(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025102450
(43)【公開日】2025-07-08
(54)【発明の名称】顔料組成物の製造方法、顔料分散液の製造方法、水性インクの製造方法、及びインクジェット記録方法
(51)【国際特許分類】
C09B 67/46 20060101AFI20250701BHJP
C09D 11/322 20140101ALI20250701BHJP
【FI】
C09B67/46 B
C09D11/322
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219903
(22)【出願日】2023-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098707
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 利英子
(74)【代理人】
【識別番号】100135987
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 重慶
(74)【代理人】
【識別番号】100168033
【弁理士】
【氏名又は名称】竹山 圭太
(72)【発明者】
【氏名】向井 拓史
【テーマコード(参考)】
4J039
【Fターム(参考)】
4J039BE01
4J039BE24
4J039CA06
4J039EA35
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】耐光性に優れた顔料組成物を製造することが可能な顔料組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】顔料、水溶性無機塩、有機溶剤、及び非水溶性紫外線吸収剤を含む混合物をソルベントソルトミリング法により混練して混練物を得る混練工程を含む顔料組成物の製造方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料、水溶性無機塩、及び有機溶剤を含む混合物をソルベントソルトミリング法により混練して混練物を得る混練工程を含む顔料組成物の製造方法であって、
前記混合物が、さらに非水溶性紫外線吸収剤を含むことを特徴とする顔料組成物の製造方法。
【請求項2】
前記混練工程における混練時のずり速度が、15s-1以上である請求項1に記載の顔料組成物の製造方法。
【請求項3】
前記混練工程における、前記非水溶性紫外線吸収剤の使用量が、前記顔料の使用量を基準として、0.5質量%以上10.0質量%以下である請求項1に記載の顔料組成物の製造方法。
【請求項4】
前記有機溶剤が、前記非水溶性紫外線吸収剤を溶解可能な第一有機溶剤を含む請求項1に記載の顔料組成物の製造方法。
【請求項5】
前記非水溶性紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール誘導体を含み、かつ、
前記有機溶剤が、N-メチルピロリドン及びN,N-ジメチルホルムアミドのうちの少なくとも一方を含む請求項1に記載の顔料組成物の製造方法。
【請求項6】
前記非水溶性紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール誘導体を含み、かつ、
前記有機溶剤が、N,N-ジメチルホルムアミドを含む請求項1に記載の顔料組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の顔料組成物の製造方法により得られた顔料組成物、分散剤、及び水を混合し、前記分散剤により、前記顔料組成物を前記水に分散させる分散工程を含むことを特徴とする顔料分散液の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の顔料分散液の製造方法により得られた顔料分散液、及び水溶性有機溶剤を含む成分を混合する工程を含むことを特徴とする水性インクの製造方法。
【請求項9】
インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項8に記載の水性インクの製造方法により得られた水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料組成物の製造方法、顔料分散液の製造方法、水性インクの製造方法、及びインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、顔料を用いる市場は、カラーフィルタやインクジェット用インクなど多方面に拡大している。それに伴い顔料には高い色特性だけでなく、着色組成物としたときの安定性やろ過性、また基材に塗工した際の適性など、様々な信頼性が求められている。特に、インクジェット方式の多様な記録装置の普及により、屋外展示用ポスターや建築材用記録物など、屋外に設置される記録物を得るためにインクジェット用インクが用いられるようになってきている。そのため、色材として顔料を含有する水性インク(以下、「顔料インク」と記載することがある。)については、屋外の環境においても記録物を設置できるよう、耐光性に優れることの需要が高まっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、耐光性などに優れた不溶性アゾ顔料を用いたインク組成物が開示されている。特許文献1に開示されたインク組成物のように、顔料として結晶性の高い顔料を用いることによって、耐光性に優れる記録物を得ることが可能となる。特に、従来、彩度が優れる顔料において耐光性が劣る顔料があり、彩度に優れながら耐光性に優れる顔料として結晶性の高い顔料が有用であることが知られている。しかし、高発色性と耐光性はトレードオフの関係にあり、特許文献1に開示されたような試みを行ったとしても、顔料の分子構造が限定されてしまうと、耐光性の向上にも限界がある。このような中、顔料の分子構造に解決法を求めるのではなく、添加剤を使用することなども提案されている。例えば、特許文献2には、顔料、スチレン系樹脂、水性媒体、並びに紫外線吸収剤及び光安定剤を内包するポリカーボネート変性ウレタン樹脂粒子を含有するインクジェット用水性インクが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-154739号公報
【特許文献2】特開2021-038404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2に開示されたインクでは、紫外線吸収剤及び光安定剤が顔料の近傍に存在するわけではないため、近年高まる耐光性の水準を満足するまでには至っていないのが実情である。
【0006】
したがって、本発明の目的は、耐光性に優れた顔料組成物を製造することが可能な顔料組成物の製造方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記の製造方法で得られた顔料組成物を用いた、顔料分散液の製造方法、水性インクの製造方法、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明によれば、顔料、水溶性無機塩、及び有機溶剤を含む混合物をソルベントソルトミリング法により混練して混練物を得る混練工程を含む顔料組成物の製造方法であって、前記混合物が、さらに非水溶性紫外線吸収剤を含むことを特徴とする顔料組成物の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐光性に優れた顔料組成物を製造することが可能な顔料組成物の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、上記の製造方法で得られた顔料組成物を用いた、顔料分散液の製造方法、水性インクの製造方法、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
【0010】
本発明者らは、紫外線吸収剤を用いて、水性顔料インクの耐光性を向上させるために様々な検討を試みた。水性顔料インクに直接、水溶性紫外線吸収剤を添加したところ、耐光性を向上させることができなかった。これは、紫外線吸収剤を添加した水性顔料インクを記録媒体に付与した際に、紫外線吸収剤も水とともに記録媒体の内部へ吸収されてしまい、記録媒体上の顔料に当たる紫外線を十分に吸収できなかったためと本発明者らは推測している。
【0011】
そこで、非水溶性紫外線吸収剤を水性顔料インクへ直接添加したが、水中に懸濁した状態となり、発色性や保存性が低下してしまい、インクとしての性能を保つことができなかった。さらに、非水溶性紫外線吸収剤を水に分散させた分散液を水性顔料インクに直接添加したところ、発色性や保存性の低下は起こらず、インクとしての性能を保つことができた。そして、非水溶性紫外線吸収剤の水分散液を添加した水性顔料インクを用いてインクジェット記録方法により記録媒体に画像を記録し、得られた記録物を用いて耐光性を測定したところ、耐光性の向上が確認された。しかし、本発明者らが望む耐光性を満たすことはできなかった。水溶性紫外線吸収剤とは異なり、非水溶性紫外線吸収剤は、記録物において記録媒体上に留まっていると考えられる。しかし、記録媒体上ではすべての顔料の近傍に非水溶性紫外線吸収剤が留まることができず、紫外線吸収剤の役割を十分に発揮できなかったと本発明者らは推測している。
【0012】
本発明者らは、顔料表面に非水溶性紫外線吸収剤を留めることによって耐光性を向上させることができると考えた。そこで、顔料と非水溶性紫外性吸収剤を混合し、有機溶剤中で撹拌を行った後、洗浄して得られた顔料組成物を水性インクに含有させて上述と同様に耐光性を測定したところ、耐光性は向上しなかった。単純な撹拌では非水溶性紫外線吸収剤を顔料表面に留めることができなかったと推測される。
【0013】
そこで、本発明者らは、非水溶性紫外線吸収剤を顔料表面に留める手法として、ソルベントソルトミリング法に着目した。ソルベントソルトミリング法は、顔料、水溶性無機塩、及び有機溶剤を含む混合物を、その混合物に荷重をかけて圧縮しつつ混練する方法である。ソルベントソルトミリング法では水溶性無機塩によって顔料を粉砕し、エネルギー的に不安定な破砕面を作り出し、細かく砕かれた顔料の破砕面同士が吸着し、結晶成長することによって、顔料の粒子径が整えられる。本発明者らは、非水溶性紫外線吸収剤を顔料表面に留めるためには強力な吸着力が必要であると考えた。ソルベントソルトミリング法によって作り出させる顔料の破砕面には強力な吸着能があり、ソルベントソルトミリング法による混練工程の際に、非水溶性紫外線吸収剤を添加することによって、顔料表面に非水溶性紫外線吸収剤を留めることが可能になると考えた。
【0014】
本発明者らは、顔料、水溶性無機塩、非水溶性紫外線吸収剤、及び有機溶剤を配合し、ソルベントソルトミリング法により混練して混練物を作製し、この混練物を洗浄した後に得られた顔料組成物、分散剤、及び水を配合して顔料分散液を調製した。そして、その顔料分散液を用いて水性インクを調製し、このインクを用いて上述と同様に耐光性を測定したところ、耐光性の大きな向上が確認された。上述の通り、ソルベントソルトミリング法による混練工程で顔料に破砕面が生じ、その破砕面に非水溶性紫外線吸収剤が吸着し、顔料表面が非水溶性紫外線吸収剤で覆われることで耐光性が向上したと推測される。
【0015】
<顔料組成物の製造方法>
本発明の一実施形態の製造方法は、顔料、水溶性無機塩、及び有機溶剤を含む混合物をソルベントソルトミリング法により混練して混練物を得る混練工程を含む顔料組成物の製造方法である。上記混合物は、さらに非水溶性紫外線吸収剤を含む。以下、混練工程、及び各使用材料などについて、詳細に説明する。
【0016】
〔混練工程〕
本実施形態の顔料組成物の製造方法における混練工程では、顔料、非水溶性紫外線吸収剤、水溶性無機塩、及び有機溶剤を含む混合物をソルベントソルトミリング法により混練して混練物を得る。ソルベントソルトミリング法は、混練装置を用いて、顔料、水溶性無機塩、及び有機溶剤を含む混合物を、その混合物に荷重をかけて圧縮しつつ混練する方法である。本実施形態の顔料組成物の製造方法では、ソルベントソルトミリング法による混練工程によって、微細化した顔料、非水溶性紫外線吸収剤、水溶性無機塩、及び有機溶剤を含有する混練物を得ることができる。
【0017】
混練装置としては、例えば、バッチ式及び連続式、並びに、常圧式、加圧式、及び減圧式などの混練装置を用いることができ、内容物に荷重をかけて圧縮しつつ混練する装置を好適に用いることができる。また、混練釜及びホッパーなどの材料投入部や、材料を撹拌するための撹拌翼、撹拌羽、ブレード、スクリュー、及びロールなどの撹拌部などを備えた混練装置を好適に用いることができる。具体的な混練装置としては、例えば、ニーダー、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、プラネタリーミキサー、及び連続式一軸混練機などの混練装置を挙げることができる。プラネタリーミキサーとしては、例えば、井上製作所製のトリミックス(商品名)を挙げることができる。また、連続式一軸混練機としては、例えば、浅田鉄工製のミラクルKCK(商品名)を挙げることができる。上記に挙げた混練装置のなかでも、プラネタリーミキサーを用いることが好ましい。
【0018】
本実施形態の顔料組成物の製造方法において、非水溶性紫外線吸収剤を顔料表面に吸着させるためには、混練中に顔料の破砕面を作り出すことが重要である。そのため、顔料に強力な荷重をかけるソルベントソルトミリング法による混練を行う。この「荷重をかける」ことを具体的に表現する場合には、「ずり速度」で表すことが可能である。混練工程における混練時のずり速度は、顔料自体に剪断力を与えやすい観点から、10s-1以上であることが好ましく、顔料自体にさらに剪断力を与えやすい観点から、15s-1以上であることがより好ましく、20s-1以上であることがさらに好ましい。
【0019】
混練工程における混練時の温度は、0℃以上130℃以下であることが好ましく、10℃以上120℃以下であることがより好ましく、10℃以上90℃以下であることがさらに好ましい。
【0020】
混練工程における混練時間は、1時間以上10時間以下であることが好ましく、2時間以上8時間以下であることがさらに好ましい。混練時間が2時間以上であることにより、顔料表面への非水溶性紫外線吸収剤の吸着量が十分となりやすく、耐光性が向上しやすい。一方、混練時間は処理効率の観点から、8時間以下であることが好ましい。
【0021】
混練工程における、非水溶性紫外線吸収剤の使用量は、顔料の使用量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。非水溶性紫外線吸収剤の使用量が、顔料の使用量を基準として、0.5質量%以上であることにより、得られる顔料組成物の耐光性がさらに向上しやすい。この観点から、顔料の使用量を基準とした非水溶性紫外線吸収剤の使用量の割合は、0.8質量%以上であることがさらに好ましい。一方、非水溶性紫外線吸収剤が顔料表面全体を覆えば、当該非水溶性紫外線吸収剤が有する紫外線吸収機能を十分に付与しうると考えられる。この観点と、得られる顔料組成物を用いて調製したインクの保存安定性や吐出安定性の観点から、顔料の使用量を基準とした非水溶性紫外線吸収剤の使用量の割合は、10.0質量%以下であることがより好ましく、8.0質量%以下であることがさらに好ましい。上記の顔料の使用量を基準とした非水溶性紫外線吸収剤の使用量の割合(質量%)は、混練工程における、{非水溶性紫外線吸収剤の使用質量/顔料の使用質量}×100により求められる。
【0022】
混練工程における顔料、水溶性無機塩、及び有機溶剤の混合比率については、顔料の使用量を基準として、以下の比率とすることが好ましい。混練工程における、水溶性無機塩の使用量は、顔料の使用量に対する質量比率で、3.0倍以上20.0倍以下であることが好ましく、5.0倍以上10.0倍以下であることがさらに好ましい。また、混練工程における、有機溶剤の使用量は、顔料の使用量に対する質量比率で、0.5倍以上5.0倍以下であることが好ましく、0.8倍以上3.0倍以下であることがさらに好ましい。
【0023】
(顔料)
混練工程で用いる顔料としては、例えば、カーボンブラックや有機顔料などを挙げることができる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、及びチャンネルブラックなどを挙げることができる。有機顔料としては、例えば、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、C.I.ピグメントレッド150、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、C.I.ピグメントイエロー74、及びピラゾロンレッドなどの水不溶性アゾ顔料;リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、及びパーマネントレッド2Bなどの水溶性アゾ顔料;銅フタロシアニンブルー、及び銅フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料;キナクリドンレッド、及びキナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系顔料;ペリレンレッド、及びペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料;イソインドリノンイエロー、及びイソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系顔料;ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、及びベンズイミダゾロンレッドなどのイミダゾロン系顔料;ピランスロンレッド、及びピランスロンオレンジなどのピランスロン系顔料;並びにインジゴ系顔料、縮合アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、及びジオキサジンバイオレットなどが挙げられる。勿論、これらに限られるものではない。上記の顔料のうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
(非水溶性紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤とは、紫外線領域の光を吸収し、熱エネルギーとして外部へ放出する化学構造をもった化合物である。一般的に紫外領域に極大波長をもつ化合物を紫外線吸収剤と定義している。本開示においても同様で、280nm以上350nm以下の範囲に極大波長をもつ化合物を紫外線吸収剤とする。
【0025】
本実施形態の顔料組成物の製造方法で使用する紫外線吸収剤は、水性顔料インクにおいて、顔料表面に留まる必要がある。ここで、仮に水溶性の紫外線吸収剤を用いる場合、顔料組成物の精製時、顔料分散液の調製時、及び水性顔料インクの調製時などにおいて、水溶性紫外線吸収剤が顔料表面より溶出してしまう。そのため、紫外線吸収剤は顔料表面に存在しないこととなり、耐光性の向上が得られない。したがって、本実施形態の顔料組成物の製造方法では、非水溶性紫外線吸収剤を用いる。ここで、非水溶性紫外線吸収剤は、水に溶解しない方がより好ましいが、本開示における「非水溶性紫外線吸収剤」は、25℃の水に対する溶解度が10質量%未満である紫外線吸収剤をいう。
【0026】
好適な非水溶性紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、シアノアクリレート誘導体、及びトリアジン誘導体を挙げることができる。これらはそれぞれ、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、及びトリアジン系紫外線吸収剤と称してもよい。これらの紫外線吸収剤のうちの1種又は2種以上を用いることがより好ましい。
【0027】
具体的な非水溶性紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-[5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、メチル-3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール、2,2-ビス{[2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル-オキシ]メチル}プロパン-1,3-ジイル=ビス(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリラート)、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸エチル、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸-2-エチルヘキシル、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]フェノール、及び2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。これらの非水溶性紫外線吸収剤の1種又は2種以上を用いることができる。
【0028】
(水溶性無機塩)
混練工程で用いる水溶性無機塩は、硬度の高さを利用して混練工程にて顔料を破砕し、顔料の一次粒子の微細化に寄与する。水溶性無機塩としては、水に溶解する無機塩であれば、特に限定されない。具体的な水溶性無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、塩化亜鉛、塩化カルシウム、及び塩化マグネシウム、並びにそれらのうちの2種以上の混合物などを挙げることができる。それらのなかでも、価格面から、塩化ナトリウムを用いることが好ましい。
【0029】
水溶性無機塩の粒子径としては、体積基準の粒度分布における、累積50%粒子径(メディアン粒子径;D50)が1μm以上250μm以下、累積95%粒子径(D95)が500μm以下であることが好ましい。特に微細な顔料が所望の場合は、摩砕助剤として使用される水溶性無機塩も微細であることが好ましい。具体的には、体積基準の粒度分布における、累積50%粒子径(D50)が1μm以上10μm以下、累積95%粒子径(D95)が20μm以下の水溶性無機塩がさらに好ましい。
【0030】
水溶性無機塩のD50及びD95は、光学顕微鏡を用いて測定される値を採ることができる。具体的には、光学顕微鏡を用いて500個の水溶性無機塩の粒子径を測定し、体積基準の粒度分布からD50及びD95を算出する方法が挙げられる。後述する実施例で使用した水溶性無機塩についても上記測定方法によりD50及びD95を求めた。
【0031】
(有機溶剤)
混練工程で用いる有機溶剤は、第一の役割として、顔料、非水溶性紫外線吸収剤、及び水溶性無機塩を含む混合物を湿潤させ、適度な固さのドウ(混練してできる塊)にするためのものである。これにより、ソルベントソルトミリング法において混練物に強力な荷重がかかりやすいことで摩砕効果を増大させ、顔料の破砕面を発生させる一翼を担う。
【0032】
有機溶剤としては、特に限定されないが、アルコール類、グリコール類、エーテル類、及び非プロトン系極性溶媒などの有機溶剤が好ましい。具体的には、例えば、2-(メトキシメトキシ)エタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール、アニリン、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、イソブタノール、n-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びN-メチルピロリドンなどを挙げることができる。上記の水溶性有機溶剤のうちの1種を単独で使用してもよいし、必要に応じて2種以上を混合して使用してもよい。
【0033】
また、混練工程において、有機溶剤は非水溶性紫外線吸収剤を溶解させる第二の役割を担うことが好ましい。そのために、混練工程で用いる有機溶剤は、非水溶性紫外線吸収剤を溶解可能な第一有機溶剤を含むことが好ましく、混練工程では、有機溶剤の一部に、非水溶性紫外線吸収剤を溶解可能な第一有機溶剤を用いることがより好ましい。混練工程において、非水溶性紫外線吸収剤を溶解可能な第一有機溶剤を用いて非水溶性紫外線吸収剤を溶解させることで、非水溶性紫外線吸収剤を顔料へ効率的に吸着させることができる。そのため、得られる顔料組成物の耐光性をさらに向上させることが可能である。
【0034】
第一有機溶剤としては、非水溶性紫外線吸収剤を完全に溶解する有機溶剤を用いることがより好ましいが、混練処理時の温度において、非水溶性紫外線吸収剤を10質量%以上溶解可能な有機溶剤を、非水溶性紫外線吸収剤を溶解可能な第一有機溶剤とする。第一有機溶剤が、非水溶性紫外線吸収剤を10質量%以上溶解可能であることは、第一有機溶剤の質量に対する、第一有機溶剤に溶解する非水溶性紫外線吸収剤の質量の割合(質量%)が10質量%以上であることを表す。例えば、第一有機溶剤100gには非水溶性紫外線吸収剤が10g以上溶解することを表す。
【0035】
混練工程で使用する全有機溶剤に占める第一有機溶剤の使用量の割合は、有機溶剤の全使用量を基準として、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。また、第一有機溶剤の使用量の上記割合は、100質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
【0036】
例えば、非水溶性紫外線吸収剤にベンゾトリアゾール誘導体を用いる場合、N-メチルピロリドンやN,N-ジメチルホルムアミドによってベンゾトリアゾール誘導体を溶解させることが可能であることから、それらを第一有機溶剤として用いることができる。顔料組成物の製造時に非水溶性紫外線吸収剤を溶解させることによって、非水溶性紫外線吸収剤を顔料へ効率的に吸着させることができる。そのため、非水溶性紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール誘導体を含み、かつ、有機溶剤が、N-メチルピロリドン及びN,N-ジメチルホルムアミドのうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。また、非水溶性紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール誘導体を含み、かつ、有機溶剤が、N,N-ジメチルホルムアミドを含むことがより好ましい。
【0037】
(その他の材料)
混練工程において混練物を製造する際、顔料、非水溶性紫外線吸収剤、水溶性無機塩、及び有機溶剤を含む混合物の他に、顔料の結晶成長や結晶転位を調整する目的で、色素誘導体を添加してもよい。添加する色素誘導体としては、顔料と同一の構造を母体とする色素誘導体が好ましいが、異なる構造の色素誘導体であってもよい。色素誘導体の置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホン酸基、スルホン酸アミド基、及びフタルイミドメチル基などを挙げることができる。また、有機色素には、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系、及びアントラキノン系などの淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。特に、塩基性基を有する色素誘導体は、顔料の分散効果が大きいため、好適に用いることができる。これらは、1種を単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0038】
〔その他の工程〕
上述の混練工程によって、顔料、非水溶性紫外線吸収剤、水溶性無機塩、及び有機溶剤などを含有する混練物を得ることができる。本実施形態の顔料組成物の製造方法では、上述の混練工程によって得られた混練物から、水溶性無機塩及び有機溶剤を除去する工程を行うことが好ましい。その方法としては、例えば、混練物に対して所定の割合の水に混練物を入れて顔料懸濁液(スラリー)を得た後、この顔料懸濁液を濾過及び洗浄することにより、混練物から水溶性無機塩及び有機溶剤を除去することができる。濾過の方法は特に限定されないが、上記の顔料懸濁液を限外濾過膜や透析膜に通過させて分離する方法や、高圧フィルタープレスで分離する方法などを採ることが好ましい。
【0039】
上述の濾過などを含む工程により、水溶性無機塩及び有機溶剤が分離された顔料組成物のウェットケーキが得られる。得られたウェットケーキは、菌の繁殖を考慮し、含水率を5質量%以下に乾燥させることが好ましい。乾燥方法としては、例えば、乾燥機に設置した加熱源による80℃以上120℃以下の加熱などにより、ウェットケーキの脱水及び/又は脱溶剤を行う回分式又は連続式の乾燥などを挙げることができる。乾燥機としては、例えば、箱型乾燥機、バンド乾燥機、及びスプレードライヤーなどを挙げることができる。
【0040】
<顔料分散液の製造方法>
上述した顔料組成物の製造方法によって得られた顔料組成物を用いて、顔料分散液を製造することが可能である。その顔料分散液の製造方法は、上述の顔料組成物の製造方法により得られた顔料組成物、分散剤、及び水を混合し、分散剤により、顔料組成物を水に分散させる分散工程を含む。顔料組成物としては、上述の顔料組成物の製造方法において得られた混練物から、水溶性無機塩及び有機溶剤を除去した後に得られた、顔料及び非水溶性紫外線吸収剤を含有する顔料組成物を用いることが好ましい。水としては、イオン交換水や純水などの脱イオン水を用いることが好ましい。
【0041】
〔分散工程〕
顔料を分散媒体である水中に分散させる分散方式としては、例えば、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。分散媒体である水に上述の顔料組成物を分散させるために、分散剤として、樹脂(樹脂分散剤)や界面活性剤を用いることが好ましい。なかでも、アニオン性基の作用によって、顔料組成物を分散媒体に安定に分散させることが可能な樹脂(アニオン性基を有する樹脂)を用いることがより好ましい。
【0042】
樹脂としては、重合性の疎水性モノマー及び重合性の親水性モノマーを共重合させて得られる、疎水性モノマーに由来する構造単位、及びアニオン性基を有する親水性モノマーに由来する構造単位を有する樹脂が好ましい。疎水性モノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、n-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどを挙げることができる。疎水性モノマーの1種又は2種以上を用いることができる。親水性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、及びフマール酸などのカルボキシ基を有する親水性モノマー;スチレンスルホン酸、スルホン酸-2-プロピルアクリルアミド、アクリル酸-2-スルホン酸エチル、メタクリル酸-2-スルホン酸エチル、及びブチルアクリルアミドスルホン酸などのスルホン酸基を有する親水性モノマー;メタクリル酸-2-ホスホン酸エチル、及びアクリル酸-2-ホスホン酸エチルなどのホスホン酸基を有する親水性モノマー;などを挙げることができる。親水性モノマーの1種又は2種以上を用いることができる。
【0043】
分散剤として用いる樹脂の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下であることが好ましく、3,000以上15,000以下であることがさらに好ましい。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される標準ポリスチレン換算の値をとることができる。樹脂の酸価(mgKOH/g)は、40mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることがより好ましい。樹脂の酸価は、水酸化カリウム-メタノール滴定液を用いた電位差滴定装置により測定される値をとることができる。樹脂の使用量は、顔料の使用量に対して、10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
【0044】
顔料組成物を分散媒体に分散させる際には、分散装置を用いることができる。分散装置としては、例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、スパイクミル、ナノマイザー、アジテーターミル、及びプラネタリなどを挙げることができる。
【0045】
顔料分散液中の顔料の含有量(質量%)は、顔料分散液全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上30.0質量%以下であることがより好ましい。顔料分散液中の非水溶性紫外線吸収剤の含有量(質量)は、顔料分散液中の顔料の含有量(質量)を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。この割合は、0.8質量%以上8.0質量%以下であることがさらに好ましい。
【0046】
顔料組成物、及びそれを含有する顔料分散液は、着色機能を必要とするような用途であればいずれにも好適に使用できる。そのような用途としては、例えば、塗料、印刷インキ、着色成形品、静電荷像現像用トナー、液晶表示装置のカラーフィルタ、及びインクジェット用のインクなどを挙げることができる。これらのなかでも、インクジェット用の水性インクが好ましい。
【0047】
<インクの製造方法>
上述した顔料分散液の製造方法によって得られた顔料分散液を用いて、水性インクを製造することが可能である。その水性インクの製造方法は、上述の顔料分散液の製造方法により得られた顔料分散液、及び水溶性有機溶剤を含む成分を混合する工程を含む。この工程でインクを調製する際には、上記成分として、前述の顔料分散液及び水溶性有機溶剤のほか、さらに水や、必要に応じて用いられるその他の添加剤などを配合してインクを調製することができる。
【0048】
(色材)
インクは、前述の顔料分散液の製造方法によって得られた顔料分散液を含有することから、色材として、前述の顔料組成物の製造方法によって得られた顔料組成物を含有する。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。インク中の非水溶性紫外線吸収剤の含有量(質量)は、インク中の顔料の含有量(質量)を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。この割合は、0.8質量%以上8.0質量%以下であることがさらに好ましい。
【0049】
(水性媒体)
インクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性インクである。インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、40.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましく、50.0質量%以上95.0質量%以下であることがさらに好ましい。
【0050】
水溶性有機溶剤としては、従来からインクジェット用のインクに一般的に用いられているものをいずれも用いることができる。水溶性有機溶剤としては、例えば、炭素数1乃至4のアルキルアルコール類、アミド類、ケトン類、ケトアルコール類、エーテル類、ポリアルキレングリコール類、グリコール類、アルキレン基の炭素数が2乃至6のアルキレングリコール類、多価アルコール類、アルキルエーテルアセテート類、多価アルコールのアルキルエーテル類、含窒素化合物類、及び含硫黄化合物類などを挙げることができる。これらの水溶性有機溶剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以上40.0質量%以下であることがさらに好ましい。
【0051】
(その他の添加剤)
インクには、保湿性などの維持のために、上記した成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの保湿性を有する常温で固体の化合物を含有させてもよい。インク中のこのような化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、インクには、上記した成分以外にも必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、及び還元防止剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
【0052】
<インクジェット記録方法>
上述のインクの製造方法によって得られたインクは、インクジェット記録方法に用いることが好ましい。そのインクジェット記録方法は、上述の水性インクの製造方法によって得られた水性インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与することによりインクを吐出する方式や、インクに熱エネルギーを付与することによりインクを吐出する方式などを挙げることができる。
【0053】
<インクカートリッジ>
上述のインクをインクジェット記録方法に用いる際には、インクカートリッジを用いることができる。そのインクカートリッジは、上述のインクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
【実施例0054】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
【0055】
<顔料の準備>
以下の顔料を用意した。
・C.I.ピグメントイエロー74(以下、「PY74」と記載することがある。)
・C.I.ピグメントレッド150(以下、「PR150」と記載することがある。)
・銅フタロシアニンブルー(以下、「PB15:3」と記載することがある。)
【0056】
<紫外線吸収剤の準備>
(ベンゾトリアゾール誘導体)
水100部に対して、ベンゾトリアゾール誘導体(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)である商品名「Tinuvin360」(BASF製)を20部添加し、30分撹拌した。その後、濾過によりベンゾトリアゾール誘導体を濾紙に回収し、乾燥後、質量を測定した。添加したベンゾトリアゾール誘導体の質量に対して95%以上が濾紙に回収できたことから、このベンゾトリアゾール誘導体は非水溶性紫外線吸収剤であると判断した。
【0057】
水100部の代わりに有機溶剤20部を用い、また、上記のベンゾトリアゾール誘導体の使用量を6部に変更して、上記と同様に、有機溶剤に対するベンゾトリアゾール誘導体の溶解性を確認した。有機溶剤には、ジエチレングリコール、N-メチルピロリドン、及びN,N-ジメチルホルムアミドを用いた。表1に示す結果の通り、N-メチルピロリドン及びN,N-ジメチルホルムアミドは、上記ベンゾトリアゾール誘導体を有機溶剤の質量に対して25%以上溶解したことから、上記ベンゾトリアゾール誘導体を溶解させることができると判断した。一方、ジエチレングリコールに対する上記ベンゾトリアゾール誘導体の溶解度は5%以下であったことから、ジエチレングリコールは、上記ベンゾトリアゾール誘導体を溶解させることができないと判断した。
【0058】
【0059】
(シアノアクリレート誘導体)
水100部に対して、シアノアクリレート誘導体(シアノアクリレート系紫外線吸収剤)である商品名「ユビナール3035」(BASF製)を20部添加し、30分撹拌した。その後、濾過により上記シアノアクリレート誘導体を濾紙に回収し、乾燥後、質量を測定した。添加したシアノアクリレート誘導体の質量に対して95%以上が濾紙に回収できたことから、このシアノアクリレート誘導体は非水溶性紫外線吸収剤であると判断した。
【0060】
水100部の代わりに有機溶剤20部を用い、また、上記のシアノアクリレート誘導体の使用量を6部に変更して、上記と同様に、有機溶剤に対するシアノアクリレート誘導体の溶解性を確認した。有機溶剤には、ジエチレングリコール、N-メチルピロリドン、及びN,N-ジメチルホルムアミドを用いた。表2に示す結果の通り、N-メチルピロリドン及びN,N-ジメチルホルムアミドは、上記シアノアクリレート誘導体を有機溶剤の質量に対して25%以上溶解したことから、上記シアノアクリレート誘導体を溶解させることができると判断した。一方、ジエチレングリコールに対する上記シアノアクリレート誘導体の溶解度は5%以下であったことから、ジエチレングリコールは、上記シアノアクリレート誘導体を溶解させることができないと判断した。
【0061】
【0062】
(ベンゾフェノン誘導体)
水100部に対して、ベンゾフェノン誘導体(ベンゾフェノン系紫外線吸収剤)である商品名「ユビナール3049」(BASF製)を20部添加し、30分撹拌した。その後、濾過により上記ベンゾフェノン誘導体を濾紙に回収し、乾燥後、質量を測定した。添加したベンゾフェノン誘導体の質量に対して95%以上が濾紙に回収できたことから、このベンゾフェノン誘導体は非水溶性紫外線吸収剤であると判断した。
【0063】
水100部の代わりに有機溶剤20部を用い、また、上記のベンゾフェノン誘導体の使用量を6部に変更して、上記と同様に、有機溶剤に対するベンゾフェノン誘導体の溶解性を確認した。有機溶剤には、ジエチレングリコール、N-メチルピロリドン、及びN,N-ジメチルホルムアミドを用いた。表3に示す結果の通り、N-メチルピロリドン及びN,N-ジメチルホルムアミドは、上記ベンゾフェノン誘導体を有機溶剤の質量に対して25%以上溶解したことから、上記ベンゾフェノン誘導体を溶解させることができると判断した。一方、ジエチレングリコールに対する上記ベンゾフェノン誘導体の溶解度は5%以下であったことから、ジエチレングリコールは、上記ベンゾフェノン誘導体を溶解させることができないと判断した。
【0064】
【0065】
(2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルフォキソナトリウム)
水100部に対して、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルフォキソナトリウムを20部添加し、30分撹拌した。その後、濾過により2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルフォキソナトリウムを濾紙に回収し、乾燥後、質量を測定した。添加した2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルフォキソナトリウムの質量に対して10%以下が濾紙に回収できたことから、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルフォキソナトリウムは水溶性紫外線吸収剤であると判断した。
【0066】
<顔料組成物の製造>
(顔料組成物1~5、7~15)
顔料としてC.I.ピグメントイエロー74(PY74)を用いた。表4(表4-1~表4-3)の上段に示す各成分(単位:部)を混合し、混合物を得た。紫外線吸収剤には、溶解性を検証したものと同じ、上記ベンゾトリアゾール誘導体、上記シアノアクリレート誘導体、上記ベンゾフェノン誘導体、及び上記水溶性紫外線吸収剤(2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルフォキソナトリウム)を用いた。塩化ナトリウムとしては、D50が250μm、D95が425μmのものを用いた。上記の混合物を、プラネタリーミキサー(商品名「トリミックス」、井上製作所製;表4の中段の「混練装置No.」にて「1」と示す。)を使用して、表4の中段に示す混練条件にて8時間混練した。このようにして、ソルベントソルトミリング法により、各混練物を得た。得られた混練物を十分に洗浄、濾過、及び乾燥することで、混練物から水溶性無機塩及び有機溶剤を除去し、顔料組成物1~5、及び7~15を得た。表4の下段に示す「非水溶性紫外線吸収剤/顔料(%)」は、混練工程における、顔料の使用量(部)を基準とした非水溶性紫外線吸収剤の使用量(部)の割合(%)を表す(表5及び表6も同様)。
【0067】
(顔料組成物6)
C.I.ピグメントイエロー74(PY74)100部、上記ベンゾトリアゾール誘導体10部、上記塩化ナトリウム1000部、ジエチレングリコール190部、N-メチルピロリドン10部を混合した。この混合物を、ニーダー(商品名「PBV-03」、入江商会製)に仕込み、温度30℃、ずり速度20s-1で8時間混練し、ソルベントソルトミリング法による混練物を作製した。得られた混練物を十分に洗浄、濾過、及び乾燥することで、混練物から水溶性無機塩及び有機溶剤を除去し、顔料組成物6を得た。
【0068】
(顔料組成物16)
C.I.ピグメントイエロー74(PY74)100部、上記ベンゾトリアゾール誘導体1部を混合し、N-メチルピロリドン10000部を入れた容器に添加し、1時間撹拌した。その後、濾過、及び水洗を繰り返し、顔料組成物16を得た。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
(顔料組成物17~26)
顔料としてC.I.ピグメントレッド150(PR150)を用いた。表5(表5-1及び表5-2)の上段に示す各成分(単位:部)を混合し、混合物を得た。使用した成分は、顔料以外、上記のPY74を含有する顔料組成物の製造に使用した成分と同じである。上記の混合物を、プラネタリーミキサー(商品名「トリミックス」、井上製作所製;表5の中段の「混練装置No.」にて「1」と示す。)を使用して、表5の中段に示す混練条件にて8時間混練した。このようにして、ソルベントソルトミリング法により、各混練物を得た。得られた混練物を十分に洗浄、濾過、及び乾燥することで、混練物から水溶性無機塩及び有機溶剤を除去し、顔料組成物17~26を得た。
【0073】
(顔料組成物27)
C.I.ピグメントレッド150(PR150)100部、上記ベンゾトリアゾール誘導体1部を混合し、N-メチルピロリドン10000部を入れた容器に添加し、1時間撹拌した。その後、濾過、及び水洗を繰り返し、顔料組成物27を得た。
【0074】
【0075】
【0076】
(顔料組成物28~37)
顔料として銅フタロシアニンブルー(PB15:3)を用いた。表6(表6-1及び表6-2)の上段に示す各成分(単位:部)を混合し、混合物を得た。使用した成分は、顔料以外、上記のPY74を含有する顔料組成物の製造に使用した成分と同じである。上記の混合物を、プラネタリーミキサー(商品名「トリミックス」、井上製作所製;表6の中段の「混練装置No.」にて「1」と示す。)を使用して、表6の中段に示す混練条件にて8時間混練した。このようにして、ソルベントソルトミリング法により、各混練物を得た。得られた混練物を十分に洗浄、濾過、及び乾燥することで、混練物から水溶性無機塩及び有機溶剤を除去し、顔料組成物28~37を得た。
【0077】
(顔料組成物38)
銅フタロシアニンブルー(PB15:3)100部、上記ベンゾトリアゾール誘導体1部を混合し、N-メチルピロリドン10000部を入れた容器に添加し、1時間撹拌した。その後、濾過、及び水洗を繰り返し、顔料組成物38を得た。
【0078】
【0079】
【0080】
<樹脂水溶液の調製>
以下に示す手順にしたがって、水溶性のランダム共重合体である樹脂1及び2を合成した。撹拌装置、窒素導入管、還流冷却装置、及び温度計を備えたフラスコにイソプロパノール200.0部を入れた後、窒素雰囲気下、撹拌しながら85℃まで昇温した。表7に示す単量体の混合物、及び重合開始剤を、それぞれ2時間かけ、80℃に維持しながらフラスコ内に滴下した。内温を80℃に維持して4時間撹拌し、各樹脂を合成した。樹脂の酸価に対して0.9当量の水酸化カリウム、及び適量のイオン交換水を添加した後、減圧下でイソプロパノールを除去して、樹脂1及び2のアルカリ水溶液である樹脂水溶液1及び2を得た。樹脂水溶液1及び2の樹脂(固形分)の含有量はいずれも20.0%であった。表7中の略称の意味を以下に示す。
St:スチレン
nBA:n-ブチルアクリレート
AA:アクリル酸
重合開始剤:商品名「パーカドックスL-W75(LS)」(化薬アクゾ製、過酸化ジベンゾイル、純度75%)5.0部をイソプロパノール10.0部に溶解した溶液
【0081】
【0082】
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1~8、10~18、21~32、35~46、49)
表8(表8-1~表8-3)に示す各成分(顔料組成物、樹脂水溶液、及びイオン交換水;単位:部)を混合し、高圧ホモジナイザー(商品名「スターバースト」、スギノマシン製)を使用して、処理圧力200MPaで分散処理を行った。その後、適量のイオン交換水を添加して、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液1~8、10~18、21~32、35~46、及び49を得た。
【0083】
(顔料分散液9)
表8-1に示す各成分(顔料組成物、樹脂水溶液、及びイオン交換水;単位:部)を混合し、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に入れ、0.3mm径のジルコニアビーズ150.0部を充填し、水冷しながら5時間分散処理を行った。その後、適量のイオン交換水を添加して、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液9を得た。
【0084】
(顔料分散液19、33、47)
表8(表8-1~表8-3)に示す顔料組成物、樹脂水溶液、及びイオン交換水(単位:部)を混合し、高圧ホモジナイザー(商品名「スターバースト」、スギノマシン製)を使用して、処理圧力200MPaで分散処理を行った。その後、適量のイオン交換水、及び表8に示す量の水溶性紫外線吸収剤を添加し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液19、33、及び47を得た。水溶性紫外線吸収剤としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルフォキソナトリウムを用いた。
【0085】
(顔料分散液20、34、48)
表8(表8-1~表8-3)に示す顔料組成物、樹脂水溶液、及びイオン交換水(単位:部)を混合し、高圧ホモジナイザー(商品名「スターバースト」、スギノマシン製)を使用して、処理圧力200MPaで分散処理を行った。その後、適量のイオン交換水、及び表8に示す量の非水溶性紫外線吸収剤を添加し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液20、34、及び48を得た。非水溶性紫外線吸収剤としては、非水溶性紫外線吸収剤が水中に分散した分散液(商品名「HOSTAVIN 3315 DISP」(有効成分52%)、クラリアントケミカルズ製)を用いた。
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
<インクの調製>
得られた顔料分散液1~49のそれぞれを用い、後記表9(表9-1~表9-3)に示す通り、顔料分散液の番号に対応する番号のインク1~49を調製した。具体的には、後記表9に示す種類(番号)の顔料分散液を用いて、その顔料分散液を含む下記の成分を混合し、十分に撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、インク1~49を調製した。以下に示すアセチレノールE100は川研ファインケミカル製の界面活性剤の商品名である。
(インクの成分)
顔料分散液(1~49のいずれか) 33.0部
グリセリン 10.0部
トリエチレングリコール 7.0部
アセチレノールE100 0.1部
イオン交換水 49.9部
【0090】
インク1~49を、それぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS PRO-10」、キヤノン製)にセットした。このインクジェット記録装置の解像度は、2400dpi×1200dpiである。そして、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、30.4ngのインク滴を1滴付与する条件で記録した画像を記録デューティが100%であると定義する。上記インクジェット記録装置を用いて、記録媒体(光沢紙;商品名「キヤノン写真用紙・光沢ゴールドGL-101」、キヤノン製)に、記録デューティが140%までのベタ画像を記録した。各インクとそれに対応する実施例及び比較例を表9に示す。
【0091】
得られたベタ画像において、耐候性試験機(商品名「キセノンウェザーメーター X75SC」、スガ試験機製)を使用し、照度0.39W/m2、ブラックパネル温度60℃、槽内湿度70%RHの条件で耐光性試験を行った。各画像の初期(試験前)の光学濃度(O.D.値)が「0.5」において、耐光性試験300時間(100年相当)後のO.D.値を測定し、初期のO.D.値に対する300時間後のO.D.値(残存O.D.値)の割合を算出し、耐光性の評価指標とした。O.D.値の測定には、分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を用いた。主顔料ごとに設定した以下に示す評価基準にしたがって耐光性を評価した。
【0092】
(実施例1~16及び比較例1~5での評価基準)
A:残存O.D.値が90%以上であった。
B:残存O.D.値が70%以上90%未満であった。
C:残存O.D.値が50%以上70%未満であった。
D:残存O.D.値が50%未満であった。
上記の評価基準で「A」、「B」、及び「C」を許容できるレベル、「D」を許容できないレベルとした。
【0093】
(実施例17~25及び比較例6~10での評価基準)
A:残存O.D.値が90%以上であった。
B:残存O.D.値が70%以上90%未満であった。
C:残存O.D.値が50%以上70%未満であった。
D:残存O.D.値が50%未満であった。
上記の評価基準で「A」、「B」、及び「C」を許容できるレベル、「D」を許容できないレベルとした。
【0094】
(実施例26~34及び比較例11~15での評価基準)
A:残存O.D.値が95%以上であった。
B:残存O.D.値が90%以上95%未満であった。
C:残存O.D.値が90%未満であった。
上記の評価基準で「A」を許容できるレベル、「B」及び「C」を許容できないレベルとした。
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
なお、本実施形態の開示は、以下の方法を含む。
(方法1)顔料、水溶性無機塩、及び有機溶剤を含む混合物をソルベントソルトミリング法により混練して混練物を得る混練工程を含む顔料組成物の製造方法であって、
前記混合物が、さらに非水溶性紫外線吸収剤を含むことを特徴とする顔料組成物の製造方法。
(方法2)前記混練工程における混練時のずり速度が、15s-1以上である方法1に記載の顔料組成物の製造方法。
(方法3)前記混練工程における、前記非水溶性紫外線吸収剤の使用量が、前記顔料の使用量を基準として、0.5質量%以上10.0質量%以下である方法1又は2に記載の顔料組成物の製造方法。
(方法4)前記有機溶剤が、前記非水溶性紫外線吸収剤を溶解可能な第一有機溶剤を含む方法1乃至3のいずれか1項に記載の顔料組成物の製造方法。
(方法5)前記非水溶性紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール誘導体を含み、かつ、
前記有機溶剤が、N-メチルピロリドン及びN,N-ジメチルホルムアミドのうちの少なくとも一方を含む方法1乃至4のいずれか1項に記載の顔料組成物の製造方法。
(方法6)前記非水溶性紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール誘導体を含み、かつ、
前記有機溶剤が、N,N-ジメチルホルムアミドを含む方法1乃至5のいずれか1項に記載の顔料組成物の製造方法。
(方法7)方法1乃至6のいずれか1項に記載の顔料組成物の製造方法により得られた顔料組成物、分散剤、及び水を混合し、前記分散剤により、前記顔料組成物を前記水に分散させる分散工程を含むことを特徴とする顔料分散液の製造方法。
(方法8)方法7に記載の顔料分散液の製造方法により得られた顔料分散液、及び水溶性有機溶剤を含む成分を混合する工程を含むことを特徴とする水性インクの製造方法。
(方法9)インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、方法8に記載の水性インクの製造方法により得られた水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。