(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010244
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】複数のチャンバ薬物カートリッジのための再構成機能を備えた自動注射装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20250109BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61M5/20
A61M5/24
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024188922
(22)【出願日】2024-10-28
(62)【分割の表示】P 2022556483の分割
【原出願日】2020-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】519266638
【氏名又は名称】バイオコープ プロダクション ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコス、アラン
(72)【発明者】
【氏名】ヒホード、マジッド
(72)【発明者】
【氏名】コーアス、クエンティン
(57)【要約】
【課題】ハンドヘルドモータ駆動薬物の再構成および自動注射を行うための装置。
【解決手段】ハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置であって、近位駆動システムを含み、近位駆動システムは、細長い本体と、遠位薬物カートリッジホルダアセンブリとを含み、近位駆動システムが、薬物カートリッジホルダアセンブリを遠位構成から近位構成に移行させ、薬物カートリッジホルダアセンブリが駆動システムによって遠位構成から近位構成に移動するときの薬物カートリッジホルダアセンブリの相対移動が、第1の物質および第2の物質を含む注射可能製品の再構成をもたらす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置(1)であって、
近位駆動システム(2)を含み、前記近位駆動システム(2)は、
細長い本体(3)に沿った実質的に中心長手方向軸線(4)と、前記長手方向軸線(4)に沿って前記本体(3)内に延伸するボア(5)と、を有する前記細長い本体(3)であって、制御可能な駆動モータ(6)と、前記ボア(5)内に配置された前記モータ(6)に結合された軸方向駆動可能なピストンロッド(7)と、を収容する細長い本体(3)と、
遠位薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)と、を含み、前記遠位薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)は、
第1のチャンバ(30)に格納された少なくとも第1の物質と、それぞれの第2のチャンバ(31)に格納された少なくとも第2の物質と、を含むマルチチャンバ薬物カートリッジ(25)を前記アセンブリ(11)内に収容するように構成され、前記第1および第2のチャンバ(30、31)が、前記中心長手方向軸線(4)と実質的に軸方向に整列してノーズテール配置に配置され、
前記遠位薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)が、前記近位駆動システム(2)の遠位ゾーン(23)に解放可能に取り付けられている近位端(16、19)と、注射針を受け入れるように構成されている遠位端(34)と、を有し、
前記近位駆動システム(2)および前記遠位薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)が、前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)に移動を与えるように構成され、前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)は、前記中心長手方向軸線に沿った第1の実質的に延伸した遠位構成から、前記中心長手方向軸線に沿った第2の実質的に折り畳まれた近位構成に移動し、
前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)が前記駆動システム(2)によって前記長手方向中心軸(4)に沿って前記第1の実質的に延伸した遠位構成から前記第2の実質的に折り畳まれた近位構成に移動するときの前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)の前記相対移動が、前記再構成後に、前記少なくとも第1または第2のチャンバ(30、31)のうちの1つのみの中に位置する前記少なくとも第1および第2の物質を含む注射可能製品の再構成をもたらす、ハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置(1)。
【請求項2】
前記カートリッジホルダアセンブリ(11)が、前記カートリッジホルダアセンブリ(11)の前記構成要素を近位の折り畳み構成から遠位の延伸構成に移動させるために、前記近位駆動システム(2)によって前記再構成運動と比較して逆の相対運動で動作されるようにさらに構成される、請求項1に記載のハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置(1)。
【請求項3】
前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)の前記延伸構成から前記折り畳み構成への移動が伸縮運動を含む、請求項1に記載のハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置(1)。
【請求項4】
前記延伸構成から前記折り畳み構成への前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)の前記移動が、回転伸縮運動および並進伸縮運動の両方を含む、請求項1に記載のハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置(1)。
【請求項5】
前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)が、前記長手方向中心軸(4)の周りに同心の軸方向に整列した複数の相互接続された細長い中空体(13、14、15)を含む、請求項1に記載のハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置(1)。
【請求項6】
前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)が、
前記長手方向軸線と軸方向に整列したボア(13A)を含む第1の細長い本体(13)と、
前記長手方向軸線と軸方向に整列したボア(15A)を含む第2の細長い本体(15)と、
前記長手方向軸線と軸方向に整列したボア(14A)を含む第3の細長い本体(14)と、
を含み、
前記3つの細長い本体(13、14、15)が、相互接続され、前記長手方向中心軸(4)の周りに同心の軸方向に整列して組織化される、請求項1に記載のハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置(1)。
【請求項7】
前記薬物カートリッジホルダアセンブリの前記第1の細長い本体(13)および前記薬物カートリッジホルダアセンブリの前記第3の細長い本体(14)が、前記第1の細長い本体(13)の内面(18)および前記第3の細長い本体(14)の外面(36)を含む接触面を介して互いにそれぞれ接続され、
前記駆動システム(2)によって駆動されると、前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)の前記第1の細長い本体(13)に対する前記第3の細長い本体(14)の前記構成された許容される動きは、前記長手方向軸線(4)を中心とし、前記接触面(18、36)に沿った近位方向への回転運動である、
請求項6に記載のハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置(1)。
【請求項8】
前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)の前記第2の細長い本体(15)が、前記第1の細長い本体(13)の周りに同心円状に配置され、近位端(19)から遠位端(20)まで遠位方向に延伸し、
前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)の前記第2の細長い本体(15)の前記遠位端(20)が、前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)の前記第3の細長い本体(14)の少なくとも近位端(33)の周りに同心円状に配置されて、前記少なくとも近位端(33)の上に延伸し、
前記駆動システム(2)によって駆動されると、前記薬物カートリッジホルダアセンブリの前記第2の細長い本体(15)に対する前記第3の細長い本体(14)の前記構成された許容される動きは、前記第2の細長い本体(15)の前記ボア(15A)の内側の近位方向における前記長手方向軸線(4)に沿った並進運動である、
請求項6に記載のハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置(1)。
【請求項9】
前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)の前記第1の細長い本体(13)および前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)の前記第2の細長い本体(15)が、前記第2の細長い本体(15)および前記第1の細長い本体(13)にそれぞれ設けられた協働するインターロック手段(51、52)を含む接触面を介して互いに接続され、
それぞれの協働するインターロック手段(51、52)は、第2の細長い本体(15)のボア(15A)内での第1の細長い本体(13)の相対的な回転運動を可能にするように構成され、
前記駆動システム(2)によって駆動されると、前記それぞれのインターロック手段(51、52)が協働して、前記第1の細長い本体(13)を前記第2の細長い本体(15)の前記ボア(15A)内で前記長手方向軸線(4)を中心に回転させる、
請求項6に記載のハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置(1)。
【請求項10】
前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)の近位端(16)を前記駆動システム(2)の前記軸方向に駆動可能なピストンロッド(7)に結合するように構成された結合部材(40)をさらに含む、請求項1に記載のハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置(1)。
【請求項11】
前記結合部材(40)が、前記長手方向軸線(4)と軸方向に整列し、前記駆動システム(2)の前記細長い本体(3’、3’’)内に収容されたボア(42)を有する細長い本体(41)を含み、
前記結合部材(40)および前記駆動可能ピストンロッド(7)が、前記結合部材(40)および前記駆動可能ピストンロッド(7)の前記細長い本体(41)内またはその上にそれぞれ設けられた対応するピストン駆動係合手段(46、53、54、55、58)を介して互いに連結され、
前記駆動システム(2)によって駆動されると、前記それぞれのピストン駆動係合手段(46、53、54、55、58)が協働して、前記結合部材(40)を前記駆動システム(2)の前記細長い本体(3’、3’’)内で自由に回転させる、
請求項10に記載のハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置(1)。
【請求項12】
前記駆動可能ピストンロッド(7)上に配置された前記ピストン駆動係合手段(53、54、55、58)が、前記結合部材(40)の中または上に配置された付勢部材(45)によって、再構成後の前記カートリッジホルダアセンブリの注射または取り外し後に近位方向に自動的に付勢されるように構成される、請求項10に記載のハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置(1)。
【請求項13】
前記結合部材(40)が、前記カートリッジ本体ホルダアセンブリ(11)の第1の細長い本体(13)の近位端(16)と係合するように構成された遠位係合手段(48)をさらに含み、
前記駆動システム(2)によって駆動されると、前記結合部材(40)の前記遠位係合手段(48)が、前記長手方向軸線(4)を中心とした前記結合部材の前記細長い本体(40)の回転を前記カートリッジホルダアセンブリ(11)の前記第1の細長い本体(13)に伝達させるように構成される、請求項11または請求項12に記載のハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置(1)。
【請求項14】
軸方向に駆動可能なピストンロッド(7)が、前記駆動モータ(6)に接続された外ねじ付き(53)ピストンロッド(7)と、内ねじ付き(55)ナット(54)と、を含み、それによって駆動モータ(6)の作動が、前記ねじ付きロッド(7)を駆動して前記内ねじ付きナット(54)に係合させ、それによって前記ナット(54)を前記長手方向軸線(4)に沿って近位位置から遠位位置に移動させる、
請求項1および11に記載のハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置(1)。
【請求項15】
前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(1)が、前記駆動システム(2)の前記本体および前記カートリッジホルダアセンブリ(11)の前記第2の細長い本体(15)に設けられたそれぞれの協働する表面(22、24)を介して前記駆動システム(2)の遠位ゾーン(23)に解放可能に取り付けられる、請求項1および6に記載のハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置(1)。
【請求項16】
第1のチャンバ(30)に格納された少なくとも第1の物質と、それぞれの第2のチャンバ(31)に格納された少なくとも第2の物質と、を含み、第1および第2のチャンバ(30、31)が、自動注射装置(1)の中心長手方向軸線(4)と実質的に軸方向に整列してノーズテール配置に配置される、自動注射装置(1)のマルチチャンバ薬物カートリッジ(25)に収容された注射可能製品の再構成のためのプロセスであって、
請求項1から15のいずれか一項に記載のハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置(1)を提供するステップと、
注射前に少なくとも再構成ステップを含む前記自動注射装置(1)の機能を作動させるステップと、
を含み、
前記再構成ステップが、前記装置(1)の前記長手方向中心軸(4)に沿って、第1の実質的に延伸した遠位構成から第2の実質的に折り畳まれた近位構成への薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)の相対移動を引き起こすように前記装置の駆動モータ(6)を駆動するステップを含み、それにより、前記少なくとも第1または第2のチャンバ(30、31)の一方のみで前記注射可能製品の再構成を行う、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、モータ駆動式自動注射器薬物送達装置、特にモータ駆動式ペン型薬物自動注射器の分野に関する。そのような装置は、一般に当技術分野で周知であり、特に手動装置のユーザが、薬物などの注射可能な製品の注射を行うために装置を準備および/または使用することが困難である場合、手動で操作されるペン型注射器などの他の薬物送達装置の有用な代替物を提供する。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野で知られているモータ駆動式自動注射器は、国際公開第03099357号パンフレットとして公開されているPCT出願に記載されている。この文献は、前進時に流体を流体容器から押し出すために流体容器に挿入するモータ駆動部材を有する薬剤注射装置を開示している。駆動部材は、コンパクトな装置を提供することを可能にするために駆動部材が後退したときにモータ駆動ドライバアセンブリの少なくとも一部に嵌合する内部中空部を含む。
【0003】
バレル、針、プランジャアセンブリを含むカートリッジを受け入れるように適合された自動注射器が国際公開第2014008393号パンフレットから知られており、自動注射器は、ハウジングと、カートリッジの一部を受け入れるためのカートリッジキャリアと、プランジャキャリアと、カートリッジキャリアをプランジャキャリアに結合する少なくとも1つの移送機器と、プランジャキャリアの移動を可能にする細長い駆動装置であって、プランジャキャリアおよび/またはカートリッジキャリアは、少なくとも1つの移送機器を受け入れるための開口部を含む、細長い駆動装置と、モータと、モータを細長い駆動装置に結合する変速機アセンブリとを含む。本明細書に記載の自動注射装置では、バレル、針、プランジャアセンブリおよび薬物カートリッジは、バレル、針およびプランジャアセンブリを完全に封入し包囲するハウジングに挿入可能であり、ハウジングから取り外し可能である。ハウジングは、上部および下部の2つの部分から構成されるものとして示されており、ハウジングの一方の側面に沿ってヒンジがあり、上部および下部が一方に対して他方に対して移動可能に取り付けられ、それによってハウジングの開閉を可能にする。ハウジングは、カートリッジ、針およびプランジャアセンブリの導入および使用時の取り外しを可能にするために十分にくり抜かれた部分を有するように設計されている。取り外し可能なバッテリ駆動モータは、可動キャリッジを支持するねじ付きねじを駆動し、可動キャリッジは、ねじ付きねじのねじと噛み合い、ねじにインデックスされ、モータの作動に対応して前進または後退して前進または後退方向に移動する。インデックス付き可動キャリッジは、モータの作動時に、ねじ付きねじを前方に駆動するためにプランジャアセンブリと係合して、プランジャアセンブリを前方に駆動し、薬物カートリッジに収容された薬物をカートリッジから針に排出し、そこで自動注射器のユーザに形成する。
【0004】
さらなるモータ駆動式自動注射器は、国際公開第2015044102号パンフレットとして公開されたPCT出願から知られている。この文献は、活性成分を患者の体内に注射するために使用される注射ペンを示し、装置は、電動モータと、活性成分を保存するためのカートリッジと、カートリッジ内で摺動するように適合されたピストンと、注射中にモータによって駆動されるカートリッジ内のピストンを押すための機構と、表示画面と、注射される活性成分の量を制御するための手段とを含む。モータ、押し込み機構およびカートリッジはすべて、共通の長手方向軸線に沿って整列している。
【0005】
上記の従来技術の例から分かるように、モータ駆動ペン注射器などのハンドヘルドモータ駆動自動注射装置はそれ自体公知であり、一般に、
細長い本体に沿って実質的に中心の長手方向軸線を有し、中空の細長い本体内に位置する前記長手方向軸線に沿って延伸するボアを画定する中空の細長い本体を含む駆動システムであって、駆動システムの細長い中空本体は、ユーザ制御可能な駆動モータと、モータに結合され、ボア内に位置する軸方向に駆動可能なピストンロッドとをさらに収容する、駆動システムと、
駆動システムに取り付けられるか、または駆動システムの一体部分を形成する薬物カートリッジホルダアセンブリであって、カートリッジホルダは、薬物などの注射可能物質を有するカートリッジを収容する、薬物カートリッジホルダアセンブリと、
のうちの1つまたは複数を含むとみなすことができる。
【0006】
上記で例示された文献は、一般に、注射される予め調製された製剤を含有する単一チャンバ薬物カートリッジまたは単一シリンジ構成のいずれかに関する。残念ながら、事前に調製された製剤のために、すべての薬物または薬物の組み合わせを調製および/または製剤化することができるわけではない。一部の薬物は、比較的不安定であるか、または比較的短い格納寿命を有し、一旦希釈され、溶解され、そうでなければ注射可能な製品製剤に構成される。いくつかの治療的処置はさらに、別個のまたは類似の薬物の同時投与を必要とし、これらの薬物は、注射可能な薬物の通常の格納および分配のために使用される条件で一緒に格納された場合には適合しない。このため、複数の同時または逐次薬物注射システムが開発されている。
【0007】
あるいは、投与前に注射可能な薬物製品を構成または再構成するマルチチャンバカートリッジの使用を可能にする自動注射器ペンなどのモータ駆動式薬物注射システムが開発されている。そのようなシステムは、国際公開第2019002534号として公開されたPCT出願から知られている。この文献は、薬剤を投与するための自動注射器を開示し、自動注射器は、ハウジングと、第1のストッパと薬剤を収容するカートリッジ区画とを含むカートリッジを受け入れるように構成されたカートリッジ受け部であって、カートリッジ区画が、薬剤の第1の薬剤成分を収容する第1のカートリッジ小区画と薬剤の第2の薬剤成分を収容する第2のカートリッジ小区画とを有する、カートリッジ受け部と、プランジャロッドを後退したプランジャロッド位置と延伸したプランジャロッド位置との間で移動させるように結合された駆動モジュールであって、プランジャロッドが第1のストッパを移動させるように構成されている、駆動モジュールと、駆動モジュールに結合された処理ユニットと、を含み、処理ユニットは、プランジャロッドを第1のプランジャロッド位置からミックスプランジャロッド位置にミックスプランジャロッド速度で移動させるように駆動モジュールを制御するように構成され、混合プランジャロッド位置は、第1の薬剤成分が第2の薬剤成分と混合される位置に第1のストッパを位置決めし、自動注射器の多数の完全な反転が実行された後に開始信号を提供するように選択される。
【0008】
マルチチャンバ薬物カートリッジの問題の1つは、マルチチャンバ薬物カートリッジが、多くの場合、四肢、通常は近位端によってのみ駆動システムに保持されるため、駆動システムに正しく安全に装着することが問題となり得ること、またはピストンロッドの駆動中に十分な軸方向安定性を維持するために駆動システム本体に完全に収容される必要があることである。このようなモータ駆動システムの本体は、いずれにしても既にかなり長いので、駆動システム本体の近位端にマルチチャンバ薬物カートリッジを取り付けると、自動注射器の全長にかなりの長さが追加される傾向がある。この余分な長さは、多くの場合、そのようなシステムの平均的なユーザにとって使用上の困難さを増大させる原因であり、その理由は、ユーザが片手で容易に装置を操作および操作することが困難であることが分かり、関連する治療レジメンの患者コンプライアンスの低下につながる可能性があるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第03099357号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2014008393号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2015044102号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2019002534号パンフレット
【発明の概要】
【0010】
したがって、本発明の1つの目的は、注射前に少なくとも二重チャンバカートリッジ内に自動再構成機能も含み、自動注射装置がペン型薬物注射器などの長手方向に軸方向に構成された自動注射器である、長さが短縮されたモータ駆動自動注射装置を提供することである。
【0011】
本発明の目的のために、長手方向に軸方向に構成された自動注射器は、相対的な機能構成要素のすべてが装置の共通の単一の長手方向軸線に沿って実質的に整列し、ピストンが前記共通の長手方向または長手方向軸線に沿って作用するモータ駆動自動注射装置を指す。これに関して、本発明によって想定される自動注射器は、例えば、ピストンが駆動される移動の長手方向軸線と比較して、直交して配置されたまたは角度的に変位されたギア、駆動機構、またはモータのセットによって間接的に駆動されるモータ駆動ピストンを含むボックス型自動注射器、または自動注射器に関するものではない。
【0012】
他の目的は、本発明の様々な実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【0013】
したがって、本発明の1つの目的は、ハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置であって、
近位駆動システムを含み、近位駆動システムは、
細長い本体に沿った実質的に中心長手方向軸線と、前記長手方向軸線に沿って前記本体内に延伸するボアと、を有する前記細長い本体であって、制御可能な駆動モータと、前記ボア内に配置された前記モータに結合された軸方向駆動可能なピストンロッドと、を収容する細長い本体と、
遠位薬物カートリッジホルダアセンブリと、を含み、遠位薬物カートリッジホルダアセンブリは、
第1のチャンバに格納された少なくとも第1の物質と、それぞれの第2のチャンバに格納された少なくとも第2の物質と、を含むマルチチャンバ薬物カートリッジを前記アセンブリ内に収容するように構成され、第1および第2のチャンバは、中心長手方向軸線と実質的に軸方向に整列してノーズテール配置に配置され、
遠位薬物カートリッジホルダアセンブリは、近位駆動システムの遠位ゾーンに解放可能に取り付けられている近位端と、注射針を受け入れるように構成されている遠位端と、を有し、
近位駆動システムおよび遠位薬物カートリッジホルダアセンブリは、薬物カートリッジホルダアセンブリに移動を与えるように構成され、前記薬物カートリッジホルダアセンブリは、中心長手方向軸線に沿った第1の実質的に延伸した遠位構成から、中心長手方向軸線に沿った第2の実質的に折り畳まれた近位構成に移動し、
薬物カートリッジホルダアセンブリが駆動システムによって長手方向中心軸に沿って第1の実質的に延伸した遠位構成から第2の実質的に折り畳まれた近位構成に移動するときの薬物カートリッジホルダアセンブリの相対移動が、前記再構成後に、少なくとも第1または第2のチャンバのうちの1つのみの中に位置する前記少なくとも第1および第2の物質を含む注射可能製品の再構成をもたらす。
【0014】
本明細書では、「近位」および「遠位」という用語は、ユーザの手に保持されたときの自動注射装置の通常の使用に関して装置の様々な構成要素の相対的な空間的位置を定義するために使用される空間的基準である。これに関して、「近位」は、装置が通常取り扱われて操作される方法で装置を保持するユーザの手に向かってまたはその近くにある、物体の位置、または自動注射装置の構成要素の移動または移動の方向を示す。この場合、「近位」とは、薬物がユーザに排出または注射される装置の他端とは反対側の、ユーザによって把持された装置の端部を意味する。その結果、「遠位」という用語は、物体の位置、または装置の排出端もしくは注入端に向かう、もしくはその近くにある自動注射装置の構成要素の移動もしくは移動の方向を指す。
【0015】
したがって、近位駆動システムは、通常はユーザの手で保持または把持される自動注射装置の端部に配置される。これは、一般的な導入部に示されているように、当技術分野で既に知られているモータ駆動式自動注射器に類似している。
【0016】
近位駆動システムは、前記細長い本体に沿って延伸する実質的に中心の長手方向軸線を有する細長い本体と、前記長手方向軸線に沿って前記本体内に延伸するボアと、を含む。細長い本体およびボアは、同じ材料で一体的に形成することができ、あるいはいくつかの組み立てられた構成要素、例えば、少なくとも部分的にくり抜かれた本体材料の2つの相補的な半体で構成することができ、これらは嵌合し、クリップなどの適切な取り付け手段によって、または溶接もしくは接着、例えば相補的な半体を互いに超音波溶接することによって一緒に保持される。相補的な少なくとも部分的にくり抜かれた本体半体は、共に長手方向ボアを画定する。細長い本体はまた、典型的には細長い本体のボア内に配置され収容され、駆動システムの細長い本体の近位端にまたはそれに隣接して実質的に配置される制御可能な駆動モータを収容する。駆動モータは、適切に装備された制御装置、例えば、プリント回路基板上に配置されたプログラマブルマイクロコントローラを介して制御可能であり、また、駆動システムの細長い本体上に有利に配置されるか、または前記細長い本体のボア内に収容される。ユーザが自動注射装置を制御し、したがって駆動モータを制御するコマンドを入力することを可能にするために、ユーザインターフェース、例えばLCDディスプレイを設けることができる。ユーザインターフェースは、例えば、投与量増減ボタン、投与量キャンセルおよび/またはリセットボタンを含む投与量設定システムへのアクセスを提供することができる。自動注射装置の近位端において、ボアは、例えば電気または電子スイッチ構成要素を介して、および制御装置を介して制御可能な駆動モータに直接的または間接的に接続することができる作動ボタンによって適切に閉じることができる。
【0017】
軸方向に駆動可能なピストンロッドは、モータに結合され、駆動システムの細長い本体のボア内にも配置される。軸方向に駆動可能なピストンロッドは、モータが作動したときに駆動可能なピストンロッドに加えられる速度およびトルクを制御するために、直接、または車軸および/または適切なギアセットを介してモータに接続される。駆動可能なピストンロッドは、駆動モータの制御下で近位位置から遠位位置に向かうピストンの軸方向移動を提供するように構成される。そのようなピストンロッドは、一般に自動注射器についてそれ自体知られており、通常、ねじが道路の外面に設けられたねじ付きロッドをリストに含む。有利には、駆動可能なピストンロッドは、ピストンロッドの周りに配置され、ピストンロッドの外ねじ面と相補的に係合する内ねじ面を有するピストンナットをさらに含む。モータが作動して前進駆動構成で動作すると、ピストンロッドは駆動モータによって回転し、ピストンロッドのねじはピストンナットのねじと係合して、ナットをピストンロッドに沿って遠位方向に移動させる。同様に、モータが逆転または後退駆動構成で動作するように作動される場合、駆動モータは、ピストン路を前進駆動とは反対方向に回転させ、それによってピストンナットを近位方向に移動させる。ナットには、薬物カートリッジの近位ストッパに接触し、それによって前記ストッパを薬物カートリッジの内側に沿って押すように構成された近位面が設けられている。ねじ付きピストンロッド、ねじ付きナット、および薬物カートリッジのストッパ係合のためのそのような一般的な構成は、当技術分野においてそれ自体公知である。
【0018】
本発明の自動注射装置は、第1のチャンバ内に格納された少なくとも第1の物質と、それぞれの第2のチャンバ内に格納された少なくとも第2の物質と、を含むマルチチャンバ薬物カートリッジを前記アセンブリ内に収容するように構成された遠位薬物カートリッジホルダアセンブリをさらに含み、第1および第2のチャンバは、中心長手方向軸線と実質的に軸方向に整列してノーズテール配置に配置される。
【0019】
薬物カートリッジは、一般に、それ自体も当該技術分野で知られている。上述のように、本明細書の目的のために、薬物カートリッジは、第1のチャンバに格納された少なくとも第1の物質と、それぞれの第2のチャンバに格納された少なくとも第2の物質と、を含み、第1および第2のチャンバは、中心長手方向軸線と実質的に軸方向に整列してノーズテール配置に配置される。したがって、薬物カートリッジは、好ましくは、当技術分野で公知のタイプのデュアルチャンバカートリッジである。第1のチャンバは、一般に、薬物カートリッジの近位端に一般に配置された第1のストッパと、薬物カートリッジの近位端と薬物カートリッジの遠位端との間の位置に一般に配置された第2のストッパとの間の容積として定義される。第2のチャンバは、一般に、第2のストッパと薬物カートリッジの遠位端との間の容積、または任意選択的に第3のストッパによって画定される。第1のチャンバは、注射前に再構成を必要とする注射可能な製品の第1の物質、例えば第1の成分を含む。第2のチャンバは、第2の物質、例えば、一般に第1の成分とは異なる成分を含み、これは、注射前に適切な注射可能な製品を構成または再構成するために必要である。第1の物質および/または第2の物質は、粉末、流体、液体、ゲル、気体、および/またはそれらの任意の組み合わせであり得る。第1または第2の物質の1つは、例えば、粉末組成物などの溶質であり得る。次いで、第1または第2の物質の他方は、その溶質に適した溶媒、例えば液体などの流体であり得る。例えば、第2の物質は粉末組成物であってもよく、第1の物質は流体組成物であってもよく、例えば、水、エタノール、生理食塩水、緩衝液または保存液などが一般的に知られている。第1および第2の物質の相対的な機能および定義は、再構成されたときに、適切な薬学的効果を有する薬物として作用することができる注射可能な製品を一緒に構成するという要件に限定されるにすぎない。薬物は、例えば、医薬活性を有する任意の数の化学的または生物学的実体、例えばワクチン、RNA、DNA、タンパク質、ポリペプチド、ホルモン、任意の様式の薬学的に活性な化学的または生物学的分子、またはそれらの代謝産物などであり得る。
【0020】
本発明での使用が想定される種類のデュアルチャンバを含む複数のチャンバ、カートリッジには、一般に、第1のチャンバと少なくとも第2のチャンバとの間の流体連通を提供するバイパスが設けられる。カートリッジは、代替的に、隣接するチャンバ間の流体連通を提供する複数のバイパスセクションを有してもよい。1つまたは複数のバイパスは、一般に、チャンバを分離して画定するストッパの位置決めを介して初期製造構成で閉じられる。これらのストッパは、第1のストッパと接触する駆動ピストンおよび/またはナットの遠位方向の並進運動を介して移動されるので、ストッパの各々は、下流ストッパに及ぼされる上流チャンバ内の圧力によって、または下流または遠位に位置するストッパ上の前に上流または近位に位置するストッパの直接接触によって、最終的に遠位方向に並進し、それによってストッパをバイパス上に移動させて、1つのチャンバとその次の隣接するチャンバ、または別の適切に接続されたチャンバとの間の流体連通を可能にする。次いで、一方のチャンバ内の流体物質は、バイパスを介してバイパス接続チャンバに入り、他方のチャンバ内の物質と混合して注入可能製品を再構成する。
【0021】
本発明による装置は、遠位薬物カートリッジホルダアセンブリが、近位駆動システムの遠位ゾーンに解放可能に取り付けられた近位端と、注射針を受け入れるように構成された遠位端とを有することでさらに定義される。ここでも、一般に、カートリッジホルダの遠位端に針を取り付けるための手段は、例えば、ルアーロックシステム、針ホルダの円錐部に設けられた対応する内ねじと係合するカートリッジホルダアセンブリの外面ねじ付き遠位先端などを介して、当技術分野で周知である。さらに、近位端を駆動システムの遠位ゾーンに解放可能に取り付ける、クリップ、突起および対応する凹部などの様々な手段、例えば、バヨネットマウント、カートリッジホルダアセンブリの近位端の外面に設けられたねじ、および駆動システム細長い本体の遠位端にあるか、または遠位端に隣接する内面の相補的なねじなどが想定され得る。本明細書の目的のために、ねじ取り外し可能な取り付けシステムが特に好ましく、これは、これらが、自動注射装置駆動システムの中心長手方向軸線の周りのカートリッジホルダアセンブリの固定された、正確に軸方向に整列した、およびねじを緩めることによって容易に取り外し可能な取り付けの両方を提供する傾向があるためである。
【0022】
さらに、本発明による装置は、近位駆動システムおよび遠位薬物カートリッジホルダアセンブリが、薬物カートリッジホルダアセンブリに移動を与えるように構成され、前記薬物カートリッジホルダアセンブリが、中心長手方向軸線に沿って第1の実質的に延伸した遠位構成から、中心長手方向軸線に沿って第2の実質的に折り畳まれた近位構成に移動することでさらに定義される。換言すれば、カートリッジホルダアセンブリは、駆動システム本体に対して移動されて、カートリッジホルダアセンブリの遠位位置での初期延伸構成から近位位置での最終的な実質的に折り畳まれた位置への折り畳みまたは後退をもたらす。
【0023】
駆動システムによって長手方向中心軸に沿って移動するときの薬物カートリッジホルダアセンブリの第1の実質的に延伸した遠位構成から第2の実質的に折り畳まれた近位構成への相対移動は、少なくとも第1および第2の物質を含む注射可能製品の再構成を行う役割を果たす。カートリッジホルダアセンブリを近位方向に移動させることによって、ピストンロッドは、マルチチャンバカートリッジの第1の近位ストッパと接触し、さらに押し潰され、駆動システムによって駆動されるカートリッジホルダアセンブリの近位移動は、近位ストッパを遠位方向に押し続け、これは、チャンバ内の相対圧力の影響により第2の中間ストッパに作用し、第2の中間ストッパを遠位方向に押してバイパスを露出させ、第1の物質、例えば溶媒などの流体を第1のチャンバからバイパスを介して第2のチャンバに押し込んで、第2の物質、例えば薬物を粉末溶質形態で溶解させることを可能にする。カートリッジホルダアセンブリの折り畳み構成に達し、注射可能な製品が再構成されると、注射可能な製品は、チャンバのうちの1つのみに配置され、デュアルチャンバカートリッジの場合、好ましくは第2のチャンバに配置され、それによって、通常、予め調製されたまたは予め配合された注射可能な製品を含む単一のチャンバカートリッジに見られるように、前記注射可能な製品を注射のために位置決めする。
【0024】
上述したように、カートリッジホルダアセンブリは、延伸された遠位構成から折り畳まれた近位構成への相対移動において係合する。本発明の自動注射器および再構成装置については、カートリッジホルダアセンブリの様々な相対運動が想定され得る。カートリッジホルダアセンブリは、カートリッジホルダアセンブリの取り外し、およびその中に含まれる物質の再構成を必要とする交換用マルチチャンバカートリッジとのカートリッジの交換を可能にする目的で、カートリッジホルダアセンブリの構成要素を近位の折り畳み構成から遠位の延伸構成に移動させるために、再構成運動と比較して逆の相対運動で近位駆動システムによって操作されるようにさらに構成される。
【0025】
したがって、本発明の別の目的によれば、延伸構成から折り畳み構成への薬物カートリッジホルダアセンブリの相対運動は、伸縮運動を含む。言い換えれば、カートリッジアセンブリは、駆動システムの影響下で、駆動システムによって制御されて、延伸構成から折り畳み構成へのその構成要素の相対的な伸縮移動を可能にするように構成および設計される。カートリッジホルダアセンブリの伸縮運動は、延伸構成から折り畳み構成に移行するときに、カートリッジホルダアセンブリの構成要素を互いに対して伸縮させる任意の適切な運動であってもよい。
【0026】
したがって、本発明のさらなる目的によれば、延伸構成から折り畳み構成への薬物カートリッジホルダアセンブリの相対運動は、回転伸縮運動および並進伸縮運動の両方を含む。カートリッジホルダアセンブリにおける回転および並進伸縮運動のこのような組み合わせは、特に有利であることが分かっている。特に、そのような組み合わせは、自動注射器および再構成装置の全長の大幅な短縮を可能にし、それによって装置のユーザ体験および患者の受け入れを改善する。
【0027】
本発明のなおさらなる目的では、薬物カートリッジホルダアセンブリは、長手方向中心軸の周りに同心の軸方向に整列した複数の相互接続された細長い中空体を含む。本明細書によって想定される細長い同心円状に配置された中空体は、延伸された遠位構成から折り畳まれた近位構成に移動するのに理想的に適している。カートリッジホルダアセンブリのための同心円状に配置された中空体の数は、対応するマルチチャンバ薬物カートリッジを収容して保持することができる限界内で、潜在的に事実上制限されない可能性があるが、好ましくは、カートリッジホルダアセンブリを構成する相互接続された中空体の数は、所望される相対移動の程度および精度、ならびに装置を使用するユーザまたは患者に有用であろう最大許容長さに応じて、好ましくは3~5個の相互接続された細長い中空体であり、最も好ましくは、有利には、長手方向中心軸の周りに同心円状に軸方向に整列して配置された3つの相互接続された細長い中空体からなる。
【0028】
したがって、本発明のさらに別の目的に沿って、薬物カートリッジホルダアセンブリは、
長手方向軸線と軸方向に整列したボアを含む第1の細長い本体と、
長手方向軸線と軸方向に整列したボアを含む第2の細長い本体と、
長手方向軸線と軸方向に整列したボアを含む第3の細長い本体と、
を含み、
3つの細長い本体は、相互接続され、長手方向中心軸の周りに同心円状に軸方向に整列して構成されている。
【0029】
上記の構成では、薬物カートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体および薬物カートリッジホルダアセンブリの第3の細長い本体は、有利には、第1の細長い本体の内面および第3の細長い本体の外面を含む接触面を介してそれぞれ互いに接続される。そのような接触面は、例えば、各表面に設けられた対応する相互作用するねじによって形成することができる。特に有用かつ有利な機能は、薬物カートリッジホルダアセンブリの第3の細長い本体の近位端に、またはそれに隣接して、第3の細長い本体の外面にそのようなねじを配置することによって決定されている。同様に、対応する方法で、特に有用かつ有利な機能は、内面のねじを薬物カートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体の内側のボアに面する表面に実質的に沿って配置することによって見出された。そのような構成の結果として、駆動システムによって駆動されると、薬物カートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体に対する第3の細長い本体の構成された許容された移動は、長手方向軸線を中心とし、近位方向の接触面に沿った回転移動である。
【0030】
上記の構成では、薬物カートリッジホルダアセンブリの第2の細長い本体は、その周りに同心円状に配置され、近位端から第1の細長い本体を越えて遠位端まで遠位方向に延伸する。そのような構成では、薬物カートリッジホルダアセンブリの第2の細長い本体は、カートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体の全長を完全に覆って取り囲むか、または実質的に覆って取り囲む。
【0031】
薬物カートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体および薬物カートリッジホルダアセンブリの第2の細長い本体は、第2の細長い本体および第1の細長い本体にそれぞれ設けられた協働するインターロック手段を含む接触面を介して互いにそれぞれ接続される。それぞれの協働するインターロック手段は、第2の細長い本体のボア内での第1の細長い本体の相対的な回転運動を可能にするように構成される。駆動システムによって駆動されると、それぞれのインターロック手段は協働して、第1の細長い本体を第2の細長い本体のボア内で長手方向軸線の周りに回転させる。この構成では、カートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体は、前記第2の細長い本体からの適切な同軸分離を維持するために、カートリッジホルダアセンブリの第2の細長い本体の内側に同軸に取り付けられ、物理的に取り付けられる。カートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体のカートリッジホルダアセンブリの第2の細長い本体への物理的な回転可能に許容可能なインターロック取り付けは、例えば、第1の細長い本体の外面から外向きに延伸し、第1の細長い本体の近位端にまたは近位端に隣接して配置された半径方向に配向された突起または半径方向環状肩部を介して、様々な方法で達成することができる。第2の細長い本体は、第1の細長い本体の突起または肩部、あるいは前記第2の細長い本体の適切な近位位置に設けられた対応する環状凹部または溝を受け入れて配置するための1つまたは複数の対応する凹部を含むことができる。このようにして、第1の細長い本体は、駆動システムによって駆動されるときに長手方向軸線を中心として第2の細長い本体内で自由に回転するだけでなく、駆動システムの推進力の下で第2の細長い本体内でも回転する。あるいは、上述の構成を逆にすることができ、第2の細長い本体は、内側に向けられた突起、または内側に直接環状肩部、および第1の細長い本体に設けられた対応する溝または凹部を有し、その結果、第1の細長い本体は、駆動システムによって駆動されたときに長手方向軸線の周りを自由に回転する。
【0032】
さらに、薬物カートリッジホルダアセンブリの第2の細長い本体の遠位端は、薬物カートリッジホルダアセンブリの第3の細長い本体の少なくとも近位端の周りに同心円状に配置され、その上に延伸する。第2の細長い本体は、第3の細長い本体と相互作用して、所定の点を超える前記第3の本体の遠位移動を防止するように成形され寸法決めされる。そのような構成は、例えば、第2の細長い本体のボア内に内向きに延伸する第2の細長い本体の遠位端に位置する環状突起を含むことができ、環状突起は、第3の細長い本体に許容される最も遠位の位置で、第3の細長い本体の外面から延伸する外向きの当接突起に当接する。第3の細長い本体の当接突起は、第3の細長い本体の外面上の実質的に近位の位置に配置される。第2の細長い本体の環状の内側への突起と第3の細長い本体の外側への当接突起との相互作用は、薬物カートリッジホルダアセンブリの第2の細長い本体に対する第3の細長い本体の許容される移動を構成および規定し、前記移動を、駆動システムによって駆動されたときの第2の細長い本体のボアの内側の近位方向における長手方向軸線に沿った並進移動として規定する。
【0033】
本発明のさらに別の目的によれば、自動注射器および再構成装置は、薬物カートリッジホルダアセンブリの近位端を駆動システムの軸方向に駆動可能なピストンロッドに連結するように構成された結合部材をさらに含む。したがって、結合部材は、長手方向軸線と軸方向に整列し、駆動システムの細長い本体内に収容されたボアを有する細長い結合部材本体を含む。結合部材は、再構成が完了するまで、駆動システムの細長い本体のボア内で長手方向軸線を中心に自由に回転するように構成される。具体的には、結合部材は、作動された駆動可能ピストンロッドの推進力の下で、カートリッジホルダアセンブリの第3の細長い本体が近位方向のその最大移動距離に達するまで、長手方向軸線の周りを回転することができ、その時点で、結合部材は、カートリッジホルダアセンブリに対して長手方向軸線の周りの回転でロックされるため、さらなる回転が防止される。
【0034】
結合部材および駆動可能ピストンロッドは、結合部材および駆動可能ピストンロッドの細長い本体にそれぞれ設けられた対応するピストン駆動係合手段を介して互いに接続される。そのような接続には任意の適切な係合手段が適切であるが、典型的には、一例として、そのようなそれぞれの係合手段は、長手方向軸線に平行または実質的に平行に延在する結合部材本体に設けられた1つまたは複数の長手方向スロットと、ピストンロッドに設けられた1つまたは複数の外側に突出するウィングとを含むことができ、それによってウィングはスロットに係合し、スロットはウィングの並進運動を可能にし、それによってピストンロッドは長手方向軸線に沿って並進運動する。任意選択的に、かつ有利には、突出ウィングは、注射後に、または再構成後のカートリッジホルダアセンブリの取り外し後に、ばねなどの結合部材の中または上に配置された付勢部材によって、近位方向に自動的に付勢され、これに対して、駆動可能ピストンのウィングは、再構成および注射を行うために、モータによる駆動時に遠位方向に移動されるときに支承される。注射が行われると、カートリッジホルダアセンブリが取り外され、結合部材からのカートリッジホルダアセンブリの結合解除により、付勢ばねがウィング部に対して押し戻され、ピストンロッドを近位方向に駆動し、ピストンロッドをその初期位置に戻す。
【0035】
結合部材は、カートリッジ本体ホルダアセンブリの第1の細長い本体の近位端と係合するように構成された遠位係合手段をさらに含む。駆動システムによって駆動されると、結合部材の遠位係合手段は、長手方向軸線を中心とした結合部材の細長い本体の回転をカートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体に伝達させるように構成される。そのような遠位係合手段は、結合部材本体の遠位面と、例えば、カートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体のボアの内面から延伸する近位に位置する内側に突出する環状肩部との間の単純な摩擦係合などの任意の適切な係合手段とすることができる。しかしながら、好ましくは、有利には、結合部材の遠位係合手段は、結合部材の遠位端で長手方向軸線に平行に延伸し、長手方向軸線の周りに配置された少なくとも1つまたは複数のスプラインまたは舌部を含む。これらのスプラインまたは舌部は、カートリッジホルダアセンブリが駆動システムに取り付けられたときに、カートリッジホルダの第1の細長い本体の近位端、例えば内面に設けられた溝などの対応する係合手段に挿入される。所与の例では、スプラインは、溝と相互作用して結合部材とカートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体とを互いにロックするように寸法決めされ構成され、その結果、一方の回転が他方の回転を同程度に引き起こす。舌部および溝は、例えば、それぞれカートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体に設けられた舌部および結合部材に設けられた溝を用いて、反対の配置で構成することができることを理解されたい。これらの構成のいずれにおいても、駆動システムによる駆動可能なピストンの駆動によって引き起こされる結合部材の回転は、カートリッジアセンブリホルダの第1の細長い本体を結合部材と共に直接回転させる。この回転は、第3の細長い本体の近位端が第1の細長い本体のボア内に設けられた近位に位置する環状肩部に当接するまで、第3の細長い本体を逆回転させ、第1の細長い本体のボア内に引き込ませる。
【0036】
上述したように、軸方向に駆動可能なピストンロッドは、駆動モータに接続された雄ねじ付きピストンロッドを含む。駆動可能なピストンロッドは、内ねじ付きナットをさらに含み、これにより、駆動モータの作動が、ねじ付きロッドを駆動して内ねじ付きナットに係合させ、ねじ付きロッドの雄ねじとねじ付きナットの内ねじとの相互作用により、前記ナットを前記長手方向軸線に沿って近位位置から遠位位置に移動させる。内ねじ付きナットには、ナットの外面に位置するピストン駆動係合手段が設けられ、前記ピストン駆動係合手段は、結合部材内または結合部材上に位置するそれぞれの対応する係合手段と係合するように構成される。この目的のために、例えば、上述したように、ねじ付きナットには、結合部材本体に設けられたスロットと相互作用する外側に突出するウィングが有利に設けられる。このようにして、ねじ付きナットロッドは、モータが作動されてピストンロッドが駆動されると遠位方向に前進し、ナットは、スロット内のウィングの係合により長手方向軸線に沿って並進し、同時に、前記スロットと前記ウィングとの間の相互作用を通じて長手方向軸線に沿ってねじ付きナットを安定させる。
【0037】
再構成ステップの間、モータが作動されて駆動可能なピストンを駆動する。結合部材のそれぞれの細長い本体、およびカートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体は、例えば上述のようにそれぞれ対応する舌部/スプラインおよび溝を介して回転してロックされる。ねじ付き駆動ピストンによって前方に押されるねじ付きナットのウィングは、結合部材本体のスロットと係合し、結合部材を回転させ、やはり回転させられるカートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体と係合させる。カートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体の回転は、カートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体と第3の細長い本体との間に設けられたねじ付きの相互作用する接触面を介してカートリッジホルダアセンブリの第3の細長い本体を逆回転させ、それによって、第3の細長い本体をカートリッジホルダアセンブリの第2の細長い本体および第1の細長い本体の両方のボア内に後退させる。この引き抜きは、第3の細長い本体の近位方向の移動に対応し、第3の細長い本体の近位端がカートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体の内側に突出する環状肩部に当接するまで続く。この時点で、カートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体は、結合部材とカートリッジホルダアセンブリの第3の細長い本体との間に保持されるため、それ以上回転することが防止される。ナットは、回転を停止し、代わりに、マルチチャンバカートリッジの第1のストッパと接触するまで、駆動モータの制御下でねじ付きピストンとの相互作用によって遠位方向に押され、その時点で、ねじ付きピストンおよびナットのさらなる駆動がストッパを遠位方向に押して、第1および第2の物質を混合させ、マルチチャンバ薬物カートリッジの一般的な機能に関して上述したように再構成させる。
【0038】
再構成が完了すると、注射は、例えば、適切な針をカートリッジホルダアセンブリの遠位端に接続し、自動注射器を通常の方法で動作させて注射を行うことによって行うことができる。注射後に、現在空のカートリッジの交換を可能にするために、ねじ付きナットを引き出すことができ、すなわち、駆動モータの方向を反転させることによって近位方向に移動させ、ねじ付きピストンをそれぞれのねじを介してねじ付きナットと相互作用させ、ナットを再び近位方向に移動させることができる。この逆移動は、カートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体を、再構成のためにその前の回転方向とは反対の方向に回転させ、それによって、その表面上の外向き突起がカートリッジホルダアセンブリの第2の細長い本体の内向きに突出した環状肩部と当接接触するまで、第3の細長い本体を遠位方向に押し戻す。その結果、カートリッジホルダアセンブリは、再構成が開始される前に、折り畳み構成から延伸構成に戻る。ここで、カートリッジホルダアセンブリを駆動システムから切り離し、新しいカートリッジを新しい再構成動作および/または注射のためにアセンブリに挿入することができる。
【0039】
さらに、必要に応じて、駆動可能なピストンは、必要に応じてナットの遠位端を押すことによって、この接合部で手動で完全にリセットすることができる。そのような手動介入は、ねじ付きピストンとナットとの間のねじ付き接触係合を無効にし、付勢ばねはナットのウィング部を押してナットをその初期位置まで近位方向に後方に押し戻す。
【0040】
なおさらなる実施形態によれば、自動注射装置のマルチチャンバ薬物カートリッジに収容された注射可能製品の再構成のためのプロセスが提供され、自動注射装置のマルチチャンバ薬物カートリッジは、第1のチャンバに格納された少なくとも1つの第1の物質と、それぞれの第2のチャンバに格納された少なくとも1つの第2の物質と、を含み、第1および第2のチャンバが、自動注射装置の中心長手方向軸線と実質的に軸方向に整列してノーズテール配置に配置され、
本明細書に記載のハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置を提供するステップと、
注射前に少なくとも再構成ステップを含む前記自動注射装置の機能を作動させるステップと、
を含み、
再構成ステップが、装置の長手方向中心軸に沿って、第1の実質的に延伸した遠位構成から第2の実質的に折り畳まれた近位構成への薬物カートリッジホルダアセンブリの相対移動を引き起こすように前記装置の駆動モータを駆動するステップを含み、それにより、前記少なくとも第1または第2のチャンバの一方のみで注射可能製品の再構成を行う。
【0041】
上述した本発明の様々な目的、および他のそのような目的は、例示目的で提供される添付の図面と併せて、本発明による装置の一例の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明によるモータ駆動式自動注射器および再構成装置の概略分解斜視図である。
【
図2】再構成前の
図1の装置の第1の概略断面図である。
【
図3】再構成後の
図1の装置の第1の概略断面図である。
【
図4】再構成前の
図1の装置の別の概略断面図である。
【
図5】再構成後の
図1の装置の別の概略断面図である。
【実施例0043】
図1~
図5は、本発明による装置の異なる概略図を表す。
図4および
図5は、主に、示されている断面が装置の長手方向軸線に沿った装置の90°の回転を表すという事実において、
図2および
図3とは異なる。それ以外のすべての要素は、
図2および
図3と同じままであり、それに応じて番号が付けられている。
【0044】
ここで
図1を参照すると、本発明によるハンドヘルドモータ駆動薬物再構成および自動注射装置(1)が、分解斜視図で概略的に表されている。装置(1)は、近位部分(3’)および遠位部分(3’’)で構成された細長い本体(3’、3’’)を含む駆動システム(2)を含み、近位部分および遠位部分は、共に嵌合してインターロックして細長い本体(3’、3’’)を形成し、前記細長い本体(3’、3’’)に沿って実質的に中心長手方向軸線(4)を有する。ボア(5)は、前記長手方向軸線(4)に沿って前記本体(3’、3’’)内に延伸し、細長い本体(3’、3’’)は、有利には、例えば接着、超音波溶接、クリップ留め、2つの半体(3A、3B)を互いに押し込み嵌めすることによって互いに固定することができる2つのさらなる相補的カバー(3A、3B)によって囲まれている。好ましくは、細長い本体(3’、3’’)は、例えば射出成形によって一体的に成形される。細長い本体(3’、3’’)は、制御可能な駆動モータ(6)と、前記ボア(5)内に配置された前記モータ(6)に結合された軸方向に駆動可能なピストンロッド(7)とを収容する。制御可能な駆動モータは、プリント回路基板(9)上に有用に配置され、相補的カバー(3A、3B)の1つ内に適切に収容されたコントローラ(8)によって制御される。コントローラ(8)は、EEPROMなどのプログラマブルコントローラ、または当技術分野で一般的に知られているタイプの他の適切なプログラマブルコントローラ、例えばマイクロコントローラである。コントローラ(8)は、他の電気的または電子的構成要素、例えば、任意選択的に充電可能なバッテリまたはリチウムイオン型バッテリなどの電源、1つまたは複数の通信回路、例えば近距離無線通信回路、RFID回路、および/または低エネルギー消費のためのBluetooth(登録商標)LE回路などのBluetooth(登録商標)通信回路、例えば、揮発性および/または不揮発性メモリストレージを含む、データを記憶するための1つまたは複数のメモリ記憶構成要素、自動注射装置または駆動システムからデータを取り込むためにコントローラに接続された1つまたは複数のセンサ、LCDディスプレイなどのデバイスのデータまたは機能状態を表す値または視覚信号などの信号を表示するように構成された1つまたは複数のディスプレイ構成要素、例えば投与される投与量を設定するために、装置へのユーザ入力を可能にするように構成された1つまたは複数のユーザ入力構成要素、ならびに装置内の他の構成要素、例えば、コントローラ(8)に接続され、ピストンロッド(7)を駆動するためにモータ(6)を作動させるように構成された駆動システムの細長い本体の近位端に配置され着座した近位ボタン(10)を作動または停止させるための1つまたは複数のスイッチと統合するか、または接続することができる。通信回路は、例えば、自動注射器および再構成装置(1)から、対応してプログラムされたアプリケーションを介して、遠隔または分散コンピューティングシステムなどの遠隔データ収集および処理装置、または例えばスマートフォンに情報を送信するように構成されるか、または任意の他の種類の移動体通信装置に記憶されるか、もしくはそれによって送信されるが、そのような遠隔データ収集および処理装置から情報を受信するように有用に構成される。
図1から分かるように、細長い本体(3’、3’’)のボア(5)は、本明細書に記載の他の構成要素と共に、モータ(6)およびねじ付きピストンロッド(7)をボア(5)内に軸方向に整列して収容する。ボア(5)は、ボア(5)の近位端に着座してこれを覆う近位ボタン(10)によって閉じられる。
【0045】
装置(1)は、薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)をさらに含む。遠位キャップ(12)は、カートリッジホルダアセンブリ()が駆動システム(2)に取り付けられたときにカートリッジホルダアセンブリ(11)を覆うように設けられる。カートリッジホルダアセンブリは、各々が長手方向軸線(4)に沿って延伸するボア(13A、14A、15A)を含む3つの細長い本体(13、14、15)を含む。近位端(16)および遠位端(17)を有する第1の細長い本体(13)は、その近位端(16)で、本明細書で説明するように駆動システム(2)の遠位ゾーンに接続される。第1の細長い本体(13)は、遠位端(17)から近位端(16)までボア(13A)に沿って実質的に全体にわたって延伸する、ボア(13A)の内面上のねじ付き接触面(18)を有する。近位端(19)および遠位端(20)を有する第2の細長い本体(15)は、第1の細長い本体(13)または第3の細長い本体のいずれよりも大きい直径のボア(15A)を有する。
図1では、分解図において、第2の細長い本体(15)は、第1および第3の細長い本体(13、14)の両方の遠位に示されているが、第1の細長い本体(13)および第3の細長い本体(14)の両方は、カートリッジホルダアセンブリ(11)の第2の細長い本体(15)のボア(15A)内に同軸かつ同心円状に配置され、第2の細長い本体(15)は、第1の細長い本体(13)の全長にわたって本質的に延伸することを理解されたい。第2の細長い本体(15)の近位端(19)に隣接して位置し、本体(15)の外面(21)にはねじ(22)がある。第2の細長い本体(15)のねじ(22)は、第2の細長い本体(15)を本体(3’’)の遠位部分の遠位領域またはゾーン(23)、特に、ボア(5)内に内向きに面する本体(3’’)の内面に設けられたねじ(24)と係合することを可能にするように構成され寸法決めされる。カートリッジホルダアセンブリを駆動システム(2)の遠位ゾーンにねじ込むことによって、カートリッジホルダアセンブリ(11)を駆動システム(2)に取り外し可能に取り付けることを可能にする係合接触面を形成するために、ねじ(24)およびねじ(22)は互いに相互作用し、補完する。さらに、任意選択的な対応する当接突起は、第1および第3の細長い本体(13、14、15)のそれぞれに任意選択的に設けられた観察窓の長手方向および軸方向の位置合わせ、および/またはそれぞれ重ね合わされた位置合わせを容易にし、および/または効果を与えるために、細長い本体(13、14)の内面および/または対応する外面に有利に設けられる。
【0046】
駆動システム(2)の遠位ゾーン(23)、特に本体(3’’)の遠位ゾーンにカートリッジホルダアセンブリ(11)を取り付ける前に、マルチチャンバ薬物カートリッジ(25)、例えば、注射可能な製品に再構成される少なくとも第1および第2の物質を含むデュアルチャンバ薬物カートリッジが、第1の細長い本体(13)のボア(13A)を通ってカートリッジホルダアセンブリ(11)に軸方向に挿入される。
図1に示すように、例えばガラス製の二重チャンバ薬物カートリッジ(25)は、近位端(26)および遠位端(27)を有し、第1の近位ストッパ(28)が近位端(26)に位置するか、または実質的に隣接する既知の方法でボアを画定し、ボアに沿って第1のストッパ(28)の遠位に位置する第2のストッパ(29)を画定し、それによって第1のチャンバ(30)を形成する。第1のチャンバ(30)は、再構成される薬物の第1の物質または成分、例えば溶媒を含む。第2のストッパ(29)は、第2のストッパ(29)の遠位にあり、第2のストッパ(29)とカートリッジ(25)の遠位端(27)との間にある容積内に第2のチャンバ(31)をさらに画定する。第2のチャンバ(31)は、成分が再構成されるときに再構成されるべき第2の物質または成分、例えば溶媒に可溶な溶質粉末を収容する。第1のチャンバ(30)および第2のチャンバ(31)は、2つのチャンバ間の狭い導管または通路として形成されたバイパス(32)によって相互接続され、ストッパの初期位置では、再構成が作動される前に、バイパス(32)は第2のストッパ(29)によって閉じられ、それにより、第1および第2の物質が互いに接触するのを防止する。
【0047】
第3の細長い本体(14)は、第1の細長い本体(13)のボア(13A)内に同軸かつ同心円状に着座する。第3の細長い本体(14)は、近位端(33)および遠位端(34)を有する。薬物カートリッジがホルダアセンブリ(11)に挿入されると、薬物カートリッジ(25)の遠位端(27)は静止し、第3の細長い本体(14)の遠位端(34)に設けられたネック(35)によって係合される。第3の細長い本体(14)の近位端(33)には、細長い本体(14)の外面(37)にねじ(36)が設けられている。このねじ(36)は、第1の細長い本体(13)の内面に設けられたねじ(18)とは反対方向に延在し、例えば、モータおよびねじ付きピストンの駆動によって引き起こされる第1の細長い本体の回転によって2つのねじ(18、36)が互いに係合すると、第3の細長い本体は、第1の細長い本体(13)のボア(13A)内に引き込まれ、それに対して近位方向に移動する。同時に、第3の細長い本体(14)は、第2の細長い本体のボア(15A)に沿って並進する。第3の細長い本体(15)には、その遠位端(20)に位置する内側に面する環状肩部または突起(38)が設けられ、これは、カートリッジホルダアセンブリ(11)の初期延伸構成において第3の細長い本体(14)と少なくとも部分的に重なる。第3の細長い本体(14)の望ましくない遠位移動は、第2の細長い本体(15)の突出した環状肩部(38)と、第3の細長い本体の外面に設けられた外側に突出した当接部(39)との係合によって防止される。
【0048】
自動注射器および再構成装置(1)は、カートリッジホルダアセンブリ(11)を駆動可能な駆動ピストン(7)に回転可能に結合するように構成され寸法決めされた結合部材(40)をさらに含む。結合部材は、ボア(42)、近位端(43)、および遠位端(44)を有する細長い本体(41)を含む。細長い本体(41)は、近位端から本体(41)の長さに沿って少なくとも部分的に、例えば本体(41)の長さに沿ってほぼ半分に延伸するより狭い直径の部分(41A)を有する。より狭い直径の部分(41A)は、前記より狭い直径の部分(41A)の外面の周りに同軸に配置され、半径方向に突出する肩部(47)を形成するより狭い直径の部分の遠位端に対して着座する、コイルばねなどの付勢部材(45)を収容するための空間を提供する(
図4を参照)。より狭い直径の部分(41A)はまた、少なくとも1つの長手方向スロット(46)、および好ましくは、より狭い直径の部分(41A)の近位端(43)から遠位端および肩部(47)まで長手方向軸線(4)に沿って平行に延伸する、好ましくは直径方向に対向する2つのそのようなスロットを含む。結合部材(40)の遠位端(44)には、長手方向軸線(4)に沿って平行に延伸し、前記軸の周りに半径方向に分布する複数の舌部またはスプラインが設けられる。スプラインまたは舌部(48)は、カートリッジホルダアセンブリ(11)の第1の細長い本体(13)の近位端(16)に配置された対応する寸法および構成の溝(49)と、そのボア(13A)内に内向きに面する前記本体(13)の内面(50)に係合し、インターロックするように構成および寸法決めされる。第2の細長い本体(15)を駆動システムの遠位ゾーン(23)にねじ込むことなどによってカートリッジホルダアセンブリを駆動システムに取り付けると、結合部材(40)のスプラインまたは舌部(48)と第1の細長い本体(14)の溝(49)とのインターロックは、結合部材(40)および第1の細長い本体(13)を回転可能にロックし、これは、前記本体(13)がピストンロッド(7)を介してモータによって加えられる回転方向に物理的に回転することができる限り、結合部材に与えられた任意の回転がカートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体に伝達されることを意味する。
【0049】
ここでカートリッジホルダアセンブリに戻ると、第1の細長い本体(13)は、第2の細長い本体(15)のボア(15A)内に取り付けられ、保持される。第1の細長い本体(13)には、第3の細長い本体(15)とインターロックして、2つの本体(13、15)間の相対的な遠位または近位移動を防止するインターロック係合手段が設けられている。そのようなインターロック手段はまた、第1の細長い本体(13)が長手方向軸線を中心に回転することを可能にするように構成されている。適切なインターロック係合手段の例は、カートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体の近位端(16)から延伸するか、または近位端()に隣接する環状の突出する肩部(51)であり得、これは、カートリッジホルダアセンブリの第3の細長い本体の近位端(19)に設けられるか、または近位端(19)に隣接する、対応する寸法および構成の環状溝(52)に係合する。このようにして、カートリッジホルダアセンブリ(11)の第1の細長い本体(14)は、ボア(15A)内で自由に回転するが、長手方向軸線(4)に沿って遠位方向および近位方向に移動することが防止される。
【0050】
ねじ付きピストン(7)は、ピストン(7)の外面に設けられたねじ(53)を有する。ピストン(7)は、ピストン(7)のねじとは反対に延在する内ねじ(55)が設けられたナット(54)をさらに含む。ナット(54)の近位端(56)は、使用前に装置(1)内のモータ(6)の遠位端(57)に当接する。ねじ付きピストン(7)を回転させると、ナット(54)の内ねじ(55)とピストン(7)の外ねじ(53)との係合により、ナット(54)がモータ(6)の遠位端(57)から離れる遠位方向に移動する。例えば、コントローラ(8)を介して投与量を設定した後にボタンスイッチ(10)を押して再構成および自動注入することによって、モータが作動したときにねじ付きナットがねじ付きピストンをねじの端部まで単純に延伸するのを防止するために、ねじ付きナットには、ナット(54)の近位端(56)に位置する半径方向外側に突出する複数のウィング(58)も設けられる。ウィング(58)は、結合装置に設けられた平行で半径方向に分布したまたは対向するスロット(46)と係合するように構成され寸法決めされる。ナット(54)は、ウィング(58)とスロット(46)との相互作用によって回転方向に拘束されるため、これにより、長手方向軸線を中心とする回転力が結合部材(40)に加えられる。次に、結合部材(40)がカートリッジホルダアセンブリ(11)の第1の細長い本体(13)に取り付けられているため、これも回転する。駆動モータを介したねじ付きピストンのさらなる回転は、ナット(54)を付勢部材(45)に対してスロット(46)内のウィング(58)と共に遠位に移動させる。カートリッジホルダアセンブリの第1の細長い本体(13)に伝達された結合部材(40)の回転は、本体(13)の雌ねじを第3の細長い本体(14)の雄ねじに接触させ、それによって前記第3の本体(14)を第1の細長い本体(13)のボア(13A)内に引き込む。第3の本体(14)の近位方向へのこの移動は、第3の本体(14)の近位端(33)が、第1の本体(13)のボア(13A)内に設けられ、前記本体(13)の内面からボア内に延伸する内側に突出する環状肩部(59)と当接接触するまで進行する。カートリッジホルダアセンブリの第3の細長い本体(14)が最大許容近位移動距離に達すると、それはもはや回転することができない。同様に、本体(13)ももはや回転することができず、結合部材(40)も回転することができない。カートリッジホルダアセンブリは、ここで完全に折り畳み構成にある(
図3および
図5を参照されたい)。
【0051】
続いて、ねじ付きピストンは、ナット(54)を遠位方向に駆動し続け、ナット(54)の遠位端(60)が第1のストッパ(28)と接触する。ナット(54)の遠位端(60)には、ゴム、エラストマー、または同様に適切なプラスチック材料で作られたキャップまたはインサート(61)を有利に設けることができ、第1のストッパ(28)に対するナット(54)の遠位端(60)に支持面を形成する。
【0052】
駆動モータの継続的な作動は、ナット(54)および端部(60)を遠位方向に前進させ、第1のストッパ(28)および第1のチャンバ(30)の内容物を遠位方向に押す。第1のストッパがナット(54)によって遠位に移動するときの第1のチャンバ(30)内の内容物の圧縮によって引き起こされる圧力上昇は、第2のストッパ(29)もまた、バイパス(32)の近位入口(62)を越えて移動するまで、遠位に移動させる。バイパス(32)の近位入口(62)が第1のチャンバ内の物質にさらされ、ナット(54)の遠位方向への連続的な移動によって引き起こされる第1のストッパの遠位方向への連続的な移動の下で、第1のチャンバ内の物質、例えば溶媒液体は、バイパス(32)を通る第1のバイパス入口を介して第2のチャンバ内に押され、2つの物質の再構成が進行することが可能になる。第1の物質のすべてがバイパス(32)を介して第2のチャンバ(31)に押し込まれ、再構成が行われるまで、第1のストッパ(28)は、モータ(6)およびナット(54)を介して薬物カートリッジ内の遠位方向に連続的に押される。ここで、注射針をカートリッジホルダアセンブリの第3の細長い本体(14)の遠位端(34)に取り付けることができ、そのような自動注射装置の通常のコマンドおよび制御に従って注射を進めることができる。
【0053】
注射が完了し、それに応じてカートリッジ内に収容されていた注射可能な製品がカートリッジから空になると、例えば、コントローラおよび作動ボタンを介してモータの回転方向を逆転させることができる。モータの方向の反転は、ナットをモータの遠位端(57)に向かって再び近位方向に移動させる。さらに、付勢部材(45)は、ナット(54)のウィング(58)を押して、ナット(54)を近位方向に後方に移動させるのを容易にする。近位方向への移動が進むにつれて、ナット(54)は、結合部材(40)およびカートリッジホルダアセンブリ(11)の第1の細長い本体(13)が、ウィングの影響下で、再構成に必要な方向とは反対の方向に再び自由に回転することができる位置に到達し、そうすることで、第3の細長い本体(14)が、カートリッジホルダアセンブリ(11)を折り畳み状態から延伸状態にするように再び遠位方向に移動させる。第3の細長い本体(14)の遠位方向の移動は、最終的に、第2の細長い本体(15)の突出した環状肩部(38)が、第3の細長い本体(14)の外面に設けられた外側に突出した当接部(39)と当接接触することによって停止する。この時点で、ナット(54)はその初期開始位置に戻り、カートリッジホルダアセンブリ(11)はその初期延伸構成に到達している。次いで、カートリッジホルダアセンブリ(11)を取り外し、使用済みカートリッジを新しいものと交換して、再構成および注射のシーケンスを再開することができる。
前記薬物カートリッジホルダアセンブリの前記第1の細長い本体(13)および前記薬物カートリッジホルダアセンブリの前記第3の細長い本体(14)が、前記第1の細長い本体(13)の内面(18)および前記第3の細長い本体(14)の外面(36)を含む接触面を介して互いにそれぞれ接続され、
前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)の前記第1の細長い本体(13)に対する前記第3の細長い本体(14)の前記構成された許容される動きは、前記長手方向中心軸を中心とし、前記接触面(18、36)に沿った近位方向への回転運動である、
請求項1に記載の薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)。
前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)の前記第2の細長い本体(15)が、前記第1の細長い本体(13)の周りに同心円状に配置され、近位端(19)から遠位端(20)まで遠位方向に延伸し、
前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)の前記第2の細長い本体(15)の前記遠位端(20)が、前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)の前記第3の細長い本体(14)の少なくとも近位端(33)の周りに同心円状に配置されて、前記少なくとも近位端(33)の上に延伸し、
前記薬物カートリッジホルダアセンブリの前記第2の細長い本体(15)に対する前記第3の細長い本体(14)の前記構成された許容される動きは、前記第2の細長い本体(15)の前記ボア(15A)の内側の近位方向における前記長手方向中心軸に沿った並進運動である、
請求項1に記載の薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)。
前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)の前記第1の細長い本体(13)および前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)の前記第2の細長い本体(15)が、前記第2の細長い本体(15)および前記第1の細長い本体(13)にそれぞれ設けられた協働するインターロック手段(51、52)を含む接触面を介して互いに接続され、
それぞれの協働するインターロック手段(51、52)は、第2の細長い本体(15)のボア(15A)内での第1の細長い本体(13)の相対的な回転運動を可能にするように構成され、
前記それぞれのインターロック手段(51、52)が協働して、前記第1の細長い本体(13)を前記第2の細長い本体(15)の前記ボア(15A)内で前記長手方向中心軸を中心に回転させる、
請求項1に記載の薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)。
前記駆動可能ピストンロッド(7)上に配置された前記ピストン駆動係合手段(53、54、55、58)が、前記結合部材(40)の中または上に配置された付勢部材(45)によって、再構成後の前記カートリッジホルダアセンブリの注射または取り外し後に近位方向に自動的に付勢されるように構成される、請求項10に記載の薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)。
軸方向に駆動可能なピストンロッド(7)が、前記駆動モータ(6)に接続された外ねじ付き(53)ピストンロッド(7)と、内ねじ付き(55)ナット(54)と、を含み、それによって駆動モータ(6)の作動が、前記ねじ付きロッド(7)を駆動して前記内ねじ付きナット(54)に係合させ、それによって前記ナット(54)を前記長手方向軸線(4)に沿って近位位置から遠位位置に移動させる、
請求項5に記載の薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)。
前記薬物カートリッジホルダアセンブリ(1)が、前記駆動システム(2)の前記本体および前記カートリッジホルダアセンブリ(11)の前記第2の細長い本体(15)に設けられたそれぞれの協働する表面(22、24)を介して前記駆動システム(2)の遠位ゾーン(23)に解放可能に取り付けられる、請求項5に記載の薬物カートリッジホルダアセンブリ(11)。