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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025101997
(43)【公開日】2025-07-08
(54)【発明の名称】包装容器及び積層体の切断方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 35/02 20060101AFI20250701BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20250701BHJP
   B32B 38/18 20060101ALI20250701BHJP
   B26D 1/08 20060101ALI20250701BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20250701BHJP
【FI】
B65D35/02
B32B27/00 H
B32B38/18 C
B26D1/08
B26D3/00 601A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219135
(22)【出願日】2023-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】松本 健吾
(72)【発明者】
【氏名】鶴谷 将人
【テーマコード(参考)】
3C027
3E065
4F100
【Fターム(参考)】
3C027JJ01
3C027JJ12
3E065BA14
3E065BA15
3E065BA16
3E065BA25
3E065BA28
3E065BA34
3E065BB03
3E065CA09
3E065DD05
4F100AK06A
4F100AK06B
4F100AK21C
4F100AK21D
4F100BA04
4F100DA02
4F100EJ32
4F100GB16
4F100JD02
4F100JD05
(57)【要約】
【課題】端部において、新規な構造で中間樹脂層が被覆された容器を提供すること。
【解決手段】第1の層21及び第1の層21に挟まれた第2の層22を含む積層体2同士が接合された接合部23が切断されることにより形成される端部112を備える包装容器1であって、
端部112は、積層体2同士が接合されることで、2つの第1の層21が重なって形成される内層24を備え、
外層である一方の第1の層21及び内層24、並びに、外層である他方の第1の層21及び内層24が接合することにより、第2の層22が被覆されている、包装容器1。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の層及び該第1の層に挟まれた第2の層を含む積層体同士が接合された接合部が切断されることにより形成される端部を備える包装容器であって、
前記端部は、前記積層体同士が接合されることで、2つの前記第1の層が重なって形成される内層を備え、
外層である一方の前記第1の層及び前記内層、並びに、外層である他方の前記第1の層及び前記内層が接合することにより、前記第2の層が被覆されている、包装容器。
【請求項2】
前記第2の層は、機能性樹脂を含む層である、請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記第1の層は、耐水性樹脂を含む層であり、
前記第2の層は、機能性を有しかつ水溶性を有する樹脂を含む層である、請求項2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記包装容器は、チューブ容器である、請求項1~3の何れか一項に記載の包装容器。
【請求項5】
請求項1に記載の包装容器を製造するための方法であって、
前記接合部を一方向から切断刃で切断する切断工程を備え、
前記切断工程において、前記切断刃の切断方向に対抗する方向から力を加える、方法。
【請求項6】
前記切断工程において、受け刃を用いて前記切断方向に対抗する方向から力を加える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記切断工程において、前記切断刃と前記受け刃とを所定の相対速度で動かす、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記切断工程において、前記切断刃と前記受け刃とを50mm/sec以上1000mm/sec以下の相対速度で移動させて前記積層体を切断する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記切断工程は、前記第1の層が前記第2の層を被覆するように前記接合部を切断する、請求項5~8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記切断工程において、前記第1の層及び前記第2の層は、前記第1の層及び前記第2の層の融点よりも低い温度である、請求項5~8の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
第1の層及び該第1の層に挟まれた第2の層を含む積層体同士が接合された接合部を切断する積層体の切断方法であって、
前記接合部を一方向から切断刃で切断する切断工程を備え、
前記切断工程において、前記切断刃の切断方向に対抗する方向から力を加える、積層体の切断方法。
【請求項12】
前記切断工程において、受け刃を用いて前記切断方向に対抗する方向から力を加える、請求項11に記載の積層体の切断方法。
【請求項13】
前記切断工程において、前記切断刃と前記受け刃とを所定の相対速度で動かす、請求項12に記載の積層体の切断方法。
【請求項14】
前記切断工程において、前記切断刃と前記受け刃とを50mm/sec以上1000mm/sec以下の相対速度で移動させて前記積層体を切断する、請求項13に記載の積層体の切断方法。
【請求項15】
前記切断工程は、前記第1の層が前記第2の層を被覆するように前記接合部を切断する、請求項11~14の何れか一項に記載の積層体の切断方法。
【請求項16】
前記切断工程において、前記第1の層及び前記第2の層は、前記第1の層及び前記第2の層の融点よりも低い温度である、請求項11~14の何れか一項に記載の積層体の切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器及び積層体の切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物理的特性やガスバリア性を有する樹脂層を含む、複数の樹脂層で構成された容器が知られている。通常、複数の樹脂層で構成された容器において、物理的特性やガスバリア性を有する樹脂層は中間樹脂層として構成されている。複数の樹脂層で構成された容器を通常の方法で切断すると、切断面においての中間樹脂層が外部に露出する。中間樹脂層に含まれる素材によっては、外部に露出することにより、容器の外観や品質が徐々に低下し、最終的には容器として機能しなくなるという問題があった。そこで、容器の切断面の中間樹脂層が外部に露出しないようにするための方法が提案されてきた。
【0003】
特許文献1には、複数の樹脂層が積層された多層体を所定形状に切断する多層体の切断方法において、前記多層体を構成する樹脂の少なくとも一層が溶融状態で多層体を切断することが記載されている。
【0004】
特許文献2には、熱可塑性樹脂層(B)/酸素吸収層(A)/多孔質層または酸素透過性樹脂層(C)の層構成に積層された酸素吸収多層シートであって、シート端面が熱可塑性樹脂層(B)で完全に被覆された多層シート成形体が記載され、80℃に加熱した直径50mmの打抜刃(内側に約30度のテーパー角を有する)およびすり鉢状の受刃(すり鉢の斜面の斜度約45°)にて打抜いたことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-058181号公報
【特許文献2】特開平07-227259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記先行技術があるところ、本発明は、端部において、新規な構造で中間樹脂層が被覆された容器を提供することを課題とする。また、上記先行文献では、多層体を構成する樹脂の少なくとも一層を溶融状態とする必要や、打抜刃及び受刃を80℃に加熱する必要があった。そこで、本発明は、前述の構成を必要としない、新規な積層体の切断方法を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明は、以下の積層体の切断方法及び容器に関する。
[1]第1の層及び該第1の層に挟まれた第2の層を含む積層体同士が接合された接合部が切断されることにより形成される端部を備える包装容器であって、前記端部は、前記積層体同士が接合されることで、2つの前記第1の層が重なって形成される内層を備え、外層である一方の前記第1の層及び前記内層、並びに、外層である他方の前記第1の層及び前記内層が接合することにより、前記第2の層が被覆されている、包装容器。
【0008】
[2]前記第2の層は、機能性樹脂を含む層である、[1]に記載の包装容器。
【0009】
[3]前記第1の層は、耐水性樹脂を含む層であり、前記第2の層は、機能性を有しかつ水溶性を有する樹脂を含む層である、[2]に記載の包装容器。
【0010】
[4]前記包装容器は、チューブ容器である、[1]~[3]の何れか一つに記載の包装容器。
【0011】
[5][1]に記載の包装容器を製造するための方法であって、前記接合部を一方向から切断刃で切断する切断工程を備え、前記切断工程において、前記切断刃の切断方向に対抗する方向から力を加える、方法。
【0012】
[6]前記切断工程において、受け刃を用いて前記切断方向に対抗する方向から力を加える、[5]に記載の方法。
【0013】
[7]前記切断工程において、前記切断刃と前記受け刃とを所定の相対速度で動かす、[6]に記載の方法。
【0014】
[8]前記切断工程において、前記切断刃と前記受け刃とを50mm/sec以上1000mm/sec以下の相対速度で移動させて前記積層体を切断する、[7]に記載の方法。
【0015】
[9]前記切断工程は、前記第1の層が前記第2の層を被覆するように前記接合部を切断する、[5]~[8]の何れか一つに記載の積層体の切断方法。
【0016】
[10]前記切断工程において、前記第1の層及び前記第2の層は、前記第1の層及び前記第2の層の融点よりも低い温度である、[5]~[8]の何れか一つに記載の方法。
【0017】
[11]第1の層及び該第1の層に挟まれた第2の層を含む積層体同士が接合された接合部を切断する積層体の切断方法であって、前記接合部を一方向から切断刃で切断する切断工程を備え、前記切断工程において、前記切断刃の切断方向に対抗する方向から力を加える、積層体の切断方法。
【0018】
[12]前記切断工程において、受け刃を用いて前記切断方向に対抗する方向から力を加える、[11]に記載の積層体の切断方法。
【0019】
[13]前記切断工程において、前記切断刃と前記受け刃とを所定の相対速度で動かす、[12]に記載の積層体の切断方法。
【0020】
[14]前記切断工程において、前記切断刃と前記受け刃とを50mm/sec以上1000mm/sec以下の相対速度で移動させて前記積層体を切断する、[13]に記載の積層体の切断方法。
【0021】
[15]前記切断工程は、前記第1の層が前記第2の層を被覆するように前記接合部を切断する、[11]~[14]の何れか一つに記載の積層体の切断方法。
【0022】
[16]前記切断工程において、前記第1の層及び前記第2の層は、前記第1の層及び前記第2の層の融点よりも低い温度である、[11]~[14]の何れか一つに記載の積層体の切断方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、端部において、新規な構造で中間樹脂層が被覆された容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る包装容器1を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る積層体2の矢状断面を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る接合部23及び端部112の矢状断面を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る接合部23を一方向から切断刃3で切断する切断工程を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る端部を一方向から切断刃で切断する際に、切断刃の切断方向に対抗する方向から力を加えた矢状断面とそうでない矢状断面との画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<1>包装容器
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る包装容器1は、容器本体11を備える。
容器本体11は、胴部111と、端部112を備える。
【0027】
本実施形態において、胴部111は、図2に示す矢状断面を有する積層体2により構成されている。
【0028】
本実施形態において、積層体2は、第1の層21及び該第1の層に挟まれた第2の層22を含む。
【0029】
本実施形態において、第1の層21は、低密度ポリエチレンを含む層で構成されている。
本発明において、第1の層21は、通常の包装容器に用いられる素材であれば特に限定されないが、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、及び/又は、オレフィン系エラストマー等を含有する。
【0030】
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系共重合体、ポリプロピレン系共重合体、ブテン系共重合体が挙げられ、これらの中でも、ポリエチレン系共重合体及びポリプロピレン系共重合体が好ましい。
【0031】
本実施形態において、第2の層22は、ポリビニルアルコールを含む層で構成されている。
本発明において、第2の層22は、通常の包装容器に用いられる素材であれば特に限定されないが、機能性樹脂を含有することが好ましく、ガスバリア性樹脂を含有することがより好ましい。さらに、該樹脂が水溶性を有することで、使用後のリサイクルに適する包装容器となり好ましいことから、第2の層22は、機能性樹脂でありかつ水溶性樹脂である樹脂を含有することがより好ましい。
【0032】
本発明において、機能性樹脂とは、酸素や水蒸気等を遮断して、内容物の保存性を向上させる機能を有する樹脂のことを表す。
【0033】
本発明において、第2の層22が機能性樹脂でありかつ水溶性樹脂である場合、第1の層21は耐水性樹脂であることが好ましい。
上記構成とすることで、第2の層22が水に濡れて機能性を失うことを防ぐことができる。
【0034】
ガスバリア性樹脂としては、例えば、ポリアミド、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、塩化ビニリデン、ナイロン6、ナイロン6,6およびポリメタキシリレンアジパミドなどが挙げられる。これらの1種又は2種以上を使用することができる。
【0035】
本発明において、積層体2は、第1の層21と第2の層22との間に、接着層を備えていてもよい。
接着層は、接着剤により構成される。接着剤は、1液硬化型の接着剤、2液硬化型の接着剤、及び非硬化型の接着剤のいずれでもよい。接着剤は、無溶剤型の接着剤でもよく、溶剤型の接着剤でもよい。
【0036】
図3(a)に、本実施形態における積層体2同士が接合された接合部23の矢状断面を図示する。接合部23は、好ましくは、積層体2と他の積層体2とが、第1の層21を介して接合されて形成される。
本実施形態において、接合部23は、積層体2同士を熱により溶着することが好ましい。また、接着強度を保つために、熱による溶着後すぐに冷却することが好ましい。
【0037】
図3(b)に示すように、本実施形態において、端部112は、接合部23が切断されることにより形成されている。
【0038】
端部112は、具体的には、積層体2同士が接合されることで、2つの第1の層21が重なって形成される内層24を備え、外層である一方の第1の層21及び内層24、並びに、外層である他方の第1の層21及び内層24が接合することにより、第2の層22が被覆されている。
【0039】
また、本発明の別の実施形態として、内層24が上部に押し出された形態も挙げられる。
【0040】
本発明の包装容器1は、特に限定されないが、チューブ容器であることが好ましい。
チューブ容器に内容物を充填し、端部を閉じる際に、端部112において第2の層22が2か所にある状態となる。本発明によれば、外層である一方の第1の層21及び内層24、並びに、外層である他方の第1の層21及び内層24が接合することにより、2か所の第2の層22が外部に露出することによる問題(外観の悪化、機能性の低下等)を防ぐことができる。
【0041】
前記チューブ容器は、積層されたフィルムを巻いて成形するチューブ、及び溶融した樹脂を押し出して成形するチューブを含む。
【0042】
本実施形態における端部112を備える包装容器1は、例えば、後述する切断方法を用いることにより製造することができる。
【0043】
<2>積層体の切断方法
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。
【0044】
本発明の切断方法は、第1の層及び該第1の層に挟まれた第2の層を含む積層体同士が接合された接合部を切断する積層体の切断方法であって、前記接合部を一方向から切断刃で切断する切断工程を備え、前記切断工程において、前記切断刃の切断方向に対抗する方向から力を加える、積層体の切断方法である。
ここで、上記「<1>包装容器」は、本発明の切断方法に関する発明であるため、上記<1>で説明した内容を援用することができる。
【0045】
本実施形態において、図3(a)に示す、第1の層21及び該第1の層21に挟まれた第2の層22を含む積層体2同士が接合された接合部23を切断する積層体2の切断方法について説明する。
【0046】
図4は、本実施形態において、接合部23を一方向から切断刃3で切断する切断工程を示す図である。
【0047】
図4(a)は、接合部23を切断する直前の様子を示す図である。
接合部23の層方向と垂直な角度から、切断刃3を移動させる。このとき、切断刃3の進行方向に対抗する方向から、受け刃4を移動させる。
【0048】
図4(b)は、接合部23を切断している最中の様子を示す図である。
接合部23を一方向から切断刃3で切断するときに、切断刃3の切断方向に対抗する方向から力を加えている。具体的には、切断刃3の切断方向に対抗する方向から受け刃4を移動させることにより力を加えている。
【0049】
本発明の効果を発揮する範囲において、切断刃3を移動させる速度に特に制限はないが、切断刃3を好ましくは10mm/sec以上、より好ましくは30mm/sec以上、より好ましくは60mm/sec、さらに好ましくは100mm/sec以上、さらにより好ましくは150mm/sec以上の速度で移動させる。
【0050】
なお、本発明において速度というときは、移動した距離を移動した時間で割った平均速度のことを指してもよいし、最高速度のことを指してもよい。
【0051】
また、本発明の効果を発揮する範囲において、受け刃4を移動させる速度に特に制限はないが、受け刃4を好ましくは10mm/sec以上、より好ましくは30mm/sec以上、より好ましくは60mm/sec、さらに好ましくは100mm/sec以上、さらにより好ましくは150mm/sec以上、さらにより好ましくは250mm/sec以上の速度で移動させる。
【0052】
また、本発明の効果を発揮する範囲において、切断刃3及び受け刃4を所定の相対速度で移動させることが好ましく、切断刃3及び受け刃4を好ましくは50mm/sec以上、より好ましくは100mm/sec以上、より好ましくは140mm/sec以上、さらに好ましくは300mm/sec以上、さらにより好ましくは400mm/sec以上の相対速度で移動させる。
【0053】
また、本発明の効果を発揮する範囲において、切断刃3及び受け刃4を所定の相対速度移動させることが好ましく、切断刃3及び受け刃4を好ましくは1000mm/sec以下、より好ましくは900mm/sec以下、より好ましくは800mm/sec以下、さらに好ましくは700mm/sec以下、さらにより好ましくは600mm/sec以下、さらにより好ましくは500mm/sec以下の相対速度で移動させる。
【0054】
本実施形態において、第1の層21が第2の層22を被覆するように接合部23を切断することが好ましい。
【0055】
図4(c)は、接合部23を切断した直後の様子を示す図である。
【0056】
接合部23を切断するときの、第1の層21及び第2の層22の温度は特に限定されないが、30℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましい。
【0057】
また、接合部23を切断するときの、第1の層21及び第2の層22の温度は、第1の層21及び第2の層22の融点よりも低いことが好ましく、60℃以下であることが好ましく、55℃以下であることがより好ましい。
本発明によれば、第1の層21及び第2の層22が溶融状態でなくても、第1の層21を第2の層22に被覆させることができる。
【0058】
上記切断工程を備える本発明は、樹脂を溶融状態とすることや、切断刃3を加熱することなく、第1の層21によって第2の層22を被覆することができる。第2の層22が機能性樹脂層でありかつ水溶性樹脂層である場合、第1の層21によって第2の層22を被覆することで、接合部23が水に濡れた場合であっても、第2の層22の劣化を防ぐことができる。
【0059】
本発明の別の実施形態として、切断工程において、切断刃3の切断方向に対抗する方向から受け刃4をより容器の内側へと移動させることにより力を加えることができる。
上記形態とすることにより、内層24が上部に押し出された端部112を備える包装容器1とすることができる。
【実施例0060】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。
【0061】
試験品として、通常知られている、押出成形によりチューブ容器の容器本体を製造する方法により得られた、押出成形チューブを用いた。ここで、前記押出成形チューブの端部(本発明の接合部に相当)は、熱により溶着されている。
【0062】
前記端部には、以下の表1に示す素材を用いた。なお、表1の素材欄の記載順が、前記端部の層構造を表している。表1において、樹脂Aとして低密度ポリエチレン、ガスバリア層としてポリビニルアルコールを用いた。
【0063】
【表1】
【0064】
次に、前記端部を切断刃及び受け刃により切断した。ここで、前記端部を一方向から切断刃で切断するときに、切断刃の切断方向に対抗する方向から力を加えた。また、前記端部の温度は40~60℃の範囲であった。
【0065】
切断刃及び受け刃を動かす速度と、前記端部の切断面を真上から見た時のガスバリア層の露出率との関係を示す結果を表2に示す。なお、露出率は、前記端部の切断面を真上から見たときの、切断面全体の面積におけるガスバリア層の面積の割合を意味する。
【0066】
【表2】
【0067】
表2に示すように、前記端部を一方向から切断刃で切断する際に、切断刃の切断方向に対抗する方向から力を加えることにより、ガスバリア層の露出率を低減できることがわかった。
【0068】
さらに、前記端部を一方向から切断刃で切断する際に、切断刃の切断方向に対抗する方向から力を加えた矢状断面と、そうでない矢状断面と、の画像を図5(a)及び(b)に示す。ここで、ガスバリア層を目視しやすいように、前記端部の水平面からガスバリア層を着色した。
【0069】
図5に示すように、前記端部を一方向から切断刃で切断する際に、切断刃の切断方向に対抗する方向から力を加えた矢状断面(図5(a))において、ガスバリア層が樹脂Aで被覆されていることがわかる。このことは、ガスバリア層が樹脂Aで被覆されているため、前記端部の水平面からガスバリア層を着色したにも関わらず、ガスバリア層が完全に着色されていないことからも理解できる。一方で、そうでない矢状断面(図5(b))において、ガスバリア層は黒く着色されていることからもわかるとおり、ガスバリア層が樹脂Aで被覆されていない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、積層体の切断方法及び容器に応用できる。
【符号の説明】
【0071】
1 包装容器
11 容器本体
111 胴部
112 端部
2 積層体
21 第1の層
22 第2の層
23 接合部
24 内層
3 切断刃
4 受け刃
図1
図2
図3
図4
図5