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特開2025-101840発送料金計算システムとそのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025101840
(43)【公開日】2025-07-08
(54)【発明の名称】発送料金計算システムとそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07B 17/02 20060101AFI20250701BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
G07B17/02
G01B11/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023218893
(22)【出願日】2023-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004510
【氏名又は名称】弁理士法人維新国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】森山 美由紀
【テーマコード(参考)】
2F065
3E127
【Fターム(参考)】
2F065AA06
2F065AA23
2F065AA24
2F065AA30
2F065AA53
2F065BB05
2F065DD03
2F065FF01
2F065FF04
2F065FF11
2F065JJ03
2F065JJ09
2F065JJ26
2F065PP01
2F065PP11
2F065QQ21
2F065QQ24
2F065QQ28
2F065QQ31
2F065UU05
3E127AA22
3E127AA23
3E127BA45
3E127CA33
3E127EA07
3E127FA15
3E127FA24
3E127FA25
(57)【要約】
【課題】郵便物や宅配物等発送物の発送料金が厚みや発送物の縦寸法・横寸法・厚み寸法を含めた外形寸法によって変動する場合でも、容易かつ高精度に計算可能な発送料金計算システム及び発送料金計算プログラムを提供する。
【解決手段】発送料金計算システム1は、発送物の宛名記載面を撮影する撮像装置11と、発送物の宛名記載面までの距離を計測する測距センサ12と、発送物の重量を測定する重量測定装置13と、撮像装置11によって撮影された画像から宛記載面の輪郭を解析し、解析された輪郭と測距センサ12によって計測された距離から発送物の輪郭と厚みを含めた外形寸法を解析し、この外形寸法と重量から発送物の送料を演算する解析装置21を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発送物の送料を演算する発送料金計算システムであって、前記発送物の宛名記載面を撮影する撮像装置と、前記発送物の宛名記載面までの距離を計測する測距センサと、前記発送物の重量を測定する重量測定装置と、前記撮像装置によって撮影された画像から前記宛名記載面の輪郭を解析し、解析された前記輪郭と前記測距センサによって計測された前記距離から前記発送物の前記輪郭の長さと厚みを含めた外形寸法を解析し、この外形寸法と前記重量から前記発送物の送料を演算する解析装置と、を有することを特徴とする発送料金計算システム。
【請求項2】
前記解析装置は、前記画像から配送事業者によって予め定められて前記発送物に付されたエリアコードを解析し、解析された前記エリアコードと前記外形寸法及び前記重量から前記発送物の送料を演算することを特徴とする請求項1に記載の発送料金計算システム。
【請求項3】
前記画像から配送事業者によって予め定められて前記発送物に付されたエリアコードと住所を解析する前記解析装置と、前記エリアコードと着地住所が紐付けされるエリアコードデータを参照して、前記エリアコードを介して前記住所と前記着地住所を照合する照合装置、又は前記住所を介して前記発送物に付された前記エリアコードと前記エリアコードデータの前記エリアコードを照合する照合装置、とを有することを特徴とする請求項1に記載の発送料金計算システム。
【請求項4】
前記画像から住所を解析する前記解析装置と、前記エリアコードと着地住所が紐付けされるエリアコードデータを参照して、前記エリアコードを介して前記住所と前記着地住所を照合する照合装置、又は前記住所を介して前記発送物に付された前記エリアコードと前記エリアコードデータの前記エリアコードを照合する照合装置、とを有することを特徴とする請求項2に記載の発送料金計算システム。
【請求項5】
前記画像から宛名と住所を解析する前記解析装置と、顧客住所と顧客名又は顧客名称が紐付けされる顧客リストを参照して、前記発送物に付された前記宛名を介して前記住所と前記顧客住所を照合する照合装置、又は前記発送物に付された前記住所を介して前記宛名と前記顧客名又は顧客名称を照合する照合装置、とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発送料金計算システム。
【請求項6】
前記解析装置は、前記画像から前記発送物に付された発送種別を解析し、この発送種別を加味して前記発送物の送料を演算することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の発送料金計算システム。
【請求項7】
コンピュータによって、発送物の送料を演算するために実行される発送料金計算プログラムであって、前記発送物の宛名記載面を撮影する撮像工程と、前記発送物の宛名記載面までの距離を計測する測距工程と、前記発送物の重量を測定する重量測定工程と、前記撮像工程によって撮影された画像から前記宛名記載面の輪郭を抽出し、抽出された前記輪郭と前記測距工程で計測された前記距離から前記発送物の前記輪郭の長さと厚みを含めた外形寸法を解析する外形寸法解析工程と、前記外形寸法と前記重量から前記発送物の送料を演算する送料演算工程と、を実行させることを特徴とする発送料金計算プログラム。
【請求項8】
前記画像から配送事業者によって予め定められて前記発送物に付されたエリアコードを解析するエリアコード解析工程を有し、前記送料演算工程は、解析された前記エリアコードと前記外形寸法及び前記重量から前記発送物の送料を演算することを特徴とする請求項7に記載の発送料金計算プログラム。
【請求項9】
前記画像から配送事業者によって予め定められて前記発送物に付されたエリアコードを解析するエリアコード解析工程と、前記画像から前記発送物に付された住所を解析する住所解析工程と、を有し、前記エリアコードと着地住所が紐付けされるエリアコードデータを参照して、前記エリアコードを介して前記住所と前記着地住所を照合するエリアコード・住所照合工程、又は前記住所を介して前記発送物に付された前記エリアコードと前記エリアコードデータの前記エリアコードを照合するエリアコード・住所照合工程、を有することを特徴とする請求項7に記載の発送料金計算プログラム。
【請求項10】
前記画像から前記発送物に付された住所を解析する住所解析工程を有し、前記エリアコードと着地住所が紐付けされるエリアコードデータを参照して、前記エリアコードを介して前記住所と前記着地住所を照合するエリアコード・住所照合工程、又は前記住所を介して前記発送物に付された前記エリアコードと前記エリアコードデータの前記エリアコードを照合するエリアコード・住所照合工程、を有することを特徴とする請求項8に記載の発送料金計算プログラム。
【請求項11】
前記画像から前記発送物に付された宛名を解析する宛名解析工程と、前記画像から前記発送物に付された住所を解析する住所解析工程と、を有し、顧客住所と顧客名又は顧客名称が紐付けされる顧客リストを参照して、前記発送物に付された前記宛名を介して前記住所と前記顧客住所を照合する顧客照合工程、又は前記発送物に付された前記住所を介して前記宛名と前記顧客名又は顧客名称を照合する顧客照合工程、を有することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の発送料金計算プログラム。
【請求項12】
前記画像から前記発送物に付された発送種別を解析する発送種別解析工程を有し、前記送料演算工程は、この発送種別を加味して前記発送物の送料を演算することを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の発送料金計算プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、郵便物や宅配物等の発送物の発送料金を演算する発送料金計算システムとそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、郵便料金を判定する装置は数多く発明されており、例えば特許文献1には「秤による料金判定装置」という名称で、電子秤の秤皿に郵便物の直交する2辺を位置決めするガイド部を有した傾斜置台を取付け、郵便物をガイド部に沿って立て掛けるようにして置き、その傾斜置台の複数箇所に発光素子からの光を受光素子にまで透過させる複数の孔が形成されており、その複数の孔において、郵便物によって光が遮断されているか否かの組合せによって郵便物の形状が定形であるか定形外であるかを判定して、同時に電子秤によって郵便物の重量を計測し、その結果から郵便物の料金判定を行う発明が開示されている。
また、特許文献2には「配送システム」という名称で、携帯端末機に測定手段と重力センサーを備え、携帯端末機を用いて荷物の長さを測り、また、携帯端末機の先端に重量センサーを設置することで荷物底面の4辺における重力を測定したり、重力センサーに圧電ケーブルセンサーを用いることにより、変形に応じた電圧を出力でき、ケーブルのどの部分でも重量を計量することができる発明が開示されている。そして、この発明では、運送会社の料金データを携帯端末機にダウンロードし、測定された荷物の長さと重量とから、配送に要する料金を料金算出手段から算出することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-339659号公報
【特許文献2】特開2006-240807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される発明は、郵便物の厚みについて測定するものではなく、厚みや荷物の縦寸法・横寸法・厚み寸法を含めた外形寸法によって変動する郵便料金や宅配料金を判定することができないという課題があった。
また、特許文献2に開示される発明では、携帯端末機を用いることを前提としていることから、荷物の寸法測定時や重量測定時に高い精度を要求できない可能性が高いという課題があった。
また、これらの文献に開示された発明では、宛先の住所によって変動する発送料金や郵便種別によって変動する郵便料金に対応できないという課題もあった。
さらに、郵便物や宅配物等の発送物に記載された郵便番号のようなエリアコードと住所が一致しているか否かを照合することができないという課題や、同じく発送物に記載された住所と宛先が顧客データと一致しているか否かを照合することができないという課題があった。
【0005】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、郵便物や宅配物等発送物の発送料金が厚みや発送物の縦寸法・横寸法・厚み寸法を含めた外形寸法によって変動する場合でも、容易かつ高精度に計算可能な発送料金計算システム及び発送料金計算プログラムを提供することを目的としている。
また、宛先の住所や発送種別によって変動する発送料金に容易に対応できる発送料金計算システム及び発送料金計算プログラムを提供することも目的としている。
加えて、発送物に記載されたエリアコードと住所、あるいは発送物に記載された住所と宛先が顧客データと一致しているか否かを照合することが可能な発送料金計算システム及び発送料金計算プログラムを提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、第1の発明である発送料金計算システムは、発送物の送料を演算する発送料金計算システムであって、前記発送物の宛名記載面を撮影する撮像装置と、前記発送物の宛名記載面までの距離を計測する測距センサと、前記発送物の重量を測定する重量測定装置と、前記撮像装置によって撮影された画像から前記宛名記載面の輪郭を解析し、解析された前記輪郭と前記測距センサによって計測された前記距離から前記発送物の前記輪郭の長さと厚みを含めた外形寸法を解析し、この外形寸法と前記重量から前記発送物の送料を演算する解析装置と、を有することを特徴とするものである。
【0007】
また、第2の発明である発送料金計算システムは、第1の発明において、前記解析装置は、前記画像から配送事業者によって予め定められて前記発送物に付されたエリアコードを解析し、解析された前記エリアコードと前記外形寸法及び前記重量から前記発送物の送料を演算することを特徴とするものである。
【0008】
第3の発明である発送料金計算システムは、第1の発明において、前記画像から配送事業者によって予め定められて前記発送物に付されたエリアコードと住所を解析する前記解析装置と、前記エリアコードと着地住所が紐付けされるエリアコードデータを参照して、前記エリアコードを介して前記住所と前記着地住所を照合する照合装置、又は前記住所を介して前記発送物に付された前記エリアコードと前記エリアコードデータの前記エリアコードを照合する照合装置、とを有することを特徴とするものである。
【0009】
第4の発明である発送料金計算システムは、第2の発明において、前記画像から住所を解析する前記解析装置と、前記エリアコードと着地住所が紐付けされるエリアコードデータを参照して、前記エリアコードを介して前記住所と前記着地住所を照合する照合装置、又は前記住所を介して前記発送物に付された前記エリアコードと前記エリアコードデータの前記エリアコードを照合する照合装置、とを有することを特徴とするものである。
【0010】
第5の発明である発送料金計算システムは、第1又は第2の発明において、前記画像から宛名と住所を解析する前記解析装置と、顧客住所と顧客名又は顧客名称が紐付けされる顧客リストを参照して、前記発送物に付された前記宛名を介して前記住所と前記顧客住所を照合する照合装置、又は前記発送物に付された前記住所を介して前記宛名と前記顧客名又は顧客名称を照合する照合装置、とを有することを特徴とするものである。
【0011】
第6の発明である発送料金計算システムは、第1乃至第4の発明のいずれか1つの発明において、前記解析装置は、前記画像から前記発送物に付された発送種別を解析し、この発送種別を加味して前記発送物の送料を演算することを特徴とするものである。
【0012】
第7の発明である発送料金計算プログラムは、コンピュータによって、発送物の送料を演算するために実行される発送料金計算プログラムであって、前記発送物の宛名記載面を撮影する撮像工程と、前記発送物の宛名記載面までの距離を計測する測距工程と、前記発送物の重量を測定する重量測定工程と、前記撮像工程によって撮影された画像から前記宛名記載面の輪郭を抽出し、抽出された前記輪郭と前記測距工程で計測された前記距離から前記発送物の前記輪郭の長さと厚みを含めた外形寸法を解析する外形寸法解析工程と、前記外形寸法と前記重量から前記発送物の送料を演算する送料演算工程と、を実行させることを特徴とするものである。
【0013】
第8の発明である発送料金計算プログラムは、第7の発明において、前記画像から配送事業者によって予め定められて前記発送物に付されたエリアコードを解析するエリアコード解析工程を有し、前記送料演算工程は、解析された前記エリアコードと前記外形寸法及び前記重量から前記発送物の送料を演算することを特徴とするものである。
【0014】
第9の発明である発送料金計算プログラムは、第7の発明において、前記画像から配送事業者によって予め定められて前記発送物に付されたエリアコードを解析するエリアコード解析工程と、前記画像から前記発送物に付された住所を解析する住所解析工程と、を有し、前記エリアコードと着地住所が紐付けされるエリアコードデータを参照して、前記エリアコードを介して前記住所と前記着地住所を照合するエリアコード・住所照合工程、又は前記住所を介して前記発送物に付された前記エリアコードと前記エリアコードデータの前記エリアコードを照合するエリアコード・住所照合工程、を有することを特徴とするものである。
【0015】
第10の発明である発送料金計算プログラムは、第8の発明において、前記画像から前記発送物に付された住所を解析する住所解析工程を有し、前記エリアコードと着地住所が紐付けされるエリアコードデータを参照して、前記エリアコードを介して前記住所と前記着地住所を照合するエリアコード・住所照合工程、又は前記住所を介して前記発送物に付された前記エリアコードと前記エリアコードデータの前記エリアコードを照合するエリアコード・住所照合工程、を有することを特徴とするものである。
【0016】
第11の発明である発送料金計算プログラムは、第7又は第8の発明において、前記画像から前記発送物に付された宛名を解析する宛名解析工程と、前記画像から前記発送物に付された住所を解析する住所解析工程と、を有し、顧客住所と顧客名又は顧客名称が紐付けされる顧客リストを参照して、前記発送物に付された前記宛名を介して前記住所と前記顧客住所を照合する顧客照合工程、又は前記発送物に付された前記住所を介して前記宛名と前記顧客名又は顧客名称を照合する顧客照合工程を有することを特徴とするのである。
【0017】
第12の発明である発送料金計算プログラムは、第7乃至第10のいずれか1つの発明において、前記画像から前記発送物に付された発送種別を解析する発送種別解析工程を有し、前記送料演算工程は、この発送種別を加味して前記発送物の送料を演算することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明である発送料金計算システムでは、宛名記載面の画像のみならず、宛名記載面までの距離を計測することで、発送物の厚さが変動しても画像の輪郭の縦・横寸法が高精度で解析可能である。また、発送物がない状態での距離を予め求めておくことで発送物の厚みを演算することも可能であり、発送物の縦寸法・横寸法・厚み寸法、すなわち外形寸法を得ることが可能である。
そして、重量が重量測定装置によって測定され、発送物の縦寸法・横寸法に厚み寸法も含めた外形寸法と重量で発送料金が決定される料金システムの発送料金を演算することが可能である。
【0019】
第2の発明である発送料金計算システムでは、第1の発明において、さらに解析装置が画像から発送物に付されたエリアコードを解析するので、エリアコードによっても発送料金が決定される料金システムに対しても適応することが可能である。
【0020】
第3の発明である発送料金計算システムでは、第1の発明において、さらに解析装置が画像から発送物に付されたエリアコードと住所を解析して、エリアコードと着地住所が紐付けされるエリアコードデータを参照して、エリアコードを介して住所と着地住所を、あるいは住所を介して発送物に付されたエリアコードとエリアコードデータのエリアコードを照合することができる。すなわち、発送物に付されたエリアコードと住所が配送事業者が予め定めたエリアコードと着地住所に対して整合性を有しているか否かを判定することが可能である。
【0021】
第4の発明である発送料金計算システムでは、第2の発明において、さらに解析装置が画像から発送物に付された住所を解析することで、第3の発明と同様の効果を発揮することができる。
【0022】
第5の発明である発送料金計算システムでは、第1又は第2の発明において、さらに解析装置が画像から発送物に付された宛名と住所を解析して、顧客リストを参照して、宛名を介して住所と顧客住所を、あるいは住所を介して宛名と顧客名又は顧客名称を照合することができる。すなわち、発送物に付された宛名と住所が顧客リストに示された顧客名又は顧客名称に対して整合性を有しているか否かを判定することが可能である。
【0023】
第6の発明である発送料金計算システムでは、第1乃至第4のいずれか1つの発明において、さらに解析装置が画像から発送物に付された発送種別を解析し、この発送種別を加味して発送料金を演算することができる。例えば、通常よりも速く配送されるサービスや配達の過程を記録するサービス等を受ける発送物についてもその発送種別を宛名記載面に表示しておくことで、容易に追加料金を加味して発送料金を演算することが可能である。
【0024】
第7乃至第12の発明である発送料金計算プログラムは、それぞれ第1乃至第6の発明である発送料金計算システムをプログラム発明として捉えたものであるので、その効果はそれぞれ第1乃至第6の発送料金計算システムと同様である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】発送物として郵便物を例とした本実施の形態に係る発送料金計算システムの構成概念図である。
図2】発送物として宅配物を例とした本実施の形態に係る発送料金計算システムの構成概念図である。
図3】本実施の形態に係る発送料金計算システムのブロック図である。
図4】本発明の実施の形態に係る発送料金計算システムによって実行される発送料金演算のフロー図である。
図5】発送物としての郵便物を示す概念図である。
図6】発送物としての宅配物を示す概念図である。
図7】発送料金計算システムの撮像装置によって発送物の宛名記載面を撮像する際に測距センサを用いることを説明するための概念図である。
図8】発送料金計算システムによって得られる発送物データの内容を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施の形態に係る発送料金計算システムについて図1図8を参照しながら説明する。本実施の形態では、主として発送物として郵便物を使用した場合と宅配物を使用した場合について説明するが、発送物を限定するものではない。
図1は、発送物として郵便物を例とした本実施の形態に係る発送料金計算システムの構成概念図であり、図2は同様に宅配物を例とした構成概念図である。
図1に示されるとおり、発送料金計算システム1は計測面2を備えた台座3を有しており、台座3に固定された支柱8を介して設置される支持プレート9が設けられている。また、この支持プレート9の下面にはポート10を介して撮像装置11と測距センサ12が備えられている。撮像装置11としては、CCD(電荷結合素子)やCOMS(相補性金属酸化膜半導体)等の素子を用いたものが考えられる。また、測距センサ12としては、光の位相差を用いたものや、電波や超音波の送信と受信の時間差(タイムオブフライト)を用いたもの等一般的な原理を採用したセンサを採用することができる。さらに、撮像装置11と測距センサ12を兼ね備えた装置やセンサを用いてもよい。その場合は撮像装置11はその装置やセンサの撮像機能部、測距センサ12はその装置やセンサの測距機能部として捉えることが可能である。
【0027】
図1では発送物として郵便物15aが宛名19の記載面を上にした状態で計測面2上に載置されている。郵便物15aには、エリアコード16として郵便番号が表示され、発送物の発送目的によっては発送種別17として速達や簡易書留あるいは書留などの郵送種別が表示される。また、受取人の顧客等の住所18又は居所、加えて法人名や団体名あるいは個人名等の宛名19が表示されている。なお、本願における「顧客」とは発送物の発送先の個人、法人、諸団体を含む概念である。
また、台座3上には電源スイッチ4、郵便モードスイッチ5、宅配便モードスイッチ6及び表示装置7が設けられている。郵便モードスイッチ5は郵便事業者によって配送される発送物の場合に用いられ、宅配便モードスイッチ6は宅配事業者によって配送される発送物の場合に用いられるスイッチである。料金体系が異なる配送事業者に対応するためのものである。
さらに、台座3の内部には、図3を参照しながら詳細に説明するが、発送料金計算システム1において送料(発送料金)を演算するための重量測定装置や解析装置さらに照合装置、そして種々のデータベースが格納されている。
【0028】
図1において、測距センサ12は郵便物15aを載置していない状態で測距センサ12と計測面2との距離Hを計測可能であると共に、郵便物15aを載置した場合には測距センサ12と郵便物15aの宛名19の記載面との距離hを計測可能である。したがって、この郵便物15aの厚みTは以下の式(1)で求めることが可能である。
T=H-h (1)
なお、距離Hは郵便物15aを計測面2に載置する前に電源スイッチ4を入れた際に自動的に計測するようにしておいたり、あるいは発送料金計算システム1を使用する度に毎回計測せずとも、最初に使用する際に計測して距離Hを求めておいて、その距離Hを次回から自動で用いて距離hを求めるようにしておいてもよい。
そして、表示装置7は測距センサ12によって計測された距離Hや距離h、重量測定装置で測定された郵便物15aの重量、さらに解析装置で解析された解析結果や演算された送料等が表示される。
【0029】
次に、図2を参照しながら宅配物を例とした発送料金計算システム1の構成について説明を加える。なお、図1と同一の構成については同一の符号を付してその説明は省略する。
図2においては、図1での郵便物15aに代えて宅配物15bが計測面2に載置されている。宅配物15bは、一般的に封書ではなく荷物が取り扱われるので、荷造り紐20や荷造りのためのテープ等で保護されることが多い。また、郵便番号を活用したエリアコード16や受取人の顧客等の住所18、宛名19も同様に表示されている。但し、宅配物15bの場合には発送種別17のような発送目的に沿った種別がない場合も多いので、図2に示す宅配物15bでは表示されていないが、宅配物15bにも発送種別17のような種別を表す表示があっても郵便物15aと同様に発送料金計算システム1を利用することが可能である。
【0030】
次に、図3乃至図7も参照しながら、本実施の形態に係る発送料金計算システム1について説明する。
図3は本実施の形態に係る発送料金計算システムのブロック図であり、図4は本発明の実施の形態に係る発送料金計算システムによって実行される発送料金演算のフロー図である。この図4は、本願発明の発送料金計算プログラムに対してはその実行工程を表すものでもあり、この図を参照しながら発送料金計算システムにおける種々の解析、発送料金の演算の流れや照合の流れを説明することはコンピュータを用いた発送料金計算プログラムの実施の形態について説明することと同義である。
なお、図4において、「S」で示す工程に関する記載から引き出し線を用いて示した符号や工程に関する記載を覆うようにした破線に符号付きの引き出し線を備えて接続される図形は図1に示される発送料金計算システムの構成要素であり、それらの符号を同一としている。
【0031】
図3において、発送料金計算システム1は、図1で説明した撮像装置11、測距センサ12及び表示装置7の他、重量測定装置13、入力装置14a、出力装置14b、解析装置21、照合装置29及びデータベース群から構成されている。図1,2を参照しながら説明した構成要素以外、例えば重量測定装置13、入力装置14a、出力装置14b、解析装置21及び照合装置29及びデータベース群は台座3内部に格納されている。
この発送料金計算システム1は、コンピュータサーバ内でそれぞれの機能を発揮し得る演算回路や記憶装置を備えたシステムを想定することができる。
入力装置14aはデータ受信部として機能し、発送料金計算システム1の利用者や管理者がデータベース群に予めデータ入力する際等に利用するキーボード、マウス、ペンタブレット、光学式の読取り装置等が相当する。
重量測定装置13は発送物である郵便物15aや宅配物15bが計測面2上に載置された際にその重量を測定する機能を有する。重量測定装置13には一般的なロードセルを用いることができる。
また、出力装置14bとしては、表示装置7とは異なるディスプレイ装置や情報通信ネットワークへの送信装置やデータ送信部として他の装置へデータを転送するトランスミッタのようなものが考えられる。すなわち、図3の構成要素が一体でなくとも入力装置14aと出力装置14bを分離して別体に設けて、有線又は無線でデータや情報を解析装置21や照合装置29あるいはデータベース群との間で送受信するシステム構成とすることも可能である。
【0032】
次に、解析装置21は解析モード切替部22、外形寸法解析部23、エリアコード解析部24、住所解析部25、宛名解析部26、発送種別解析部27及び送料演算部28を備えて、郵便物15aや宅配物15b等の発送物の宛名19の記載面を撮像装置11で撮影し、得られた画像を解析したり、画像と重量測定装置13で測定された発送物の重量を用いて発送物の送料を演算する装置である。なお、本願発明の実施の形態では、解析モード切替部22、外形寸法解析部23あるいはエリアコード解析部24等、「部」という語を含んだ構成要素を採用しているが、この「部」とは、手段あるいは機能を意味し、具体的な構成要素としては、特定の動作を実行するための「素子」や「電子回路」、あるいは「構成物のユニット」又は「それらが集合した装置」であり、これらを概念化して「部」として示すものである。
【0033】
照合装置29はエリアコード・住所照合部30、顧客照合部31及び発送先照合部32を備えて、発送物の宛名記載面に表示された内容について、エリアコード16と住所18の記載に整合性があるか、顧客リストとの整合性があるか、発送先リストとの整合性があるか等の照合を行う装置である。
【0034】
データベース群としては、撮像装置11で撮影された発送物の宛名記載面の撮像データ36、測距センサ12によって計測された計測面2までの距離H及び発送物の宛名記載面までの距離hに関する測距データ37及び重量測定装置13によって測定された発送物の重量データ38を読み出し可能に格納する計測データベース35がある。また、郵便物15aに対する郵便料金データ40及び宅配物15bに対する宅配便料金データ41を読み出し可能に格納する料金データベース39があり、この料金データベース39と計測データベース35は解析装置21に接続されている。
【0035】
また、郵便番号等のように発送物の配送時に振り分けるために配送エリア毎に配送事業者によって予め定められたエリアコードデータ43を読み出し可能に格納する物流データベース42、発送料金計算システム1のユーザーの顧客リスト45を読み出し可能に格納する顧客データベース44は照合装置29に接続されている。さらに、予め発送物の発送先をまとめた発送先リスト47と発送物の宛名記載面と重量の解析によって得られた発送物データ48を読み出し可能に格納する発送物データベース46は解析装置21と照合装置29の両方に接続されている。
なお、照合装置29と解析装置21は互いに接続されているので、データベース群は図3に示されている接続状態の他、いずれに接続されてもよい。また、これらのデータベース群へ格納されるデータ、例えば郵便料金データ40、宅配便料金データ41及びエリアコードデータ43や、リスト、例えば顧客リスト45や発送先リスト47は入力装置14aを介して解析装置21や照合装置29から入力可能であり、出力装置14bを介して外部装置やネットワークに対して出力することが可能である。
【0036】
以下、図4も参照しながら、発送料金計算システム1における解析や演算の流れを説明しつつ、発送料金計算システム1の構成要素についても詳細に説明を加える。
図4において、発送料金計算システム1の電源スイッチ4をオンにすることで「START」となる。
ステップS1は測距センサ12による計測面2までの距離Hの計測工程である。測距センサ12は計測した距離Hを表示装置7を介して表示させ、測距データ37として計測データベース35に読み出し可能に格納する。なお、このステップS1は距離Hを既知の距離として予め測距データ37として計測データベース35に格納されている場合や外形寸法解析部23等に格納されている場合には不要である。
ステップS2は使用者が台座3の計測面2に発送物を載置する工程である。その後、ステップS3は解析モードの選択工程である。郵便物15aあるいは宅配物15b等発送物の配送事業者が異なる場合に配送事業者が用いる料金体系によって発送料金を演算する必要がある。そこで、本実施の形態では、解析装置21の解析モード切替部22が、郵便モードスイッチ5と宅配便モードスイッチ6からの信号入力を受けて郵便モードと宅配便モードを切替える機能を備えている。郵便モードは郵便物15aの送料を料金データベース39の郵便料金データ40を参照しながら計算するモードであり、宅配便モードは宅配物15bの送料を宅配便料金データ41を参照しながら送料を計算するモードである。なお、郵便モードスイッチ5及び宅配便モードスイッチ6はそれぞれスイッチを押されると液晶やランプ等で発色するようにして、あるいは解析モード切替部22が選択されているモードを表示装置7に表示させるようにして、選択されていることを明確化するとよい。
【0037】
ここで、図5及び図6を参照しながら、郵便物15aと宅配物15bについて説明を追加する。図5図6はそれぞれ発送物としての郵便物と宅配物を示す概念図である。
図5において、郵便物15aは一般的に封筒に書面等を封入し、エリアコード16として郵便番号、必要に応じて「速達」、「書留」又は「簡易書留」等の発送種別17を表示し、法人を含む諸団体あるいは個人の顧客等の住所18又は居所、そしてその宛名19を表示して発送されるものである。本実施の形態においては発送料金の計算を行うため、便宜的に封筒の縦寸法をL、横寸法をWとして説明する。
図6の宅配物15bにおいても同様にエリアコード16、住所18及び宛名19が表示されているが、一般的に宅配物15bでは発送種別17が表示されないので本図では割愛しているが表示されてもよい。また、宅配物15bは一般的に厚みのある荷物であることが多いので荷造り紐20等で包装を保護している。郵便物15aと同様に縦寸法をL、横寸法をWとする。
【0038】
図4に戻って、ステップS4は郵便物15aや宅配物15b等の発送物の宛名記載面を撮像装置11が撮影する工程、すなわち撮像工程であり、ステップS5は測距センサ12が宛名記載面までの距離を測定する工程、すなわち測距工程である。撮像装置11は撮影によって得られた画像を撮像データ36として、測距センサ12は計測によって得られた距離hを測距データ37として、それぞれ計測データベース35に読み出し可能に格納する。また、撮像装置11は得られた画像を、測距センサ12は計測された距離hをそれぞれ表示装置7を介して表示させる。
また、ステップS6は重量測定装置13が発送物の重量を測定する重量測定工程である。重量測定装置13は測定によって得られた重量値を表示装置7を介して表示させると共に、重量値を重量データ38として読み出し可能に計測データベース35に格納する。
【0039】
次に、ステップS7は、外形寸法解析部23が計測データベース35から撮像装置11で撮影された発送物の宛名記載面の撮像データ36及び測距データ37を読み出して、撮像データ36である画像の輪郭を抽出し、測距データ37である距離Hと距離hを用いながら輪郭の長さ及び発送物の厚みを含む外形寸法を解析する外形寸法解析工程である。外形寸法解析部23は、宛名名記載面の画像から発送物の輪郭を抽出しその長さ(寸法)を解析する機能及び発送物の厚みTを解析する機能を備えている。その際には測距センサ12で計測された発送物の宛名記載面までの距離h及び計測面2までの距離Hを参照する。
図7を参照しながら、具体的に外形寸法解析部23による外形寸法の解析について説明する。図7は発送料金計算システムの撮像装置によって発送物の宛名記載面を撮像する際に測距センサを用いることを説明するための概念図である。
【0040】
図7において、撮像装置11によって撮影された発送物である郵便物15aや宅配物15bには発送物の厚みTがあり、しかもその厚みTは発送物によって変動するため、常に同じ位置に存在している撮像装置11から撮影される画像を解析する場合には、その画像が撮像装置11からどの程度離れているかを加味しなければ正確に輪郭の寸法、すなわち、縦寸法Lと横寸法Wを解析することができない。例えば、図7に示すとおり、郵便物15aや宅配物15bの実際の縦寸法Lは、撮像装置11によって撮影された画像に対して発送物の厚みTを考慮しなければ、見かけ上計測面2上の長さLvとして把握されてしまう可能性がある。すなわち、発送物の輪郭の寸法を精度良く解析するためには、測距センサ12によって距離Hと距離hを正確に測定しておく必要がある。
外形寸法解析部23では、予め撮像装置11によって距離Hにある計測面2を撮影し、撮影された画像における撮像装置11の1画素に対応する計測面2上の長さfを解析や計算から求めておき、ステップS5で予め測距センサ12によって計測された距離hを用いながら、画像において輪郭を構成している発送物の輪郭を構成する画素数に対して、距離hと距離Hの比と長さfを乗ずる換算等から輪郭寸法として縦寸法L及び横寸法Wを解析する。解析された縦寸法Lと横寸法Wは、外形寸法解析部23によって発送物データ48として読み出し可能に発送物データベース46に格納され、表示装置7に表示される。なお、長さfは測距センサ12が入力装置14aを介して測距データ37として計測データベース35に読み出し可能に格納しておく。
【0041】
そして、外形寸法解析部23は計測データベース35から距離Hと距離hに関する測距データ37を読み出し、式(1)に基づいて発送物の厚みTを演算する。但し、封筒に書面が1枚程度の場合には厚みが1,2mm程度であり、この程度の厚みが発送料金に大きく影響があるとは考えられないので一定以下の厚みであれば0mmとして取り扱ってもよい。外形寸法解析部23は、この厚みTも発送物データ48として発送物データベース46に読み出し可能に格納し、表示装置7に表示する。
さらに、外形寸法解析部23は外径寸法として発送物の封筒の種別も解析することが可能である。例えば、定形の封筒である長形3号(120mm×235mm)、定形外の封筒である角形2号(240mm×332mm)等一般的に国内で使用される封筒のサイズ(規格)に関するデータを外形寸法解析部23自身に格納しており、この封筒サイズデータを参照しながら封筒の規格を解析し、これも外形寸法のデータの一部に加えて発送物データ48として発送物データベース46に読み出し可能に格納し、表示装置7に表示する。また、宅配物15bの場合は縦、横、厚みの寸法和も外径寸法のデータの一部に加えて発送物データ48として発送物データベース46に読み出し可能に格納し、表示装置7に表示する。
【0042】
次に、ステップS8は、エリアコード解析部24が計測データベース35から撮像装置11で撮影された発送物の宛名記載面の撮像データ36を読み出して、エリアコード16の文字を解析するエリアコード解析工程である。解析されたエリアコード16はエリアコード解析部24によって発送物データ48として読み出し可能に発送物データベース46に格納され、表示装置7に表示される。
ステップS9は、住所解析部25が計測データベース35から撮像装置11で撮影された発送物の宛名記載面の撮像データ36を読み出して、住所18の文字を解析する住所解析工程である。解析された住所18は住所解析部25によって発送物データ48として読み出し可能に発送物データベース46に格納され、表示装置7に表示される。
ステップS10は、宛名解析部26が計測データベース35から撮像装置11で撮影された発送物の宛名記載面の撮像データ36を読み出して、宛名19の文字を解析する宛名解析工程である。解析された宛名19は宛名解析部26によって発送物データ48として読み出し可能に発送物データベース46に格納され、表示装置7に表示される。
【0043】
ステップS11は、発送種別解析部27が計測データベース35から撮像装置11で撮影された発送物の宛名記載面の撮像データ36を読み出して、発送種別17の文字を解析する発送種別解析工程である。解析された発送種別17は発送種別解析部27によって発送物データ48として読み出し可能に発送物データベース46に格納され、表示装置7に表示される。
さらに、発送種別解析部27は発送物データベース46から外形寸法(L.W,T)に関する発送物データ48、計測データベース35から重量データ38を読み出して、発送物の宛名記載面に表示されている発送種別17以外の発送の種別について解析する。具体的には、郵便モードにおける定形内、定形外規格内、定形外規格外等である。この解析では料金データベース39から表1に示されるような郵便料金データ40を読み出し参照して解析を行い、発送種別17以外の発送の種別についても発送種別解析部27によって発送物データ48として発送物データベース46に格納され、表示装置7に表示される。
なお、定形とは縦(長辺)14~23.5cm、横(短辺)9~12cm、厚み1cm、重量50g定形外規格内とは、縦(長辺)34cm以内、横(短辺)25cm以内、厚み3cm以内及び重量1kg以内を指し、これらの数値から外れ、縦(長辺)が60cm以内で縦と横と厚みを合わせて90cm以内が定形外規格外となるので、これらのデータも郵便料金データ40に含めておく。これらの寸法は現行の数値であり、法律や規則の変更によって変動する可能性があるので、その場合は適宜郵便料金データ40を修正する。
なお、宅配便モードの場合は発送種別17が表示されることがほとんどないと考えられるので、ステップS11はスキップしてもよいし、宅配便モードでも発送種別が存在するような場合には、それに対応して発送種別解析部27が解析するようにしてもよい。
【0044】
ステップS12は、送料演算部28が、計測データベース35から重量測定装置13によって測定された重量データ38と、発送物データベース46から外形寸法解析部23によって発送物データ48として格納された外形寸法、すなわち、縦寸法L、横寸法W及び厚みTとを読み出して、これらを用いて発送物の送料を演算する送料演算工程である。演算に際しては、発送物が郵便物15aの場合には表1に示されるような郵便料金データ40を、宅配物15bの場合には表2に示されるような宅配便料金データ41を読み出し、重量と外形寸法に対応する発送料金として演算する。
また、送料演算部28は、ステップS11で発送種別解析部27によって解析された発送種別17及び発送種別17以外の発送の種別に関する発送物データ48も発送物データベース46から読み出して、これを加味して発送料金を演算することが可能である。すなわち、表1に示される郵便料金データ40には発送種別17やそれ以外の発送の種別に関連する送料が示されていないが、現行の郵便料金に関するものは含まれているので、これらを加味して発送料金を演算することが可能である。
演算された発送料金は送料演算部28によって発送物データ48として発送物データベース46に格納され、その基となった重量と外形寸法あるいは発送種別等のデータと共に表示装置7に表示される。このとき送料演算部28は、計測データベース35から読み出した重量データ38も発送物データ48に含めて格納する。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
ここで、図8を参照しながら発送物データ48について説明する。図8は発送料金計算システム1によって得られた発送物データ48の内容を示す概念図である。
図8において、「No.」と「発送日」は、発送料金計算システム1を用いて解析された順に付される番号と、発送日あるいは解析された日を示すものであり、いずれも外形寸法解析部23によって解析される発送物毎に付され、発送物データ48として発送物データベース46に格納される。
また、エリアコード16がエリアコード解析部24によって解析され格納され、発送種別17が発送種別解析部27によって解析され、宛名19と住所18がそれぞれ宛名解析部26と住所解析部25によって解析され格納されている。
そして、外形寸法(L、W、T、寸法和及び封筒の規格等)も外形寸法解析部23や発送種別解析部27によって解析され格納されている。
加えて、重量測定装置13によって測定された重量データ38と送料が、送料演算部28によって発送物データ48として発送物データベース46に格納されている。
さらに、発送物データ48は備考欄を備えており、使用者によるメモ書きを可能としている。
具体的に、No.1の発送物を見ると、縦寸法Lが235mmであり、横寸法Wが120mmであり、厚みTが無視できる程度の0mmとなっていることから長形3号と考えられる。また、重量も20gであることから、発送種別解析部27によって「定形内」と解析され、また郵便物15aの宛名記載面を撮影した画像から「速達」と解析されている。そして最終的な送料は、表1中の定形郵便物の25g以内の送料84円に速達料金の260円を加えて送料は344円となっている。
【0048】
図4に戻って、照合装置29を用いた照合の流れについて説明する。
ステップS13は、照合装置29のエリアコード・住所照合部30が発送物データ48として発送物データベース46に格納されているエリアコード16又は住所18を読み出して、これらについて、物流データベース42からエリアコードデータ43を読み出して照合するエリアコード・住所照合工程である。
まず、エリアコードデータ43について説明する。エリアコードデータ43は郵便番号等のように、配送業者によって予め定められたデータであり、地域を特定するためのコードと着地住所が対になって紐付けされたデータセットである。具体的には表3に示すとおりである。
【0049】
【表3】
【0050】
エリアコード・住所照合部30は、エリアコード16を発送物データベース46の発送物データ48から読み出して、これを介して、すなわちキーとしてエリアコードデータ43の中で一致するエリアコードを検知して、そのエリアコードと紐付けされて対をなす着地住所と発送物データ48の住所18を照合する。一致していれば、エリアコード・住所照合部30は、エリアコード・住所照合済の文字あるいは記号等を発送物データ48として備考欄等に表示されるように発送物データベース46に格納し、一致した旨の照合結果を表示装置7に表示して、ステップS13を終了してステップS14に進む。
照合できない場合、まず、エリアコード16が一致するエリアコードデータ43のエリアコードが検出されない場合は、エリアコード16が誤っている可能性があるので、エリアコード・住所照合部30は表示装置7にその旨を表示して使用者の注意を促す。また、エリアコード16に一致するエリアコードが検出されてもエリアコードデータ43の着地住所と発送物データ48の住所18が照合できなかった場合には、住所18が誤っている可能性あるいはエリアコード16が住所18に正しく対応していない可能性があるので、エリアコード・住所照合部30はその旨を同様に表示装置7に表示して使用者に注意を促す。
【0051】
また、エリアコード・住所照合部30は発送物データ48から住所18を読み出して、これを介して、すなわちキーとしてエリアコードデータ43の中で一致する着地住所を検知して、その着地住所と紐付けされて対をなすエリアコードと発送物データ48のエリアコード16を照合してもよい。この場合も一致していれば同様の工程を経てステップS13を終了して次のステップS14へ進む。
照合できない場合、まず、住所18が一致するエリアコードデータ43の着地住所が検出されない場合には、住所18が誤っている可能性があるので、エリアコード・住所照合部30は表示装置7にその旨を表示して使用者に注意を促す。また、住所18に一致するエリアコードデータ43の着地住所が検出されてもエリアコードデータ43のエリアコードと発送物データ48のエリアコード16が照合できなかった場合には、エリアコード16が誤っている可能性あるいは住所18がエリアコード16に正しく対応していない可能性があるので、エリアコード・住所照合部30はその旨を同様に表示装置7に表示して使用者に注意を促す。
【0052】
ステップS14は、照合装置29の顧客照合部31が発送物データ48として発送物データベース46に格納されている宛名19又は住所18を読み出して、これらについて、顧客データベース44から顧客リスト45を読み出して照合する顧客照合工程である。
まず、顧客リスト45について説明する。顧客リスト45は発送料金計算システム1の使用者によって作成されるリストであり、少なくとも顧客毎に付された「顧客ID」に紐付けされた顧客の「氏名・名称」及び顧客の「住所又は居所」に関するデータセットである。具体的には表4に示すとおりである。この表4には示されていないが、エリアコードを「顧客ID」に紐付けて顧客リスト45に含めてもよい。
【0053】
【表4】
【0054】
顧客照合部31は、宛名19を発送物データベース46の発送物データ48から読み出して、これを介して、すなわちキーとして顧客リスト45の中で一致する「氏名・名称」を検知して、その「氏名・名称」に対応する「住所又は居所」と発送物データ48の住所18を照合する。エリアコードが顧客リスト45に含まれる場合は、「氏名・名称」に対応するエリアコードと発送物データ48のエリアコード16も併せて照合してもよい。一致していれば、顧客照合部31は、顧客照合済の文字あるいは記号等を発送物データ48として備考欄等に表示されるように発送物データベース46に格納し、一致した旨の照合結果を表示装置7に表示して、ステップS14を終了して次のステップS15へ進む。
照合できない場合、まず、宛名19が一致する顧客リスト45の「氏名・名称」が検出されない場合は、宛名19が誤っている可能性があるので、顧客照合部31は表示装置7にその旨を表示して使用者の注意を促す。
また、宛名19に一致する「氏名・名称」が検出されても顧客リスト45の「住所又は居所」と発送物データ48の住所18が照合できなかった場合には、住所18が誤っている可能性があるので、顧客照合部31はその旨を同様に表示装置7に表示して使用者に注意を促す。
【0055】
また、顧客照合部31は発送物データ48から住所18を読み出して、これを介して、すなわちキーとして顧客リスト45の中で一致する「住所又は居所」を検知して、その「住所又は居所」に対応する「氏名・名称」と発送物データ48の宛名19を照合してもよい。この場合も一致していれば同様の工程を経てステップS14を終了して次のステップS15へ進む。
照合できない場合、まず、住所18が一致する顧客リスト45の「住所又は居所」が検出されない場合は、住所18が誤っている可能性があるので、顧客照合部31は表示装置7にその旨を表示して使用者の注意を促す。また、住所18に一致する「住所又は居所」が検出されても顧客リスト45の「氏名・名称」と発送物データ48の宛名19が照合できなかった場合には、宛名19が誤っている可能性があるので、顧客照合部31はその旨を同様に表示装置7に表示して使用者に注意を促す。
【0056】
ステップS15は、照合装置29の発送先照合部32が発送物データ48として発送物データベース46に格納されている発送先リスト47を読み出して、これらについて、発送物データベース46から発送物データ48を読み出して照合する発送先照合工程である。
まず、発送先リスト47について説明する。発送先リスト47は発送料金計算システム1の使用前に、使用者によって作成されるリストとして想定されるものであり、少なくとも「発送予定日」、「発送種別」、「宛名」及び「住所」を含むデータセットである。但し、この発送先リスト47における「発送種別」は予め想定されているもののみであり、すなわち、「郵便」か「宅配便」かの別と、「速達」や「書留」といったものに限定される。具体的には表5に示すとおりである。この表5には示されていないが、エリアコードを発送先リスト47に含めてもよい。
【0057】
【表5】
【0058】
発送先照合部32は、宛名19を発送物データベース46の発送物データ48から読み出して、これを介して、すなわちキーとして発送先リスト47の中で一致する「宛名」を検知して、その「宛名」に対応する「住所」と発送物データ48の住所18を照合する。エリアコードが発送先リスト47に含まれる場合は、「宛名」に対応するエリアコードと発送物データ48のエリアコード16も併せて照合してもよい。さらに、発送先照合部32は、発送先リスト47の「宛名」に対応する「発送種別」と、発送物データ48から発送種別17を読み出して照合する。一致していれば、発送先照合部32は、発送リスト照合済の文字あるいは記号等を発送物データ48として備考欄等に表示されるように発送物データベース46に格納し、一致した旨を表示装置7に表示して、ステップS15を終了し、すべての工程を終了して「END」となる。
照合できない場合には発送物の解析漏れがあると考えられるので、発送先照合部32はその旨を表示装置7に表示して使用者に注意を促す。
なお、この照合で確認できるのは、郵便か宅配便か、郵便の場合には速達か書留かといった予め予定されている内容で、発送料金計算システム1を使用してはじめて解析される発送種別17についてはできない。但し、「定形内」や「定形外」、「規格外」等予めリストの発送種別に含まれる場合には照合が可能となる。
この照合を行うことで、実際の発送物の発送種別17が予定されている「発送種別」のとおりになっているかを確認することが可能であり、発送物における「速達」や「書留」などの記載漏れを検出することが可能である。
なお、照合装置29及び照合の工程については、常に本実施の形態に係る発送料金計算システム1あるいは発送料金計算プログラムに備えられなくともよいオプションであり、オプションを備えない場合は、ステップS12で「END」としてもよい。
【0059】
以上述べたとおり、本実施の形態に係る発送料金計算システム1では、郵便物や宅配物等発送物の発送料金が厚みや発送物の縦寸法・横寸法・厚み寸法を含めた外形寸法によって変動する場合でも、容易かつ高精度に演算が可能である。
また、撮像装置11に加えて測距センサ12を備えることで、宛名記載面の画像のみならず、発送物がない状態での距離Hを予め求めておき、宛名記載面までの距離hを計測することで発送物の厚みTを解析することも可能であり、発送物の厚さが変動しても画像の輪郭の縦・横寸法がより高精度で解析可能である。その結果として、発送料金もより高精度に演算することが可能である。
さらに、外形寸法解析部23が発送物の宛名記載面の画像から、宛名19の住所18や発送種別17を解析し、これらによって変動する発送料金に関する郵便料金データ40や宅配便料金データ41を料金データベース39に格納しておき、これらのデータを用いて送料演算部28が発送料金を演算するので、宛名19の住所18や発送種別17に基づく発送料金の変動にも容易かつ高精度に対応することが可能である。
また、エリアコード解析部24が画像から発送物に付されたエリアコード16を解析するので、エリアコード16によっても発送料金が決定される料金システムが採用されていたとしても容易に適応することが可能である。
【0060】
加えて、エリアコード・住所照合部30によって、発送物に付されたエリアコード16と住所18が配送事業者が予め定めたエリアコードと着地住所に一致しているか否か、あるいは発送物に記載されたエリアコード16と住所18のいずれかが誤記であるか否かを判定することが可能である。
また、顧客照合部31によって、発送物に記載された住所18と宛名19が顧客リスト45の住所又は居所と氏名・名称と一致しているか否か、あるいは発送物に記載された住所18と宛名19のいずれかが誤記であるか否かを判定することが可能である。
さらに、発送先照合部32によって、発送物に関する発送物データ48が発送先リスト47の内容と一致しているか否か、あるいは未解析の発送物が存在しているか否かを判定することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本願発明は、郵便物や宅配物等の発送物の送料を容易かつ高精度に演算することが可能な発送料金計算システム及びそのプログラムに利用が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1…発送料金計算システム 2…計測面 3…台座 4…電源スイッチ 5…郵便モードスイッチ 6…宅配便モードスイッチ 7…表示装置 8…支柱 9…支持プレート 10…ポート 11…撮像装置 12…測距センサ 13…重量測定装置 14a…入力装置 14b…出力装置 15a…郵便物 15b…宅配物 16…エリアコード 17…発送種別 18…住所 19…宛名 20…荷造り紐 21…解析装置 22…解析モード切替部 23…外形寸法解析部 24…エリアコード解析部 25…住所解析部 26…宛名解析部 27…発送種別解析部 28…送料演算部 29…照合装置 30…エリアコード・住所照合部 31…顧客照合部 32…発送先照合部 35…計測データベース 36…撮像データ 37…測距データ 38…重量データ 39…料金データベース 40…郵便料金データ 41…宅配便料金データ 42…物流データベース 43…エリアコードデータ 44…顧客データベース 45…顧客リスト 46…発送物データベース 47…発送先リスト 48…発送物データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8