IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -露光装置、制御方法及び物品の製造方法 図1
  • -露光装置、制御方法及び物品の製造方法 図2
  • -露光装置、制御方法及び物品の製造方法 図3
  • -露光装置、制御方法及び物品の製造方法 図4
  • -露光装置、制御方法及び物品の製造方法 図5
  • -露光装置、制御方法及び物品の製造方法 図6
  • -露光装置、制御方法及び物品の製造方法 図7
  • -露光装置、制御方法及び物品の製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025105014
(43)【公開日】2025-07-10
(54)【発明の名称】露光装置、制御方法及び物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20250703BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223262
(22)【出願日】2023-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 一輝
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA05
2H197BA04
2H197CD12
2H197CD13
2H197EB23
2H197HA03
2H197HA05
2H197HA10
(57)【要約】
【課題】スループットを低下させずに、遮光部材を高精度に位置決めするのに有利な技術を提供する。
【解決手段】原版を介して基板を露光する露光装置であって、駆動部と、設定部と、制御部と、を有し、前記制御部は、前記駆動部により遮光部材を第1分解能で目標位置に向けて駆動する第1駆動制御を行い、目標位置を前記基板上に投影した目標投影位置が、前記投影範囲からの距離が所定の距離以下となる第1領域に位置する場合、第1駆動制御を行った後の遮光部材の位置と目標位置とのずれが閾値を超えていれば、駆動部により遮光部材を第1分解能よりも高い第2分解能で目標位置に向けて駆動する第2駆動制御を行い、目標投影位置が、第1領域以外の第2領域に位置する場合、第1駆動制御を行った後の前記遮光部材の位置にかかわらず、第2駆動制御を行わない。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原版を介して基板を露光する露光装置であって、
前記基板に入射する露光光の範囲を制限するための遮光部材を駆動する駆動部と、
前記原版のパターン及び前記基板のショットレイアウトの少なくとも一方に基づいて、前記パターンが投影される前記基板上の投影範囲を設定する設定部と、
前記遮光部材が目標位置に位置するように、前記駆動部の駆動制御を行う制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記駆動部により前記遮光部材を第1分解能で前記目標位置に向けて駆動する第1駆動制御を行い、
前記目標位置を前記基板上に投影した目標投影位置が、前記投影範囲からの距離が所定の距離以下となる第1領域に位置する場合、前記第1駆動制御を行った後の前記遮光部材の位置と前記目標位置とのずれが閾値を超えていれば、前記駆動部により前記遮光部材を前記第1分解能よりも高い第2分解能で前記目標位置に向けて駆動する第2駆動制御を行い、
前記目標投影位置が、前記第1領域以外の第2領域に位置する場合、前記第1駆動制御を行った後の前記遮光部材の位置にかかわらず、前記第2駆動制御を行わない、
ことを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記駆動部は、前記遮光部材を駆動するためのモータを含み、
前記第1分解能及び前記第2分解能は、前記モータによる1パルスあたりの前記遮光部材の駆動量を表す分解能を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1領域をユーザが指定するための画面を表示するユーザインタフェースを提供する、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項4】
前記ユーザインタフェースは、前記第1領域に加えて、前記閾値をユーザが指定するための画面を表示する、ことを特徴とする請求項3に記載の露光装置。
【請求項5】
前記第1領域は、前記投影範囲からの距離が前記所定の距離以下となる、互いに異なる複数の第1領域を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記複数の第1領域をユーザが指定するための画面を表示するユーザインタフェースを提供する、ことを特徴とする請求項5に記載の露光装置。
【請求項7】
前記ユーザインタフェースは、前記複数の第1領域に加えて、前記複数の第1領域のそれぞれに対する前記閾値をユーザが指定するための画面を表示する、ことを特徴とする請求項6に記載の露光装置。
【請求項8】
前記投影範囲は、前記原版を介した露光の結果を保証すべき領域を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項9】
前記投影範囲は、前記パターンに応じた回路を転写すべき領域を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項10】
前記第1領域は、前記基板上のアライメントマークが設けられた領域を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項11】
前記第1領域は、前記基板上の互いに隣接するショット領域の間の領域を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項12】
前記第2領域は、前記投影範囲外に位置して前記遮光部材を待機させる領域を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項13】
前記閾値は、前記第1駆動制御を行った後に設定される、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項14】
原版を介して基板を露光する露光装置に用いられる、前記基板に入射する露光光の範囲を制限するための遮光部材を駆動する駆動部を制御する制御方法であって、
前記原版のパターン及び前記基板のショットレイアウトの少なくとも一方に基づいて、前記基板上の前記パターンが投影される投影範囲を設定する第1工程と、
前記遮光部材が目標位置に位置するように、前記駆動部の駆動制御を行う第2工程と、を有し、
前記第2工程では、
前記駆動部により前記遮光部材を第1分解能で前記目標位置に向けて駆動する第1駆動制御を行い、
前記目標位置を前記基板上に投影した目標投影位置が、前記投影範囲からの距離が所定の距離以下となる第1領域に位置する場合、前記第1駆動制御を行った後の前記遮光部材の位置と前記目標位置とのずれが閾値を超えていれば、前記駆動部により前記遮光部材を前記第1分解能よりも高い第2分解能で前記目標位置に向けて駆動する第2駆動制御を行い、
前記目標投影位置が、前記第1領域以外の第2領域に位置する場合、前記第1駆動制御を行った後の前記遮光部材の位置にかかわらず、前記第2駆動制御を行わない、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項15】
請求項1乃至13のうちいずれか1項に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
露光した前記基板を現像する工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置、制御方法及び物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド、その他のデバイスなどの製造工程の1つであるフォトリソグラフィ工程では、露光装置が用いられている。露光装置は、原版(レチクル、マスク)に形成されたパターンを、投影光学系を介して、レジストなどの感光剤が塗布された基板(ウエハ、ガラスプレート)に投影して転写する。
【0003】
露光装置では、原版のパターンを基板に正確に転写するために、原版と基板とを高い精度で位置合わせ(アライメント)することが求められている。原版と基板とのアライメント精度を向上させるためには、原版や基板に設けられたアライメントマークを専用の位置計測装置で検出(観察)して、原版と基板とをアライメントする必要がある。
【0004】
露光装置では、一般的に、同一の基板に対して複数回のパターンの転写を行うため、照明光学系からの光(照明光)が基板上の所定領域に隣接するパターン(回路パターン)やアライメントマークに照射された場合、製品不良の要因となる。従って、照明光学系と基板との間に設けられた遮光部材を駆動し、照明光を遮光することで、基板上の所定領域以外の領域に照明光が漏れない(照射されない)ようにしている。但し、遮光部材を目標位置からずれた位置に駆動した場合、照明光の漏れが発生してしまうため、遮光部材を目標位置に高精度に位置決めする必要がある。また、遮光部材の駆動速度は、露光装置のスループット(生産性)に影響するため、高速であることが好ましい。
【0005】
そこで、遮光部材などの駆動対象物を、高速、且つ、高精度に駆動するための技術が提案されている(特許文献1及び2参照)。特許文献1には、目標位置までの駆動距離が予め設定された距離よりも大きい場合には、駆動対象物を粗動送りで駆動し、目標位置までの駆動距離が予め設定された距離以下である場合には、駆動対象物を微動送りで駆動する技術が開示されている。かかる技術によれば、駆動対象物を微動送りで駆動する場合においても、駆動時間の増加を抑制することができる。また、特許文献2には、駆動対象物の目標位置までの駆動距離に応じて駆動分解能を選択し、駆動距離に相当するパルス信号の立ち上がり又は立ち下がりエッジ数と、発生したパルス信号のエッジ数とが一致するまでフィードバック制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4866045号公報
【特許文献2】特開2003-289686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、遮光部材を高分解能で駆動することで、位置決め精度を向上させることができるが、遮光部材を高速に駆動しながら、より高分解能で駆動する場合、パルス周波数を増加させなければならない。パルス周波数が増加すると、トルクの低下やノイズの問題が生じるため、遮光部材をより高分解能で駆動する場合には、駆動速度を低下させる必要がある。
【0008】
また、目標位置からのずれ量が予め決められた閾値に到達するまで遮光部材を追加で駆動する処理(追い込み処理)を実施することで、位置決め精度を向上させることも可能である。ここで、遮光部材を高分解能で駆動することで位置決め精度の向上を図る場合、目標位置からのずれ量に対する閾値を低く設定する必要があるため、追い込み処理が発生する(実施される)確率が高まる。追い込み処理が発生すると、全体の処理が終了するまでに時間を要する。特に、複数のユニットが並列に設けられている装置では、所定のユニットにおいて追い込み処理が発生すると、かかる追い込み処理が終了するまで、他のユニットには待機時間を設けなくてはならない。
【0009】
このように、遮光部材を高分解能で駆動することで位置決め精度を向上させる場合には、遮光部材の駆動速度の低下、及び、追い込み処理が発生する確率が高まることに起因するスループットの低下を招く虞がある。
【0010】
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、スループットを低下させずに、遮光部材を高精度に位置決めするのに有利な技術を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての露光装置は、原版を介して基板を露光する露光装置であって、前記基板に入射する露光光の範囲を制限するための遮光部材を駆動する駆動部と、前記原版のパターン及び前記基板のショットレイアウトの少なくとも一方に基づいて、前記パターンが投影される前記基板上の投影範囲を設定する設定部と、前記遮光部材が目標位置に位置するように、前記駆動部の駆動制御を行う制御部と、を有し、前記制御部は、前記駆動部により前記遮光部材を第1分解能で前記目標位置に向けて駆動する第1駆動制御を行い、前記目標位置を前記基板上に投影した目標投影位置が、前記投影範囲からの距離が所定の距離以下となる第1領域に位置する場合、前記第1駆動制御を行った後の前記遮光部材の位置と前記目標位置とのずれが閾値を超えていれば、前記駆動部により前記遮光部材を前記第1分解能よりも高い第2分解能で前記目標位置に向けて駆動する第2駆動制御を行い、前記目標投影位置が、前記第1領域以外の第2領域に位置する場合、前記第1駆動制御を行った後の前記遮光部材の位置にかかわらず、前記第2駆動制御を行わない、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、例えば、スループットを低下させずに、遮光部材を高精度に位置決めするのに有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一側面としての露光装置の構成を示す概略図である。
図2】駆動部の構成の一例を示す図である。
図3】遮光部材が露光光を遮光する様子を示す図である。
図4】従来技術における駆動部の駆動制御を説明するためのフローチャートである。
図5】第1実施形態における駆動部の駆動制御を説明するためのフローチャートである。
図6】ユーザインタフェースの一例を示す図である。
図7】第2実施形態における駆動部の駆動制御を説明するためのフローチャートである。
図8】ユーザインタフェースの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。更に、添付図面においては、同一もしくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0016】
図1は、本発明の一側面としての露光装置101の構成を示す概略図である。露光装置101は、半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド、その他のデバイスなどの物品の製造工程に用いられ、原版を介して基板を露光することで、基板にパターンを形成するリソグラフィ装置である。露光装置101は、本実施形態では、原版(マスク又はレチクル)のパターンを、投影光学系を介して基板(ガラス基板やウエハなど)に投影して転写する処理(露光処理)を行う。
【0017】
本明細書及び添付図面では、基板が配置される面に平行な方向をXY平面とするXYZ座標系で方向を示す。XYZ座標系におけるX軸、Y軸及びZ軸のそれぞれに平行な方向をX方向、Y方向及びZ方向とし、X軸周りの回転、Y軸周りの回転及びZ軸周りの回転のそれぞれをθX、θY及びθZとする。
【0018】
露光装置101は、図1に示すように、光源からの光で原版104を照明する照明光学系103と、原版104を保持する原版ステージ105と、原版104のパターンを基板111に投影する投影光学系108と、を有する。露光装置101は、基板111を保持する基板ステージ112と、遮光部材106及び109と、駆動部107及び110と、計測部115及び117と、制御部102と、表示部119と、を更に有する。
【0019】
露光装置101において、照明光学系103からの光は、原版ステージ105によって保持された原版104のパターンを照明し、投影光学系108を介して、基板ステージ112によって保持された基板111に投影される。
【0020】
遮光部材106及び109は、照明光学系103と基板111との間に設けられ、その間を通過する光を部分的に遮光(遮断)することで、投影光学系108から基板に入射する光(露光光)の範囲を制限するための板部材(ブレード)である。本実施形態では、遮光部材106は、原版104と投影光学系108との間に配置され、遮光部材109は、投影光学系108と基板111との間に配置されている。
【0021】
駆動部107及び110は、照明光学系103と基板111との間に設けられた遮光部材106及び109を駆動するための機能を有する。駆動部107は、原版104と投影光学系108との間に配置された遮光部材106を駆動し、駆動部110は、投影光学系108と基板111との間に配置された遮光部材109を駆動する。
【0022】
本実施形態において、駆動部107及び110は、それぞれ、遮光部材106及び109を駆動する分解能(駆動分解能)を、第1分解能と、第1分解能よりも高い第2分解能とに切り替え可能に構成されている。図2は、駆動部107及び110に適用可能な駆動部DUの構成の一例を示す図である。駆動部DUは、図2に示すように、プリント基板601と、モータ制御部602と、分解能切替部603と、分解能設定部604と、遮光部材を駆動するためのモータ605と、を含む。ここで、分解能とは、モータ605による1パルスあたりの遮光部材の駆動量を表すものとする。
【0023】
プリント基板601は、モータ制御部602に対して、モータ605の分解能を切り替えるための指令、本実施形態では、第1分解能又は第2分解能を指定するための指令を与える。モータ制御部602は、プリント基板601からの指令に基づいて、分解能切替部603において、分解能設定部604によりモータ605に設定すべき分解能を切り替える(スイッチする)。例えば、分解能切替部603において、スイッチ603Aをオン(ON)からオフ(OFF)に、スイッチ603Bをオフからオンに切り替えることで、モータ605に設定すべき分解能を第1分解能から第2分解能に切り替える。また、分解能切替部603において、スイッチ603Aをオフからオンに、スイッチ603Bをオンからオフに切り替えることで、モータ605に設定すべき分解能を第2分解能から第1分解能に切り替える。分解能設定部604は、分解能切替部603におけるスイッチ603A及び603Bの切り替えに対応する分解能(第1分解能又は第2分解能)をモータ605に設定する。
【0024】
なお、駆動部107及び110に適用可能な駆動部の構成は、図2に示す駆動部DUの構成に限定されるものではなく、遮光部材106及び109を駆動する分解能を切り替え可能な構成であればよい。例えば、遮光部材106及び109を、第1分解能で駆動するための第1モータ及び第2分解能で駆動するための第2モータを含み、遮光部材106及び109を駆動するモータを第1モータと第2モータとで切り替えるように構成してもよい。
【0025】
計測部115及び117は、それぞれ、干渉計やエンコーダなどを含み、原版104と投影光学系108との間に配置された遮光部材106の位置、及び、投影光学系108と基板111との間に配置された遮光部材109の位置を計測する。
【0026】
制御部102は、例えば、CPUやメモリなどを含むコンピュータ(情報処理装置)で構成される。制御部102は、記憶部などに記憶されたプログラムに従って露光装置101の各部を統括的に制御して露光装置101を動作させる。制御部102は、原版104のパターンを、投影光学系108を介して基板111に投影して転写する露光処理を制御する。また、露光処理において、制御部102は、計測部115及び117による計測結果や各種情報に基づいて、遮光部材106及び109が目標位置に位置するように、遮光部材106及び109を駆動する駆動部107及び110の駆動制御を行う。
【0027】
表示部119は、露光装置101に関する各種情報を表示するための表示装置である。表示部119は、例えば、タッチパネルを含み、各種の画面を含むユーザインタフェースを表示するとともに、ユーザからの操作を受け付ける。なお、表示部119は、露光装置101と一体で(共通の筐体に)構成してもよいし、露光装置101とは別体で(別の筐体に)構成してもよい。例えば、表示部119は、露光装置101を管理するユーザが駐在する管理室に設けられていてもよい。
【0028】
図3は、遮光部材106及び109が露光光を遮光する様子を、原版ステージ105の側から基板ステージ112の側の視点で示す図である。本実施形態において、遮光部材106は、Y方向の露光光を遮光することで基板上における露光光のY方向の範囲を規制し、遮光部材109は、X方向の露光光を遮光することで基板上における露光光のX方向の範囲を規制する。
【0029】
照明光学系103からの光が基板ステージ112によって保持された基板111に照射される過程において、かかる光が基板上の所定領域以外の領域、例えば、隣接するパターンやアライメントマークに照射された(漏れた)場合、製品不良の要因となる。そこで、照明光学系103からの光を基板上の所定領域のみに照射するために、遮光部材106及び109を駆動して目標位置に位置決めし、基板上の所定領域以外の領域に照射される光を遮光する。これにより、照明光学系103からの光が基板上の所定領域以外の領域に漏れることを回避することができる。特に、隣接するパターンとの間隔が狭い領域では、遮光部材106及び109を高精度で位置決めし、照明光学系103からの光が基板上の所定領域以外の領域に漏れないようにする必要がある。
【0030】
まず、本実施形態における駆動部107及び110の駆動制御、具体的には、遮光部材106及び109を目標位置に位置決めする(位置させる)ための駆動制御を説明する前に、従来技術における駆動部107及び110の駆動制御について説明する。駆動部107及び110の駆動制御は、上述したように、制御部102によって行われる(制御される)。
【0031】
図4は、従来技術における駆動部107及び110の駆動制御を説明するためのフローチャートである。S201では、ユーザが設定した露光パターン(露光領域)に基づいて、遮光部材106及び109を位置決めすべき目標位置を設定する。
【0032】
S202では、遮光部材106及び109がS201で設定した目標位置に位置するように、駆動部107及び110によって遮光部材106及び109を駆動する。このように、駆動部107及び110により遮光部材106及び109を目標位置に向けて駆動する駆動制御を行う。
【0033】
S203では、計測部115及び117によって計測された遮光部材106及び109の位置(S202で駆動制御を行った後の遮光部材106及び109の現在位置)と目標位置とのずれ(位置ずれ量)が閾値を超えているかどうかを判定する。位置ずれ量が閾値を超えていない場合には、遮光部材106及び109の位置が目標位置から外れていないものとして、駆動部107及び110の駆動制御を終了(正常終了)する。一方、位置ずれ量が閾値を超えている場合には、S204に移行する。
【0034】
S204では、S203で計測された遮光部材106及び109の位置に基づいて、遮光部材106及び109の駆動量を算出する。具体的には、遮光部材106及び109の現在位置と目標位置との差分、即ち、位置ずれ量を、遮光部材106及び109の駆動量として算出する。
【0035】
S205では、S204で算出した駆動量に従って、遮光部材106及び109が目標位置に位置するように、駆動部107及び110によって遮光部材106及び109を駆動する。このように、駆動部107及び110により遮光部材106及び109を目標位置に向けてS204で算出した駆動量だけ駆動する追加の駆動制御を行う。
【0036】
S206では、計測部115及び117によって計測された遮光部材106及び109の位置(S205で追加の駆動制御を行った後の遮光部材106及び109の現在位置)と目標位置とのずれ(位置ずれ量)が閾値を超えているかどうかを判定する。位置ずれ量が閾値を超えていない場合には、遮光部材106及び109の位置が目標位置から外れていないものとして、駆動部107及び110の駆動制御を終了(正常終了)する。一方、位置ずれ量が閾値を超えている場合には、S207に移行する。
【0037】
S207では、S205で行った追加の駆動制御の回数が所定回数を超えているかどうかを判定する。追加の駆動制御の回数が所定回数を超えていない場合には、追加の駆動制御を更に行うために、S204に移行する。一方、追加の駆動制御の回数が所定回数を超えている場合には、エラーを出力して、駆動部107及び110の駆動制御を終了(異常終了)する。
【0038】
このように、従来技術では、遮光部材106及び109を駆動する際に、その目標位置が位置決め精度を要求されない場合であっても、遮光部材106及び109の位置と目標位置との差が閾値以内となるまで、追加の駆動制御を繰り返している。また、従来技術では、遮光部材106及び109を、高速駆動に対応した分解能で駆動している。
【0039】
従来技術において、遮光部材106及び109の位置決め精度を向上させるために、遮光部材106及び109をより高い分解能で駆動するには、パルス周波数の増加を抑制して、駆動速度を低下させる必要がある。また、遮光部材106及び109の位置決め精度を向上させる場合には、S203及びS206で用いる閾値を低く設定する必要があるため、追加の駆動制御(S205)が発生する確率が高まる。従って、遮光部材106及び109の目標位置が位置決め精度を要求されない場合であっても、追加の駆動制御が発生する可能性が高まり、全体の処理が終了するまでに時間を要する傾向となる。そのため、従来技術では、遮光部材106及び109をより高い分解能で駆動することで位置決め精度を向上させる場合、遮光部材106及び109の駆動速度が低下し、追加の駆動制御が発生する確率が高まることから、スループットが低下してしまう。
【0040】
そこで、本実施形態では、スループットを低下させずに、遮光部材106及び109を高精度に位置決めすることを可能とする駆動部107及び110の駆動制御(駆動部107及び110を制御する制御方法)を提供する。
【0041】
<第1実施形態>
図5は、第1実施形態における駆動部107及び110の駆動制御を説明するためのフローチャートである。S301では、ユーザが設定した露光パターン(露光領域)に基づいて、遮光部材106及び109を位置決めすべき目標位置を設定する。
【0042】
S302では、原版104のパターン及び基板111のショットレイアウトの少なくとも一方に基づいて、原版104のパターンが投影される基板上の投影範囲(パターン投影露光範囲)を設定する。本実施形態では、原版104のパターンの設計情報や基板111のショットレイアウトを含む露光レシピなどに基づいて、制御部102が投影範囲を設定する設定部として機能する。投影範囲は、原版104のパターンや基板111のショットレイアウトに応じて、自由に設定することが可能であり、同一の基板上で複数の投影範囲が設定されてもよい。具体的には、原版104を介した露光の結果を保証すべき領域や原版104のパターンに応じた回路を転写すべき領域を、投影範囲として設定する。投影範囲に関する情報は、原版104のパターンや基板111のショットレイアウトに関連付けて保持してもよいし、遮光部材106及び109の駆動可能範囲内における特定の位置情報に関連付けて保持してもよい。
【0043】
S303では、駆動部107及び110において、遮光部材106及び109を駆動する分解能として、第1分解能を設定する。なお、第1分解能としては、遮光部材106及び109を第1分解能で駆動する際において、駆動速度及びトルク条件を満たす分解能であれば、任意の分解能を設定することができる。
【0044】
S304では、遮光部材106及び109がS301で設定した目標位置に位置するように、駆動部107及び110によって遮光部材106及び109をS303で設定した第1分解能で駆動する。このように、駆動部107及び110により遮光部材106及び109を第1分解能で目標位置に向けて駆動する第1駆動制御を行う。
【0045】
S305では、S301で設定した目標位置を基板上に投影した目標投影位置が、S302で設定した投影範囲の近傍であるかどうか、即ち、投影範囲からの距離が所定の距離以下となる第1領域に位置するかどうかを判定する。目標投影位置が第1領域に位置していない場合には、遮光部材106及び109の位置(現在位置)を計測したり、遮光部材106及び109の位置と目標位置とのずれを算出したりせずに、駆動部107及び110の駆動制御を終了(正常終了)する。換言すれば、目標投影位置が第1領域以外の第2領域に位置する場合には、第1駆動制御を行った後の遮光部材106及び109の位置にかかわらず、後述する第2駆動制御(S309)を行わずに、駆動部107及び110の駆動制御を終了する。一方、目標投影位置が第1領域に位置している場合は、S306に移行する。
【0046】
S306では、計測部115及び117によって計測された遮光部材106及び109の位置(S304で第1駆動制御を行った後の遮光部材106及び109の現在位置)と目標位置とのずれ(位置ずれ量)が閾値を超えているかどうかを判定する。位置ずれ量が閾値を超えていない場合には、遮光部材106及び109の位置が目標位置から外れていないものとして、駆動部107及び110の駆動制御を終了(正常終了)する。一方、位置ずれ量が閾値を超えている場合には、S307に移行する。
【0047】
S307では、S306で計測された遮光部材106及び109の位置に基づいて、遮光部材106及び109の駆動量を算出する。具体的には、遮光部材106及び109の現在位置と目標位置との差分、即ち、位置ずれ量を、遮光部材106及び109の駆動量として算出する。
【0048】
S308では、駆動部107及び110において、遮光部材106及び109を駆動する分解能として、第1分解能よりも高い第2分解能を設定する。
【0049】
S309では、S307で算出した駆動量に従って、遮光部材106及び109が目標位置に位置するように、駆動部107及び110によって遮光部材106及び109をS308で設定した第2分解能で駆動する。このように、駆動部107及び110により遮光部材106及び109を第2分解能で目標位置に向けてS307で算出した駆動量だけ駆動する第2駆動制御を行う。なお、第2駆動制御は、遮光部材106及び109をS308で設定した第2分解能で駆動可能な駆動速度で行う。
【0050】
S310では、計測部115及び117によって計測された遮光部材106及び109の位置(S309で第2駆動制御を行った後の遮光部材106及び109の現在位置)と目標位置とのずれ(位置ずれ量)が閾値を超えているかどうかを判定する。位置ずれ量が閾値を超えていない場合には、遮光部材106及び109の位置が目標位置から外れていないものとして、駆動部107及び110の駆動制御を終了(正常終了)する。一方、位置ずれ量が閾値を超えている場合には、S311に移行する。
【0051】
S311では、S309で行った第2駆動制御の回数が所定回数を超えているかどうかを判定する。第2駆動制御の回数が所定回数を超えていない場合には、第2駆動制御を更に行うために、S307に移行する。一方、第2駆動制御の回数が所定回数を超えている場合には、エラーを出力して、駆動部107及び110の駆動制御を終了(異常終了)する。
【0052】
ここで、S305において、目標投影位置が投影範囲の近傍であるかどうかの判定に用いられる第1領域、即ち、投影範囲からの距離が所定の距離以下となる第1領域の設定について説明する。例えば、基板上の隣接するショット領域の間の間隔が狭く、遮光部材106及び109を高精度に位置決めしなければ、隣接するショット領域に露光光が照射され、製品不良が発生することが予期される領域を、第1領域として設定する。このように、第1領域として設定する領域は、基板上の互いに隣接するショット領域の間の領域を含む。かかる領域は、スクライブラインとも呼ばれ、一般的には、アライメントマークが設けられている。従って、第1領域として設定する領域は、基板上のアライメントマークが設けられた領域を含むともいえる。また、第1領域として、互いに異なる複数の領域(複数の第1領域)を設定することも可能である。なお、基板上の互いに隣接するショット領域の間の間隔に余裕がある場合には、遮光部材106及び109を高精度に位置決めする必要はないと考えられるため、このような領域については第1領域として設定しないようにするとよい。これにより、不要な第2駆動制御が発生することを抑制することができる。
【0053】
図6は、投影範囲からの距離が所定の距離以下となる第1領域をユーザが指定(設定)するための画面を表示するユーザインタフェースUIAの一例を示す図である。ユーザインタフェースUIAは、制御部102から表示部119に提供されて表示される。ユーザインタフェースUIAには、例えば、基板ステージ112によって保持された基板111に対して設定された基板上の4つの投影範囲501が表示されている。この場合、基板上の投影範囲501の上下左右の領域R1~領域R12の12の領域が、投影範囲501の近傍の第1領域、即ち、遮光部材106及び109の高精度な位置決めの要否を設定することが可能な領域として設定可能である。ユーザは、ユーザインタフェースUIAにおいて、領域R1~領域R12から、任意の領域をクリック(選択)することによって、遮光部材106及び109の高精度な位置決めが必要となる第1領域を自由に設定することができる。また、図6に示すように、ユーザインタフェースUIAに、領域R1~領域R12のそれぞれに対応するチェックボックスを含めてもよい。この場合、ユーザは、任意の領域に対応するチェックボックスをチェック(選択)することによって、遮光部材106及び109の高精度な位置決めが必要となる第1領域を自由に設定することもできる。図6では、基板上の領域R1~領域R12のうち、領域R4、領域R6、領域R7及び領域R9が第1領域として設定(指定)されている。
【0054】
また、遮光部材106及び109を基板上の所定領域外に位置する待機位置などに駆動する(逃げる)場合、目標位置は、投影範囲の近傍とはならないため、第2駆動制御を行う必要はない。従って、投影範囲からの距離が所定の距離以下となる第1領域以外の第2領域には、遮光部材106及び109の待機位置、即ち、投影範囲外に位置して遮光部材106及び109を待機させる領域も含まれる。
【0055】
このように、本実施形態では、遮光部材106及び109を駆動する際に、その目標位置が位置決め精度を要求されない第1領域であれば、目標位置から位置ずれ量が閾値を超えていても、即ち、位置ずれ量にかかわらず、第2駆動制御を行わない。また、本実施形態では、第2駆動制御において、第1駆動制御と比べて、遮光部材106及び109を高い分解能で駆動するため、遮光部材106及び109の位置決め精度を向上させることができる。なお、第2駆動制御において遮光部材106及び109を駆動する分解能によって、遮光部材106及び109の最終的な位置決め精度が決定されるため、第1駆動制御においては、遮光部材106及び109を低い分解能で高速駆動することが可能である。
【0056】
本実施形態によれば、第2駆動制御において、遮光部材106及び109を高分解能で目標位置に向けて駆動し、目標位置が位置決め精度を要求されない第1領域である場合には、目標位置からの位置ずれ量にかかわらず、第2駆動制御を行わない。これにより、スループットを低下させずに、遮光部材106及び109を高精度に位置決めすることができる。
【0057】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態における駆動部107及び110の駆動制御を説明するためのフローチャートである。なお、S401乃至S405、及び、S407乃至S412については、図5に示すS301乃至S305、及び、S306乃至S311と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0058】
S405では、S407及びS411で用いられる閾値を設定する。かかる閾値は、第2駆動制御を行うかどうかを判定するために用いられる、S404で第1駆動制御を行った後の遮光部材106及び109の現在位置と目標位置とのずれ(位置ずれ量)に対する閾値である。このように、本実施形態では、S407及びS411で用いられる閾値は、S404で第1駆動制御を行った後に設定される。また、S402において、同一の基板上で複数の投影範囲が設定された場合には、複数の投影範囲のそれぞれに対して、詳細には、各投影範囲の近傍に設定される複数の第1領域に対して異なる閾値を設定してもよい。換言すれば、第1領域ごとに閾値を設定(変更)してもよい。このように、第1領域ごとに閾値を設定することで、第1領域の各々に要求される位置決め精度に応じて、不要な第2駆動制御が行われることを低減することができ、スループットの低下の抑制につながる。
【0059】
図8は、投影範囲からの距離が所定の距離以下となる第1領域に加えて、かかる第1領域に対する閾値をユーザが指定(設定)するための画面を表示するユーザインタフェースUIBの一例を示す図である。ユーザインタフェースUIBは、制御部102から表示部119に提供されて表示される。ユーザインタフェースUIBには、例えば、基板ステージ112によって保持された基板111に対して設定された基板上の4つの投影範囲501が表示されている。この場合、基板上の投影範囲501の上下左右の領域R1~領域R12の12の領域が、投影範囲501の近傍の第1領域、即ち、遮光部材106及び109の高精度な位置決めの要否を設定することが可能な領域として設定可能である。また、図8に示すように、ユーザインタフェースUIBには、領域R1~領域R12のそれぞれに対応するチェックボックスと、領域R1~領域R12のそれぞれに対応する閾値を指定(設定)するための数値欄が含まれる。ユーザは、ユーザインタフェースUIAにおいて、領域R1~領域R12のそれぞれに対応する数値欄に任意の数値を入力することによって、領域R1~領域R12のそれぞれに対する閾値を自由に設定することができる。
【0060】
図8では、領域R1~領域R5に対する閾値として150μmが設定され、領域R6、領域R7に対する閾値として60μmが設定され、領域R8~領域R12に対する閾値として150μmが設定(指定)されている。また、基板上の領域R1~領域R12のうち、領域R4、領域R6、領域R7及び領域R9が第1領域として設定(指定)されている。従って、遮光部材106及び109の目標位置が領域R4、領域R6、領域R7及び領域R9に位置する場合、それぞれの領域に設定された閾値に応じて、第2駆動制御が行われる。なお、第1領域として設定されていない領域R1~領域R3、領域R5、領域R8、領域R10~領域R12については、閾値が設定されていても、かかる閾値は参照されることなく、第2駆動制御は行われない。
【0061】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、スループットを低下させずに、遮光部材106及び109を高精度に位置決めすることができる。
【0062】
本発明の実施形態における物品の製造方法は、例えば、半導体素子、液晶表示素子、フラットパネルディスプレイ、MEMSなどの物品を製造するのに好適である。かかる製造方法は、上述した露光装置101を用いて感光剤が塗布された基板を露光する工程と、露光された感光剤を現像する工程とを含む。また、現像された感光剤のパターンをマスクとして基板に対してエッチング工程やイオン注入工程などを行い、基板上に回路パターンが形成される。これらの露光、現像、エッチングなどの工程を繰り返して、基板上に複数の層からなる回路パターンを形成する。後工程で、回路パターンが形成された基板に対してダイシング(加工)を行い、チップのマウンティング、ボンディング、検査工程を行う。また、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、レジスト剥離など)を含みうる。本実施形態における物品の製造方法は、従来に比べて、物品の性能、品質、生産性及び生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
【0063】
本発明は、上述の実施形態の1つ以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1つ以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0064】
本明細書の開示は、以下の露光装置、制御方法及び物品の製造方法を含む。
【0065】
(項目1)
原版を介して基板を露光する露光装置であって、
前記基板に入射する露光光の範囲を制限するための遮光部材を駆動する駆動部と、
前記原版のパターン及び前記基板のショットレイアウトの少なくとも一方に基づいて、前記パターンが投影される前記基板上の投影範囲を設定する設定部と、
前記遮光部材が目標位置に位置するように、前記駆動部の駆動制御を行う制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記駆動部により前記遮光部材を第1分解能で前記目標位置に向けて駆動する第1駆動制御を行い、
前記目標位置を前記基板上に投影した目標投影位置が、前記投影範囲からの距離が所定の距離以下となる第1領域に位置する場合、前記第1駆動制御を行った後の前記遮光部材の位置と前記目標位置とのずれが閾値を超えていれば、前記駆動部により前記遮光部材を前記第1分解能よりも高い第2分解能で前記目標位置に向けて駆動する第2駆動制御を行い、
前記目標投影位置が、前記第1領域以外の第2領域に位置する場合、前記第1駆動制御を行った後の前記遮光部材の位置にかかわらず、前記第2駆動制御を行わない、
ことを特徴とする露光装置。
【0066】
(項目2)
前記駆動部は、前記遮光部材を駆動するためのモータを含み、
前記第1分解能及び前記第2分解能は、前記モータによる1パルスあたりの前記遮光部材の駆動量を表す分解能を含む、
ことを特徴とする項目1に記載の露光装置。
【0067】
(項目3)
前記制御部は、前記第1領域をユーザが指定するための画面を表示するユーザインタフェースを提供する、ことを特徴とする項目1又は2に記載の露光装置。
【0068】
(項目4)
前記ユーザインタフェースは、前記第1領域に加えて、前記閾値をユーザが指定するための画面を表示する、ことを特徴とする項目3に記載の露光装置。
【0069】
(項目5)
前記第1領域は、前記投影範囲からの距離が前記所定の距離以下となる、互いに異なる複数の第1領域を含む、ことを特徴とする項目1又は2に記載の露光装置。
【0070】
(項目6)
前記制御部は、前記複数の第1領域をユーザが指定するための画面を表示するユーザインタフェースを提供する、ことを特徴とする項目5に記載の露光装置。
【0071】
(項目7)
前記ユーザインタフェースは、前記複数の第1領域に加えて、前記複数の第1領域のそれぞれに対する前記閾値をユーザが指定するための画面を表示する、ことを特徴とする項目6に記載の露光装置。
【0072】
(項目8)
前記投影範囲は、前記原版を介した露光の結果を保証すべき領域を含む、ことを特徴とする項目1乃至7のうちいずれか1項目に記載の露光装置。
【0073】
(項目9)
前記投影範囲は、前記パターンに応じた回路を転写すべき領域を含む、ことを特徴とする項目1乃至8のうちいずれか1項目に記載の露光装置。
【0074】
(項目10)
前記第1領域は、前記基板上のアライメントマークが設けられた領域を含む、ことを特徴とする項目1乃至9のうちいずれか1項目に記載の露光装置。
【0075】
(項目11)
前記第1領域は、前記基板上の互いに隣接するショット領域の間の領域を含む、ことを特徴とする項目1乃至10のうちいずれか1項目に記載の露光装置。
【0076】
(項目12)
前記第2領域は、前記投影範囲外に位置して前記遮光部材を待機させる領域を含む、ことを特徴とする項目1乃至11のうちいずれか1項目に記載の露光装置。
【0077】
(項目13)
前記閾値は、前記第1駆動制御を行った後に設定される、ことを特徴とする項目1乃至12のうちいずれか1項目に記載の露光装置。
【0078】
(項目14)
原版を介して基板を露光する露光装置に用いられる、前記基板に入射する露光光の範囲を制限するための遮光部材を駆動する駆動部を制御する制御方法であって、
前記原版のパターン及び前記基板のショットレイアウトの少なくとも一方に基づいて、前記基板上の前記パターンが投影される投影範囲を設定する第1工程と、
前記遮光部材が目標位置に位置するように、前記駆動部の駆動制御を行う第2工程と、を有し、
前記第2工程では、
前記駆動部により前記遮光部材を第1分解能で前記目標位置に向けて駆動する第1駆動制御を行い、
前記目標位置を前記基板上に投影した目標投影位置が、前記投影範囲からの距離が所定の距離以下となる第1領域に位置する場合、前記第1駆動制御を行った後の前記遮光部材の位置と前記目標位置とのずれが閾値を超えていれば、前記駆動部により前記遮光部材を前記第1分解能よりも高い第2分解能で前記目標位置に向けて駆動する第2駆動制御を行い、
前記目標投影位置が、前記第1領域以外の第2領域に位置する場合、前記第1駆動制御を行った後の前記遮光部材の位置にかかわらず、前記第2駆動制御を行わない、
ことを特徴とする制御方法。
【0079】
(項目15)
項目1乃至13のうちいずれか1項目に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
露光した前記基板を現像する工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。
【0080】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0081】
101:露光装置 102:制御部 104:原版 106、109:遮光部材 107、110:駆動部 111:基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8