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特開2025-104104情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025104104
(43)【公開日】2025-07-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/50 20170101AFI20250702BHJP
   G06V 20/68 20220101ALI20250702BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20250702BHJP
   A01G 17/00 20060101ALI20250702BHJP
【FI】
G06T7/50
G06V20/68
A01G7/00 603
A01G17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023221961
(22)【出願日】2023-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼尾 梓
(72)【発明者】
【氏名】王 瑩
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096CA02
5L096EA31
5L096FA06
5L096FA09
5L096FA59
5L096FA62
5L096FA64
5L096FA66
5L096FA69
(57)【要約】
【課題】実のサイズを高精度に計測する。
【解決手段】情報処理装置は、植物の実を撮影する撮影部により撮影された実の2次元画像と、実と撮影部との間の距離を示す距離情報と、を取得する取得部と、2次元画像内の実の外形線を抽出する抽出部と、実の外形線における互いに異なる部分のそれぞれに沿うように2つの楕円をフィッティングし、距離情報及び2つの楕円に基づいて、2つの球の大きさ及び位置を算出する算出部と、2つの球の大きさ及び位置に基づいて、2つの球のそれぞれの表面の少なくとも一部に沿うように、実の3次元形状を推定する推定部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の実を撮影する撮影部により撮影された前記実の2次元画像と、前記実と前記撮影部との間の距離を示す距離情報と、を取得する取得部と、
前記2次元画像内の前記実の外形線を抽出する抽出部と、
前記実の前記外形線における互いに異なる部分のそれぞれに沿うように2つの楕円をフィッティングし、前記距離情報及び2つの前記楕円に基づいて、2つの球の大きさ及び位置を算出する算出部と、
2つの前記球の大きさ及び位置に基づいて、2つの前記球のそれぞれの表面の少なくとも一部に沿うように、前記実の3次元形状を推定する推定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記抽出部は、前記実の前記2次元画像から特徴部位を抽出し、
前記算出部は、前記実の前記外形線における互いに異なる部分の一方が、前記実の前記外形線における互いに異なる部分の他方よりも前記特徴部位に近くなるように、2つの前記楕円をフィッティングする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特徴部位は、前記2次元画像内の前記実における前記植物の本体に繋がる部位とは反対側にある部位であって、前記2次元画像内の前記植物における他の部位とは視覚的に異なる部位である、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特徴部位は、果頂、果底、萼又は花痕である、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記抽出部は、前記実の前記2次元画像から特徴部位を抽出し、
前記算出部は、
2つの前記球の一方を第1の球とし、2つの前記球の他方を第2の球とし、
前記距離情報に基づいて、前記実の前記外形線における互いに異なる部分の一方が前記実の前記外形線における互いに異なる部分の他方よりも前記特徴部位に近くなるようにフィッティングした楕円を撮像面上の像とする前記第1の球の大きさ及び位置を算出し、
2つの前記楕円のうちの他方の楕円を前記撮像面上の像とし、かつ、前記第1の球と同じ大きさである、前記第2の球の位置を算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記算出部は、
2つの前記楕円の一方に外接する第1の円錐を計算し、
前記第1の円錐に内接する前記第1の球を計算し、
2つの前記楕円の他方に外接する第2の円錐を計算し、
前記第2の円錐に内接する前記第2の球を計算する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1の球の中心と前記第2の球の中心との間の距離に前記第1の球の半径及び前記第2の球の半径を加えた距離と、前記第1の球の直径又は前記第2の球の直径と、に基づいて、前記実の体積を計算する計算部を備える、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記2次元画像内の前記実の一部分が隠れている場合、前記実の隠れた部分の外形線を前記2次元画像に追加する追加部を備える、
請求項1から7の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
植物の実を撮影する撮影部により撮影された前記実の2次元画像と、前記実と前記撮影部との間の距離を示す距離情報と、を取得する取得ステップと、
前記2次元画像内の前記実の外形線を抽出する抽出ステップと、
前記実の前記外形線における互いに異なる部分のそれぞれに沿うように2つの楕円をフィッティングし、前記距離情報及び2つの前記楕円に基づいて、2つの球の大きさ及び位置を算出する算出ステップと、
2つの前記球の大きさ及び位置に基づいて、2つの前記球のそれぞれの表面の少なくとも一部に沿うように、前記実の3次元形状を推定する推定ステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
植物の実を撮影する撮影部により撮影された前記実の2次元画像と、前記実と前記撮影部との間の距離を示す距離情報と、を取得する取得ステップと、
前記2次元画像内の前記実の外形線を抽出する抽出ステップと、
前記実の前記外形線における互いに異なる部分のそれぞれに沿うように2つの楕円をフィッティングし、前記距離情報及び2つの前記楕円に基づいて、2つの球の大きさ及び位置を算出する算出ステップと、
2つの前記球の大きさ及び位置に基づいて、2つの前記球のそれぞれの表面の少なくとも一部に沿うように、前記実の3次元形状を推定する推定ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、植物を含む入力画像を用いて、植物の実の位置、個数及び有無の少なくとも一項目を含む実情報を推定する推定システムが記載されている。特許文献2には、株の着果状態を把握する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-94331号公報
【特許文献2】特開2022-144240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、農業現場、特に大規模農場では、実のサイズの計測の高精度化が求められている。3次元撮影を行うことで、実のサイズを高精度で計測を行うことが可能であるが、実のサイズの計測に要する時間が長くなる。そのため、実の2次元画像に基づいて、実のサイズを高精度に計測することが求められている。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、実のサイズを高精度に計測することが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点に係る情報処理装置は、植物の実を撮影する撮影部により撮影された前記実の2次元画像と、前記実と前記撮影部との間の距離を示す距離情報と、を取得する取得部と、前記2次元画像内の前記実の外形線を抽出する抽出部と、前記実の前記外形線における互いに異なる部分のそれぞれに沿うように2つの楕円をフィッティングし、前記距離情報及び2つの前記楕円に基づいて、2つの球の大きさ及び位置を算出する算出部と、2つの前記球の大きさ及び位置に基づいて、2つの前記球のそれぞれの表面の少なくとも一部に沿うように、前記実の3次元形状を推定する推定部と、を備える情報処理装置である。上記情報処理装置によれば、実のサイズを高精度に計測することが可能となる。
【0007】
上記情報処理装置において、前記抽出部は、前記実の前記2次元画像から特徴部位を抽出し、前記算出部は、前記実の前記外形線における互いに異なる部分の一方が、前記実の前記外形線における互いに異なる部分の他方よりも前記特徴部位に近くなるように、2つの前記楕円をフィッティングする。上記情報処理装置において、前記特徴部位は、前記2次元画像内の前記実における前記植物の本体に繋がる部位とは反対側にある部位であって、前記2次元画像内の前記植物における他の部位とは視覚的に異なる部位である。上記情報処理装置において、前記特徴部位は、果頂、果底、萼又は花痕である。上記情報処理装置において、前記抽出部は、前記実の前記2次元画像から特徴部位を抽出し、前記算出部は、2つの前記球の一方を第1の球とし、2つの前記球の他方を第2の球とし、前記距離情報に基づいて、前記実の前記外形線における互いに異なる部分の一方が前記実の前記外形線における互いに異なる部分の他方よりも前記特徴部位に近くなるようにフィッティングした楕円を撮像面上の像とする前記第1の球の大きさ及び位置を算出し、2つの前記楕円のうちの他方の楕円を前記撮像面上の像とし、かつ、前記第1の球と同じ大きさである、前記第2の球の位置を算出する。上記情報処理装置において、前記算出部は、2つの前
記楕円の一方に外接する第1の円錐を計算し、前記第1の円錐に内接する前記第1の球を計算し、2つの前記楕円の他方に外接する第2の円錐を計算し、前記第2の円錐に内接する前記第2の球を計算する。上記情報処理装置は、前記第1の球の中心と前記第2の球の中心との間の距離に前記第1の球の半径及び前記第2の球の半径を加えた距離と、前記第1の球の直径又は前記第2の球の直径と、に基づいて、前記実の体積を計算する計算部を備える。上記情報処理装置は、前記2次元画像内の前記実の一部分が隠れている場合、前記実の隠れた部分の外形線を前記2次元画像に追加する追加部を備える。
【0008】
なお、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む情報処理方法や、上記処理の少なくとも一部をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、そのようなプログラムを非一時的に記録したコンピュータ読取可能な記録媒体として捉えることもできる。上記構成および処理の各々は技術的な矛盾が生じない限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、実のサイズを高精度に計測することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、処理システムの全体構成を示す図である。
図2図2は、外部機器の構成を示すブロック図である。
図3図3は、外部機器の動作の全体の流れを説明するためのフローチャートである。
図4図4は、2次元画像内の外接四角形を作成する場合の一例を示す図である。
図5図5は、実を囲んだ外接四角形が付加された2次元画像の一例を示す図である。
図6図6は、ステップS3~S5の処理の一例(第1の例)を示すフローチャートである。
図7図7は、外接四角形を4つの領域に分割した場合の一例を示す図である。
図8図8は、外接四角形を4つの領域に分割した場合の一例を示す図である。
図9図9は、ステップS3~S5の処理の一例(第2の例)を示すフローチャートである。
図10図10は、ステップS3~S5の処理の一例(第3の例)を示すフローチャートである。
図11図11は、ステップS6及びS7の処理の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、ステップS8及びS9の処理の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、切り出し画像内の実の外形線に対して2つの楕円をフィッティングする場合の説明図である。
図14図14は、カメラ座標系を示す図である。
図15図15は、実の体積Vの計算の一例を示す図である。
図16図16は、ステップS52及びS53の処理の一例を示すフローチャートである。
図17図17A図17B及び図17Cは、ステップS52及びS53の処理を説明するための説明図である。
図18図18は、収量予測に用いられるデータの構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適用例及び実施形態について図を参照しながら説明する。以下に示す適用例及び
実施形態は、本願の一態様であり、本願の権利範囲を限定するものではない。
【0012】
<適用例>
図1は、本発明が適用される処理システムの全体構成を示す図である。実施形態に係る処理システムは、自律走行ロボット1と、外部機器2と、外部機器3とを備える。自律走行ロボット1は、自走式の無人走行車としての機能を有する装置(自走式走行装置)又は自走式の無人搬送車としての機能を有する装置(自走式搬送装置)である。外部機器2は、例えば、パーソナルコンピュータやサーバコンピュータ等の情報処理装置により構成される。外部機器2は、クラウド上に配置されてもよい。外部機器2は、複数の情報処理装置により構成されてもよい。例えば、外部機器2は、ネットワーク上の互いに異なる場所の複数の情報処理装置が協動することで実現されてもよい。外部機器3は、例えば、タブレット端末やスマートフォン等の情報処理端末により構成される。
【0013】
自律走行ロボット1は、カメラ(撮影装置)4と、照明装置5とを有する。自律走行ロボット1は、農場等を巡回し、カメラ4により農場等の植物6の実を撮影する。植物6は、キウイであるが、カメラ4によって撮影される対象物は、他の植物、例えば、柿、桃、トマト、梨、リンゴ、メロン、ながうり、まくわうり等であってもよい。カメラ4によって撮影された画像(撮影画像)は、植物6の実の下又は斜めから撮影された2次元画像(2次元広域画像)である。カメラ4によって撮影された2次元画像は、自律走行ロボット1から外部機器2に送られる。照明装置5は、カメラ4の近傍に設置されている。例えば、夜間撮影では、植物6に必ず照明を下又は斜めから当てながら撮影する。日中撮影では、基本的には植物6に照明を当てずに撮影を行うが、逆光となるため、植物6の葉が茂る時期は植物6に照明を当てる場合もある。
【0014】
自律走行ロボット1と外部機器2との間でデータや情報の送受信が行われる。外部機器2と外部機器3との間でデータや情報の送受信が行われる。外部機器2は、自律走行ロボット1から2次元画像を取得し、2次元画像内の実のサイズを計測し、収量を予測し実のサイズや収量等を外部機器3に送る。外部機器3は、ディスプレイ等の表示部を有している。外部機器3は、表示部に実のサイズや収量等を表示する。自律走行ロボット1と外部機器2とを一体化してもよい。例えば、自律走行ロボット1が、外部機器2の機能を備えてもよい。また、撮像部としての手持ちカメラや固定カメラによって植物6の実を撮影し、手持ちカメラや固定カメラによって撮影された2次元画像が、外部機器2に送られてもよい。
【0015】
<実施形態>
図2は、外部機器2の構成を示すブロック図である。外部機器2は、制御部10、記憶部20及び通信部30を有する。制御部10は、外部機器2の各動作を制御する。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)、RO
M(Read Only Memory)等を含み、制御部10の各部の制御や、各種の処理等を行う。記憶部20は、制御部10で実行されるプログラムや、制御部10において実行される処理で使用される各種データ等を記憶する。例えば、記憶部20は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置であってもよい。記憶部20は、着脱可能な記憶媒体によって実現されてもよい。通信部30は、自律走行ロボット1や外部機器3との間の通信を実行する通信インターフェースである。通信部30は、有線通信モジュール及び無線通信モジュールの少なくとも一方を含む。
【0016】
制御部10は、取得部110、検出部120、判定部130、追加部140、抽出部150、算出部160、推定部170、計算部180及び出力部190を備えるように構成されている。取得部110は、撮影部としてのカメラ4により撮影された植物の実の2次元画像と、実とカメラ4との間の距離を示す距離情報とを取得する。検出部120は、2
次元画像内の実を検出する。判定部130は、2次元画像内の実が隠れているか否かを判定する。追加部140は、実の隠れた部分の外形線を2次元画像に追加する。抽出部150は、2次元画像内の実の外形線を抽出する。算出部160は、実の外形線における互いに異なる部分のそれぞれに沿うように2つの楕円をフィッティングし、距離情報及び2つの楕円に基づいて、2つの球の大きさ及び位置を算出する。推定部170は、2つの球の大きさ及び位置に基づいて、2つの球のそれぞれの表面の少なくとも一部に沿うように、実の3次元形状を推定する。計算部180は、実の3次元形状に基づいて、実のサイズ(直径、長さ、体積等)を計算する。出力部190は、計算部180によって計算された値、各種の情報及びデータを出力する。図2に示す制御部10の構成要素の全てが必須というわけではなく、適宜、制御部10の構成要素の追加又は削除がなされてもよい。また、制御部10の少なくとも一部の機能が、クラウド上のコンピュータによって実現されてもよい。
【0017】
図3を用いて、外部機器2の動作の全体の流れについて説明する。図3は、外部機器2の動作の全体の流れを説明するためのフローチャートである。ステップS1において、制御部10は、自律走行ロボット1から2次元画像(実の撮影画像)を取得する。ステップS2において、制御部10は、深層学習を用いて、2次元画像から実を検出し、実の見えている部分を囲んだ外接四角形(外接長方形)が付加された2次元画像を出力する。
【0018】
ステップS3において、制御部10は、外接四角形が付加された2次元画像内の実のそれぞれについて、実の全体部分が見えているか否かを判定する。実の全体部分が見えている場合(ステップS3;YES)、処理がステップS4に進む。実の全体部分が見えておらず、実の一部分が隠れている場合(ステップS3;NO)、処理がステップS5に進む。
【0019】
ステップS4において、制御部10は、2次元画像内の実(全体部分)の切り出し画像(2次元画像)を出力する。実(全体部分)とは、全体部分が見えている実のことである。ステップS5において、制御部10は、2次元画像内の実(一部分)の切り出し画像を出力する。実(一部分)とは、一部分が隠れている実のことである。ステップS6において、制御部10は、実(一部分)の切り出し画像内の実の外形線を推定する。ステップS7において、制御部10は、実(一部分)の切り出し画像内の実の外形線を追加し、実の外形線が追加された切り出し画像を出力する。ステップS8において、制御部10は、実(全体部分)の切り出し画像及び実の外形線が追加された切り出し画像から実の3次元形状を推定する。ステップS9において、制御部10は、実の3次元形状に基づいて実の体積を計算し、実の体積を出力する。
【0020】
ステップS2の処理の詳細について説明する。制御部10は、深層学習の学習済モデルを用いて、2次元画像から実を検出する。深層学習の学習済モデルは、記憶部20に記憶されてもよい。深層学習の学習済モデルを作成するために、自律走行ロボット1のカメラ4によって撮影された実の2次元画像に対して、使用者等のユーザーが、2次元画像内の実の外形に接するように四角の枠を作成する。手持ちカメラや固定カメラによって撮影された2次元画像に対して、ユーザーが、2次元画像内の実の外形に接するように四角の枠を作成してもよい。
【0021】
図4は、2次元画像内の実の外形に接するように四角の枠(外接四角形)を作成する場合の一例を示す図である。四角の枠の精度と、深層学習の仕方とが、実の検出精度に影響を与えるため、四角の枠を正確に作成し、深層学習を多く行うことが好ましい。外接四角形が作成された2次元画像は、記憶部20におけるデータベースに格納され、学習データとして使用される。学習データを用いて、深層学習の学習済モデルが作成される。制御部10は、2次元画像から検出された実について、見えている部分の実を囲んだ外接四角形
を2次元画像に付加し、外接四角形が付加された2次元画像を出力する。図5は、実を囲んだ外接四角形が付加された2次元画像の一例を示す図である。例えば、実の半分以上見えている場合、外接四角形によって実が囲まれてもよい。
【0022】
ステップS3~S5の処理の詳細について説明する。図6は、ステップS3~S5の処理の一例(第1の例)を示すフローチャートである。ステップS11において、制御部10は、2次元画像内における外接四角形同士の重なりをサーチする。2次元画像内における外接四角形同士の重なりをサーチする目的は、2次元画像内における実同士の重なり度合いを判定するためである。2次元画像内における実同士が重なっていない場合、2次元画像内における外接四角形同士も重なっていない。一方、2次元画像内における実同士が重なっている場合、2次元画像内における外接四角形同士も重なっている。
【0023】
ステップS12において、制御部10は、IoU(Intersection over Union)を算出
する。IoUは、2次元画像内における外接四角形同士の重なりの度合いを表す指標であり、例えば、下記の式1によって算出される。
IoU=2つの外接四角形の和集合の面積/2つの外接四角形の積集合の面積 (式1)
【0024】
ステップS13において、制御部10は、IoUと閾値εとを比較し、IoUが閾値εよりも大きいか否かを判定する。閾値εは、実験によって求めてもよい。閾値εとして、シミュレーション及び機械学習等によって自動的に算出された値を用いてもよい。閾値εとして、2次元画像における実のサイズをユーザーが計測し、実のサイズの中央値及び平均値等を用いてもよい。閾値εは、小さい実や、見えている部分が小さい実が取り除かれないように設定されることが好ましい。IoUが閾値εよりも大きい場合(ステップS13;YES)、処理がステップS14に進む。IoUが閾値ε以下である場合(ステップS13;NO)、処理がステップS17に進む。
【0025】
ステップS14において、2次元画像内の実の一部分が他の実によって隠されているかを調査するために、制御部10は、外接四角形の面積を測定(算出)し、外接四角形の面積が閾値T1よりも小さいか否かを判定する。閾値T1は、シミュレーション及び機械学習等によって求めてもよい。外接四角形の面積が閾値T1よりも小さい場合(ステップS14;YES)、処理がステップS15に進む。外接四角形の面積が閾値T1以上である場合(ステップS14;NO)、処理がステップS16に進む。
【0026】
ステップS15において、制御部10は、2次元画像内の実の一部分が隠れていると決定し、実(一部分)の切り出し画像を出力する。ステップS16において、制御部10は、2次元画像内の実の全体部分が見えていると決定し、実(全体部分)の切り出し画像を出力する。ステップS17において、2次元画像内の実と遮蔽物との重なりを検出するために、制御部10は、2次元画像の全画素のRGBの色値及び輝度値の少なくとも一方を測定する。遮蔽物は、実以外の葉、幹、茎及び枝等である。
【0027】
ステップS18において、制御部10は、外接四角形を4つの領域に分割し、各領域の全画素のRGBの色値及び輝度値の少なくとも一方の最頻値を計算する。図7は、外接四角形を4つの領域に分割した場合の一例を示す図である。図7に示す例では、外接四角形が第1~第4領域に分割されている。図8は、外接四角形を4つの領域に分割した場合の一例を示す図である。図8に示す例では、4つの領域のうちの少なくも1つの領域が、実と葉とが重なっている。したがって、4つの領域のうちの1つの領域の全画素のRGBの色値(又は輝度値)が、4つの領域のうちの3つの領域の全画素のRGBの色値(又は輝度値)と異なっている。
【0028】
ステップS19において、制御部10は、各領域の全画素のRGBの色値及び輝度値の少なくとも一方の最頻値が閾値T2よりも小さいか否かを判定する。閾値T2は、シミュレーション及び機械学習等によって求めてもよい。実の形は対称体のため、完全に見えている実について、外接四角形を4等分に分割した後の各領域のRGBの色値及び輝度値の最頻値は同じになる。そのため、制御部10は、各領域の全画素のRGBの色値及び輝度値の少なくとも一方の最頻値と閾値T2とを比較する。各領域の全画素のRGBの色値及び輝度値の少なくとも一方の最頻値が閾値T2よりも小さい場合(ステップS19;YES)、処理がステップS15に進む。各領域の全画素のRGBの色及び/又は輝度の最頻値が閾値T2以上である場合(ステップS19;NO)、処理がステップS16に進む。
【0029】
上記では、画素のRGBの色値及び輝度値等の特徴量を用いているが、他の特徴量、例えば、画素のRGBの色値及び輝度値のヒストグラムを用いてもよい。ステップS18において、制御部10は、各領域の全画素のRGBの色値及び輝度値の少なくとも一方のヒストグラムを算出してもよい。ステップS19において、制御部10は、各領域の全画素のRGBの色値及び輝度値の少なくとも一方のヒストグラムの形状と、所定ヒストグラムの形状との一致度又は類似度とを判定してもよい。所定ヒストグラムの形状は、シミュレーション及び機械学習等によって求めてもよい。各領域の全画素のRGBの色値及び輝度値の少なくとも一方のヒストグラムの形状が、所定ヒストグラムの形状と一致又は類似しない場合、処理がステップS15に進む。各領域の全画素のRGBの色値及び輝度値の少なくとも一方のヒストグラムの形状が、所定ヒストグラムの形状と一致又は類似する場合、処理がステップS16に進む。
【0030】
図9は、ステップS3~S5の処理の一例(第2の例)を示すフローチャートである。ステップS21~S26は、ステップS11~16と同様であるので、詳細な説明は省略する。ステップS27において、2次元画像内の実と遮蔽物との重なりを検出するために、制御部10は、2次元画像内の各実の外形線を抽出し、2次元画像内の各実の外形線を出力する。遮蔽物は、実以外の葉、幹、茎及び枝等である。
【0031】
ステップS28において、制御部10は、実の外形線の円形度(Circularity)を算出
する。円形度とは、円形らしさを定量的に測るための尺度である。実の外形線の円形度が1.0に近いほど、実の外形線が円に近くなる。円形度は、例えば、下記の式2によって算出される。πは、円周率(pi)である。
円形度=4×(実の面積)/π×(実の長軸)^2 (式2)
【0032】
ステップS29において、制御部10は、実の外形線の円形度が閾値T3よりも小さいか否かを判定する。完全に外形が見えている実の外形線の円形度は大きく、遮蔽物の外形線の円形度は小さいため、実と遮蔽物とが重なっている場合、実の外形線の円形度は小さくなる。閾値T3は、例えば、遮蔽物と実の外形線とが区別できる値に設定される。閾値T3は、シミュレーション及び機械学習等によって求めてもよい。実の外形線の円形度が閾値T3よりも小さい場合(ステップS29;YES)、処理がステップS25に進む。各領域の全画素のRGBの色及び/又は輝度の最頻値が閾値T2以上である場合(ステップS29;NO)、処理がステップS26に進む。
【0033】
図10は、ステップS3~S5の処理の一例(第3の例)を示すフローチャートである。ステップS31において、2次元画像内の実同士の重なりを検出するために、制御部10は、2次元画像内の各実の外形線を抽出し、2次元画像内の各実の外形線を出力する。ステップS32において、制御部10は、実の外形線内の面積を測定する。
【0034】
ステップS33において、制御部10は、実の外形線内の面積が閾値T4よりも小さいか否かを判定する。閾値T4は、実験によって求めてもよい。閾値T4として、シミュレ
ーション及び機械学習等によって自動的に算出された値を用いてもよい。閾値T4として、2次元画像における実のサイズをユーザーが計測し、実のサイズの中央値及び平均値等を用いてもよい。閾値T4は、小さい実や、見えている部分が小さい実が取り除かれないように設定されることが好ましい。例えば、キウイ棚は高さ方向のばらつきが小さく、かつ、キウイ棚の下からキウイの実を撮影している。そのため、2次元画像中で密集している実は同じ枝になっていることが多い。生物学の観点から、近傍の実の大きさはおおよそ同じであるので、実の外形線内の面積が小さい場合、実の一部分が隠れており、見えている実の部分が小さいといえる。
【0035】
実の外形線内の面積が閾値T4よりも小さい場合(ステップS33;YES)、処理がステップS34に進む。実の外形線内の面積が閾値T4以上である場合(ステップS33;NO)、処理がステップS35に進む。ステップS34において、制御部10は、2次元画像内の実の一部分が隠されていると決定し、実(一部分)の切り出し画像を出力する。ステップS35において、制御部10は、2次元画像内の実の全体部分が見えていると決定し、実(全体部分)の切り出し画像を出力する。
【0036】
ステップS6及びS7の処理の詳細について説明する。図11は、ステップS6及びS7の処理の一例を示すフローチャートである。ステップS41において、制御部10は、実(一部分)の切り出し画像を取得する。ステップS42において、制御部10は、切り出し画像内の実の外形線を求めるために、画像解析により、切り出し画像とデータベースにおける2次元画像とをマッチングする。画像解析におけるマッチングとは、入力画像中からテンプレート画像と最も類似する箇所を探索する処理をいう。制御部10は、切り出し画像とデータベースにおける撮影画像とを総当たりで比較することにより、切り出し画像とデータベースにおける2次元画像とをマッチングしてもよい。
【0037】
データベースには、実の全体部分が撮影された画像が格納されている。実の外形線は、実のサイズ、実の傾き、実とカメラ4との相対位置によって決まる。したがって、データベースには、例えば、下記の(条件1)~(条件3)を想定範囲内で変化させて撮影した画像を予め用意してもよい。ユーザーが、実を撮影した画像を用意して、実の2次元画像をデータベースに格納してもよい。下記の(条件1)~(条件3)は例示であって、下記の(条件1)~(条件3)の数値を変更してもよいし、他の条件を用いてもよい。
(条件1)実のサイズ(小、中、大3段階)
(条件2)実の傾き(所定角度ごとに360度回転)
(条件3)実とカメラ4との相対位置(第1所定距離範囲、第2所定距離範囲の2段階、第1所定距離範囲<第2所定距離範囲)
【0038】
ステップS43において、制御部10は、切り出し画像内の実の外形線とデータベースにおける2次元画像内の実の外形線との一致度が最も高い外形線を、データベースにおける2次元画像から抽出する。ステップS44において、制御部10は、抽出した外形線に基づいて、実(一部分)の切り出し画像内の実の隠れた部分の外形線を推定する。ステップS45において、制御部10は、実(一部分)の切り出し画像に対して、実の隠れた部分の外形線を追加し、実の外形線が追加された切り出し画像を出力する。制御部10は、実の外形線が追加された切り出し画像を実(全体部分)の切り出し画像として出力してもよい。
【0039】
ステップS8及びS9の処理の詳細について説明する。ステップS8及びS9の処理は、実のサイズを計測するために、実をモデル化して、実の3次元形状を推定する処理である。図12は、ステップS8及びS9の処理の一例を示すフローチャートである。ステップS51において、制御部10は、切り出し画像(全体部分)及び実の外形線が追加された切り出し画像を取得する。制御部10は、切り出し画像(全体部分)及び実の外形線が
追加された切り出し画像の一方を取得してもよい。
【0040】
ステップS52において、制御部10は、切り出し画像内の実の外形線に対して2つの楕円をフィッティングする。詳細には、制御部10は、切り出し画像内の実の外形線における互いに異なる部分のそれぞれに沿うように2つの楕円をフィッティングする。フィッティングとは、実験的に得られたデータに最もよく当てはまるような曲線を、多項式などの数式で近似して求めることである。例えば、制御部10は、実の外形線の一部と一方の楕円の一部とが重なるように一方の楕円をフィッティングし、実の外形線の他の一部と他方の楕円の一部とが重なるように他方の楕円をフィッティングする。図13は、切り出し画像内の実の外形線に対して2つの楕円(第1の楕円、第2の楕円)をフィッティングする場合の説明図である。図13に示す例では、撮像面は、xy平面上にあるものとする。図13に示すように、2つの楕円(第1の楕円、第2の楕円)の像が撮像面上に配置されている。制御部10は、実の切り出し画像から特徴部位を抽出する。切り出し画像内の実は、特徴部位(特徴点)を有する。実の特徴部位は、実における植物の本体に繋がる部位とは反対側にある部位であって、植物における他の部位とは視覚的に異なる部位である。実の特徴部位は、例えば、果頂、果底、萼、花痕等であるが、これらに限定されない。例えば、キウイ、柿、桃、トマトには、果頂があり、梨には、果底があり、リンゴには、萼があり、メロンには、花痕がある。制御部10は、実の外形線における互いに異なる部分の一方が、実の外形線における互いに異なる部分の他方よりも実の特徴部位に近くなるように、実の外形線に対して2つの楕円をフィッティングする。図13に示す例では、2つの楕円の一方(第1の楕円)が、2つの楕円の他方(第2の楕円)よりも切り出し画像内の実における特徴部位に近くなるように、2つの楕円が実の外形線にフィッティングされている。ステップS53において、制御部10は、2つの楕円の中心、長軸a、短軸bを算出し、出力する。ステップS54において、制御部10は、カメラ座標系のxy平面と平行な面(撮像面)上に2つの楕円(第1の楕円、第2の楕円)の像を配置する。図14は、カメラ座標系を示す図である。
【0041】
ステップS55において、制御部10は、2つの楕円のそれぞれに外接する2つの円錐を作成する。詳細には、制御部10は、カメラ座標系の原点C(0,0,0)を頂点とし、かつ、第1の楕円に外接する第1の円錐を計算し、カメラ座標系の原点C(0,0,0)を頂点とし、かつ、第2の楕円に外接する第2の円錐を計算する。ステップS56において、制御部10は、カメラ4と実との相対位置に基づいて、カメラ座標系における実の所定位置点A(x,y,z)を特定する。制御部10は、仰角β、方位角θ及びカメラ4と実との間の直線距離に基づいて、カメラ座標系における実の所定位置点A(x,y,z)を特定してもよい。仰角β及び方位角θは、撮影画像から求めることが可能である。カメラ4と実との間の直線距離は、実とカメラ4との間の距離を示す距離情報である。カメラ4が深度センサを有してもよく、深度センサが計測する深度情報からカメラ4と実との間の直線距離を計測してもよい。カメラ4が距離測定センサを有してもよく、距離測定センサが計測する距離情報からカメラ4と実との間の直線距離を計測してもよい。カメラ4と実との間の直線距離は、カメラ4と実との間の最短距離であってもよい。ステップS1又はステップS55において、制御部10は、カメラ4と実との間の直線距離を取得してもよい。
【0042】
ステップS57において、制御部10は、所定位置点Aを通り、第1の円錐に内接する第1の球を計算して作成する。例えば、制御部10は、第1の球の大きさ(例えば、直径d)及び位置を計算し、第1の球の大きさ及び位置を出力する。ステップS58において、制御部10は、直径dを有し、かつ、第2の円錐に内接する第2の球を計算して作成する。例えば、制御部10は、第2の球の大きさ(直径d)及び位置を計算し、第2の球の大きさ及び位置を出力する。このように、制御部10は、2つの円錐(第1の円錐、第2の円錐)のそれぞれに内接する2つの球(第1の球、第2の球)を作成し、2つの球のそ
れぞれの大きさ及び位置を算出する。第1の球及び第2の球は、同じ大きさであり、同一の直径dを有する。上記では、2つの円錐のうち、実の特徴部位が位置する側の球に対応する円錐を第1の円錐とするが、これに限定されない。
【0043】
ステップS59において、制御部10は、2つの球の中心間距離に2つの球の半径のそれぞれを加えた距離を計算する。詳細には、制御部10は、第1の球の中心と第2の球の中心との間の距離に、第1の球の半径(d/2)及び第2の球の半径(d/2)を加えた距離Lを計算し、距離Lを出力する。ステップS60において、制御部10は、実の直径d(第1の球又は第2の球の直径d)と距離Lとに基づいて、実の体積を計算し、実の体積を出力する。図15に示すように、実の直径dと距離Lとに基づいて、実の体積Vが計算される。図15は、実の体積Vの計算の一例を示す図である。このように、制御部10は、距離情報及び2つの球(第1の球、第2の球)に基づいて、2つの球の大きさ及び位置を算出する。例えば、制御部10は、距離情報に基づいて、実の外形線における互いに異なる部分の一方が実の外形線における互いに異なる部分の他方よりも実の特徴部位に近くなるようにフィッティングした楕円(第1の楕円)を撮像面上の像とする第1の球の大きさ及び位置を算出する。制御部10は、2つの楕円のうちの他方の楕円(第2の楕円)を撮像面上の像とする第2の球の位置を算出する。そして、制御部10は、2つの球の大きさ及び位置に基づいて、2つの球のそれぞれの表面の少なくとも一部に沿うように、実の3次元形状を推定する。また、制御部10は、実の3次元形状に基づいて、実の直径d、長さ(距離L)及び体積Vを計算し、出力する。これにより、実のサイズを高精度に計測することが可能となる。
【0044】
ステップS52及びS53の処理の詳細について説明する。図16は、ステップS52及びS53の処理の一例を示すフローチャートである。図17A図17B及び図17Cは、ステップS52及びS53の処理を説明するための説明図である。ステップS61において、切り出し画像内の実の外形線に対してフィッティングする1つ目の楕円を特定するため、制御部10は、切り出し画像内の実の特徴部位を検出し、特徴部位の位置を出力する。図17Aに示す例では、切り出し画像内の実の特徴部位が点P1で示されている。深層学習によって特徴部位を学習してもよい。制御部10は、特徴部位を学習した学習済モデルを用いて、切り出し画像内の実の特徴部位を検出してもよい。また、制御部10は、実の色、輝度の判別により、特徴部位を検出してもよい。
【0045】
ステップS62において、制御部10は、外接四角形の短辺を短軸に持ち、かつ、実の特徴部位に近い側の外形線にフィッティングする楕円(第1の楕円)を作成し、第1の楕円の中心、長軸a、短軸bを算出し、出力する。図17Bに示す例では、第1の楕円の中心が点P2で示され、第1の楕円の長軸aが軸a1で示され、第1の楕円の短軸bが軸b1で示されている。
【0046】
ステップS63において、制御部10は、実の特徴部位及び第1の楕円の中心の延長線上に中心を持ち、かつ、実の特徴部位に遠い側の外形線の一部分にフィッティングする楕円(第2の楕円)を作成し、第2の楕円の中心、長軸a、短軸bを算出し、出力する。図17Cに示す例では、第2の楕円の中心が点P3で示され、第2の楕円の長軸aが軸a2で示され、第2の楕円の短軸bが軸b2で示されている。
【0047】
3次元画像に基づいて実のサイズの計測を行った場合の計測時間は、2次元画像に基づいて実のサイズの計測を行った場合の計測時間の数倍程度である。本実施形態では、実の2次元画像に基づいて、実の3次元形状を推定し、実の3次元形状に基づいて、実のサイズの計測を行うことにより、実のサイズの計測に要する時間を短くすることが可能である。したがって、本実施形態によれば、実のサイズを高精度に計測することが可能であると共に、実のサイズの計測に要する時間の短縮化が図れる。
【0048】
本実施形態では、2次元画像内の実の一部分が隠れている場合、実の隠れた部分の外形線を2次元画像に追加し、実の隠れた部分の外形線が追加された2次元画像に基づいて、実の3次元形状を推定し、実の3次元形状に基づいて、実のサイズの計測を行う。2次元画像内の実の一部分が隠れている場合でも、実のサイズの計測を行うことが可能であるため、実の全数計測の精度及び個々の実のサイズの計測精度が向上する。
【0049】
物流分野では、段ボール等の対象物を接触式で計測しているが、農業分野では、実に接触すると傷む恐れがあるため非接触式が望ましい。ゆえに、物流分野では、段ボール等の対象物の重量を直接計測することができるが、実は収穫しないと重量を直接計測することはできない。農業分野では、収穫前の実の重量計測が求められている。本実施形態によれば、非接触で実のサイズを計測することが可能であり、収穫前に実の重量計測(収量予測)を行うことが可能である。
【0050】
図18は、収量予測に用いられるデータの構造の一例を示す図である。図18に示す重量を計算するための計算式は、実の直径から実の重量を求めるための計算式であって、ユーザーによって作成される。例えば、ユーザーの知見を用いて、計算式を作成してもよい。計算式は、記憶部20に記憶されてもよい。ユーザーが、計測数(個)、直径(mm)及び割合(%)に対してそれぞれの値を入力することで、制御部10によって総重量が計算される。総重量の計算は、日毎で行ってもよいし、月毎で行ってもよい。総重量が蓄積されることで、収穫前における実の重量(収量)が予測され、図18に示す収量予測の欄に表示される。本実施形態によれば、実のサイズを高精度に計測することが可能であるため、収量予測の精度の向上が図れる。図18に示すデータは、外部機器2から外部機器3に送られ、外部機器3の表示部に表示される。ユーザーは、外部機器3の表示部に表示されたデータの内容を視認することで、収量予測を把握することができる。
【0051】
《コンピュータが読み取り可能な記録媒体》
情報処理装置その他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記何れかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0052】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、ブルーレイディスク、フラッシュメモリ等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM等がある。
【0053】
<付記1>
植物の実を撮影する撮影部(4)により撮影された前記実の2次元画像と、前記実と前記撮影部(4)との間の距離を示す距離情報と、を取得する取得部(110)と、
前記2次元画像内の前記実の外形線を抽出する抽出部(150)と、
前記実の前記外形線における互いに異なる部分のそれぞれに沿うように2つの楕円をフィッティングし、前記距離情報及び2つの前記楕円に基づいて、2つの球の大きさ及び位置を算出する算出部(160)と、
2つの前記球の大きさ及び位置に基づいて、2つの前記球のそれぞれの表面の少なくとも一部に沿うように、前記実の3次元形状を推定する推定部(170)と、
を備える情報処理装置(2)。
<付記2>
前記抽出部(150)は、前記実の前記2次元画像から特徴部位を抽出し、
前記算出部(160)は、前記実の前記外形線における互いに異なる部分の一方が、前記実の前記外形線における互いに異なる部分の他方よりも前記特徴部位に近くなるように、2つの前記楕円をフィッティングする、
付記1に記載の情報処理装置(2)。
<付記3>
前記特徴部位は、前記2次元画像内の前記実における前記植物の本体に繋がる部位とは反対側にある部位であって、前記2次元画像内の前記植物における他の部位とは視覚的に異なる部位である、
付記2に記載の情報処理装置(2)。
<付記4>
前記特徴部位は、果頂、果底、萼又は花痕である、
付記2又は3に記載の情報処理装置(2)。
<付記5>
前記抽出部(150)は、前記実の前記2次元画像から特徴部位を抽出し、
前記算出部(160)は、
2つの前記球の一方を第1の球とし、2つの前記球の他方を第2の球とし、
前記距離情報に基づいて、前記実の前記外形線における互いに異なる部分の一方が前記実の前記外形線における互いに異なる部分の他方よりも前記特徴部位に近くなるようにフィッティングした楕円を撮像面上の像とする前記第1の球の大きさ及び位置を算出し、
2つの前記楕円のうちの他方の楕円を前記撮像面上の像とし、かつ、前記第1の球と同じ大きさである、前記第2の球の位置を算出する、
付記1から4の何れか一つに記載の情報処理装置(2)。
<付記6>
前記算出部(160)は、
2つの前記楕円の一方に外接する第1の円錐を計算し、
前記第1の円錐に内接する前記第1の球を計算し、
2つの前記楕円の他方に外接する第2の円錐を計算し、
前記第2の円錐に内接する前記第2の球を計算する、
付記5に記載の情報処理装置。
<付記7>
前記第1の球の中心と前記第2の球の中心との間の距離に前記第1の球の半径及び前記第2の球の半径を加えた距離と、前記第1の球の直径又は前記第2の球の直径と、に基づいて、前記実の体積を計算する計算部(180)を備える、
付記6に記載の情報処理装置(2)。
<付記8>
前記2次元画像内の前記実の一部分が隠れている場合、前記実の隠れた部分の外形線を前記2次元画像に追加する追加部(140)を備える、
付記1から7の何れか一つに記載の情報処理装置(2)。
<付記9>
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
植物の実を撮影する撮影部(4)により撮影された前記実の2次元画像と、前記実と前記撮影部(4)との間の距離を示す距離情報と、を取得する取得ステップと、
前記2次元画像内の前記実の外形線を抽出する抽出ステップと、
前記実の前記外形線における互いに異なる部分のそれぞれに沿うように2つの楕円をフィッティングし、前記距離情報及び2つの前記楕円に基づいて、2つの球の大きさ及び位置を算出する算出ステップと、
2つの前記球の大きさ及び位置に基づいて、2つの前記球のそれぞれの表面の少なくとも一部に沿うように、前記実の3次元形状を推定する推定ステップと、
を有する情報処理方法。
<付記10>
コンピュータに、
植物の実を撮影する撮影部(4)により撮影された前記実の2次元画像と、前記実と前記撮影部(4)との間の距離を示す距離情報と、を取得する取得ステップと、
前記2次元画像内の前記実の外形線を抽出する抽出ステップと、
前記実の前記外形線における互いに異なる部分のそれぞれに沿うように2つの楕円をフィッティングし、前記距離情報及び2つの前記楕円に基づいて、2つの球の大きさ及び位置を算出する算出ステップと、
2つの前記球の大きさ及び位置に基づいて、2つの前記球のそれぞれの表面の少なくとも一部に沿うように、前記実の3次元形状を推定する推定ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0054】
1:自律走行ロボット
2、3:外部機器
4:カメラ
5:照明装置
6:植物
10:制御部
20:記憶部
30:通信部
110:取得部
120:検出部
130:判定部
140:追加部
150:抽出部
150:算出部
170:推定部
180:計算部
190:出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18