IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -マスク 図1
  • -マスク 図2
  • -マスク 図3
  • -マスク 図4
  • -マスク 図5
  • -マスク 図6
  • -マスク 図7
  • -マスク 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025104756
(43)【公開日】2025-07-10
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20250703BHJP
【FI】
A41D13/11 M
A41D13/11 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023222791
(22)【出願日】2023-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】千原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】若杉 慶
【テーマコード(参考)】
3B211
【Fターム(参考)】
3B211CC03
3B211CC06
3B211CE02
(57)【要約】
【課題】マスク本体の通気性を確保しつつ、機能剤の効能を付与できるマスクを提供する。
【解決手段】マスク(1)は、着用者の上下方向に対応する縦方向(Y)と、着用者の左右方向に対応する横方向(X)と、着用者の少なくとも口唇及び鼻孔を覆うマスク本体(10)と、を備える。マスク本体は、繊維素材を有する通気性の基材シート(11)を有している。基材シートは、機能剤を含む微粒子が付着した微粒子付着領域(R1)を有する。縦方向及び横方向の一方である第1方向において、微粒子付着領域(R1)は、間隔を空けて複数配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の上下方向に対応する縦方向と、
前記着用者の左右方向に対応する横方向と、
前記着用者の少なくとも口唇及び鼻孔を覆うマスク本体と、を備える、マスクであって、
前記マスク本体は、繊維素材を有する通気性の基材シートを有しており、
前記基材シートは、機能剤を含む微粒子が付着した微粒子付着領域を有し、
前記微粒子付着領域は、前記縦方向及び前記横方向の一方である第1方向において、間隔を空けて配置されている、マスク。
【請求項2】
前記基材シートにおける前記微粒子付着領域間に配置された中間領域のKES通気性試験機による通気抵抗値は、前記微粒子付着領域の前記通気抵抗値よりも低い、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記微粒子は、前記機能剤が内包されたマイクロカプセルである、請求項1に記載のマスク。
【請求項4】
前記基材シートにおける前記微粒子付着領域間に配置された中間領域は、前記マスク本体の前記第1方向の中心を跨いで配置されてよい、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項5】
前記微粒子付着領域は、前記縦方向及び前記横方向の他方である第2方向において前記基材シートの全域に亘って配置されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項6】
前記第1方向は、前記横方向であり、
前記微粒子付着領域は、前記縦方向における前記基材シートの外端縁と離間して配置されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項7】
前記第1方向は、前記縦方向であり、
前記微粒子付着領域は、前記横方向における前記基材シートの一方の外側縁から他方の外側縁まで連続している、請求項3に記載のマスク。
【請求項8】
前記基材シートにおける前記微粒子付着領域間に配置された中間領域は、前記マスク本体の前記第1方向の中心に対する両側にそれぞれ配置されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項9】
前記第1方向は、前記縦方向であり、
前記マスク本体の前記第1方向の中心に対する上側に位置する前記中間領域の面積は、前記マスク本体の前記第1方向の中心に対する下側に位置する前記中間領域の面積よりも大きい、請求項8に記載のマスク。
【請求項10】
前記第1方向は、前記縦方向であり、
前記マスク本体の前記第1方向の中心に対する下側に位置する前記中間領域の面積は、前記マスク本体の前記第1方向の中心に対する上側に位置する前記中間領域の面積よりも大きい、請求項8に記載のマスク。
【請求項11】
前記マスク本体は、前記基材シートよりも外側に配置され、繊維素材を有する通気性の外側シートを有し、
前記外側シートのKES通気性試験機による通気抵抗値は、前記基材シートの前記通気抵抗値よりも高い、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項12】
前記マスク本体は、前記基材シートよりも内側に配置され、繊維素材を有する通気性の内側シートを有し、
前記内側シートのKES通気性試験機による通気抵抗値は、前記基材シートの前記通気抵抗値よりも高い、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項13】
前記マスク本体は、前記縦方向の外側に向かって突出する山折り形状に前記マスク本体を折り畳む山折り目と、前記縦方向の内側に向かって突出する谷折り形状に前記マスク本体を折り畳む谷折り目と、によってプリーツ状に折り畳まれており、
前記プリーツ状に折り畳まれたひだ部には、前記微粒子付着領域と、前記基材シートにおける記微粒子付着領域間に配置された中間領域と、が配置されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項14】
前記微粒子付着領域は、前記縦方向において隣り合って配置された前記山折り目と前記谷折り目のそれぞれを跨いで配置されている、請求項13に記載のマスク。
【請求項15】
前記山折り目と前記谷折り目の間に、前記中間領域が配置されている、請求項14に記載のマスク。
【請求項16】
前記マスク本体の前記横方向の両側部それぞれに接合された一対の耳掛け部を有し、
前記マスク本体は、使用前に前記マスク本体の前記横方向の中央において前記縦方向に延びる中央折り目を基点に折り畳まれており、
前記耳掛け部は、前記マスク本体の前記横方向の端縁のうち、前記中央折り目と反対側の端縁から前記横方向の外側に延出しており、
前記マスク本体が折り畳まれた状態で、前記中央折り目は、前記中央折り目の上端から下方に向かって前記横方向の外側に膨らみ、かつ前記中央折り目の下端から上方に向かって前記横方向の外側に膨らむように湾曲しており、
前記微粒子付着領域は、前記中央折り目と反対側の端縁から前記横方向の内側に延びる領域に配置されており、
前記微粒子付着領域間に配置された中間領域は、前記中央折り目を跨いで配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項17】
前記マスク本体の折り畳み状態において、前記中間領域の前記横方向の長さは、前記中央折り目の前記縦方向の長さaに対する1/3以下である、請求項16に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、着用者の少なくとも口唇及び鼻孔を覆う通気性のマスク本体を備えるマスクが開示されている。特許文献1のマスク本体は、機能剤としての香料を含む微粒子が付着した微粒子付着領域を有している。特許文献1の微粒子付着領域は、特許文献1の図8及び図9に示すように、マスク本体の横方向の全域に亘って、かつマスク本体の縦方向の中央を含む縦方向の半分以上の領域に亘って配置されている。微粒子付着領域を口唇及び鼻孔を覆うように配置することで、香料による効能を着用者に付与できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-54509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の微粒子付着領域は、口唇及び鼻孔を覆うように配置することで、香料による効能を着用者に付与できる一方で、微粒子付着領域の存在によって、着用者は息苦しさを感じるおそれがある。より詳細には、微粒子付着領域では、シートの繊維間の空隙が部分的に微粒子によって塞がれる。そのため、微粒子によって機能剤の効能を付与できる一方で、微粒子の存在によって通気性が低下し、着用者は息苦しさを感じるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、マスク本体の通気性を確保しつつ、機能剤の効能を付与できるマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係るマスクは、着用者の上下方向に対応する縦方向と、前記着用者の左右方向に対応する横方向と、着用者の少なくとも口唇及び鼻孔を覆うマスク本体と、を備える。前記マスク本体は、繊維素材を有する通気性の基材シートを有している。前記基材シートは、機能剤を含む微粒子が付着した微粒子付着領域を有する。前記縦方向及び前記横方向の一方である第1方向において、前記微粒子付着領域は、間隔を空けて複数配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係るマスクを示した図である。
図2図2は、微粒子付着領域と中間領域の拡大写真を示した図である。
図3図3は、第2実施形態に係るマスクを示した図である。
図4図4は、第3実施形態に係るマスクを示した図である。
図5図5は、第4実施形態に係るマスクを示した図である。
図6図6は、第5実施形態に係るマスクを示した図である。
図7図7は、第6実施形態に係るマスクを示した図である。
図8図8は、第7実施形態に係るマスクを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
態様1に係るマスクは、着用者の上下方向に対応する縦方向と、前記着用者の左右方向に対応する横方向と、着用者の少なくとも口唇及び鼻孔を覆うマスク本体と、を備える。前記マスク本体は、繊維素材を有する通気性の基材シートを有している。前記基材シートは、機能剤を含む微粒子が付着した微粒子付着領域を有する。前記縦方向及び前記横方向の一方である第1方向において、前記微粒子付着領域は、間隔を空けて複数配置されている。本態様によれば、マスク本体を構成する基材シートに、微粒子を付着された微粒子付着領域が設けられているため、当該微粒子付着領域を介して機能剤の効能を着用者に付与することができる。また、微粒子付着領域では、基材シートの繊維間の空隙が部分的に微粒子によって塞がれる。そのため、微粒子によって機能剤の効能を付与できる一方で、基材シートの微粒子付着領域の通気性が比較的低くなる。しかし、微粒子付着領域が基材シートの全域に亘って設けられず、第1方向に間隔を空けて配置されているため、微粒子付着領域間の中間領域において通気性を確保できる。よって、マスク本体の通気性を確保しつつ、機能剤の効能を付与できる。
【0009】
好ましい態様によれば、態様2に係る発明は、態様1に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記基材シートにおける前記微粒子付着領域間に配置された中間領域のKES通気性試験機による通気抵抗値は、前記微粒子付着領域の前記通気抵抗値よりも低い。本態様によれば、微粒子付着領域間の中間領域において通気性を確保でき、マスク本体の通気性を確保しつつ、機能剤の効能を付与できる。
【0010】
好ましい態様によれば、態様3に係る発明は、態様2に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記微粒子は、前記機能剤が内包されたマイクロカプセルである。本態様によれば、機能剤は、マイクロカプセル内に内包されているため、使用前の揮発を抑制され、使用時に機能剤の効能を付与し易くなる。例えば、マスクの装着操作時や着用時にマイクロカプセルが破壊することによって、機能剤の効能を発生させることができる。
【0011】
好ましい態様によれば、態様4に係る発明は、態様1から態様3のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記基材シートにおける前記微粒子付着領域間に配置された中間領域は、前記マスク本体の前記第1方向の中心を跨いで配置されてよい。第1方向が縦方向であっても横方向であっても、マスク本体の第1方向の中心は、口唇及び鼻孔の近傍に配置される。本態様によれば、マスク本体の第1方向の中心を跨いで比較的通気性が高い中間領域を配置することで、口唇及び鼻孔における通気性を確保できる。よって、通気性を確保しつつ機能剤による効能を効率よく付与できる。
【0012】
好ましい態様によれば、態様5に係る発明は、態様1から態様4のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記微粒子付着領域は、前記縦方向及び前記横方向の他方である第2方向において前記基材シートの全域に亘って配置されている。本態様によれば、第1方向において間隔を空けて配置した微粒子付着領域を第2方向の全域に亘って設けることにより、機能剤の効能を付与する領域と、通気性を確保する領域と、のそれぞれの面積を確保し、両方の効果を得易くなる。
【0013】
好ましい態様によれば、態様6に係る発明は、態様1から態様5のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記第1方向は、前記横方向である。前記微粒子付着領域は、前記縦方向における前記基材シートの外端縁と離間して配置されている。本態様によれば、第1方向が横方向であり、中間領域は、縦方向に延びる一定の範囲に設けられる。着用者が口を動かすと、マスク本体は、縦方向に変形し易い。このとき、縦方向に延びる一定の範囲に比較的通気性が高い中間領域が設けられているため、口を動かしてマスク本体が変形した場合であっても、通気性を確保し続けることができる。また、基材シートの縦方向の外端縁と離間して微粒子付着領域が配置されており、基材シートの前記縦方向の外端縁には、微粒子が付着されてない。マスク本体の外端縁の剛性が高くなることを抑制され、変形し易くなる。よって、マスク本体の外端縁が当てられる鼻および顎周りのフィット性が向上し、マスク本体を介した空気の交換が起こりやすくなり、マスク内に効果的に空気を取り込むことができる。
【0014】
好ましい態様によれば、態様7に係る発明は、態様1から態様5のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記第1方向は、前記縦方向である。前記微粒子付着領域は、前記横方向における前記基材シートの一方の外側縁から他方の外側縁まで連続している。本態様によれば、微粒子付着領域が横方向における前記基材シートの一方の外側縁から他方の外側縁まで連続しているため、左右の頬を跨がるような横方向の広い範囲に亘って機能剤を付与でき、着用者が機能剤の効能を感じ易くなる。
【0015】
好ましい態様によれば、態様8に係る発明は、態様1から態様7のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記基材シートにおける前記微粒子付着領域間に配置された中間領域は、前記マスク本体の前記第1方向の中心に対する両側にそれぞれ配置されている。本態様によれば、口唇及び鼻孔の近傍に配置されるマスク本体の前記第1方向の中心に対する両側に中間領域をそれぞれ設けることで、口唇及び鼻孔を通気性の高い領域で挟むことができ、息苦しさを抑制できる。
【0016】
好ましい態様によれば、態様9に係る発明は、態様8に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記第1方向は、前記縦方向である。前記マスク本体の前記第1方向の中心に対する上側に位置する前記中間領域の面積は、前記マスク本体の前記第1方向の中心に対する下側に位置する前記中間領域の面積よりも大きい。本態様によれば、鼻孔に対する通気性をより高めることができる。
【0017】
好ましい態様によれば、態様10に係る発明は、態様8に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記第1方向は、前記縦方向である。前記マスク本体の前記第1方向の中心に対する下側に位置する前記中間領域の面積は、前記マスク本体の前記第1方向の中心に対する上側に位置する前記中間領域の面積よりも大きい。本態様によれば、口唇に対する通気性をより高めることができる。
【0018】
好ましい態様によれば、態様11に係る発明は、態様1から態様10のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記マスク本体は、前記基材シートよりも外側に配置され、繊維素材を有する通気性の外側シートを有する。前記外側シートの前記通気抵抗値は、前記基材シートの前記通気抵抗値よりも高い。本態様によれば、微粒子が付された基材シートよりも外側に位置する外側シートの通気抵抗値が高いため、微粒子が外側に出ることを抑制し、微粒子をマスク内に留め易く、機能剤による効能を着用者に付与できる。
【0019】
好ましい態様によれば、態様12に係る発明は、態様1から態様11のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記マスク本体は、前記基材シートよりも内側に配置され、繊維素材を有する通気性の内側シートを有する。前記内側シートの前記通気抵抗値は、前記基材シートの前記通気抵抗値よりも高い。本態様によれば、微粒子が付された基材シートよりも内側に位置する内側シートの通気抵抗値が高いため、微粒子が肌側に出ることを抑制し、微粒子が肌に付着したり、口等に入ったりすることを抑制できる。
【0020】
好ましい態様によれば、態様13に係る発明は、態様1から態様12のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記マスク本体は、前記縦方向の外側に向かって突出する山折り形状に前記マスク本体を折り畳む山折り目と、前記縦方向の内側に向かって突出する谷折り形状に前記マスク本体を折り畳む谷折り目と、によってプリーツ状に折り畳まれている。前記プリーツ状に折り畳まれたひだ部には、前記微粒子付着領域と、前記基材シートにおける前記微粒子付着領域間に配置された中間領域と、が配置されている。マスクは、口等の動きによって着用時にプリーツ状のひだ部が変形する。このとき、微粒子付着領域は、微粒子の付着によってその剛性が高く、微粒子付着領域の存在によってひだ部の剛性を高めることができる。よって、ひだ部の形状を維持でき、口周りの空間を確保し易くなる。また、ひだ部に中間領域が設けられているため、口周りの通気性を確保できる。また、微粒子がマイクロカプセルによって構成された形態にあっては、ひだ部の変形時にマイクロカプセルが破壊しやすく、着用時に機能剤による効能をより付与し易くなる。
【0021】
好ましい態様によれば、態様14に係る発明は、態様13に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記微粒子付着領域は、前記縦方向において隣り合って配置された前記山折り目と前記谷折り目のそれぞれを跨いで配置されている。本態様によれば、隣り合う谷折りの折り目と山折りの折り目のそれぞれの剛性を高くすることができるため、谷折りと山折りによるカップ部の変形を維持できる。谷折りと山折りによるカップ形状を維持して、カップ潰れによる表面積の低下を抑制し、口周りの空間をより確保し易くなる。
【0022】
好ましい態様によれば、態様15に係る発明は、態様14に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記山折り目と前記谷折り目の間に、前記中間領域が配置されている。本構成によれば、谷折りと山折りによるカップ形状を維持して、カップ潰れによる表面積の低下を抑制しつつ、カップ形状部分の通気性を確保し、呼気の流通性を高めることができる。
【0023】
好ましい態様によれば、態様16に係る発明は、態様1から態様12のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記マスク本体の前記横方向の両側部それぞれに接合された一対の耳掛け部を有する。前記マスク本体は、使用前に前記マスク本体の前記横方向の中央において前記縦方向に延びる中央折り目を基点に折り畳まれている。前記耳掛け部は、前記マスク本体の前記横方向の端縁のうち、前記中央折り目と反対側の端縁から前記横方向の外側に延出している。前記マスク本体が折り畳まれた状態で、前記中央折り目は、前記中央折り目の上端から下方に向かって横方向の外側に膨らみ、かつ前記中央折り目の下端から上方に向かって横方向の外側に膨らむように湾曲している。前記微粒子付着領域は、前記中央折り目と反対側の端縁から前記横方向の内側に延びる領域に配置されている。前記微粒子付着領域間に配置された中間領域は、前記中央折り目を跨いで配置されている。本態様によれば、中央折り目は、マスク着用時にカップ形状の頂点に位置し、口及び鼻に対向して配置される。当該中央折り目を跨いで比較的通気性が高い中間領域を配置することで、口及び鼻における通気性を確保できる。よって、機能剤による効能を付与しつつ、通気性を確保できる。また、前記中央折り目と反対側の端縁から横方向の内側に延びる領域は、耳掛け部によって横方向の外側に引っ張られ、頬に密着しやすい領域である。当該領域に微粒子付着領域を配置することで、機能剤の効能を着用者に効率よく付与できる。
【0024】
好ましい態様によれば、態様17に係る発明は、態様16に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記マスク本体の折り畳み状態において、前記中間領域の前記横方向の長さは、前記中央折り目の前記縦方向の長さaに対する1/3以下である。一般的に、着用者の口唇及び鼻孔は、中間領域の縦方向の距離をaとしたとき、中央折り目から横方向の外側に向かってaに対する1/3までの距離内に配置される。当該領域に中間領域を配置することで、呼気の流入が多い鼻および口付近の通気性をより向上できる。また、口唇及び鼻孔が配置されない領域において、機能剤の効能を付与できる。
【0025】
(2)第1実施形態に係るマスク
以下、図面を参照して、第1実施形態にマスク1について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。図1は、第1実施形態に係るマスクを示した図である。図1(A)は、マスクの外側から見た平面図であり、図1(B)は、図1(A)に示すA-A線に沿った模式断面図である。マスク1は、使い捨てのものであってよいし、繰り返し使用されるものであってもよい。マスク1は、飛沫、花粉、粉塵、血液等から着用者を保護するために着用されてよい。
【0026】
マスク1は、着用者の顔面と向かい合う内側Z1、その反対面である外側Z2と、に延びる厚み方向Z、着用者の上下方向に対応し、上側と下側に延びる縦方向Y、及び着用者の左右方向に対応し、正面視にて左側と右側に延びる横方向Xを有する。マスク1は、マスク本体10を有する。マスク本体10は、着用者の少なくとも口唇及び鼻孔を覆うように構成されている。マスク本体10は、横方向Xに長い矩形のものであってよい。
【0027】
マスク本体10は、1枚または重なり合う複数枚のシートを有してよい。より詳細には、マスク本体10は、繊維素材を有する通気性の基材シート11を有してよい。また、マスク本体10は、基材シート11よりも外側に配置され、繊維素材を有する通気性の外側シート12と、基材シート11よりも内側に配置され、繊維素材を有する通気性の内側シート13と、の少なくとも一方を有してもよい。基材シート11、外側シート12及び内側シート13は、シート接合部14を介して接合されてよい。基材シート11、外側シート12及び内側シート13は、不織布又は織布によって構成されてよい。基材シート11は、例えば、ポリプロピレン繊維を含むメルトブローン不織布によって構成されてよく、外側シート12は、ポリプロピレン繊維を含むスパンボンド不織布によって構成されてよく、内側シート13は、ポリプロピレン繊維及びポリエチレン繊維を含むスパンボンド不織布によって構成されてよい。
【0028】
マスク1は、着用時に着用者の耳に掛けられる耳掛け部20を有してよい。耳掛け部20は、マスク本体10の横方向Xの両側部から横方向Xの外側に延びている。耳掛け部20は、マスク本体10と別体で形成され、マスク本体10に接合されていてもよいし、マスク本体10と一体化して形成されていてもよい。本実施の形態の耳掛け部20は、マスク本体10と別体で形成されており、本体接合部25を介してマスク本体10に接合されている。本体接合部25は、縦方向Yに沿って設けられている。なお、第1実施形態の正面図においては、耳掛け部20は、マスク本体10の背面側に位置しており、点線で図示している。
【0029】
マスク本体10は、縦方向Yの外側に向かって突出する山折り形状にマスク本体10を折り畳む山折り目MFと、縦方向Yの内側に向かって突出する谷折り形状にマスク本体10を折り畳む谷折り目VFと、によってプリーツ状に折り畳まれてよい。山折り目MFと谷折り目VFは、いずれも横方向Xに延びる折り目である。より詳細には、山折り目MFは、マスク本体10の縦方向Yの中心10YCを基準とした際に、縦方向Yの外側に向かって突出する山折り形状に折り畳む。谷折り目VFは、中心10YCを基準とした際に、縦方向Yの内側に向かって突出する谷折り形状に折り畳む。第1実施の形態のマスク本体10には、マスク本体10の縦方向Yの中心を挟んだ縦方向Yの両側(上側と下側のそれぞれ)に、山折り目MFである第1折り目F1、谷折り目VFである第2折り目F2、山折り目MFである第3折り目、及び谷折り目VFである第4折り目F4が形成されている。
【0030】
第1折り目F1は、マスク本体10の縦方向Yの中心を挟んで一対で配置されている。第2折り目F2は、第1折り目F1から縦方向Yの内側に延びる領域を、厚み方向の内側Z1、かつ縦方向Yの外側に向けて折り畳む。第3折り目F3は、第2折り目F2から縦方向Yの外側に延びる領域を、厚み方向の内側Z1、かつ縦方向Yの内側に向けて折り畳む。第3折り目F3は、第1折り目F1よりも縦方向Yの外側に位置している。第4折り目F4は、第3折り目F3から縦方向Yの内側に延びる領域を、厚み方向の内側Z1、かつ縦方向Yの外側に向けて折り畳む。第4折り目F4は、第2折り目F2よりも縦方向Yの外側に位置している。これらの山折り目MF及び谷折り目VFによってプリーツ状に折り畳まれたひだ部18が形成されている。ひだ部18は、マスク本体10が折り目を基点に変形することで、マスク本体10が立体状(例えば、カップ状)に変形可能な部分である。ひだ部18の範囲は、折り目を展開した状態で最も縦方向Yの外側に位置する折り目によって挟まれた部分であり、第1実施の形態においては、縦方向Yに離間して配置された第4折り目F4によって展開状態で挟まれた領域である。マスク本体10は、着用時に、第4折り目F4を内側の基点として、第4折り目F4から第1折り目F1側に向かって徐々に厚み方向Zの外側Z2に向かって突出するカップ形状となる。
【0031】
本実施形態のマスク1は、マスク本体10の通気性を確保しつつ、機能剤の効能を付与できるように構成されている。次いで、マスク本体10の通気性を確保しつつ、機能剤の効能を付与するための構成について詳細に説明する。基材シート11は、機能剤を含む微粒子16が付着した微粒子付着領域R1を有する。マスク本体10を構成する基材シート11に微粒子付着領域R1が設けられているため、当該微粒子付着領域R1を介して機能剤の効能を着用者に付与することができる。微粒子付着領域R1は、図面においてハッチングが付された領域である。
【0032】
機能剤は、特に制限されず、所望の付加的機能や作用等に応じた任意の機能剤を採用することができる。そのような機能剤としては、例えば、香料や温感剤、冷感剤、発熱剤、抗菌剤、pH調整剤、スキンケア剤、消臭剤などが挙げられる。これらの機能剤は、単独で用いても、2種類以上の機能剤を併用してもよい。また、機能剤は、液体、固体、これらを増粘したもの、及びゲル状のいずれの形態であってもよい。機能剤を含む微粒子は、機能剤自体が粒状に成形されたものであってもよいし、機能剤を内包したもの(例えば、カプセル)であってもよい。
【0033】
好適には、微粒子16は、機能剤が内包されたマイクロカプセルであってよい。機能剤は、マイクロカプセル内に内包されているため、使用前の揮発を抑制され、使用時に機能剤の効能を付与し易くなる。例えば、マスク1の装着操作時や着用時にマイクロカプセルが破壊することによって、機能剤の効能を発生させることができる。
【0034】
微粒子16は、非吸水性で水不溶性の微粒子であってよい。非吸水性で水不溶性の微粒子は、無機系微粒子でも、有機系微粒子でもよい。無機系微粒子としては、炭酸カルシウム、クレー、二酸化チタン、タルク、硫酸バリウム、非晶質シリカ、アルミナなどが挙げられる。有機系微粒子としては、公知の合成有機顔料であるスチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機白色顔料などを用いることができる。さらに、フェノールホルムアルデヒド樹脂、フェノールアセトアルデヒド樹脂、フェノールアセチレン樹脂、テルペンフェノール樹脂等のフェノール樹脂及びその多価金属塩、サリチル酸及びその金属塩(特に亜鉛塩)、スルホニルウレア化合物なども用いることができる。
【0035】
微粒子付着領域R1は、平面視にて視認した際に、微粒子16が付着した領域である。微粒子付着領域R1は、電子顕微鏡で基材シート11の表面を観察することで判別できる。図2において、微粒子付着領域R1の拡大写真と、微粒子が付着されていない領域(中間領域R2)の拡大写真と、を示す。微粒子付着領域R1では、基材シート11を構成する繊維15上に微粒子16が付されている。微粒子16は、単独で配置されていてもよいし、他の微粒子と一体化して付されていてもよい。これに対して、微粒子が付着されていない領域R2では、基材シート11を構成する繊維15上に微粒子16が付されていない。
【0036】
微粒子16を基材シート11に付す方法は、特に限定されない。例えば、接着剤を介して微粒子を付してもよい。好適には、基材シート11の繊維15にバインダーによって付着されていてよい。微粒子がバインダーによって基材シート11の繊維素材に付着されていることにより、製造中、使用中、及び体液吸収後でも、微粒子16が基材シート11から移動、脱落することが少なく、微粒子16の基材による効能を維持し易い。
【0037】
微粒子付着領域R1は、縦方向Y及び横方向Xの一方である第1方向において、間隔を空けて配置されている。微粒子付着領域R1間には、中間領域R2が配置されている。中間領域R2には、微粒子16が付着されていない。図1に示す第1実施形態において、第1方向は、縦方向Yである。よって、微粒子付着領域R1は、縦方向Yに間隔を空けて配置されており、縦方向Yにおいて微粒子付着領域R1によって挟まれた領域に中間領域R2が配置されている。微粒子付着領域R1では、基材シート11の繊維15間の空隙が部分的に微粒子16によって塞がれる。そのため、微粒子16によって機能剤の効能を付与できる一方で、基材シート11の微粒子付着領域R1の通気性が比較的低くなる。しかし、微粒子付着領域R1が基材シート11の全域に亘って設けられず、第1方向に間隔を空けて配置されているため、微粒子付着領域R1間の中間領域R2において通気性を確保できる。よって、マスク本体10の通気性を確保しつつ、機能剤の効能を付与できる。
【0038】
中間領域R2のKES通気性試験機による通気抵抗値は、微粒子付着領域R1の通気抵抗値よりも低くてよい。本態様によれば、微粒子付着領域R1間の中間領域R2において通気性を確保できる。よって、マスク本体10の通気性を確保しつつ、機能剤の効能を付与できる。通気抵抗値の測定は、周知の方法で行うことができる。例えば、コールドスプレー等を用いてマスク1から基材シート11を分離し、基材シート11の微粒子付着領域R1と中間領域R2をそれぞれ所定の大きさ(例えば、50mm×50mm)に切り出してサンプルとする。そして、カトーテック社製通気性試験機(KES-F8)又はそれと同等の通気性試験機を用いて、標準通気速度を2cm/sに設定し、サンプルの通気抵抗値を測定する。かかる測定を複数回(例えば5回)行い、その平均値を、各領域の通気抵抗値とすることができる。なお、サンプルを所定の大きさで切り出せない場合には、切り出せるサイズで通気抵抗値を測定し、当該サイズの測定値に基づいて換算する。
【0039】
微粒子付着領域R1の剛性は、中間領域R2の剛性よりも高くてよい。当該構成によれば、着用時に微粒子付着領域R1の形状を維持でき、機能剤の効能をより付与できる。当該剛性は、曲げ剛性試験、すなわち、測定対象の基材シート11から所定サイズ(例えば、50mm×10mm)の試験片を切り出した後、該試験片の各方向(すなわち、測定対象部材の縦方向に対応する方向)における曲げ剛性を、純曲げ試験機 KES FB-2(カトーテック株式会社製)を用いて測定することにより、得ることができる。
【0040】
中間領域R2は、マスク本体10の第1方向の中心を跨いで配置されてよい。第1方向が縦方向Yであっても横方向Xであっても、マスク本体10の第1方向の中心は、口唇及び鼻孔の近傍に配置される。マスク本体10の第1方向の中心を跨いで比較的通気性が高い中間領域R2を配置することで、口唇及び鼻孔における通気性を確保できる。よって、機能剤による効能を付与しつつ、通気性を確保できる。なお、第1実施形態の第1方向の中心は、縦方向Yの中心10YCである。中間領域R2は、マスク本体10の縦方向Yの中心10YCを跨いでおり、微粒子付着領域R1は、中心10YCと離間し、中心10YCに対する縦方向Yの両側に配置されている。
【0041】
微粒子付着領域R1は、縦方向Y及び横方向Xの他方である第2方向において基材シート11の全域に亘って配置されてよい。本態様によれば、第1方向において間隔を空けて配置した微粒子付着領域R1を第2方向の全域に亘って設けることにより、機能剤の効能を付与する領域と、通気性を確保する領域と、のそれぞれの面積を確保し、両方の効果を得易くなる。
【0042】
第1実施形態のマスクの第1方向は、縦方向Yであり、微粒子付着領域R1は、横方向Xにおける基材シート11の一方の外側縁から他方の外側縁まで連続している。微粒子付着領域R1の横方向Xの外側縁及び中間領域R2の横方向Xの外側縁は、マスク本体10の横方向Xの外側縁に一致している。本構成によれば、微粒子付着領域R1が横方向Xにおける基材シート11の一方の外側縁から他方の外側縁まで連続しているため、左右の頬を跨がるような横方向Xの広い範囲に亘って機能剤を付与でき、着用者が機能剤の効能を感じ易くなる。
【0043】
微粒子付着領域R1は、縦方向Yにおける基材シート11の外端縁と離間して配置されてよい。第1実施形態では、マスク本体10の縦方向Yの中心に跨がる領域に中間領域R2が配置され、中間領域R2の縦方向Yの両側に微粒子付着領域R1がそれぞれ配置され、それぞれの微粒子付着領域R1の縦方向Yの外側に、中間領域R2と同様に微粒子16が付着されていない非付着領域R3が配置されている。基材シート11の縦方向Yの外端縁と離間して微粒子付着領域R1が配置されており、基材シート11の縦方向Yの外端縁には、微粒子が付着されてない。マスク本体10の外端縁の剛性が高くなることを抑制され、変形し易くなる。よって、マスク本体10の外端縁が当てられる鼻および顎周りのフィット性が向上し、マスク本体10を介した空気の交換が起こりやすくなり、効果的に機能剤を取り込むことができる。
【0044】
外側シート12の通気抵抗値は、基材シート11の通気抵抗値よりも高くてよい。本態様によれば、微粒子が付された基材シート11よりも外側に位置する外側シート12の通気抵抗値が高いため、微粒子16が外側に出ることを抑制し、微粒子16をマスク1内に留め易く、機能剤による効能を着用者に付与できる。また、外側シート12の坪量は、基材シート11の坪量よりも高くてよい。外側シート12の坪量が高いため、微粒子が外側に出ることを抑制し、微粒子をマスク内に留め易く、機能剤による効能を着用者に付与できる。
【0045】
内側シート13の通気抵抗値は、基材シート11の通気抵抗値よりも高くてよい。本態様によれば、微粒子が付された基材シート11よりも内側に位置する内側シートの通気抵抗値が高いため、微粒子が肌側に出ることを抑制し、微粒子が肌に付着したり、口等に入ったりすることを抑制できる。また、内側シート13の坪量は、基材シート11の坪量よりも高くてよい。内側シートの坪量が高いため、微粒子16が肌側に出ることを抑制し、微粒子が肌に付着したり、口等に入ったりすることを抑制できる。
【0046】
プリーツ状に折り畳まれたひだ部18には、微粒子付着領域R1と、中間領域R2と、が配置されてよい。マスク1は、口等の動きによって着用時にプリーツ状のひだ部18が変形する。微粒子付着領域R1は、微粒子16の付着によってその剛性が高く、微粒子付着領域R1の存在によってひだ部の剛性を高めることができる。よって、ひだ部の形状を維持でき、口周りの空間を確保し易くなる。また、ひだ部18に中間領域R2が設けられているため、口周りの通気性を確保できる。また、微粒子16がマイクロカプセルによって構成された形態にあっては、ひだ部18の変形時にマイクロカプセルが破壊しやすく、着用時に機能剤による効能をより付与し易くなる。
【0047】
微粒子付着領域R1は、折り目を跨いで配置されてよい。微粒子付着領域R1が折り目を跨いでいることにより、当該折り目によって折り畳まれた領域では、微粒子付着領域R1が複数積層される。着用時に変形基点となる折り目近傍に微粒子付着領域R1を重ねて配置でき、着用時の変形によって機能剤の発生をより促進できる。折り目を跨いで配置される微粒子付着領域R1の縦方向Y(折り目と直交する方向)の長さは、5mm以上20mm以下であってよい。微粒子付着領域R1の縦方向Yの長さが5mm以上であるため、折り目の剛性を高める効果を得やすく、また、微粒子付着領域R1の縦方向Yの長さが20mm以下であって長すぎないため、通気性も確保できる。
【0048】
微粒子付着領域R1は、縦方向Yにおいて隣り合って配置された山折り目MFと谷折り目VFのそれぞれを跨いで配置されてよい。隣り合う山折り目MFと谷折り目VFは、例えば、第1折り目と第2折り目であってもよいし、第2折り目と第3折り目であってもよいし、第3折り目と第4折り目であってもよい。第1実施形態では、微粒子付着領域R1は、第3折り目(山折り目)と第4折り目(谷折り目)のそれぞれを跨いで配置されている。隣り合う谷折りの折り目と山折りの折り目のそれぞれの剛性を高くすることができるため、谷折りと山折りによるカップ部の変形を維持できる。谷折りと山折りによるカップ形状を維持して、カップ潰れによる表面積の低下を抑制し、口周りの空間をより確保し易くなる。
【0049】
互いに隣り合い、かつ微粒子付着領域R1が跨がって配置された山折り目MFと谷折り目VFの間の領域には、微粒子付着領域R1が連続していてもよい。しかし、好適には、図6に示すように、互いに隣り合い、かつ微粒子付着領域R1が跨がって配置された山折り目MFと谷折り目VFの間の領域には、中間領域R2が配置されてよい。本態様によれば、谷折りと山折りによるカップ形状を維持して、カップ潰れによる表面積の低下を抑制しつつ、カップ形状部分の通気性を確保し、呼気の流通性を高めることができる。
【0050】
(3)他の実施形態に係るマスク
次いで、他の実施形態に係るマスクについて説明する。なお、以下の説明において、上述の実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。図3から図6に基づいて、第2実施形態から第5実施形態に係るマスクについて説明する。第2実施形態から第5実施形態に係るマスクは、微粒子付着領域R1及び中間領域R2の配置が第1実施形態のマスクと異なり、その他の構成は同一であってよい。
【0051】
図3は、第2実施形態に係るマスク1Bを示した図である。図3(A)は、マスク1Bの外側から見た平面図であり、図3(B)は、図3(A)に示すB-B線に沿った模式断面図である。第2実施形態に係るマスク1Bにおける第1方向は、横方向Xである。すなわち、微粒子付着領域R1は、横方向Xにおいて、間隔を空けて配置されており、横方向Xにおける微粒子付着領域R1間には、中間領域R2が配置されている。第1方向が横方向Xであり、中間領域R2は、縦方向Yに延びる一定の範囲に設けられる。着用者が口を動かすと、マスク本体10は、縦方向Yに変形し易い。このとき、縦方向Yに延びる一定の範囲に比較的通気性が高い中間領域R2が設けられているため、口を動かしてマスク本体10が変形した場合であっても、通気性を確保し続けることができる。
【0052】
第2実施形態の微粒子付着領域R1は、縦方向Yにおける基材シート11の外端縁と離間して配置されている。微粒子付着領域R1と基材シート11の外端縁の間には、非付着領域R3が配置されている。本構成によれば、基材シート11の縦方向Yの外端縁と離間して微粒子付着領域R1が配置されており、基材シート11の縦方向Yの外端縁には、微粒子が付着されてない。マスク本体10の外端縁の剛性が高くなることを抑制され、変形し易くなる。よって、マスク本体10の外端縁が当てられる鼻および顎周りのフィット性が向上し、マスク本体10を介した空気の交換が起こりやすくなり、マスク内に効果的に空気を取り込むことができる。
【0053】
図4は、第3実施形態に係るマスク1Cを示した図である。図4(A)は、マスク1Cの外側から見た平面図であり、図4(B)は、図4(A)に示すC-C線に沿った模式断面図である。第3実施形態に係るマスク1Cにおける第1方向は、横方向Xである。微粒子付着領域R1は、横方向Xにおいて、間隔を空けて配置されており、横方向Xにおける微粒子付着領域R1間には、中間領域R2が配置されている。また、中間領域R2は、横方向Xに間隔を空けて配置されており、中間領域R2の間には、微粒子付着領域R1が配置されている。第3実施形態の微粒子付着領域R1は、マスク本体10の横方向Xの中心10XCを跨いで配置されている。マスク本体10の横方向Xの中央部分は、頬や鼻に密着しやすい領域であり、当該領域に微粒子付着領域R1を設けることで、着用者に対して機能剤の効能をより付与し易い。
【0054】
第3実施形態の中間領域R2は、マスク本体10の第1方向の中心に対する両側にそれぞれ配置されている。口唇及び鼻孔の近傍に配置されるマスク本体10の第1方向の中心に対する両側に中間領域R2をそれぞれ設けることで、口唇及び鼻孔を通気性の高い領域で挟むことができ、息苦しさを抑制できる。
【0055】
図5は、第4実施形態に係るマスク1Dを示した図である。図5(A)は、マスク1Dの外側から見た平面図であり、図5(B)は、図5(A)に示すD-D線に沿った模式断面図である。図6は、第5実施形態に係るマスク1Eを示した図である。図6(A)は、マスク1Eの外側から見た平面図であり、図6(B)は、図6(A)に示すE-E線に沿った模式断面図である。第4実施形態に係るマスク1D及び第5実施形態に係るマスク1Eにおける第1方向は、縦方向Yである。中間領域R2は、マスク本体10の第1方向の中心に対する両側にそれぞれ配置されている。本構成によれば、マスク本体10の縦方向Yの中心10YCよりも下側に配置された中間領域R2において口に対する通気性を確保し、中心10YCより上側に配置された中間領域R2において鼻に対する通気性を確保できる。
【0056】
マスク本体10の縦方向Yの中心に対する上側に位置する中間領域R2の面積は、マスク本体10の縦方向Yの中心に対する下側に位置する中間領域R2の面積と同じであってよい。本態様によれば、マスク本体10の縦方向Yの中心10YCに対して上側と下側の中間領域R2の面積が等しいため、空気の流入を効果的に行うことができる。よって、鼻呼吸、口呼吸のどちらでも空気の循環が妨げられることなく、効果的に機能剤を取り込むことができる。変形例において、マスク本体10の第1方向の中心に対する上側に位置する中間領域R2の面積は、マスク本体10の第1方向の中心に対する下側に位置する中間領域R2の面積よりも大きくてよい。本態様によれば、鼻孔に対する通気性をより高めることができる。他の変形例において、マスク本体10の第1方向の中心に対する下側に位置する中間領域の面積は、マスク本体10の第1方向の中心に対する上側に位置する中間領域の面積よりも大きくてもよい。本態様によれば、口唇に対する通気性をより高めることができる。
【0057】
第4実施形態の微粒子付着領域R1は、隣り合う山折り目MFと谷折り目VFのそれぞれに設けられ、また、隣り合って配置された山折り目MFと谷折り目VFの間にも連続して設けられている。よって、微粒子付着領域R1の面積を確保し、機能剤の効能より付与し易くなる。これに対して、第5実施形態の微粒子付着領域R1は、隣り合う山折り目と谷折り目のそれぞれに設けられ、隣り合って配置された山折り目MFと谷折り目VFの間には、中間領域R2が配置されている。本構成によれば、谷折りと山折りによるカップ形状を維持して、カップ潰れによる表面積の低下を抑制しつつ、カップ形状部分の通気性を確保し、呼気の流通性を高めることができる。
【0058】
図7は、第6実施形態に係るマスク1Fを示した図である。図7(A)は、マスク1Fの外側から見た平面図であり、図7(B)は、図7(A)に示すF-F線に沿った模式断面図である。図1等に示すひだ部は、マスク本体10の縦方向Yの中心を挟んで、縦方向Yの外側に山折りに折り畳まれており、着用時にオメガ形状に変形する。これに対して、図7に示すマスクは、下向きに山折りに折り畳まれたプリーツ状のひだ部を有しており、下向きに広がるカップ形状を形成する。マスク本体10には、厚み方向Zの外側から内側に向かって、谷折り目VFである第1折り目F1と、山折り目MFである第2折り目F2と、谷折り目VFである第3折り目F3と、山折り目MFである第4折り目F4と、山折り目MFである第5折り目F5と、谷折り目VFである第6折り目F6と、山折り目MFである第7折り目F7と、谷折り目VFである第8折り目F8と、が形成されている。微粒子付着領域R1は、各折り目に跨がって配置されている。
【0059】
次いで、図8に基づいて、第7実施形態に係るマスク1Gについて説明する。マスク本体10は、横方向Xの中央において折り畳まれており、着用時に横方向Xに展開する。マスク本体10は、使用前にマスク本体10の横方向Xの中央において縦方向Yに延びる中央折り目32を基点に折り畳まれている。当該中央折り目32は、マスク本体10を構成するシートが折り畳まれた折り目であってもよいし、マスク本体10を構成するシート同士が接合された接合部であってもよい。中央折り目32は、マスク本体10の縦方向Yに連続して設けられてよい。中央折り目32は、図1に示す折り畳み状態において縦方向Yに湾曲してよい。より詳細には、中央折り目は、中央折り目の上端から下方に向かって横方向Xの外側に膨らみ、かつ中央折り目32の下端から上方に向かって横方向Xの外側に膨らむように湾曲している。図8に示す折り畳み状態において中央折り目32の縦方向Yの中央は、中央折り目32の縦方向Yの端部よりも横方向Xの外側に向かって突出しており、横方向Xに向かって凸状の略曲線の形状である。そのため、マスク本体10は、折り畳み状態のマスク本体を展開した状態において、着用者の顔面に対して凹面となる立体形状(立体構造)を形成することができる。
【0060】
マスク1Gは、マスク本体10の横方向Xの両側部それぞれに接合された一対の耳掛け部20を有する。耳掛け部20は、マスク本体10の横方向Xの端縁のうち、中央折り目32と反対側の端縁から横方向Xの外側に延出している。微粒子付着領域R1は、中央折り目32と反対側の端縁から横方向Xの内側に延びる領域に配置されている。微粒子付着領域R1は、中央折り目32を挟んだ両側に配置されており、当該微粒子付着領域R1によって挟まれた領域に中間領域R2が配置されている。中間領域R2は、中央折り目32を跨いで配置されている。
【0061】
本構成によれば、中央折り目32は、マスク着用時にカップ形状の頂点に位置し、口及び鼻に対向して配置される。当該中央折り目32を跨いで比較的通気性が高い中間領域R2を配置することで、口及び鼻における通気性を確保できる。よって、通気性を確保しつつ機能剤による効能を付与できる。また、中央折り目32と反対側の端縁から横方向Xの内側に延びる領域は、耳掛け部20によって横方向Xの外側に引っ張られ、頬に密着しやすい領域である。当該領域に微粒子付着領域R1を配置することで、機能剤の効能を着用者に効率よく付与できる。
【0062】
マスク本体10の折り畳み状態において、中間領域R2の横方向Xの長さは、中央折り目32の縦方向Yの長さaに対する1/3以下であってよい。折り畳み状態における中間領域R2の横方向Xの長さは、中央折り目32の横方向Xの外側に膨らんだ頂点と、微粒子付着領域R1の中央折り目32側の端縁と、の横方向Xに沿った長さである。一般的に、着用者の口唇及び鼻孔は、中間領域R2の縦方向Yの距離をaとしたとき、中央折り目32から横方向Xの外側に向かってaに対する1/3までの距離内に配置される。当該領域に中間領域R2を配置することで、呼気の流入が多い鼻および口付近の通気性をより向上できる。また、口唇及び鼻孔が配置されない領域において、機能剤の効能を付与できる。
【0063】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0064】
1、1B、1C、1D、1E、1F、1G :マスク
10 :マスク本体
11 :基材シート
12 :外側シート
13 :内側シート
15 :繊維
16 :微粒子
18 :ひだ部
20 :耳掛け部
32 :中央折り目
MF :山折り目
VF :谷折り目
R1 :微粒子付着領域
R2 :中間領域
X :横方向
Y :縦方向
Z :厚み方向
Z1 :内側
Z2 :外側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8