(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025104274
(43)【公開日】2025-07-09
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20250702BHJP
【FI】
H01G4/30 201N
H01G4/30 201M
H01G4/30 201Z
H01G4/30 511
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024205749
(22)【出願日】2024-11-26
(31)【優先権主張番号】10-2023-0193108
(32)【優先日】2023-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨウン エウン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ジャエ イェオル
(72)【発明者】
【氏名】アン、ヨウン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ジョーン イェオブ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AD03
5E001AH01
5E001AJ03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC32
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG26
5E082GG28
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】信頼性に優れ、内部電極と外部電極との間の接触性が向上し、等価直列抵抗(ESR)の低く、小型でありながら容量に優れた積層型電子部品を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される内部電極を含む容量形成部、上記容量形成部の第1方向の両面に配置されるカバー部、及び上記容量形成部及びカバー部の第3方向の両面に配置されるサイドマージン部を含む本体と、第3及び第4面に配置される外部電極と、を含み、上記本体の第1及び第3方向の断面で、1つ以上のエッジ領域には、上記本体の外表面に対する接線の傾きが反対になる地点であるIPが1つ以上配置され、上記本体の第1方向の最大厚さをT、上記本体の第2方向の最大長さをL、上記本体の第3方向の最大幅をWとするとき、W<T<Lを満たすことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に向かい合う第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3及び第4面、前記第1~第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5及び第6面を含み、
誘電体層、及び前記誘電体層と第1方向に交互に配置される内部電極を含む容量形成部、前記容量形成部の第1方向の両面に配置されるカバー部、及び前記容量形成部及びカバー部の第3方向の両面に配置されるサイドマージン部を含む本体と、
前記第3及び第4面に配置される外部電極と、を含み、
前記本体の第1及び第3方向の断面で、1つ以上のエッジ領域には、前記本体の外表面に対する接線の傾きが反対になる地点であるIPが1つ以上配置され、
前記本体の第1方向の最大厚さをT、前記本体の第2方向の最大長さをL、前記本体の第3方向の最大幅をWとするとき、W<T<Lを満たす、積層型電子部品。
【請求項2】
前記エッジ領域は湾曲した形状を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記第1方向の最上部に配置された内部電極の第3方向の一端から前記第1方向の上部に直線を引いたときに、前記本体の外表面と接する地点をP1、前記第1方向の最上部に配置された内部電極の前記第3方向の一端から前記第3方向に直線を引いたときに、前記本体の外表面と接する地点をP2とするとき、
前記P1とP2との間に前記IPが配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記P1とP2との間に前記IPが1つのみ配置される、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記P1とP2との間に前記IPが2つ以上配置される、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記エッジ領域のうち少なくとも一つのエッジ領域に前記IPが2つ以上配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記第1方向の最上部に配置された内部電極の第3方向の一端から前記第1方向の上部に直線を引いたときに、前記本体の外表面と接する地点をP1、前記第1方向の最上部に配置された内部電極の前記第3方向の一端から前記第3方向に直線を引いたときに、前記本体の外表面と接する地点をP2とするとき、
前記P1で第3方向に前記サイドマージン部の平均幅の半分以内の領域をR1、前記P2で第1方向に前記カバー部の平均厚さの半分以内の領域をR2とするとき、
前記R1に配置されるIPであるIP1、前記R2に配置されるIPであるIP2を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記IP1は前記容量形成部と第1方向に重なるように配置され、前記IP2は前記容量形成部と第3方向に重なるように配置される、請求項7に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記IP1は前記容量形成部と第1方向に重ならないように配置され、前記IP2は前記容量形成部と第3方向に重ならないように配置される、請求項7に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記R1及びR2には、それぞれ前記IPが1つずつのみ配置される、請求項7に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記T及びWは、1.1<T/W<1.8を満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記Lは0.69mm以下であり、前記Wは0.39mm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記Tは0.55mm以下である、請求項12に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layer Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができ、コンピュータ、モバイル機器などの各種電子機器が小型化、高出力化されながら積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。
【0004】
一般的に、MLCCは幅と厚さが同じ構造を有している。高容量を達成するためには、誘電体層及び内部電極の薄層化による積層数の増加が必要である。しかしながら、誘電体層及び内部電極の薄層化は、技術的限界によりチップの幅と厚さが同一である構造では、高い積層数を実現することが容易ではない。そこで、チップの厚さを厚くして高い積層数を実現するHPCC(High-Profile Ceramic Capacitor)製品が開発された。
【0005】
HPCCは、幅Wに対して厚さTが厚い構造を有しており、幅と厚さが同じ構造を有する一般的なMLCCに対して積層数を増加させることができ、高容量を容易に達成することができる。
【0006】
このようなHPCCは、一般的なMLCCに対して積層数が増加するため、内部電極と外部電極との間の接触性が信頼性に重要な影響を及ぼす要素の一つである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の様々な目的の一つは、信頼性に優れた積層型電子部品を提供することである。
【0008】
本発明の様々な目的の一つは、内部電極と外部電極との間の接触性が向上した積層型電子部品を提供することである。
【0009】
本発明の様々な目的の一つは、等価直列抵抗(ESR)の低い積層型電子部品を提供することである。
【0010】
本発明の様々な目的の一つは、小型でありながら容量に優れた積層型電子部品を提供することである。
【0011】
但し、本発明の目的は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、第1方向に向かい合う第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3及び第4面、上記第1~第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5及び第6面を含み、誘電体層及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される内部電極を含む容量形成部、上記容量形成部の第1方向の両面に配置されるカバー部、及び上記容量形成部及びカバー部の第3方向の両面に配置されるサイドマージン部を含む本体と、上記第3及び第4面に配置される外部電極と、を含み、上記本体の第1及び第3方向の断面において、1つ以上のエッジ領域には、上記本体の外表面に対する接線の傾きが反対になる地点であるIPが1つ以上配置され、上記本体の第1方向の最大厚さをT、上記本体の第2方向の最大長さをL、上記本体の第3方向の最大幅をWとするとき、W<T<Lを満たすことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の様々な効果の一効果として、積層型電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0014】
本発明の様々な効果の一効果として、内部電極と外部電極との間の接触性を向上させることができる。
【0015】
本発明の様々な効果の一効果として、等価直列抵抗(ESR)の低い積層型電子部品を提供することができる。
【0016】
本発明の様々な効果の一効果として、小型でありながら容量に優れた積層型電子部品を提供することができる。
【0017】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
【
図2】本発明の一実施形態に係る本体の斜視図を概略的に示したものである。
【
図3】
図2の本体においてサイドマージン部を除いて示したものである。
【
図4】
図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示したものである。
【
図5】
図1のII-II'線に沿った断面図を概略的に示したものである。
【
図7】他の一実施形態に係る
図6に対応する図面である。
【
図8】さらに他の一実施形態に係る
図6に対応する図面である。
【
図9】
図1の積層型電子部品が実装された基板を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0020】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0021】
図面において、第1方向は積層方向または厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義することができる。
【0022】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものであり、
図2は、本発明の一実施形態に係る本体の斜視図を概略的に示したものであり、
図3は、
図2の本体においてサイドマージン部を除いて示したものであり、
図4は、
図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示したものであり、
図5は、
図1のII-II'線に沿った断面図を概略的に示したものであり、
図6は、
図5のK1領域を拡大した図面である。
【0023】
以下、
図1~
図6を参照して、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100について詳細に説明する。また、積層型電子部品の一例として、積層セラミックキャパシタ(Multi-layered Ceramic Capacitor、以下「MLCC」という)について説明するが、本発明がこれに限定されるものではなく、セラミック材料を用いる多様な積層型電子部品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、またはサーミスタなどにも適用されることができる。
【0024】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、第1方向に向かい合う第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3及び第4面3、4、上記第1~第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5及び第6面5、6を含み、誘電体層111及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される内部電極121、122を含む容量形成部Ac、上記容量形成部の第1方向の両面に配置されるカバー部112、113、及び上記容量形成部及びカバー部の第3方向の両面に配置されるサイドマージン部114、115を含む本体110と、上記第3及び第4面に配置される外部電極131、132と、を含み、上記本体の第1及び第3方向の断面において、1つ以上のエッジ領域には、上記本体の外表面に対する接線の傾きが反対になる地点であるIPが1つ以上配置され、上記本体の第1方向の最大厚さをT、上記本体の第2方向の最大長さをL、上記本体の第3方向の最大幅をWとするとき、W<T<Lを満たすことができる。
【0025】
本発明の一実施形態によると、本体110の1つ以上のエッジ領域には、上記本体の外表面に対する接線の傾きが反対になる地点であるIPが1つ以上配置され、上記本体の第1方向の最大厚さをT、上記本体の第2方向の最大長さをL、上記本体の第3方向の最大幅をWとするとき、W<T<Lを満たすことにより、内部電極と外部電極との間の接触性を改善することができ、高容量を確保することができる。
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100に含まれる各構成について説明する。
【0027】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていることができる。
【0028】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状またはこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではないことができる。
【0029】
本体110は、第1方向に向かい合う第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面1、2と連結され、第2方向に向かい合う第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、第3方向に向かい合う第5及び第6面5、6を有することができる。
【0030】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。誘電体層の積層数は特に制限する必要はなく、積層型電子部品のサイズを考慮して決定することができる。例えば、誘電体層を400層以上積層して本体を形成することができる。
【0031】
誘電体層111は、セラミック粉末、有機溶剤及びバインダーを含むセラミックスラリーを製造し、上記スラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシートを設けた後、上記セラミックグリーンシートを焼成することで形成することができる。セラミック粉末は、十分な静電容量を得ることができる限り、特に制限されないが、例えば、セラミック粉末としてチタン酸バリウム(BaTiO3)系粉末、CaZrO3基盤の常誘電性粉末などを用いることができる。より具体的な例を挙げると、チタン酸バリウム(BaTiO3)系粉末は、BaTiO3、(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)及びBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)のうち一つ以上であることができ、CaZrO3基盤の常誘電性粉末は、(Ca1-xSrx)(Zr1-yTiy)O3(0<x<1、0<y<1)であることができる。
【0032】
したがって、誘電体層111は、BaTiO3、(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)、Ba(Ti1-yZry)O3(0<y<1)及び(Ca1-xSrx)(Zr1-yTiy)O3(0<x<1、0<y<1)のうち一つ以上を含むことができる。
【0033】
本体110は本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Acと上記容量形成部Acの第1方向の上部及び下部に形成されたカバー部112、113を含むことができる。
【0034】
また、上記容量形成部Acは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であり、誘電体層111を挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層して形成されることができる。
【0035】
カバー部112、113は、容量形成部Acの第1方向の両面に配置されることができる。
【0036】
カバー部112、113は、上記容量形成部Acの第1方向の上部に配置される第1カバー部112及び上記容量形成部Acの第1方向の下部に配置される第2カバー部113を含むことができる。第1カバー部112を上部カバー部、第2カバー部113を下部カバー部と称することができる。
【0037】
第1カバー部112及び第2カバー部113は、単一誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0038】
第1カバー部112及び第2カバー部113は、内部電極を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。
【0039】
すなわち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、セラミック材料を含むことができ、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0040】
一方、カバー部112、113の厚さは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さtcは20μm以下であることができる。また、積層型電子部品100のサイズが0402(長さ:0.4mm、幅:0.2mm)の場合には、カバー部112、113の厚さtcは18μm以下であることができる。
【0041】
カバー部112、113の平均厚さtcは、第1方向の大きさを意味することができ、容量形成部Acの上部または下部で等間隔の5個の地点で測定したカバー部112、113の第1方向の大きさを平均した値であることができる。
【0042】
サイドマージン部114、115は、容量形成部Ac及びカバー部112、113の第3方向の両面に配置されることができる。
【0043】
サイドマージン部114、115は、容量形成部Ac及びカバー部112、113の第3方向の一面に配置される第1サイドマージン部114と、第3方向の他面に配置される第2サイドマージン部115を含むことができる。
【0044】
セラミックグリーンシートと内部電極パターンが印刷されたセラミックグリーンシートを積層して、焼結工程後の容量形成部Ac及びカバー部112、113となる積層体を形成した後、上記積層体の第3方向の両面にセラミックグリーンシートを第3方向に1つ以上積層してサイドマージン部114、115を形成することができる。
【0045】
サイドマージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0046】
一方、サイドマージン部114、115の幅は特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、サイドマージン部114、115の平均幅Wmは17μm以下であることができる。
【0047】
サイドマージン部114、115の平均幅Wmは、内部電極121、122が第5面と離隔した領域の第3方向の平均大きさ及び内部電極121、122が第6面と離隔した領域の第3方向の平均大きさを意味することができ、容量形成部Acの側面で第1方向に等間隔を有する5個の地点で測定したマージン部114、115の第3方向の大きさを平均した値であることができる。
【0048】
したがって、一実施形態において、内部電極121、122が第5及び第6面と離隔した領域の第3方向の平均大きさは、それぞれ17μm以下であることができる。
【0049】
内部電極121、122は、第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0050】
第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出し、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体の第3面3には第1外部電極131が配置されて、第1内部電極121と連結され、本体の第4面4には第2外部電極132が配置されて、第2内部電極122と連結されることができる。
【0051】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は第1外部電極131とは連結されずに第2外部電極132と連結される。したがって、第1内部電極121は第4面4で一定距離離隔して形成され、第2内部電極122は第3面3で一定距離離隔して形成されることができる。
【0052】
また、第1及び第2内部電極121、122は、本体110の第5及び第6面と離隔して配置されることができる。第1及び第2内部電極121、122の第3方向の両端はサイドマージン部114、115と接触することができる。
【0053】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、Ni、Cu、Pd、Ag、Au、Pt、In、Sn、Al、Ti及びこれらの合金のうち一つ以上であることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0054】
誘電体層111の平均厚さtdは、特に限定する必要はないが、例えば0.1μm~10μmであることができる。内部電極121、122の平均厚さteは、特に限定する必要はないが、例えば0.05μm~3.0μmであることができる。また、誘電体層111の平均厚さtdと内部電極121、122の平均厚さteは、所望の特性や用途に応じて任意に設定することができる。例えば、小型化及び高容量化を達成するために、小型IT用電子部品の場合、誘電体層111の平均厚さtdは0.45μm以下であることができ、内部電極121、122の平均厚さteは0.45μm以下であることができる。
【0055】
誘電体層111の平均厚さtd及び内部電極121、122の平均厚さteは、それぞれ誘電体層111及び内部電極121、122の第1方向の大きさを意味する。誘電体層111の平均厚さtd及び内部電極121、122の平均厚さteは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的には、誘電体層111の平均厚さtdは、一つの誘電体層111の多数の地点、例えば第2方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。また、内部電極121、122の平均厚さteは、一つの内部電極121、122の多数の地点、例えば第2方向に等間隔の30個の地点で、その厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は、容量形成部Acで指定されることができる。一方、このような平均値測定をそれぞれ10個の誘電体層111及び10個の内部電極121、122について行った後、平均値を測定すると、誘電体層111の平均厚さtd及び内部電極121、122の平均厚さteをさらに一般化することができる。
【0056】
外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4に配置されることができる。
【0057】
外部電極131、132は、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ配置されて、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。
【0058】
図1を参照すると、外部電極131、132は、サイドマージン部114、115の第2方向の両端面を覆うように配置されることができる。
【0059】
本実施形態では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0060】
一方、外部電極131、132は、金属などのように電気導電性を有するものであれば、どのような物質を用いても形成されることができ、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されることができ、さらに多層構造を有することができる。
【0061】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層及び上記電極層上に形成されためっき層を含むことができる。
【0062】
上記電極層に対するより具体的な例を挙げると、上記電極層は、導電性金属及びガラスを含む焼成(firing)電極であるか、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であることができる。
【0063】
また、上記電極層は、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順次形成された形態であることができる。また、上記電極層は、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されるか、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであることができる。
【0064】
上記電極層に含まれる導電性金属として、電気導電性に優れた材料を用いることができるが、特に限定されない。例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びそれらの合金のうち一つ以上であることができる。
【0065】
上記めっき層は実装特性を向上させる役割を果たす。上記めっき層の種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd及びこれらの合金のうち一つ以上を含むめっき層であることができ、複数の層で形成されることができる。
【0066】
上記めっき層に対するより具体的な例を挙げると、上記めっき層は、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、上記電極層上にNiめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であることができ、Snめっき層、Niめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であることができる。また、上記めっき層は、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0067】
本体110の第1及び第3方向の断面において、1つ以上のエッジ領域には、上記本体の外表面に対する接線の傾きが反対になる地点であるIPが1つ以上配置されることができる。これにより、外部電極131、132の本体に対する接合性を向上させ、内部電極121、122と外部電極131、132との間の接触性を向上させることができる。内部電極121、122と外部電極131、132との間の接触性が向上するにつれて、等価直列抵抗(ESR)を下げることができる。
【0068】
一方、本体110の第1及び第3方向の断面の4つのエッジ領域のうち、1つのエッジ領域について説明するが、上記4つのエッジ領域は対称関係として、上記4つのエッジ領域のうち少なくともいずれか1つのエッジ領域にIPが配置される場合を含む。
【0069】
一実施形態において、上記エッジ領域は、
図5に示したように湾曲した形状を含むことができる。
【0070】
図5のK1領域を拡大した
図6を参照すると、一実施形態において、第1方向の最上部に配置された内部電極の第3方向の一端から上記第1方向の上部に直線L1を引いたときに、上記本体の外表面と接する地点をP1、上記第1方向の最上部に配置された内部電極の上記第3方向の一端から上記第3方向に直線L2を引いたときに、上記本体の外表面と接する地点をP2とするとき、上記P1とP2との間に上記IPが配置されることができる。
【0071】
一実施形態において、
図6に示したように、上記P1とP2との間に上記IPが1つのみ配置されることができる。但し、これに限定されず、上記P1とP2との間に上記IPが2つ以上配置されることもできる。
【0072】
一方、エッジ領域のうち少なくとも1つのエッジ領域に2つ以上のIPが配置されることができる。
【0073】
他の一実施形態に係る
図6に対応する図面である
図7を参照すると、上記第1方向の最上部に配置された内部電極の第3方向の一端から上記第1方向の上部に直線L1を引いたとき、上記本体の外表面と接する地点をP1、上記第1方向の最上部に配置された内部電極の上記第3方向の一端から上記第3方向に直線L2を引いたとき、上記本体の外表面と接する地点をP2とするとき、上記P1で第3方向に上記サイドマージン部の平均幅Wmの半分(Wm/2)以内の領域をR1、上記P2で第1方向に上記カバー部の平均厚さtcの半分(tc/2)以内の領域をR2とするとき、上記R1に配置されるIPであるIP1、上記R2に配置されるIPであるIP2を含むことができる。すなわち、R1はP1で第3方向の一側にWm/2だけ離隔した地点とP1で第3方向の他側にWm/2だけ離隔した地点との間の領域を意味することができ、R1の第3方向の大きさはサイドマージン部の第3方向の大きさWmと同じであることができる。同様に、R2はP2で第1方向の一側にtc/2だけ離隔した地点とP2で第1方向の他側にtc/2だけ離隔した地点との間の領域を意味することができ、R2の第1方向の大きさはカバー部の第1方向の大きさtcと同じであることができる。
【0074】
R1及びR2にそれぞれ1つ以上のIPが配置されることによって、外部電極131、132の本体に対する接合性をより向上させ、内部電極121、122と外部電極131、132との間の接触性をより向上させることができる。
【0075】
図7と同様に、IP1は容量形成部Acと第1方向に重なるように配置され、IP2は容量形成部Acと第3方向に重なるように配置されることができる。
【0076】
但し、これに制限されず、さらに他の一実施形態に係る
図6に対応する図面である
図8に示したように、IP1(IP1')は容量形成部Acと第1方向に重ならないように配置され、IP2(IP2')は容量形成部Acと第3方向に重ならないように配置されることができる。
【0077】
また、一実施形態において、IP1は容量形成部Acと第1方向に重なるように配置され、IP2は容量形成部Acと第3方向に重ならないように配置されることもできる。
【0078】
また、一実施形態において、IP1は容量形成部Acと第1方向に重ならないように配置され、IP2は容量形成部Acと第3方向に重なるように配置されることもできる。
【0079】
一実施形態において、上記R1及びR2には、それぞれ上記IPが1つずつ配置されることができる。
【0080】
一方、エッジ領域にIPを形成するための方法は、特に限定する必要はない。好ましい一例として、カバー部とサイドマージン部を収縮率を制御して、エッジ領域に形成されるIP位置及び個数を制御することができる。カバー部とサイドマージン部を収縮率を制御する方法で、焼結工程の焼結温度、焼結時間などを制御することができ、カバー部形成用セラミックグリーンシート及びサイドマージン部用セラミックグリーンシートの組成を制御することができる。
【0081】
図2を参照すると、本体110の第1方向の最大厚さをT、本体110の第2方向の最大長さをL、本体110の第3方向の最大幅をWとするとき、W<T<Lを満たすことができる。W<Tを満たすことによって積層数を増加させて高容量を容易に確保することができる。
【0082】
図1の積層型電子部品が実装された基板を示した
図9を参照すると、基板201上に配置された一対の電極パッド210、220にソルダー230を介して外部電極131、132を接合させて積層型電子部品を基板に実装することができる。W及びLよりは、Tに対する制約が少ないため、積層数を増加させてTを増加させても大きな制約なしに高容量を容易に確保することができる。
【0083】
一実施形態において、上記T及びWは1.1<T/W<1.8を満たすことができる。1.1<T/Wを満たすことによって高容量をより容易に確保することができ、T/W<1.8を満たすことによって基板に実装信頼性を安定的に確保することができる。
【0084】
T/Wが1.1以下の場合には、HPCC形態に係る高容量の確保効果が不十分であることができ、T/Wが1.8以上の場合には、本体の幅に対して厚さが厚すぎるため、積層型電子部品を基板に実装する際に傾きなどの問題点が発生するおそれがある。
【0085】
積層型電子部品100のサイズは特に限定する必要はない。
【0086】
但し、本発明に係る外部電極131、132の本体に対する接合性向上及び内部電極121、122と外部電極131、132との間の接触性向上効果は、積層型電子部品100のサイズが小さいほど顕著になることができる。
【0087】
特に、積層型電子部品100のサイズが0603(長さ:0.6mm、幅:0.3mm)以下である場合に、本発明による効果がより顕著になることができる。製造誤差等を考慮したときに、本体110の第2方向の最大長さLが0.69mm以下であり、本体110の第3方向の最大幅Wが0.39mm以下である場合に、本発明による効果がより顕著になることができる。このとき、本体110の第1方向の最大厚さTは0.55mm以下であることができる。
【0088】
より具体的な例を挙げると、積層型電子部品100が0603サイズのときに、本体110の第2方向の最大長さLが0.51~0.69mmであり、本体110の第3方向の最大幅Wが0.21~0.39mmの場合に、本発明による効果がより顕著になることができる。このとき、本体110の第1方向の最大厚さTは、0.45~0.55mmであることができる。
【0089】
ここで、本体110の第2方向の最大長さLは、本体110の第2方向の最大大きさを意味し、本体110の第3方向の最大幅Wは、本体110の第3方向の最大大きさを意味し、本体110の第1方向の最大厚さTは、本体110の第1方向の最大大きさを意味することができる。
【0090】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【0091】
また、本開示において用いられた「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解することができる。
【0092】
本開示で用いられた用語は、単に一実施形態を説明するために用いられたものであり、本開示を限定する意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0093】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 サイドマージン部
121、122 内部電極
131、132 外部電極