(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010155
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】流体処理容器
(51)【国際特許分類】
B01J 47/018 20170101AFI20250109BHJP
B01J 39/04 20170101ALI20250109BHJP
B01J 47/022 20170101ALI20250109BHJP
【FI】
B01J47/018
B01J39/04
B01J47/022
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024174418
(22)【出願日】2024-10-03
(62)【分割の表示】P 2021528883の分割
【原出願日】2019-11-19
(31)【優先権主張番号】62/771,619
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521218630
【氏名又は名称】スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ネザーランズ ビーヴィー
(71)【出願人】
【識別番号】519415100
【氏名又は名称】ディディピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】スラグト、マーカス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ペレス マシア、マリア デ ロサンゼルス
(57)【要約】
【課題】流体処理装置を提供すること。
【解決手段】少なくとも1つの流体処理媒体のベッドを含むタンクと、ベッドをタンクの端部から分離する分配プレートと、2.5~250mmの調和平均直径と0.57~0.998cm3/gの密度を有する非晶質粒子を含む不活性媒体と、を含む流体処理装置。不活性媒体を含む端部の体積は、端部の体積の25~95%である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つの流体処理媒体のベッドを含むタンクと、
(b)前記ベッドを前記タンクの端部から分離する分配プレートと、
(c)2.5~250mmの調和平均直径と0.57~0.998cm3/gの密度を有する非晶質粒子を含む少なくとも1つの不活性媒体と、
を含む流体処理装置であって、
不活性媒体を含む前記端部の体積は前記端部の体積の25~95%である、流体処理装置。
【請求項2】
前記非晶質粒子は0.7~1の平均球形度及び0.4~1の平均真円度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
不活性媒体を含む前記端部の体積は前記端部の体積の30~90%である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記調和平均直径は2.5~100mmである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記非晶質粒子は0.7~0.95の平均球形度及び0.45~0.95の平均真円度を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記流体処理媒体はイオン交換樹脂である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
不活性媒体を含む下部の端部の体積は前記下部の端部の体積の40~90%である、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、流体処理容器における希釈の影響を低減するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン交換樹脂は、使い果たされると化学溶液で再生される。再生液体の量は、液体の濃度に一部依存する。容器内に存在する自由水は、再生の有効性に悪影響を及ぼし、動作容量の低下、化学物質の消費量の増加、及び廃棄物の増加につながる。例えば、米国特許出願公開第2014/0263069号明細書は、容器の端部、即ち、流体処理媒体を含まないこうした部分における充填材料の使用を開示している。しかしながら、この文献は、効率的な方法を開示していない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、
(a)少なくとも1つの流体処理媒体のベッドを含むタンクと、
(b)ベッドをタンクの端部から分離する分配プレートと、
(c)2.5~250mmの調和平均直径と0.57~0.998cm3/gの密度とを有する非晶質粒子を含む少なくとも1つの不活性媒体と、を含む流体処理装置に関し、この場合、不活性媒体を含む端部の体積は端部の総体積の25~95%である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
特に明記されていない限り、全てのパーセントは重量パーセント(重量%)であり、全ての温度は℃である。特に明記されていない限り、平均は算術平均である。特に指定のない限り、全ての操作は、室温(18及び25℃)で実行される。重量平均分子量、Mwは、当技術分野で知られているように、ポリアクリル酸標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。GPCの技術は、Modern Size Exclusion Chromatography,W.W.Yau,J.J.Kirkland,D.D.Bly;Wiley-Interscience,1979、及びA Guide to Materials Characterization and Chemical Analysis,J.P.Sibilia;VCH,1988,p.81-84に詳細に説明されている。本明細書で報告される分子量は、ダルトンの単位である。ポリマー中のモノマー単位のパーセントは、ポリマーの総重量(乾燥重量)に基づく。「調和平均直径」(HMD)は、以下の式:
【数1】
(ここで、iは、個々のビーズにわたる添字であり、diは、各個々の粒子の直径であり、Nは、ビーズの総数である)で定義される。球形ではない粒子は、その粒子と同じ体積を有する球の直径に等しい直径を有すると考えられる。「球形度」(Ψ)は、粒子が球形である度合いであり、以下の通り、物体の3つの主な直交軸、a(最長)、b(中間)、及びc(最短)のうちの2つを使用することによって特徴付けられる:Ψ=c/a。「真円度」(R)は、物体のシルエットの角と端の平均曲率半径と、シルエット内に内接できる最大の円の半径との比として定義される。球形度と真円度については、H.Waddell,The Journal of Geology,vol.41,pp.310-331(1933)により詳細に記載されている。
【0005】
不活性媒体を含む端部の体積は、静止時の不活性媒体の上部の境界によって画定される。例えば、不活性媒体の最上部の粒子の全てに接触する平面、即ち、不活性媒体の上面を画定する平面を画定する場合、この平面の下部の端部の体積は、不活性媒体を含む端部の体積である。明確にするために、これは、粒子自体の総体積ではない。好ましくは、不活性媒体を含む下部の端部の体積は、下部の端部の体積の少なくとも30%、好ましくは少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも45%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは90%以下、好ましくは85%以下である。
【0006】
好ましくは、非晶質粒子は、0.7~1.0の平均球形度及び0.4~1.0の平均真円度を有する。好ましくは、平均球形度は、少なくとも0.75、好ましくは少なくとも0.80、好ましくは0.95以下、好ましくは0.92以下、好ましくは0.90以下である。好ましくは、平均真円度は、少なくとも0.45、好ましくは少なくとも0.50、好ましくは少なくとも0.55、好ましくは0.95以下、好ましくは0.90以下、好ましくは0.85以下、好ましくは0.80以下、好ましくは0.75以下、好ましくは0.70以下である。好ましくは、平均球形度及び平均真円度は、両方とも0.95以下、好ましくは0.90以下である。
【0007】
好ましくは、非晶質粒子は、150mm以下、好ましくは100mm以下、好ましくは50mm以下、好ましくは25mm以下、好ましくは10mm以下、好ましくは6mm以下の調和平均直径を有する。
【0008】
好ましくは、非晶質粒子は、少なくとも0.60cm3/g、好ましくは少なくとも0.65cm3/g、好ましくは少なくとも0.70cm3/g、好ましくは少なくとも0.75cm3/g、好ましくは少なくとも0.80cm3/g、好ましくは少なくとも0.85cm3/gの密度を有する。好ましくは、非晶質粒子は、0.997cm3/g以下、好ましくは0.996cm3/g以下の密度を有する。
【0009】
流体処理に使用されるタンクの典型的な端部(皿の頭(dish head)としても知られている)は、例えば、Kloepperの頭、楕円形の頭、及び回転楕円体の頭を含む。典型的には、皿の頭の水量は、タンクの主要部分における取り付けられた樹脂量の15~35%であり、皿の頭の水量は、主要コンパートメントにおける樹脂の間隙水(void water)の40~100%である。好ましくは、タンクの主要部分は、円筒形である。
【0010】
回転楕円体の端部において、端部に不活性物質が存在することによる間隙水の減少は、以下の通り計算される。
Vs=回転楕円体のコンパートメント体積
Vsx’=Xml IF62(ml)の(部分的)充填の後の回転楕円体の残りの自由水
Sx=IF62(ml)でのXml充填により、回転楕円体体積の中空がない充填。
X=不活性充填(ml)
Fw=自由水(%)
Vsx’=Vs-(X*Fw)
Sx=Vs-Vsx’
【0011】
好ましくは、タンクの主要(中央)コンパートメントにおける流体処理媒体は、イオン交換樹脂、活性炭、吸着剤、非官能化コポリマー、又はゼオライトである。好ましくは、流体処理媒体は、イオン交換樹脂であり、好ましくは球状ビーズの形態である。好ましくは、ビーズは、架橋ポリマービーズである。
適用される技術に応じて:
共流(co-flow)システムには10~60%の充填がある。
向流システム:
固く圧縮されたベッド:85%~97.5%充填
ブロックされたベッド25~60%充填
混合されたベッド25~60%充填。
【0012】
主要コンパートメント(シリンダー)における不活性充填は、システム技術に依存し、Amberpack/Schwebebettで10~12cmの範囲の固定値、又は容器の直径に応じた高さの範囲のいずれかである。典型的には、1000mm:150mm未満、2500:200mm未満、及びその他全て2500:300mm超。又は、空気を抑えたブロックされたベッドシステムのブロック層として15~25cm。
【実施例0013】
本実施例で使用した機器は、以下の通りであった:
・比較のための並列にある2つのPVCカラム、外径6cm、及びカラム高さ1000mm
・ノズルプレートを備えた壁の高さ160mmの上部と下部のコンパートメント。コンパートメントは、容器の回転楕円体の皿の頭の正味体積Vs=350mlを表し、コンパートメントは、充填物を保持するために、ノズルプレートによって樹脂カラムから物理的に分離されている。
・計測装置:8つの回転計、
2つの圧力計
・その他の機器:2つの水タンク(1m3)、
2つの化学薬品タンク(水酸化ナトリウム30%、塩酸37%)、
4つのポンプ(2つの供給、2つの投与)、
2つの導電率計。
【0014】
[これは市販製品ではないため、PE粒子の作製方法を説明する必要がある]
【0015】
【0016】
実施例1:上部及び/又は下部のコンパートメントが充填された試験
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
結果
【0021】
【0022】
・[陽イオン](当量/リットル)=給水分析から得られた総陽イオン濃度。
・VT=処理能力(リットル):樹脂の破過点で処理された水の総量。
・VR=充填された樹脂の体積(リットル)
【数2】
Fwr=0%(充填なし)と比較して、Fwr=66.5%でVsを100%充填すると、樹脂の動作容量が向上する。
Fwr=コンパートメント内の自由水の削減
Vs=回転楕円体コンパートメント体積
【0023】
10μS/cmに達する高速リンス体積は、2.06から1.41ベッド体積に改善される。
【0024】
実施例2:下部のコンパートメントを段階的に充填する試験
主要コンパートメントにおける動作条件と充填は、実施例1と同じであった。
【0025】
結果
動作容量
【0026】
【0027】
変位(BV)
【0028】
【0029】
変位性能は、充填物を含むコンパートメントのパーセントとは実質的に関連がない。