(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025103430
(43)【公開日】2025-07-09
(54)【発明の名称】自転車エルゴメータ
(51)【国際特許分類】
A63B 22/06 20060101AFI20250702BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20250702BHJP
【FI】
A63B22/06 H
A63B71/06 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023220813
(22)【出願日】2023-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】長田 優輔
(72)【発明者】
【氏名】中尾 建太
(57)【要約】
【課題】本発明は、一般家庭用の商品として購入済の小型で安価な自転車エルゴメータであっても、自転車エルゴメータの装置本体を改造することなく、補充部品(端末ユニット)を後付けで非接触に装着することにより、訓練システムとして簡単に機能拡張できる自転車エルゴメータの訓練システムを提供することを目的とする。
【解決手段】端末ユニットは、自転車のペダル漕ぎ運動により回転するペダルを備えた一般市販品の自転車エルゴメータに近接設置して、前記ペダル漕ぎ運動中におけるペダルの単位時間当たりの回転数を検出する検出部と、前記検出部からのペダル回転数のデータを無線送信する送信部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のペダル漕ぎ運動により回転するペダルを備えた一般市販品の自転車エルゴメータに近接設置して、前記ペダル漕ぎ運動中におけるペダルの単位時間当たりの回転数を検出する検出部と、前記検出部からのペダル回転数のデータを無線送信する送信部と、を備える、ことを特徴とする端末ユニット。
【請求項2】
前記端末ユニットは、前記ペダル回転数のデータを、前記送信部を介してユーザ端末に送信し、前記ユーザ端末における専用アプリに基づき、操作者の訓練が行われるように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の端末ユニット。
【請求項3】
自転車のペダル漕ぎ運動により回転するペダルを備えた一般市販品の自転車エルゴメータに近接設置する端末ユニットにおいて、前記端末ユニットは、前記ペダル漕ぎ運動中における、前記端末ユニットの上方に存在する前記ペダルとの距離を測定する測定部と、前記測定したペダルとの距離データを無線送信する送信部と、を備える、ことを特徴とする端末ユニット。
【請求項4】
前記端末ユニットは、前記距離データを、前記送信部を介してユーザ端末に送信し、前記距離データを基にペダル回転数を算出すると共に、前記ユーザ端末における専用アプリに基づき、操作者の訓練が行われるように構成されている、ことを特徴とする請求項3に記載の端末ユニット。
【請求項5】
ユーザ端末とは、スマートフォン、タブレット又はパソコンのことである、ことを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の端末ユニット。
【請求項6】
端末ユニットは、前記端末ユニットの上方に存在する前記ペダルとの距離を測定する測距センサを有し、前記ペダル下方の測距センサの検出エリア内であって、前記自転車エルゴメータ本体の設置面と略同一面に設置される、ことを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の端末ユニット。
【請求項7】
前記専用アプリは、操作者が選択した任意の曲にて、前記ペダル回転数に応じた音楽のトーン又はテンポに変えながら操作者の訓練が行われるように構成されている、ことを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の端末ユニット。
【請求項8】
前記専用アプリは、前記ペダル回転数に応じて仮想空間内の人物ないし擬人のキャラクタの表示位置を変化させながら視覚的に操作者の訓練が行われるように構成されている、ことを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の端末ユニット。
【請求項9】
自転車のペダル漕ぎ運動により回転するペダルを備えた一般市販品の自転車エルゴメータと、前記自転車エルゴメータに近接設置する端末ユニットと、専用アプリがインストールされたユーザ端末と、を含むペダル漕ぎ訓練システムにおいて、
前記端末ユニットは、前記ペダル漕ぎ運動中における、前記端末ユニットの上方に存在する前記ペダルとの距離を測定する測定部とを有し、前記測定したペダルとの距離データ又は、前記距離データを基に算出したペダル回転数のデータをユーザ端末に無線送信する送信部とを備える、ことを特徴とするペダル漕ぎ訓練システム。
【請求項10】
ユーザ端末とは、スマートフォン、タブレット又はパソコンのことである、ことを特徴とする請求項9に記載のペダル漕ぎ訓練システム。
【請求項11】
端末ユニットは、前記端末ユニットの上方に存在する前記ペダルとの距離を測定する測距センサを有し、前記ペダル下方の測距センサの検出エリア内であって、前記自転車エルゴメータ本体の設置面と略同一面に設置される、ことを特徴とする請求項9に記載のペダル漕ぎ訓練システム。
【請求項12】
一般市販品の運動機器において、運動時に操作者が回転運動又は往復運動を行う操作部に近接設置して、前記回転運動又は往復運動中における前記操作部の単位時間当たりの回転数又は往復回数を検出する検出部と、前記検出部からの回転数又は往復回数のデータを無線送信する送信部と、を備える、ことを特徴とする端末ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自転車エルゴメータに関するものである。具体的には、一般市販品の自転車エルゴメータを用いたペダル漕ぎ訓練システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自転車エルゴメータとは、一般的に市販されている自転車型のトレーニング機器であって、自転車のペダル漕ぎ運動により回転するペダルを備えた機器である。車輪はないが負荷抵抗を機械的、電気的に可変することができるため、身長、体重、年齢に応じた目標運動量を決めて負荷をかけることができる機器であり、スポーツジムだけではなく一般家庭にも普及してきている。
【0003】
自転車こぎ運動は、体力増強、健康促進に効果があるだけでなく、成人病予防運動として有効であることが認められている。とくに、軽負荷で自転車こぎ運動を行なえば有酸素運動になり、しかもジョギングなどに比較すると膝への負担が少ないことから、肥満対策として優れている。
【0004】
しかしながら、この種の自転車エルゴメータによる自転車こぎ運動は室内で行なうものであるから、単調で長続きしないことが多い。この種の単調さを解消するために、特許文献1では、室内置き自転車(自転車エルゴメータ)のペダル回転数を回転センサ(自転車エルゴメータの装置本体に内蔵)によって検知し、検知された回転数を赤外線リモコンでDVDに伝送してディスプレイ装置に仮想風景を表示する。仮想風景はドライバーズ・アイで縦スクロールし、ペダル回転数に応じて再生速度が変化することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述した自転車エルゴメータは、自転車エルゴメータ本体その他、全体システムとして高価で占有スペースが大きく、一般家庭用の商品としての要求を満たすことができないという問題がある。
【0007】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、一般家庭用の商品として購入済の小型で安価な自転車エルゴメータであっても、自転車エルゴメータの装置本体を改造することなく、補充部品(端末ユニット)を後付けで非接触に装着することにより、訓練システムとして簡単に機能拡張でき、訓練システムとして安価で占有スペースが小さいながらも運動の単調さを解消することができる自転車エルゴメータの訓練システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の端末ユニットは、自転車のペダル漕ぎ運動により回転するペダルを備えた一般市販品の自転車エルゴメータに近接設置して、前記ペダル漕ぎ運動中におけるペダルの単位時間当たりの回転数を検出する検出部と、前記検出部からのペダル回転数のデータを無線送信する送信部と、を備える、ことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の端末ユニットにおいて、前記端末ユニットは、前記ペダル回転数のデータを、前記送信部を介してユーザ端末に送信し、前記ユーザ端末における専用アプリに基づき、操作者の訓練が行われるように構成されている、ことを特徴とするものである。
【0010】
請求項3記載の発明は、自転車のペダル漕ぎ運動により回転するペダルを備えた一般市販品の自転車エルゴメータに近接設置する端末ユニットにおいて、前記端末ユニットは、前記ペダル漕ぎ運動中における、前記端末ユニットの上方に存在する前記ペダルとの距離を測定する測定部と、前記測定したペダルとの距離データを無線送信する送信部と、を備える、ことを特徴とするものである。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の端末ユニットにおいて、前記端末ユニットは、前記距離データを、前記送信部を介してユーザ端末に送信し、前記距離データを基にペダル回転数を算出すると共に、前記ユーザ端末における専用アプリに基づき、操作者の訓練が行われるように構成されている、ことを特徴とするものである。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項2又は請求項4に記載の端末ユニットにおいて、ユーザ端末とは、スマートフォン、タブレット又はパソコンのことである、ことを特徴とするものである。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1又は請求項3に記載の端末ユニットにおいて、端末ユニットは、前記端末ユニットの上方に存在する前記ペダルとの距離を測定する測距センサを有し、前記ペダル下方の測距センサの検出エリア内であって、前記自転車エルゴメータ本体の設置面と略同一面に設置される、ことを特徴とするものである。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項2又は請求項4に記載の端末ユニットにおいて、前記専用アプリは、操作者が選択した任意の曲にて、前記ペダル回転数に応じた音楽のトーン又はテンポに変えながら操作者の訓練が行われるように構成されている、ことを特徴とするものである。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項2又は請求項4に記載の端末ユニットにおいて、前記専用アプリは、前記ペダル回転数に応じて仮想空間内の人物ないし擬人のキャラクタの表示位置を変化させながら視覚的に操作者の訓練が行われるように構成されている、ことを特徴とするものである。
【0016】
請求項9記載の発明は、自転車のペダル漕ぎ運動により回転するペダルを備えた一般市販品の自転車エルゴメータと、前記自転車エルゴメータに近接設置する端末ユニットと、専用アプリがインストールされたユーザ端末と、を含むペダル漕ぎ訓練システムにおいて、前記端末ユニットは、前記ペダル漕ぎ運動中における、前記端末ユニットの上方に存在する前記ペダルとの距離を測定する測定部とを有し、前記測定したペダルとの距離データ又は、前記距離データを基に算出したペダル回転数のデータをユーザ端末に無線送信する送信部とを備える、ことを特徴とするものである。
【0017】
請求項10記載の発明は、請求項9に記載のペダル漕ぎ訓練システムにおいて、ユーザ端末とは、スマートフォン、タブレット又はパソコンのことである、ことを特徴とするものである。
【0018】
請求項11記載の発明は、請求項9に記載のペダル漕ぎ訓練システムにおいて、端末ユニットは、前記端末ユニットの上方に存在する前記ペダルとの距離を測定する測距センサを有し、前記ペダル下方の測距センサの検出エリア内であって、前記自転車エルゴメータ本体の設置面と略同一面に設置される、ことを特徴とするものである。
【0019】
請求項12記載の発明は、一般市販品の運動機器において、運動時に操作者が回転運動又は往復運動を行う操作部に近接設置して、前記回転運動又は往復運動中における前記操作部の単位時間当たりの回転数又は往復回数を検出する検出部と、前記検出部からの回転数又は往復回数のデータを無線送信する送信部と、を備える、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明によれば、端末ユニットは、自転車のペダル漕ぎ運動により回転するペダルを備えた一般市販品の自転車エルゴメータに近接設置して、ペダル漕ぎ運動中におけるペダルの単位時間当たりの回転数を検出する検出部と、検出部からのペダル回転数のデータを無線送信する送信部と、を備える為、一般家庭用の商品として購入済の小型で安価な自転車エルゴメータであっても、自転車エルゴメータの装置本体を改造することなく、端末ユニットを後付けで非接触に装着することにより、訓練システムとして簡単に機能拡張でき、前記検出部からのペダル回転数のデータを無線送信することができる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、端末ユニットは、ペダル回転数のデータを、送信部を介してユーザ端末に送信し、ユーザ端末における専用アプリに基づき、操作者の訓練が行われるように構成されている為、訓練システムとして簡単に機能拡張でき、訓練システムとして安価で占有スペースが小さいながらも運動の単調さを解消することができる。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、自転車のペダル漕ぎ運動により回転するペダルを備えた一般市販品の自転車エルゴメータに近接設置する端末ユニットにおいて、端末ユニットは、前記ペダル漕ぎ運動中における、端末ユニットの上方に存在するペダルとの距離を測定する測定部と、測定したペダルとの距離データを無線送信する送信部と、を備える為、一般家庭用の商品として購入済の小型で安価な自転車エルゴメータであっても、自転車エルゴメータの装置本体を改造することなく、端末ユニットを後付けで非接触に装着することにより、訓練システムとして簡単に機能拡張でき、前記測定したペダルとの距離データを無線送信することができる。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、端末ユニットは、距離データを、送信部を介してユーザ端末に送信し、距離データを基にペダル回転数を算出すると共に、ユーザ端末における専用アプリに基づき、操作者の訓練が行われるように構成されている為、訓練システムとして簡単に機能拡張でき、訓練システムとして安価で占有スペースが小さいながらも運動の単調さを解消することができる。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、ユーザ端末とは、スマートフォン、タブレット又はパソコンのことである為、ユーザが身近に所有している端末機器を利用して訓練システムを構成でき、訓練システムとして安価で占有スペースが小さいながらも運動の単調さを解消することができる。
【0025】
請求項6記載の発明によれば、端末ユニットは、端末ユニットの上方に存在するペダルとの距離を測定する測距センサを有し、ペダル下方の測距センサの検出エリア内であって、自転車エルゴメータ本体の設置面と略同一面に設置される為、自転車エルゴメータの装置本体を改造することなく、端末ユニットを後付けで非接触に、簡単に装着することができる。
【0026】
請求項7記載の発明によれば、専用アプリは、操作者が選択した任意の曲にて、ペダル回転数に応じた音楽のトーン又はテンポに変えながら操作者の訓練が行われるように構成されている為、運動の単調さを解消でき、楽しく飽きの来ない訓練を提供することができる。
【0027】
請求項8記載の発明によれば、専用アプリは、ペダル回転数に応じて仮想空間内の人物ないし擬人のキャラクタの表示位置を変化させながら視覚的に操作者の訓練が行われるように構成されている為、運動の単調さを解消でき、楽しく飽きの来ない訓練を提供することができる。
【0028】
請求項9記載の発明によれば、自転車のペダル漕ぎ運動により回転するペダルを備えた一般市販品の自転車エルゴメータと、自転車エルゴメータに近接設置する端末ユニットと、専用アプリがインストールされたユーザ端末と、を含むペダル漕ぎ訓練システムにおいて、端末ユニットは、ペダル漕ぎ運動中における、端末ユニットの上方に存在するペダルとの距離を測定する測定部とを有し、測定したペダルとの距離データ又は、距離データを基に算出したペダル回転数のデータをユーザ端末に無線送信する送信部とを備える為、一般家庭用の商品として購入済の小型で安価な自転車エルゴメータであっても、自転車エルゴメータの装置本体を改造することなく、端末ユニットを後付けで非接触に装着することにより、訓練システムとして簡単に機能拡張でき、前記検出部からのペダル回転数のデータを無線送信することができる。
【0029】
請求項10記載の発明によれば、ユーザ端末とは、スマートフォン、タブレット又はパソコンのことである為、ユーザが身近に所有している端末機器を利用して訓練システムを構成でき、訓練システムとして安価で占有スペースが小さいながらも運動の単調さを解消することができる。
【0030】
請求項11記載の発明によれば、端末ユニットは、端末ユニットの上方に存在するペダルとの距離を測定する測距センサを有し、ペダル下方の測距センサの検出エリア内であって、自転車エルゴメータ本体の設置面と略同一面に設置される為、自転車エルゴメータの装置本体を改造することなく、端末ユニットを後付けで非接触に、簡単に装着することができる。
【0031】
請求項12記載の発明によれば、端末ユニットは、一般市販品の運動機器において、運動時に操作者が回転運動又は往復運動を行う操作部に近接設置して、回転運動又は往復運動中における操作部の単位時間当たりの回転数又は往復回数を検出する検出部と、検出部からの回転数又は往復回数のデータを無線送信する送信部と、を備える為、
一般市販品の運動機器に対して、機能拡張用端末として広く汎用的に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の第一実施形態のペダル漕ぎ訓練システム1全体の外観構成の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1のペダル漕ぎ訓練システム1全体の側面図である。
【
図3】ペダル漕ぎ訓練システム1全体のブロック図である。
【
図5】ユーザ端末における本発明の設定画面を示す平面図である。
【
図6】ユーザ端末における本発明の訓練画面を示す平面図である。
【
図7】ユーザ端末における本発明の訓練結果の画面を示す平面図である。
【
図8】本発明の他の実施形態における訓練システム全体の外観構成の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した第1の実施例につき説明する。
【0034】
〔システム全体の構成〕
図1は、自転車エルゴメータ10を用いたペダル漕ぎ訓練システム1全体の外観構成の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、ペダル漕ぎ訓練システム1は、一般市販品の自転車エルゴメータ10と、自転車エルゴメータ10に近接設置する端末ユニット20と、専用アプリがインストールされたユーザ端末41と、を含むシステムである。ユーザ端末41とは、スマートフォン、タブレット又はパソコンなどのことである。
【0035】
これによれば、ユーザが身近に所有している端末機器を利用して訓練システムを構成でき、訓練システムとして安価で占有スペースが小さいながらも運動の単調さを解消することができる。又、ユーザ端末41は、他用途に使用できない専用ソフトが入った専用端末などを使用してもよい。
【0036】
自転車エルゴメータ10とは、一般的に市販されている自転車型のトレーニング機器であって、自転車のペダル漕ぎ運動により回転するペダル12を備えた機器である。装置本体11は、台座15a、15bで支持されており、ペダル12(クランク13を含む)は、装置本体11の上方の両側面に露出し、自転車こぎ運動が可能となるように取り付けられている。ただし、本発明の技術思想は自転車の形状にかかわらず適用することが可能である。又、自転車エルゴメータ10は、足又は手の何れかによるペダル漕ぎ運動が選択でき、選択結果に応じて、足又は手をペダル12の左右それぞれに配置した保持ベルト14にてペダル12に固定した上で運動を行う。尚、運動を行う際は、例えば、足によるペダル漕ぎ運動の場合は、ユーザが所有している椅子を用いて、椅子に腰かけながらペダルの足漕ぎを行う。又、手によるペダル漕ぎ運動の場合は、ユーザが所有している机を用いて、装置本体11を机の上に置いてペダルの手漕ぎを行う。又は、自転車エルゴメータ10は、業務用の椅子付のものを使用してもよい。
【0037】
図2に示すように、端末ユニット20は、端末ユニット20の上方に存在するペダル12との距離を測定する測距センサ16を有し、前記ペダル12下方の測距センサの検出エリア内であって、自転車エルゴメータ10の装置本体11の設置面と略同一面に設置される。測距センサ16とは、距離を測定するセンサであって、パルス発光されたレーザが対象物にあたって戻ってくるまでの時間を計測し、距離に換算する測定方式である。
【0038】
これによれば、自転車エルゴメータ10の装置本体11を改造することなく、端末ユニット20を後付けで非接触に、簡単に装着することができる。
【0039】
次に、端末ユニット20の設置方法について、順を追って説明する。
(1)ペダル12がセンサ光を遮る位置に端末ユニット20を設置する。最下限位置でなくてもよいので邪魔にならないところに設置する。
(2)ユーザ端末20において、設置後に専用アプリの初期設定ボタンを押すと「ペダルを回してくださいのメッセージ」が表示される。
(3)ユーザがペダル12を回している時点の最低距離と最大距離を本機に記録する。
(4)最低距離と最大距離それぞれの閾値と比較して異常な値の場合は、設置変更を促すメッセージを出し再設置してもらう。
【0040】
端末ユニット20は、自転車エルゴメータ10に近接設置して、ペダル漕ぎ運動中におけるペダル12の単位時間当たりの回転数(rpm)(以下ペダル回転数という)を検出する検出部(不図示)と、前記検出部からのペダル回転数のデータを無線送信する送信部30と、を備える。尚、検出部とは、測距センサ16による測定部とCPUを備えた制御部により実現される。又、送信部については後述する。端末ユニット20は、前記ペダル回転数のデータを、送信部30を介してユーザ端末41に送信し、ユーザ端末41における専用アプリに基づき、操作者の訓練が行われるように構成されている。
【0041】
又、他の形態として次のように構成してもよい。端末ユニット20は、ペダル漕ぎ運動中における、端末ユニット20の上方に存在するペダル12との距離を測定する測定部(不図示)と、前記測定したペダル12との距離データを無線送信する送信部30と、を備える。尚、測定部とは、測距センサによる測定部とCPUを備えた制御部により実現される。又、送信部30については後述する。端末ユニット20は、距離データを、送信部30を介してユーザ端末41に送信し、前記距離データを基にペダル回転数を算出すると共に、前記ユーザ端末41における専用アプリに基づき、操作者の訓練が行われるように構成されている。
【0042】
以上によれば、一般家庭用の商品として購入済の小型で安価な自転車エルゴメータであっても、自転車エルゴメータ10の装置本体11を改造することなく、端末ユニット20を後付けで非接触に装着することにより、訓練システム1として簡単に機能拡張でき、前記検出部からのペダル回転数のデータを無線送信することができる。又、訓練システム1として安価で占有スペースが小さいながらも運動の単調さを解消することができる。又は、自転車エルゴメータ10は、本格的な業務用のものを使用してもよいことは当然である。
【0043】
[制御システム]
図3において、端末ユニット20における送信部30側の制御部70はCPU701、メモリ702等を有し、制御部70には、測距センサ16、送信ユニット707、及び報知部703が接続されている。さらに、制御部70には、スイッチ706とバッテリ705が電源制御部704を介して接続される。又、ユーザ端末41としての受信部40側の制御部71はCPU711、メモリ712等を有し、制御部71には、受信ユニット716、表示部714、操作部715、報知部713が接続されている。
【0044】
図3に示すように、送信部30には、制御部70を介して測距センサ16が接続されている。スイッチ706をオンにすると、バッテリ705からの電力が測距センサ16および送信部30に供給される。これにより、送信部30は、測距センサ16からの信号を、無線送信する。より詳細には、送信部30は測距センサ16からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。そして、送信部30は、デジタル信号(距離データ)を一定周期でサンプリングしてBluetooth(登録商標)の通信規格で受信部40に送信する。
受信部40(制御部71)は、距離データを基にペダル回転数を算出する。あるいは、距離データを受信部40に送信することなく、送信部30(制御部70)にて距離データを基にペダル回転数を算出し、ペダル回転数のデータを受信部40に送信するように構成してもよい。
【0045】
[ペダル回転数の算出]
次に、前述の距離データを基にペダル回転数を算出する方法について、順を追って説明する。
(1)先ず、経過時間測定用のタイマ(積算タイマ)をスタートする。
(2)ペダル12による1回転目について、測距センサ16の実測距離データが閾値距離より小さくなったときの経過時間t0(S)を求める。
(3)ペダル12による2回転目について、測距センサ16の実測距離データが閾値距離より小さくなったときの経過時間t1(S)を求める。
(4)ペダル12による1回転目から2回転目までにかかった時間T=t1―t0(S)を求める。
(5)ペダル回転数=1/T(rps)=60/T(rpm)
(6)3回転目以降についても同様に算出する。
【0046】
[ペダル回転数の誤検知対策]
次に、ペダル回転数の誤検知対策について、順を追って説明する。
ペダル漕ぎ運動中において、ペダル12が測距センサに所定距離接近する時の距離データを、ペダル1回転につき1回だけサンプリングするように、以下のソフトウェア上のフラグ管理を行う。
(1)測距センサ16の実測距離データが閾値距離より小さくなった時点で前述の経過時間をメモリ(データ取得)する。その際、ソフトウェア上のメモリ管理フラグを1から0に書き換える。
(2)誤検知防止のためメモリフラグ0の場合は、経過時間をメモリしない。
(3)実測距離が所定の距離以上(再メモリ許可距離)に広がればメモリ管理フラグを0から1に書き換える。以降、(1)から(3)を繰り返して前述のようにペダル回転数を算出する。
【0047】
[訓練動作]
次に、本発明におけるペダル漕ぎ訓練システム1の訓練動作について、
図4のフロー図を用いて説明する。
【0048】
図4は、本発明の訓練時におけるフロー図である。
図5から
図7は、その際のユーザ端末41の専用アプリにおける表示画面80a、80b、80c(表示部714)である。
【0049】
先ず、端末ユニット20における送信部30のスイッチ706をオンにし(S1)、ユーザ端末41における受信部40のスイッチ(不図示)をオンにすると、Bluetooth(登録商標)におけるペアリング接続を行い、接続が完了すると、ユーザ端末41の表示画面に「connect」の文字が表示される。次に、ユーザ端末41における専用アプリ(ペダル漕ぎ訓練用)を起動すると、初期画面として
図5に示す初期設定画面80aが立ち上がる。
【0050】
次に、
図5、
図6に示す表示画面80a、80bにおいて、ユーザの操作に基づき、初期設定の入力を受付ける(
図4のS2~S5)。
【0051】
先ず、目標速度の設定を行う(S2)。その際の表示画面80aにおける入力枠82aによる直接入力又は、ポインタ81aを指でなぞることにより入力し、設定する。
【0052】
次に、訓練時間の設定を行う(S3)。その際の表示画面80aにおける入力枠82bによる直接入力又は、ポインタ81bを指でなぞることにより入力し、設定する。
設定後、
図6の83aに示す「初期化/セット」ボタンを押すことにより入力内容が確定する。
【0053】
次に、目標速度の適正範囲の設定を行う(S4)。その際の表示画面80aにおける入力枠82cによる直接入力又は、ポインタ81cを指でなぞることにより入力し、設定する。
【0054】
次に、訓練時に流れる曲(音楽データ)の設定を行う(S5)。
図6の80bに示す「曲選択」ボタン83eを押すことにより入力し、設定する。尚、音楽データは、ユーザ端末41又は端末ユニット20に保存しているものを選択し、使用する。
【0055】
次に、「スタート」ボタンを押す(S6)。
図6の80bに示す「スタート/ストップ」ボタン83cを押すことにより訓練が開始される。
【0056】
次に、訓練後、訓練結果が表示される。(S7)。
図6の80bに示す「スタート/ストップ」ボタン83cを再度押すことにより訓練が終了し、
図7の80cに示す訓練結果が表示される。尚、訓練結果は、訓練時間(表示枠91)、回数(表示枠92)、平均速度(表示枠93)、最高速度(表示枠94)、目標達成率(表示枠95)、ランク(表示枠96)が表示される。尚、ランクは、どれだけ目標速度に適合していたかのランク付けが表示される。あるいは、設定時間が0になった場合は、訓練が終了し、訓練結果が表示される。
【0057】
次に、訓練時の動作について、さらに具体的に説明する。ユーザ端末41における専用アプリ(ペダル漕ぎ訓練用)は、訓練時において次の(1)、(2)二つの特徴がある。
(1)専用アプリは、操作者が選択した任意の曲にて、ペダル12の回転数に応じた音楽のトーン又はテンポに変えながら操作者の訓練が行われるように構成されている。尚、音楽データは、ユーザ端末20又は端末ユニット40に保存しているものを選択し、使用する。訓練時に流れる曲(音楽データ)は、
図6の表示画面80bに示す表示枠85により表示される。又、
図6の表示画面80bに示す表示枠87aには、現在のペダル回転の合計(回転)が表示され、表示枠87bには、現在の単位時間あたりの回転数(rpm)表示され、表示枠87cには、訓練に対するメッセージが表示される。又、表示枠89には設定時間に対する残り時間が表示される。又、表示枠86には現在のペダル回転速度計が表示される。又、「オートスタート」83dのチェックボックスにチェックがはいると、訓練のスタート、ストップがペダル12の回転のスタート、ストップに連動して自動的に行われる。
【0058】
(2)専用アプリは、ペダル回転数に応じて仮想空間内の人物ないし擬人のキャラクタの表示位置を変化させながら視覚的に操作者の訓練が行われるように構成されている。
図6の表示画面80bに示す仮想空間内には、自転車に乗った人物のキャラクタ90aが表示されており、現在のペダル回転数に応じて表示位置を左右に変化させている。そして、目標速度に合致した場合は、自転車の前輪の先端部90cが目標ライン90bに重なる位置に到達し、目標速度を超える場合は右方向に、目標速度を下回る場合は左方向にペダル回転数に応じた距離だけ移動する。尚、専用アプリは、前記構成に限らず、ペダル回転数に応じて仮想空間内の人物ないし擬人のキャラクタの移動速度を遅速させるようにしてもよいし、又は、仮想空間内の人物ないし擬人のキャラクタは固定位置で、ペダル回転数に応じて、その背景が流れて移動するように構成してもよい。
【0059】
以上によれば、運動の単調さを解消でき、楽しく飽きの来ない訓練を提供することができる。
【0060】
[他の実施例]
上述した自転車エルゴメータ10を用いたペダル漕ぎ訓練システム1に対して、以下に示す他の実施例については、訓練システム上、自転車エルゴメータ10の構成が相違する為、相違する部分について説明する。共通する部分については、説明を省略すると共に、同じ符号を付してある。
【0061】
図8は、本発明の他の実施形態における訓練システム全体の外観構成の一例を示す斜視図である。
図8に示す一般市販品の運動機器は、サンディングボードと呼ばれ、上肢の麻痺や肩関節のリハビリに活用されるトレーニング用ボードであって、 上肢機能改善を目的とした作業療法のアイテムである。尚、
図8では、サンディングボード50は、操作者所有の机55の上に置かれている。
【0062】
図8に示すように、サンディングボード50は、傾斜角度を調整可能なボード56上を前後方向に移動可能な可動部材57を有し、操作者は、可動部材57上に一体的に形成された操作部(グリップ)51a、51bを左手52a、右手52bでそれぞれ、把持して前後方向に往復移動(往復運動)することによって上肢や肩関節のトレーニングを行う機器である。サンディングボード50を含む訓練システムとしては、上述のペダル漕ぎ訓練システム1とは、サンディングボード50以外の端末ユニット20とユーザ端末41を備える点は同じである。
【0063】
端末ユニット20は、運動時に操作者が往復運動を行う操作部51a、51bに近接設置して、往復運動中における操作部の単位時間当たりの往復回数を検出する検出部と、前記検出部からの往復回数のデータを無線送信する送信部と、を備える。詳細には、端末ユニット20は、
図8に示すように、可動部材57の往復運動の移動経路に近接して設置される。すなわち、端末ユニット20が有する測距センサ16が可動部材57の往復運動の移動距離を検出できる位置に設置する。
【0064】
これによれば、端末ユニット20は、一般市販品の運動機器に対して、機能拡張用端末として広く汎用的に装着することができる。
【0065】
端末ユニット20が距離を測定する対象は、必ずしもペダルでなくてもよく、測距センサが可動部の距離を測定できればよい。又、端末ユニット20が距離を測定する対象は、必ずしも端末ユニット20の上方に存在する必要はなく、下方であっても、側方であってもよい。
【0066】
尚、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 ペダル漕ぎ訓練システム
10 自転車型エルゴメータ
11 装置本体
12 ペダル
13 クランク
14 保持ベルト
15 台座
16 測距センサ
20 端末ユニット
30 送信部
40 受信部
41 ユーザ端末
70 制御部
71 制御部
701 CPU
702 メモリ
703 報知部
704 電源制御部
705 バッテリ
706 スイッチ
707 送信ユニット
711 CPU
712 メモリ
713 報知部
714 表示部
715 操作部
716 受信ユニット