(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025103900
(43)【公開日】2025-07-09
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法および半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20250702BHJP
【FI】
H01L21/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023221612
(22)【出願日】2023-12-27
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2023年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「経済安全保障重要技術育成プログラム/ハイブリッドクラウド利用基盤技術の開発/半導体・電子機器等のハードウェアにおける不正機能排除のための検証基盤の確立」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【弁理士】
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【弁理士】
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】田久 真也
(57)【要約】
【課題】小型の半導体装置を製造することができる半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】半導体本体WFを被覆する被覆材ASを用意する被覆材用意工程10と、識別子IDが形成された識別部材WKを用意する識別部材用意工程20と、被覆材ASを介して識別部材WKを半導体本体WFに積層して半導体装置SDを形成する積層工程50とを実施し、被覆材用意工程10では、被覆材ASとして半導体本体WFと識別部材WKとの両方に接着可能なものを用意し、積層工程50では、識別部材WKを被覆材ASに直接接触させた状態で当該識別部材WKを半導体本体WFに積層する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体本体を被覆する被覆材を用意する被覆材用意工程と、
識別子が形成された識別部材を用意する識別部材用意工程と、
前記被覆材を介して前記識別部材を前記半導体本体に積層して半導体装置を形成する積層工程とを実施し、
前記被覆材用意工程では、前記被覆材として前記半導体本体と前記識別部材との両方に接着可能なものを用意し、
前記積層工程では、前記識別部材を前記被覆材に直接接触させた状態で当該識別部材を前記半導体本体に積層することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記積層工程では、前記識別子が前記被覆材側となるようにして、前記識別部材を前記被覆材に積層することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記識別部材の一方の面に交差する方向の厚みを薄くする薄化工程を実施することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記識別部材の一方の面方向の幅を狭くする狭化工程を実施することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記被覆材は、所定のエネルギーの付与によって当該所定のエネルギー特有の変化を起こす性質を有し、
前記被覆材に前記所定のエネルギーを付与するエネルギー付与工程を実施することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
識別子が形成された識別部材が被覆材を介して半導体本体に積層された半導体装置において、
前記識別部材が前記被覆材に直接接触した状態で前記半導体本体に積層されていることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
識別子を有する半導体装置の製造方法および識別子を有する半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された製造方法によって製造された半導体パッケージ(半導体装置)は、ICチップ20(半導体本体)に小片11(識別部材)を積層するにあたり、半導体本体を被覆する封止樹脂(被覆材)と識別部材との間に接着剤13が必要となる。一方、このような半導体装置は、μm(マイクロメートル)またはnm(ナノメートル)単位で小型化が求められるため、特許文献1に記載された製造方法によって製造された半導体装置は、小型化の面で不都合を発生する。
【0005】
本発明の目的は、小型の半導体装置を製造することができる半導体装置の製造方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、小型の半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項に記載した構成を採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被覆材として半導体本体と識別部材との両方に接着可能なものを用い、識別部材を被覆材に直接接触させた状態で当該識別部材を半導体本体に積層するので、識別部材と被覆材との間にそれらを接着するものが不要となり、小型の半導体装置を製造することができる。
また、本発明によれば、識別部材が被覆材に直接接触した状態で当該識別部材が半導体本体に積層されているので、識別部材と被覆材との間にそれらを接着するものがない分、小型の半導体装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(A)~(I)は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造装置の説明図。(J)~(M)は、変形例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、
図1(A)中手前方向から観た場合を基準とし、図を指定することなく方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸の矢印方向で「後」がその逆方向とする。
【0010】
本発明の半導体装置の製造方法は、
図1(A)~(F)に示すように、半導体本体としての半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」ともいう)WFを被覆する被覆材としての接着シートASを用意する被覆材用意工程10(
図1(A)参照)と、文字や記号等の識別子IDが形成された識別部材WKを用意する識別部材用意工程20(
図1(B)参照)と、識別部材WKの一方の面WK1に交差する方向の厚みを薄くする薄化工程30(
図1(C)参照)と、識別部材WKの一方の面WK1方向の幅を狭くする狭化工程40(
図1(D)参照)と、接着シートASを介して識別部材WKをウエハWFに積層して半導体装置SDを形成する積層工程50(
図1(E)参照)と、接着シートASに所定のエネルギーとしての熱HAを付与するエネルギー付与工程60(
図1(F)参照)とを実施する。
なお、本実施形態のウエハWFは、シリコン半導体によって構成されている。
【0011】
被覆材用意工程10では、接着シートASとしてウエハWFと識別部材WKとの両方に接着可能なものを用意するようになっている。
なお、本実施形態の接着シートASは、熱HAの付与によって当該熱HA特有の変化としての硬化を起こす性質を有している。
【0012】
識別部材用意工程20は、
図1(B)に示すように、識別子形成器機としてのレーザ照射装置LDによって識別部材WKを構成する本体に刻印を施し、一方の面WK1に識別子IDが形成された識別部材WKを用意するようになっている(
図1(G)参照)。
なお、本実施形態の識別部材WKを構成する本体は、ウエハWFと同じ材料によって構成されている。
【0013】
薄化工程30では、
図1(C)に示すように、識別部材WKの他方の面WK2を研削器機としてのグラインダWSで研削することで、当該識別部材WKの厚みを薄くするようになっている。
なお、本実施形態の薄化工程30では、識別部材WKの厚みが30μmとなるように当該識別部材WKの厚みを薄くするようになっている。
【0014】
狭化工程40では、
図1(D)に示すように、識別部材WKを切断予定ラインCL1(
図1(C)、(G)参照)に沿って切断部材としてのロータリカッタRCで切断することで、当該識別部材WKの幅を狭くするようになっている。
なお、本実施形態の狭化工程30では、左右方向および前後方向の幅が100μmとなるように識別部材WKの幅を狭くするようになっている。
【0015】
積層工程50では、
図1(E)に示すように、ウエハWFの一方の面WF1と識別部材WKの一方の面WK1との間に接着シートASを介在させてそれらを接着することで、識別部材WKを接着シートASに直接接触させた状態で当該識別部材WKをウエハWFに積層するようになっている(
図1(H)、(I)参照)。
なお、本実施形態の積層工程40では、識別子IDが形成された面が接着シートAS側となるようにして、識別部材WKを接着シートASに積層するようになっている。
【0016】
エネルギー付与工程60では、
図1(F)に示すように、接着シートASに熱風送風機HFで熱HAを付与することで、当該接着シートASを硬化させるようになっている。
【0017】
以上の工程によって形成された半導体装置SDは、識別部材WKの他方の面WK2側やウエハWFの他方の面WF2側から識別子IDが透視されることで、例えば、当該半導体装置SDの偽造検出や真贋判定が行われたり、当該半導体装置SDに施す各種処理が決定されたりするといった運用が行われる。
【0018】
以上のような実施形態によれば、接着シートASとしてウエハWFと識別部材WKとの両方に接着可能なものを用い、識別部材WKを接着シートASに直接接触させた状態で当該識別部材WKをウエハWFに積層するので、識別部材WKと接着シートASとの間にそれらを接着するものが不要となり、小型の半導体装置SDを製造することができる。
【0019】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、識別部材用意工程は、識別子が形成された識別部材を用意する工程であればどのような工程でもよく、出願当初の技術常識に照らし合わせてその技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(その他の手段および工程も同じ)。
【0020】
なお、本発明の半導体装置SDは、
図1(H)~(L)に示すように、識別子IDが形成された識別部材WKが被覆材としての接着シートASを介して半導体本体としてのウエハWFや半導体チップ(以下、単に「チップ」ともいう)CPに積層されたものであって、識別部材WKが接着シートASに直接接触した状態でウエハWFやチップCPに積層されており、上記の実施形態や以下に例示した各工程等を経て形成されたものであってよい。
このような半導体装置SDによれば、識別部材WKが接着シートASに直接接触した状態で当該識別部材がウエハWFやチップCPに積層されているので、識別部材WKと接着シートASとの間にそれらを接着するものがない分、小型の半導体装置SDとすることができる。
【0021】
被覆材用意工程10では、半導体本体としてのチップCPを被覆する被覆材としての接着シートASを用意してもよいし、被覆材として、例えば、粘着シート、接着テープ、粘着テープ、接着剤、粘着剤、樹脂材、ゴム材、金属材、はんだ、蝋、ニス等、半導体本体と識別部材WKとの両方に接着可能なものであればどのようなものを用意してもよく、固体状の物質を用意してもよいし、液体状の物質を用意してもよいし、ジェル状の物質を用意してもよいし、半導体本体よりも大きな被覆材を用意してもよいし、半導体本体よりも小さな被覆材を用意してもよいし、半導体本体と同じ大きさの被覆材を用意してもよい。
被覆材用意工程10は、識別部材用意工程20と、薄化工程30との間で実施してもよいし、薄化工程30と狭化工程40との間で実施してもよいし、狭化工程40と積層工程50との間で実施してもよく、識別部材WKを被覆材に直接接触させた状態で当該識別部材WKを半導体本体に積層した半導体装置SDを製造する過程で、被覆材を用意することが可能なタイミングであればどの段階で行ってもよい。
【0022】
識別部材用意工程20では、例えば、カッター刃や高圧水等の切断部材を用いたり、エンドミルや砥石等の研削部材を用いたり、ウエットエッチングやドライエッチング等のエッチング技術を用いたりして、識別部材WKを構成する本体に識別子IDを形成してもよいし、識別子形成器機としてインクジェットプリンタ、凸版印刷機、凹版印刷機、平版印刷機、シルク印刷、スクリン印刷、サーマル印字機、熱転写印字機、ドットインパクト印刷機、露光装置、彫刻器機、エッチング装置、着色装置等、どのようなものが採用されてもよいし、識別部材WKを構成する本体に印字、印刷、プリント、転写、露光、彫刻、食刻、腐食、着色、変色等によって識別子IDを形成してもよいし、例えば、文字、数字、記号、図、絵、模様、傷、穴等、どのような識別子IDを形成してもよいし、文字や記号等の組み合わせによって識別が可能な識別子IDを形成してもよいし、文字や記号等の配置やフォント等によって識別が可能な識別子IDを成してもよいし、暗号文字や暗号記号等によって識別が可能な識別子IDを形成してもよいし、例えば、
図1(M)に示すように、刻印による文字ELとインクジェット印刷による文字ILとの組み合わせによる識別子IDを形成してもよいし、例えば、刻印による記号、印刷による図、インクジェット印刷による数字、エンドミル加工による模様等を適宜に組み合わせて識別子IDを形成してもよいし、例えば、刻印による絵のみ、印刷による文字のみ、インクジェット印刷による記号のみ、エンドミル加工による数字のみ等によって識別子IDを形成してもよいし、例えば、
図1(M)の拡大図に示すように、刻印による文字EL等における不規則な輪郭の削れ具合によって識別が可能な識別子IDを形成してもよいし、例えば、
図1(M)の拡大図に示すように、インクジェット印刷による文字IL等における不規則なインクの滲み具合によって識別が可能な識別子IDを形成してもよいし、例えば、
図1(M)の拡大図に示すように、インクジェット印刷によるインクの飛散による不規則な散在マークSM等によって識別が可能な識別子IDが形成されてもよいし、識別部材WKの一方の面WK1のみに識別子IDを形成してもよいし、識別部材WKの他方の面WK2のみに識別子IDを形成してもよいし、識別部材WKの一方の面WK1と他方の面WK2との両方に識別子IDを形成してもよいし、1の識別部材WKに1の識別子IDを形成してもよいし、1の識別部材WKに複数の識別子IDを形成してもよい。
識別部材用意工程20は、被覆材用意工程10の前段で実施してもよいし、薄化工程30と、狭化工程40との間で実施してもよいし、狭化工程40と積層工程50との間で実施してもよいし、積層工程50とエネルギー付与工程60の間で実施してもよいし、エネルギー付与工程60の後段で実施してもよく、識別部材WKを被覆材に直接接触させた状態で当該識別部材WKを半導体本体に積層した半導体装置SDを製造する過程で、識別部材WKを用意することが可能なタイミングであればどの段階で行ってもよい。
識別部材用意工程20では、所定の部材に識別子IDを形成することなく、上述したような識別子IDが予め形成された識別部材WKを用意してもよいし、何らかの識別子IDが予め形成された識別部材WKを用い、当該識別部材WKに対して上述したような識別子IDを識別子形成器機でさらに形成して識別部材WKを用意するようにしてもよい。
【0023】
薄化工程30では、研削器機として、電動やすり、サンダ、スライス装置、電動カッター、せん断加工装置、プレス機、研磨装置、エッチング装置等を採用し、削ったり、切ったり、打ち抜いたり、研磨したり、溶解したり、食刻したりして識別部材WKの厚みを薄くしてもよいし、識別部材WKの一方の面WK1側から当該識別部材WKの厚みを薄くしたり、識別部材WKの他方の面WK2側から当該識別部材WKの厚みを薄くしたり、識別部材WKの一方の面WK1側と他方の面WK2側との両方から当該識別部材WKの厚みを薄くしたりしてもよいし、厚みが300nmや10μm等、30μmよりも小さくなるように識別部材WKの厚みを薄くしてもよいし、100μmや1mm等、30μmよりも大きくなるように識別部材WKの厚みを薄くしてもよく、大きさや形状が限定されることはない。
薄化工程30は、被覆材用意工程10の前段で実施してもよいし、被覆材用意工程10と識別部材用意工程20との間で実施してもよいし、狭化工程40と積層工程50との間で実施してもよいし、積層工程50とエネルギー付与工程60との間で実施してもよいし、エネルギー付与工程60の後段で実施してもよく、識別部材WKを被覆材に直接接触させた状態で当該識別部材WKを半導体本体に積層した半導体装置SDを製造する過程で、識別部材WKの厚みを薄くすることが可能なタイミングであればどの段階で行ってもよいし、本発明の製造方法で実施してもよいし、実施しなくてもよい。
【0024】
狭化工程40では、切断部材として、電動やすり、サンダ、スライス装置、電動カッター、せん断加工装置、プレス機、研磨装置、エッチング装置等を採用し、削ったり、切ったり、打ち抜いたり、研磨したり、溶解したり、食刻したりして識別部材WKの幅を狭くしてもよいし、識別部材WKの一方の面WK1側から当該識別部材WKの幅を狭くしたり、識別部材WKの他方の面WK2側から当該識別部材WKの幅を狭くしたり、識別部材WKの一方の面WK1側と他方の面WK2側との両方から当該識別部材WKの幅を狭くしたりしてもよいし、薄化工程30を実施する前に切断予定ラインCL1に沿う有底の溝を形成しておき、薄化工程30の実施の際に、当該溝に達するまで薄化することで、識別部材WKの一方の面WK1方向の幅を狭くするようにしてもよいし、薄化工程30を実施する前に切断予定ラインCL1に沿う脆弱層を形成しておき、薄化工程30を実施する際の振動によって当該脆弱層に亀裂が入るようにすることで、識別部材WKの一方の面WK1方向の幅を狭くするようにしてもよいし、左右方向および前後方向の幅が0.5μmや50μm等、100μmよりも小さくなるように識別部材WKの幅を狭くしてもよいし、500μmや3mm等、100μmよりも大きくなるように識別部材WKの幅を狭くしてもよいし、左右方向の幅と前後方向の幅とが同じとなるように識別部材WKの幅を狭くしたり、左右方向の幅と前後方向の幅とが異なるように識別部材WKの幅を狭くしたりしていてもよいし、平面形状が円形、楕円形、三角形や五角形等の多角形またはその他任意の形状等、どのような形状となるように識別部材WKの幅を狭くしてもよく、大きさや形状が限定されることはない。
狭化工程40は、被覆材用意工程10の前段で実施してもよいし、被覆材用意工程10と識別部材用意工程20との間で実施してもよいし、識別部材用意工程20と薄化工程30との間で実施してもよいし、積層工程50とエネルギー付与工程60との間で実施してもよいし、エネルギー付与工程60の後段で実施してもよく、識別部材WKを被覆材に直接接触させた状態で当該識別部材WKを半導体本体に積層した半導体装置SDを製造する過程で、識別部材WKの幅を狭くすることが可能なタイミングであればどの段階で行ってもよいし、本発明の製造方法で実施してもよいし、実施しなくてもよい。
【0025】
積層工程50では、
図1(E)中二点鎖線で示すように、チップCPの一方の面CP1と、識別部材WKの一方の面WK1との間に接着シートASが介在するようにして、識別部材WKを接着シートASに直接接触させた状態で当該識別部材WKをチップCPに積層してもよいし、ウエハWFやチップCPの一方の面WF1、CP1と、識別部材WKの他方の面WK2との間に接着シートASが介在するようにして、識別部材WKを接着シートASに直接接触させた状態で当該識別部材WKをウエハWFやチップCPに積層してもよいし、ウエハWFやチップCPの他方の面WF2、CP2と、識別部材WKの一方の面WK1との間に接着シートASが介在するようにして、識別部材WKを接着シートASに直接接触させた状態で当該識別部材WKをウエハWFやチップCPに積層してもよいし、ウエハWFやチップCPの他方の面WF2、CP2と、識別部材WKの他方の面WK2との間に接着シートASが介在するようにして、識別部材WKを接着シートASに直接接触させた状態で当該識別部材WKをウエハWFやチップCPに積層してもよいし、ウエハWFやチップCPの一方の面WF1、CP1の全部または一部を覆うように被覆した接着シートASに、識別部材WKを直接接触させた状態で当該識別部材WKをウエハWFやチップCPに積層してもよいし、ウエハWFやチップCPの他方の面WF2、CP2の全部または一部を覆うように被覆した接着シートASに、識別部材WKを直接接触させた状態で当該識別部材WKをウエハWFやチップCPに積層してもよいし、ウエハWFやチップCPの一方の面WF1、CP1の全部または一部と、ウエハWFやチップCPの他方の面WF2、CP2の全部または一部とを覆うように被覆した接着シートASに、識別部材WKを直接接触させた状態で当該識別部材WKをウエハWFやチップCPに積層してもよいし、ウエハWFやチップCPの一方の面WF1、CP1の全部または一部と、ウエハWFやチップCPの側面の全部または一部を覆うように被覆した接着シートASに、識別部材WKを直接接触させた状態で当該識別部材WKをウエハWFやチップCPに積層してもよいし、ウエハWFやチップCPの他方の面WF2、CP2の全部または一部と、ウエハWFやチップCPの側面の全部または一部を覆うように被覆した接着シートASに、識別部材WKを直接接触させた状態で当該識別部材WKをウエハWFやチップCPに積層してもよいし、ウエハWFの一方の面WF1全部と他方の面WF2全部と側面全部とを覆うように被覆した接着シートASに、識別部材WKを直接接触させた状態で当該識別部材WKをウエハWFやチップCPに積層してもよいし、チップCPの一方の面CP1全部と他方の面CP2全部と側面全部とを覆うように被覆した接着シートASに、識別部材WKを直接接触させた状態で当該識別部材WKをウエハWFやチップCPに積層してもよく、ウエハWFやチップCPのどの面に被覆した接着シートASに、識別部材WKを直接接触させた状態で当該識別部材WKをウエハWFやチップCPに積層してもよいし、ウエハWFやチップCPを接着シートASで被覆した後、当該接着シートASに識別部材WKを直接接着させて当該識別部材WKをウエハWFやチップCPに積層してもよいし、接着シートASに識別部材WKを直接接着させた後、当該接着シートASでウエハWFやチップCPを被覆して識別部材WKをウエハWFやチップCPに積層してもよいし、ウエハWFやチップCPを接着シートASで被覆すると同時に、当該接着シートASに識別部材WKを直接接着させて当該識別部材WKをウエハWFやチップCPに積層してもよい。
積層工程50では、被覆材として、例えば、液体状の接着剤、液体状の粘着剤または液体状の樹脂材を採用し、ウエハWF、チップCPまたは識別部材WKにそれらを噴霧したり吹き付けたりして、識別部材WKを被覆材に直接接触させた状態で当該識別部材WKをウエハWFやチップCPに積層してもよいし、
図1(H)、(J)に示すように、1の識別部材WKを1の接着シートASに直接接触させた状態で当該識別部材WKを1のウエハWFや1のチップCPに積層してもよいし、
図1(I)の上部や
図1(K)に示すように、複数の識別部材WKを1の接着シートASに直接接触させた状態で当該識別部材WKを1のウエハWFや1のチップCPに積層してもよいし、
図1(I)の下部や
図1(L)に示すように、複数の識別部材WKを複数の接着シートASにそれぞれ直接接触させた状態で当該識別部材WKを1のウエハWFや1のチップCPに積層してもよいし、1または複数の接着シートASに1または複数の識別部材WKを直接接触させた状態で当該識別部材WKを1のウエハWFや1のチップCPの一方の面のみまたは他方の面のみに積層してもよいし、1または複数の接着シートASに1または複数の識別部材WKを直接接触させた状態で当該識別部材WKを1のウエハWFや1のチップCPの一方の面および他方の面の両方に積層してもよい。
積層工程50は、被覆材用意工程10と識別部材用意工程20との間で実施してもよいし、識別部材用意工程20と薄化工程30との間で実施してもよいし、薄化工程30と狭化工程40との間で実施してもよいし、エネルギー付与工程60の後段で実施してもよく、識別部材WKを被覆材に直接接触させた状態で当該識別部材WKを半導体本体に積層した半導体装置SDを製造する過程で、被覆材を介して識別部材WKを半導体本体に積層することが可能なタイミングであればどの段階で行ってもよい。
積層工程50では、接着シートASを介して識別部材WKをウエハWFに積層した際、
図1(E)、(F)に示すように、刻印した識別子IDにおける全部の内部に接着シートASが入り込むようにしてもよいし、刻印した識別子IDにおける一部の内部に接着シートASが入り込むようにしてもよいし、刻印した識別子IDにおける全部の内部に接着シートASが入り込まないようにしてもよいし、
図1(E)、(F)に示すように、識別部材WKの一部が接着シートASに埋まるようにしてもよいし、識別部材WKの全部が接着シートASに埋まるようにしてもよいし、識別部材WKが接着シートASに埋まらないようにしてもよいし、被覆材と同等のものや被覆材とは異なるシートや接着剤等のカバー部材で接着シートAS上の識別部材WKをカバーしてもよい。
【0026】
エネルギー付与工程60では、所定のエネルギーとして、紫外線、赤外線、可視光線、音波、X線またはガンマ線等の電磁波を付与したり、熱湯や熱風等の加熱媒体を付与したり、冷水や冷風等の冷却媒体を付与したり等、どのようなエネルギーを被覆材に付与してもよく、被覆材の特性、特質、性質、材質、組成および構成等を考慮して当該被覆材にそのエネルギー特有の変化を起こさせることができれば、どのようなエネルギーを被覆材に付与してもよい。
エネルギー付与工程60は、被覆材用意工程10と識別部材用意工程20との間で実施してもよいし、識別部材用意工程20と薄化工程30との間で実施してもよいし、薄化工程30と狭化工程40との間で実施してもよいし、狭化工程40と積層工程50との間で実施してもよく、識別部材WKを被覆材に直接接触させた状態で当該識別部材WKを半導体本体に積層した半導体装置SDを製造する過程で、接着シートASに所定のエネルギーを付与することが可能なタイミングであればどの段階で行ってもよいし、本発明の製造方法で実施してもよいし、実施しなくてもよい。
【0027】
識別部材WKを構成する本体は、半導体本体を構成する材料と同じ材料で構成されていてもよいし、半導体本体を構成する材料とは異なる材料で構成されていてもよいし、シリコン半導体や化合物半導体等の材料の他、金属、ガラス、陶器、木材、樹脂等、どのような材料で構成されていてもよい。
被覆材は、例えば、粘着シート、接着テープ、粘着テープ、接着剤、粘着剤、樹脂材、ゴム材、金属材、はんだ、蝋、ニス等、半導体本体と識別部材WKとの両方に接着可能なものであればどのようなものでもよく、固体状の物質でもよいし、液体状の物質でもよいし、ジェル状の物質でもよいし、半導体本体よりも大きくてもよいし、小さくてもよいし、同じ大きさでもよいし、円形形状以外の例えば、三角形や五角形等の多角形や、楕円形等どのような形状でもよいし、所定のエネルギーの付与によって当該所定のエネルギー特有の変化を起こさないものでもよい。
被覆材が起こす所定のエネルギー特有の変化は、例えば、硬化、軟化、収縮、膨張、気化、液化、固化、変色、酸化、浸透、定着、接着力の低下または接着力の増加等、どのような変化でもよい。
ウエハWFは、方位を示すオリエンテーションフラットやVノッチが外縁に形成されていてもよいし、オリエンテーションフラットやVノッチが外縁に形成されていなくてもよいし、一方の面WF1に回路が形成されたものであってもよいし、他方の面WF2に回路が形成されたものであってもよいし、一方の面WF1および他方の面WF2の両方に回路が形成されたものであってもよいし、一方の面WF1および他方の面WF2の両方に回路が形成されていないものであってもよい。
チップCPは、ウエハWFがカットラインCL2に沿って切断されたものでもよいし、カットラインCL2に沿って切断されたものでなくてもよいし、一方の面CP1に回路が形成されたものであってもよいし、他方の面CP2に回路面が形成されたものであってもよいし、一方の面CP1および他方の面CP2の両方に回路が形成されたものであってもよいし、一方の面WF1および他方の面WF2の両方に回路が形成されていないものであってもよい。
半導体本体は、例えば、1mmや750μm等の厚みから100μmや10μm等の厚みに薄化されたものが積層工程50で採用されてもよいし、例えば、2mmや500μm等の厚みのものが積層工程50で採用され、当該積層工程50の後段で半導体薄化工程が実施されることで、150μmや20μm等の厚みにまで薄化されてもよい。
半導体装置SDに対する各種処理は、当該半導体装置SDを他のものに設置する設置処理、半導体装置SDに印字や印刷を行う付印処理、半導体装置SDを搬送する搬送処理、半導体装置SDの切断処理や研削処理、半導体装置SDの検査やクリーニング等、どのような処理でもよい。
【0028】
図1(H)に示すような半導体装置SDは、カットラインCL2に沿って切断されることで、チップCPに接着シートASが貼付された半導体装置SDとされてもよいし、切断されなくてもよい。
図1(I)の上部に示すような半導体装置SDは、カットラインCL2に沿って切断されることで、
図1(J)に示すような半導体装置SDとされてもよいし、切断されなくてもよい。
図1(I)の下部に示すような半導体装置SDは、カットラインCL2に沿って切断されてもよいし、切断されなくてもよい。
【0029】
本発明における識別部材WK、被覆材および半導体本体の材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、識別部材WK、被覆材および半導体本体は、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよいし、被覆材は、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態のものであってもよく、感熱接着性の被覆材が採用された場合は、当該被覆材を加熱する適宜なコイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段を設けるといった適宜な方法で接着されればよい。また、このような被覆材としての接着シートは、例えば、接着剤層だけの単層のもの、基材と接着剤層とが積層された2層のもの、基材と接着剤層との間に1または複数の中間層が積層された3層または3層以上のもの、基材の上面に1または複数のカバー層が積層された3層または3層以上のもの、基材、中間層またはカバー層が剥離可能に設けられたもの、接着剤層のみからなる単層の両面接着シート、1または複数の中間層の両最外面に接着剤層が積層された両面接着シート等、どのようなものでもよい。なお、被覆材は、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意のシート、フィルム、テープ等でもよい。また、半導体本体は、シリコン半導体、化合物半導体、ダイヤモンド半導体等、どのような半導体であってもよい。
【符号の説明】
【0030】
10…被覆材用意工程
20…識別部材用意工程
30…薄化工程
40…狭化工程
50…積層工程
60…エネルギー付与工程
AS…接着シート(被覆材)
CP…半導体チップ(半導体本体)
HA…熱(所定のエネルギー)
ID…識別子
SD…半導体装置
WF…半導体ウエハ(半導体本体)
WK…識別部材
WK1…一方の面