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特開2025-103949検査装置及び検査装置の位置補正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025103949
(43)【公開日】2025-07-09
(54)【発明の名称】検査装置及び検査装置の位置補正方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20250702BHJP
【FI】
G01N21/956 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023221713
(22)【出願日】2023-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 哲也
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 武士
(72)【発明者】
【氏名】市川 博規
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA65
2G051AB14
2G051AC15
2G051BA20
2G051BB01
2G051BB03
2G051CA03
2G051CA04
(57)【要約】
【課題】撮像装置の高さ方向の移動に伴う視野の面内方向の位置ずれを補正すること。
【解決手段】検査装置は、所定面に対する高さ方向に沿った撮像方向に向けて対象物を撮像する撮像装置と、所定面に沿った面内方向、及び高さ方向の各方向に、撮像装置を移動させる移動装置と、撮像装置により撮像された画像を処理する画像処理部と、を備える。画像処理部は、高さ方向の複数位置に配置した撮像装置によって治具を撮像した複数の治具画像を取得し、複数の治具画像から、面内方向の相対位置が互いに既知で、かつ、高さ方向の位置が異なる複数の基準点の位置座標を取得し、複数の基準点の位置座標に基づいて、撮像装置の高さ方向の位置に応じた面内方向の位置補正量を算出する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定面に対する高さ方向に沿った撮像方向に向けて対象物を撮像する撮像装置と、
前記高さ方向に前記撮像装置を移動させる移動装置と、
前記撮像装置により撮像された画像を処理する画像処理部と、を備え、
前記画像処理部は、
前記高さ方向の複数位置に配置した前記撮像装置によって治具を撮像した複数の治具画像を取得し、
前記複数の治具画像から、前記所定面に沿った面内方向の相対位置が互いに既知で、かつ、前記高さ方向の位置が異なる複数の基準点の位置座標を取得し、
前記複数の基準点の位置座標に基づいて、前記撮像装置の前記高さ方向の位置に応じた前記面内方向の位置補正量を算出する、
検査装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、前記面内方向の位置が同一で、前記高さ方向の位置が異なる複数の基準点の位置座標を取得する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記高さ方向の位置が互いに異なり、前記面内方向の中心位置が一致した複数の検出面を有する前記治具を備え、
前記画像処理部は、前記複数の検出面の各々の中心点を、前記複数の基準点として取得する、
請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記複数の検出面は、前記高さ方向からみて同心円形状となる、
請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
互いに前記高さ方向に積み重ね可能な複数の前記治具を備え、
前記画像処理部は、前記治具の積み重ね数を異ならせて撮像した複数の前記治具画像から、前記複数の基準点の位置座標を取得する、
請求項2に記載の検査装置。
【請求項6】
複数の前記治具の少なくとも一部は、基部と、前記基部の一方面に設けられ前記基準点として検出される突起部と、前記基部の他方面に設けられ前記突起部が差し込まれる凹部と、を有する、
請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
前記複数の基準点の前記高さ方向の間隔は、前記撮像装置の被写界深度よりも大きい、
請求項1から6のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項8】
前記画像処理部は、
前記撮像装置により撮像された前記対象物の画像に基づいて前記対象物の検査部位の位置情報を取得し、
前記位置情報を、前記位置補正量に基づいて補正する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項9】
所定面に対する高さ方向に沿った撮像方向に向けて対象物を撮像する撮像装置を、移動装置によって前記高さ方向の複数位置に配置して治具を撮像することにより、複数の治具画像を取得するステップと、
前記複数の治具画像から、前記所定面に沿った面内方向の相対位置が互いに既知で、かつ、前記高さ方向の位置が異なる複数の基準点の位置座標を取得するステップと、
前記複数の基準点の位置座標に基づいて、前記撮像装置の前記高さ方向の位置に応じた前記面内方向の位置補正量を算出するステップと、を備える、
検査装置の位置補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検査装置及び検査装置の位置補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検査装置に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような検査装置が知られている。検査装置は、複数の部品が実装された基板の検査用画像を撮像する基板カメラと、基板カメラをY方向(水平方向)及びZ方向(上下方向)に移動させる移動機構とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/009884号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、各部品の高さに応じた高さ位置に基板カメラを配置して検査用画像が撮像される。移動機構に対する基板カメラの組付けに関する誤差や、高さ方向の移動機構の案内精度に関する誤差に起因して、基板カメラを高さ方向に移動させると、基板に沿った面内方向への基板カメラの視野の位置ずれが生じる。検査精度の向上のため、撮像装置の高さ方向の移動に伴う視野の面内方向の位置ずれを補正することが望まれる。
【0005】
本開示は、撮像装置の高さ方向の移動に伴う視野の面内方向の位置ずれを補正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、検査装置を開示する。検査装置は、所定面に対する高さ方向に沿った撮像方向に向けて対象物を撮像する撮像装置と、前記高さ方向に前記撮像装置を移動させる移動装置と、前記撮像装置により撮像された画像を処理する画像処理部と、を備え、前記画像処理部は、前記高さ方向の複数位置に配置した前記撮像装置によって治具を撮像した複数の治具画像を取得し、前記複数の治具画像から、前記所定面に沿った面内方向の相対位置が互いに既知で、かつ、前記高さ方向の位置が異なる複数の基準点の位置座標を取得し、前記複数の基準点の位置座標に基づいて、前記撮像装置の前記高さ方向の位置に応じた前記面内方向の位置補正量を算出する。
【0007】
本明細書は、検査装置の位置補正方法を開示する。検査装置の位置補正方法は、所定面に対する高さ方向に沿った撮像方向に向けて対象物を撮像する撮像装置を、移動機構によって前記高さ方向の複数位置に配置して治具を撮像することにより、複数の治具画像を取得するステップと、前記複数の治具画像から、前記所定面に沿った面内方向の相対位置が互いに既知で、かつ、前記高さ方向の位置が異なる複数の基準点の位置座標を取得するステップと、前記複数の基準点の位置座標に基づいて、前記撮像装置の前記高さ方向の位置に応じた前記面内方向の位置補正量を算出するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、撮像装置の高さ方向の移動に伴う視野の面内方向の位置ずれを補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る検査装置を模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係る制御装置を示す機能ブロック図である。
図3図3は、位置補正量を取得するためのキャリブレーション処理を説明する図である。
図4図4は、第1実施形態に係る治具の外観を示した模式的な斜視図である。
図5図5は、撮像装置の視野範囲に配置した治具を示した模式図である。
図6図6は、取得する基準点を説明する説明図である。
図7図7は、位置補正量の取得方法を説明する模式図である。
図8図8は、検査処理における位置補正を説明するための模式図である。
図9図9は、実施形態に係る検査装置の位置補正方法を示すフローチャートである。
図10図10は、実施形態に係る検査方法を示すフローチャートである。
図11図11は、実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
図12図12は、第2実施形態に係る複数の治具を示した模式的な側面図である。
図13図13は、第2実施形態に係る複数の治具の基準点の取得方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0011】
実施形態においては、XYZ直交座標系を規定し、XYZ直交座標系を参照しながら各部の位置関係について説明する。所定面内のX軸と平行な方向をX軸方向とする。X軸と直交する所定面内のY軸と平行な方向をY軸方向とする。所定面と直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。X軸を中心とする回転又は傾斜方向をθX方向とする。Y軸を中心とする回転又は傾斜方向をθY方向とする。Z軸を中心とする回転又は傾斜方向をθZ方向とする。X軸及びY軸を含む所定面を適宜、XY平面、と称する。所定面は、水平面と平行である。Z軸は鉛直線と平行である。Z軸は、所定面と直交する。Z軸方向は上下方向(所定面に対する高さ方向)である。+Z方向は上方向であり、-Z方向は下方向である。
【0012】
[検査装置]
図1は、実施形態に係る検査装置1を模式的に示す図である。実施形態において、検査装置1は、外観検査装置の一種である自動光学検査装置(AOI:Automated Optical Inspection)である。
【0013】
検査装置1は、対象物2を支持するテーブル3と、テーブル3を傾けるテーブル駆動装置4と、テーブル3に支持された対象物2を照明光で照明する照明装置5と、光学系6及びイメージセンサ7を有する撮像装置8と、撮像装置8を移動する移動装置9と、コンピュータシステムを含む制御装置10と、表示データを表示する表示装置11とを備える。
【0014】
対象物2は、検査装置1の検査対象物である。対象物2は、例えば、複数の電子部品が搭載された実装基板である。この場合、対象物2は、基板CBと、基板CB上に実装された複数の部品Pとを含む。検査装置1は、複数の部品Pが基板CBに搭載された実装基板の外観検査を実施する。
【0015】
テーブル3は、対象物2の少なくとも一部を支持する支持面13を有する。テーブル3の支持面13は、+Z方向を向く。支持面13は、XY平面と平行である。対象物2は、部品Pが実装された実装面が上方を向くように、テーブル3に支持される。対象物2がテーブル3に支持されている状態で、各部品Pは、基板CBの実装面から上方に突出する。
【0016】
テーブル駆動装置4は、テーブル3をθX方向及びθY方向のそれぞれに傾けることができる。テーブル3が傾くことにより、テーブル3に支持されている対象物2がθX方向及びθY方向のそれぞれに傾く。テーブル駆動装置4は、テーブル3を傾ける動力を発生する複数のアクチュエータ14と、複数のアクチュエータ14を介してテーブル3を支持するベース部材15とを有する。テーブル駆動装置4は、対象物2の検査対象となる面(基板CBの実装面)がXY平面と平行になるようにテーブル3の傾きを調整する。
【0017】
照明装置5は、テーブル3に支持された対象物2を照明光で照明する。照明装置5は、テーブル3よりも上方に配置される。照明装置5は、傾斜照明装置16と、同軸照明装置17とを有する。
【0018】
傾斜照明装置16は、円環状の複数の光源18と、複数の光源18を支持する支持部材19とを有する。光源18として、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が例示される。光源18は、照明光として白色光を射出する。
【0019】
実施形態において、光源18は、第1の内径を有する第1光源18Aと、第1の内径よりも大きい第2の内径を有する第2光源18Bと、第2の内径よりも大きい第3の内径を有する第3光源18Cとを含む。複数の光源18のうち、第1光源18Aがテーブル3から最も遠い位置に配置され、第1光源18Aに次いで第2光源18Bがテーブル3から遠い位置に配置され、第3光源18Cがテーブル3に最も近い位置に配置される。すなわち、複数の光源18のうち、第1光源18Aが最も高い位置に配置され、第1光源18Aに次いで第2光源18Bが高い位置に配置され、第3光源18Cが最も低い位置に配置される。テーブル3に対象物2が支持されていない場合、第1光源18Aから射出された照明光は、第1入射角度で支持面13に入射する。第2光源18Bから射出された照明光は、第2入射角度で支持面13に入射する。第3光源18Cから射出された照明光は、第3入射角度で支持面13に入射する。第1入射角度と第2入射角度と第3入射角度とは、異なる。
【0020】
同軸照明装置17は、撮像装置8の光学系6の入射面20の周囲に配置される光源21と、光源21を支持する支持部材22とを有する。光源21は、光学系6の入射面20の周囲に間隔をあけて複数配置される。光源21として、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が例示される。光源21は、照明光として白色光を射出する。
【0021】
光源21は、光学系6の光軸AXと平行な方向に照明光を射出する。実施形態において、光学系6の光軸AXは、Z軸と平行である。
【0022】
撮像装置8は、照明装置5で照明された対象物2を撮像する。撮像装置8は、テーブル3よりも上方に配置される。撮像装置8は、所定面(XY平面)に対する高さ方向(Z軸方向)に沿った撮像方向に向けて対象物2を撮像する。撮像装置8の撮像方向は、-Z方向である。撮像装置8は、テーブル3に支持されている対象物2を上方から撮像する。
【0023】
撮像装置8は、光学系6とイメージセンサ7とを有する。光学系6の光軸AXは、円環状の光源18の内側に配置される。撮像装置8の撮像方向は、光軸AXの延びる方向と一致する。イメージセンサ7は、光学系6を介して対象物2の画像を取得する。イメージセンサ7として、CCD(Couple Charged Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが例示される。撮像装置8により撮像される画像は、カラー画像である。なお、撮像装置8により撮像される画像は、モノクロ画像でもよい。
【0024】
実施形態では、撮像装置8は、固定焦点型の撮像装置である。光学系6は、焦点距離が一定値に固定された固定焦点光学系である。光学系6の焦点は、光学系6の先端面(下端面)よりも下方に存在する。光学系6と焦点との相対位置は、変化しない。
【0025】
移動装置9は、少なくとも、高さ方向に撮像装置8を移動させる。第1実施形態では、移動装置9は、所定面(XY平面)に沿った面内方向、及び高さ方向の各方向に、撮像装置8を移動させる。面内方向は、X軸方向及びY軸方向を含む。高さ方向は、Z軸方向である。移動装置9は、撮像装置8のボディを保持してZ軸方向に移動させるZ駆動部23と、Z駆動部23をX軸方向及びY軸方向に移動させるXY駆動部24とを有する。撮像装置8がXYZの各方向に移動することにより、照明装置5も、撮像装置8と一緒にXYZの各軸方向に移動する。
【0026】
Z駆動部23は、撮像装置8をZ軸方向に移動させる駆動力を発生するZアクチュエータを含む。Z駆動部23は、Zアクチュエータの駆動力によって撮像装置8をZ軸方向に移動させる伝達機構と、撮像装置8のZ軸方向の移動を案内するガイド部材とを含む。Zアクチュエータは、例えば、電動モータである。伝達機構は、例えば、ボールねじ軸とボールナットとを含むねじ送り機構である。ガイド部材は、例えば、リニアレールとスライドとを含むリニアガイドである。
【0027】
XY駆動部24は、Z駆動部23を介して撮像装置8を支持する。XY駆動部24は、Z駆動部23をX軸方向及びY軸方向に移動させることにより、撮像装置8を面内方向(X軸方向及びY軸方向)に移動させる。撮像装置8をX軸方向に移動させる駆動力を発生するXアクチュエータと、撮像装置8をY軸方向に移動させる駆動力を発生するYアクチュエータと、を含む。XY駆動部24は、いわゆる直交ロボット(XYロボット)により構成される。
【0028】
XY平面内において撮像装置8が移動することにより、撮像装置8の視野範囲25が対象物2に対してX軸方向及びY軸方向に移動する。撮像装置8の視野範囲25は、撮像装置8の撮像可能範囲である。撮像装置8の視野範囲25は、対象物2の平面サイズよりも小さい。XY平面内において撮像装置8の視野範囲25と対象物2との相対位置が調整されることにより、撮像装置8は、対象物2の複数の範囲をそれぞれ個別に撮像することができる。検査装置1は、対象物2の複数の範囲を撮像した画像を画像処理により合成することができる。
【0029】
対象物2の基板CBに実装された複数の部品Pの高さ寸法は、部品種に応じて様々である。図1では、複数の部品Pは、高さが小さい部品Pa、高さが中程度の部品Pb、高さが大きい部品Pc、を含む。撮像装置8は、検査部位の高さ位置に応じて、Z軸方向に移動される。撮像装置8は、検査部位が部品Pの一部又は全部である場合、部品Pの高さ寸法に応じてZ軸方向に移動される。撮像装置8は、撮像の際、視野範囲25内に存在する部品Pの検査部位が、光学系6の焦点を含む被写界深度の範囲内に配置されるように(つまり、検査部位にピントが合うように)、高さ方向の位置がZ駆動部23によって調整される。
【0030】
制御装置10は、テーブル駆動装置4、照明装置5、撮像装置8、及び移動装置9を制御する。制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを含む演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリ及びストレージを含む記憶装置とを有する。演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施する。なお、制御装置10は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)のような集積回路により構成されてもよい。
【0031】
表示装置11は、表示データを表示させる表示画面を有する。表示装置11として、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescence Display)のようなフラットパネルディスプレイが例示される。表示装置11に表示される表示データは、対象物2の画像を含む。作業者は、表示装置11の表示画面で対象物2の状態を確認することができる。
【0032】
[制御装置]
図2は、実施形態に係る制御装置10を示す機能ブロック図である。制御装置10は、照明制御部26と、撮像位置制御部27と、撮像制御部28と、画像取得部29と、画像処理部30と、テーブル制御部31と、表示制御部32と、記憶部33とを有する。
【0033】
照明制御部26は、照明装置5に制御指令を出力して、テーブル3に支持されている対象物2を照明光で照明させる。
【0034】
撮像位置制御部27は、移動装置9に制御指令を出して、XYZの各軸方向に撮像装置8を移動させる。撮像位置制御部27は、移動装置9に制御指令を出力して、撮像装置8の視野範囲25と対象物2の検査部位との高さ方向(Z軸方向)の相対位置を調整する。撮像位置制御部27は、Z駆動部23及びXY駆動部24にそれぞれ設けられたエンコーダ又は位置センサ等の位置情報取得手段からの検出信号に基づいて、移動装置9の各軸方向の位置座標を取得する。撮像位置制御部27は、取得した各軸方向の位置座標に基づいて撮像装置8を移動させる。
【0035】
撮像制御部28は、撮像装置8に制御指令を出力して、光学系6の視野範囲25に配置されている対象物2の画像を撮像させる。撮像制御部28は、撮像装置8に制御指令を出力して、対象物2を撮像させるタイミング、シャッター速度、及び光学系6の絞りの少なくとも一つを含む撮像条件を制御する。
【0036】
画像取得部29は、光学系6の視野範囲25に配置されている対象物2の画像を撮像装置8から取得する。
【0037】
画像処理部30は、撮像装置8により撮像された画像を処理する。画像処理部30は、画像取得部29から画像を取得し、画像に対して画像処理を実施する。画像処理部30は、例えば、パターンマッチングにより、検査部位を画像認識して、検査部位の位置情報を取得する。画像処理部30は、例えば、位置情報として、部品Pの輪郭形状、部品Pの幾何学中心、部品Pのリードなどの個別部位、部品Pに付与されている標識、などの位置座標を取得したり、複数の部品Pの距離や搭載角度を取得したりする。また、画像処理部30は、傾斜照明装置16及び同軸照明装置17によって照明光の照射角度を複数角度に変更して撮像された複数の画像から、対象物2のXYZの各軸方向の位置座標を算出し、対象物2の3次元画像(立体画像)を生成することができる。
【0038】
テーブル制御部31は、テーブル駆動装置4に制御指令を出力して、テーブル3の角度を調整する。
【0039】
表示制御部32は、画像取得部29により取得された対象物2の画像を表示装置11に表示させる。
【0040】
記憶部33は、検査装置1による対象物2の検査に関わる各種情報を記憶する。記憶部33は、対象物2における検査部位の位置や検査項目を規定する検査プログラムを記憶する。また、記憶部33は、対象物2である基板CB及び部品Pの情報を含む基板データを記憶する。記憶部33は、画像取得部29により取得された対象物2の画像を記憶する。また、記憶部33は、後述するキャリブレーション処理によって算出される補正式53を記憶する。補正式53は、撮像装置8の高さ方向(Z軸方向)の位置に応じて、面内方向(X軸方向及びY軸方向)の位置補正量54を算出するための関数である。
【0041】
[面内方向の位置補正量]
上述の通り、撮像装置8は、Z駆動部23によって高さ方向(Z軸方向)に移動されることにより、対象物2との光軸方向の距離が調整できる。撮像装置8は、撮像の際、部品Pの検査部位にピントが合う撮像高さに配置されるように、高さ方向の位置がZ駆動部23によって調整される。
【0042】
しかし、移動装置9に対する撮像装置8の組付けに関する誤差や、高さ方向(Z軸方向)のガイド部材の案内精度(いわゆる、走り精度)に関する誤差が不可避的に発生する。これらの誤差に起因して、撮像装置8を高さ方向に移動させると、面内方向(X軸方向及びY軸方向)への視野(視野範囲25)の位置ずれが生じる。そこで、実施形態では、検査装置1は、撮像装置8を高さ方向の位置に応じた面内方向の位置補正量54を算出して、高さ方向の移動に起因する視野の面内方向の位置ずれの補正を行う。検査装置1は、キャリブレーション処理を行うことにより、位置補正量54を算出するための補正式53を作成する。
【0043】
図3は、位置補正量54を取得するためのキャリブレーション処理を説明する図である。図3に示すように、撮像装置8は、理想的には、Z軸と平行な移動軸A1に沿って高さ方向に移動するが、上記の誤差要因により、移動軸A1に対して傾斜した移動軸A2に沿って移動する。図3は、理解の容易化のために便宜的に、移動軸A2の傾斜を極端に誇張して示している。実際の移動軸A2の移動軸A1に対する傾斜角度は、ごく小さい。撮像装置8が傾斜した移動軸A2に沿って移動すると、例えば点線で示すように、撮像装置8のZ軸方向の位置が変化するのに従って、撮像装置8のXY平面における位置(XY座標)も変化する。
【0044】
キャリブレーション処理では、既知形状の治具40を、複数の高さ位置で撮像することによって複数の治具画像50を取得し、得られた治具画像50から高さ方向の位置が異なる複数の基準点RPの位置座標を取得する。この複数の基準点RPの位置座標の変化に基づいて、撮像装置8の高さ位置に応じた視野範囲25の面内方向の位置ずれを取得する。
【0045】
複数の基準点RPは、面内方向の相対位置が互いに既知で、かつ、高さ方向の位置が異なる。これにより、いずれかの基準点RPの面内方向の位置を基準として、他の基準点RPとの面内方向の相対位置がどれだけずれて写ったかが分かる。この複数の基準点RP間の面内方向の相対位置ずれが、視野範囲25の面内方向の位置ずれを表す。好ましくは、複数の基準点RPは、面内方向の位置が同一である。この場合、複数の治具画像50における各基準点RPの位置の差異が、そのまま視野範囲25の面内方向の位置ずれを表すので、位置ずれの演算が容易となる。
【0046】
治具40は、基準点RPの位置座標を取得することが可能な検出面41を有する。基準点RPは、検出面41と同一平面内の位置にある。治具40は、高さ位置が異なる複数の基準点RPを検出するため、異なる高さ位置に複数の検出面41を有する。複数の検出面41は、基準点RPごとに設けられる。
【0047】
基準点RPは、治具40に設けられた特定の構造または標識部位であってもよい。基準点RPは、治具40の外形形状から算出される特定位置であってもよい。基準点RPは、検出面41と同一の平面内の位置である。基準点RPは、例えば、検出面41の輪郭形状から求められる位置である。
【0048】
図4は、第1実施形態に係る治具40の外観を示した模式的な斜視図である。第1実施形態では、図4に示すように、治具40は、円柱の本体部42を、上方(+Z方向)に向かうに従って直径が段階的に縮小するように階段状(円形ピラミッド状)に形成した構造を有する。
【0049】
治具40は、高さ方向の位置が互いに異なり、面内方向の中心位置が一致した複数の検出面41を有する。図4では、治具40は、検出面41A、検出面41B、検出面41C、検出面41D、及び検出面41Eを有する。検出面41A、検出面41B、検出面41C、検出面41D、及び検出面41Eは、-Z方向から+Z方向に向けてこの順で設けられている。検出面41Eは、治具40の上端面を構成する。そのため、高さ方向(Z方向)から見て、検出面41A、検出面41B、検出面41C、検出面41Dは円環形状であり、検出面41Eは円形状である。治具40は、検出面41A、検出面41B、検出面41C、検出面41D、及び検出面41Eは、面内方向の中心位置が同一である。そのため、複数の検出面41A~41Eは、高さ方向からみて同心円形状(図5参照)となる。
【0050】
検出面41Aは、直径D1を有する。検出面41Bは、直径D2(<D1)を有する。検出面41Cは、直径D3を(<D2)有する。検出面41Dは、直径D4(<D3)を有する。検出面41Eは、直径D5(<D4)を有する。高さ方向に隣り合う検出面の間の直径の差は等しい。つまり、それぞれ環状形状を有する検出面41Aの幅、検出面41Bの幅、検出面41Cの幅、検出面41Dの幅は、互いに等しい。高さ方向に隣り合う検出面の間の直径の差は、撮像装置8の画像の分解能に応じて、複数の検出面41の輪郭を別々に抽出可能であればよい。
【0051】
図5は、撮像装置8の視野範囲25に配置した治具40を示した模式図である。図5に示すように、検出面41Aの直径D1は、視野範囲25の縦横寸法よりも小さい。つまり、治具40は、各検出面41の全体が視野範囲25内に収まる平面サイズに形成されている。
【0052】
撮像装置8の視野範囲25に治具40を配置した状態で、撮像装置8が移動軸A2に沿って移動され、検出面41A、検出面41B、検出面41C、検出面41D、検出面41Eに焦点が合う高さ位置で、それぞれ治具画像50が取得される。
【0053】
図3に示すように、検出面41Aに対して、焦点距離DFに応じた所定距離上方の撮像高さZ1で、検出面41Aの治具画像50Aが取得される。検出面41Bに対して、所定距離上方の撮像高さZ2で、検出面41Bの治具画像50Bが取得される。検出面41Cに対して、所定距離上方の撮像高さZ3で、検出面41Cの治具画像50Cが取得される。検出面41Dに対して、所定距離上方の撮像高さZ4で、検出面41Dの治具画像50Dが取得される。検出面41Eに対して、所定距離上方の撮像高さZ5で、検出面41Eの治具画像50Eが取得される。
【0054】
複数の基準点RPの高さ方向の間隔は、撮像装置8の被写界深度DOFよりも大きい。すなわち、高さ方向に隣接する2つの検出面41の高さの差H(図4参照)が、被写界深度DOFよりも大きい。このため、いずれかの検出面(例えば、検出面41B)に焦点が合う撮像高さZ2に撮像装置8を配置した場合、高さ方向に隣接する他の検出面(検出面41A、検出面41C)が被写界深度DOFの外部に位置して焦点が合わなくなる。これにより、画像処理において検出対象以外の他の検出面41を誤認識することが抑制される。
【0055】
画像処理部30は、得られた治具画像50A、治具画像50B、治具画像50C、治具画像50D、治具画像50Eの各々について、基準点RPを取得する。実施形態では、画像処理部30は、複数の検出面41の各々の中心点を、複数の基準点RPとして取得する。具体的には、画像処理部30は、パターンマッチングによって、各検出面の円形状の輪郭を抽出し、抽出した輪郭の中心位置を、基準点RPとして取得する。
【0056】
図6は、取得する基準点RPを説明する説明図である。画像処理部30は、複数の治具画像50から、面内方向の相対位置が互いに既知で、かつ、高さ方向の位置が異なる複数の基準点RPの位置座標を取得する。実施形態では、複数の基準点RPの面内方向の位置は同一である。そのため、画像処理部30は、面内方向の位置が同一で、高さ方向の位置が異なる複数の基準点RPの位置座標を取得する。
【0057】
画像処理部30は、治具画像50A(撮像高さZ1)における検出面41Aの輪郭42Aの中心位置を、基準点RP1の位置座標51Aとして取得する。画像処理部30は、治具画像50B(撮像高さZ2)における検出面41Bの輪郭42Bの中心位置を、基準点RP2の位置座標51Bとして取得する。画像処理部30は、治具画像50C(撮像高さZ3)における検出面41Cの輪郭42Cの中心位置を、基準点RP3の位置座標51Cとして取得する。画像処理部30は、治具画像50D(撮像高さZ4)における検出面41Dの輪郭42Dの中心位置を、基準点RP4の位置座標51Dとして取得する。画像処理部30は、治具画像50E(撮像高さZ5)における検出面41Eの輪郭42Eの中心位置を、基準点RP5の位置座標51Eとして取得する。なお、図6に示した治具画像50A~50Eは、正確には、治具画像50A~50Eから画像認識により抽出された検出面41の輪郭の像である。実際の治具画像50A~50Eは、図5のように各検出面41が含まれ、かつ、特定の1つの検出面41のみにピントが合った画像となる。
【0058】
図7は、位置補正量54の取得方法を説明する模式図である。図7(A)は、治具40を高さ方向(Z軸方向)から見た模式図であり、図7(B)は、治具40を面内方向から見た模式図である。図7における丸印は、治具画像50に基づいて取得した位置座標51A、51B、51C、51D及び51Eを、実際の治具40に重ねてプロットしたものである。
【0059】
上述の通り、複数の基準点RPは、面内方向の位置が同一であるため、図7に示した治具40の中心軸線上に位置する。これに対して、撮像装置8が傾斜した移動軸A2に沿って高さ方向に移動する場合、移動軸A2の傾斜に応じて、取得した位置座標51A、51B、51C、51D及び51Eの位置が面内方向にずれることになる。
【0060】
画像処理部30は、複数の基準点RPの位置座標に基づいて、撮像装置8の高さ方向の位置に応じた面内方向の位置補正量54を算出する。具体的には、画像処理部30は、取得した位置座標51A、51B、51C、51D及び51Eを直線近似することにより、移動軸A2の傾斜に対応した直線52を表す補正式53(図2参照)を取得する。補正式53によって、撮像装置8を任意の撮像高さZnに配置して撮像したときの直線52上の点Gの面内方向のずれ量が算出される。このずれ量が、撮像高さZnに対応した位置補正量54となる。画像処理部30は、取得した補正式53を、記憶部33に格納する。
【0061】
キャリブレーション処理では、このようにして補正式53を求めることで、任意の撮像高さにおける視野範囲25の面内方向の位置ずれを補正するための位置補正量54を算出することが可能となる。
【0062】
[位置ずれ補正]
検査装置1は、検査処理において、撮像装置8の高さ位置に応じた位置補正量54を算出して、視野範囲25の面内方向の位置ずれを補正する。具体的には、検査装置1は、対象物2の画像(検査用画像60)に基づいて得られる検査部位の位置情報61を、位置補正量54に基づいて補正する。
【0063】
図8は、検査処理における位置補正を説明するための模式図である。図8では、一例として、高さの小さい部品Paと、高さ寸法の大きい部品Pcとについて、それぞれの中心位置を検査部位として求める。撮像装置8は、撮像高さZaで、部品Paの検査用画像60を撮像し、撮像高さZcで、部品Pcの検査用画像60を撮像する。
【0064】
画像処理部30は、撮像装置8により撮像された対象物2の検査用画像60に基づいて対象物2の検査部位の位置情報61を取得する。図8の例では、画像処理部30は、部品Paの中心位置座標を位置情報61aとして取得し、部品Pcの中心位置座標を位置情報61cとして取得する。この時、検査用画像60から取得される中心位置Ga、Gcは、それぞれの撮像高さに応じた位置ずれを含む。
【0065】
位置情報61を、位置補正量54に基づいて補正する。画像処理部30は、中心位置Gaについて、補正式53により、撮像高さZaに応じた位置補正量54aを算出し、位置情報61aを補正する。画像処理部30は、中心位置Gcについて、補正式53により、撮像高さZcに応じた位置補正量54cを算出し、位置情報61cを補正する。この結果、位置情報61a及び位置情報61cは、面内方向に関して、位置ずれを除去した中心位置Qa及び中心位置Qcとして算出される。
【0066】
図7に示した例では、撮像高さが大きくなる(+Z方向に移動する)ほど、位置ずれが大きくなるため、部品Paの中心位置Gaの位置ずれ量と比べて、部品Pcの中心位置Gcの位置ずれ量が大きくなる。撮像高さに応じた位置補正量54を得ることによって、高さ位置が異なる検査部位の面内方向の位置を適切に取得することが可能となる。その結果、3次元画像の生成や、検査部位間の距離計測を、精度良く行える。例えば、高さが異なる中心位置Qaと中心位置Qcとの面内方向の距離計測を、高精度に行うことが可能となる。
【0067】
[検査装置の位置補正方法]
図9は、実施形態に係る検査装置の位置補正方法を示すフローチャートである。実施形態に係る検査装置の位置補正方法は、撮像装置8を高さ方向に移動させたときに生じる視野の面内方向の位置ずれを補正するための位置補正量54を算出する方法である。実施形態に係る検査装置の位置補正方法は、検査装置1による検査実施前に、キャリブレーション処理として予め実施される。
【0068】
検査装置の位置補正方法では、治具40がテーブル3の支持面13に設置される。治具40は、治具40と撮像装置8とが上下方向(高さ方向)対向するように、テーブル3に支持される(ステップS10)。
【0069】
検査装置の位置補正方法では、所定面に対する高さ方向に沿った撮像方向に向けて対象物2を撮像する撮像装置8を、移動装置9によって高さ方向の複数位置に配置して治具40を撮像することにより、複数の治具画像50を取得する(ステップS11)。
【0070】
図3に示すように、撮像位置制御部27は、既知寸法の治具40の各検出面41の高さ位置に基づいて、複数の検出面41をそれぞれ撮像可能な撮像高さに撮像装置8を順番に配置するように、移動装置9を制御する。撮像制御部28は、それぞれの撮像高さで、対応する検出面41を撮像するように、撮像装置8を制御する。照明制御部26は、撮像装置8の撮像タイミングに合わせて照明光を照射するように照明装置5を制御する。画像取得部29は、それぞれの撮像高さで撮像された治具画像50を取得する。これにより、検出面41Aの治具画像50A、検出面41Bの治具画像50B、検出面41Cの治具画像50、検出面41Dの治具画像50D、検出面41Eの治具画像50Eが取得される。
【0071】
次に、複数の治具画像50から、所定面に沿った面内方向の相対位置が互いに既知で、かつ、高さ方向の位置が異なる複数の基準点RPの位置座標を取得する(ステップS12)。画像処理部30は、画像取得部29から複数の治具画像50を取得して、それぞれの治具画像50における基準点RPの位置座標を取得する。第1実施形態では、画像処理部30は、図6に示すように、複数の検出面41の各々の中心点を、複数の基準点RPの位置座標として取得する。
【0072】
検査装置の位置補正方法は、複数の基準点RPの位置座標に基づいて、撮像装置8の高さ方向の位置に応じた面内方向の位置補正量54を算出する(ステップS13)。画像処理部30は、取得した位置座標51A、51B、51C、51D及び51Eを直線近似することにより、撮像装置8の移動軸A2に対応した直線52を表す補正式53を取得する。補正式53によって、撮像装置8を任意の高さ位置に配置したときの位置補正量54が算出される。画像処理部30は、取得した補正式53を、記憶部33に格納する。
【0073】
[検査方法]
図10は、実施形態に係る検査方法を示すフローチャートである。対象物2がテーブル3の支持面13に設置される。対象物2は、対象物2と撮像装置8とが対向するように、テーブル3に支持される(ステップS20)。
【0074】
検査装置1は、対象物2の検査用画像60を取得する(ステップS21)。検査装置1は、対象物2が撮像装置8の視野範囲25よりも大きい場合、対象物2を分割撮像する。
撮像位置制御部27は、対象物2である基板CBの基板データに基づいて、撮像装置8を個々の撮像位置へ順番に移動するように、移動装置9を制御する。この際、撮像位置制御部27は、基板データにおける対象物2の各部の高さ寸法(つまり、部品Pの高さ寸法)に応じて、検査部位に焦点が合う撮像高さへ撮像装置8を位置付けるように、移動装置9を制御する。撮像制御部28は、撮像装置8の視野範囲25に配置されている対象物2の検査用画像60を撮像装置8に撮像させる。照明制御部26は、撮像装置8の撮像タイミングに合わせて照明光を照射するように照明装置5を制御する。画像取得部29は、撮像装置8から検査用画像60を取得する。撮像位置制御部27は、Z駆動部23に設けられたエンコーダ又は位置センサ等の位置情報取得手段により、検査用画像60を撮像した時の撮像装置8の撮像高さの情報を取得する。取得された検査用画像60と、その検査用画像60を撮像した時の撮像装置8の撮像高さの情報とが、記憶部33に格納される。
【0075】
画像処理部30は、検査用画像60に基づいて対象物2の検査部位の位置情報61を取得する(ステップS22)。画像処理部30は、例えば、パターンマッチングにより、画像中の検査部位を認識し、認識した検査部位の位置情報61を取得する。パターンマッチングに用いる検査部位のテンプレートは、予め作成され記憶部33に格納される。この際に、取得される位置情報61は、検査用画像60を撮像した時の撮像装置8の撮像高さに応じた面内方向の位置ずれを含む。
【0076】
画像処理部30は、撮像装置8の高さ方向の位置に応じた面内方向の位置補正量54により、検査部位の位置情報61を補正する(ステップS23)。画像処理部30は、検査用画像60を撮像した時の撮像装置8の撮像高さと、キャリブレーション処理で取得された補正式53とにより、撮像高さに応じた面内方向の位置補正量54を算出する。画像処理部30は、算出した位置補正量54によって、検査用画像60に含まれる検査部位の位置情報61を補正する。画像処理部30は、対象物2を分割撮像して得られた検査用画像60毎に、検査用画像60を撮像した時の撮像装置8の撮像高さに応じた位置補正量54を算出して、検査用画像60に含まれる検査部位の位置情報61をそれぞれ補正する。
【0077】
対象物2の各検査部位の位置情報61が、それぞれの検査部位の撮像高さに応じた位置補正量54によって補正される。その結果、対象物2の各検査部位の位置情報61における視野範囲25の位置ずれに起因する誤差が除去される。
【0078】
[コンピュータシステム]
図11は、実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述の制御装置10は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPUのようなプロセッサ1001と、ROMのような不揮発性メモリ及びRAMのような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。制御装置10の機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、コンピュータプログラムに従って上述の処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0079】
コンピュータプログラムは、上述の実施形態に従って、コンピュータシステム1000に、撮像装置8を移動装置9によって高さ方向の複数位置に配置して治具40を撮像することにより、複数の治具画像50を取得するステップと、複数の治具画像50から複数の基準点RPの位置座標を取得するステップと、複数の基準点RPの位置座標に基づいて、撮像装置8の高さ方向の位置に応じた面内方向の位置補正量54を算出するステップと、を実行させることができる。
【0080】
[効果]
以上説明したように、第1実施形態によれば、画像処理部30は、高さ方向(Z方向)の複数位置に配置した撮像装置8によって治具40を撮像した複数の治具画像50を取得し、複数の治具画像50から、面内方向(X方向及びY方向)の相対位置が互いに既知で、かつ、高さ方向の位置が異なる複数の基準点RPの位置座標を取得し、複数の基準点RPの位置座標に基づいて、撮像装置8の高さ方向の位置に応じた面内方向の位置補正量54を算出する。これにより、複数の基準点RPの相対位置関係の変化から、撮像装置8の高さ方向の位置に応じた面内方向の位置ずれを把握し、撮像装置8の高さ方向の位置に応じた視野範囲25の面内方向の位置ずれを補正する位置補正量54を得ることができる。位置補正量54を用いることで、撮像装置8の高さ方向の移動に伴う視野(視野範囲25)の面内方向の位置ずれを補正することができる。
【0081】
第1実施形態において、画像処理部30は、面内方向の位置が同一で、高さ方向の位置が異なる複数の基準点RPの位置座標を取得する。この場合、面内方向の複数の基準点RPの位置座標が同一となるので、各治具画像50から得られた基準点RPの位置座標のずれが、そのまま視野(視野範囲25)の面内方向の位置ずれを表すことになる。そのため、位置補正量54を容易に求めることができる。
【0082】
検査装置1は、高さ方向の位置が互いに異なり、面内方向の中心位置が一致した複数の検出面41を有する治具40を備え、画像処理部30は、複数の検出面41の各々の中心点を、複数の基準点RPとして取得する。これにより、検出面41の輪郭形状から中心点を求めることにより、基準点RPを容易かつ精度よく求めることができる。
【0083】
治具40の複数の検出面41は、高さ方向からみて同心円形状となる。つまり、各検出面41は、いずれも円形状の輪郭を有する。円形状の輪郭の全ての点が基準点RPを算出するためのサンプルとなるため、サンプル点の数を増やすことができ、その結果、基準点RPを高精度に求めることができる。
【0084】
複数の基準点RPの高さ方向の間隔は、撮像装置8の被写界深度DOFよりも大きい。これにより、一の基準点RPを取得するための治具画像50では、他の基準点RPを取得するための構造にピントが合わなくなる。そのため、画像処理によって治具画像50から一の基準点RPを特定する際に、他の基準点RPの情報を効果的に排除できるので、基準点RPの位置座標を精度よく取得できる。
【0085】
画像処理部30は、撮像装置8により撮像された対象物2の画像に基づいて対象物の検査部位の位置情報61を取得し、位置情報61を、位置補正量54に基づいて補正する。これにより、撮像装置8の高さ方向の移動に伴う視野(視野範囲25)の面内方向の位置ずれを排除して、検査部位の位置情報61を精度よく取得できる。また、位置補正量54に基づいて撮像装置8の面内方向の位置を補正するのではなく、画像から得られた位置情報61を補正するので、撮像装置8の移動制御が複雑化することが抑制できる。
【0086】
第1実施形態に係る検査装置1の位置補正方法によれば、所定面に対する高さ方向に沿った撮像方向に向けて対象物を撮像する撮像装置8を、移動機構によって高さ方向の複数位置に配置して治具40を撮像することにより、複数の治具画像50を取得するステップと、複数の治具画像50から、所定面に沿った面内方向の相対位置が互いに既知で、かつ、高さ方向の位置が異なる複数の基準点RPの位置座標を取得するステップと、複数の基準点RPの位置座標に基づいて、撮像装置8の高さ方向の位置に応じた面内方向の位置補正量54を算出するステップと、を備える。これにより、複数の基準点RPの相対位置関係の変化から、撮像装置8の高さ方向の位置に応じた視野(視野範囲25)の面内方向の位置ずれを把握し、この位置ずれを補正する位置補正量54を得ることができる。位置補正量54を用いることで、撮像装置8の高さ方向の移動に伴う視野(視野範囲25)の面内方向の位置ずれを補正することができる。
【0087】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0088】
上記第1実施形態では、円柱の本体部42を、上方(+Z方向)に向かうに従って外径が段階的に縮小するように階段状(円形ピラミッド状)に形成した構造の治具40を例示した。この第2実施形態では、互いに高さ方向に積み重ね可能な複数の治具140を用いる例を示す。
【0089】
図12は、第2実施形態に係る複数の治具140を示した模式的な側面図である。図13は、第2実施形態に係る複数の治具140の基準点RPの取得方法を説明する模式図である。第2実施形態において、治具140以外の検査装置1の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0090】
図12に示すように、検査装置1は、互いに高さ方向に積み重ね可能な複数の治具140を備える。図12の例では、複数の治具140は、第1治具141、第2治具142、第3治具143を含む。第2実施形態では、複数の治具140の各々から、1つずつ基準点RPを取得できる。したがって、図12では、第1治具141、第2治具142、第3治具143の3つの治具140から、基準点RP11、基準点RP12、基準点RP13の3点が取得される。治具140の数は、複数であれば任意である。治具140の数は、2つ又は4つ以上でもよい。治具140の数が多いほど、基準点RPの数が多くなるので、基準点RPの位置座標に基づいて算出する位置補正量54の精度を向上させることが可能である。
【0091】
複数の治具140は、キャリブレーション処理において、高さ方向に積み重ねて使用される。図12の例では、第1治具141が、単独で(積み重ね数=0で)使用される。第1治具141の上に、第2治具142が重ねられる。この場合は、積み重ね数=1である。第1治具141及び第2治具142の積層体における第2治具142の上に、第3治具143が重ねられる。この場合は、積み重ね数=2となる。積み重ねることによって、異なる高さ位置の基準点RPを、治具140の最上部に配置できる。画像処理部30は、治具140の積み重ね数を異ならせて撮像した複数の治具画像50から、複数の基準点RPの位置座標を取得する。これにより、高さ方向の位置が異なる複数の基準点RPが取得可能となる。
【0092】
複数の治具140の少なくとも一部は、基部151と、基部151の一方面152に設けられ基準点RPとして検出される突起部153と、基部151の他方面154に設けられ突起部153が差し込まれる凹部155と、を有する。基部151の一方面152は、基部151の上面であり、基部151の他方面154は、基部151の下面である。図12において、第1治具141、第2治具142、第3治具143は、共に、基部151と、突起部153とを有する。第2治具142、第3治具143は、凹部155を有する。なお、第1治具141は、凹部155を有しない。
【0093】
基部151は、平板形状を有する。基部151の平面形状は、特に限定されない。基部151は、平面視で、円形状、多角形状、その他の任意形状を有していてよい。基部151は、平面視で、撮像装置8の視野範囲25よりも大きくてもよい。第1実施形態では、検出面41の輪郭形状を取得するため、治具40の全体が平面視で撮像装置8の視野範囲25内に収まる例を示したが、第2実施形態では、突起部153から基準点RPを取得するので、基部151のサイズが制限されない。図12の例では、複数の治具140のうち、下側に配置される治具ほど大きい基部151を有する。第1治具141の基部151Aは、第2治具142の基部151Bよりも大きく、第2治具142の基部151Bは、第3治具143の基部151Cよりも大きい。このため、複数の治具140を積み重ねると、基部151の部分がピラミッド状となる。
【0094】
突起部153は、基部151に一体形成されている。突起部153は、基部151の上面である一方面152から立ち上がるように設けられる。突起部153は、先端部に向けて外形寸法が小さくなる先細形状を有する。突起部153は、基部151に接続する基端部よりも面積が小さい先端部を有する。治具140の撮像時には、突起部153の先端部が、治具140の上方に向く。突起部153の先端部が、治具画像50における基準点RPとなる。突起部153の先端部は、画像認識に適した形状を有することが好ましい。突起部153の先端部は、例えば平坦面状である。突起部153の先端部の平面形状は、特に限定されず、円形状、多角形状、その他の任意形状を有する。突起部153の先端部は、例えば、平面視で円形状を有する。突起部153の先端部の大きさ(面積)は、加工精度と認識精度の観点から、治具画像50において画像認識可能な範囲内でなるべく小さいことが好ましい。突起部153は、少なくとも先端部が、撮像装置8の視野範囲25内に収まる大きさに形成される。
【0095】
図12の例では、複数の治具140のそれぞれの突起部153は、同一形状を有する。複数の治具140のそれぞれの突起部153が、互いに異なる形状を有していてもよい。突起部153の高さ寸法は、例えば、撮像装置8の被写界深度DOFよりも大きい。この場合、突起部153の先端部にピントを合わせたときに、基部151の上面にピントが合わなくなるので、突起部153の先端部だけを容易に画像認識できる。
【0096】
凹部155は、基部151に一体形成されている。凹部155は、基部151の下面である他方面154から一方面152に向けて凹んでいる。凹部155は、複数の治具140を重ねたときに、下側に配置される治具の突起部153を収容する収容空間を提供する。そのため、凹部155は、最下段に配置される第1治具141の基部151Aには設けられていない。複数の治具140は、積み重ねた状態では、上側に配置される治具の凹部155内に、下側に配置される治具の突起部153が収容される。下側の治具の基部151の一方面152に、上側の治具の基部151が設置されることによって、治具140の積み重ねが実現される。
【0097】
凹部155の内面の少なくとも一部は、突起部153と接触することにより、重なり合う治具同士の位置決め部として機能する。図12では、凹部155は、突起部153の外形形状に対応した凹形状となっている。複数の治具140は、積み重ねた状態では、上側に配置される治具の凹部155の内面に、下側に配置される治具の突起部153の表面が接触することで、複数の治具140の面内方向の位置合わせがなされる。凹部155は、突起部153の直下の位置に設けられる。そのため、複数の治具140は、積み重ねた状態では、突起部153が凹部155に嵌り込むことによって、それぞれの突起部153の面内方向の位置が一致する。したがって、第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、複数の基準点RPの面内方向の位置が同一である。一例では、突起部153が円錐形状を有し、凹部155は円錐状の凹形状(すり鉢形状)を有する。この場合、凹部155の内面が突起部153を案内する案内面となり、突起部153を適正位置に正確に配置できる。なお、基部151の凹部155以外の位置に位置決め構造を設けてもよい。その場合、凹部155は、下側の治具の突起部153を収容可能であればよく、突起部153と接触しないように凹部155を形成してもよい。
【0098】
キャリブレーション処理では、図13に示すように、複数の治具140の積み重ね数を異ならせて、複数の治具画像50を撮像する。それぞれの治具画像50の撮像時には、撮像装置8は、治具140の最上面に露出している突起部153の先端部に焦点が合う撮像高さに配置される。
【0099】
まず、図13(A)に示すように、第1治具141により、積み重ね数=0での治具画像50が取得される。基準点RP11は、第1治具141の突起部153の先端部の高さ位置にある。撮像装置8は、突起部153の先端部に対して、焦点距離DFに応じた撮像高さZ11で、基準点RP11の位置座標を取得するための治具画像50を撮像する。
【0100】
次に、図13(B)に示すように、第1治具141及び第2治具142の積層体により、積み重ね数=1での治具画像50が取得される。基準点RP12は、第2治具142の突起部153の先端部の高さ位置にある。撮像装置8は、第2治具142の突起部153の先端部に対して、焦点距離DFに応じた所定距離だけ上方の撮像高さZ12で、基準点RP12の位置座標を取得するための治具画像50を撮像する。
【0101】
次に、図13(C)に示すように、第1治具141、第2治具142及び第3治具143の積層体により、積み重ね数=2での治具画像50が取得される。基準点RP13は、第3治具143の突起部153の先端部の高さ位置にある。撮像装置8は、第3治具143の突起部153の先端部に対して、焦点距離DFに応じた所定距離だけ上方の撮像高さZ13で、基準点RP13の位置座標を取得するための治具画像50を撮像する。
【0102】
このようにして取得された複数の治具画像50により、画像処理部30は、面内方向の位置が同一で、高さ方向の位置が異なる複数の基準点RPの位置座標を取得する。その結果、視野(視野範囲25)の面内方向の位置ずれが、複数の基準点RPの位置座標のずれに反映される。画像処理部30は、各基準点RPの位置座標に基づいて補正式53を取得する。画像処理部30は、補正式53によって、任意の撮像高さにおける面内方向の位置補正量54を算出できる。
【0103】
なお、第1治具141、第2治具142及び第3治具143の基部151の厚み(基準点RPの高さ)が異なる場合、第1治具141に第2治具142を積み重ねた場合と、第1治具141に第3治具143を積み重ねた場合とで、それぞれ治具画像50を取得してもよい。
【0104】
[効果]
以上説明したように、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、複数の基準点RPの相対位置関係の変化から、撮像装置8の高さ方向の位置に応じた視野(視野範囲25)の面内方向の位置ずれを把握し、この位置ずれを補正する位置補正量54を得ることができる。位置補正量54を用いることで、撮像装置8の高さ方向の移動に伴う視野(視野範囲25)の面内方向の位置ずれを補正することができる。
【0105】
また、第2実施形態では、検査装置1が、互いに高さ方向に積み重ね可能な複数の治具140を備え、画像処理部30は、治具140の積み重ね数を異ならせて撮像した複数の治具画像50から、複数の基準点RPの位置座標を取得する。これにより、単一の治具から複数の基準点RPを取得する場合と異なり、複数の治具140に基準点RPを検出するための部位を個別に設けることができる。そのため、治具140の製作難度を緩和させることができる。
【0106】
また、第2実施形態では、複数の治具140の少なくとも一部は、基部151と、基部151の一方面152に設けられ基準点RPとして検出される突起部153と、基部151の他方面154に設けられ突起部153が差し込まれる凹部155と、を有する。これにより、突起部153の部分から基準点RPを検出すればよいので、基部151についての形状や寸法の制約を排除できる。例えば、基部151を、撮像装置8の視野範囲25よりも大きくすることができるので、治具140の製作難度を緩和させ、治具140を設置する際の安定性を向上させることができる。また、凹部155を設けることで、突起部153を設ける構成でも、単純に複数の治具140を積み重ねるだけで、高さ方向の位置が異なる複数の基準点RPを検出できる。
【0107】
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0108】
[その他の実施形態]
上述の実施形態においては、各基準点RPの位置座標から撮像装置8の移動軸に対応した直線52を表す補正式53を取得した例を示したが、これには限られない。例えば、補正式53を取得する代わりに、撮像装置8の高さ方向の位置座標(撮像高さ)を面内方向の位置補正量54に変換する変換テーブルを取得してもよい、補正式53や変換テーブルを用いずに、撮像装置8の高さ方向の位置座標(撮像高さ)が与えられたときに、各基準点RPの位置座標を用いて位置補正量54を直接算出してもよい。
【0109】
上述の実施形態においては、高さ方向に隣接する2つの検出面の高さの差Hを、被写界深度DOFよりも大きくすることによって、複数の基準点RPの高さ方向の間隔を、撮像装置8の被写界深度DOFよりも大きくしたが、これには限られない。同一の治具画像50に複数の検出面41が写り込んでもそれぞれの検出面41の輪郭を十分に区別できる場合には、複数の基準点RPの高さ方向の間隔は、撮像装置8の被写界深度DOF以下でもよい。例えば、図5において、各検出面41の直径の差を十分に大きくすれば、個々の検出面41を正確に識別可能となる。
【0110】
上述の実施形態においては、移動装置9により撮像装置8がXY平面内において移動することとした。テーブル3がXY平面内において移動してもよいし、テーブル3及び撮像装置8の両方がXY平面内において移動してもよい。撮像装置8が高さ方向に移動可能であればよく、面内方向に関しては、テーブル3と撮像装置8とのどちらが移動可能であってもよい。
【符号の説明】
【0111】
1…検査装置、2…対象物、3…テーブル、4…テーブル駆動装置、5…照明装置、6…光学系、7…イメージセンサ、8…撮像装置、9…移動装置、10…制御装置、11…表示装置、13…支持面、14…アクチュエータ、15…ベース部材、16…傾斜照明装置、17…同軸照明装置、18…光源、18A…第1光源、18B…第2光源、18C…第3光源、19…支持部材、20…入射面、21…光源、22…支持部材、23…Z駆動部、24…XY駆動部、25…視野範囲、26…照明制御部、27…撮像位置制御部、28…撮像制御部、29…画像取得部、30…画像処理部、31…テーブル制御部、32…表示制御部、33…記憶部、40…治具、41、41A、41B、41C、41D、41E…検出面、42…本体部、42A、42B、42C、42D、42E…輪郭、50、50A、50B、50C、50D、50E…治具画像、51A、51B、51C、51D、51E…位置座標、52…直線、53…補正式、54、54a、54c…位置補正量、60…検査用画像、61、61a、61c…位置情報、140…治具、141…第1治具、142…第2治具、143…第3治具、151、151A、151B、151C…基部、152…一方面、153…突起部、154…他方面、155…凹部、1000…コンピュータシステム、1001…プロセッサ、1002…メインメモリ、1003…ストレージ、1004…インターフェース、A1、A2…移動軸、AX…光軸、CB…基板、D1、D2、D3、D4、D5…直径、DF…焦点距離、DOF…被写界深度、Ga、Gc、Qa、Qc…中心位置、P、Pa、Pb、Pc…部品、RP、RP1、RP2、RP3、RP4、RP5、RP11、RP12、RP13…基準点。
図1
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