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特開2025-101539照射装置、照射方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025101539
(43)【公開日】2025-07-07
(54)【発明の名称】照射装置、照射方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/24 20060101AFI20250630BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20250630BHJP
【FI】
B60Q1/24 A
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023218453
(22)【出願日】2023-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】飯富 裕
【テーマコード(参考)】
3K339
5H181
【Fターム(参考)】
3K339AA12
3K339AA14
3K339AA15
3K339BA10
3K339CA30
3K339DA01
3K339EA03
3K339GB01
3K339HA01
3K339JA22
3K339JA23
3K339LA28
3K339LA40
3K339MA01
3K339MB04
3K339MB10
3K339MC04
3K339MC05
3K339MC36
3K339MC90
5H181AA01
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC24
5H181FF05
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】交差点を通過しようとする歩行者等がいる場合、車両に対して注意を促すことが可能な照射装置を提供すること。
【解決手段】本開示にかかる照射装置100は、車両の進行方向における交差点の有無及び位置を検出する交差点検出部101と、車両の周囲における移動物の有無及び位置を検出する移動物検出部102と、交差点の有無及び位置と、移動物の有無及び位置とに基づいて、車両及び移動物の進行方向に交差点があるか否かを判定し、交差点があると判定した場合に、所定波長の照射光を交差点に向けて照射する制御を行う照射制御部103と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の進行方向における交差点の有無及び位置を検出する交差点検出部と、
前記車両の周囲における移動物の有無及び位置を検出する移動物検出部と、
前記交差点の有無及び位置と、前記移動物の有無及び位置とに基づいて、前記車両及び前記移動物の進行方向に前記交差点があるか否かを判定し、前記交差点があると判定した場合に、所定波長の照射光を前記交差点に向けて照射する制御を行う照射制御部と、を備える
照射装置。
【請求項2】
前記照射制御部は、前記移動物の進行方向の領域に向けて前記照射光を照射するように前記制御を行う
請求項1に記載の照射装置。
【請求項3】
前記移動物検出部は、前記交差点の位置と前記移動物の位置とに基づいて、前記移動物が前記交差点を通過することをさらに検出し、
前記照射制御部は、前記移動物が前記交差点を通過するまで前記照射光を照射するように前記制御を行う
請求項1又は2に記載の照射装置。
【請求項4】
車両の進行方向における交差点の有無及び位置を検出する交差点検出ステップと、
前記車両の周囲における移動物の有無及び位置を検出する移動物検出ステップと、
前記交差点の有無及び位置と、前記移動物の有無及び位置とに基づいて、前記車両及び前記移動物の進行方向に前記交差点があるか否かを判定し、前記交差点があると判定した場合に、所定波長の照射光を前記交差点に向けて照射する制御を行う照射制御ステップと、を含む
照射方法。
【請求項5】
車両の進行方向における交差点の有無及び位置を検出する交差点検出ステップと、
前記車両の周囲における移動物の有無及び位置を検出する移動物検出ステップと、
前記交差点の有無及び位置と、前記移動物の有無及び位置とに基づいて、前記車両及び前記移動物の進行方向に前記交差点があるか否かを判定し、前記交差点があると判定した場合に、所定波長の照射光を前記交差点に向けて照射する制御を行う照射制御ステップと、をコンピュータに実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照射装置、照射方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
交差点における車両と歩行者との接触を防ぐため、歩行者に注意を促す技術が知られている。関連する技術として、特許文献1は、車両に搭載される光源ユニットと、車両に搭載された検出部から受け取った情報に基づいて光源ユニットを制御する光源制御部と、を備える車両用灯具システムを開示する。光源制御部は、検出部から受け取った情報に基づいて、車両が右折のために交差点に進入する前に、車両が右折時に横切る横断歩道の位置と、横断歩道上の歩行者又は横断歩道に進入しようとしている歩行者の有無とを検出する。また光源制御部は、歩行者が検出された場合、右折時に横切る横断歩道の所定の位置に対して、光源からスポット光を照射させる。これにより、当該車両用灯具システムは、右折車両の存在を歩行者に認識させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-017283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
交差点において、車両の進行方向を横切る歩行者や自転車などを車両が認識していない場合、又は、車両から認識できない状態にある場合、車両と歩行者等とが接触する可能性が高くなる。そのため、交差点を通過しようとする歩行者等がいる場合、車両に対して注意を促すことが望ましい。
【0005】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、交差点を通過しようとする歩行者等がいる場合、車両に対して注意を促すことが可能な照射装置、照射方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる照射装置は、
車両の進行方向における交差点の有無及び位置を検出する交差点検出部と、
前記車両の周囲における移動物の有無及び位置を検出する移動物検出部と、
前記交差点の有無及び位置と、前記移動物の有無及び位置とに基づいて、前記車両及び前記移動物の進行方向に前記交差点があるか否かを判定し、前記交差点があると判定した場合に、所定波長の照射光を前記交差点に向けて照射する制御を行う照射制御部と、を備えるものである。
【0007】
本開示にかかる照射方法は、
車両の進行方向における交差点の有無及び位置を検出する交差点検出ステップと、
前記車両の周囲における移動物の有無及び位置を検出する移動物検出ステップと、
前記交差点の有無及び位置と、前記移動物の有無及び位置とに基づいて、前記車両及び前記移動物の進行方向に前記交差点があるか否かを判定し、前記交差点があると判定した場合に、所定波長の照射光を前記交差点に向けて照射する制御を行う照射制御ステップと、を含むものである。
【0008】
本開示にかかるプログラムは、
車両の進行方向における交差点の有無及び位置を検出する交差点検出ステップと、
前記車両の周囲における移動物の有無及び位置を検出する移動物検出ステップと、
前記交差点の有無及び位置と、前記移動物の有無及び位置とに基づいて、前記車両及び前記移動物の進行方向に前記交差点があるか否かを判定し、前記交差点があると判定した場合に、所定波長の照射光を前記交差点に向けて照射する制御を行う照射制御ステップと、をコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示にかかる照射装置、照射方法、及びプログラムは、交差点を通過しようとする歩行者等がいる場合、車両に対して注意を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態にかかる照射システムの概要を示す図である。
図2】実施形態にかかる照射装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図3】実施形態にかかる照射装置が行う照射光の照射処理を示すフローチャートである。
図4】実施形態にかかる照射装置が行う照射光の検出処理を示すフローチャートである。
図5】車両と同じ方向に移動する歩行者がいる例を示す図である。
図6】車両が後方に向かって遠赤外線を照射する例を示す図である。
図7図5に示される歩行者に加え、車両の対向方向に移動する歩行者がいる例を示す図である。
図8図7に示される歩行者に加え、さらに車両と同じ方向に移動する歩行者及び車両の対向方向に移動する歩行者がいる例を示すである。
図9】車両の進行方向及び対向方向に対して横切る方向に移動する歩行者がいる例を示す図である。
図10図9に示される歩行者に加え、さらに車両の進行方向及び対向方向に対して横切る方向に移動する歩行者がいる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されている。説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0012】
図1を参照して、本実施形態にかかる照射システム200の概要を説明する。図1は、照射システム200の概要を示す図である。また図1は、照射システム200が実現される交差点Iを上から見た図である。照射システム200は、車両A及びBを備える。車両A及びBは、それぞれ照射装置100を備える。以下では、車両Aが備える照射装置100を照射装置100A、車両Bが備える照射装置100を照射装置100Bと称して説明する場合がある。照射装置100A及び100Bの構成は同じであってよい。照射システム200を備える車両の数は2台に限らず任意である。
【0013】
図1に示されるX軸及びY軸は、それぞれ車両A及びBの進行方向を示す。X軸正方向側が車両Aの進行方向である。また、Y軸正方向側が車両Bの進行方向である。車両A及びBの進行方向には、交差点Iがある。また、車両A及びBの周囲には、歩行者Pがいる。歩行者Pの進行方向も車両Aと同じX軸正方向側である。
【0014】
歩行者Pは、本実施形態にかかる移動物の一例である。移動物は、車両の周囲を移動する物体である。移動物は、例えば、歩行者、自転車、又はバイクなどである。これらに限らず、移動物は、車両に認識させる対象となる種々の物体を含んでよい。照射装置100A及び100Bは、例えば車両に搭載される。照射装置100A及び100Bは、バイクや、交差点周辺を移動可能なドローンなどに搭載されてもよい。
【0015】
照射装置100Aは、交差点Iを通過しようとする歩行者Pを検出して、歩行者Pが交差点Iに進入する前に、交差点Iに所定波長の照射光Lを照射する。図に示される太実線矢印は、照射装置100Aから照射される照射光Lの照射方向を示す。照射装置100Aは、歩行者Pの前方の路面の領域aに向けて照射光Lを照射する。照射装置100Bは、領域aの照射光を検出し、車両Bの運転者や同乗者に報知する。例えば、照射装置100Bは、歩行者Pが交差点Iに飛び出してくる可能性を報知する。これにより、照射システム200は、歩行者Pが交差点Iに進入する前に、車両Bに対して注意を促すことができる。
【0016】
(照射装置100の構成)
続いて、図2を参照して、照射装置100の構成について詳細に説明する。図2は、照射装置100の機能的な構成を示すブロック図である。照射装置100は、交差点検出部101、移動物検出部102、照射制御部103、照射部104、報知制御部105、報知部106、カメラ制御部107、カメラ108、照射光検出部109、及び通信部110を備える。なお、以下では照射装置100が車両に搭載される例を説明する。
【0017】
交差点検出部101は、車両の進行方向における交差点の有無及び位置を検出する。車両の進行方向は、車両の前方を示す。交差点の有無は、車両の進行方向に交差点が存在するか否かを示す。交差点検出部101は、信号機や監視カメラ等が設置されていない交差点を検出することが好ましい。
【0018】
例えば、交差点検出部101は、車両の前方を撮影した画像に基づいて、交差点の有無及び位置を検出する。交差点検出部101は、撮影画像としてカメラ108の撮影画像を用いてもよいし、図示しない他のカメラ(例えば可視光カメラ)の撮影画像を用いてもよい。例えば、交差点検出部101は、任意の画像認識技術を用いて、撮影画像における停止線や横断歩道などの路面上の白線の有無に基づいて、交差点の有無を検出する。
【0019】
これに限らず、交差点検出部101は、地図情報を用いて、交差点の有無を検出してもよい。この場合、例えば交差点検出部101は、通信部110を介して、所定の地図提供サービスから地図情報を取得する。また、交差点検出部101は、車両の位置を検出する車両位置検出部(不図示)から自車両の車両位置を取得する。例えば、車両位置検出部は、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の技術を用いて測位を行い、車両位置を検出する。例えば、車両位置検出部は、GPS(Global Positioning System)センサを用いて測位を行う。交差点検出部101は、地図情報と車両位置情報に基づいて、車両の進行方向における交差点の有無を検出する。
【0020】
交差点の位置は、車両と交差点との相対位置で表されてもよいし、緯度経度を用いた絶対位置で表されてもよい。交差点の位置を検出することで、交差点検出部101は、車両と交差点との位置関係を検出することができる。
【0021】
例えば、交差点の位置を相対位置で表すとする。交差点検出部101は、撮影画像に基づいて、車両と交差点との間の距離を算出し、算出結果に基づいて交差点の相対位置を検出する。例えば、交差点検出部101は、撮影画像中の交差点の画像サイズに基づいて、車両と交差点との距離を算出する。交差点検出部101は、撮影画像中の交差点の画像サイズと当該交差点の距離とが対応付けられたテーブルを参照することで、車両から交差点までの距離を算出する。
【0022】
交差点の位置を絶対位置で表す場合、交差点検出部101は、車両位置及び地図情報に基づいて、交差点の絶対位置を取得することができる。これらに限らず、交差点検出部101は、任意の方法を用いて交差点の有無及び位置を検出してもよい。なお、交差点の位置は、交差点の範囲を示す情報を含んでよい。例えば交差点が矩形領域の場合、交差点の位置は、矩形領域の頂点の位置の情報を含んでよい。また、交差点の位置は、当該頂点により特定される範囲の情報を含んでよい。
【0023】
交差点検出部101は、交差点の有無及び位置を所定の時間間隔で検出してよい。交差点が検出されない場合、交差点検出部101は、交差点の検出を継続する。これにより、交差点検出部101は、交差点の有無及び位置をリアルタイムで検出することができる。なお、車両の進行方向に複数の交差点が存在する場合、交差点検出部101は、それぞれの交差点の有無及び位置を検出してよい。交差点検出部101は、交差点の有無及び位置を照射制御部103に出力する。
【0024】
移動物検出部102は、車両の周囲における移動物の有無及び位置を検出する。車両の周囲は、車両から所定の距離以内の範囲であってよい。例えば、車両の周囲は、移動物を検出するセンサが当該移動物を検出可能な範囲である。車両の周囲は、車両の前方、後方、左方向、及び右方向のいずれの方向の範囲であってもよい。移動物の有無は、車両の周囲に移動物が存在するか否かを示す。
【0025】
例えば、移動物検出部102は、車両の周囲を撮影した画像に基づいて、移動物の有無及び位置を検出する。移動物検出部102は、撮影画像としてカメラ108の撮影画像を用いてもよいし、図示しない他のカメラの撮影画像(例えば可視光カメラ)を用いてもよい。移動物検出部102は、例えば任意の画像認識技術を用いて、車両の周囲における移動物の有無を検出する。
【0026】
なお、移動物検出部102は、車両の周囲に存在する物体までの距離を測定する測距センサを用いて移動物の有無及び位置を検出してもよい。測距センサは、例えばLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)、ステレオカメラ、ToF(Time of Flight)カメラ、又はミリ波レーダなどである。
【0027】
移動物検出部102は、任意の方向に進行する移動物を検出する。例えば、移動物検出部102は、車両の進行方向と同じ方向に移動する移動物を検出する。また、移動物検出部102は、車両の進行方向とは逆の、対向方向に進行する移動物を検出する。さらに、移動物検出部102は、車両の進行方向及び対向方向に対し横切る方向に移動する移動物を検出する。
【0028】
移動物検出部102は、撮影画像に基づいて、移動物の種別を特定してもよい。例えば、移動物の種別は、移動物が歩行者、バイク、及び自転車などのいずれであるかを示す情報を含んでもよい。また、移動物が歩行者の場合、移動物の種別は、歩行者が子供であるか、大人であるかのように、歩行者の属性を示す情報を含んでもよい。移動物検出部102は、例えば、移動物の大きさ、外観、移動速度、又は姿勢などに基づいて、移動物の種別を特定してもよい。
【0029】
移動物の位置は、車両と移動物との相対位置で表されてもよいし、緯度経度を用いた絶対位置で表されてもよい。移動物の位置を検出することで、移動物検出部102は、車両と移動物との位置関係を検出することができる。
【0030】
例えば、移動物の位置を相対位置で表すとする。移動物検出部102は、撮影画像に基づいて、車両と移動物との間の距離及び移動物が位置する方向を算出し、算出結果に基づいて移動物の相対位置を検出する。
【0031】
例えば、移動物検出部102は、撮影画像中の移動物の画像サイズに基づいて、車両と移動物との距離を算出する。移動物検出部102は、撮影画像中の移動物の画像サイズと当該移動物の距離とが対応付けられたテーブルを参照することができ、車両から移動物までの距離を算出する。また、移動物検出部102は、車両の進行方向と移動物が存在する方向との角度差を求める。これにより、移動物検出部102は、移動物が位置する方向を算出する。移動物検出部102は、撮影画像中における移動物の位置を示す座標と撮影画像の中心座標との差分を算出する。移動物検出部102は、当該差分と角度差とが対応付けられたテーブルを参照することで、車両に対する移動物の方向を算出する。
【0032】
移動物の位置を絶対位置で表す場合、移動物検出部102は、例えば、車両位置の緯度経度を基準として、移動物の絶対位置を表すことができる。これらに限らず、移動物検出部102は、任意の方法を用いて移動物の有無及び位置を検出してもよい。
【0033】
移動物検出部102は、移動物の有無及び位置を所定の時間間隔で検出してよい。移動物が検出されない場合、移動物検出部102は、移動物の検出を継続する。これにより、移動物検出部102は、移動物の有無及び位置をリアルタイムで検出することができる。なお、車両の周囲に複数の移動物が存在する場合、移動物検出部102は、それぞれの移動物の有無及び位置を検出してよい。移動物検出部102は、移動物の有無及び位置を照射制御部103に出力する。
【0034】
また、移動物検出部102は、交差点の位置と移動物の位置とに基づいて、移動物が交差点を通過することをさらに検出してもよい。「移動物が交差点を通過する」は、交差点の外にいる移動物が交差点に進入し、交差点内を進み、交差点を退出することを示す。
【0035】
例えば、移動物が交差点の手前にあるとする。この場合、移動物検出部102は、交差点の位置と移動物の位置とに基づいて、移動物が交差点を通過することを検出することができる。例えば、移動物検出部102は、移動物の位置の時間変化に基づいて、移動物の進行方向を特定する。移動物検出部102は、移動物の進行方向に交差点がある場合、移動物が交差点を通過することを検出する。移動物検出部102は、移動物の進行方向に交差点がない場合、移動物が交差点を通過することを検出しない。
【0036】
これに限らず、移動物検出部102は、移動物と交差点との距離の時間変化に基づいて、移動物が交差点を通過することを検出してもよい。例えば、移動物検出部102は、移動物が交差点に近づいている場合、移動物が交差点を通過することを検出する。移動物検出部102は、移動物が交差点から遠ざかる場合、移動物が交差点を通過することを検出しない。このようにすることで、移動物検出部102は、移動物が蛇行している場合であっても移動物が交差点を通過するか否かを正しく検出できる。
【0037】
また、移動物検出部102は、交差点の位置と移動物の位置とに基づいて、移動物が交差点に進入したこと、及び交差点から退出したことを検出する。これにより、移動物検出部102は、移動物が交差点を実際に通過したことを検出する。
【0038】
具体的には、移動物検出部102は、移動物の位置が交差点外から交差内に変化した場合、移動物が交差点に進入したことを検出する。また、移動物検出部102は、移動物検出部102は、移動物の位置が交差点内から交差点外に変化した場合、移動物が交差点から退出したことを検出する。移動物検出部102は、移動物の位置が交差点内で変化している場合や、交差点内で停止している場合、移動物が交差点から退出したことを検出しない。
【0039】
照射制御部103は、照射部104を制御する。これにより、照射制御部103は、照射部104から照射光を照射させる。具体的には、照射制御部103は、交差点検出部101及び移動物検出部102のそれぞれで検出された交差点の有無及び位置と、移動物の有無及び位置とに基づいて、車両及び移動物の進行方向に交差点があるか否かを判定する。照射制御部103は、交差点があると判定した場合に、所定波長の照射光を交差点に向けて照射する制御を行う。
【0040】
照射光は、例えば、遠赤外線、中赤外線、近赤外線、又は可視光などである。本実施形態では照射光として遠赤外線を用いて説明するが、照射光の波長は限定されない。照射光として遠赤外線を用いることで、照射から多少の時間が経過した場合であっても、照射光検出部109において照射光を検出することができる。
【0041】
照射制御部103は、移動物の進行方向の領域に向けて照射光を照射するように制御を行う。照射制御部103は、移動物の進行方向の複数の領域に向けて、照射光を複数回照射するように制御を行ってもよい。例えば、照射制御部103は、移動物の前方の領域に複数回、照射光を照射するように制御を行う。
【0042】
また、照射制御部103は、移動物検出部102において移動物が交差点を通過することが検出された場合、移動物が交差点を通過するまで照射光を照射するように制御を行う。照射制御部103は、交差点に進入した移動物が交差点から退出するまで、照射光を照射するように制御を行う。
【0043】
例えば、照射制御部103は、照射を開始する照射開始タイミングと、照射を終了する照射終了タイミングとを設定する。照射制御部103は、照射開始タイミングから照射終了タイミングまでの間、照射光を照射するように照射部104を制御する。
【0044】
例えば、照射制御部103は、移動物が交差点を通過することが検出されたタイミングを照射開始タイミングに設定し、移動物が交差点から退出したことが検出されたタイミングを照射終了タイミングに設定する。この場合、まず照射制御部103は、移動物が交差点を通過することが検出された場合、照射部104における照射光の照射を開始する。照射制御部103は、移動物が交差点から退出したことが検出されるまで照射を継続させる。照射制御部103は、移動物が交差点から退出したことが検出された場合、照射光の照射を終了させる。このようにすることで、照射制御部103は、移動物が交差点に進入する前から照射光を照射させ、かつ、移動物が交差点から退出するまで照射を継続させることができる。
【0045】
なお、照射開始タイミング及び照射終了タイミングは上述したタイミングに限られない。例えば、移動物の移動速度が所定速度より遅い場合、照射制御部103は、移動物が交差点を通過することが検出されたタイミングから所定時間経過後を照射開始タイミングに設定してもよい。
【0046】
また、照射制御部103は、照射光が路面に残る時間を加味して、照射終了タイミングを設定してもよい。例えば、照射制御部103は、移動物の位置や移動速度に基づいて、移動物が交差点から退出するタイミングを予測する。照射制御部103は、移動物が実際に交差点を退出するタイミングより早く、照射終了タイミングを設定してもよい。
【0047】
また、照射制御部103は、車両位置及び交差点の位置に基づいて、車両が交差点から退出したことを検出し、車両が交差点から退出したことを検出した場合に、照射を終了させてもよい。照射制御部103は、車両が直進、右折、及び左折のいずれであっても、車両が交差点を通過するまで、移動物の前方への照射光の照射を行う。
【0048】
なお、照射制御部103は、車両が交差点から退出した後においても、照射光が照射可能な範囲において照射を継続させてもよい。例えば、照射装置100が、車両の後方へ照射光を照射することが可能な照射部104aをさらに備えるとする。この場合、照射制御部103は、照射部104aを用いて、車両の後方に位置する移動物の前方に照射光を照射するように制御してもよい。このようにすることで、車両が移動物を追い抜いた後であっても、照射部104aは移動物の前方に照射光を照射することができる。照射装置100は、後方に限らず、任意の方向に照射可能な照射部104を備えてもよい。例えば、照射装置100は、左方向又は右方向に照射可能な照射部104を備えてもよい。
【0049】
照射制御部103は、照射光を1回照射するように制御してもよいし、複数回照射するように制御してもよい。照射回数は任意である。また、照射制御部103は、照射光を連続的な直線で照射してもよいし、照射光を所定の距離間隔で複数照射してもよい。所定の距離間隔は、等間隔でなくてもよい。
【0050】
以下では、照射制御部103が照射光を照射する領域を「照射領域」と称する場合がある。照射領域は、交差点のうち一部の領域である。また照射領域は、1回の照射に対応する領域である。
【0051】
照射制御部103は、照射を複数回行う場合、それぞれの照射に対応する照射領域を制御する。例えば照射制御部103は、移動物前方における、移動物から所定の距離にある路面上の領域に照射光を照射するように照射領域を制御する。
【0052】
例えば、照射制御部103は、移動物に近い位置から遠くの位置へ照射領域が移動するように、照射領域と、当該照射領域に照射を行う照射タイミングとを制御してもよい。照射制御部103は、照射回数が増えるにつれて、照射領域が移動物から遠くなるように、照射領域及び照射タイミングを制御する。
【0053】
このようにすることで、交差点に照射された照射光を検出した他車両において、移動物が進入する方向を認識することができる。例えば、他車両の正面に交差点があるとする。他車両において、照射領域が交差点の左側から右側に向かって検出されたとする。この場合、他車両の運転者等は、移動物が交差点の左側から進入してくることを認識することができる。
【0054】
これに限らず、照射制御部103は、複数の照射領域を同じタイミングで照射するように照射領域及び照射タイミングを制御してもよい。例えば、交差点を通過する移動物が多い場合、照射制御部103は、複数の照射領域を同じタイミングで照射するように制御してもよい。例えば、照射制御部103は、検出された移動物の数が所定以上か否かを判定し、所定以上の場合に複数の照射領域を同じタイミングで照射する。照射制御部103は、最初に検出された移動物を基準として、照射領域及び照射タイミングを制御してもよい。例えば、照射制御部103は、最初に検出された移動物に対応する照射領域及び照射タイミング用いて照射を制御してもよい。
【0055】
照射制御部103は、あらかじめ設定された照射態様で照射光を照射させてもよいし、交差点の状況に応じて照射態様を変化させて照射光を照射させてもよい。照射態様は、例えば、照射光のサイズ、形状、強さ、又は点滅の有無などである。照射光のサイズは、照射光の高さ及び幅、又は直径などで設定されてよい。照射光の形状としては、例えば円形や楕円形などがある。例えば、照射制御部103は、移動物の種別に応じて照射態様を変化させてもよい。例えば、移動物が歩行者であるとする。照射制御部103は、歩行者が子供の場合、歩行者が大人の場合よりも直径の大きい照射光を照射させるなどしてもよい。
【0056】
照射部104は、照射制御部103の制御に従い、照射光を所定の方向に照射する。例えば、照射部104は、車両の前部に設けられており、車両の進行方向に向かって照射光を照射する。これにより、照射部104は、車両の進行方向にある交差点の路面上に照射光を照射する。照射装置100は、照射方向の異なる照射部104を複数備えてもよい。また、照射部104は、複数の方向への照射が可能に構成されてもよい。
【0057】
照射部104は、照射制御部103において車両及び移動物の進行方向に交差点があると判定された場合、所定波長の照射光を交差点に向けて照射する。例えば、照射部104は、LED(Light Emitting Diode)光源を備え、遠赤外線を射出可能に構成される。照射部104は、赤外線や可視光などを射出可能に構成されてもよい。
【0058】
報知制御部105は、報知部106を制御することで、報知部106から報知を行う。報知制御部105は、照射光検出部109で照射光が検出された場合、報知部106から照射光に関する照射光情報を取得する。例えば、報知制御部105は、照射光情報から照射光の挙動を取得し、照射光の挙動に基づいて車両の運転者や同乗者に報知を行う。例えば、報知制御部105は、照射領域の位置の時間変化に基づいて報知を行う。
【0059】
例えば、報知制御部105は、運転者等に移動物が交差点を通過することを報知するための報知情報を生成し、報知情報を報知部106から出力させる。報知情報は、情報を視覚的又は音響的に出力するものであってよい。例えば、報知制御部105は、「前方10mに歩行者がいます。注意してください。」などのメッセージを表示又は音声により出力する報知情報を生成する。報知制御部105は、移動物の進行方向などを報知情報に含めてもよい。例えば、報知制御部105は、「左方向から歩行者が飛び出す可能性があります。注意してください。」などのメッセージを含む報知情報を生成してもよい。このようにすることで、報知制御部105は、歩行者の交差点の横断状況に応じて報知を行うことができる。
【0060】
報知情報は、車両の制御を促す内容を含んでもよい。例えば、報知制御部105は、車両を減速又は停止させるようなメッセージを報知情報として生成してもよい。なお、照射装置100は、報知に代えて又は報知と共に、図示しない車両制御ECU(Electronic Control Unit)に車両の制御を指示してもよい。
【0061】
報知部106は、報知制御部105の制御に従い報知を行う。例えば、報知部106は、報知制御部105で生成された報知情報を表示により出力するディスプレイなどの表示装置を備えてよい。また、報知部106は、報知情報を音声により出力するスピーカなどの音声出力装置を備えてもよい。
【0062】
カメラ制御部107は、カメラ108を制御することで、カメラ108に車両の進行方向を撮影させる。カメラ制御部107は、所定のタイミングでカメラ108のON/OFFを切り替えてもよい。例えば、カメラ制御部107は、交差点検出部101において交差点が検出された場合、カメラ108をOFFからONにする。また、カメラ制御部107は、車両が交差点を退出したことが検出された場合、カメラ108をOFFにする。
【0063】
交差点検出部101又は移動物検出部102において、カメラ108以外のカメラを用いて交差点の検出又は移動物の検出を行う場合、カメラ制御部107は、カメラ108以外のカメラを制御してもよい。例えば、可視光カメラが用いられる場合、カメラ制御部107は、可視光カメラを常時ONにしてもよい。これにより、可視光カメラは常時撮影を行うことができる。
【0064】
カメラ108は、交差点に照射された照射光を検出することが可能な撮影装置である。カメラ108は、例えば車両の前部に設けられる。本実施形態では、照射光が遠赤外線であるので、カメラ108は遠赤外線カメラである。カメラ108は、照射光の種類に応じて適宜変更されてよい。
【0065】
照射光検出部109は、カメラ108の撮影画像を取得し、撮影画像に基づいて、照射光を検出する。本実施形態では、照射光検出部109は、撮影画像に基づいて遠赤外線の有無を検出する。照射光が検出された場合、照射光検出部109は、報知制御部105に照射光情報を出力する。照射光情報は、撮影画像における照射光の有無を含む。照射光情報は、照射光の位置を含んでもよい。さらに、照射光情報は、照射光の挙動を含んでもよい。照射光検出部109は、照射光が検出されなかった場合、車両が交差点を通過するまで遠赤外線の検出を継続する。
【0066】
通信部110は、図示しないネットワークを介して、照射装置100以外の装置と通信する。例えば、通信部110は、地図提供サービスを提供する所定のサーバと通信する。通信部110は、例えば無線により通信を行うための通信インタフェースにより構成される。なお、地図情報を用いない場合や、地図情報があらかじめ照射装置100又は車両の記憶装置に記憶されている場合、照射装置100は通信部110を備えなくてもよい。
【0067】
なお、照射装置100は、図示しない構成としてプロセッサ、メモリ及び記憶装置を備えている。当該記憶装置には、本実施形態にかかる処理が実装されたコンピュータプログラムが記憶されている。プロセッサは、記憶装置からコンピュータプログラムをメモリへ読み込ませ、当該コンピュータプログラムを実行することができる。これにより、プロセッサは、交差点検出部101、移動物検出部102、照射制御部103、報知制御部105、カメラ制御部107、及び照射光検出部109の機能を実現する。
【0068】
交差点検出部101、移動物検出部102、照射制御部103、報知制御部105、カメラ制御部107、及び照射光検出部109は、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、汎用又は専用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、量子プロセッサ(量子コンピュータ制御チップ)等を用いることができる。
【0069】
照射装置100の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0070】
以上、照射装置100が備える構成について説明した。上述した照射装置100の構成は一例に過ぎず、適宜変更され得る。例えば、上述の説明では、照射装置100の内部に報知部106、カメラ108、及び通信部110などを示しているが、これらが照射装置100の外部に設けられてもよい。例えば、これらの機能部の一部又は全部は、あらかじめ車両に搭載された機能により実現されてもよい。例えば、車両のナビゲーションシステムが備える各種機能により、これらの機能の一部又は全部が実現されてもよい。
【0071】
(照射装置100の処理)
続いて、図3及び図4を参照して、照射装置100が行う処理を説明する。図3は、照射装置100が行う照射光の照射処理を示すフローチャートである。図4は、照射装置100が行う照射光の検出処理を示すフローチャートである。
【0072】
ここでは、移動物の例として歩行者を用いる。また、照射制御部103が照射する照射光として引き続き遠赤外線を用いる。またここでは、交差点検出部101は、図示しない可視光カメラを用いて交差点を検出するものとする。さらに、ここではカメラ制御部107は、可視光カメラを常時ONにするものとする。交差点検出部101は常時、可視光カメラを用いて車両の進行方向における交差点の有無及び位置を検出し、検出結果を照射制御部103に出力する。また、移動物検出部102は、カメラ108がONされてからOFFされるまで歩行者及び照射光の検出を行い、検出結果を照射制御部103に出力するものとする。
【0073】
(照射処理)
図3に示されるフローチャートを参照して、照射装置100が行う照射処理について説明する。まず、照射制御部103は、交差点検出部101の検出結果に基づいて、車両の進行方向に交差点があるか否かを判定する(S1)。車両の進行方向に交差点がないと判定された場合(S1のNO)、照射制御部103はステップS1の処理を繰り返す。
【0074】
車両の進行方向に交差点があると判定された場合(S1のYES)、カメラ制御部107は、遠赤外線カメラであるカメラ108をONする(S2)。ここでは、カメラ108は、車両の周囲にいる歩行者を検出するために用いられる。移動物検出部102は、カメラ108を用いて、車両の周囲における移動物の有無及び位置を検出し、検出結果を照射制御部103に出力する。照射制御部103は、車両の進行方向における交差点の有無及び位置と、車両の周囲における移動物の有無及び位置とを常時取得する。
【0075】
次に、照射制御部103は、移動物検出部102の検出結果に基づいて、車両の周囲に歩行者がいるか否かを判定する(S3)。車両の周囲に歩行者がいないと判定された場合(S3のNO)はステップS7の処理に進む。車両の周囲に歩行者がいると判定された場合(S3のYES)、照射制御部103は、交差点が歩行者の進行方向にあるか否かを判定する(S4)。交差点が歩行者の進行方向にないと判定された場合(S4のNO)はステップS7の処理に進む。
【0076】
交差点が歩行者の進行方向にあると判定された場合(S4のYES)、照射制御部103は、歩行者の進行方向の領域に向けて遠赤外線を照射する(S5)。照射部104は、照射制御部103の制御に従い遠赤外線を交差点に照射する。例えば、照射制御部103は、歩行者に近い位置から遠くの位置へ照射領域が移動するように、照射領域と照射タイミングとを制御する。これにより、歩行者に近い位置から遠い位置に向かって、交差点内の路面上に照射領域が順に形成される。照射制御部103は、歩行者の種別(例えば、歩行者が子供であるか大人であるか)などに応じて異なる照射態様で照射を制御してもよい。
【0077】
続いて、照射制御部103は、車両又は歩行者が交差点を通過したか否かを判定する(S6)。例えば、照射制御部103は、車両位置及び交差点の位置に基づいて、車両が交差点から退出したか否かを判定する。また、照射制御部103は、移動物が交差点から退出したとの検出結果を移動物検出部102から取得することで判定を行う。
【0078】
車両及び歩行者がいずれも交差点を通過していないと判定された場合(S6のNO)、照射制御部103はステップS5に戻り処理を繰り返す。車両又は歩行者が交差点を通過したと判定された場合(S6のYES)はステップS7の処理に進む。ステップS7において、カメラ制御部107は、カメラ108をOFFにする(S7)。
【0079】
(検出処理)
続いて、図4に示されるフローチャートを参照して、照射装置100が行う照射光の検出処理について説明する。
【0080】
まず、照射制御部103は、交差点検出部101の検出結果に基づいて、車両の進行方向に交差点があるか否かを判定する(S11)。車両の進行方向に交差点がないと判定された場合(S11のNO)、照射制御部103はステップS11の処理を繰り返す。車両の進行方向に交差点があると判定された場合(S11のYES)、カメラ制御部107は、遠赤外線カメラであるカメラ108をONする(S12)。ここでは、カメラ108は、路面の照射光を検出するために用いられる。
【0081】
続いて、照射光検出部109は、車両の進行方向の路面に遠赤外線が検出されたか否かを判定する(S13)。遠赤外線が検出されたと判定された場合(S13のYES)、報知制御部105は、車両の運転者や同乗者に対して報知を行う(S14)。具体的には、報知制御部105は、報知情報を生成し、報知情報を報知部106に出力する。例えば、報知制御部105は、運転者等に歩行者の存在を認識させるためのメッセージを表示又は音声出力させる報知情報を生成する。報知制御部105は、遠赤外線の挙動に基づいて報知情報を生成してもよい。例えば、報知部106は、「左方向から歩行者が飛び出す可能性があります。注意してください。」などのメッセージを表示又は音声出力する。このようにすることで、運転者等は、歩行者の存在を認識することができる。報知制御部105は、車両を減速又は停止させるようなメッセージを報知情報として生成してもよい。報知を行った後はステップS15の処理に進む。
【0082】
遠赤外線が検出されなかったと判定された場合(S13のNO)、照射制御部103は、車両位置及び交差点の位置に基づいて、車両が交差点を通過したか否かを判定する(S15)。車両が交差点を通過していないと判定された場合(S15のNO)はステップS15の処理を繰り返す。この場合、ステップS13に戻り、ステップS13~S15の処理を繰り返してもよい。車両が交差点を通過したと判定された場合(S15のYES)、カメラ制御部107は、カメラ108をOFFにする(S16)。
【0083】
(具体例)
続いて、図5図10を参照して、照射装置100が行う処理の具体例を説明する。以下では、図1で説明した車両A及びBを用いて説明する。X軸及びY軸の方向は、図1と同様である。
【0084】
図5は、交差点Iの近くに、車両Aと同じ方向に進行する歩行者P1がいる例を示す図である。図において、歩行者P1の進行方向、及び遠赤外線R1は、実線矢印で示されている。まず、照射装置100Aの交差点検出部101は、車両Aの進行方向における交差点Iの有無及び位置を検出する。ここでは、交差点検出部101は、交差点Iがあると検出する。また交差点検出部101は、交差点Iの位置を検出する。
【0085】
照射装置100Aの移動物検出部102は、車両Aの周囲における歩行者P1を検出する。また、移動物検出部102は、歩行者P1の位置を検出する。照射装置100Aの照射制御部103は、交差点Iの有無及び位置と、歩行者P1の有無及び位置と、に基づいて、車両A及び歩行者P1の進行方向に交差点があると判定する。
【0086】
照射制御部103は、遠赤外線R1を交差点Iに向けて照射する制御を行う。遠赤外線R1は、照射光の一例である。図に示されるように、照射制御部103は、歩行者P1の前方(進行方向)の領域に向けて遠赤外線R1を照射するように制御を行う。照射制御部103は、照射領域1、2、3、4の順に遠赤外線R1を照射するように制御を行う。このような順で遠赤外線R1を照射することで、照射装置100Bにおいて、歩行者P1の進行方向を認識することができる。これに限らず、照射制御部103は、照射領域1~4を同時に照射するように制御を行ってもよい。例えば、照射装置100Aは、歩行者の数が所定以上の場合に、複数の照射領域を同時に照射するように制御してもよい。照射領域の数は任意である。照射制御部103は、照射光のサイズなどの照射態様を適宜設定してもよい。
【0087】
照射制御部103は、歩行者P1が交差点Iを通過するまで遠赤外線R1を照射するように制御を行ってもよい。例えば、図の例では照射領域1~4が示されているが、照射制御部103は、照射領域4を照射させた後、X軸正方向側に向けて、さらに照射を続けるように制御を行ってもよい。
【0088】
続いて、図5における車両Bが備える照射装置100Bの処理を説明する。照射装置100Bの照射光検出部109は、遠赤外線カメラであるカメラ108の撮影画像を用いて、車両Bの前方を横切る遠赤外線を検出する。図5の例では、照射光検出部109は、照射領域1~4の遠赤外線を検出する。照射装置100Bの報知制御部105は、車両Bの運転者に対して報知を行う。例えば、照射装置100Bの報知部106は、車両Bの運転者等に歩行者P1の存在を認識させるためのメッセージを表示又は音声により出力する。これにより、車両Bの運転者等は、歩行者P1を認識することができる。
【0089】
図5の例において、照射装置100Aは、車両Aが交差点Iから退出した後においても、遠赤外線R1を照射可能な範囲において照射を継続させてもよい。図6は、車両Aが後方に向かって遠赤外線R1を照射する例を示す図である。例えば、照射装置100Aは、車両Aの後方へ遠赤外線R1を照射することが可能な照射部104a(不図示)をさらに備えるとする。照射制御部103は、照射部104aを用いて、図6に示されるように、車両Aの後方にいる歩行者P1の前方に遠赤外線R1を照射することができる。
【0090】
図7は、図5に示される歩行者P1に加え、車両Aの対向方向に進行する歩行者P2がいる例を示す図である。図5と同様、歩行者P1の進行方向、及び遠赤外線R1は、実線矢印で示されている。また、歩行者P2の進行方向、及び遠赤外線R2は、破線矢印で示されている。なお、説明のため、照射装置100Aが照射する遠赤外線の図示は適宜省略されている。矢印の種別及び遠赤外線の省略については、以降の図の対応する要素においても同様である。
【0091】
図7の例では、歩行者P2は、車両Aの進行方向とは逆に、X軸正方向側からX軸負方向側に進行する。歩行者P2は、車両A及び歩行者P1の反対側から交差点Iに進入する。照射装置100Aの移動物検出部102は、歩行者P1と同様、歩行者P2を検出する。照射装置100Aの照射制御部103は、歩行者P2の前方の領域に遠赤外線R2を照射するように制御を行う。例えば、照射制御部103は、照射領域5、6、7、8の順に遠赤外線R2を照射するように制御を行う。
【0092】
車両Bの照射装置100Bでの処理は、図5で説明した処理と同様である。これにより、照射装置100Bは、照射領域1~8の遠赤外線を検出し、歩行者P1及びP2の存在を認識させるための報知を行うことができる。
【0093】
図8は、図7に示される歩行者P1及びP2に加え、さらに車両Aと同じ方向に進行する歩行者P3、及び車両Aの対向方向に進行する歩行者P4がいる例を示す図である。照射装置100Aは、歩行者P3の前方の領域に、照射領域8、7、6、5の順に遠赤外線R3を照射する。また、照射装置100Aは、歩行者P4の前方の領域に、照射領域4、3、2、1の順に遠赤外線R4を照射する。
【0094】
照射制御部103は、遠赤外線R1及びR4、又は、遠赤外線R2及びR3のように、異なる歩行者に対する遠赤外線の照射領域が重なるように照射を制御してもよい。反対に、照射制御部103は、異なる歩行者に対する遠赤外線の照射領域が重ならないように照射を制御してもよい。照射領域が重ならないように照射を制御することで、照射装置100Bにおいて、複数の歩行者の進行方向を容易に認識することができる。
【0095】
図9は、車両Aの進行方向及び対向方向に対して横切る方向に進行する歩行者P11及びP12がいる例を示す図である。図の例では、歩行者P11は、車両Aと同じ方向から交差点Iに進入する。また、歩行者P12は、車両Aの反対側から交差点Iに進入する。歩行者P11及びP12は、交差点Iに進入した後、それぞれ進行方向を変えて、車両Aの進行方向及び対向方向に対して横切る方向に進行する。
【0096】
歩行者が車両Aと同じ方向に進行する場合と同様にして、車両Aは、歩行者P11及びP12の前方の領域に遠赤外線を照射する。具体的には、照射装置100Aは、歩行者P11の前方の領域に、照射領域11、12、13の順に遠赤外線R11を照射する。また、照射装置100Aは、歩行者P12の前方の領域に、照射領域14、15、16の順に遠赤外線R12を照射する。
【0097】
このように、歩行者が車両Aの進行方向及び対向方向に対して横切る方向に進行する場合であっても、照射装置100Aは、歩行者の前方の領域に遠赤外線を照射することができる。
【0098】
図10は、図9に示される歩行者P11及びP12に加え、さらに歩行者P13及びP14がいる例を示す図である。歩行者P13及びP14は、歩行者P11及びP12と同様、車両Aの進行方向及び対向方向に対して横切る方向に進行する歩行者である。歩行者P11及びP12とは異なり、歩行者P13及びP14は、車両Aが走行する道に直交する道を進行し、交差点Iを直進する。このような場合も、照射装置100Aは、歩行者の領域に遠赤外線を照射する。
【0099】
具体的には、照射装置100Aは、歩行者P13の前方の領域に、照射領域11、12、13の順に遠赤外線R13を照射する。なお、ここでは、遠赤外線R11及びR13の照射領域が重なる例を示しているが、照射制御部103は、それぞれの照射領域が異なるように照射領域を制御してもよい。
【0100】
また、照射装置100Aは、歩行者P14の前方の領域に、照射領域14、15、16の順に遠赤外線R14を照射する。なお、ここでは、遠赤外線R12及びR14の照射領域が重なる例を示しているが、照射制御部103は、それぞれの照射領域が異なるように照射領域を制御してもよい。
【0101】
また、図10に示されるように、照射装置100Aだけでなく、照射装置100Bが遠赤外線を照射してもよい。具体的には、照射装置100Bは、歩行者P11及びP13の前方の領域に、照射領域11、12、13の順に遠赤外線R21を照射する。また、照射装置100Bは、歩行者P12又はP14の前方の領域に、照射領域14、15、16の順に遠赤外線R22を照射する。
【0102】
以上説明したように、本実施形態にかかる照射システム200において、照射装置100は、交差点の有無及び位置と、移動物の有無及び位置とに基づいて、車両及び移動物の進行方向に交差点があるか否かを判定する。照射装置100は、交差点があると判定した場合に、所定波長の照射光を交差点に向けて照射する制御を行う。これにより、照射光を検出した車両は、移動物の存在を認識することができる。そのため、照射システム200は、交差点を通過しようとする歩行者等がいる場合、車両に対して注意を促すことができる。
【0103】
例えば、監視カメラを備える監視システムでは、歩行者等が監視カメラの死角になる位置にいる場合、監視カメラが歩行者等を撮影することができないので、歩行者等を適切に検出できない場合がある。このような場合、歩行者等は、監視カメラの画角に入った後に車両に認識されるので、車両は急停止等の急な動作を行う可能性がある。
【0104】
本実施形態にかかる照射システム200では、監視カメラ等がない見通しの悪い交差点において、車両が歩行者や自転車の飛び出しを事前に検出することができるので、車両は余裕を持って減速や停止の制御を行うことができる。このようにすることで、車両の急停止を防ぐことができるので、タイヤやブレーキパッドへの負担も減り、燃費の悪化を防ぐことが可能となる。
【0105】
上述した照射装置100の各機能構成部は、各機能構成部を実現するハードウェア(例:ハードワイヤードされた電子回路など)で実現されてもよいし、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ(例:電子回路とそれを制御するプログラムの組み合わせなど)で実現されてもよい。例えば、本開示は、任意の処理を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0106】
プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)又は実体のある記憶媒体(tangible storage medium)に格納されてもよい。限定ではなく例として、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、RAM(Random-Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid-State Drive)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、又はその他の形式の伝搬信号を含む。
【0107】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0108】
例えば、上述の説明では、照射装置100が、照射光の照射処理及び検出処理の両方を行う例を説明したが、これに限られない。照射装置100は、照射処理及び検出処理のいずれか一方を行うように構成されてもよい。例えば、車両Aが照射光の照射処理を行う機能のみを備え、車両Bが照射光の検出処理を行う機能のみを備えるようにしてもよい。
【0109】
また、上述の説明では、照射装置100の交差点検出部101、移動物検出部102、及び照射光検出部109が、照射装置100が備えるカメラで撮影された画像などを用いて処理を行う例を説明したが、これに限られない。例えば、照射装置100は、交差点近傍に設置されたスマートポール(登録商標)などの道路インフラ設備として使用される多機能電柱や監視カメラなどから撮影画像を取得してもよい。また、上述した照射装置100の処理の一部をスマートポール等が行い、照射装置100は、処理の結果を取得して、後続の処理に用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0110】
a 領域
1~8、11~16 照射領域
100、100A、100B 照射装置
101 交差点検出部
102 移動物検出部
103 照射制御部
104 照射部
105 報知制御部
106 報知部
107 カメラ制御部
108 カメラ
109 照射光検出部
110 通信部
200 照射システム
A、B 車両
I 交差点
L 照射光
P、P1~P4、P11~P14 歩行者
R1~R4、R11~R14、R21、R22 遠赤外線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10