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2025-104764処理装置、撮影システム、処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025104764
(43)【公開日】2025-07-10
(54)【発明の名称】処理装置、撮影システム、処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/63 20230101AFI20250703BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20250703BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20250703BHJP
   H04N 23/61 20230101ALI20250703BHJP
【FI】
H04N23/63 330
H04N5/222 400
H04N23/60 500
H04N23/61
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023222807
(22)【出願日】2023-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】北村 和也
(72)【発明者】
【氏名】中村 廣輝
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122DA35
5C122FH09
5C122FH11
5C122FH14
5C122FH23
5C122FK28
5C122FK41
5C122FL08
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】ディスプレイに背景映像を表示した状態で撮影している際に生じるモアレ等の異常を検出可能な処理装置を提供すること。
【解決手段】処理装置は、表示装置に第1の映像を表示させると共に、表示装置の表示領域を含む画角を撮像した第2の映像を撮像装置から取得する処理装置であって、第2の映像における表示領域と撮像装置との間に存在する被写体を撮像した領域と表示領域とを判別した判別結果を取得する取得手段と、第1の映像と第2の映像における表示領域の映像とを比較することで第2の映像における変化を検出する検出手段と、検出手段による検出結果に関する情報を通知するための第1の制御を行う制御手段とを有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に第1の映像を表示させると共に、前記表示装置の表示領域を含む画角を撮像した第2の映像を撮像装置から取得する処理装置であって、
前記第2の映像における前記表示領域と前記撮像装置との間に存在する被写体を撮像した領域と前記表示領域とを判別した判別結果を取得する取得手段と、
前記第1の映像と前記第2の映像における前記表示領域の映像とを比較することで前記第2の映像における変化を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果に関する情報を通知するための第1の制御を行う制御手段とを有することを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記判別結果は、前記撮像装置から撮影対象までの距離に応じて取得されることを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記第1の映像を、解像度と撮影角度の少なくとも一方を補正することで得られる第3の映像と前記表示領域との差分を検出することで前記比較を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記第1の映像と前記表示領域との第1の差分を検出し、
前記制御手段は、前記処理装置が映像を記録していない、かつ前記第1の差分が第1の所定値以上である場合、前記変化が検出されたとして前記第1の制御を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記第1の映像と前記表示領域との第1の差分を検出し、
前記検出手段は、前記第1の差分が第1の所定量より小さくなるように前記第2の映像を補正することで得られる第4の映像における前記表示領域と、前記第1の映像を、解像度と撮影角度の少なくとも一方を補正することで得られる第5の映像との第2の差分を検出し、
前記制御手段は、前記第2の差分が第2の所定値以上である場合、前記第2の差分に関する情報を通知する第2の制御を行うと共に、前記第2の映像を記録し、前記第2の差分が前記第2の所定値未満である場合、前記第4の映像を記録することを特徴とする請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第2の映像で補正が行われた領域、時刻、及びフレームの少なくとも一つの情報を示すデータを記録することを特徴とする請求項5に記載の処理装置。
【請求項7】
前記検出手段は、前記第1の映像と前記表示領域との第1の差分を検出し、
前記検出手段は、前記第1の差分が第2の所定量より小さくなるように前記第1の映像を補正することで得られる第6の映像を、解像度と撮影角度の少なくとも一方を補正することで得られる第7の映像と、前記第2の映像における前記表示領域との第3の差分を検出し、
前記制御手段は、前記第3の差分が第3の所定値以上である場合、前記第3の差分に関する情報を通知する第3の制御を行うと共に、前記第2の映像を記録し、前記第3の差分が前記第3の所定値未満である場合、前記第3の制御を行わず、前記第2の映像を記録することを特徴とする請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第1の映像で補正が行われた領域、時刻、及びフレームの少なくとも一つの情報を示すデータを記録することを特徴とする請求項7に記載の処理装置。
【請求項9】
表示装置に第1の映像を表示させると共に、前記表示装置の表示領域を含む画角を撮像した第2の映像を撮像装置から取得する処理装置であって、
前記第2の映像における前記表示領域にモアレが発生しているか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段によりモアレが検出された場合に前記モアレを補正した映像と前記モアレが検出された領域の情報とを記録媒体に記録する制御手段とを有することを特徴とする処理装置。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の処理装置と、
第1の映像を表示する表示装置と、
前記表示装置の表示領域を含む第2の映像を撮像する撮像装置とを有することを特徴とする撮像システム。
【請求項11】
表示装置に第1の映像を表示させると共に、前記表示装置の表示領域を含む画角を撮像した第2の映像を撮像装置から取得する処理方法であって、
前記第2の映像における前記表示領域と前記撮像装置との間に存在する被写体を撮像した領域と前記表示領域とを判別した判別結果を取得する第1ステップと、
前記第1の映像と前記第2の映像における前記表示領域の映像とを比較することで前記第2の映像における変化を検出する第2ステップと、
前記第2ステップでの検出結果に関する情報を通知するための第1の制御を行う第3ステップとを有することを特徴とする処理方法。
【請求項12】
請求項11に記載の処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、撮影システム、処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDディスプレイ(LEDウォール)に背景映像を表示し、実物の被写体と同時に撮影するバーチャルプロダクションが急速に広まっている。LEDディスプレイに微小なモアレ(干渉縞)が発生すると、撮影中には気づけず、ポストプロダクションで気づいて再撮影が必要になる場合があるため、撮影時にモアレを検出できることが望ましい。特許文献1には、モアレが発生した画像を表す空間軸の信号を周波数軸の信号に変換した後、モアレに相当する周波数成分が除去された周波数軸の信号を空間軸の信号に変換する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-11334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の方法では、異なる撮影角度で撮影した複数枚の画像を用いてモアレを特定するため、モアレの検出のために撮影用のカメラとは別のカメラを用意する必要がある。
【0005】
本発明は、ディスプレイに背景映像を表示した状態で撮影している際に生じるモアレ等の異常を検出可能な処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての処理装置は、表示装置に第1の映像を表示させると共に、表示装置の表示領域を含む画角を撮像した第2の映像を撮像装置から取得する処理装置であって、第2の映像における表示領域と撮像装置との間に存在する被写体を撮像した領域と表示領域とを判別した判別結果を取得する取得手段と、第1の映像と第2の映像における表示領域の映像とを比較することで第2の映像における変化を検出する検出手段と、検出手段による検出結果に関する情報を通知するための第1の制御を行う制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ディスプレイに背景映像を表示した状態で撮影している際に生じるモアレ等の異常を検出可能な処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】撮像装置のブロック図である。
図2】撮像素子の受光面の一部を示す図である。
図3】距離情報の生成処理を示すフローチャートである。
図4】ノイズが存在しない理想的な状態における一対の画像信号列の相関が高い場合の相関演算の結果を示す図である。
図5】ノイズが存在する微小ブロックにおける相関演算の結果を示す図である。
図6】第1の実施形態の撮影システムを示す図である。
図7】映像信号処理装置のブロック図である。
図8】第1の実施形態の撮影システムの背景映像の異常検出・除去処理を示すフローチャートである。
図9】画像データ内の被写体領域と背景領域を表す図である。
図10】第2の実施形態の撮影システムの背景映像の異常検出・除去処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
<第1の実施形態>
図1は、撮像装置100のブロック図である。撮像装置100は、画像の入力から出力、更に記録まで可能である。内部バス101に接続される各部は、内部バス101を介して互いにデータのやりとりを行うことが可能である。
【0010】
レンズユニット106は、ズームレンズやフォーカスレンズを含むレンズ群、絞り機構、及び駆動モータを備える。レンズユニット106を通過した光学像は、撮像部107で受像される。撮像部107は、CCDやCMOSセンサ等が用いられ、光学的な信号を電気的な信号に置き換える。
【0011】
CPU102は、ROM103に格納されるプログラムに従い、RAM104をワークメモリとして用いて、撮像装置100の各部を制御する。ROM103は、不揮発性の記録素子であり、CPU102を動作させるためのプログラムや各種調整パラメータ等を記録している。RAM104は、半導体素子を利用した揮発性のメモリであり、一般的に、フレームメモリ111に比べて、低速で小容量のものが使用される。フレームメモリ111は、画像信号を一時的に溜めておき、必要な時に読み出すことが可能な素子である。画像信号は膨大なデータ量であるため、フレームメモリ111は高帯域かつ大容量であることが求められる。近年、フレームメモリ111として、DDR4-SDRAM(Dual Data Rate 4-Synchronous Dynamic RAM)等が用いられている。フレームメモリ111を使用することで、例えば、時間的に異なる画像を合成したり、必要な領域だけを切り出したりする等の処理を行うことが可能となる。
【0012】
画像処理部105は、CPU102の制御に基づいて、撮像部107からのデータ、又はフレームメモリ111や記録媒体112に格納された画像データに対して各種画像処理を施す。画像処理部105が行う画像処理には、画像データの画素補間、符号化処理、圧縮処理、デコード処理、拡大/縮小処理(リサイズ)、ノイズ低減処理、及び色変換処理等が含まれる。また、画像処理部105は、撮像部107の画素の性能ばらつきの補正、欠陥画素の補正、ホワイトバランスの補正、輝度の補正、及びレンズの特性により発生する歪みや周辺光量落ちの補正等の処理を行う。更に、画像処理部105は、撮像装置100から撮影対象までの距離に関する距離情報を生成する処理を行う。なお、画像処理部105は、特定の画像処理を施すための専用の回路ブロックで構成されてもよい。画像処理の種別によっては画像処理部105を用いずにCPU102がプログラムに従って画像処理を施すことも可能である。
【0013】
画像処理部105により得られた演算結果に基づいてCPU102がレンズユニット106の制御を行い、光学的な画像の拡大、焦点距離の調整、及び光量を調整する絞りの調整等を行うことができる。また、レンズ群の一部を光軸に直交する平面上を移動させることにより、手ブレ補正を行うように構成されてもよい。
【0014】
操作部113は、ユーザの操作を受け付ける機器外部とのインターフェースである。操作部113は、メカニカルなボタンやスイッチ等の素子が使われ、電源スイッチやモード切替スイッチ等で構成されている。
【0015】
表示部114は、ユーザが視認することができる表示デバイスである。表示部114が例えば画像処理部105で処理された画像や設定メニュー等を表示することで、ユーザが撮像装置100の動作状況を確認することが可能である。近年、表示部114として、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)等の小型で低消費電力のデバイスが利用されている。また、表示部114には、タッチパネルと呼ばれる抵抗膜式や静電容量式の薄膜素子等が兼備される場合もあり、操作部113の代替として利用されたりもする。CPU102は、撮像装置100の設定状態等をユーザに知らせるための文字列や、撮像装置100の設定をするためのメニューを生成し、画像処理部105で処理された画像に重畳して、表示部114に表示する。文字情報の他にも、ヒストグラム、ベクトルスコープ、波形モニタ、ゼブラ、ピーキング、及びフォルスカラー等の撮影アシスト表示も重畳することが可能である。
【0016】
映像端子部109は、複数の映像端子により構成される。映像端子は例えば、SDI(Serial Digital Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)、及びDisplayPort(登録商標)等である。映像端子部109を介して映像信号を出力することで、不図示の外部モニタにリアルタイムに画像を表示することが可能となる。また、映像端子部109を介して入力された画像をCPU102が画像処理部105で処理し、表示部114に表示することもできる。
【0017】
ネットワークモジュール108は、画像信号や音声信号の入出力を行うためのインターフェースである。ネットワークモジュール108は、インターネット等を介して外部機器と通信し、ファイル、コマンド、及び映像信号やメタデータ等の各種データの送受信を行うこともできる。ネットワークモジュール108による伝送方式は、無線でもよいし有線でもよい。
【0018】
記録媒体112は、画像データや種々の設定データを記録することが可能で、大容量記憶素子が使用される。記録媒体112として例えば、HDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Drive)等が利用され、記録媒体I/F110に装着される。ユーザが操作部113の所定のボタン(以下、録画ボタンと呼ぶ)を押下すると、CPU102は画像処理部105で処理された画像データを記録媒体I/F110を介して記録媒体112に記録し始める。ユーザが再び録画ボタンを押下すると、記録が停止される。記録中、撮像装置100が記録中であることを示す信号がネットワークモジュール108や映像端子部109を介して出力される。これにより、外部装置に記録中であることを伝えたり、撮像装置100における記録操作に連動して撮像装置100から出力される画像データを外部装置で記録したりすることも可能となる。
【0019】
物体検出部115は、例えば、ニューラルネットワークを用いたディープラーニングに代表される人工知能を用いて物体を検出する。ディープラーニングによる物体検出を例とした場合、CPU102は、ROM103に格納された処理のためのプログラム、ネットワーク構造、及び重みパラメータ等を物体検出部115に送信する。物体検出部115は、CPU102から得られる各種パラメータに基づいて、画像信号から物体を検出するための処理を行い、処理結果をRAM104に展開する。
【0020】
姿勢検出部116は、例えば、ジャイロセンサや加速度センサを用いて撮像装置100の姿勢状態を検出する。これによりカメラが傾いていることや揺れていることを検出することが可能となる。
【0021】
図2は、撮像部107の画像センサの受光面の一部を示す図である。撮像部107では、撮像面位相差オートフォーカスを可能にするために、一つのマイクロレンズに対して光電変換手段として受光部であるフォトダイオードを2つ保持している画素部がアレイ状に並べられている。これにより、各画素部で、レンズユニット106の射出瞳を分割した光束を受光することが可能である。
【0022】
図2(A)は、赤(R)、青(B)、緑(Gb,Gr)のベイヤー配列例の画像センサ表面の一部の模式図である。図2(B)は、図2(A)のカラーフィルタの配列に対応させて、一つのマイクロレンズに対してフォトダイオードを2つ保持している画素部の例を示している。
【0023】
本実施形態の画像センサは、各画素部から位相差検出用の2つの信号(以下、A像信号、B像信号ともいう。)を出力することができる。また、2つのフォトダイオードの信号を加算した撮像用の信号(A像信号+B像信号)も出力することができる。加算した信号を出力する場合、図2(A)で概略説明したベイヤー配列例の画像センサの出力と同等の信号が出力される。
【0024】
撮像部107は、画素部ごとに位相差検出用信号を出力することも可能であるが、近接する複数の素部の位相差検出用信号を加算平均した値を出力することも可能である。加算平均した値を出力することで、撮像部107から信号を読み出す時間の短縮や、内部バス101で使用する帯域を削減することができる。このような撮像部107からの出力信号を使って、CPU102は2つの像信号の相関演算を行い、デフォーカス量や視差情報、各種信頼性等の情報を算出する。
【0025】
像面でのデフォーカス量は、A像信号とB像信号のズレに基づき算出される。デフォーカス量は正負の値を持っており、デフォーカス量が正の値であるか負の値であるかによって、前ピンか後ピンかがわかる。また、デフォーカス量の絶対値によって、合焦までの度合い(ピントのズレの度合い)が分かり、デフォーカス量が0であれば合焦である。すなわち、CPU102は、デフォーカス量の正負を元に前ピンか後ピンかの情報を算出する。また、デフォーカス量の絶対値に基づいて、合焦の度合いである合焦度合い情報を算出する。前ピンか後ピンかの情報は、デフォーカス量が所定値を超える場合に出力し、デフォーカス量の絶対値が所定値以内である場合には、合焦であるという情報を出力する。
【0026】
CPU102は、デフォーカス量に応じてレンズユニット106を制御してフォーカス調整を行う。また、CPU102は、視差情報とレンズユニット106のレンズ情報から三角測量の原理を用いて被写体までの距離を算出する。
【0027】
なお、図2では、一つのマイクロレンズに対してフォトダイオードを2つ保持している画素部をアレイ状に並べている例を示したが、本発明はこれに限定されない。一つのマイクロレンズに対してフォトダイオードを3つ以上保持している画素部をアレイ状に並べてもよい。また、マイクロレンズに対して受光部の開口位置が異なる画素部を複数有するようにしてもよい。つまり、A像信号とB像信号等の位相差を検出可能な2つの信号が得られる構成であれば図2で示した構成以外の構成としてもよい。
【0028】
以下、画像処理部105が行う距離情報の生成処理について説明する。図3は、距離情報の生成処理を示すフローチャートである。
【0029】
ステップS301では、画像処理部105は、撮像部107から出力された撮像用の(A像信号+B像信号)と位相差検出用のA像信号の2つの信号の差を求めることで位相差検出用のB像信号を算出する。なお、本実施形態では撮像用の(A像信号+B像信号)と位相差検出用のA像信号が出力される方法で説明を行うが、本発明はこれに限定されない。A像信号とB像信号の状態で撮像部107から出力してもよい。この場合、撮像用の(A像信号+B像信号)は、A像信号とB像信号を加算して算出することができる。また、ステレオカメラのようにセンサを2つ具備している場合においてはそれぞれのセンサ出力の画像信号をA像信号及びB像信号としてもよい。
【0030】
ステップS302では、画像処理部105は、位相差検出用のA像信号と位相差検出用のB像信号のそれぞれで光学的な要因によるシェーディングの補正を行う。
【0031】
ステップS303では、画像処理部105は、位相差検出用のA像信号と位相差検出用のB像信号のそれぞれにフィルタ処理を行う。フィルタ処理は、例えば、FIR(Finite Impulse Response)で構成されたハイパスフィルタを用いて行われる。本実施形態では、ハイパスフィルタを通した位相差検出用のA像信号と位相差検出用のB像信号で説明を行うが、本発明はこれに限定されない。フィルタ係数を変えたバンドパスフィルタやローパスフィルタをそれぞれ通した信号を生成してもよい。そして、それぞれ生成した位相差検出用のA像信号と位相差検出用のB像信号を用いて後述する相関演算処理を行ってもよい。
【0032】
ステップS304では、画像処理部105は、ステップS303でフィルタ処理を行った位相差検出用のA像信号と位相差検出用のB像信号に対して微小ブロックに分割し相関演算を行う。なお、微小ブロックのサイズ又は形状についての制限はなく、近接するブロック同士で領域が重なっていてもよい。
【0033】
ここで、一対の画像であるA像とB像の相関演算について説明する。着目画素位置におけるA像の信号列をE(1)~E(m)と表記し、着目画素位置におけるB像の信号列をF(1)~F(m)と表記する。A像の信号列E(1)~E(m)に対して、B像の信号列F(1)~F(m)を相対的にずらしながら、以下の式(1)を用いて2つの信号列間のずれ量kにおける相関量C(k)が演算される。
【0034】
【数1】
【0035】
(1)
式(1)において、Σ演算はnについて総和を算出する演算を意味する。Σ演算において、nとn+kの取る範囲は、1からmの範囲に限定される。ずれ量kは整数値であり、一対のデータの検出ピッチを単位とした相対的画素ずれ量である。以下、離散的な相関量C(k)が最小となるときのkを、kjと表記する。ノイズが存在しない理想的な状態において、一対の画像信号列の相関が高い場合の式(1)の演算結果を図4に示す。図4に示されるように、一対の画像信号列の相関が高いずれ量(k=kj=0)において、相関量C(k)が最小になる。式(2)乃至式(4)に示される点内挿処理によって、連続的な相関量に対する最小値C(x)を与えるxが算出される。なお、画素ずれ量xは実数値であり、単位をpixelとする。
【0036】
【数2】
【0037】
(2)
【0038】
【数3】
【0039】
(3)
【0040】
【数4】
【0041】
(4)
式(4)のSLOPは、最小かつ極小となる相関量と、その隣接する相関量における変化の傾きを表す。図4において、具体例として、C(kj)=C(0)=1000,C(kj-1)=C(-1)=1700,C(kj+1)=C(1)=1830とする。また、kj=0である。式(2)乃至式(4)より、SLOP=830,x=-0.078[pixel]となる。合焦状態の場合、A像の信号列とB像の信号列に対する画素ずれ量xは0.00が理想値である。
【0042】
一方、ノイズが存在する微小ブロックに式(1)を適用した場合の演算結果を図5に示す。図5に示されるように、ランダムに分布しているノイズの影響により、A像の信号列とB像の信号列との相関が低下する。相関量C(k)の最小値は、図4での最小値に比べて大きくなり、相関量の曲線は全体的に平坦な形状(最大値と最小値との差分絶対値が小さいこと)となる。
【0043】
図5において、具体例として、C(kj)=C(0)=1300,C(kj-1)=C(-1)=1480,C(kj+1)=C(1)=1800とする。また、kj=0である。式(2)乃至式(4)より、SLOP=500,x=-0.32[pixel]となる。図4に示されるノイズが存在しない状態での演算結果と比べて、画素ずれ量xが理想値から離れている。
【0044】
一対の画像信号系列間の相関が低い場合、相関量C(k)の変化量が小さくなり、相関量の曲線は全体的に平坦な形状となるため、SLOPの値が小さくなる。また、被写体像が低コントラストである場合にも、同様に一対の画像信号系列間の相関が低くなり、相関量の曲線が平坦な形状となる。この性質に基づき、算出された画素ずれ量xの信頼性をSLOPの値で判断することができる。すなわち、SLOPの値が大きい場合には、一対の画像信号系列間の相関が高く、またSLOPの値が小さい場合には、一対の画像信号系列間に有意な相関が得られなかったと判断することができる。本実施形態では、相関演算に式(1)を用いたため、一対の画像信号系列の相関が最も高いずれ量において相関量C(k)が最小かつ極小となる。別の方法として、一対の画像信号系列の相関が最も高いずれ量において相関量C(k)が最大かつ極大となる相関演算法を用いてもよい。
【0045】
ステップS305では、画像処理部105は、信頼度を算出する。信頼度は、前述したようにステップS304で算出した二画像の一致度を示すC(kj)とSLOPの値とで定義することができる。
【0046】
ステップS306では、画像処理部105は、補間処理を行う。ステップS305で算出した信頼性が低いためにステップS304で算出した画素ずれ量を採用できない場合がある。その場合、周りで算出された画素ずれ量から補間する必要がある。補間方法としてはメディアンフィルタを掛けてもよいし、画素ずれ量データを縮小した後に再度拡大することをしてもよい。また、撮像用の(A像信号+B像信号)から色データを抽出し、色データを用いて画素ずれ量を補間してもよい。
【0047】
ステップS307では、画像処理部105は、ステップS304で算出した画素ずれ量xを参照してデフォーカス量を計算する。具体的には、デフォーカス量(DEFと記す)は、以下の式(5)で求めることができる。
【0048】
DEF=P×x (5)
式(5)において、Pは検出ピッチ(画素配置ピッチ)と一対の視差画像における左右2つの視点の投影中心の距離とによって決まる変換係数であり、単位はmm/pixelである。
【0049】
ステップS308では、画像処理部105は、ステップS307で算出したデフォーカス量から距離を算出する。被写体までの距離をDa、焦点位置をDb、焦点距離をFとしたとき、近似的に以下の式(6)が成り立つ。
【0050】
【数5】
【0051】
(6)
したがって、被写体までの距離Daは、以下の式(7)で表される。
【0052】
【数6】
【0053】
(7)
DEF=0のときのDbをDb0とすると、被写体までの絶対距離Da’は以下の式(8)で表される。
【0054】
【数7】
【0055】
(8)
相対距離Da-Da’は、式(7)と式(8)より以下の式(9)で表される。
【0056】
【数8】
【0057】
(9)
以上説明したように、図3のフローに沿って処理を行うことで、位相差検出用のA像信号と位相差検出用のB像信号から画素ずれ量、デフォーカス量、及び距離情報を算出することができる。
【0058】
図6は、本実施形態の撮影システムを示す図である。撮影システムは、撮像装置100、映像信号処理装置(処理装置)700、及び表示装置300を有する。撮像装置100、映像信号処理装置700、及び表示装置300は、有線又は無線で接続されている。表示装置300は、不図示の映像入力端子を介して入力された映像信号(第1の映像)を表示する。座標検出装置601は、撮像装置100に取り付けられ、天井や床等に施されたマーキングを参照したり、赤外線等を発光し反射光を検出することで撮像装置100の位置及び姿勢を検出し、検出した情報を映像信号処理装置700に送信したりする。撮像装置100は、表示装置300の第1の映像を表示している表示領域を含む映像(第2の映像)を撮像する。
【0059】
図7は、映像信号処理装置700のブロック図である。映像信号処理装置700は、画像の入力から出力、更に記録まで可能である。内部バス701に接続される各部は、内部バス701を介して互いにデータのやりとりを行うことが可能である。
【0060】
CPU702は、ROM703に格納されるプログラムに従い、RAM704をワークメモリとして用いて、映像信号処理装置700の各部を制御する。ROM703は、不揮発性の記録素子であり、CPU702を動作させるためのプログラムや各種調整パラメータ等を記録している。RAM704は、半導体素子を利用した揮発性のメモリであり、一般的に、フレームメモリ709に比べて、低速、小容量のものが使用される。フレームメモリ709は、画像信号を一時的に溜めておき、必要な時に読み出すことが可能な素子である。画像信号は膨大なデータ量であるため、高帯域かつ大容量のものが求められる。近年、フレームメモリとして709として、DDR4-SDRAM等が用いられている。フレームメモリ709を使用することで、例えば、時間的に異なる画像を合成したり、必要な領域だけを切り出したりする等の処理を行うことが可能となる。
【0061】
画像処理部705は、CPU702の制御に基づいて、フレームメモリ709や記録媒体712に格納された画像データに対して各種画像処理を施す。なお、画像処理部705は、特定の画像処理を施すための専用の回路ブロックで構成されてもよい。画像処理の種別によっては画像処理部705を用いずにCPU702がプログラムに従って画像処理を施すことも可能である。
【0062】
操作部710は、ユーザの操作を受け付ける機器外部とのインターフェースである。操作部710は、マウス、キーボード、又はタッチパネル等で構成されている。
【0063】
表示部711は、ユーザが視認することができる表示デバイスである。表示部711が例えば画像処理部705で処理された画像や設定メニュー等を表示することで、ユーザが映像信号処理装置700の動作状況を確認することが可能である。近年、表示部711として、LCDや有機EL等の小型で低消費電力のデバイスが利用されている。また、表示部711には、タッチパネルと呼ばれる抵抗膜式や静電容量式の薄膜素子等が兼備される場合もあり、操作部710の代替として利用されたりもする。CPU702は、映像信号処理装置700の設定状態等をユーザに知らせるための文字列や、映像信号処理装置700の設定をするためのメニューを生成し、画像処理部705で処理された画像に重畳して、表示部711に表示する。
【0064】
映像端子部707は、複数の映像端子により構成される。映像端子は例えば、SDI、HDMI(登録商標)、及びDisplayPort(登録商標)等である。映像端子部707を介して映像信号を出力することで、不図示の外部モニタにリアルタイムに画像を表示することが可能となる。また、映像端子部707を介して入力された画像をCPU702が画像処理部705で処理し、表示部711に表示することもできる。
【0065】
ネットワークモジュール706は、画像信号や音声信号の入出力を行うためのインターフェースである。ネットワークモジュール706は、インターネット等を介して外部機器と通信し、ファイル、コマンド、及び映像信号やメタデータ等の各種データの送受信を行うこともできる。ネットワークモジュール706による伝送方式は、無線でもよいし有線でもよい。
【0066】
記録媒体712は、画像データや種々の設定データを記録することが可能で、大容量記憶素子が使用される。記録媒体712として例えば、HDDやSSD等が利用され、記録媒体I/F708に装着される。ユーザが操作部710の所定のボタン(以下、録画ボタンと呼ぶ)を押下すると、CPU702は画像処理部705で処理された画像データ又は映像端子部707から入力された画像データを記録媒体I/F708を介して記録媒体712に記録し始める。ユーザが再び録画ボタンを押下すると、記録が停止される。また、CPU702は、ネットワークモジュール706や映像端子部707を介して受信した記録中であることを示す信号に応じて、画像データを記録媒体712に記録することもできる。
【0067】
また、映像信号処理装置700は、撮像装置100の焦点距離等のレンズ情報や露出等の情報をネットワークモジュール706や映像端子部707を介して取得する。CPU702は、記録媒体I/F708に記録されている3次元モデルデータを読み出す。次に、CPU702は、撮像装置100のレンズ情報や露出等の情報と、座標検出装置601から得られた撮像装置100の位置や姿勢の情報を元に画像処理部705で3次元モデルデータを再レンダリングする。そして、CPU702は、撮像装置100の画角に適したCG画像を生成し、背景映像として表示装置300に出力する。
【0068】
以下、図8を参照して、本実施形態の背景映像の異常検出・除去処理について説明する。図8は、本実施形態の撮像システムの背景映像の異常検出・除去処理を示すフローチャートである。
【0069】
ステップS801では、CPU702はまず、記録媒体I/F708に記録されている3次元モデルデータを読み出す。次に、CPU702は、撮像装置100のレンズ情報や露出等の情報と、座標検出装置601から得られた撮像装置100の位置や姿勢の情報を元に画像処理部705で3次元モデルデータを再レンダリングする。そして、CPU702は、撮像装置100の画角に合わせたCG画像を生成し、背景映像(第1の映像)として表示装置300に出力する。背景映像は、表示装置300に表示される。
【0070】
ステップS802では、CPU102は、撮像部107で撮像し画像処理部105で処理した被写体と背景映像とを含む画像データ(第2の映像)と距離情報とを取得し、フレームメモリ111に格納する。
【0071】
ステップS803では、CPU102はまず、フレームメモリ111から画像データと距離情報を読み出す。次に、CPU102は、距離情報に応じて図9に示されるように画像データ内の被写体が映っている被写体領域と、背景映像が映っている背景領域(表示領域)とを判断する。次に、CPU102は、画像データに被写体領域と背景領域をそれぞれ示すフラグを付加してフレームメモリ111に格納する。被写体領域と背景領域とを判断する方法は、距離情報に閾値を設けて、閾値以上であれば背景領域、閾値以下であれば被写体領域と判断するものとする。閾値は、ユーザが手動で設定してもよいし、レンズユニット106の絞りやフォーカス位置等によって自動で設定するようにしてもよい。そして、CPU102は、被写体領域と背景領域をそれぞれ示すフラグと画像データとを映像端子部109やネットワークモジュール108を介して映像信号処理装置700に出力する。
【0072】
なお、本実施形態では、CPU102が被写体領域と背景領域とを判別するが、CPU702が撮像装置100から画像データと距離情報を取得し、被写体領域と背景領域とを判別してもよい。
【0073】
ステップS804では、CPU702は、映像端子部707やネットワークモジュール706を介して、撮像装置100が出力した被写体領域と背景領域をそれぞれ示すフラグと画像データとを取得する。すなわち、CPU702は、被写体領域と背景領域とを判別した判別結果として、被写体領域と背景領域をそれぞれ示すフラグを取得する取得手段として機能する。CPU702は、ステップS801で出力した背景映像と、ステップS803で撮像装置が出力した画像データの解像度や撮影角度が異なる場合、それらの解像度や撮影角度を合わせるリサイズ処理や角度補正処理を背景映像に行う。そして、CPU702は、それらの背景領域に該当する部分の画像データを比較する。本実施形態では、CPU702は、各映像の背景領域に該当する部分の画像データを比較し、差分(第1の差分)を検出する検出手段として機能する。
【0074】
ステップS805では、CPU702は、ステップS804で比較した領域の各画素の差(第1の差分)が所定値以上(第1の所定値以上)であるかどうかを判定する。本実施形態では、CPU702は、差が所定値以上である画素が存在するかどうかを判定する。CPU702は、各画素の差が所定値以上であると判定した場合、ステップS806の処理を実行する。CPU702は、各画素の差が所定値以上でないと判定した場合、本フローを終了する。なお、本実施形態では比較した領域の各画素の差が所定値以上である画素が存在するかどうかで判定したが、本発明はこれに限定されない。例えば、各画素の差を平均した値が所定値以上である場合や、各画素の差が所定値以上である画素の数を数えて所定の画素数以上である場合にステップS806の処理を実行するように構成してもよい。
【0075】
ステップS806では、CPU702は、画像データを記録中であるかどうかを判定する。CPU702は、記録中であると判定した場合、ステップS807の処理を実行し、記録中でないと判定した場合、ステップS808の処理を実行する。
【0076】
ステップS807では、画像処理部705は、CPU702の制御に基づいて、撮像装置100から入力された画像データの補正画像を生成する。具体的にはまず、CPU702が、ステップS801で出力した背景映像と、ステップS803で撮像装置が出力した画像データの背景領域に該当する部分に対してそれぞれFFT(Fast Fourier Transform)を行う。これにより、空間軸の信号を周波数軸の信号に変換することができる。そして、それぞれの周波数成分を比較し、撮像装置100から入力された画像データにのみ存在する周波数成分の信号をモアレと判断し、その周波数成分を除去する(周波数成分が第1の所定量より小さい)信号処理を行う。特定の周波数成分を除去する手段として、例えばノッチフィルタによるフィルタ処理がある。そして、モアレの周波数成分を除去した周波数軸の信号に対して逆FFTを行い空間軸の信号に変換することで、モアレを除去した画像データを得ることができる。
【0077】
ステップS808では、CPU702は、モアレ等が発生し意図しない背景映像が撮影されていることを伝える警告表示を生成し、映像端子部707を介して撮像装置100や表示装置300に出力する。そして、撮像装置100の表示部114、表示装置300、及び映像信号処理装置700の表示部711に警告が表示され、ユーザに伝えられる。また、撮像装置100に入力された警告表示を映像端子部109から出力し、不図示の外部モニタに警告を表示してもよい。本実施形態では、CPU702は、背景領域に該当する部分の画像データの差分が大きく、モアレ等が発生し意図しない背景映像が撮影されていることを通知する制御を行う制御手段として機能する。
【0078】
なお、本実施形態では、CPU702は、表示部に警告表示を表示するが、モアレ等が発生し意図しない背景映像が撮影されていることを通知可能であればこれに限定されない。例えば、振動や音等で通知する制御が行われてもよい。
【0079】
ステップS809では、CPU702は、ステップS801で出力された背景映像と、ステップS807で生成した補正画像の解像度や撮影角度が異なる場合、解像度や撮影角度を合わせるリサイズ処理や角度補正処理を背景映像に行う。そして、それらの背景領域に該当する部分の画像データを比較する。CPU702は、比較した領域の各画素の差に応じて、補正可能であるかどうかを判定する。CPU702は、比較した領域の各画素の差が所定値以上(第2の所定値以上)であると判定した場合、すなわち補正不可能であると判定した場合、ステップS810の処理を実行する。CPU702は、比較した領域の各画素の差が所定値未満(第2の所定値未満)であると判定した場合、すなわち補正可能であると判定した場合、ステップS811の処理を実行する。なお、本実施形態では、比較した領域の各画素の差が所定値以上であるかどうかを判定したが、本発明はこれに限定されない。例えば、各画素の差を平均した値が所定値以上である場合や、各画素の差が所定値以上である画素の数を数えて所定の画素数以上である場合にステップS810の処理を実行するように構成してもよい。
【0080】
ステップS810では、CPU702は、モアレ等が発生し意図しない背景映像が撮影されていることを伝える警告表示を生成し、映像端子部707を介して撮像装置100に出力する。そして、撮像装置100の表示部114と映像信号処理装置700の表示部711に警告が表示され、記録画像に影響を与えないようにユーザに伝えられると共に、撮像装置100から入力された画像データが記録媒体I/F708に記録される。なお、撮像装置100に入力された警告表示を映像端子部109から出力し、不図示の外部モニタに警告を表示してもよい。
【0081】
ステップS811では、CPU702は、ステップS807で画像処理部705が生成した補正画像を記録媒体I/F708に記録する処理や、映像端子部707を介して出力する処理を行う。
【0082】
ステップS812では、CPU702は、ステップS807で補正を行った領域を示すデータと補正を行った時刻やフレームを示すタイムコードをメタデータとして記録媒体I/F708に記録する処理や、映像端子部707を介して出力する処理を行う。
【0083】
なお、本実施形態では、ステップS809で補正可能か判断を行い、ステップS811で補正画像を記録・出力する構成としたが、本発明はこれに限定されない。ステップS809で補正可能か否かの判断を行わずにステップS810の処理を行い、記録した撮像画像とステップS812で記録したメタデータとステップS801で出力した背景映像とを用いて、撮影後の後処理工程で背景領域の補正を行ってもよい。このとき、CPU702は補正後の撮影画像とモアレが補正されたことを示すメタデータとを関連付けて記録媒体712に記録する。また、CPU702は、後で補正を行うために、ステップS807でモアレ除去のための補正を行わずに表示装置300の表示領域にモアレが発生したというメタデータを撮影画像と共に記録媒体712に出力・記録してもよい。
【0084】
また、本実施形態では、ステップS807におけるモアレ除去の方法として、画像データを周波数軸の信号に変換してモアレの周波数成分を特定し除去する例を示したが、本発明はこれに限定されない。ステップS801で撮像装置100の画角に合わせて出力した背景映像を、撮像装置100が出力する画像データの解像度や撮影角度に合わせて変換した画像データを生成し、撮像装置100から入力された画像データの背景領域を置き換えてモアレを除去してもよい。
【0085】
また、本実施形態では、被写体領域と背景領域とを分ける手段として、撮像部107から得られるA像信号とB像信号を用いて算出した距離情報を用いたが、本発明はこれに限定されない。距離センサ等の別の手段を用いて被写体までの距離を求める構成としてもよいし、距離情報を用いずに画像セグメンテーション技術を用いて被写体領域と背景領域とを分ける構成としてもよい。
【0086】
以上説明した処理を行うことで、ディスプレイに背景映像を表示した状態で撮影している際に生じるモアレを検出・除去することができる。また、映像信号処理装置700が表示装置300に出力する背景映像と表示装置300に表示し撮像装置100で撮像した背景映像に所定以上の差分があれば、モアレに限らず輝度や色、歪み、及び画素・領域欠陥等の変化であっても検出・除去することができる。また、そのような変化の検出処理の方法としては、上述した差分をとる方法に限らず、例えば比率など、表示装置300に出力する背景映像と撮像装置100で撮像した背景映像とを領域ごと、画素ごとに比較できる演算方法であれば適用できる。
【0087】
また、本実施形態におけるモアレ検出方法に限らず、撮像装置100の光学設計情報(センサの画素ピッチ、フォーカス、ズーム、及び被写体距離など)と表示装置300の画素ピッチの情報とからモアレの発生を推定してもよい。
【0088】

<第2の実施形態>
第1の実施形態では、撮像装置100から入力された画像データの補正画像を生成することでモアレを除去する例について説明した。
【0089】
背景映像として表示している映像自体に含まれる繰り返しパターンに干渉して撮像時にモアレが発生する場合がある。その場合、表示する背景映像を補正することでモアレの発生を抑制することができる。そこで、本実施形態では、映像信号処理装置700が出力する背景映像を補正して出力することでモアレを除去する例について説明する。
【0090】
図10は、本実施形態の撮影システムの背景映像の異常検出・除去処理を示すフローチャートである。本実施形態において、第1の実施形態と同一又は同様の構成及びステップについては同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0091】
ステップS1001では、画像処理部705は、CPU702の制御に基づいて、ステップS801で出力した背景映像の補正画像を生成し表示装置300に出力する。具体的には例えば、ステップS801で出力した背景映像にローパスフィルタをかけて高周波成分を低減した(高周波成分が第2の所定量より小さい)画像が生成され、表示装置300に出力される。
【0092】
ステップS1002では、CPU702は、ステップS1001で出力した背景映像とステップS802で撮像した画像データの解像度や撮影角度が異なる場合、解像度や撮影角度を合わせるリサイズ処理や角度補正処理を背景映像に行う。そして、CPU102は、それらの背景領域に該当する部分の画像データを比較する。CPU702は、比較した領域の各画素の差が所定値以上(第3の所定値以上)であると判定した場合、ステップS810の処理を実行する。CPU702は、比較した領域の各画素の差が所定値未満(第3の所定値未満)であると判定した場合、ステップS1003の処理を実行する。なお、本実施形態では比較した領域の各画素の差が所定値以上であるかどうかを判定したが、本発明はこれに限定されない。例えば、各画素の差を平均した値が所定値以上である場合や、各画素の差が所定値以上である画素の数を数えて所定の画素数以上である場合にステップS810の処理を実行するように構成してもよい。
【0093】
ステップS1003では、CPU102は、ステップS1001で表示装置300に出力された背景映像及び被写体を撮像し、記録媒体I/F110に記録する。また、CPU102は、映像端子部109を介して撮像した画像データを出力し、映像信号処理装置700の記録媒体712に記録してもよい。
【0094】
以上説明した処理を行うことで、ディスプレイに背景映像を表示した状態で撮影している際に生じるモアレ等の異常を検出・除去することができる。
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0095】
本実施形態の開示は、以下の構成及び方法を含む。
(構成1)
表示装置に第1の映像を表示させると共に、前記表示装置の表示領域を含む画角を撮像した第2の映像を撮像装置から取得する処理装置であって、
前記第2の映像における前記表示領域と前記撮像装置との間に存在する被写体を撮像した領域と前記表示領域とを判別した判別結果を取得する取得手段と、
前記第1の映像と前記第2の映像における前記表示領域の映像とを比較することで前記第2の映像における変化を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果に関する情報を通知するための第1の制御を行う制御手段とを有することを特徴とする処理装置。
(構成2)
前記判別結果は、前記撮像装置から撮影対象までの距離に応じて取得されることを特徴とする構成1に記載の処理装置。
(構成3)
前記検出手段は、前記第1の映像を、解像度と撮影角度の少なくとも一方を補正することで得られる第3の映像と前記表示領域との差分を検出することで前記比較を行うことを特徴とする構成1又は2に記載の処理装置。
(構成4)
前記検出手段は、前記第1の映像と前記表示領域との第1の差分を検出し、
前記制御手段は、前記処理装置が映像を記録していない、かつ前記第1の差分が第1の所定値以上である場合、前記変化が検出されたとして前記第1の制御を行うことを特徴とする構成1乃至3の何れか一つの構成に記載の処理装置。
(構成5)
前記検出手段は、前記第1の映像と前記表示領域との第1の差分を検出し、
前記検出手段は、前記第1の差分が第1の所定量より小さくなるように前記第2の映像を補正することで得られる第4の映像における前記表示領域と、前記第1の映像を、解像度と撮影角度の少なくとも一方を補正することで得られる第5の映像との第2の差分を検出し、
前記制御手段は、前記第2の差分が第2の所定値以上である場合、前記第2の差分に関する情報を通知する第2の制御を行うと共に、前記第2の映像を記録し、前記第2の差分が前記第2の所定値未満である場合、前記第4の映像を記録することを特徴とする構成1乃至4の何れか一つの構成に記載の処理装置。
(構成6)
前記制御手段は、前記第2の映像で補正が行われた領域、時刻、及びフレームの少なくとも一つの情報を示すデータを記録することを特徴とする構成5に記載の処理装置。
(構成7)
前記検出手段は、前記第1の映像と前記表示領域との第1の差分を検出し、
前記検出手段は、前記第1の差分が第2の所定量より小さくなるように前記第1の映像を補正することで得られる第6の映像を、解像度と撮影角度の少なくとも一方を補正することで得られる第7の映像と、前記第2の映像における前記表示領域との第3の差分を検出し、
前記制御手段は、前記第3の差分が第3の所定値以上である場合、前記第3の差分に関する情報を通知する第3の制御を行うと共に、前記第2の映像を記録し、前記第3の差分が前記第3の所定値未満である場合、前記第3の制御を行わず、前記第2の映像を記録することを特徴とする構成1乃至4の何れか一つの構成に記載の処理装置。
(構成8)
前記制御手段は、前記第1の映像で補正が行われた領域、時刻、及びフレームの少なくとも一つの情報を示すデータを記録することを特徴とする構成7に記載の処理装置。
(構成9)
表示装置に第1の映像を表示させると共に、前記表示装置の表示領域を含む画角を撮像した第2の映像を撮像装置から取得する処理装置であって、
前記第2の映像における前記表示領域にモアレが発生しているか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段によりモアレが検出された場合に前記モアレを補正した映像と前記モアレが検出された領域の情報とを記録媒体に記録する制御手段とを有することを特徴とする処理装置。
(構成10)
構成1乃至9の何れか一つの構成に記載の処理装置と、
第1の映像を表示する表示装置と、
前記表示装置の表示領域を含む第2の映像を撮像する撮像装置とを有することを特徴とする撮像システム。
(方法1)
表示装置に第1の映像を表示させると共に、前記表示装置の表示領域を含む画角を撮像した第2の映像を撮像装置から取得する処理方法であって、
前記第2の映像における前記表示領域と前記撮像装置との間に存在する被写体を撮像した領域と前記表示領域とを判別した判別結果を取得する第1ステップと、
前記第1の映像と前記第2の映像における前記表示領域の映像とを比較することで前記第2の映像における変化を検出する第2ステップと、
前記第2ステップでの検出結果に関する情報を通知するための第1の制御を行う第3ステップとを有することを特徴とする処理方法。
(構成11)
方法1に記載の処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【0096】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0097】
100 撮像装置
300 表示装置
700 映像信号処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10