(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025101568
(43)【公開日】2025-07-07
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
H01H 50/04 20060101AFI20250630BHJP
H01H 50/54 20060101ALI20250630BHJP
【FI】
H01H50/04 C
H01H50/54 C
H01H50/54 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023218503
(22)【出願日】2023-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】奥田 満
(72)【発明者】
【氏名】南崎 平
(72)【発明者】
【氏名】阪本 斉士
(72)【発明者】
【氏名】館 伸哉
(57)【要約】
【課題】主接点部による補助接点部の動作への影響を低減すると共に、電磁継電器の大型化を抑える。
【解決手段】電磁継電器は、ベースと、第1固定端子と、第1固定接点と、第2固定端子と、第2固定接点と、主接点部と、コイル部と、補助接点部と、第2移動部材とを備える。主接点部は、可動接触片と、第1可動接点と、第2可動接点と、第1移動部材とを含む。可動接触片は、横方向に延びる。第1移動部材は、第1閉位置と第1開位置との間で、横方向と垂直な移動方向に移動可能である。主接点部は、横方向と移動方向とに垂直な支持方向において、ベースに支持される。コイル部は、支持方向においてベースに支持される。補助接点部は、補助固定端子と、補助可動端子と補助可動接点とを含む。補助接点部は、第1移動部材の移動方向において、コイル部に対して、主接点部と反対側に配置される。第2移動部材は、第1移動部材と連動して移動方向に移動する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに支持される第1固定端子と、
前記第1固定端子に接続された第1固定接点と、
前記ベースに支持される第2固定端子と、
前記第2固定端子に接続された第2固定接点と、
横方向に延びる可動接触片と、前記可動接触片に接続された第1可動接点と、前記可動接触片に接続された第2可動接点と、前記第1可動接点と前記第2可動接点との間の位置において前記可動接触片を保持し、前記第1可動接点が前記第1固定接点に接触し前記第2可動接点が前記第2固定接点に接触する第1閉位置と、前記第1可動接点が前記第1固定接点から開離し前記第2可動接点が前記第2固定接点から開離する第1開位置との間で、前記横方向と垂直な移動方向に移動可能な第1移動部材と、を含み、前記横方向と前記移動方向とに垂直な第1支持方向において、前記ベースに支持される主接点部と、
コイルと、前記移動方向に延びる孔を含み前記コイルが巻回されたスプールと、前記スプールの前記孔内に配置され前記第1移動部材に接続された可動鉄心とを含み、前記第1支持方向において、前記ベースに支持されるコイル部と、
前記第1固定端子及び前記第2固定端子と電気的に絶縁された補助固定端子と、前記補助固定端子に接続された補助固定接点と、前記可動接触片と電気的に絶縁された補助可動端子と、前記補助可動端子に接続された補助可動接点とを含み、前記第1移動部材の移動方向において、前記コイル部に対して、前記主接点部と反対側に配置される補助接点部と、
前記補助可動接点が前記補助固定接点に接触する第2閉位置と、前記補助可動接点が前記補助固定接点から開離する第2開位置との間で移動可能であり、前記第1移動部材と連動して前記移動方向に移動する第2移動部材と、
を備える電磁継電器。
【請求項2】
前記第1可動接点と前記第2可動接点と前記補助可動接点とは、前記移動方向に移動可能である、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記移動方向は、前記主接点部から前記コイル部に向かう第1移動方向と、前記第1移動方向と反対の第2移動方向とを含み、
前記コイル部は、前記可動鉄心と向かい合って配置される固定鉄心をさらに含み、
前記可動鉄心は、前記固定鉄心に対して前記第2移動方向に配置され、
前記第1移動部材は、前記第1移動方向に移動することで、前記第1開位置から前記第1閉位置に移動する、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記第2移動部材は、前記コイル部に対して、前記第1支持方向と反対の第2支持方向の位置を通って延びている、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記第2移動部材は、前記コイル部に対して前記横方向の位置を通って延びている、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記第2移動部材は、前記スプールの前記孔を通って延びている、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記ベースに取り付けられ、前記コイル部を覆うケースをさらに備え、
前記第2移動部材は、前記ケースに向かって突出する突起を含む、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項8】
前記ベースに取り付けられ、前記コイル部を覆うケースをさらに備え、
前記横方向は、第1横方向と、前記第1横方向と反対の第2横方向とを含み、
前記ケースは、
前記ケースの内面から突出し、前記第2移動部材に対して前記第1横方向に配置される第1リブと、
前記ケースの内面から突出し、前記第2移動部材に対して前記第2横方向に配置される第2リブと、
を含む、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項9】
前記第1移動部材が前記第1開位置で、前記第2移動部材は前記補助可動端子と接触している、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項10】
前記第2移動部材は、
前記移動方向において、前記補助可動端子に対して前記補助固定接点と反対側に配置され、前記補助可動端子に接触する第1接触部と、
前記移動方向において、前記補助可動端子に対して前記補助固定接点と同じ側に配置され、前記補助可動端子に接触する第2接触部と、
を含む、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項11】
前記第2接触部は、前記補助可動接点に対して前記横方向にずらして配置される、
請求項10に記載の電磁継電器。
【請求項12】
前記第2移動部材は、前記移動方向において、前記補助可動端子に対して前記補助固定接点と同じ側に配置され、前記補助可動端子に接触する第3接触部をさらに含み、
前記第1接触部は、前記横方向において、前記第2接触部と前記第3接触部との間に配置される、
請求項10に記載の電磁継電器。
【請求項13】
前記補助接点部と前記コイル部との間に配置される絶縁壁をさらに備える、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項14】
前記第1移動部材が前記第1開位置で、前記第2移動部材は前記第2開位置に位置し、
前記第1移動部材が前記第1閉位置で、前記第2移動部材は前記第2閉位置に位置する、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項15】
前記第1移動部材が前記第1開位置で、前記第2移動部材は前記第2閉位置に位置し、
前記第1移動部材が前記第1閉位置で、前記第2移動部材は前記第2開位置に位置する、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項16】
前記第1固定端子と前記第2固定端子と前記補助固定端子と前記補助可動端子とは、前記ベースから同じ方向に向かって前記電磁継電器の外側に突出している、
請求項1に記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
プランジャ型の電磁継電器は、1対の固定端子と、接点部と、コイル部とを備えている(例えば特許文献1参照)。固定端子には、固定接点が接続される。接点部は、可動接触片と、1対の可動接点と、移動部材とを含む。1対の可動接点は、可動接触片に接続されている。移動部材は、可動接触片を支持している。コイル部は、コイルと可動鉄心とを含む。可動鉄心は、移動部材に接続されている。可動鉄心がコイルから生じる磁力によって移動することで、移動部材が移動する。それにより、可動接触片が移動することで、可動接点と固定接点とが開閉される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した電磁継電器では、接点部とコイル部とは、ベースに支持されている。電磁継電器の組立時には、接点部とコイル部とは、移動部材の移動方向にベースに組付けられる。そのため、接点部とコイル部との組付精度が、電磁継電器の動作に影響を与える可能性がある。例えば、組付精度によって、可動接点と固定接点との間のギャップの距離が異なることで、電磁継電器の動作に影響を与える可能性がある。
【0005】
一方、電磁継電器には、主接点部での接点の開閉状態を検出するための補助接点部を備えるものがある。補助接点部は、主接点部の動作に連動して動作する。そのため、組付精度によって主接点部の動作が影響を受けると、補助接点部の動作も影響を受ける。また、補助接点部が主接点部の近くに配置される場合、補助接点部は主接点部の接点の開閉の影響を受ける。しかし、補助接点部を主接点部から隔離するための構造を設けると、電磁継電器が大型化してしまう。本発明の目的は、主接点部による補助接点部の動作への影響を低減すると共に、電磁継電器の大型化を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電磁継電器は、ベースと、第1固定端子と、第1固定接点と、第2固定端子と、第2固定接点と、主接点部と、コイル部と、補助接点部と、第2移動部材とを備える。第1固定端子は、ベースに支持される。第1固定接点は、第1固定端子に接続される。第2固定端子は、ベースに支持される。第2固定接点は、第2固定端子に接続される。主接点部は、可動接触片と、第1可動接点と、第2可動接点と、第1移動部材とを含む。可動接触片は、横方向に延びる。第1可動接点は、可動接触片に接続される。第2可動接点は、可動接触片に接続される。第1移動部材は、第1可動接点と第2可動接点との間の位置において可動接触片を保持する。第1移動部材は、第1閉位置と第1開位置との間で、横方向と垂直な移動方向に移動可能である。第1移動部材が第1閉位置で、第1可動接点が第1固定接点に接触し、第2可動接点が第2固定接点に接触する。第1移動部材が第1開位置で、第1可動接点が第1固定接点から開離し、第2可動接点が第2固定接点から開離する。主接点部は、横方向と移動方向とに垂直な第1支持方向において、ベースに支持される。コイル部は、コイルと、スプールと、可動鉄心とを含む。スプールは、移動方向に延びる孔を含む。スプールには、コイルが巻回される。可動鉄心は、スプールの孔内に配置される。可動鉄心は、第1移動部材に接続される。コイル部は、第1支持方向においてベースに支持される。補助接点部は、補助固定端子と、補助可動端子と、補助可動接点とを含む。補助固定端子は、第1固定端子及び第2固定端子と電気的に絶縁されている。補助固定接点は、補助固定端子に接続される。補助可動端子は、可動接触片と電気的に絶縁されている。補助可動接点は、補助可動端子に接続される。補助接点部は、第1移動部材の移動方向において、コイル部に対して、主接点部と反対側に配置される。第2移動部材は、第2閉位置と第2開位置との間で移動可能である。第2移動部材が第2閉位置で、補助可動接点が補助固定接点に接触する。第2移動部材が第2開位置で、補助可動接点が補助固定接点から開離する。第2移動部材は、第1移動部材と連動して移動方向に移動する。
【0007】
本態様に係る電磁継電器では、主接点部とコイル部とは、第1支持方向に、ベースに支持されている。第1支持方向は、第1移動部材の移動方向に対して垂直である。そのため、組付精度による主接点部及び補助接点部の動作への影響が低減される。また、補助接点部は、第1移動部材の移動方向において、コイル部に対して、主接点部と反対側に配置される。それにより、主接点部での接点の開閉による補助接点部への影響が低減されると共に、電磁継電器の大型化が抑えられる。
【0008】
第1可動接点と第2可動接点と補助可動接点とは、移動方向に移動可能であってもよい。この場合、補助可動接点は、第1可動接点及び第2可動接点と同じ方向に移動する。それにより、補助可動接点が安定して動作する。
【0009】
移動方向は、主接点部からコイル部に向かう第1移動方向と、第1移動方向と反対の第2移動方向とを含んでもよい。コイル部は、可動鉄心と向かい合って配置される固定鉄心をさらに含んでもよい。可動鉄心は、固定鉄心に対して第2移動方向に配置されてもよい。第1移動部材は、第1移動方向に移動することで、第1開位置から第1閉位置に移動してもよい。この場合、可動鉄心がスプール内に引き込まれることで、第1可動接点と第2可動接点とが、それぞれ第1固定接点と第2固定接点とに接触する。それにより、接点の接触安定性が向上する。
【0010】
第2移動部材は、コイル部に対して、第1支持方向と反対の第2支持方向の位置を通って延びていてもよい。この場合、補助可動端子を長くすることができる。それにより、補助可動接点の接触力、或いはストローク量の調整が容易になる。第2移動部材は、コイル部に対して横方向の位置を通って延びていてもよい。この場合、電磁継電器の高さを小さくできる。第2移動部材は、スプールの孔を通って延びていてもよい。この場合、電磁継電器の高さを小さくできる。
【0011】
電磁継電器は、ケースをさらに備えてもよい。ケースは、ベースに取り付けられてもよい。ケースは、コイル部を覆ってもよい。第2移動部材は、ケースに向かって突出する突起を含んでもよい。この場合、ケースが変形しても、第2移動部材の動作が安定する。
【0012】
横方向は、第1横方向と、第1横方向と反対の第2横方向とを含んでもよい。ケースは、第1リブと第2リブとを含んでもよい。第1リブは、ケースの内面から突出していてもよい。第1リブは、第2移動部材に対して第1横方向に配置されてもよい。第2リブは、ケースの内面から突出していてもよい。第2リブは、第2移動部材に対して第2横方向に配置されてもよい。この場合、電磁継電器が、横方向に大きな衝撃を受けても、第2移動部材のズレが抑えられる。
【0013】
第1移動部材が第1開位置で、第2移動部材は補助可動端子と接触していてもよい。この場合、第1移動部材の第1閉位置への移動開始時に、第1移動部材の移動が、補助可動端子の弾性力によってアシストされる。それにより、主接点部の動作性能が向上する。
【0014】
第2移動部材は、第1接触部と第2接触部とを含んでもよい。第1接触部は、補助可動端子に接触してもよい。第1接触部は、移動方向において、補助可動端子に対して補助固定接点と反対側に配置されてもよい。第2接触部は、補助可動端子に接触してもよい。第2接触部は、移動方向において、補助可動端子に対して補助固定接点と同じ側に配置されてもよい。第2接触部は、補助動接点に対して横方向にずらして配置されてもよい。この場合、第2移動部材から発生する摩耗粉が、補助可動接点に付着することが抑えられる。それにより、補助可動接点の接触安定性が向上する。
【0015】
第2移動部材は、第3接触部をさらに含んでもよい。第3接触部は、補助可動端子に接触してもよい。第3接触部は、移動方向において、補助可動端子に対して補助固定接点と同じ側に配置されてもよい。第1接触部は、横方向において、第2接触部と第3接触部との間に配置されてもよい。この場合、第2移動部材によって、補助可動端子を安定して動作させることができる。
【0016】
電磁継電器は、絶縁壁をさらに備えてもよい。絶縁壁は、補助接点部とコイル部との間に配置されてもよい。この場合、補助接点部とコイル部との間の絶縁性が向上する。
【0017】
第1移動部材が第1開位置で、第2移動部材は第2開位置に位置してもよい。第1移動部材が第1閉位置で、第2移動部材は第2閉位置に位置してもよい。この場合、第1可動接点と第2可動接点とが、それぞれ第1固定接点と第2固定接点とに接触している状態で、補助可動接点が補助固定接点に接触する。また、第1可動接点と第2可動接点とが、それぞれ第1固定接点と第2固定接点とから開離している状態で、補助可動接点が補助固定接点から開離する。
【0018】
第1移動部材が第1開位置で、第2移動部材は第2閉位置に位置してもよい。第1移動部材が第1閉位置で、第2移動部材は第2開位置に位置してもよい。この場合、第1可動接点と第2可動接点とが、それぞれ第1固定接点と第2固定接点とに接触している状態で、補助可動接点が補助固定接点から開離する。また、第1可動接点と第2可動接点とが、それぞれ第1固定接点と第2固定接点とから開離している状態で、補助可動接点が補助固定接点に接触する。
【0019】
第1固定端子と第2固定端子と補助固定端子と補助可動端子とは、ベースから同じ方向に向かって電磁継電器の外側に突出していてもよい。この場合、補助固定端子と補助可動端子とが、第1固定端子と第2固定端子と異なる方向に向かって突出している場合と比べて、基板への実装が容易である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、主接点部による補助接点部の動作への影響が低減されると共に、電磁継電器の大型化が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図11】第1変形例に係る接触部と補助可動端子とを示す正面図である。
【
図12】第2変形例に係る接触部と補助可動端子とを示す正面図である。
【
図13】第3変形例に係る接触部と補助可動端子とを示す正面図である。
【
図14】第4変形例に係る接触部と補助可動端子とを示す正面図である。
【
図15】第5変形例に係る接触部と補助可動端子とを示す正面図である。
【
図16】第6変形例に係る接触部と補助可動端子とを示す側面図である。
【
図17】第7変形例に係る接触部と補助可動端子とを示す側面図である。
【
図18】第8変形例に係る電磁継電器の斜視図である。
【
図19】第9変形例に係る電磁継電器の縦断面図である。
【
図20】第10変形例に係る電磁継電器の側面図である。
【
図21】第11変形例に係る電磁継電器の側面図である。
【
図22】第12変形例に係る電磁継電器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して実施形態に係る電磁継電器について説明する。
図1及び
図2は、実施形態に係る電磁継電器1の斜視図である。
図3から
図6は、電磁継電器1の側面図である。
図7は、電磁継電器1の上面図である。
図8は、電磁継電器1の縦断面図である。
【0023】
図1から
図8に示すように、電磁継電器1は、ケース2と、ベース3と、主接点部4と、コイル部5と、第1固定端子6と、第2固定端子7と、補助接点部8とを備える。なお、
図2から
図7では、ケース2は省略されている。
【0024】
本実施形態において、移動方向(Y1,Y2)と、支持方向(Z1,Z2)と、横方向(X1,X2)とは、以下のように定義される。移動方向(Y1,Y2)は、主接点部4とコイル部5とが互いに並ぶ方向である。移動方向(Y1,Y2)は、第1移動方向(Y1)と第2移動方向(Y2)とを含む。第1移動方向(Y1)は、主接点部4からコイル部5に向かう方向である。第2移動方向(Y2)は、第1移動方向(Y1)と反対の方向である。第2移動方向(Y2)は、コイル部5から主接点部4に向かう方向である。
【0025】
支持方向(Z1,Z2)は、移動方向(Y1,Y2)に垂直な方向である。支持方向(Z1,Z2)は、ベース3と主接点部4とが互いに並ぶ方向である。支持方向(Z1,Z2)は、第1支持方向(Z1)と第2支持方向(Z2)とを含む。第1支持方向(Z1)は、主接点部4からベース3に向かう方向である。第2支持方向(Z2)は、第1支持方向(Z1)と反対の方向である。第2支持方向(Z2)は、ベース3から主接点部4に向かう方向である。或いは、支持方向(Z1,Z2)は、ベース3とコイル部5とが互いに並ぶ方向であってもよい。
【0026】
横方向(X1,X2)は、移動方向(Y1,Y2)と支持方向(Z1,Z2)とに垂直な方向である。横方向(X1,X2)は、第1横方向(X1)と第2横方向(X2)とを含む。第2横方向(X2)は、第1横方向(X1)と反対の方向である。
【0027】
ケース2とベース3とは、例えば樹脂製である。ベース3は、第1固定端子6と、第2固定端子7と、主接点部4と、コイル部5と、補助接点部8とを支持する。ケース2は、ベース3に取り付けられている。ケース2は、第2支持方向(Z2)から、ベース3と、主接点部4と、コイル部5と、補助接点部8とを覆っている、
第1固定端子6と第2固定端子7とは、例えば銅などの導電性を有する材料で形成されている。第1固定端子6と第2固定端子7とは、それぞれ支持方向(Z1,Z2)に延びている。第1固定端子6と第2固定端子7とは、横方向(X1,X2)に互いに離れて配置されている。第1固定端子6と第2固定端子7とは、ベース3から第1支持方向(Z1)に、ベース3の外側へ突出している。
【0028】
第1固定端子6には、第1固定接点11と第3固定接点13とが接続されている。第1固定接点11と第3固定接点13とは、第1固定端子6において支持方向(Z1,Z2)に互いに離れて配置されている。第2固定端子7には、第2固定接点12と第4固定接点14とが接続されている。第2固定接点12と第4固定接点14とは、第2固定端子7において支持方向(Z1,Z2)に互いに離れて配置されている。第1~第4固定接点11-14は、例えば銀、或いは銅などの導電性を有する材料で形成されている。
【0029】
主接点部4は、第1支持方向(Z1)においてベース3に支持されている。主接点部4は、ベース3に第1支持方向(Z1)に組付けられる。主接点部4は、第1可動接触片15と、第2可動接触片16と、第1移動部材17とを含む。第1可動接触片15と第2可動接触片16とは、横方向(X1,X2)に延びている。第1可動接触片15と第2可動接触片16とは、互いに別体である。第1可動接触片15と第2可動接触片16とは、支持方向(Z1,Z2)に互いに離れて配置されている。第2可動接触片16は、支持方向(Z1,Z2)において、第1可動接触片15とベース3との間に配置されている。第1可動接触片15と第2可動接触片16とは、例えば銅などの導電性を有する材料で形成されている。
【0030】
第1可動接触片15には、第1可動接点21と第2可動接点22とが接続されている。第1可動接点21と第2可動接点22とは、横方向(X1,X2)に互いに離れて配置されている。第1可動接点21は、第1固定接点11と向かい合って配置されている。第2可動接点22は、第2固定接点12と向かい合って配置されている。
【0031】
第2可動接触片16には、第3可動接点23と第4可動接点24とが接続されている。第3可動接点23と第4可動接点24とは、横方向(X1,X2)に互いに離れて配置されている。第3可動接点23は、第3固定接点13と向かい合って配置されている。第4可動接点24は、第4固定接点14と向かい合って配置されている。第1~第4可動接点21-24は、例えば銀、或いは銅などの導電性を有する材料で形成されている。
【0032】
第1移動部材17は、第1可動接触片15と第2可動接触片16とに接続されている。第1移動部材17は、樹脂などの絶縁材製である。第1移動部材17は、第1閉位置と第1開位置との間で、移動方向(Y1,Y2)に移動可能である。
図3,
図5,
図7では、第1移動部材17は、第1開位置に位置している。第1移動部材17が第1開位置で、第1~第4可動接点21-24が、それぞれ第1~第4固定接点11-14から開離する。
【0033】
図4及び
図6では、第1移動部材17は、第1閉位置に位置している。第1移動部材17が第1閉位置で、第1~第4可動接点21-24が、それぞれ第1~第4固定接点11-14に接触する。第1移動部材17は、第1移動方向(Y1)に移動することで、第1開位置から第1閉位置に移動する。第1移動部材17は、第2移動方向(Y2)に移動することで、第1閉位置から第1開位置に移動する。
【0034】
コイル部5は、第1支持方向(Z1)においてベース3に支持されている。コイル部5は、ベース3に対して、第1支持方向(Z1)に組付けられている。コイル部5は、電磁力によって第1可動接触片15と第2可動接触片16とを移動させる。コイル部5は、第1移動方向(Y1)および第2移動方向(Y2)に、第1可動接触片15と、第2可動接触片16と、第1移動部材17とを移動させる。第1移動方向(Y1)は、移動方向(Y1,Y2)において、第1~第4可動接点21-24がそれぞれ第1~第4固定接点11-14に接触する方向である。第2移動方向(Y2)は、移動方向(Y1,Y2)において、第1~第4可動接点21-24がそれぞれ第1~第4固定接点11-14から離れる方向である。コイル部5は、コイル31と、スプール32と、可動鉄心33と、固定鉄心34と、ヨーク35とを含む。
【0035】
コイル31は、スプール32に巻回されている。コイル31の軸線は、移動方向(Y1,Y2)に延びている。コイル31は、コイル端子36,37に接続されている。コイル端子36,37は、ベース3から第1支持方向(Z1)に突出している。
図8に示すように、スプール32は、移動方向(Y1,Y2)に延びる孔321を含む。可動鉄心33の少なくとも一部は、スプール32の孔321内に配置されている。可動鉄心33は、第1移動方向(Y1)および第2移動方向(Y2)に移動可能に設けられている。
【0036】
固定鉄心34は、スプール32の孔321内に配置されている。固定鉄心34は、移動方向(Y1,Y2)において、可動鉄心33と向かい合って配置されている。可動鉄心33は、固定鉄心34に対して第1移動方向(Y1)に配置されている。固定鉄心34は、移動方向(Y1,Y2)に延びる孔341を含む。コイル31は、通電されることで可動鉄心33を第1移動方向(Y1)に移動させる電磁力を発生させる。
【0037】
可動鉄心33は、第1移動部材17に接続されている。第1可動接触片15と可動鉄心33とは、第1移動部材17によって電気的に絶縁されている。第2可動接触片16と可動鉄心33とは、第1移動部材17によって電気的に絶縁されている。可動鉄心33は、第1移動部材17と移動方向(Y1,Y2)に一体的に移動する。可動鉄心33は、コイル31から発生する磁力に応じて第1移動方向(Y1)に移動する。この可動鉄心33の移動に伴い、第1移動部材17が第1閉位置に移動する。第1移動部材17の移動に伴い、第1可動接触片15と第2可動接触片16とが第1移動方向(Y1)又は第2移動方向(Y2)に移動する。
【0038】
ヨーク35は、コイル31を囲むように配置されている。ヨーク35は、コイル31によって構成される磁気回路上に配置されている。ヨーク35は、第1ヨーク41と、第2ヨーク42と、第3ヨーク43と、第4ヨーク44とを含む。第1ヨーク41と第2ヨーク42とは、横方向(X1,X2)および支持方向(Z1,Z2)に延びている。第1ヨーク41と第2ヨーク42とは、移動方向(Y1,Y2)において、コイル31と向かい合っている。コイル31は、移動方向(Y1,Y2)において、第1ヨーク41と第2ヨーク42との間に位置する。第1ヨーク41は、移動方向(Y1,Y2)において、第1移動部材17と向かい合っている。第2ヨーク42は、固定鉄心34に接続されている。
【0039】
第3ヨーク43と第4ヨーク44とは、移動方向(Y1,Y2)および支持方向(Z1,Z2)に延びている。第3ヨーク43と第4ヨーク44とは、横方向(X1,X2)において、コイル31と向かい合っている。コイル31は、横方向(X1,X2)において、第3ヨーク43と第4ヨーク44との間に位置する。
【0040】
第1移動部材17は、保持部45と、第1接続部46と、第1連結部47とを含む。保持部45は、第1可動接触片15と第2可動接触片16とを支持している。第1接続部46は、可動鉄心33に接続される。第1連結部47は、保持部45と第1接続部46との間に位置する。第1連結部47は、保持部45と第1接続部46とを接続している。第1連結部47は、移動方向(Y1,Y2)に延びている。
【0041】
保持部45は、支持方向(Z1,Z2)に延びている。保持部45は、支持方向(Z1,Z2)においてベース3に支持されている。第1移動部材17が移動方向(Y1,Y2)に移動することで、保持部45はベース3上を摺動する。保持部45は、第1支持孔48と、第2支持孔49と、隔壁59とを含む。第1可動接触片15は、第1支持孔48内に配置されている。保持部45は、第1可動接点21と第2可動接点22との間において、第1可動接触片15を保持している。第1可動接触片15は、保持部45から、第1横方向(X1)と第2横方向(X2)とに延びている。
【0042】
第2可動接触片16は、第2支持孔49内に配置されている。保持部45は、第3可動接点23と第4可動接点24との間において、第2可動接触片16を保持している。第2可動接触片16は、保持部45から、第1横方向(X1)と第2横方向(X2)とに延びている。隔壁59は、第1支持孔48と第2支持孔49とを区画する。隔壁59は、支持方向(Z1,Z2)において、第1可動接触片15と第2可動接触片16との間に配置される。
【0043】
図8に示すように、主接点部4は、第1接点バネ51と第2接点バネ52とを含む。第1接点バネ51は、第1可動接触片15と保持部45との間に配置されている。第1接点バネ51は、第1支持孔48内に配置されている。第1可動接点21が第1固定接点11に接触し、且つ、第2可動接点22が第2固定接点12に接触している状態で、第1接点バネ51は、第1可動接触片15を第1固定端子6および第2固定端子7に向けて押圧する。第1接点バネ51は、コイルバネであり、第1移動部材17が第1開位置のとき、自然長の状態にある。
【0044】
第2接点バネ52は、第2可動接触片16と第2保持部45との間に配置されている。第2接点バネ52は、第2支持孔49内に配置されている。第3可動接点23が第3固定接点13に接触し、且つ、第4可動接点24が第4固定接点14に接触している状態で、第2接点バネ52は、第2可動接触片16を第1固定端子6および第2固定端子7に向けて押圧する。第2接点バネ52は、コイル31バネであり、第1移動部材17が第1開位置のとき、自然長の状態にある。
【0045】
第1接続部46は、第1連結部47に接続されている。
図8に示すように、第1接続部46は、孔53と溝54とを含む。孔53は、支持方向(Z1,Z2)に延びている。溝54は、孔53に連通している。可動鉄心33は、ヘッド部55を含む。ヘッド部55は、コイル部5から第2移動方向(Y2)へ突出している。ヘッド部55は、溝54を通って、孔53内に配置されている。それにより、第1移動部材17が、移動方向(Y1,Y2)に可動鉄心33に対して抜け止めされる。
【0046】
電磁継電器1は、絶縁壁25を備えている。絶縁壁25は、移動方向(Y1,Y2)において、主接点部4とコイル部5との間に配置されている。絶縁壁25は、移動方向(Y1,Y2)において、保持部45と第1接続部46との間に配置されている。絶縁壁25は、ケース2の天面から第1支持方向(Z1)に延びている。
【0047】
図7に示すように、電磁継電器1は、第1復帰バネ56と第2復帰バネ57とを含む。第1復帰バネ56と第2復帰バネ57とは、第1移動部材17とコイル部5との間に配置されている。第1復帰バネ56と第2復帰バネ57とは、第1接続部46に取り付けられている。第1復帰バネ56と第2復帰バネ57とは、横方向(X1,X2)に互いに離れて配置されている。第1復帰バネ56と第2復帰バネ57とは、第1移動部材17を第2移動方向(Y2)に付勢する。
【0048】
補助接点部8は、第1支持方向(Z1)においてベース3に支持されている。補助接点部8は、第1支持方向(Z1)にベース3に組付けられる。補助接点部8は、移動方向(Y1,Y2)において、コイル部5に対して、主接点部4と反対側に配置されている。補助接点部8は、コイル部5に対して、第1移動方向(Y1)に配置されている。コイル部5は、移動方向(Y1,Y2)において、主接点部4と補助接点部8との間に配置されている。補助接点部8は、補助固定端子61と、補助固定接点62と、補助可動端子63と、補助可動接点64とを含む。
【0049】
補助固定端子61と補助可動端子63とは、例えば銅などの導電性を有する材料で形成されている。補助固定端子61と補助可動端子63とは、ベース3に支持されている。補助固定端子61と補助可動端子63とは、それぞれ支持方向(Z1,Z2)に延びている。補助固定端子61と補助可動端子63とは、ベース3から第1支持方向(Z1)に、ベース3の外側へ突出している。すなわち、第1固定端子6と第2固定端子7と補助固定端子61と補助可動端子63とは、ベース3から同じ方向に向かって電磁継電器1の外側に突出している。
【0050】
補助固定端子61と補助可動端子63とは、移動方向(Y1,Y2)に互いに離れて配置されている。補助固定端子61は、第1固定端子6と、第2固定端子7と、第1可動接触片15と、第2可動接触片16と電気的に絶縁されている。補助可動端子63は、第1固定端子6と、第2固定端子7と、第1可動接触片15と、第2可動接触片16と電気的に絶縁されている。補助可動端子63は、補助固定端子61に対して、第2移動方向(Y2)に配置されている。
【0051】
補助固定接点62と補助可動接点64とは、例えば銀、或いは銅などの導電性を有する材料で形成されている。補助固定接点62は、補助固定端子61に接続されている。補助可動接点64は、補助可動端子63に接続されている。補助固定接点62と補助可動接点64とは、移動方向(Y1,Y2)に互いに向かい合って配置されている。
【0052】
電磁継電器1は、第2移動部材18を備えている。第2移動部材18は、例えば樹脂などの絶縁性を有する材料製である。第2移動部材18は、第1移動部材17に接続されている。第2移動部材18は、主接点部4から、コイル部5に対して、第2支持方向(Z2)の位置を通って、補助接点部8まで延びている。第2移動部材18は、第1移動部材17と連動して移動方向(Y1,Y2)に移動する。第2移動部材18は、第1移動部材17と一体的に移動する。第2移動部材18の移動に応じて、補助可動端子63は移動方向(Y1,Y2)に移動する。それにより、補助可動接点64が移動方向(Y1,Y2)に移動する。
【0053】
第2移動部材18は、第2閉位置と第2開位置との間で移動可能である。
図3、
図5、
図7では、第2移動部材18は、第2開位置に位置している。第1移動部材17が第1開位置で、第2移動部材18は第2開位置に位置している。第2移動部材18が第2開位置では、第2移動部材18は補助可動端子63を第2移動方向(Y2)に押圧しており、補助可動接点64は、補助固定接点62から開離している。
【0054】
図4及び
図6では、第2移動部材18は、第2閉位置に位置している。第1移動部材17が第1閉位置で、第2移動部材18は第2閉位置に位置している。第2移動部材18が第2閉位置では、第2移動部材18は補助可動端子63を第1移動方向(Y1)に押圧しており、補助可動接点64は、補助固定接点62に接触している。
【0055】
図9は、主接点部4及び第2移動部材18の斜視図である。
図1から
図9に示すように、第2移動部材18は、第2接続部65と、第2連結部66と、接触部67とを含む。第2接続部65は、第1移動部材17に接続されている。第2接続部65は、コイル部5に対して第2移動方向(Y2)に配置されている。第2接続部65は、第1接続部46に接続されている。第2接続部65は、第1接続部46から第2支持方向(Z2)に延びている。第2連結部66は、第2接続部65と接触部67とを連結している。第2連結部66は、コイル部5に対して、第2支持方向(Z2)に配置される。第2連結部66は、移動方向(Y1,Y2)に延びている。第2連結部66は、第2接続部65から第1移動方向(Y1)に延びている。
【0056】
接触部67は、コイル部5に対して第1移動方向(Y1)に配置されている。接触部67は、補助可動端子63に接触する。接触部67は、第2連結部66から第1支持方向(Z1)に延びている。接触部67は、第1接触部68と、第2接触部69と、第3接触部70とを含む。
図10は、
図8におけるX-X断面図である。
図10に示すように、補助可動端子63は、第1受け部71と、第2受け部72と、第3受け部73とを含む。補助可動端子63は、先端が、第1受け部71と、第2受け部72と、第3受け部73とに分かれた形状を有する。第1受け部71は、横方向(X1,X2)において、第2受け部72と第3受け部73との間に配置されている。第2受け部72は、第1受け部71に対して、第1横方向(X1)に配置されている。第3受け部73は、第1受け部71に対して、第2横方向(X2)に配置されている。
【0057】
第1接触部68は、横方向(X1,X2)において、第2接触部69と第3接触部70との間に配置されている。第1接触部68は、移動方向(Y1,Y2)において、補助可動端子63に対して、補助固定接点62と反対側に配置されている。第1接触部68は、補助可動端子63に対して、第2移動方向(Y2)に配置されている。第1接触部68は、第1受け部71と向かい合って配置されている。第2移動部材18が第1移動方向(Y1)に移動することで、第1接触部68は、第1受け部71に接触して、補助可動端子63を第1移動方向(Y1)に押圧する。それにより、
図4及び
図6に示すように、補助可動端子63は第2閉位置に移動し、補助可動接点64が補助固定接点62に接触する。
【0058】
第2接触部69と第3接触部70とは、移動方向(Y1,Y2)において、補助可動端子63に対して補助固定接点62と同じ側に配置されている。第2接触部69と第3接触部70とは、補助可動端子63に対して、第1移動方向(Y1)に配置されている。第2接触部69は、第2受け部72と向かい合って配置されている。第3接触部70は、第3受け部73と向かい合って配置されている。第2移動部材18が第2移動方向(Y2)に移動することで、第2接触部69が第2受け部72に接触し、第3接触部70が第3受け部73に接触して、第2接触部69と第3接触部70とが補助可動端子63を第2移動方向(Y2)に押圧する。それにより、
図3、
図5、
図7に示すように、補助可動端子63は第2開位置に移動し、補助可動接点64が補助固定接点62から開離する。
【0059】
第2接触部69と第3接触部70とは、補助可動接点64に対して横方向(X1,X2)にずらして配置されている。第2接触部69は、補助可動接点64に対して、第1横方向(X1)にずらして配置されている。第3接触部70は、補助可動接点64に対して、第2横方向(X2)にずらして配置されている。それにより、第2接触部69と第3接触部70とが補助可動端子63に接触することで発生する摩耗粉が補助可動接点64に付着しにくい。
【0060】
また、第2接触部69は、移動方向(Y1,Y2)において補助可動接点64側から第2受け部72を覆い、横方向(X1,X2)において第1受け部71側から第2受け部72を覆う形状を有する。第3接触部70は、移動方向(Y1,Y2)において補助可動接点64側から第3受け部73を覆い、横方向(X1,X2)において第1受け部71側から第2受け部72を覆う形状を有する。それにより、第2接触部69と第3接触部70とが補助可動端子63に接触することで発生する摩耗粉が補助可動接点64に付着しにくい。
【0061】
図8から
図10に示すように、第2移動部材18は、突起74-77を含む。突起74-77は、第2連結部66からケース2に向かって突出している。突起74-77により、第2移動部材18とケース2の内面との間に隙間が確保される。それにより、ケース2が変形しても、第2移動部材18が安定して移動することができる。
【0062】
また、
図10に示すように、ケース2は、第1リブ78と第2リブ79とを含む。第1リブ78と第2リブ79とは、ケース2の内面から突出している。第1リブ78は、第2移動部材18に対して第1横方向(X1)に配置されている。第2リブ79は、第2移動部材18に対して第2横方向(X2)に配置されている。電磁継電器1が横方向(X1,X2)に大きな衝撃を受けても、第1リブ78と第2リブ79とにより、第2移動部材18のズレが抑えられる。
【0063】
次に、電磁継電器1の動作について説明する。コイル31に通電されていないときには、コイル部5は励磁されていない。この場合、第1移動部材17は、可動鉄心33と共に、復帰バネ56,57の弾性力によって第2移動方向(Y2)に押圧されており、第1移動部材17が
図3及び
図5に示す第1開位置に位置している。この状態では、第1移動部材17を介して、第1可動接触片15および第2可動接触片16も第2移動方向(Y2)に押圧されている。従って、第1移動部材17が第1開位置で、第1可動接点21および第2可動接点22は、第1固定接点11および第2固定接点12から開離している。同様に、第1移動部材17が第1開位置で、第3可動接点23および第4可動接点24は、第3固定接点13および第4固定接点14から開離している。
【0064】
また、第2移動部材18は、第2開位置に位置している。この状態では、補助可動端子63の第2受け部72は第2移動部材18の第2接触部69によって第2移動方向(Y2)に押圧され、補助可動端子63の第3受け部73は第2移動部材18の第3接触部70によって第2移動方向(Y2)に押圧されている。従って、第1移動部材17が第1開位置で、補助可動接点64は、補助固定接点62から開離している。なお、補助可動端子63は第2移動部材18によって第2移動方向(Y2)に押圧されることで、弾性変形している。そのため、第2移動部材18は、補助可動端子63の弾性力によって第1移動方向(Y1)に付勢されている。ただし、補助可動端子63による弾性力は、復帰バネ56,57の弾性力よりも小さい。そのため、第1移動部材17は第1開位置に保持され、第2移動部材18は第2開位置に保持される。
【0065】
コイル31に通電されると、コイル部5が励磁される。この場合、コイル31の電磁力により、可動鉄心33が、復帰バネ56,57の弾性力に抗して、第1移動方向(Y1)に移動する。それにより、第1移動部材17と第1可動接触片15と第2可動接触片16とが共に第1移動方向(Y1)に移動する。従って、
図4及び
図6に示すように、第1移動部材17は、第1閉位置へ移動する。その結果、第1移動部材17が第1閉位置で、第1可動接点21および第2可動接点22は、第1固定接点11および第2固定接点12にそれぞれ接触する。同様に、第1移動部材17が第1閉位置で、第3可動接点23および第4可動接点24は、第3固定接点13および第4固定接点14にそれぞれ接触する。それにより、第1可動接触片15および第2可動接触片16とは、第1固定端子6と第2固定端子7に対して、電気的に接続される。
【0066】
また、第1移動部材17と共に、第2移動部材18は、第1移動方向(Y1)に移動する。それにより、第2移動部材18は、第2閉位置へ移動する。この状態で、補助可動端子63の第1受け部71は第2移動部材18の第1接触部68によって第1移動方向(Y1)に押圧される。従って、第1移動部材17が第1閉位置で、補助可動接点64は、補助固定接点62に接触する。それにより、補助可動端子63は、補助固定端子61に対して、電気的に接続される。なお、第1~第4可動接点21-24がそれぞれ第1~第4固定接点11-14と接触する前に、第1接触部68が第1受け部71を押圧することで、補助可動接点64は、補助固定接点62に接触する。
【0067】
コイル31への電流が停止され消磁されると、可動鉄心33は、復帰バネ56,57の弾性力によって第2移動方向(Y2)に押圧される。それにより、第1移動部材17と第1可動接触片15と第2可動接触片16とが共に第2移動方向(Y2)に移動する。従って、
図3及び
図5に示すように、第1移動部材17は、第1開位置へ移動する。その結果、第1移動部材17が第1開位置で、第1可動接点21および第2可動接点22は、第1固定接点11および第2固定接点12から開離する。同様に、第1移動部材17が第1開位置で、第3可動接点23および第4可動接点24は、第3固定接点13および第4固定接点14から開離する。また、第2移動部材18は、第1移動部材17と共に、第2移動方向(Y2)に移動する。それにより、第2移動部材18は、第2開位置に移動する。従って、第1移動部材17が第1開位置で、補助可動接点64は、補助固定接点62から開離する。
【0068】
以上説明した本実施形態に係る電磁継電器1では、主接点部4とコイル部5とは、第1支持方向(Z1)において、ベース3に支持されている。第1支持方向(Z1)は、第1移動部材17の移動方向(Y1,Y2)に対して垂直である。そのため、組付精度による主接点部4及び補助接点部8の動作への影響が低減される。また、補助接点部8は、第1移動部材17の移動方向(Y1,Y2)において、コイル部5に対して、主接点部4と反対側に配置される。それにより、主接点部4での接点の開閉による補助接点部8への影響が低減されると共に、電磁継電器1の大型化が抑えられる。
【0069】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0070】
上記の実施形態では、コイル部5が、第1移動部材17を第2移動方向(Y2)に押し出すことで、第1~第4可動接点21-24が第1~第4固定接点11-14から開離する。また、コイル部5が第1移動部材17を第1移動方向(Y1)に引き込むことで、第1~第4可動接点21-24が第1~第4固定接点11-14に接触する。しかし、接点を開閉するための第1移動部材17の動作方向は、上記の実施形態と逆であってもよい。すなわち、コイル部5が第1移動部材17を第2移動方向(Y2)に押し出すことで、第1~第4可動接点21-24が第1~第4固定接点11-14に接触してもよい。コイル部5が第1移動部材17を第1移動方向(Y1)に引き込むことで、第1~第4可動接点21-24が第1~第4固定接点11-14から開離してもよい。
【0071】
第1固定端子6、第2固定端子7、第1可動接触片15、および第2可動接触片16の形状、或いは配置が変更されてもよい。例えば、第1固定端子6と第2固定端子7とは、上記の実施形態と異なる方向にベース3から突出してもよい。第1可動接触片15と第2可動接触片16とは、一体であってもよい。すなわち、一体の可動接触片に、第1~第4可動接点21-24が接続されてもよい。或いは、第2可動接触片16と第3、第4可動接点23,24と、第3、第4固定接点13,14とは、省略されてもよい。
【0072】
コイル31、スプール32、可動鉄心33、固定鉄心34、或いはヨーク35の形状、或いは配置が変更されてもよい。第1~第4固定接点11-14の形状、或いは配置が変更されてもよい。第1~第4可動接点21-24の形状、或いは配置が変更されてもよい。
【0073】
第1固定接点11、及び/又は、第3固定接点13は、第1固定端子6と一体であってもよい。第1固定接点11、及び/又は、第3固定接点13は、第1固定端子6の一部であって、第1固定端子6の他の部分と面一であってもよい。第2固定接点12、及び/又は、第4固定接点14は、第2固定端子7と一体であってもよい。第2固定接点12、及び/又は、第4固定接点14は、第2固定端子7の一部であって、第2固定端子7の他の部分と面一であってもよい。
【0074】
第1可動接点21、及び/又は、第2可動接点22は、第1可動接触片15と一体であってもよい。第1可動接点21、及び/又は、第2可動接点22は、第1可動接触片15の一部であって、第1可動接触片15の他の部分と面一であってもよい。第3可動接点23、及び/又は、第4可動接点24は、第2可動接触片16と一体であってもよい。第3可動接点23、及び/又は、第4可動接点24は、第2可動接触片16の一部であって、第2可動接触片16の他の部分と面一であってもよい。
【0075】
第1移動部材17の形状、或いは配置が変更されてもよい。例えば、第1移動部材17は、可動接触片15,16と可動鉄心33とを連結する軸部材を含んでもよい。第1移動部材17は、導電性を有する材料製であってもよい。第1移動部材17は、金属製であってもよい。
【0076】
補助接点部8の構成は、上記の実施形態に物に限らず、変更されてもよい。例えば、補助固定接点62は、補助固定端子61と一体であってもよい。補助固定接点62は、補助固定端子61の一部であって、補助固定端子61の他の部分と面一であってもよい。補助可動接点64は、補助可動端子63と一体であってもよい。補助可動接点64は、補助可動端子63の一部であって、補助可動端子63の他の部分と面一であってもよい。
【0077】
補助固定端子61と補助可動端子63と第2移動部材18との形状、或いは配置が変更されてもよい。例えば、補助固定端子61と補助可動端子63とは、上記の実施形態と異なる方向にベース3から突出してもよい。或いは、補助固定端子61と補助可動端子63とは、ケース2から電磁継電器1の外側に突出してもよい。
【0078】
第2移動部材18の接触部67と補助可動端子63との形状、或いは配置が変更されてもよい。例えば、
図11は、第1変形例に係る接触部67と補助可動端子63とを示す正面図である。
図11に示すように、補助可動端子63は、十字型の形状を有してもよい。補助可動接点64は、第1受け部71に設けられてもよい。
図12は、第2変形例に係る接触部67と補助可動端子63とを示す正面図である。
図12に示すように、第2移動部材18の第3接触部70と、補助可動端子63の第3受け部73とは、省略されてもよい。
【0079】
図13は、第3変形例に係る接触部67と補助可動端子63とを示す正面図である。
図14は、第4変形例に係る接触部67と補助可動端子63とを示す正面図である。
図13及び
図14に示すように、補助可動端子63は、直線状の形状を有してもよい。
図15は、第5変形例に係る接触部67と補助可動端子63とを示す正面図である。
図15に示すように、第2接触部69は、補助可動端子63の横方向(X1,X2)に亘って配置されてもよい。
【0080】
図16は、第6変形例に係る接触部67と補助可動端子63とを示す側面図である。
図16に示すように、第1接触部68は、補助可動端子63の先端部を押圧してもよい。
図17は、第7変形例に係る接触部67と補助可動端子63とを示す側面図である。
図17に示すように、第1接触部68は、補助可動端子63の先端部よりも低い位置において補助可動端子63を押圧してもよい。また、
図16及び
図17に示すように、第1接触部68は突起81を含んでもよい。第1接触部68は、突起81において補助可動端子63を押圧してもよい。第2接触部69及び第3接触部70についても同様に、突起を含み、突起において補助可動端子63を押圧してもよい。
【0081】
図18は、第8変形例に係る電磁継電器1の斜視図である。
図18に示すように、第2移動部材18の接触部67は、孔82を含んでもよい。第1接触部68と第2接触部69とは、移動方向(Y1,Y2)において、互いに向かい合う孔82の縁であってもよい。
【0082】
図19は、第9変形例に係る電磁継電器1の縦断面図である。
図19に示すように、第2移動部材18は、スプール32の孔321を通って延びていてもよい。第2移動部材18は、固定鉄心34の孔341を通って延びていてもよい。第2移動部材18は、可動鉄心33によって押圧されることで、第1移動方向(Y1)に移動してもよい。
【0083】
図20は、第10変形例に係る電磁継電器1の側面図である。
図20に示すように、第2移動部材18は、コイル部5に対して横方向(X1,X2)の位置を通って延びていてもよい。
図21は、第11変形例に係る電磁継電器1の側面図である。
図21に示すように、電磁継電器1は、絶縁壁83を備えてもよい。絶縁壁83は、補助接点部8とコイル部5との間に配置されてもよい。
【0084】
上記の実施形態では、第1移動部材17が第1開位置で、第2移動部材18は第2開位置に位置し、第1移動部材17が第1閉位置で、第2移動部材18は第2閉位置に位置している。しかし、第1移動部材17が第1開位置で、第2移動部材18は第2閉位置に位置し、第1移動部材17が第1閉位置で、第2移動部材18は第2開位置に位置してもよい。例えば、
図22は、第12変形例に係る電磁継電器1の側面図である。
図22に示すように、補助可動端子63は、補助固定端子61に対して、第1移動方向(Y1)に配置されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によれば、主接点部による補助接点部の動作への影響が低減されると共に、電磁継電器の大型化が抑えられる。
【符号の説明】
【0086】
2:ケース、 3:ベース、 4:主接点部、 5:コイル部、 6:第1固定端子、 7:第2固定端子、 8:補助接点部、 11:第1固定接点、 12:第2固定接点、 15:第1可動接触片、 17:第1移動部材、 18:第2移動部材、 21:第1可動接点、 22:第2可動接点、 31:コイル、 32:スプール、 33:可動鉄心、 61:補助固定端子、 62:補助固定接点、 63:補助可動端子、 64:補助可動接点、 68:第1接触部、 69:第2接触部、 70:第3接触部、 74-77:突起、 78:第1リブ、 79:第2リブ、 83:絶縁壁