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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025102204
(43)【公開日】2025-07-08
(54)【発明の名称】施肥作業機
(51)【国際特許分類】
   A01C 15/00 20060101AFI20250701BHJP
【FI】
A01C15/00 D
A01C15/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219513
(22)【出願日】2023-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀田 直岐
(72)【発明者】
【氏名】石山 和宏
(72)【発明者】
【氏名】栗田 航
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 公明
【テーマコード(参考)】
2B052
【Fターム(参考)】
2B052BC05
2B052BC09
2B052BC16
2B052CA02
2B052CA06
2B052CA12
2B052EA02
2B052EA12
2B052EA15
(57)【要約】
【課題】施肥ホッパ内の肥料を複数の繰出部から繰出す施肥装置を装備した施肥作業機がある。然しながら、施肥ホッパに肥料を供給する際に、肥料袋を抱えたままでは施肥ホッパの蓋を開けることができず作業性の悪いものであった。そこで、肥料袋を抱えた状態でも施肥ホッパの蓋を開けることができる作業性の良い施肥作業機を提供する。
【解決手段】開閉自在の蓋体47を装備した肥料ホッパ41内の肥料を散布する施肥作業機において、肥料ホッパ41の機体外側方に蓋体47の回動支点となる枢支軸47aを設け、枢支軸47aを回動させて蓋体47を開ける蓋開閉ペダル48を設ける。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉自在の蓋体(47)を装備した肥料ホッパ(41)内の肥料を散布する施肥作業機において、肥料ホッパ(41)の機体外側方に蓋体(47)の回動支点となる枢支軸(47a)を設け、枢支軸(47a)を回動させて蓋体(47)を開ける蓋開閉ペダル(48)を設けたことを特徴とする施肥作業機。
【請求項2】
蓋開閉ペダル(48)を踏み込むことで蓋体(47)が開き、蓋開閉ペダル(48)から足を離すと自動的に蓋体(47)が閉まり、蓋開閉ペダル(48)が踏み込み位置で固定できることを特徴とする請求項1に記載の施肥作業機。
【請求項3】
蓋体(47)をロックする固定具(90c)を回動支持軸(90b)により回動自在に設け、固定具(90c)に設けたロック片(90e)を受面(90f)に回動支持軸(90b)の直下位置を越えた状態で圧接させて固定具(90c)をロック状態で固定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の施肥作業機。
【請求項4】
蓋体(47)がアクチュエータ(93)の作動で開閉し、肥料ホッパ(41)の残量センサ(44)が肥料の減量を検出し、且つ、車体が畦際に近づいたことを検出すると、アクチュエータ(93)の作動で蓋体(47)が開き、肥料供給の完了によりアクチュエータ(93)の作動で蓋体(47)が閉まることを特徴とする請求項1に記載の施肥作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に施肥する施肥作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
施肥ホッパ内の肥料を複数の繰出部から繰出す施肥装置を装備した施肥作業機がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-081099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
施肥ホッパに肥料を供給する際に、肥料袋を抱えたままでは施肥ホッパの蓋を開けることができず作業性の悪いものであった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、肥料袋を抱えた状態でも施肥ホッパの蓋を開けることができる作業性の良い施肥作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、開閉自在の蓋体47を装備した肥料ホッパ41内の肥料を散布する施肥作業機において、肥料ホッパ41の機体外側方に蓋体47の回動支点となる枢支軸47aを設け、枢支軸47aを回動させて蓋体47を開ける蓋開閉ペダル48を設けた施肥作業機である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、肥料袋を抱えた状態でも、蓋開閉ペダル48を踏み操作して蓋体47を開けることができ、肥料袋を一度おいて蓋体47を開け、再度肥料袋を持ち上げてから肥料投入するといった重労働から解放され、作業性が向上する。
【0008】
請求項2記載の発明は、蓋開閉ペダル48を踏み込むことで蓋体47が開き、蓋開閉ペダル48から足を離すと自動的に蓋体47が閉まり、蓋開閉ペダル48が踏み込み位置で固定できる請求項1に記載の施肥作業機である。
【0009】
請求項3記載の発明は、蓋体47をロックする固定具90cを回動支持軸90bにより回動自在に設け、固定具90cに設けたロック片90eを受面90fに回動支持軸90bの直下位置を越えた状態で圧接させて固定具90cをロック状態で固定する請求項1または請求項2に記載の施肥作業機である。
【0010】
請求項4記載の発明は、蓋体47がアクチュエータ93の作動で開閉し、肥料ホッパ41の残量センサ44が肥料の減量を検出し、且つ、車体が畦際に近づいたことを検出すると、アクチュエータ93の作動で蓋体47が開き、肥料供給の完了によりアクチュエータ93の作動で蓋体47が閉まる請求項1に記載の施肥作業機である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明における実施の形態の施肥装置付き乗用型田植機の左側面図である。
図2】本発明における実施の形態の施肥装置付き乗用型田植機の施肥装置の繰出駆動力伝動機構を示す側面図である。
図3】本発明における実施の形態の施肥装置付き乗用型田植機の駆動アームの要部を示す平面図である。
図4】本発明における実施の形態の施肥装置付き乗用型田植機の左側施肥装置の正面図である。
図5】本発明における実施の形態の施肥装置付き乗用型田植機の蓋体のロック機構の正面図である。
図6】本発明における実施の形態の施肥装置付き乗用型田植機の蓋体のロック機構の要部を示す拡大正面図である。
図7】本発明における実施の形態の施肥装置付き乗用型田植機の左側施肥装置の他の実施形態を示す正面図である。
図8】本発明における実施の形態の施肥装置付き乗用型田植機の左側施肥装置とエンジン部分の他の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本願の開示する施肥作業機の実施形態として施肥装置付き乗用型田植機1を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
<全体構成>
施肥装置付き乗用型田植機1は、左右一対の前輪3と左右一対の後輪4を備える走行車体2の後部に昇降装置20によって昇降動される苗植付装置30が設けられている。
【0014】
走行車体2の後部には、施肥装置40の本体部(左側施肥装置40Lと右側施肥装置40R)が設けられている。
【0015】
なお、走行車体2は、たとえば、前輪3および後輪4が駆動する四輪駆動となる。
【0016】
<走行車体2>
走行車体2は、機体フレーム5と、機体フレーム5上に設けられたエンジンEと、エンジンEで発生した動力を前輪3,後輪4および苗植付装置30や施肥装置40に伝達する動力伝達装置(ミッションケース等)6とを備える。
【0017】
すなわち、動力源であるエンジンEで発生した動力は、左右前輪3及び左右後輪4を回転駆動して走行車体2を前進または後進させるために使用されるだけでなく、苗植付装置30や施肥装置40の肥料繰出装置42を駆動するためにも使用される。
【0018】
エンジンEは、左右方向における走行車体2の中央部で、走行車体2に搭乗した作業者が足を載せるフロアステップ7よりも上方に突出した位置に配置される。なお、エンジンEとしては、ディーゼル機関やガソリン機関などの熱機関が用いられる。
【0019】
フロアステップ7は、前後方向において、走行車体2の前部に設けられる。フロアステップ7は、走行車体2の前部からエンジンEの後部にかけて設けられる。
【0020】
フロアステップ7は、機体フレーム5上に取り付けられる。フロアステップ7のうち、たとえば、後述する操縦席10付近の一部などは作業者の靴などに付着した泥などを圃場に落とせるように、平面視において格子状に形成される。
【0021】
また、フロアステップ7の前部には、フロントステップ7Fが設けられ、フロアステップ7の左右外側には左右拡張サイドステップ7Sが設けられている。
【0022】
なお、フロアステップ7の後部には、後輪4のフェンダを兼ねるリヤステップ7Rが設けられ、左右拡張サイドステップ7Sの外側部には、作業者が車体に乗降する乗降ステップ7Jが設けられている。
【0023】
エンジンEは、エンジンカバー8に覆われている。エンジンカバー8の上方には操縦席10が設けられる。動力伝達装置6は、エンジンEから動力が伝達されるベルト式動力伝達部と、エンジンEからベルト式動力伝達部を介して伝達される動力を変速する変速装置である油圧式無段変速機と、ミッションケースとを備える。
【0024】
油圧式無段変速機は、たとえば、HSTといわれる静油圧式無段変速機である。油圧式無段変速機は、主変速レバーが操作されることで、出力(回転速度)と出力方向(回転方向)とを変更可能である。すなわち、油圧式無段変速機は、回転速度や回転方向を変更することで、走行車体2の前後進や走行速度を変更可能である。
【0025】
ミッションケースには、油圧式無段変速機によって変速されたエンジンEからの動力を各部に伝達する伝動装置が設けられる。ミッションケースは、走行時や作業時における走行速度を切り替える副変速機構を備える。ミッションケースは、副変速レバーが操作されると、走行車体2の走行速度を、たとえば、植付作業時の走行速度よりも高速な走行速度、植付作業時における苗植付速度などに切り替え可能である。
【0026】
走行車体2の操縦席10は、作業者が操縦時に着席する座席である。
【0027】
走行車体2は、操縦席10の前方に、ステアリングハンドル9や植付レバーなどを備える。
【0028】
ステアリングハンドル9は、走行車体2のボンネット11上部に設けられ、作業者に操作されることで、走行車体2を操舵するものである。
【0029】
また、植付レバーは、ボンネット11上部に設けられ、植付・施肥クラッチを入切して苗植付装置30及び施肥装置40の肥料繰出装置42を駆動状態と非駆動状態とにするクラッチレバーであると共に、油圧バルブを切り替えて油圧式の昇降シリンダを伸縮動作させて昇降リンク21を駆動して苗植付装置30を昇降させる昇降レバーでもある。
【0030】
また、ボンネット11は、フロアステップ7から上方に突出して設けられている。ボンネット11には、たとえば、表示部(メータパネル)が設けられる。
【0031】
また、ボンネット11には、上記表示部の各表示部材や警報装置である警報ブザーやエンジンE等の各部を制御する制御コントローラCが設けられている。
【0032】
昇降装置20は、昇降リンク21を備える。昇降リンク21は、走行車体2の後部と苗植付装置30とを連結する上下リンクにて構成され、走行車体2の後部のリンクフレーム22と苗植付装置30とのそれぞれに対して上下方向に回動自在に連結されることで、走行車体2に対して苗植付装置30を昇降可能に連結する。
【0033】
なお、昇降リンク21は、走行車体2に対して苗植付装置30を上昇させる程、苗植付装置30が走行車体2に近づくリンク構成となっており、苗植付装置30を最上昇させて走行車体2から作業者が苗植付装置30の苗載置台31に苗供給する作業が容易に行なえる。
【0034】
また、昇降装置20は、油圧式の昇降シリンダを備える。昇降シリンダは、植付レバーが操作されて油圧バルブが切り替えられることで、伸縮動作する。昇降シリンダは、伸縮動作することで昇降リンク21を駆動して、苗植付装置30を昇降させる。すなわち、昇降シリンダは、植付レバーが操作されることで、苗植付装置30を上昇させた非作業位置、苗植付装置30を下降させた対地作業位置(植付位置)に切り替える。
【0035】
走行車体2の前側における左右両方の側部には、左右予備苗載部50を備える。
【0036】
予備苗載部50は、機体の左右側方位置で機体フレーム5に基部を固定した予備苗フレーム51に複数の積載台52を4段備える。
【0037】
積載台52は、パレット状で一対の側壁と底面とを備え、育苗箱にて育苗された予備苗を載置する。
【0038】
<苗植付装置30>
苗植付装置30は、昇降リンク21を介して走行車体2の後部に取り付けられる。苗植付装置30は、複数の列(条)で苗を植付けることが可能である。苗植付装置30は、苗載置台31と、フロート32と、植付装置33とを備える。
【0039】
苗載置台31は、機体の左右方向において、植付条数分の苗載せ面を有する。各苗載せ面は、上下方向に複数枚のマット苗(土付きマット苗)を載置可能な後下がりの傾斜面である。フロート32は、走行車体2の移動に伴い圃場(水田)の圃場面上を滑走しながら整地する。フロート32は、機体の左右方向において、機体中央部に配置されるセンターフロート32Cと、センターフロート32Cを挟んで左右方向の外側に配置される左右サイドフロート32L,32Rとを備える。
【0040】
フロート32(センターフロート32Cおよび左右サイドフロート32L,32R)は、圃場面の凹凸に応じて前部が上下動するように、苗植付装置30の植付フレーム30Fに回動自在に取り付けられる。
【0041】
苗植付装置30は、植付作業時にはセンターフロート32Cの前部の上下動が回動センサによって検知され、回動センサの検知結果に応じて制御部によって昇降シリンダの伸縮動作を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付装置30を昇降させ、苗の植付け深さを調節することができる。
【0042】
植付装置33は、植付フレーム30Fによって支持されることで、苗載置台31の下方に配置される。
【0043】
植付装置33は、植付ケースとロータリーケースとを備える。植付ケースは、苗載置台31に載置されたマット苗から苗をとって圃場面に植付ける。ロータリーケースは、植付ケースを回転可能に支持する。ロータリーケースには、植付ケースの回転速度を変化させながら植付ケースを回転させることが可能な不等速伝動機構が設けられる。植付ケースは、ロータリーケースに対する回転角度によって回転速度を変えながら回転する。
【0044】
<施肥装置40>
施肥装置40は、リヤステップ7Rの左右外側方に配置された左側施肥装置40Lと右側施肥装置40Rより構成され、圃場に粒状肥料を散布する装置である。乗用型田植機1においては、苗植付装置30によって圃場に苗を植付けながら、施肥装置40によって圃場に粒状肥料を散布する。
【0045】
リヤステップ7Rの左右側方及び後方を囲うように平面視でコ字状の枠体12を設け、該枠体12の基部を機体フレーム5に固定している。そして、枠体12で前記施肥装置40の肥料ホッパ41を支持している。
【0046】
施肥装置40の左側施肥装置40Lと右側施肥装置40Rは、各々走行車体2の後部上方に粒状肥料を貯留する肥料ホッパ41を備え、該肥料ホッパ41からエンジンEからの駆動力で回転駆動される肥料繰出装置42にて粒状肥料を繰出し、該繰出された粒状肥料をブロワー43の風力にて施肥パイプ内を搬送し、フロート32に設けた作溝器にて圃場に形成した施肥溝内に粒状肥料を散布する。
【0047】
肥料ホッパ41内には、感圧式センサにて構成される粉粒物センサである残量センサ44が設けられており、残量センサ44が粒状肥料を感知しなくなると、当該残量センサ44の位置まで粒状肥料が減量したことがわかる。
【0048】
また、操縦席10近傍の枠体12には、前記残量センサ44による粒状肥料が無くなっていることの検出に基づいて警報を発する警報ブザーと警報ブザーの警報を停止するブザー停止スイッチが設けられている。
【0049】
図2に示すように、肥料繰出装置42は、繰出駆動力伝動機構60にて動力伝達装置(ミッションケース等)6の回転駆動力が伝達される。
【0050】
繰出駆動力伝動機構60は、走行車体2後部に設けた施肥クラッチ装置の出力回動軸61に固定されたクランクアーム62に一端部63aが回動可能に連結され他端部63bが上方に配置された第一施肥伝動ロッド63と、第一施肥伝動ロッド63の他端部63bが一端部に固定された入力側第一揺動アーム64を介して上下方向に繰り返し揺動可能に連結され、第一施肥伝動ロッド63により伝動される駆動力を他端部に固定された出力側第一揺動アーム65から右側施肥装置40Rの側に中継する駆動軸としての第一中継部材66と、第一中継部材66により中継される駆動力を第一連結アーム67と駆動アーム68と第二連結アーム69とを介して第二施肥伝動ロッド70R及び第二中継部材71に伝動する中間伝動部72と、中間伝動部72により伝動される駆動力を右側施肥装置40Rの繰出装置42に対し一方向クラッチ右側部73Rを介して伝動する第二施肥伝動ロッド70Rと、中間伝動部72により伝動される駆動力を左側施肥装置40Lの側に中継する駆動軸としての第二中継部材71と、第二中継部材71により中継される駆動力を左側施肥装置40Lの繰出装置42に対し一方向クラッチ左側部73Lを介して伝動する第三施肥伝動ロッド70Lと、を有している。
【0051】
なお、上述された施肥クラッチ装置は、後輪駆動機構を内蔵した後輪駆動ケース15に着脱可能に取り付けられており、後輪駆動機構により分岐されたエンジンEからの駆動力を、出力回動軸61に入り切り可能に伝達する構成である。
【0052】
そして、繰出量調整軸75の後端側は、中間伝動部72の揺動支点72aに連結されており、繰出量調整軸75を操作ハンドル75aにて回動させることにより揺動支点72aが前後方向に移動し、中間伝動部72における駆動アーム68の揺動量を変更することが出来る構成である。
【0053】
これにより、中間伝動部72から第二施肥伝動ロッド70Rへ伝動される上下揺動量、及び中間伝動部72から第二中継部材71を介して第三施肥伝動ロッド70Lへ伝動される上下揺動量を増減させることができ、右側に配置された各繰出装置42、及び左側に配置された各繰出装置42の繰出量を増減させることができる。
【0054】
そして、図2及び図3に示すように、駆動アーム68には、揺動支点72aよりも施肥機側(伝動下流側)にスプリング受76を回動自在に設け、該スプリング受76に設けた長孔76aに挿通したピン体77の上下端部を施肥フレーム46に支持させ、スプリング受76の上下面と施肥フレーム46の間に上下圧縮スプリング78,78をピン体77に外篏させた状態でスプリング受76を挟むように設け、駆動アーム68が揺動支点72a回りに搖動する時に搖動した状態からもとに戻るように上下圧縮スプリング78,78にて付勢している。
【0055】
なお、上下圧縮スプリング78,78は、同じスプリングを用いており、付勢力(ばね荷重)が同じである。
【0056】
従って、駆動アーム68が揺動支点72a回りに搖動する際の慣性力を抑えることで、エンジンEの駆動回転数の変動(車速の変動)による影響を受けることなく施肥量が安定する。
【0057】
また、駆動アーム68の揺動支点72aよりも施肥機側(伝動下流側)に上下圧縮スプリング78,78を設けたことにより、施肥量を多い側に調節するほど、上下圧縮スプリング78,78が慣性力をより強く抑えることとなり、施肥量が安定する効果が大きくなる。
【0058】
また、図1及び図4に示すように、施肥装置40の左側施肥装置40Lと右側施肥装置40Rの肥料ホッパ41は、各々前肥料ホッパ41Fと後肥料ホッパ41Rで構成される。
【0059】
前肥料ホッパ41Fと後肥料ホッパ41Rは、各々上面に開閉自在の蓋体47が設けられている。
【0060】
蓋体47は、前肥料ホッパ41Fと後肥料ホッパ41Rの上部外側方に設けた前後方向の枢支軸47aに基部を固定したアーム47bの上部に蓋体47外方端が固定され、蓋体47の機体内方側(開閉側)が枢支軸47a回りに上下回動して開閉する。なお、蓋体47の開き角度は、最大で80度である。
【0061】
左側施肥装置40Lと右側施肥装置40Rの肥料ホッパ41の機体内方側のリヤステップ7R外側部には、前肥料ホッパ41Fと後肥料ホッパ41Rに対応して各々蓋開閉ペダル48が設けられている。
【0062】
蓋開閉ペダル48は、施肥フレーム46にアーム部48aの中途部が前後方向の枢支軸49に枢支されペダル部48bがリヤステップ7R外側部上方に配置されている。
【0063】
蓋開閉ペダル48のアーム部48a端部に連結ワイヤ80の一端が連結され、上記枢支軸47aに基部を固定した操作アーム47cに連結ワイヤ80の他端が連結され、蓋開閉ペダル48のペダル部48bを踏み込むと連結ワイヤ80が引かれて蓋体47が80度の開度で開く。
【0064】
なお、連結ワイヤ80は、アジャスタ付きケーブルを用いており、作用長さを変更できるので、蓋体47の開度を80度から調整でき、例えば、降雨時等にあまり蓋体47を大きく開けずに肥料供給をしたい時に、開度を狭く調節することで肥料が濡れることを防いで肥料詰まり等のトラブルを防止することができる。
【0065】
蓋開閉ペダル48は、ペダル部48bを踏み込むと踏み込んだ位置で固定され、再度踏み込むと固定解除される自動踏み込み固定及び固定解除機構付きの一般的なペダルで、ペダル部48bを踏み込むと踏み込んだ位置で固定されて蓋体47が80度の開度で開いた状態で維持され、再度踏み込むとペダル部48bの踏み込みが解除されて蓋体47が自重で閉まる。
【0066】
従って、作業者が畦等から肥料袋を抱えてフロントステップ7F、フロアステップ7及びリヤステップ7Rを移動して左側施肥装置40Lまたは右側施肥装置40Rの前肥料ホッパ41Fまたは後肥料ホッパ41Rに来ると、肥料袋を抱えたままで蓋開閉ペダル48のペダル部48bを踏み込むと蓋体47が80度の開度で開いた状態で維持されるので、容易に且つ作業性良く肥料袋の肥料を前肥料ホッパ41Fまたは後肥料ホッパ41Rに供給することができる。(従来は、抱えた肥料袋を一度下において蓋体47を手で開けてから、再度、肥料袋を持ち上げて肥料ホッパ41内に肥料を供給していたので、重労働で作業性が悪かった。)
また、左側施肥装置40L及び右側施肥装置40Rの各前肥料ホッパ41F及び後肥料ホッパ41R毎に蓋開閉ペダル48を設けて各々独立して蓋体47を開閉できるので、降雨時等に肥料が濡れるのを最小限に抑えることができ、蓋開閉ペダル48の踏み込み操作荷重を軽くすることができる。
【0067】
また、蓋開閉ペダル48等の蓋体47を開閉する部材を施肥フレーム46に設けているので、施肥装置40を蓋開閉ペダル48等を含めて一体で組付け及び取り外しが行なえる。
【0068】
また、蓋体47は、前肥料ホッパ41Fと後肥料ホッパ41Rの上部外側方に設けた前後方向の枢支軸47aに基部を固定したアーム47bの上部に蓋体47外方端が固定され、蓋体47の機体内方側が枢支軸47aの回動にて開閉するので、蓋体47のねじれを防止して容易に開閉できる。
【0069】
また、蓋開閉ペダル48の踏み込み操作を連結ワイヤ80にて蓋体47の開閉に連繋させたので、蓋開閉ペダル48を自由な位置に配置することができて作業性が向上し、蓋体47を連結ワイヤ80が弛む方向に手で開けることができる。
【0070】
また、図5及び図6の拡大図に示すように、肥料ホッパ41の蓋体47の機体内方側(開閉側)にロック機構90を設けている。
【0071】
即ち、ロック機構90は、蓋体47の上面に固定した支持体90aに機体前後方向の回動支持軸90bを設け、該回動支持軸90bに固定具としてのフック体90cを回動自在に設け、肥料ホッパ41側にフック体90c下端部のフック90dが係合する係止部41aを設けて構成される。
【0072】
フック体90cには、回動支持軸90bの下方に向けて延びるロック片90eを設け、該ロック片90e下端を受面としての蓋体47の上面に固定した支持体90aの座面90fに圧接している。
【0073】
フック体90cのフック90dが係止部41aに係合して蓋体47が開かないようにロックしたロック状態にすると、ロック片90eが外方に傾斜する姿勢でその下端が蓋体47の上面に固定した支持体90aの座面90fに圧接し、フック体90cは作業者が回動操作しない限り回動せず、蓋体47は開かないロック状態が維持される。
【0074】
そして、作業者が上記のロック状態のフック体90cをフック90dが係止部41aから離れる方向に回動させると、ロック片90eが外方に傾斜する姿勢から内方に傾斜する姿勢になり、ロック状態が解除される。
【0075】
従って、フック体90cにロック片90eを設けて座面90fに回動支持軸90bの直下位置を越えた状態で圧接させることにより簡潔な構成でフック体90cをロック状態に維持できる。
【0076】
また、蓋開閉ペダル48に換えて走行車体2に設けた停車ペダル(駐車ペダル等の操作具)に連結ワイヤ80を連結して、車体停止の為に停車ペダルを踏み込み操作すると蓋体47が開く構成としても良い。
【0077】
肥料補給時には必ず停車ペダル(駐車ペダル等の操作具)を操作して停車しないと蓋体47が開かない構成とすることで、安全性が向上する。
【0078】
図7は、蓋体47の開閉を電動モータ等のアクチュエータ93にて行なうようにした他の実施形態を示す。
【0079】
即ち、施肥フレーム46に設けたアクチュエータ93にて回動作動する扇ギヤ94に連結ワイヤ80を連結して、車体にアクチュエータ93を作動させるスイッチを設けて、作業者が肥料供給時にスイッチを操作してアクチュエータ93を作動させて蓋体47を開閉する構成にする。
【0080】
従って、アクチュエータ93にて蓋体47が開閉するので、作業性が向上する。
【0081】
また、肥料ホッパ41に人感センサ(近接センサ)96を設けて、肥料供給時に作業者が肥料袋を抱えて肥料ホッパ41に近づくと、人感センサ96が作業者を検出して自動的にアクチュエータ93を作動させて蓋体47を開き、肥料供給後に作業者が肥料ホッパ41から離れると自動的にアクチュエータ93を作動させて蓋体47を閉めるように構成しても良い。
【0082】
人感センサ96で自動的にアクチュエータ93を作動させて蓋体47を開閉させると、更に、作業性が向上する。
【0083】
また、肥料ホッパ41の残量センサ44が肥料の減量を検出すると、自動的にアクチュエータ93を作動させて蓋体47を開けるように構成しても良い。その場合、車体が畦際に近づいたことを検出したことを条件に加えて(車体が畦際に近づいたことを検出し、且つ、残量センサ44が肥料の減量を検出すると)、アクチュエータ93を作動させて蓋体47を開けるように構成しても良い。
【0084】
更に、肥料供給をして残量センサ44が肥料の減量を検出しなくなってから所定時間後にアクチュエータ93を作動させて蓋体47を閉めるように構成しても良い。
【0085】
図8は、左側施肥装置40Lのブロワー43の風をエンジンEのラジエータ98の前側に送ることで、ラジエータ98前側の防塵ネットに付着したごみを吹き落とすようにした他の実施形態を示す。
【0086】
即ち、左側施肥装置40Lのブロワー43の風吐出口に切り替え自在の分流弁を設け、風をエンジンEのラジエータ98の前側に送るホース99側と繰出された粒状肥料をフロート32の作溝器に搬送する施肥パイプ側とに切り替えるようにする。
【0087】
制御コントローラCは、分流弁を所定時間毎に(または、ラジエータ98前側の防塵ネットが目詰まりをしたことを検出するセンサが目詰まりを検出した時に)、自動的に施肥パイプ側からホース99側に風を送るように切り替える。
【0088】
また、制御コントローラCは、分流弁をホース99側に風を送るように切り替える際に、ラジエータ98の冷却ファンを停止して防塵ネットにごみが吸着するのを防止する。
【0089】
なお、制御コントローラCがラジエータ98の冷却ファンを停止する時間は、エンジンEのオーバーヒートを防止する為に10秒以内である。
【0090】
また、制御コントローラCが分流弁をホース99側に風を送るように切り替えるのは、田植作業をしていない機体が停止している時のみである。
【0091】
ホース99は、左側施肥装置40Lのブロワー43側がエンジンEのラジエータ98側よりも上方に位置するように配置している。
【0092】
また、分流弁の切り替えを手動レバー等の操作具にて行なうようにしても良い。
【符号の説明】
【0093】
41 肥料ホッパ
44 残量センサ
47 蓋体
47a 枢支軸
90b 回動支持軸
90c 固定具(フック体)
90e ロック片
90f 受面(座面)
48 蓋開閉ペダル
93 アクチュエータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8