(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025104268
(43)【公開日】2025-07-09
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20250702BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 201A
H01G4/30 201K
H01G4/30 512
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024204403
(22)【出願日】2024-11-25
(31)【優先権主張番号】10-2023-0192398
(32)【優先日】2023-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ビュン フン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、チャン ス
(72)【発明者】
【氏名】キム、キュン シク
(72)【発明者】
【氏名】キム、カ ヨウン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC02
5E001AC03
5E001AC07
5E001AF06
5E001AJ01
5E001AJ02
5E001AJ03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC36
5E082EE04
5E082EE11
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082LL02
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】割れが発生してもショート不良を防止することができ、静電容量などの電気的特性に優れた積層型電子部品を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態は、誘電体層及び誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極を含む本体、第1内部電極と連結され、第3面に配置されて、第1面及び第2面の一部上に延びる第1外部電極及び第2内部電極と連結され、第4面に配置されて、第1面及び第2面の一部上に延びる第2外部電極を含み、本体は、第1内部電極が隣接する第2内部電極と誘電体層を挟んで第1方向に重なる重なり領域を含み、重なり領域の第1方向の中央部は、重なり領域の第1方向の両端部よりも第2方向における長さが長く、本体には第1及び第2外部電極のうち少なくとも1つの先端側で本体の内部に延びた割れが存在し、割れは重なり領域と離隔した積層電子部品を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に互いに向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び第2面と連結され、第2方向に互いに向かい合う第3面及び第4面、前記第1面から第4面と連結され、第3方向に互いに向かい合う第5面及び第6面を含み、誘電体層及び前記誘電体層を挟んで前記第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極を含む本体と、
前記第1内部電極と連結され、前記第3面に配置されて前記第1面及び第2面の一部上に延びる第1外部電極と、
前記第2内部電極と連結され、前記第4面に配置されて前記第1面及び第2面の一部上に延びる第2外部電極と、を含み、
前記本体は、前記第1内部電極が隣接する第2内部電極と前記誘電体層を挟んで前記第1方向に重なるように重なる領域を含み、
前記重なり領域の第1方向の中央部は、前記重なり領域の第1方向の両端部より前記第2方向における長さが長く、
前記本体には、前記第1及び第2外部電極のうち少なくとも一つの先端側から前記本体の内部に延びた割れが存在し、前記割れは前記重なり領域と離隔した、積層型電子部品。
【請求項2】
前記本体は、前記重なり領域と第3面との間に配置され、前記第2内部電極が配置されない第1マージン領域、及び前記重なり領域と第4面との間に配置され、前記第1内部電極が配置されない第2マージン領域を含み、
前記割れは、前記第1外部電極の先端側から前記第1マージン領域を介して前記第3面側に延びるか、または前記第2外部電極の先端側で前記第2マージン領域を介して前記第4面側に延びる、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記本体の第1方向及び第2方向の断面において、
前記第3面と前記第1方向の最外側に配置された第2内部電極との間の第2方向への距離をLM、前記第3面と前記第1外部電極の先端との間の第2方向への距離をLEとするとき、LE>LMを満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第1面及び第2面のうち、前記第1外部電極の先端側に割れが存在する割れ面と前記第1方向の最外側に配置された第2内部電極との間の第1方向への距離をTM、前記割れの一端及び他端を結ぶ直線と前記割れ面が成す角度をθとするとき、LM>LE-TM×tan(90°-θ)を満たす、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記θは60°以上70°以下である、請求項4に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記本体の第1方向における厚さをTBとするとき、前記TBに対するTMの割合(TM/TB)は0.05以上0.3以下である、請求項4に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記割れのうち、前記誘電体層を貫通する区間の少なくとも一部の前記第2方向に対する傾きは、前記割れのうち、前記第1または第2内部電極を貫通する区間の前記第2方向に対する傾きよりも急である、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記本体は、前記第2内部電極と前記第2方向に離隔して配置され、前記第1外部電極と連結される第1ダミー電極、及び前記第1内部電極と前記第2方向に離隔して配置され、前記第2外部電極と連結される第2ダミー電極をさらに含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記重なり領域の第1方向の中央部で測定した前記第1ダミー電極の第2方向における長さは、前記重なり領域の第1方向の両端部で測定した前記第1ダミー電極の第2方向における長さよりも短い、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記重なり領域の第2方向における長さは、前記重なり領域の第1方向の中央部において前記重なり領域の第1方向の両端部に向かうほど徐々に減少する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記第1外部電極と前記第2内部電極が離隔した第2方向における長さは、前記重なり領域の第1方向の中央部において前記重なり領域の第1方向の両端部に向かうほど徐々に増加し、
前記第2外部電極と前記第1内部電極が離隔した第2方向における長さは、前記重なり領域の第1方向の中央部において前記重なり領域の第1方向の両端部に向かうほど徐々に増加する、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記重なり領域の第2方向における長さは、前記重なり領域の第1方向の中央部において前記重なり領域の第1方向の両端部に向かうほど階段状に減少する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記重なり領域は、前記重なり領域の第1方向の中央部に配置され、前記第2方向における長さが実質的に一定の第1領域、及び前記第1領域において前記重なり領域の第1方向の両端部に向かうほど前記第2方向における長さが徐々に減少する第2領域を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。このようなMLCCは、小型でありながら高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。
【0003】
最近、MLCCは従来のスマートフォン、ノートパソコンなどのIT機器だけでなく、電気自動車や自律走行などの電装及び産業化製品にも用いられ、高圧用高信頼性MLCCに対する需要が増加している傾向にある。そして、MLCCの信頼性を確保するためには、MLCCの曲げ強度を改善する必要がある。
【0004】
MLCCは主に本体と本体上に配置された外部電極から構成されている。MLCCに曲げ応力が作用すると、当該応力は外部電極の先端側に集中する傾向にあり、これにより外部電極の先端側から本体の内部に向かって割れが発生することがある。
【0005】
このような割れが互いに異なる極性の内部電極が交互に配置される本体の重なり領域に伝播すると、MLCCのショートが発生する可能性がある。上記問題点を解決するために、内部電極の積層数を減少させたり、重なり領域のサイズを減少させる方案を考慮することができるが、内部電極の積層数や重なり領域のサイズを減少させると、MLCCの容量及びDC-bias特性などが低下する可能性がある。
【0006】
したがって、割れが本体の重なり領域に伝播して、MLCCのショートが発生することを防止しながらも、容量及びDC-biasなどの電気的特性に優れたMLCCに関する研究が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の様々な目的の一つは、割れが発生してもショート不良を防止することができる積層型電子部品を提供することである。
【0008】
本発明の様々な目的の一つは、静電容量などの電気的特性に優れた積層型電子部品を提供することである。
【0009】
但し、本発明の目的は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、第1方向に互いに向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に互いに向かい合う第3面及び第4面、上記第1面から第4面と連結され、第3方向に互いに向かい合う第5面及び第6面を含み、誘電体層及び上記誘電体層を挟んで上記第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極を含む本体、上記第1内部電極と連結され、上記第3面に配置されて、上記第1面及び第2面の一部上に延びる第1外部電極及び上記第2内部電極と連結され、上記第4面に配置されて、上記第1面及び第2面の一部上に延びる第2外部電極を含み、上記本体は、上記第1内部電極が隣接する第2内部電極と上記誘電体層を挟んで上記第1方向に重なる重なり領域を含み、上記重なり領域の第1方向の中央部は、上記重なり領域の第1方向の両端部よりも上記第2方向における長さが長く、上記本体には上記第1及び第2外部電極のうち少なくとも1つの先端側で上記本体の内部に延びる割れが存在し、上記割れは上記重なり領域と離隔した積層型電子部品を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の様々な効果の一つとして、割れが発生してもショート不良を防止することができる積層型電子部品を提供することができる。
【0012】
本発明の様々な効果の一つとして、静電容量などの電気的特性に優れた積層型電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図である。
【
図2】
図1のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図である。
【
図3】
図1のII-II'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図である。
【
図5】
図2に示された積層型電子部品を製造するためのセラミック積層体を概略的に示した断面図である。
【
図6】本発明の他の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した断面図であり、
図2に対応する図面である。
【
図7】
図6に示された積層型電子部品を製造するためのセラミック積層体を概略的に示した断面図であり、
図5に対応する図面である。
【
図8】本発明の他の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した断面図であり、
図2に対応する図面である。
【
図9】
図8に示された積層型電子部品を製造するためのセラミック積層体を概略的に示した断面図であり、
図5に対応する図面である。
【
図10】従来の積層型電子部品に割れが発生した状態を概略的に示した断面図であり、
図2に対応する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0015】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0016】
図面において、第1方向は厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0017】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図であり、
図2は、
図1のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図であり、
図3は、
図1のII-II'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図であり、
図4は、
図1のA領域拡大図であり、
図5は、
図2に示された積層型電子部品を製造するためのセラミック積層体を概略的に示した断面図である。
【0018】
以下、
図1~
図5を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品100について詳細に説明する。また、積層型電子部品の一例として、積層セラミックキャパシタについて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、多様な積層型電子部品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、またはサーミスタなどにも適用されることができる。
【0019】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110と外部電極131、132を含むことができる。
【0020】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は、六面体状またはこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮やエッジ部の研磨により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0021】
本体110は、第1方向に互いに向かい合う第1面及び第2面1、2、第1面及び第2面1、2と連結され、第2方向に互いに向かい合う第3面及び第4面3、4、第1面から第4面1、2、3、4と連結され、第3方向に互いに向かい合う第5面及び第6面5、6を有することができる。
【0022】
本体110は、誘電体層111及び誘電体層111と交互に配置される内部電極121、122を含むことができる。本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0023】
誘電体層111は、例えば、ABO3で表されるペロブスカイト型化合物を主成分として含むことができる。ABO3で表されるペロブスカイト型化合物は、例えば、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)またはBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)などが挙げられる。
【0024】
誘電体層111の平均厚さtdは特に制限されない。誘電体層111の平均厚さtdは、例えば、0.1μm~20μm、0.1μm~10μm、0.1μm~5μm、0.1μm~2μm、または0.1μm~0.4μmであることができる。
【0025】
内部電極121、122は、誘電体層111を挟んで第1方向に交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができる。互いに異なる極性を有する一対の電極である第1内部電極121と第2内部電極122が誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置されることができる。第1内部電極121と第2内部電極122は、その間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離することができる。
【0026】
第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3側で第1外部電極131と連結されることができる。第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4側で第2外部電極132と連結されることができる。
【0027】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、Ni、Cu、Pd、Ag、Au、Pt、Sn、W、Ti及びこれらの合金のうち1つ以上であることができ、より好ましくはNiを含むことができるが、本発明はこれに限定されない。
【0028】
内部電極121、122の平均厚さteは特に制限されない。内部電極121、122の平均厚さteは、例えば、0.1μm~3.0μm、0.1μm~1.0μm、または0.1μm~0.4μmであることができる。
【0029】
誘電体層111の平均厚さtd及び内部電極121、122の平均厚さteは、それぞれ誘電体層111及び内部電極121、122の第1方向における平均厚さを意味する。誘電体層111の平均厚さtd及び内部電極121、122の平均厚さteは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的には、1つの誘電体層111の多数の地点、例えば第2方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定した後、平均値をとることで誘電体層111の平均厚さtdを測定することができる。また、1つの内部電極121、122の多数の地点、例えば第2方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定した後、平均値をとることで内部電極121、122の平均厚さteを測定することができる。上記等間隔の30個の地点は、重なり領域110aで指定されることができる。一方、このような平均値測定をそれぞれ10個の誘電体層111及び10個の内部電極121、122について行った後、平均値を測定すると、誘電体層111の平均厚さtd及び内部電極121、122の平均厚さteをさらに一般化することができる。
【0030】
本体110は、第1内部電極121が隣接する第2内部電極122と誘電体層111を挟んで第1方向に重なる重なり領域110a、重なり領域110aと第3面3との間に配置され、第2内部電極122が配置されない第1マージン領域110b、及び重なり領域110aと第4面4との間に配置され、第1内部電極121が配置されない第2マージン領域110cを含むことができる。
【0031】
本体110は、重なり領域110aの第1方向に向かい合う両面上にそれぞれ配置される第1カバー部112及び第2カバー部113を含むことができる。第1カバー部112は、重なり領域110aの第1方向の一面、第1マージン領域110bの第1方向の一面、及び第2マージン領域110cの第1方向の一面上に連続的に配置されることができる。第2カバー部113は、重なり領域110aの第1方向の他面、第1マージン領域110bの第1方向の一面、及び第2マージン領域110cの第1方向の他面上に連続的に配置されることができる。カバー部112、113は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。カバー部112、113は、内部電極を含まないことを除いては、誘電体層111と類似した構成を有することができる。
【0032】
カバー部112、113の平均厚さは特に制限されない。カバー部112、113の平均厚さは、例えば、150μm以下、100μm以下、30μm以下、または20μm以下であることができる。カバー部112、113の平均厚さは、例えば、5μm以上、10μm以上、または30μm以上であることができる。ここで、カバー部112、113の平均厚さは、第1カバー部112及び第2カバー部113のそれぞれの平均厚さを意味する。カバー部112、113の平均厚さは、カバー部112、113の第1方向における平均厚さを意味することができ、本体110の第1方向及び第2方向の断面において第2方向に等間隔の5個の地点で測定した第1方向における厚さを平均した値であることができる。
【0033】
本体110は、重なり領域110aの第3方向に向かい合う両面上にそれぞれ配置される第1マージン部114及び第2マージン部115を含むことができる。第1マージン部114は、重なり領域110aの第3方向の一面、第1マージン領域110bの第3方向の一面、及び第2マージン領域110cの第3方向の一面上に連続的に配置されることができる。第2マージン部115は、重なり領域110aの第3方向の他面、第1マージン領域110bの第3方向の他面、及び第2マージン領域110cの第3方向の他面上に連続的に配置されることができる。マージン部114、115は、本体110を第1方向及び第3方向に切断した断面において内部電極121、122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。マージン部114、115は、内部電極121、122を含まないことを除いては、誘電体層111と類似した構成を有することができる。
【0034】
マージン部114、115の平均厚さは特に制限されない。マージン部114、115の平均厚さは、例えば、150μm以下、100μm以下、20μm以下、または15μm以下であることができる。マージン部114、115の平均厚さは、例えば、5μm以上、10μm以上、または30μm以上であることができる。ここで、マージン部114、115の平均厚さtmは、第1マージン部114及び第2マージン部115のそれぞれの平均厚さを意味する。マージン部114、115の平均厚さは、マージン部114、115の第3方向における平均厚さを意味することができ、本体110の第1方向及び第3方向の断面において第1方向に等間隔の5個の地点で測定した第3方向における厚さを平均した値であることができる。
【0035】
外部電極131、132は、第1内部電極121と連結され、第3面3に配置され、第1面及び第2面1、2の一部上に延びる第1外部電極131及び第2内部電極122と連結され、第4面4に配置されて、第1面及び第2面1、2の一部上に延びる第2外部電極132を含むことができる。第1外部電極131は、第3面3に配置されて、第1面、第2面、第5面及び第6面1、2、5、6のそれぞれの一部上に延びることができ、第2外部電極132は、第4面4に配置されて、第1面、第2面、第5面及び第6面1、2、5、6のそれぞれの一部上に延びることができる。
【0036】
外部電極の種類や形態は特に制限されず、多層構造を有することもできる。例えば、外部電極は、内部電極121、122と接触する下地電極層及び下地電極層上に配置されるめっき層を含むことができる。
【0037】
上記下地電極層は、金属及びガラスを含む焼結電極であることができる。上記下地電極層に含まれる金属は、Cu、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Pb及び/またはこれを含む合金などを含むことができるが、本発明はこれに限定されるものではない。上記下地電極層に含まれるガラスは、Ba、Ca、Zn、Al、B及びSiのうち1つ以上の酸化物を含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0038】
一方、上記下地電極層は、金属及びガラスを含む第1層のみで構成されることができるが、本発明はこれに制限されるものではなく、上記下地電極層は多層構造を有することができる。例えば、上記下地電極層は、金属及びガラスを含む第1層及び上記第1層上に配置され、金属及び樹脂を含む第2層を含むことができる。
【0039】
上記第2層に含まれた金属は、球状粒子及びフレーク状粒子のうち1つ以上を含むことができる。ここで、球状粒子は、完全な球状ではない形態も含むことができ、例えば、長軸と短軸の長さ割合(長軸/短軸)が1.45以下の形態を含むことができる。フレーク状粒子は、平坦且つ細長い形態を有する粉末を意味し、特に制限されるものではないが、例えば、長軸と短軸の長さ割合(長軸/短軸)が1.95以上であることができる。上記第2層に含まれた金属は、例えば、Cu、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Pb、Sn及び/またはこれを含む合金を含むことができる。上記第2層に含まれた樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、エチルセルロースのうち1つ以上を含むことができる。
【0040】
上記めっき層は、実装特性を向上させることができる。上記めっき層は、例えば、Ni、Sn、Pd及び/またはこれを含む合金などを含むことができ、複数の層から形成されることもできる。めっき層は、例えば、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、Niめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であることもできる。また、上記めっき層は、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0041】
図面では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造を説明しているが、これに限定されるものではなく、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変わることができる。
【0042】
積層型電子部品100に曲げ応力が作用すると、当該応力は外部電極の先端131a、132a側に集中されることができ、これにより本体110には第1及び第2外部電極131、132の少なくとも1つの先端側から本体110の内部に延びる割れCRが存在する可能性がある。割れCRは、第1外部電極の先端131a側から第1マージン領域110bを介して第3面3側に延びるか、第2外部電極の先端132a側で第2マージン領域110cを介して第4面4側に延びることができる。本体110にこのような形態の割れCRが存在することは、外部電極の先端131a、132aがこれと接している本体110の領域を外側に引っ張る応力が作用するためであると予想される。一方、割れCRの伝播経路は媒質の密度に応じて変わることができる。例えば、割れCRのうち誘電体層を貫通する区間CL2の少なくとも一部の第2方向に対する傾きは、割れCRのうち、第1または第2内部電極を貫通する区間CL1の第2方向に対する傾きよりも急である可能性がある。
【0043】
本発明の一実施形態によると、重なり領域110aの第1方向の中央部は、重なり領域110aの第1方向の両端部よりも第2方向における長さが長いことができる。例えば、マージン領域110b、110cの第1方向の中央部は、マージン領域110b、110cの第1方向の両端部よりも第2方向における長さが短いことができる。重なり領域110aの第1方向の中央部が重なり領域110aの第1方向の両端部よりも第2方向における長さが長いため、本体110に割れCRが存在しても、上記割れCRは重なり領域110aと離隔することができる。
【0044】
図10は、従来の積層型電子部品に割れが発生した状態を概略的に示した断面図であり、
図2に対応する図面である。
図10を参照すると、従来の積層型電子部品の本体10は、第1内部電極21が隣接する第2内部電極22と誘電体層11を挟んで重なる重なり領域10aを含むが、一般的に、重なり領域10aの第2方向における長さは、重なり領域10aの第1方向の中央部と第1方向の両端部で一定である。
【0045】
従来の場合、外部電極31、32の先端から本体10の内部に割れCRが伝播すると、割れCRが重なり領域10aを貫通してショート不良が発生する問題点が存在した。このような問題点を解決するために、重なり領域10aの第2方向における長さを全体的に減少させて割れCRが重なり領域10aの内部に延びないようにする方案を考慮することができる。但し、重なり領域10aの第2方向における長さを減少させるほど、積層型電子部品の静電容量とDC-bias特性が低下するという副効果が発生する可能性がある。
【0046】
一方、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、割れCRとの距離が遠い重なり領域110aの第1方向の中央部が割れCRとの距離が短い重なり領域110aの第1方向の両端部よりも第2方向における長さが長い構造を有することで割れCRが重なり領域110aの内部に伝播することを防ぎ、ショート不良が発生することを防止しながらも重なり領域110aの第2方向における長さを全体的に減少させた場合に比べて、積層型電子部品100の静電容量及びDC-bias特性を改善することができる。
【0047】
一方、重なり領域110aは、第1方向の中央部が第1方向の両端部よりも第2方向における長さが長ければよく、重なり領域110aの具体的な形状は特に制限されない。例えば、重なり領域110aの第2方向における長さは、重なり領域110aの第1方向の中央部において重なり領域110aの第1方向の両端部に向かうほど徐々に減少することができる。例えば、第1外部電極131と第2内部電極122が離隔した第2方向における長さは、重なり領域110aの第1方向の中央部において重なり領域110aの第1方向の両端部に向かうほど徐々に増加し、第2外部電極132と第1内部電極121が離隔した第2方向における長さは、重なり領域110aの第1方向の中央部において重なり領域110aの第1方向の両端部に向かうほど徐々に増加することができる。これにより、ショート不良の発生を防止しながらも、本発明の静電容量及びDC-bias特性の改善効果がより顕著になることができる。
【0048】
一方、重なり領域110aとクラックCRとの間の第2方向への距離は、重なり領域110aの第1方向の両端部から重なり領域110aの第1方向の中央部に向かうほど徐々に大きくなることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0049】
図2及び
図4を参照すると、一実施形態において、本体110の第1方向及び第2方向の断面において、第3面と第1外部電極の先端との間の第2方向への距離LEは、第3面と第1方向の最外側に配置された第2内部電極との間の第2方向への距離LMよりも長いことができる。すなわち、LE>LMを満たすことができる。
【0050】
外部電極の先端131a、132a側から本体110の内部に伝播される割れCRは、積層型電子部品100に高圧が印加されるほど容易に発生する可能性がある。割れCRが重なり領域110aの内部に延びてショート不良が発生することを防止するために、上記LEをLMよりも短くすると、高圧用電子部品の曲げ強度を確保することができないという問題点が発生することがある。
【0051】
すなわち、外部電極の先端131a、132a側から本体110の内部に延びた割れCRが重なり領域110aと離隔しながらもLE>LMを満たすとき、高圧用電子部品の短絡発生を防止するとともに、一定レベル以上の曲げ強度を確保することができる。
【0052】
一実施形態において、第1面及び第2面1、2のうち、第1外部電極の先端131a側に割れが存在する割れ面と第1方向の最外側に配置された第2内部電極122との間の第1方向への距離をTM、割れCRの一端及び他端を結ぶ直線CLと、上記割れ面が成す角度をθとするとき、LM>LE-TM×tan(90°-θ)を満たすことができる。
図3及び
図4において、割れ面は第2面であることができる。第1外部電極の先端131a側に存在する割れCRの一端は第2面に位置することができ、他端は第3面3に位置することができる。LM>LE-TM×tan(90°-θ)を満たすとき、高圧用積層型電子部品のショート不良の発生を防止するとともに、一定レベル以上の曲げ強度を確保することができる。上記θは、例えば、60°以上70°以下であることができる。
【0053】
LM>LE-TM×tan(90°-θ)を満たす場合、上記LMは特に制限されないが、本体の第2方向における長さをLBとするとき、上記LBに対するLMの割合(LM/LB)は0.05以上0.4以下であることができる。
【0054】
また、上記TMは特に制限されないが、上記TMが増加するほどカバー部の厚さが増加する効果が発生して、積層型電子部品100に割れCRが発生する確率が低くなり、割れCRが発生しても重なり領域110aの内部に延びないことができる。但し、上記TMが増加するにつれて、本体1100の全体体積で重なり領域110aの体積が減って、積層型電子部品100の静電容量が低下する可能性がある。一方、本発明では、重なり領域110aの第1方向の中央部が重なり領域110aの第1方向の両端部よりも第2方向における長さが長いため、本体110の第1方向における厚さTBに対する上記TMの割合(TM/TB)が0.3以下であっても、積層型電子部品のショート不良の発生を防止することができ、同時に一定レベル以上の曲げ強度と静電容量を確保することができる。上記TBに対するTMの割合(TM/TB)の下限は特に制限されないが、0.05以上であることができる。
【0055】
一実施形態において、本体110は、第2内部電極122と第2方向に離隔して配置され、第1外部電極131と連結される第1ダミー電極123、及び第1内部電極121と第2方向に離隔して配置され、第2外部電極132と連結される第2ダミー電極124を含むことができる。第1ダミー電極123は、第2内部電極122と実質的に同一平面上に配置されることができ、第2ダミー電極124は、第1内部電極121と実質的に同一平面上に配置されることができる。
【0056】
本体110にダミー電極123、124を適宜形成することで後述するセラミックグリーンシート上に印刷される内部電極パターンの種類を増やすことなく、本発明の一実施形態による積層型電子部品を製造することができる。
【0057】
一実施形態において、重なり領域110aの第1方向の中央部で測定した第1ダミー電極123の第2方向における長さは、重なり領域110aの第1方向の両端部で測定した第1ダミー電極123の第2方向における長さよりも短いことができる。また、重なり領域110aの第1方向の中央部で測定した第2ダミー電極124の第2方向における長さは、重なり領域110aの第1方向の両端部で測定した第2ダミー電極124の第2方向における長さよりも短いことができる。
【0058】
例えば、第1ダミー電極123の第2方向における長さは、本体110の第1方向の中央から本体110の第1方向の外側に向かうほど長くなり、第2ダミー電極124の第2方向における長さは、本体110の第1方向の中央から本体110の第1方向の外側に向かうほど長くなることができる。
【0059】
一実施形態において、第1方向の最外側に配置された第2内部電極122と第1方向の最外側に配置された第1ダミー電極123間の第2方向への距離をLDとするとき、上記LMに対するLDの割合(LD/LM)は0.3以上であることができる。上記LD/LMが0.3未満であると、第2内部電極122と第1ダミー電極123が接触してショート不良が発生するおそれがある。上記LD/LMの上限は特に制限されないが、0.8以下であることができる。
【0060】
以下、
図5を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品100を形成する方法の一例について説明する。
【0061】
まず、セラミックグリーンシート211a、211bを形成するためのセラミック粉末を用意する。セラミック粉末は、例えば、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)等が一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)またはBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)であることができる。BaTiO3粉末は、例えば、二酸化チタンなどのチタン原料と炭酸バリウムなどのバリウム原料を反応させることで合成されることができる。上記セラミック粉末の合成方法は、例えば、固相法、ゾル-ゲル法、水熱合成法などがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。次に、用意されたセラミック粉末を乾燥及び粉砕した後、エタノール等の有機溶剤及びポリビニルブチラール等のバインダーを混合してセラミックスラリーを製造した後、上記セラミックスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシート211a、211bを設ける。
【0062】
次に、セラミックグリーンシート211a、211b上に所定の厚さで金属粉末、バインダー、有機溶剤などを含む内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いて印刷することで内部電極パターン221、222を形成する。より具体的には、第1セラミックグリーンシート211a上に複数の第1内部電極パターン221を形成し、第2セラミックグリーンシート211b上に複数の第2内部電極パターン222を形成する。
【0063】
この後、内部電極パターン221、222が印刷されたセラミックグリーンシート211a、211bをキャリアフィルムから剥離する。次に、第1セラミックグリーンシート211aと第2セラミックグリーンシート211bを所定の層数だけ交互に積層した後、圧着して
図5に示されたセラミック積層体200を形成する。セラミック積層体200の上下部には、焼成後にカバー部112、113を形成するために内部電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシートを所定の層数だけ積層することができる。この後、セラミック積層体200を所定のチップサイズを有するように切断ラインC1に沿って切断し、切断されたチップを1000℃以上1400℃以下の温度で焼成して本体110を形成することができる。このとき、切断ラインC1を基準に第1内部電極パターンの先端がオフセットされた長さD1は、セラミック積層体200の第1方向の中央部においてセラミック積層体200の第1方向の両端部に向かうほど長くする。また、切断ラインC1を基準に第2内部電極パターンの先端がオフセットされた長さD2は、セラミック積層体200の第1方向の中央部においてセラミック積層体200の第1方向の両端部に向かうほど長くする。これにより、焼成後の重なり領域110aの第1方向の中央部が重なり領域110aの第1方向の両端部よりも第2方向における長さが長くなるようにすることができる。
【0064】
一方、マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成されるところを除いて、内部電極用導電性ペーストを塗布して焼成することで形成されたものであることができる。または、内部電極121、122による段差を抑制するために、切断されたチップの第3方向の両面に内部電極パターンが露出するようにセラミック積層体を切断した後、マージン部形成用シートを切断したチップの第3方向の両面上に付着してから焼成してマージン部114、115を形成することもできる。
【0065】
この後、本体110を金属粉末及びガラスフリット、バインダー及び有機溶剤等を含む導電性ペーストにディッピング(dipping)した後、上記導電性ペーストを焼成することで下地電極層を形成する。上記下地電極層が金属及びガラスを含む第1層と金属及び樹脂を含む第2層を含む場合、上記第2層は、上記第1層上に金属粉末、樹脂、バインダー、及び有機溶剤等を含む導電性樹脂組成物にディッピングした後、250℃~550℃の温度で硬化熱処理することで形成することができる。次に、電解めっき法及び/または無電解めっき法を用いてめっき層を形成することで積層型電子部品100を製造することができる。
【0066】
一方、積層型電子部品100に加えられた曲げ応力によって、外部電極の先端側から本体110の内部に延びた割れCRが形成されることができるが、重なり領域110aの第1方向の中央部が重なり領域110aの第1方向の両端部よりも第2方向における長さが長いため、割れCRは重なり領域110aと離隔することができる。
【0067】
但し、上述した製造方法は一例であり、積層型電子部品100の製造方法が上述した製造方法に限定されるものではない。
【0068】
図6は、本発明の他の一実施形態による積層型電子部品100'を概略的に示した断面図であり、
図2に対応する図面である。
図7は、
図6に示された積層型電子部品100'を製造するためのセラミック積層体200'を概略的に示した断面図であり、
図5に対応する図面である。
【0069】
以下、
図6及び
図7を参照して、本発明の他の一実施形態による積層型電子部品100'及び積層型電子部品100'を製造するためのセラミック積層体200'について説明する。
図1~
図5で説明した積層型電子部品100及びセラミック積層体200の構成と同一/類似の構成については同一/類似の参照符号を用い、重複した説明は省略する。
【0070】
図6を参照すると、重なり領域110a'の第2方向における長さは、重なり領域110a'の第1方向の中央部において重なり領域110a'の第1方向の両端部に向かうほど階段状に減少することができる。
【0071】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100'は、重なり領域110a'の第2方向における長さが重なり領域110a'の第1方向の中央部において重なり領域110a'の第1方向の両端部に向かうほど階段状に減少する構造を有することで割れCRが重なり領域110a'の内部に伝播されず、ショート不良が発生することを防止しながらも重なり領域110a'の第2方向における長さを全体的に減少させた場合に比べて、積層型電子部品100'の静電容量及びDC-bias特性を改善することができる。
【0072】
図7を参照すると、積層型電子部品100'を製造するためのセラミック積層体200'において、切断ラインC1を基準に第1内部電極パターンの先端がオフセットされた長さD1'がセラミック積層体200'の第1方向の中央部においてセラミック積層体200'の第1方向の両端部に向かうほど階段状に増加するようになる。また、切断ラインC1を基準に第2内部電極パターンの先端がオフセットされた長さD2'は、セラミック積層体200'の第1方向の中央部においてセラミック積層体200'の第1方向の両端部に向かうほど階段状に増加するようになる。これにより、焼成後の重なり領域110a'の第2方向における長さが重なり領域110a'の第1方向の中央部において重なり領域110a'の第1方向の両端部に向かうほど階段状に減少するように形成することができる。但し、上述した製造方法は一例であり、積層型電子部品100'の製造方法が上述した製造方法に限定されるものではない。
【0073】
図8は、本発明の他の一実施形態による積層型電子部品100''を概略的に示した断面図であり、
図2に対応する図面である。
図9は、
図8に示された積層型電子部品100''を製造するためのセラミック積層体200''を概略的に示した断面図であり、
図5に対応する図面である。
【0074】
以下、
図8及び
図9を参照して、本発明の他の一実施形態による積層型電子部品100''及び積層型電子部品100''を製造するためのセラミック積層体200''について説明する。
図1~
図5で説明した積層型電子部品100及びセラミック積層体200の構成と同一/類似の構成については同一/類似の参照符号を用い、重複した説明は省略する。
【0075】
図8を参照すると、重なり領域110a''は、重なり領域110a''の第1方向の中央部に配置され、第2方向における長さが実質的に一定な第1領域R1、及び第1領域R1において重なり領域110a''の第1方向の両端部に向かうほど第2方向における長さが徐々に減少する第2領域R2、R3を含むことができる。ここで、第1領域R1の第2方向における長さが実質的に一定であるということは、通常の知識を有する者が一定であると納得できるほど一定であることを意味することができ、製造工程上発生する工程誤差や位置偏差、測定時の誤差を含んで同一であるという意味であることができる。
【0076】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100''は、重なり領域110a''の第2方向における長さが重なり領域110a''の第1方向の両端部に向かうほど徐々に減少する第2領域R2、R3を含むことで割れCRが重なり領域110a''の内部に伝播されず、ショート不良が発生することを防止しながらも、重なり領域110a''の第2方向における長さを全体的に減少させた場合に比べて、積層型電子部品100''の静電容量及びDC-bias特性を改善することができる。
【0077】
図9を参照すると、積層型電子部品100''を製造するためのセラミック積層体200''において、切断ラインC1を基準に第1内部電極パターンの先端がオフセットされた長さD1''がセラミック積層体200''の第1方向の中央部においてセラミック積層体200''の第1方向の両端部に向かうほど徐々に増加するようにするが、セラミック積層体200''の第1方向の中央部において第1内部電極パターンの先端がオフセットされた長さD1''が実質的に一定の領域を有するようにする。また、切断ラインC1を基準に第2内部電極パターンの先端がオフセットされた長さD2''がセラミック積層体200''の第1方向の中央部においてセラミック積層体200''の第1方向の両端部に向かうほど徐々に増加するようにするが、セラミック積層体200''の第1方向の中央部において、第2内部電極パターンの先端がオフセットされた長さD2''が実質的に一定の領域を有するようにする。
【0078】
これにより、重なり領域110a''は、重なり領域110a''の第1方向の中央部に配置され、第2方向における長さが実質的に一定の第1領域R1、及び第1領域R1において重なり領域110a''の第1方向の両端部に向かうほど第2方向における長さが徐々に減少する第2領域R2、R3を含むことができる。但し、上述した製造方法は一例であり、積層型電子部品100''の製造方法が上述した製造方法に限定されるものではない。
【0079】
本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【0080】
また、「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解することができる。
【0081】
さらに、第1、第2などの表現は、ある構成要素と他の構成要素を区分するために用いられるものであって、該当構成要素の順序及び/又は重要度などを限定しない。場合によっては、権利範囲から逸脱せずに、第1構成要素は第2構成要素と命名されることもでき、同様に第2構成要素を第1構成要素と命名されることもできる。
【符号の説明】
【0082】
100、100'、100'' 積層型電子部品
110 本体
110a、110a'、110a'' 重なり領域
110b、110c マージン領域
111 誘電体層
112、113 カバー部 114、115 マージン部
121、122 内部電極 123、124 ダミー電極
131、132 外部電極
200、200'、200'' セラミック積層体
211a、211b セラミックグリーンシート
221、222 内部電極パターン
CR 割れ R1 第1領域
R2、R3 第2領域