(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025102124
(43)【公開日】2025-07-08
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20250701BHJP
G05D 1/242 20240101ALI20250701BHJP
【FI】
A01B69/00 303P
G05D1/242
A01B69/00 303G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219376
(22)【出願日】2023-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】北山 康治
【テーマコード(参考)】
2B043
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB15
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB01
2B043BB03
2B043DA17
2B043EA35
2B043EA37
2B043EB04
2B043EB05
2B043EB15
2B043EB17
2B043EB23
2B043EB24
2B043EC12
2B043EC13
2B043EC14
2B043ED12
5H301AA03
5H301AA10
5H301BB01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG10
(57)【要約】
【課題】本発明は、常に作業車両と畔が適切な距離を保ちながら、作業を行える作業車両を提供することを課題とする。
【解決策】行車体10と、前記走行車体10に取り付けられた操舵輪40L、40R、と前記走行車体10を自律走行させる制御部200と、前記走行車体前部10から畔までの距離を検出する第1畔検出センサ621Aを前記走行車体の前部側面に備え、前記走行車体後部から畔までの距離を検出する第2畔検出センサ621Bを前記走行車体10の後部側面に備え、制御部200は、前記第1畔検出センサ621Aおよび前記第2畔検出センサ621Bの検出結果に基づいて前記走行車体10が畔に沿って走行するように自動操縦する作業車両とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体と、
前記走行車体に取り付けられた操舵輪と
前記走行車体を自律走行させる制御部と、
前記走行車体前部から畔までの距離を検出する第1畔検出センサを前記走行車体の前部側面に備え、
前記走行車体後部から畔までの距離を検出する第2畔検出センサを前記走行車体の後部側面に備え、
制御部は、前記第1畔検出センサおよび前記第2畔検出センサの検出結果に基づいて前記走行車体が畦に沿って走行するように自動操縦する
作業車両。
【請求項2】
前記制御部は
前記第1畔検出センサから畔までの距離が規定の範囲内であり
前記第2畔検出センサから畔までの距離も規定の範囲内であるときは
直進するよう自動操縦する
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記制御部は
前記第1畔検出センサから畔までの距離が規定の範囲より離れたことを検知し、
かつ前記第2畔検出センサから畔までの距離が規定の範囲内である場合
操舵輪を畔方向に切り、前記第1畔検出センサから畔までの距離が規定の範囲内になるように自動操縦する
請求項1に記載の作業車両。
【請求項4】
前記制御部は
前記第1畔検出センサから畔までの距離が規定の範囲内であり
かつ前記第2畔検出センサから畔までの距離が規定の範囲より離れたことを検知した場合
操舵輪を畔と反対方向に切り、前記第2畔検出センサから畔までの距離が規定の範囲内になるように自動操縦する
請求項1に記載の作業車両。
【請求項5】
前記制御部は
前記第1畔検出センサから畔までの距離が規定の範囲よりも近づいたことを検知し、
かつ前記第2畔検出センサから畔までの距離が規定の範囲内である場合
操舵輪を畔と反対方向に切り、前記第1畔検出センサから畔までの距離が規定の範囲内になるように自動操縦する
請求項1に記載の作業車両。
【請求項6】
前記制御部は
前記第1畔検出センサから畔までの距離が規定の範囲内であり
前記第2畔検出センサから畔までの距離が規定の範囲よりも近づいたことを検知した場合
操舵輪を畔方向に切り、前記第2畔検出センサから畔までの距離が規定の範囲内になるように自動操縦する
請求項1に記載の作業車両。
【請求項7】
前記走行車体に装着した作業機の幅情報を取得し、
前記幅情報に基づいて前記第1畔検出センサおよび前記第2畔検出センサから畔までの距離の既定の範囲を設定する
請求項2から6に記載の作業車両
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
走行車体の自己位置を測定する測位装置を有し、車両に装着した作業機を認識する作業機任式手段を有し、あらかじめ設定された予定走行経路に沿って自立走行させる制御部を有し、制御部は、予定走行経路内にある障害物を認識する障害物認識手段により進行方向に存在する障害物を認識すると装着された作業機に応じて走行経路を変更し、障害物を回避する作業車両が公知である。(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の作業車両では、測位装置で走行車体位置を測ることで、あらかじめ設定された予定走行経路の畔際を走行中に障害物を認識すると回避操作を行い予定走行経路に戻っていた。しかし、測位装置は実際の位置と多少のずれが生じるため、畔際との距離が開いてしまい残耕が残っていた。本発明では、常に畔と適切な距離を保ちながら作業を行える作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した課題を解決するために、次のように構成する。
【0006】
請求項1の発明は、走行車体(10)と、前記走行車体(10)に取り付けられた操舵輪(40L、40R)と前記走行車体(10)を自律走行させる制御部(200)と、前記走行車体前部(10)から畔までの距離を検出する第1畔検出センサ(621A)を前記走行車体の前部側面に備え、前記走行車体後部から畔までの距離を検出する第2畔検出センサ(621B)を前記走行車体(10)の後部側面に備え、前記第1畔検出センサ(621A)および前記第2畔検出センサ(621B)の検出結果に基づいて前記走行車体(10)が畦に沿って走行するように自動操縦することを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、前記制御部(200)は前記第1畔検出センサ(621A)から畔までの距離が規定の範囲内であり、前記第2畔検出センサ(621B)から畔までの距離も規定の範囲内であるときは直進するよう自動操縦することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、前記制御部(200)は前記第1畔検出センサ(621A)から畔までの距離が規定の範囲内以上離れたことを検知し、かつ前記第2畔検出センサ(621B)から畔までの距離が規定の範囲内である場合操舵輪(40L、40R)を畔方向に回転させ、前記第1畔検出センサから畔までの距離が規定の範囲内になるように自動操縦することを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、前記制御部(200)は前記第1畔検出センサ(621A)から畔までの距離が規定の範囲内であり、かつ前記第2畔検出センサ(621B)から畔までの距離が規定の範囲内より離れたことを検知した場合操舵輪(40L、40R)を畔と反対方向に回転させ、前記第2畔検出センサから畔までの距離が規定の範囲内になるように自動操縦することを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、前記制御部(200)は前記第1畔検出センサから畔までの距離が規定の範囲内よりも近づいたことを検知し、かつ前記第2畔検出センサ(621B)畔までの距離が規定の範囲内である場合操舵輪(40L、40R)を畔と反対方向に回転させ、前記第1畔検出センサ(621A)から畔までの距離が規定の範囲内になるように自動操縦することを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、前記制御部(200)は前記第1畔検出センサ(621A)から畔までの距離が規定の範囲内であり、前記第2畔検出センサ(621B)が、畔までの距離が規定の範囲内よりも近づいたことを検知した場合操舵輪(40L、40R)を畔方向に回転させ、前記第2畔検出センサ(621B)から畔までの距離が規定の範囲内になるように自動操縦することを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、前記走行車体(10)に装着した作業機(11)の幅情報を取得し前記幅情報に基づいて前記第1畔検出センサおよび前記第2畔検出センサから畔までの距離の既定の範囲を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
これにより、畔検出センサ(621)が畔までの距離を測定し、検出結果に基づいた自動操縦を行うため、圃場データによる設定がなくても、畔に沿って一定の距離を保ちながら自律走行できる。また、作業機(11)の装着の有無や作業機(11)の種類によって、外形情報が算出できるため、畔との接触を回避し畔に沿って自律走行できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図5】農業用ロボットトラクタの走行経路の説明図(その一)
【
図6】農業用ロボットトラクタの走行経路の説明図(その二)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。なお、実施例の説明においては、機体の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向を前、後進方向を後というが、本発明の構成を限定するものでは無い。
【0016】
自律走行作業車両として農業用ロボットトラクタで説明する。
【0017】
まず説明するのは、本実施の形態の農業用ロボットトラクタの基本的な構成および動作で、制御部200に関連する構成および動作などについては、後に詳細に説明する。
【0018】
図1と
図2の全体構成で、走行車体10の前部のボンネット31の内部には、エンジン30が設けられている。 エンジン30の回転動力は、運転ユニット20のフロア21の下方に設けられているトランスミッションケース内部のさまざまな動力伝動機構を介して伝達される。より具体的には、
図3で、主変速装置120および副変速装置130で変速された回転動力は、左前輪40Lおよび右前輪40R、ならびに左後輪50Lおよび右後輪50Rへ伝達される。
【0019】
フロア21の左側には、ブレーキペダル連結解除ペダルおよびクラッチペダルが配置されている。
【0020】
フロア21の右側には、
図3の如く、左ブレーキペダル411Lおよび右ブレーキペダル411R、ならびにアクセルペダルが配置されている。また、運転ユニット20の内部には運転席15を備え、運転席15の前方には操舵輪である左前輪40Lおよび右前輪40Rを操舵するステアリングホイール16が設けられている。
【0021】
走行車体10の後部には、機体幅が走行車体10よりも広い耕耘装置等の作業機11が、3点リンク機構を利用して装着される。
【0022】
エンジン30の回転動力は、前後進クラッチ110、主変速装置120、副変速装置130および後輪差動ギヤ312を介して、左後輪50Lおよび右後輪50Rへ伝達される。4WD(4-Wheel Drive)駆動が行われる場合には、エンジン30の回転動力は、前後進クラッチ110、主変速装置120、副変速装置130、4WDクラッチ320および前輪差動ギヤ311を介して、左前輪40Lおよび右前輪40Rへも伝達される。
【0023】
図3において、作業者が搭乗した場合は、左ブレーキ装置400Lは、左ブレーキペダル411Lの踏み込み操作で動作する左ブレーキシリンダー412Lの状態に応じて左後輪50Lの制動を行う装置で、右ブレーキ装置400Rは、右ブレーキペダル411Rの踏み込み操作で動作する右ブレーキシリンダー412Rの状態に応じて右後輪50Rの制動を行う装置である。
【0024】
また、自律走行する場合は、左ブレーキシリンダー412Lおよび右ブレーキシリンダー412Rの状態は、制御部200(
図4)の走行制御部からの指示により変化させられる。走行制御部からの指示は、片ブレーキ弁420、両ブレーキ弁431および両ブレーキソレノイド432、左ブレーキ弁441Lおよび左ブレーキソレノイド442L、右ブレーキ弁441Rおよび右ブレーキソレノイド442R、比例弁450、リリーフバルブ460、ならびにポンプ470を利用して行われる。
【0025】
操舵輪である左前輪40Lおよび右前輪40Rの切れ角は、操舵装置である操舵シリンダー330の状態に応じて行われる。操舵シリンダー330の状態は、制御部200からの指示により変化させられる。
【0026】
制御部200は、メモリーおよびタイマーなどと協働して動作する、耕耘作業機昇降制御部、エンジン制御部および走行制御部を有する。
【0027】
ブレーキペダル踏込みセンサ、操舵角度センサ340、車速センサ350、前進センサ、後進センサ、主変速スイッチ、前進圧力センサおよび後進圧力センサの検出値は、制御部200の走行制御部へ入力される。そして、走行制御部は、前後進クラッチ110、主変速装置120、ならびに左ブレーキシリンダー412Lおよび右ブレーキシリンダー412Rの制御を、入力された検出値に基づいて行う。
【0028】
次に、
図1、2および
図4から
図6を主として参照しながら、農業用ロボットトラクタの制御および動作についてより具体的に説明する。
【0029】
ここに、
図4は本発明における実施の形態の農業用ロボットトラクタの制御系の制御ブロック図である。
【0030】
走行車体位置測定機構500は、走行車体10の位置を測定する機構である。
【0031】
本実施の形態においては、走行車体位置測定機構500は、衛星測位ユニットを有する。
【0032】
変形例の実施の形態においては、走行車体位置測定機構500は、三角測量機構を有してもよい。
【0033】
操舵角度センサ340は、操舵角度を検出するセンサである。
【0034】
本実施の形態においては、操舵角度センサ340は、左前輪40Lの側へ取付けられたセンサである。
【0035】
変形例の実施の形態においては、操舵角度センサ340は、右前輪40Rの側へ取付けられたセンサであってもよいし、操舵シリンダー330の側へ取付けられたセンサであってもよい。
【0036】
本実施の形態においては、障害物検出機構600は、障害物検出手段として、二つの前側超音波センサ610を有する。
【0037】
前側超音波センサ610は検出範囲A1が走行車体10の前側の範囲であるセンサである。
【0038】
障害物により反射された超音波の帰還時間に基づいて、前側超音波センサ610の検出範囲A1における障害物の存在が認識された場合には、障害物回避手段として警報が発せられて走行車体10の自動停止が行われる。
【0039】
積層式表示灯601は、障害物検出機構600の動作状態などを外部に通知するための表示灯である。
【0040】
本実施の形態においては、作業者が積層式表示灯601の点灯パターンに基づいて障害物検出機構600の動作状態を目視で確認することができるように、特殊な監視装置または検査装置なしに利用可能である、障害物検出機構600の動作状態チェックモードが設けられている。
【0041】
たとえば、動作状態チェックモードにおいて、複数のセンサの検出状態を個別に出力する積層式表示灯601の点灯パターンが走行車体10の周辺を歩き回る作業者の位置に応じて変化すれば、障害物検出機構600の動作状態は正常であると判断される。
【0042】
エンジン30のキースイッチがオンされるたびに、動作状態チェックモードは自動走行制御が開始される前に必ず実行されなければならず、自動走行制御における安全性が向上される。
【0043】
ロボットトラクタでの畔際における耕耘作業時に、畔と車両の距離を正確に検知できるように、畔検出手段として、走行車体10のボンネット31の側方に第1畔検出センサ621Aを設け、リアフェンダに第2畔検出センサ621Bを設けている。
【0044】
畔検出センサ621は検出範囲A2Lが走行車体10の側方の範囲のセンサで構成されている。
【0045】
【0046】
図6は、直進経路Cs、隣接する二つの直進経路Csを接続する旋回経路Ct、枕地走行経路Ch、出入り口13、14からなり、出入り口によって走行車体10が出入り可能に構成されている。制御部200は、あらかじめ設定された走行経路Cに沿って走行車体10を走行させるための自動走行制御を、農業用ロボットトラクタおよび作業機11の設定、リモートコントローラ201からの指示、衛星測位システム、および障害物検出機構600の障害物検出結果、畔検出センサ621の検出結果などに基づいて行う。
【0047】
具体的には、走行車体10は、直進経路Csの隅にある圃場端点P1から直進経路Csに進入すると、対向する位置にある圃場端点Q1まで直進して、一旦、直進経路Csを出てから枕地で旋回し、隣接する圃場端点Q2から再度、直進経路Csに進入する。その後、対向する位置にある圃場端点P2まで直進し、直進経路Csを出てから枕地で旋回し、隣接する圃場端点P3から再度、直進経路Csに進入する。走行車体10は、このような走行を繰り返すことで、圃場全体を万遍なく耕耘することができる。
【0048】
次いで、
図5に基づき枕地走行経路Chについて具体的に説明する。
【0049】
直進経路Csを走行し終えると、最後に内周を回って圃場外に出る枕地走行経路Chが設定されている。畔走行経路Chに進入すると、畔検出センサ621によって走行が行われる。圃場端点P4から対抗する位置にある圃場端点R1まで走行し、圃場端点R1で旋回を行うと畔検出センサ621による走行制御を終了する。そして旋回終了後、再度畔検出センサ621による走行制御を開始し、圃場端点R1から圃場端点R2まで走行する。圃場の出入り口14に侵入すると、畔検出センサによる走行制御を終了する。
【0050】
畔検出センサ621の検出範囲A2Lにより畔の存在が認識された場合には、畔に沿って走行するように走行車体10の自動走行が行われる。
【0051】
制御を開始すると、設定器により走行車体10から畔までの距離を設定されている場合には、設定値を読み込み、設定されていない場合には規定の範囲内に基づき、走行処理を実行する。
【0052】
畔検出センサ621は、例えば赤外線センサや超音波センサ、ミリ波レーダーなど、物体の存在を検出するセンサであり、走行車体前部に設けた第1畔検出センサ621Aと走行車体後部に設けた第2畔検出センサ621Bによって構成されている。側方に向けてセンサを照射し、その反射を受信して、トラクタの側面に畔が存在すれば、畔までの距離を検出する。
【0053】
走行制御を開始すると、畔検出センサ621の検出値が規定の範囲内より大きいか、小さいかの判定をする。そして、検出値と規定の範囲内との差を演算する。その差が大きいほど、操舵輪40L、40Rの操舵角度を大きくする。
【0054】
第1畔検出センサ621Aの検出値が、規定の範囲内よりも小さい値を検出しているときは前輪が畔に近づいていると判断する。また、第1畔検出センサ621Aの検出値が、規定の範囲内よりも大きい値を検出しているときは前輪が畔から離れていると判断する。
【0055】
第2畔検出センサ621Bの検出値が、規定の範囲内よりも小さい値を検出しているときは後輪が畔に近づいていると判断する。また、第2畔検出センサ621Bの検出値が、規定の範囲内よりも大きい値を検出しているときは後輪が畔から離れていると判断する。
【0056】
まず、第1畔検出センサ621Aの検出値の範囲内が規定の範囲内よりも大きい、もしくは小さいことが検出されている。かつ、第2畔検出センサ621Bの検出値は規定の範囲内である場合の制御方法について説明する。
【0057】
走行車体10の前部側面に設けられた第1畔検出センサ621Aの検出値が、規定の範囲内よりも大きい値を検出しており、走行車体10の後部側面に設けられた第2畔検出センサ621Bの検出値が規定の範囲内である場合は、制御部200が操舵輪40L、40Rを畔方向に回転させるよう制御する。
【0058】
そして第1畔検出センサ621Aの検出値と規定の範囲内の差が小さくなるにつれて、操舵輪40L、40Rの回転を戻し、走行車体10の方向修正が完了する。
【0059】
第1畔検出センサ621Aの検出値が、規定の範囲内よりも小さい値を検出しており、第2畔検出センサ621Bの検出値が規定の範囲内である場合は、制御部200が操舵輪40L、40Rを畔と反対方向に回転させるよう制御する。
【0060】
そして第1畔検出センサ621Aの検出値と規定の範囲内の差が小さくなるにつれて、操舵輪40L、40Rの回転を戻し、走行車体10の方向修正が完了する。
【0061】
次に、第2畔検出センサ621Bの検出値が規定の範囲内よりも大きい、もしくは小さいことが検出されている。かつ、第1畔検出センサの検出値は規定の範囲内である場合の制御方法について説明する。
【0062】
第2畔検出センサ621Bの検出値が、規定の範囲内よりも大きい値を検出しており、第1畔検出センサ621Aの検出の範囲内が規定の範囲内である場合は、制御部200が操舵輪40L、40Rを畔と反対方向に回転させるよう制御する。
【0063】
そして、第2畔検出センサ621Bの検出値と規定の範囲内の差が小さくなるにつれて、操舵輪40L、40Rの回転を戻し、走行車体10の方向修正が完了する。
【0064】
第2畔検出センサ621Bの検出値が、規定の範囲内よりも小さい値を検出している。さらに第1畔検出センサ621Aの検出値が規定の範囲内である場合は、制御部200が操舵輪40L、40Rを畔方向に回転させるよう制御する。
【0065】
そして、第2畔検出センサ621Bの検出値が規定の範囲内の差が小さくなるにつれて、操舵輪40L、40Rの回転を戻し、走行車体10の方向修正が完了する。
【0066】
次に、第1畔検出センサ621Aの検出値が規定の範囲内である。かつ、第2畔検出センサ621Bの検出値も、規定の範囲内である場合の制御方法について説明する。
【0067】
第1畔検知センサ621Aが、畔までの距離を規定の範囲内であることを検出し、かつ第2畔検出センサ621Bが、畔までの距離を規定の範囲内であることを検出しているとき、制御部200は走行車体10が畔に沿って直進するよう、操舵輪40L、40Rの位置を維持する制御を行う。
【0068】
なお、作業機11を走行車体10に装着する際に、作業機11の作業機認識手段として作業機認識手段12が走行車体10側の制御部200に連結されて、作業機11の機体幅等の機体情報が制御部200に登録される。制御部200は、機体情報の機体幅に基づいて畔検知センサ621の検出範囲A2Lを調整検出範囲A2L‘に変更する。つまり、作業機11を装着した作業車両が畔際を走行した場合に装着した作業機を認識し、作業機11に応じて規定の範囲内を変更するため、形状の異なる作業機11を装着していても自律走行において畔との接触を回避して効率よく作業できる。
【0069】
整地作業において、ロータリ耕耘機を用いて耕耘作業を行う際に、トラクタにロータリ耕耘機を連結する。ロータリ耕耘機には、作業機の一側方に突出するようにチェーンケースが設けられている。
【0070】
畔検出センサ621をチェーンケースと逆の方向に設けることで、チェーンケースの幅分、畔際ぎりぎりを走行することができる。
【0071】
また、畔までの距離は、走行車体に設けられた設定機、またはリモートコントローラ201により運転者によって任意に変更可能である。
【0072】
畔際での走行時に、センサで畔と走行車体10に規定の距離をあけることで、運転者の操作による幅寄せをする必要なく、十分な感覚を保ちながら走行することが可能である。
【0073】
さらに、走行車体10と畔との間に充分な間隔を保てることにより、走行車体10が畔に乗り上げ、畔を車輪で壊してしまう恐れを無くすことができる。
【0074】
上記実施例では、畔検出センサ621を走行車体10の左側に構成しているが、走行車体10の右側にも同様に構成してもよい。また、走行車体10の畔に対する姿勢の自動制御方法として、操舵シリンダー330を制御部200からの指示により電子制御して操舵輪40L、40Rの操舵角度を調整する構成としているが、ステアリングホイール16に取り付けたモーターを制御部200からの指示により電子制御して操舵輪40L、40Rの操舵角度を調整する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 走行車体
11 作業機
40L、40R 前輪(操舵輪)
50L、50R 後輪
200 制御部
621 畔検出センサ
621A 第1畔検出センサ
621B 第2畔検出センサ