(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025103662
(43)【公開日】2025-07-09
(54)【発明の名称】放射線遮蔽扉
(51)【国際特許分類】
G21F 3/00 20060101AFI20250702BHJP
E06B 5/18 20060101ALI20250702BHJP
G21F 3/04 20060101ALI20250702BHJP
【FI】
G21F3/00 S
E06B5/18
G21F3/04
G21F3/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023221205
(22)【出願日】2023-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】110003823
【氏名又は名称】弁理士法人柳野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 和則
(72)【発明者】
【氏名】太田 賢悟
(72)【発明者】
【氏名】河西 勉
(57)【要約】
【課題】溶接作業およびそれに係る工数を低減でき、分割構造とすることで既設の施設への搬入が容易となる、放射線遮蔽扉を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る放射線遮蔽扉1は、放射線の遮蔽機能を有し、扉体2と扉枠とを備え、扉体2と扉枠との一方または双方は、複数の部材(水平断面視で凹部21aが形成された第一ブロック21、及び、水平断面視で凹部21aに嵌合する凸部22bが形成された第二ブロック22)が係合により組み合わされて構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線の遮蔽機能を有する放射線遮蔽扉であって、
扉体と扉枠とを備え、
前記扉体と扉枠との一方または双方は、複数の部材が係合により組み合わされて構成される、放射線遮蔽扉。
【請求項2】
前記複数の部材は、放射線を遮蔽可能な素材で構成される、請求項1に記載の放射線遮蔽扉。
【請求項3】
互いに組み合わされた状態の前記複数の部材のつなぎ目は、断面視で屈曲した形状に形成される、請求項2に記載の放射線遮蔽扉。
【請求項4】
前記複数の部材は、複数種類の規格化されたブロックであり、断面視で凹部が形成された第一ブロックと、断面視で前記凹部に嵌合する凸部が形成された第二ブロックと、を含む、請求項3に記載の放射線遮蔽扉。
【請求項5】
前記複数の部材は、複数種類の規格化されたブロックであり、断面視で第一のラビリンス形状を呈する第一ラビリンスブロックと、断面視で前記第一のラビリンス形状と係合する第二のラビリンス形状を呈する第二ラビリンスブロックと、を含む、請求項3に記載の放射線遮蔽扉。
【請求項6】
前記第一ラビリンスブロックは、他の第一ラビリンスブロックと係合可能であり、
前記第二ラビリンスブロックは、他の第二ラビリンスブロックと係合可能である、請求項5に記載の放射線遮蔽扉。
【請求項7】
前記第一ラビリンスブロック又は前記第二ラビリンスブロックが他のブロックと係合した状態を維持するためのくさび部材をさらに含む、請求項5又は請求項6に記載の放射線遮蔽扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、放射線の遮蔽機能を有する放射線遮蔽扉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射線の遮蔽機能を有する扉構造が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の扉構造によれば、扉体や枠体の構成が大掛かりとなるため、既設の施設において扉構造を交換する際に搬入作業が困難になる場合があった。また、扉体や枠体を分割する構成にした場合、分割した部材を組み合わせる際に溶接等を行う必要があるため、扉構造を構成する際の工数が増えるという問題があった。そこで、本開示は、上記に関する課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る放射線遮蔽扉は、放射線の遮蔽機能を有し、扉体と扉枠とを備え、前記扉体と扉枠との一方または双方は、複数の部材が係合により組み合わされて構成される。
【0006】
上記第1観点に係る放射線遮蔽扉によれば、溶接作業およびそれに係る工数を低減でき、分割構造とすることで既設の施設への搬入が容易となる。
【0007】
また、第2観点に係る放射線遮蔽扉は、上記第1観点に係る放射線遮蔽扉であって、前記複数の部材は、放射線を遮蔽可能な素材で構成される。
【0008】
上記第2観点に係る放射線遮蔽扉によれば、扉体と扉枠との一方又は双方が放射線の遮蔽機能を有することができる。
【0009】
上記第2観点に係る放射線遮蔽扉において、複数の部材の素材は、鉄、鉛、タングステン、ポリエチレンなどを採用することが可能である。
【0010】
また、第3観点に係る放射線遮蔽扉は、上記第2観点に係る放射線遮蔽扉であって、互いに組み合わされた状態の前記複数の部材のつなぎ目は、断面視で屈曲した形状に形成される。
【0011】
上記第3観点に係る放射線遮蔽扉によれば、放射線の遮蔽機能を確保することができる。
【0012】
また、第4観点に係る放射線遮蔽扉は、上記第3観点に係る放射線遮蔽扉であって、前記複数の部材は、複数種類の規格化されたブロックであり、断面視で凹部が形成された第一ブロックと、断面視で前記凹部に嵌合する凸部が形成された第二ブロックと、を含む。
【0013】
上記第4観点に係る放射線遮蔽扉によれば、凸部と凹部とを嵌合することにより容易に前記扉体と扉枠との一方または双方を組み合わせることが可能となる。
【0014】
また、第5観点に係る放射線遮蔽扉は、上記第3観点に係る放射線遮蔽扉であって、前記複数の部材は、複数種類の規格化されたブロックであり、断面視で第一のラビリンス形状を呈する第一ラビリンスブロックと、断面視で前記第一のラビリンス形状と係合する第二のラビリンス形状を呈する第二ラビリンスブロックと、を含む。
【0015】
上記第5観点に係る放射線遮蔽扉によれば、第一のラビリンス形状と第二のラビリンス形状とを係合させることにより容易に前記扉体と扉枠との一方または双方を組み合わせることが可能となる。
【0016】
また、第6観点に係る放射線遮蔽扉は、上記第5観点に係る放射線遮蔽扉であって、前記第一ラビリンスブロックは、他の第一ラビリンスブロックと係合可能であり、前記第二ラビリンスブロックは、他の第二ラビリンスブロックと係合可能である。
【0017】
上記第6観点に係る放射線遮蔽扉によれば、第一ラビリンスブロック又は第二ラビリンスブロックを相互に係合させることにより容易に前記扉体と扉枠との一方または双方を組み合わせることが可能となる。
【0018】
また、第7観点に係る放射線遮蔽扉は、上記第5観点又は第6観点に係る放射線遮蔽扉であって、前記第一ラビリンスブロック又は前記第二ラビリンスブロックが他のブロックと係合した状態を維持するためのくさび部材をさらに含む。
【0019】
上記第7観点に係る放射線遮蔽扉によれば、前記第一ラビリンスブロック又は前記第二ラビリンスブロックと他のブロックとを安定的に係合させることが可能となる。
【0020】
なお、上記第2観点から第7観点の内容は、本発明に係る放射線遮蔽扉において必ずしも必須の構成ではなく、適宜省略/変更することが可能である。
【発明の効果】
【0021】
以上における本発明に係る放射線遮蔽扉によれば、溶接作業およびそれに係る工数を低減でき、分割構造とすることで既設の施設への搬入が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第一実施形態に係る放射線遮蔽扉を示す正面図。
【
図2】第一実施形態に係る放射線遮蔽扉の水平断面図。
【
図3】(a)及び(b)は第一実施形態における組立枠の構成を示した斜視図。
【
図4】(a)及び(b)は第二実施形態及び第三実施形態における組立枠の構成を示した斜視図。
【
図5】(a)から(c)は第四実施形態における組立枠の構成を示した斜視図及び断面図。
【
図6】(a)及び(b)は第五実施形態における組立枠の構成を示した分解平面図及び斜視図。
【
図7】第五実施形態における組立枠の組付構成を示した斜視図。
【
図8】(a)及び(b)は第六実施形態における組立枠の構成を示した分解平面図及び斜視図。
【
図9】(a)及び(b)は第六実施形態における組立枠を用いた放射線遮蔽扉を示す側面図及び斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[放射線遮蔽扉1]
以下では
図1から
図6を用いて、本発明に係る放射線遮蔽扉1について説明する。
図1及び
図2に示す如く、放射線遮蔽扉1は原子力発電所等の大規模施設において、建造物におけるコンクリート製の壁体10の開口を開閉可能とする大型の扉構造である。本実施形態においては、
図1に示す放射線遮蔽扉1の紙面手前側(
図2における下側)を放射線遮蔽扉1の前方として説明する。
【0024】
図1及び
図2に示す如く、本実施形態に係る放射線遮蔽扉1は、扉体2、扉枠、第一ヒンジ3、及び、第二ヒンジ4を備える。扉体2の戸先側端部には、取手2aが設けられる。
【0025】
本実施形態に係る放射線遮蔽扉1を構成する扉体2、及び、扉体2を支持する扉枠は、放射線を遮蔽可能な素材(例えば、鉄、鉛、タングステン、ポリエチレン等)で構成される。これにより、放射線遮蔽扉1の扉体2及び扉枠は放射線の遮蔽機能を有することができる。
【0026】
第一ヒンジ3及び第二ヒンジ4は扉枠におけるヒンジ支持板11に対して扉体2を回動することにより開閉可能に支持する。具体的に、第一ヒンジ3は扉体2の戸尻側下部を、第二ヒンジ4は扉体2の戸尻側上部を、ヒンジ支持板11に対して回動可能に支持している。即ち、放射線遮蔽扉1は開き扉として構成されている。
【0027】
本実施形態に係る放射線遮蔽扉1において、扉枠は
図1及び
図2に示す如く、第一ヒンジ3及び第二ヒンジ4を支持するヒンジ支持板11、組立枠Fとして構成される縦枠12、上枠13、下枠14、第一補助枠15、及び、第二補助枠16が組み合わされて構成される。
【0028】
図3(a)及び(b)に示す如く、組立枠Fとして構成される縦枠12は、二種類の規格化されたブロックが係合により組み合わされて構成される。具体的には、組立枠Fは、水平断面視で凹部21aが形成された第一ブロック21と、本体部22a及び水平断面視で凹部21aに嵌合する凸部22bが形成された第二ブロック22と、を含む。
【0029】
図3(a)及び(b)に示す如く、本実施形態においては、第二ブロック22の凸部22bと第一ブロック21の凹部21aとを嵌合することにより、容易に組立枠Fを組み合わせることが可能となる。このため、放射線遮蔽扉1においては、扉枠を構成するための溶接作業およびそれに係る工数が低減できる。また、扉枠を分割構造とすることで既設の施設への搬入が容易となる。
【0030】
図3(a)に示す如く、第二ブロック22の凸部22bは、上側に比べて下側の幅が少し狭く形成されている。これにより、凸部22bを凹部21aに挿入しやすくなるため、第一ブロック21と第二ブロック22との係合を容易に行うことが可能となる。
【0031】
本実施形態においては
図3(b)に示す如く、第一ブロック21と第二ブロック22とのつなぎ目は、断面視で屈曲した形状に形成される。これにより、放射線遮蔽扉1における放射線の遮蔽機能を確保することができる。
【0032】
図4(a)に示す如く、第二実施形態に係る組立枠FAは、二種類の規格化されたブロックが係合により組み合わされて構成される。具体的に組立枠FAは、水平断面視で凹部21aが形成された第一ブロック21と、本体部22a及び水平断面視で凹部21aに嵌合する凸部22cが形成された第二ブロック22と、を含む。
【0033】
本実施形態において、凸部22cは凹部21aと略同形状に形成される。凸部22cを凹部21aに嵌合させる際には、第二ブロック22を冷却して凸部22cを収縮させる。その状態で凸部22cを凹部21aに挿入し、常温になった際に凸部22cが膨張することにより、凹部21aに凸部22cが嵌合する。このように、本実施形態においても、第二ブロック22の凸部22cと第一ブロック21の凹部21aとを嵌合することにより、容易に組立枠FAを組み合わせることが可能となる。
【0034】
図4(b)に示す如く、第三実施形態に係る組立枠FBは、二種類の規格化されたブロックが係合により組み合わされて構成される。具体的に組立枠FBは、水平断面視で凹部が形成された第一ブロック21と、本体部22a及び水平断面視で凹部21aに嵌合する凸部22dが形成された第二ブロック22と、を含む。
【0035】
本実施形態において、凸部22dの周囲には軟質部23が設けられる。本実施形態において、軟質部23には軟質素材であるタングステンが採用されている。本実施形態においては、凸部22dの周囲に軟質部23を設けることにより、凸部22dを凹部21aに嵌合させやすくすることができる。このように、本実施形態においても、第二ブロック22の凸部22dと第一ブロック21の凹部21aとを嵌合することにより、容易に組立枠FBを組み合わせることが可能となる。
【0036】
図5(a)から(c)に示す如く、第四実施形態に係る組立枠FCは、二種類の規格化されたブロックが係合により組み合わされて構成される。具体的に組立枠FCは、T字形状のT型凹部24aが形成された第三ブロック24と、T型凹部24aに嵌合するT字形状のT型凸部25aが形成された第四ブロック25と、を含む。
【0037】
図5(b)及び(c)に示す如く、本実施形態においては、第三ブロック24のT型凹部24aに第四ブロック25のT型凸部25aを挿入した状態でT型凸部25aをT型凹部24aに係合させることができる。このように、T型凸部25aとT型凹部24aとを嵌合させることにより、容易に組立枠FCを組み合わせることが可能となる。このため、放射線遮蔽扉においては、扉枠を構成するための溶接作業およびそれに係る工数が低減できる。また、扉枠を分割構造とすることで既設の施設への搬入が容易となる。
【0038】
図6(a)、(b)、及び
図7に示す如く、第五実施形態に係る組立枠FDは、二種類の規格化されたブロックが係合により組み合わされて構成される。具体的に組立枠FDは、断面視で第一のラビリンス形状を呈する第一ラビリンスブロック31と、断面視で第二のラビリンス形状を呈する第二ラビリンスブロック32と、を含む。本明細書において「ラビリンス形状」とは、外周面が内外に屈曲することにより、断面形状において凹部と凸部とが表れる形状を意味する。
【0039】
本実施形態においては
図6(b)及び
図7に示す如く、第一ラビリンスブロック31は互いに係合する。また、
図6(b)及び
図7に示す如く、第二ラビリンスブロック32は互いに係合する。
【0040】
このように、本実施形態においては、第一ラビリンスブロック31又は第二ラビリンスブロック32を相互に係合させることにより、容易に組立枠FDを組み合わせることが可能となる。このため、放射線遮蔽扉においては、扉枠を構成するための溶接作業およびそれに係る工数が低減できる。また、扉枠を分割構造とすることで既設の施設への搬入が容易となる。
【0041】
また、本実施形態においては、第一ラビリンスブロック31及び第二ラビリンスブロック32が他の第一ラビリンスブロック31又は第二ラビリンスブロック32と係合した状態を維持するためのくさび部材33をさらに含む。詳細には
図7に示す如く、第一ラビリンスブロック31の間、及び、第二ラビリンスブロック32の間に、上方及び下方から複数のくさび部材33・33・・・を挿入するのである。これにより、第一ラビリンスブロック31及び第二ラビリンスブロック32と他のブロックとを安定的に係合させることが可能となる。
【0042】
なお、第一ラビリンスブロック31と第二ラビリンスブロック32とを互いに係合させることにより組立枠を形成することも可能である。また、この場合でも、くさび部材33により第一ラビリンスブロック31と第二ラビリンスブロック32との係合状態を維持する構成とすることも可能である。
【0043】
図8(a)、(b)、及び
図9(a)、(b)に示す如く、第六実施形態に係る組立枠FEは、三種類の規格化されたブロックが係合により組み合わされて構成される。具体的に組立枠FEは、断面視で第三のラビリンス形状を呈する第三ラビリンスブロック41と、断面視で第四のラビリンス形状を呈する第四ラビリンスブロック42と、断面視で第五のラビリンス形状を呈する第五ラビリンスブロック43と、を含む。
【0044】
本実施形態においては
図8(a)及び(b)に示す如く、第三ラビリンスブロック41は、他の第三ラビリンスブロック41、第四ラビリンスブロック42、又は、第五ラビリンスブロック43と互いに係合する。このように、本実施形態においては、複数の第三ラビリンスブロック41・41・・・を連続して係合させ、端部の第三ラビリンスブロック41に第四ラビリンスブロック42又は第五ラビリンスブロック43を係合させることにより、組立枠FEが構成される。
【0045】
上記の如く構成された組立枠FEを用いて、
図9(a)及び(b)に示す如く放射線遮蔽扉(扉体及び扉枠)が構成される。このように、本実施形態においては、複数の第三ラビリンスブロック41、第四ラビリンスブロック42、及び、第五ラビリンスブロック43を係合させることにより、容易に組立枠FEを組み合わせることが可能となる。このため、放射線遮蔽扉においては、扉枠を構成するための溶接作業およびそれに係る工数が低減できる。また、扉枠を分割構造とすることで既設の施設への搬入が容易となる。
【0046】
また、本実施形態においても、複数の第三ラビリンスブロック41、第四ラビリンスブロック42、及び、第五ラビリンスブロック43が係合した状態を維持するためのくさび部材44をさらに含む。詳細には
図8(b)に示す如く、各ラビリンスブロック41・42・43の間に形成される間隙に、上方及び下方から複数のくさび部材44・44・・・を挿入するのである。これにより、各ラビリンスブロック41・42・43を安定的に係合させることが可能となる。
【0047】
上記の如く、本実施形態に係る放射線遮蔽扉1において、扉枠は複数の部材は複数の部材が係合により組み合わされて接合される。このように、扉枠を分割した構造とすることにより、それぞれの部材で搬入作業を行えるため、扉枠の既設の施設への搬入作業を容易に行うことが可能となる。
【0048】
また、複数の部材を係合して枠体を構成するため、部材間で溶接等を行う必要がなく、また、ボルト・ナット等の接合部材も必要としない。このため、放射線遮蔽扉1を設置する際の工数を抑制することができる。また、組立作業を簡素化することができるため、熟練者がいない場合でも作業を行うことが可能となる。
【0049】
また、扉枠を一体的に形成した構成と比較して、輸送時など搬入の利便性が向上するため、設置時の工数を低減し、コストダウンを図ることができる。また、床耐荷重や通路幅などの制限で搬入制限がある場合でも、扉枠を分割することにより搬入、施工が可能となる。また、既存建屋への施工(搬入)可能なエリアを拡大することができる。
【0050】
また、扉枠を分割した構造は、一体的に形成した扉枠と比較して重量を低減させることができるため、既存建屋内での搬入作業時の安全性を向上させることができる。また、大型の揚重機に限らずに各部材を揚重できるため、設置時のコストダウンを図ることができる。また、揚重機の回転範囲が広がることで、施工性が向上する。また、設置時の取り回しが簡便になるため、放射線遮蔽扉1の品質を向上させることができる。また、扉枠を複数種類の規格化されたブロックで構成することにより、パーツごとの設計が可能となるため、作業を簡素化することによりコストを抑制することが可能となる。
【0051】
[変形例]
上記実施形態は、以下の変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
【0052】
本発明に係る放射線遮蔽扉においては、複数の部材を係合により組み合わせて扉枠を構成しているが、複数の部材を係合により組み合わせて扉体を構成することも可能である。また、扉枠と扉体の両方について、複数の部材を係合により組み合わせて構成することも可能である。この際、三種類以上の部材を係合により組み合わせて扉枠又は扉体を構成することも可能である。
【0053】
また、放射線遮蔽扉を開き扉としてではなく、引戸として構成することも可能である。また、放射線遮蔽扉を開き扉とする場合でも、ヒンジの個数及び配置箇所は本実施形態に限定されるものではなく、三個以上のヒンジを設ける構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 放射線遮蔽扉 2 扉体
2a 取手 3 第一ヒンジ
4 第二ヒンジ
10 壁体 11 ヒンジ支持板
12 縦枠(扉枠) 13 上枠(扉枠)
14 下枠(扉枠) 15 第一補助枠
16 第二補助枠
21 第一ブロック 21a 凹部
22 第二ブロック 22a 本体部
22b 凸部 22c 凸部(第二実施形態)
22d 凸部(第三実施形態)
23 軟質部 24 第三ブロック
24a T型凹部 25 第四ブロック
25a T型凸部
31 第一ラビリンスブロック
32 第二ラビリンスブロック
33 くさび部材
41 第三ラビリンスブロック
42 第四ラビリンスブロック
43 第五ラビリンスブロック
44 くさび部材
F 組立枠(第一実施形態)
FA 組立枠(第二実施形態)
FB 組立枠(第三実施形態)
FC 組立枠(第四実施形態)
FD 組立枠(第五実施形態)
FE 組立枠(第六実施形態)