(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025104975
(43)【公開日】2025-07-10
(54)【発明の名称】コネクタ装置およびプラグコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/642 20060101AFI20250703BHJP
H01R 12/79 20110101ALI20250703BHJP
【FI】
H01R13/642
H01R12/79
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223199
(22)【出願日】2023-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宝
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB02
5E021FB08
5E021FC32
5E021FC38
5E021JA05
5E021KA05
5E021KA15
5E223AB33
5E223AC21
5E223AC23
5E223AC27
5E223BA01
5E223BA04
5E223BA07
5E223BA08
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB25
5E223CB27
5E223CB82
5E223CB84
5E223CC15
5E223CD01
5E223CD02
5E223DA05
5E223DB09
5E223DB11
5E223DB25
5E223DB33
5E223DB36
5E223EA03
5E223EC07
(57)【要約】
【課題】キーコード構造を有する構成とした場合であってもプラグハウジング上に吸着領域を確保することが可能なコネクタ装置およびプラグコネクタを得る。
【解決手段】コネクタ装置C1は、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2とを備えている。ここで、プラグコネクタ1が備えるプラグハウジング10の上面10aには、平坦面16が形成されており、この平坦面16には上方に突出するコード突起17が形成されている。このとき、コード突起17の前端面171と平坦面16の前端161との間の第1間隔D1の長さL1が、コード突起17の後端面172と平坦面16の後端162との間の第2間隔D2の長さL2と異なるようにしている。そして、平坦面16における第1間隔D1および第2間隔D2のうちの長さが長い方の領域に、内側端163と外側端164との間の全体に亘って平坦となる吸着領域R1が形成されている。
【選択図】
図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグコネクタと、
前記プラグコネクタに対して前後軸に沿って相対移動させることで前記プラグコネクタが嵌合することが可能なレセプタクルコネクタと、
を備え、
前記プラグコネクタは、
上下軸の上方と下方にそれぞれ位置する上面と下面とを有するプラグハウジングと、
前記プラグハウジングの内部空間に、一部を前記前後軸の後方から表出した状態で収容されるプラグ端子と、
前記プラグコネクタと前記レセプタクルコネクタとが嵌合した状態で、前記プラグコネクタの前記レセプタクルコネクタに対する前記前後軸に沿った相対移動を規制することが可能なロック部と、
を備え、
前記レセプタクルコネクタは、
前記プラグハウジングを収容することが可能な相手側内部空間を有するレセプタクルハウジングと、
前記プラグ端子と電気的に接続することが可能なレセプタクル端子と、
前記ロック部に係合する被ロック部と、
を備え、
前記プラグハウジングは、
前記上面に形成された平坦面と、
前記平坦面から上方に突出するコード突起と、
前記平坦面と左右軸において隣接し、前記ロック部が形成されたロック領域と、
を備え、
前記レセプタクルハウジングは、前記相手側内部空間の上側内面に形成されて前記コード突起を収容することが可能なコード凹部を備え、
前記平坦面は、前方の最端に位置する前端と、前記前端よりも後側に位置する後端と、前記左右軸において前記ロック領域側に位置する内側端と、前記内側端よりも前記左右軸の外側に位置する外側端と、を周囲に有し、
前記コード突起は、前方に位置する前端面と、後方に位置する後端面と、を有し、
前記コード突起の前記前端面と前記平坦面の前記前端との間の第1間隔の長さと前記コード突起の前記後端面と前記平坦面の前記後端との間の第2間隔の長さとが異なっており、
前記平坦面における前記第1間隔および前記第2間隔のうちの長さが長い方の領域に、前記内側端と前記外側端との間の全体に亘って平坦となる吸着領域が形成されている、
コネクタ装置。
【請求項2】
前記第1間隔の長さが前記第2間隔の長さよりも短い、
請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記吸着領域は、前記ロック領域に対して前記左右軸の一方側に形成された第1吸着領域と、前記ロック領域に対して前記左右軸の他方側に形成された第2吸着領域と、を有し、
前記プラグコネクタの重心は、平面視において前記第1吸着領域と前記第2吸着領域の間に位置する、
請求項1または請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記第1間隔の長さがゼロよりも大きい、
請求項1または請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記コード突起は、前記平坦面の前記内側端または前記外側端と繋がるように形成されており、
前記平坦面には、前記吸着領域と連設し、前記コード突起と前記外側端との間または前記コード突起と前記内側端との間の全体に亘って平坦となる横領域が形成されている、
請求項1または請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記プラグ端子は、前記プラグハウジングの下方において被接続部材に接続可能な実装部を有し、
前記プラグハウジングは、前記プラグコネクタの下端において被接続部材が配置される収容凹部を有する、
請求項1または請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記ロック領域は、前記プラグコネクタに前記前後軸に沿ってスライドできるように保持されて前記プラグコネクタと前記レセプタクルコネクタとの嵌合の完了を確認することが可能なスライド部材が挿入される挿入空間を有する、
請求項1または請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載のコネクタ装置で用いられるプラグコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ装置およびプラグコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタ装置として、以下の特許文献1に示すように、プラグハウジングを有するプラグコネクタと、プラグハウジングを嵌合させることが可能なレセプタクルハウジングを有するレセプタクルコネクタと、を備えるものが知られている。
【0003】
この特許文献1では、プラグハウジングの天壁にガイド凹部が設けられており、レセプタクルハウジングの天壁内側にガイド突部が設けられている。そして、ガイド突部をガイド凹部に挿入ガイドさせながらプラグハウジングをレセプタクルハウジングに挿入嵌合させることで、プラグコネクタがレセプタクルコネクタに嵌合されるようにしている。
【0004】
このようなガイド突部およびガイド凹部は、互いに対応するプラグコネクタとレセプタクルコネクタとを嵌合させることはできるが、対応していないプラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させることはできないようにするためのキーコード構造としての機能も有している。したがって、この特許文献1には、キーコード構造を有するコネクタ装置が開示されていることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、上記の特許文献1では、プラグハウジングにはプラグ端子が保持されており、プラグハウジングに保持されたプラグ端子をケーブルなどの被接続部材の導体に電気的に接続させることで、プラグコネクタが被接続部材上に実装されるようにしている。
【0007】
このように、プラグコネクタを被接続部材上に実装する際には、ロボットアームなどの実装設備によってプラグコネクタを吸着して被接続部材上に移動させる場合がある。
【0008】
そして、キーコード構造を有するプラグコネクタとした場合であっても、プラグハウジング上に吸着領域を確保できるようにするのが好ましい。
【0009】
そこで、本開示は、キーコード構造を有する構成とした場合であってもプラグハウジング上に吸着領域を確保することが可能なコネクタ装置およびプラグコネクタを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様にかかるコネクタ装置は、プラグコネクタと、前記プラグコネクタに対して前後軸に沿って相対移動させることで前記プラグコネクタが嵌合することが可能なレセプタクルコネクタと、を備え、前記プラグコネクタは、上下軸の上方と下方にそれぞれ位置する上面と下面とを有するプラグハウジングと、前記プラグハウジングの内部空間に、一部を前記前後軸の後方から表出した状態で収容されるプラグ端子と、前記プラグコネクタと前記レセプタクルコネクタとが嵌合した状態で、前記プラグコネクタの前記レセプタクルコネクタに対する前記前後軸に沿った相対移動を規制することが可能なロック部と、を備え、前記レセプタクルコネクタは、前記プラグハウジングを収容することが可能な相手側内部空間を有するレセプタクルハウジングと、前記プラグ端子と電気的に接続することが可能なレセプタクル端子と、前記ロック部に係合する被ロック部と、を備え、前記プラグハウジングは、前記上面に形成された平坦面と、前記平坦面から上方に突出するコード突起と、前記平坦面と左右軸において隣接し、前記ロック部が形成されたロック領域と、を備え、前記レセプタクルハウジングは、前記相手側内部空間の上側内面に形成されて前記コード突起を収容することが可能なコード凹部を備え、前記平坦面は、前方の最端に位置する前端と、前記前端よりも後側に位置する後端と、前記左右軸において前記ロック領域側に位置する内側端と、前記内側端よりも前記左右軸の外側に位置する外側端と、を周囲に有し、前記コード突起は、前方に位置する前端面と、後方に位置する後端面と、を有し、前記コード突起の前記前端面と前記平坦面の前記前端との間の第1間隔の長さと前記コード突起の前記後端面と前記平坦面の前記後端との間の第2間隔の長さとが異なっており、前記平坦面における前記第1間隔および前記第2間隔のうちの長さが長い方の領域に、前記内側端と前記外側端との間の全体に亘って平坦となる吸着領域が形成されている。
【0011】
本開示の一態様にかかるプラグコネクタは、上記コネクタ装置で用いられるものである。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、キーコード構造を有する構成とした場合であってもプラグハウジング上に吸着領域を確保することが可能なコネクタ装置およびプラグコネクタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】コネクタ装置の第1例を示す図であって、ケーブルに実装されたプラグコネクタと、回路基板に実装されたレセプタクルコネクタと、に分解して示す斜視図である。
【
図2】コネクタ装置の第1例を示す図であって、ケーブルに実装されたプラグコネクタと回路基板に実装されたレセプタクルコネクタとを嵌合させた状態を示す斜視図である。
【
図3】コネクタ装置のプラグ端子とレセプタクル端子とを示す図であって、(a)は、下側プラグ端子と下側レセプタクル端子とが接触する前の状態を示す斜視図、(b)は、下側プラグ端子と下側レセプタクル端子との接触状態を示す平面図である。
【
図4】コネクタ装置のプラグ端子とレセプタクル端子とを示す図であって、(a)は、上側プラグ端子と上側レセプタクル端子とが接触する前の状態を示す斜視図、(b)は、上側プラグ端子と上側レセプタクル端子との接触状態を示す平面図である。
【
図5】コネクタ装置が備えるプラグコネクタをケーブルに実装する前の状態を示す斜視図である。
【
図6】コネクタ装置が備えるプラグコネクタをケーブルに実装する様子を説明する図であって、(a)は、実装前の状態を裏側から視た斜視図、(b)は、実装後の状態を裏側から視た斜視図である。
【
図7】コネクタ装置が備えるプラグコネクタをケーブルに実装させた状態を示す平面図である。
【
図8】コネクタ装置が備えるプラグコネクタをケーブルに実装させた状態を示す裏面図である。
【
図9】コネクタ装置が備えるプラグコネクタを分解して示す斜視図である。
【
図10】プラグコネクタが備えるプラグハウジングを示す図であって、(a)は、平面図、(b)は、裏面図である。
【
図11】プラグコネクタが備えるプラグハウジングを示す図であって、(a)は、正面図、(b)は、背面図、(c)は、側面図、(d)は、側断面図である。
【
図12】プラグコネクタが備える下側プラグ端子を示す図であって、(a)は、斜視図、(b)は、平面図、(c)は、側面図、(d)は、裏面図、(e)は、正面図、(f)は、背面図である。
【
図13】プラグコネクタが備える上側プラグ端子を示す図であって、(a)は、斜視図、(b)は、平面図、(c)は、側面図、(d)は、裏面図、(e)は、正面図、(f)は、背面図である。
【
図14】コネクタ装置が備えるレセプタクルコネクタが回路基板に実装される前の状態を示す斜視図である。
【
図15】コネクタ装置が備えるレセプタクルコネクタを分解して示す斜視図である。
【
図16】レセプタクルコネクタが備えるレセプタクルハウジングを示す図であって、(a)は、平面図、(b)は、裏面図である。
【
図17】レセプタクルコネクタが備えるレセプタクルハウジングを示す図であって、(a)は、正面図、(b)は、背面図、(c)は、側面図、(d)は、側断面図である。
【
図18】レセプタクルコネクタが備える下側レセプタクル端子を示す図であって、(a)は、斜視図、(b)は、平面図、(c)は、側面図、(d)は、裏面図、(e)は、正面図、(f)は、背面図である。
【
図19】レセプタクルコネクタが備える上側レセプタクル端子を示す図であって、(a)は、斜視図、(b)は、平面図、(c)は、側面図、(d)は、裏面図、(e)は、正面図、(f)は、背面図である。
【
図20】第1例として示したコネクタ装置を分解して示す図であって、ケーブルに実装されたプラグコネクタと、回路基板に実装される前の状態のレセプタクルコネクタと、を互いに嵌合する側から見た斜視図である。
【
図21】第1例として示したコネクタ装置が備えるプラグコネクタを示す平面図である。
【
図22】第1例として示したコネクタ装置が備えるプラグコネクタのコード突起の周囲を拡大して示す平面図である。
【
図23】コネクタ装置の第2例を示す図であって、ケーブルに実装されたプラグコネクタと、回路基板に実装されたレセプタクルコネクタと、に分解して示す斜視図である。
【
図24】コネクタ装置の第2例を示す図であって、ケーブルに実装されたプラグコネクタと回路基板に実装されたレセプタクルコネクタとを嵌合させた状態を示す斜視図である。
【
図25】第2例として示したコネクタ装置を分解して示す図であって、ケーブルに実装されたプラグコネクタと、回路基板に実装される前の状態のレセプタクルコネクタと、を互いに嵌合する側から見た斜視図である。
【
図26】第2例として示したコネクタ装置が備えるプラグコネクタを示す平面図である。
【
図27】第2例として示したコネクタ装置が備えるプラグコネクタのコード突起の周囲を拡大して示す平面図である。
【
図28】コネクタ装置の第3例を示す図であって、ケーブルに実装されたプラグコネクタと、回路基板に実装されたレセプタクルコネクタと、に分解して示す斜視図である。
【
図29】コネクタ装置の第3例を示す図であって、ケーブルに実装されたプラグコネクタと回路基板に実装されたレセプタクルコネクタとを嵌合させた状態を示す斜視図である。
【
図30】第3例として示したコネクタ装置を分解して示す図であって、ケーブルに実装されたプラグコネクタと、回路基板に実装される前の状態のレセプタクルコネクタと、を互いに嵌合する側から見た斜視図である。
【
図31】第3例として示したコネクタ装置が備えるプラグコネクタを示す平面図である。
【
図32】第3例として示したコネクタ装置が備えるプラグコネクタのコード突起の周囲を拡大して示す平面図である。
【
図33】コネクタ装置の基板への実装構造の一例を示す平面図である。
【
図34】対応していないプラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させた際の状況を説明するための図である。
【
図35】コネクタ装置の第1例の変形例を示す図であって、ケーブルに実装されたプラグコネクタと、回路基板に実装されたレセプタクルコネクタと、に分解して示す斜視図である。
【
図36】コネクタ装置の第1例の変形例を示す図であって、ケーブルに実装されたプラグコネクタと回路基板に実装されたレセプタクルコネクタとを嵌合させた状態を示す斜視図である。
【
図37】第1例の変形例として示したコネクタ装置を分解して示す図であって、ケーブルに実装されたプラグコネクタと、回路基板に実装される前の状態のレセプタクルコネクタと、を互いに嵌合する側から見た斜視図である。
【
図38】第1例の変形例として示したコネクタ装置が備えるプラグコネクタを示す平面図である。
【
図39】第1例の変形例として示したコネクタ装置が備えるプラグコネクタのコード突起の周囲を拡大して示す平面図である。
【
図40】第1例として示したコネクタ装置が備えるプラグコネクタにCPA機能を持たせた状態を分解して示す斜視図である。
【
図41】CPA機能を持たせたコネクタ装置が備えるスライド部材を示す図であって、(a)は、一方側から視た斜視図、(b)は、他方側から視た斜視図である。
【
図42】CPA機能を持たせたコネクタ装置が備えるスライド部材を示す図であって、(a)は、側面図、(b)は、平面図、(c)は、裏面図、(d)は、正面図、(e)は、背面図である。
【
図43】CPA機能を持たせたコネクタ装置が備えるプラグコネクタとレセプタクルコネクタとをスライド部材でロックする様子を説明する図であって、スライド部材が仮保持されたプラグコネクタがレセプタクルコネクタに嵌合する前の状態を示す斜視図である。
【
図44】CPA機能を持たせたコネクタ装置が備えるプラグコネクタとレセプタクルコネクタとをスライド部材でロックする様子を説明する図であって、スライド部材が仮保持されたプラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させた状態を示す斜視図である。
【
図45】CPA機能を持たせたコネクタ装置が備えるプラグコネクタとレセプタクルコネクタとをスライド部材でロックする様子を説明する図であって、プラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させつつスライド部材でロックした状態を示す斜視図である。
【
図46】CPA機能を持たせたコネクタ装置が備えるプラグコネクタにスライド部材が仮保持される状態を示す水平断面図である。
【
図47】CPA機能を持たせたコネクタ装置が備えるプラグコネクタとレセプタクルコネクタとをスライド部材でロックする様子を説明する図であって、スライド部材が仮保持されたプラグコネクタがレセプタクルコネクタに嵌合する前の状態を示す側断面図である。
【
図48】CPA機能を持たせたコネクタ装置が備えるプラグコネクタとレセプタクルコネクタとをスライド部材でロックする様子を説明する図であって、スライド部材が仮保持されたプラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させた状態を示す側断面図である。
【
図49】CPA機能を持たせたコネクタ装置が備えるプラグコネクタとレセプタクルコネクタとをスライド部材でロックする様子を説明する図であって、プラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させつつスライド部材でロックした状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0015】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0016】
以下では、コネクタとして可撓性を有するシート状のケーブル(被接続部材)1Aに実装されるプラグコネクタ1を例示する。また、プラグコネクタ1が嵌合する相手側のコネクタとして剛性を有するシート状の回路基板(相手側の被接続部材)2Aに実装されるレセプタクルコネクタ2を例示する。
【0017】
また、シート状のケーブル(被接続部材)1Aの上方にプラグハウジング10が配置されるようにした状態で、プラグコネクタ1の上下軸、前後軸および左右軸(幅軸)を規定する。この上下軸、前後軸および左右軸は、各構成を説明するために便宜的に規定したものに過ぎず、プラグコネクタ1の実際の配置状態を規定するものではない。なお、本実施形態では、各コネクタのハウジング内への端子の挿入方向が前後軸に一致しており、被接続部材に実装した状態において実装面を含む平面と直交する方向(実装面を含む平面の法線方向)がコネクタの上下軸に一致している。このとき、各コネクタのハウジングに収容された端子が並設される方向が左右軸となっている。
【0018】
また、本実施形態では、3次元直交座標におけるZ軸に沿って延在する軸が上下軸となっており、X軸に沿って延在する軸が前後軸となっており、Y軸に沿って延在する軸が左右軸となっている。すなわち、上下軸(Z軸に沿って延在する方向)と直交する軸が前後軸(X軸に沿って延在する方向)となっており、上下軸(Z軸に沿って延在する方向)および前後軸(X軸に沿って延在する方向)と直交する軸が左右軸(Y軸に沿って延在する方向)となっている。
【0019】
さらに、コネクタ同士を嵌合させる際に互いに相手側のコネクタと対向する側を前後軸上の前方と規定する。
【0020】
なお、以下に示す複数種類のコネクタ装置には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0021】
[コネクタ装置の構成例]
本実施形態にかかるプラグコネクタ(コネクタ)1は、
図1および
図2に示すコネクタ装置(コネクタセット)C1などで用いられるものである。
【0022】
コネクタ装置C1は、
図1および
図2に示すように、上述したプラグコネクタ1と、プラグコネクタ1が嵌合するレセプタクルコネクタ2と、を備えている。
【0023】
本実施形態では、プラグコネクタ1は、FPCやFFC等のケーブル(被接続部材)1Aに実装可能に形成されている。具体的には、プラグコネクタ1が備えるプラグ端子(端子)13,14の第1,第2実装片(実装部:接続部)132,142をケーブル1Aの導体露出部151bAに電気的に接続する(実装する)ことで、プラグコネクタ1がケーブル1Aに実装されるようになっている。
【0024】
一方、レセプタクルコネクタ2は、回路基板(相手側の被接続部材)2Aに実装可能に形成されている。具体的には、レセプタクルコネクタ2が備えるレセプタクル端子(相手側の端子)23,24の第1,第2実装片(相手側の実装部:相手側の接続部)232,242を回路基板2Aの導体部2bAに電気的に接続する(実装する)ことで、レセプタクルコネクタ2が回路基板2Aに実装されるようになっている。
【0025】
そして、プラグ端子13,14をプラグハウジング10に保持するとともに、第1,第2実装片132,142をケーブル1Aに実装したプラグコネクタ1を、レセプタクルコネクタ(相手側のコネクタ)2に嵌合させている。こうすることで、プラグ端子13,14が、レセプタクルコネクタ2が備えるレセプタクル端子(相手側の端子)23,24と電気的に接続されるようになっている。
【0026】
このように、コネクタ装置C1は、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させて、プラグ端子13,14とレセプタクル端子23,24とを導通接続させることで、ケーブル1Aと回路基板2Aとを電気的に接続させるものである(
図2~
図4参照)。
【0027】
[ケーブル1Aの構成例]
次に、プラグコネクタ1が実装されるケーブル1Aの構成の一例について、
図5~
図8に基づき説明する。
【0028】
ケーブル1Aは、表面(前面:一面)1aAおよび裏面(後面:他面)1bAを持つシート状(平板状)をしており、表面1aAが、プラグコネクタ1が実装される実装面となっている。さらに、ケーブル1Aは可撓性を有しており、ケーブル1Aをケーブル厚さ方向に曲げる(湾曲させる)ことができるようになっている。
【0029】
このケーブル1Aは、プラグコネクタ1との連結に使用される連結領域11Aと、他の回路との配線のために導体部15bAが延伸する延伸領域12Aと、を備えている。
【0030】
本実施形態では、ケーブル1Aは、延伸領域12Aの一端側に連結領域11Aが位置するように形成されている。そして、連結領域11Aを連結したプラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させた状態において、延伸領域12Aがレセプタクルコネクタ2の反対側に位置するようになっている。
【0031】
また、ケーブル1Aは、多層構造をしており、基材15aAと、基材15aA上に積層される導体部15bAと、導体部15bAを覆うように基材15aA上に積層される被覆部15cAと、を備えている。基材15aAおよび被覆部15cAは絶縁体膜からなり、導体部15bAを被覆するものである。一方、導体部15bAは、被覆部15cAを構成する絶縁体膜上に印刷された導体膜であり、後述する複数のプラグ端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)にそれぞれ対応する複数の配線パターンとなっている。
【0032】
また、連結領域11Aの上面には、被覆部15cAから露出された導体部15bAである導体露出部151bAが複数形成されている。複数の導体露出部151bAは、前後軸に2列形成されており、各列の導体露出部151bAが左右軸(Y軸の延在方向)に所定のピッチで並ぶように形成されている。さらに、本実施形態では、複数の導体露出部151bAは、平面視(実装面1aAの法線方向に沿って視た状態)で千鳥状となるように形成されている。
【0033】
このような構造は、例えば、基材15aA上に複数の導体膜を印刷することで導体部15bAを形成し、この導体部15bA上を被覆部15cAで覆うことで形成することができる。このとき、導体部15bAの先端が覆われないように被覆部15cAに貫通孔151cAを設けるようにすれば、導体部15bAの先端が一側(上下軸の上方)に露出したケーブル1Aが形成される。
【0034】
なお、ケーブル1Aの形成方法は上記の方法に限られるものではなく、様々な方法で形成することができる。
【0035】
また、連結領域11Aの上面には、プラグコネクタ1の後述する保持金具15が固定される固定部15dAが形成されている。本実施形態では、左右軸(Y軸の延在方向)に並設された複数の導体露出部151bAよりも左右軸(Y軸の延在方向)の外側かつ前後軸(X軸の延在方向)の前側に、一対の固定部15dAが形成されている。この固定部15dAは、例えば、導体部15bAの印刷工程において導体部15bAと同様に形成することができる。
【0036】
また、本実施形態では、ケーブル1Aの連結領域11Aには、左右軸(Y軸の延在方向)に細長く、前方に開口するスリット11aAが形成されている。
【0037】
さらに、本実施形態では、ケーブル1Aが補強板(連結板)14Aを備えている。この補強板14Aは、ガラスエポキシ樹脂やステンレス等を用いて形成されており、ケーブル1Aの連結領域11Aをプラグコネクタ1との間に挟み込むことにより、ケーブル1Aの連結領域11Aを補強するものである。
【0038】
本実施形態では、補強板14Aは、ケーブル1Aの連結領域11Aの形状に対応した形状をしている。すなわち、補強板14Aは、平面視(実装面1aAの法線方向に沿って視た状態)における輪郭形状が、連結領域11Aの輪郭形状と略同一の形状をしている。したがって、補強板14Aには、左右軸(Y軸の延在方向)に細長く、前方に開口するスリット14aAが形成されている。そして、この補強板14Aは、接着剤等により連結領域11Aの裏面側に取り付けられている。
【0039】
このとき、平面視(実装面1aAの法線方向に沿って視た状態)で、導体露出部151bAの全体が補強板14Aと重なり合うようにするのが好ましい。こうすれば、導体露出部151bAの全体が補強板14Aにより支持されるため、導体露出部151bAが上下軸(Z軸の延在方向)に折れ曲がったり、左右軸(Y軸の延在方向)に撓んだりしてしまうのを抑制することができる。
【0040】
[プラグコネクタ1の構成例]
次に、プラグコネクタ1の構成の一例について、
図9~
図13に基づき説明する。
【0041】
プラグコネクタ(コネクタ)1は、
図9に示すように、プラグハウジング(ハウジング)10と、プラグハウジング10に保持されるプラグ端子(端子:下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)と、を備えている。また、プラグコネクタ(コネクタ)1は、プラグハウジング10に保持される保持金具15を備えている。
【0042】
そして、プラグハウジング10に保持されたプラグ端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)が、プラグハウジング10の外側に配置されたケーブル1Aの導体露出部151bAに実装されるようにしている。こうすることで、プラグコネクタ1が被接続部材としてのケーブル1Aに実装されるようにしている。なお、プラグ端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)は、半田付け等により導体露出部151bAに実装されている。また、保持金具15は、プラグハウジング10に保持された状態で、半田付け等によりケーブル1Aの固定部15dAに固定されることで、プラグハウジング10をケーブル1Aに固定するためのものである。
【0043】
プラグハウジング10は、剛性を有するハウジング本体11を備えており、このプラグハウジング10は、例えば、絶縁性の樹脂材料を用いて形成することができる。
【0044】
また、ハウジング本体11には、プラグハウジング10とレセプタクルコネクタ2のレセプタクルハウジング20とを嵌合状態で保持したり、嵌合状態を解除したりするロック部12が形成されている。すなわち、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2とが嵌合した状態で、プラグコネクタ1のレセプタクルコネクタ2に対する前後軸に沿った相対移動を規制することが可能なロック部12がハウジング本体11に形成されている。
【0045】
このように、本実施形態では、プラグハウジング10は、ハウジング本体11と、ハウジング本体11に形成されたロック部12と、を備えている。したがって、プラグコネクタ1が、ハウジング本体11を有するプラグハウジング10と、ハウジング本体11に形成されたロック部12と、を備えることになる。
【0046】
ハウジング本体11は、天壁111と、底壁112と、天壁111および底壁112の左右軸(Y軸の延在方向)の両端をそれぞれ連設する一対の側壁113と、天壁111、底壁112および側壁113,113の前端に連設された前壁114と、を備えている。
【0047】
また、ハウジング本体11は、一対の側壁113および前壁114に連設されて、天壁111、底壁112、側壁113,113、および前壁114で画成された空間を上下に仕切る仕切り壁115を備えている。
【0048】
さらに、ハウジング本体11は、天壁111、仕切り壁115、および前壁114に連設された上側隔壁116を複数備えており、この上側隔壁116によって、仕切り壁115で仕切られた上側の空間が複数の空間に仕切られている。また、ハウジング本体11は、底壁112、仕切り壁115および前壁114に連設された下側隔壁117を複数備えており、この下側隔壁117によって、仕切り壁115で仕切られた下側の空間が複数の空間に仕切られている。
【0049】
そして、このハウジング本体11の上部における左右軸の中央部にロック部12が形成されている。
【0050】
具体的には、天壁111の左右軸の内側には、前後軸に延在し、上方に突出する一対の内側ガイド突起1111が、左右軸に離間した状態で形成されている。この内側ガイド突起1111は、レセプタクルハウジング20の後述する内側ガイド溝211aに挿入されるものである。
【0051】
また、天壁111の左右軸の両端には、前後軸に延在し、上方に突出する一対の外側ガイド突起1112が形成されている。この外側ガイド突起1112は、レセプタクルハウジング20の後述する外側ガイド溝211bに挿入されるものである。
【0052】
さらに、天壁111には、左右軸に延在し、上方に突出する後側突壁1113が、内側ガイド突起1111の後端と外側ガイド突起1112の後端とを連設するように形成されている。本実施形態では、後側突壁1113は一対形成されており、一方の後側突壁1113が、左右軸の一方側に位置する内側ガイド突起1111の後端と外側ガイド突起1112の後端とを連設しており、他方の後側突壁1113が、左右軸の他方側に位置する内側ガイド突起1111の後端と外側ガイド突起1112の後端とを連設している。
【0053】
なお、本実施形態では、内側ガイド突起1111、外側ガイド突起1112および後側突壁1113は、突出量が略同一(高さ位置が略同一)となるように形成されている。
【0054】
このように、本実施形態では、一対の内側ガイド突起1111、一対の外側ガイド突起1112および一対の後側突壁1113を天壁111に形成することで、天壁111の上方における左右軸の中央部に、一対の内側ガイド突起1111および一対の後側突壁1113によって画成される凹部11aが形成されるようにしている。
【0055】
そして、このハウジング本体11の左右軸の中央部に形成された凹部11aにロック部12が形成されている。したがって、本実施形態では、この凹部11aが、ロック部12が形成されたロック領域となっている。
【0056】
ロック部12は、天壁111の前端に連設されて後方に延在するレバー部121を備えている。このレバー部121は、後側が天壁111(ハウジング本体11)に対して上下軸に相対移動できるようになっている。そして、レバー部121の後端には、レバー部121を操作する操作部121aが形成されており、レバー部121の前後軸の中央部には、レセプタクルコネクタ2に形成された係合凹部(係合部)221aに係合する係合突部121bが形成されている。
【0057】
本実施形態では、プラグハウジング10とレセプタクルコネクタ2のレセプタクルハウジング20とを嵌合させた際に、係合突部121bが係合凹部221aに係合して、各コネクタのハウジング同士をロック(嵌合状態で維持)できるようにしている。そして、レバー部121の操作部121aを押し下げて、レバー部121を下方に移動させることで、係合突部121bも下方に移動し、係合凹部221aとの係合が解除されて、各コネクタのハウジング同士の嵌合を解除できるようにしている。
【0058】
さらに、凹部11aにおけるレバー部121の左右軸の両側には、後述するスライド部材3が挿入される挿入空間S6が形成されている。また、凹部11aにおけるレバー部121の下方(レバー部121と天壁111との間)には、レバー部121の下方への撓み(ハウジング本体11に対する相対移動)が許容される撓み許容空間S7が形成されている。
【0059】
なお、挿入空間S6は、凹部11aを画成する内側ガイド突起1111に、左右軸の内側(凹部11a側)に突出するように形成された突出壁1111aによって、スライド部材3の下側アーム部32が挿入される空間と、上側アーム部33が挿入される空間とに区画されている。
【0060】
また、凹部11aを画成する内側ガイド突起1111の突出壁1111aよりも下側の前後方向の中央部には、段差部1111bが形成されており、下側アーム部32が挿入される空間は、平面視で、前側が幅広となるように形成されている。そして、下側アーム部32の先端(前端)に左右軸の外側に突出するように形成された係止突部32aをこの段差部1111bに係止させることで、スライド部材3のハウジング本体11からの抜けが抑制されるようにしている。
【0061】
そして、天壁111の後部には、平面視で略L字状をした規制突部(スライド規制部)1114が形成されている。この規制突部1114は、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への嵌合が完了していない状態のときに、スライド部材3が初期位置からスライド完了位置へとスライドしてしまうことを規制するものである。本実施形態では、規制突部1114は、一対の後側突壁1113のそれぞれの左右軸の内側の端部から上方に延在するように延設されている。
【0062】
また、本実施形態では、前壁114には、仕切り壁115、上側隔壁116および下側隔壁117により仕切られた複数の空間と連通するように貫通孔114aが形成されている。このように、本実施形態では、ハウジング本体11には、前後軸に貫通する複数の空間が形成されている。そして、前後軸に貫通する空間内に、プラグ端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)がそれぞれ圧入(挿入)されるようになっている。
【0063】
さらに、本実施形態では、ハウジング本体11に、左右軸(Y軸の延在方向)に複数並設された空間が上下軸(Z軸の延在方向)に2段形成されるようにしている。そして、ハウジング本体11を前後軸の後方から視たときに、複数の空間が千鳥状に形成されるようにしている。こうすることで、プラグコネクタ1の左右軸の小型化を図っている。
【0064】
具体的には、ハウジング本体11の下側(実装面1aA側)に、底壁112、仕切り壁115および下側隔壁117によって画成された空間を、左右軸(Y軸の延在方向)に複数並設させている。そして、このハウジング本体11の下側(実装面1aA側)に形成された空間が、下側プラグ端子13が圧入(挿入)される第1空間(下側空間:内部空間)S1となっている。
【0065】
一方、ハウジング本体11の上側(第1空間S1よりも実装面1aAから離れた位置)には、天壁111、仕切り壁115および上側隔壁116によって画成された空間を、左右軸(Y軸の延在方向)に複数並設させている。そして、このハウジング本体11の上側に形成された空間が、上側プラグ端子14が圧入(挿入)される第2空間(上側空間:内部空間)S2となっている。
【0066】
本実施形態では、ハウジング本体11の下側には、16個の空間(第1空間S1)が左右軸に並設されている。一方、ハウジング本体11の上側にも、16個の空間(第2空間S2)が左右軸に並設されている。
【0067】
さらに、本実施形態では、上側隔壁116と下側隔壁117とが左右軸にずれた位置に形成されている。すなわち、第1空間S1と第2空間S2とが、平面視で一部が重なり合うように形成されている。言い換えると、プラグ端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)がプラグハウジング10に保持されるとともにケーブル1Aに実装された状態で、プラグハウジング10を実装面1aAの法線方向(上下軸)に沿って視たときに、第1空間S1と第2空間S2とが重なり合うようにしている。
【0068】
そして、下側プラグ端子13は、第1空間S1の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、この第1空間S1の後端側の開口が挿入口S1aとなっている。また、第1空間S1の前端側の開口は、下側プラグ端子13が抜け落ちないように、挿入口S1aよりも小さくなっている。すなわち、挿入口S1aから圧入(挿入)された下側プラグ端子13の前方への移動が、前壁114によって規制されるようにしている。なお、第1空間S1の前端側の開口は、後述するレセプタクルコネクタ2の下側レセプタクル端子23の接点部230aを第1空間S1内に導入する導入口S1bとなっている。この導入口S1bの周縁部は、下側レセプタクル端子23の接点部230aが導入されやすいようにテーパ状に形成されている。
【0069】
同様に、上側プラグ端子14は、第2空間S2の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、この第2空間S2の後端側の開口が挿入口S2aとなっている。また、第2空間S2の前端側の開口は、上側プラグ端子14が抜け落ちないように、挿入口S2aよりも小さくなっている。すなわち、挿入口S2aから圧入(挿入)された上側プラグ端子14の前方への移動が、前壁114によって規制されるようにしている。なお、第2空間S2の前端側の開口も、後述するレセプタクルコネクタ2の上側レセプタクル端子24の接点部240aを第2空間S2内に導入する導入口S2bとなっている。この導入口S2bの周縁部も、上側レセプタクル端子24の接点部240aが導入されやすいようにテーパ状に形成されている。
【0070】
また、天壁111の後端の下部には、後方および下方に開口する溝部1115が第2空間S2に連通するように形成されている。本実施形態では、溝部1115は、第2空間S2の左右軸の両側に形成されており、溝部1115には、後述する上側プラグ端子14の側壁144の上端が挿入されるようになっている。本実施形態では、溝部1115は、溝幅(左右軸の長さ)が側壁134の板厚よりも若干広くなるように形成されている。
【0071】
同様に、仕切り壁115の後端の下部には、後方および下方に開口する溝部115aが第1空間S1に連通するように形成されている。本実施形態では、溝部115aは、第1空間S1の左右軸の一方側(
図11(b)の右側)に形成されており、溝部115aには、後述する下側プラグ端子13の側壁134の上端が挿入されるようになっている。本実施形態では、この溝部115aも、溝幅(左右軸の長さ)が側壁134の板厚よりも若干広くなるように形成されている。
【0072】
さらに、本実施形態では、仕切り壁115の後端には、後方および上下に開口する溝部115bが第1空間S1および第2空間S2に連通するように形成されている。この溝部115bは溝部1115と上下軸に対向するように形成されており、この溝部115bには、上側プラグ端子14の第2脚部(脚部)141の上部が挿入されるようになっている。本実施形態では、溝部115bは、溝幅(左右軸の長さ)が第2脚部(脚部)141の板厚よりも若干広くなるように形成されている。
【0073】
また、本実施形態では、一対の側壁113,113は、それぞれ、側壁本体1131と、側壁本体1131の後端に連設される延設部1132と、を備えている。そして、底壁112は、一対の側壁本体1131,1131の下端に連設される底壁本体1121を備えており、この底壁本体1121には、前後軸に延在する溝1121aが、左右軸に並ぶように複数形成されている。
【0074】
本実施形態では、この底壁本体1121の後端には、上下軸に延在して上端が第1空間S1に開口する溝部1121cが形成されている。具体的には、プラグハウジング10を前後軸の後方から視たときに、一方(
図11(b)の右側)の溝部1115、溝部115bおよび溝部1121cが、上下軸に一直線上に並ぶように配置されている。この溝部1121cは、圧入(挿入)完了状態における上側プラグ端子14の第2脚部(脚部)141の下部が挿入されるものである。
【0075】
さらに、底壁本体1121の後端には、上下軸に延在して第1空間S1に開口する溝部1121dが形成されている。具体的には、溝部1121dは、1つの第1空間S1に連通するように形成された溝部115aと上下軸で対向するように形成されている。
【0076】
すなわち、
図11(b)に示すように、プラグハウジング10を前後軸の後方から視たときに、溝部115aと溝部1121dとが、上下軸に一直線上に並ぶように配置されている。この溝部1121dは、圧入(挿入)完了状態における下側プラグ端子13の第1脚部(脚部)131が挿入されるものである。
【0077】
また、底壁本体1121の後端部には、下方および後方に開口して前後軸に延在する凹部1121bが溝部1121dに連設するように形成されている。この凹部1121bは、圧入(挿入)完了状態における下側プラグ端子13の第1実装片132が収容されるものである。
【0078】
ここで、本実施形態では、一対の側壁本体1131,1131のそれぞれに、後方に延在する延設部1132,1132が形成されており、一対の延設部1132,1132は、左右軸で対向するように形成されている。そして、一対の延設部1132,1132が対向する領域が、プラグ端子13,14の第1,第2実装片132,142が収容される凹部1133となっている。
【0079】
このように、本実施形態では、延設部1132,1132の後端よりも前側で、プラグ端子13,14の第1,第2実装片132,142がケーブル1Aの導体露出部151bAに実装されるようにしている。このとき、延設部1132,1132と補強板14Aとでケーブル1Aの連結領域11Aが挟持されるようにしている。
【0080】
こうすることで、ケーブル1Aがあおられて補強板14Aから離れる方向に移動した際に、ケーブル1Aと補強板14Aとの接着が剥がれてしまうのをより確実に抑制することができるようにしている。さらに、本実施形態では、延設部1132,1132の先端(後端)よりも前側にプラグ端子13,14の第1,第2実装片132,142が位置するようにしている。こうすることで、ケーブル1Aのあおりによってプラグ端子13,14の第1,第2脚部131,141や第1,第2実装片132,142が変形してしまうのを抑制することができるようにしている。すなわち、プラグ端子13,14とケーブル1Aとの接続部分をケーブル1Aのあおりから保護することができるようにしている。
【0081】
また、一対の側壁113,113の前端部には、保持金具15が保持される保持金具取付部1134,1134がそれぞれ形成されている。
【0082】
この保持金具取付部1134は、上下軸および左右軸の外方に開口する凹部1134aと、凹部1134aの左右軸の内側に連設されて、保持金具15の本体部151の前後軸の両端が挿入されるスリット1134b,1134bと、備えている。そして、保持金具15をプラグハウジング10に保持した状態で、本体部151の下端に連設された固定片152をケーブル1Aの固定部15dAに固定することで、プラグハウジング10をケーブル1Aに固定させている。
【0083】
また、底壁本体1121の下側(裏面側)には、突部1122が下方に向けて突出するように形成されている。そして、このような突部1122を底壁本体1121に形成することで、底壁本体1121の下面に凹部1123が形成されるようにし、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装させた際に、補強板14Aが取り付けられた連結領域11Aがこの凹部1123に収容されるようにしている(
図10(b)参照)。このように、本実施形態では、補強板14Aが取り付けられた連結領域11Aが、凹部1123に収容保持される被連結部10Aとなっている。そして、突部1122は、突出量が、被連結部10Aの厚さ(ケーブル1Aの厚さと補強板14Aの厚さの和)以上となるように底壁本体1121に形成されている。
【0084】
このように、本実施形態では、プラグハウジング10は、ハウジング厚み方向(上下軸:Z軸に沿って延在する方向)に対向する一対の壁部(天壁111および底壁112)を備えており、上下軸の上方と下方にそれぞれ位置する上面10aと下面10bとを有している。そして、一対の壁部(天壁111および底壁112)のうちの一方側の壁部である底壁112に、ケーブル1Aの被連結部10A(補強板14Aが取り付けられた連結領域11A)が収容される凹部1123を形成している。すなわち、プラグハウジング10は、ケーブル(被接続部材:被実装部材)1Aを受け入れる受入部(凹部1123)を、ハウジング厚み方向(上下軸)の一方側の壁部(底壁112)に有している。言い換えると、プラグハウジング10は、プラグコネクタ1の下端においてケーブル(被接続部材)1Aが配置される収容凹部(凹部1123)を有している。
【0085】
そして、このような構成とすることで、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させる際に、突部1122の下端がレセプタクルハウジング20の内面と摺動するようにしている。すなわち、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させる際に、ケーブル1Aの被連結部10Aがレセプタクルハウジング20と干渉してしまうことを抑制できるようにしている。
【0086】
また、本実施形態では、底壁112の周縁部のみに突部1122が形成されるようにし、底壁112の内側には突部1122が形成されないようにしている。
【0087】
具体的には、底壁112の左右軸の両側の前端に、左右軸に細長く形成された一対の前側突部11221と、底壁112の左右軸の両側の後端に、前後軸に細長く形成された一対の後側突部11222のみで突部1122を構成している。
【0088】
この前側突部11221および後側突部11222は、底壁112の側壁113が連設される部位に形成されている。具体的には、前側突部11221は、保持金具取付部1134の前方に、プラグハウジング10の前端縁に沿うように形成されており、後側突部11222は、延設部1132の左右軸の外側に、延設部1132の外側端縁に沿うように形成されている。このように、本実施形態では、底壁112の4隅のみに突部1122を形成している。
【0089】
さらに、本実施形態では、ケーブル1Aの被連結部10Aの形状を、輪郭線の一部が突部1122の内側の輪郭線と対応する形状としている。具体的には、ケーブル1Aの被連結部10Aは、凹部1123に収容した状態で、切り欠き11aA,14aAが形成されていない左右軸の両側の前端縁が前側突部11221の内側(後側)の輪郭線に沿うとともに、左右軸の両側の後端部が後側突部11222の左右軸の内側の輪郭線に沿うように形成されている。こうすることで、前側突部11221によって被連結部10Aの前方への位置ずれが抑制されるようにし、後側突部11222によって被連結部10Aの左右軸の両側への位置ずれが抑制されるようにしている。なお、被連結部10Aは、凹部1123に収容される形状であればよく、様々な形状とすることができる。
【0090】
そして、本実施形態のように、底壁112の4隅のみに突部1122を形成すれば、プラグ端子13,14を左右軸(Y軸)に並設されるように保持した状態のプラグハウジング10を前後軸(X軸が延在する方向)に沿って見たときに、突部1122がプラグ端子13,14の実装片132,142と重なり合わないようにすることができる。
【0091】
また、本実施形態では、延設部1132は、左右軸の端面部が側壁本体1131の左右軸の端面部よりも左右軸の外側に位置するように側壁本体1131の後端に連設されている。したがって、本実施形態では、ハウジング本体11(プラグハウジング10)は、平面視で前方よりも後方が幅広となるように形成されている。
【0092】
そして、ハウジング本体11の延設部1132よりも前方の幅狭の部位(側壁本体1131が形成された部位)が、レセプタクルハウジング20の嵌合空間S5に挿入される挿入部118となっている。また、ハウジング本体11における延設部1132が形成された部位(幅広の部位)が、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させた状態で、レセプタクルハウジング20から露出する露出部119となっている。
【0093】
さらに、延設部1132の後端側には、左右軸の外側に向けて突出する引掛突部(引掛部)1132aが上下軸(Z軸が延在する方向:ハウジング本体11の厚さ方向)に延在するように形成されている。
【0094】
そして、露出部119に、このような引掛突部1132aを設けることで、操作者がプラグコネクタ1を手で把持する際に、引掛突部1132aに指を引っ掛けることができるようにしている。こうすることで、レセプタクルコネクタ2に嵌合させたプラグコネクタ1を、より容易に引き抜くことができるようにしている。なお、本実施形態では、延設部1132の側面(露出面119a)は、略矩形状の平坦面となるように形成されている。
【0095】
また、本実施形態では、延設部1132の後端側に、左右軸の外側に突出する引掛突部1132aを上下軸に延在するように形成している。そのため、小型化されたコネクタ装置C1であっても、プラグコネクタ1のレセプタクルコネクタ2からの引き抜き性能を向上させることができるようになる。
【0096】
さらに、本実施形態では、露出部119が、左右軸(Y軸)で隣り合う他のプラグハウジング10と引掛突部1132aよりも挿入部118側(前後軸の前方)で接触することが可能な接触突部(接触部)1132bを備えるようにしている。こうすることで、レセプタクルコネクタ2からの引き抜き性能を向上させつつ、パーツフィーダによる搬送時にプラグハウジング10が姿勢変化してしまうことを抑制できるようにしている。
【0097】
次に、プラグ端子(端子)の具体的な構成について、
図12および
図13に基づき説明する。
【0098】
本実施形態では、プラグ端子(端子)は、プラグハウジング10に形成された空間に挿入される本体部と、プラグ端子をケーブル(被接続部材)1Aに実装した状態で本体部からケーブル1Aの実装面1aAに向けて延設された脚部と、脚部に連設されてケーブル1Aに実装され得る実装部(接続部)と、を備えている。すなわち、プラグ端子は、プラグハウジング10の下方においてケーブル(被接続部材)1Aに接続可能な実装部を有している。
【0099】
具体的には、プラグ端子は、ハウジング本体11の下側(実装面1aA側)に形成された第1空間S1に圧入(挿入)される下側プラグ端子13を備えている。さらに、プラグ端子は、ハウジング本体11の上側(第1空間S1よりも実装面1aAから離れた位置)に形成された第2空間S2に圧入(挿入)される上側プラグ端子14を備えている。
【0100】
本実施形態では、下側プラグ端子13は、導電性を有しており、プラグハウジング10の左右軸(Y軸の延在方向)に複数並設されている。この下側プラグ端子13は、
図12に示すように、1枚の帯板状の金属部材を板厚方向に曲げた形状をしており、挿入方向(前後軸;X軸の延在方向)に沿って視た状態で略U字状をしている(
図12(e),
図12(f)参照)。このような下側プラグ端子13は、例えば、所定の形状となるように打ち抜かれた帯板状の金属部材に曲げ加工を施すことで形成することができる。
【0101】
また、下側プラグ端子13は、第1空間S1に圧入(挿入)される第1本体部(本体部)130を備えている。さらに、下側プラグ端子13は、下側プラグ端子13をケーブル(被接続部材)1Aに実装した状態で第1本体部130から実装面1aAに向けて延設された第1脚部(脚部)131を備えている。そして、下側プラグ端子13は、第1脚部131に連設されてケーブル1Aに実装され得る第1実装片(接続部)132を備えている。この第1実装片(接続部)132は、プラグハウジング(ハウジング)10に保持された状態でハウジング本体11の後端から後方に突出するように形成されている。
【0102】
第1本体部130は、底壁133と、底壁133の左右軸(Y軸の延在方向)の両端部に連設された側壁134と、を備えている。
【0103】
底壁133は、側壁134の下端が連設された底壁本体135と、底壁本体135の前端に連設されて前方に突出する接点保護部136と、を備えている。この接点保護部136は、第1本体部130を第1空間S1に圧入(挿入)する際に、下側プラグ端子13の接点部130aがハウジング本体11に接触してしまうのを抑制するものである。
【0104】
また、底壁本体135および接点保護部136には、左右軸(Y軸の延在方向)の両端から外方に向けて突出する規制片135a,136aがそれぞれ形成されている。そして、この規制片135a,136aによって、第1本体部130を第1空間S1に圧入(挿入)する際に、第1本体部130が斜めに圧入(挿入)されてしまうのが抑制されるようにしている。
【0105】
側壁134は、下端が底壁本体135に連設された側壁本体137と、側壁本体137の前端に弾性変形可能に連設され、レセプタクルコネクタの接点部に接触する接触片138と、を備えている。
【0106】
側壁本体137の上端には、規制突起137aが形成されており、この規制突起137aによって、第1本体部130を第1空間S1に圧入(挿入)する際に、第1本体部130が浮き上がってしまうのが抑制されるようにしている。
【0107】
また、接触片138は、左右軸の内側に屈曲するように側壁本体137の前端に連設された内側屈曲片138aと、左右軸の外側に屈曲するように内側屈曲片138aの前端に連設された外側屈曲片138bと、を備えている。
【0108】
本実施形態では、この接触片138は、一対の側壁本体137,137のそれぞれに連設されており、平面視で略線対称となるように形成されている。すなわち、一対の接触片138,138は、前方に向かうにつれて互いに近づく方向に屈曲した形状の内側屈曲片138a,138aと、前方に向かうにつれて互いに離れる方向に屈曲した形状の外側屈曲片138b,138bと、を備えている。
【0109】
そして、一対の接触片138,138が最も近づいた部位(内側屈曲片138aと外側屈曲片138bとの連設部)で、レセプタクルコネクタ2の接点部230aを挟持するようにしている(
図3(b)参照)。このように、本実施形態では、一対の接触片138,138を、下側プラグ端子13の接点部130aとして機能させている。そして、一対の外側屈曲片138bを、レセプタクルコネクタ2の接点部130aをよりスムーズに導入するためのガイド部として機能させている。
【0110】
さらに、本実施形態では、一対の側壁本体137,137のうちの一方の側壁本体137の後端に、後方に突出する延設壁139が連設されており、第1本体部130は、片側が後方に突出した形状をしている。
【0111】
この延設壁139の上端には、圧入突起139aが形成されており、この圧入突起139aをハウジング本体11に食い込ませることで、第1本体部130が第1空間S1に圧入されている。
【0112】
なお、本実施形態では、下側プラグ端子13の側壁134の上端が挿入されて、下側プラグ端子13の下側空間S1への圧入(挿入)をガイドする溝部115aが形成されている。そのため、本体部130の後方に突出した片側の側壁134を押圧することで、下側プラグ端子13を下側空間S1へ圧入(挿入)させる場合であっても、下側プラグ端子13の位置ずれが抑制される。その結果、下側プラグ端子13を、よりスムーズ且つより正確に下側空間S1へと圧入(挿入)させることができる。
【0113】
そして、第1脚部131が、延設壁139の後端部から下方(ケーブル1A:被接続部材)に向けて延設されている。このように、本実施形態では、第1脚部131は、第1空間S1に圧入(挿入)させた状態の第1本体部130からハウジング厚み方向に延設されている。また、第1脚部131の下端には第1実装片132が連設されている。本実施形態では、略水平方向に延在する第1実装片132の平坦な下端面がケーブル(被接続部材)1Aに実装され得る第1実装面(実装面)132aとなっている。
【0114】
このとき、第1脚部131および第1実装片132は、薄板状(板状)に形成されており、板厚方向が側壁本体137の板厚方向と略同一の方向となるように形成されている。
【0115】
したがって、第1本体部130を第1空間S1に挿入するとともに第1実装片(接続部)132をケーブル(被接続部材)1Aに実装した状態では、第1脚部131の板厚方向が左右軸(Y軸の延在方向)となる。すなわち、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装した状態では、第1脚部131の板厚方向が、第1本体部130の第1空間S1への挿入方向および実装面1aAの法線方向と交差する方向となっている。
【0116】
一方、上側プラグ端子14も、導電性を有しており、プラグハウジング10の左右軸(Y軸の延在方向)に複数並設されている。この上側プラグ端子14は、
図13に示すように、1枚の帯板状の金属部材を板厚方向に曲げた形状をしており、挿入方向(前後軸;X軸の延在方向)に沿って視た状態で略U字状をしている(
図13(e),
図13(f)参照)。このような上側プラグ端子14も、例えば、所定の形状となるように打ち抜かれた帯板状の金属部材に曲げ加工を施すことで形成することができる。
【0117】
また、上側プラグ端子14は、第2空間S2に圧入(挿入)される第2本体部(本体部)140を備えている。さらに、上側プラグ端子14は、上側プラグ端子14をケーブル(被接続部材)1Aに実装した状態で第2本体部140から実装面1aAに向けて延設された第2脚部(脚部)141を備えている。そして、上側プラグ端子14は、第2脚部141に連設されてケーブル1Aに実装され得る第2実装片(接続部)142を備えている。この第2実装片(接続部)142も、プラグハウジング(ハウジング)10に保持された状態でハウジング本体11の後端から後方に突出するように形成されている。このように、本実施形態では、プラグ端子(下側プラグ端子13、上側プラグ端子14)は、プラグハウジング(ハウジング)10の内部空間(第1空間S1、第2空間S2)に、一部を前後軸の後方から表出した状態で収容されている。
【0118】
第2本体部140は、底壁143と、底壁143の左右軸(Y軸の延在方向)の両端部に連設された側壁144と、を備えている。
【0119】
底壁143は、側壁144の下端が連設された底壁本体145と、底壁本体145の前端に連設されて前方に突出する接点保護部146と、を備えている。この接点保護部146は、第2本体部140を第2空間S2に圧入(挿入)する際に、上側プラグ端子14の接点部140aがハウジング本体11に接触してしまうのを抑制するものである。
【0120】
また、底壁本体145および接点保護部146には、左右軸(Y軸の延在方向)の両端から外方に向けて突出する規制片145a,146aがそれぞれ形成されている。そして、この規制片145a,146aによって、第2本体部140を第2空間S2に圧入(挿入)する際に、第2本体部140が斜めに圧入(挿入)されてしまうのが抑制されるようにしている。
【0121】
側壁144は、下端が底壁本体145に連設された側壁本体147と、側壁本体147の前端に弾性変形可能に連設され、レセプタクルコネクタ2の接点部240aに接触する接触片148と、を備えている。
【0122】
側壁本体147の上端には、規制突起147aが形成されており、この規制突起147aによって、第2本体部140を第2空間S2に圧入(挿入)する際に、第2本体部140が浮き上がってしまうのが抑制されるようにしている。
【0123】
また、接触片148は、左右軸の内側に屈曲するように側壁本体147の前端に連設された内側屈曲片148aと、左右軸の外側に屈曲するように内側屈曲片148aの前端に連設された外側屈曲片148bと、を備えている。
【0124】
本実施形態では、この接触片148は、一対の側壁本体147,147のそれぞれに連設されており、平面視で略線対称となるように形成されている。すなわち、一対の接触片148,148は、前方に向かうにつれて互いに近づく方向に屈曲した形状の内側屈曲片148a,148aと、前方に向かうにつれて互いに離れる方向に屈曲した形状の外側屈曲片148b,148bと、を備えている。
【0125】
そして、一対の接触片148,148が最も近づいた部位(内側屈曲片148aと外側屈曲片148bとの連設部)で、レセプタクルコネクタ2の接点部240aを挟持するようにしている(
図4(b)参照)。このように、本実施形態では、一対の接触片148,148を、上側プラグ端子14の接点部140aとして機能させている。そして、一対の外側屈曲片148bを、レセプタクルコネクタ2の接点部240aをよりスムーズに導入するためのガイド部として機能させている。
【0126】
さらに、本実施形態では、一対の側壁本体147,147のうちの一方の側壁本体147の後端に、後方に突出する延設壁149が連設されており、第2本体部140は、片側が後方に突出した形状をしている。
【0127】
この延設壁149の上端には、圧入突起149aが形成されており、この圧入突起149aをハウジング本体11に食い込ませることで、第2本体部140が第2空間S2に圧入されている。
【0128】
なお、本実施形態では、上側プラグ端子14の側壁144の上端が挿入されて、上側プラグ端子14の上側空間S2への圧入(挿入)をガイドする溝部1115が形成されている。そのため、本体部140の後方に突出した片側の側壁144を押圧することで、上側プラグ端子14を上側空間S2へ圧入(挿入)させる場合であっても、上側プラグ端子14の位置ずれが抑制される。その結果、上側プラグ端子14を、よりスムーズ且つより正確に上側空間S2へと圧入(挿入)させることができる。
【0129】
そして、第2脚部141が、延設壁149の後端部から下方(ケーブル1A:被接続部材)に向けて延設されている。この第2脚部141は、上下軸の長さが第1脚部131よりも長くなっている。このように、本実施形態では、第2脚部141は、第2空間S2に圧入(挿入)させた状態の第2本体部140からハウジング厚み方向に延設されている。また、第2脚部141の下端には、第2実装片142が後方に向けて突出するように連設されている。本実施形態では、略水平方向に延在する第2実装片142の平坦な下端面がケーブル(被接続部材)1Aに実装され得る第2実装面(実装面)142aとなっている。
【0130】
また、第1脚部131および第2脚部141は、第1本体部130および第2本体部140を第1空間S1および第2空間S2に挿入した状態で、前後軸の位置が略同一となるようにしている(
図7,
図21参照)。そして、第1脚部131および第2脚部141は、第1本体部130および第2本体部140を第1空間S1および第2空間S2に挿入した状態で、左右軸の位置が略半ピッチだけずれるようにしている。したがって、本実施形態では、複数のプラグ端子13,14をプラグハウジング10に保持させた状態で、実装部(接続部:第1実装片132および第2実装片142)が千鳥状に配置されるようになっている。
【0131】
さらに、第1実装片132は、第1本体部130を第1空間S1に挿入した状態で、底壁本体1121の後端部に形成された凹部1121bに収容されるようにしている。一方、第2実装片142は、第2本体部140を第2空間S2に挿入した状態で、第2空間S2の挿入口S2aよりも後方に位置するようにしている。
【0132】
したがって、複数のプラグ端子13,14をプラグハウジング10に保持させるとともにケーブル1Aに実装させた状態における平面視で、第1実装片132がプラグハウジング10と重なり合うこととなる。一方、複数のプラグ端子13,14をプラグハウジング10に保持させるとともにケーブル1Aに実装させた状態における平面視で、第2実装片142がプラグハウジング10から露出することとなる。
【0133】
すなわち、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装した状態で、プラグハウジング10を実装面1aAの法線方向に沿って視たときに、第1実装片132および第2実装片142のうちいずれか一方の実装片(実装部:接続部)がプラグハウジング10と重なり合っている。
【0134】
このように、本実施形態では、複数のプラグ端子13,14がプラグハウジング10に保持された状態で、実装部(接続部:第1実装片132および第2実装片142)が空間の挿入口(後端縁)を挟んだ両側に千鳥状に配置されるようにしている。
【0135】
また、第2脚部141および第2実装片142も、薄板状(板状)に形成されており、板厚方向が側壁本体147の板厚方向と略同一の方向となるように形成されている。
【0136】
したがって、第2本体部140を第2空間S2に挿入するとともに第2実装片(接続部)142をケーブル(被接続部材)1Aに実装した状態では、第2脚部141の板厚方向が左右軸(Y軸の延在方向)となる。すなわち、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装した状態では、第2脚部141の板厚方向が、第2本体部140の第2空間S2への挿入方向および実装面1aAの法線方向と交差する方向となっている。
【0137】
また、本実施形態では、挿入口S1aが、第1,第2空間S1,S2にプラグ端子13,14の第1,第2本体部130,140を挿入した状態で、前後軸の後方から視たときに、第2脚部141によって2つの領域に分断されている。すなわち、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装した状態で、プラグハウジング10を第1、第2本体部130,140の第1、第2空間S1,S2への挿入方向に沿って視たときに、第1空間S1の挿入口S1aが第2脚部141によって2つの領域に分断されている。
【0138】
さらに、本実施形態では、第1本体部130の第1空間S1への圧入(挿入)完了位置において、第1脚部131が、溝部1121dに挿入されて左右軸(Y軸;板厚方向)への移動が規制された状態で保持されるようにしている。すなわち、ハウジング本体11の底壁本体1121に形成された溝部1121dを、第1脚部131を保持する脚部保持部として機能させている。このように、プラグコネクタ1は、プラグハウジング10に接続され、第1脚部131を保持する脚部保持部を備えている。本実施形態では、脚部保持部は、プラグハウジング10に一体に形成されている。なお、プラグハウジング10とは別体の部材をプラグハウジング10に接続することで、脚部保持部を形成してもよい。
【0139】
また、第2本体部140の第2空間S2への圧入(挿入)完了位置において、第2脚部141が、溝部115bおよび溝部1121cに挿入されて左右軸(Y軸;板厚方向)への移動が規制された状態で保持されるようにしている。すなわち、ハウジング本体11の仕切り壁115に形成された溝部115bおよび底壁本体1121に形成された溝部1121cを、第2脚部141を保持する脚部保持部として機能させている。このように、プラグコネクタ1は、プラグハウジング10に接続され、第2脚部141を保持する脚部保持部を備えている。本実施形態では、脚部保持部も、プラグハウジング10に一体に形成されているが、別体に形成されていてもよい。
【0140】
こうすることで、プラグ端子13,14の第1,第2本体部130,140の第1,第2空間S1,S2への圧入(挿入)時や、第1,第2空間S1,S2に圧入(挿入)されたプラグ端子13,14のケーブル1Aへの実装時などに、第1,第2脚部131,141が変形してしまうのが抑制されるようにしている。
【0141】
[レセプタクルコネクタ2の構成例]
次に、レセプタクルコネクタ2の構成の一例を、
図14~
図19に基づき説明する。
【0142】
レセプタクルコネクタ2は、
図14および
図15に示すように、レセプタクルハウジング(相手側のハウジング)20を備えている。さらに、レセプタクルコネクタ2は、レセプタクルハウジング20に保持されるレセプタクル端子(相手側の端子:下側レセプタクル端子23および上側レセプタクル端子24)を備えている。また、レセプタクルコネクタ2は、レセプタクルハウジング20に保持される保持金具(相手側の保持金具)25を備えている。
【0143】
そして、レセプタクルハウジング20に保持されたレセプタクル端子23,24が、レセプタクルハウジング20の外側に配置された回路基板2Aの導体部2bAに実装されるようにしている。こうすることで、レセプタクルコネクタ2が相手側の被接続部材としての回路基板2Aに実装されるようにしている。なお、レセプタクル端子23,24も、半田付け等により導体部2bAに実装されている。また、保持金具25は、レセプタクルハウジング20に保持された状態で、半田付け等により回路基板2Aの固定部2cAに固定されることで、レセプタクルハウジング20を回路基板2Aに固定するためのものである。
【0144】
なお、回路基板2Aは、略矩形板状をしており、剛性および絶縁性を有する樹脂材料等で形成された基板本体2aAを備えている。そして、この基板本体2aAの表面21aAに露出するように、導体部2bAおよび固定部2cAが形成されている。このように、本実施形態では、基板本体2aAの表面21aAが実装面となっている。
【0145】
レセプタクルハウジング20は、剛性を有するハウジング本体21を備えており、このレセプタクルハウジング20は、例えば、絶縁性の樹脂材料を用いて形成することができる。
【0146】
また、ハウジング本体21の上部には、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合状態で保持したり、嵌合状態を解除したりするロック部12が挿入されるロック部挿入部(被ロック部)22が形成されている。
【0147】
このように、本実施形態では、レセプタクルハウジング20は、ハウジング本体21と、ハウジング本体21に形成されたロック部挿入部22と、を備えている。
【0148】
ハウジング本体21は、天壁211と、底壁212と、天壁211および底壁212の左右軸(Y軸の延在方向)の両端をそれぞれ連設する一対の側壁213と、天壁211、底壁212および側壁213,213の後端に連設された後壁214と、を備えている。
【0149】
そして、天壁211の左右軸中央部にロック部挿入部22が形成されている。具体的には、ロック部挿入部22は、天壁211の左右軸の中央部の下側に形成されており、レバー部121を収容する収容部221を備えている。この収容部221の前後軸の中央部には、ロック部12の係合突部121bが係合する係合凹部(係合部)221aが形成されている。
【0150】
また、天壁211の左右軸の内側には、内側ガイド溝211aが形成されており、天壁211の左右軸の両側には、外側ガイド溝211bが形成されている。この内側ガイド溝211aは、内側ガイド突起1111と対応するように形成されており、外側ガイド溝211bは、外側ガイド突起1112と対応するように形成されている。そして、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させる際には、内側ガイド溝211aに内側ガイド突起1111が挿入され、外側ガイド溝211bに外側ガイド突起1112が挿入されるようにしている。こうすることで、プラグハウジング10の左右軸の位置決めがなされるようにしている。
【0151】
また、収容部221の左右軸の両側には、スライド部材3の上側アーム部33が挿入される挿入空間S8が形成されている。そして、天壁211には、下方に突出する突部(被係止部)211cが、挿入方向(前後軸;X軸)に沿って視た状態で、挿入空間S8に配置されるように形成されている。この突部211cは、上側アーム部33を下方に撓ませたり、上側アーム部33の先端に形成された係合突部33bを係止したりするものである。なお、本実施形態では、ハウジング本体21の左右軸の上部中央に位置する1つの空間に、収容部221、一対の挿入空間S8および一対の内側ガイド溝211aが形成されている。
【0152】
また、底壁212の左右軸の中央部には、上方に突出する位置決め突部212bが形成されている。この位置決め突部212bは、切り欠き11aAおよび切り欠き14aAと対応するように形成されている。そして、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させる際には、位置決め突部212bが切り欠き11aAおよび切り欠き14aAに挿入され、この位置決め突部212bによって、ケーブル1Aの左右軸の位置決めがなされるようにしている。
【0153】
また、後壁214には、前後軸に貫通する空間が複数形成されている。本実施形態では、左右軸(Y軸の延在方向)に複数並設された空間が上下軸(Z軸の延在方向)に2段形成されるようにしている。さらに、ハウジング本体21を前後軸の後方から視たときに、複数の空間が千鳥状に形成されるようにしている。こうすることで、レセプタクルコネクタ2の左右軸の小型化を図っている。
【0154】
そして、前後軸に貫通する空間内に、下側レセプタクル端子23および上側レセプタクル端子24がそれぞれ圧入(挿入)されるようになっている。
【0155】
具体的には、ハウジング本体21の下側(実装面21aA側)に形成された空間が、下側レセプタクル端子23が圧入(挿入)される第1空間S3となっている。
【0156】
一方、ハウジング本体21の上側(第1空間S3よりも実装面21aAから離れた位置)に形成された空間が、上側レセプタクル端子24が圧入(挿入)される第2空間S4となっている。
【0157】
そして、下側レセプタクル端子23は、第1空間S3の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、この第1空間S3の後端側の開口が挿入口S3aとなっている。同様に、上側レセプタクル端子24は、第2空間S4の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、この第2空間S4の後端側の開口が挿入口S4aとなっている。
【0158】
また、ハウジング本体21には、前方(プラグコネクタ1側)に開口する開口部S5aを有する嵌合空間S5が形成されている。この嵌合空間S5は、プラグハウジング10のハウジング本体11が挿入嵌合される空間で、天壁211、底壁212、一対の側壁213,213および後壁214によって画成されている。したがって、第1空間S3および第2空間S4は、それぞれ嵌合空間S5に連通するように形成されている。なお、本実施形態では、嵌合空間S5の一部をロック部挿入部22の収容部221、スライド部材3の上側アーム部33が挿入される挿入空間S8、および、内側ガイド突起1111が挿入される内側ガイド溝211aとしている。
【0159】
さらに、本実施形態では、後壁214の後端には、後方に突出する突条214aが設けられている。
【0160】
また、底壁212の後端部には、下方および後方に開口して前後方向に延在する凹部212aが形成されている。この凹部212aは、圧入(挿入)完了状態における上側レセプタクル端子24の第2実装片(相手側の実装部)242が収容されるものである。
【0161】
また、一対の側壁213,213には、保持金具25が保持される保持金具取付部213a,213aがそれぞれ形成されている。
【0162】
本実施形態では、保持金具取付部213aは、上下軸および左右軸の外方に開口する凹部213bと、凹部213bの左右軸の内側に連設されて、保持金具25の本体部251の前後軸の両端が挿入されるスリット213c,213cと、備えている。そして、保持金具25をレセプタクルハウジング20に保持した状態で、本体部251の下端に連設された固定片252を回路基板2Aの固定部2cAに固定することで、レセプタクルハウジング20を回路基板2Aに固定させている。
【0163】
また、本実施形態では、レセプタクル端子は、レセプタクルハウジング20に形成された空間に挿入される本体部と、レセプタクル端子を回路基板(被接続部材)2Aに実装した状態で本体部から回路基板2Aの実装面21aAに向けて延設された脚部と、脚部に連設されて回路基板2Aに実装され得る実装部(接続部)と、を備えている。
【0164】
具体的には、レセプタクル端子は、ハウジング本体21の下側(実装面21aA側)に形成された第1空間S3に圧入(挿入)される下側レセプタクル端子23を備えている。さらに、レセプタクル端子は、ハウジング本体21の上側(第1空間S3よりも実装面21aAから離れた位置)に形成された第2空間S4に圧入(挿入)される上側レセプタクル端子24を備えている。
【0165】
本実施形態では、下側レセプタクル端子23は、導電性を有しており、レセプタクルハウジング20の左右軸(Y軸の延在方向)に複数並設されている。この下側レセプタクル端子23は、
図18に示すように、薄板状に形成されており、板厚方向を左右軸(Y軸の延在方向)に略一致させた状態でハウジング本体21に形成された第1空間S3に後方から圧入(挿入)されている。このような下側レセプタクル端子23は、例えば、薄板金属を打抜き加工することで形成することができる。
【0166】
また、下側レセプタクル端子23は、第1空間S3に圧入(挿入)される第1本体部(相手側の本体部)230を備えている。さらに、下側レセプタクル端子23は、下側レセプタクル端子23を回路基板(被接続部材)2Aに実装した状態で第1本体部230から実装面21aAに向けて延設された第1脚部(相手側の脚部)231と、第1脚部231に連設されて回路基板2Aに実装され得る第1実装片(相手側の接続部)232と、を備えている。
【0167】
そして、第1本体部230の前端には、略棒状の接点部(相手側の接点部)230aが前方に突出するように形成されている。また、第1本体部230の上端および下端には、圧入突起230bが形成されており、この圧入突起230bをハウジング本体21に食い込ませることで、第1本体部230が第1空間S3に圧入されている。そして、第1本体部230を第1空間S3に圧入(挿入)した状態で、接点部230aが嵌合空間S5内に配置されるようにしている。
【0168】
また、本実施形態では、第1脚部231が、第1本体部230の後端部から下方(回路基板2A:被接続部材)に向けて延設されている。具体的には、第1脚部231は、クランク状に屈曲した形状をしており、下端が第1本体部230よりも後方に位置するようになっている。このように、本実施形態では、第1脚部231は、第1空間S3に圧入(挿入)させた状態の第1本体部230からハウジング厚み方向(上下軸)に延設されている。そして、この第1脚部231の下端に第1実装片232が連設されている。
【0169】
一方、上側レセプタクル端子24も、導電性を有しており、レセプタクルハウジング20の左右軸(Y軸の延在方向)に複数並設されている。この上側レセプタクル端子24は、
図19に示すように、薄板状に形成されており、板厚方向を左右軸(Y軸の延在方向)に略一致させた状態でハウジング本体21に形成された第2空間S4に後方から圧入(挿入)されている。このような上側レセプタクル端子24も、例えば、薄板金属を打抜き加工することで形成することができる。
【0170】
また、上側レセプタクル端子24は、第2空間S4に圧入(挿入)される第2本体部(相手側の本体部)240を備えている。さらに、上側レセプタクル端子24は、上側レセプタクル端子24を回路基板(被接続部材)2Aに実装した状態で第2本体部240から実装面21aAに向けて延設された第2脚部(相手側の脚部)241を備えている。また、上側レセプタクル端子24は、第2脚部241に連設されて回路基板2Aに実装され得る第2実装片(相手側の接続部)242を備えている。
【0171】
そして、第2本体部240の前端には、略棒状の接点部(相手側の接点部)240aが前方に突出するように形成されている。また、第2本体部240の上端および下端には、圧入突起240bが形成されており、この圧入突起240bをハウジング本体21に食い込ませることで、第2本体部240が第2空間S4に圧入されている。そして、第2本体部240を第2空間S4に圧入(挿入)した状態で、接点部240aが嵌合空間S5内に配置されるようにしている。
【0172】
また、本実施形態では、第2脚部241が、第2本体部240の後端部から下方(回路基板2A:被接続部材:被実装部材)に向けて略直線状に延設されている。このように、本実施形態では、第2脚部241は、第2空間S4に圧入(挿入)させた状態の第2本体部240からハウジング厚み方向(上下軸)に延設されている。この第2脚部241は、上下軸の長さが第1脚部231よりも長くなっている。そして、この第2脚部241の下端に第2実装片242が連設されている。
【0173】
このように、本実施形態では、前後軸(X軸:本体部の空間への挿入方向)の前方(一方側)に突出するように第2実装片(実装部)242が第2脚部241に連設されている。また、前後軸(X軸:本体部の空間への挿入方向)の後方(他方側)に突出するように第1実装片232が第1脚部231に連設されている。
【0174】
そして、複数のレセプタクル端子をレセプタクルハウジング20に保持させた状態で、実装部(接続部:第1実装片232および第2実装片242)が千鳥状に配置されるようにしている。
【0175】
さらに、第2実装片242は、第2本体部240を第2空間S4に挿入した状態で、底壁212の後端部に形成された凹部212aに収容されるようにしている。一方、第1実装片232は、第1本体部230を第1空間S3に挿入した状態で、第1空間S3の挿入口S3aよりも後方に位置するようにしている。
【0176】
したがって、複数のレセプタクル端子23,24をレセプタクルハウジング20に保持させるとともに回路基板2Aに実装させた状態における平面視で、第2実装片242がレセプタクルハウジング20と重なり合うこととなる。一方、複数のレセプタクル端子23,24をレセプタクルハウジング20に保持させるとともに回路基板2Aに実装させた状態における平面視で、第1実装片232がレセプタクルハウジング20から露出することとなる。
【0177】
すなわち、レセプタクルコネクタ2を回路基板2Aに実装した状態で、レセプタクルハウジング20を実装面21aAの法線方向に沿って視たときに、第1実装片232および第2実装片242のうちいずれか一方の実装片(実装部)がレセプタクルハウジング20と重なり合っている。
【0178】
このように、本実施形態では、複数のレセプタクル端子23,24がレセプタクルハウジング20に保持された状態で、実装部(接続部:第1実装片232および第2実装片242)が空間の挿入口(後端縁)を挟んだ両側に千鳥状に配置されるようにしている。
【0179】
さらに、本実施形態では、第1本体部230の第1空間S3への圧入(挿入)完了位置において、第1脚部231が突条214aの間に、左右軸(Y軸;板厚方向)への移動が規制された状態で保持されるようにしている。すなわち、ハウジング本体21の後壁214に形成された突条214aを、第1脚部231を保持する脚部保持部として機能させている。このように、レセプタクルコネクタ2は、レセプタクルハウジング20に接続され、第1脚部231を保持する脚部保持部を備えている。本実施形態では、脚部保持部は、レセプタクルハウジング20に一体に形成されている。なお、レセプタクルハウジング20とは別体の部材をレセプタクルハウジング20に接続することで、脚部保持部を形成してもよい。
【0180】
また、第2本体部240の第2空間S4への圧入(挿入)完了位置において、第2脚部241が突条214aの間に、左右軸(Y軸;板厚方向)への移動が規制された状態で保持されるようにしている。すなわち、ハウジング本体21の後壁214に形成された突条214aを、第2脚部241を保持する脚部保持部としても機能させている。このように、レセプタクルコネクタ2は、レセプタクルハウジング20に接続され、第2脚部241を保持する脚部保持部を備えている。本実施形態では、脚部保持部も、レセプタクルハウジング20に一体に形成されているが、別体に形成されていてもよい。
【0181】
こうすることで、レセプタクル端子23,24の第1,第2本体部230,240の第1,第2空間S3,S4への圧入(挿入)時に、第1,第2脚部231,241が変形してしまうのが抑制されるようにしている。
【0182】
上述したように、本実施形態では、レセプタクルコネクタ2は、プラグハウジング10を収容することが可能な相手側内部空間(嵌合空間S5)を有するレセプタクルハウジング20と、プラグ端子(下側プラグ端子13、上側プラグ端子14)と電気的に接続することが可能なレセプタクル端子(下側レセプタクル端子23、上側レセプタクル端子24)と、ロック部12に係合するロック部挿入部(被ロック部)22と、を備えている。
【0183】
そして、このような構成をしたレセプタクルコネクタ2に上述のプラグコネクタ1を、レセプタクルコネクタ2に対して前後軸に沿って相対移動させることで嵌合させると、プラグハウジング10のロック部12がレセプタクルハウジング20のロック部挿入部22に挿入され、ハウジング本体11が嵌合空間S5に挿入されることとなる。
【0184】
このとき、レバー部121の係合突部121bがレセプタクルハウジング20の天壁211により下方に押圧されることになる。このように、係合突部121bが天壁211により下方に押圧されると、レバー部121の後端部(操作部121a)が下方に移動するように弾性変形して、係合突部121bがロック部挿入部22の奥側まで移動できるようになる。
【0185】
そして、係合突部121bをロック部挿入部22の奥側まで移動させると、天壁211による係合突部121bの下方への押圧が解除されて、レバー部121の弾性復元力により係合突部121bが上方に移動する。そして、係合突部121bが上方に移動することで、レセプタクルコネクタ2に形成された係合凹部221aに係合して、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2とが嵌合状態でロックされることになる。
【0186】
また、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させる途中で、下側レセプタクル端子23の接点部230aの先端が導入口S1bからプラグハウジング10に形成された第1空間S1内に導入されて、下側プラグ端子13の接点部130aに接触する。なお、本実施形態では、略棒状の接点部230aが一対の接触片138,138の間に挿入され、一対の接触片138,138によって挟持されることで、下側プラグ端子13と下側レセプタクル端子23とを導通接続させている。
【0187】
同様に、上側レセプタクル端子24の接点部240aの先端が導入口S2bからプラグハウジング10に形成された第2空間S2内に導入されて、上側プラグ端子14の接点部140aに接触する。なお、本実施形態では、略棒状の接点部240aが一対の接触片148,148の間に挿入され、一対の接触片148,148によって挟持されることで、上側プラグ端子14と上側レセプタクル端子24とを導通接続させている。
【0188】
このように、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させて、プラグ端子13,14とレセプタクル端子23,24とをそれぞれ導通接続させることで、ケーブル1Aと回路基板2Aとを電気的に接続させるコネクタ装置C1が形成される。
【0189】
一方、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2から取り外す際には、まず、レバー部121の操作部121aを押し下げて、レバー部121を下方に移動させる。こうすることで、係合突部121bも下方に移動し、係合突部121bと係合凹部221aとの係合が解除される。そして、係合突部121bと係合凹部221aとの係合を解除した状態で、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に対して抜去方向に引っ張ると、プラグコネクタ1がレセプタクルコネクタ2に対して抜去方向に相対移動することとなる。このように、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に対して抜去方向に相対移動させると、まず、端子同士の導通接続が解除され、その後に、ハウジング同士の嵌合が解除されることとなる。こうして、プラグコネクタ1がレセプタクルコネクタ2から取り外されることになる。
【0190】
ここで、本実施形態では、コネクタ装置C1が、互いに対応するプラグコネクタとレセプタクルコネクタとを嵌合させることはできるが、対応していないプラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させることはできないようにするためのキーコード構造を有するようにしている。
【0191】
具体的には、
図20に示すように、プラグコネクタ1のプラグハウジング10がコード突起17を備えるようにし、レセプタクルコネクタ2のレセプタクルハウジング20が、コード突起17を収容することが可能なコード凹部S9を備えるようにしている。なお、コード突起17を収容することが可能なコード凹部S9は、嵌合空間(相手側内部空間)S5の上側内面S5bにおけるコード突起17と対応する部位に形成されている。
【0192】
そして、このようなキーコード構造を有する構成とした場合であってもプラグハウジング10上に、ロボットアームなどの実装設備によって吸着させるのに十分な吸着領域を確保することができるようにしている。
【0193】
具体的には、プラグハウジング10の上面10aに略水平方向に延在する平坦面16が形成されるようにしている。そして、この平坦面16上にコード突起17を上方に突出するように形成している。
【0194】
本実施形態では、平坦面16は、左右軸の内側が内側ガイド突起1111によって画成されており、左右軸の外側が外側ガイド突起1112によって画成されている。さらに、平坦面16は、前後軸の後方が後側突壁1113によって画成されている。なお、本実施形態では、平坦面16は、前後軸の前方に開放するように形成されている。すなわち、平坦面16は、三方が内側ガイド突起1111、外側ガイド突起1112および後側突壁1113によって画成されており、平面視で、略四角形状をしている(
図21および
図22参照)。
【0195】
そして、内側ガイド突起1111、外側ガイド突起1112および後側突壁1113は、ロック部12が形成されるロック領域(凹部11a)を挟んで左右軸の両側に1つずつ形成されている。そのため、本実施形態では、一対の平坦面16が、ロック領域(凹部11a)を挟んで左右軸の両側にそれぞれ形成されている。
【0196】
このように、本実施形態では、プラグハウジング10の上面10aには、ロック領域(凹部11a)と左右軸において隣接する一対の平坦面16が形成されている。そして、各平坦面16は、前方の最端に位置する前端161と、前端161よりも後側に位置し、後側突壁1113によって画成される後端162と、左右軸においてロック領域側に位置し、内側ガイド突起1111によって画成される内側端163と、内側端163よりも左右軸の外側に位置し、外側ガイド突起1112によって画成される外側端164と、を周囲に有している。
【0197】
そして、各平坦面16に1つのコード突起17がそれぞれ形成されるようにしている。本実施形態では、略直方体状をしたコード突起17をそれぞれの平坦面16上に形成している。したがって、本実施形態では、各コード突起17は、前方に位置する前端面171と、後方に位置する後端面172と、左右軸の内側に位置する内側端面173と、左右軸の外側に位置する外側端面174と、を有している。
【0198】
ここで、本実施形態では、ロボットアームなどの実装設備によって吸着される領域が平坦面16に形成されるようにした状態でコード突起17が形成されるようにしている。具体的には、コード突起17の前後のうちの少なくともいずれかに平坦面16が存在するようにしている。
【0199】
本実施形態では、前後の両側に平坦面16が存在するようにコード突起17を形成している。すなわち、コード突起17の前端面171と平坦面16の前端161との間の第1間隔D1の長さL1がゼロよりも大きく、コード突起17の後端面172と平坦面16の後端162との間の第2間隔D2の長さL2もゼロよりも大きくなるようにしている。
【0200】
なお、本実施形態では、コード突起17は、平坦面16の左右軸の中央に形成されており、コード突起17の左右軸の両側にも平坦面16が存在するようにしている。
【0201】
さらに、コード突起17の前端面171と平坦面16の前端161との間の第1間隔D1の長さL1と、コード突起17の後端面172と平坦面16の後端162との間の第2間隔D2の長さL2とが異なるようにしている。具体的には、コード突起17の前端面171と平坦面16の前端161との間の第1間隔D1の長さL1が、コード突起17の後端面172と平坦面16の後端162との間の第2間隔D2の長さL2よりも短くなるようにしている。
【0202】
このように、本実施形態では、コネクタ装置C1が、互いに対応するプラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2とを嵌合させることはできるが、対応していないプラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させることはできないようにするためのキーコード構造を有している。
【0203】
そして、プラグハウジング10の上面10aに平坦面16を設け、この平坦面16上における前後軸の一方側に偏った位置にコード突起17を設けている。
【0204】
こうすることで、平坦面16における第1間隔D1および第2間隔D2のうちの長さが長い第2間隔D2側(コード突起17の後方)に、内側端163と外側端164との間の全体に亘って平坦となる吸着領域R1が形成されるようにしている。こうすれば、コード突起17の周囲に比較的面積が大きい吸着領域R1を設けることができるようになって、キーコード構造を有する構成とした場合であってもプラグハウジング10上に吸着領域R1を確保することができるようになる。
【0205】
特に、コネクタ装置C1の小型化を図った場合には、プラグハウジング10上に吸着領域を確保することが難しくなるが、本実施形態で示したコネクタ装置C1とすれば、コネクタ装置C1の小型化を図りつつキーコード構造を有する構成とした場合であっても、プラグハウジング10上に吸着領域R1を確保することができるようになる。
【0206】
また、第1間隔D1の長さL1を第2間隔D2の長さL2よりも短くなるようにすれば、プラグハウジング1のレセプタクルハウジング2への挿入の初期段階で、互いに対応するプラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2とを嵌合させているか否かを判断することが可能になる。その結果、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2との嵌合動作をよりスムーズにすることが可能になって、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2との嵌合作業性をより向上させることができるようになる。さらに、プラグハウジング1のレセプタクルハウジング2への挿入の初期段階で、互いに対応するプラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2とを嵌合させているか否かを判断できるようにすれば、対応していないプラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に挿入してしまったことが分かる段階で、プラグ端子とレセプタクル端子とを導通(接触)させないように、コネクタ装置C1を設計することが容易になる。こうすれば、プラグ端子とレセプタクル端子との摩耗をより確実に抑制することが可能になって、端子の接続信頼性をより確実に向上させることができるようになる。
【0207】
さらに、第1間隔D1の長さL1がゼロよりも大きくなるようにすれば、プラグハウジング10の先端をレセプタクルハウジング20に挿入した状態で、互いに対応するプラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2とを嵌合させているか否かを判断することが可能になる。こうすれば、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に挿入できるか否かと、互いに対応するプラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2とを嵌合させているか否かと、を同時に判断する必要がなくなる。
【0208】
例えば、第1間隔D1の長さL1をゼロとすると、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に挿入できるか否かと、互いに対応するプラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2とを嵌合させているか否かと、を同時に判断することになる。
【0209】
この場合、正しいプラグコネクタ1を選択しているが、位置ずれ等によりレセプタクルコネクタ2に嵌合させることができていない状況なのか、誤ったプラグコネクタ1を選択しているためレセプタクルコネクタ2に嵌合させることができない状況なのか、を判断することが難しい。そのため、誤ったプラグコネクタ1を選択しているのに、正しいプラグコネクタ1を選択しつつ上手く挿入できていない状況であると勘違いしてしまうおそれがある。そして、このような勘違いをした場合、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に無理やり押し込もうとしてプラグハウジング10やレセプタクルハウジング20が破損してしまうおそれがある。
【0210】
これに対して、本実施形態のように、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に挿入させた状態で、正しいプラグコネクタ1を選択しているか否かを判断するようにすれば、正しいプラグコネクタ1を選択しているが、位置ずれ等によりレセプタクルコネクタ2に嵌合させることができていない状態であると判断してしまうことがなくなる。その結果、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に無理やり押し込もうとしてプラグハウジング10やレセプタクルハウジング20が破損してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。こうすれば、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2との嵌合動作をよりスムーズにすることが可能になって、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2との嵌合作業性をより向上させることができるようになる。
【0211】
なお、このような技術(第1間隔D1の長さL1がゼロよりも大きくなるようにすること)は、コネクタ装置C1の小型化を図ることでプラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に挿入し難くなっている場合に、特に有効な技術である。
【0212】
さらに、本実施形態では、上述したように、一対の平坦面16が、ロック領域(凹部11a)を挟んで左右軸の両側にそれぞれ形成されており、各平坦面16上には、1つのコード突起17がそれぞれ形成されている。そして、各コード突起17の後方に、内側端163と外側端164との間の全体に亘って平坦となる吸着領域R1が形成されるようにしている。したがって、本実施形態では、吸着領域R1は、ロック領域(凹部11a)に対して左右軸の一方側に形成された第1吸着領域R11と、ロック領域(凹部11a)に対して左右軸の他方側に形成された第2吸着領域R12と、を有している。
【0213】
そして、本実施形態では、プラグコネクタ1の重心Gが、平面視において第1吸着領域R11と第2吸着領域R12の間に位置するようにしている。
【0214】
こうすることで、ロボットアームなどの実装設備によってプラグコネクタ1をより安定して移動させることができるようにし、プラグコネクタ1のケーブル(被接続部材)1Aへの実装作業性をより向上させることができるようにしている。
【0215】
そして、このようなキーコード構造を有するコネクタ装置は、例えば、コード突起17の形状を変形したり、コード突起17の位置を変更したりすることで、複数種類形成することが可能である。
【0216】
例えば、コード突起17の位置を変更することで、コネクタ装置C1とは別に、
図23~
図27に示すコネクタ装置C2を得ることが可能である。
【0217】
コネクタ装置C2もプラグコネクタ1およびレセプタクルコネクタ2を備えており、コード突起17の位置およびコード凹部S9の位置がコネクタ装置C1とは異なるだけで、それ以外の構成は、コネクタ装置C1と同様である。
【0218】
図23~
図27に示すコネクタ装置C2では、コード突起17は、左右軸の内側にずれた位置に形成されている。具体的には、コード突起17は、平坦面16の内側端163と繋がるように形成されている。こうすることで、平坦面16に、吸着領域R1と連設し、コード突起17と外側端164との間の全体に亘って平坦となる横領域R2が形成されるようにしている。
【0219】
こうすれば、プラグハウジング10上に、より大きな面積の吸着領域(吸着領域R1および横領域R2)を確保することができるようになって、プラグコネクタ1のケーブル(被接続部材)1Aへの実装作業性をより向上させることができるようになる。また、正しいプラグコネクタ1を選択しているか否かを目視によって容易に確認することができるようにもなるため、誤ったプラグコネクタ1を選択してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
【0220】
また、コード突起17の位置を変更することで、コネクタ装置C1やコネクタ装置C2とは別に、
図28~
図32に示すコネクタ装置C3を得ることも可能である。
【0221】
コネクタ装置C3もプラグコネクタ1およびレセプタクルコネクタ2を備えており、コード突起17の位置およびコード凹部S9の位置がコネクタ装置C1とは異なるだけで、それ以外の構成は、コネクタ装置C1と同様である。
【0222】
図28~
図32に示すコネクタ装置C3では、コード突起17は、左右軸の外側にずれた位置に形成されている。具体的には、コード突起17は、平坦面16の外側端164と繋がるように形成されている。こうすることで、平坦面16に、吸着領域R1と連設し、コード突起17と内側端163との間の全体に亘って平坦となる横領域R2が形成されるようにしている。
【0223】
こうすることでも、プラグハウジング10上に、より大きな面積の吸着領域(吸着領域R1および横領域R2)を確保することができるようになって、プラグコネクタ1のケーブル(被接続部材)1Aへの実装作業性をより向上させることができるようになる。また、正しいプラグコネクタ1を選択しているか否かを目視によって容易に確認することができるようにもなるため、誤ったプラグコネクタ1を選択してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
【0224】
そして、異なる位置に同一の形状をしたコード突起17が形成されたコネクタ装置を複数種類用意するようにすれば、ある種類のレセプタクルコネクタ2に違う種類のプラグコネクタ1(対応していないプラグコネクタ1)を嵌合させることができなくなるようにすることが可能になる。すなわち、それぞれのコネクタ装置が互いに異なるキーコード構造を有するようにすることが可能になる。
【0225】
そのため、例えば、1枚の基板2Aに同芯数のコネクタ装置を2個以上使用する際には、互いに異なるキーコード構造を有するコネクタ装置を1枚の基板2Aに実装させるようにすることで、誤嵌合を防止できるようにするのが好ましい。
【0226】
例えば、
図33に示すように、コネクタ装置の基板への実装構造K1が、1枚の基板2Aに2つのコネクタ装置を実装させる構造となっている場合には、一方のコネクタ装置をコネクタ装置C1とし、他方のコネクタ装置をコネクタ装置C2とすることができる。なお、1枚の基板2Aに実装される2つのコネクタ装置は、コネクタ装置C1とコネクタ装置C3でもよいし、コネクタ装置C2とコネクタ装置C3でもよい。
【0227】
このように、1枚の基板2Aに実装される2つのコネクタ装置が、異なるキーコード構造を有するコネクタ装置(コネクタ装置C1とコネクタ装置C2)となるようにすれば、
図34に示すように、コネクタ装置C2のレセプタクルコネクタ2にコネクタ装置C1のプラグコネクタ1を嵌合させた場合には、コード突起17がレセプタクルハウジング20に干渉して、それ以上プラグコネクタ1を奥側に移動させることができなくなる。
【0228】
そのため、誤ったプラグコネクタ1を選択してしまったことをより容易に判断することが可能になる。
【0229】
なお、コード突起17を形成した際に平坦面16に形成される第1間隔D1の長さL1と第2間隔D2の長さL2は適宜設定することが可能である。
【0230】
例えば、
図35~
図39に示すように、第1間隔D1の長さL1がゼロとなるようにコード突起17を形成したコネクタ装置C4とすることも可能である。
【0231】
このコネクタ装置C4もプラグコネクタ1およびレセプタクルコネクタ2を備えており、コード突起17の前後軸の位置がコネクタ装置C1とは異なるだけで、それ以外の構成は、コネクタ装置C1と同様である。
【0232】
なお、
図35~
図39には、コネクタ装置C1で用いたプラグコネクタ1に形成したコード突起17を、前端まで前後軸に沿って平行移動させたものを例示したが、コネクタ装置C2,C3で用いたプラグコネクタ1に形成したコード突起17を、前端まで前後軸に沿って平行移動させた構成とすることも可能である。
【0233】
さらに、本実施形態では、上述したように、コネクタ装置C1~C4に形成されたロック領域(凹部11a)が、プラグコネクタ1に前後軸に沿ってスライドできるように保持されてプラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2との嵌合の完了を確認することが可能なスライド部材3が挿入される挿入空間S6を有している。すなわち、プラグコネクタ1は、スライド部材3がスライド可能に保持されるようになっている。
【0234】
このスライド部材3は、プラグコネクタ1のレセプタクルコネクタ2への嵌合が完了していない状態では、第1位置としての初期位置から第2位置としてのスライド完了位置へのスライド移動が規制されるように、プラグコネクタ1にスライド可能に取り付けられている。なお、第1位置および第2位置は適宜設定することができる。
【0235】
そして、プラグコネクタ1のレセプタクルコネクタ2への嵌合が完了した状態になると、初期位置からスライド完了位置へのスライド移動が許容されるように構成されている。このような構成とすることで、スライド部材3の初期位置からスライド完了位置へのスライドによって、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2との嵌合の完了を確認できるようになっている。
【0236】
そのため、コネクタ装置の基板への実装構造K1が、コネクタ位置保証(Connector Position Assurance;CPA)機能を有しており、スライド部材3をCPA部材として機能させているコネクタ装置C5を有するようにすることも可能である。
【0237】
なお、
図40~
図49には、コネクタ装置C1で用いたプラグコネクタ1にスライド部材3をスライド可能に保持させたものを例示したが、コネクタ装置C2~C4で用いたプラグコネクタ1にも、同様の方法でスライド部材3をスライド可能に保持させることが可能である。
【0238】
[スライド部材3の構成例]
次に、スライド部材3の構成の一例を、
図41および
図42に基づき説明する。
【0239】
スライド部材3は、略矩形板状の本体部31を備えており、この本体部31の上部に取手31aが形成されている。
【0240】
また、本体部31の下部における左右軸の両側には、一対の下側アーム部32が前後軸の前方に延びるように連設されている。一対の下側アーム部32は、片持ち状態で本体部31に連設されており、左右軸に弾性変形できるように形成されている。この下側アーム部32の先端(前端)には、左右軸の外側に突出するように係止突部(抜け止め部)32aが形成されている。
【0241】
一方、本体部31の上部における左右軸の両側には、一対の上側アーム部33が前後軸の前方に延びるように連設されている。一対の上側アーム部33は、片持ち状態で本体部31に連設されており、上下軸(端子の挿入方向と交差する方向)に弾性変形できるように形成されている。本実施形態では、一対の上側アーム部33は、根元側(本体部31に連設される側)が幅広となるように形成されている。そして、上側アーム部33の先端(前端)には、上方に突出するように係合突部(係合部)33bが形成されている。
【0242】
また、上側アーム部33の前後軸の略中央部には、上方に突出する突部33aが形成されている。
【0243】
そして、本体部31の下部における左右軸の中央には、前方かつ上方に延在する規制突部(規制部)31bが形成されている。
【0244】
さらに、本実施形態では、下側アーム部32の先端(前端)に、上方に突出する突部32bが形成されており、下側アーム部32の先端の上下軸の厚さが、下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間(上下軸の最大距離)よりも大きくなるようにしている。すなわち、本実施形態のスライド部材3では、下側アーム部32の先端に突部32bを形成している。そして、突部32bが形成されている部位における下側アーム部32の厚さが、下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間(上下軸の最大距離)よりも大きくなるようにしている。また、上側アーム部33の先端(前端)に、下方に突出する突部33cが形成されており、上側アーム部33の先端の上下軸の厚さが、下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間(上下軸の最大距離)よりも大きくなるようにしている。すなわち、本実施形態のスライド部材3では、上側アーム部33の先端に突部33cを形成している。そして、突部33cが形成されている部位における上側アーム部33の厚さが、下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間(上下軸の最大距離)よりも大きくなるようにしている。このとき、下側アーム部32は、先端が上側アーム部33の先端よりも前方に突出するように形成されており、上側アーム部33を上下軸に弾性変形させた際に突部33cと突部32bとが干渉しないようにしている。
【0245】
さらに、前方に突出している下側アーム部32の先端側の幅も、下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間(上下軸の最大距離)よりも大きくなるようにしている。
【0246】
こうすることで、スライド部材3の下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間に、他のスライド部材3の下側アーム部32や上側アーム部33が挿入されて、アーム部同士が絡まってしまうことを抑制できるようにしている。このように、本実施形態にかかるスライド部材3は、上側アーム部33の上下軸への弾性変形を邪魔することなく、アーム部同士の絡まりを抑制することができるように構成されている。
【0247】
次に、スライド部材3の動作の一例を、
図43~
図49に基づき説明する。
【0248】
上述したように、本実施形態では、このスライド部材3をCPA部材として機能させている。すなわち、スライド部材3は、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への嵌合が完了していない状態では、初期位置(第1位置)からスライド完了位置(第1位置)へのスライド移動が規制されるように、プラグハウジング10にスライド可能に取り付けられている。そして、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への嵌合が完了した状態になると、初期位置からスライド完了位置へのスライド移動が許容されるように構成されている。
【0249】
具体的には、スライド部材3は、下側アーム部32の先端を左右軸の内側に撓ませた状態で挿入空間S6に挿入するようになっている。このとき、上側アーム部33の先端も挿入空間S6に挿入されることとなる。
【0250】
そして、下側アーム部32および上側アーム部33の先端を挿入空間S6に挿入させた状態で、スライド部材3を前方に所定量だけ移動させる(挿入する)と、下側アーム部32の先端が、凹部11aを画成する内側ガイド突起1111に形成された段差部1111bよりも前方に移動することとなる。このように、下側アーム部32の先端が段差部1111bよりも前方に移動すると、下側アーム部32が弾性復元力により互いに開く方向(左右軸の外側)に移動し、下側アーム部32の係止突部32aが段差部1111bに係止されることとなる。こうして、スライド部材3は、ハウジング本体11からの抜けが抑制された状態で、プラグハウジング10にスライド可能に保持される(仮保持される)こととなる(
図46参照)。
【0251】
なお、下側アーム部32の係止突部32aを段差部1111bに係止させた状態では、上側アーム部33は、突部33aが、規制突部(スライド規制部)1114の後方に、当該規制突部(スライド規制部)1114と対向するように配置されることとなる(
図47参照)。
【0252】
したがって、レセプタクルハウジング20に嵌合していないプラグハウジング10にスライド部材3を仮保持した状態で、スライド部材3を前方にスライドさせようとすると、上側アーム部33の突部33aが規制突部1114に突き当たるため、スライド部材3のそれ以上の前方への移動が規制されることとなる。
【0253】
本実施形態では、このような構成とすることで、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への嵌合が完了していない状態では、スライド部材3が初期位置からスライド完了位置へとスライドさせることができないようにしている。なお、本実施形態では、下側アーム部32の係止突部32aを段差部1111bに係止させた状態を、スライド部材3の初期位置としている。
【0254】
そして、スライド部材3を仮保持させたプラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させると、嵌合開始から嵌合完了までの間に、上側アーム部33の係合突部33bが天壁211の突部211cに当接して下方に押し下げられることとなる。そして、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20との嵌合が完了した状態においては、係合突部33bの先端が突部211cの下面に当接して、上側アーム部33が下方に撓んだ状態となる。このとき、上側アーム部33の突部33aも下方に移動して、規制突部(スライド規制部)1114よりも下側に位置することとなる(
図48参照)。
【0255】
したがって、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させると、規制突部1114による突部33aの前方への移動の規制が解除されるため、スライド部材3を前方にスライドさせることができるようになる。このように、本実施形態では、上下に弾性変形可能な上側アーム部33と、この上側アーム部33に、規制突部1114に当接可能に形成された突部33aと、をスライドロック機構として機能させている。
【0256】
そして、スライド部材3を前方にスライドさせて、上側アーム部33の係合突部33bを天壁211の突部211cの前端に係止させることで、このスライド部材3によっても、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合状態でロックしている(
図49参照)。なお、本実施形態では、上側アーム部33の係合突部33bを天壁211の突部211cの前端に係止させた状態を、スライド部材3のスライド完了位置(完了位置:第2位置)としている。
【0257】
こうすることで、コネクタ装置C5は、レバー部121およびスライド部材3により二重にロックされることとなる。
【0258】
さらに、本実施形態では、スライド部材3をスライド完了位置(完了位置)までスライドさせると、規制突部(規制部)31bが撓み許容空間S7に挿入されるようにしている。そして、撓み許容空間S7に挿入された規制突部31bによって、レバー部121の下方への移動が規制されるようにしている。このとき、レバー部121が規制突部31bに当接した状態でも、係合突部121bと係合凹部221aとが係合しているように、規制突部31bの上方への突出量を設定するのが好ましい。こうすれば、スライド部材3によるロックを解除させない限り、レバー部121によるロックが解除されないようにすることができ、より確実にロック状態を維持できるようになる。
【0259】
なお、レバー部121およびスライド部材3により二重にロックされたコネクタ装置C5の嵌合を解除する場合、まず、スライド完了位置にあるスライド部材3を初期位置までスライドさせることとなる。本実施形態では、スライド部材3を後方(初期位置側)まで強く引っ張ることで、係合突部33bと突部211cとの係止が解除されるようになっている。したがって、例えば、操作者等が取手31aを把持してスライド部材3を後方に強く引っ張るようにすれば、スライド部材3は初期位置までスライドすることとなる。
【0260】
このように、スライド部材3を初期位置までスライドさせることで、レバー部121の下方への移動の規制が解除され、レバー部121によるロックを解除できるようになる。
【0261】
そして、上述したプラグコネクタ1のレセプタクルコネクタ2からの取り外し作業を行うことで、プラグコネクタ1がレセプタクルコネクタ2から取り外されることになる。
【0262】
このようなコネクタ装置C5とすることでも、キーコード構造を有する構成とした場合にプラグハウジング10上に吸着領域を確保することができるようになる。
【0263】
(付記)
以上の実施形態の記載により、下記の技術が開示される。
【0264】
(技術1)プラグコネクタと、前記プラグコネクタに対して前後軸に沿って相対移動させることで前記プラグコネクタが嵌合することが可能なレセプタクルコネクタと、を備え、前記プラグコネクタは、上下軸の上方と下方にそれぞれ位置する上面と下面とを有するプラグハウジングと、前記プラグハウジングの内部空間に、一部を前記前後軸の後方から表出した状態で収容されるプラグ端子と、前記プラグコネクタと前記レセプタクルコネクタとが嵌合した状態で、前記プラグコネクタの前記レセプタクルコネクタに対する前記前後軸に沿った相対移動を規制することが可能なロック部と、を備え、前記レセプタクルコネクタは、前記プラグハウジングを収容することが可能な相手側内部空間を有するレセプタクルハウジングと、前記プラグ端子と電気的に接続することが可能なレセプタクル端子と、前記ロック部に係合する被ロック部と、を備え、前記プラグハウジングは、前記上面に形成された平坦面と、前記平坦面から上方に突出するコード突起と、前記平坦面と左右軸において隣接し、前記ロック部が形成されたロック領域と、を備え、前記レセプタクルハウジングは、前記相手側内部空間の上側内面に形成されて前記コード突起を収容することが可能なコード凹部を備え、前記平坦面は、前方の最端に位置する前端と、前記前端よりも後側に位置する後端と、前記左右軸において前記ロック領域側に位置する内側端と、前記内側端よりも前記左右軸の外側に位置する外側端と、を周囲に有し、前記コード突起は、前方に位置する前端面と、後方に位置する後端面と、を有し、前記コード突起の前記前端面と前記平坦面の前記前端との間の第1間隔の長さと前記コード突起の前記後端面と前記平坦面の前記後端との間の第2間隔の長さとが異なっており、前記平坦面における前記第1間隔および前記第2間隔のうちの長さが長い方の領域に、前記内側端と前記外側端との間の全体に亘って平坦となる吸着領域が形成されている、コネクタ装置。
【0265】
このように、技術1のコネクタ装置は、互いに対応するプラグコネクタとレセプタクルコネクタとを嵌合させることはできるが、対応していないプラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させることはできないようにするためのキーコード構造を有する装置である。
【0266】
そして、プラグハウジングの上面に平坦面を設け、この平坦面上における前後軸の一方側に偏った位置にコード突起を設けている。こうすれば、コード突起の周囲に比較的面積が大きい吸着領域を設けることができるようになる。
【0267】
したがって、技術1のコネクタ装置とすれば、キーコード構造を有する構成とした場合であってもプラグハウジング上に吸着領域を確保することができるようになる。
【0268】
特に、コネクタ装置の小型化を図った場合には、プラグハウジング上に吸着領域を確保することが難しくなるが、技術1のコネクタ装置とすれば、コネクタ装置の小型化を図りつつ、キーコード構造を有する構成とした場合であってもプラグハウジング上に吸着領域を確保することができるようになる。
【0269】
(技術2)前記第1間隔の長さが前記第2間隔の長さよりも短い、技術1に記載のコネクタ装置。
【0270】
こうすれば、プラグハウジングのレセプタクルハウジングへの挿入の初期段階で、互いに対応するプラグコネクタとレセプタクルコネクタとを嵌合させているか否かを判断することが可能になる。その結果、プラグコネクタとレセプタクルコネクタとの嵌合動作をよりスムーズにすることが可能になって、プラグコネクタとレセプタクルコネクタとの嵌合作業性をより向上させることができるようになる。
【0271】
(技術3)前記吸着領域は、前記ロック領域に対して前記左右軸の一方側に形成された第1吸着領域と、前記ロック領域に対して前記左右軸の他方側に形成された第2吸着領域と、を有し、前記プラグコネクタの重心は、平面視において前記第1吸着領域と前記第2吸着領域の間に位置する、技術1または技術2に記載のコネクタ装置。
【0272】
こうすれば、ロボットアームなどの実装設備によってプラグコネクタをより安定して移動させることができるようになる。その結果、プラグコネクタの被接続部材への実装作業性をより向上させることができるようになる。
【0273】
(技術4)前記第1間隔の長さがゼロよりも大きい、技術1~技術3のうちいずれか1つの技術に記載のコネクタ装置。
【0274】
こうすれば、プラグハウジングの先端をレセプタクルハウジングに挿入した状態で、互いに対応するプラグコネクタとレセプタクルコネクタとを嵌合させているか否かを判断することになる。そのため、プラグハウジングをレセプタクルハウジングに挿入できるか否かと、互いに対応するプラグコネクタとレセプタクルコネクタとを嵌合させているか否かと、を同時に判断する必要がなくなる。
【0275】
例えば、第1間隔の長さをゼロとすると、プラグハウジングをレセプタクルハウジングに挿入できるか否かと、互いに対応するプラグコネクタとレセプタクルコネクタとを嵌合させているか否かと、を同時に判断することになる。
【0276】
この場合、正しいプラグコネクタを選択しているが、位置ずれ等によりレセプタクルコネクタに嵌合させることができていないのか、誤ったプラグコネクタを選択しているためレセプタクルコネクタに嵌合させることができていないのか、を判断することが難しい。そのため、誤ったプラグコネクタを選択しているのに、正しいプラグコネクタを選択しつつ上手く挿入できていない状況であると勘違いしてしまうおそれがある。そして、このような勘違いをした場合、プラグハウジングをレセプタクルハウジングに無理やり押し込もうとしてプラグハウジングやレセプタクルハウジングが破損してしまうおそれがある。
【0277】
これに対して、技術4のように、プラグハウジングをレセプタクルハウジングに挿入させた状態で、正しいプラグコネクタを選択しているか否かを判断するようにすれば、正しいプラグコネクタを選択しているが、位置ずれ等によりレセプタクルコネクタに嵌合させることができていない状態であると判断してしまうことがなくなる。その結果、プラグハウジングをレセプタクルハウジングに無理やり押し込もうとしてプラグハウジングやレセプタクルハウジングが破損してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。こうすれば、プラグコネクタとレセプタクルコネクタとの嵌合動作をよりスムーズにすることが可能になって、プラグコネクタとレセプタクルコネクタとの嵌合作業性をより向上させることができるようになる。
【0278】
なお、このような技術(技術4の構成とすること)は、コネクタ装置の小型化を図ることでプラグハウジングをレセプタクルハウジングに挿入し難くなっている場合に、特に有効な技術である。
【0279】
(技術5)前記コード突起は、前記平坦面の前記内側端または前記外側端と繋がるように形成されており、前記平坦面には、前記吸着領域と連設し、前記コード突起と前記外側端との間または前記コード突起と前記内側端との間の全体に亘って平坦となる横領域が形成されている、技術1~技術4のうちいずれか1つの技術に記載のコネクタ装置。
【0280】
こうすれば、プラグハウジング上に、より大きな面積の吸着領域を確保することができるようになって、プラグコネクタの被接続部材への実装作業性をより向上させることができるようになる。また、正しいプラグコネクタを選択しているか否かを目視によって容易に確認することができるようにもなるため、誤ったプラグコネクタを選択してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
【0281】
(技術6)前記プラグ端子は、前記プラグハウジングの下方において被接続部材に接続可能な実装部を有し、前記プラグハウジングは、前記プラグコネクタの下端において被接続部材が配置される収容凹部を有する、技術1~技術5のうちいずれか1つの技術に記載のコネクタ装置。
【0282】
こうすれば、いわゆる水平タイプのプラグコネクタがキーコード構造を有する場合であっても、プラグハウジング上に吸着領域を確保することができるようになる。
【0283】
(技術7)前記ロック領域は、前記プラグコネクタに前記前後軸に沿ってスライドできるように保持されて前記プラグコネクタと前記レセプタクルコネクタとの嵌合の完了を確認することが可能なスライド部材が挿入される挿入空間を有する、技術1~技術6のうちいずれか1つの技術に記載のコネクタ装置。
【0284】
こうすれば、コネクタ位置保証(Connector Position Assurance;CPA)機能を有するコネクタ装置がキーコード構造を有する場合であっても、プラグハウジング上に吸着領域を確保することができるようになる。
【0285】
(技術8)技術1~技術7のうちいずれか1つの技術に記載のコネクタ装置で用いられるプラグコネクタ。
【0286】
こうすれば、キーコード構造を有するプラグコネクタとした場合であっても、プラグハウジング上に吸着領域を確保することができるようになる。
【0287】
[その他]
以上、本開示にかかるコネクタ装置およびプラグコネクタの内容を説明したが、これらの記載に限定されるものではなく、種々の変形および改良が可能であることは、当業者には自明である。
【0288】
例えば、上記実施形態およびその変形例で示した構成の変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態に本開示を適用することができる。また、上記実施形態およびその変形例で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0289】
また、上記実施形態およびその変形例では、複数の端子が上下の2段に配置されたものを例示したが、複数の端子が3段以上に配置されたコネクタとすることも可能である。
【0290】
また、第1間隔の長さが第2間隔の長さよりも長くなるようにコード突起を平坦面上に設けるようにすることも可能である。
【0291】
また、上記実施形態およびその変形例では、2種類のコネクタ装置を1枚の基板に実装させるようにしたものを例示したが、3種類以上のコネクタ装置を1枚の基板に実装させるようにすることも可能である。この場合、1枚の基板に実装される種類以上の種類のコネクタ装置を準備する(設計する)のが好ましい。
【0292】
また、コネクタ装置の基板への実装構造は、CPA機能を持っているコネクタ装置とCPA機能を持っていないコネクタ装置とを1枚の基板に実装させた構成とすることも可能である。
【0293】
また、上記実施形態およびその変形例では、スライド部材が挿入される挿入空間を有するコネクタ装置、すなわち、CPA機能を持たせることが可能なコネクタ装置を、CPA機能を持たないコネクタ装置として用いたものを例示したが、CPA機能を持たないコネクタ装置として、スライド部材が挿入される挿入空間を有していないコネクタ装置、すなわち、CPA機能を持たせることができないコネクタ装置を用いることも可能である。
【0294】
また、同一の段に配置される端子の形状を同一の形状としたコネクタを例示したが、同一の段に複数種類の端子が配置されたコネクタとすることも可能である。
【0295】
また、上記実施形態およびその変形例では、いわゆる水平タイプのレセプタクルコネクタを例示したが、レセプタクルハウジングの前後軸の後端側でレセプタクル端子を相手側基板に実装する、いわゆる垂直タイプのレセプタクルコネクタとすることも可能である。
【0296】
また、基板同士やケーブル同士を電気的に接続するコネクタ(プラグコネクタやレセプタクルコネクタ)に本開示を適用してもよい。また、電線と基板とを電気的に接続するコネクタ(プラグコネクタやレセプタクルコネクタ)に本開示を適用してもよい。
【0297】
また、ハウジング(プラグハウジングやレセプタクルハウジング)や端子(プラグ端子やレセプタクル端子)、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0298】
1 プラグコネクタ
10 プラグハウジング
10a 上面
10b 下面
11a 凹部(ロック領域)
1123 凹部(収容凹部)
12 ロック部
13 下側プラグ端子(プラグ端子)
14 上側プラグ端子(プラグ端子)
16 平坦面
161 前端
162 後端
163 内側端
164 外側端
17 コード突起
171 前端面
172 後端面
1A ケーブル(被接続部材)
2 レセプタクルコネクタ
20 レセプタクルハウジング
22 ロック部挿入部(被ロック部)
23 下側レセプタクル端子(レセプタクル端子)
24 上側レセプタクル端子(レセプタクル端子)
3 スライド部材
C1 コネクタ装置
C2 コネクタ装置
C3 コネクタ装置
C4 コネクタ装置
C5 コネクタ装置
D1 第1間隔(前側)
D2 第2間隔(後側)
G プラグコネクタの重心
L1 第1間隔の長さ
L2 第2間隔の長さ
R1 吸着領域
R11 第1吸着領域
R12 第2吸着領域
R2 横領域
S1 第1空間(内部空間)
S2 第2空間(内部空間)
S5 嵌合空間(相手側内部空間)
S6 挿入空間
S9 コード凹部