(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025104932
(43)【公開日】2025-07-10
(54)【発明の名称】非水電解質電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/474 20210101AFI20250703BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20250703BHJP
H01M 50/54 20210101ALI20250703BHJP
H01M 50/477 20210101ALI20250703BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20250703BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20250703BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20250703BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20250703BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20250703BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20250703BHJP
【FI】
H01M50/474
H01M50/178
H01M50/54
H01M50/477
H01M4/38 Z
H01M4/134
H01M10/0562
H01M10/052
H01M10/0585
H01M50/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223127
(22)【出願日】2023-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】谷内 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】岩切 萌
(72)【発明者】
【氏名】中島 芳彦
【テーマコード(参考)】
5H011
5H021
5H029
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H011AA01
5H011BB03
5H011EE04
5H021AA00
5H021BB11
5H021EE30
5H029AJ11
5H029AK03
5H029AK05
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM12
5H029DJ04
5H029DJ05
5H043AA01
5H043AA02
5H043BA20
5H043CA08
5H043CA13
5H043DA02
5H043EA06
5H043EA35
5H043EA38
5H043HA06E
5H043JA06E
5H043KA45E
5H050AA14
5H050BA16
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA11
5H050CB11
5H050CB12
5H050DA19
5H050DA20
5H050GA07
(57)【要約】
【課題】充放電によって非水電解質電池を構成する電極積層体が膨張しても、タブの破断を抑制することのできる非水電解質電池を提供すること。
【解決手段】各タブを、電極積層体の体積膨張時に張力が掛かる部位と、タブが集束する部位(外部との電気的接続部)と、に分けて、各タブのタブが集束する部位に掛かる張力を同等とする。具体的には、負極タブ同士及び/又は正極タブ同士の間に、タブ固定材を配置し、これにより負極タブ集束部及び/又は正極タブ集束部とタブ固定材との間の張力の上昇を抑制する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材と、前記包装材内に収容され、複数の正極及び複数の負極が電解質を介して積層された電極積層体と、を備える非水電解質電池であって、
前記非水電解質電池は、前記包装材から突出した、正極タブリード及び負極タブリードを有し、
前記正極からは正極タブが延出し、複数の前記正極タブは端部が集束して正極タブ集束部を形成し、前記正極タブ集束部は前記正極タブリードに連結しており、
前記負極からは負極タブが延出し、複数の前記負極タブは端部が集束して負極タブ集束部を形成し、前記負極タブ集束部は前記負極タブリードに連結しており、
隣接する前記負極タブ同士の間の少なくとも一つ及び/又は隣接する前記正極タブ同士の間の少なくとも一つに、タブを固定するためのタブ固定材が配置されている、非水電解質電池。
【請求項2】
前記タブ固定材は、前記電極積層体の面方向に複数並んで配置されている、請求項1に記載の非水電解質電池。
【請求項3】
前記タブ固定材は、前記電極積層体の積層方向の両端における、前記負極タブ同士の間及び/又は前記正極タブ同士の間に配置されている、請求項1に記載の非水電解質電池。
【請求項4】
前記タブ固定材は、隣接する前記負極タブ同士の間の全て及び/又は隣接する前記正極タブ同士の間の全てに配置されている、請求項1に記載の非水電解質電池。
【請求項5】
前記タブ固定材は、前記電極積層体の積層方向の両端における、前記負極タブと前記包装材との間の少なくとも一方及び/又は前記正極タブと前記包装材との間の少なくとも一方にさらに配置されている、請求項1に記載の非水電解質電池。
【請求項6】
前記タブ固定材は、絶縁体である、請求項1に記載の非水電解質電池。
【請求項7】
前記タブ固定材は、前記負極タブ及び/又は前記正極タブに摩擦固定されている、請求項1に記載の非水電解質電池。
【請求項8】
前記タブ固定材は、前記負極タブ及び/又は前記正極タブと対向して接触する面が曲面である、請求項1に記載の非水電解質電池。
【請求項9】
前記負極は、リチウム金属負極又はシリコン負極であり、
前記タブ固定材は、隣接する前記負極タブ同士の間の少なくとも一つに配置されている、請求項1に記載の非水電解質電池。
【請求項10】
前記非水電解質電池は、固体電池である、請求項1に記載の非水電解質電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの人々が手頃で信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池の研究開発が実施されている。
【0003】
二次電池は、例えば、複数の正極及び複数の負極が電解質を介して積層された電極積層体と、当該電極積層体を収容した包装材と、を備え、包装材から突出した正極タブリード及び負極タブリードを有する。正極タブリードには、複数の正極から延出した正極タブが集束されて接続されており、負極タブリードには、複数の負極から延出した負極タブが集束されて接続されている。
【0004】
ここで、正極タブリード及び負極タブリードは、電極積層体の積層方向の厚みに対してほぼ中央に配置されることが一般的である。このため、極板からタブリードまでのタブの長さは、各極板ごとで異なっている。
【0005】
図5は、一実施形態に係る従来の非水電解質電池の構成を示す断面図である。
図5に示される非水電解質電池10は、電極積層体11と、電極積層体11を収容している包装材12と、包装材12から突出した正極タブリード14と負極タブリード17とを有する。そして、正極タブリード14には、複数の正極から延出した正極タブ13が集束されて形成された正極タブ収束部13aが接続されており、負極タブリード17には、複数の負極から延出した負極タブ16が集束されて形成された負極タブ収束部16aが接続されている。
【0006】
図5に示される非水電解質電池10において、包装材12から突出する正極タブリード14と負極タブリード17とは、電極積層体11の積層方向の両端部に逆方向に突出するよう配置されている。そして、正極タブリード14には、複数の正極タブ13を介して複数の正極が接続され、負極タブリード17には、複数の負極タブ16を介して複数の負極が接続されている。
【0007】
ここで非水電解質電池は、充放電に伴って膨張収縮し、充電によりの電極積層体の厚みが増大する。そして、電極積層体の厚みが増大すると、非水電解質電池を構成するそれぞれのタブの張力が異なるものとなる。
【0008】
具体的には、積層体の最上面付近及び最下面付近から延出したタブは、電極積層体が体積膨張した場合に、中央部付近から延出されたタブと比較して大きな張力が掛かる。このため、積層体の最上面付近及び最下面付近から延出したタブは、破断(箔切れ)が起こるおそれがあった。特に、膨張量が大きい電池や固い電池の場合には、タブに掛かる張力が大きくなりやすい。また、タブの破断(箔切れ)が起こらずとも、タブ付近の電極板にダメージを付与し、非水電解質電池の短絡や性能低下につながる可能性があった。
【0009】
これに対して特許文献1では、リチウム金属を負極とする全固体電池の膨張量の不均一化を抑制することを目的として、各タブの「電極から集合部までの電気抵抗の最大値と最小値の差」を閾値以下とすることが提案されている。抵抗差を閾値以下とする方法としては、各タブを同一素材で形成し、かつ長さを揃えること等が記載されている。
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、タブの長さを揃えて電池の膨張量の不均一化を抑制するために、タブをたわんだ状態として、タブがたわむことにより、引っ張り方向の力によるタブの破断を抑制する。したがって、各タブの張力そのものを制御するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、充放電によって非水電解質電池を構成する電極積層体が膨張しても、タブの破断を抑制することのできる非水電解質電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討を重ねた。そして、電極積層体を構成する各極板から延出されるタブ線に掛かる張力に着目し、これを同等にすればタブ線の破断を抑制できると考えた。そして、各タブを、電極積層体の体積膨張時に張力が掛かる部位と、タブが集束する部位(外部との電気的接続部)と、に分ければ、電極積層体の体積膨張した場合であっても、各タブのタブが集束する部位に掛かる張力を同等に保つことができ、その結果、タブの破断を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1]
包装材と、前記包装材内に収容され、複数の正極及び複数の負極が電解質を介して積層された電極積層体と、を備える非水電解質電池であって、
前記非水電解質電池は、前記包装材から突出した、正極タブリード及び負極タブリードを有し、
前記正極からは正極タブが延出し、複数の前記正極タブは端部が集束して正極タブ集束部を形成し、前記正極タブ集束部は前記正極タブリードに連結しており、
前記負極からは負極タブが延出し、複数の前記負極タブは端部が集束して負極タブ集束部を形成し、前記負極タブ集束部は前記負極タブリードに連結しており、
隣接する前記負極タブ同士の間の少なくとも一つ及び/又は隣接する前記正極タブ同士の間の少なくとも一つに、タブを固定するためのタブ固定材が配置されている、非水電解質電池。
[2]
前記タブ固定材は、前記電極積層体の面方向に複数並んで配置されている、態様[1]に記載の非水電解質電池。
[3]
前記タブ固定材は、前記電極積層体の積層方向の両端における、前記負極タブ同士の間及び/又は前記正極タブ同士の間に配置されている、態様[1]に記載の非水電解質電池。
[4]
前記タブ固定材は、隣接する前記負極タブ同士の間の全て及び/又は隣接する前記正極タブ同士の間の全てに配置されている、態様[1]に記載の非水電解質電池。
[5]
前記タブ固定材は、前記電極積層体の積層方向の両端における、前記負極タブと前記包装材との間の少なくとも一方及び/又は前記正極タブと前記包装材との間の少なくとも一方にさらに配置されている、態様[1]に記載の非水電解質電池。
[6]
前記タブ固定材は、絶縁体である、態様[1]に記載の非水電解質電池。
[7]
前記タブ固定材は、前記負極タブ及び/又は前記正極タブに摩擦固定されている、態様[1]に記載の非水電解質電池。
[8]
前記タブ固定材は、前記負極タブ及び/又は前記正極タブと対向して接触する面が曲面である、態様[1]に記載の非水電解質電池。
[9]
前記負極は、リチウム金属負極又はシリコン負極であり、
前記タブ固定材は、隣接する前記負極タブ同士の間の少なくとも一つに配置されている、態様[1]に記載の非水電解質電池。
[10]
前記非水電解質電池は、固体電池である、態様[1]に記載の非水電解質電池。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、充放電によって非水電解質電池を構成する電極積層体が膨張しても、タブの破断を抑制することのできる非水電解質電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る非水電解質電池の負極タブリード側端部の断面図である。
【
図2】上記実施形態の変形例に係る非水電解質電池の負極タブリード側端部の断面図である。
【
図3】上記実施形態の変形例に係る非水電解質電池の負極タブリード側端部の断面図である。
【
図4】上記実施形態の変形例に係る非水電解質電池の負極タブリード側端部の断面図である。
【
図5】従来の非水電解質電池の構成を示す断面図である。
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<非水電解質電池>
本開示の非水電解質電池は、包装材と、包装材内に収容され、複数の正極及び複数の負極が電解質を介して積層された電極積層体と、を備える。本開示の非水電解質電池は、包装材から突出した、正極タブリード及び負極タブリードを有する。
【0019】
本開示の非水電解質電池は、正極からは正極タブが延出し、複数の正極タブは端部が集束して正極タブ集束部を形成し、正極タブ集束部は正極タブリードに連結している。負極からは負極タブが延出し、複数の負極タブは端部が集束して負極タブ集束部を形成し、負極タブ集束部は負極タブリードに連結している。
【0020】
そして、本開示の非水電解質電池は、隣接する、負極タブ同士の間の少なくとも一つ及び/又は正極タブ同士の間の少なくとも一つに、タブ固定材が配置される。負極タブ同士及び/又は正極タブ同士の間に、タブ固定材が配置されることにより、配置された負極タブ集束部及び/又は正極タブ集束部と、タブ固定材との間の張力の上昇を抑制することができ、その結果、各タブのタブが集束する部位に掛かる張力を同等に保つことができ、電極積層体の体積膨張時のタブの破断を抑制することができる。
【0021】
[非水電解質電池の種類]
本開示の非水電解質電池の種類は、特に限定されるものではない。本開示の非水電解質電池は、例えば、全固体リチウムイオン電池セル、全固体リチウム金属電池セル等の固体電池セル、リチウム金属電池セル等の非水電解液電池セルであってよい。これらの中では、固体電池セルが好ましい。
【0022】
[包装材]
本開示の非水電解質電池において、包装材は、非水電解質電池の分野において公知の包装材を適用することができる。このような包装材としては、例えば、金属や、金属層の表面に樹脂層が形成されたフィルムが挙げられる。金属層を構成する金属としては、例えば、アルミニウムが挙げられる。樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニリデンが挙げられる。
【0023】
[電極積層体]
本開示の非水電解質電池において、電極積層体は、複数の正極及び複数の負極が電解質を介して積層された積層体であり、包装材内に収容される。
【0024】
(正極)
本開示の非水電解質電池において、電極積層体を構成する正極は特に限定されるものではなく、非水電解質電池において公知の正極を用いることができる。例えば、本開示の非水電解質電池が全固体リチウム金属電池の場合には、正極は、正極集電体と正極合材層との積層構造となっており、正極合材層が電解質層と隣接するように配置される。
【0025】
本開示の非水電解質電池が全固体リチウム金属電池の場合には、正極集電体としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔が挙げられる。また、正極合材層は、正極活物質を必須の成分として含み、任意に、固体電解質、導電助剤、結着剤等を含んでいてもよい。
【0026】
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能であれば、特に限定されるものではない。正極活物質としては、例えば、LiCoO2、Li(Ni5/10Co2/10Mn3/10)O2、Li(Ni6/10Co2/10Mn2/10)O2、Li(Ni8/10Co1/10Mn1/10)O2、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O2、Li(Ni1/6Co4/6Mn1/6)O2、Li(Ni1/3Co1/3Mn1/3)O2、LiCoO4、LiMn2O4、LiNiO2、LiFePO4、硫化リチウム、硫黄が挙げられる。
【0027】
(負極)
本開示の非水電解質電池において、電極積層体を構成する負極は特に限定されるものではなく、非水電解質電池において公知の負極を用いることができる。例えば、本開示の非水電解質電池が全固体リチウム金属電池の場合には、負極は、リチウム金属層と負極集電体との積層構造となっており、リチウム金属層が電解質層と隣接するように配置される。あるいは、リチウム金属層と電解質層の間に、リチウムの溶解析出を均一化するための中間層が配置されてもよい。
【0028】
本開示の非水電解質電池が全固体リチウム金属電池の場合には、負極集電体としては、特に限定されるものではないが、例えば、銅箔が挙げられる。
【0029】
(電解質)
本開示の非水電解質電池において、電極積層体を構成する電解質は特に限定されるものではなく、非水電解質電池において公知の電解質を用いることができる。電解質としては、例えば、電解液、固体電解質が挙げられ、電解液を用いる場合には、電解液はセパレータに保持されて配置される。例えば、本開示の非水電解質電池が全固体リチウム金属電池の場合には、正極と負極との間に配置される電解質は、正極合材層とリチウム金属層との間に配置される。
【0030】
本開示の非水電解質電池が全固体リチウム金属電池の場合には、電解質は固体電解質層となる。固体電解質層を構成する固体電解質としては、リチウムイオンを伝導することが可能な材料であれば特に限定されるものではない。固体電解質としては、例えば、酸化物系電解質、硫化物系電解質が挙げられる。
【0031】
[正極タブリード、負極タブリード]
本開示の非水電解質電池は、包装材から、正極タブリード及び負極タブリード突出している。
【0032】
(正極タブリードと負極タブリードとの配置)
本開示の非水電解質電池において、包装材から突出する正極タブリードと負極タブリードとの突出方向は、特に限定されるものではない。正極タブリードと負極タブリードとの突出方向は、逆方向であっても、同方向であってもよいし、斜め方向であってもよい。本開示の非水電解質電池の使用環境や、複数の非水電解質電池から形成するモジュールの構成によって、適宜選択することができる。
【0033】
(正極タブリードと負極タブリードの個数)
本開示の非水電解質電池は、電極積層体を構成する全ての正極と負極にそれぞれ、正極タブリード及び負極タブリードが接続されている単一の電池であってもよいし、正極、電解質、及び負極を積層させた積層体単位が幾つかのサブスタックに分割され、各サブスタック毎に、正極タブリード及び負極タブリードが接続されている組電池であってもよい。本開示の非水電解質電池が、単一の電池である場合には、正極タブリードと負極タブリードの個数はそれぞれ1個ずつとなる。本開示の非水電解質電池が、組電池である場合には、正極タブリードと負極タブリードの個数はそれぞれ複数個ずつとなる。
【0034】
[タブ固定材]
本開示の非水電解質電池は、隣接する、負極タブ同士の間の少なくとも一つ及び/又は正極タブ同士の間の少なくとも一つに、タブ固定材が配置される。タブ固定材は、タブの動きを抑える機能を発揮するものであり、タブ固定材を中心にして、タブを、電極積層体の体積膨張時に張力が掛かる部位と、タブが集束する部位(タブリードとの接続部)と、に分けることができる。タブ固定材がタブの動きを抑えることにより、電極積層体が体積膨張しても、各タブのタブが集束する部位(タブリードとの接続部)が引っ張られて張力が上昇することを抑制することができるため、各タブの張力を同等に保つことができ、タブの破断を抑制することができる。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態に係る非水電解質電池1の負極タブリード4側の端部の断面図である。
図1に示される非水電解質電池1は、包装材2に電極積層体(図示せず)が収容された電池であり、隣接する全ての負極タブ3同士の間に、タブ固定材5が配置されている。非水電解質電池1において、タブ固定材5は、負極タブリード4に接続された、正極タブ集束部3aと、電極積層体(図示せず)との間に配置されている。
【0036】
(タブ固定材の形状)
図1に示される非水電解質電池1では、複数の個別の材であるタブ固定材5は、それぞれが略直方体形状となっているが、タブの動きを抑えることができる形状であれば、特に限定されるものではない。後述するようにタブ固定材は、タブと対向してタブと接触する面が曲面で構成されてもよい。また例えば、電極積層体の厚み方向の長さと同等の長さを有する1個の材であっても、隣接するタブ同士の間にそれぞれ配置する複数の個別の材であってもよい。1個の材とする場合には、例えば、複数の凹部を有するものとし、当該凹部を各タブが通過するようタブを配置し、電極積層体の厚み方向の上面及び下面の包装材にてタブ固定材を挟持することで、タブ固定材を包装材内に固定することができる。
【0037】
図1に示される非水電解質電池1において、タブ固定材5は、複数の個別の材であり、個々のタブ固定材5が、隣接する負極タブ同士の間に配置されている。
【0038】
(タブ固定材の配置場所)
タブ固定材の配置場所は、隣接する、負極タブ同士の間の少なくとも一つ及び/又は正極タブ同士の間の少なくとも一つであればよく、特に限定されるものではない。タブが集束する部位(タブリードとの接続部)に近い部分に配置することで、タブの長さを短くするとともに電池を小型化することができるため、得られる非水電解質電池のエネルギー密度に貢献することができる。
【0039】
一般に、非水電解質電池において、負極の膨張は正極よりも大きい。このため、タブ固定材は、少なくとも負極タブ同士の間に配置することで、本発明の効果をより享受することができる。
【0040】
また、隣接するタブ同士の間に複数個の個別のタブ固定材をそれぞれ配置する場合には、タブが集束する部位(タブリードとの接続部)からタブ固定材までの距離が一定になるように、タブ固定材を配置してもよい。タブが集束する部位(タブリードとの接続部)からタブ固定材までの距離が一定となるように、複数のタブ固定材が配置されていれば、電池をより小型化することができ、得られる電池のエネルギー密度に貢献することができる。
【0041】
(タブ固定材の材料)
タブ固定材の材料は、特に限定されるものではない。絶縁体であっても導電体であってもよいが、絶縁体であることが好ましい。タブ固定材が絶縁体で形成されている場合には、電極積層体の積層工程(タブ集束前の工程)において、異常時の積層間の還流を防止することができ、プロセス安全性を担保しやすくなる。
【0042】
(タブ固定材の配置方法)
負極タブ及び/又は正極タブへのタブ固定材の配置方法は、タブ固定材が配置できる方法であれば、特に限定されるものではない。負極タブ及び/又は正極タブへのタブ固定材の配置方法としては、例えば、タブへの溶着や溶接、又はタブへの摩擦固定が挙げられる。中でも、摩擦固定とすることが好ましく、摩擦固定であれば、タブ固定材の摩擦係数を制御することで、タブ集束時の荷重のみでタブ固定材をタブに固定することができる。
【0043】
なお、タブ固定材は、正極合材等を集電体に塗工する時に同時に配置してもよいし、その後の任意の工程において配置してもよい。
【0044】
(タブ固定材のタブとの接触面)
タブ固定材のタブとの接触面、すなわち電極積層体の積層方向と略垂直な面であってタブと対向する面の形状は、特に限定されるものではない。タブ固定材のタブとの接触面は、例えば、平面であっても曲面であっても、段差を有する階段状の面であってもよい。
【0045】
中でも、タブ固定材のタブとの接触面は、すなわちタブと対向してタブと接触する面は、曲面であることが好ましい。タブ固定材のタブと対向する面を曲面とすることで、タブとタブ固定材との接触面積が増加して摩擦力が上昇し、タブを固定する固定力を増加させることができる。
【0046】
タブ固定材のタブとの接触面が曲面である場合には、タブ固定材の形状全体に緩やかなカーブを有する場合であっても、タブ固定材の角を面取りしてRを持たせた形状であってもよい。タブ固定材の形状全体が緩やかなカーブを有する場合には、例えば、タブ固定材の断面形状が、楕円形状となるようにしてもよい。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨の範囲内で、上記の実施形態を適宜変更してもよい。
【0048】
例えば
図2~
図4は、上記実施形態の変形例に係る非水電解質電池の負極タブリード側端部の断面図である。
図2に示す変形例では、タブ固定材5としてタブ固定材5a,5bが、電極積層体11の面方向に複数並んで配置されている。このように、タブ同士の間の少なくとも一つに、タブ固定材が電極積層体の面方向に複数並んで配置される構成としてもよい。
【0049】
また
図3に示す変形例では、タブ固定材5は、電極積層体11の積層方向の両端における負極タブ3同士の間に配置されている。このように、電極積層体の積層方向の両端における負極タブ同士の間及び/又は正極タブ同士の間に配置される構成としてもよい。
【0050】
また
図4に示す変形例では、タブ固定材5は、全ての負極タブ3同士の間に加えて、電極積層体11の積層方向の両端における負極タブ3と包装材2との間にも配置されている。このように、電極積層体の積層方向の両端における、負極タブと包装材との間の少なくとも一方及び/又は正極タブと包装材との間の少なくとも一方に、タブ固定材がさらに配置される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1、10 非水電解質電池
2、12 包装材
3、13 負極タブ
3a、13a 負極タブ集束部
4、14 負極タブリード
5 タブ固定材
11 電極積層体
16 正極タブ
16a 正極タブ集束部
17 正極タブリード