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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025102137
(43)【公開日】2025-07-08
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20250701BHJP
   G03G 21/00 20060101ALN20250701BHJP
【FI】
G03G15/20 530
G03G15/20 555
G03G21/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219393
(22)【出願日】2023-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 正志
(72)【発明者】
【氏名】西埜植 一紀
(72)【発明者】
【氏名】大西 泰造
(72)【発明者】
【氏名】中村 あずさ
(72)【発明者】
【氏名】酒巻 務
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA35
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA25
2H033BA31
2H033BA32
2H033BB33
2H033BB34
2H033BB37
2H033BE00
2H033CA06
2H033CA22
2H033CA34
2H033CA38
2H033CA40
2H270KA35
2H270LA25
2H270LA31
2H270LC22
2H270LD03
2H270LD05
2H270LD08
2H270LD15
2H270MC44
2H270MC55
2H270MD12
2H270MD14
2H270MD20
2H270MH09
2H270NE02
2H270NE07
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】定着部及びその周辺でジャムが発生した場合に、残紙の位置を明確に特定してジャム処理を容易に行うこと。
【解決手段】加熱機能を有した加熱ローラーを含む加熱部と加熱機能を有していない加圧ローラーを含む加圧部との間に定着ニップが形成された定着部と、定着部の上流側の所定の第1搬送位置及び定着部の下流側の所定の第2搬送位置において用紙を検出する搬送センサーと、加圧ローラーの温度を検出する温度センサーと、搬送センサーの検出結果及び温度センサーの検出結果に基づいて、用紙の搬送状態を判断する判断部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱機能を有した加熱ローラーを含む加熱部と加熱機能を有していない加圧ローラーを含む加圧部との間に定着ニップが形成された定着部と、
前記定着部の上流側の所定の第1搬送位置及び前記定着部の下流側の所定の第2搬送位置において用紙を検出する搬送センサーと、
前記加圧ローラーの温度を検出する温度センサーと、
前記搬送センサーの検出結果及び前記温度センサーの検出結果に基づいて、用紙の搬送状態を判断する判断部と、を備える、
画像形成装置。
【請求項2】
前記温度センサーは、前記加圧ローラーにおける前記定着ニップの出口側の所定の回転位置の温度を検出し、
前記所定の回転位置から前記定着ニップまでの距離は、前記所定の第2搬送位置から前記定着ニップまでの距離よりも短い、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判断部は、
用紙の先端が前記所定の第1搬送位置を通過してから、用紙の先端が前記定着ニップに到達したことを確認するための所定の到達時間経過後に、前記温度センサーの検出結果の変化に基づいて、用紙が前記定着ニップに到着する前の未到着ジャムが発生しているか否かを判断する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判断部は、
前記所定の到達時間経過後に、前記加圧ローラーの温度が上昇する場合には、未到着ジャムが発生していると判断する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
用紙の先端が前記所定の第1搬送位置を通過してから、用紙の先端が前記所定の第2搬送位置を通過すると推定される所定の先端通過時間経過後に、前記所定の第2搬送位置において用紙無しが検出されたことを条件として、前記温度センサーの検出結果の変化に基づいて、用紙が前記加熱部側に巻き付く加熱側巻き付きジャム、又は用紙が前記加圧部側に巻き付く加圧側巻き付きジャムのいずれかのジャムが発生しているか判断する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記判断部は、
前記所定の先端通過時間経過後に、前記所定の第2搬送位置において用紙無しが検出されたことを条件として、前記加圧ローラーの温度がジャムの種類を判断するための基準値よりも大きく下降する場合には、加圧側巻き付きジャムが発生していると判断すると共に、前記加圧ローラーの温度が前記基準値よりも小さく下降する場合には、加熱側巻き付きジャムが発生していると判断する、
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記判断部は、
用紙の先端が前記所定の第1搬送位置を通過してから、用紙の先端が前記所定の第2搬送位置を通過すると推定される所定の先端通過時間経過後で、かつ用紙の後端が前記所定の第2搬送位置を通過すると推定される所定の後端通過時間経過前に、前記所定の第2搬送位置において用紙有りが一旦検出されてから用紙無しが検出されたことを条件として、前記温度センサーの検出結果の変化に基づいて、加熱側巻き付きジャム又は加圧側巻き付きジャムのいずれかのジャムが発生しているか判断する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記判断部は、
前記所定の先端通過時間経過後でかつ前記所定の後端通過時間経過前に、前記所定の第2搬送位置において用紙有りが一旦検出されてから用紙無しが検出されたことを条件として、前記加圧ローラーの温度がジャムの種類を判断するための基準値よりも大きく下降する場合には、加圧側巻き付きジャムが発生していると判断すると共に、前記加圧ローラーの温度が前記基準値よりも小さく下降する場合には、加熱側巻き付きジャムが発生していると判断する、
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記判断部は、
用紙の先端が前記所定の第1搬送位置を通過してから、用紙の後端が前記所定の第2搬送位置を通過すると推定される所定の後端通過時間経過後に、前記所定の第2搬送位置において用紙有りが検出されたことを条件として、用紙が前記所定の第2搬送位置に残留する残留ジャムが発生していると判断する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記判断部は、用紙が前記定着ニップに到達しない未到着ジャム、用紙が前記加熱部側に巻き付く加熱側巻き付きジャム、用紙が前記加圧部側に巻き付く加圧側巻き付きジャム、又は用紙が前記所定の第2搬送位置に残留する残留ジャムのいずれかのジャムが発生していると判断し、
未到着ジャム、加圧側巻き付きジャム、加熱側巻き付きジャム、又は残留ジャムのいずれかのジャムが発生していると判断された場合に、その判断結果に基づいて残紙の位置を報知する報知部を更に備える、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記報知部は、加圧側巻き付きジャム又は加熱側巻き付きジャムが発生したと判断された場合に、定着条件又は画像条件を変更するように報知する、
請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
定着条件は、前記定着ニップのニップ幅、前記加熱ローラーの温度、前記定着部における用紙の搬送速度、又は前記定着部のエア分離部材からのエアの吹出量の少なくともいずれかである、
請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
画像条件は、用紙の先端余白量又はトナーの付着量の少なくともいずれかである、
請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記判断部は、用紙が前記定着ニップに到達しない未到着ジャム、用紙が前記加熱部側に巻き付く加熱側巻き付きジャム、用紙が前記加圧部側に巻き付く加圧側巻き付きジャム、又は用紙が前記所定の第2搬送位置に残留する残留ジャムのいずれかのジャムが発生していると判断し、
加圧側巻き付きジャム又は加熱側巻き付きジャムが発生したと判断された場合に、その判断結果に応じた定着条件又は画像条件を選択できるように表示部に表示させる表示制御部を更に備える、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項15】
加圧側巻き付きジャム又は加熱側巻き付きジャムが発生したと判断された場合に、その判断結果に応じて選択された定着条件又は画像条件に基づいて、前記定着部を調整する調整部を更に備える、
請求項14に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、用紙の物性等によって定着部に巻き付きジャムが発生する場合がある。定着部及びその付近において巻き付きジャム等のジャムが発生したか否かを判断するために、例えば特許文献1に記載の従来の画像形成装置では、次のような構成が採られている。
【0003】
定着部の上流側には、定着部の上流側の所定の第1搬送位置においてシートの有無を検出する第1シートセンサが設けられている。定着部の下流側には、定着部の下流側の所定の第2搬送位置においてシートの有無を検出する第2シートセンサが設けられている。定着部において加熱機能を有した第1定着部材に対向する位置には、第1定着部材の温度を検出する温度センサーが設けられている。制御部は、第1シートセンサの検出結果及び第2シートセンサの検出結果に基づいて、所定の第1搬送位置付近、所定の第2搬送位置付近、又はこれらの搬送位置の間において、ジャムが発生したか否か判断する。制御部は、温度センサーの検出結果に基づいて、シートが第1定着部材側に巻き付く巻き付きジャムが発生したか否か判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-71368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般に定着部及びその周辺で発生し得るジャムには様々な態様があるが、上記従来の画像形成装置においては、判別可能なジャムの態様数が少ないという課題がある。例えば巻き付きジャムに関して、上記従来の画像形成装置では、シートが、加熱機能を有した第1定着部材に巻き付く態様しか判別できない。そのため、所定の第1搬送位置と所定の第2搬送位置との間においてジャムが発生した場合に、残紙の位置を明確に特定することができず、ジャム処理に手間と時間を要するという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、定着部及びその周辺でジャムが発生した場合に、残紙の位置を明確に特定してジャム処理を容易に行うことができる、画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置の一態様は、
加熱機能を有した加熱ローラーを含む加熱部と加熱機能を有していない加圧ローラーを含む加圧部との間に定着ニップが形成された定着部と、
前記定着部の上流側の所定の第1搬送位置及び前記定着部の下流側の所定の第2搬送位置において用紙を検出する搬送センサーと、
前記加圧ローラーの温度を検出する温度センサーと、
前記搬送センサーの検出結果及び前記温度センサーの検出結果に基づいて、用紙の搬送状態を判断する判断部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、定着部及びその周辺でジャムが発生した場合に、残紙の位置を明確に特定してジャム処理を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す模式的な図である。
図2図2は、本実施形態に係る画像形成装置の定着部及びその周辺の構成を示す模式的な図である。
図3図3は、本実施形態に係る画像形成装置の制御ブロック図である。
図4図4は、加圧ローラーの所定の回転位置の温度と時間との関係を示す図である。
図5図5は、加圧側巻き付きジャムが発生した様子を示す模式的な図である。
図6図6は、加熱側巻き付きジャムが発生した様子を示す模式的な図である。
図7図7は、用紙の搬送状態の判断処理を説明するためのフローチャートである。
図8図8は、用紙の搬送状態の判断処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について図面を参照して説明する。なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、上流側とは、用紙の搬送方向の上流側のことであり、下流側とは、搬送方向の下流側のことである。
【0011】
図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置10の全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の全体構成を示す模式的な図である。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置10は、タンデム型の画像形成装置と称されるものであり、記録媒体としての用紙Sにトナー像を形成する。画像形成装置10は、装置本体12を備えている。
【0013】
装置本体12の上部には、原稿の画像を読み取るための画像読取部14が設けられている。画像読取部14は、コンタクトガラス上に載置された原稿D、又はコンタクトガラス上に搬送された原稿Dを光学的に走査する。画像読取部14は、走査した原稿の画像をCCD(Charge Coupled Device)センサー16により光学的に読み取って画像データを生成する。また、装置本体12内の上部には、画像読取部14からの画像データに対してシェーディング補正、圧縮処理等の画像処理を行う画像処理部18が設けられている。
【0014】
装置本体12における画像読取部14の上側には、ADF(Auto Document Feeder)と称される原稿搬送部20が設けられている。原稿搬送部20は、原稿トレイにセットされた原稿Dを画像読取部14のコンタクトガラス上に搬送する。また、装置本体12の上部の正面側(前側)には、操作部と表示部としての機能を有した操作表示部22が設けられている。操作表示部22は、例えばタッチスクリーン付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成されている。操作表示部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを有しており、操作部として、ユーザーによる各種入力操作を受け付けている。操作表示部22は、表示部として、各種操作画面、画像の状態、及び各機能の動作状況等を表示する。
【0015】
装置本体12内の上部には、電子写真方式により画像を形成する画像形成部24が設けられている。画像形成部24は、画像データに基づいて、Y(イエロー)成分、M(マゼンタ)成分、C(シアン)成分、K(ブラック)成分の各有色トナーによる画像を形成するための4つの画像形成ユニット26Y、26M、26C、26Kを有している。4つの画像形成ユニット26Y、26M、26C、26Kは、上下方向に沿って配置されている。
【0016】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット26Y、26M、26C、26Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示す。図1では、Y成分用の画像形成ユニット26Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット26M、26C、26Kの構成要素については符号が省略されている。
【0017】
画像形成ユニット26は、感光体ドラム28と、その周囲に配置される帯電部30、露光部(走査光学装置)32、現像部34、及びドラムクリーニング部36を有している。
【0018】
感光体ドラム28は、例えばアルミニウムからなる導電性円筒体の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。感光体ドラム28は、回転モータ(不図示)の駆動により一定の周速で回転する。
【0019】
帯電部30は、感光体ドラム28の外周面を一様に負極性に帯電する。露光部32は、走査光としてのレーザ光を射出して感光体ドラム28の外周面を露光しながら走査することで、感光体ドラム28の外周面に静電潜像を形成する。露光部32から射出されたレーザ光は、YMCK各色の画像データに応じて光量が変調される。
【0020】
現像部34は、例えば二成分現像方式の現像部である。現像部34は、感光体ドラム28の外周面に各色成分のトナーを付着させることで、感光体ドラム28の外周面に静電潜像を可視化してトナー像を形成する。また、ドラムクリーニング部36は、一次転写後に感光体ドラム28の外周面に残存する転写残トナーをクリーニングする。ドラムクリーニング部36は、感光体ドラム28の外周面に摺接するドラムクリーニングブレード等を有している。
【0021】
装置本体12内の上部には、用紙Sにトナー像を転写するための中間転写ユニット38が設けられている。中間転写ユニット38は、無端状の中間転写ベルト40、複数の支持ローラー42、一次転写ローラー44、二次転写ローラー46、及びベルトクリーニング部48を備える。
【0022】
中間転写ベルト40は、上下方向に延びており、複数の支持ローラー42に張架される。中間転写ベルト40は、複数の支持ローラー42の回転によって循環走行する。複数の支持ローラー42のうちの少なくとも1つの支持ローラー42は、回転モータ(不図示)に連動するように連結した駆動ローラーで構成されており、その他の支持ローラー42は、従動ローラー(フリーローラー)で構成される。
【0023】
一次転写ローラー44は、中間転写ベルト40の内周面側に各色成分の感光体ドラム28に対向して配置されている。一次転写ローラー44は、感光体ドラム28と協働して中間転写ベルト40を挟持する。一次転写ローラー44の外周面と感光体ドラム28の外周面との間には、感光体ドラム28から中間転写ベルト40へトナー像を転写するための一次転写ニップCNが形成される。
【0024】
二次転写ローラー46は、中間転写ベルト40の外周面側に所定の支持ローラー42と対向して配置されている。二次転写ローラー46は、所定の支持ローラー42と協働して中間転写ベルト40を挟持する。二次転写ローラー46の外周面と所定の支持ローラー42の外周面との間には、中間転写ベルト40から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップTNが形成される。
【0025】
中間転写ベルト40が一次転写ニップCNを通過する際、感光体ドラム28のトナー像が中間転写ベルト40に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー44に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト40の裏面側(一次転写ローラー44と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することで、トナー像が中間転写ベルト40に静電的に転写される。
【0026】
その後、用紙Sが二次転写ニップTNを通過する際、中間転写ベルト40上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー46に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側(二次転写ローラー46と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することで、トナー像は用紙Sに静電的に転写され、用紙Sに画像を形成することができる。
【0027】
ベルトクリーニング部48は、二次転写後に中間転写ベルト40の表面に残留する転写残トナーを除去する。ベルトクリーニング部48は、中間転写ベルト40の表面に摺接するクリーニングブレードを有している。
【0028】
装置本体12内における二次転写ニップTNの出口側には、トナー像を用紙Sに定着させるための定着部50が設けられている。定着部50は、用紙Sを加熱及び加圧しながら搬送するための定着ニップFNを有している。なお、定着部50の具体的な構成については、後述する。
【0029】
装置本体12の下部には、用紙Sを給紙するための給紙部52が設けられている。給紙部52は、複数枚の用紙Sを収容する複数の給紙トレイ54を有している。各給紙トレイ54は、坪量及びサイズ等によって予め設定された種類の用紙Sを収容する。
【0030】
装置本体12内における定着部50の下流側には、画像形成済みの用紙Sを装置本体12の外側に排紙するための排紙部56が設けられている。排紙部56は、排紙ローラー対58を有している。排紙ローラー対58が回転することで、画像形成済みの用紙Sを装置本体12の外側に排紙することができる。
【0031】
装置本体12内における給紙部52と排紙部56との間には、主搬送路60が設けられている。主搬送路60は、用紙Sの表面にトナー像を形成する際に用紙Sを搬送する経路である。主搬送路60は、レジストローラー対62を含む複数の搬送ローラー対、二次転写ニップTN、及び定着ニップFNを経由して用紙Sを搬送する経路である。また、装置本体12内における給紙部52の近傍には、用紙Sの表裏を反転させる反転搬送路64が設けられている。反転搬送路64は、用紙Sの裏面にトナー像を形成する際に用紙Sを搬送する経路であり、主搬送路60に接続されている。
【0032】
給紙トレイ54に収容された用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、主搬送路60により二次転写ニップTNに向かって搬送される。このとき、レジストローラー対62により用紙Sの傾きが補正されると共に、用紙S搬送タイミングが調整される。そして、二次転写ニップTNにおいて、中間転写ベルト40のトナー像が用紙Sの一方の面(表面又は裏面)に一括して二次転写され、定着ニップFNにおいて、トナー像が用紙Sに定着される。その後、画像形成済みの用紙Sは、排紙部56から装置本体12の外側に排紙される。
【0033】
続いて、図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置10の定着部50及びその周辺の構成について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置10の定着部50及びその周辺の構成を示す模式的な図である。
【0034】
図2に示すように、定着部50は、用紙Sを加熱するための加熱部66を有している。加熱部66は、加熱ローラー68、定着ローラー70、及無端状の定着ベルト72を含んでいる。
【0035】
加熱ローラー68は、例えばアルミニウム、鉄、SUS(ステンレス鋼材)等からなる中空円筒状の芯金と、心金に内側に設けられた例えばハロゲンランプ等の加熱装置74とを有している。加熱装置74を内蔵した加熱ローラー68は、加熱機能を有している。また、定着ローラー70は、加熱ローラー68に対向する位置に配置されている。定着ローラー70は、例えばアルミニウム、鉄、SUS等からなる中空円筒状の芯金と、心金の外周面に設けられかつ例えばシリコーンゴム又はシリコーンスポンジ等からなる表層とを有している。加熱装置74を内蔵していない定着ローラー70は、加熱機能を有していない。
【0036】
定着ベルト72は、加熱ローラー68と定着ローラー70に張架されている。定着ベルト72は、例えばポリイミド樹脂(PI)等からなる基材と、基材に表面に積層されかつ例えばシリコーンゴム等からなる弾性層と、弾性層の表面に積層されかつ例えばPFA(ポリテトラフルオロエチレン)等からなる表層とを有している。
【0037】
定着部50は、用紙Sを加圧するための加圧部76を有しており、加圧部76は、定着ベルト72を介して定着ローラー70に所定の定着荷重で圧接する加圧ローラー78を含んでいる。加圧ローラー78は、定着ベルト72の外側における定着ローラー70に対向する位置に設けられている。加圧ローラー78は、例えばアルミニウム、鉄、SUS等からなる中空円筒状の芯金と、心金の外周面に設けられかつ例えばシリコーンゴム等からなる弾性層と、弾性層の表面に設けられかつ例えばPFAチューブ等からなる表層とを有している。加熱装置74を内蔵していない加圧ローラー78は、加熱機能を有していない。また、定着ローラー70(加熱部66)と加圧ローラー78(加圧部76)との間には、定着ニップFNが形成される。
【0038】
加圧ローラー78が不図示のモータの駆動により回転することで、定着ベルト72が従動して周回する。定着ベルト72が周回することで、加熱ローラー68及び定着ローラー70が従動して回転する。これにより、定着ニップFNにおいて用紙Sを加熱及び加圧しながら搬送して、未到着のトナー像を用紙Sに定着させることができる。
【0039】
定着部50は、加圧ローラー78から用紙Sを分離するための当接分離部材80を有しており、当接分離部材80は、加圧ローラー78の外周面に当接可能である。当接分離部材80が加圧ローラー78の外周面に当接することで、加圧ローラー78から用紙Sを分離することができる。
【0040】
定着部50は、定着ベルト72から用紙Sを分離するためのエア分離部材82を有しており、エア分離部材82は、定着ニップFNに向かってエアを吹き出し可能である。エア分離部材82が定着ニップFNに向かってエアが吹き出すことで、定着ベルト72から用紙Sを分離することができる。
【0041】
主搬送路60における定着部50の上流側には、定着部50の上流側の所定の第1搬送位置において用紙Sを検出する第1搬送センサー84が設けられている。第1搬送センサー84は、用紙Sの先端が所定の第1搬送位置を通過したことを検出する。また、主搬送路60における定着部50の下流側には、定着部50の下流側の所定の第2搬送位置において用紙Sを検出する第2搬送センサー86が設けられている。第2搬送センサー86は、所定の第2搬送位置において用紙Sの有無を検出する。
【0042】
加圧ローラー78に対向する位置には、加圧ローラー78における定着ニップFNの出口側の所定の回転位置(周方向位置)の温度を検出する第1温度センサー88が設けられている。加圧ローラー78における定着ニップFNの出口側の所定の回転位置から定着ニップFNまでの距離は、所定の第2搬送位置から定着ニップFNまでの距離よりも短くなっている。また、加熱ローラー68に対向する位置には、加熱ローラー68(定着ベルト72)の温度を検出する第2温度センサー90が設けられている。
【0043】
図3から図6を参照して、本実施形態に係る画像形成装置10の制御構成について説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置10の制御ブロック図である。図4は、加圧ローラー78の所定の回転位置の温度と時間との関係を示す図である。図5は、加圧側巻き付きジャムが発生した様子を示す模式的な図である。図6は、加熱側巻き付きジャムが発生した様子を示す模式的な図である。
【0044】
図3に示すように、画像形成装置10は、画像読取部14、画像処理部18、操作表示部22、画像形成部24、中間転写ユニット38、及び定着部50等を制御する制御部92を備えている。制御部92は、画像形成装置10全体の制御を司る役割を担う。制御部92は、CPU(Central Processing Unit)94、ROM(Read Only Memory)96、RAM(Random Access Memory)98、記憶部100、及び通信部102を有する。
【0045】
CPU94は、画像形成装置10の全体動作を統括制御する。CPU94は、ROM96に記憶された各種制御用のプログラム及び設定データを読み出してRAM98に記憶させ、当該プログラムを実行して各種の演算処理を行う。RAM98は、CPU94に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。また、CPU94は、各種の演算処理を行う際に、記憶部100に格納された各種データを参照する。記憶部100は、例えば不揮発性の半導体メモリー又はハードディスクドライブにより構成される。
【0046】
制御部92は、通信部102を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部92は、例えば、外部装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙Sにトナー像を形成させる。通信部102は、例えばLANカード等の通信制御カードにより構成される。
【0047】
制御部92(CPU94)は、各種制御用のプログラムを実行することで、以下のように、特許請求の範囲の「判断部」、「報知部」、「表示制御部」、「調整部」としての機能を発揮する。そして、制御部92の要部の構成は、次の通りである。
【0048】
制御部92は、第1搬送センサー84の検出結果、第2搬送センサー86の検出結果、及び第1温度センサー88の検出結果に基づいて、用紙Sの搬送状態を判断する。そして、具体的には、制御部92は、用紙Sの搬送状態を次のように判断する。
【0049】
図3及び図4に示すように、制御部92は、用紙Sの先端が所定の第1搬送位置を通過してから、所定の到達時間T1経過後に、第1温度センサー88の検出結果の変化に基づいて、未到着ジャムが発生しているか否かを判断する。所定の到達時間T1とは、用紙Sの先端が定着ニップFNに到達したことを確認するための時間のことである。具体的には、所定の到達時間T1とは、用紙Sの先端が定着ニップFNに到達したと推定される時間と、加圧ローラー78における用紙Sの先端と接触した部位が所定の回転位置に達するまでの時間との和である。未到着ジャムとは、用紙Sの先端が定着ニップFNに到着する前のジャムのことである。
【0050】
具体的には、制御部92は、所定の到達時間T1経過後に、図4に示すラインL1のように、加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が上昇する場合には、未到着ジャムが発生していると判断する。制御部92は、所定の到達時間T1経過後に、加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が下降する場合には、用紙Sが定着部50に到着したと判断する。
【0051】
制御部92は、用紙Sの先端が所定の第1搬送位置を通過してから、所定の先端通過時間T2経過後に、所定の第1条件の下で、第1温度センサー88の検出結果の変化に基づいて、加熱側巻き付きジャム又は加圧側巻き付きジャムのいずれかが発生しているか判断する。所定の先端経過時間T2とは、用紙Sの先端が所定の第2搬送位置を通過すると推定される時間ことである。所定の第1条件とは、第2搬送センサー86によって所定の第2搬送位置において用紙無しが検出されたことである。加熱側巻き付きジャムとは、図5に示すように、用紙Sが加熱部66側(加熱ローラー68側)に巻き付くジャムことである。加圧側巻き付きジャムとは、図6に示すように、用紙Sが加圧部76側(加圧ローラー78側)に巻き付くジャムことである。
【0052】
具体的には、制御部92は、所定の先端通過時間T2経過後に、所定の第1条件の下で、図4の示すラインL2のように、加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が基準値よりも大きく下降する場合には、加圧側巻き付きジャムが発生していると判断する。制御部92は、所定の先端通過時間T2経過後に、所定の第1条件の下で、図4に示すラインL3のように、加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が基準値よりも小さく下降する場合には、加熱側巻き付きジャムが発生していると判断する。基準値とは、ジャムの種類を判断するための基準となる値であって、具体的には、加熱側巻き付きジャム又は加圧側巻き付きジャムのいずれかのジャムが発生しているか判断するための基準となる単位時間当たりの下降温度のことである。なお、図4に示すラインL3は、正常時における加圧ローラー78の所定の回転位置の温度推移と略同じである。
【0053】
制御部92は、用紙Sの先端が所定の第1搬送位置を通過してから、所定の先端通過時間T2経過後でかつ所定の後端通過時間T3経過前に、所定の第2条件の下で、温度センサーの検出結果の変化に基づいて、加熱側巻き付きジャム又は加圧側巻き付きジャムのいずれかが発生しているか判断する。所定の後端通過時間T3とは、用紙Sの後端が所定の第2搬送位置を通過すると推定される時間のことである。所定の第2条件とは、第2搬送センサー86によって所定の第2搬送位置において用紙有りが一旦検出されてから用紙無しが検出されたことである。
【0054】
具体的には、制御部92は、所定の先端通過時間T2経過後でかつ所定の後端通過時間T3経過前に、所定の第2条件の下で、加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が基準値よりも大きく下降する場合には、加圧側巻き付きジャムが発生していると判断する。制御部92は、所定の先端通過時間T2経過後でかつ所定の後端通過時間T3経過前に、所定の第2条件の下で、加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が基準値よりも小さく下降する場合には、加熱側巻き付きジャムが発生していると判断する。
【0055】
図3及び図4に示すように、制御部92は、用紙Sの先端が所定の第1搬送位置を通過してから、所定の後端通過時間T3経過後に、所定の第3条件の下で、残留ジャムが発生していると判断する。所定の第3条件とは、第2搬送センサー86によって所定の第2搬送位置において用紙有りが検出されたことである。残留ジャムとは、用紙Sが所定の第2搬送位置に残留するジャムのことである。
【0056】
制御部92は、未到着ジャム、加圧側巻き付きジャム、加熱側巻き付きジャム、又は残留ジャムのいずれかのジャムが発生していると判断した場合に、その判断結果に基づいて残紙の位置を操作表示部22への表示によって報知する。
【0057】
制御部92は、加圧側巻き付きジャム又は加熱側巻き付きジャムが発生したと判断された場合に、定着条件又は画像条件を変更するように操作表示部22への表示によって報知する。ここで、定着条件は、定着ニップFNのニップ幅、加熱ローラー68の温度、定着部50における用紙Sの搬送速度、又はエア分離部材82からのエアの吹出量の少なくともいずれかである。画像条件は、用紙Sの先端余白量又はトナーの付着量の少なくともいずれかである。
【0058】
制御部92は、加圧側巻き付きジャム又は加熱側巻き付きジャムが発生したと判断した場合に、その判断結果に応じた定着条件又は画像条件を選択できるように操作表示部22に表示させる。また、制御部92は、加圧側巻き付きジャム又は加熱側巻き付きジャムが発生したと判断した場合に、その判断結果に応じて選択された定着条件又は画像条件に基づいて、定着部50を調整する。
【0059】
続いて、図7及び図8を参照して、用紙Sの搬送状態の判断処理について説明する。図7及び図8は、用紙Sの搬送状態の判断処理を説明するためのフローチャートである。
【0060】
図7に示すように、用紙Sの先端が所定の第1搬送位置を通過すると、第1搬送センサー84がONになる(図7のステップS101)。そして、制御部92は、所定の到達時間T1経過後に(図7のステップS102)、第1温度センサー88の検出結果に基づいて、加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が上昇するか否か判断する(図7のステップS103)。そして、加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が上昇する場合(図7のステップS103のYESの場合)には、制御部92は、未到着ジャムが発生していると判断する(図7のステップS104)。
【0061】
加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が下降する場合(図7のステップS103のNOの場合)には、制御部92は、用紙Sが定着ニップFNに到着したと判断する(図7のステップS105)。そして、制御部92は、所定の先端通過時間T2経過後に(図7のステップS106)、第2搬送センサー86によって所定の第2搬送位置において用紙有りが検出されたか否か判断する(図7のステップS107)。
【0062】
所定の第2搬送位置において用紙無しが検出された場合(図7のステップS107のNOの場合)には、制御部92は、加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が基準値よりも大きく下降するか否か判断する(図7のステップS108)。そして、加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が基準値よりも大きく下降する場合(図7のステップS108のYESの場合)には、制御部92は、加圧側巻き付きジャムが発生していると判断する(図7のステップS109)。加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が基準値よりも小さく下降する場合(図7のステップS108のNOの場合)には、制御部92は、加熱側巻き付きジャムが発生していると判断する(図7のステップS110)。
【0063】
図7及び図8に示すように、所定の第2搬送位置において用紙有りが検出された場合(図7のステップS107のYESの場合)には、制御部92は、用紙Sの先端が所定の第2搬送位置を通過したと判断する(図7のステップS111)。そして、制御部92は、用紙Sの先端が所定の第1搬送位置を通過してから、所定の後端通過時間T3を経過しているか否か判断する(図8のステップS112)。所定の後端通過時間T3を経過していない場合(図8のステップS112のNOの場合)には、第2搬送センサー86によって所定の第2搬送位置において用紙有りが検出されたか否か判断する(図8のステップS113)。
【0064】
図8に示すように、所定の第2搬送位置において用紙有りが検出された場合(図8のステップS113のYESの場合)には、制御部92は、ステップS112処理を戻す。一方、所定の第2搬送位置において用紙無しが検出された場合(図8のステップS113のNOの場合)には、制御部92は、加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が基準値よりも大きく下降するか否か判断する(図8のステップS114)。そして、加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が基準値よりも大きく下降する場合(図8のステップS114のYESの場合)には、制御部92は、加圧側巻き付きジャムが発生していると判断する(図8のステップS115)。加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が基準値よりも小さく下降する場合(図8のステップS114のNOの場合)には、制御部92は、加熱側巻き付きジャムが発生していると判断する(図8のステップS116)。
【0065】
所定の後端通過時間T3を経過した場合(図8のステップS112のYESの場合)には、制御部92は、第2搬送センサー86によって所定の第2搬送位置において用紙有りが検出されたか否か判断する(図8のステップS117)。そして、所定の第2搬送位置において用紙無しが検出された場合(図8のステップS117のNOの場合)には、制御部92は、用紙Sの搬送状態が正常であると判断する(図8のステップS118)。所定の第2搬送位置において用紙有りが検出された場合(図8のステップS117のYESの場合)には、制御部92は、残留ジャムが発生していると判断する(図7にけるステップS119)。
【0066】
本実施形態に係る画像形成装置10の構成によると、前述のように、第1搬送センサー84が定着部50の上流側の所定の第1搬送位置を用紙Sの先端が通過したことを検出する。第2搬送センサー86が定着部50の下流側の所定の第2搬送位置において用紙の有無を検出する。第1温度センサー88は、加熱機能を有していない加圧ローラー78における定着ニップFNの出口側の所定の回転位置の温度を検出する。そして、制御部92は、第1搬送センサー84の検出結果、第2搬送センサー86の検出結果、及び第1温度センサー88の検出結果に基づいて、用紙Sの搬送状態を判断する。そのため、制御部92は、所定の第1搬送位置と所定の第2搬送位置との間において、未到着ジャム、加熱側巻き付きジャム、又は加圧側巻き付きジャムのいずれかのジャムが発生している否か判断できる。これにより、本実施形態によれば、所定の第1搬送位置と所定の第2搬送位置との間においてジャムが発生した場合に、残紙の位置を明確に特定してジャム処理を容易に行うことができる。
【0067】
また、本実施形態に係る画像形成装置10の構成によると、前述のように、加圧ローラー78における定着ニップFNの出口側の所定の回転位置から定着ニップFNまでの距離は、所定の第2搬送位置から定着ニップFNまでの距離よりも短くなっている。そのため、本実施形態によれば、制御部92は、所定の第1搬送位置と所定の第2搬送位置との間において、未到着ジャム、加熱側巻き付きジャム、又は加圧側巻き付きジャムのいずれかのジャムが発生している否か迅速に判断できる。
【0068】
また、本実施形態に係る画像形成装置10の構成によると、前述のように、制御部92は、所定の到達時間T1経過後に、第1温度センサー88の検出結果の変化に基づいて、未到着ジャムが発生しているか否かを判断する。そのため、本実施形態によれば、制御部92は、所定の第1搬送位置と所定の第2搬送位置との間において、未到着ジャムが発生している否かを高精度に判断することができる。
【0069】
また、制御部92は、所定の先端通過時間T2経過後に、所定の第1条件の下で、第1温度センサー88の検出結果の変化に基づいて、加熱側巻き付きジャム又は加圧側巻き付きジャムのいずれかのジャムが発生しているか判断する。そのため、本実施形態によれば、制御部92は、所定の第1搬送位置と所定の第2搬送位置との間において、加熱側巻き付きジャム又は加圧側巻き付きジャムのいずれかのジャムが発生している否かを高精度に判断することができる。
【0070】
また、本実施形態に係る画像形成装置10の構成によると、前述のように、制御部92は、所定の到達時間T1経過後に、加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が上昇する場合には、未到着ジャムが発生していると判断する。制御部92は、制御部92は、所定の先端通過時間T2経過後に、所定の第1条件の下で、加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が基準値よりも大きく下降する場合には、加圧側巻き付きジャムが発生していると判断する。制御部92は、所定の先端通過時間T2経過後に、所定の第1条件の下で、加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が基準値よりも小さく下降する場合には、加熱側巻き付きジャムが発生していると判断する。そのため、本実施形態によれば、制御部92は、所定の第1搬送位置と所定の第2搬送位置との間において、未到着ジャム、加熱側巻き付きジャム、又は加圧側巻き付きジャムのいずれかのジャムが発生している否かをより高精度に判断することができる。
【0071】
本実施形態に係る画像形成装置10の構成によると、制御部92は、所定の時間に、所定の第2条件の下で、温度センサーの検出結果の変化に基づいて、加熱側巻き付きジャム又は加圧側巻き付きジャムのいずれかのジャムが発生しているか判断する。所定の時間とは、所定の先端通過時間T2経過後でかつ所定の後端通過時間T3経過前のことである。そのため、本実施形態によれば、制御部92は、用紙Sの途中から加熱ローラー68側又は加圧ローラー78側に巻き付くジャムが発生したか否かを高精度に判断することができる。
【0072】
前述のように、制御部92は、所定の時間に、所定の第2条件の下で、加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が基準値よりも大きく下降する場合には、用紙Sの途中からの加圧側巻き付きジャムが発生していると判断する。制御部92は、所定の時間に、所定の第2条件の下で、加圧ローラー78の所定の回転位置の温度が基準値よりも小さく下降する場合には、加熱側巻き付きジャムが発生していると判断する。そのため、本実施形態によれば、制御部92は、用紙Sの途中から加熱ローラー68側又は加圧ローラー78側に巻き付くジャムが発生したか否かをより高精度に判断することができる。
【0073】
本実施形態に係る画像形成装置10の構成によると、前述のように、制御部92は、所定の後端通過時間T3経過後に、所定の第3条件の下で、残留ジャムが発生していると判断する。そのため、本実施形態によれば、所定の第2搬送位置の下流側においてジャムが発生した場合にも、残紙の位置を明確に特定することができる。
【0074】
本実施形態に係る画像形成装置10の構成によると、前述のように、制御部92は、未到着ジャム又は加圧側巻き付きジャム等のいずれかのジャムが発生していると判断した場合に、その判断結果に基づいて残紙の位置を報知する。そのため、本実施形態によれば、ジャム処理をより容易に行うことができる。
【0075】
本実施形態に係る画像形成装置10の構成によると、前述のように、制御部92は、加圧側巻き付きジャム又は加熱側巻き付きジャムが発生したと判断した場合に、定着条件又は画像条件を変更するように報知する。そのため、本実施形態によれば、加圧側巻き付きジャム又は加熱側巻き付きジャムの再発を抑制することができる。
【0076】
本実施形態に係る画像形成装置10の構成によると、制御部92は、加圧側巻き付きジャム又は加熱側巻き付きジャムが発生したと判断した場合に、その判断結果に応じた定着条件又は画像条件を選択できるように操作表示部22に表示させる。そのため、本実施形態によれば、加圧側巻き付きジャム又は加熱側巻き付きジャムの再発を抑制することができる。
【0077】
本実施形態に係る画像形成装置10の構成によると、制御部92は、加圧側巻き付きジャム又は加熱側巻き付きジャムが発生したと判断した場合に、その判断結果に応じて選択された定着条件又は画像条件に基づいて、定着部50を調整する。そのため、本実施形態によれば、加圧側巻き付きジャム又は加熱側巻き付きジャムの再発をより抑制することができる。
【0078】
以上、本実施形態を具体的に説明したが、本発明は前述した特定の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、上記実施の形態に記載された具体例に対する種々の変形及び変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、所定の第1搬送位置と所定の第2搬送位置との間においてジャムが発生した場合に、残紙の位置を明確に特定してジャム処理を容易に行うことができる画像形成装置として有用である。
【符号の説明】
【0080】
10 画像形成装置
12 装置本体
14 画像読取部
16 CCDセンサー
18 画像処理部
20 原稿搬送部
22 操作表示部
24 画像形成部
26 画像形成ユニット
26C 画像形成ユニット
26K 画像形成ユニット
26M 画像形成ユニット
26Y 画像形成ユニット
28 感光体ドラム
30 帯電部
32 露光部
34 現像部
36 ドラムクリーニング部
38 中間転写ユニット
40 中間転写ベルト
42 支持ローラー
44 一次転写ローラー
46 二次転写ローラー
48 ベルトクリーニング部
50 定着部
52 給紙部
54 給紙トレイ
56 排紙部
58 排紙ローラー対
60 主搬送路
62 レジストローラー対
64 反転搬送路
66 加熱部
68 加熱ローラー
70 定着ローラー
72 定着ベルト
74 加熱装置
76 加圧部
78 加圧ローラー
80 当接分離部材
82 エア分離部材
84 第1搬送センサー(搬送センサー)
86 第2搬送センサー(搬送センサー)
88 第1温度センサー
90 第2温度センサー
92 制御部(判断部、報知部、表示制御部、調整部)
94 CPU
96 ROM
98 RAM
100 記憶部
102 通信部
CN 一次転写ニップ
TN 二次転写ニップ
FN 定着ニップ
D 原稿
S 用紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8