(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025102612
(43)【公開日】2025-07-08
(54)【発明の名称】積層セラミックキャパシタおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20250701BHJP
【FI】
H01G4/30 516
H01G4/30 517
H01G4/30 311E
H01G4/30 201G
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024086320
(22)【出願日】2024-05-28
(31)【優先権主張番号】10-2023-0190793
(32)【優先日】2023-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SOLARIS
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】姜 範錫
(72)【発明者】
【氏名】金 多美
(72)【発明者】
【氏名】尹 大宇
(72)【発明者】
【氏名】李 秀珍
(72)【発明者】
【氏名】金 廷▲ヒョン▼
(72)【発明者】
【氏名】金 正烈
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E001AJ03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC19
5E082EE04
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082PP03
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】内部電極と外部電極の連結性だけでなく、耐湿信頼性に優れた積層セラミックキャパシタおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】積層セラミックキャパシタは、誘電体層と内部電極層を含むキャパシタボディー、および前記キャパシタボディーの外側に配置される外部電極を含み、前記外部電極は前記内部電極層のうちの少なくとも一つと電気的に連結されるように前記キャパシタボディーの断面上に直接位置する電極層を含み、前記電極層は導電性金属;およびコバルト(Co)を含むガラスを含み、前記コバルト(Co)は前記導電性金属100重量部に対して0.13重量部~0.64重量部で含まれる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層と内部電極層を含むキャパシタボディー、および
前記キャパシタボディーの外側に配置される外部電極を含み、
前記外部電極は前記内部電極層のうちの少なくとも一つと電気的に連結されるように前記キャパシタボディーの断面上に直接位置する電極層を含み、
前記電極層は導電性金属;およびコバルト(Co)を含むガラスを含み、
前記コバルト(Co)は前記導電性金属100重量部に対して0.13重量部~0.64重量部で含まれる、積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
前記コバルト(Co)は、前記外部電極の電極層と前記内部電極層との界面から長さ方向(L軸)に前記外部電極の総厚さの5%~15%である地点までの領域と定義される、界面近傍領域に含まれる、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記ガラスは、鉄(Fe)をさらに含む、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
前記鉄(Fe)は、前記導電性金属100重量部に対して0.18重量部~0.91重量部で含まれる、請求項3に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項5】
前記鉄(Fe)は、前記外部電極の電極層と前記内部電極層との界面から長さ方向(L軸)に前記外部電極の総厚さの5%~15%である地点までの領域と定義される、界面近傍領域に含まれる、請求項3に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
前記ガラスは、リチウム(Li)、カリウム(K)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、ナトリウム(Na)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、銅(Cu)、インジウム(In)、チタン(Ti)、リン(P)、マンガン(Mn)、ゲルマニウム(Ge)、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記ガラスの総量に対して、
前記リチウム(Li)は5重量%~20重量%で含まれ、
前記カリウム(K)は5重量%~20重量%で含まれ、
前記ケイ素(Si)は5重量%~20重量%で含まれ、
前記アルミニウム(Al)は5重量%~15重量%で含まれ、
前記ニッケル(Ni)は0.01重量%~20重量%で含まれ、
前記銀(Ag)は0.01重量%~15重量%で含まれ、
前記ナトリウム(Na)は0.01重量%~25重量%で含まれ、
前記バリウム(Ba)は15重量%~45重量%で含まれ、
前記カルシウム(Ca)は15重量%~45重量%で含まれ、
前記ストロンチウム(Sr)は15重量%~45重量%で含まれ、
前記ホウ素(B)は15重量%~25重量%で含まれ、
前記亜鉛(Zn)は1重量%~15重量%で含まれ、
前記スズ(Sn)は0.01重量%~15重量%で含まれ、
前記銅(Cu)は0.01重量%~15重量%で含まれ、
前記インジウム(In)は0.01重量%~15重量%で含まれ、
前記チタン(Ti)は0.01重量%~15重量%で含まれ、
前記リン(P)は0.01重量%~15重量%で含まれ、
前記マンガン(Mn)は0.01重量%~15重量%で含まれ、
前記ゲルマニウム(Ge)は0.01重量%~15重量%で含まれる、請求項6に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項8】
前記ガラスは、前記導電性金属100重量部に対して1重量部~40重量部で含まれる、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項9】
前記ガラスの平均粒径(D50)は0.1μm~5μmである、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項10】
前記導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項11】
誘電体層と内部電極層を含むキャパシタボディーの一面に導電性金属およびガラス組成物を含む電極層形成用ペーストを塗布する段階;および
前記電極層形成用ペーストを焼結して外部電極の電極層を形成する段階を含み、
前記ガラス組成物は酸化コバルト(CoO)を前記導電性金属100重量部に対して0.13重量部~0.64重量部で含む、積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項12】
前記焼結は400℃~850℃の温度で行われる、請求項11に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項13】
前記ガラス組成物は酸化鉄をさらに含み、
前記酸化鉄はFeO、Fe2O3、Fe3O4またはこれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項14】
前記酸化鉄は、前記導電性金属100重量部に対して0.18重量部~0.91重量部で含まれる、請求項13に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項15】
前記ガラス組成物は、酸化リチウム(Li2O);酸化カリウム(K2O);二酸化ケイ素(SiO2);酸化アルミニウム(Al2O3);酸化ニッケル(NiO);酸化銀(Ag2O);酸化ナトリウム(NaO);酸化バリウム(BaO);酸化カルシウム(CaO);酸化ストロンチウム(SrO);酸化ホウ素(B2O3);酸化亜鉛(ZnO);SnO、SnO2、またはこれらの組み合わせを含む酸化スズ;Cu2O、CuO、またはこれらの組み合わせを含む酸化銅;酸化インジウム(In2O3);二酸化チタン(TiO2);五酸化リン(P2O5);MnO、Mn2O、Mn2O3、Mn3O4、またはこれらの組み合わせを含む酸化マンガン;酸化ゲルマニウム(GeO2)またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項11に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項16】
前記ガラス組成物の総量に対して、
前記酸化リチウム(Li2O)は5重量%~20重量%で含まれ、
前記酸化カリウム(K2O)は5重量%~20重量%で含まれ、
前記二酸化ケイ素(SiO2)は5重量%~20重量%で含まれ、
前記酸化アルミニウム(Al2O3)は5重量%~15重量%で含まれ、
前記酸化ニッケル(NiO)は0.01重量%~20重量%で含まれ、
前記酸化銀(Ag2O)は0.01重量%~15重量%で含まれ、
前記酸化ナトリウム(NaO)は0.01重量%~25重量%で含まれ、
前記酸化バリウム(BaO)は15重量%~45重量%で含まれ、
前記酸化カルシウム(CaO)は15重量%~45重量%で含まれ、
前記酸化ストロンチウム(SrO)は15重量%~45重量%で含まれ、
前記酸化ホウ素(B2O3)は15重量%~25重量%で含まれ、
前記酸化亜鉛(ZnO)は1重量%~15重量%で含まれ、
前記酸化スズは0.01重量%~15重量%で含まれ、
前記酸化銅は0.01重量%~15重量%で含まれ、
前記酸化インジウム(In2O3)は0.01重量%~15重量%で含まれ、
前記二酸化チタン(TiO2)は0.01重量%~15重量%で含まれ、
前記五酸化リン(P2O5)は0.01重量%~15重量%で含まれ、
前記酸化マンガンは0.01重量%~15重量%で含まれ、
前記酸化ゲルマニウム(GeO2)は0.01重量%~15重量%で含まれる、請求項15に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項17】
前記ガラス組成物は、前記導電性金属100重量部に対して1重量部~40重量部で含まれる、請求項11に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項18】
前記導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層セラミックキャパシタおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セラミック材料を使用する電子部品としてキャパシタ、インダクタ、圧電素子、バリスタまたはサーミスタなどがある。このようなセラミック電子部品のうちの積層セラミックキャパシタ(multilayer ceramic capacitor、MLCC)は小型でありながら高容量が保障され実装が容易であるという長所によって多様な電子装置に使用できる。
【0003】
例えば、積層セラミックキャパシタは、液晶表示装置(liquid crystal display、LCD)、プラズマ表示装置パネル(plasma display panel、PDP)、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode、OLED)などの映像機器、コンピュータ、個人携帯用端末器、およびスマートフォンのような様々の電子製品の基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサに使用できる。
【0004】
最近、電子製品の小型化につれて積層セラミックキャパシタも超小型化および超高容量化が要求されている。このために、誘電体層および内部電極層の厚さを薄くし、より多くの数の誘電体層と内部電極層を積層した構造を有する積層セラミックキャパシタが製造されている。このような超小型および超高容量の積層セラミックキャパシタは最近、電気自動車などのように高い水準の信頼性を要求する分野に使用されるので、これに適合する高信頼性が要求される状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一実施形態は、内部電極と外部電極の連結性だけでなく、耐湿信頼性に優れた積層セラミックキャパシタを提供する。
【0006】
他の一実施形態は、前記積層セラミックキャパシタの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態は、誘電体層と内部電極層を含むキャパシタボディー、および前記キャパシタボディーの外側に配置される外部電極を含み、前記外部電極は前記内部電極層のうちの少なくとも一つと電気的に連結されるように前記キャパシタボディーの断面上に直接位置する電極層を含み、前記電極層は導電性金属;およびコバルト(Co)を含むガラスを含み、前記コバルト(Co)は前記導電性金属100重量部に対して0.13重量部~0.64重量部で含まれる積層セラミックキャパシタを提供する。
【0008】
前記コバルト(Co)は、前記外部電極の電極層と前記内部電極層との界面から長さ方向(L軸)に前記外部電極の総厚さの5%~15%である地点までの領域と定義される、界面近傍領域に含まれてもよい。
【0009】
前記ガラスは、鉄(Fe)をさらに含むことができる。
【0010】
前記鉄(Fe)は、前記導電性金属100重量部に対して0.18重量部~0.91重量部で含まれてもよい。
【0011】
前記鉄(Fe)は、前記外部電極の電極層と前記内部電極層との界面から長さ方向(L軸)に前記外部電極の総厚さの5%~15%である地点までの領域と定義される、界面近傍領域に含まれてもよい。
【0012】
前記ガラスは、リチウム(Li)、カリウム(K)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、ナトリウム(Na)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、銅(Cu)、インジウム(In)、チタン(Ti)、リン(P)、マンガン(Mn)、ゲルマニウム(Ge)、またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0013】
前記ガラスの総量に対して、前記リチウム(Li)は5重量%~20重量%で含まれてもよく、前記カリウム(K)は5重量%~20重量%で含まれてもよく、前記ケイ素(Si)は5重量%~20重量%で含まれてもよく、前記アルミニウム(Al)は5重量%~15重量%で含まれてもよく、前記ニッケル(Ni)は0.01重量%~20重量%で含まれてもよく、前記銀(Ag)は0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、前記ナトリウム(Na)は0.01重量%~25重量%で含まれてもよく、前記バリウム(Ba)は15重量%~45重量%で含まれてもよく、前記カルシウム(Ca)は15重量%~45重量%で含まれてもよく、前記ストロンチウム(Sr)は15重量%~45重量%で含まれてもよく、前記ホウ素(B)は15重量%~25重量%で含まれてもよく、前記亜鉛(Zn)は1重量%~15重量%で含まれてもよく、前記スズ(Sn)は0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、前記銅(Cu)は0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、前記インジウム(In)は0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、前記チタン(Ti)は0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、前記リン(P)は0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、前記マンガン(Mn)は0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、前記ゲルマニウム(Ge)は0.01重量%~15重量%で含まれてもよい。
【0014】
前記ガラスは、前記導電性金属100重量部に対して1重量部~40重量部で含まれてもよい。
【0015】
前記ガラスの平均粒径(D50)は0.1μm~5μmであってもよい。
【0016】
前記導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0017】
他の一実施形態は、誘電体層と内部電極層を含むキャパシタボディーの一面に導電性金属およびガラス組成物を含む電極層形成用ペーストを塗布する段階;および前記電極層形成用ペーストを焼結して外部電極の電極層を形成する段階を含み、前記ガラス組成物は酸化コバルト(CoO)を前記導電性金属100重量部に対して0.13重量部~0.64重量部で含む積層セラミックキャパシタの製造方法を提供する。
【0018】
前記焼結は400℃~850℃の温度で行うことができる。
【0019】
前記ガラス組成物は酸化鉄をさらに含むことができ、前記酸化鉄はFeO、Fe2O3、Fe3O4またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0020】
前記酸化鉄は、前記導電性金属100重量部に対して0.18重量部~0.91重量部で含まれてもよい。
【0021】
前記ガラス組成物は、酸化リチウム(Li2O);酸化カリウム(K2O);二酸化ケイ素(SiO2);酸化アルミニウム(Al2O3);酸化ニッケル(NiO);酸化銀(Ag2O);酸化ナトリウム(NaO);酸化バリウム(BaO);酸化カルシウム(CaO);酸化ストロンチウム(SrO);酸化ホウ素(B2O3);酸化亜鉛(ZnO);SnO、SnO2、またはこれらの組み合わせを含む酸化スズ;Cu2O、CuO、またはこれらの組み合わせを含む酸化銅;酸化インジウム(In2O3);二酸化チタン(TiO2);五酸化リン(P2O5);MnO、Mn2O、Mn2O3、Mn3O4、またはこれらの組み合わせを含む酸化マンガン;酸化ゲルマニウム(GeO2)またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0022】
前記ガラス組成物の総量に対して、前記酸化リチウム(Li2O)は5重量%~20重量%で含まれてもよく、前記酸化カリウム(K2O)は5重量%~20重量%で含まれてもよく、前記二酸化ケイ素(SiO2)は5重量%~20重量%で含まれてもよく、前記酸化アルミニウム(Al2O3)は5重量%~15重量%で含まれてもよく、前記酸化ニッケル(NiO)は0.01重量%~20重量%で含まれてもよく、前記酸化銀(Ag2O)は0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、前記酸化ナトリウム(NaO)は0.01重量%~25重量%で含まれてもよく、前記酸化バリウム(BaO)は15重量%~45重量%で含まれてもよく、前記酸化カルシウム(CaO)は15重量%~45重量%で含まれてもよく、前記酸化ストロンチウム(SrO)は15重量%~45重量%で含まれてもよく、前記酸化ホウ素(B2O3)は15重量%~25重量%で含まれてもよく、前記酸化亜鉛(ZnO)は1重量%~15重量%で含まれてもよく、前記酸化スズは0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、前記酸化銅は0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、前記酸化インジウム(In2O3)は0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、前記二酸化チタン(TiO2)は0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、前記五酸化リン(P2O5)は0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、前記酸化マンガンは0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、前記酸化ゲルマニウム(GeO2)は0.01重量%~15重量%で含まれてもよい。
【0023】
前記ガラス組成物は、前記導電性金属100重量部に対して1重量部~40重量部で含まれてもよい。
【0024】
前記導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【発明の効果】
【0025】
一実施形態による積層セラミックキャパシタは、内部電極層との連結性に優れた外部電極を含むことによって、耐湿信頼性が向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す斜視図である。
【
図2】
図1のI-I’線に沿って切断した積層セラミックキャパシタの断面図である。
【
図3】
図1のII-II’線に沿って切断した積層セラミックキャパシタの断面図である。
【
図4】実施例1による積層セラミックキャパシタの内部電極層および外部電極を示すSEM分析イメージである。
【
図5】比較例1による積層セラミックキャパシタの内部電極層および外部電極を示すSEM分析イメージである。
【
図6】実施例1および比較例1による積層セラミックキャパシタの容量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付した図面を参照して本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の実施形態を詳しく説明する。図面で本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。また、添付図面において一部構成要素は誇張されるか省略されるかまたは概略的に図示され、各構成要素の大きさは実際大きさを完全に反映するものではない。
【0028】
添付された図面は本明細書に開示された実施形態を容易に理解することができるようにするためのものに過ぎず、添付された図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解されなければならない。
【0029】
第1、第2などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明することに使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。
【0030】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」または「上に」あるという時、これは他の部分「の直上に」ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分「の直上に」あるという時には中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分「の上に」または「上に」あるというのは基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向側に「の上に」または「上に」位置することを意味するのではない。
【0031】
明細書全体で、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在するのを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解されなければならない。したがって、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0032】
また、明細書全体で、「平面上」という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0033】
また、明細書全体で、「連結される」という時、これは二つ以上の構成要素が直接的に連結されることのみを意味するのではなく、二つ以上の構成要素が他の構成要素を通じて間接的に連結されること、物理的に連結されることだけでなく電気的に連結されること、または位置や機能によって異なる名称で称されたが、一体であるのを意味することができる。
【0034】
以下、一実施形態による積層セラミックキャパシタについて
図1~
図3を参照して説明する。
【0035】
図1は一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す斜視図であり、
図2は
図1のI-I’線に沿って切断した積層セラミックキャパシタの断面図であり、
図3は
図1のII-II’線に沿って切断した積層セラミックキャパシタの断面図である。
【0036】
図1~
図3に表示されたL軸、W軸、およびT軸はそれぞれキャパシタボディー110の長さ方向、幅方向、および厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向(T軸方向)はシート形状の構成要素の広い面(主面)に垂直な方向であってもよく、一例として誘電体層111が積層される積層方向と同一な概念として使用できる。長さ方向(L軸方向)はシート形状の構成要素の広い面(主面)に平行に延長される方向で厚さ方向(T軸方向)と大略的に垂直な方向であってもよく、一例として両側に第1外部電極131および第2外部電極132が位置する方向であってもよい。幅方向(W軸方向)はシート形状の構成要素の広い面(主面)に平行に延長される方向で厚さ方向(T軸方向)および長さ方向(L軸方向)と大略的に垂直な方向であってもよく、シート形状の構成要素の長さ方向(L軸方向)の長さは幅方向(W軸方向)の長さよりさらに長くてもよい。
【0037】
図1~
図3を参照すれば、一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、キャパシタボディー110と、キャパシタボディー110の外側に配置される外部電極131、132とを含む。外部電極131、132は、キャパシタボディー110の長さ方向(L軸方向)に対向する両端に配置される第1外部電極131および第2外部電極132を含むことができる。
【0038】
〔キャパシタボディー〕
キャパシタボディー110は一例として、大略的な六面体形状であってもよい。
【0039】
一実施形態に関する説明の便宜のために、キャパシタボディー110で厚さ方向(T軸方向)に互いに対向する両面を第1面および第2面と、第1面および第2面と連結され長さ方向(L軸方向)に互いに対向する両面を第3面および第4面と、第1面および第2面と連結され第3面および第4面と連結され幅方向(W軸方向)に互いに対向する両面を第5面および第6面と定義する。
【0040】
一例として、下面である第1面が実装方向に向かう面になり得る。また、第1面~第6面は平らであってもよいが、実施形態がこれに限定されるのではない。例えば、第1面~第6面は中央部が凸の曲面であってもよく、各面の境界である角は丸く(round)されていてもよい。
【0041】
キャパシタボディー110の形状、寸法、および誘電体層111の積層数が本実施形態の図面に示されたものに限定されるのではない。
【0042】
キャパシタボディー110は複数の誘電体層111および内部電極層121、122を含む。具体的に、キャパシタボディー110は複数の誘電体層111と誘電体層111を挟んで厚さ方向(T軸方向)に交互に配置される第1内部電極121および第2内部電極122を含む。
【0043】
この時、キャパシタボディー110の互いに隣接するそれぞれの誘電体層111の間の境界は、走査電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)を使用せずには確認しにくい程度に一体化できる。
【0044】
キャパシタボディー110はアクティブ領域を含むことができる。アクティブ領域は、積層型キャパシタ100の容量形成に寄与する部分である。一例として、アクティブ領域は厚さ方向(T軸方向)に沿って積層される第1内部電極121または第2内部電極122が重畳(overlap)した領域であってもよい。
【0045】
また、キャパシタボディー110は、カバー領域およびサイドマージン領域をさらに含むことができる。
【0046】
カバー領域は厚さ方向マージン部であって厚さ方向(T軸方向)にアクティブ領域の第1面側および第2面側にそれぞれ配置することができる。このようなカバー領域は、単一誘電体層111または二つ以上の誘電体層111がアクティブ領域の上面および下面にそれぞれ積層されたものであってもよい。
【0047】
サイドマージン領域は幅方向マージン部であって幅方向(W軸方向)にアクティブ領域の第5面側および第6面側にそれぞれ配置することができる。このようなサイドマージン領域は、誘電体グリーンシート表面に内部電極用導電性ペースト層を塗布する時、誘電体グリーンシート表面の一部領域にのみ導電性ペースト層を塗布し、誘電体グリーンシート表面の両側面には導電性ペースト層を塗布していない誘電体グリーンシートを積層した後、焼成することによって形成できる。
【0048】
カバー領域とサイドマージン領域は、物理的または化学的ストレスによる第1内部電極121および第2内部電極122の損傷を防止する役割を果たす。
【0049】
誘電体層111は主成分としてチタン酸バリウム系化合物を含む。
【0050】
チタン酸バリウム系化合物は誘電体母材であって、高い誘電率を有し、積層セラミックキャパシタ100の誘電率形成に寄与する。
【0051】
チタン酸バリウム系化合物は例えば、BaTiO3、Ba(Ti,Zr)O3、Ba(Ti,Sn)O3、(Ba,Ca)TiO3、(Ba,Ca)(Ti,Zr)O3、(Ba,Ca)(Ti,Sn)O3、(Ba,Sr)TiO3、(Ba,Sr)(Ti,Zr)O3、(Ba,Sr)(Ti,Sn)O3、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0052】
誘電体層111は副成分をさらに含むことができる。副成分は例えば、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、アクチニウム(Ac)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0053】
誘電体層111の平均厚さ(T軸方向平均長さ)は2.0μm~8.0μmであってもよく、例えば2.4μm~7.8μmであってもよい。誘電体層111の平均厚さが前記範囲内である場合、積層セラミックキャパシタの信頼性に優れる。これは前述のように測定された断面サンプルの走査電子顕微鏡(SEM)イメージで、誘電体層111の長さ方向(L軸方向)または幅方向(W軸方向)中央地点を基準点にして、基準点から所定間隔で離れた10地点での、誘電体層111厚さの算術平均値として求めることができる。10地点の間隔は走査電子顕微鏡(SEM)イメージのスケール(scale)によって調節することができ、例えば1μm~100μm、1μm~50μm、または1μm~10μmの間隔であってもよい。この時、10地点は全て誘電体層111内に位置しなければならず、10地点が全て誘電体層111内に位置しない場合、基準点の位置を変更するか、または10地点の間の間隔を調節することができる。
【0054】
内部電極層121、122、即ち、第1内部電極121と第2内部電極122は互いに異なる極性を有する電極であって、誘電体層111を挟んでT軸方向に沿って互いに対向するように交互に配置され、一端がキャパシタボディー110の第3面および第4面を通じてそれぞれ露出される。
【0055】
第1内部電極121と第2内部電極122は中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁できる。
【0056】
キャパシタボディー110の第3面および第4面を通じて交互に露出される第1内部電極121および第2内部電極122の端部は、第1外部電極131および第2外部電極132とそれぞれ接続されて電気的に連結できる。
【0057】
第1内部電極121および第2内部電極122は導電性金属を含み、例えばNi、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属、またはこれらの合金、例えばAg-Pd合金を含むことができる。
【0058】
また、第1内部電極121および第2内部電極122は誘電体層111に含まれるセラミック材料と同一組成系の誘電体粒子を含んでもよい。
【0059】
第1内部電極121および第2内部電極122は、導電性金属を含む導電性ペーストを使用して形成できる。導電性ペーストの印刷方法はスクリーン印刷法またはグラビア印刷法を用いることができる。
【0060】
第1内部電極121および第2内部電極122の平均厚さは0.1μm~2μmであってもよい。第1内部電極121および第2内部電極122の平均厚さは走査電子顕微鏡(SEM)分析によって測定できる。ここで、走査電子顕微鏡(SEM)分析は前述の誘電体層111の平均厚さ測定時の方法と同一なので、その説明を省略する。
【0061】
キャパシタボディー110は、複数の誘電体層111と内部電極層121、122が積層された積層体を焼成して形成できる。
【0062】
〔外部電極〕
図2を参照すれば、外部電極131、132、即ち、第1外部電極131および第2外部電極132は互いに異なる極性の電圧が提供され、第1内部電極121および第2内部電極122の露出される部分とそれぞれ接続されて電気的に連結できる。
【0063】
上記のような構成により、第1外部電極131および第2外部電極132に所定の電圧を印加すると、互いに対向する第1内部電極121および第2内部電極122の間に電荷が蓄積される。この時、積層セラミックキャパシタ100の静電容量はアクティブ領域でT軸方向に沿って互いに重畳する第1内部電極121および第2内部電極122のオーバーラップされた面積と比例するようになる。
【0064】
第1外部電極131および第2外部電極132は、キャパシタボディー110の第3面および第4面にそれぞれ配置されて第1内部電極121および第2内部電極122と接続される第1接続部および第2接続部と、キャパシタボディー110の第3面および第4面と、第1面および第2面または第5面および第6面が接する角に配置される第1バンド部および第2バンド部をそれぞれ含むことができる。
【0065】
第1バンド部および第2バンド部は第1接続部および第2接続部からキャパシタボディー110の第1面および第2面または第5面および第6面の一部までそれぞれ延長される。第1バンド部および第2バンド部は第1外部電極131および第2外部電極132の固着強度を向上させる役割を果たすことができる。
【0066】
外部電極131、132は、内部電極層121、122のうちの少なくとも一つと電気的に連結されるようにキャパシタボディー110の断面上に位置する電極層10、20を含む。具体的に、第1外部電極131は、第1内部電極121と電気的に連結されるようにキャパシタボディー110の断面上に直接位置する第1電極層10を含む。また、第2外部電極132は、第2内部電極122と電気的に連結されるようにキャパシタボディー110の断面上に直接位置する第2電極層20を含む。
【0067】
電極層10、20は、導電性金属およびガラスを含むことができる。
【0068】
導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができる。これらのうち、導電性金属は例えば銅(Cu)または銅(Cu)合金を含むことができる。
【0069】
導電性金属はパウダー形態であってもよい。また、導電性金属は球形またはフレーク形態を有することができる。球形の導電性金属の大きさ(D50)は0.1μm~5μmであってもよく、例えば0.5μm~3μmであってもよい。フレーク形態の導電性金属の大きさは長軸基準で1μm~20μmであってもよく、例えば5μm~15μmであってもよい。導電性金属の大きさ(D50)は断面サンプルの走査電子顕微鏡(SEM)イメージで少なくとも100個の導電性金属の粒子の最大長軸を測定して大きさ分布累積曲線を作成してD50を算出することができる。D50は大きさ分布累積曲線で50%になる地点での大きさを意味する。
【0070】
ガラスはコバルト(Co)を含むことができる。
【0071】
キャパシタボディー110の製造過程で、具体的にチタン酸バリウム系化合物からなる誘電体層111とニッケル(Ni)からなる内部電極層121、122が交互に積層された誘電体グリーンシート積層体を焼成する過程で、誘電体グリーンシート積層体の特性劣化防止のために相対的に弱い還元条件で焼成を行うようになる。焼成が完了して形成されたキャパシタボディー110はニッケル(Ni)からなる内部電極層121、122の終端が酸化ニッケル(NiO)として酸化される形状が現れる。一実施形態によれば、外部電極131、132の電極層10、20にコバルト(Co)成分が含まれる場合、外部電極製造時、焼結過程の熱処理中に外部電極131、132と内部電極層121、122が接する面で酸化ニッケル(NiO)の還元挙動が促進、即ち、酸化ニッケル(NiO)を還元させる反応を促進できる。これから、Cu-Ni合金が形成されて外部電極と内部電極層の連結性が向上できる。それだけでなく、Cu-Ni合金の形成によって外部電極と内部電極層の連結性が向上することによって、容量ばらつき特性が改善され等価直列抵抗(equivalent series resistance、ESR)値を低めることができる。これにより積層セラミックキャパシタの耐湿信頼性が向上できる。
【0072】
コバルト(Co)は導電性金属100重量部に対して0.13重量部~0.64重量部で含まれてもよく、例えば0.133重量部~0.636重量部で含まれてもよい。ガラス成分としてコバルト(Co)が電極層10、20内に前記含量範囲内で含まれる場合、外部電極131、132と内部電極層121、122が接する面で焼成過程の熱処理中に酸化ニッケル(NiO)の還元挙動が促進されてCu-Ni合金の形成が向上できる。これにより外部電極と内部電極層の連結性が向上することによって、耐湿信頼性に優れた積層セラミックキャパシタを確保することができる。
【0073】
一例として、コバルト(Co)は、電極層10、20内で電極層10、20と内部電極層121、122との界面と近い領域、即ち、界面近傍領域Rに存在し得る。具体的に、前記界面近傍領域Rは、外部電極131、132の電極層10、20と内部電極層121、122の界面から長さ方向(L軸)に前記外部電極の総厚さの5%~15%である地点までの領域と定義することができる。
【0074】
コバルト(Co)が主に前記界面近傍領域Rに含まれる場合、外部電極131、132と内部電極層121、122が接する面で形成される酸化ニッケル(NiO)の還元反応が促進されて、Cu-Ni合金形成が容易になり得る。これにより、外部電極と内部電極層の連結性が向上できる。
【0075】
ガラスは、鉄(Fe)をさらに含むことができる。ガラスはコバルト(Co)と鉄(Fe)を共に含む場合、焼成中に酸化ニッケル(NiO)の還元反応の促進が増大できる。これにより、Cu-Ni合金形成が容易になって外部電極と内部電極層の連結性が増大できる。
【0076】
鉄(Fe)は導電性金属100重量部に対して0.18重量部~0.91重量部で含まれてもよく、例えば0.189重量部~0.905重量部で含まれてもよい。ガラス成分として鉄(Fe)が電極層10、20内に前記含量範囲内で含まれる場合、外部電極形成過程で焼結後Cu-Ni合金形成が容易であり、これにより外部電極と内部電極層の連結性が向上できる。
【0077】
一例として、鉄(Fe)は、電極層10、20内で電極層10、20と内部電極層121、122の界面と近い領域、即ち、前記で定義した界面近傍領域Rに存在し得る。鉄(Fe)が主に前記界面近傍領域Rに含まれる場合、酸化ニッケル(NiO)の還元反応が促進されてCu-Ni合金形成が容易になり得る。これにより、外部電極と内部電極層の連結性が向上できる。
【0078】
ガラスは、コバルト(Co)および鉄(Fe)以外にも、リチウム(Li)、カリウム(K)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、ナトリウム(Na)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、銅(Cu)、インジウム(In)、チタン(Ti)、リン(P)、マンガン(Mn)、ゲルマニウム(Ge)またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0079】
リチウム(Li)はガラスの総量に対して5重量%~20重量%で含まれてもよく、例えば7重量%~17重量%で含まれてもよい。カリウム(K)はガラスの総量に対して5重量%~20重量%で含まれてもよく、例えば7重量%~17重量%で含まれてもよい。ケイ素(Si)はガラスの総量に対して5重量%~20重量%で含まれてもよく、例えば7重量%~17重量%で含まれてもよい。アルミニウム(Al)はガラスの総量に対して5重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば7重量%~13重量%で含まれてもよい。ニッケル(Ni)はガラスの総量に対して0.01重量%~20重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~15重量%で含まれてもよい。銀(Ag)はガラスの総量に対して0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~10重量%で含まれてもよい。ナトリウム(Na)はガラスの総量に対して0.01重量%~25重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~20重量%で含まれてもよい。バリウム(Ba)はガラスの総量に対して15重量%~45重量%で含まれてもよく、例えば20重量%~40重量%で含まれてもよい。カルシウム(Ca)はガラスの総量に対して15重量%~45重量%で含まれてもよく、例えば20重量%~40重量%で含まれてもよい。ストロンチウム(Sr)はガラスの総量に対して15重量%~45重量%で含まれてもよく、例えば20重量%~40重量%で含まれてもよい。ホウ素(B)はガラスの総量に対して15重量%~25重量%で含まれてもよく、例えば17重量%~23重量%で含まれてもよい。亜鉛(Zn)はガラスの総量に対して1重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば3重量%~13重量%で含まれてもよい。スズ(Sn)はガラスの総量に対して0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~10重量%で含まれてもよい。銅(Cu)はガラスの総量に対して0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~10重量%で含まれてもよい。インジウム(In)はガラスの総量に対して0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~10重量%で含まれてもよい。チタン(Ti)はガラスの総量に対して0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~10重量%で含まれてもよい。リン(P)はガラスの総量に対して0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~10重量%で含まれてもよい。マンガン(Mn)はガラスの総量に対して0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~10重量%で含まれてもよい。ゲルマニウム(Ge)はガラスの総量に対して0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~10重量%で含まれてもよい。ガラス成分として前記成分が前記含量範囲内で含まれる場合、外部電極形成過程で焼結後Cu-Ni合金形成が容易になって外部電極と内部電極層の連結性が向上できる。
【0080】
電極層10、20に含まれる前述のガラス成分は、SEM(走査電子顕微鏡)分析およびEPMA(電子探針微細分析機)マッピング(mapping)を通じて確認することができる。
【0081】
SEM分析は次のような方法で測定できる。積層セラミックキャパシタ100を水平になるように横にした後、積層セラミックキャパシタ100の周囲をエポキシ樹脂で固定し、研磨機で研磨(polishing)して、キャパシタボディー110と外部電極131、132を観察することができるようにLT面を有する断面サンプルを得ることができる。次いで、得られた断面サンプルを走査電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)で測定することができる。SEMは例えば、キャパシタボディー110の内部電極層121、122と外部電極131、132が接する面が見えるように横×縦が約55μm×50μmの領域でTESCAN SOLARIS Xを用いて5keVおよび300pAの条件で測定することができる。
【0082】
また、EPMA(電子探針微細分析機)マッピング(mapping)は次のような方法で分析することができる。まず、積層セラミックキャパシタ100から前述の方法で断面サンプルを得ることができる。得られた断面サンプルに対してEPMA(電子探針微細分析機)分析を測定して、外部電極の電極層に存在する各元素のマッピング(mapping)および元素別含量を確認することができる。
【0083】
EPMA分析を通じてコバルト(Co)および鉄(Fe)成分はガラスマトリックス中で観察されるのを確認することができる。これから、コバルト(Co)および鉄(Fe)が電極層10、20内でガラス成分として存在することが分かる。
【0084】
ガラスは導電性金属100重量部に対して1重量部~40重量部で含まれてもよく、例えば5重量部~35重量部で含まれてもよい。ガラスの成分が前記含量範囲内で含まれる場合、焼結後Cu-Ni合金が形成されて外部電極と内部電極層の連結性が向上できる。
【0085】
ガラスはパウダー形態であってもよい。ガラスの大きさ、具体的に平均粒径(D50)は0.1μm~5μmであってもよく、例えば0.5μm~3μmであってもよい。ガラスの大きさが前記範囲内である場合、焼結後Cu-Ni合金が形成されて外部電極と内部電極層の連結性が向上できる。ガラスの平均粒径(D50)は前記断面サンプルの走査電子顕微鏡(SEM)イメージで少なくとも100個のガラス粒子の最大長軸を測定して大きさ分布累積曲線を作成してD50を算出することができる。D50は、大きさ分布累積曲線で50%になる地点での大きさを意味する。
【0086】
前述の電極層10、20は外部電極の焼結金属層であってもよい。
【0087】
外部電極131、132は、前述の電極層10、20上に配置される伝導性樹脂層(図示せず)と、伝導性樹脂層を覆うように配置されるメッキ層30、40とをさらに含むことができる。
【0088】
伝導性樹脂層はキャパシタボディー110の第1面および第2面または第5面および第6面に延長され、伝導性樹脂層がキャパシタボディー110の第1面および第2面または第5面および第6面に延長して配置された領域(即ち、バンド部)の長さは、電極層10、20がキャパシタボディー110の第1面および第2面または第5面および第6面に延長して配置された領域(即ち、バンド部)の長さより長くてもよい。即ち、伝導性樹脂層は電極層10、20の上に形成され、電極層10、20を完全に覆う形態で形成できる。
【0089】
伝導性樹脂層は、樹脂および導電性金属を含む。
【0090】
伝導性樹脂層に含まれる樹脂は接合性および衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作ることができるものであれば特に制限されず、例えばフェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、またはポリイミド樹脂を含むことができる。
【0091】
伝導性樹脂層に含まれる導電性金属は、内部電極層121、122または電極層10、20と電気的に連結されるようにする役割を果たす。
【0092】
伝導性樹脂層に含まれる導電性金属は、球形、フレーク形、またはこれらの組み合わせの形態を有することができる。即ち、導電性金属はフレーク形のみからなるか、または球形のみからなってもよく、フレーク形と球形が混合された形態であってもよい。
【0093】
ここで、球形は完全な球形でない形態も含むことができ、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.45以下である形態を含むことができる。フレーク形粉末は平たくて細長い形態を有する粉末を意味し、特に制限されるわけではないが、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.95以上であってもよい。
【0094】
外部電極131、132は、前述の電極層10、20上に配置される伝導性樹脂層(図示せず)と、伝導性樹脂層を覆うように配置されるメッキ層30、40とをさらに含むことができる。
【0095】
メッキ層30、40は、具体的に、第1電極層10上に配置される第1メッキ層30と、第2電極層20上に配置される第2メッキ層40を含むことができる。
【0096】
メッキ層30、40は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタン(Ti)、または鉛(Pb)の単独、またはこれらの合金を含むことができる。例えば、メッキ層はニッケル(Ni)メッキ層またはスズ(Sn)メッキ層であってもよく、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよく、スズ(Sn)メッキ層、ニッケル(Ni)メッキ層、およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよい。また、メッキ層は複数のニッケル(Ni)メッキ層および/または複数のスズ(Sn)メッキ層を含んでもよい。
【0097】
メッキ層は、積層セラミックキャパシタ100の基板との実装性、構造的信頼性、外部に対する耐久度、耐熱性、および等価直列抵抗値(equivalent series resistance、ESR)を改善することができる。
【0098】
以下では、一実施形態による積層セラミックキャパシタ100の製造方法について説明する。
【0099】
一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、誘電体層111と内部電極層121、122を含むキャパシタボディー110の一面に導電性金属およびガラス組成物を含む電極層形成用ペーストを塗布する段階;および前記電極層形成用ペーストを焼結して外部電極131、132の電極層10、20を形成する段階を経て製造することができる。
【0100】
まず、キャパシタボディー110の製造方法について説明する。
【0101】
キャパシタボディー110は、誘電体スラリーを用いて誘電体グリーンシートを製造し、誘電体グリーンシート表面に導電性ペースト層を形成する段階;前記導電性ペースト層が形成された誘電体グリーンシートを積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する段階;および前記誘電体グリーンシート積層体を焼成する段階を経て製造することができる。
【0102】
誘電体スラリーは、主成分粉末としてチタン酸バリウム系化合物、そして選択的に副成分粉末を混合して製造することができる。
【0103】
チタン酸バリウム系化合物は前述のところと同一である。
【0104】
副成分粉末は例えば、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、アクチニウム(Ac)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、またはこれらの組み合わせを含むことができるが、これに限定されない。前記副成分粉末それぞれは、チタン酸バリウム系化合物の主成分粉末100モル部に対して0.01モル部~5モル部で含まれてもよい。
【0105】
前記副成分粉末は各金属を含有する酸化物または塩化合物の形態で使用でき、または有機溶媒に分散したゾル形態で使用できる。
【0106】
また、誘電体スラリーは、分散剤、バインダー、可塑剤、潤滑剤、帯電防止剤などの添加剤と溶媒を追加的に混合して製造することができる。
【0107】
チタン酸バリウム系化合物の主成分粉末と選択的に副成分粉末の混合は、湿式ボールミルまたは攪拌ミルを用いることができる。湿式ボールミルでジルコニアボールを用いる場合、直径0.1mm~10mmの多数のジルコニアボールを用いて8時間~48時間、または10時間または24時間湿式混合することができる。
【0108】
製造された誘電体スラリーは、焼成後に誘電体層として形成される。
【0109】
製造された誘電体スラリーをシート形状に成形する方法としては、ドクターブレード法、カレンダーロール法などのテープ成形法など、例えばヘッド吐出方式のオン-ロール(on roll)成形コーター(coater)を用いることができ、その後、成形体を乾燥することによって誘電体グリーンシートを得ることができる。
【0110】
焼成後に内部電極層になる導電性ペースト層を形成するために、導電性金属またはその合金からなる導電性粉末、バインダーおよび溶媒を混合して導電性ペーストを製造することができる。また、必要によって共材としてチタン酸バリウム粉末が共に混合されてもよい。共材は焼成過程で導電性粉末の焼結を抑制する作用を果たすことができる。誘電体グリーンシート表面にスクリーン印刷などの各種印刷法や転写法によって導電性ペーストを所定のパターンで塗布して導電性ペースト層を形成する。
【0111】
前記導電性粉末は、ニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)合金を含むことができる。
【0112】
次いで、内部電極パターンを形成した誘電体グリーンシートを複数層にわたって積層した後、積層方向にプレスすることによって誘電体グリーンシート積層体を製造する。この時、誘電体グリーンシート積層体の積層方向の上面および下面には誘電体グリーンシートが位置するように誘電体グリーンシートと内部電極パターンを積層することができる。
【0113】
製造された誘電体グリーンシート積層体をダイシングなどによって所定の寸法に切断する段階を選択的に行うことができる。
【0114】
また、誘電体グリーンシート積層体は必要によって可塑剤などを除去するために固化乾燥することができ、固化乾燥後に水平遠心バレル研磨機などを用いてバレル研磨することができる。バレル研磨では、誘電体グリーンシート積層体をメディアおよび研磨液と共にバレル容器内に投入し、そのバレル容器に対して回転運動や振動などを付与することによって、切断時に発生したバリ(burr)などの不必要部分を研磨することができる。また、バレル研磨後、誘電体グリーンシート積層体は水などの洗浄液で洗浄して乾燥することができる。
【0115】
次いで、誘電体グリーンシート積層体を脱バインダー処理および焼成してキャパシタボディーを製造する。
【0116】
脱バインダー処理条件は、誘電体層の成分や内部電極層の成分によって適切に調節することができる。例えば、脱バインダー処理時の昇温速度は5℃/時間~300℃/時間、支持温度は180℃~400℃、温度維持時間は0.5時間~24時間であってもよい。脱バインダー処理時雰囲気は空気または還元性雰囲気であってもよい。
【0117】
焼成処理の条件は、誘電体層の主成分組成や内部電極の主成分組成によって適切に調節することができる。例えば、焼成は1100℃~1400℃の温度で行うことができ、例えば1200℃~1350℃の温度で行うことができる。また、焼成は0.5時間~8時間、例えば1時間~3時間行うことができる。また、焼成は還元性雰囲気、例えば、窒素および水素の混合ガスを加湿した雰囲気で行うことができる。内部電極がニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)合金を含む場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は1.0×10-14MPa~1.0×10-10MPaであってもよい。
【0118】
焼成処理後、必要によってアニーリングを行うことができる。アニーリングは誘電体層を再酸化させるための処理であり、還元性雰囲気で焼成処理した場合、アニーリングを行うことができる。アニーリング処理の条件も誘電体層の成分によって適切に調節することができる。例えば、アニーリング時の温度は950℃~1150℃であってもよく、時間は0時間~20時間であってもよく、昇温速度は50℃/時間~500℃/時間であってもよい。アニーリング雰囲気は加湿した窒素ガス(N2)雰囲気であってもよく、酸素分圧は1.0×10-9MPa~1.0×10-5MPaであってもよい。
【0119】
脱バインダー処理、焼成処理、またはアニーリング処理で、窒素ガスや混合ガスなどを加湿するためには例えばウェッター(wetter)などを使用することができ、この場合、水温は5℃~75℃であってもよい。脱バインダー処理、焼成処理、およびアニーリング処理は連続して行うことができ、独立的に行うこともできる。
【0120】
選択的に、製造されたキャパシタボディー110の第3面および第4面に対して、サンドブラスティング処理、レーザー照射、バレル研磨などの表面処理を行うことができる。このような表面処理を行うことによって、第3面および第4面の最表面に第1内部電極および第2内部電極の端部が露出され、これにより第1外部電極および第2外部電極と第1内部電極および第2内部電極の電気的接合が良好になり、合金部が形成されやすくなり得る。
【0121】
以下、外部電極131、132の製造方法について説明する。
【0122】
製造されたキャパシタボディー110の一面に電極層形成用ペーストを塗布し焼結して電極層10、20を形成することによって、外部電極131、132を製造することができる。
【0123】
電極層形成用ペーストは、導電性金属およびガラス組成物を含むことができる。
【0124】
導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができる。これらのうち、導電性金属は例えば、銅(Cu)または銅(Cu)合金を含むことができる。
【0125】
ガラス組成物は、酸化コバルト(CoO)を含むことができる。
【0126】
酸化コバルト(CoO)は導電性金属100重量部に対して0.13重量部~0.64重量部で含まれてもよく、例えば0.133重量部~0.636重量部で含まれてもよい。
【0127】
ガラス組成物は酸化鉄をさらに含むことができる。酸化鉄は、FeO、Fe2O3、Fe3O4、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0128】
酸化鉄は導電性金属100重量部に対して0.18重量部~0.91重量部で含まれてもよく、例えば0.189重量部~0.905重量部で含まれてもよい。
【0129】
ガラス組成物は酸化コバルト(CoO)および酸化鉄以外にも、酸化リチウム(Li2O);酸化カリウム(K2O);二酸化ケイ素(SiO2);酸化アルミニウム(Al2O3);酸化ニッケル(NiO);酸化銀(Ag2O);酸化ナトリウム(NaO);酸化バリウム(BaO);酸化カルシウム(CaO);酸化ストロンチウム(SrO);酸化ホウ素(B2O3);酸化亜鉛(ZnO);SnO、SnO2、またはこれらの組み合わせを含む酸化スズ;Cu2O、CuO、またはこれらの組み合わせを含む酸化銅;酸化インジウム(In2O3);二酸化チタン(TiO2);五酸化リン(P2O5);MnO、Mn2O、Mn2O3、Mn3O4、またはこれらの組み合わせを含む酸化マンガン;酸化ゲルマニウム(GeO2)またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0130】
酸化リチウム(Li2O)はガラス組成物の総量に対して5重量%~20重量%で含まれてもよく、例えば7重量%~17重量%で含まれてもよい。酸化カリウム(K2O)はガラス組成物の総量に対して5重量%~20重量%で含まれてもよく、例えば7重量%~17重量%で含まれてもよい。二酸化ケイ素(SiO2)はガラス組成物の総量に対して5重量%~20重量%で含まれてもよく、例えば7重量%~17重量%で含まれてもよい。酸化アルミニウム(Al2O3)はガラス組成物の総量に対して5重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば7重量%~13重量%で含まれてもよい。酸化ニッケル(NiO)はガラス組成物の総量に対して0.01重量%~20重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~15重量%で含まれてもよい。酸化銀(Ag2O)はガラス組成物の総量に対して0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~10重量%で含まれてもよい。酸化ナトリウム(NaO)はガラス組成物の総量に対して0.01重量%~25重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~20重量%で含まれてもよい。酸化バリウム(BaO)はガラス組成物の総量に対して15重量%~45重量%で含まれてもよく、例えば20重量%~40重量%で含まれてもよい。酸化カルシウム(CaO)はガラス組成物の総量に対して15重量%~45重量%で含まれてもよく、例えば20重量%~40重量%で含まれてもよい。酸化ストロンチウム(SrO)はガラス組成物の総量に対して15重量%~45重量%で含まれてもよく、例えば20重量%~40重量%で含まれてもよい。酸化ホウ素(B2O3)はガラス組成物の総量に対して15重量%~25重量%で含まれてもよく、例えば17重量%~23重量%で含まれてもよい。酸化亜鉛(ZnO)はガラス組成物の総量に対して1重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば3重量%~13重量%で含まれてもよい。酸化スズはガラス組成物の総量に対して0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~10重量%で含まれてもよい。酸化銅はガラス組成物の総量に対して0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~10重量%で含まれてもよい。酸化インジウム(In2O3)はガラス組成物の総量に対して0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~10重量%で含まれてもよい。二酸化チタン(TiO2)はガラス組成物の総量に対して0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~10重量%で含まれてもよい。五酸化リン(P2O5)はガラス組成物の総量に対して0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~10重量%で含まれてもよい。酸化マンガンはガラス組成物の総量に対して0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~10重量%で含まれてもよい。酸化ゲルマニウム(GeO2)はガラス組成物の総量に対して0.01重量%~15重量%で含まれてもよく、例えば0.1重量%~10重量%で含まれてもよい。
【0131】
ガラス組成物の成分を混合して一定の温度以上で熱処理後、急冷した後に細粒化するか、または気相、液相、噴霧熱分解工法などを用いてガラスを製造することができる。
【0132】
ガラス組成物は導電性金属100重量部に対して1重量部~40重量部で含まれてもよく、例えば5重量部~35重量部で含まれてもよい。
【0133】
電極層形成用ペーストは、バインダー、溶媒、分散剤、可塑剤、酸化物粉末などをさらに含むことができる。
【0134】
バインダーは例えば、エチルセルロース、アクリル、ブチラール(butyral)などを使用することができ、溶媒はテルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、トルエンなどの有機溶媒や、水系溶媒を使用することができる。
【0135】
電極層形成用ペーストをキャパシタボディー110の外面に塗布する方法としてはディップ法、スクリーン印刷などの各種印刷法、ディスペンサーなどを用いた塗布法、スプレーを用いた噴霧法などを使用することができる。電極層形成用ペーストは少なくともキャパシタボディー110の第3面および第4面に塗布され、選択的に第1外部電極および第2外部電極のバンド部が形成される第1面、第2面、第5面または第6面の一部にも塗布されてもよい。
【0136】
焼結は400℃~850℃の温度で行うことができる。焼結が前記温度範囲内で行われる場合、酸化ニッケル(NiO)が容易に還元されながらCu-Ni合金を形成することができる。Cu-Ni合金の形成から外部電極と内部電極層の連結性が向上するだけでなく、容量ばらつきを改善し等価直列抵抗(equivalent series resistance、ESR)を低めることができる。
【0137】
次いで、選択的に、電極層10、20が形成されたキャパシタボディー110の外面に、伝導性樹脂層形成用ペーストを塗布した後、硬化させて伝導性樹脂層を形成することができる。
【0138】
伝導性樹脂層形成用ペーストは、樹脂、および選択的に導電性金属または非伝導性フィラーを含むことができる。導電性金属と樹脂に関する説明は前述のところと同一なので反復的な説明は省略する。また、伝導性樹脂層形成用ペーストは選択的にバインダー、溶媒、分散剤、可塑剤、酸化物粉末などを含むことができる。バインダーは例えばエチルセルロース、アクリル、ブチラール(butyral)などを使用することができ、溶媒はテルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、トルエンなどの有機溶媒や、水系溶媒を使用することができる。
【0139】
一例として、伝導性樹脂層の形成方法は、伝導性樹脂層形成用ペーストにキャパシタボディー110をディッピングして形成した後に硬化させるか、または伝導性樹脂層形成用ペーストをキャパシタボディー110の表面にスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などで印刷するか、または伝導性樹脂層形成用ペーストをキャパシタボディー110の表面に塗布した後に硬化させて形成することができる。
【0140】
その次に、伝導性樹脂層の外側にメッキ層30、40を形成することができる。
【0141】
一例として、メッキ層はメッキ法によって形成することができ、スパッタまたは電解メッキ(electric deposition)によって形成することもできる。
【0142】
以下、実施例を通じて前述の実施形態をより詳細に説明する。但し、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、権利範囲を制限するものではない。
【実施例0143】
(積層セラミックキャパシタ製造)
実施例1~13および比較例1~13
主成分粉末としてチタン酸バリウム(BaTiO3)を用いて誘電体グリーンシートを製造した後、誘電体グリーンシートの表面にニッケル(Ni)を含む導電性ペースト層を印刷し、導電性ペースト層が形成された誘電体グリーンシート(横×縦×高さ=3.2mm×2.5mm×2.5mm)を積層およびプレスして誘電体グリーンシート積層体を製造した。誘電体グリーンシート積層体を400℃以下、窒素雰囲気で可塑工程を経て焼成温度1300℃以下、水素濃度1.0% H2以下条件で焼成して、キャパシタボディーを製造した。
【0144】
キャパシタボディーの一面に銅(Cu)、銅(Cu)100重量部に対してガラス組成物10重量部、およびアクリル系バインダー8重量部を含む電極層形成用ペーストを塗布した。ここで、ガラス組成物は実施例1~13および比較例11~13の場合、酸化コバルト(CoO)および酸化鉄(FeOx)、そして下記表1の組成を有する追加成分から構成され、比較例1~10の場合、下記表1の組成を有する追加成分のみから構成された。
【0145】
次いで、下記表2のように400℃~850℃の温度で焼結して外部電極の電極層を形成した。次いで、メッキなどの工程を経て積層セラミックキャパシタを製造した。
【0146】
【0147】
【0148】
評価1:EPMA分析
実施例1~13および比較例1~13で製造された積層セラミックキャパシタに対してEPMA(電子探針微細分析機)分析を行って、その結果を下記表3および表4に示した。
【0149】
EPMA分析は次のように行われた。実施例1~13および比較例1~13で製造された各積層セラミックキャパシタを水平になるように横にした後、積層セラミックキャパシタの周囲をエポキシ樹脂で固定して、研磨機で研磨(polishing)して、キャパシタボディーと外部電極を観察することができるようにLT面を有する断面サンプルを得た。得られた断面サンプルに対してEPMA(電子探針微細分析機)分析を測定した。測定結果、外部電極の電極層に存在する各元素のマッピング(mapping)および元素別含量を確認した。
【0150】
【0151】
【0152】
上記表3および表4を参照すれば、実施例1~13の場合、外部電極の電極層に含まれるガラス成分としてコバルト(Co)が適正含量範囲内で存在するのを確認することができる。
【0153】
評価2:SEM分析
実施例1および比較例1で製造された積層セラミックキャパシタに対してSEM(走査電子顕微鏡)分析を行って、その結果を
図4および
図5に示した。
【0154】
SEM分析は次のように行われた。実施例1および比較例1で製造された各積層セラミックキャパシタを水平になるように横にした後、積層セラミックキャパシタの周囲をエポキシ樹脂で固定して、研磨機で研磨(polishing)して、キャパシタボディーと外部電極を観察することができるようにLT面を有する断面サンプルを得た。得られた断面サンプルを走査電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)で測定した。SEMは例えば、キャパシタボディーの内部電極層と外部電極が接する面が見えるように横×縦が約55μm×50μmの領域でTESCAN SOLARIS Xを用いて5keVおよび300pAの条件で測定した。
【0155】
図4は実施例1による積層セラミックキャパシタの内部電極層および外部電極を示すSEM分析イメージであり、
図5は比較例1による積層セラミックキャパシタの内部電極層および外部電極を示すSEM分析イメージである。
【0156】
図4および
図5を参照すれば、外部電極の電極層にガラス成分としてコバルト(Co)が含まれている実施例1の場合、内部電極層と外部電極の連結性に優れた構造を有する反面、コバルト(Co)が含まれていない比較例1の場合、内部電極層と外部電極の連結性が低下した構造を有するのを確認することができる。
【0157】
評価3:容量、ESR、および耐湿信頼性
実施例1~13および比較例1~13で製造された積層セラミックキャパシタに対して容量、等価直列抵抗(ESR)、および耐湿苛酷評価を測定して、その結果を下記表5および
図6に示した。
【0158】
-容量は、1kHzおよび0.5V条件で測定した。測定結果、1000個製品に対して、良品70%未満をXと、良品70%以上~80%未満を△と、良品80%以上~90%未満を○と、良品90%以上を◎と判定した。
-等価直列抵抗(equivalent series resistance、ESR)は1Mhz条件で測定した。測定結果、1000個製品に対して、100mΩ以下の製品を良品と判定して、良品97%未満をXと、良品97%以上~98%未満を△と、良品98%以上~99%未満を○と、良品99%以上を◎と判定した。
【0159】
-耐湿苛酷評価はESPEC(PR-3J、8585)装備を用いて95℃、相対湿度(R.H.)95%および20時間条件で測定した。分析過程中、IR(絶縁抵抗)が5乗以下である時を不合格(fail)と定義し、20k数量で故障発生時間を基準にして判定を行った。故障時間が48時間以下である場合にXと、故障時間が48時間超過から216時間以下である場合に△と、故障時間が216時間超過から1024時間以下である場合に○と、故障時間が1024時間超過である場合に◎と判定した。
【0160】
【0161】
表5を参照すれば、外部電極の電極層にガラス成分としてコバルト(Co)を所定の含量範囲内で含む実施例1~13の場合、容量、ESR、および耐湿信頼性が全て優れていることが分かる。反面、外部電極の電極層にコバルト(Co)を含まない比較例1~10とコバルト(Co)が所定の含量範囲を逸脱した比較例11~13の場合、容量、ESR、および耐湿信頼性が低下することが分かる。
【0162】
図6は、実施例1および比較例1による積層セラミックキャパシタの容量を示すグラフである。
【0163】
図6を参照すれば、外部電極の電極層にガラス成分としてコバルト(Co)を含む実施例1の場合、コバルト(Co)を含まない比較例1と比較して容量ばらつき特性が改善されることが分かる。
【0164】
以上を通じて本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、請求範囲と発明の説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。