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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025105012
(43)【公開日】2025-07-10
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20250703BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20250703BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20250703BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20250703BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G15/01 Y
G03G15/16 103
G03G15/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223260
(22)【出願日】2023-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永田 哲平
(72)【発明者】
【氏名】仲川 智仁
(72)【発明者】
【氏名】添田 幸寛
【テーマコード(参考)】
2H200
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2H200JA02
2H200JB06
2H200JB13
2H200JC03
2H200PA02
2H270KA04
2H270KA32
2H270LA26
2H270LC02
2H270LC06
2H270LD09
2H270LD14
2H270LD15
2H270MA07
2H270MB16
2H270MB27
2H270MB28
2H270MB52
2H270MB53
2H270MB55
2H270MD04
2H270MD06
2H270PA26
2H270QB04
2H270RB05
2H270RC10
2H300EA05
2H300EB07
2H300EB12
2H300EC05
2H300EH16
2H300EJ09
2H300EJ47
2H300EK03
2H300GG02
2H300GG07
2H300GG08
2H300GG09
2H300GG21
2H300QQ10
2H300TT03
2H300TT04
(57)【要約】
【課題】画像形成位置を高精度に調整する。
【解決手段】画像形成装置は、画像形成条件に基づきシートに画像を形成する画像形成手段と、シートを搬送方向に搬送する搬送手段と、シートの搬送方向の長さを測定する測定手段と、シートを読み取る読取手段と、画像形成手段によって調整パターンをシートに形成し、読取手段による調整パターンの読取結果と、調整パターンが形成されたシートの搬送方向の先端から画像形成領域までの搬送方向における第1距離の第1目標値と、調整パターンが形成されたシートの搬送方向の後端から画像形成領域までの搬送方向における第2距離の第2目標値と、に基づき画像形成条件を生成する制御手段と、を備え、制御手段は、第1目標値及び第2目標値の内の少なくとも一方を、調整パターンが形成されたシートの測定手段による測定値に基づき決定する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成条件に基づきシートに画像を形成する画像形成手段と、
前記シートを搬送方向に沿って搬送する搬送手段と、
前記シートの前記搬送方向の長さを測定する測定手段と、
前記シートを読み取る読取手段と、
前記画像形成手段によって調整パターンをシートに形成し、前記読取手段による前記調整パターンの読取結果と、前記調整パターンが形成された前記シートの前記搬送方向の先端から前記画像形成手段によりシート上の画像が形成される画像形成領域までの前記搬送方向における第1距離の第1目標値と、前記調整パターンが形成された前記シートの前記搬送方向の後端から前記画像形成領域までの前記搬送方向における第2距離の第2目標値と、に基づき前記画像形成条件を生成する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記第1目標値及び前記第2目標値の内の少なくとも一方を、前記調整パターンが形成された前記シートの前記測定手段による測定値に基づき決定する、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1目標値及び前記第2目標値の内の少なくとも一方を、前記画像形成領域の前記搬送方向における長さと前記測定値との差分に基づき決定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記シートの種別及び前記シートを搬送する際の前記シートの向きに基づき、前記画像形成領域の前記搬送方向における長さを判定する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1目標値と前記第2目標値との比に基づき前記差分を前記第1目標値及び前記第2目標値に分配することで、前記第1目標値及び前記第2目標値を決定する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記シートの種別及び前記シートを搬送する際の前記シートの向きに基づき、前記第1目標値と前記第2目標値との前記比を判定する、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1目標値及び前記第2目標値の内の一方の値を、前記差分から前記第1目標値及び前記第2目標値の内の他方の値を減ずることで決定する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記シートの種別及び前記シートを搬送する際の前記シートの向きに基づき、前記第1目標値及び前記第2目標値の内の他方の値を決定する、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記調整パターンが形成された前記シートの前記搬送方向と平行な2つの辺の内の一方の辺から前記画像形成領域までの前記搬送方向とは直交する幅方向における第3距離の第3目標値と、前記調整パターンが形成された前記シートの前記搬送方向と平行な2つの辺の内の他方の辺から前記画像形成領域までの前記幅方向における第4距離の第4目標値と、にさらに基づき前記画像形成条件を生成する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記調整パターンは、前記第1距離、前記第2距離、前記第3距離及び前記第4距離を判定するためのパターンであり、
前記制御手段は、前記調整パターンの前記読取結果に基づき判定した前記第1距離、前記第2距離、前記第3距離及び前記第4距離を前記第1目標値、前記第2目標値、前記第3目標値及び前記第4目標値に近づけるように前記画像形成条件を生成する、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記調整パターンは、前記シートにおいて前記画像形成領域とは異なる領域に形成される、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記画像形成手段を制御することで、前記画像と共に前記調整パターンを前記シートに形成する、請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像形成手段は、前記シートに前記画像を定着させる定着手段を備え、
前記測定手段は、前記搬送方向において前記定着手段よりも下流側で前記シートの前記搬送方向の長さを測定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記読取手段は、前記搬送方向において前記測定手段よりも下流側で前記シートを読み取る、請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記測定手段は、前記搬送手段によって搬送される前記シートを検出する接触式又は非接触式のセンサを有し、前記搬送手段によって搬送される前記シートを検出していた期間に基づき前記シートの前記搬送方向の長さを測定する、請求項1から13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記測定手段は、前記シートを検出する非接触式のセンサを有し、かつ、前記搬送方向に移動可能に構成され、前記測定手段が前記搬送方向に移動している間に前記シートを検出していた期間に基づき前記シートの前記搬送方向の長さを測定する、請求項1から13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記測定手段が前記シートの前記搬送方向の長さを測定している間、前記搬送手段による前記シートの搬送を停止する、請求項15に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートへの画像形成位置の調整技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、シートへの画像形成位置(印刷位置)を精度よく制御することが求められ得る。また、シートの両面に画像を印刷する場合、シートの表面(第1面)及び裏面(第2面)の画像形成位置にズレが生じない様に制御することが求められ得る。シートの表面及び裏面の画像形成位置にズレが生じない様に制御することは、"表裏見当合わせ"とも呼ばれる。
【0003】
特許文献1は、シートに特定パターンを形成し、シートに形成された特定パターンの読取結果に基づき、シートへの画像形成位置を制御する構成を開示している。また、特許文献2は、シートに形成された画像をイメージセンサで読み取る構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-221582号公報
【特許文献2】特許第5572993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、カットシートを使用する場合、カットシートのサイズは、断裁精度により目標値(公称値)から変動し得る。また、シートのサイズは、シートへの画像の定着処理によっても変動し得る。画像形成位置を調整するための特定パターンを形成したシートのサイズがその公称値とは異なる場合、画像形成位置を高精度に調整することができなかった。
【0006】
本発明は、画像形成位置を高精度に調整することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によると、画像形成装置は、画像形成条件に基づきシートに画像を形成する画像形成手段と、前記シートを搬送方向に沿って搬送する搬送手段と、前記シートの前記搬送方向の長さを測定する測定手段と、前記シートを読み取る読取手段と、前記画像形成手段によって調整パターンをシートに形成し、前記読取手段による前記調整パターンの読取結果と、前記調整パターンが形成された前記シートの前記搬送方向の先端から前記画像形成手段によりシート上の画像が形成される画像形成領域までの前記搬送方向における第1距離の第1目標値と、前記調整パターンが形成された前記シートの前記搬送方向の後端から前記画像形成領域までの前記搬送方向における第2距離の第2目標値と、に基づき前記画像形成条件を生成する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1目標値及び前記第2目標値の内の少なくとも一方を、前記調整パターンが形成された前記シートの前記測定手段による測定値に基づき決定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、画像形成位置を高精度に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成装置の概略的な断面図。
図2】調整ユニットの概略的な断面図。
図3】測定部の概略的な構成例を示す図。
図4】測定部の概略的な別の構成例を示す図
図5】読取部の概略的な構成図。
図6】画像形成装置の制御構成図。
図7】幾何補正情報の例を示す図。
図8】位置調整パターンの例を示す図。
図9】シートの搬送方向の長さが変動した場合の画像形成領域への影響の説明図。
図10】シートの搬送方向の長さの変動の影響を抑えた画像形成領域を示す図。
図11】位置調整処理のフローチャート。
図12】位置調整処理に関して操作部に表示される画面例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
なお、以下では、電子写真方式の画像形成装置を用いて実施形態の説明を行うが、本開示内容は、インクジェット方式等の他の方式の画像形成装置に対しても適用可能である。
【0012】
図1は、本実施形態による画像形成装置100の概略的な断面図である。画像形成装置100は、プリンタ部101と、操作部180と、調整ユニット200と、後処理ユニット600と、を備えている。図1には示していないが、画像形成装置100は、画像形成装置100の全体を制御するコントローラ103(図6)と、コントローラ103の制御の下、図1に示す各部材を制御してシートへの画像形成を制御するエンジン制御部312(図6)と、を有する。操作部180は、キーボタンやタッチパネル等を有し、ユーザインタフェースを提供する。
【0013】
プリンタ部101は、画像データに基づきシートに画像を形成する。プリンタ部101は、色成分毎の画像を形成する4つの画像形成部120、121、122及び123を有する。画像形成部120~123は、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成する。画像形成部120~123は、画像形成に使用するトナーの色以外は同様の構成であるため、以下では代表してイエローの画像を形成する画像形成部120の構成について説明する。
【0014】
感光体105は、画像形成時、図の反時計回り方向に回転駆動される。帯電器111は感光体105を帯電させる。走査ユニット107は、画像データに基づき感光体105をレーザ光で走査することで、感光体105に静電潜像を形成する。走査ユニット107は、レーザ光を射出する光源108と、光源108が射出したレーザ光を感光体105に向けて反射すると共に、感光体105においてレーザ光を主走査方向に移動させるためのポリゴンミラー109と、を有する。なお、主走査方向は、感光体105の回転軸と平行な方向である。また、感光体105の周方向は、副走査方向として参照される。副走査方向は、主走査方向とは直交する方向である。現像器112は、イエローのトナーにより感光体105の静電潜像を現像することで、感光体105にイエローのトナーによる画像を形成する。感光体105に形成された画像は、中間転写ベルト106に転写される。なお、4つの画像形成部120~123それぞれの感光体105に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの画像を中間転写ベルト106に重ねて転写することで、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックとは異なる色を再現することができる。
【0015】
中間転写ベルト106は、画像形成時、図の時計回り方向に回転駆動される。したがって、中間転写ベルト106に転写された画像は、二次転写ローラ114の対向位置に搬送される。二次転写ローラ114は、カセット113A又は113Bから搬送路に給送され、搬送路に沿って搬送されてきたシート300に中間転写ベルト106の画像を転写する。なお、レジストレーションセンサ116によるシート300の検出結果は、シート300を二次転写ローラ114の対向位置に送り込むタイミングを調整するために使用される。
【0016】
画像が転写されたシート300は定着器150及び160へと搬送される。定着器150及び160は、画像が転写されたシート300を加熱及び加圧することで、画像をシート300に定着させる。定着器150は、ヒータを備えた定着ローラ151と、シート300を定着ローラ151に圧接させる加圧ベルト152と、を有する。定着器160は、定着器150よりもシート300の搬送方向において下流側に配置される。定着器160は、ヒータを備えた定着ローラ161と、シート300を定着ローラ161に圧接させる加圧ローラ162と、を有する。シート300の種類等によっては、定着器160による定着処理は必要ではない。定着器160による定着処理が必要ではない場合、定着器150を通過したシート300は、フラッパ131によって搬送経路130に誘導される。
【0017】
フラッパ132は、シート300を搬送経路135へと誘導するか、搬送経路139に誘導するかを切り替える誘導部材である。片面に画像が形成されたシート300をフェイスアップで排出する場合や、両面に画像を形成する場合において両面への画像形成が行われたシート300は、搬送経路139に誘導される。一方、片面に画像が形成されたシート300をフェイスダウンで排出する場合や、両面に画像を形成する場合において片面への画像形成が行われたシート300は、搬送経路135に誘導される。搬送経路135に誘導されたシート300は、反転部136に搬送され、反転センサ137がシート300の後端を検出すると、シート300の搬送方向は反転される。
【0018】
フラッパ133は、反転部136に搬送されたシート300を、搬送経路138へと誘導するか、搬送経路135に誘導するかを切り替える誘導部材である。フェイスダウンで排出する場合、シート300は再び搬送経路135へと搬送され、フラッパ134によって搬送経路139に誘導される。一方、両面に画像を形成する場合、片面への画像形成が行われたシート300は、搬送経路138に沿って、再び二次転写ローラ114の対向位置に搬送され、シート300のもう一方の面への画像形成が行われる。
【0019】
搬送経路139に誘導されたシート300は、調整ユニット200に搬送される。図2は、調整ユニット200の概略的な断面図である。調整ユニット200に搬送されたシート300は、まず、シート300の搬送方向の長さLPを測定する測定部500を通過する。測定部500を通過したシート300は、フラッパ221によって、スルーパス230又は測定パス231に誘導される。本実施形態においては、後述する位置調整処理を行わない場合、シート300は、スルーパス230に誘導され、位置調整処理を行う場合、シート300は、測定パス231に誘導される。測定パス231に誘導されたシート300は、読取部700によって光学的に読み取られる。スルーパス230又は測定パス231を通過したシート300は、排出パス232を介して後処理ユニット600に搬送される。なお、測定部500は、位置調整処理を行う場合にシート300の搬送方向の長さLPを測定する。シート300の搬送のため、複数のローラが、スルーパス230、測定パス231及び排出パス232に沿って設けられる。後処理ユニット600においては、必要に応じて整合処理、ステイプル処理、断裁処理等の後処理が行われ、その後、シート300は、画像形成装置100の外部に排出される。
【0020】
続いて、測定部500について説明する。図3は、測定部500の構成例と、その動作の説明図である。シート300は、搬送手段としての搬送ローラ511及び512によって、搬送方向に搬送される。図3において、搬送方向は、右側から左側に向かう方向である。測定部500は、搬送方向において、搬送ローラ511と512との間に設けられた光学式センサ501、つまり、非接触式のセンサを有する。光学式センサ501は、シートの搬送路に向けて光を射出する光源と、光を受光する受光素子と、を有する。
【0021】
シート300が光学式センサ501の検出位置502に有る場合、光学式センサ501の光源が射出した光の反射光が光学式センサ501の受光素子に入射する様に光学式センサ501は構成される。一方、シート300が光学式センサ501の検出位置502に無い場合、シート300が光学式センサ501の検出位置に有る場合と比較して、光学式センサ501の受光素子に入射する光が少なくとも所定量だけ少なくなる様に光学式センサ501は構成される。したがって、光学式センサ501は、受光素子の受光量に基づき検出位置502にシート300が有るか否かを判定することができる。測定部500は、シート300の検出結果、つまり、シート300を検出しているか否かを示す信号をコントローラ103に出力する。
【0022】
図3(A)~図3(C)は、それぞれ、搬送速度Sで搬送されているシート300の搬送方向の先端、中央及び後端が検出位置502に到達した状態を示している。光学式センサ501がシート300からの反射光を検出していた期間(時間)T、つまり、図3(A)の状態から図3(C)の状態までの期間Tを測定することで、コントローラ103は、シート300の搬送方向の長さLPをT×Sとして判定することができる。なお、シート300に対して互いに反対の位置に光源と受光素子を設け、受光素子が光源からの光を受光するか否かに基づき検出位置502にシート300があるか否かを判定する構成とすることもできる。
【0023】
また、図3では、非接触式のセンサを使用してシートの搬送方向の長さLPを検出しているが、接触式のセンサを使用してシートの搬送方向の長さLPを検出する構成であっても良い。具体的には、図3の光学式センサ501に代えて、検出位置502にシート300が有る場合には第1の位置となり、検出位置502にシート300が無い場合には第2の位置となるフラグを設ける。そして、フラグが第1の位置となっていた期間Tを測定することで、コントローラ103は、シート300の搬送方向の長さLPをT×Sとして求めることができる。
【0024】
図4は、測定部500の別の構成例を示している。図3の構成においては、光学式センサ501の位置を固定し、シート300を搬送することでシート300の搬送方向の長さLPを測定していた。図4の構成例においては、光学式センサ501を搬送方向において移動可能に構成する。なお、図4の構成例においては、シート300の搬送方向の長さLPを測定する際、光学式センサ501をシート300の搬送方向とは逆方向の移動方向に所定の移動速度Sで移動させるものとする。また、図4の構成例においては、シート300の搬送方向の長さLPを測定する際、シート300の搬送を停止するものとする。図4(A)は、光学式センサ501の検出位置502がシート300の搬送方向の先端に到達した状態を示し、図4(B)は、光学式センサ501の検出位置502がシート300の搬送方向の後端に到達した状態を示している。図4(A)の状態から図4(B)の状態までの期間Tを測定することで、コントローラ103は、シート300の搬送方向の長さLPをT×Sとして求めることができる。
【0025】
なお、シート300の搬送方向とは直交する幅方向において、搬送ローラ511及び512が設けられる位置と、光学式センサ501が設けられる位置は異なるため、光学式センサ501を移動方向に移動させても光学式センサ501は搬送ローラ511及び512とは干渉しない。また、図4では、シート300の搬送方向の長さLPを測定する際の光学式センサ501の移動方向をシートの搬送方向とは逆方向としたが、光学式センサ501の移動方向はシートの搬送方向と同じであっても良い。さらに、図4では、シート300の搬送を停止して光学式センサ501を移動させていたが、シート300を搬送しながら、光学式センサ501をシート300の搬送方向とは逆方向に移動させる構成であっても良い。この場合、シート300の搬送速度をS1とし、光学式センサ501の移動速度をS2とし、光学式センサ501がシート300を検出している期間をTとすると、シート300の搬送方向の長さLPは、(S1+S2)×Tとして求められる。
【0026】
図5は、読取部700の概略的な構成図である。読取部700において、シート300は、搬送ローラ211、212及び213によって搬送される。読取部700は、シート300を光学的に読み取るコンタクトイメージセンサ(CIS)701及び702を有する。CIS702は、搬送ローラ211と212との間において、ガラス704を介してシートの第2面を読み取る。シート300の搬送路に対してガラス704とは反対側には、シート300の端部とのコントラストを明確化するための黒色のバッキングローラ706が配置される。CIS701は、搬送ローラ212と213との間において、ガラス703を介してシートの第1面を読み取る。シート300の搬送路に対してガラス703とは反対側には、シート300の端部とのコントラストを明確化するための黒色のバッキングローラ705が配置される。
【0027】
CIS702及び703は、シートの搬送方向とは直交する幅方向の全体に光を照射する光源と、シートからの反射光を受光するラインセンサと、シートからの反射光をラインセンサの各受光素子に入射させるための光学部材と、を有する。ラインセンサは、シート300からの反射光を受光することで、シート300の幅方向の1ラインの画像を読み取る。シート300が搬送されている間に、シート300の幅方向の1ラインの読み取りを繰り返すことで、CIS702及び703は、シート300の第2面及び第1面の全体を光学的に読み取る。
【0028】
図6は、画像形成装置100の制御構成図である。コントローラ103は、画像形成装置100の全体を制御する。格納部900は、例えば、揮発性のメモリや、不揮発性のメモリで構成され、コントローラ103がその制御において使用するデータや、制御プログラム等を格納する。コントローラ103は、図示しない1つ以上のプロセッサを有し、当該1つ以上のプロセッサが格納部900に格納されている制御プログラムを実行することで、図6に示す補正部320や、処理部321が実現される。
【0029】
処理部321は、後述する位置調整処理において幾何補正情報を作成して格納部900に格納する。図7は、幾何補正情報の一例を示している。「シート種別」は、シート300の種別に関する情報であり、例えば、「シート名称」、「サイズ」、「坪量」、「表面性」及び「色」の情報を含む。「シート名称」は、シート300を識別するためにシート300に付与した名称を示す。「サイズ」は、シート300のサイズ、例えば、長辺の長さの公称値と、短辺の長さの公称値と、を示す。なお、シートがA4サイズや、A3サイズ等の定型サイズである場合、「サイズ」は、定型サイズで示され得る。「坪量」、「表面性」及び「色」は、それぞれ、シート300の坪量、表面性及び色を示す。
【0030】
「向き」は、シート搬送する際のシートの向きを示す。シート300の長辺を搬送方向と平行にして搬送する場合、「向き」には"縦"が設定される。また、シート300の短辺を搬送方向と平行にして搬送する場合、「向き」には"横"が設定される。「シート種別」と「向き」とに基づき、シート300の搬送方向の長さLPの公称値(基準値)が判定される。例えば、S#1との名称のシート300を縦向きに搬送する場合、シート300の搬送方向の長さLPの公称値はLlであり、横向きに搬送する場合、シート300の搬送方向の長さLPの公称値はLsである。
【0031】
「調整量」の「第1面」は、シート300の第1面(表面)への画像形成位置を調整するためのパラメータである。「調整量」の「第2面」は、シート300の第2面(裏面)への画像形成位置を調整するためのパラメータである。図7によると、画像形成位置を調整するためのパラメータは、「リード位置」、「サイド位置」、「主走査倍率」及び「副走査倍率」を含む。「リード位置」は、シート300の搬送方向における画像形成位置を調整するためのパラメータである。リード位置がXである場合、搬送方向における画像形成位置は、基準位置からXだけシート300の後端側にシフトされる。「サイド位置」は、シート300の幅方向における画像形成位置を調整するためのパラメータである。サイド位置がXである場合、搬送方向に向かってシート300の左端の画像形成位置は、基準位置からXだけ右側にシフトされる。「主走査倍率」は、主走査方向の画像のサイズを調整するためのパラメータである。なお、主走査方向は、シート300においては幅方向に対応する。主走査倍率がX%である場合、幅方向の画像サイズは、基準サイズからX%だけ拡大される。「副走査倍率」は、副走査方向の画像のサイズを調整するためのパラメータである。なお、副走査方向は、シート300の搬送方向に対応する。副走査倍率がX%である場合、搬送方向の画像サイズは、基準サイズからX%だけ拡大される。なお、図7の幾何補正情報に含まれるパラメータは例示であり、幾何補正情報に含まれるパラメータは図7に示すものに限定されない。
【0032】
図6に戻り、補正部320は、画像データに基づきシート300に形成する際、幾何補正情報を参照することで、当該シート300の種別及び向きと、画像を形成するシート300の面と、に対応する調整量を取得する。そして、補正部320は、取得した調整量に基づきシート300の画像形成位置が目標位置となる様にエンジン制御部312を制御してシート300に画像を形成する。この様に、幾何補正情報に基づきシート300に画像を形成することで、画像形成位置を高精度に目標位置に近づけることができる。幾何補正情報は、画像形成位置を調整又は制御するための画像形成条件である。
【0033】
続いて、幾何補正情報を生成するための位置調整処理について説明する。図8は、位置調整処理のためにシート300に形成される位置調整パターンの例を示している。なお、以下の説明においては搬送方向の先端及び後端を単に"先端"及び"後端"と表記する。また、以下の説明において、"右"及び"左"とは、搬送方向に向かって見たときの右及び左を意味するのとする。位置調整パターンは、ユーザが操作部180を介して位置調整処理を伴う印刷ジョブを実行した際に、シート300においてユーザ画像が形成される画像形成領域310とは異なる領域に形成される。なお、ユーザ画像とは、ユーザがシート300に形成する画像を意味する。図8の例において、位置調整パターンは、マーク820、821、822及び823を含む。
【0034】
マーク820により、シート300の左側におけるシート300の先端から画像形成領域310までの距離L#1と、シート300の先端側におけるシート300の左端から画像形成領域310までの距離L#5と、が測定される。距離L#1及び距離L#5は、画像形成領域310の左先端側の角の位置に対応する。マーク821により、シート300の右側におけるシート300の先端からシート上に画像が形成される画像形成領域310までの距離L#2と、シート300の先端側におけるシート300の右端から画像形成領域310までの距離L#6と、が測定される。距離L#2及び距離L#6は、画像形成領域310の右先端側の角の位置に対応する。マーク822により、シート300の左側におけるシート300の後端から画像形成領域310までの距離L#3と、シート300の後端側におけるシート300の左端から画像形成領域310までの距離L#7と、が測定される。距離L#3及び距離L#7は、画像形成領域310の左後端側の角の位置に対応する。マーク823により、シート300の右側におけるシート300の後端から画像形成領域310までの距離L#4と、シート300の後端側におけるシート300の右端から画像形成領域310までの距離L#8と、が測定される。距離L#4及び距離L#8は、画像形成領域310の右後端側の角の位置に対応する。
【0035】
なお、図8に示す位置調整パターンは、位置調整を行う側のシート300の面に形成される。つまり、第1面への画像形成位置を調整する場合、図8に示す位置調整パターンは、シート300の第1面に形成される。また、第1面及び第2面の両方への画像形成位置を調整する場合、図8に示す位置調整パターンは、シート300の第1面及び第2面に形成される。
【0036】
処理部321は、読取部700による位置調整パターンの読取結果を取得することで、図8における距離L#1~L#8、つまり、画像形成領域310の4つの角がシート300のどの位置に形成されるかを判定する。そして、処理部321は、距離L#1~L#8と、シート300の搬送方向及び幅方向の長さLP及びWP(図8)と、に基づきユーザ画像が画像形成領域310に歪みなく形成される様に、図7に示す幾何補正情報を生成する。
【0037】
例えば、A3サイズのシート300を、縦向き、つまり、長辺が搬送方向と平行になる様に搬送し、図9(A)に示す様に、画像形成領域310の搬送方向の長さLIが400mmとなる様に調整するものとする。この場合、距離L#1~L#4の目標値をそれぞれ10mmとし、距離L#1~L#4の測定値に基づき、距離L#1~L#4を目標値に近づける様に調整量を求めることで、画像形成領域310の搬送方向の長さLIを400mmとすることができる。
【0038】
しかしながら、カットシートの場合、断裁誤差等により、シート300の搬送方向における長さLPは、その公称値とは異なり得る。さらに、定着器150や160における定着処理でのシート300の伸縮によってもシート300の長さLPは公称値から変動し得る。例えば、図9(B)に示す様に、シート300の実際の長さLPが421mmであった場合、距離L#1~L#4を10mmである目標値に近づける様に調整量を求めると、画像形成領域310の搬送方向の長さLIが401mmとなり、画像形成領域310の搬送方向の長さが拡大する。よって、画像形成領域310に形成されるユーザ画像も搬送方向において拡大されてしまう。
【0039】
このため、本実施形態では、測定部500で測定したシート300の搬送方向の長さLPの測定値に基づき距離L#1~L#4の目標値を決定する。例えば、図10に示す様に、シート300の搬送方向の長さLPの測定値が421mmであった場合、画像形成領域310の搬送方向の長さLIを400mmとするためには、距離L#1~距離L#4の目標値をそれぞれ10.5mmとすれば良い。距離L#1~L#4の目標値をこの様に設定することで、図10に示す様に、画像形成領域310の搬送方向の長さLIを目標値である400mmにすることができる。
【0040】
図11は、位置調整処理のフローチャートである。位置調整処理は、幾何補正情報を生成又は更新する処理でもある。なお、上述した様に、本実施形態において、位置調整処理は、印刷ジョブに基づくユーザ画像の形成処理と共に行われる。図12は、位置調整処理の実行の設定画面例を示している。例えば、ユーザは、操作部180に表示される図12の画面の位置調整ボタン1002を操作することで、幾何補正情報を生成するシート種別及び向きを選択することができる。その後、図12の画面で選択したシート種別及び向きでユーザ画像を形成する印刷ジョブが開始されると、図11の処理が開始される。
【0041】
なお、以下の説明においては、図8の距離L#1及び距離L#2を纏めて"第1距離"と表記し、距離L#3及び距離L#4を纏めて"第2距離"と表記する。第1距離は、シート300の搬送方向の先端から画像形成領域301までの搬送方向における距離であり、第2距離は、シート300の搬送方向の後端から画像形成領域301までの搬送方向における距離である。同様に、以下の説明においては、距離L#5及び距離L#7を纏めて"第3距離"と表記し、距離L#6及び距離L#8を纏めて"第4距離"と表記する。第3距離は、シート300の左端から画像形成領域301までの幅方向における距離であり、第4距離は、シート300の右端から画像形成領域301までの幅方向における距離である。
【0042】
さらに、図9及び図10で説明した様に、本実施形態は、シート300の搬送方向の長さLPの変動による、画像形成領域301の搬送方向の長さLIの変動を抑えるものである。したがって、以下では、搬送方向の長さの処理を中心に説明する。
【0043】
図11のS10において、コントローラ103は、シート種別と、搬送の向きを取得する。コントローラ300は、シート種別及び搬送の向きに基づき、画像形成領域301の搬送方向の長さLIを判定する。なお、シート種別及び搬送の向きの組み合わせと、画像形成領域301の搬送方向の長さLIとの関係を示す情報は、予め、格納部900に格納されている。例えば、図9(A)に示す様に、A4サイズのシート300を、縦向きで搬送する場合、画像形成領域301の搬送方向の長さLIは、格納部900に格納されている情報に基づき400mmと判定される。
【0044】
S11において、コントローラ103は、格納部900に格納されているシート種別及び搬送の向きの組み合わせに対応する幾何補正情報を使用してユーザ画像及び位置調整パターンをシート300に形成する。画像が形成されたシート300は、調整ユニット200に搬送される。
【0045】
S12において、処理部321は、測定部500によるシート300の検出結果に基づき、シート300の搬送方向の長さLPの測定値を取得する。S13において、処理部321は、測定したシート300の搬送方向の長さLPと、S10で判定した画像形成領域301の搬送方向の長さLIと、に基づき第1距離の第1目標値及び第2距離の第2目標値を判定する。
【0046】
一例として、処理部321には、第1目標値と第2目標値との比が設定されており、処理部321は、長さLPと長さLIとの差分を、設定された比に基づき第1目標値と第2目標値に分配することで第1目標値と第2目標値とを判定する。例えば、図10の例において、長さLPと長さLIとの差分は21mmである。したがって、第1目標値と第2目標値との比が1対1となる様に差分21mmを第1目標値及び第2目標値に分配することで、図10に示す様に第1目標値及び第2目標値は10.5mmと判定される。なお、第1目標値と第2目標値との比は、例えば、ユーザによって事前に設定される。また、例えば、第1目標値と第2目標値との比は、シート種別及び搬送の向きの組み合わせに基づき判定され得る。この場合、シート種別及び搬送の向きの組み合わせと、第1目標値と第2目標値との比との関係を示す情報が予め格納部900に格納される。そして、処理部321は、S10で取得したシート種別及び搬送の向きの組み合わせと、格納部900に格納されている情報と、に基づき第1目標値と第2目標値との比を判定する。
【0047】
また、処理部321は、第1目標値及び第2目標値の内の一方の値については、一定の値とし、第1目標値及び第2目標値の内の他方の値を、長さLPと長さLIとの差分に基づき判定する構成とすることができる。一例として、第1目標値を10mmで一定とすると、長さLPと長さLIとの差分が21mmである場合、第2目標値は、差分から第1目標値である10mmを減じた11mmとなる。なお、第1目標値及び第2目標値の内の一方を一定の値とする場合、当該一定の値は、ユーザによって事前に設定され得る。或いは、当該一定の値は、S10で取得したシート種別及び搬送の向きの組み合わせに基づき判定され得る。この場合、シート種別及び搬送の向きの組み合わせと、第1目標値及び第2目標値の内の一方の値との関係を示す情報が予め格納部900に格納される。そして、処理部321は、S10で取得したシート種別及び搬送の向きの組み合わせと、格納部900に格納されている情報と、に基づき第1目標値及び第2目標値の内の一方の値を判定する。
【0048】
S14において、処理部321は、読取部700による位置調整パターンの読取結果を取得することで距離L#1~距離L#8を判定する。S15において、処理部321は、読取部700による読取結果、つまり、距離L#1~距離L#8の判定値と、第1距離~第4距離の目標値と、に基づき、シート300の幾何補正情報を生成して格納部900に格納する。
【0049】
S16において、コントローラ103は、印刷ジョブでの画像形成が終了したかを判定する。画像形成が終了している場合、コントローラ103は、図11の処理を終了する。一方、印刷ジョブでの画像形成が終了していない場合、コントローラ103は、S11から処理を繰り返す。なお、繰り返し後のS11における画像形成で使用する幾何補正情報は、その前のS15で生成されたものを使用する。
【0050】
なお、図11のフローチャートには明記していないが、画像形成領域301の幅方向の長さWIは、S10で取得したシート種別及び搬送の向きに基づき判定され得る。この場合、格納部900には、シート種別及び搬送の向きの組み合わせと、画像形成領域301の幅方向の長さWIとの関係を示す情報が事前に格納される。さらに、幅方向の第3距離及び第4距離の目標値も、例えば、S10で取得したシート種別及び搬送の向きの組み合わせに基づき判定される。この場合、格納部900には、シート種別及び搬送の向きの組み合わせと、第3距離及び第4距離の目標値との関係を示す情報が事前に格納される。
【0051】
或いは、幅方向の第3距離及び第4距離の目標値は、シート300の幅方向の長さWPの測定値に基づき判定され得る。具体的には、読取部700は、シート300の幅方向の全体を読み取るため、コントローラ103は、読取部700の読取結果に基づきシート300の幅方向の長さWPの測定値を取得することができる。そして、第1距離の第1目標値及び第2距離の第2目標値と同様に、シート300の幅方向の長さWPの測定値と、画像形成領域301の幅方向の長さWIとの差分に基づき、第3距離及び第4距離の両方、又は、一方の目標値を判定する。なお、第3距離及び第4距離の両方の目標値を判定する場合、2つの目標値の比は、シート種別及び搬送の向きに基づき判定され得る。また、第3距離及び第4距離の一方の目標値を判定する場合、他方の目標値はシート種別及び搬送の向きに基づき判定され得る。
【0052】
また、図11の処理では、1枚のシート300に画像を形成する度に幾何補正情報を更新していたが、N枚(Nは2以上の整数)のシート300に画像を形成する度に幾何補正情報を更新する構成とすることもできる。この場合、N枚の画像形成において得られるN個の調整量を平均化することで幾何補正情報が作成され得る。さらに、本実施形態では、ユーザ画像の形成処理と合わせて位置調整処理を行っていたが、位置調整処理のみを単独で行う構成とすることもできる。この場合、シート300には、位置調整パターンのみが形成されて、幾何補正情報が作成される。
【0053】
さらに、上記の説明では、距離L#1及び距離L#2を纏めて"第1距離"と表記し、距離L#3及び距離L#4を纏めて"第2距離"と表記していた。これは、距離L#1及び距離L#2の目標値を同じ値とし、距離L#3及び距離L#4の目標値を同じ値とすることを前提としていたからである。しかしながら、距離L#1及び距離L#2の目標値を異なる値とし、距離L#3及び距離L#4の目標値を異なる値とする構成であっても良い。この場合、距離L#1及び距離L#3の目標値は、長さLPと長さLIとの差分に基づき、上記の第1距離の第1目標値と第2距離の第2目標値と同様に判定される。また、距離L#2及び距離L#4の目標値は、長さLPと長さLIとの差分に基づき、上記の第1距離の第1目標値と第2距離の第2目標値と同様に判定される。しかしながら、距離L#1の目標値と距離L#2の目標値は異なり、距離L#3の目標値と距離L#4の目標値は異なり得る。幅方向の距離L#5~距離L#8についても同様である。
【0054】
また、上記の実施形態では、調整パターンにより画像形成領域310の4つの角の位置を判定し、この4つの角を目標値に近づける様に幾何補正情報を生成していた。つまり、画像形成領域310の搬送方向の長さLIと幅方向の長さWIとを目標値とするものであった。しかしながら、ユーザ画像の搬送方向における長さの変動を抑えるため、画像形成領域310の搬送方向における先端から後端までの長さLIのみを目標値とする制御に対しても上記の実施形態の考え方を適用することができる。この場合、調整パターンは、第1距離及び第2距離を判定するためのパターンであり、処理部321は、長さLPと長さLIとの差分に基づき第1距離の第1目標値と第2距離の第2目標値のみを判定して調整量を判定する。
【0055】
以上、シート300の搬送方向の長さLPを測定する測定部500を設け、第1目標値と第2目標値との内の少なくとも一方を測定部500による長さLPの測定値に基づいて設定する。この構成により、シート300の搬送方向の長さLPが公称値とは異なっていても、画像形成位置の調整精度の劣化を抑えることができる。
【0056】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0057】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0058】
101:プリンタ部、500:測定部、700:読取部、103:コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12