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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010304
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】空間形成装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 83/00 20060101AFI20250109BHJP
   A47B 87/00 20060101ALI20250109BHJP
   A47B 17/04 20060101ALI20250109BHJP
   A47B 13/04 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A47B83/00
A47B87/00
A47B17/04
A47B13/04
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024190395
(22)【出願日】2024-10-30
(62)【分割の表示】P 2020127542の分割
【原出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】矢口 真子
(72)【発明者】
【氏名】中村 健治
(72)【発明者】
【氏名】中島 千尋
(57)【要約】
【課題】内部空間の利用者にとって外部空間が気になり難く、内部空間での作業性を向上させることができる空間形成装置を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る空間形成装置1は、内部空間S2を形成するパネルユニット11と、内部空間S2に配置された着座部材13と、を備えている。パネルユニット11は、左右方向に対向する第1側壁パネル22及び第2側壁パネル23と、第1側壁パネル22及び第2側壁パネル23の前端部同士を接続する前壁パネル21と、第1側壁パネル22の後端部から左右方向に延び、第2側壁パネル23の後端部との間に内部空間S2への出入口26を形成する後壁パネル24と、を備えている。着座部材13は、内部空間S2において、後壁パネル24に隣接し、かつ前後方向から見て出入口26に重ならない位置で固定されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネル同士が組み合わされ、内部空間を形成するパネルユニットと、
前記内部空間に配置された着座部材と、を備え、
前記パネルユニットは、
上下方向に交差する第1方向に延びる第1辺と、
上下方向から見て前記第1方向に交差する第2方向で前記第1辺に対向する第2辺と、
前記第2方向に延在するとともに、前記第1辺の第1端部及び前記第2辺の第1端部間を接続する第3辺と、
前記第1辺の第2端部から前記第2方向に延び、前記第2辺の第2端部との間に前記内部空間への出入口を形成する第4辺と、を備え、
前記着座部材は、前記内部空間において、前記第4辺に隣接し、かつ前記第1方向から見て前記出入口に重ならない位置で固定されている空間形成装置。
【請求項2】
前記第4辺は、前記第2辺の第2端部に前記第2方向で対向している請求項1に記載の空間形成装置。
【請求項3】
前記着座部材は、前記パネルユニットに固定されている請求項1又は請求項2に記載の空間形成装置。
【請求項4】
前記着座部材は、前記第4辺に固定されている請求項3に記載の空間形成装置。
【請求項5】
前記着座部材は、前記パネルユニットのうち互いに交差する2辺に固定されている請求項3又は請求項4に記載の空間形成装置。
【請求項6】
前記着座部材は、前記第1辺及び前記第4辺に固定されている請求項5に記載の空間形成装置。
【請求項7】
前記着座部材は、利用者が前記第3辺を向いた状態で着座可能であり、
前記内部空間において、前記第3辺に隣接した位置にはテーブルが配置されている請求項1から請求項6の何れか1項に記載の空間形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや公共施設等の各種施設では、外部空間に対して隔離された内部空間で作業を行うための空間形成装置が設置される場合がある。空間形成装置は、内部空間を形成するブース本体と、ブース本体内に設置された什器(例えば、椅子や机等)と、を備えている。ブース本体は、例えば複数のパネルが組み合わされて構成されている。空間形成装置の利用者は、ブース本体内に形成された出入口を通じて内部空間に進入し、内部空間で各種作業を行う。
【0003】
例えば、下記特許文献1及び非特許文献1には、複数のパネルのうち、何れかのパネルにテーブルが固定された構成が開示されている。
また、下記特許文献1の構成では、複数のパネルのうち、テーブルと対向する位置に配置されたパネルにソファが固定された構成が開示されている。一方で、下記非特許文献1の構成では、ブース本体の出入口を通じてキャスター付きの椅子を搬入できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-086365号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】株式会社オカムラ,“Office Furniture オフィスファニチュア 総合カタログ 2019”,2018年12月,P.567-P.568
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術のうち、特許文献1の構成にあっては、ソファに対して斜め前方にブース本体の出入口が形成されている。そのため、ソファの着座者(空間形成装置の利用者)の視線に外部空間が写り易い。
【0007】
一方、非特許文献1の構成では、ブース本体の出入口が椅子に対して後方から側方に至る範囲に形成されているため、特許文献1の構成に比べると、椅子の着座者の視線に外部空間が写り難い。
しかしながら、非特許文献1の構成では、キャスター付きの椅子をブース本体内に搬入する関係から、出入口を大きく確保する必要がある。そのため、非特許文献1の構成にあっても、内部空間の利用者の視線から外部空間を遮る点で未だ改善の余地があった。
【0008】
本発明は、内部空間の利用者にとって外部空間が気になり難く、内部空間での作業性を向上させることができる空間形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係る空間形成装置は、複数のパネル同士が組み合わされ、内部空間を形成するパネルユニットと、前記内部空間に配置された着座部材と、を備え、前記パネルユニットは、上下方向に交差する第1方向に延びる第1辺と、上下方向から見て前記第1方向に交差する第2方向で前記第1辺に対向する第2辺と、前記第2方向に延在するとともに、前記第1辺の第1端部及び前記第2辺の第1端部間を接続する第3辺と、前記第1辺の第2端部から前記第2方向に延び、前記第2辺の第2端部との間に前記内部空間への出入口を形成する第4辺と、を備え、前記着座部材は、前記内部空間において、前記第4辺に隣接し、かつ前記第1方向から見て前記出入口に重ならない位置で固定されている。
【0010】
本態様によれば、内部空間において、第4辺に隣接し、第1方向から見て出入口に重ならない位置に着座部材が配置されることで、着座部材に着座する利用者の視線に外部空間が写り難くなる。これにより、内部空間の利用者にとって外部空間が気になり難く、内部空間での作業性を向上させることができる。
しかも、本態様の空間形成装置では、着座部材が内部空間で固定されているため、パネルユニットの設置後に出入口を通じて着座部材を搬入出する場合に比べ、出入口の開口幅を縮小し易い。これにより、着座部材に着座する利用者の視線に外部空間がより写り難くなる。
さらに、本態様の空間形成装置は、第4辺と第2辺との間に出入口を形成することで、例えば第4辺の中途部分に出入口を設ける場合に比べ、第4辺を連続的に延在させることができる。これにより、着座部材の設置スペースを確保し易くなり、内部空間での快適性を向上させることができる。
【0011】
上記態様の空間形成装置において、前記第4辺は、前記第2辺の第2端部に前記第2方向で対向していることが好ましい。
本態様によれば、出入口を第1方向のみに開放させることができるので、着座部材に着座する利用者の視線に外部空間がより写り難くなる。
【0012】
上記態様の空間形成装置において、前記着座部材は、前記パネルユニットに固定されていることが好ましい。
本態様によれば、パネルユニットに対する着座部材の位置を安定させることができる。
【0013】
上記態様の空間形成装置において、前記着座部材は、前記第4辺に固定されていることが好ましい。
本態様によれば、着座部材が第4辺寄りに配置されるので、内部空間の利用者を第4辺寄りに配置できる。これにより、着座部材に着座する利用者の視線に外部空間がより写り難くなる。
【0014】
上記態様の空間形成装置において、前記着座部材は、前記パネルユニットのうち互いに交差する2辺に固定されていることが好ましい。
本態様によれば、隣り合うパネル間の連結強度を確保できる。これにより、隣り合うパネルの互いに交差する交差面同士のなす角度が拡大又は縮小する方向への隣り合うパネルの変位を規制できる。
【0015】
上記態様の空間形成装置において、前記着座部材は、前記第1辺及び前記第4辺に固定されていることが好ましい。
本態様によれば、着座部材に隣接する第4辺、及び第1辺に着座部材を固定することで、内部空間の面積確保や着座部材の固定構造の簡素化等を図ることができる。
【0016】
上記態様の空間形成装置において、前記着座部材は、利用者が前記第3辺を向いた状態で着座可能であり、前記内部空間において、前記第3辺に隣接した位置にはテーブルが配置されていることが好ましい。
本態様によれば、利用者が着座部材に着座した状態で、利用者に対して前方にテーブルが配置され、後方に出入口が配置される。これにより、出入口を後方のみに開放させることができるので、着座部材に着座する利用者の視線に外部空間がより写り難くなる。
【発明の効果】
【0017】
上記各態様によれば、内部空間の利用者にとって外部空間が気になり難く、内部空間での作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る空間形成装置を後方(出入口側)から見た斜視図である。
図2】実施形態に係る空間形成装置の平面図である。
図3】実施形態に係る空間形成装置の背面図である。
図4】実施形態に係る空間形成装置を右側から見た側面図である。
図5】実施形態の変形例に係る空間形成装置の断面図である。
図6】実施形態の変形例に係る空間形成装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。また、本実施形態において、「向かい合う」とは、2つの面それぞれの直交方向(法線方向)が互いに一致している場合に限らず、直交方向同士が交差している場合も含んでいる。
【0020】
(空間形成装置1)
図1は、空間形成装置1を後方(出入口26側)から見た斜視図である。
図1に示す空間形成装置1は、オフィスや公共機関の各種施設において、床面F上に設置される。空間形成装置1は、外部空間S1と隔離された内部空間S2を形成し、例えば内部空間S2で作業を行う場合に用いられる。空間形成装置1は、パネルユニット11と、テーブル12と、着座部材13と、を備えている。以下の説明において、前後上下左右等の向きは、着座部材13の利用者から見た向きを示している。したがって、テーブル12における前後左右の向きは、着座部材13の利用者が正対した向きを基準としている。
【0021】
<パネルユニット11>
図2は、空間形成装置1の平面図である。
図1図2に示すように、パネルユニット11は、各パネル21~24が互いに支え合って自立する、いわゆる自立式パネル(ローパーティション)である。パネルユニット11は、上下方向から見た平面視で正方形状に形成されている。但し、パネルユニット11は、長方形状等の形状でもよい。パネルユニット11の各辺は、それぞれ一枚のパネル21~24により構成されている。パネルユニット11は、複数のパネル21~24同士が組み合わされることで、パネルユニット11の内側に内部空間S2を形成する。具体的に、パネル21~24は、前壁パネル(第3辺)21と、第1側壁パネル(第1辺)22と、第2側壁パネル(第2辺)23と、後壁パネル(第4辺)24と、を備えている。
【0022】
各パネル21~24は、例えば木材や金属等により構成された板状の基材が、化粧材に覆われた構成である。なお、パネル21~24は、外形が板状であれば、不織布や織布等により形成された構成であってもよい。また、パネル21~24の一部が、ガラスやメッシュ等で構成されていてもよい。
【0023】
前壁パネル21は、パネルユニット11の前壁を構成する。前壁パネル21は、前後方向(第1方向)を厚さ方向とし、左右方向(第2方向)を幅方向とした状態で、床面Fから起立している。
第1側壁パネル22は、パネルユニット11の左側壁を構成する。第1側壁パネル22は、左右方向を厚さ方向とし、前後方向を幅方向とした状態で、床面Fから起立している。第1側壁パネル22の前端面(第1端部)は、前壁パネル21の左側端部における後面に連結具(不図示)を介して連結されている。
第2側壁パネル23(第2辺)は、パネルユニット11の右側壁を構成する。第2側壁パネル23は、第1側壁パネル22に左右方向で対向している。第2側壁パネル23は、左右方向を厚さ方向とし、前後方向を幅方向とした状態で床面Fから起立している。第2側壁パネル23の前端面(第1端部)は、前壁パネル21の右側端部における後面に連結具(不図示)を介して連結されている。
【0024】
前壁パネル21及び第2側壁パネル23の各種寸法(幅、高さ、厚さ)は、何れも等しくなっている。第1側壁パネル22の高さ及び厚さは、前壁パネル21及び第2側壁パネル23と等しくなっている。第1側壁パネル22の幅(前後方向の寸法)は、後壁パネル24の厚さ分、第2側壁パネル23よりも短くなっている。但し、前壁パネル21及び側壁パネル22,23の寸法は、それぞれ等しくても、異なっていてもよい。
【0025】
図3は、空間形成装置1の背面図である。
図1図3に示すように、後壁パネル24は、パネルユニット11の後壁を構成する。すなわち、後壁パネル24は、前壁パネル21に前後方向で対向している。後壁パネル24は、前後方向を厚さ方向とし、左右方向を幅方向として床面Fから起立している。図2図3に示すように、後壁パネル24の左側端部における前面は、第1側壁パネル22の後端面(第2端部)に連結具(不図示)を介して連結されている。なお、後壁パネル24の高さ及び厚さは、他のパネル21~23と等しくなっている。
【0026】
図1図3に示すように、後壁パネル24の右側端部のうち、上部には下部に対して切り欠かれた逃げ部28が形成されている。逃げ部28は、後壁パネル24の右側端面が下方から上方に向かうに従い左側(第1側壁パネル22側)に向けて傾斜した構成である。したがって、後壁パネル24の幅(左右方向の寸法)は、下部において最大幅部分を構成し、上部において下方から上方に向かうに従い漸次縮小している。後壁パネル24の下部の幅(最大幅)は、前壁パネル21よりも短くなっている。本実施形態において、後壁パネル24の下部の幅は、前壁パネル21の幅に対して1/2倍以上3/4以下程度の範囲に設定されていることが好ましい。なお、後壁パネル24の幅は、上下方向の全高に亘って一様であってもよく、上下方向の全高に亘って幅が異なっていてもよい。また、逃げ部28は、後壁パネル24の右側端部が段差状に切り欠かれていてもよい。
【0027】
後壁パネル24の右側端部と、第2側壁パネル23の後端部(第2端部)との間には、内部空間S2に出入り可能な出入口26が形成されている。本実施形態では、後壁パネル24の延長線上に第2側壁パネル23の後端部が位置している。すなわち、後壁パネル24の右側端面と、第2側壁パメル23の左側面(第1側壁パネル22との対向面)と、が左右方向で対向している。よって、出入口26は、後方及び上方のみに開放されている。但し、第2側壁パネル23の前端部は、後壁パネル24の延長線に対して後方又は前方に位置していてもよい。
【0028】
<テーブル12>
図4は、空間形成装置1を右側から見た側面図である。
図1図4に示すように、テーブル12は、内部空間S2内における前部であって、上下方向の中間位置に配置されている。具体的に、テーブル12は、左右方向を長手方向とし、前後方向を短手方向とする長方形状の板状に形成されている。図示の例において、テーブル12の左右方向の長さは、側壁パネル22,23間の距離と同等になっている。テーブル12の前後方向の長さは、側壁パネル22,23の幅の半分程度になっている。
【0029】
テーブル12は、前壁パネル21及び側壁パネル22,23に各別に設けられたブラケット31を介してパネルユニット11に連結されている。この場合、テーブル12は、外側面のうち後端面を除く三面が対応するパネル(前壁パネル21及び側壁パネル22,23)に近接又は当接した状態で、パネルユニット11に取り付けられている。したがって、テーブル12は、前端面が前壁パネル21に近接又は当接した状態で、ブラケット31を介して前壁パネル21に連結されている。また、テーブル12は、左端面が第1側壁パネル22に近接又は当接した状態で、ブラケット31を介して第1側壁パネル22に連結されている。テーブル12は、右端面が第2側壁パネル23に近接又は当接した状態で、ブラケット31を介して第2側壁パネル23に連結されている。
【0030】
このように、テーブル12は、前壁パネル21及び側壁パネル22,23間のうち、隣り合うパネル(前壁パネル21及び第1側壁パネル22同士、又は前壁パネル21及び第2側壁パネル23同士)の互いに交差する交差面に跨って固定されている。したがって、テーブル12は、交差面同士のなす角度が拡大又は縮小する方向への隣り合うパネルの変位を規制した状態で、隣り合うパネル同士を連結する第1連結部として機能する。なお、テーブル12は、少なくとも前壁パネル21及び第2側壁パネル23間に架け渡される構成であればよい。
【0031】
図3に示すように、テーブル12の右側端部は、出入口26を通じて後方から視認可能になっている。テーブル12の右側端部には、物品収納部35が設けられている。すなわち、物品収納部35は、出入口26を通じて後方から視認可能になっている。物品収納部35は、上方に開口するU字状に形成されている。物品収納部35は、上端部がブラケット35aを介してテーブル12の下面に取り付けられることで、テーブル12の下面との間に前後方向に開口する収納空間S3を形成している。物品収納部35は、収納空間S3内に収納される物品を下方及び左右両側から支持する。これにより、例えば外部空間の第三者は、収納空間S2内の物品の有無によって、空間形成装置1の利用者の有無等を判断できる。なお、空間形成装置1は、上述した物品収納部35以外の収納什器(例えば、抽斗や棚等)を備えていてもよい。また、空間形成装置1には、テーブル12の上面を照らす照明38(図1参照)や、図2図4に示すように配線接続部39(コンセントやLANポート、USBポート等)、配線ダクト40、フック等の種々のオプション部材が設けられていてもよい。
【0032】
<着座部材13>
着座部材13は、ソファである。着座部材13は、内部空間S2において、第1側壁パネル22及び後壁パネル24寄りに位置する部分に配置されている。具体的に、着座部材13は、支持構造体41と、背凭れ42と、座43と、を備えている。
支持構造体41は、箱型に形成されている。支持構造体41は、後壁パネル24の下部及び第1側壁パネル22の下部の双方にビス等によって固定されている。すなわち、支持構造体41は、隣り合うパネル(第1側壁パネル22及び後壁パネル24)の互いに交差する交差面に跨って固定されている。したがって、着座部材13は、交差面同士のなす角度が拡大又は縮小する方向への隣り合うパネル22,24の変位を規制した状態で、隣り合うパネル22,24同士を連結する第2連結部として機能する。
【0033】
背凭れ42は、支持構造体41の上面のうち後端部から上方に起立している。背凭れ42は、例えば背板及びクッション材が外皮によって覆われた構成である。背凭れ42の上端位置は、逃げ部28の下端よりも下方に位置している。背凭れ42は、例えば背板から突出するピンが後壁パネル24に設けられた係止孔内に係止されることで、後壁パネル24に固定されている。但し、背凭れ42は、後壁パネル24にねじ止め等によって固定されていてもよい。また、背凭れ42は、支持構造体41の上面に当接していても、支持構造体41に対して上方に離間していてもよい。なお、着座部材13は、背凭れ42を有さない構成としてもよい。この場合、後壁パネル24を着座部材13の背凭れとして利用してもよい。また、背凭れ42や座43は、ピンと係止溝との係合や、ねじ止め等によって第1側壁パネル22にも固定されていてもよい。この場合には、背凭れ42や座43自体が第2連結部として機能する。
【0034】
座43は、支持構造体41の上面のうち背凭れ42の前方に位置する部分に設けられている。座43は、例えば座板及びクッション材が外皮によって覆われた構成である。なお、図4の例において、座43の前端は、テーブル12の後端と、前後方向で同等の位置に配置されている。但し、座43の前端は、テーブル12の後端に対して前方又は後方に配置されていてもよい。
【0035】
このように、本実施形態の着座部材13は、少なくとも支持構造体41が第1側壁パネル22及び後壁パネル24の双方に固定された状態で、第1側壁パネル22及び後壁パネル24に近接又は当接している。着座部材13において、支持構造体41、背凭れ42及び座43の幅は互いに同等になっている。本実施形態において、着座部材13の最大幅は、後壁パネル24の下部の幅と同等になっている。したがって、着座部材13の右側端面は、後壁パネル24の下部における右側端面に対して面一又は左側に位置している。そのため、着座部材13は、後方から見て出入口26と重ならない位置に配置されている。すなわち、着座部材13は、出入口26を通じて後方から視認不能になっている。
【0036】
上述した空間形成装置1において、利用者は、出入口26を通じて外部空間S1と内部空間S2との出入りを行うことができる。また、利用者は、内部空間S2において、着座部材13に着座することで、周囲がパネルユニット11に囲まれ、かつテーブル12と正対した状態で作業を行うことができる。
【0037】
このように、本実施形態の空間形成装置1は、パネルユニット11により囲まれた内部空間S1内において、後壁パネル24に隣接し、かつ後方から見て出入口26に重ならない位置に着座部材13が固定される構成とした。
この構成によれば、内部空間S2において、後壁パネル24に隣接し、後方から見て出入口26に重ならない位置に着座部材13が配置されることで、着座部材13に着座する利用者の視線に外部空間S1が写り難くなる。これにより、内部空間S2の利用者にとって外部空間S1が気になり難く、内部空間S2での作業性を向上させることができる。
しかも、本実施形態の空間形成装置1では、着座部材13が内部空間S2で固定されているため、パネルユニット11の設置後に出入口26を通じて着座部材を搬入出する場合に比べ、出入口26の開口幅を縮小し易い。これにより、着座部材13に着座する利用者の視線に外部空間S1がより写り難くなる。
さらに、本実施形態の空間形成装置1は、後壁パネル24と第2側壁パネル23との間に出入口26を形成することで、例えば後壁パネル24の中途部分に出入口を設ける場合に比べ、後壁パネル24を連続的に延在させることができる。これにより、着座部材13の設置スペースを確保し易くなり、内部空間S2での快適性を向上させることができる。
【0038】
本実施形態の空間形成装置1では、後壁パネル24が第2側壁パネル23の後端部に左右方向で対向している構成とした。
この構成によれば、出入口26を後方のみに開放させることができるので、着座部材13に着座する利用者の視線に外部空間S1がより写り難くなる。
【0039】
本実施形態の空間形成装置1では、着座部材13がパネルユニット11に固定された構成とした。
この構成によれば、パネルユニット11に対する着座部材13の位置を安定させることができる。
【0040】
本実施形態の空間形成装置1では、着座部材13が後壁パネル24に固定されている構成とした。
この構成によれば、着座部材13が後壁パネル24寄りに配置されるので、内部空間S2の利用者を後壁パネル24寄りに配置できる。これにより、着座部材13に着座する利用者の視線に外部空間S1がより写り難くなる。
【0041】
本実施形態の空間形成装置1では、着座部材13が各パネル21~24のうち隣り合うパネルの双方に固定されている構成とした。
この構成によれば、隣り合うパネル間の連結強度を確保できる。これにより、隣り合うパネルの互いに交差する交差面同士のなす角度が拡大又は縮小する方向への隣り合うパネルの変位を規制できる。
しかも、着座部材13に隣接する後壁パネル24及び第1側壁パネル22に着座部材13を固定することで、内部空間S2の面積確保や着座部材13の固定構造の簡素化等を図ることができる。
【0042】
本実施形態の空間形成装置1では、着座部材13が前向きで着座可能とされるとともに、着座部材13の前方にテーブル12が配置される構成とした。
この構成によれば、利用者が着座部材13に着座した状態で、利用者に対して前方にテーブル12が配置され、後方に出入口26が配置される。これにより、出入口26を後方のみに開放させることができるので、着座部材13に着座する利用者の視線に外部空間S1がより写り難くなる。
【0043】
(その他の変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
例えば、上述した実施形態では、パネルユニット11の各辺がそれぞれ一枚のパネル21~24により形成された構成について説明したが、この構成に限られない。一辺が複数のパネルにより構成されていてもよく、複数の辺が一枚のパネル(例えば、L字状のパネル)により構成されていてもよい。
上述した実施形態では、テーブル12及び着座部材13の双方が内部空間S2に配置された構成について説明したが、この構成に限られない。内部空間S2には、着座部材13やテーブル12が配置されていなくてもよい。但し、少なくとも着座部材13は、内部空間S2に配置されていることが好ましい。
【0044】
上述した実施形態では、着座部材13が第1側壁パネル22及び後壁パネル24に固定された構成について説明したが、着座部材13は何れかのパネルのみに固定されていてもよく、3枚以上のパネルに固定されていてもよい。このような構成として、例えば図5に示すように、支持構造体41が、後壁パネル24、第1側壁パネル22に加え、前壁パネル21に固定されていてもよい。図5に示す着座部材13において、支持構造体41のうち座43の前方に位置する部分(テーブル12の下方に位置する部分)には、脚置き部90が設けられていてもよい。
また、着座部材13は、内部空間S2において、移動不能に固定されていれば、例えば床面F等に固定されていてもよい。このような場合においても、着座部材13は、後壁パネル24に隣接して配置されていることが好ましい。なお、「隣接して配置」とは、着座部材13が後壁パネル24の前面に沿って配置されていることや、内部空間S2内において前後方向の中央部よりも後方(後壁パネル24寄り)に配置されていることを含む。
【0045】
上述した実施形態では、着座部材13としてソファを例にして説明したが、この構成に限られない。着座部材13は、ソファ以外に、椅子やスツール、ベンチ等、座が脚によって支持された構成であってもよい。
上述した実施形態では、パネルユニット11の角部が直角に形成されている構成について説明したが、この構成に限られない。パネルユニット11の角部は丸みを帯びていてもよい。
上述した実施形態では、パネルユニット11を構成するパネル21~24のうち、隣り合うパネル同士が互いに直交する方向に延在する構成について説明したが、この構成に限られない。隣り合うパネル同士は、互いに交差する方向に延在していればよい。また、パネルユニット11は、平面視正方形状に限らず、長方形状等であってもよい。さらに、上述した実施形態では、第1方向を前後方向とし、第2方向を左右方向とした場合について説明したが、これに限らず、第1方向を左右方向とし、第2方向を前後方向としてもよい。
【0046】
上述した実施形態に係る空間形成装置の一部又は全部は、以下のように付記することができる。
[付記1]
複数のパネル同士が組み合わされ、内部空間を形成するパネルユニットを備え、
前記パネルユニットは、
上下方向に交差する第1方向に延びる第1辺と、
上下方向から見て前記第1方向に交差する第2方向で前記第1辺に対向する第2辺と、
前記第2方向に延在するとともに、前記第1辺の第1端部及び前記第2辺の第1端部間を接続する第3辺と、
前記第1辺の第2端部から前記第2方向に延び、前記第2辺の第2端部との間に前記内部空間への出入口を形成する第4辺と、を備え、
前記第2辺と前記第3辺とを連結して、前記第2辺と前記第3辺とのなす角度が拡大又は縮小する方向への前記第2辺と前記第3辺との変位を規制する第1連結部と、
前記第1辺と前記第4辺とを連結して、前記第1辺と前記第4辺とのなす角度が拡大又は縮小する方向への前記第1辺と前記第4辺との変位を規制する第2連結部と、を備えている空間形成装置。
【0047】
[付記1]の構成によれば、出入口を形成する第2辺及び第4辺のうち、第2辺が第1連結部を介して第3辺に連結され、第4辺が第2連結部を介して第1辺に連結される。これにより、第2辺及び第4辺の支持強度を向上させることができる。そのため、出入口の開口幅を縮小するのに伴い、出入口の通過時等に利用者が第2辺及び第4辺に接触し易くなったとしても、第2辺及び第4辺に加わる衝撃に対する堅牢性を向上させることができる。
【0048】
上述した実施形態では、第1連結部の一例としてテーブル12を採用し、前壁パネル21及び第2側壁パネル23の互いに交差する交差面同士をテーブル12によって連結する構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、図6に示す空間形成装置1のように、第1連結部100が、前壁パネル21及び第1側壁パネル22の上端面同士又は下端面同士の間に架け渡されることで、前壁パネル21及び第1側壁パネル22を連結していてもよい。
また、上述した実施形態では、第2連結部の一例として着座部材13を採用し、後壁パネル24及び第1側壁パネル22の互いに交差する交差面同士を着座部材13によって連結する構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、図6に示す空間形成装置1のように、第2連結部101が、後壁パネル24及び第2側壁パネル23の上端面同士又は下端面同士の間に架け渡されることで、後壁パネル24及び第2側壁パネル23を連結していてもよい。また、空間形成装置1は、テーブル12及び着座部材13に加えて、各連結部100,101を採用してもよい。
【0049】
さらに、第1連結部及び第2連結部としては、隣り合うパネルの互いに交差する交差面同士のなす角度が拡大又は縮小する方向への隣り合うパネルの変位を規制する構成であればよい。すなわち、第1連結部及び第2連結部は、テーブル12や着座部材13(支持構造体41)のように、上下方向を厚さ方向とする構成で、かつ外周面が各交差面に沿って配置される構成に限られない。第1連結部及び第2連結部は、例えば交差面に直交する方向を厚さ方向とするアングル等により、交差面同士を連結してもよい。この場合には、テーブル12や着座部材13を有さない構成であってもよい。
【0050】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…空間形成装置
11…パネルユニット
12…テーブル
13…着座部材
21…前壁パネル(第3辺)
22…第1側壁パネル(第1辺)
23…第2側壁パネル(第2辺)
24…後壁パネル(第4辺)
26…出入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6