(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010506
(43)【公開日】2025-01-21
(54)【発明の名称】デッキ材およびデッキ
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20250110BHJP
E04F 15/00 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
E04F15/02 J
E04F15/00 101G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024108003
(22)【出願日】2024-07-04
(31)【優先権主張番号】P 2023112584
(32)【優先日】2023-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】722013416
【氏名又は名称】四国化成建材株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000230928
【氏名又は名称】シコク景材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】荒井 隆志
(72)【発明者】
【氏名】増田 航大
(72)【発明者】
【氏名】松下 裕太郎
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA03
2E220AB04
2E220AC03
2E220BA03
2E220BA17
2E220BB03
2E220BB04
2E220CA02
2E220GB01X
2E220GB11X
2E220GB28X
2E220GB32X
(57)【要約】
【課題】表面の温度上昇を抑えることができるデッキ材およびかかるデッキ材を備えたデッキを提供する。
【解決手段】一対の金属板11a,11a間に樹脂層11bが設けられた複合板11と、複合板11の第一表面11fに設けられた、金属板11aよりも熱伝導率が低い被覆層12と、を有する、一方向に長い表面部材10を備えている。複合板11の金属板11a上に被覆層12が設けられているので、表面部材10に加わる熱を拡散させることができる。したがって、デッキDの表面の温度分布を均一に近い状態に維持することで、デッキ表面の温度上昇を抑えることができる。また、金属板11aより熱伝導率の低い被覆層12を複合板11の一の面に配置しているので、複合板11の金属板11aに熱が蓄積されても、その熱がデッキD上の人などに伝わることを抑制することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の金属板間に樹脂層が設けられた複合板と、該複合板の第一表面に設けられた、前記金属板よりも熱伝導率が低い被覆層と、を有する表面部材を備えている
ことを特徴とするデッキ材。
【請求項2】
前記表面部材と、該表面部材の複合板の第二表面に設けられた支持構造部と、を備えており、
前記表面部材は、
平面視で一方向に長い形状を有しており、
前記支持構造部は、
軸方向が前記表面部材の長手方向と平行となるように設けられた複数の縦材を有しており、
該複数の縦材は、
前記表面部材の短手方向において、隣り合う縦材間に空間を有するように設けられており、
該複数の縦材のうち2つの縦材が、
前記表面部材の短手方向の両端部にそれぞれ配設されている
を特徴とする請求項1記載のデッキ材。
【請求項3】
前記表面部材の短手方向の両端部に配設される2つの縦材は、
前記表面部材の短手方向の端縁の外方に位置するリブを有している
ことを特徴とする請求項2記載のデッキ材。
【請求項4】
前記縦材に設けられたリブは、
前記表面部材の複合板の第二表面から該リブの先端までの長さが該表面部材の厚さ以下となるように設けられている
ことを特徴とする請求項3記載のデッキ材。
【請求項5】
隣り合う縦材間に配置される複数の横材を有しており、
該複数の横材のうち前記表面部材の長手方向の両端部に配設される横材は、
前記表面部材の長手方向の端縁の外方に位置するリブを有している
ことを特徴とする請求項2記載のデッキ材。
【請求項6】
前記横材に設けられたリブは、
前記表面部材の複合板の第二表面から該リブの先端までの長さが該表面部材の厚さ以下となるように設けられている
ことを特徴とする請求項5記載のデッキ材。
【請求項7】
前記被覆層が弾性体を含む層である
ことを特徴とする請求項1記載のデッキ材。
【請求項8】
前記被覆層の厚さが前記複合板の厚さより厚い
ことを特徴とする請求項1記載のデッキ材。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載のデッキ材を配置した
ことを特徴とするデッキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デッキ材およびデッキに関する。
【背景技術】
【0002】
住居などの建物には、建物に隣接した状態で、その窓などから延長した状態となるようにデッキが設置される場合がある。かかるデッキは、庭などの地面よりもその上面(デッキ床面)が高い位置に設けられており、建物内からデッキ上に直接人が出ることができるように設けられる場合もある。
【0003】
このようなデッキの床面を形成するデッキ材として、表面に木粉配合樹脂の層を有するものが使用される場合がある(例えば、特許文献1参照)。表面が木粉配合樹脂によって形成されていると、デッキ材の表面に適度な木質感を付与できる。すると、デッキが天然木材によって形成されているように見えるため、デッキの外観を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、建物内から直接人が出ることができるように設けられているデッキの場合、住人などが屋内から素足のままデッキ上に移動したりする場合があるため、デッキの表面(床面)は素足でも人が歩いたり立ち止まって休憩したりできる程度の温度に維持されることが望ましい。
【0006】
しかし、デッキが直射日光に晒される場合、夏場等の日差しが強い環境ではデッキ材の表面温度が高くなる。上述したようなデッキ材の表面に木粉配合樹脂の層が設けられている場合であれば、デッキ材の表面が素足では歩いたりできないほどの温度になることもある。このため、デッキが直射日光に晒された場合でも、デッキ材の表面の温度上昇を抑えられるデッキ材が求められている。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、表面の温度上昇を抑えることができるデッキ材およびかかるデッキ材を備えたデッキを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明のデッキ材は、一対の金属板間に樹脂層が設けられた複合板と、該複合板の第一表面に設けられた、前記金属板よりも熱伝導率が低い被覆層と、を有する表面部材を備えていることを特徴とする。
第2発明のデッキ材は、第1発明において、前記表面部材と、該表面部材の複合板の第二表面に設けられた支持構造部と、を備えており、前記表面部材は、平面視で一方向に長い形状を有しており、前記支持構造部は、軸方向が前記表面部材の長手方向と平行となるように設けられた複数の縦材を有しており、該複数の縦材は、前記表面部材の短手方向において、隣り合う縦材間に空間を有するように設けられており、該複数の縦材のうち2つの縦材が、前記表面部材の短手方向の両端部にそれぞれ配設されていることを特徴とする。
第3発明のデッキ材は、第1または第2発明において、前記表面部材の短手方向の両端部に配設される2つの縦材は、前記表面部材の短手方向の端縁の外方に位置するリブを有していることを特徴とする。
第4発明のデッキ材は、第3発明において、前記縦材に設けられたリブは、前記表面部材の複合板の第二表面から該リブの先端までの長さが該表面部材の厚さ以下となるように設けられていることを特徴とする。
第5発明のデッキ材は、第2~第4発明のいずれかにおいて、隣り合う縦材間に配置される複数の横材を有しており、該複数の横材のうち前記表面部材の長手方向の両端部に配設される横材は、前記表面部材の長手方向の端縁の外方に位置するリブを有していることを特徴とする。
第6発明のデッキ材は、第5発明において、前記横材に設けられたリブは、前記表面部材の複合板の第二表面から該リブの先端までの長さが該表面部材の厚さ以下となるように設けられていることを特徴とする。
第7発明のデッキ材は、第1~第6発明のいずれかにおいて、前記被覆層が弾性体を含む層であることを特徴とする。
第8発明のデッキ材は、第1~第7発明のいずれかにおいて、前記被覆層の厚さが前記複合板の厚さより厚いことを特徴とする。
第9発明のデッキは、第1~第8発明のいずれかに記載のデッキ材を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば、複合板の金属板上に該金属より熱伝導率の低い被覆層が設けられているので、肌へ熱を伝え過ぎないようにすることができる。また、被覆層の下に複合板の金属板が設けられているので、表面部材に加わる熱を拡散させることができる。したがって、デッキ材の被覆層の表面がデッキの表面となるようにデッキ材を設置すれば、デッキの表面の局所的な温度上昇を抑えることができ、デッキの表面の温度分布を均一に近づけることができる。また、複合板を使用することで、デッキ材の強度を下げることなくデッキ材を軽量化することができる。
第2発明によれば、デッキ材の強度を下げることなくデッキ材を軽量化することができる。
第3発明によれば、縦材に設けられたリブを支持構造部上に表面部材を配置する際のガイドとすることができるので、デッキ材の施工性を向上できる。また、縦材に設けられたリブから表面部材に加わる熱を拡散、放熱することができるため、デッキの表面の局所的な温度上昇を抑えるとともに、デッキの表面の温度分布を均一に近づけることができる。
第4発明によれば、リブの先端が表面部材の表面から突出することがないので、形成されたデッキの安全性を高くすることができる。
第5発明によれば、横材に設けられたリブを支持構造部上に表面部材を配置する際のガイドとすることができるので、デッキ材の施工性を向上できる。また、横材に設けられたリブから表面部材に加わる熱を拡散、放熱することができるため、デッキの表面の局所的な温度上昇を抑えるとともに、デッキの表面の温度分布を均一に近づけることができる。
第6発明によれば、リブの先端が表面部材の表面から突出することがないので、形成されたデッキの安全性を高くすることができる。
第7、第8発明によれば、クッション性を付与することができ、安全性を高くすることができる。
第9発明によれば、複合板の金属板上に該金属より熱伝導率の低い被覆層が設けられているので、肌へ熱を伝え過ぎないようにすることができる。また、デッキ表面に加わる熱を拡散させることができるため、デッキ表面の温度上昇を抑えることができる。デッキの表面の局所的な温度上昇を抑えることができ、デッキの表面の温度分布を均一に近づけることができる。また、デッキの強度を下げることなくデッキを軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態のデッキ材1の概略説明図であって、(A)は概略斜視図であり、(B)はデッキ材1を分解した状態の概略斜視図である。
【
図2】(A)は本実施形態のデッキ材1の概略平面図であり、(B)は本実施形態のデッキ材1を短手方向に見た概略側面図であり、(C)は(A)のC-C線断面の部分拡大図である。
【
図3】(A)は本実施形態のデッキ材1を長手方向に見た概略側面図であり、(B)は
図2(A)のB-B線断面の部分拡大図である。
【
図5】(A)は横材19の概略斜視図であり、(B)は(A)を反対側から見た概略斜視図である。
【
図6】
図2(A)のB-B線断面の部分拡大図であって、複合板11に貫通孔11hが形成された例を示した図である。
【
図7】本実施形態のデッキ材1を使用したデッキDの施工作業の説明図である。
【
図8】本実施形態のデッキ材1を使用したデッキDの施工作業の説明図である。
【
図9】本実施形態のデッキDの概略説明図であり、(A)はカバー部材Cを外した状態であり、(B)はカバー部材Cが取り付けられている状態である。
【
図10】(A)他の実施形態のデッキ材1を長手方向に見た概略側面図あり、(B)さらに他の実施形態のデッキ材1を長手方向に見た概略側面図である。
【
図11】実験結果を示した図であって、(A)は比較例のデッキ材の温度分布画像の時間変化を示した図であり、(B)は実施例のデッキ材の温度分布画像の時間変化を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態のデッキ材は、建物の屋外に設置されるデッキに使用されるデッキ材であり、直射日光等によって加熱された場合でもその表面の温度をある程度均一に近い状態に維持することで、デッキ表面の温度上昇を抑えることができるようにしたことに特徴を有している。
【0012】
<本実施形態のデッキD>
まず、本実施形態のデッキ材1の詳細を説明する前に、本実施形態のデッキ材1を使用して形成されるデッキDについて説明する。なお、本実施形態のデッキ材1を使用して形成されるデッキDが、本実施形態のデッキDになる。
【0013】
図9に示すように、本実施形態のデッキDは、地面に立設された複数の脚Lと、この複数の脚Lに支持された桁Gを複数備えている。複数の桁Gは一の側面(複数の脚Lに設置された状態で上方に位置する面、以下、桁Gの上面という場合がある)が平坦面に形成された軸状の部材である。この複数の桁Gは、その軸方向が水平になるように設置されており、その上面には本実施形態のデッキ材1(以下単にデッキ材1という場合がある)が複数枚(
図9では6枚)並べて設置されている。より詳しくいえば、複数枚のデッキ材1は、その長手方向が互いに平行となるように複数の桁Gの上面に並べて設置されている。しかも、複数枚のデッキ材1は、その上面(デッキ材1の表面1a)がほぼ同一平面となるように複数の桁Gの上面に並べて設置されている。そして、複数の桁Gの上に設置された複数枚のデッキ材1の周囲には、複数枚のデッキ材1の長手方向の端面、および、複数枚のデッキ材1のうち最外方に位置する2つのデッキ材1の短手方向の端面を覆うようにカバー部材Cが設けられている。
【0014】
以上のような構造を有する本実施形態のデッキDは、本実施形態のデッキ材1の表面1aによってその表面(デッキ材Dの床面)が形成されているので、その表面の温度をほぼ均一に保つことができるし、その表面の温度の上昇を抑えることができる。例えば、本実施形態のデッキDの一部の表面に直射日光が照射された場合であっても、その表面の熱を周囲に効果的に拡散することができるので、デッキDの表面の一部が高温になることを防止できる。また、本実施形態のデッキDの全面に直射日光が照射された場合でも、その表面の熱を拡散して放熱することができるので、デッキDの表面の温度上昇を抑えることができる。
【0015】
なお、本実施形態のデッキ材1が設置される複数の桁Gの上面は必ずしも平坦面に形成されていなくてもよい。複数の桁Gは、その上面に本実施形態のデッキ材1を複数枚並べて設置した際に複数枚のデッキ材1の表面1aによって形成されるデッキDの表面がほぼ同一平面になるような構造を有していればよい。
【0016】
また、
図9に示す本実施形態のデッキDでは、複数枚のデッキ材1がその短手方向にのみ複数枚並べて設置している場合を示している。本実施形態のデッキDは、複数枚のデッキ材1をその短手方向だけでなくその長手方向にも複数枚並べて設置する構造を有していてもよい。この場合、カバー部材Cは、最外方に位置する複数のデッキ材1の露出している端部を覆うように設置される。
【0017】
<本実施形態のデッキ材1>
つぎに、本実施形態のデッキ材1について説明する。
図1(A)に示すように、本実施形態のデッキ材1は、一方向に長い、平面視で略短冊状の形状をした部材である。本実施形態のデッキ材1は、表面部材10と、この表面部材10を支持する支持構造部15と、を有している。
【0018】
<表面部材10>
図1(B)、
図2(A)に示すように、表面部材10は一方向に長い板状の部材であり、デッキDの表面(デッキDの床面)を形成する部材である。
図2(C)および
図3(B)に示すように、表面部材10は、複合板11と、複合板11の一の表面11f(
図2(C)では上方の表面、以下複合板11の第一表面11fという場合がある)に設けられた被覆層12と、を有している。
【0019】
なお、表面部材10の大きさ(長さや幅)はとくに限定されない。例えば、本実施形態のデッキ材1を住居等に設置される一般的なデッキに使用する場合であれば、例えば、その長さ、つまり長手方向(
図1の矢印Aの方向)の長さL1(
図2(A)参照)を500~2400mm程度、その幅、つまり短手方向(
図1の矢印Bの方向)の長さW1(
図2(A)参照)を100~500mm程度とすることができる。
【0020】
<複合板11>
図2(C)および
図3(B)に示すように、複合板11は、一対の金属板11a,11a間に樹脂層11bが設けられた板状の部材である。
一対の金属板11a,11aは熱伝導性の高い金属で形成された板、例えば、アルミニウム製の板や鋼製の板である。なお、一対の金属板としては、熱伝導性、強度、重量、耐候性などの観点から、アルミニウム製の板であることが好ましい。また、一対の金属板11a,11aは、必ずしも同じ金属板でなくてもよい。一対の金属板11a,11aとして熱伝導性や強度に差がある板を使用する場合には、複合板11の第一表面11fを形成する金属板11aに熱伝導性の高い金属板を使用することが望ましい。
樹脂層11bは、例えばポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂によって形成された層である。この樹脂層11bは、複合板11に対して剛性を高める等の機能を付与するために設けられている。
【0021】
なお、複合板11の厚さや金属板11aの厚さ、樹脂層11bの厚さはとくに限定されない。例えば、本実施形態のデッキ材1を住居等に設置される一般的なデッキに使用する場合であれば、複合板11の厚さは3~10mm程度、金属板11aの厚さの厚さは0.1~1mm程度、樹脂層11bの厚さは1~9.8mm程度、とすることができる。
【0022】
<被覆層12>
被覆層12は、複合板11を構成する金属板11aよりも熱伝導率が低い素材によって形成された層であり、複合板11の第一表面11f全面を覆うように設けられている。この被覆層12は、例えば、塗料や固形分(石、ガラス、珪藻土、砂、木片などの硬い物質や、ゴムチップなどの弾性体)を含む塗材を硬化させたものや、樹脂シート(前記塗材を硬化させてシート状にしたものも含む)、ラミネートフィルム、ゴムシート、セラミック板、石板、木板、人工芝などによって形成することができる。具体的には、複合板11の第一表面11fに塗料や塗材を塗布し、乾燥・硬化させて被覆層12を形成することができる。また、複合板11の第一表面11fに樹脂シート、ラミネートフィルム、ゴムシート、セラミック板、石板、木板や人工芝などを接着剤や両面テープなどで固定して被覆層12を形成することもできる。
なお、塗材によって被覆層12を形成する場合には、塗材中に固形分を保持したり塗材を複合板11の第一表面11fに固定したりするためのバインダーとして、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の樹脂を使用することができる。
以下では、被覆層12が固形分を含む塗材を硬化させたものによって形成されている場合を説明する。
【0023】
なお、被覆層12の厚さはとくに限定されない。例えば、本実施形態のデッキ材1を住居等に設置される一般的なデッキに使用する場合であれば、被覆層12の厚さは5~30mm程度とすることができる。塗材によって被覆層12を形成する場合には、被覆層12の厚さは6~10mm程度とすることができる。
【0024】
<支持構造部15>
上述した表面部材10は、支持構造部15の上面に設けられている。言い換えれば、支持構造部15は、表面部材10の複合板11の他の表面11s(
図2(C)では下方の表面、具体的には下側の金属板11aの表面)にその上面が接触するように設けられている。この支持構造部15は、3本の縦材16と4つの横材19とを有している。なお、以下では、複合板11の他の表面11sを複合板11の第二表面11sという場合がある。
【0025】
<縦材16>
図1および
図3に示すように、3本の縦材16は、表面部材10の短手方向の端部に設けられる2本の端部縦材17,17と、2本の端部縦材17,17の間に設けられる1本の中間縦材18と、を有している。この3本の縦材16は、押出成形等の方法によって形成された、軸方向に長い中空かつ長尺な軸状部材である。この3本の縦材16は、その軸方向が互いに平行となり、かつ、その軸方向が表面部材10の長手方向と平行となるように設けられている。また、3本の縦材16は、いずれもその長さL2(
図2(B)参照)が表面部材10の長さL1とほぼ同じ長さに形成されている。
なお、縦材16の材料はとくに限定されないが、金属の形材であることが好ましく、熱伝導性、強度、耐候性などの観点から、アルミニウムの押出形材であることがより好ましい。
また、縦材16を金属の形材とすることで、表面部材10に加わる熱を複合板11の第二表面11sから縦材16に移動して放熱することができる。つまり、縦材16を金属の形材とすることでデッキ材1の表面1aの温度上昇を抑制することができる。
【0026】
<端部縦材17>
図3および
図4に示すように、端部縦材17は、互いに平行な第一側壁17aと第二側壁17bと、第一側壁17aと第二側壁17bとの間に設けられる第三側壁17cおよび第四側壁17dを有している。
【0027】
図3および
図4に示すように、第一側壁17aは、その外面(
図3および
図4では上面)が平坦面に形成された壁であり、その外面に表面部材10の複合板11の第二表面11sが配置されている(
図3(B)参照)。
第二側壁17bは、その外面(
図3および
図4では下面)が平坦面に形成された壁であり、その外面が第一側壁17aの外面と平行となっている。この第二側壁17bの外面は、本実施形態のデッキ材1を桁Gに設置する際に、桁Gの上面に配置される面である(
図7参照)。
第三側壁17cは、表面部材10の短手方向において内側に位置する壁であって、第一側壁17aと第二側壁17bとを連結する壁である。この第三側壁17cは、第一側壁17aおよび第二側壁17bと直交するように設けられている。なお、第三側壁17cは、必ずしも第一側壁17aおよび第二側壁17bと直交するように設けられていなくてもよいが、第一側壁17aおよび第二側壁17bと直交するように設けられていれば、表面部材10に加わる荷重に対する強度を高くできる。
第四側壁17dは、表面部材10の短手方向において外側に位置する壁であって、第一側壁17aと第二側壁17bとを連結する壁である。この第四側壁17dは、第一側壁17aと第二側壁17bとの間でクランク状になっている。具体的には、第四側壁17dは、第一側壁17aと直交する壁である壁Xと、壁Xよりも第三側壁17c側に位置するように設けられた第二側壁17bと直交する壁である壁Yと、壁Yと壁Xとを連結する第一側壁17aと平行な部分を有する壁Zと、によってクランク状になっている。
【0028】
また、
図3および
図4に示すように、第二側壁17bは、第三側壁17cおよび第四側壁17dの壁Yよりも外方まで突出した部分(突出壁pおよび溝形成壁g)を有している。突出壁pは、その上面が後述する横材19が配置される面となる部分である。つまり、突出壁pは、横材19を保持する部分である。溝形成壁gは、先端に溝形成壁gと直交するように設けられた先端壁sを有しており、溝形成壁gと先端壁sと第四側壁17dの壁Yとによって溝17gを形成する部分である。なお、溝形成壁gの先端壁sは、その先端と第四側壁17dの壁Zとの間(言い換えれば壁Zとの間)に外部と連通する開口が形成される大きさに形成されている。
【0029】
また、端部縦材17は、表面部材10の短手方向の端縁よりも外方に、第一側壁17aの外面に立設され端部縦材17の軸方向に沿って延びるリブ17rを備えている。このリブ17rは、その高さ、つまり第一側壁17aの外面からリブ17rの先端までの長さが複合板11の厚さと同等以下になるように形成されている。つまり、リブ17rの先端が、縦材16上に表面部材10を配置した際に、複合板11の第一表面11fから突出しないように設けられている。リブ17rをこのような高さに形成しておけば、支持構造部15の縦材16上に表面部材10が配置された状態でも、リブ17rの先端が表面部材10の表面10aから突出することがない。すると、端部縦材17にリブ17rを設けても、形成されたデッキDの安全性を高くすることができる。
【0030】
<中間縦材18>
図3および
図4に示すように、中間縦材18は、互いに平行な第一側壁18aおよび第二側壁18bと、第一側壁18aと第二側壁18bとの間に設けられる一対の第三側壁18c,18cと、を有している。
【0031】
図3および
図4に示すように、第一側壁18aは、その外面(
図3および
図4では上面)が平坦面に形成された壁であり、その外面に表面部材10の複合板11の第二表面11sが配置されている(
図3(B)参照)。
第二側壁18bは、その外面(
図3および
図4では下面)が平坦面に形成された壁であり、その外面が第一側壁18aの外面と平行となっている。この第二側壁18bの外面は、本実施形態のデッキ材1を桁Gに設置する際に、桁Gの上面に配置される面である(
図7参照)。
一対の第三側壁18c,18cは、第一側壁18aと第二側壁18bとを連結する壁である。この一対の第三側壁18c,18cは、いずれも第一側壁18aおよび第二側壁18bと直交するように設けられている。なお、一対の第三側壁18c,18cは、必ずしも第一側壁18aおよび第二側壁18bと直交するように設けられていなくてもよいが、第一側壁18aおよび第二側壁18bと直交するように設けられていれば、表面部材10から加わる荷重に対する強度を高くできる。
【0032】
また、
図3および
図4に示すように、第二側壁18bは、一対の第三側壁18c,18cよりも外方まで突出した部分(突出壁p)を有している。突出壁pは、その上面が後述する横材19が配置される面となる部分である。つまり、突出壁pは、横材19を保持する部分である。
【0033】
<横材19>
図2および
図5に示すように、横材19は、押出成形等の方法によって形成された中空な軸状部材である。この横材19は、縦材16の軸方向の両端部(つまり表面部材10の長手方向の両端部)において、端部縦材17と中間縦材18との間に配置されるものである(
図1(A)、
図3(A)参照)。言い換えれば、横材19は、端部縦材17と中間縦材18との間に配置され、両者間の距離を一定に保つためのスペーサーとして機能するものである。また、横材19は、カバー部材Cを保持するための機能も有している。この横材19は、互いに対向する一対の側壁19a,19bを有しており、この一対の側壁19a,19b間をつなぐ一対の連結側壁19c,19dを有している。この横材19は、その一対の側壁19a,19bの外面間の距離(以下幅W2という場合がある、
図5(A)参照)が、端部縦材17の突出壁pの上面から表面部材10の複合板11の第二表面までの距離H(
図3(B)参照)とほぼ同じ長さになるように形成されている。つまり、横材19は、隣り合う端部縦材17の端部と中間縦材18の端部との間に形成される開口を塞ぐことができる大きさに形成されている。
【0034】
また、横材19は、表面部材10の長手方向の端縁よりも外方に、表面部材10側に位置する側壁19aの外面(
図2および
図5では側壁19aの上面)に立設されたリブ19rを備えている。このリブ19rは、その高さ、つまり側壁19aの外面からリブ19rの先端までの長さが複合板11の厚さと同等以下となるように形成されている。つまり、リブ19rの先端が、複合板11の第一表面11fから突出しないように設けられている。リブ19rをこのような高さに形成しておけば、支持構造部15の縦材16上に表面部材10が配置された状態でも、リブ19rの先端が表面部材10の表面10aから突出することがない。すると、横材19にリブ19rを設けても、形成されたデッキDの安全性を高くすることができる。
【0035】
本実施形態のデッキ材1が以上のごとき構造を有するので、デッキ材1はその表面1aの温度分布を均一に近づけることができるし、その表面1aの温度上昇を抑制することができる。つまり、本実施形態のデッキ材1は、被覆層12が表面1aを形成しているが、被覆層12は複合板11の第一表面11f、つまり、一方の金属板11aの表面と接触するように設置されている。このため、デッキ材1の表面1a、つまり、被覆層12の表面が直射日光などによって加熱されると、その熱が複合板11の一方の金属板11aに移動する。この熱は、一方の金属板11aから樹脂層11bと他方の金属板11aを介して支持構造部15の縦材16に移動して放熱することができる。したがって、被覆層12の温度、つまり、デッキ材1の表面1aの温度が上昇することを抑制することができる。
【0036】
また、デッキ材1の表面1aの一部が加熱される状態になった場合でも、加熱された部分の被覆層12から一方の金属板11aに熱が移動し、その熱は一方の金属板11a内を移動して拡散される。すると、一方の金属板11aがない場合に比べて、被覆層12の加熱された部分から加熱されていない部分に熱を早く移動させることができるので、被覆層12の加熱された部分の熱は、その部分だけでなくその周囲にも早く拡散させることができる。したがって、被覆層12の温度、つまり、デッキ材1の表面1aの温度分布を均一に近づけることができる。
【0037】
また、デッキ材1を形成する際に、端部縦材17や横材19にリブ17rおよびリブ19rが設けられているので、リブ17rおよびリブ19rを表面部材10を支持構造部15の縦材16に配置する際のガイドとすることができる。すると、表面部材10と支持構造部15を連結する際に表面部材10を位置決めしやすくなるので、デッキ材の施工性を向上できる。
【0038】
また、端部縦材17や横材19にリブ17rやリブ19rを設けておけば、リブ17r,19rから表面部材10に加わる熱を拡散、放熱することができるため、デッキDの表面の局所的な温度上昇を抑えるとともに、デッキDの表面の温度分布を均一に近づけることができる。
【0039】
<本実施形態のデッキ材1の組み立て方法>
本実施形態のデッキ材1は以下のようにして組み立てることができる。
【0040】
まず、複合板11と被覆層12とを有する表面部材10が形成される。具体的には、複合板11の第一表面11fに、その全面を覆うように固形分を含む塗材などを塗布し、硬化させたり、第一表面11fの全面を覆うように樹脂シート等を配置して固定したりすることにより、複合板11の第一表面11f上に被覆層12が形成された表面部材10を形成できる。
【0041】
なお、複合板11の第一表面11fに固形分を含む塗材を塗布する場合には、表面部材10と同程度の内径を有する枠を用い、その枠内に複合板11を配置し、その上から固形分を含む塗材を塗布し、加熱ローラー等で処理することで表面部材10を形成することができる。
また、複合板11の第一表面11fに固形分を含む塗材を塗布する方法は特に限定されず、スプレー塗布、ローラー塗布、鏝塗り、刷毛塗りなど従来の方法を採用することができる。
【0042】
支持構造部15は、以下のようにして形成することができる。
まず、水平な床面や作業台等の上に、2本の端部縦材17,17と1本の中間縦材18を配置する。ついで、隣り合う端部縦材17と中間縦材18との間にそれぞれ横材19を配置する。より詳しくいえば、端部縦材17の軸方向の端部と中間縦材18の軸方向の端部との間にそれぞれ横材19を配置する。このとき、横材19の軸方向の両端面がそれぞれ縦材17の第三側壁17cおよび中間縦材18の第三側壁18cの側面と接触した状態となるようにする。その状態で、ビスなどによって横材19を端部縦材17および中間縦材18に固定することで、支持構造部15を形成することができる。
【0043】
支持構造部15および表面部材10を形成した後、支持構造部15の上部に表面部材10を配置する。このとき、表面部材10の短手側の端面が横材19のリブ19rに接触し、表面部材10の長手側の端面が端部縦材17のリブ17rに接触するように配置する。その状態で、支持構造部15と表面部材10を固定すれば、デッキ材1を形成することができる。
【0044】
なお、支持構造部15と表面部材10の固定方法はとくに限定されず、両面テープやビスなど従来の固定方法を採用することができる。
【0045】
<本実施形態のデッキ材1を使用したデッキDの施工について>
本実施形態のデッキ材1を使用したデッキDの施工する場合には、以下の方法で施工することができる。
例えば、(1)上述した方法などによって予め組み立てられた本実施形態のデッキ材1を使用してデッキDを施工する方法、(2)予め形成された支持構造部15を複数の桁Gの上に並べて固定したのち、予め形成された表面部材10を支持構造部15に固定してデッキDを施工する方法、(3)デッキDを施工する施工場所で支持構造部15を構成する各部材を連結して支持構造部15を形成し、予め形成された表面部材10を支持構造部15に固定してデッキDを施工する方法などを採用することができる。
【0046】
例えば、上記(1)の方法で本実施形態のデッキ材1を使用したデッキDの施工する場合には、地面に複数の脚Lを立設し、この複数の脚Lに桁Gを設置する。そして、複数の本実施形態のデッキ材1を複数の桁Gの上に並べて固定したのち、複数のデッキ材1の周囲に複数のカバー部材Cを設置すれば、デッキDを施工することができる。
【0047】
また、上記(2)の方法で本実施形態のデッキ材1を使用したデッキDの施工する場合には、地面に複数の脚Lを立設し、この複数の脚Lに桁Gを設置する。そして、複数の支持構造部15を複数の桁Gの上に並べて固定する(
図7(A)、(B)、
図8(A)参照)。そして、桁Gに固定されている複数の支持構造部15の上面に複数の表面部材10を配置して固定し(
図7(B)、(C)、
図8(B))、複数のデッキ材1の周囲に複数のカバー部材Cを設置すれば、デッキDを施工することができる。
【0048】
上記(3)の方法で本実施形態のデッキ材1を使用したデッキDの施工する場合には、地面に複数の脚Lを立設し、この複数の脚Lに桁Gを設置する。そして、桁Gを作業台等として、上述した支持構造部15を形成する方法で、桁G上に支持構造部15を形成する。その後、桁Gに固定されている複数の支持構造部15の上面に複数の表面部材10を配置して固定し、複数のデッキ材1の周囲に複数のカバー部材Cを設置すれば、デッキDを施工することができる。なお、この方法の場合、予め形成された表面部材10を使用してもよいし、桁Gに固定されている複数の支持構造部15の上面に複合板11を設置した後で複合板11の第一表面11fに被覆層12を形成してもよい。
【0049】
なお、本実施形態のデッキ材1は、隣り合うデッキ材1の短手方向の端縁同士が接触するように設置してもよいが、隣り合うデッキ材1の短手方向の端縁同士の間に若干の隙間ができるように設置することが望ましい。つまり、隣り合う支持構造部15の端部縦材17の第四側壁17dの壁X同士の間に若干の隙間(
図7(C)ではDg)ができるように設置することが望ましい。かかる隙間Dgが形成されるようにデッキ材1を設置すれば、隙間Dgを通して雨水などを排水できるので、デッキDに水が溜まるなどの問題が生じることを防止できる。また、隙間Dgを設けることで、デッキ材1の交換作業を容易に行うことができるため、メンテナンス性が向上する。
【0050】
一方、隣り合うデッキ材1の短手方向の端縁同士の間に若干の隙間ができるように設置した場合に、隙間の部分に隙間カバーを設けてもよい。例えば、隙間カバーとして、上方から隙間を見たときに隙間を通して下方は視認できないが、隙間カバーや隙間カバーとデッキ材1との間を通して水が流れるようなものを隙間に設置してもよい。この場合、雨水などを排水する機能を維持しつつデッキの美観を高くすることができる。例えば、隙間カバーとして、隙間カバーを貫通する貫通孔を有するものや、デッキ材1との境界に切り欠きなどを有するものを採用すれば、前述した効果を得ることができる。
【0051】
<縦材16について>
上記例の本実施形態のデッキ材1では、支持構造部15が3本の縦材16を有する場合を説明した。つまり、支持構造部15が、2本の端部縦材17,17と1本の中間縦材18を有する場合を説明した。本実施形態のデッキ材1は、支持構造部15が、縦材16として2本の端部縦材17,17だけを有する構造としてもよいし(
図10(A)参照)、中間縦材18を2本以上有する構造としてもよい。また、1つの縦材だけで支持構造部15を形成してもよい(
図10(B)参照)。なお、支持構造部15が縦材16として2本の端部縦材17,17だけを有する構造とした場合には、2本の端部縦材17,17の両端部間にそれぞれ横材19を設置すればよく、支持構造部15が中間縦材18を2本以上有する構造とした場合には、隣り合う中間縦材18の両端部間にもそれぞれ横材19を設置すればよい。
【0052】
また、縦材16の断面形状は、複数の桁Gの上面に安定して設置でき表面部材10を安定して保持できる形状に形成されていればよく、必ずしも上述したような断面形状に限定されない。例えば、複数の桁Gの上面が平坦面であって水平面となっている場合であれば、縦材16が互いに平行な一対の平面を有する形状とすることで、複数の桁Gの上面に一方の平面が面接触するように縦材16を配置すれば縦材16の他方の平面は水平面となる。すると、縦材16上に設置されている表面部材10の表面10a、つまり、本実施形態のデッキ材1の表面1aを水平面としやすくなる。
【0053】
また、上記例では、端部縦材17が溝部17gを有する場合を説明しているが、溝部17gは必ずしも設けなくてもよい。しかし、溝部17gを設けることで、隣り合うデッキ材1同士を取付金具にて桁Gに取り付けることが可能となる。そうすることで、必要な個所のデッキ材1を取り外すことが可能となり、デッキ材1の交換作業が容易に行うことができるため、メンテナンス性が向上する。
【0054】
上記例では、リブ17rの高さが複合板11の厚さ以下となる場合を説明したが、リブ17rの高さは上記高さに限定されない。リブ17rの先端が表面部材10の表面10aから突出することがない長さに形成されていればよい。
また、端部縦材17のリブ17rは必ずしも設けなくてもよい。しかし、端部縦材17に上述したようなリブ17rを設ければ、支持構造部15の縦材16上に表面部材10を設置する際の施工が行いやすくなるという利点が得られる。
また、1つの縦材だけ支持構造部15を形成する場合には、その短手方向の両端にリブ15rが形成されるが、この場合も、必ずしもリブ15rは設けなくてもよい。
【0055】
<横材19について>
上記例では、横材19のリブ19rの高さが複合板11の厚さ以下となる場合を説明したが、リブ19rの高さは上記高さに限定されない。リブ19rの先端が表面部材10の表面10aから突出することがない長さに形成されていればよい。
また、横材19のリブ19rは必ずしも設けなくてもよい。しかし、横材19に上述したようなリブ19rを設ければ、支持構造部15に表面部材10を設置する際の施工が行いやすくなるという利点が得られる。
【0056】
また、上記例の本実施形態のデッキ材1では、隣り合う縦材16の両端部間に横材19を配置する場合を説明した。つまり、隣り合う縦材16の両端部間に2つの横材19を配置する場合を説明した。しかし、横材19は、隣り合う縦材16の長手方向の中間部に配置してもよい。つまり、隣り合う縦材16の両端部間の2カ所に加えて、縦材16の長手方向の中間部にも横材19を配置してもよい。この場合、縦材16の長手方向の中間部に配置する横材19は上述したようなリブ19rを有しない形状とする必要がある。
【0057】
また、横材19の幅や長さもとくに限定されない。横材19の長さL3(
図5(A)参照)は、隣り合う縦材16間を適切な間隔に保持できる長さとすればよい。また、横材19の幅W2は、上述したように、隣り合う縦材16間の開口を塞ぐことができる幅に形成されていてもよいし、隣り合う縦材16間の開口を塞ぐ必要がなければ隣り合う縦材16間の開口に配置できる幅(つまり開口の高さHと同等以下)に形成されていればよい。
【0058】
<被覆層12について>
本実施形態のデッキ材1の表面部材10の被覆層12に使用される素材は、表面部材10の複合板11の金属板11aよりも熱伝導率が低い素材によって形成されていればよく、その素材はとくに限定されない。被覆層12の素材にはある程度の弾性を有する素材を使用することが望ましい。すると、デッキ1上で人が転倒した場合の安全性を高めることができる。例えば、被覆層12をゴムチップなどの弾性体を含む塗材で形成すれば、デッキ材1の表面1aのクッション性が高くなるので安全性を高くすることができる。
【0059】
また、被覆層12の厚さはとくに限定されないが、複合板11の厚さよりも厚くなっていることが望ましい。とくに、被覆層12に上述したような弾性を有する素材を使用した場合に、被覆層12の厚さを複合板11の厚さよりも厚くすれば、デッキ材1の表面1aのクッション性をより高くできるので、デッキ材1の安全性をより高くすることができる。例えば、複合板11の厚さが3~10mm程度であれば、被覆層12の厚さは6~10mm程度とすることができる。なお、被覆層12がゴムチップを含むように形成した場合であれば、被覆層12の厚さをある程度薄くしてもデッキ材1の表面1aのクッション性は維持できる。例えば、複合板11の厚さが3~10mm程度であれば、ゴムチップなどの弾性体を含む被覆層12の厚さは6~10mm程度とすることができる。
【0060】
<複合板11について>
上記例では、複合板11が第一表面11fと第二表面11sとの間を貫通する貫通孔を有しない構造の場合を説明したが、複合板11として貫通孔11hを有するもの使用することもできる(
図6参照)。複合板11に貫通孔11hを形成すれば、この貫通孔11hを水抜き孔として機能させることができる。すると、デッキ材1の表面、つまり、表面部材10上に水が溜まることを防ぐことができる。つまり、被覆層12自体がある程度の透水性を有していれば、表面部材10上の水分は被覆層12を透過し複合板11の第一表面11fまで到達する。複合板11に貫通孔11hが形成されていれば、第一表面11fまで到達した水などを貫通孔11hを通して複合板11の下方、つまり、表面部材10の下方に排水することができる。しかも、複合板11bに貫通孔11hを形成しているだけであるので、デッキ材1の強度が低下することも防止できる。
【0061】
複合板11に形成する貫通孔11hの大きさ(孔径)はとくに限定されないが、排水性と強度維持を両立させる上では、孔径は1~10mmが好ましく、3~5mmがより好ましい。
【0062】
また、複合板11に貫通孔11hを形成する位置もとくに限定されないが、支持構造部15を構成する縦材16や横材19の上に貫通孔11hが位置しないように形成することが望ましい。このように複合板11に貫通孔11hを形成すれば、排水性を高くできるし、水などによる被覆材12や支持構造部15の劣化を防止することができる。
【実施例0063】
本発明のデッキ材が表面温度の上昇を抑えることができる機能を有していることを確認した。
【0064】
実験では、水平に設置された本発明のデッキ材(実施例のデッキ材)の表面に対して、その表面の上方45cmの位置から赤外線ランプ(タイカツ製:型番 TTF-300)の光を照射して、実施例のデッキ材の表面温度の変化を確認した。デッキ材の表面温度は、サーモグラフィカメラ(FLIRシステムズ製:型番 FLIR T460)を使用して測定した。
【0065】
実験に使用した実施例のデッキ材は、
図10(B)に示す断面形状を有するものであり、横材を設けない状態で実験を行った。実施例のデッキ材および各部の素材及び寸法は以下のとおりである。
1)デッキ材
長さ600mm、幅:144mm
2)表面部材
・複合板:金属板(アルミニウム製の板、厚さ0.1mm)、樹脂層(ポリプロピレン製、厚さ2.8mm)
・被覆層:ゴムチップを有する塗材(四国化成建材株式会社製:チップロード)、厚さ6mm
3)縦材
アルミニウム製の押出形材(厚さ1.2mm、幅144mm、高さ40mm)
【0066】
比較例のデッキ材として、木質樹脂製のデッキ材(四国化成建材株式会社製:ファンデッキHG)について、実施例と同じ条件で表面温度の変化を確認した。なお、比較例のデッキ材の長さおよび幅は、実施例のデッキ材と同じ条件とした。
【0067】
結果を
図11に示す。
図11(A)、(B)とも、時間の経過にともなって高温となる領域が広がっているが、実施例のデッキ材では、全体として温度差が小さく均一に近い状態になっていることが確認できる。しかも、
図12に示すように、実施例のデッキ材では、比較例のデッキ材に比べて、温度上昇が抑えられており最高温度も低く保たれていることがことが確認できる。
【0068】
以上の結果より、本発明のデッキ材では、従来のデッキ材に比べて、表面温度の上昇を抑えることができ、表面の温度も均一に近づけることができることが確認された。