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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025103929
(43)【公開日】2025-07-09
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   B64U 70/93 20230101AFI20250702BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20250702BHJP
   B64F 3/02 20060101ALI20250702BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20250702BHJP
   B64U 10/60 20230101ALI20250702BHJP
   B64U 70/99 20230101ALI20250702BHJP
   B64U 101/30 20230101ALN20250702BHJP
【FI】
B64U70/93
E02F9/00 C
E02F9/00 Z
B64F3/02
B64U10/13
B64U10/60
B64U70/99
B64U101:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023221678
(22)【出願日】2023-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】谷内 大樹
(72)【発明者】
【氏名】多田 茂也
(72)【発明者】
【氏名】筒井 航平
(57)【要約】
【課題】無人飛行体の損傷を防止し、かつ、無人飛行体によって作業機械の作業の支援を適切に行う。
【解決手段】作業機械は、車体と、車体に取り付けられた作業装置と、車体に取り付けられた電源装置と、電源装置から電力供給ケーブルを介して供給される電力によって飛行する無人飛行体と、を備えた作業機械において、作業装置には、無人飛行体が離着陸する離着陸台を有する発着装置と、電力供給ケーブルを固定するケーブル固定部と、が設けられ、発着装置及び無人飛行体の少なくとも一方には、無人飛行体を離着陸台に固定する固定装置が設けられ、発着装置は、少なくとも、無人飛行体が発着装置から離陸する際、及び無人飛行体が発着装置に着陸する際に、離着陸台を水平姿勢にする水平機構を有している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に取り付けられた作業装置と、
前記車体に取り付けられた電源装置と、
前記電源装置から電力供給ケーブルを介して供給される電力によって飛行する無人飛行体と、を備えた作業機械において、
前記作業装置には、前記無人飛行体が離着陸する離着陸台を有する発着装置と、前記電力供給ケーブルを固定するケーブル固定部と、が設けられ、
前記発着装置及び前記無人飛行体の少なくとも一方には、前記無人飛行体を前記離着陸台に固定する固定装置が設けられ、
前記発着装置は、少なくとも、前記無人飛行体が前記発着装置から離陸する際、及び前記無人飛行体が前記発着装置に着陸する際に、前記離着陸台を水平姿勢にする水平機構を有している、
ことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記無人飛行体の離陸と着陸を指示する指示装置と、
前記指示装置による指示に基づき、前記無人飛行体及び前記固定装置を制御する制御装置と、を備え、
前記車体は、走行体と、前記走行体に対して旋回可能に設けられた旋回体と、を有し、
前記制御装置は、
前記作業装置、前記旋回体及び前記走行体が動作しているか否かを判定し、
前記作業装置、前記旋回体及び前記走行体のうちの少なくともいずれかが動作している場合には、前記指示装置により前記無人飛行体の着陸が指示されたとしても、前記無人飛行体を前記離着陸台に着陸させず、前記無人飛行体の飛行を維持させ、
前記作業装置、前記旋回体及び前記走行体のいずれもが動作していない場合であって、前記指示装置により前記無人飛行体の着陸が指示されたときには、前記無人飛行体を前記離着陸台に着陸させ、前記固定装置により前記無人飛行体を前記離着陸台に固定する、
ことを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項1に記載の作業機械において、
前記無人飛行体の離陸と着陸を指示する指示装置と、
前記指示装置による指示に基づき、前記無人飛行体及び前記固定装置を制御する制御装置と、を備え、
前記車体は、走行体と、前記走行体に対して旋回可能に設けられた旋回体と、を有し、
前記制御装置は、
前記作業装置、前記旋回体及び前記走行体が動作しているか否かを判定し、
前記固定装置により前記無人飛行体が前記離着陸台に固定されている状態において、前記作業装置、前記旋回体及び前記走行体のうちの少なくともいずれかが動作している場合には、前記指示装置により前記無人飛行体の離陸が指示されたとしても、前記固定装置による前記無人飛行体の固定を維持し、
前記固定装置により前記無人飛行体が前記離着陸台に固定されている状態において、前記作業装置、前記旋回体及び前記走行体のいずれもが動作していない場合であって、前記指示装置により前記無人飛行体の離陸が指示されたときには、前記固定装置による前記無人飛行体の固定を解除し、前記無人飛行体を離陸させる、
ことを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1に記載の作業機械において、
前記ケーブル固定部は、前記発着装置よりも前記作業装置の先端側に設けられている、
ことを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項1に記載の作業機械において、
前記水平機構は、
前記離着陸台を回動可能に保持する回動軸と、
前記離着陸台を水平姿勢に保持するための重錘と、を有している、
ことを特徴とする作業機械。
【請求項6】
請求項1に記載の作業機械において、
前記発着装置の前記水平機構を制御する制御装置を備え、
前記水平機構は、
前記離着陸台を回動可能に保持する回動軸と、
前記回動軸を介して前記離着陸台を回動させる電動モータと、を有し、
前記制御装置は、前記電動モータを制御することにより、前記離着陸台を水平姿勢にする、
ことを特徴とする作業機械。
【請求項7】
請求項6に記載の作業機械において、
前記無人飛行体の離陸と着陸を指示する指示装置を備え、
前記制御装置は、前記指示装置による指示に基づき、前記無人飛行体、前記固定装置及び前記水平機構を制御し、
前記制御装置は、
前記固定装置により前記無人飛行体が前記離着陸台に固定されている状態において、前記指示装置により前記無人飛行体の離陸が指示されたときには、前記水平機構により前記離着陸台を水平姿勢にし、前記固定装置による前記無人飛行体の固定を解除し、前記無人飛行体を離陸させ、
前記無人飛行体が飛行している状態において、前記指示装置により前記無人飛行体の着陸が指示されたときには、前記水平機構により前記離着陸台を水平姿勢にし、前記無人飛行体を前記離着陸台に着陸させ、前記固定装置により前記無人飛行体を前記離着陸台に固定する、
ことを特徴とする作業機械。
【請求項8】
請求項1に記載の作業機械において、
前記ケーブル固定部は、前記無人飛行体に接続される電力供給ケーブルを巻き取り可能な巻取装置に設けられている、
ことを特徴とする作業機械。
【請求項9】
請求項5に記載の作業機械において、
前記ケーブル固定部は、前記無人飛行体に接続される電力供給ケーブルを巻き取り可能な巻取装置に設けられ、
前記巻取装置は、前記巻取装置の重心が前記回動軸よりも下側になるように前記離着陸台に取り付けられ、前記重錘として機能する、
ことを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
解体機などの作業機械が作業を行う作業現場において、ドローンなどの無人飛行体を利用して作業機械の作業を支援する技術が知られている。特許文献1には、車体に設けられる電源装置(電力供給手段)から電力供給ケーブルを介して無人飛行体(ドローン)に電力を供給可能な作業機械(クレーン)が開示されている。
【0003】
特許文献1には、無人飛行体と作業機械とを連結して、無人飛行体の落下を防止する落下防止線材が設けられた形態(特許文献1の図1参照)と、無人飛行体をレール状のガイド部材に沿って滑動可能に支持する形態(特許文献1の図11参照)とが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-180000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
落下防止線材が設けられた作業機械(特許文献1の図1参照)では、無人飛行体が停止しているときには、落下防止線材により無人飛行体が吊り下げられた状態になる。このため、無人飛行体が停止しているときに、無人飛行体と作業機械との接触や無人飛行体と周囲構造物との接触に起因して、無人飛行体が破損するおそれがある。
【0006】
レール状のガイド部材が設けられた作業機械(特許文献1の図11参照)では、無人飛行体はガイド部材に沿う方向にしか移動できず、作業機械の作業の支援を適切に行うことが難しくなるおそれがある。
【0007】
本発明は、無人飛行体の損傷を防止し、かつ、無人飛行体によって作業機械の作業の支援を適切に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様による作業機械は、車体と、前記車体に取り付けられた作業装置と、前記車体に取り付けられた電源装置と、前記電源装置から電力供給ケーブルを介して供給される電力によって飛行する無人飛行体と、を備えた作業機械において、前記作業装置には、前記無人飛行体が離着陸する離着陸台を有する発着装置と、前記電力供給ケーブルを固定するケーブル固定部と、が設けられ、前記発着装置及び前記無人飛行体の少なくとも一方には、前記無人飛行体を前記離着陸台に固定する固定装置が設けられ、前記発着装置は、少なくとも、前記無人飛行体が前記発着装置から離陸する際、及び前記無人飛行体が前記発着装置に着陸する際に、前記離着陸台を水平姿勢にする水平機構を有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無人飛行体の損傷を防止することができ、かつ、無人飛行体によって作業機械の作業の支援を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、解体機を示す側面図である。
図2図2は、ドローン、発着装置及びケーブル固定部の斜視図であり、ドローンが飛行している状態を示す。
図3図3は、ドローン、発着装置及びケーブル固定部の斜視図であり、ドローンが発着装置に固定されている状態を示す。
図4図4は、第1実施形態に係る発着装置及びケーブル固定部の側面図である。
図5図5は、第1実施形態に係る発着装置の側面図である。
図6図6は、第1実施形態に係る発着装置の背面図である。
図7図7は、発着装置の水平機構の動作を示す図であり、(a)はミドルアームの背面板が水平方向に略平行になっている状態を示し、(b)はミドルアームの背面板が鉛直方向に略平行になっている状態を示している。
図8図8は、キャブの内部を示す斜視図である。
図9図9は、コントローラのハードウェア構成図である。
図10図10は、車体コントローラと飛行コントローラとの情報の授受について示す図である。
図11図11は、第1実施形態に係る車体コントローラの機能ブロック図である。
図12図12は、車体コントローラにより実行される離陸制御の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13図13は、車体コントローラにより実行される着陸制御の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14図14は、第2実施形態に係る発着装置の側面図であり、ミドルアームの背面板が水平方向に略平行になっている状態を示している。
図15図15は、第2実施形態に係る発着装置の背面図であり、ミドルアームの背面板が水平方向に略平行になっている状態を示している。
図16図16は、第2実施形態に係る発着装置の側面図であり、ミドルアームの背面板が鉛直方向に略平行になっている状態を示している。
図17図17は、第2実施形態に係る車体コントローラの機能ブロック図である。
図18図18は、変形例1に係る発着装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して、本発明の実施形態に係る作業機械について説明する。
【0012】
<第1実施形態>
本実施形態では、作業機械が履帯走行式の解体機1である例について説明する。図1は、解体機1を示す側面図である。以下の説明では、解体機1に搭乗したオペレータを主体として前後、左右及び上下方向を規定する。
【0013】
図1に示すように、解体機1は、車体4と、車体4に取り付けられた作業装置6と、を備える。車体4は、走行体2と、走行体2に対して旋回可能に設けられた旋回体5と、を備える。走行体2は、左右一対のクローラ(履帯)を有する。走行体2は、左右のクローラを駆動する走行モータ(油圧アクチュエータ)3を有する。走行体2は、左右のクローラを走行モータ3によって駆動することにより走行する。
【0014】
旋回体5は、旋回モータ(油圧アクチュエータ)13を有する旋回装置を介して走行体2に連結されている。旋回体5は、旋回モータ13によって駆動されて走行体2に対して旋回する。旋回体5は、操縦者が搭乗するキャブ(運転室)11と、原動機としてのエンジン及び油圧ポンプなどの油圧機器が収容される建屋(機械室)12と、を備える。
【0015】
作業装置6は、旋回体5に取り付けられた多関節型のフロント作業装置である。作業装置6は、複数の油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)、及び複数の油圧シリンダにより駆動される複数の駆動対象部材を有する。作業装置6は、4つの駆動対象部材(ブーム7、ミドルアーム8、アーム9、及びアタッチメントとしての破砕機10)が直列的に連結された構成である。ブーム7は、その基端部が旋回体5の前部に、ブームピンを介して回動可能に連結される。ミドルアーム8は、その基端部がブーム7の先端部に、ミドルアームピン8pを介して回動可能に連結される。アーム9は、その基端部がミドルアーム8の先端部に、アームピン9pを介して回動可能に連結される。破砕機10は、アーム9の先端部に、アタッチメントピン10pを介して回動可能に連結される。破砕機10は、作業装置6の先端に設けられるアタッチメントである。解体機1では、アタッチメントとして、破砕機10に代えてブレーカやグラップル等が取り付けられることもある。
【0016】
ブーム7は、ブームシリンダ(油圧シリンダ)7aの伸縮動作によって回転駆動される。ミドルアーム8は、ミドルアームシリンダ(油圧シリンダ)8sの伸縮動作によって回転駆動される。アーム9は、アームシリンダ(油圧シリンダ)9aの伸縮動作によって回転駆動される。破砕機10は、アタッチメントシリンダ(油圧シリンダ)10aの伸縮動作によって回転駆動される。
【0017】
解体機1は、車体4に取り付けられた電源装置199と、電源装置199から電力供給ケーブル190を介して供給される電力によって飛行する無人飛行体であるドローン180と、ドローン180が離着陸する離着陸台141を有する発着装置140と、電力供給ケーブル190を固定するケーブル固定部130と、を備えている。発着装置140及びケーブル固定部130は、作業装置6のミドルアーム8に設けられている。
【0018】
電力供給ケーブル190は、ドローン180とケーブル固定部130とを接続する第1ケーブル191と、ケーブル固定部130と電源装置199とを接続する第2ケーブル192と、を備えている。第1ケーブル191は、一端部(基端部)がケーブル固定部130に固定され、他端部(先端部)がドローン180に接続されている。第1ケーブル191は、柔軟性を備えている。第2ケーブル192は、ミドルアーム8の左側の側面、及びブーム7の左側の側面に沿って取り付けられている。第2ケーブル192は、ブーム7から離れないように、複数箇所で作業装置6の側面に固定されている。
【0019】
図2及び図3は、ドローン180、発着装置140及びケーブル固定部130の斜視図である。図2はドローン180が飛行している状態を示し、図3はドローン180が発着装置140に固定されている状態を示している。なお、図2及び図3において、第2ケーブル192、及びアームピン9p等の図示は省略されている。
【0020】
図2及び図3に示すように、ミドルアーム8は、一定の間隔をもって左右方向で対面する左右一対の側面板8aと、左右の側面板8aの上端間を連結する背面板8cと、背面板8cと上下方向で対面し左右の側面板8aの下端間を連結する下面板とによって囲まれた断面四角形のボックス体として形成されている。
【0021】
発着装置140及びケーブル固定部130は、ミドルアーム8の背面板8cに設けられている。ケーブル固定部130は、第1ケーブル191と第2ケーブル192とを固定する。第1ケーブル191と第2ケーブル192は、ケーブル固定部130において電気的に接続されている。
【0022】
図4は、発着装置140及びケーブル固定部130の側面図である。図4に示すように、ケーブル固定部130は、アームピン9pの近傍に設けられ、発着装置140は、ミドルアームピン8pの近傍に設けられている。つまり、ケーブル固定部130は、発着装置140よりも作業装置6の先端側に設けられている。第1ケーブル191は、ケーブル固定部130から発着装置140までの長さよりも長い。また、第1ケーブル191は、ブーム7の長さ(ブームピンからミドルアームピン8pまでの長さ)よりも短い。
【0023】
図5は、発着装置140の側面図であり、図4のV部を拡大して示す。図6は、発着装置140の背面図である。図5及び図6に示すように、発着装置140は、矩形平板状の離着陸台141と、離着陸台141の前側の左右端部から下方に向かって延在する左右一対の連結ブラケット144と、左右一対の連結ブラケット144に回動軸142を介して回動可能に連結され、離着陸台141を支持する左右一対の支持板143と、を有している。一対の支持板143は、ミドルアーム8の背面板8cに立った状態で設けられる。発着装置140の回動軸142は、左右一対の支持板143の一方から他方に向かって延在し、離着陸台141を回動可能に保持する。発着装置140の回動軸142は、アームピン9p、ミドルアームピン8p、及びブームピンと平行に設けられている。
【0024】
離着陸台141の後端側(すなわち、ブーム7側)における離着陸台141の裏面(下面)には、ドローン180を離着陸台141に固定するための固定装置149が設けられている。固定装置149は、磁力によりドローン180を吸着し、ドローン180を離着陸台141に固定する吸着状態と、ドローン180を固定しない非吸着状態との間で切り換えられる永電磁チャック(マグネット定盤)149aを備えている。固定装置149は、永電磁チャック149aの磁力により、ドローン180を離着陸台141の表面(上面)に固定する。
【0025】
永電磁チャック149aは、公知の構成であり、例えば、ネオジウム磁石と、アルニコ磁石と、アルニコ磁石に巻回されたコイルとを有している。アルニコ磁石の極性は、コイルに流れる電流の方向によって制御され、コイルに流れる電流を遮断しても、その極性が維持される。ドローン180を吸着する場合には、ネオジウム磁石とアルニコ磁石とによって形成される磁束が吸着面を通過するようにアルニコ磁石の極性が制御される。ドローン180の吸着を解除する場合には、ネオジウム磁石とアルニコ磁石とによって形成される磁束が吸着面を通過しないようにアルニコ磁石の極性が制御される。永電磁チャック149aは、車体4に搭載される車体コントローラ150(図1参照)からの制御信号に応じて、吸着状態と非吸着状態とが制御される。なお、車体コントローラ150と永電磁チャック149aとを接続するケーブルの図示は省略している。
【0026】
ドローン180は、筐体181と、筐体181の上面に設けられた4基以上の回転翼182とを備えたマルチコプタである。ドローン180の筐体181には、回転翼182の制御を行う飛行コントローラ185と、車体コントローラ150と通信を行う通信装置186と、作業装置6の先端側を撮影する撮影装置187と、が搭載されている。撮影装置187は、例えば、耐久性、耐候性に優れたCCD、CMOSなどの撮像素子と広角レンズを備えた広角ビデオカメラである。回転翼182は、図示しない電動モータによって駆動される。各回転翼182の回転速度が制御されることにより、ドローン180は、上昇、下降、旋回、ホバリング等を行う。通信装置186は、車体4に設けられる通信装置51(図1参照)と無線通信を行う。ドローン180の筐体181の下端部には、磁石に吸着される材料で形成される吸着部183が設けられている。吸着部183は、例えば、鉄や合金等の金属材料により形成される。
【0027】
図7は、発着装置140の水平機構147について説明する図である。図7(a)はミドルアーム8の背面板8cが水平方向に略平行になっている状態を示し、図7(b)はミドルアーム8の背面板8cが鉛直方向に略平行になっている状態を示している。図7(a)及び図7(b)に示すように、固定装置149は、回動軸142よりも後端側に設けられている。このため、固定装置149の自重により、回動軸142を回転中心として図示時計回りのモーメントが発生する。そこで、本実施形態では、離着陸台141の前端部(すなわち、アーム9側の端部)において、離着陸台141を水平姿勢に保持するための重錘146が設けられている。
【0028】
重錘146は、離着陸台141から垂直方向下方に延在する支持部材145の先端部(下端部)に固定されている。重錘146は、離着陸台141の回転中心である回動軸142よりも下側に配置される。重錘146は、回動軸142よりも前端側に設けられている。このため、重錘146の自重により、回動軸142を回転中心として図示反時計回りのモーメントが発生し、固定装置149の自重によるモーメントを相殺することができる。
【0029】
このように、一対の支持板143、回動軸142、一対の連結ブラケット144、支持部材145、及び重錘146は、固定装置149が設けられた離着陸台141を水平姿勢に保持する水平機構147を構成する。これにより、ミドルアーム8の姿勢に関わらず、離着陸台141が水平姿勢に保持される。本実施形態に係る水平機構147は、ドローン180が発着装置140から離着陸する際だけでなく、常に、離着陸台141を水平姿勢にする。
【0030】
なお、ドローン180は、固定装置149に比べて十分に軽量である。このため、ドローン180が離着陸台141に固定されているときと、ドローン180が飛行しているときの双方において、離着陸台141が水平姿勢に保持される。離着陸台141の水平姿勢とは、ドローン180の載置面である離着陸台141の表面が、水平方向(重力方向に直交する方向)に対して、略平行になる姿勢のことをいう。つまり、離着陸台141の水平姿勢とは、離着陸台141の表面が略水平(例えば、離着陸台141の表面と鉛直方向とのなす角が80°~100°の範囲、すなわち離着陸台141の表面が水平から±10°の範囲(所定の角度範囲))になる姿勢のことを指す。なお、離着陸台141は、離着陸台141の表面が水平から±5°の範囲内の姿勢とすることが好ましく、離着陸台141の表面が水平から±3°の範囲内の姿勢とすることがより好ましい。
【0031】
図8は、キャブ11の内部を示す斜視図である。図8を用いてキャブ11に設置されている操作装置について説明する。図8に示すように、キャブ11内には、操作装置として、操作レバー31,32、走行ペダル33,34、操作ペダル35,36、ゲートロックレバー37、及びコンソールパネル38が設けられている。また、キャブ11内には、液晶ディスプレイ等の表示装置39が設けられている。
【0032】
コンソールパネル38は、設定スイッチの操作に応じた入力情報を車体コントローラ150に入力する入力装置である。なお、入力装置は、コンソールパネル38に限らず、表示装置39の画面に設けられるタッチセンサにより構成してもよい。
【0033】
操作レバー31,32には、各レバー操作方向に対して、ブームシリンダ7a、アームシリンダ9a、及びアタッチメントシリンダ10aの伸縮動作、並びに旋回体5の左右旋回動作のいずれかが割り当てられている。走行ペダル33,34には、それぞれ左右のクローラ(履帯)の前進と後退の動作が割り当てられている。操作ペダル35には、各操作方向に対して、ミドルアームシリンダ8sの伸長動作と収縮動作とが割り当てられている。操作ペダル36には、各操作方向に対して、破砕機10の閉動作と開動作とが割り当てられている。なお、操作装置と動作の割り当て方法はこれに限定されない。例えば、ミドルアームシリンダ8sの伸長動作は、図示しない操作レバーの各操作方向に割り当てられていてもよい。
【0034】
ゲートロックレバー37は、キャブ11の出入口に設けられる。ゲートロックレバー37は、出入口を塞ぐようにレバーが配置されるロック解除位置(下げ位置)と、出入口を開放するようにレバーが配置されるロック位置(上げ位置)との間で操作される。解体機1の稼働中、ゲートロックレバー37がロック位置(上げ位置)に操作されている場合には、操作レバー31,32、走行ペダル33,34、及び操作ペダル35,36の操作が無効化される。このため、操作レバー31,32、走行ペダル33,34、及び操作ペダル35,36の操作に応じた作業装置6、旋回体5及び走行体2の動作は行われない。解体機1の稼働中、ゲートロックレバー37が倒されてロック解除位置(下げ位置)に操作されている場合には、操作レバー31,32,走行ペダル33,34,操作ペダル35,36の操作に応じて作業装置6、旋回体5及び走行体2が動作する。
【0035】
コンソールパネル38には、ドローン180の飛行条件を設定するための設定スイッチが設けられている。操作レバー32には、ドローン180の飛行の開始(離陸)を指示する指示装置である離陸スイッチ30a、及びドローン180の飛行の終了(着陸)を指示する指示装置である着陸スイッチ30bが設けられている。なお、離陸スイッチ30a、着陸スイッチ30b、及び設定スイッチの配置場所は、上記した例に限定されない。離陸スイッチ30a、着陸スイッチ30b、及び設定スイッチの操作信号は、車体4(旋回体5)に搭載されている車体コントローラ150(図1参照)に出力される。
【0036】
車体コントローラ150は、指示装置(30a,30b)による指示に基づき、ドローン180及び固定装置149を制御する。車体コントローラ150は、指示装置(30a,30b)からの指示(操作信号)に基づいて、ドローン180の制御指令を生成し、通信装置51を介して生成した制御指令をドローン180に送信する。ドローン180の飛行コントローラ185は、通信装置186を介して受信した制御指令に基づいて、回転翼182の速度を制御する。
【0037】
車体コントローラ150及び飛行コントローラ185は、いずれも同様のハードウェア構成である。図9を参照して、車体コントローラ150及び飛行コントローラ185をコントローラ100と総称して、そのハードウェア構成について説明する。
【0038】
図9に示すように、コントローラ100は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等の処理装置101、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の不揮発性メモリ102、所謂RAM(Random Access Memory)と呼ばれる揮発性メモリ103、入力インタフェース104、出力インタフェース105、及び、その他の周辺回路を備えたコンピュータで構成される。これらのハードウェアは、協働してソフトウェアを動作させ、複数の機能を実現する。なお、コントローラ100は、1つのコンピュータで構成してもよいし、複数のコンピュータで構成してもよい。また、処理装置101としては、ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
【0039】
不揮発性メモリ102には、各種演算が実行可能なプログラム、閾値、データテーブル等が格納されている。すなわち、不揮発性メモリ102は、本実施形態の機能を実現するプログラムを読み取り可能な記憶媒体(記憶装置)である。揮発性メモリ103は、処理装置101による演算結果及び入力インタフェース104から入力された信号を一時的に記憶する記憶媒体(記憶装置)である。処理装置101は、不揮発性メモリ102に記憶されたプログラムを揮発性メモリ103に展開して演算を実行する装置である。処理装置101は、プログラムに従って入力インタフェース104、不揮発性メモリ102及び揮発性メモリ103から取り入れたデータに対して所定の演算処理を行う。
【0040】
入力インタフェース104は、各種装置から入力された信号を処理装置101で演算可能なデータに変換する。また、出力インタフェース105は、処理装置101の演算結果に応じた出力用の信号を生成し、その信号を各種装置に出力する。
【0041】
図10は、車体コントローラ150と飛行コントローラ185との情報の授受について示す図である。図10に示すように、車体コントローラ150と飛行コントローラ185は、通信装置51,186を介して無線通信により相互に情報(データ)の授受を行う。通信装置51,186は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの通信方式を利用して、ドローン180とデータの授受を行う。
【0042】
車体コントローラ150には、姿勢検出装置50及び車体位置検出装置60が接続されている。姿勢検出装置50は、ブーム7に取り付けられるブーム角度センサ、ミドルアーム8に取り付けられるミドルアーム角度センサ、アーム9に取り付けられるアーム角度センサ、及び破砕機10に取り付けられるアタッチメント角度センサ、及び旋回体5に取り付けられる車体傾斜角度センサを有する。姿勢検出装置50は、これらの角度センサにより検出された角度情報を作業装置6の姿勢情報として取得し、その情報に応じた信号を出力する。姿勢検出装置50は、例えば、作業装置6を構成する各駆動対象部材(ブーム7、ミドルアーム8、アーム9、及び破砕機10)及び旋回体5の直交3軸の角速度及び加速度を取得するIMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)と、IMUで取得した情報に基づいてブーム角、ミドルアーム角、アーム角、及びアタッチメント角及び車体傾斜角を演算する角度演算装置と、を備える。なお、角度センサには、ポテンショメータを採用することもできる。
【0043】
車体位置検出装置60は、旋回体5に取り付けられ、旋回体5(車体4)の位置及び方位を検出する。例えば、車体位置検出装置60は、複数のGNSS(Global Navigation Satellite System:全地球衛星測位システム)用のアンテナ(以下、GNSSアンテナと記す)と、GNSSアンテナで受信された複数の測位衛星からの衛星信号(GNSS電波)に基づいて、地理座標系(グローバル座標系)における旋回体5の位置座標(位置情報)及び基準方位からの角度である方位角(方位情報)を演算する測位演算装置と、を有する。
【0044】
車体コントローラ150は、車体位置検出装置60の検出結果に基づいて、地理座標系における旋回体5の位置及び方位角を演算し、その演算結果と姿勢検出装置50の検出結果に基づいて地理座標系における作業装置6の位置及び姿勢を演算する。なお、作業装置6の位置及び姿勢の演算に用いられる形状データ(GNSSアンテナに対するブームピンの相対位置、ブームピンからミドルアームピン8pまでの長さ、ミドルアームピン8pからアームピン9pまでの長さ、アームピン9pからアタッチメントピン10pまでの長さ等)は不揮発性メモリ102に記憶されている。車体コントローラ150は、例えば、アームピン9p及びアタッチメントピン10pの位置、すなわち、アーム9の姿勢を演算する。車体コントローラ150は、演算結果のうち、ドローン180の飛行制御に必要な情報を飛行コントローラ185に送信する。
【0045】
飛行コントローラ185には、ドローン180の位置を検出する飛行体位置検出装置70が接続されている。飛行体位置検出装置70は、ドローン180の筐体181に設けられている。飛行体位置検出装置70は、車体位置検出装置60と同様、GNSS電波に基づいて、地理座標系におけるドローン180の位置情報及び方位情報を演算する。飛行コントローラ185は、飛行体位置検出装置70の検出結果に基づいて、地理座標系におけるドローン180の位置及び方位角を演算する。飛行コントローラ185は、自機の位置情報を車体コントローラ150に送信する。
【0046】
飛行コントローラ185には、破砕機10の周辺を撮影する撮影装置187が接続されている。撮影装置187は、ドローン180の筐体181の前面に設けられている(図5参照)。飛行コントローラ185は、撮影装置187により撮影した画像のデータを車体コントローラ150に送信する。車体コントローラ150は、受信した画像のデータを表示装置39に出力する。表示装置39は、車体コントローラ150から取得したデータに応じた画像を表示画面に表示させる。車体コントローラ150及び飛行コントローラ185は、所定の制御周期でデータの送受信を行う。
【0047】
図11は、車体コントローラ150の機能ブロック図である。図11に示すように、解体機1は、車両操作検出装置160と、飛行操作検出装置30と、を備えている。飛行操作検出装置30は、離陸スイッチ30aの操作を検出する操作センサと、着陸スイッチ30bの操作を検出する操作センサと、を有する。飛行操作検出装置30は、離陸スイッチ30aによる離陸の指示のための操作を検出し、検出結果を表す離陸指示信号を車体コントローラ150に出力する。飛行操作検出装置30は、着陸スイッチ30bによる着陸の指示のための操作を検出し、検出結果を表す着陸指示信号を車体コントローラ150に出力する。
【0048】
車両操作検出装置160は、操作レバー31,32、走行ペダル33,34、及び操作ペダル35,36の操作方向及び操作量を検出する操作量センサと、ゲートロックレバー37の操作位置を検出する操作位置センサと、を含む。車両操作検出装置160は、オペレータによるブームシリンダ7a、ミドルアームシリンダ8s及びアームシリンダ9a、並びにアタッチメントシリンダ10aの操作(作業操作)を検出し、検出結果を表す作業操作信号を車体コントローラ150に出力する。車両操作検出装置160は、オペレータによる旋回モータ13の操作(旋回操作)を検出し、検出結果を表す旋回操作信号を車体コントローラ150に出力する。車両操作検出装置160は、オペレータによる左右の走行モータ3の操作(走行操作)を検出し、検出結果を表す走行操作信号を車体コントローラ150に出力する。
【0049】
車体コントローラ150は、不揮発性メモリ102に記憶されているプログラムを実行することにより、飛行操作判定部111、動作判定部112、モード設定部113、固定制御部114、及び飛行制御部115として機能する。
【0050】
飛行操作判定部111は、飛行操作検出装置30の検出結果に基づき、離陸スイッチ30a及び着陸スイッチ30bが操作されたか否かを判定する。動作判定部112は、車両操作検出装置160の検出結果に基づき、作業装置6、旋回体5及び走行体2が動作しているか否かを判定する。モード設定部113は、動作判定部112の判定結果及び飛行操作判定部111の判定結果に基づき、制御モードを待機モード、離陸モード、追従モード、及び着陸モードのいずれかに設定する。飛行制御部115は、設定されている制御モードに応じてドローン180を制御するための制御指令を生成し、通信装置51を介してドローン180に送信する。固定制御部114は、設定されている制御モードに応じて固定装置149を制御する。
【0051】
図12及び図13を参照して、図11に示す各機能の詳細を説明する。図12は、車体コントローラ150により実行される離陸制御の処理の流れの一例を示すフローチャートである。図12に示すフローチャートは、例えば、イグニッションスイッチがオンされ、初期設定において制御モードが待機モードに設定されることにより開始され、所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、解体機1が稼働を停止しているときには、固定装置149の永電磁チャック149aは吸着状態となっており、イグニッションスイッチがオンされて、解体機1が稼働を開始した後も吸着状態が維持される。このため、ドローン180は、固定装置149によって離着陸台141に固定されている。
【0052】
図12に示すように、ステップS105において、飛行操作判定部111は、離陸スイッチ30aが操作されたか否かを判定する。飛行操作判定部111は、離陸スイッチ30aから出力された離陸指示信号を取得した場合には、離陸スイッチ30aが操作されたと判定し、処理をステップS110に進める。飛行操作判定部111は、離陸スイッチ30aから離陸指示信号を取得していない場合(すなわち、離陸スイッチ30aから離陸指示信号が出力されていない場合)には、本制御周期における図12のフローチャートに示す処理を終了する。
【0053】
ステップS110において、動作判定部112は、車両操作検出装置160からの作業操作信号に基づいて、作業装置6が動作しているか否かを判定する。作業操作信号には、ブーム7の操作量、ミドルアーム8の操作量、アーム9の操作量、及び破砕機10の操作量が含まれる。動作判定部112は、作業操作信号に含まれる操作量のうちの少なくともいずれかが作業操作量閾値以上である場合には、作業装置6は動作していると判定する。動作判定部112は、作業操作信号に含まれる全ての操作量のいずれもが作業操作量閾値未満である場合には、作業装置6は停止していると判定する。作業操作量閾値は、作業装置6を構成する駆動対象部材(ブーム7、ミドルアーム8、アーム9、及び破砕機10)が停止しているか否かを判定するための閾値であり、予め不揮発性メモリ102に記憶されている。作業装置6が停止していると判定された場合には、処理がステップS115に進む。作業装置6が動作していると判定された場合には、本制御周期における図12のフローチャートに示す処理が終了する。
【0054】
ステップS115において、動作判定部112は、車両操作検出装置160からの旋回操作信号に基づいて、旋回体5が動作しているか否かを判定する。旋回操作信号には、旋回体5の操作量が含まれる。動作判定部112は、旋回体5の操作量が旋回操作量閾値以上である場合には、旋回体5は動作していると判定する。動作判定部112は、旋回体5の操作量が旋回操作量閾値未満である場合には、旋回体5は停止していると判定する。旋回操作量閾値は、旋回体5が停止しているか否かを判定するための閾値であり、予め不揮発性メモリ102に記憶されている。旋回体5が停止していると判定された場合には、処理がステップS120に進む。旋回体5が動作していると判定された場合には、本制御周期における図12のフローチャートに示す処理が終了する。
【0055】
ステップS120において、動作判定部112は、車両操作検出装置160からの走行操作信号に基づいて、走行体2が動作しているか否かを判定する。走行操作信号には、走行体2の左側クローラの操作量及び右側クローラの操作量が含まれる。動作判定部112は、左側クローラの操作量及び右側クローラの操作量のうちの少なくともいずれかが走行操作量閾値以上である場合には、走行体2は動作していると判定する。動作判定部112は、左側クローラの操作量及び右側クローラの操作量のいずれもが走行操作量閾値未満である場合には、走行体2は停止していると判定する。走行操作量閾値は、走行体2が停止しているか否かを判定するための閾値であり、予め不揮発性メモリ102に記憶されている。走行体2が停止していると判定された場合には、処理がステップS125に進む。走行体2が動作していると判定された場合には、本制御周期における図12のフローチャートに示す処理が終了する。
【0056】
ステップS125において、モード設定部113は、制御モードに離陸モードを設定する。つまり、制御モードが、初期モードである待機モードから離陸モードに変わる。
【0057】
次のステップS130において、固定制御部114は、発着装置140の固定装置149にロック解除指令を出力する。固定装置149にロック解除指令が入力されると、永電磁チャックが吸着状態から非吸着状態に移行する。つまり、固定装置149によるドローン180の固定が解除される。
【0058】
次のステップS135において、飛行制御部115は、通信装置51を介して、ドローン180の飛行コントローラ185に離陸指令を送信する。離陸指令には、ドローン180の飛行を開始する制御指令と、目標位置の情報が含まれる。飛行コントローラ185は、通信装置186を介して離陸指令を受信すると、回転翼182を回転させて、飛行を開始する(すなわち、離着陸台141から離陸する)。飛行コントローラ185は、回転翼182の回転速度を制御して、ドローン180を目標位置に向かって飛行させる。飛行コントローラ185は、通信装置186を介して自機(ドローン180)の位置情報を車体コントローラ150に送信する。飛行コントローラ185から車体コントローラ150への位置情報の送信処理は、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0059】
次のステップS140において、飛行制御部115は、通信装置51を介して取得したドローン180の位置情報に基づき、目標位置にドローン180が到達したか否かを判定する。飛行制御部115は、ドローン180が目標位置に到達したと判定された場合には、離陸が完了したものとみなして、処理をステップS145に進める。ドローン180の離陸が完了したか否かの判定処理(ステップS140)は、ドローン180が目標位置に到達するまで、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0060】
ステップS145において、モード設定部113は、制御モードを追従モードに設定し、本制御周期における図12のフローチャートに示す処理を終了する。以上のように、車体コントローラ150は、離陸指示が有ると判定した場合であっても、作業装置6、旋回体5、及び走行体2のうちの少なくともいずれかが動作していると判定したときには、待機モード(初期モード)を維持する(ステップS110,S115,S120のいずれかでYes)。一方、車体コントローラ150は、離陸指示が有ると判定した場合であって、作業装置6、旋回体5、及び走行体2のいずれも動作していないと判定したときには、離陸モードを設定する(ステップS110,S115,S120のいずれもNo)。
【0061】
制御モードが離陸モードから追従モードに変わると、飛行制御部115は、通信装置51を介して、ドローン180の飛行コントローラ185に追従指令を送信する。飛行コントローラ185は、追従指令を受信すると、自機の位置がアーム座標系の定点位置(定点座標)で維持されるようにドローン180の飛行を制御する。アーム座標系は、作業装置6のアーム9を基準とした座標系である。アーム座標系は、例えば、アタッチメントピン10pの中心を原点とする座標系として定義される。アーム座標系では、アタッチメントピン10pに平行な軸がy軸と定義される。アーム座標系では、アタッチメントピン10pの中心とアームピン9pの中心とを通る軸がx軸と定義され、y軸とx軸に直交する軸がz軸と定義される。
【0062】
飛行コントローラ185は、車体コントローラ150からアタッチメントピン10p及びアームピン9pの位置を表す地理座標系座標を取得する。飛行コントローラ185は、自機の位置を表す地理座標系座標、並びにアタッチメントピン10p及びアームピン9pの位置を表す地理座標系座標のそれぞれをアーム座標系座標に変換する。
【0063】
作業装置6の動作によりアーム9の姿勢(アタッチメントピン10p及びアームピン9pの位置)が変化すると、飛行コントローラ185はアーム9の姿勢の変化に応じてドローン180を移動させる。なお、追従モードが設定されているときのドローン180の飛行制御方法は、これに限定されない。例えば、飛行コントローラ185は、撮影装置187によって撮影されたアーム9の画像データに基づき、アーム9の所定の位置(例えば、アタッチメントピン10p)に対してドローン180が一定の距離を保つように、ドローン180の飛行を制御してもよい。
【0064】
追従モードが設定されているときのドローン180の飛行位置は、オペレータがコンソールパネル38を操作することにより変更可能である。なお、解体機1が作業しているときのドローン180の飛行制御は、遠隔操作装置により手動で行われるようにしてもよい。この場合、遠隔操作装置は、作業員により操作される。作業員は、解体機1の外側において、解体機1のオペレータと連携して、ドローン180の操作を行う。
【0065】
図13は、車体コントローラ150により実行される着陸制御の処理の流れの一例を示すフローチャートである。図13に示すフローチャートは、制御モードが追従モードに設定されることにより開始され、所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、追従モードでは、固定装置149の永電磁チャック149aは非吸着状態を維持している。
【0066】
図13に示すように、ステップS155において、飛行操作判定部111は、着陸スイッチ30bが操作されたか否かを判定する。飛行操作判定部111は、着陸スイッチ30bから出力された着陸指示信号を取得した場合には、着陸スイッチ30bが操作されたと判定し、処理をステップS160に進める。飛行操作判定部111は、着陸スイッチ30bから着陸指示信号を取得していない場合(すなわち、着陸スイッチ30bから着陸指示信号が出力されていない場合)には、本制御周期における図13のフローチャートに示す処理を終了する。
【0067】
ステップS160,S165,S170の処理は、それぞれステップS110,S115,S120の処理と同じであるため、説明を省略する。ステップS170において、走行体2が停止していると判定された場合には、処理がステップS175に進む。
【0068】
ステップS175において、モード設定部113は、制御モードに着陸モードを設定する。つまり、制御モードが、追従モードから着陸モードに変わる。
【0069】
次のステップS180において、固定制御部114は、発着装置140の固定装置149にロック指令を出力する。固定装置149にロック指令が入力されると、永電磁チャック149aが非吸着状態から吸着状態に移行する。
【0070】
次のステップS185において、飛行制御部115は、通信装置51を介して、ドローン180の飛行コントローラ185に着陸指令を送信する。着陸指令には、ドローン180の飛行を終了する制御指令と、離着陸台141の位置が含まれる。飛行コントローラ185は、通信装置186を介して着陸指令を受信すると、回転翼182の回転速度を制御して、ドローン180を離着陸台141に向かって飛行させる。飛行コントローラ185は、通信装置186を介して自機(ドローン180)の位置情報を車体コントローラ150に送信する。飛行コントローラ185から車体コントローラ150への位置情報の送信処理は、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0071】
飛行コントローラ185は、撮影装置187を制御して、着陸先である離着陸台141を撮影する。離着陸台141には、2次元マーカが設けられている。飛行コントローラ185は、撮影した2次元マーカの画像データに基づき、回転翼182を制御して、ドローン180を離着陸台141に着陸させる。
【0072】
次のステップS190において、飛行制御部115は、通信装置51を介して取得したドローン180の位置情報に基づき、離着陸台141にドローン180が到達したか否かを判定する。飛行制御部115は、ドローン180が離着陸台141に到達したと判定された場合には、着陸が完了したものとみなして、処理をステップS195に進める。ドローン180の着陸が完了したか否かの判定処理(ステップS190)は、ドローン180が離着陸台141に到達するまで、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0073】
ステップS195において、モード設定部113は、制御モードを待機モードに設定し、本制御周期における図13のフローチャートに示す処理を終了する。以上のように、車体コントローラ150は、着陸指示が有ると判定した場合であっても、作業装置6、旋回体5、及び走行体2のうちの少なくともいずれかが動作していると判定したときには、追従モードを維持する(ステップS160,S165,S170のいずれかでYes)。一方、車体コントローラ150は、着陸指示が有ると判定した場合であって、作業装置6、旋回体5、及び走行体2のいずれも動作していないと判定したときには、着陸モードを設定する(ステップS160,S165,S170のいずれもNo)。
【0074】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0075】
(1)解体機(作業機械)1は、車体4と、車体4に取り付けられた作業装置6と、車体4に取り付けられた電源装置199と、電源装置199から電力供給ケーブル190を介して供給される電力によって飛行するドローン(無人飛行体)180と、を備えている。作業装置6には、ドローン180が離着陸する離着陸台141を有する発着装置140と、電力供給ケーブル190を固定するケーブル固定部130と、が設けられている。発着装置140には、ドローン180を離着陸台141に固定する固定装置149が設けられている。発着装置140は、少なくとも、ドローン180が発着装置140から離陸する際、及びドローン180が発着装置140に着陸する際に、離着陸台141を水平姿勢にする水平機構147を有している。
【0076】
この構成では、ドローン180が離着陸台141に固定されるため、ドローン180が停止しているときに、ドローン180が周囲の構造物や作業装置6に接触して損傷することが防止される。また、ドローン180は、ケーブル固定部130を基準として、ドローン180とケーブル固定部130とを接続する電力供給ケーブル190である第1ケーブル191の長さに相当する距離だけ、ケーブル固定部130から離れることができる。つまり、ドローン180の飛行範囲を第1ケーブル191の長さに応じて設定することができる。これにより、破砕機10の周辺の状況を適切に監視することができる。つまり、本実施形態によれば、停止中のドローン180の損傷を防止することができ、かつ、ドローン180によって解体機1の作業の支援を適切に行うことができる。
【0077】
なお、離着陸台141が水平姿勢でない状態であるときにドローン180の離陸を行う場合、ドローン180の固定が解除されることにより、ドローン180が離着陸台141から落下し、ドローン180が作業装置6や周囲の構造物に接触するおそれがある。また、離着陸台141が水平姿勢でない状態であるときにドローン180の着陸を行う場合、ドローン180が離着陸台141に着陸できないおそれいがある。これに対して、本実施形態では、離着陸台141が水平姿勢に保持されるため、ドローン180を適切に離着陸させることができる。その結果、離着陸時のドローン180の損傷を防止することができる。
【0078】
(2)解体機1は、ドローン180の離陸と着陸を指示する指示装置としての離陸スイッチ30a及び着陸スイッチ30bを備える。車体コントローラ(制御装置)150は、離陸スイッチ30a及び着陸スイッチ30bによる指示に基づき、ドローン180及び固定装置149を制御する。車体コントローラ150は、作業装置6、旋回体5、及び走行体2が動作しているか否かを判定する(図12のS110,S115,S120、図13のS160,S165,S170)。車体コントローラ150は、作業装置6、旋回体5、及び走行体2のうちの少なくともいずれかが動作している場合には、着陸スイッチ30bによりドローン180の着陸が指示されたとしても、ドローン180を離着陸台141に着陸させず、ドローン180の飛行を維持させる(図13のS160,S165,S170のいずれかの処理でYes)。車体コントローラ150は、作業装置6、旋回体5、及び走行体2のいずれもが動作していない場合であって、着陸スイッチ30bによりドローン180の着陸が指示されたときには、ドローン180を離着陸台141に着陸させ、固定装置149によりドローン180を離着陸台141に固定する(図13のS175,S180,S185)。
【0079】
解体機1が動作している場合には、ドローン180の着陸直前などの場面でドローン180と解体機1とが接触することにより、ドローン180が損傷するおそれがある。また、解体機1が動作している場合には、ドローン180を着陸させるのに時間を要する。これに対して、本実施形態では、解体機1が動作している場合には、ドローン180を離着陸台141に着陸させない。このため、ドローン180と解体機1との接触によるドローン180の損傷を防止することができる。本実施形態によれば、解体機1が停止している場合にドローン180を離着陸台141に着陸させるため、スムーズにドローン180を離着陸台141に着陸させることができる。
【0080】
(3)車体コントローラ150は、固定装置149によりドローン180が離着陸台141に固定されている状態において、作業装置6、旋回体5、及び走行体2のうちの少なくともいずれかが動作している場合には、離陸スイッチ30aによりドローン180の離陸が指示されたとしても、固定装置149によるドローン180の固定を維持する(図12のS110,S115,S120のいずれかの処理でYes)。車体コントローラ150は、固定装置149によりドローン180が離着陸台141に固定されている状態において、作業装置6、旋回体5、及び走行体2のいずれもが動作していない場合であって、離陸スイッチ30aによりドローン180の離陸が指示されたときには、固定装置149によるドローン180の固定を解除し、ドローン180を離陸させる(図12のS125,S130,S135)。
【0081】
解体機1が動作している場合には、ドローン180の離陸直後などの場面でドローン180と解体機1とが接触することにより、ドローン180が損傷するおそれがある。これに対して、本実施形態では、解体機1が動作している場合には、ドローン180を離着陸台141から離陸させない。このため、ドローン180と解体機1との接触によるドローン180の損傷を防止することができる。
【0082】
(4)ケーブル固定部130は、発着装置140よりも作業装置6の先端側に設けられている(図1参照)。ドローン180は、作業装置6の先端側を撮影するために、作業装置6の先端側を飛行させることが多い。このため、本実施形態の構成では、ケーブル固定部130を発着装置140よりも作業装置6の後端側に設ける場合に比べて、第1ケーブル191の長さを短くすることができる。第1ケーブル191は、宙に浮いており、ドローン180は、飛行中、第1ケーブル191を支える必要がある。仮に、ケーブル固定部130を旋回体5に設ける場合、第1ケーブル191を支えつつドローン180を飛行させるためには、ドローン180の高出力化及び大型化が迫られる。これに対して、本実施形態では、第1ケーブル191の長さを短くできるので、ドローン180の高出力化及び大型化を防止できる。
【0083】
(5)水平機構147は、離着陸台141を回動可能に保持する回動軸142と、離着陸台141を水平姿勢に保持するための重錘146と、を有している(図5図7参照)。なお、水平姿勢とは、離着陸台141に載置されているドローン180が固定されていない状態であっても、ドローン180が自重により離着陸台141から脱落しない姿勢であり、離着陸台141の表面(ドローン180の載置面)が水平から所定の角度範囲内にある姿勢のことを指す。この構成によれば、作業装置6及び車体4の姿勢に関わらず、常に、離着陸台141を水平姿勢にできる。
【0084】
<第2実施形態>
図14図16を参照して、本発明の第2実施形態に係る解体機1について説明する。なお、第1実施形態で説明した構成と同一もしくは相当する構成には同一の参照記号を付し、相違点を主に説明する。
【0085】
図14及び図16は、第2実施形態に係る発着装置240の側面図であり、図15は、第2実施形態に係る発着装置240の背面図である。図14及び図15は、ミドルアーム8の背面板8cが水平方向に略平行になっている状態を示している。図16は、ミドルアーム8の背面板8cが鉛直方向に略平行になっている状態を示している。第1実施形態では、ケーブル固定部130が発着装置140と所定の距離をあけて設けられていた(図4参照)。これに対して、第2実施形態では、ケーブル固定部が発着装置240と一体になっている。また、ケーブル固定部を含むウインチ260が第1実施形態で説明した重錘146の機能を有している。以下、第2実施形態について詳しく説明する。
【0086】
図14図16に示すように、発着装置240は、矩形平板状の離着陸台141と、離着陸台141の前側の左右端部から下方に向かって延在する左右一対の連結ブラケット244と、左右一対の連結ブラケット244に回動軸142を介して回動可能に連結され、離着陸台141を支持する左右一対の支持板143と、ドローン180を離着陸台141に固定するための固定装置149と、左右一対の連結ブラケット244に設けられるウインチ260と、を有している。
【0087】
ウインチ260は、ドローン180に接続される電力供給ケーブル190である第1ケーブル191を巻き取り可能な巻取装置である。ウインチ260は、ドラム261と、ドラム261を回転駆動される電動モータ262と、を有している。ドラム261は、第1ケーブル191が巻回される円柱状の巻胴263と、巻胴263の中心軸方向の両端に設けられた左右一対の円板状のフランジ264と、を有している。ウインチ260の回転中心軸は、回動軸142と平行である。
【0088】
第1ケーブル191は、基端部(一端部)がドラム261の巻胴263に固定され、先端部(他端部)がドローン180に接続されている。つまり、本第2実施形態では、ドラム261の巻胴263がケーブル固定部として機能する。電動モータ262及びドラム261の総重量は、固定装置149の重量よりも十分に大きい。ウインチ260は、重錘として機能するように、ウインチ260の重心が回動軸142よりも下側になるように、離着陸台141に取り付けられている。このように、本第2実施形態では、ウインチ260が第1実施形態で説明した重錘146と同じ機能を有しているため、作業装置6及び車体4の姿勢に関わらず、離着陸台141は常に水平姿勢に保持される。
【0089】
第2実施形態では、一対の支持板143、回動軸142、一対の連結ブラケット244、及びウインチ260が、固定装置149が設けられた離着陸台141を水平姿勢に保持する水平機構247を構成する。これにより、図14及び図16に示すように、ミドルアーム8の姿勢に関わらず、離着陸台141が水平姿勢に保持される。
【0090】
図17は、第2実施形態に係る車体コントローラ250の機能ブロック図である。ウインチ260の電動モータ262は、車体コントローラ250及び電源装置199(図1参照)に接続されている。電動モータ262は、電源装置199から供給される電力により回転する。電動モータ262は、車体コントローラ250からの制御指令に基づいて、回転方向及び回転速度が制御される。
【0091】
車体コントローラ250は、第1実施形態で説明した各機能に加え、ウインチ制御部216としての機能を有する。ウインチ制御部216は、制御モードが待機モードから離陸モードに切り替えられた場合に、電動モータ262を正方向に回転させる。これにより、第1ケーブル191がドラム261から繰り出される。ウインチ制御部216は、制御モードが追従モードから着陸モードに切り替えられた場合に、電動モータ262を逆方向に回転させる。これにより、第1ケーブル191がドラム261に巻き取られる。なお、ウインチ制御部216は、追従モードが設定されているときのドローン180の飛行位置に応じて第1ケーブル191の繰り出し量を調整してもよい。
【0092】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果に加え、次の作用効果を奏する。
【0093】
(1)ケーブル固定部が、ドローン180に接続される電力供給ケーブル190である第1ケーブル191を巻き取り可能なウインチ(巻取装置)260に設けられている。具体的には、ウインチ260を構成するドラム261の巻胴263がケーブル固定部として機能する。この構成によれば、ウインチ260により、第1ケーブル191の長さ、すなわちドローン180の飛行範囲を調整することができる。
【0094】
(2)ウインチ260は、ウインチ260の重心が回動軸142よりも下側になるように離着陸台141に取り付けられ、離着陸台141を水平姿勢に保持するための重錘として機能する。この構成によれば、ウインチ260とは別に重錘を設ける必要がない。このため、部品点数を低減することができる。
【0095】
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、上述の異なる実施形態で説明した構成同士を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせることも可能である。
【0096】
<変形例1>
第1実施形態では、重錘146に作用する重力を利用して離着陸台141を水平姿勢とする水平機構147について説明した。第2実施形態では、重錘としてのウインチ260に作用する重力を利用して離着陸台141を水平姿勢とする水平機構247について説明した。しかしながら、水平機構の構成はこれらに限定されない。
【0097】
<変形例1-1>
例えば、図18に示すように、水平機構347は、回動軸142を介して離着陸台141を回動させる電動モータ347mを有していてもよい。図18に示す例では、第1実施形態の重錘146及び支持部材145に代えて電動モータ347mが設けられている。電動モータ347mは、車体コントローラ150及び電源装置199(図1参照)に接続されている。電動モータ347mは、電源装置199から供給される電力により回転する。電動モータ347mは、車体コントローラ150からの制御信号に基づいて、回転方向及び回転速度が制御される。
【0098】
電動モータ347mの出力軸は、回動軸142に固定されている。また、回動軸142は、離着陸台141に設けられる一対の連結ブラケット344に固定されている。なお、一対の支持板143には、回動軸142が挿通される貫通孔が形成されている。このため、電動モータ347mが回動すると、回動軸142及び離着陸台141が一体的に回動する。
【0099】
車体コントローラ150は、水平機構347の電動モータ347mを制御することにより、少なくとも、ドローン180が発着装置340から離陸する際、及びドローン180が発着装置340に着陸する際に、離着陸台141を水平姿勢にする。例えば、車体コントローラ150は、制御モードが待機モードから離陸モードに切り替えられた場合に、作業装置6及び車体4の姿勢に基づき、電動モータ347mにより離着陸台141を回動させて、離着陸台141を水平姿勢にする。車体コントローラ150は、制御モードが離陸モードから追従モードに切り替えられた場合に、電動モータ347mにより離着陸台141を回動させて、離着陸台141を格納姿勢にする。格納姿勢とは、離着陸台141がミドルアーム8の背面板8cに平行となる姿勢である。車体コントローラ150は、制御モードが追従モードから着陸モードに切り替えられた場合に、作業装置6及び車体4の姿勢に基づき、電動モータ347mにより離着陸台141を回動させて、離着陸台141を水平姿勢にする。車体コントローラ150は、制御モードが着陸モードから待機モードに切り替えられた場合に、電動モータ347mにより離着陸台141を回動させて、離着陸台141を格納姿勢にする。
【0100】
この構成では、ドローン180が発着装置340から離陸する際、及びドローン180が発着装置340に着陸する際を除く状況において、離着陸台141が格納姿勢になる。このため、発着装置340において作業装置6から最も離れた位置までの距離を短くすることができる。その結果、作業装置6が動作しているときにおいて、発着装置340と作業装置6の周囲の構造物との接触リスクを低減することができる。
【0101】
<変形例1-2>
上記変形例1-1では、離着陸台141を水平姿勢と格納姿勢との間で動作させる例について説明した。しかしながら、格納姿勢への変更は行わなくてもよい。本変形例において、車体コントローラ150は、制御モードが待機モードから離陸モードに切り替えられた場合、及び、制御モードが追従モードから着陸モードに切り替えられた場合には、変形例1-1と同様、離着陸台141を水平姿勢に制御する。一方、車体コントローラ150は、制御モードが離陸モードから追従モードに切り替えられた場合、及び、制御モードが着陸モードから待機モードに切り替えられた場合のそれぞれにおいて、電動モータ347mの制御を行わない。
【0102】
この構成では、電動モータ347mを駆動させる機会を低減できるので、エネルギー消費を抑えることができる。
【0103】
上記変形例1-1及び変形例1-2に係る車体コントローラ150は、指示装置である離陸スイッチ30a及び着陸スイッチ30bによる指示に基づき、ドローン180、固定装置149及び水平機構347を制御する。上記変形例1-1及び変形例1-2に係る車体コントローラ150は、固定装置149によりドローン180が離着陸台141に固定されている状態において、離陸スイッチ30aによりドローン180の離陸が指示されたときには、水平機構347により離着陸台141を水平姿勢にし、固定装置149によるドローン180の固定を解除し、ドローン180を離陸させる。また、上記変形例1-1及び変形例1-2に係る車体コントローラ150は、ドローン180が飛行している状態において、着陸スイッチ30bによりドローン180の着陸が指示されたときには、水平機構347により離着陸台141を水平姿勢にし、ドローン180を離着陸台141に着陸させ、固定装置149によりドローン180を離着陸台141に固定する。
【0104】
この構成によれば、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、電動モータ347mにより離着陸台141を水平姿勢にするため、上記実施形態よりも離着陸台141の表面を精度よく水平にすることができる。
【0105】
<変形例2>
上記実施形態では、固定装置149が永電磁チャック(マグネット定盤)149aを備えている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。永電磁チャック149aに代えて、通電することにより磁力を発生させ吸着状態となる電磁石を設けてもよい。また、ドローン180の固定方法は、磁力による固定方法に限定されない。固定方法には、例えば、電動クランプによってドローン180を挟持する方法を採用してもよい。電動クランプは、ドローン180を挟持する一対の挟持板を備える。電動クランプは、一対の挟持板のうちの少なくとも一方を移動させて一対の挟持板間の距離を調整可能な構成である。
【0106】
<変形例3>
上記実施形態では、固定装置149が発着装置140に設けられている例について説明した。しかしながら、固定装置149は、発着装置140及びドローン180の少なくとも一方に設けられていればよい。例えば、ドローン180に電動クランプ式の固定装置を設け、電動クランプに挟まれる柱を離着陸台141に設けてもよい。なお、固定装置は、発着装置140及びドローン180の双方に設けてもよい。
【0107】
<変形例4>
上記実施形態では、車両操作検出装置160により検出された操作装置(31,32,33,34,35,36)の操作量に基づいて、作業装置6、旋回体5、及び走行体2の動作判定が行われ、その判定結果に基づいて各種制御が実行される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0108】
<変形例4-1>
車体コントローラ150は、例えば、姿勢検出装置50の検出結果に基づいて、作業装置6、旋回体5、及び走行体2が動作しているか否かを判定してもよい。車体コントローラ150は、例えば、姿勢検出装置50により検出されたブーム7の角速度が所定の閾値以上である場合に、作業装置6が動作していると判定する。
【0109】
<変形例4-2>
車体コントローラ150は、例えば、ゲートロックレバー37の操作位置に基づいて、作業装置6、旋回体5、及び走行体2が動作可能な状態にあるか否かの判定を行い、その判定結果に基づいて各種制御を実行してもよい。車体コントローラ150は、ゲートロックレバー37がロック位置に操作されている場合には、作業装置6、旋回体5、及び走行体2は動作可能な状態にないと判定する。車体コントローラ150は、ゲートロックレバー37がロック解除位置に操作されている場合には、作業装置6、旋回体5、及び走行体2が動作可能な状態にあると判定する。
【0110】
車体コントローラ150は、固定装置149によりドローン180が離着陸台141に固定されている状態において、作業装置6、旋回体5、及び走行体2が動作可能な状態にある場合には、離陸スイッチ30aによりドローン180の離陸が指示されたとしても、固定装置149によるドローン180の固定を維持する。車体コントローラ150は、固定装置149によりドローン180が離着陸台141に固定されている状態において、作業装置6、旋回体5、及び走行体2が動作可能な状態にない場合であって、離陸スイッチ30aによりドローン180の離陸が指示されたときには、固定装置149によるドローン180の固定を解除し、ドローン180を離陸させる。
【0111】
車体コントローラ150は、作業装置6、旋回体5及び走行体2が動作可能な状態にある場合には、着陸スイッチ30bによりドローン180の着陸が指示されたとしても、ドローン180を離着陸台141に着陸させず、ドローン180の飛行を維持させる。車体コントローラ150は、作業装置6、旋回体5及び走行体2が動作可能な状態にない場合であって、着陸スイッチ30bによりドローン180の着陸が指示されたときには、ドローン180を離着陸台141に着陸させ、固定装置149によりドローン180を離着陸台141に固定する。
【0112】
本変形例によれば、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0113】
<変形例5>
発着装置140,240及びケーブル固定部130の配置場所は、上記実施形態で説明した例に限定されない。第1実施形態では、発着装置140よりも作業装置6の先端側(破砕機10側)にケーブル固定部130が設けられていたが、発着装置140よりも作業装置6の基端側(旋回体5側)にケーブル固定部130が設けられていてもよい。
【0114】
また、第1実施形態では、発着装置140及びケーブル固定部130がミドルアーム8の背面板8cに設けられていたが、発着装置140とケーブル固定部130の配置場所はこれに限定されない。発着装置140は、アーム9、ミドルアーム8、及びブーム7のいずれかに配置されていればよい。また、ケーブル固定部130は、アーム9、ミドルアーム8、及びブーム7のいずれかに配置されていればよい。例えば、アーム9の基端部にケーブル固定部130が配置され、ブーム7の先端部に発着装置140が配置されていてもよい。また、発着装置140は、作業装置6の左右の側面のいずれかに設けられていてもよい。同様に、ケーブル固定部130は、作業装置6の左右の側面のいずれかに設けられていてもよい。なお、上記実施形態で説明した解体機1では、作業装置6を折りたたみ、アーム9の背面を地面に接触させた姿勢で休車することがある。このため、アーム9に発着装置140及びケーブル固定部130を設ける場合には、アーム9の背面ではなく側面に発着装置140及びケーブル固定部130を設けることが好ましい。
【0115】
<変形例6>
上記実施形態では、電源装置199が建屋12の上面に設けられ、第2ケーブル192が作業装置6の左側面に沿って配線される例について説明した。しかしながら、電源装置199の設置場所、及び第2ケーブル192の配線ルートは、上記実施形態に限定されない。例えば、電源装置199は、キャブ11の上面に設けられていてもよいし、第2ケーブル192は、作業装置6の背面に沿って配線されていてもよい。なお、電源装置199は、例えば、バッテリ及び発電機の少なくとも一方を含んで構成される。
【0116】
<変形例7>
上記実施形態では、離陸スイッチ30a及び着陸スイッチ30bがキャブ11内に設けられる例について説明した。しかしながら、離陸スイッチ30a及び着陸スイッチ30bは、作業員が操作する遠隔操作装置に設けてもよい。作業員は、解体機1の外側において、遠隔操作装置の離陸スイッチ30a及び着陸スイッチ30bを操作する。遠隔操作装置は、離陸スイッチ30aが操作されると、ドローン180の離陸を指示する離陸指示信号を車体コントローラ150に送信する。遠隔操作装置は、着陸スイッチ30bが操作されると、ドローン180の着陸を指示する着陸指示信号を車体コントローラ150に送信する。
【0117】
<変形例8>
車体コントローラ150は、図13のステップS185において着陸指令が出力された後、着陸完了が判定されるまで(S190でYes)の間に、作業装置6、旋回体5、及び走行体2が動作しているか否かを判定し、作業装置6、旋回体5、及び走行体2のうちの少なくともいずれかが動作していると判定した場合には、着陸モードから追従モードに制御モードを戻してもよい。これにより、ドローン180が着陸する際に、作業装置6とドローン180との接触に起因したドローン180の損傷を防止することができる。
【0118】
<変形例9>
第2実施形態では、第1ケーブル191を巻き取る巻取装置として、電動モータ262を駆動源とするウインチ260が採用されている例について説明した。しかしながら、巻取装置の構成は、これに限定されない。例えば、巻取装置は、ぜんまいバネなどの弾性力を利用して、第1ケーブル191を巻き取り可能な構成であってもよい。
【0119】
<変形例10>
上記実施形態では、ブーム7とアーム9の間にミドルアーム8が設けられた解体機1に本発明が適用される例について説明した。しかしながら、解体機1の構成はこれに限定されない。本発明は、例えば、ミドルアーム8を備えない解体機に適用してもよい。また、作業機械は、解体機1である場合に限定されない。本発明は、作業装置6の先端に取り付けられるアタッチメントがバケットとされた油圧ショベルなど、作業装置6の先端で作業を行う種々の作業機械に適用することができる。
【0120】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0121】
1…解体機(作業機械)、2…走行体、3…走行モータ(油圧アクチュエータ)、4…車体、5…旋回体、6…作業装置、7…ブーム、7a…ブームシリンダ(油圧シリンダ、油圧アクチュエータ)、8…ミドルアーム、8c…背面板、8p…ミドルアームピン、8s…ミドルアームシリンダ(油圧シリンダ、油圧アクチュエータ)、9…アーム、9a…アームシリンダ(油圧シリンダ、油圧アクチュエータ)、9p…アームピン、10…破砕機、10a…アタッチメントシリンダ(油圧シリンダ、油圧アクチュエータ)、10p…アタッチメントピン、11…キャブ(運転室)、12…建屋(機械室)、13…旋回モータ(油圧アクチュエータ)、30…飛行操作検出装置、30a…離陸スイッチ(操作スイッチ)、30b…着陸スイッチ(操作スイッチ)、31…操作レバー(操作装置)、32…操作レバー(操作装置)、33…走行ペダル(操作装置)、34…走行ペダル(操作装置)、35…操作ペダル(操作装置)、36…操作ペダル(操作装置)、37…ゲートロックレバー、38…コンソールパネル(入力装置)、39…表示装置、50…姿勢検出装置、51…通信装置、60…車体位置検出装置、70…飛行体位置検出装置、100…コントローラ、101…処理装置、102…不揮発性メモリ(記憶装置)、103…揮発性メモリ(記憶装置)、111…飛行操作判定部、112…動作判定部、113…モード設定部、114…固定制御部、115…飛行制御部、130…ケーブル固定部、140…発着装置、141…離着陸台、142…回動軸、143…支持板、144…連結ブラケット、145…支持部材、146…重錘、147…水平機構、149…固定装置、149a…永電磁チャック(マグネット定盤)、150…車体コントローラ(制御装置)、160…車両操作検出装置、180…ドローン(無人飛行体)、182…回転翼、183…吸着部、185…飛行コントローラ、186…通信装置、187…撮影装置、190…電力供給ケーブル、191…第1ケーブル、192…第2ケーブル、199…電源装置、216…ウインチ制御部、240…発着装置、244…連結ブラケット、247…水平機構、250…車体コントローラ(制御装置)、260…ウインチ(巻取装置)、261…ドラム、262…電動モータ、263…巻胴、264…フランジ、340…発着装置、347…水平機構、347m…電動モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18