に移動可能に支持する複数の車輪16とを備えている。そして、支持台14は、上方から見て、奥行き方向に延びる矩形状とされている。
【0026】
〔清掃部20〕
清掃部20は、
図3に示されるように、奥行き方向に延びる円筒状とされており、清掃部20において奥行き方向の手前側の一端が、開放された開口20bとされ、清掃部20において奥行き方向の奥側の他端が、閉塞壁20cによって閉塞されている。そして、清掃部20の内部が、スリーブ102を清掃する清掃空間20aとされている。
【0027】
この構成において、清掃部20の奥行き方向の手前側の外部に配置された支持部12(
図4参照)を、奥行き方向の奥側に移動させることで、支持部12は、清掃部20の開口20bを通って、清掃空間20aの内部に移動する(
図5参照)。なお、清掃部20の内周面には、支持部12の車輪16をガイドするガイド部(図示省略)が設けられている。
【0028】
〔吸引部30〕
吸引部30は、
図3、
図4に示されるように、一端が清掃部20の閉塞壁20cに形成された貫通穴に接続される吸引管32と、吸引管32の他端に接続される吸引ポンプ34とを備えている。そして、吸引管32の途中には、円筒状のスリーブ102の外周面から除去されたトナーを回収するフィルター36が設けられている。吸引ポンプ34は、吸引部の一例である。
【0029】
この構成においては、吸引ポンプ34を稼働させることで、吸引部30は、清掃空間20aから空気を吸引する。そして、吸引部30の吸引によって、清掃空間20aには、奥行き方向の手前側から奥側へ向かう空気の流れが生じる。この空気の流れによって、スリーブ102の外周面から除去されたトナーが吸引管32を通ってフィルター36によって回収される。このように、吸引部30による空気の吸引方向は、奥行き方向とされている。奥行き方向は、一方向の一例である。
【0030】
〔風車40、伝達部50〕
風車40及び伝達部50は、
図6に示されるように、支持台14において奥行き方向の奥側の端部に取り付けられている。
【0031】
風車40は、奥行き方向に延びる回転軸40aと、基端が回転軸40aに取り付けられた複数のブレード40bとを備えている。
【0032】
伝達部50は、支持部12に支持されたスリーブ102の回転軸102a(
図4参照)に連結される連結軸50aと、連結軸50aに取り付けられた歯車50bと、連結軸50aを回転可能に支持する本体部50cとを備えている。さらに、伝達部50は、歯車50bと噛み合うと共に風車40の回転軸40aに取り付けられた歯車50dと、歯車50dを回転可能に支持する支持体部50eと、本体部50cに対して支持体部50eを揺動可能とする軸部50fとを備えている。歯車50bは、一の歯車の一例であり、歯車50dは、他の歯車の一例である。
【0033】
本体部50cは、上下方向に延びており、本体部50cの下端部分が、支持台14における奥行き方向の奥側の端部に取り付けられている。連結軸50aは、奥行き方向に延びており、本体部50cに形成された貫通孔(符号省略)に挿入されている。
【0034】
風車40の回転軸40aに取り付けられた歯車50dは、歯車50bに対して小径化されており、歯車50bの上方部分と噛み合うように配置されている。また、支持体部50eは、本体部50cの上側に配置されており、風車40の回転軸40aは、支持体部50eに形成された貫通孔(符号省略)に挿入されている。
【0035】
軸部50fは、奥行き方向に延びており、本体部50cにおいて幅方向の一方側(図中左側)の端部と、支持体部50eにおいて幅方向の一方側の端部とに跨るように取り付けられている。これにより、軸部50fを中心に支持体部50eを揺動させることで、支持体部50eは、歯車50dが歯車50bに噛み合う噛合い位置(
図7(A)参照)と、歯車50dと歯車50bとの噛み合いが解除される解除位置(
図7(B)参照)とに移動するようになっている。
【0036】
なお、支持体部50eに何らかの荷重が負荷されていない無負荷状態では、重力によって、支持体部50eは、噛合い位置に配置されるようになっている。
【0037】
〔移動部56〕
移動部56は、
図4、
図5に示されるように、奥行き方向に延びるシリンダ58と、支持部12の支持台14とシリンダ58とを接続する接続ロッド60とを備えている。
【0038】
シリンダ58は、所謂エアシリンダであって、円筒状の筐体58aと、筐体58aの内部に配置されているピストン58bと、基端部がピストン58bに接続されると共に先端部分が筐体58aから外部へ突出するピストンロッド58cとを備えている。
【0039】
接続ロッド60は、奥行き方向の奥側が開放されるU字状とされており、接続ロッド60の一端が、ピストンロッド58cの先端に取り付けられ、接続ロッド60の他端が支持台14に取り付けられている。
【0040】
この構成において、シリンダ58を稼働させることで、接続ロッド60が奥行き方向に移動し、
図4、
図5に示されるように、支持部12が、奥行き方向に移動して、清掃空間20aに出入りする。具体的には、支持部12は、清掃空間20aの外部に配置される露出位置(
図4参照)と、清掃空間20aの内部に配置される清掃位置(
図5参照)とに移動する。
【0041】
ここで、支持部12が露出位置へ移動した状態であっても、支持部12が清掃位置へ移動した状態であっても、風車40及び伝達部50は、清掃空間20aの内部に配置される。換言すれば、移動部56は、清掃空間20aの内部に配置される支持部12を清掃空間20aの外部に移動させたときに、風車40が支持部12と共に清掃空間20aの外部に移動するのを規制している。移動部56は、規制部の一例である。
【0042】
〔解除部64〕
解除部64は、
図5に示されるように、ロッド66と、ロッド66と接触してロッド66を移動させる板部68とを備えている。
【0043】
ロッド66は、
図6に示されるように、伝達部50の支持体部50eにおける幅方向の他方側(図中右側)の端部から幅方向に突出している。つまり、ロッド66は、幅方向において、支持体部50eを間において軸部50fの反対側に配置されている。
【0044】
板部68は、
図3に示されるように、円筒状とされた清掃部20の内周面20dにおいて開口20b側の部分に取り付けられている。そして、板部68は、奥行き方向の手前側の部分が上方となるように傾斜する傾斜部分68aと、傾斜部分68aに対して奥行き方向の手前側に接続されると共に奥行き方向に延びる持上げ部分68bとを有している。
【0045】
この構成において、支持部12が清掃位置に移動しているときは、
図5に示されるように、ロッド66は、奥行き方向において板部68と離隔している。このため、
図7(A)に示されるように、支持体部50eは、歯車50dが歯車50bに噛み合う噛合い位置に配置される。
【0046】
一方、清掃位置の支持部12が露出位置へ向けて移動すると、
図4に示されるように、ロッド66が、傾斜部分68aに接触して傾斜部分68aによって持ち上げられた後、持上げ部分68bと接触して持上げ部分68bによって持ち上げ状態が維持される。このため、
図7(B)に示されるように、支持体部50eは、歯車50dと歯車50bとの噛み合いが解除される解除位置に配置される。
【0047】
〔吹付部70〕
吹付部70は、
図3に示されるように、清掃部20の開口20bに配置されており、複数のエアーノズル70aと、エアーノズル70aから空気を噴出させるエアポンプ(図示省略)とを備えている。具体的には、3個のエアーノズル70aが開口20bの上方部分に配置されている。さらに、1個のエアーノズル70aが開口20bの幅方向一方側に配置されており、1個のエアーノズル70aが開口20bの幅方向の他方側に配置されている。そして、複数のエアーノズル70aは、開口20bの中心に向けて空気を噴射するようになっている。
【0048】
(作用)
次に、清掃装置10を用いて、スリーブ102の外周面に付着したトナー等の付着物を除去する清掃作業について説明する。
【0049】
清掃作業が行われていない清掃装置10の初期状態では、
図1に示されるように、支持部12は、清掃空間20aから露出する露出位置に配置され、風車40、及び伝達部50は、清掃空間20aの内部に配置されている。さらに、
図3に示す吹付部70及び吸引ポンプ34は、非稼働状態とされている。なお、支持部12が清掃空間20aの外部に配置されているため、支持体部50eは、歯車50dと歯車50bとの噛み合いが解除される解除位置に配置されている(
図7(B)参照)。
【0050】
この状態で、スリーブ102を備える現像装置100が、
図4に示されるように、支持部12の支持台14に載せられて支持される。さらに、スリーブ102の回転軸102aと伝達部50の連結軸50aとが連結される。
【0051】
そして、吹付部70及び吸引ポンプ34が稼働される。これにより、吹付部70によって開口20bの中心に向けて空気が噴射される。さらに、吸引ポンプ34によって清掃空間20aから空気が吸引され、清掃空間20aには、奥行き方向の手前側から奥側に向うように空気が流れる。
【0052】
奥行き方向の手前側から奥側に向うように空気が流れることで清掃空間20aの内部に風が生じ、風車40が回転する。しかし、伝達部50の支持体部50eが解除位置に配置されているため、連結軸50aは、回転しない。ここで、清掃装置10を一度稼働させると、吸引ポンプ34については、停止することなく清掃空間20aから継続して空気を吸引する。
【0053】
この状態で、移動部56のシリンダ58が稼働され、
図4、
図5に示されるように、支持部12が露出位置と清掃位置との間を奥行き方向に移動して一又は複数回往復(例えば三往復)する。具体的には、往路では、露出位置の支持部12が清掃位置へ移動しようとして、支持部12に支持された現像装置100が開口20bを通るときに、エアーノズル70aから噴射される空気によって、回転するスリーブ102及びオーガ110に付着したトナー等が清掃空間20aに舞い上がる。
【0054】
また、往路では、支持部12に取り付けられた伝達部50も支持部12と共に奥行き方向の奥側に移動し、解除位置に配置されていた伝達部50の支持体部50eは、解除位置から噛合い位置へ移動する。これにより、風車40の回転がスリーブ102に伝達され、現像装置100のスリーブ102及びオーガ110が回転する。換言すれば、エアーノズル70aから噴射される空気は、回転するスリーブ102に吹き付けられ、回転するスリーブ102からトナー等が清掃空間20aに舞い上がる。
【0055】
さらに、清掃空間20aに舞い上がったトナー等は、吸引ポンプ34の稼働によって生じる空気が流れによって清掃空間20aに吸引され、吸引管32を通ってフィルター36によって回収される。
【0056】
一方、復路では、清掃位置の支持部12が露出位置へ移動しようとすると、支持部12に取り付けられた伝達部50も支持部12と共に奥行き方向の手前側に移動し、噛合い位置に配置されていた伝達部50の支持体部50eは、噛合い位置から解除位置へ移動する。これにより、連結軸50aの回転が停止することで、現像装置100のスリーブ102及びオーガ110の回転も停止する。
【0057】
そして、支持部12が露出位置と清掃位置との間を奥行き方向に移動して一又は複数回往復(例えば三往復)した後、支持部12が露出位置で停止し、支持部12の支持台14に載せられた現像装置100が、支持台14から取り外される。このようにして、スリーブ102の外周面に付着したトナー等の付着物を除去する清掃作業が終了する。
【0058】
(まとめ)
以上説明したように、清掃装置10においては、清掃空間20aから空気を吸引する吸引ポンプ34の吸引に伴って生じる風によって風車40が回転し、伝達部50が、風車40の回転をスリーブ102に伝達する。これにより、清掃空間20aの空気を吸引してスリーブ102の外周面からトナー等の付着物を除去する構成において、スリーブ102を回転させるための専用の駆動源を設けることなくスリーブ102を回転させることができる。
【0059】
また、清掃装置10においては、風車40の回転軸40aは、奥行き方向に延びている。さらに、スリーブ102の回転軸102aは、奥行き方向に延びている。換言すれば、風車40の回転軸40aとスリーブ102の回転軸102aとは、一方向である奥行き方向に延びている。これにより、風車の回転軸とスリーブの回転軸とが異なる方向に延びている場合と比して、伝達部50の構成を簡素化することができる。なお、本実施形態で一方向とは、平行軸を含む概念である。
【0060】
また、清掃装置10においては、吸引部30によって空気を吸引する吸引方向は、一方向である奥行き方向とされている。これにより、吸引方向が奥行き方向とは異なる方向である場合と比して、風車40を効果的に回転させることができる。
【0061】
また、清掃装置10においては、吸引部30は、清掃空間20aから継続して空気を吸引している。さらに、支持部12が清掃空間20aの外部に移動した状態(露出位置に移動した状態)で、解除部64が伝達部50による回転の伝達を解除する。これにより、伝達部が常に回転を伝達している場合と比して、支持部12が清掃空間20aの外部に移動した状態で、スリーブ102を有する現像装置100の入れ替えが容易となる。換言すると、支持部12が清掃空間20aの外部に移動した状態において、伝達部が常に回転を伝達してスリーブ102の回転が継続している場合と比して、スリーブ102の回転が停止しているため、支持部12における現像装置100の入れ替え時にスリーブ102に作業者の指が巻き込まれる等の危険を回避できる。
【0062】
また、清掃装置10においては、解除部64は、歯車50dと歯車50bとの噛み合いを支持部12の移動に伴い解消することで伝達部50による回転の伝達を解除する。これにより、クラッチを用いて回転の伝達を解除する場合と、回転の伝達を簡易な構成で解除することができる。
【0063】
また、清掃装置10においては、風車40は、支持部12に対して、吸引部30によって空気が吸引される側に配置されている。これにより、支持部が風車に対して吸引部によって空気が吸引される側に配置されている場合と比して、風車40を効果的に回転させることができる。
【0064】
また、清掃装置10においては、移動部56は、清掃空間20aの内部に配置される支持部12を清掃空間20aの外部に移動させた状態で、風車40が支持部12と共に清掃空間20aの外部に移動するのを規制する。これにより、風車が清掃空間の外部に移動する場合と比して、風車40に付着したトナー等の付着物が清掃空間20aの外部に放出されるのを抑制することができる。
【0065】
なお、本開示を特定の実施形態について詳細に説明したが、本開示は係る実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、清掃対象が、現像装置100のスリーブ102であったが、例えば、画像形成装置に備えられた感光体、帯電ロール、加熱ロール、又は加圧ロール等の回転体であってもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、清掃空間20aは、断面円状であったが、断面矩形状等であってもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、風車40の回転軸40aとスリーブ102の回転軸102aとは、奥行き方向に延びていたが、回転軸40aと回転軸102aとが異なる方向に延びていてもよい。しかし、この場合には、回転軸40aと回転軸102aとが奥行き方向に延びることで奏する作用は奏しない。
【0068】
また、上記実施形態では、吸引方向は、回転軸40a及び回転軸102aが延びる方向と同様の方向であったが、異なる方向であってもよい。しかし、この場合には、吸引方向が、回転軸40a及び回転軸102aが延びる方向と同様の方向であることで奏する作用は奏しない。
【0069】
また、上記実施形態では、伝達部50は、歯車50dと歯車50bとの噛み合いを解消することで、回転の伝達を解除したが、クラッチやカップリング等を用いて回転の伝達を解除してもよい。しかし、この場合には、一対の歯車の噛み合いを解消することで、回転の伝達を解除することで奏する作用は奏しない。
【0070】
また、上記実施形態では、風車40は、支持部12に対して、吸引部30によって空気が吸引される側に配置されていた。換言すれば、風車40は、奥行き方向において支持部12に対して吸引部30側に配置されていた。しかし、風車40と支持部12とが幅方向に並んでいてもよい。この場合には、風車40が、支持部12に対して、吸引部30によって空気が吸引される側に配置されることで奏する作用は奏しない。
【0071】
(((1)))
清掃対象である回転体が配置される清掃空間が内部に形成された清掃部と、
該清掃空間から気体を吸引する吸引部と、
該吸引部の吸引に伴って生じる風によって回転する風車と、
該風車の回転を該回転体に伝達する伝達部と、
を備える清掃装置。
【0072】
(((2)))
前記風車の回転軸及び前記回転体の回転軸は、一方向に延びている、
(((1)))に記載の清掃装置。
【0073】
(((3)))
前記吸引部によって気体を吸引する吸引方向は、前記一方向とされている、
(((2)))に記載の清掃装置。
【0074】
(((4)))
前記清掃空間の一端は開口され、前記清掃空間の他端は閉塞されており、
前記吸引部は、前記他端に設けられ、前記清掃空間から継続して気体を吸引し、
前記回転体を支持すると共に前記開口から前記清掃空間に出入り可能とされる支持部と、
前記支持部が前記清掃空間の外部に移動した状態で、前記伝達部による回転の伝達を解除する解除部と、
を備える(((1)))~(((3)))の何れか1に記載の清掃装置。
【0075】
(((5)))
前記伝達部は、
前記回転体の回転軸に連結される連結軸と、
前記連結軸に取り付けられた一の歯車と、
前記風車の回転軸に取り付けられると共に前記一の歯車と噛み合う他の歯車と、を有し、
前記解除部は、前記一の歯車と前記他の歯車との噛み合いを前記支持部の移動に伴い解消することで前記伝達部による回転の伝達を解除する、
(((4)))に記載の清掃装置。
【0076】
(((6)))
前記回転体を支持する支持部を備え、
前記風車は、前記支持部に対して、前記吸引部によって気体が吸引される側に配置されている、
(((1)))~(((5)))の何れか1に記載の清掃装置。
【0077】
(((7)))
前記清掃空間の一端は開口され、前記清掃空間の他端は閉塞されており、
前記伝達部及び前記風車は、前記支持部に取り付けられており、
前記支持部は、前記開口から前記清掃空間に出入り可能とされており、
前記清掃空間の内部に配置される前記支持部を前記清掃空間の外部に移動させた状態で、前記風車が前記支持部と共に前記清掃空間の外部に移動するのを規制する規制部を備える、
(((6)))に記載の清掃装置。
【0078】
(((1)))に係る清掃装置によれば、清掃空間の気体を吸引して回転する回転体の外周面から付着物を除去する構成において、回転体を回転させるための専用の駆動源を設けることなく回転体を回転させることができる。
【0079】
(((2)))に係る清掃装置によれば、風車の回転軸と回転体の回転軸とが異なる方向に延びている場合と比して、伝達部の構成を簡素化することができる。
【0080】
(((3)))に係る清掃装置によれば、吸引方向が一方向とは異なる方向である場合と比して、風車を効果的に回転させることができる。
【0081】
(((4)))に係る清掃装置によれば、伝達部が常に回転を伝達している場合と比して、支持部が清掃空間の外部に移動した状態で回転体の入れ替えが容易となる。
【0082】
(((5)))に係る清掃装置によれば、クラッチを用いて回転の伝達を解除する場合と、回転の伝達を簡易な構成で解除することができる。
【0083】
(((6)))に係る清掃装置によれば、支持部が風車に対して吸引部によって気体が吸引される側に配置されている場合と比して、風車を効果的に回転させることができる。
【0084】
(((7)))に係る清掃装置によれば、風車が清掃空間の外部に移動する場合と比して、風車に付着した付着物が清掃空間の外部に放出されるのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0085】
10 清掃装置
12 支持部
20 清掃部
20a 清掃空間
20b 開口
40 風車
40a 回転軸
50 伝達部
50a 連結軸
50b 歯車(一の歯車の一例)
50d 歯車(他の歯車の一例)
56 移動部(規制部の一例)
64 解除部
102 スリーブ(回転体の一例)
102a 回転軸