IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-画像形成装置 図1
  • 特開-画像形成装置 図2
  • 特開-画像形成装置 図3
  • 特開-画像形成装置 図4
  • 特開-画像形成装置 図5
  • 特開-画像形成装置 図6
  • 特開-画像形成装置 図7
  • 特開-画像形成装置 図8
  • 特開-画像形成装置 図9
  • 特開-画像形成装置 図10
  • 特開-画像形成装置 図11
  • 特開-画像形成装置 図12
  • 特開-画像形成装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025101498
(43)【公開日】2025-07-07
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20250630BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20250630BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20250630BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G15/00 303
G03G21/00 318
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023218383
(22)【出願日】2023-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107216
【弁理士】
【氏名又は名称】伊與田 幸穂
(72)【発明者】
【氏名】奥山 真司
【テーマコード(参考)】
2H134
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H134GA06
2H134GB02
2H134HD17
2H134HD18
2H134KA07
2H134KB13
2H134KB20
2H134KH01
2H200FA02
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA33
2H200GA47
2H200GB22
2H200GB25
2H200HA02
2H200HB12
2H200JA02
2H200JB01
2H200JB18
2H200JB24
2H200JC04
2H200JC12
2H200LB02
2H200LB13
2H200LB40
2H200PB16
2H200PB17
2H270KA32
2H270LB01
2H270MA13
2H270MA31
2H270MA40
(57)【要約】
【課題】予め定められた領域に応じて供給する現像剤の濃度を変える制御を採用する場合に比べ、制御の負担の増大を抑制する。
【解決手段】現像剤で現像した像を表面21aに一方向に並んで保持し一方向に移動可能な像保持体21と、像保持体21の像を記録媒体に転写する転写部材と、を備える画像形成装置であって、像保持体21の表面21aを一方向Aと交差する方向Bに沿って複数の領域に分割した場合の領域である分割領域521~525ごとに、表面21aの像の画像密度を示す情報を基に導いた値を取得し、導いた値が予め定められている値を下回った場合、表面21aにおいて記録媒体に転写される像51、52同士の間の領域であって該当する分割領域521~525における像の部分に先行する領域である中間領域611~615に現像剤を供給する、画像形成装置である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤で現像した像を表面に一方向に並んで保持し当該一方向に移動可能な像保持体と、当該像保持体の当該像を記録媒体に転写する転写部材と、を備える画像形成装置であって、
前記像保持体の前記表面を前記一方向と交差する方向に沿って複数の領域に分割した場合の当該領域である分割領域ごとに、当該表面の像の画像密度を示す情報を基に導いた値を取得し、
前記導いた値が予め定められている値を下回った場合、前記表面において記録媒体に転写される像同士の間の領域であって該当する分割領域における像の部分に先行する領域である中間領域に現像剤を供給する、
画像形成装置。
【請求項2】
前記中間領域は、現像剤が供給されない領域を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像剤が保持されない領域は、前記転写部材が前記記録媒体の一部を把持する把持部を持つ場合の当該把持部に対応する領域である、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記把持部に対応する領域は、前記交差する方向の長さが前記把持部の寸法よりも大きい、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記把持部に対応する領域は、当該把持部を収容する溝部であって前記一方向における当該把持部が位置しない部分を含まない、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写部材が前記記録媒体の一部を把持する把持部を持つ場合、当該把持部に対応する領域に供給される現像剤は、2色以上の現像剤を重ねたものではない、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記把持部に対応する領域に供給される現像剤は、前記画像形成装置が有する複数の現像剤を色分けしたものである、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記把持部に対応する領域に供給される現像剤は、前記画像形成装置が有する複数の現像剤のうちいずれか一つの現像剤である、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記中間領域は、前記把持部に対応する領域と、当該把持部に対応する領域に対して前記一方向にずれて位置する別の領域と、を含む、
ことを特徴とする請求項3又は6に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記中間領域に現像剤を供給する場合、前記像保持体の前記表面の前記一方向と交差する方向の全域に亘る領域に現像剤を供給する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記全域に亘る領域は、前記中間領域に対して前記一方向の上流側に位置する、
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記中間領域の前記一方向に関する長さは、前記全域に亘る領域よりも長い、
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記分割領域は、前記像保持体の前記交差する方向において、記録媒体の幅寸法の中心の位置を基に設定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、幅方向に像担持体を複数に分割する分割領域の各分割領域上に形成される画像の平均画像密度を算出し、インターイメージ領域の通過時に各分割領域の平均画像密度と基準値との差に応じて各分割領域に供給する研磨性粒子の量を調整することによって、縦筋状の濃度ムラを防止し、高品質な画像の長期安定化を実現する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-271168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、現像剤で現像した像を表面に一方向に並んで保持し一方向に移動可能な像保持体と像保持体の像を記録媒体に転写する転写部材とを備える画像形成装置において、像保持体での清掃性能を維持するために、記録媒体への転写が行われない現像剤を像保持体の表面に供給する場合、予め定められた領域に応じて供給する現像剤の濃度を変える制御を採用すると、制御の負担が増大するおそれがある。
本発明の目的は、予め定められた領域に応じて供給する現像剤の濃度を変える制御を採用する場合に比べ、制御の負担の増大を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、現像剤で現像した像を表面に一方向に並んで保持し当該一方向に移動可能な像保持体と、当該像保持体の当該像を記録媒体に転写する転写部材と、を備える画像形成装置であって、前記像保持体の前記表面を前記一方向と交差する方向に沿って複数の領域に分割した場合の当該領域である分割領域ごとに、当該表面の像の画像密度を示す情報を基に導いた値を取得し、前記導いた値が予め定められている値を下回った場合、前記表面において記録媒体に転写される像同士の間の領域であって該当する分割領域における像の部分に先行する領域である中間領域に現像剤を供給する、画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、前記中間領域は、現像剤が供給されない領域を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記現像剤が保持されない領域は、前記転写部材が前記記録媒体の一部を把持する把持部を持つ場合の当該把持部に対応する領域である、ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記把持部に対応する領域は、前記交差する方向の長さが前記把持部の寸法よりも大きい、ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記把持部に対応する領域は、当該把持部を収容する溝部であって前記一方向における当該把持部が位置しない部分を含まない、ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置である。
請求項6に記載の発明は、前記転写部材が前記記録媒体の一部を把持する把持部を持つ場合、当該把持部に対応する領域に供給される現像剤は、2色以上の現像剤を重ねたものではない、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項7に記載の発明は、前記把持部に対応する領域に供給される現像剤は、前記画像形成装置が有する複数の現像剤を色分けしたものである、ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置である。
請求項8に記載の発明は、前記把持部に対応する領域に供給される現像剤は、前記画像形成装置が有する複数の現像剤のうちいずれか一つの現像剤である、ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置である。
請求項9に記載の発明は、前記中間領域は、前記把持部に対応する領域と、当該把持部に対応する領域に対して前記一方向にずれて位置する別の領域と、を含む、ことを特徴とする請求項3又は6に記載の画像形成装置である。
請求項10に記載の発明は、前記中間領域に現像剤を供給する場合、前記像保持体の前記表面の前記一方向と交差する方向の全域に亘る領域に現像剤を供給する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項11に記載の発明は、前記全域に亘る領域は、前記中間領域に対して前記一方向の上流側に位置する、ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置である。
請求項12に記載の発明は、前記中間領域の前記一方向に関する長さは、前記全域に亘る領域よりも長い、ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置である。
請求項13に記載の発明は、前記分割領域は、前記像保持体の前記交差する方向において、記録媒体の幅寸法の中心の位置を基に設定される、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、予め定められた領域に応じて供給する現像剤の濃度を変える制御を採用する場合に比べ、制御の負担の増大を抑制することができる。
請求項2の発明によれば、中間領域は、現像剤が供給されない領域を含む構成を備えない場合に比べて、画像形成装置が備える機能を保持することができる。
請求項3の発明によれば、現像剤が保持されない領域は、転写部材が記録媒体の一部を把持する把持部を持つ場合の把持部に対応する領域である構成を備えない場合に比べて、把持部への現像剤汚れを防止することができる。
請求項4の発明によれば、把持部に対応する領域は、交差する方向の長さが把持部の寸法よりも大きいという構成を備えない場合に比べて、像保持体の斜行に対応することができる。
請求項5の発明によれば、把持部に対応する領域は、把持部を収容する溝部であって一方向における把持部が位置しない部分を含まないという構成を備えない場合に比べて、像保持体の清掃性能の維持に対応可能な導いた値の下限値を下げることができる。
請求項6の発明によれば、転写部材が記録媒体の一部を把持する把持部を持つ場合、把持部に対応する領域に供給される現像剤は、2色以上の現像剤を重ねたものではないという構成を備えない場合に比べて、像保持体の清掃性能の維持に対応可能な導いた値の下限値を下げることができる。
請求項7の発明によれば、把持部に対応する領域に供給される現像剤は、画像形成装置が有する複数の現像剤を色分けしたものであるという構成を備えない場合に比べて、画像形成装置が備える現像剤の消費量の偏りを抑制することができる。
請求項8の発明によれば、把持部に対応する領域に供給される現像剤は、画像形成装置が有する複数の現像剤のうちいずれか一つの現像剤である構成を備えない場合に比べて、制御の容易化を図ることができる。
請求項9の発明によれば、中間領域は、把持部に対応する領域と、把持部に対応する領域に対して一方向にずれて位置する別の領域と、を含む構成を備えない場合に比べて、像保持体の清掃性能の維持に対応可能な導いた値の下限値を下げることができる。
請求項10の発明によれば、中間領域に現像剤を供給する場合、像保持体の表面の一方向と交差する方向の全域に亘る領域に現像剤を供給する構成を備えない場合に比べて、像保持体の清掃性能の維持に対応可能な導いた値の下限値を下げることができる。
請求項11の発明によれば、全域に亘る領域は、中間領域に対して一方向の上流側に位置する構成を備えない場合に比べて、像保持体の清掃性能の維持に対応可能な導いた値の下限値を下げることができる。
請求項12の発明によれば、中間領域の一方向に関する長さは、全域に亘る領域よりも長い構成を備えない場合に比べて、像保持体の清掃性能の維持に対応可能な導いた値の下限値を下げることができる。
請求項13の発明によれば、分割領域は、像保持体の交差する方向において、記録媒体の幅寸法の中心の位置を基に設定される構成を備えない場合に比べて、記録媒体の端部分に現像剤を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態が適用される画像形成装置を示す図である。
図2】本実施の形態が適用される転写胴の構成を示す斜視図である。
図3】本実施の形態に係る定着部の構成の一部を示す斜視図である。
図4】本実施の形態に係るグリッパを示す斜視図である。
図5】第1の実施の形態に係る中間転写ベルトにおける二次転写位置の上流側における表面を示す図である。
図6】第1の実施の形態における機能構成を説明するブロック図である。
図7】領域の対応領域へのトナー供給制御が行われる場合の処理手順を示すフローチャートである。
図8】領域の対応領域に描画されるバンド例を説明する図であり、(a)、(b)、(c)の各々は、図7に示すフローチャートによる結果を示す。
図9】第2の実施の形態に係る中間転写ベルトにおける二次転写位置の上流側における表面を示す図である。
図10】領域へのトナー供給制御が行われる場合の処理手順を示すフローチャートである。
図11】領域の対応領域及び領域のバンド例を説明する図であり、(a)、(b)、(c)、(d)の各々は、図7及び図10に示すフローチャートによる結果を示す。
図12】転写胴の凹部と凹部に収容されているグリッパとの関係を示す転写胴の断面図である。
図13】第3の実施の形態に係る中間転写ベルトにおける二次転写位置の上流側における表面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<画像形成装置1>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置1を示す図である。図2は、本実施の形態が適用される転写胴26の構成を示す斜視図である。図3は、本実施の形態に係る定着部30の構成の一部を示す斜視図である。図4は、本実施の形態に係るグリッパ45を示す斜視図である。なお、例えば図1に示す矢印Hは鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印Wは、水平方向であって装置幅方向を示し、矢印Dは、装置前後方向(装置奥行方向)を示す。各部分及び各部分同士の矢印Hの方向(以下、方向Hという)、矢印Wの方向(以下、方向Wという)、および矢印Dの方向(以下、方向Dという)の寸法比は、実際の寸法比と異なる場合がある。
【0009】
図1に示す画像形成装置1は、記録媒体Pに画像を形成する画像形成装置の一例である。画像形成装置1は、例えば、記録媒体Pにトナー像を形成する電子写真式の画像形成装置が例示される。トナー像は、現像剤で現像した像の一例である。
【0010】
画像形成装置1は、未定着像の一例であるトナー像を形成する画像形成部10と、画像形成部10が形成したトナー像を記録媒体Pに転写する転写部20と、記録媒体Pに転写されたトナー像を定着させる定着部30と、記録媒体Pを搬送する搬送部40と、画像形成装置1の各部を制御する制御部100とを備える。
【0011】
(制御部100)
制御部100は、画像形成装置1の全体を制御するCPU(Central Processing Unit)101と、演算に際して作業エリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)102と、CPU101が実行する各種プログラムや各種設定等を記憶するメモリであるROM(Read Only Memory)103と、を備える。
【0012】
(画像形成部10)
画像形成部10は、電子写真方式によりトナー像を形成する機能を有している。図1に示される画像形成部10は、色ごとにトナー像を形成するように複数備えられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色の画像形成部10が設けられている。図1に示す(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。なお、各色の画像形成部10は、用いるトナーを除き同様に構成されているので、各色の画像形成部10を代表して、図1では画像形成部10(K)の各部に符号を付している。トナーは現像剤の一例である。
【0013】
各色の画像形成部10は、図1における反時計回り方向に回転しながら静電潜像が形成される感光体ドラム12を備える。また、各色の画像形成部10は、感光体ドラム12の表面を帯電する帯電器13と、感光体ドラム12を露光する露光装置14と、感光体ドラム12上に形成された静電潜像を現像する現像装置15と、を備える。
【0014】
(転写部20)
図1に示す転写部20は、各画像形成部10で形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する装置である。
転写部20は、各画像形成部10の感光体ドラム12で形成された各色のトナー像が転写される中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21の内周側に設けられるロール22とを備える。また、転写部20は、各画像形成部10の各色トナー像を一次転写位置T1にて中間転写ベルト21に転写させる一次転写ロール25と、中間転写ベルト21上に転写されたトナー像を二次転写位置T2にて記録媒体Pに一括転写させる対向ロール23と転写胴26とが備えられる。さらに、転写部20には、中間転写ベルト21表面のトナー等を除去するブレード28が設けられている。
中間転写ベルト21は、一方向に移動可能な像保持体の一例であり、転写胴26は、像保持体の像を記録媒体に転写する転写部材の一例である。ここにいう一方向は、後述する矢印方向Aの一例である。
【0015】
中間転写ベルト21は、各色の感光体ドラム12からトナー像が外周面に転写される。この中間転写ベルト21は、図1に示すように、無端状を成すと共に、正面視にて(装置奥行方向に見て)逆三角形状の姿勢となるように、複数のロール22および対向ロール23に巻き掛けられている。中間転写ベルト21は、複数のロール22の少なくとも1個が回転駆動されることで、矢印方向Aへ周回する。
【0016】
本実施形態では、一次転写ロール25と感光体ドラム12との間に一次転写電界が印加されることで、感光体ドラム12に形成されたトナー像が、一次転写位置T1にて中間転写ベルト21の表面に転写され、保持される。
【0017】
転写胴26は、中間転写ベルト21を挟んで対向ロール23に対向して配置されている。転写胴26は、図2に示すように、D方向に伸びる略ロール形状を有する。転写胴26は、後述するグリッパ45を搬送するために、グリッパ45を収容するための凹部26DであってD方向に伸びる凹部26Dを備える。凹部26Dは、把持部を収容する溝部の一例である。
本実施形態では、転写胴26は、中間転写ベルト21に転写されたトナー像を、対向ロール23と転写胴26との間の前述した二次転写位置T2にて記録媒体Pに転写する。本実施形態では、対向ロール23と転写胴26との間に二次転写電界が印加されることで、中間転写ベルト21に転写されたトナー像が、二次転写位置T2にて記録媒体Pに転写される。
【0018】
ブレード28は、図1に示すように、二次転写位置T2に対するベルト周回方向の下流側であって、画像形成部10に対するベルト周回方向の上流側に配置されている。ブレード28は、中間転写ベルト21の幅方向(図1の紙面垂直方向)の全域に亘って設けられている。ここにいう幅方向は、像保持体が移動可能な方向である一方向と交差する方向の一例である。
【0019】
(定着部30)
図1に示す定着部30は、転写胴26によって記録媒体Pに転写されたトナー像を記録媒体Pに定着する装置として機能する。定着部30は、加圧胴31と、加圧胴31とともに記録媒体Pを挟み込み記録媒体Pを加熱する加熱ロール32とを備える。また、定着部30は、加圧胴31と加熱ロール32とが記録媒体Pを挟み込む前に記録媒体Pを加熱する加熱部70を有している。
【0020】
(加圧胴31および加熱ロール32)
加圧胴31は、図3に示すように、D方向に伸びる略ロール形状を有する。加圧胴31は、グリッパ45を搬送するために、グリッパ45を収容するための凹部31Dであり、D方向に伸びる凹部31Dを備える。
加熱ロール32は、ロール内部にハロゲンランプ等の加熱源32A(図1参照)を有し、D方向に伸びるロール形状を有する。
【0021】
図1に示すように、加圧胴31および加熱ロール32は、上下に並んで配置されている。具体的には、加熱ロール32が、加圧胴31に対する上方側であり、H方向に対して傾いて配置されている。なお、各図では、この加圧胴31と加熱ロール32とが記録媒体Pを挟む挟み領域を符号NPにて示している。この挟み領域NPは、記録媒体Pの搬送方向に幅を有する領域である。
【0022】
本実施形態では、加圧胴31および加熱ロール32の両方が回転駆動される。なお、加圧胴31および加熱ロール32の一方のみが回転駆動される構成であってもよい。
(加熱部70)
図1に示される加熱部70は、搬送部40で搬送方向Xに搬送される記録媒体Pを非接触で加熱する機能を有している。この加熱部70は、加熱ロール32に対する搬送方向の上流側に配置されている。これにより、加熱部70は、記録媒体Pの表面に形成された未定着のトナー像を、加熱ロール32に先立って、非接触で加熱する。加熱部70は、図1に示すように、ヒータ72と、反射板73と、を有している。
【0023】
ヒータ72は、搬送部40で搬送方向Xに搬送される記録媒体Pに対して非接触で記録媒体Pを加熱する加熱部材である。ヒータ72は、図1に示されるように、搬送方向Xに沿って間隔をあけて複数配置されている。このヒータ72は、D方向に長さを有する円柱状の赤外線ヒータで構成されている。ヒータ72は、内部に設けられたフィラメント(図示省略)が発熱し、その輻射熱によって記録媒体Pを加熱する。なお、本実施形態では、図1に示すように、ヒータ72は4本設けられているが、ヒータ72の数は4本に限られない。
【0024】
反射板73は、ヒータ72からの赤外線を装置下方側(すなわち、搬送部40で搬送される記録媒体P側)へ反射する機能を有している。具体的には、反射板73は、装置下方側が開放された箱状に形成されている。この反射板73は、例えば、アルミニウム板等の金属板を用いて形成されている。
【0025】
(搬送部40)
図1に示す搬送部40は、記録媒体Pを搬送して、二次転写位置T2と挟み領域NPとを通過させる機能を有している。搬送部40は、図1図2および図3に示されるように、一対のチェーン41と、一対の第1スプロケット42と、一対の第2スプロケット43と、備える。また、搬送部40は、一対のチェーン41に亘って取り付けられる取付部材44と、取付部材44に取り付けられるグリッパ45と、送風部80と、を備える。グリッパ45は、記録媒体Pの先端部を保持する保持部の一例である。なお、図1では、チェーン41およびグリッパ45を簡略化して示している。
【0026】
一対の第1スプロケット42は、図2に示されるように、転写胴26の軸方向両端側に配置されている。この一対の第1スプロケット42は、転写胴26の同軸上に配置されており、転写胴26と一体に回転する構成とされている。一対の第1スプロケット42には、それぞれ異なるチェーン41が巻き掛けられている。
【0027】
一対のチェーン41は、図1に示されるように、環状に形成されている。この一対のチェーン41は、図2および図3に示されるように、装置奥行方向(図中のD方向)に間隔をおいて配置されている。この一対のチェーン41は、それぞれ、転写胴26が有する一対の第1スプロケット42(図2参照)と、加圧胴31(図3参照)の軸方向両端に設けられる一対の第2スプロケット43(図3参照)と、に巻き掛けられている。そして、一対の第2スプロケット43を有する加圧胴31が回転することで、チェーン41が周回方向C(図1図2および図3の矢印C方向)へ周回する構成とされている。
【0028】
一対のチェーン41には、図2および図3に示されるように、複数のグリッパ45が取り付けられ、断面円形の棒状の取付部材44がD方向に沿って掛け渡されている。取付部材44は、チェーン41の周方向(周回方向C)に沿って予め定められた間隔で複数が一対のチェーン41に固定されている。
【0029】
グリッパ45は、図2および図3に示すように、装置奥行方向に沿って予め定められた間隔で複数が取付部材44に取り付けられている。換言すれば、グリッパ45は、取付部材44を介して、チェーン41に取り付けられている。このグリッパ45は、記録媒体Pの先端部を保持する機能を有している。具体的には、グリッパ45は、図4に示すように、爪45Aと爪台45Bとを有している。グリッパ45では、爪45Aと爪台45Bとの間に記録媒体Pの先端部を挟むことで記録媒体Pを保持する構成が採用されている。
【0030】
さらに具体的には、グリッパ45は、記録媒体Pに対する搬送方向の下流側に配置されており、図4に示すように、記録媒体Pの搬送方向の下流側から記録媒体Pの先端部を保持する。なお、グリッパ45は、例えば、爪45Aが爪台45Bに対してバネ等により押し付けられる共に、カム等の作用により爪45Aが爪台45Bに対して開閉される。
グリッパ45は、記録媒体の一部を把持する把持部の一例である。
【0031】
(送風部80)
図1に示す送風部80は、グリッパ45で搬送される記録媒体Pに対する加熱部70側(すなわち上方側)とは反対側(すなわち下方側)で、加熱部70に対して対向している。
【0032】
送風部80は、搬送部40で搬送される記録媒体Pの下面に対して送風する機能を有している。送風部80は、トナー像が形成された表面とは反対側の裏面が非接触状態で、搬送部40によって記録媒体Pが搬送されるように、記録媒体Pへの送風により記録媒体Pを浮かして非接触状態を維持する機能を有している。
【0033】
本実施形態では、送風部80は、本体82と、送風板83と、送風機84と、を有している。本体82は、上方に開口する空間82Aを内部に有している。
【0034】
送風機84は、本体82の下部に設けられている。送風機84は、本体82の空間82Aに空気を送る。送風機84としては、一例として、軸方向へ送風する軸流送風機が用いられている。なお、送風機84としては、多翼送風機(例えば、シロッコファン)などの、遠心方向へ送風する遠心送風機を用いてもよい。
【0035】
送風板83は、本体82の開口を塞ぐように本体82の上部に設けられている。この送風板83は、搬送部40で搬送される記録媒体Pに対する加熱部70側(すなわち上方側)とは反対側(すなわち下方側)で、加熱部70に対して対向している。さらに、送風板83は、金属製又は樹脂製の板状とされ、且つ上下方向Hに貫通する複数の送風孔83Aを有している。そして、送風板83は、送風機84から本体82の空間82Aに送られた空気を、複数の送風孔83Aで上方へ通過させて記録媒体Pの下面に当てることで、記録媒体Pを浮かせ、記録媒体Pを支持する。
【0036】
ここで、中間転写ベルト21の幅方向のいずれかの領域に例えばトナーが供給されない領域等が存在すると、幅方向の画像密度差が顕著になる。これにより、中間転写ベルト21の幅方向全域にわたるブレード28の姿勢が不安定になり、クリーニングができていないために汚れが生じるおそれがある。ブレード28の姿勢が不安定になることで清掃性能が低下することを防ぐために、二次転写されずにブレード28まで搬送されるトナーの量を確保することが考えられる。
このようなブレード28まで保持される中間転写ベルト21の表面へのトナー供給を、幅方向に分割した複数の領域ごとに行う場合、トナー供給の制御が簡易であることが好ましい。
【0037】
そこで、本実施の形態では、分割した複数の領域ごとに平均画像密度を算出し、複数の領域のうち平均画像密度が予め定められている閾値を下回った領域にトナーを供給する制御を採用する。
以下、第1の実施の形態、第2の実施の形態及び第3の実施の形態について具体的に説明する。
【0038】
<第1の実施の形態>
図5は、第1の実施の形態に係る中間転写ベルト21における二次転写位置T2の上流側における表面21aを示す図であり、二次転写前の状態を示す。
【0039】
(トナー像領域51、52)
図5に示す一例では、中間転写ベルト21には、二次転写されるトナー像が保持可能な範囲であるトナー像領域51、52が設定されている。二次転写されるトナー像は、トナー像領域51、52内の予め定められている位置で保持される。トナー像領域51、52は、現像剤で現像した像が保持される範囲である。
トナー像領域51、52のトナー像は、像保持体の表面の像の一例であり、記録媒体に転写される像の一例である。
【0040】
トナー像領域51、52は、記録媒体Pのサイズ、例えばB2の規格サイズやノビサイズ等の大きさに対応しているが、これよりも小さいサイズも対応可能である。
なお、図5では、トナー像領域51の上流側とトナー像領域52の下流側を破断して示している。
【0041】
また、トナー像領域51、52は、矢印方向Aと交差する方向の一例である幅方向Bに関して、記録媒体Pに対する位置が予め定められている。
すなわち、幅方向Bにおける記録媒体Pの中央位置がトナー像領域51、52の中央位置に設置される場合(いわゆるセンターレジ)では、幅方向Bの中央の位置に、記録媒体Pに転写されるトナー像の中心が保持される。その一方で、幅方向Bにおける記録媒体Pの一端部の位置がトナー像領域51、52の同じ側の一端部寄りの位置に合わせて設置される場合(いわゆるサイドレジ)では、記録媒体Pに転写されるトナー像が一端部寄りの位置に保持される。
なお、トナー像領域51、52は、中間転写ベルト21の両端に亘って設けられ幅方向Bにおける全幅である場合のほか、両端の予め定められている幅の部分が除かれるように設ける場合であってもよい。
【0042】
またさらに、トナー像領域51、52は、中間転写ベルト21の表面21aに矢印方向Aに並んで保持されている。より詳細には、トナー像領域51は、矢印方向Aに関してトナー像領域52よりも上流側に位置するものであり、トナー像領域52よりも先に二次転写される。
【0043】
(トナー像領域52の分割領域521~525)
ここで、図5を参照すると、中間転写ベルト21の表面21aにおいて破線211、212、213、214が矢印方向Aに延びている。
破線211~214は、中心線210の位置に対して位置決めされている。より詳細には、中心線210は、幅方向Bの中心の位置である。そして、破線211、212は、中心線210からの距離が等しく、また、破線213、214は、中心線210からの距離が等しい。すなわち、破線211~214は、中心線210に対して対称になる位置である。破線211と破線213との距離と破線212と破線214との距離は等しい。
また、破線211と破線212との距離は、破線211と破線213との距離や破線212と破線214との距離とは異なる。
【0044】
ここで、画像形成装置1は、上述したセンターレジの装置であり、そのために、図5に示すように、分割領域521~525は、幅方向Bにおいて、記録媒体Pの幅方向の中心である中心線210の位置を基に設定されている。
【0045】
なお、図5に示す一例では、破線211~214の数が4本であるがこれに限られず、これ以外の数にすることが考えられる。また、破線211~214の中心線210に対する位置も図5に示す一例に限られず、隣り合う破線211~214同士の間隔もこれに限られない。
【0046】
付言すると、4本の破線211~214のうち、破線213、214の位置は、例えば記録媒体Pの端の位置に対応させることが考えられる。かかる場合、記録媒体Pのサイズの端の位置に応じて破線213、214の位置を変更する制御を採用することが考えられる。なお、残りの破線211~212は、記録媒体Pを幅方向Bに関して均等に区分けされるようにしてもよく、また、記録媒体Pの中央部が狭く区分けされるように破線211~212の間隔を狭くしてもよい。
【0047】
かかる4本の破線211~214により、表面21aのトナー像領域52が幅方向Bに沿って複数の領域に分割されている。すなわち、破線211~214によりトナー像領域52が5つに分割されることで、分割領域521、522、523、524、525が形成される。分割領域521~525の各々には、トナー像領域52に二次転写された像の部分がある。分割領域521~525は分割領域の一例である。
なお、図5に示す一例では、破線211~214の数が4本であることから、トナー像領域52は、幅方向Bに5つに分割されているが、これに限られず、これよりも多い数、例えば8や9にしたり、これよりも少ない数、例えば3や4にしたりすることも考えられる。
【0048】
(マージン領域53)
さらに説明すると、中間転写ベルト21の表面21aにおいて、矢印方向Aに関してトナー像領域51とトナー像領域52との間にマージン領域53が位置する。マージン領域53は、幅方向Bにおける全幅に亘って設けられている。
【0049】
マージン領域53は、トナーが供給される領域61及びトナーが供給されない領域62を含む。マージン領域53は、トナー像領域52にある像に先行する領域であり、中間領域の一例である。
領域61は、領域62の矢印方向Aの下流側に位置する。
【0050】
領域62は、領域61とトナー像領域52との間に位置する。領域62は、例えば中間転写ベルト21が斜行した場合や搬送される記録媒体Pが傾斜した場合の傾斜補正を行うのに利用される領域である。
なお、図5に示す一例において、二次転写位置T2に到達するのは、トナー像領域51、マージン領域53の領域61、領域62、トナー像領域52の順である。マージン領域53は、トナー像領域52に先行する。
マージン領域53に供給されたトナーは二次転写されないように、マージン領域53が二次転写位置T2に到達する前に転写バイアスがONからOFFに切り替えられる。
【0051】
(領域61の対応領域611~615)
ここで、領域61は、トナー像領域52の分割領域521~525に対応する位置の対応領域611、612、613、614、615を備えている。言い換えると、領域61は、破線211~214により分割されるように位置する対応領域611~615を備えている。
さらに説明すると、領域61は、矢印方向Aに関し、トナー像領域52の分割領域521~525に先行する領域に対応領域611~615を備えている。より詳細には、領域61は、分割領域521に先行する領域である対応領域611と、分割領域522に先行する領域である対応領域612と、分割領域523に先行する領域である対応領域613と、分割領域524に先行する領域である対応領域614と、分割領域525に先行する領域である対応領域615と、を備えている。
【0052】
上述したように、対応領域611~615の各々は、対応領域611~615の全域に亘ってトナーが供給可能であるが、トナーが供給されない領域が含まれるようにすることも考えられる。すなわち、対応領域611~615の各々は、領域61の一部を含むものであるが、領域62の一部を含むようにしてもよい。かかる場合、対応領域611~615において、領域61に対応する部分にトナーが供給可能である一方で、領域62に対応する部分にトナーが供給されない。
領域62は、現像剤が供給されない領域の一例である。
【0053】
次に、領域61の対応領域611~615へのトナー供給についての制御を説明する。
図6は、第1の実施の形態における機能構成を説明するブロック図である。
図6に示す構成例では、制御部100は、取得部111、判定部112、決定部113及び記憶部114を備えている。
【0054】
取得部111は、画像形成部10(図1参照)にて形成された像が一次転写位置T1(同図参照)で中間転写ベルト21のトナー像領域52(図5参照)に転写された場合の分割領域521~525(同図参照)の平均画像密度を算出により取得する。ここにいう平均画像密度は、分割領域521~525の全体における値と、分割領域521~525の個々の値とを含む。
【0055】
ここにいう平均画像密度は、例えば各色の画像形成部10を単位とし、取得した露光量の正規化及び分割領域の露光量を計算し、また、駆動時間を計算し、露光量と駆動時間を積算した後に算出される。
平均画像密度は、画像密度を示す情報を基に導いた値の一例である。
【0056】
判定部112は、取得部111により取得された分割領域521~525(図5参照)の平均画像密度と、後述の記憶部114に記憶されている閾値等の情報と、を用いて予め定められている判定を行う。詳細は後述する。
【0057】
決定部113は、判定部112による判定結果に応じて、トナーバンド(以下、「バンド」と略す)をマージン領域53に描画するかどうかの決定を行う。
第1の実施の形態では、領域61の対応領域611~615(図5参照)の各々にバンドを描画するかどうかの決定、及び描画する場合のトナーの色や濃度についての決定を行う。トナーの色や濃度についての情報は、後述する記憶部114に記憶されている。
【0058】
また、後述する第2の実施の形態及び第3の実施の形態では、さらに領域63(図9又は図13参照)に描画するかどうかの決定、及び描画する場合のトナーの色や濃度についての決定を行う。
【0059】
記憶部114は、判定部112による判定に用いる閾値等の情報及び決定部113による決定に必要な情報を記憶する。かかる情報は、可変である。
記憶部114は、電源を切っても記憶が消えないNVM(Non-volatile memory)であり、RAM102(図1参照)により構成されている。
【0060】
図7は、領域61の対応領域611~615へのトナー供給制御が行われる場合の処理手順を示すフローチャートである。
図7に示す処理例では、印刷指示に向けた準備開始信号を受信すると(ステップ101)、取得部111(図6参照)が、分割領域521~525の平均画像密度を取得する(ステップ102)。
【0061】
そして、判定部112(図6参照)は、分割領域521~525すなわちトナー像領域52の全領域における平均画像密度が第1閾値以下であるかを判定する(ステップ103)。第1閾値は、記憶部114により記憶されている値であり、可変である。
【0062】
分割領域521~525の全領域の平均画像密度が第1閾値以下である場合(ステップ103でYes)、対応領域611~615の全領域にトナーを供給する際に、供給するトナーの色の数が4色であるかどうかをさらに判定する(ステップ104)。ここにいう4色は、本実施の形態における最大の色の数であり、画像形成装置1が備えるYMCKである。したがって、画像形成装置1がYMCK以外の色のトナーを備える場合は、その数で上述の判定を行うことが考えられる。
【0063】
色の数が4色である場合(ステップ104でYes)、決定部113(図6参照)は、対応領域611~615の全領域に第1濃度でバンドが描画されるように制御する(ステップ105)。その一方で、色の数が3色以下の場合(ステップ104でNo)、対応領域611~615の全領域に、第1濃度よりも高い第2濃度でバンドが描画されるように制御する(ステップ106)。
【0064】
分割領域521~525の全領域すなわちトナー像領域52における平均画像密度が第1閾値を超える場合は、第1閾値以下でない場合として(ステップ103でNo)、対応領域611~615の各々についてバンド描画が必要であるかどうかを判定する。すなわち、分割領域521~525の各々について、各平均画像密度が第2閾値以下であるかどうかの判定を行う(ステップ107)。言い換えると、分割領域521~525のうち少なくともいずれ一の判定結果が、平均画像密度が第2閾値以下であるかどうかを判定する。
第2閾値は、記憶部114により記憶されている値であり、可変である。
【0065】
分割領域521~525のうち少なくともいずれか一の判定結果が、第2閾値以下の平均画像密度である場合(ステップ107でYes)、該当する分割領域に対応する中間領域にトナーを供給する場合の色の数が4色であるかどうかを判定する(ステップ108)。
例えば、分割領域521~525のうち第2閾値以下の平均画像密度であるのが分割領域521及び分割領域525のみであった場合、分割領域521に対応する対応領域611と、分割領域525に対応する対応領域615のみについて色の数の判定を行う。
かかる色の数の判定は、YMCKの各トナーのうち消費量の大小を基に行う場合が考えられる。例えば、YMCKのうちいずれかの消費量が他よりも大きいときには、他のトナーを用いるようにすることが考えられ、消費量の差が少ないときには、4色とする判定を行うことが考えられる。
【0066】
色の数が4色である場合(ステップ108でYes)、決定部113(図6参照)は、対応領域611~615のうち該当する領域に第1濃度でバンドが描画されるように制御する(ステップ109)。その一方で、色の数が3色以下の場合(ステップ108でNo)、対応領域611~615のうち該当する領域に、第1濃度よりも高い第2濃度でバンドが描画されるように制御する(ステップ110)。
【0067】
分割領域521~525のいずれの判定結果も、平均画像密度が第2閾値以下でない場合(ステップ107でNo)、対応領域611~615のいずれにもバンドを描画しないように制御する(ステップ111)。
なお、分割領域521~525についての判定に用いられる第2閾値は、分割領域521~525ごとに変わるものではなく、同一値である。
【0068】
図8は、領域61の対応領域611~615に描画されるバンド例を説明する図であり、(a)、(b)、(c)の各々は、図7に示すフローチャートによる結果を示す。
図8(a)に示す例では、領域61の全領域にバンド(斜線参照)が描画されている。
より詳細には、同図(a)に示すバンド例は、図7のステップ105又はステップ106によるものである。すなわち、分割領域521~525(図5参照)の全領域における平均画像密度が第1閾値以下である場合は、対応領域611~615の各々に濃度が同じバンド(斜線参照)が描画される。なお、図8では、バンドの濃度の違いを区別した表示をしていない。
【0069】
図8(b)に示す例では、対応領域611、615にバンド(斜線参照)が描画され、他の対応領域612~614にはバンドが描画されない。
より詳細には、同図(b)に示すバンド例は、図7のステップ109又はステップ110によるものである。すなわち、分割領域521~525(図5参照)のうち、平均画像密度が第2閾値以下であるという条件を満たす分割領域が分割領域521、525である場合は、分割領域521、525に対応する対応領域611、615のみに同じ濃度のバンド(斜線参照)が描画され、残りの対応領域612~614にはバンドが描画されない。
【0070】
図8(c)に示す例では、対応領域611~615のいずれにもバンドが描画されていない。
より詳細には、同図(c)に示すバンド例は、図7のステップ111によるものであり、対応領域611~615のいずれにもバンドが描画されない。
【0071】
このように、第1の実施の形態では、分割領域521~525についての判定の仕方は、分割領域521~525の各々で異なるものではなく、描画されるバンドの濃度も分割領域521~525の各々で異なるものではないことから、分割領域521~525の各々で判定の仕方やバンドの濃度を変える場合に比べて、制御の負担の増大が抑制される。
【0072】
<第2の実施の形態>
図9は、第2の実施の形態に係る中間転写ベルト21における二次転写位置T2の上流側における表面21aを示す図であり、二次転写前の状態を示す。図9は、第1の実施の形態における図5に対応するものであり、図5に示す構成と共通するものについては、同じ符号を用い、その説明を省略することがある。
【0073】
(領域63)
図9に示すように、第2の実施の形態では、中間転写ベルト21において、矢印方向Aに関してトナー像領域51とトナー像領域52との間に位置するマージン領域53は、トナーが供給される領域61及びトナーが供給されない領域62を含むほか、トナーが供給される領域63も含まれる。
【0074】
このように、領域63は、マージン領域53の一部を構成するものであり、領域61すなわち対応領域611~615に対して矢印方向Aの上流側に位置する。
領域63は、幅方向Bの全域に亘って設けられるものであり、破線211~214により分割されるものではない点で領域61とは異なる。
領域63は、一方向と交差する方向の全域に亘る領域の一例である。
【0075】
上述したように、第2の実施の形態では、領域61のみならず領域63もバンド描画領域とすることにより、トナー像領域52における画像密度が極めて低い場合にも、より多くのトナーが供給されることによりブレード28(図1参照)の姿勢が安定する。
【0076】
図9に示すように、領域61の矢印方向Aにおける寸法は、長さL1であり、領域63の矢印方向Aにおける寸法は、長さL3である。より詳細には、領域61の長さL1と領域63の長さL3とは互いに異なり、長さL1は長さL3よりも長い(L1>L3)。
すなわち、領域61の矢印方向Aに関する長さL1は、領域63よりも長い。
【0077】
領域61は、第1の実施の形態にて説明したように、トナー像領域52の分割領域521~525(図5参照)の個々の平均画像密度に応じてバンドを描画するかどうかが決定されることから、分割領域521~525のうち一部の画像密度が極めて低い場合、領域61を長くすることで、より多くのトナーが供給され、ブレード28(図1参照)の姿勢が安定する。
【0078】
図10は、領域63へのトナー供給制御が行われる場合の処理手順を示すフローチャートである。なお、第2の実施の形態において、領域61の対応領域611~615へのトナー供給制御が行われる場合の処理手順は、第1の実施の形態で既述した図7に示すものを採用することができる。
図10に示す処理例では、印刷指示に向けた準備開始信号を受信すると(ステップ201)、取得部111(図6参照)は、前回のバンド描画からの記録媒体Pの枚数が予め定められている値を超えたかどうかを判定する(ステップ202)。予め定められている値は、記憶部114により記憶されている値であり、可変である。予め定められている値としては、例えば「1」とする場合、記録媒体Pの1枚おきに肯定判定される。
なお、図10には図示されていないが、画像形成装置1が電源ON後に印刷する際の最初の記録媒体Pについては、ステップ202の判定が肯定され、後述のステップ203に進む。
【0079】
前回のバンド描画からの記録媒体Pの枚数が予め定められている値を超えている場合(ステップ202でYes)、判定部112(図6参照)は、トナー像領域52の全領域における平均画像密度が第3閾値以下であるかを判定する(ステップ203)。なお、ステップ203では、分割領域521~525の個々の平均画像密度についての判定を行わない点で、上述した第1の実施の形態の場合(図7参照)とは異なる。
第3閾値は、記憶部114(図6参照)により記憶されている値であり、可変である。第3閾値を、上述した第1の実施の形態における第1閾値と同じ値とすることも考えられる。
【0080】
第3閾値以下である場合(ステップ203でYes)、領域63に第3濃度でバンドが描画されるように制御する(ステップ204)。その一方で、第3閾値を超える場合(ステップ203でNo)、領域63に第3濃度よりも低い第4濃度でバンドが描画されるように制御する(ステップ204)。
第3濃度及び第4濃度は、記憶部114(図6参照)により記憶されている値であり、可変である。
【0081】
前回のバンド描画からの記録媒体Pの枚数が予め定められている値を超えていない場合(ステップ202でNo)、領域63にバンドを描画しないように制御する(ステップ206)。
このように、領域63へのバンド描画は、領域61の対応領域611~615へのバンド描画の場合(図7参照)とは別の処理手順により制御される。
【0082】
図11は、領域61の対応領域611~615及び領域63のバンド例を説明する図であり、(a)、(b)、(c)、(d)の各々は、図7及び図10に示すフローチャートによる結果を示す。すなわち、領域61については図7に示すフローチャート、領域63については図10に示すフローチャートによる。
図11は、第1の実施の形態を説明する図8に対応する。なお、図11でも、バンドの濃度の違いを区別した表示をしていない。
【0083】
図11(a)に示す例では、領域61、63にバンド(斜線参照)が描画されている。
より詳細には、同図(a)に示すバンド例は、領域61が図7のステップ105又はステップ106によるものであり、領域63は、図10のステップ204又はステップ205によるものである。すなわち、分割領域521~525(図5参照)の全領域における平均画像密度が第1閾値以下である場合は、対応領域611~615の各々に濃度が同じバンド(斜線参照)が描画される。また、分割領域521~525(図5参照)の全領域における平均画像密度が第3閾値以下である場合は、領域63にバンド(斜線参照)が描画される。
【0084】
図11(b)に示す例では、対応領域611~615のうち対応領域611、615のみにバンド(斜線参照)が描画され、また、領域63にバンド(斜線参照)が描画されている。
より詳細には、同図(b)に示すバンド例は、対応領域611~615が図7のステップ109又はステップ110によるものであり、領域63は、図10のステップ204又はステップ205によるものである。
【0085】
図11(c)に示す例では、対応領域611~615のいずれにもバンドが描画されていないが、領域63にはバンド(斜線参照)が描画されている。
より詳細には、同図(c)に示すバンド例は、対応領域611~615が図7のステップ111によるものであり、領域63は、図10のステップ204又はステップ205によるものである。
【0086】
図11(d)に示す例では、対応領域611~615及び領域63のいずれにもバンドが描画されていない。
より詳細には、同図(d)に示すバンド例は、対応領域611~615が図7のステップ111によるものであり、領域63は、図10のステップ206によるものである。
【0087】
ここで、領域61に描画されるバンドと領域63に描画されるバンドとは、同じ濃度である場合のほか、互いに異なる濃度である場合も考えられる。
また、領域61に描画されるバンドと領域63に描画されるバンドとは、同じトナー乃至その組合せである場合のほか、互いに異なるトナー乃至その組合せである場合も考えられる。
【0088】
さらに説明すると、バンドを描画するとの決定がなされた描画対象である領域内ではトナーの種類を変えないように制御する。例えば、描画対象が領域61である場合は、領域61におけるトナーの種類が変わらず、また、描画対象が対応領域611~615のいずれかである場合は、該当する中間領域におけるトナーの種類は変わらず、さらに、描画対象が領域63である場合は、領域63におけるトナーの種類が変わらない。しかし、これに限られず、矢印方向A乃至幅方向Bに関して異なる種類のトナー又はその組合せになるように制御することも考えられる。
【0089】
<第3の実施の形態>
ここで、上述したように、中間転写ベルト21のマージン領域53(例えば図5参照)に供給されたトナーは、二次転写位置T2で二次転写されずにブレード28(図1参照)に達するものであり、ブレード28が中間転写ベルト21表面を清掃する際にブレード28の姿勢を安定化させる。
その一方で、転写胴26の凹部26Dにはグリッパ45が収容されている(例えば図2参照)。
そのため、マージン領域53のトナーが転写胴26のグリッパ45に付着すると、グリッパ45の機能が阻害されるおそれがある。
そこで、第3の実施の形態では、転写胴26のグリッパ45にマージン領域53のトナーが付着することを抑制するための構成を備えている。
以下説明する。
【0090】
図12は、転写胴26の凹部26Dと凹部26Dに収容されているグリッパ45との関係を示す転写胴26の断面図である。
図12に示すように、転写胴26の凹部26Dは、転写胴26の周面において、グリッパ45が位置する区間である第1区間261と、グリッパ45が位置しない区間である第2区間262とがある。
上述したように、グリッパ45は把持部の一例であり、凹部26Dは、把持部を収容する溝部の一例である。そして、第2区間262は、一方向における把持部が位置しない部分の一例である。
【0091】
ここで、中間転写ベルト21において、トナー像領域52(例えば図5参照)のトナー像を二次転写する記録媒体Pをグリッパ45が把持する場合、図12に示す第1区間261及び第2区間262のいずれにもマージン領域53のトナーが付着するおそれがある。
グリッパ45が位置する第1区間261にトナーが付着すると、グリッパ45の機能が阻害されるおそれがある一方で、グリッパ45が位置しない第2区間262にトナーが付着した場合、グリッパ45の機能が阻害されるおそれが少ない。
また、マージン領域53のなるべく広い領域にトナーを供給することができれば、ブレード28(図1参照)の姿勢をより安定化させることが可能になる。
そこで、第3の実施の形態では、中間転写ベルト21のマージン領域53において、グリッパ45が位置する第1区間261に対応する領域と、グリッパ45が位置しない第2区間262に対応する領域とで、トナー供給について異なる制御を行っている。すなわち、前者である第1区間261に対応する領域にはトナーを供給しない一方で、後者であるグリッパ45が位置しない第2区間262にはトナーを供給するようにしている。
以下説明する。
【0092】
図13は、第3の実施の形態に係る中間転写ベルト21における二次転写位置T2の上流側における表面21aを示す図であり、二次転写前の状態を示す。図13は、第1の実施の形態における図5や第2の実施の形態における図9に対応するものであり、図5及び図9に示す構成と共通するものについては、同じ符号を用い、その説明を省略することがある。
【0093】
(対応上流領域900、対応下流領域920)
図13に示すように、第3の実施の形態では、中間転写ベルト21のマージン領域53における領域61は、矢印方向Aに関し、転写胴26の凹部26Dにおける第1区間261(図12参照)に対応する対応上流領域900と、第2区間262(同図参照)に対応する対応下流領域920とに区分けされている。
【0094】
対応上流領域900及び対応下流領域920は、矢印方向Aにずれて位置する。より詳細には、対応下流領域920は対応上流領域900の上流側に位置する。言い換えると、対応下流領域920は、領域63に隣接する。
なお、図13に示す例では、矢印方向Aの長さが対応下流領域920よりも対応上流領域900の方が長くなっているが、これに限られず、逆である場合も考えられる。
【0095】
(対応上流領域900の特定領域901~912)
図13に示すように、領域61の対応上流領域900において、幅方向Bに関し、グリッパ45の位置に対応して設けられる特定領域901、902、903、904、905、906、907、908、909、910、911、912が設けられている。特定領域901~912の形状は同一である。なお、特定領域901~912は、第1区間261(図12参照)に相当する領域である。
【0096】
領域61の対応上流領域900において、特定領域901~912に対してはトナーが供給されず、特定領域901~912以外の領域に対してはトナーが供給可能である。なお、領域61の対応下流領域920に対してはトナーが供給される。
このため、領域61では、櫛の歯のような切れ込みが連続した櫛歯状の領域にトナーが供給される。
このように、転写胴26のグリッパ45を避けてトナーを付着させる領域を設定することで、転写胴26のグリッパ45にトナーが付着しないようにしつつ、領域61におけるトナーの量を増やすことが可能である。
【0097】
さらに説明すると、図13に示す特定領域901~912の幅DTは、幅方向Bにおける特定領域901~912の寸法である。かかる幅DTは、グリッパ45の厚さt(図4参照)よりも大きい(DT>t)。中間転写ベルト21が斜行した場合にもグリッパ45にトナーが付着しないようにするために余裕を持たせている。
なお、特定領域901~912の幅DTをグリッパ45の厚さt(図4参照)と同じにすることも考えられる(DT=t)。
【0098】
ここで、図13に示す例では、破線211~214は、特定領域901~912の位置にはかかっていないが、特定領域901~912にかかっていてもよい。すなわち、破線211~214は、特定領域901~912の位置を回避しなければならないというわけではない。
【0099】
また、図13には、特定領域901~912から右方向に延びる破線により囲まれる領域は、グリッパ45(図12参照)が掴む領域を示している。
特定領域901~912は、現像剤が供給されない領域の一例であり、把持部に対応する領域の一例である。なお、特定領域901~912に特定領域901~912から図13の右方向に延びる破線で囲まれる領域を含めて、把持部に対応する領域の一例としてもよい。
【0100】
(領域61に対応下流領域920を設ける意義)
上述したように、第3の実施の形態には、トナーが供給される領域61において、グリッパ45へのトナー付着を防止するため、特定領域901~912にトナーを供給していない。このため、領域61の例えば対応領域615において、幅方向Bに関し、特定領域912がある部分と特定領域912がない部分とでは、供給されるトナー量の差が大きい。そのため、分割領域521の平均画像密度を基に、対応領域615にバンドを描画する場合であっても、特定領域912がある部分ではトナー量が少ないことから、ブレード28(図1参照)が不安定になるおそれがある。
【0101】
仮に、領域61の対応下流領域920を省略する変形例を採用すると、特定領域912がある部分と特定領域912がない部分との供給されるトナー量の比率が、対応下流領域920を備える場合に比べて、大きくなってしまい、上述したブレード28の不安定化が助長されてしまう。
【0102】
また、第3の実施の形態では、対応領域611~615という5つの領域に対し、特定領域901~912という12の領域を設けているが、中間領域の数をより多くすることで対応することも考えられる。かかる対応では、中間領域の数をより多くすることに伴い、分割領域521~525の数も増えることから、平均画像密度を基にするバンド描画制御(図7参照)の処理負担が増大してしまう。
【0103】
そこで、第3の実施の形態では、領域61に、特定領域901~912を備える対応上流領域900のみならず、対応下流領域920を設ける構成を採用する。対応下流領域920は、一方向にずれて位置する別の領域の一例である。
【0104】
付言すると、第3の実施の形態でも、第2の実施の形態で説明したように、中間転写ベルト21の幅方向Bの全域に亘って設ける領域63をさらに備えることで、マージン領域53に供給される幅方向Bに関するトナー量の最小値を高め、ブレード28の安定化を図っている。
【0105】
<第3の実施の形態における変形例>
ここで、上述した第3の実施の形態では、領域61の特定領域901~912には、トナーを供給していないことで、グリッパ45へのトナー付着を防止しているが、YMCKのいずれか1色のみのトナー供給であれば、グリッパ45へのトナー付着を抑制することが確認された。
【0106】
そこで、特定領域901~912にYMCKのいずれか1色のみのトナーを供給する変形例を採用してもよい。かかる変形例では、中間転写ベルト21の幅方向Bにおけるトナー量が増え、ブレード28の安定化を図ることができる。
変形例において、把持部に対応する領域の一例としての特定領域901~912に供給される現像剤は、2色以上のトナーを重ねたものではない。
【0107】
かかる変形例の場合、特定領域901~912に供給するYMCKのいずれか1色のみのトナーは、特定領域901~912のすべてが同じ1色である場合のほか、同じ色ではない場合も考えられる。すなわち、特定領域901~912に供給されるトナーは、YMCKのうちいずれか一つのトナーである場合が考えられ、また、YMCKを色分けした場合も考えられる。
なお、すべてが同じ色である場合には、同じ色でない場合に比べて、制御負担の軽減が図られる。その一方で、同じ色でない場合は、すべてが同じ色である場合に比べて、YMCKのトナー消費量のバラツキが抑制される。
【0108】
その一例を説明すると、特定領域901、905、909にY、特定領域902、906、910にM、特定領域903、907、911にC、特定領域904、908、912にKを供給する例である。すなわち、特定領域単位で色を変える例である。
また、特定領域901~912の矢印方向Aに例えば4つに区分けし、上流側から下流側にYMCKの順でトナーを供給する例を採用することも考えられる。すなわち、矢印方向Aに色を変える例である。
【0109】
<付記>
(((1)))
現像剤で現像した像を表面に一方向に並んで保持し当該一方向に移動可能な像保持体と、当該像保持体の当該像を記録媒体に転写する転写部材と、を備える画像形成装置であって、
前記像保持体の前記表面を前記一方向と交差する方向に沿って複数の領域に分割した場合の当該領域である分割領域ごとに、当該表面の像の画像密度を示す情報を基に導いた値を取得し、
前記導いた値が予め定められている値を下回った場合、前記表面において記録媒体に転写される像同士の間の領域であって該当する分割領域における像の部分に先行する領域である中間領域に現像剤を供給する、
画像形成装置。
(((2)))
前記中間領域は、現像剤が供給されない領域を含む、
ことを特徴とする(((1)))に記載の画像形成装置。
(((3)))
前記現像剤が保持されない領域は、前記転写部材が前記記録媒体の一部を把持する把持部を持つ場合の当該把持部に対応する領域である、
ことを特徴とする(((2)))に記載の画像形成装置。
(((4)))
前記把持部に対応する領域は、前記交差する方向の長さが前記把持部の寸法よりも大きい、
ことを特徴とする(((3)))に記載の画像形成装置。
(((5)))
前記把持部に対応する領域は、当該把持部を収容する溝部であって前記一方向における当該把持部が位置しない部分を含まない、
ことを特徴とする(((3)))又は(((4)))に記載の画像形成装置。
(((6)))
前記転写部材が前記記録媒体の一部を把持する把持部を持つ場合、当該把持部に対応する領域に供給される現像剤は、2色以上の現像剤を重ねたものではない、
ことを特徴とする(((1)))に記載の画像形成装置。
(((7)))
前記把持部に対応する領域に供給される現像剤は、前記画像形成装置が有する複数の現像剤を色分けしたものである、
ことを特徴とする(((6)))に記載の画像形成装置。
(((8)))
前記把持部に対応する領域に供給される現像剤は、前記画像形成装置が有する複数の現像剤のうちいずれか一つの現像剤である、
ことを特徴とする(((6)))に記載の画像形成装置。
(((9)))
前記中間領域は、前記把持部に対応する領域と、当該把持部に対応する領域に対して前記一方向にずれて位置する別の領域と、を含む、
ことを特徴とする(((3)))乃至(((8)))のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(((10)))
前記中間領域に現像剤を供給する場合、前記像保持体の前記表面の前記一方向と交差する方向の全域に亘る領域に現像剤を供給する、
ことを特徴とする(((1)))乃至(((9)))のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(((11)))
前記全域に亘る領域は、前記中間領域に対して前記一方向の上流側に位置する、
ことを特徴とする(((10)))に記載の画像形成装置。
(((12)))
前記中間領域の前記一方向に関する長さは、前記全域に亘る領域よりも長い、
ことを特徴とする(((10)))に記載の画像形成装置。
(((13)))
前記分割領域は、前記像保持体の前記交差する方向において、記録媒体の幅寸法の中心の位置を基に設定される、
ことを特徴とする(((1)))乃至(((12)))のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0110】
(((1)))の発明によれば、予め定められた領域に応じて供給する現像剤の濃度を変える制御を採用する場合に比べ、制御の負担の増大を抑制することができる。
(((2)))の発明によれば、中間領域は、現像剤が供給されない領域を含む構成を備えない場合に比べて、画像形成装置が備える機能を保持することができる。
(((3)))の発明によれば、現像剤が保持されない領域は、転写部材が記録媒体の一部を把持する把持部を持つ場合の把持部に対応する領域である構成を備えない場合に比べて、把持部への現像剤汚れを防止することができる。
(((4)))の発明によれば、把持部に対応する領域は、交差する方向の長さが把持部の寸法よりも大きいという構成を備えない場合に比べて、像保持体の斜行に対応することができる。
(((5)))の発明によれば、把持部に対応する領域は、把持部を収容する溝部であって一方向における把持部が位置しない部分を含まないという構成を備えない場合に比べて、像保持体の清掃性能の維持に対応可能な導いた値の下限値を下げることができる。
(((6)))の発明によれば、転写部材が記録媒体の一部を把持する把持部を持つ場合、把持部に対応する領域に供給される現像剤は、2色以上の現像剤を重ねたものではないという構成を備えない場合に比べて、像保持体の清掃性能の維持に対応可能な導いた値の下限値を下げることができる。
(((7)))の発明によれば、把持部に対応する領域に供給される現像剤は、画像形成装置が有する複数の現像剤を色分けしたものであるという構成を備えない場合に比べて、画像形成装置が備える現像剤の消費量の偏りを抑制することができる。
(((8)))の発明によれば、把持部に対応する領域に供給される現像剤は、画像形成装置が有する複数の現像剤のうちいずれか一つの現像剤である構成を備えない場合に比べて、制御の容易化を図ることができる。
(((9)))の発明によれば、中間領域は、把持部に対応する領域と、把持部に対応する領域に対して一方向にずれて位置する別の領域と、を含む構成を備えない場合に比べて、像保持体の清掃性能の維持に対応可能な導いた値の下限値を下げることができる。
(((10)))の発明によれば、中間領域に現像剤を供給する場合、像保持体の表面の一方向と交差する方向の全域に亘る領域に現像剤を供給する構成を備えない場合に比べて、像保持体の清掃性能の維持に対応可能な導いた値の下限値を下げることができる。
(((11)))の発明によれば、全域に亘る領域は、中間領域に対して一方向の上流側に位置する構成を備えない場合に比べて、像保持体の清掃性能の維持に対応可能な導いた値の下限値を下げることができる。
(((12)))の発明によれば、中間領域の一方向に関する長さは、全域に亘る領域よりも長い構成を備えない場合に比べて、像保持体の清掃性能の維持に対応可能な導いた値の下限値を下げることができる。
(((13)))の発明によれば、分割領域は、像保持体の前記交差する方向において、記録媒体の幅寸法の中心の位置を基に設定される構成を備えない場合に比べて、記録媒体の端部分に現像剤を供給することができる。
【符号の説明】
【0111】
1…画像形成装置、21…中間転写ベルト、21a…表面、26…転写胴、26D…凹部、45…グリッパ、51、52…トナー像領域、53…マージン領域、61~63…領域、211~214…破線、261…第1区間、262…第2区間、521~525…分割領域、611~615…対応領域、900…対応上流領域、901~912…特定領域、920…対応下流領域、A…矢印方向、B…幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13