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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010177
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/08 20200101AFI20250109BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20250109BHJP
【FI】
B60W50/08
B60W60/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024186524
(22)【出願日】2024-10-23
(62)【分割の表示】P 2021157686の分割
【原出願日】2021-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 栄祐
(72)【発明者】
【氏名】日置 敏和
(57)【要約】
【課題】自動運転システムを搭載可能な車両において、マニュアルモードと自動モードとを適切に切り替える。
【解決手段】VCIB40は、自動運転システム(ADS)11と車両プラットフォーム(VP)20との間のインターフェースを行う。車両1は、VP20が起動された場合に設定される通常マニュアルモードと、VP20がオペレータの制御下にある有人マニュアルモードと、VP20がADS11の制御下にある有人自動モードとを有する。VCIB40はプロセッサを備える。プロセッサは、(1)車両1を通常マニュアルモードから有人マニュアルモードに遷移させるためのオペレータ指令をADS11から受け、(2)VP20の自動運転の準備ができていることを示す自動運転準備信号をADS11に出力するとともに、車両1を有人マニュアルモードから有人自動モードに遷移させるための自動運転要求をADS11から受ける、ように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転システムと、前記自動運転システムからの制御要求に従って車両を制御する車両プラットフォームとの間のインターフェースを行う車両制御インターフェースであって、
前記車両は、
前記車両プラットフォームが起動された場合に設定される第1のマニュアルモードと、
オペレータが前記車両プラットフォーム内にいて、前記車両プラットフォームが前記オペレータの制御下にある第2のマニュアルモードと、
前記車両プラットフォームが前記自動運転システムの制御下にある自動モードとを有し、
前記車両制御インターフェースは、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行可能なプログラムを記憶するメモリとを備え、
前記プロセッサは、
前記車両を前記第1のマニュアルモードから前記第2のマニュアルモードに遷移させるためのオペレータ指令を前記自動運転システムから受け、
前記車両プラットフォームの自動運転の準備ができていることを示す自動運転準備信号を前記自動運転システムに出力するとともに、前記車両を前記第2のマニュアルモードから前記自動モードに遷移させるための自動運転要求を前記自動運転システムから受けるように構成されている、車両制御インターフェース。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記自動モードにおいて、前記自動モードの解除を要求する前記自動運転要求を前記自動運転システムから受けるように構成されている、請求項1に記載の車両制御インターフェース。
【請求項3】
前記車両は、前記車両制御インターフェースが停止するスリープモードをさらに有し、
前記プロセッサは、前記第2のマニュアルモードにおいて、前記車両を前記第2のマニュアルモードから前記スリープモードに遷移させるための電源モード要求を前記自動運転システムから受けるように構成されている、請求項1または2に記載の車両制御インターフェース。
【請求項4】
前記車両は、前記車両を整備するためのメンテナンスモードをさらに有し、
前記プロセッサは、前記第1のマニュアルモードから前記メンテナンスモードへの遷移において、
前記車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す電源モードステータス信号を前記自動運転システムに出力し、
シフトレンジがPレンジであることを示す駆動方向ステータス信号を前記自動運転システムに出力し、
前記車両プラットフォームが停車していることを示す実移動方向信号を前記自動運転システムに出力し、
前記車両の整備を要求する旨のメンテナンス要求を前記自動運転システムから受けるように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の車両制御インターフェース。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記メンテナンスモードから前記第1のマニュアルモードへの遷移において、
前記車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す前記電源モードステータス信号を前記自動運転システムに出力し、
前記シフトレンジがPレンジであることを示す前記駆動方向ステータス信号を前記自動運転システムに出力し、
前記車両プラットフォームが停車していることを示す前記実移動方向信号を前記自動運転システムに出力し、
前記車両の整備を要求しない旨の前記メンテナンス要求を前記自動運転システムから受けるように構成されている、請求項4に記載の車両制御インターフェース。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の車両制御インターフェース含む前記車両プラットフォームを備える、車両。
【請求項7】
車両に搭載可能な自動運転システムであって、
前記車両は、前記自動運転システムからの制御要求に従って前記車両を制御する車両プラットフォームを含み、
前記車両プラットフォームは、前記自動運転システムと前記車両プラットフォームとの間のインターフェースを行う車両制御インターフェースを有し、
前記車両は、
前記車両プラットフォームが起動された場合に設定される第1のマニュアルモードと、
オペレータが前記車両プラットフォーム内にいて、前記車両プラットフォームが前記オペレータの制御下にある第2のマニュアルモードと、
前記車両プラットフォームが前記自動運転システムの制御下にある自動モードとを有し、
前記自動運転システムは、
コンピュータと、
前記車両制御インターフェースと通信可能に構成された通信モジュールとを備え、
前記コンピュータは、
前記車両を前記第1のマニュアルモードから前記第2のマニュアルモードに遷移させるためのオペレータ指令を前記車両制御インターフェースに出力し、
前記車両プラットフォームの自動運転の準備ができていることを示す自動運転準備信号を前記車両制御インターフェースから受けるとともに、前記車両を前記第2のマニュアルモードから前記自動モードに遷移させるための自動運転要求を前記車両制御インターフェースに出力するように構成されている、自動運転システム。
【請求項8】
前記コンピュータは、前記自動モードにおいて、前記自動モードの解除を要求する前記自動運転要求を前記車両制御インターフェースに出力するように構成されている、請求項7に記載の自動運転システム。
【請求項9】
前記車両は、前記車両制御インターフェースが停止するスリープモードをさらに有し、
前記コンピュータは、前記第2のマニュアルモードにおいて、前記車両を前記第2のマニュアルモードから前記スリープモードに遷移させるための電源モード要求を前記車両制御インターフェースに出力するように構成されている、請求項7または8に記載の自動運転システム。
【請求項10】
前記車両は、前記車両を整備するためのメンテナンスモードをさらに有し、
前記コンピュータは、前記第1のマニュアルモードから前記メンテナンスモードへの遷移において、
前記車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す電源モードステータス信号を前記車両制御インターフェースから受け、
シフトレンジがPレンジであることを示す駆動方向ステータス信号を前記車両制御インターフェースから受け、
前記車両プラットフォームが停車していることを示す実移動方向信号を前記車両制御インターフェースから受け、
前記車両の整備を要求する旨のメンテナンス要求を前記車両制御インターフェースに出力するように構成されている、請求項7~9のいずれか1項に記載の自動運転システム。
【請求項11】
前記コンピュータは、前記メンテナンスモードから前記第1のマニュアルモードへの遷移において、
前記車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す前記電源モードステータス信号を前記車両制御インターフェースから受け、
前記シフトレンジがPレンジであることを示す前記駆動方向ステータス信号を前記車両制御インターフェースから受け、
前記車両プラットフォームが停車していることを示す前記実移動方向信号を前記車両制御インターフェースから受け、
前記車両の整備を要求しない旨の前記メンテナンス要求を前記車両制御インターフェースに出力するように構成されている、請求項10に記載の自動運転システム。
【請求項12】
請求項7~11のいずれか1項に記載の自動運転システムと、
前記車両プラットフォームとを備える、車両。
【請求項13】
車両の制御方法であって、
前記車両は、自動運転システムからの制御要求に従って前記車両を制御する車両プラットフォームを含み、
前記車両プラットフォームは、前記自動運転システムと前記車両プラットフォームとの間のインターフェースを行う車両制御インターフェースを有し、
前記制御方法は、
前記車両プラットフォームが起動された場合に前記車両を第1のマニュアルモードに設定するステップと、
前記車両が前記第1のマニュアルモードから第2のマニュアルモードを経由して自動モードに遷移するステップとを含み、
前記第2のマニュアルモードは、オペレータが前記車両プラットフォーム内にいて、前記車両プラットフォームが前記オペレータの制御下にあるモードであり、
前記自動モードは、前記車両プラットフォームが前記自動運転システムの制御下にあるモードである、車両の制御方法。
【請求項14】
前記自動運転システムから前記車両制御インターフェースに、前記自動モードの解除を要求する前記自動運転要求が出力された場合に、前記車両が前記自動モードから前記第2のマニュアルモードに遷移するステップをさらに含む、請求項13に記載の車両の制御方法。
【請求項15】
前記車両は、前記車両制御インターフェースが停止するスリープモードをさらに有し、
前記制御方法は、前記自動運転システムから前記車両制御インターフェースに、前記車両を前記第2のマニュアルモードから前記スリープモードに遷移させるための電源モード要求が出力された場合に、前記第2のマニュアルモードから前記スリープモードに遷移するステップをさらに含む、請求項13または14に記載の車両の制御方法。
【請求項16】
前記車両は、前記車両の整備のためのメンテナンスモードをさらに有し、
前記制御方法は、第1~第4の条件が成立した場合に前記車両が前記第1のマニュアルモードから前記メンテナンスモードに遷移するステップをさらに含み、
前記第1の条件は、前記車両制御インターフェースから前記自動運転システムに、前記
車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す電源モードステータス信号が出力されたとの条件であり、
前記第2の条件は、前記車両制御インターフェースから前記自動運転システムに、シフトレンジがPレンジであることを示す駆動方向ステータス信号が出力されたとの条件であり、
前記第3の条件は、前記車両制御インターフェースから前記自動運転システムに、前記車両プラットフォームが停車していることを示す実移動方向信号が出力されたとの条件であり、
前記第4の条件は、前記自動運転システムから前記車両制御インターフェースに、前記車両の整備を要求する旨のメンテナンス要求が出力されたとの条件である、請求項13~15のいずれか1項に記載の車両の制御方法。
【請求項17】
第5~第8の条件が成立した場合に前記車両が前記メンテナンスモードから前記第1のマニュアルモードに遷移するステップをさらに含み、
前記第5の条件は、前記車両制御インターフェースから前記自動運転システムに、前記車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す前記電源モードステータス信号が出力されたとの条件であり、
前記第6の条件は、前記車両制御インターフェースから前記自動運転システムに、シフトレンジがPレンジであることを示す前記駆動方向ステータス信号が出力されたとの条件であり、
前記第7の条件は、前記車両制御インターフェースから前記自動運転システムに、前記車両プラットフォームが停車していることを示す前記実移動方向信号が出力されたとの条件であり、
前記第8の条件は、前記自動運転システムから前記車両制御インターフェースに、前記車両の整備を要求しない旨の前記メンテナンス要求が出力されたとの条件である、請求項16に記載の車両の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御インターフェースおよびそれを備える車両、自動運転システムおよびそれを備える車両、ならびに、車両の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の自動運転技術の開発が進められている。たとえば特開2018-132015号公報(特許文献1)は、車両の自動運転制御を統括的に実行する自動運転システムを開示する。この自動運転システムは、カメラと、レーザ装置と、レーダ装置と、操作装置と、勾配センサと、自動運転機器と、自動運転ECU(Electronic Control Unit)
とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-132015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動運転システムを車両本体に外付けすることが考えられる。この場合、車両プラットフォーム(後述)が自動運転システムからの指令に従って車両を制御することで自動運転が実現される。
【0005】
自動運転システムを搭載可能な車両は、車両プラットフォームがオペレータ(たとえば運転手)の制御下にあるマニュアルモードと、車両プラットフォームが自動運転システムの制御下にある自動モードとを有し得る。マニュアルモードと自動モードとを適切に切り替える要望が存在する。
【0006】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、自動運転システムを搭載可能な車両において、マニュアルモードと自動モードとを適切に切り替えることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示のある局面に係る車両制御インターフェースは、自動運転システムと、自動運転システムからの制御要求に従って車両を制御する車両プラットフォームとの間のインターフェースを行う。車両は、車両プラットフォームが起動された場合に設定される第1のマニュアルモードと、オペレータが車両プラットフォーム内にいて、車両プラットフォームがオペレータの制御下にある第2のマニュアルモードと、車両プラットフォームが自動運転システムの制御下にある自動モードとを有する。車両制御インターフェースは、プロセッサと、プロセッサによって実行可能なプログラムを記憶するメモリとを備える。プロセッサは、車両を第1のマニュアルモードから第2のマニュアルモードに遷移させるためのオペレータ指令を自動運転システムから受け、車両プラットフォームの自動運転の準備ができていることを示す自動運転準備信号を自動運転システムに出力するとともに、車両を第2のマニュアルモードから自動モードに遷移させるための自動運転要求を自動運転システムから受けるように構成されている。
【0008】
(2)プロセッサは、自動モードにおいて、自動モードの解除を要求する自動運転要求を自動運転システムから受けるように構成されている。
【0009】
(3)車両は、車両制御インターフェースが停止するスリープモードをさらに有する。プロセッサは、第2のマニュアルモードにおいて、車両を第2のマニュアルモードからスリープモードに遷移させるための電源モード要求を自動運転システムから受けるように構成されている。
【0010】
(4)車両は、車両を整備するためのメンテナンスモードをさらに有する。プロセッサは、第1のマニュアルモードからメンテナンスモードへの遷移において、車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す電源モードステータス信号を自動運転システムに出力し、シフトレンジがPレンジであることを示す駆動方向ステータス信号を自動運転システムに出力し、車両プラットフォームが停車していることを示す実移動方向信号を自動運転システムに出力し、車両の整備を要求する旨のメンテナンス要求を自動運転システムから受けるように構成されている。
【0011】
(5)プロセッサは、メンテナンスモードから第1のマニュアルモードへの遷移において、車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す電源モードステータス信号を自動運転システムに出力し、シフトレンジがPレンジであることを示す駆動方向ステータス信号を自動運転システムに出力し、車両プラットフォームが停車していることを示す実移動方向信号を自動運転システムに出力し、車両の整備を要求しない旨のメンテナンス要求を自動運転システムから受けるように構成されている。
【0012】
(6)本開示の他の局面に係る車両は、上記の車両制御インターフェース含む車両プラットフォームを備える。
【0013】
(7)本開示のさらに他の局面に係る自動運転システムは、車両に搭載可能な自動運転システムである。車両は、自動運転システムからの制御要求に従って車両を制御する車両プラットフォームを含む。車両プラットフォームは、自動運転システムと車両プラットフォームとの間のインターフェースを行う車両制御インターフェースを有する。車両は、車両プラットフォームが起動された場合に設定される第1のマニュアルモードと、オペレータが車両プラットフォーム内にいて、車両プラットフォームがオペレータの制御下にある第2のマニュアルモードと、車両プラットフォームが自動運転システムの制御下にある自動モードとを有する。自動運転システムは、コンピュータと、車両制御インターフェースと通信可能に構成された通信モジュールとを備える。コンピュータは、車両を第1のマニュアルモードから第2のマニュアルモードに遷移させるためのオペレータ指令を車両制御インターフェースに出力し、車両プラットフォームの自動運転の準備ができていることを示す自動運転準備信号を車両制御インターフェースから受けるとともに、車両を第2のマニュアルモードから自動モードに遷移させるための自動運転要求を車両制御インターフェースに出力するように構成されている。
【0014】
(8)コンピュータは、自動モードにおいて、自動モードの解除を要求する自動運転要求を車両制御インターフェースに出力するように構成されている。
【0015】
(9)車両は、車両制御インターフェースが停止するスリープモードをさらに有する。コンピュータは、第2のマニュアルモードにおいて、車両を第2のマニュアルモードからスリープモードに遷移させるための電源モード要求を車両制御インターフェースに出力するように構成されている、請求項7または8に記載の自動運転システム。
【0016】
(10)車両は、車両を整備するためのメンテナンスモードをさらに有する。コンピュータは、第1のマニュアルモードからメンテナンスモードへの遷移において、車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す電源モードステータス信号を車両
制御インターフェースから受け、シフトレンジがPレンジであることを示す駆動方向ステータス信号を車両制御インターフェースから受け、車両プラットフォームが停車していることを示す実移動方向信号を車両制御インターフェースから受け、車両の整備を要求する旨のメンテナンス要求を車両制御インターフェースに出力するように構成されている。
【0017】
(11)コンピュータは、メンテナンスモードから第1のマニュアルモードへの遷移において、車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す電源モードステータス信号を車両制御インターフェースから受け、シフトレンジがPレンジであることを示す駆動方向ステータス信号を車両制御インターフェースから受け、車両プラットフォームが停車していることを示す実移動方向信号を車両制御インターフェースから受け、車両の整備を要求しない旨のメンテナンス要求を車両制御インターフェースに出力するように構成されている。
【0018】
(12)本開示のさらに他の局面に係る車両は、上記の自動運転システムと、車両プラットフォームとを備える。
【0019】
(13)本開示のさらに他の局面に車両の制御方法において、車両は、自動運転システムからの制御要求に従って車両を制御する車両プラットフォームを含む。車両プラットフォームは、自動運転システムと車両プラットフォームとの間のインターフェースを行う車両制御インターフェースを有する。制御方法は、車両プラットフォームが起動された場合に車両を第1のマニュアルモードに設定するステップと、車両が第1のマニュアルモードから第2のマニュアルモードを経由して自動モードに遷移するステップとを含む。第2のマニュアルモードは、オペレータが車両プラットフォーム内にいて、車両プラットフォームがオペレータの制御下にあるモードである。自動モードは、車両プラットフォームが自動運転システムの制御下にあるモードである。
【0020】
(14)制御方法は、自動運転システムから車両制御インターフェースに、自動モードの解除を要求する自動運転要求が出力された場合に、車両が自動モードから第2のマニュアルモードに遷移するステップをさらに含む。
【0021】
(15)車両は、車両制御インターフェースが停止するスリープモードをさらに有する。制御方法は、自動運転システムから車両制御インターフェースに、車両を第2のマニュアルモードからスリープモードに遷移させるための電源モード要求が出力された場合に、第2のマニュアルモードからスリープモードに遷移するステップをさらに含む。
【0022】
(16)車両は、車両の整備のためのメンテナンスモードをさらに有する。制御方法は、第1~第4の条件が成立した場合に車両が第1のマニュアルモードからメンテナンスモードに遷移するステップをさらに含む。第1の条件は、車両制御インターフェースから自動運転システムに、車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す電源モードステータス信号が出力されたとの条件である。第2の条件は、車両制御インターフェースから自動運転システムに、シフトレンジがPレンジであることを示す駆動方向ステータス信号が出力されたとの条件である。第3の条件は、車両制御インターフェースから自動運転システムに、車両プラットフォームが停車していることを示す実移動方向信号が出力されたとの条件である。第4の条件は、自動運転システムから車両制御インターフェースに、車両の整備を要求する旨のメンテナンス要求が出力されたとの条件である。
【0023】
(17)制御方法は、第5~第8の条件が成立した場合に車両がメンテナンスモードから第1のマニュアルモードに遷移するステップをさらに含む。第5の条件は、車両制御インターフェースから自動運転システムに、車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す電源モードステータス信号が出力されたとの条件である。第6の条件
は、車両制御インターフェースから自動運転システムに、シフトレンジがPレンジであることを示す駆動方向ステータス信号が出力されたとの条件である。第7の条件は、車両制御インターフェースから自動運転システムに、車両プラットフォームが停車していることを示す実移動方向信号が出力されたとの条件である。第8の条件は、自動運転システムから車両制御インターフェースに、車両の整備を要求しない旨のメンテナンス要求が出力されたとの条件である。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、自動運転システムを搭載可能な車両において、マニュアルモードと自動モードとを適切に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の実施の形態に係る車両の概要を示す図である。
図2】ADS、VCIBおよびVPの構成をより詳細に示す図である。
図3】VPのモード遷移を示すステートマシンである。
図4】モード間の遷移に関連する各種信号の伝送方向を示す図である。
図5】オペレータ指令を説明するための図である。
図6】オペレータフィードバック信号を説明するための図である。
図7】電源モード要求を説明するための図である。
図8】電源モードステータス信号を説明するための図である。
図9】VP自動運転準備信号を説明するための図である。
図10】自動運転要求を説明するための図である。
図11】VP自動運転状態信号を説明するための図である。
図12】駆動方向ステータス信号を説明するための図である。
図13】実移動方向信号を説明するための図である。
図14】メンテナンス要求を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0027】
[実施の形態]
図1は、本開示の実施の形態に係る車両の概要を示す図である。車両1は、自動運転キット(ADK:Autonomous Driving Kit)10と、車両プラットフォーム(VP:Vehicle Platform)20とを備える。ADK10は、VP20に取り付け可能(車両1に搭
載可能)に構成されている。ADK10とVP20とは、車両制御インターフェース(後述するVCIB40)を介して相互に通信可能に構成されている。
【0028】
VP20は、ADK10からの制御要求に従って自動運転を行うことができる。なお、図1では、ADK10がVP20から離れた位置に示されているが、ADK10は、実際にはVP20のルーフトップ等に取り付けられる。ADK10をVP20から取り外すことも可能である。ADK10が取り外されている場合には、VP20は、マニュアルモードによる走行制御(ユーザ操作に応じた走行制御)を実行する。
【0029】
ADK10は、車両1の自動運転を行うための自動運転システム(ADS:Autonomous
Driving System)11を含む。ADS11は、たとえば、車両1の走行計画を作成す
る。ADS11は、走行計画に従って車両1を走行させるための各種制御要求を、制御要求毎に定義されたAPI(Application Program Interface)に従ってVP20に出力
する。また、ADS11は、車両状態(VP20の状態)を示す各種信号を、信号毎に定義されたAPIに従ってVP20から受ける。そして、ADS11は、車両状態を走行計
画に反映する。ADS11の詳細な構成については図2にて説明する。
【0030】
VP20は、ベース車両30と、車両制御インターフェースボックス(VCIB:Vehicle Control Interface Box)40とを含む。
【0031】
ベース車両30は、ADK10(ADS11)からの制御要求に従って各種車両制御を実行する。ベース車両30は、ベース車両30を制御するための各種システムおよび各種センサを含む。より具体的には、ベース車両30は、統合制御マネージャ31と、ブレーキシステム32と、ステアリングシステム33と、パワートレーンシステム34と、アクティブセーフティシステム35と、ボディシステム36と、車輪速センサ51,52と、ピニオン角センサ53と、カメラ54と、レーダセンサ55,56とを含む。
【0032】
統合制御マネージャ31は、プロセッサおよびメモリを含み、車両1の動作に関わる上記各システム(ブレーキシステム32、ステアリングシステム33、パワートレーンシステム34、アクティブセーフティシステム35、ボディシステム36)を統合して制御する。
【0033】
ブレーキシステム32は、ベース車両30の各車輪に設けられた制動装置を制御するように構成されている。制動装置は、たとえば、アクチュエータによって調整される油圧に応じて動作するディスクブレーキシステム(図示せず)を含む。
【0034】
ブレーキシステム32には車輪速センサ51,52が接続されている。車輪速センサ51は、ベース車両30の前輪の回転速度を検出し、検出された前輪の回転速度をブレーキシステム32に出力する。車輪速センサ52は、ベース車両30の後輪の回転速度を検出し、検出された後輪の回転速度をブレーキシステム32に出力する。ブレーキシステム32は、各車輪の回転速度を車両状態に含まれる情報の一つとしてVCIB40に出力する。また、ブレーキシステム32は、ADS11からVCIB40および統合制御マネージャ31を介して出力される所定の制御要求に従って、制動装置に対する制動指令を生成する。ブレーキシステム32は、生成された制動指令を用いて制動装置を制御する。なお、統合制御マネージャ31は、各車輪の回転速度に基づいて車両1の速度(車速)を算出できる。
【0035】
ステアリングシステム33は、車両1の操舵輪の操舵角を操舵装置を用いて制御可能に構成されている。操舵装置は、たとえば、アクチュエータにより操舵角の調整が可能なラック&ピニオン式の電動パワーステアリング(EPS:Electric Power Steering)を
含む。
【0036】
ステアリングシステム33にはピニオン角センサ53が接続されている。ピニオン角センサ53は、アクチュエータの回転軸に連結されたピニオンギヤの回転角(ピニオン角)を検出し、検出されたピニオン角をステアリングシステム33に出力する。ステアリングシステム33は、ピニオン角を車両状態に含まれる情報の一つとしてVCIB40に出力する。また、ステアリングシステム33は、ADS11からVCIB40および統合制御マネージャ31を介して出力される所定の制御要求に従って、操舵装置に対する操舵指令を生成する。ステアリングシステム33は、生成された操舵指令を用いて操舵装置を制御する。
【0037】
パワートレーンシステム34は、複数の車輪のうちの少なくとも1つに設けられた電動パーキングブレーキ(EPB:Electric Parking Brake)システム341と、車両1のトラッスミッションに設けられたパーキングロック(P-Lock)システム342と、シフトレンジを選択可能に構成されたシフト装置(図示せず)を含む推進システム343
とを制御する。パワートレーンシステム34のより詳細な構成については図2にて説明する。
【0038】
アクティブセーフティシステム35は、カメラ54およびレーダセンサ55,56を用いて前方または後方の障害物(歩行者、自転車、駐車車両、電柱など)を検出する。アクティブセーフティシステム35は、車両1と障害物との間の距離、および、車両1の移動方向に基づいて、車両1が障害物と衝突する可能性があるかどうかを判定する。アクティブセーフティシステム35は、衝突の可能性があると判定した場合、制動力が増加するように、統合制御マネージャ31を介してブレーキシステム32に制動指令を出力する。
【0039】
ボディシステム36は、たとえば、車両1の走行状態または環境等に応じて、方向指示器、ホーン、ワイパー等の部品(いずれも図示せず)を制御するように構成されている。ボディシステム36は、ADS11からVCIB40および統合制御マネージャ31を介して出力される所定の制御要求に従って、上記の各部品を制御する。
【0040】
VCIB40は、CAN(Controller Area Network)等を通じてADS11と通信
可能に構成されている。VCIB40は、信号毎に定義された所定のAPIを実行することにより、ADS11から各種制御要求を受信したり、車両状態をADS11に出力したりする。VCIB40は、ADK202から制御要求を受信すると、その制御要求に対応する制御指令を統合制御マネージャ31を介して、その制御指令に対応するシステムに出力する。また、VCIB40は、ベース車両30の各種情報を各種システムから統合制御マネージャ31を介して取得し、ベース車両30の状態を車両状態としてADS11に出力する。
【0041】
なお、車両1は、MaaS(Mobility as a Service)システムの構成の一つとして使用され得る。MaaSシステムは、車両1に加えて、たとえば、データサーバと、モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF:Mobility Service Platform)(いず
れも図示せず)とを備える。
【0042】
MSPFとは、様々なモビリティサービスが接続される統一プラットフォームである。MSPFには、自動運転関連のモビリティサービスが接続される。MSPFには、自動運転関連のモビリティサービス以外にも、ライドシェア事業者、カーシェア事業者、レンタカー事業者、タクシー事業者、保険会社等により提供されるモビリティサービスが接続され得る。
【0043】
車両1は、データサーバと無線通信が可能なDCM(Data Communication Module)
(図示せず)をさらに備える。DCMは、たとえば、速度、位置、自動運転状態のような車両情報をデータサーバに出力する。また、DCMは、たとえば、自動運転関連のモビリティサービスにおいて車両1を含む自動運転車両の走行を管理するための各種データを、モビリティサービスからMSPFおよびデータサーバを通じて受信する。
【0044】
MSPFにおいては、ADS11の開発に必要な車両状態および車両制御の各種データを利用するためのAPIが公開されている。各種モビリティサービスは、MSPF上で公開されたAPIを用いて、MSPFが提供する様々な機能をサービス内容に応じて利用できる。たとえば自動運転関連のモビリティサービスは、MSPF上で公開されたAPIを用いて、車両1の運転制御データ、データサーバに蓄えられた情報等をMSPFから取得できる。また、自動運転関連のモビリティサービスは、上記APIを用いて、車両1を含む自動運転車両を管理するためのデータ等をMSPFへ送信できる。
【0045】
<詳細構成>
図2は、ADS11、VCIB40およびVP20の構成をより詳細に示す図である。図2に示すように、ADS11は、コンピュータ111と、HMI(Human Machine Interface)112と、認識用センサ113と、姿勢用センサ114と、センサクリーナ1
15とを含む。
【0046】
コンピュータ111は、車両1の自動運転時に各種センサ(後述)を用いて車両1の環境、ならびに、車両1の姿勢、挙動および位置を取得するとともに、VP20からVCIB40を経由して車両状態を取得して車両1の次の動作(加速、減速、曲がる等)を設定する。コンピュータ111は、次の動作を実現するための各種指令をVCIB40に出力する。コンピュータ111は、通信モジュール111A,111Bを含む。通信モジュール111A,111Bの各々は、VCIB40と通信可能に構成されている。
【0047】
HMI112は、自動運転時、ユーザ操作を要する運転時、自動運転とユーザ操作を要する運転との間の移行時などに、ユーザに情報を提示したりユーザ操作を受け付けたりする。HMI112は、たとえば、ベース車両30に設けられたタッチパネルディスプレイ等の入出力装置(図示せず)と接続されるように構成されている。
【0048】
認識用センサ113は、車両1の環境を認識するためのセンサである。認識用センサ113は、たとえばLIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)と、ミリ波
レーダと、カメラ(いずれも図示せず)とのうちの少なくとも1つを含む。LIDARは、たとえば赤外パルスのレーザ光を発し、そのレーザ光の対象物からの反射光を検出することによって対象物の距離および方向を計測する。ミリ波レーダは、ミリ波を発し、そのミリ波の対象物からの反射波を検出することによって対象物の距離および方向を計測する。カメラは、たとえばルームミラーの裏側に配置され、車両1の前方の画像を撮影する。
【0049】
姿勢用センサ114は、車両1の姿勢、挙動、位置を検出するためのセンサである。姿勢用センサ114は、たとえば、IMU(Inertial Measurement Unit)と、GPS(Global Positioning System)(いずれも図示せず)とを含む。IMUは、たとえば、車両1の前後方向、左右方向および上下方向の加速度と、車両1のロール方向、ピッチ方向およびヨー方向の角速度とを検出する。GPSは、地球の軌道上を周回する複数のGPS衛星から受信する情報を用いて車両1の位置を検出する。
【0050】
センサクリーナ115は、洗浄液、ワイパー等を用いて、車両1の走行中に上記の各種センサ(カメラのレンズ、レーザ光の照射部など)に付着する汚れを除去するように構成される。
【0051】
VCIB40は、VCIB41と、VCIB42とを含む。VCIB41,42の各々は、いずれも図示しないが、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと
、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリとを含む。メモリは、プロセッサによって実行可能なプログラムを記憶する。VCIB41と通信モジュール111Aとは相互に通信可能に接続されている。VCIB42と通信モジュール111Bとは相互に通信可能に接続されている。さらに、VCIB41とVCIB42とは相互に通信可能に接続されている。
【0052】
VCIB41,42の各々は、ADS11とVP20との間で制御要求および車両情報を中継する。より具体的には、VCIB41は、APIを用いて、ADS11からの制御要求から制御指令を生成する。ADS11からVCIB40に供給される制御要求に対応する制御指令は、たとえば、シフトレンジの切り替えを要求する推進方向指令と、EPBシステム341およびP-Lockシステム342の作動/作動解除を要求する不動指令と、車両1の加速または減速を要求する加速指令と、操舵輪のタイヤ切れ角を要求するタ
イヤ切れ角指令と、自律(Autonomus)モードとマニュアルモードとの切り替えを要求す
る自律化指令とを含む。そして、VCIB41は、生成された制御指令を、VP20に含まれる複数のシステムのうちの対応するシステムに出力する。また、VCIB41は、APIを用いて、VP20の各システムからの車両情報から車両状態を示す情報を生成する。車両状態を示す情報は、車両情報と同一の情報であってもよいし、車両情報からADS11で実行される処理に用いられる情報が抽出されたものであってもよい。VCIB41は、生成された車両状態を示す情報をADS11に出力する。VCIB42についても同様である。
【0053】
ブレーキシステム32は、ブレーキシステム321,322を含む。ステアリングシステム33は、ステアリングシステム331,332を含む。パワートレーンシステム34は、EPBシステム341と、P-Lockシステム342と、推進システム343とを含む。
【0054】
VCIB41とVCIB42とは基本的には同等の機能を有するが、VCIB41とVCIB42との間では、VP20を含まれるシステムへの接続先が一部異なっている。具体的には、VCIB41と、ブレーキシステム321と、ステアリングシステム331と、EPBシステム341と、P-Lockシステム342と、推進システム343と、ボディシステム36とは、通信バスを介して相互に通信可能に接続されている。VCIB42と、ブレーキシステム322と、ステアリングシステム332と、P-Lockシステム342とは、通信バスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0055】
このように、一部システムの動作(ブレーキ、操舵など)に関して同等の機能を有するVCIB41,42をVCIB40が含むことにより、ADS11とVP20との間の制御系統が冗長化されている。したがって、当該システムに何らかの障害が発生した場合に、適宜、制御系統を切り替えたり障害が発生した制御系統を遮断したりすることによって、VP20の機能を維持できる。
【0056】
ブレーキシステム321,322の各々は、制動装置を制御可能に構成されている。ブレーキシステム321は、ADS11からVCIB41を介して出力される制御要求に従って、制動装置に対する制動指令を生成する。ブレーキシステム322は、ADS11からVCIB42を介して出力される制御要求に従って、制動装置に対する制動指令を生成する。ブレーキシステム321とブレーキシステム322とは同等の機能を有していてもよい。あるいは、ブレーキシステム321,322のうちの一方は各車輪の制動力を独立して制御可能に構成され、他方は各車輪において同じ制動力が発生するように制御可能に構成されていてもよい。ブレーキシステム321,322は、たとえば、いずれか一方のブレーキシステムにより生成された制動指令を用いて制動装置を制御し、そのブレーキシステムに異常が発生した場合に他方のブレーキシステムにより生成された制動指令を用いて制動装置を制御してもよい。
【0057】
ステアリングシステム331,332の各々は、車両1の操舵輪の操舵角を操舵装置を用いて制御可能に構成されいてる。ステアリングシステム331は、ADS11からVCIB41を介して出力される制御要求に従って、操舵装置に対する操舵指令を生成する。ステアリングシステム332は、ADS11からVCIB42を介して出力される制御要求に従って、操舵装置に対する操舵指令を生成する。ステアリングシステム331とステアリングシステム332とは同等の機能を有していてもよい。あるいは、ステアリングシステム331,332は、たとえば、いずれか一方のステアリングシステムにより生成された操舵指令を用いて操舵装置を制御し、そのステアリングシステムに異常が発生した場合に他方のステアリングシステムにより生成された操舵指令を用いて操舵装置を制御してもよい。
【0058】
EPBシステム341は、ADS11からVCIB41を介して出力される制御要求に従ってEPBを制御する。EPBは、制動装置(ディスクブレーキシステムなど)とは別に設けられ、アクチュエータの動作によって車輪を固定する。EPBは、たとえば、複数の車輪のうちの一部に設けられたパーキングブレーキ用のドラムブレーキをアクチュエータを用いて作動させて車輪を固定したり、ブレーキシステム321,322とは別に制動装置に供給される油圧を調整可能なアクチュエータを用いて制動装置を作動させて車輪を固定したりする。
【0059】
本実施の形態において、EPBシステム341は、ブレーキホールド機能を有し、ブレーキホールドの作動と解除とを切替可能に構成されている。EPBシステム341のブレーキホールド機能については図3図5にて詳細に説明する。
【0060】
P-Lockシステム342は、ADS11からVCIB41を介して出力される制御要求に従ってP-Lock装置を制御する。P-Lockシステム342は、たとえば、制御要求がシフトレンジをパーキングレンジ(Pレンジ)にする制御要求を含む場合にP-Lock装置を作動させ、制御要求がシフトレンジをPレンジ以外にする制御要求を含む場合にP-Lock装置の作動を解除する。P-Lock装置は、車両1のトランスミッション内の回転要素に連結して設けられた歯車(ロックギヤ)の歯部に対して、アクチュエータによる位置調整が可能なパーキングロックポールの先端の突起部を嵌合させる。これにより、トランスミッションの出力軸の回転が固定され、車輪が固定される。
【0061】
推進システム343は、ADS11からVCIB41を介して出力される制御要求に従って、シフト装置のシフトレンジを切り替えたり、駆動源(モータジェネレータ、エンジンなど)からの駆動力を制御したりする。シフトレンジは、Pレンジに加えて、たとえば、ニュートラルレンジ(Nレンジ)と、前進走行レンジ(Dレンジ)と、後進走行レンジ(Rレンジ)とを含む。
【0062】
アクティブセーフティシステム35は、ブレーキシステム321と通信可能に接続されている。アクティブセーフティシステム35は、前述のとおり、カメラ54および/またはレーダセンサ55を用いて前方の障害物を検出し、衝突の可能性があると判定した場合に制動力が増加するようにブレーキシステム321に制動指令を出力する。
【0063】
ボディシステム36は、ADS11からVCIB41を介して出力される制御要求に従って、方向指示器、ホーン、ワイパー等の部品を制御する。
【0064】
車両1においては、たとえばユーザのHMI112に対する操作によって自律モードが選択された場合に自動運転が実行される。前述したように、ADS11は、自動運転中には、まず走行計画を作成する。走行計画の例としては、たとえば、直進を継続する計画、予め定められた走行経路の途中の所定の交差点で左折/右折する計画、走行車線を変更する計画などが挙げられる。ADS11は、作成された走行計画に従って、車両1が動作するために必要な制御的な物理量(加速度、減速度、タイヤ切れ角など)を算出する。ADS11は、APIの実行周期毎の物理量を分割する。ADS11は、APIを用いて、分割された物理量を表す制御要求をVCIB40に出力する。さらに、ADS11は、VP20から車両状態(車両1の実際の移動方向、車両の固定化の状態など)を取得し、取得された車両状態を反映した走行計画を再作成する。このようにして、ADS11は、車両1の自動運転を可能とする。
【0065】
<モード遷移>
図3は、車両1のモード遷移を示すステートマシンである。この例において、車両1は
、スリープモードと、2つのマニュアルモードと、1つの自動モードと、メンテナンスモードとを有する。2つのマニュアルモードとは、通常マニュアルモード、および、有人マニュアルモードである。1つの自動モードとは有人自動モードである。
【0066】
≪スリープモード≫
スリープモードとは、VCIB40を含むほどんどのシステムが停止しているモードである。起動直後のVP20(VCIB40を含む)はスリープモードである。スリープモードにおいては、ADS11は、どのような制御指令もVP20に対して出力できない。ADS11に対するVCIB40によるデバイス認証も行われていない。
【0067】
スリープモードにおいては、統合制御マネージャ31もVCIB40も停止しているため、オペレータフィードバック信号、電源モードステータス信号、および、VP自動運転状態信号は、いずれも使用されない。各信号の詳細については後述する。
【0068】
≪通常マニュアルモード≫
通常マニュアルモードとは、通常の車両(自動運転に非対応の車両)と同様のモード、すなわち、VP20がオペレータ(運転手、乗客など)の制御下にあるモードである。通常マニュアルモードでは、オペレータが車室内(VP20内)にいる場合もあるし、オペレータが車室にはいない場合もある。通常マニュアルモードは、本開示に係る「第1のマニュアルモード」に相当する。
【0069】
通常マニュアルモードにおいては、オペレータフィードバック信号=「不明」である。電源モードステータス信号=「イグニッションオン」または「ドライブモード」である。VP自動運転状態信号=「マニュアルモード」である。
【0070】
≪有人マニュアルモード≫
有人マニュアルモードとは、オペレータが車室内にいる状態でのマニュアルモードである。有人マニュアルモードでは、VCIB40が認証され、VCIB40がVP20(統合制御マネージャ31)と通信可能である。しかし、VP20は、ADS11ではなくオペレータの制御下にある。有人マニュアルモードは、本開示に係る「第2のマニュアルモード」に相当する。
【0071】
有人マニュアルモードにおいては、オペレータフィードバック信号=「有人」である。電源モードステータス信号=「イグニッションオン」または「ドライブモード」である。VP自動運転状態信号=「マニュアルモード」である。
【0072】
なお、オペレータが車室内にいるかどうかは様々な公知の手法により判断可能である。たとえば、車室内を撮影するカメラの画像を解析することで有人/無人を判断できる。カメラに代えてまたは加えて、車室内のHMI(Human Machine Interface)の操作状況
、座席に設けられた荷重センサの検出値、シートベルトの装着状況、ドアの開閉状況などを用いてもよい。
【0073】
≪有人自動モード≫
有人自動モードとは、VP20がADS11の制御下にあり、車両1の自動運転が可能なモードである。有人自動モードは、本開示に係る「自動モード」に相当する。
【0074】
有人自動モードにおいては、オペレータフィードバック信号=「有人」である。電源モードステータス信号=「ドライブモード」である。VP自動運転状態信号=「自動モード」である。
【0075】
≪メンテナンスモード≫
メンテナンスモードとは、車両1の整備のためのモードである。メンテナンスモードにおいては、車両1の移動を防ぐため、P-Lockシステム342によって車輪が固定される。また、統合制御マネージャ31は、たとえオペレータがスタートボタン(図示せず)を押下してもパワーオン要求を拒絶する。車両1がハイブリッド車両等である場合にエンジン始動(それに伴う屋内での排気ガスの発生)を防ぐためである。
【0076】
マニュアルモードを1つしか有さない車両構成も考えられる。これに対し、本実施の形態に係る車両1は、2つのマニュアルモード(通常マニュアルモードおよび有人マニュアルモード)を有する。車両1は、通常マニュアルモードから一旦、有人マニュアルモードを経由してから有人自動モードに遷移する。言い換えると、車両1は、通常マニュアルモードと有人自動モードとの間に有人マニュアルモードを介在させる。通常マニュアルモードから有人自動モードに直接遷移する場合、車室内にオペレータがいるかどうかを判断することが要求される。しかし、有人マニュアルモードを介在させることで、有人自動モードに遷移するかどうかの判断時には車室内にオペレータがいることが担保される。よって、本実施の形態によれば、マニュアルモードから自動モードへの切り替えがスムーズになり、適切なモード遷移を実現できる。
【0077】
続いて、上記5つのモード間の遷移について詳細に説明する。図4は、モード間の遷移に関連する各種信号または指令の伝送方向を示す図である。モード遷移に際し、VCIB40は、電源モード要求、オペレータ指令、自動運転要求、または、メンテナンス要求をADS11から受ける。また、VCIB40は、電源モードステータス信号、オペレータフィードバック信号、VP自動運転状態信号、VP自動運転準備信号、駆動方向ステータス信号、または、実移動方向信号をADS11に出力する。
【0078】
図5図13の各々は、モード遷移に関連する信号または指令を説明するための図である。以下、図3に示した遷移a~遷移f、遷移l、遷移mについて順に詳細に説明する。
【0079】
≪遷移a≫
スリープモードにおいて、スマートキーなどの物理キー(図示せず)が車室内に存在する状態でオペレータがスタートボタンを押下した場合に、車両1は、スリープモードから通常マニュアルモードに遷移する。
【0080】
≪遷移b≫
通常マニュアルモードにおいて、物理キーが車室内に存在する状態でオペレータがスタートボタンを押下した場合に、車両1は、通常マニュアルモードからスリープモードに遷移する。
【0081】
≪遷移c≫
通常マニュアルモードにおいて、(1)VP20(統合制御マネージャ31)によりVCIB40が認証され、かつ、(2)車室内にオペレータが存在する場合に、車両1は、通常マニュアルモードから有人マニュアルモードに遷移する。
【0082】
より具体的には、ADS11は、車室内にオペレータが存在するかどうかを表すオペレータ指令をVCIB40に出力する。VCIB40は、統合制御マネージャ31との間でオペレータ指令(またはオペレータ指令に相当する指令)のインターフェースを行う。図5に示すように、オペレータ指令は、「要求なし」、「有人」、「無人」のうちのいずれかを表す。統合制御マネージャ31は、オペレータ指令=「有人」の場合に、車室内にオペレータが存在すると判定できる。統合制御マネージャ31は、車室内におけるオペレータの有無をオペレータフィードバック信号を用いてADS11にフィードバックする(図
6参照)。なお、VP20の起動時にはオペレータフィードバック信号=「不明」である。
【0083】
≪遷移d≫
有人マニュアルモードにおいて、(1)VP20が車両電源オフ状態(ReadyOFF)に移行する場合、または、(2)物理キーが車室内に存在する状態でオペレータがスタートボタンを押下した場合に、車両1は、有人マニュアルモードからスリープモードに遷移する。
【0084】
より具体的には、ADS11は、車両1の電源モードを制御するための電源モード要求(Power Mode Request)をVCIB40に出力する。VCIB40は、統合制御マネージャ31との間で電源モード要求(または電源モード要求に相当する要求)のインターフェースを行う。図7に示すように、電源モード要求は、「要求なし」、車両電源オフ状態(ReadyOFF)を示す「スリープ」、VCIB40が起動していることを示す「ウェーク」、「イグニッションオン」、車両電源オン状態(ReadyON)を示す「ドライブモード」のうちのいずれかを表す。統合制御マネージャ31は、電源モード要求=「スリープ」である場合に、VP20を車両電源オフ状態に移行させる。
【0085】
なお、VCIB40は、統合制御マネージャ31からの信号に基づき車両1の電源モードを示す電源モードステータス信号をADS11に出力する。図8に示すように、電源モードステータス信号は、「スリープ」、「ウェーク」、「イグニッションオン」、「ドライブモード」のうちのいずれかを表す。
【0086】
≪遷移e≫
通常マニュアルモードにおいて、(1)VP20の自動運転の準備ができており、かつ、(2)ADS11からVCIB40に自動運転が要求された場合に、車両1は、通常マニュアルモードから有人自動モードに遷移する。
【0087】
より具体的には、VCIB40は、車両1が有人自動モードに遷移可能かどうかを示すVP自動運転準備信号(VP Autonomy Ready)をADS11に出力する。VP自動運転
準備信号は、統合制御マネージャ31からの信号に基づき、VCIB40によって生成される。図9に示すように、VP自動運転準備信号は、「自動運転の準備未完了(Not Ready For Autonomy)」、「自動運転の準備完了(Ready For Autonomy)」、「無効」
のうちのいずれかを表す。
【0088】
一方、ADS11は、マニュアルモードと自動モードとの間の遷移を制御する自動運転要求(Autonomy Request)をVCIB40に出力する。VCIB40は、統合制御マネ
ージャ31との間で自動運転要求(または自動運転要求に相当する要求)のインターフェースを行う。図10に示すように、自動運転要求は、「自動運転の要求なし(No Request For Autonomy)」、「自動運転の要求あり(Request For Autonomy)」、マニュアルモードへの遷移要求である「解除要求(Deactivation Request)」のうちのいずれか
を表す。なお、VP自動運転状態信号は、「マニュアルモード」および「自動モード」おうちの一方を表す(図11参照)。
【0089】
車両1は、VP自動運転準備信号=「自動運転の準備完了」であり、かつ、自動運転要求=「自動運転の要求あり」である場合に、通常マニュアルモードから有人自動モードに遷移する。
【0090】
≪遷移f≫
有人自動モードにおいて、ADS11からVCIB40を介して統合制御マネージャ3
1にマニュアルモードへの遷移が要求された場合に、車両1は、有人自動モードから通常マニュアルモードに遷移する。より具体的には、車両1は、自動運転要求=「解除要求」である場合に、有人自動モードから通常マニュアルモードに遷移する。
【0091】
≪遷移l≫
通常マニュアルモードにおいて、(1)VP20によりVCIB40が認証され、かつ、(2)VP20がイグニッションオンされており、かつ、(3)シフトレンジがPレンジであり、かつ、(4)車両1が停車しており、かつ、(5)ADS11からのメンテナンス要求ありの場合に、車両1は、通常マニュアルモードからメンテナンスモードに遷移する。
【0092】
より具体的には、VCIB40は、現在のシフトレンジを示す駆動方向ステータス信号(Propulsion Direction Status)をADS11に出力する。駆動方向ステータス信号
は、統合制御マネージャ31からの信号に基づき、VCIB40によって生成される。図12に示すように、駆動方向ステータス信号は、「Pレンジ」、「Rレンジ」、「Nレンジ」、「Dレンジ」、「Bレンジ」、「無効(シフトレンジ不定)」のうちのいずれかを表す。
【0093】
また、VCIB40は、車両1の進行方向を示す実移動方向信号(Actual Moving Direction)をADS11に出力する。実移動方向信号も統合制御マネージャ31からの信
号に基づき、VCIB40によって生成される。図13に示すように、実移動方向信号は、「前進」、「後進」、「停車(standstill)」、「未定義」のうちのいずれかを表す。「停車」を示す実移動方向信号は、4輪の速度が一定時間0である場合に出力される。
【0094】
一方、ADS11は、車両1の整備を要求する旨を示すメンテナンス要求をVCIB40に出力する。VCIB40は、統合制御マネージャ31との間でメンテナンス要求(またはメンテナンス要求に相当する要求)のインターフェースを行う。図14に示すように、メンテナンス要求は、「要求なし」、「要求あり」のうちの一方を表す。
【0095】
車両1は、駆動方向ステータス信号=「Pレンジ」であり、かつ、実移動方向信号=「停車」であり、かつ、メンテナンス要求=「要求あり」である場合に、通常マニュアルモードからメンテナンスモードに遷移する。
【0096】
≪遷移m≫
メンテナンスモードにおいて、(1)VP20がイグニッションオンされており、かつ、(2)シフトレンジがPレンジであり、かつ、(3)車両1が停車しており、かつ、(4)ADS11からのメンテナンス要求なしの場合に、車両1は、メンテナンスモードから通常マニュアルモードに遷移する。より具体的には、車両1は、駆動方向ステータス信号=「Pレンジ」であり、かつ、実移動方向信号=「停車」であり、かつ、メンテナンス要求=「要求なし」である場合に、メンテナンスモードから通常マニュアルモードに遷移する。
【0097】
以上のように、本実施の形態においては、マニュアルモードから自動モードへの遷移に有人マニュアルモードが用いられる。車両1は、通常マニュアルモードから有人マニュアルモードを経由してから有人自動モードに遷移する。通常マニュアルモードと有人自動モードとの間に有人マニュアルモードを介在させることにより、有人自動モードへの遷移の可否を判断する際には車室内にオペレータがいることが担保される。よって、本実施の形態によれば、ADS11を搭載可能な車両1において、マニュアルモードから自動モードへの切り替えがスムーズになり、適切なモード遷移を実現できる。
【0098】
また、車両1におけるメンテナンスモードへの遷移元は、通常マニュアルモードである(遷移l)。有人自動モードと異なり、メンテナンスモードでは車室内のオペレータの存在が要求されないためである。マニュアルモードが1つしか存在しない車両構成でメンテナンスモードを実現しようとした場合、当該単一のマニュアルモードから自動モードに遷移可能かを判断したり、当該単一のマニュアルモードからメンテナンスモードに遷移可能かを判断したりする条件が複雑になり、ADS11の実装が煩雑になり得る。
【0099】
これに対し、本実施の形態においては、マニュアルモードが通常マニュアルモードと有人マニュアルモードとに分けられている。これにより、通常マニュルモードとメンテナンスモードとの間の遷移(遷移l,m)の可否を判断するための条件がシンプルになるとともに、有人マニュアルモードと有人自動モードとの間の遷移(遷移e,f)の可否を判断するための条件とがシンプルになる。よって、ADS11の実装の難易度を下げることが可能になる。
【0100】
[実施例]
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
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【0160】
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【0162】
【0163】
【0164】
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【0166】
【0167】
【0168】
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
【0181】
【0182】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0183】
1 車両、10 自動運転キット(ADK)、11 自動運転システム(ADS)、111 コンピュータ、111A,111B 通信モジュール、113 認識用センサ、1
14 姿勢用センサ、115 センサクリーナ、20 車両プラットフォーム(VP)、30 ベース車両、31 統合制御マネージャ、32,321,322 ブレーキシステム、33,331,332 ステアリングシステム、34 パワートレーンシステム、341 EPB、342 P-Lockシステム、343 推進システム、35 アクティブセーフティシステム、36 ボディシステム、40~42 車両制御インターフェースボックス(VCIB)、51,52 車輪速センサ、53 ピニオン角センサ、54 カメラ、55,56 レーダセンサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-10-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転システムを搭載可能な車両プラットフォームを備え、
前記車両プラットフォームは、
統合制御マネージャ、ブレーキシステム、ステアリングシステムおよびパワートレーンシステムが搭載されたベース車両と、
前記自動運転システムとの間のインターフェースを行う車両制御インターフェースとを含み、
前記車両プラットフォームは、
前記車両プラットフォームが起動された場合に、オペレータが前記車両プラットフォーム内にいることを要求することなく第1のマニュアルモード設定
前記第1のマニュアルモードにおいて、前記オペレータが前記車両プラットフォーム内にいる場合に、前記第1のマニュアルモードから第2のマニュアルモードに遷移
前記第2のマニュアルモードにおいて、前記車両プラットフォームの自動運転の準備ができており、かつ、前記自動運転システムから前記車両制御インターフェースを介して自動運転要求を受けた場合に、前記第2のマニュアルモードから自動モードに遷移
前記第2のマニュアルモードは、前記オペレータが前記車両プラットフォーム内にいることを要求され、前記車両プラットフォームが前記オペレータの制御下にあるモードであり、
前記自動モードは、前記車両プラットフォームが前記自動運転システムの制御下にあるモードである、車両。
【請求項2】
前記車両プラットフォームは、前記自動運転システムから前記車両制御インターフェースを介して、前記自動モードの解除を要求する前記自動運転要求を受けた場合に、前記自動モードから前記第2のマニュアルモードに遷移する、請求項に記載の車両。
【請求項3】
前記車両プラットフォームは、前記車両制御インターフェース停止させるスリープモードをさらに有し、
前記車両プラットフォームは、前記自動運転システムから前記車両制御インターフェースを介して、前記車両プラットフォームのモードを制御するための電源モード要求を受けた場合に、前記第2のマニュアルモードから前記スリープモードに遷移する、請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
前記車両プラットフォームは、前記車両プラットフォームの整備のためのメンテナンスモードをさらに有し、
前記車両プラットフォームは、第1~第4の条件が成立した場合に前記第1のマニュアルモードから前記メンテナンスモードに遷移
前記第1の条件は、前記車両プラットフォームから前記車両制御インターフェースを介して前記自動運転システムに、前記車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す電源モードステータス信号が出力されたとの条件であり、
前記第2の条件は、前記車両プラットフォームから前記車両制御インターフェースを介して前記自動運転システムに、シフトレンジがPレンジであることを示す駆動方向ステータス信号が出力されたとの条件であり、
前記第3の条件は、前記車両プラットフォームから前記車両制御インターフェースを介して前記自動運転システムに、前記車両プラットフォームが停車していることを示す実移動方向信号が出力されたとの条件であり、
前記第4の条件は、前記自動運転システムから前記車両制御インターフェースを介して前記車両プラットフォームに、前記車両プラットフォームの整備を要求する旨のメンテナンス要求が出力されたとの条件である、請求項1~3のいずれか1項に記載の車両。
【請求項5】
前記車両プラットフォームは、第5~第8の条件が成立した場合に前記メンテナンスモードから前記第1のマニュアルモードに遷移
前記第5の条件は、前記車両プラットフォームから前記車両制御インターフェースを介して前記自動運転システムに、前記車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す前記電源モードステータス信号が出力されたとの条件であり、
前記第6の条件は、前記車両プラットフォームから前記車両制御インターフェースを介して前記自動運転システムに、前記シフトレンジがPレンジであることを示す前記駆動方向ステータス信号が出力されたとの条件であり、
前記第7の条件は、前記車両プラットフォームから前記車両制御インターフェースを介して前記自動運転システムに、前記車両プラットフォームが停車していることを示す前記実移動方向信号が出力されたとの条件であり、
前記第8の条件は、前記自動運転システムから前記車両制御インターフェースを介して前記車両プラットフォームに、前記車両プラットフォームの整備を要求しない旨の前記メンテナンス要求が出力されたとの条件である、請求項に記載の車両。
【請求項6】
自動運転システムと、
車両プラットフォームとを備え、
前記車両プラットフォームは、
統合制御マネージャ、ブレーキシステム、ステアリングシステムおよびパワートレーンシステムが搭載されたベース車両と、
前記自動運転システムとの間のインターフェースを行う車両制御インターフェースとを含み、
前記車両プラットフォームは、
前記車両プラットフォームが起動された場合に、オペレータが前記車両プラットフォーム内にいることを要求することなく第1のマニュアルモードを設定し、
前記第1のマニュアルモードにおいて、前記オペレータが前記車両プラットフォーム内にいる場合に、前記第1のマニュアルモードから第2のマニュアルモードに遷移し、
前記第2のマニュアルモードにおいて、前記車両プラットフォームの自動運転の準備ができており、かつ、前記自動運転システムから前記車両制御インターフェースを介して自動運転要求を受けた場合に、前記第2のマニュアルモードから自動モードに遷移し、
前記第2のマニュアルモードは、前記オペレータが前記車両プラットフォーム内にいることを要求され、前記車両プラットフォームが前記オペレータの制御下にあるモードであり、
前記自動モードは、前記車両プラットフォームが前記自動運転システムの制御下にあるモードである、車両。
【請求項7】
前記車両プラットフォームは、前記自動運転システムから前記車両制御インターフェースを介して、前記自動モードの解除を要求する前記自動運転要求を受けた場合に、前記自動モードから前記第2のマニュアルモードに遷移する、請求項6に記載の車両。
【請求項8】
前記車両プラットフォームは、前記車両制御インターフェースを停止させるスリープモードをさらに有し、
前記車両プラットフォームは、前記自動運転システムから前記車両制御インターフェースを介して、前記車両プラットフォームのモードを制御するための電源モード要求を受けた場合に、前記第2のマニュアルモードから前記スリープモードに遷移する、請求項6または7に記載の車両。
【請求項9】
前記車両プラットフォームは、前記車両プラットフォームの整備のためのメンテナンスモードをさらに有し、
前記車両プラットフォームは、第1~第4の条件が成立した場合に前記第1のマニュアルモードから前記メンテナンスモードに遷移し、
前記第1の条件は、前記車両プラットフォームから前記車両制御インターフェースを介して前記自動運転システムに、前記車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す電源モードステータス信号が出力されたとの条件であり、
前記第2の条件は、前記車両プラットフォームから前記車両制御インターフェースを介して前記自動運転システムに、シフトレンジがPレンジであることを示す駆動方向ステータス信号が出力されたとの条件であり、
前記第3の条件は、前記車両プラットフォームから前記車両制御インターフェースを介して前記自動運転システムに、前記車両プラットフォームが停車していることを示す実移動方向信号が出力されたとの条件であり、
前記第4の条件は、前記自動運転システムから前記車両制御インターフェースを介して前記車両プラットフォームに、前記車両プラットフォームの整備を要求する旨のメンテナンス要求が出力されたとの条件である、請求項6~8のいずれか1項に記載の車両。
【請求項10】
前記車両プラットフォームは、第5~第8の条件が成立した場合に前記メンテナンスモードから前記第1のマニュアルモードに遷移し、
前記第5の条件は、前記車両プラットフォームから前記車両制御インターフェースを介して前記自動運転システムに、前記車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す前記電源モードステータス信号が出力されたとの条件であり、
前記第6の条件は、前記車両プラットフォームから前記車両制御インターフェースを介して前記自動運転システムに、前記シフトレンジがPレンジであることを示す前記駆動方向ステータス信号が出力されたとの条件であり、
前記第7の条件は、前記車両プラットフォームから前記車両制御インターフェースを介して前記自動運転システムに、前記車両プラットフォームが停車していることを示す前記実移動方向信号が出力されたとの条件であり、
前記第8の条件は、前記自動運転システムから前記車両制御インターフェースを介して前記車両プラットフォームに、前記車両プラットフォームの整備を要求しない旨の前記メンテナンス要求が出力されたとの条件である、請求項9に記載の車両。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本開示は車両に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
(1)本開示のある局面に係る車両は、自動運転システムを搭載可能な車両プラットフォームを備える。車両プラットフォームは、統合制御マネージャ、ブレーキシステム、ステアリングシステムおよびパワートレーンシステムが搭載されたベース車両と、自動運転システムとの間のインターフェースを行う車両制御インターフェースとを含む。車両プラットフォームは、車両プラットフォームが起動された場合に、オペレータが車両プラットフォーム内にいることを要求することなく第1のマニュアルモードを設定し、第1のマニュアルモードにおいて、オペレータが車両プラットフォーム内にいる場合に、第1のマニュアルモードから第2のマニュアルモードに遷移し、第2のマニュアルモードにおいて、車両プラットフォームの自動運転の準備ができており、かつ、自動運転システムから車両制御インターフェースを介して自動運転要求を受けた場合に、第2のマニュアルモードから自動モードに遷移する。第2のマニュアルモードは、オペレータが車両プラットフォーム内にいることを要求され、車両プラットフォームがオペレータの制御下にあるモードである。自動モードは、車両プラットフォームが自動運転システムの制御下にあるモードである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
(2)車両プラットフォームは、自動運転システムから車両制御インターフェースを介して、自動モードの解除を要求する自動運転要求を受けた場合に、自動モードから第2のマニュアルモードに遷移する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
(3)車両プラットフォームは、車両制御インターフェースを停止させるスリープモードをさらに有する。車両プラットフォームは、自動運転システムから車両制御インターフェースを介して、車両プラットフォームのモードを制御するための電源モード要求を受けた場合に、第2のマニュアルモードからスリープモードに遷移する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
(4)車両プラットフォームは、車両プラットフォームの整備のためのメンテナンスモードをさらに有する。車両プラットフォームは、第1~第4の条件が成立した場合に第1のマニュアルモードからメンテナンスモードに遷移する。第1の条件は、車両プラットフォームから車両制御インターフェースを介して自動運転システムに、車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す電源モードステータス信号が出力されたとの条件である。第2の条件は、車両プラットフォームから車両制御インターフェースを介して自動運転システムに、シフトレンジがPレンジであることを示す駆動方向ステータス信号が出力されたとの条件である。第3の条件は、車両プラットフォームから車両制御インターフェースを介して自動運転システムに、車両プラットフォームが停車していることを示す実移動方向信号が出力されたとの条件である。第4の条件は、自動運転システムから車両制御インターフェースを介して車両プラットフォームに、車両プラットフォームの整備を要求する旨のメンテナンス要求が出力されたとの条件である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
(5)車両プラットフォームは、第5~第8の条件が成立した場合にメンテナンスモードから第1のマニュアルモードに遷移する。第5の条件は、車両プラットフォームから車両制御インターフェースを介して自動運転システムに、車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す電源モードステータス信号が出力されたとの条件である。第6の条件は、車両プラットフォームから車両制御インターフェースを介して自動運転システムに、シフトレンジがPレンジであることを示す駆動方向ステータス信号が出力されたとの条件である。第7の条件は、車両プラットフォームから車両制御インターフェースを介して自動運転システムに、車両プラットフォームが停車していることを示す実移動方向信号が出力されたとの条件である。第8の条件は、自動運転システムから車両制御インターフェースを介して車両プラットフォームに、車両プラットフォームの整備を要求しない旨のメンテナンス要求が出力されたとの条件である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
(6)本開示の他の局面に係る車両は、自動運転システムと、車両プラットフォームとを備える。車両プラットフォームは、統合制御マネージャ、ブレーキシステム、ステアリングシステムおよびパワートレーンシステムが搭載されたベース車両と、自動運転システムとの間のインターフェースを行う車両制御インターフェースとを含む。車両プラットフォームは、車両プラットフォームが起動された場合に、オペレータが車両プラットフォーム内にいることを要求することなく第1のマニュアルモードを設定し、第1のマニュアルモードにおいて、オペレータが車両プラットフォーム内にいる場合に、第1のマニュアルモードから第2のマニュアルモードに遷移し、第2のマニュアルモードにおいて、車両プラットフォームの自動運転の準備ができており、かつ、自動運転システムから車両制御インターフェースを介して自動運転要求を受けた場合に、第2のマニュアルモードから自動モードに遷移する。第2のマニュアルモードは、オペレータが車両プラットフォーム内にいることを要求され、車両プラットフォームがオペレータの制御下にあるモードである。自動モードは、車両プラットフォームが自動運転システムの制御下にあるモードである。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
(7)車両プラットフォームは、自動運転システムから車両制御インターフェースを介して、自動モードの解除を要求する自動運転要求を受けた場合に、自動モードから第2のマニュアルモードに遷移する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
(8)車両プラットフォームは、車両制御インターフェースを停止させるスリープモードをさらに有する。車両プラットフォームは、自動運転システムから車両制御インターフェースを介して、車両プラットフォームのモードを制御するための電源モード要求を受けた場合に、第2のマニュアルモードからスリープモードに遷移する。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
(9)車両プラットフォームは、車両プラットフォームの整備のためのメンテナンスモードをさらに有する。車両プラットフォームは、第1~第4の条件が成立した場合に第1のマニュアルモードからメンテナンスモードに遷移する。第1の条件は、車両プラットフォームから車両制御インターフェースを介して自動運転システムに、車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す電源モードステータス信号が出力されたとの条件である。第2の条件は、車両プラットフォームから車両制御インターフェースを介して自動運転システムに、シフトレンジがPレンジであることを示す駆動方向ステータス信号が出力されたとの条件である。第3の条件は、車両プラットフォームから車両制御インターフェースを介して自動運転システムに、車両プラットフォームが停車していることを示す実移動方向信号が出力されたとの条件である。第4の条件は、自動運転システムから車両制御インターフェースを介して車両プラットフォームに、車両プラットフォームの整備を要求する旨のメンテナンス要求が出力されたとの条件である。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
(10)車両プラットフォームは、第5~第8の条件が成立した場合にメンテナンスモードから第1のマニュアルモードに遷移する。第5の条件は、車両プラットフォームから車両制御インターフェースを介して自動運転システムに、車両プラットフォームがイグニッションオンされていることを示す電源モードステータス信号が出力されたとの条件である。第6の条件は、車両プラットフォームから車両制御インターフェースを介して自動運転システムに、シフトレンジがPレンジであることを示す駆動方向ステータス信号が出力されたとの条件である。第7の条件は、車両プラットフォームから車両制御インターフェースを介して自動運転システムに、車両プラットフォームが停車していることを示す実移動方向信号が出力されたとの条件である。第8の条件は、自動運転システムから車両制御インターフェースを介して車両プラットフォームに、車両プラットフォームの整備を要求しない旨のメンテナンス要求が出力されたとの条件である。