(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025101698
(43)【公開日】2025-07-07
(54)【発明の名称】水上障害物の検知方法
(51)【国際特許分類】
G08G 3/02 20060101AFI20250630BHJP
【FI】
G08G3/02
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024006526
(22)【出願日】2024-01-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2025-06-13
(31)【優先権主張番号】112150612
(32)【優先日】2023-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】510337551
【氏名又は名称】輝創電子股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 冠億
(72)【発明者】
【氏名】林 劭縁
(72)【発明者】
【氏名】李 桂霖
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲イク▼庭
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA25
5H181CC04
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL06
5H181LL11
(57)【要約】
【課題】従来の水上障害物の警告における計算が複雑になり、さらに誤判断してしまう問題を解決するための、水上障害物の検知方法を提供することを目的とする。
【解決手段】移動キャリアの複数のボーダーから前記移動キャリアの外部へ延伸して認識区域とし、複数の認識区域は連続的で前記移動キャリアの周囲を囲む、区域分けステップ、前記移動キャリアを中心とし、アラウンドビュー画像を撮影し、前記アラウンドビュー画像における、複数の認識区域に分布している少なくとも一つの障害物を認識する、障害物認識ステップ、及び、各認識区域にある各障害物と、前記認識区域が対応するボーダーとの距離、すなわち、各認識区域において検知した障害物と移動キャリアとの相対距離を計算し、前記移動キャリアが移動する過程で、複数の認識区域にて検知する複数の相対距離を継続的に計算する、距離計算ステップを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動キャリアの二次元水平面における本体の輪郭を連続した複数のボーダーに分け、各前記ボーダーから前記移動キャリアの外部へ延伸して認識区域とし、複数の前記認識区域は連続的で前記移動キャリアの周囲を囲む、区域分けステップと、
前記移動キャリアを中心とし、アラウンドビュー画像を撮影し、前記アラウンドビュー画像における、複数の前記認識区域に分布している少なくとも一つの障害物を認識する、障害物認識ステップと、
各前記認識区域にある各前記障害物と、前記認識区域が対応する前記ボーダーとの距離、すなわち、各前記認識区域において検知した障害物と前記移動キャリアとの相対距離を計算し、前記移動キャリアが移動する過程で複数の前記認識区域にて検知する複数の前記相対距離を継続的に計算する、距離計算ステップとを含む、水上障害物の検知方法。
【請求項2】
セマンティックセグメンテーションモデルを利用して、前記アラウンドビュー画像におけるすべてのピクセルを分類し、複数の前記障害物に属するピクセルを分類することを特徴とする請求項1に記載の水上障害物の検知方法。
【請求項3】
各前記ボーダーに等間隔の複数のサンプリング点を有し、各前記相対距離は、各前記障害物の複数のピクセルと複数の各前記サンプリング点との間にサンプリングしたすべての距離において最も短いものであることを特徴とする請求項2に記載の水上障害物の検知方法。
【請求項4】
サンプリング期間内に一定した間隔時間をもって複数の前記相対距離を計算し、警戒閾値を設定して複数の前記相対距離の警戒下限とすることを特徴とする請求項1に記載の水上障害物の検知方法。
【請求項5】
前記サンプリング期間は、0.3~0.5秒であり、
前記間隔時間は、0.03~0.05秒であり、
前記警戒閾値は、1メートルであることを特徴とする請求項4に記載の水上障害物の検知方法。
【請求項6】
前記サンプリング期間内の複数の前記相対距離において、前記警戒閾値より小さく、または、前記警戒閾値と同等であるデータが危険割合以上の場合に、衝突警告を発することを特徴とする請求項4に記載の水上障害物の検知方法。
【請求項7】
前記危険割合は、60%~80%であることを特徴とする請求項6に記載の水上障害物の検知方法。
【請求項8】
前記サンプリング期間内の複数の前記相対距離の平均値が、前記警戒閾値より小さく、または、前記警戒閾値と同等の場合に、衝突警告を発することを特徴とする請求項4に記載の水上障害物の検知方法。
【請求項9】
時間に対する複数の前記相対距離の変化率が、-1メートル/秒より小さく、または、-1メートル/秒と同等の場合に、衝突警告を発することを特徴とする請求項4に記載の水上障害物の検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水上交通における衝突警告の技術に関し、特に、相対距離を正確に計算し、複数の点における衝突を警告する水上障害物の検知方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
衝突防止検知技術は、車、無人機、ロボットなどのキャリアに応用されることが多く、移動経路にある障害物について警告、または、障害物を自動的に回避するために用いられている。
キャリアは、レーダーによって本体と周囲の物体との距離を検知し、衝突する可能性のある物体を事前に予測し、または、カメラを用いてキャリアの周りの画像を撮影し、画像認識技術により異なる障害物の境界、方位及び距離などの情報を認識することで、ドライバーまたはナビシステムにキャリアの速度及び移動方向を制御するように伝達し、これにより安全距離を維持し、及び、反応時間を確保して、衝突事故を減らす効果に達する。
【0003】
ただし、水上を航行する大型船舶は通常、素早く方向変換することができず、さらに、膨大な船体の体積では、船首及び船尾と障害物との間の距離の判断に差が生じてしまうので、船体の前半部が障害物を無事に回避できても、判断の誤りに起因して後半部が衝突してしまう可能性がある。
したがって、従来の水上障害物の検知方法は、障害物との距離計測の精度を向上させ、かつ、船体に複数のセンサーを設置して、船体の異なる位置から面した各方位における障害物情報を収集する必要がある。
しかしながら、検知した大量の障害物情報は、異なる位置にある検知スポットに基づいて整合して適合させなくてはならないため、距離計測の計算が複雑になり、計算誤差が生じ易くなってしまう。
以上に鑑みて、従来の水上障害物の検知方法は、改善する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の目的は、障害物との距離を正確に計算できる水上障害物の検知方法を提供することである。
【0006】
さらに、本発明は、複数の点における衝突を警告できる水上障害物の検知方法を提供することを目的とする。
【0007】
さらに、本発明は、計算の複雑さを低減できる水上障害物の検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の明細書全文にわたって述べられる方向性またはその近似の用語は、例えば、「前」、「後」、「左」、「右」、「上(頂)」、「下(底)」、「内」、「外」、「側面」などは、添付図面上における方向を参考にしたものであり、それぞれの方向性またはそれらに近似した用語は、本発明の各実施例に対する説明と理解を補助するためのものにすぎず、本発明を限定するものではない。
【0009】
本発明の明細書全文にわたって、部品または部材について、使用された「一」或いは「一個」等の助数詞は、都合のために使用され、本発明に含まれる範囲について通常の意義を与えるもので、本発明において一個または少なくとも一個として解釈すべきであり、明確に別の意味を指していないかぎり、一つでの概念は、複数の場合も含まれている。
【0010】
本発明に係る水上障害物の検知方法は、移動キャリアの二次元水平面における本体の輪郭を連続した複数のボーダーに分け、各ボーダーから前記移動キャリアの外部へ延伸して認識区域とし、複数の認識区域は連続的で移動キャリアの周囲を囲む、区域分けステップと、前記移動キャリアを中心とし、アラウンドビュー画像を撮影し、前記アラウンドビュー画像における、複数の認識区域に分布している少なくとも一つの障害物を認識する、障害物認識ステップと、各認識区域にある各障害物と前記認識区域が対応する前記ボーダーとの距離、すなわち、各認識区域において検知した障害物と移動キャリアとの相対距離を計算し、前記移動キャリアが移動する過程で複数の認識区域にて検知する複数の相対距離を継続的に計算する、距離計算ステップとを含む。
【0011】
これにより、本発明の水上障害物の検知方法は、周りの検知範囲を区域分けし、アラウンドビュー画像を利用して障害物を分類することで複数の認識区域を利用して複数の障害物をそれぞれ検知し、あるいは、同一の障害物について警告を発することで距離計測における計算の複雑さを低減でき、さらに、移動キャリアの本体の異なる部位及び角度を基に障害物までの距離を計算することで検知及び距離計測の正確さを向上させることができ、及び複数の点における衝突警告を提供できるという効果を奏する。
【0012】
また、セマンティックセグメンテーションモデルを利用して、アラウンドビュー画像におけるすべてのピクセルを分類し、複数の障害物に属するピクセルを分類することを特徴とする。
これにより、セマンティックセグメンテーションモデルは、アラウンドビュー画像におけるすべてのピクセルを分類し、及び各々のピクセルが障害物であるか否かを判断でき、さらなる画像処理が要らず、検知の正確さを向上させることができる効果を奏する。
【0013】
また、各前記ボーダーに等間隔の複数のサンプリング点を有し、各相対距離は、各障害物の複数のピクセルと複数の各サンプリング点との間にサンプリングしたすべての距離において最も短いものであることを特徴とする。
これにより、本体のボーダーから障害物の縁までの最短距離を決定でき、障害物の距離を正確に計測できる効果を奏する。
【0014】
また、サンプリング期間内に一定した間隔時間をもって複数の相対距離を計算し、警戒閾値を設定して複数の相対距離の警戒下限とすることを特徴とする。
これにより、複数の検知データを採用し、及び、警戒閾値と比較することにより警戒範囲を決定でき、検知の誤判断を低減し、衝突警告を提供できるという効果を奏する。
【0015】
また、前記サンプリング期間は、0.3~0.5秒であり、前記間隔時間は、0.03~0.05秒であり、前記警戒閾値は、1メートルであることを特徴とする。
これにより、一定の時間帯で距離を収集・検知し、及び、警戒範囲を確認でき、衝突に対する反応距離及び時間を予め確保するという効果を奏する。
【0016】
また、前記サンプリング期間内の複数の相対距離において、前記警戒閾値より小さく、または、警戒閾値と同等であるデータが危険割合以上の場合に、衝突警告を発することを特徴とする。
これにより、危険範囲内にある検知距離を継続的に収集した場合に、衝突するリスクがあると判定でき、衝突警告の誤報を避けるという効果を奏する。
【0017】
また、前記危険割合は、60%~80%であることを特徴とする。
これにより、高めの危険割合を設定することで警戒感度を下げ、低めの危険割合を設定することで警戒感度を上げ、移動キャリアの周辺環境や移動状況に基づいて適切な警戒状態に調整でき、警戒状態を調整し、及び、誤判断を低減するという効果を奏する。
【0018】
また、前記サンプリング期間内の複数の相対距離の平均値が、前記警戒閾値より小さく、または、前記警戒閾値と同等の場合に、衝突警告を発することを特徴とする。
これにより、サンプリング期間内における障害物の距離変化の状態を、移動キャリアの移動履歴の判断に用いることができ、衝突リスクの警告を補助するという効果を奏する。
【0019】
また、時間に対する複数の相対距離の変化率が、-1メートル/秒より小さく、または、-1メートル/秒と同等の場合に、衝突警告を発することを特徴とする。
これにより、上記変化率は、移動キャリアが障害物に接近する速度を表し、衝突の予測に用いることができ、事前に警告して障害物を回避するための反応時間を予め確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】本発明の実施例における障害物検知状況を示す図。
【
図3】本発明の区域分けステップの一つの実施態様を示す図。
【
図4】本発明の区域分けステップの他の実施態様を示す図。
【
図5】本発明の区域分けステップの他の実施態様を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の上記目的、その他の目的及び利点をより理解し易くするために、下記のように本発明の実施例を挙げ、さらに図面を参照して詳しく説明する。
また、異なる図面において、同じ符号を標示するものは、同じものと見なし、その説明を省く。
【0022】
図1、
図2に示されるように、本発明に係る水上障害物の検知方法の実施例は、区域分けステップS1、障害物認識ステップS2、及び、距離計算ステップS3を含み、水上を航行する移動キャリアVを基準点とし、この移動キャリアVの周辺にある複数の障害物Bを検知する。
【0023】
区域分けステップS1は、移動キャリアVの二次元水平面における本体の輪郭を複数のボーダーRに分け、複数のボーダーRは、起点と終点が繋がっており、各ボーダーRから移動キャリアVの外部へ延伸して認識区域Zとし、認識区域Zは、連続的で移動キャリアVの周囲を囲む。
本実施例では、大型船舶の矩形輪郭について説明し、
図2に示されるように、複数の認識区域Zは、左船首、右船首、船体左側、船体右側、左船尾及び右船尾を含むことができるが、本発明は、これらに限定されない。
【0024】
図3~
図5に示されるように、区域分けステップS1は、移動キャリアVの航行状況及び位置する環境に基づいて、異なる複数のボーダーRを選択し、及び複数の認識区域Zに含まれる範囲を調整することができる。
図3に示されるように、船舶の海上航行中に、障害物に遭遇する確率が低く、前進方向から障害物が接近する速度が早いため、前方の海面を集中的に検知するように一つの認識区域Z1を船首区域のみに向けて、もう一つの認識区域Z2を船体の両側及び後方を含むようにすることができる。
また、
図4に示されるように、船舶が停泊する際に、方向変換や後退動作により船体の位置及び角度を調整し、かつ、岸辺になるべく近づける必要があるため、認識区域Z1を船首に向けたままにし、船体の右側及び右後方を認識区域Z2に割り当て、船体の左側及び左後方を認識区域Z3に割り当てることができ、これにより、船舶が岸辺に停泊する過程で、船舶と岸辺との距離を検知する。
図5に示されるように、船舶が狭い川筋や運河を航行する際に、船体周りの至る所に衝突するリスクがあるため、左船首、右船首、船体右側、右船尾、左船尾及び船体左側という順に認識区域Z1~Z6に割り当てることができ、これにより、障害物が接近する方位を正確に検知できる。
注意すべきことは、本発明に述べられる区域分けステップは、予め設定されたものであっても良く、ユーザーによって異なるパターンの区域分けを選択しても良い。
【0025】
図1、2に示されるように、障害物認識ステップS2は、移動キャリアVを中心とし、アラウンドビュー(Around View Monitor、AVM)画像を撮影し、この画像における障害物Bを認識する。
本実施例において、アラウンドビュー画像に対して画像セグメンテーション(Image Segmentation)を行い、画像における物体の位置及びその縁を位置決めし、例えば、アラウンドビュー画像をカスタムサイズまで拡大・縮小した後、セマンティックセグメンテーション(Semantic Segmentation)モデルへ入力することでアラウンドビュー画像におけるすべてのピクセルを分類し、及び、各々のピクセルが障害物Bであるか否かを判断し、障害物Bに属するピクセルPを分類した後、輪郭追跡(Contour Tracing)アルゴリズムにより障害物Bの縁に位置する複数のピクセルPを見つけ出すことができる。
【0026】
また、障害物Bは、複数の認識区域Zに分布しており、複数の認識区域Zに割り当てる仕方によって、障害物Bは隣接した複数の認識区域Zにて同時に検知される可能性があるため、同じ障害物Bに属する複数のピクセルPは、異なる複数の認識区域Zに分布でき、複数の認識区域Zにてそれぞれ同じ障害物Bに対して検知する際に異なる計算結果を得ることがある。
【0027】
距離計算ステップS3は、各認識区域Zにある各障害物Bと認識区域Zが対応するボーダーRとの距離、すなわち、各認識区域Zにおいて検知した障害物Bと移動キャリアVとの相対距離Dを計算する。
本実施例では、アラウンドビュー画像をカスタムサイズまで拡大・縮小したため、ピクセル同士の実際の距離を換算できる。
また、距離計算ステップS3は、各ボーダーRに等間隔のサンプリング点Mを複数設置でき、これにより、障害物Bの複数のピクセルPと複数のサンプリング点Mとの距離を一通り計算し、得られた結果で最も短いものを相対距離Dとする。
移動キャリアVが移動する過程で、距離計算ステップS3は、複数の認識区域Zにて障害物Bに対して検知する複数の相対距離Dを継続的に計算する。
注意すべきことは、本発明では、最短距離を相対距離Dとしたが、当業者は、他の距離を相対距離Dとして定義しても良いことを理解できるので、本発明における相対距離Dは、最短距離に限らない。
【0028】
複数のサンプリング点Mは、長さが異なる複数のボーダーRに等間隔に設置されても良く、これにより、長さが短いボーダーRは、少ないサンプリング点Mを有する。
また、各ボーダーRは、同じ数のサンプリング点Mを有しても良く、これにより、長さが短いボーダーRにあるサンプリング点Mは、分布密度が高くなる。
ただし、本発明におけるサンプリング点Mの数及び分布は、限定されない。
【0029】
また、距離計算ステップS3は、サンプリング期間、間隔時間及び警戒閾値を設定することができ、これにより、サンプリング期間内に一定した間隔時間をもって複数の相対距離Dを計算し、かつ、複数の相対距離Dは、警戒閾値を警戒下限とする。
なお、サンプリング期間は、0.3~0.5秒であっても良く、間隔時間は、0.03~0.05秒であっても良く、警戒閾値は、1メートルであることが好ましい。
【0030】
距離計算ステップS3は、複数の相対距離Dの計算結果と警戒閾値との関係に基づいて、衝突警告を提供することができる。
実施例を挙げて説明すると、サンプリング期間内に計算した複数の相対距離Dにおいて、警戒閾値より小さく、または、警戒閾値と同等であるデータが危険割合以上の場合に、衝突警告を発することができる。
なお、危険割合は、60%~80%が好ましい。
詳しく述べると、サンプリング期間が0.3秒、かつ、間隔時間が0.03秒であれば、10個の相対距離Dを取り、この中に、7個の相対距離Dが、1メートルより小さく、または、1メートルと同等である場合、危険割合が60%または70%に設定されていれば、警告が発され、危険割合が80%に設定されていれば、安全と判断される。
【0031】
他の実施例では、サンプリング期間内に計算した複数の相対距離Dに対して平均値を算出し、平均値が警戒閾値より小さく、または、警戒閾値と同等の場合に、衝突警告を発することができる。
【0032】
また、他の実施例では、時間に対する相対距離Dの変化率が、-1メートル/秒より小さく、または、-1メートル/秒と同等の場合に、衝突警告を発することができる。
上記変化率とは、連続した相対距離Dの数値の差と間隔時間との比である。
詳しく述べると、連続した相対距離Dを計算した結果がそれぞれ5メートル及び4.95メートル、かつ、間隔時間が0.04秒である場合、変化率は、-1.25メートル/秒であり、移動キャリアVが障害物となり得る物に接近する速度が、安全範囲より高いことを意味するので、警告を発し、障害物を回避するための反応時間を予め確保することができる。
【0033】
以上をまとめると、本発明の水上障害物の検知方法は、周りの検知範囲を区域分けし、さらにアラウンドビュー画像を利用して障害物を分類することで、複数の認識区域を利用して複数の障害物をそれぞれ検知し、あるいは、同一の障害物について警告を発することで、距離計測における計算の複雑さを低減でき、さらに、移動キャリアの本体の異なる部位及び角度を基に、障害物までの距離を計算することで、検知及び距離計測の正確さを向上させることができ、複数の点における衝突警告を提供できるという効果を奏する。
【0034】
本発明は、上記実施例をもって開示されたが、それらは、本発明を限定するものではない。
当業者は、本発明の精神と範囲から逸脱しない限り、上記実施例に対して様々な変更を行っても、本発明に保護される範囲に属する。
従って、本発明に保護される範囲は、後述する特許請求の範囲に記載された文言の範囲及び均等の範囲内にあるすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0035】
S1 ・・・区域分けステップ
S2 ・・・障害物認識ステップ
S3 ・・・距離計算ステップ
V ・・・移動キャリア
B ・・・障害物
R ・・・ボーダー
Z、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6 ・・・認識区域
P ・・・ピクセル
M ・・・サンプリング点
D ・・・相対距離
【手続補正書】
【提出日】2025-03-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動キャリアの二次元水平面における本体の輪郭を連続した複数のボーダーに分け、各前記ボーダーから前記移動キャリアの外部へ延伸して認識区域とし、複数の前記認識区域は連続的で前記移動キャリアの周囲を囲む、区域分けステップと、
前記移動キャリアを中心とし、アラウンドビュー画像を撮影し、前記アラウンドビュー画像における、複数の前記認識区域に分布している少なくとも一つの障害物を認識する、障害物認識ステップと、
各前記認識区域にある各前記障害物と、前記認識区域が対応する前記ボーダーとの距離、すなわち、各前記認識区域において検知した障害物と前記移動キャリアとの相対距離を計算し、前記移動キャリアが移動する過程で複数の前記認識区域にて検知する複数の前記相対距離を継続的に計算する、距離計算ステップとを含む、水上障害物の検知方法。
【請求項2】
セマンティックセグメンテーションモデルを利用して、前記アラウンドビュー画像におけるすべてのピクセルを分類し、複数の前記障害物に属するピクセルを分類することを特徴とする請求項1に記載の水上障害物の検知方法。
【請求項3】
各前記ボーダーに等間隔の複数のサンプリング点を有し、各前記相対距離は、各前記障害物の複数のピクセルと複数の各前記サンプリング点との間にサンプリングしたすべての距離において最も短いものであることを特徴とする請求項2に記載の水上障害物の検知方法。
【請求項4】
前記距離計算ステップで、サンプリング期間、間隔時間及び警戒閾値を設定し、前記サンプリング期間内に一定した前記間隔時間をもって複数の前記相対距離を計算し、前記警戒閾値を複数の前記相対距離の警戒下限とすることを特徴とする請求項1に記載の水上障害物の検知方法。
【請求項5】
前記サンプリング期間は、0.3~0.5秒であり、
前記間隔時間は、0.03~0.05秒であり、
前記警戒閾値は、1メートルであることを特徴とする請求項4に記載の水上障害物の検知方法。
【請求項6】
前記サンプリング期間内の複数の前記相対距離において、前記警戒閾値より小さく、または、前記警戒閾値と同等であるデータが危険割合以上の場合に、衝突警告を発することを特徴とする請求項4に記載の水上障害物の検知方法。
【請求項7】
前記危険割合は、60%~80%であることを特徴とする請求項6に記載の水上障害物の検知方法。
【請求項8】
前記サンプリング期間内の複数の前記相対距離の平均値が、前記警戒閾値より小さく、または、前記警戒閾値と同等の場合に、衝突警告を発することを特徴とする請求項4に記載の水上障害物の検知方法。
【請求項9】
時間に対する複数の前記相対距離の変化率が、-1メートル/秒より小さく、または、-1メートル/秒と同等の場合に、衝突警告を発することを特徴とする請求項4に記載の水上障害物の検知方法。