(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025104007
(43)【公開日】2025-07-09
(54)【発明の名称】移植機
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20250702BHJP
【FI】
A01C11/02 303Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023221827
(22)【出願日】2023-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村並 昌実
(72)【発明者】
【氏名】山根 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】東 幸太
(72)【発明者】
【氏名】清家 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】中島 弘喜
(72)【発明者】
【氏名】周防 僚太
(72)【発明者】
【氏名】堰代 浩平
【テーマコード(参考)】
2B060
【Fターム(参考)】
2B060AA10
2B060AD01
2B060BA03
2B060CB03
2B060CB06
2B060CC05
(57)【要約】
【課題】苗の補給作業を容易に行うことができる移植機を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る移植機は、走行車体と、植付装置と、苗タンクと、補助苗タンク部とを備える。走行車体は、圃場を走行可能である。植付装置は、圃場に苗を植え付ける。苗タンクは、苗移植装置の後方に設けられ、苗を貯留し、苗植付装置へ貯留した苗を供給する。補助苗タンク部は、苗タンクの後方に設けられ、苗を貯留し、苗タンクへ貯留した苗を供給する。補助苗タンク部は、同一の左右幅の補助タンクが左右方向に複数並んで配置され、苗タンクは、1つの補助タンクと同等の左右幅であり、左右方向へ複数の補助タンクの左右幅と同等の間隔ごとに移動可能に設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を走行可能な走行車体と、
圃場に苗を植え付ける植付装置と、
前記植付装置の後方に設けられ、苗を貯留し、前記植付装置へ貯留した苗を供給する苗タンクと、
前記苗タンクの後方に設けられ、苗を貯留し、前記苗タンクへ貯留した苗を供給する補助タンク部と
を備え、
前記補助タンク部は、同一の左右幅の補助タンクが左右方向に複数並んで配置され、
前記苗タンクは、1つの前記補助タンクと同等の左右幅であり、左右方向へ複数の前記補助タンクの左右幅と同等の間隔ごとに移動可能に設けられる
ことを特徴とする移植機。
【請求項2】
前記苗タンクの苗切れを検知する苗切れ検知部
を備え、
前記補助タンクは、苗の供給路に第1供給方向へ苗を搬送する第1搬送ベルトを有し、
前記苗タンクは、前記苗切れ検知部が苗切れを検知し、左右幅が1つの前記補助タンクの左右幅と合致した場合に該補助タンクの苗が前記第1搬送ベルトによって供給される
ことを特徴とする請求項1に記載の移植機。
【請求項3】
前記第1搬送ベルトは、苗の搬送面に突起を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の移植機。
【請求項4】
圃場を走行可能な走行車体と、
圃場に苗を植え付ける植付装置と、
前記植付装置の後方に設けられ、苗を貯留し、前記植付装置へ貯留した苗を供給する苗タンクと、
前記苗タンクの左右いずれか側方、かつ、後方に設けられ、苗を貯留し、前記苗タンクへ貯留した苗を供給する補助タンク部と、
前記補助タンク部の前方に設けられ、上下方向に複数並んで配置され、前記補助タンク部へ苗を供給する苗枠と
を備え、
前記苗枠は、苗の供給路に第2供給方向へ苗を搬送する第2搬送ベルトを有し、
前記補助タンク部は、補助タンクを有し、前記補助タンクと前記苗タンクとの間に上下方向の段差を有する
ことを特徴とする移植機。
【請求項5】
前記補助タンクと前記苗タンクとの間を接続する引継ぎ部
を備え、
最上段の前記苗枠から前記補助タンクを経て前記苗タンクへかけて順に低くなるように構成され、
前記引継ぎ部は、前記補助タンクよりも低く、前記苗タンクよりも高くなるように配置される
ことを特徴とする請求項4に記載の移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場に苗を植え付ける移植機において、苗タンクから植付装置へと苗を供給可能なように、苗タンクの上方に供給装置を設けたものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の移植機は、作業者の手動によって移植機へ苗を補給する必要があるため、苗の補給作業が煩雑であった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、苗の補給作業を容易に行うことができる移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態に係る移植機(1)は、圃場(F)を走行可能な走行車体(2)と、圃場(F)に苗を植え付ける植付装置(5)と、前記植付装置(5)の後方に設けられ、苗を貯留し、前記植付装置(5)へ貯留した苗を供給する苗タンク(22)と、前記苗タンク(22)の後方に設けられ、苗を貯留し、前記苗タンク(22)へ貯留した苗を供給する補助タンク部(23)とを備え、前記補助タンク部(23)は、同一の左右幅(W1)の補助タンク(231)が左右方向に複数並んで配置され、前記苗タンク(22)は、1つの前記補助タンク(231)と同等の左右幅(W2)であり、左右方向へ複数の前記補助タンク(231)の左右幅(W1)と同等の距離を移動可能に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態に係る移植機によれば、苗の補給作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る移植機の一例を示す概略側面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る移植機の一例を示す概略平面図である。
【
図3】
図3は、苗タンクおよび補助タンク部の説明図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係る移植機の一例を示す概略側面図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る移植機の一例を示す概略平面図である。
【
図8】
図8は、苗の供給機構の変形例の説明図(その1)である。
【
図9】
図9は、苗の供給機構の変形例の説明図(その2)である。
【
図10】
図10は、パーキングブレーキ機構の説明図(その1)である。
【
図11】
図11は、パーキングブレーキ機構の説明図(その2)である。
【
図12】
図12は、パーキングブレーキ機構の説明図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本願の開示する移植機の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<第1実施形態>
図1~3を参照して第1実施形態に係る移植機1について説明する。
図1は、第1実施形態に係る移植機1の一例を示す概略側面図である。
図2は、第1実施形態に係る移植機1の一例を示す概略平面図である。
図3は、苗タンク22および補助タンク部23の説明図である。
【0011】
なお、各図には、鉛直上向き(上方)を正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を示している場合がある。以下では、説明の便宜上、X軸の正方向を左方、X軸の負方向を右方、Y軸の正方向を前方、Y軸の負方向を後方と規定し、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向という。
【0012】
また、以下では、移植機1や後述する走行車体2を指して「機体」という場合がある。
【0013】
図1および2に示すように、移植機1は、作業者による手動操縦操作に応じて、左右一対の前輪3および後輪4を有して圃場Fを走行可能な走行車体2で走行しながら、植付具5aを有する植付装置5によって野菜などの苗の植え付けを行う。
【0014】
走行車体2には、機体前部にミッションケース(トランスミッション)6が設けられ、ミッションケース6の前方にエンジンや電動モータなどの駆動源7(以下、エンジンという)が設けられる。ミッションケース6およびエンジン7は、ボンネット8で覆われる。
【0015】
ミッションケース6の左右両側の機体後部には、後輪4へ駆動力を伝達する車軸を覆う車軸カバーがそれぞれ連結される。車軸カバーの機体外側端部には、後輪4へ駆動力を伝達する走行伝動ケース9が、回動可能に装着される。
【0016】
走行車体2には、ミッションケース6から、植付装置5へ駆動力を分岐供給する伝動ケースが設けられる。すなわち、植付装置5は、エンジン7から伝達された駆動力によって作動する。なお、植付装置5は、電動モータによって作動されてもよい。
【0017】
走行車体2の後部には、手動操縦操作用の操縦ハンドル11が設けられる。操縦ハンドル11には、エンジン7の出力を増減操作するスロットルレバーが設けられる。操縦ハンドル11の左右の間には、車高調整レバー、主クラッチレバー、主変速レバーおよびエンジンスイッチなどが設けられる。
【0018】
車高調整レバーは、走行車体2の車高を調整するレバーである。主クラッチレバーは、左右の走行伝動ケース9および伝動ケースへの駆動力の伝動を入り切りするレバーである。主変速レバーは、走行車体2の走行伝動を移動速、植付作業、走行中立および後進のいずれかへ切り替えるレバーである。エンジンスイッチは、エンジンの始動の可否を切り替えるとともに、停止操作を行うスイッチである。
【0019】
なお、移植機1は、機体制御機構を備える。機体制御機構は、移植機1(走行車体2)の姿勢および車高を制御する。機体制御機構は、走行車体2と走行伝動ケース9との間に、後輪4が上下することで走行車体2を昇降させる油圧昇降シリンダと、走行車体2を左右へ傾斜させる水平用油圧シリンダとが設けられる。油圧昇降シリンダを伸縮作動させると、左右の後輪4が同一の方向へ同一の量だけ走行車体2に対して上下動し、走行車体2が昇降する。
【0020】
また、たとえば、ミッションケース6の右側には、振り子式の左右傾斜センサが設けられる。左右傾斜センサの検出によって水平用油圧シリンダが作動して左側の後輪4のみを上下動させることで、畝の谷部の凹凸などに関係なく、走行車体2を水平に維持することができる。
【0021】
図1~3に示すように、移植機1は、取出装置21と、苗タンク22と、補助タンク部23とを備える。取出装置21は、後述する苗タンク22から苗を取り出し、植付装置5の植付具5aへ取り出した苗を供給する。苗タンク22は、植付装置5の後方に設けられる。苗タンク22は、苗を貯留する。苗タンク22は、取出装置21の後方上部に設けられる。苗タンク22は、植付装置5へ貯留した苗を供給する。
【0022】
移植機1では、取出装置21および苗タンク22によって、取出装置21で苗タンク22のトレイ221から苗を順次取り出して植付具5aへ供給する全自動式の供給装置が構成される。
【0023】
補助タンク部23は、苗タンク22の後方上部に設けられる。補助タンク部23は、苗を貯留する。補助タンク部23は、苗タンク22へ貯留した苗を供給する。補助タンク部23は、苗タンク22との間に上下方向の段差Sを有する。補助タンク部23は、複数の補助タンク231を備える。複数の補助タンク231は、苗タンク22の方向において、左右方向に並んで配置される。複数の補助タンク231は、いずれも同一の左右幅W1として形成される。
【0024】
補助タンク231は、第1搬送ベルト232を備える。第1搬送ベルトは、たとえば、無端状のベルトコンベアであり、苗の供給路において第1供給方向D1(
図3参照)へ苗を搬送する。苗が第1搬送ベルト232によって苗タンク22へ供給されることで、苗タンク22への苗の供給に要する時間を短縮することができる。なお、補助タンク231は、苗タンク22とは別のフレームから延伸している支持部によって支持される。
【0025】
苗タンク22は、1つの補助タンク231と同等の左右幅W2として形成される。苗タンク22は、左右方向へ複数の補助タンク231の左右幅W1と同等の間隔ごとに移動可能に設けられる。本実施形態では、補助タンク部23は、2つの補助タンク231を備える。苗タンク22は、2つの補助タンク231の間を左右方向へ移動する。なお、補助タンク231の数量は、2つに限定されず、たとえば、3つ以上であってもよい。
【0026】
このような構成によれば、苗タンク22の左右幅W2と同等の左右幅W1の補助タンク231を複数備えることで、一度に多量の苗を移植機1へ積み込むことができる。これにより、移植機1への苗の補給回数を減らすことができ、苗の補給作業が容易となる。
【0027】
また、移植機1は、苗切れ検知部24を備える。苗切れ検知部24は、苗タンク22の苗切れを検知する。苗切れ検知部24は、たとえば、苗タンク22の外側部に設けられる。苗タンク22は、苗切れ検知部24が苗切れを検知し、左右幅W2が1つの補助タンク231の左右幅W1と合致した場合に、補助タンク231の苗が第1搬送ベルト232の搬送によって供給される。
【0028】
また、第1搬送ベルト232における苗の搬送面232aには、突起が設けられる。突起は、搬送面232aに複数設けられる。このように、第1搬送ベルト232の搬送面232aに突起が設けられることで、機械の振動などで苗が搬送面232aから下方へ滑り落ちるのを抑制することができる。なお、第1搬送ベルト232の搬送面232aには、たとえば、苗の移動を規制するストッパなどが設けられてもよい。このようなストッパによっても、上方からの苗が搬送面232aから滑り落ちるのを抑制することができる。
【0029】
このような構成によれば、補助タンク231から苗タンク22へ苗の供給を自動化することができる。また、補助タンク231から苗タンク22へ苗を的確に供給することができる。
【0030】
<第2実施形態>
図4~5を参照して第1実施形態に係る移植機1について説明する。
図4は、第2実施形態に係る移植機1の一例を示す概略側面図である。
図5は、第2実施形態に係る移植機1の一例を示す概略平面図である。
図6は、
図5におけるA-A線断面図である。
【0031】
なお、以下で説明する第2実施形態は、上記の第1実施形態と苗の供給機構において構成が異なる。また、以下の説明において、第1実施形態と同一または同等の箇所には同一の符号を付し、第1実施形態と同一または同等の箇所の説明を省略する場合がある。
【0032】
図4および5に示すように、苗タンク22は、植付装置5の後方に設けられる。苗タンク22は、苗を貯留する。苗タンク22は、取出装置21の後方上部に設けられる。苗タンク22は、植付装置5へ貯留した苗を供給する。移植機1では、取出装置21および苗タンク22によって、取出装置21で苗タンク22のトレイ221から苗を順次取り出して植付具5aへ供給する全自動式の供給装置が構成される。
【0033】
補助タンク部23は、苗タンク22の左右いずれか側方、かつ、後方に設けられる。補助タンク部23は、苗を貯留する。補助タンク部23は、苗タンク22へ貯留した苗を供給する。補助タンク部23は、補助タンク231を備える。補助タンク231は、後述する苗枠25の後方に配置される。
【0034】
補助タンク231は、苗の供給路にスイッチバック部233を備える。スイッチバック部233は、電動ローラ234によって駆動し、苗を所定の供給方向へ搬送する。スイッチバック部233は、電動ローラ234の回転が切り替わることで、苗の供給方向を正方向および正方向とは逆方向のいずれかへ切り替える。
【0035】
スイッチバック部233によって苗の供給方向が切り替わることで、苗枠25から苗が供給される場合には後方へ苗を搬送し、補助タンク231から苗タンク22へ苗を供給する場合には前方へ苗を搬送する。このように、苗の供給方向に応じて、苗を移動させる方向を切り替えることができる。
【0036】
図4および5に示すように、移植機1は、苗枠25と、引継ぎ部26とをさらに備える。苗枠25は、補助タンク部23へ苗を供給する。苗枠25は、補助タンク部23の前方上部に設けられる。苗枠25は、上下方向に複数並んで配置される。すなわち、苗枠25は、多段で構成される。本実施形態では、苗枠25は、2段で構成される。なお、苗枠25は、2段に限定されず、3段以上で構成されてもよい。
【0037】
苗枠25は、第2搬送ベルト251を備える。第2搬送ベルト251は、たとえば、無端状のベルトコンベアであり、苗の供給路に第2供給方向D2へ苗を搬送する。苗が第2搬送ベルト251によって補助タンク231へ供給されることで、補助タンク231への苗の供給に要する時間を短縮することができる。
【0038】
補助タンク部23は、苗枠25との間に、苗枠25の苗の供給路よりも低くなるような段差Sを有する。また、補助タンク部23は、苗の供給方向の上流側から下流側へ低くなるような段差Sを有する。すなわち、補助タンク部23は、苗タンク22との間に上下方向の段差Sを有する。
【0039】
このような構成によれば、苗枠25に苗を貯留することができるため、一度に多量の苗を移植機1へ積み込むことができる。これにより、移植機1への苗の補給回数を減らすことができ、苗の補給作業が容易となる。また、苗枠25から補助タンク231へと低くなるように順次段違いで配置されることで、苗枠25から補助タンク231へと苗が自動で搬送される。これにより、苗の供給を自動化することができる。
【0040】
引継ぎ部26は、補助タンク231の下方に設けられる。引継ぎ部26は、補助タンク231と苗タンク22との間を接続する。引継ぎ部26を備えることで、苗枠25からの苗の供給経路は、最上段の苗枠25から補助タンク231を経て苗タンク22へかけて順に低くなるように構成される。
図6に示すように、引継ぎ部26は、補助タンク231よりも低く、苗タンク22よりも高くなるように配置される。
【0041】
このような構成によれば、苗の供給方向に対応するように順次低くすることで、苗枠25から補助タンク231を経て苗タンク22まで苗が自動で搬送される。これにより、苗の供給を自動化することができる。
【0042】
また、
図4に示すように、苗枠25は、補助タンク部23側の端部、すなわち、第2供給方向D2の下流端部にガイド(上側ガイド252a、下側ガイド252b)を備える。このうち、下側の苗枠25の下側ガイド252bは、先端側が上下方向へ揺動可能に設けられる。下側ガイド252bは、苗枠25から苗が供給される場合に苗の重みで下方へと揺動する。
【0043】
また、補助タンク231の外側部には、固定ガイド27が設けられる。固定ガイド27によって補助タンク231に供給された苗が供給路から逸脱しないように苗を規制することができる。
【0044】
<バッテリ収容構造>
図7を参照してバッテリ収容構造について説明する。
図7は、バッテリ収容構造の説明図である。
【0045】
図7に示すように、移植機1は、バッテリ収容部30(30A,30B)を備える。第1の例に係るバッテリ収容部30Aは、苗タンク22の下部に設けられる。バッテリ収容部30Aは、苗タンク22と操作フレーム12との間に設けられる。バッテリ収容部30Aでは、空トレイ排出の上部にバッテリ31が配置される。なお、バッテリ収容部30Aでは、空トレイ排出の下部にバッテリ31が配置されてもよい。
【0046】
また、バッテリ収容部30Aでは、バッテリ31の取出口が上方へ向けて開放されている。また、バッテリ収容部30Aでは、バッテリ31の取出口が後方へ向けて開放されている。
【0047】
また、
図7に示すように、第2の例に係るバッテリ収容部30Bは、走行車体2の前後方向の中間位置に設けられる。バッテリ収容部30Bは、油圧昇降シリンダ13の上部に設けられる。
【0048】
また、バッテリ収容部30Bでも、バッテリ31の取出口が上方へ向けて開放されている。また、バッテリ収容部30Bでも、バッテリ31の取出口が後方へ向けて開放されている。なお、移植機1では、第1の例および第2の例の少なくともいずれか一方が設けられる。
【0049】
<苗の供給機構の変形例>
図8および9を参照して苗の供給機構の変形例について説明する。
図8および9は、苗の供給機構の変形例の説明図である。なお、
図8には、苗の供給機構の変形例の概略側面を示している。また、
図9には、苗の供給機構の変形例の概略平面を示している。
【0050】
移植機1(
図1参照)は、機体の上方に、
図8および9に示す供給装置40を備える。
図8および9に示すように、供給装置40は、たとえば、植付装置5(
図1参照)へかんしょなどの長物の苗PLを供給する。供給装置40は、搬送ベルト41と、ローラ42と、仕切り部材43と、選別台44と、板部材45とを備える。
【0051】
搬送ベルト41は、複数(4つ)のローラ42に巻き付けられる。搬送ベルト41は、ロータリ状に循環する。ローラ42は、大ローラ42aと、小ローラ42bとを備える。搬送ベルト41の苗PLの搬送面となる表面41aには、苗PLを保持する複数の保持部材411が等間隔で設けられる。また、搬送ベルト41の表面41aには、後述する仕切り部材43が突出するための孔が形成されている。
【0052】
仕切り部材43は、搬送ベルト41の裏面41bに設けられる。仕切り部材43は、後述する板部材45に押されることで、搬送ベルト41の孔を介して、搬送ベルト41の表面41aから突出する。
【0053】
選別台44は、供給装置40の上流側に設けられる。選別台44は、供給装置40の上流側において、搬送ベルト41の上方に設けられる。なお、選別台44の表面には、植毛が施されている。このため、作業者による苗PLの選別が行いやすい。
【0054】
板部材45は、搬送ベルト41の裏面41bに設けられる。板部材45は、供給装置40の上流側において、下方へ傾斜している傾斜面451を有する。
【0055】
供給装置40では、苗PLが収容された籠などの収容部46から作業者が苗PLを取り出し、選別台44に載置する。供給装置40は、作業者によって苗PLが載置されると、作業者が苗PLを軽くさばきながら下流側へ流すことで、搬送ベルト41に引き継がれ、搬送ベルト41によって搬送される。
【0056】
板部材45の傾斜面451に押し上げられて搬送ベルト41の表面41aから突出した仕切り部材43によって苗PLごとに仕切られるとともに、苗PLが保持部材411に保持される。搬送ベルトが循環することで、苗PLが所定の受け取り位置まで搬送される。
【0057】
<パーキングブレーキ機構>
図10~12を参照してパーキングブレーキ機構50について説明する。
図10~12は、パーキングブレーキ機構50の説明図である。なお、
図10~12には、それぞれパーキングブレーキ機構50の斜視を示している。
【0058】
パーキングブレーキ機構50は、移植機1において、パーキングブレーキを作動させる。
図10および11に示すように、パーキングブレーキ機構50は、たとえば、後輪4(
図1参照)の車軸に設けられる。パーキングブレーキ機構50は、アーム51と、ピン52と、カム53とを備える。アーム51は、ばねなどの付勢部材54によって開く方向へ付勢されている。
【0059】
ピン52は、アーム51の先端部に設けられる。ピン52は、複数(2つ)設けられる。ピン52は、アーム51によって後述するカム53へ押し付けられる。2つのピン52は、アーム51の先端部に設けられることで、対向して配置される。これにより、ピン52が両側からカム53のプレートを押すため、パーキングブレーキ時においてピン52の軸に偏荷重がかかりにくい。
【0060】
カム53は、アーム51およびピン52と対向するように設けられる。パーキングブレーキ機構50では、カム53にピン52を押し付けることで、パーキングブレーキを作動させる。この場合、ピン52がアーム51を介してカム53に押し付けられることで、ピン52の押し付け荷重を高くすることができる。これにより、制動力の強いパーキングブレーキが可能となる。
【0061】
また、
図11に示すように、アーム51は、カム53のプレートに対して線対称となるように配置される。このため、線対称となる位置でカム53に当接し、移植機1の前後進時においてもカム53の接触角が同等となる。これにより、移植機の前後進時の制動力が同等となる。
【0062】
図12に示すように、パーキングブレーキ機構50は、アーム51を作動させるためのケーブル55を備える。ケーブル55にはスプリング56が設けられる。ケーブル55は、スプリング56が伸長することで、パーキングブレーキを作動させているピン52を過負荷時において逃がすことができる。
【0063】
上述してきた実施形態により、以下の移植機1が実現される。
【0064】
(1)圃場Fを走行可能な走行車体2と、圃場Fに苗を植え付ける植付装置5と、植付装置5の後方に設けられ、苗を貯留し、植付装置5へ貯留した苗を供給する苗タンク22と、苗タンク22の後方に設けられ、苗を貯留し、苗タンク22へ貯留した苗を供給する補助タンク部23とを備え、補助タンク部23は、同一の左右幅W1の補助タンク231が左右方向に複数並んで配置され、苗タンク22は、1つの補助タンク231と同等の左右幅W2であり、左右方向へ複数の補助タンク231の左右幅W1と同等の間隔ごとに移動可能に設けられる、移植機1。
【0065】
このような移植機1によれば、苗タンク22の左右幅W2と同等の左右幅W1の補助タンク231を複数備えることで、一度に多量の苗を移植機1へ積み込むことができる。これにより、移植機1への苗の補給回数を減らすことができ、苗の補給作業が容易となる。
【0066】
(2)上記(1)において、苗タンク22の苗切れを検知する苗切れ検知部24を備え、補助タンク231は、苗の供給路に第1供給方向D1へ苗を搬送する第1搬送ベルト232を有し、苗タンク22は、苗切れ検知部24が苗切れを検知し、左右幅W2が1つの補助タンク231の左右幅W1と合致した場合に補助タンク231の苗が第1搬送ベルト232によって供給される、移植機1。
【0067】
このような移植機1によれば、上記(1)の効果に加えて、補助タンク231から苗タンク22へ苗の供給を自動化することができる。また、補助タンク231から苗タンク22へ苗を的確に供給することができる。
【0068】
(3)上記(2)において、第1搬送ベルトは、苗の搬送面に突起を有する、移植機1。
【0069】
このような移植機1によれば、上記(2)の効果に加えて、機械の振動などで苗が搬送面232aから下方へ滑り落ちるのを抑制することができる。
【0070】
(4)圃場Fを走行可能な走行車体2と、圃場Fに苗を植え付ける植付装置5と、植付装置5の後方に設けられ、苗を貯留し、植付装置5へ貯留した苗を供給する苗タンク22と、苗タンク22の左右いずれか側方、かつ、後方に設けられ、苗を貯留し、苗タンク22へ貯留した苗を供給する補助タンク部23と、補助タンク部23の前方に設けられ、上下方向に複数並んで配置され、補助タンク部23へ苗を供給する苗枠25とを備え、苗枠25は、苗の供給路に第2供給方向D2へ苗を搬送する第2搬送ベルト251を有し、補助タンク部23は、補助タンク231を有し、前記補助タンク231と苗タンク22との間に上下方向の段差Sを有する、移植機1。
【0071】
このような移植機1によれば、苗枠25に苗を貯留することができるため、一度に多量の苗を移植機1へ積み込むことができる。これにより、移植機1への苗の補給回数を減らすことができ、苗の補給作業が容易となる。また、苗枠25から補助タンク231へと低くなるように順次段違いで配置されることで、苗枠25から補助タンク231へと苗が自動で搬送される。これにより、苗の供給を自動化することができる。
【0072】
(5)上記(4)において、補助タンク231と苗タンク22との間を接続する引継ぎ部26を備え、最上段の苗枠25から補助タンク231を経て苗タンク22へかけて順に低くなるように構成され、引継ぎ部26は、補助タンク231よりも低く、苗タンク22よりも高くなるように配置される、移植機1。
【0073】
このような移植機1によれば、上記(4)の効果に加えて、苗の供給方向に対応するように順次低くすることで、苗枠25から補助タンク231を経て苗タンク22まで苗が自動で搬送される。これにより、苗の供給を自動化することができる。
【0074】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 移植機
2 走行車体
5 植付装置
22 苗タンク
23 補助タンク部
24 苗切れ検知部
25 苗枠
231 補助タンク
232 第1搬送ベルト
251 第2搬送ベルト
D1 第1供給方向
D2 第2供給方向
F 圃場
S 段差
W1 左右幅
W2 左右幅