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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025103138
(43)【公開日】2025-07-09
(54)【発明の名称】受電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20250702BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250702BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20250702BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J7/00 301D
H02J1/00 309C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023220279
(22)【出願日】2023-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 将也
(72)【発明者】
【氏名】中屋敷 侑生
(72)【発明者】
【氏名】山口 宜久
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G165BB02
5G165DA02
5G165EA02
5G165EA06
5G165GA09
5G165HA01
5G165JA04
5G165LA01
5G165MA01
5G165MA03
5G165NA05
5G165NA06
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA10
5G503DA04
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB08
5G503GD03
5G503GD07
(57)【要約】
【課題】制御回路の電源に異常が生じた場合に、電力変換回路の制御回路の電源を代替する技術を提供する。
【解決手段】第1交流電力AC1を受電する受電装置100であって、受電回路110と、第1交流電力の一部である第2交流電力AC2を第1直流電力DC1に変換する電力変換回路120と、第1直流電力を消費する負荷装置130と、第2直流電力DC2を供給する主電源回路140と、第1交流電力の他の一部である第3交流電力AC3を変換して、第3直流電力DC3を供給する副電源回路160と、主電源回路または副電源回路から給電を受ける制御回路と、を備え、副電源回路は、受電回路において、電力変換回路の入力部の短絡による、電流および電圧の変動が小さい第1箇所を介して第3交流電力の供給を受け、制御回路は、主電源回路から給電を受けることができない場合に、副電源回路から給電を受ける、受電装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁界により非接触に第1交流電力(AC1)を受電する受電装置(100,100a~100f)であって、
前記第1交流電力を受電する受電コイル(111RL)を含む受電回路(110,110a,110b)と、
前記第1交流電力の一部である第2交流電力(AC2)を第1直流電力(DC1)に変換する電力変換回路(120,120f)と、
前記第1直流電力を消費する負荷装置(130)と、
第2直流電力(DC2)を供給する主電源回路(140)と、
前記第1交流電力の他の一部である第3交流電力(AC3)を変換して、第3直流電力(DC3)を供給する副電源回路(160,160d,160f,160e,160e1,160e2)と、
前記受電装置(100)を制御する制御回路(150,150c,150f)であって、前記主電源回路または前記副電源回路から給電を受ける制御回路と、を備え、
前記受電回路の出力部(110o)と前記電力変換回路の入力部(120i)は、接続されており、
前記副電源回路は、前記受電回路において、前記電力変換回路の入力部の短絡による、電流および電圧の変動が小さい第1箇所と、前記変動が大きい第2箇所と、のうち前記第1箇所を介して前記第3交流電力の供給を受け、
前記制御回路は、
前記電力変換回路により、前記電力変換回路の入力部を短絡する短絡モードと、前記電力変換回路の入力部を短絡しない給電モードと、を組み合わせた制御を実行し、
前記主電源回路から給電を受けることができない場合に、前記副電源回路から給電を受ける、受電装置。
【請求項2】
請求項1記載の受電装置であって、
前記制御回路は、前記副電源回路から給電を受ける場合に、前記短絡モードを実行する、受電装置。
【請求項3】
請求項2記載の受電装置であって、
前記受電回路は、さらに、前記第1交流電力の周波数に応じた共振周波数を有する共振回路(110R)と、前記第1交流電力の高調波成分を抑制するフィルタ回路(110F,110F1~110F3,110Fb,110Fb1)と、を備え、
前記共振回路は、前記受電コイルを備え、
前記フィルタ回路は、前記受電コイルと前記電力変換回路の入力部に、1以上の第1コイル(111FL)および1以上の第1コンデンサ(111FC)の少なくとも一方が直列接続されており、
前記第1箇所は、前記1以上の第1コンデンサおよび前記1以上の第1コイルの少なくとも一方である、受電装置。
【請求項4】
請求項3記載の受電装置であって、
前記副電源回路は、さらに、第1副電源コイル(161)を備え、
前記1以上の第1コイルのうち前記副電源回路に前記第3交流電力を供給する第1コイルと、前記第1副電源コイルとは、前記副電源回路に前記第3交流電力を供給する第1電源トランス(180)を構成する、受電装置。
【請求項5】
請求項4記載の受電装置であって、
前記フィルタ回路は、1つの前記第1コイルである、受電装置。
【請求項6】
請求項4記載の受電装置であって、
前記共振回路の出力部は、定電圧特性を有し、
前記フィルタ回路は、前記共振回路の出力部が前記定電圧特性を有する構成の場合に、イミタンスフィルタである、受電装置。
【請求項7】
請求項4記載の受電装置であって、
前記フィルタ回路は、バンドパスフィルタである、受電装置。
【請求項8】
請求項4記載の受電装置であって、さらに、
前記第1副電源コイルの電圧を取得する第1電圧センサ(190)であって、前記第1副電源コイルの電圧を積分する第1電圧センサを備え、
前記制御回路は、さらに、前記第1電圧センサにより電圧を積分した値に応じて、前記第1交流電力の周期における前記短絡モードの期間と前記給電モードの期間の割合を制御する、受電装置。
【請求項9】
請求項1記載の受電装置であって、
前記受電回路は、さらに、前記第1交流電力の周波数に応じた共振周波数を有する共振回路を備え、
前記共振回路は、前記受電コイルと、1以上の共振コンデンサ(111RC)と、を備え、
前記第1箇所は、前記1以上の共振コンデンサおよび前記受電コイルである、受電装置。
【請求項10】
請求項9記載の受電装置であって、
前記副電源回路は、さらに、第2副電源コイル(161d)を備え、
前記受電コイルと前記第2副電源コイルとは、前記副電源回路に前記第3交流電力を供給する第2電源トランス(180d)を構成する、受電装置。
【請求項11】
請求項1、2、3、9のいずれか1項に記載の受電装置であって、
前記副電源回路は、さらに、前記副電源回路の入力部の両端に直列接続された絶縁コンデンサ(161e)を備える、受電装置。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか1項に記載の受電装置であって、
前記電力変換回路は、さらに、前記電力変換回路の入力部を短絡する保護回路(123)を備え、
前記短絡モードは、前記保護回路により、前記電力変換回路の入力部を短絡する、受電装置。
【請求項13】
請求項12に記載の受電装置であって、
前記制御回路は、パルス信号により前記給電モードと前記短絡モードを前記保護回路に実行させる指令を行い、
前記保護回路は、前記パルス信号のオン状態により前記短絡モードの動作を行い、前記パルス信号のオフ状態により前記給電モードの動作を行い、
前記制御回路は、さらに、前記パルス信号を反転する反転出力部を備える、受電装置。
【請求項14】
請求項1に記載の受電装置であって、車両(V)に搭載され、
前記車両は、前記車両を制御する車両制御部(20)、を備え、
前記受電装置は、さらに、前記副電源回路の電圧を検知する第2電圧センサを備え、
前記制御回路は、
前記第2電圧センサにより、前記副電源回路の電圧が予め定められた基準電圧よりも低い場合、前記短絡モードの実行、または、前記車両制御部に前記副電源回路の入力電圧に基づく情報の通知を行い、
前記副電源回路の電圧が予め定められた前記基準電圧よりも高い場合、前記給電モードを実行する、受電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の非接触給電システムに用いられる受電装置において、特許文献1のように、電力変換回路の制御部の電力を、複数の電源により供給させる技術が存在する。特許文献1では、受電側の整流回路と負荷側のバッテリとの間に、電力変換回路としてのDCDCコンバータが設けられている。DCDCコンバータの制御部の電力は、受電開始時、整流回路の出力部であり、DCDCコンバータの入力部に接続された電源から供給される。受電開始後の定常状態において、DCDCコンバータの制御部の電力は、DCDCコンバータの出力部に接続された電源から供給される。
【0003】
整流回路の出力部の出力電力は、受電する電力の大きさにより、変動する。しかし、DCDCコンバータは、起動後、安定した電力を出力する。よって、DCDCコンバータの制御部は、受電開始後、受電する電力が変化する場合でも、安定して動作できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-138496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者は、車両の非接触給電システムの受電装置において、整流を行う電力変換回路を検討していた。発明者の検討する電力変換回路は、出力電力を調整するスイッチを備える。スイッチの制御部の電力は、非接触給電システムの負荷装置としてのバッテリ以外の補機バッテリから供給される。発明者は、補機バッテリの異常により電圧が低下した場合に、補機バッテリを代替する電力の供給手段として、特許文献1の技術の応用を検討していた。
【0006】
しかし、発明者の検討する電力変換回路では、出力電力が変動する。すなわち、特許文献1のように、電力変換回路の出力電力から安定した電力の供給を受けることができない。よって、電力変換回路の出力電力が変動する場合であっても、電力変換回路の制御部の電源に異常が生じた場合に、制御部の電源を代替する技術が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0008】
本開示の第1形態によれば、磁界により非接触に第1交流電力(AC1)を受電する受電装置(100,100a~100f)が提供される。前記受電装置は、前記第1交流電力を受電する受電コイル(111RL)を含む受電回路(110,110a,110b)と、前記第1交流電力の一部である第2交流電力(AC2)を第1直流電力(DC1)に変換する電力変換回路(120,120f)と、前記第1直流電力を消費する負荷装置(130)と、第2直流電力(DC2)を供給する主電源回路(140)と、前記第1交流電力の他の一部である第3交流電力(AC3)を変換して、第3直流電力(DC3)を供給する副電源回路(160,160d,160f,160e,160e1,160e2)と、前記受電装置(100)を制御する制御回路(150,150c,150f)であって、前記主電源回路または前記副電源回路から給電を受ける制御回路と、を備え、前記受電回路の出力部(110o)と前記電力変換回路の入力部(120i)は、接続されており、前記副電源回路は、前記受電回路において、前記電力変換回路の入力部の短絡による、電流および電圧の変動が小さい第1箇所と、前記変動が大きい第2箇所と、のうち前記第1箇所を介して前記第3交流電力の供給を受け、前記制御回路は、前記電力変換回路により、前記電力変換回路の入力部を短絡する短絡モードと、前記電力変換回路の入力部を短絡しない給電モードと、を組み合わせた制御を実行し、前記主電源回路から給電を受けることができない場合に、前記副電源回路から給電を受ける。
【0009】
このような形態において、副電源回路は、第1箇所を介して第3交流電力の供給を受けることにより、制御回路に第3直流電力を供給する。これにより、制御回路は、主電源回路から給電を受けることができない場合でも、制御を継続できる。さらに、第1箇所は、短絡モードが実行された場合でも、電流および電圧の変動が小さいため、第3交流電力を供給できる。なお、第1箇所は、受電に係わる構成やフィルタの構成により生じる。よって、本開示の受電装置は、制御回路が主電源回路から給電を受けることができない場合でも、制御回路を動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の非接触給電システムを示す説明図である。
図2】副電源回路を示す説明図である。
図3】受電装置の給電モードの動作を示す説明図である。
図4】受電装置の短絡モードの動作を示す説明図である。
図5】受電装置の給電モードの動作を示す説明図である。
図6】受電装置の短絡モードの動作を示す説明図である。
図7】第2実施形態の制御回路の処理を示すフローチャートである。
図8】第3実施形態の非接触給電システムを示す説明図である。
図9】第4実施形態の非接触給電システムを示す説明図である。
図10】第5実施形態の非接触給電システムを示す説明図である。
図11】第6実施形態の非接触給電システムを示す説明図である。
図12】第7実施形態の副電源回路を示す説明図である。
図13】第8実施形態の受電装置を示す説明図である。
図14】第9実施形態の車両を示す説明図である。
図15】イミタンスフィルタの変形例を示す説明図である。
図16】バンドパスフィルタの変形例を示す説明図である。
図17】バンドパスフィルタの変形例を示す説明図である。
図18】バンドパスフィルタの変形例を示す説明図である。
図19】副電源回路の変形例を示す説明図である。
図20】副電源回路の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A.第1実施形態:
A-1.装置の構成:
図1に示す非接触給電システム10は、磁界により非接触に負荷装置130に電力を供給する。非接触給電システム10は、送電装置200と、受電装置100と、を備えている。すなわち、非接触給電システム10は、送電装置200から受電装置100に非接触に電力を供給する。非接触給電システム10は、例えば、車両Vに搭載された負荷装置130に非接触に電力を供給する。
【0012】
送電装置200は、磁界により非接触に受電装置100に交流電力を供給する。送電装置200は、交流電源装置210と、送電共振回路220と、を備えている。
【0013】
交流電源装置210は、予め定められた動作周波数の交流電力を送電共振回路220に供給する。交流電源装置210は、電源回路と送電回路を備えている。電源回路は、例えばAC/DCコンバータ回路であり、系統電源から供給される交流電力を直流電力に変換する。送電回路は、電源回路から供給される直流電力を動作周波数の交流電力に変換するインバータである。動作周波数は、例えば85kHzであり、電波法等によって規定される予め定められた電力伝送周波数を用いて設定されている。なお、動作周波数は、後に説明する送電共振回路220の共振周波数に応じた周波数でもある。
【0014】
送電共振回路220は、受電回路110に電力を送電する。送電共振回路220は、送電コイル222と、送電コイル222に直列接続されている送電共振コンデンサ221と、を備えている。すなわち、送電共振回路220は、直列共振回路である。
【0015】
送電共振コンデンサ221は、送電コイル222と受電コイル111RLが磁気的に結合する状態において、交流電源装置210の動作周波数の交流電力により、送電共振回路220を共振させる。すなわち、送電共振コンデンサ221のキャパシタンスは、送電コイル222と受電コイル111RLが磁気的に結合する状態において、交流電源装置210の動作周波数と送電共振回路220の共振周波数とが略一致するように設定されている。
【0016】
送電コイル222は、交流電源装置210の動作周波数に応じた磁界を発生する。さらに、送電コイル222は、受電コイル111RLと磁気的に結合することによって、交流電力を受電コイル111RLに送電する。すなわち、送電コイル222は、電磁誘導現象を利用することにより、非接触に送電する。
【0017】
受電装置100は、磁界により非接触に送電装置200から交流電力を受電する。受電装置100は、受電回路110と、電力変換回路120と、負荷装置130と、主電源回路140と、副電源回路160と、制御回路150と、平滑コンデンサ170と、第1電源トランス180を備えている。
【0018】
受電回路110は、受電共振回路110Rと、フィルタ回路110Fと、を備えている。
【0019】
受電共振回路110Rは、受電コイル111RLと、受電コイル111RLに直列に接続されている受電共振コンデンサ111RCと、を備えている。受電共振回路110Rは、第1交流電力AC1の周波数に応じた共振周波数を有する。すなわち、受電共振回路110Rは、直列共振回路である。なお、本明細書において、「受電共振回路」を、単に「共振回路」とも呼ぶ。
【0020】
受電コイル111RLは、第1交流電力AC1を受電する。第1交流電力AC1とは、受電コイル111RLが受電する交流電力である。図1では、第1交流電力AC1の供給される方向が、矢印AC1により示されている。受電コイル111RLは、送電コイル222の発する磁界を受けることにより、送電コイル222と磁気的に結合する。これにより、受電コイル111RLは、第1交流電力AC1を受電する。受電コイル111RLは、送電コイル222と対向する状態において、使用されることによって、送電コイル222が発する磁界を受ける。これにより、受電コイル111RLは、第1交流電力AC1を非接触に受電する。
【0021】
受電共振コンデンサ111RCは、受電コイル111RLと送電コイル222が磁気的に結合する状態において、第1交流電力AC1により、受電共振回路110Rを共振させる。すなわち、受電共振コンデンサ111RCのキャパシタンスは、送電コイル222と受電コイル111RLが磁気的に結合する状態において、第1交流電力AC1の周波数と受電共振回路110Rの共振周波数とが略一致するように設定されている。
【0022】
受電共振コンデンサ111RCは、本実施形態では、受電回路110の正側ラインLacpに配されている正側共振コンデンサ111RCpと、受電回路110の負側ラインLacnに配されている負側共振コンデンサ111RCnとを備えている。正側ラインLacpおよび負側ラインLacnの双方に受電共振コンデンサ111RCを配置することにより、コモンモードノイズを抑制することができる。本明細書において、「受電共振コンデンサ」を、単に「共振コンデンサ」とも呼ぶ。
【0023】
なお、送電共振回路220が直列共振回路かつ受電共振回路110Rが直列共振回路である場合、受電共振回路110Rの出力部110Roは、定電流特性を有する。受電共振回路110Rの出力部110Roには、フィルタ回路110Fが接続されている。すなわち、フィルタ回路110Fには、定電流が入力される。
【0024】
フィルタ回路110Fは、第1交流電力AC1の高調波成分を抑制する。フィルタ回路110Fは、受電共振回路110Rの出力部110Roと電力変換回路120の入力部120iの間に接続されている。より具体的には、フィルタ回路110Fは、受電コイル111RLと電力変換回路120の入力部120iに、2つの第1コイル111FLと、2つの第1コンデンサ111FCと、が直列接続されている構成である。図1において、2つの第1コイル11FLは、正側ラインLacpの正側第1コイル111FLpと、負側ラインLacnの負側第1コイル111FLnと、により構成されている。2つの第1コンデンサ111FCは、正側ラインLacpの正側第1コンデンサ111FCpと、負側ラインLacnの負側第1コンデンサ111FCnと、により構成されている。さらに、フィルタ回路110Fは、受電共振回路110Rに、第2コンデンサ112FCと、第2コイル112FLと、が並列接続されている構成を備えている。
【0025】
フィルタ回路110Fは、このような構成により、バンドパスフィルタとして機能する。バンドパスフィルタは、入力部が定電流特性を有する場合、出力部も定電流特性を有する。これにより、フィルタ回路110Fの出力部110Roでもある電力変換回路120の入力部120iに直列接続されている箇所は、定電流特性を有する。「電力変換回路120の入力部120iに直列接続されている箇所」を、「第1箇所」と呼ぶ。第1実施形態では、第1箇所は、正側第1コイル111FLpと、負側第1コイル111FLnと、正側第1コンデンサ111FCpと、負側第1コンデンサ111FCnと、正側共振コンデンサ111RCpと、負側共振コンデンサ111RCnと、受電コイル111RLと、である。図1では、第1箇所は、他の箇所よりも太く図示されている。
【0026】
なお、本明細書において、定電流特性は、回路の出力部が短絡されている状態において、電流および電圧の変動が小さい性質を意味する。電流および電圧の変動が小さい性質は、具体的には、回路の出力部が短絡されている状態において、電流および電圧が0Vに達しない性質である。本明細書において、電流および電圧の変動が小さい箇所が、第1箇所である。すなわち、第1箇所は、電力変換回路120の入力部120iが短絡された場合でも、電流および電圧が0Vに達しない性質を有する。
【0027】
本明細書では、第1箇所に対して、「電流および電圧の変動が大きい箇所」を、「第2箇所」と呼ぶ。第2箇所は、送電コイル222と、電力変換回路120の入力部120iと、の間において、並列接続されている箇所である。第1実施形態では、第2箇所は、第2コンデンサ112FCと、第2コイル112FLと、である。
【0028】
フィルタ回路110Fにおいて、負側第1コイル111FLnは、第3交流電力AC3を副電源回路160に供給する。第3交流電力AC3とは、第1交流電力AC1の一部の電力である。図1では、第3交流電力AC3の供給される方向が、矢印AC3により示されている。負側第1コイル111FLnは、後に説明する第1電源トランス180の1次側でもある。第1電源トランス180は、1次側の負側第1コイル111FLnと、2次側の第1副電源コイル161により構成されている。受電回路110に第1交流電力AC1が供給されることにより、負側第1コイル111FLnに起電力が生じる。これにより、第1交流電力AC1の一部の第3交流電力AC3が負側第1コイル111FLnを介して、第1副電源コイル161から出力される。第3交流電力AC3は、第1副電源コイル161が接続されている副電源回路160に供給される。
【0029】
電力変換回路120は、第2交流電力AC2を第1直流電力DC1に変換する。第2交流電力AC2とは、第1交流電力AC1の一部の電力である。より具体的には、第2交流電力AC2とは、第1交流電力AC1から第3交流電力AC3が除かれた電力である。すなわち、第2交流電力AC2は、第1交流電力AC1の一部の電力であり、第3交流電力AC3は、第1交流電力AC1の他の一部の電力である。図1では、第2交流電力AC2の供給される方向が、矢印AC2により示されている。
【0030】
電力変換回路120は、4つのMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)をスイッチング素子として用いるフルブリッジ回路である。電力変換回路120は、第1レグ回路121と第2レグ回路122の2つのレグ回路を備えている。スイッチSwは、制御回路150の指令に応じた電圧をゲートに受けることにより、駆動する。第1実施形態における「電力変換回路」を、「同期整流回路」とも呼ぶ。
【0031】
レグ回路では、2つのスイッチSwが直列接続されている。さらに、レグ回路は、直流電力の正極ラインLdcpと負極ラインLdcnを繋いでいる。レグ回路の2つのスイッチSwの間には、受電回路110の出力部110Roの端子の一方が接続されている。レグ回路の2つのスイッチSwの間が、電力変換回路120における入力部120iである。すなわち、受電回路110の出力部110Roと電力変換回路120の入力部120iは、接続されている。
【0032】
電力変換回路120は、前述のように、第1交流電力AC1の一部である第2交流電力AC2を第1直流電力DC1に変換する。電力変換回路120による変換については、後に詳細に説明する。
【0033】
平滑コンデンサ170は、電力変換回路120の出力と負荷装置130との間に、並列接続されている。平滑コンデンサ170は、負荷装置130に供給される直流電流および直流電圧を平滑化する。
【0034】
負荷装置130は、電力変換回路120を介して供給される第1直流電力DC1を消費する。例えば、負荷装置130は、バッテリとバッテリの保護回路などである。この場合、第1直流電力DC1は、バッテリに充電されることにより、車両の走行に利用される。
【0035】
主電源回路140は、第2直流電力DC2を制御回路150に供給する。第2直流電力DC2は、第1交流電力AC1とは異なる電力源を介して供給される電力である。例えば、第2直流電力DC2は、車両Vにおける補機バッテリを電力源とする電力である。主電源回路140は、例えば、補機バッテリとDC/DCコンバータを備えている。すなわち、主電源回路140は、DC/DCコンバータが制御回路150に接続されることにより、DC/DCコンバータを介して制御回路150の作動に必要な第2直流電力DC2を、制御回路150に供給する。
【0036】
副電源回路160は、第1交流電力AC1の一部である第3交流電力AC3を第3直流電力DC3に変換することにより、第3直流電力DC3を制御回路150に供給する。副電源回路160は、図2に示すように、第1副電源コイル161と、整流回路162と、過電圧やノイズなどから制御回路150を保護する保護回路と、を備えている。副電源回路160は、第1副電源コイル161から第3交流電力AC3を受ける。副電源回路160は、整流回路162と保護回路を介して第3直流電力DC3に変換する。よって、副電源回路160は、第3直流電力DC3を制御回路150に供給する。なお、第3交流電力AC3の電圧は、第1電源トランス180により、副電源回路160の定格電圧に基づいて変圧される。
【0037】
なお、第1副電源コイル161は、副電源回路160に含まれるが、図2以外の図面では、技術の理解を容易にするために、副電源回路160から離れて第1副電源コイル161が図示されている。
【0038】
副電源回路160は、主電源回路140が制御回路150に給電できない場合に、制御回路150に給電する。主電源回路140と副電源回路160の切り替えについては、後に詳細に説明する。
【0039】
第1電源トランス180は、図1に示すように、1次側が負側第1コイル111FLnにより構成され、2次側が第1副電源コイル161より構成されている。すなわち、第1電源トランス180は、第1交流電力AC1の一部である第3交流電力AC3を負側第1コイル111FLnと第1副電源コイル161を介して、副電源回路160に供給する。第1電源トランス180は、複巻トランスであり、1次側と2次側が電気的に絶縁されている。第1電源トランス180の巻き数比は、副電源回路160の定格電圧に基づいて設計されている。このため、第3交流電力AC3の電圧は、副電源回路160の定格電圧に基づいて変圧される。
【0040】
制御回路150は、受電装置100を制御する。制御回路150は、主電源回路140または副電源回路160から給電を受ける。制御回路150は、制御部151と、駆動回路152と、図示しない切り替え回路と、を備えている。切り替え回路については、後に詳細に説明する。
【0041】
駆動回路152は、電力変換回路120のスイッチSwを駆動させる。より具体的には、駆動回路152は、制御部151の指令に応じて、スイッチSwの駆動に必要な電力を出力する。駆動回路152は、電力変換回路120の全てのスイッチSwのそれぞれのゲートに接続されている。すなわち、駆動回路152は、スイッチSwのオンとオフの動作に必要なゲート電圧をスイッチSwのゲートに印加することにより、スイッチSwを駆動させる。なお、図1において、技術の理解を容易にするため、駆動回路152とゲートとの接続が省略されている。
【0042】
制御部151は、電力変換回路120により、給電モードまたは短絡モードを実行する。より具体的には、制御部151は、スイッチSwのオンとオフの動作を制御する信号を生成する。制御部151は、例えばマイクロコンピュータを主体に構成されており、図示しないCPU、ROM、RAM等を備えている。
【0043】
A-2.給電モードと短絡モード:
制御部151は、電力変換回路120により、電力変換回路120の入力部120iを短絡する短絡モードと、電力変換回路120の入力部120iを短絡しない給電モードと、を組み合わせた制御を実行する。以下に、給電モードと短絡モードの各モードにおける受電装置100の動作を説明する。
【0044】
図3では、第2交流電力AC2の正の半周期において、給電モードの受電装置100に流れる電流の方向が、矢印Aiaにより示されている。技術の理解を容易にするために、制御のモードの説明に用いる図3図6では、送電装置200や制御回路150などの図示が省略されている。給電モードでは、2つのレグ回路のうち、一方のレグ回路における正極ラインLdcpのスイッチSwと、他方のレグ回路における負極ラインLdcnのスイッチSwと、を介して電流が流れる。これにより、第2交流電力AC2の正の半周期における給電モードの電流は、電力変換回路120により整流されて、負荷装置130に流れる。すなわち、第1直流電力DC1が負荷装置130に供給される。
【0045】
図4では、第2交流電力AC2の正の半周期において、短絡モードの受電装置100に流れる電流の方向が、矢印Aibにより示されている。短絡モードでは、2つのレグ回路における負極ラインLdcnのスイッチSwを介して電流が流れる。すなわち、制御部151は、2つのレグ回路における負極ラインLdcnのスイッチSwをオン状態に制御することにより、電力変換回路120の入力部120iを短絡する。これにより、第2交流電力AC2の正の半周期における短絡モードの電流は、電力変換回路120を介して負荷装置130に流れない。すなわち、第1直流電力DC1が負荷装置130に供給されない。
【0046】
図5では、第2交流電力AC2の負の半周期において、給電モードの受電装置100に流れる電流の方向が、矢印Aicにより示されている。第2交流電力AC2の負の半周期における給電モードの電流は、正の半周期における給電モードと同様に、電力変換回路120により整流されて、負荷装置130に流れる。すなわち、第1直流電力DC1が負荷装置130に供給される。
【0047】
図6では、第2交流電力AC2の負の半周期において、短絡モードの受電装置100に流れる電流の方向が、矢印Aidにより示されている。第2交流電力AC2の負の半周期における短絡モードの電流は、正の半周期における短絡モードと同様に、電力変換回路120を介して負荷装置130に流れない。すなわち、第1直流電力DC1が負荷装置130に供給されない。
【0048】
制御部151は、電力変換回路120により、例えば、第1直流電力DC1を制御するために、短絡モードと給電モードを組み合わせた制御を実行する。制御部151は、第2交流電力AC2の1周期の半周期の間に、短絡モードと給電モードを実行する。すなわち、第1直流電力DC1は、半周期における短絡モードの期間と給電モードの期間の割合により、制御される。例えば、制御部151は、第1直流電力DC1が負荷装置130の定格電力を超過しないように、半周期における短絡モードの期間と給電モードの期間の割合を、予め定められた割合に設定する。よって、第1直流電力DC1が制御される。
【0049】
A-3.電源回路の切り替え:
制御回路150は、主電源回路140が正常な状態では、主電源回路140から給電を受ける。しかし、主電源回路140の異常により主電源回路140から給電を受けることができない場合に、副電源回路160から給電を受ける。主電源回路140の異常とは、例えば、主電源回路140の電力源としての補機バッテリが故障により電力を出力できない場合である。
【0050】
制御回路150は、前述のように図示しない切り替え回路を備えている。切り替え回路は、は、主電源回路140と副電源回路160の切り替えを行う。切り替え回路は、例えば、ダイオードOR回路である。切り替え回路では、主電源回路140と副電源回路160のそれぞれの出力部が整流ダイオードを介して制御回路150に接続されている。切り替え回路は、第2直流電力DC2の供給を受ける場合、制御回路150に第2直流電力DC2を供給させる。切り替え回路は、第2直流電力DC2の供給を受けない場合、制御回路150に第3直流電力DC3を供給させる。
【0051】
制御回路150は、副電源回路160から給電を受ける場合も、短絡モードと給電モードを組み合わせた制御を実行する。短絡モードでは、電力変換回路120の入力部120iが短絡される。しかし、副電源回路160は、受電回路110において、第1箇所を介して第3交流電力AC3の供給を受ける。よって、制御回路150は、短絡モードを実行している場合でも、副電源回路160から給電を受けることができる。
【0052】
このような形態において、副電源回路160は、第1箇所を介して第3交流電力AC3の供給を受けることにより、制御回路150に第3直流電力DC3を供給する。これにより、制御回路150は、主電源回路140から給電を受けることができない場合でも、制御を継続できる。さらに、第1箇所は、短絡モードが実行された場合でも、電流および電圧の変動が小さいため、第3交流電力AC3を供給できる。よって、本開示の受電装置100は、制御回路150が主電源回路140から給電を受けることができない場合でも、制御回路150を動作させることができる。
【0053】
さらに、このような形態とすることで、副電源回路160は、フィルタ回路110Fを構成する第1コイル111FLを介して電力を供給される。共振回路110Rは、フィルタ回路110Fとは異なり、受電された交流電力の周波数に基づいて共振する。このため、共振回路110Rの素子の電圧は、フィルタ回路110Fの素子の電圧に比べて、高くなりやすい。よって、本開示の受電装置100は、フィルタ回路110Fから副電源回路160に電力を供給することにより、副電源回路160に印加される電圧を低減することによって、副電源回路160に生じる損失を低減できる。
【0054】
このうえ、このような形態とすることで、副電源回路160は、第1電源トランス180を介して、第3交流電力AC3の供給を受ける。これにより、第1電源トランス180の巻き数比により、副電源回路160に印加される電圧が容易に低減される。このため、本開示の受電装置100は、副電源回路160を第1箇所に直接接続する形態と比べて、副電源回路160の損失を低減できる。さらに、副電源回路160は、第1電源トランス180により、受電回路110から絶縁されるため、受電回路110からのノイズを受けにくい。
【0055】
B.第2実施形態:
上記実施形態において、制御部151は、第1直流電力DC1を制御するために、短絡モードと給電モードを組み合わせた制御を実行する。しかし、制御部151は、さらに、負荷装置130を保護するために、短絡モードと給電モードを組み合わせた制御を実行してもよい。より具体的には、第2実施形態の制御部151は、副電源回路160から給電を受ける場合に、短絡モードを実行する。すなわち、第2実施形態の制御部151は、主電源回路140の異常により主電源回路140から給電を受けることができない場合に、短絡モードを実行する。短絡モードが実行されることにより、負荷装置130へ第1直流電力DC1の供給が停止される。これにより、第2実施形態の受電装置100は、主電源回路140の異常が負荷装置130に影響を与えることを防止できる。なお、第2実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じである。
【0056】
図7を用いて、制御部151による具体的な処理を説明する。制御部151は、主電源回路140から給電を受けることができない場合に処理を開始する。
【0057】
図7のステップS100において、制御回路150は、副電源回路160から給電を受ける。すなわち、制御回路150は、電源回路の切り替えによって、第3直流電力DC3により動作する。
【0058】
図7のステップS110において、制御部151は、制御のモードを判定する。制御部151は、短絡モードを実行している場合、処理をステップS120に進める。制御部151は、給電モードを実行している場合、処理をステップS130に進める。
【0059】
図7のステップS120において、制御回路150は、短絡モードを継続する。すなわち、制御回路150は、短絡モードと給電モードを組み合わせた制御から、短絡モードのみを実行する制御に切り替える。制御回路150は、ステップS120の処理の後に、処理を終了する。
【0060】
図7のステップS130において、制御回路150は、短絡モードを実行する。すなわち、制御回路150は、給電モードから短絡モードに切り替えを行う。例えば、制御回路150は、周期的に給電モードを実行する場合でも、給電モードの周期に係わらず短絡モードを実行する。制御回路150は、ステップS130の処理の後に、処理を終了する。
【0061】
このような形態においては、制御回路150は、主電源回路140が制御回路150に給電できない場合、副電源回路160により給電を受けることにより、短絡モードを実行する。これにより、本開示の受電装置100は、主電源回路140の異常が負荷装置130に影響を与えることを防止できる。
【0062】
C.第3実施形態:
上記実施形態において、フィルタ回路110Fは、複数のコンデンサと、複数のコイルと、を備えている。しかし、フィルタ回路110Fは、図8に示すように、1つの第1コイル111FLにより構成されていてもよい。すなわち、第1箇所は、負側第1コイル111FLnと、負側共振コンデンサ111RCnと、正側共振コンデンサ111RCpと、送電コイル222と、である。なお、第3実施形態のフィルタ回路110Faは、ローパスフィルタとして機能する。ローパスフィルタの入力部110Roが定電流特性を有する場合、ローパスフィルタの出力部110oも、定電流特性を有する。第3実施形態の他の構成は、第1実施形態の構成と同じである。図8では、第1実施形態と異なる構成には、第1実施形態の符号にaが付されている。
【0063】
このような形態とすることで、フィルタ回路110Fが複数の第1コイル111FLにより構成される形態や、フィルタ回路110Fが第1コンデンサ111FCを含む形態と比べて、本開示の受電回路110aの構成が簡素になる。より具体的には、本開示の受電回路110aは、バンドパスフィルタやイミタンスフィルタを含む形態と比べて、部品数の低減や配線長さを短くできる。よって、本開示の受電装置100aは、例えば、フィルタや配線を介するノイズの影響による誤動作を防止できる。
【0064】
D.第4実施形態:
図9に示すように、第4実施形態の非接触給電システム10bにおいて、送電装置200bは、並列共振回路の送電共振回路220bを備えている。より具体的には、送電共振回路220bは、送電コイル222と、送電コイル222に並列接続されている送電共振コンデンサ221bと、を備えている。すなわち、第4実施形態の非接触給電システム10bでは、送電共振回路220bが並列共振回路かつ受電共振回路110Rが直列共振回路である。これにより、受電共振回路110Rの出力部110Roは、定電圧特性を有する。
【0065】
第4実施形態の非接触給電システム10bにおいて、受電回路110bは、イミタンスフィルタとして機能するフィルタ回路110Fbを備えている。フィルタ回路110Fbは、受電コイル111RLと電力変換回路120の入力部120iに、4つの第1コイル111FLbが直列接続されている。4つの第1コイル111FLbは、2つの正側第1コイル111FLpと、2つの負側第1コイルFLnと、より構成されている。さらに、フィルタ回路110Fbには、2つの正側第1コイル111FLpの間と、2つの負側第1コイルFLnの間と、を繋ぐ第2コンデンサ112FCbが接続されている。
【0066】
フィルタ回路110Fbは、このような構成により、イミタンスフィルタとして機能する。イミタンスフィルタの出力部110oは、イミタンスフィルタの入力部110Roが定電圧特性を有する場合、定電流特性を有する。第4実施形態では、送電共振回路220bが並列共振回路であり、受電共振回路110Rが直列共振回路として構成されていることにより、受電共振回路110Rの出力部110Roは、定電圧特性を有する。このため、フィルタ回路110Fbが受電共振回路110Rの出力部110Roに接続されていることにより、フィルタ回路110Fbの出力部110Rは、定電流特性を有する。すなわち、フィルタ回路110Fbの出力部でもある電力変換回路120の入力部120iに直列接続されている箇所は、定電流特性を有する。このため、第4実施形態において、第1箇所は、2つの正側第1コイル111FLpと、2つの負側第1コイル111FLnと、正側共振コンデンサ111RCpと、負側共振コンデンサ111RCnと、受電コイル111RLと、である。なお、第4実施形態の他の構成は、第1実施形態の構成と同じである。図11では、第1実施形態と異なる構成には、第1実施形態の符号にbが付されている。
【0067】
このような形態とすることで、フィルタ回路110Fbは、定電流特性を有する。よって、共振回路110Rが定電圧特性を有する場合でも、本開示の受電装置100bは、電圧および電流の変動が小さい第1箇所を有することができる。
【0068】
E.第5実施形態:
第5実施形態の受電装置100cは、第1実施形態の受電装置100の構成に加えて、さらに、副電源回路160の電圧を取得する第1電圧センサ190を備えている。
【0069】
第1電圧センサ190は、第1副電源コイル161に並列接続されている。第1電圧センサ190は、具体的には、積分回路である。第1電圧センサ190は、第1副電源コイル161印加される電圧値を積分することにより、第1副電源コイル161に流れる電流値を取得する。第1副電源コイル161に流れる電流値は、第1電源トランス180の巻き数比と、負側第1コイル111FLnに流れる電流値と、に基づいている。よって、第1電圧センサ190は、負側第1コイル111FLnに流れる電流であり、電力変換回路120の入力電流に係わる情報を制御部151に送信する。
【0070】
第5実施形態の制御部151cは、第1電圧センサ190により電圧を積分した値に応じて、第1交流電力AC1の周期における短絡モードの期間と給電モードの期間の割合を制御する。すなわち、制御部151cは、第1直流電力DC1を制御する。例えば、制御部151cは、受電装置100の異常により、負側第1コイル111FLnに流れる電流が過剰に流れる場合に、第1交流電力AC1の周期における短絡モードの割合を増加させる。よって、第1直流電力DC1の低減や供給の停止により、負荷装置130を保護できる。その他に、制御部151cは、負側第1コイル111FLnに流れる電流に基づいて、負荷装置130が要求する第1直流電力DC1を満たすように、短絡モードの期間と給電モードの期間の割合を制御できる。第5実施形態の他の構成は、第1実施形態の構成と同じである。図10では、第1実施形態と異なる構成には、第1実施形態の符号にcが付されている。
【0071】
すなわち、このような形態おいて、電圧を積分した値は、第1コイル111FLに流れる電流に基づく情報になる。制御回路150cは、電力変換回路120の入力電流を検知する電流センサを必要とすることなく、例えば、負荷装置130の電力調整や過電流からの保護動作を制御できる。一般的に、電圧センサが電流センサに比べて安価であるため、本開示の受電装置100cは、装置の費用を安くできる。
【0072】
F.第6実施形態:
第1実施形態において、第1電源トランス180は、フィルタ回路110Fの第1コイル111FLを介して、第3交流電力AC3を副電源回路160に供給する。しかし、第6実施形態の第1電源トランス180は、図11に示すように、1次側が送電コイル222により構成され、2次側が第2副電源コイル161dにより構成されている。第1実施形態の第1電源トランス180に相当する第6実施形態の第1電源トランス180を、第2電源トランス180dと呼ぶ。第2副電源コイル161dは、第1実施形態の第1副電源コイル161に相当する。
【0073】
すなわち、第2電源トランス180dは、第1交流電力AC1の一部である第3交流電力AC3を受電コイル111RLと第2副電源コイル161dを介して、副電源回路160dに供給する。第2電源トランス180dは、複巻トランスであり、1次側と2次側が電気的に絶縁されている。第2電源トランス180dの巻き数比は、副電源回路160dの定格電圧に基づいて設計されている。第6実施形態の他の構成は、第1実施形態の構成と同じである。図11では、第1実施形態と異なる構成には、第1実施形態の符号にdが付されている。ただし、技術の理解を容易にするために、フィルタ回路110Fの図示が省略されている。
【0074】
このような形態とすることで、副電源回路160dは、第1コイル111FLや第1コンデンサ111FCに異常が生じた場合でも、共振回路110Rの素子を介して正常に第3直流電力DC3を制御部151に給電できる。
【0075】
さらに、このような形態とすることで、第2電源トランス180dの巻き数比により、副電源回路160に印加される電圧が容易に低減される。このため、本開示の受電装置100dは、副電源回路160dを受電コイル111RLに直接接続する形態と比べて、副電源回路160dの損失を低減できる。さらに、副電源回路160dは、第2電源トランス180dにより、受電回路110から絶縁されるため、受電回路110からのノイズを受けにくい。
【0076】
G.第7実施形態:
第1実施形態において、第3交流電力AC3は、第1電源トランス180を介して、副電源回路160に供給される。しかし、第3交流電力AC3は、他の方法により、副電源回路160に供給されてもよい。第7実施形態の受電装置100は、第1電源トランス180を備えていない。図12では、第1実施形態の第1コイル111FLに相当する部分が図示されている。図12に示すように、第7実施形態の副電源回路160eの入力部160eiは、負側第1コイル111FLnの両端に接続されている。副電源回路160eは、入力部160eiの両端に直列接続されている絶縁コンデンサ161eと、ツェナーダイオードを含む整流回路162eと、を備えている。
【0077】
副電源回路160eは、絶縁コンデンサ161eを介して第3交流電力AC3を供給される。すなわち、副電源回路160eは、受電回路110から電気的に絶縁されている。副電源回路160eは、整流回路162eにより第3交流電力AC3を整流する。副電源回路160eは、制御回路150の定格電圧に基づいて設定されたツェナーダイオードにより、電圧を一定にして制御回路150に第3直流電力DC3を供給する。第7実施形態の他の構成は、第1実施形態の構成と同じである。図11では、第1実施形態の副電源回路160と異なる構成には、第1実施形態の符号にeが付されている。
【0078】
このような形態とすることで、副電源回路160eは、トランスにより、受電回路110から絶縁して電力の給電を受ける形態と比べて、小型化できる。さらに、副電源回路160eは、受電回路110から絶縁されるため、受電回路110からのノイズを受けにくい。このうえ、副電源回路160eは、抵抗を含まないため、損失が低減されることにより、高効率で動作できる。
【0079】
H.第8実施形態:
上記実施形態において、短絡モードでは、2つのレグ回路における負極ラインLdcnのスイッチSwがオン状態に制御されることにより、電力変換回路120の入力部120iが短絡される。しかし、短絡モードは、他の方法により実現されてもよい。第8実施形態の電力変換回路120fは、図13に示すように、入力部120iを短絡する保護回路123を備えている。電力変換回路120は、保護回路123により、給電モードと短絡モードを実行する。
【0080】
保護回路123は、より具体的には、電力変換回路120の入力部120iにおいて、負側ラインLacnと正側ラインLacpを接続するスイッチである。保護回路123は、制御回路150fの指令に応じて、オンオフを切り替える。すなわち、保護回路123は、制御回路150fにより短絡モードが実行される場合、オン状態になる。保護回路123は、制御回路150fにより給電モードが実行される場合、オフ状態になる。よって、短絡モードでは、保護回路123により、電力変換回路120fの入力部120iが短絡される。
【0081】
さらに、第7実施形態の制御回路150fは、反転出力部153を備えている。反転出力部153は、具体的には、NOTゲートである。反転出力部153は、制御部151fの指令を反転して、駆動回路152fに送る。
【0082】
なお、制御部151fは、パルス信号により給電モードと短絡モードを保護回路123fに実行させる指令を行う。保護回路121fは、パルス信号のオンにより短絡モードの動作を行う。保護回路121fは、パルス信号のオフにより給電モードの動作を行う。よって、制御部151fによるパルス信号のオンは、反転出力部153により反転して、保護回路121fに給電モードを実行させる。制御部151fによるパルス信号のオフは、反転出力部153により反転して、保護回路121fに短絡モードを実行させる。
【0083】
例えば、制御回路150fが電力供給を受けることができない場合、制御部151fのパルス信号は、オフされる。すなわち、保護回路123は、短絡モードを実行する。よって、第1直流電力DC1の供給が停止されることにより、このような受電装置100fの異常時に、負荷装置130が保護される。
【0084】
第6実施形態の他の構成は、第1実施形態の構成と同じである。図13では、第1実施形態と異なる構成には、第1実施形態の符号にfが付されている。なお、電力変換回路120fにおけるレグ回路は、図示しない他の制御回路150の制御により、整流を行う。
【0085】
このような形態とすることで、副電源回路160fは、保護回路123の制御に必要な電力のみを供給する。よって、本開示の受電装置100fは、電力変換回路120fの保護回路123以外の回路も制御する形態と比べて、副電源回路160fの定格電力を小さくできる。すなわち、本開示の受電装置100fは、副電源回路160fを小型化できる。
【0086】
さらに、制御回路150fが保護回路123のスイッチのみを制御するため、電力変換回路120fの他のスイッチSwを制御するよりも、本開示の受電装置100fの制御が容易に実現される。
【0087】
このうえ、このような形態においては、本開示の受電装置100は、制御回路150fが給電を受けることができない場合に、オフのパルス信号を出力する。反転出力部153により、保護回路123には、オンのパルス信号が入力され、短絡モードが実施される。よって、本開示の受電装置100fは、制御回路150fの異常時に、保護回路123を短絡モードで動作させることにより、負荷装置130を保護できる。
【0088】
I.第9実施形態:
上記実施形態において、受電装置100は、例示として、車両Vに搭載される。受電装置100が車両Vに搭載されて、車両Vが車両Vを制御する車両制御部20を備えている場合、制御回路150は、車両制御部20に通知を行う形態でもよい。なお、図14に示すように、送電装置200は、地面Gに敷設されている状態において、車両Vに搭載されている受電装置100に送電する。第8実施形態の受電装置100は、第5実施形態の第1電圧センサ190の代わりに、第1副電源コイル161の電圧を検知する第2電圧センサを備えている。第2電圧センサは、積分回路ではなく、電圧の瞬時値を第9実施形態の制御部151に送る。第9実施形態の他の構成は、第5実施形態の構成と同じである。
【0089】
第9実施形態の制御回路150は、第2電圧センサにより、副電源回路160の電圧が予め定められた基準電圧よりも低い場合、短絡モードの実行、または、車両制御部20に副電源回路160の入力電圧に基づく情報の通知を行う。第9実施形態の制御回路150は、副電源回路160の入力電圧が予め定められた基準電圧以上の場合、給電モードを実行する。基準電圧は、例えば、正常時の副電源回路160の最大電圧である。
【0090】
このような形態とすることで、受電装置100は、例えば、異常な状態として副電源回路160の入力電圧が基準電圧も低い場合、短絡モードの実行による受電装置100の保護や、異常を車両Vに通知することにより車両Vのドライバーに対策を検討させることができる。
【0091】
J.変形例1:
第8実施形態において、保護回路123は、負側ラインLacnと正側ラインLacpを接続するスイッチSwにより構成されている。しかし、保護回路123は、電力変換回路120における2つのレグ回路における負極ラインLdcn側のスイッチSwにより構成されてもよい。すなわち、制御回路150fは、2つのレグ回路における負極ラインLdcn側のスイッチSwのみを制御する。短絡モードは、負極ラインLdcn側のスイッチSwのみによって実現されるため、正極ラインLdcp側のスイッチSwの制御を必要としない。ただし、正極ラインLdcp側のスイッチSwは、他の制御回路により制御される。
【0092】
このような形態とすることで、副電源回路160は、電力変換回路120の一部のスイッチSwに必要な電力のみを供給する。よって、本開示の受電装置100fは、電力変換回路120fの全てのスイッチSwを制御する形態と比べて、副電源回路160の定格電力を小さくできる。すなわち、本開示の受電装置100fは、副電源回路160を小型化できる。
【0093】
さらに、電力変換回路120fのスイッチSwにより保護回路123が構成されるため、電力変換回路120fは、保護回路123のためにスイッチSwを追加する必要がない。よって、本開示の受電装置100fが小型化される。
【0094】
K.変形例2:
第4実施形態のフィルタ回路110Fbは、他の構成により、イミタンスフィルタとして機能させてもよい。例えば、イミタンスフィルタは、図15のフィルタ回路110Fb1の構成によっても実現される。図15では、図9のフィルタ回路110Fbが、フィルタ回路110Fb1に置き換えられている。なお、図15では、技術の理解を容易にするために、送電装置200bや制御回路150などの図示が省略されている。図15のフィルタ回路110Fb1は、受電コイル111RLと電力変換回路120の入力部120iに、正側第1コイル111FLpと、負側第1コイル111FLnと、が直列接続されている。さらに、図15のフィルタ回路110Fb1は、受電共振回路110Rの出力部110Roに、第2コンデンサ112FCbが接続されている。このようなフィルタ回路110Fb1の構成によっても、イミタンスフィルタは、実現される。
【0095】
L.変形例3:
第1実施形態におけるフィルタ回路110Fは、他の構成により、バンドパスフィルタとして機能させてもよい。例えば、バンドパスフィルタは、図16図18のフィルタ回路110F1~フィルタ回路110F3によっても実現される。図16図18では、図1のフィルタ回路110Fが、フィルタ回路110F1~フィルタ回路110F3に置き換えられている。なお、図16図18では、技術の理解を容易にするために、送電装置200や制御回路150などの図示が省略されている。
【0096】
図16のフィルタ回路110F1は、受電コイル111RLと電力変換回路120の入力部120iに、負側第1コイル111FLnと、正側第1コンデンサ111FCpと、が直列接続されている。
【0097】
図17のフィルタ回路110F2は、図16のフィルタ回路110F1に加えて、さらに、受電共振回路110Rの出力部110Roに、第2コンデンサ112FCが接続されている。
【0098】
図18のフィルタ回路110F3は、受電コイル111RLと電力変換回路120の入力部120iに、正側第1コイル111FLpと、正側第1コンデンサ111FCpと、負側第1コイル111FLnnと、負側第1コンデンサ111FCnと、が直列接続されている。
【0099】
以上の構成によっても、バンドパスフィルタは、実現される。
【0100】
M.変形例4:
第7実施形態の副電源回路160eは、他の構成により、実現されてもよい。例えば、図19の副電源回路160e1における整流回路162e1は、第7実施形態の図12の整流回路162eから、絶縁コンデンサ161eに直列接続されている1つの整流ダイオードが除かれている構成である。その他、図20の副電源回路160e2における整流回路162e2は、整流ダイオードのブリッジ回路により構成されている。以上の構成によっても、第7実施形態の副電源回路160eは、実現される。
【0101】
N.変形例5:
(1)上記実施形態において、受電装置100は、車両Vに搭載される。しかし、受電装置100は、他の移動体に搭載されてもよい。例えば、受電装置100は、飛行機に搭載されてもよい。
(2)上記実施形態において、負荷装置130としてバッテリが例示されている。しかし、負荷装置130は、バッテリに限られない。負荷装置130は、例えば、照明装置や動力装置などでもよい。
(3)第1実施形態において、受電共振コンデンサ111RCは、受電回路110の正側ラインLacpに配されている正側共振コンデンサ111RCpと、受電回路110の負側ラインLacnに配されている負側共振コンデンサ111RCnとを備えている。しかし、受電共振コンデンサ111RCは、受電回路110の正側ラインLacpに配されている正側共振コンデンサ111RCpのみを備えていてもよい。
(4)第3実施形態において、フィルタ回路110Fは、1つの第1コイル111FLにより構成されている。しかし、フィルタ回路110Fは、1以上の第1コイル111FLにより構成されていればよい。例えば、フィルタ回路110Fは、2つや3つの第1コイル111FLにより構成されていてもよい。
(5)上記実施形態において、同期整流回路120のスイッチSwは、MOSFETである。しかし、同期整流回路120のスイッチSwは、他のスイッチング素子でもよい。スイッチSwは、例えば、BJT(Bipolar junction transistor)でもよいし、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)でもよい。
(6)上記実施形態において、主電源回路140から給電を受けることができない場合とは、例示として、補機バッテリの故障を挙げている。しかし、他の要因によって、制御回路150は、主電源回路140から給電を受けることができない状態に至ってもよい。例えば、補機バッテリの残量の不足や、負荷装置130の回路の故障により、制御回路150は、主電源回路140から給電を受けることができない状態に至ってもよい。
(7)第6実施形態において、受電回路110は、フィルタ回路110Fを備えている。しかし、受電回路110は、フィルタ回路110Fを備えていなくてもよい。
(8)第7実施形態において、制御回路170fは、反転出力部153を備えている。しかし、制御回路170fは、反転出力部153を備えていなくてもよい。
(9)上記実施形態において、副電源回路160は、第1コイル111FLまたは受電コイル111RLを介して第3交流電力AC3の供給を受けている。しかし、副電源回路160は、第1コンデンサ111FCまたは受電共振コンデンサ111RCから第3交流電力AC3の供給を受けてもよい。
(10)上記実施形態において、副電源回路160は、第1電源トランス180や絶縁コンデンサ161eにより、受電回路110から電気的に絶縁された状態で第3交流電力AC3の供給を受ける。しかし、副電源回路160は、受電回路110と電気的に接続された状態で第3交流電力AC3の供給を受けてもよい。
(11)上記実施形態において、副電源回路160は、第1電源トランス180や絶縁コンデンサ161eを組み合わせて構成されてもよい。すなわち、副電源回路160は、第1電源トランス180と、絶縁コンデンサ161eを介して、第3交流電力AC3の供給を受ける。よって、副電源回路160は、2重絶縁により、受電回路110からのノイズの影響をより受けにくくなる。
(12)上記実施形態において、切り替え回路は、ダイオードOR回路である。しかし、切り替え回路は、スイッチにより構成されてもよい。切り替え回路のスイッチは、第2直流電力DC2によって駆動することにより、第2直流電力DC2の供給を受ける場合、制御回路150と主電源回路140を接続する。切り替え回路のスイッチは、第2直流電力DC2の供給を受けない場合、制御回路150と副電源回路160を接続する。
【0102】
本開示は、上記の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上記の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上記の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0103】
O.他の形態:
本開示の特徴を以下の通り示す。
(形態1)
磁界により非接触に第1交流電力(AC1)を受電する受電装置(100,100a~100f)であって、
前記第1交流電力を受電する受電コイル(111RL)を含む受電回路(110,110a,110b)と、
前記第1交流電力の一部である第2交流電力(AC2)を第1直流電力(DC1)に変換する電力変換回路(v)と、
前記第1直流電力を消費する負荷装置(130)と、
第2直流電力(DC2)を供給する主電源回路(140)と、
前記第1交流電力の他の一部である第3交流電力(AC3)を変換して、第3直流電力(DC3)を供給する副電源回路(160,160d,160f,160e,160e1,160e2)と、
前記受電装置(100)を制御する制御回路(150,150c,150f)であって、前記主電源回路または前記副電源回路から給電を受ける制御回路と、を備え、
前記受電回路の出力部(110o)と前記電力変換回路の入力部(120i)は、接続されており、
前記副電源回路は、前記受電回路において、前記電力変換回路の入力部の短絡による、電流および電圧の変動が小さい第1箇所と、前記変動が大きい第2箇所と、のうち前記第1箇所を介して前記第3交流電力の供給を受け、
前記制御回路は、
前記電力変換回路により、前記電力変換回路の入力部を短絡する短絡モードと、前記電力変換回路の入力部を短絡しない給電モードと、を組み合わせた制御を実行し、
前記主電源回路から給電を受けることができない場合に、前記副電源回路から給電を受ける、受電装置。
(形態2)
形態1記載の受電装置であって、
前記制御回路は、前記副電源回路から給電を受ける場合に、前記短絡モードを実行する、受電装置。
(形態3)
形態2記載の受電装置であって、
前記受電回路は、さらに、前記第1交流電力の周波数に応じた共振周波数を有する共振回路(110R)と、前記第1交流電力の高調波成分を抑制するフィルタ回路(110F,110F1~110F3,110Fb,110Fb1)と、を備え、
前記共振回路は、前記受電コイルを備え、
前記フィルタ回路は、前記受電コイルと前記電力変換回路の入力部に、1以上の第1コイル(111FL)および1以上の第1コンデンサ(111FC)の少なくとも一方が直列接続されており、
前記第1箇所は、前記1以上の第1コンデンサおよび前記1以上の第1コイルの少なくとも一方である、受電装置。
(形態4)
形態3記載の受電装置であって、
前記副電源回路は、さらに、第1副電源コイル(161)を備え、
前記1以上の第1コイルのうち前記副電源回路に前記第3交流電力を供給する第1コイルと、前記第1副電源コイルとは、前記副電源回路に前記第3交流電力を供給する第1電源トランス(180)を構成する、受電装置。
(形態5)
形態4記載の受電装置であって、
前記フィルタ回路は、1つの前記第1コイルである、受電装置。
(形態6)
形態4記載の受電装置であって、
前記共振回路の出力部は、定電圧特性を有し、
前記フィルタ回路は、前記共振回路の出力部が前記定電圧特性を有する構成の場合に、イミタンスフィルタである、受電装置。
(形態7)
形態4記載の受電装置であって、
前記フィルタ回路は、バンドパスフィルタである、受電装置。
(形態8)
形態4記載の受電装置であって、さらに、
前記第1副電源コイルの電圧を取得する第1電圧センサ(190)であって、前記第1副電源コイルの電圧を積分する第1電圧センサを備え、
前記制御回路は、さらに、前記第1電圧センサにより電圧を積分した値に応じて、前記第1交流電力の周期における前記短絡モードの期間と前記給電モードの期間の割合を制御する、受電装置。
(形態9)
形態1記載の受電装置であって、
前記受電回路は、さらに、前記第1交流電力の周波数に応じた共振周波数を有する共振回路を備え、
前記共振回路は、前記受電コイルと、1以上の共振コンデンサ(111RC)と、を備え、
前記第1箇所は、前記1以上の共振コンデンサおよび前記受電コイルである、受電装置。
(形態10)
形態9記載の受電装置であって、
前記副電源回路は、さらに、第2副電源コイル(161d)を備え、
前記受電コイルと前記第2副電源コイルとは、前記副電源回路に前記第3交流電力を供給する第2電源トランス(180d)を構成する、受電装置。
(形態11)
形態1、2、3、9のいずれか1項に記載の受電装置であって、
前記副電源回路は、さらに、前記副電源回路の入力部の両端に直列接続された絶縁コンデンサ(161e)を備える、受電装置。
(形態12)
形態1から10のいずれか1項に記載の受電装置であって、
前記電力変換回路は、さらに、前記電力変換回路の入力部を短絡する保護回路(123)を備え、
前記短絡モードは、前記保護回路により、前記電力変換回路の入力部を短絡する、受電装置。
(形態13)
形態12に記載の受電装置であって、
前記制御回路は、パルス信号により前記給電モードと前記短絡モードを前記保護回路に実行させる指令を行い、
前記保護回路は、前記パルス信号のオン状態により前記短絡モードの動作を行い、前記パルス信号のオフ状態により前記給電モードの動作を行い、
前記制御回路は、さらに、前記パルス信号を反転する反転出力部を備える、受電装置。
(形態14)
形態1に記載の受電装置であって、車両(V)に搭載され、
前記車両は、前記車両を制御する車両制御部(20)、を備え、
前記受電装置は、さらに、前記副電源回路の電圧を検知する第2電圧センサを備え、
前記制御回路は、
前記第2電圧センサにより、前記副電源回路の電圧が予め定められた基準電圧よりも低い場合、前記短絡モードの実行、または、前記車両制御部に前記副電源回路の入力電圧に基づく情報の通知を行い、
前記副電源回路の電圧が予め定められた前記基準電圧よりも高い場合、前記給電モードを実行する、受電装置。
【符号の説明】
【0104】
10,10a~10f…非接触給電システム、100,100a~100f…受電装置、110,110a,110b…受電回路、110Ro…出力部、111RL…受電コイル、120,120f…電力変換回路、120i…入力部、130…負荷装置、140…主電源回路、150,150c,150f…制御回路、160,160d,160f,160e,160e1,160e2…副電源回路、AC1…第1交流電力、AC2…第2交流電力、AC3…第3交流電力、DC1…第1直流電力、DC2…第2直流電力、DC3…第3直流電力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20