(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025105105
(43)【公開日】2025-07-10
(54)【発明の名称】樹脂含浸化粧板
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20250703BHJP
B32B 27/04 20060101ALI20250703BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20250703BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20250703BHJP
【FI】
B32B27/00 E
B32B27/04 A
B32B7/023
B32B27/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223412
(22)【出願日】2023-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】西根 美幸
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 啓介
(72)【発明者】
【氏名】松村 健世
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AA20D
4F100AK25B
4F100AK25D
4F100AK36A
4F100AK42C
4F100AK51D
4F100AR00E
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100CA02D
4F100DC21D
4F100DE01D
4F100DG10A
4F100DJ00A
4F100GB07
4F100GB81
4F100HB11B
4F100HB31B
4F100JB13A
4F100JB13D
4F100JN21D
4F100JN26E
(57)【要約】 (修正有)
【課題】グロスマット調の意匠感を発現しつつ、優れた耐摩耗性を有する樹脂含浸化粧板を提供する。
【解決手段】樹脂含浸化粧板であって、上記樹脂含浸化粧板は、多孔質基材1と、意匠層2と、樹脂フィルム層3と、パターン形状を有し、かつ、硬化性樹脂Xの硬化物を含むパターン層4と、を厚さ方向において、この順に有し、上記多孔質基材は、硬化性樹脂Yの硬化物を含有する、樹脂含浸化粧板とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂含浸化粧板であって、
前記樹脂含浸化粧板は、多孔質基材と、意匠層と、樹脂フィルム層と、パターン形状を有し、かつ、硬化性樹脂Xの硬化物を含むパターン層と、を厚さ方向において、この順に有し、
前記多孔質基材は、硬化性樹脂Yの硬化物を含有する、樹脂含浸化粧板。
【請求項2】
前記意匠層および前記樹脂フィルム層の間に、硬化性樹脂Zの硬化物を含有する多孔質層を有する、請求項1に記載の樹脂含浸化粧板。
【請求項3】
前記パターン層は、前記意匠層の柄と同調するように配置されている、請求項1に記載の樹脂含浸化粧板。
【請求項4】
前記厚さ方向における、前記意匠層の前記樹脂フィルム層側の面から、前記樹脂フィルム層の前記パターン層側の面までの距離は、20μm以上である、請求項1に記載の樹脂含浸化粧板。
【請求項5】
前記樹脂含浸化粧板は、前記厚さ方向からみて、前記パターン層と重複する第1領域と、前記パターン層と重複しない第2領域と、を有し、
前記第1領域の60°グロス値は、前記第2領域の60°グロス値よりも小さい、請求項1に記載の樹脂含浸化粧板。
【請求項6】
前記第1領域の60°グロス値と、前記第2領域の60°グロス値との差が、3.0以上である、請求項5に記載の樹脂含浸化粧板。
【請求項7】
前記樹脂含浸化粧板は、前記厚さ方向からみて、前記パターン層と重複する第1領域と、前記パターン層と重複しない第2領域と、を有し、
前記第1領域の60°グロス値は、前記第2領域の60°グロス値よりも大きい、請求項1に記載の樹脂含浸化粧板。
【請求項8】
前記第1領域の60°グロス値と、前記第2領域の60°グロス値との差が、1.0以上である、請求項7に記載の樹脂含浸化粧板。
【請求項9】
前記樹脂フィルム層の前記パターン層とは反対側の面に、接着層が配置されている、請求項1に記載の樹脂含浸化粧板。
【請求項10】
前記樹脂フィルム層のヘイズは、5.0%以下である、請求項1に記載の樹脂含浸化粧板。
【請求項11】
前記樹脂フィルム層が、ポリエチレンテレフタレートを含むフィルムである、請求項1に記載の樹脂含浸化粧板。
【請求項12】
前記意匠層の前記多孔質基材とは反対側の面に、前記硬化性樹脂Yの硬化物を含有する硬化樹脂層が配置されている、請求項1に記載の樹脂含浸化粧板。
【請求項13】
前記樹脂フィルム層と前記パターン層との間に、艶調整層を有する、請求項1に記載の樹脂含浸化粧板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、樹脂含浸化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多孔質基材にメラミン樹脂等の前駆体(未硬化樹脂)を含浸させた後、熱プレスを行うことで樹脂の前駆体を硬化させることにより得られる樹脂含浸化粧板が知られている。樹脂含浸化粧板は、住居や店舗、公共施設などの壁面、家具、床面などに用いられている。
【0003】
グロスマット調の意匠感を表現したメラミン化粧板が知られている。例えば、特許文献1には、多孔質基材の表面の一部の領域に硬化層を有し、上記硬化層を有しない、上記多孔質基材の表面の残部の領域には、熱硬化性樹脂層を有すると共に上記多孔質基材中に熱硬化性樹脂が含浸され硬化されている、化粧板が開示されている。このようなメラミン化粧板の製造においては、例えば、チタン紙の表面の一部に絵柄と同調した硬化層(離型層)を配置した化粧シートを用い、メラミン樹脂等の前駆体(未硬化樹脂)を化粧シートに含浸させる工程、未硬化樹脂層上にリリースフィルムを配置した後に、未硬化樹脂を熱硬化させてメラミン層を得る工程、リリースフィルムを剥離することにより、硬化層の上を被覆している領域のメラミン層を剥離する剥離工程が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、従来のグロスマット調の意匠感を表現したメラミン化粧板の製造工程においては、メラミン層の一部を剥離する剥離工程が行われている。そのため、従来のメラミン化粧板の製造において行われている、意匠層上にオーバーレイ紙等を積層し、耐摩耗性を向上させる手法を用いることが困難である。
【0006】
また、剥離工程においては、離型層と重複する領域と、離型層と重複しない領域との間で、メラミン層が割れることによって、離型層と重複する領域のメラミン層が部分的に剥離される。この際、メラミン層が厚いと強度が上がり、割れにくく剥離性が低下する。そのため、剥離性維持の観点から、メラミン層を厚くすることは困難である。その結果、グロスマット調の意匠感を表現するメラミン化粧板において、耐摩耗性を向上させることが困難となる。
【0007】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、グロスマット調の意匠感を発現しつつ、優れた耐摩耗性を有する樹脂含浸化粧板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示においては、樹脂含浸化粧板であって、上記樹脂含浸化粧板は、多孔質基材と、意匠層と、樹脂フィルム層と、パターン形状を有し、かつ、硬化性樹脂Xの硬化物を含むパターン層と、を厚さ方向において、この順に有し、上記多孔質基材は、硬化性樹脂Yの硬化物を含有する、樹脂含浸化粧板を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示においては、グロスマット調の意匠感を発現しつつ、優れた耐摩耗性を有する樹脂含浸化粧板を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示における樹脂含浸化粧板を例示する概略断面図である。
【
図2】本開示における樹脂含浸化粧板を例示する概略断面図である。
【
図3】本開示における樹脂含浸化粧板を例示する概略断面図である。
【
図4】本開示における樹脂含浸化粧板を例示する概略断面図である。
【
図5】本開示における樹脂含浸化粧板の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図6】比較例1における樹脂含浸化粧板の製造方法を例示する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
下記に、図面等を参照しながら、実施の形態を説明する。ただし、本開示は、多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定されない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状について模式的に表す場合があるが、これはあくまで一例であり、限定して解釈されない。
【0012】
本明細書において、ある部材に、他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限り、ある部材に接するように、直上あるいは直下に、他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合と、の両方を含む。また、本明細書において、ある部材の面に、他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面に」と表記する場合、特に断りの無い限り、ある部材に接するように、直上あるいは直下に、他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合と、の両方を含む。
【0013】
上述したように従来のグロスマット調の意匠感を表現したメラミン化粧板の製造においては、耐摩耗性を向上させることが困難であった。本願の発明者らは、従来行っていた剥離工程を行わずに、グロスマット調の意匠感を表現したメラミン化粧板を製造することに着目した。そして、樹脂フィルム層上に、パターン状を有し、かつ、硬化性樹脂の硬化物を有するパターン層を形成して得られたシートを、多孔質基材および意匠層を有する化粧シート上に積層することにより、グロスマット調の意匠感を発現しつつ、優れた耐摩耗性を有する樹脂含浸化粧板となることを見出し、本発明を完成させた。
【0014】
図1~
図4は、本開示における樹脂含浸化粧板を例示する概略断面図である。
図1に示すように、本開示における樹脂含浸化粧板10は、多孔質基材1と、意匠層2と、樹脂フィルム層3と、パターン形状を有し、かつ、硬化性樹脂Xの硬化物を含有するパターン層4と、を厚さ方向D
Tにおいて、この順に有する。さらに、多孔質基材1は、硬化性樹脂Yの硬化物を含有する。本開示における樹脂含浸化粧板は、
図2に示すように、意匠層2および樹脂フィルム層3の間に、硬化性樹脂Zの硬化物を含有する多孔質層5を有していてもよい。本開示における樹脂含浸化粧板は、
図3(a)および
図3(b)に示すように、樹脂フィルム層3とパターン層4との間に、艶調整層6が形成されていてもよい。本開示における樹脂含浸化粧板は、
図4に示すように、樹脂フィルム層3のパターン層4とは反対側の面に、接着層7が配置されていることが好ましい。
【0015】
本開示における樹脂含浸化粧板は、意匠層とパターン層との間に樹脂フィルム層を有する。樹脂フィルム層は、一般的にある程度の厚さを有するため、樹脂含浸化粧板において意匠層上に配置されている層の厚さ(具体的には、意匠層の樹脂フィルム層側の面から、樹脂フィルム層のパターン層側の面までの距離)が増加する。そのため、意匠層が摩耗されにくくなる。すなわち、樹脂含浸化粧板の耐摩耗性が向上する。さらに、パターン形状を有し、かつ、硬化性樹脂Xの硬化物を含有するパターン層4を有することにより、パターン層と重複する第1領域R1と、パターン層と重複しない第2領域R2との間で艶差が生じ、異なる意匠感を示すことにより、グロスマット調の意匠感を表現することができる。
【0016】
また、意匠層を摩耗から保護することを目的に、硬化性樹脂Z(例えば、メラミン樹脂)の硬化物を含有する多孔質層を、意匠層とパターン層との間に配置することも考えられる。この場合、多孔質層上にパターン層形成用インキを塗布することとなるが、塗布領域において、多孔質層にパターン層形成用インキの染み込みが生じる場合がある。パターン層形成用インキが染み込んだ多孔質層には、硬化性樹脂Zが含浸されない問題が生じる。硬化性樹脂Zが多孔質層に浸透しないと、透明性が低下し、意匠層の視認性が阻害される。
【0017】
これに対して、本開示によれば、パターン層は樹脂フィルム層上に配置されるため、多孔質層上に配置される場合に比べてパターン層形成用インキの染み込みが抑制される。従って、意匠層の視認性が良好となる。以下、本開示における樹脂含浸化粧板について、詳細に説明する。
【0018】
1.樹脂フィルム層
本開示における樹脂フィルム層は、意匠層とパターン層との間に配置される。本開示における樹脂含浸化粧板が樹脂フィルム層を有することにより、耐摩耗性が向上する。また、本開示の樹脂含浸化粧板は、製造工程において、樹脂フィルム層上にパターン層を形成するため、多孔質層上にパターン層を形成する場合に比べて、パターン層形成用インキの染み込みを抑制することができる。従って、透明性の低下が抑制され、意匠層の視認性が良好となる。
【0019】
本開示における樹脂含浸化粧板は、樹脂フィルム層を有するため、意匠層上に配置されている層の厚さを厚くすることができる。具体的には、
図1に示すように、意匠層2の樹脂フィルム層3側の面qから、樹脂フィルム層3のパターン層4側の面pまでの距離Lを厚くすることができる。距離Lは、例えば、20μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、60μm以上であることが特に好ましい。距離Lが上記範囲であると、樹脂含浸化粧板の耐摩耗性がより一層向上する。一方、上記距離Lは、例えば、300μm以下であり、200μm以下であってもよい。距離Lが上記範囲であると、透明性が良好となり、意匠層の視認性が良好となる。また、距離Lが厚すぎると、意匠層および樹脂フィルム層の間の密着性が低下する場合がある。
【0020】
樹脂フィルム層の厚さは、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。樹脂フィルム層の厚さが上記範囲であることにより、距離Lを上述した値以上に調整しやすい。一方、樹脂フィルム層の厚さは、例えば、200μm以下であり、100μm以下であってもよい。樹脂フィルム層の厚さが上記範囲であることにより、距離Lを上述した値以下に調整しやすい。また、樹脂フィルム層が厚すぎると、意匠層および樹脂フィルム層の間の密着性が低下する。
【0021】
樹脂フィルム層は、多孔質層と比較して空隙を有さないため、パターン層形成用インキが染み込みにくい。樹脂フィルム層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂等を含むフィルムである。
【0022】
樹脂フィルム層は、意匠層を視認できる程度に透明であればよく、無色透明の他、着色透明および半透明であってもよい。樹脂フィルム層の全光線透過率は、例えば85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。このように全光線透過率が高いことにより、透明性が良好となり、意匠層の視認性が良好となる。
【0023】
ここで、樹脂フィルム層の全光線透過率は、JIS K7361-1:1999に準拠して測定することができ、例えば村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM150により測定することができる。
【0024】
本開示における樹脂フィルム層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、4%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。このようにヘイズが低いことにより、透明性が良好となり、意匠層の視認性が良好となる。
【0025】
ここで、樹脂フィルム層のヘイズは、JIS K-7136:2000に準拠して測定することができ、例えば村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM150により測定することができる。
【0026】
樹脂フィルム層は、マット化剤を含まなくてもよいし、含んでいてもよい。マット化剤としては、例えば、後述するパターン層で例示するマット化剤が挙げられる。
【0027】
2.パターン層
本開示におけるパターン層は、樹脂フィルム層の意匠層とは反対側の面に配置され、パターン形状を有し、かつ、硬化性樹脂Xの硬化物を含有する。本開示における樹脂含浸化粧板は、パターン層を有することにより、パターン層と重複する第1領域R1と、パターン層と重複しない第2領域R2との間で艶差が生じる。
【0028】
図1に示す樹脂含浸化粧板の場合、例えば、パターン層4と重複する第1領域R1はマット領域となり、パターン層4と重複しない第2領域R2(樹脂フィルム3がパターン層4から露出している領域)は、グロス領域となる。また、特に図示しないが、樹脂フィルム層がマット化剤を含む場合がある。このような場合には、パターン層と重複する第1領域をグロス領域、パターン層と重複しない第2領域(樹脂フィルム3がパターン層4から露出している領域)をマット領域とするグロスマット調の意匠感を発現することができる。
【0029】
一方、
図3(a)および
図3(b)に示す樹脂含浸化粧板10のように、樹脂フィルム層3とパターン層4との間に、艶調整層6が形成される場合がある。艶調整層6は、樹脂フィルム3の意匠層2とは反対側の面の全面を覆うように配置されることが好ましい。艶調整層6とパターン層4との艶差によって、グロスマット調の意匠感を発現することができる。例えば、パターン層4と重複する第1領域R1をマット領域、パターン層4と重複しない第2領域R2(艶調整層6がパターン層4から露出している領域)をグロス領域としたグロスマット調の意匠感を発現することもできるし、パターン層4と重複する第1領域R1をグロス領域、パターン層4と重複しない第2領域R2(艶調整層6がパターン層4から露出している領域)をマット領域としたグロスマット調の意匠感を発現することもできる。なお、後述する樹脂含浸化粧板の意匠性向上の観点から、
図3(a)においては、第1領域R1がマット領域、第2領域R2がグロス領域であることが好ましく、
図3(b)においては、第1領域R1がグロス領域、第2領域R2がマット領域であることが好ましい。さらに、樹脂フィルム層3とパターン層4との間に艶調整層6が配置される場合、樹脂フィルム3上を艶調整層6が覆うため、例えば
図1に示すように、樹脂フィルム3とパターン層4とが直接接している場合と比べて、耐傷性や耐汚染性などの物性面が向上し、意匠全体の艶調整も容易となる。
【0030】
意匠層が柄を有する場合、パターン層は、意匠層の柄と同調するように配置されていることが好ましい。「同調」とは、対象となる2つのパターンの形状および位置が概ね一致することをいう。具体的には、パターン層のパターンと、意匠層の絵柄を構成する少なくとも一部のパターンとの、形状および位置が、リアル感および高級感を損ねない程度に一致することをいう。パターン層のパターンを、意匠層の柄と同調させるように配置することで、高い質感が得られる。
【0031】
図1においては、意匠層2が絵柄層2aおよび絵柄層2bを有し、マット感を発現するパターン層4が絵柄層2aと同調している。パターン層4を意匠層の柄と同調させるように配置することで、パターン層4と意匠層の柄の相乗効果により、樹脂含浸化粧板の意匠性を向上することができる。例えば、樹脂含浸化粧板を平面視した際に、絵柄層(
図1における絵柄層2a)の全面積を100とした際に、絵柄層と同調するパターン層の面積は、90以上であることが好ましく、95以上であることがより好ましく、97以上であることがさらに好ましく、99以上であることがよりさらに好ましい。一方、パターン層は、意匠層の柄と同調するように配置されていなくてもよい。
【0032】
例えば、意匠層が木目模様の場合は、
図1に示すように、パターン層4のパターンを、導管等の濃い柄(
図1における絵柄層2a)に対して同調させることで、パターン層4と意匠層2の柄の相乗効果により、樹脂含浸化粧板の意匠性を向上することができる。
【0033】
また、樹脂フィルム3とパターン層4との間に艶調整層6を有する場合、艶調整層6上のパターン層4は、意匠層の柄と同調するように配置されていてもよい。例えば、
図3(a)において第1領域R1がマット領域、第2領域R2がグロス領域である場合に、マット感を発現するパターン層4のパターンを、導管等の濃い柄(
図3(a)における絵柄層2a)に対して同調させることで、樹脂含浸化粧板の意匠性を向上することができる。
【0034】
一方、艶調整層6上のパターン層4が、意匠層の柄と同調していなくてもよい。例えば、
図3(b)において第1領域R1がグロス領域、第2領域R2がマット領域である場合に、グロス感を発現するパターン層4のパターンを、導管等の濃い柄(
図3(b)における絵柄層2a)に対して同調させないことで、樹脂含浸化粧板の意匠性を向上することができる。この場合、パターン層4と重複しない第2領域R2が、導管等の濃い柄(
図3(b)における絵柄層2a)と同調するようにパターン層4を配置することが好ましい。
【0035】
パターン層は、硬化性樹脂の硬化物(架橋構造体)を含有する。なお、本開示では、パターン層における硬化性樹脂を、硬化性樹脂Xと称する場合がある。
【0036】
硬化性樹脂Xとしては、例えば、熱硬化性樹脂および電離放射線硬化性樹脂が挙げられる。電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、電子線硬化性樹脂および紫外線硬化性樹脂が挙げられる。
【0037】
熱硬化性樹脂としては、例えば、アクリルポリオール等のアクリル系樹脂、不飽和エステル系樹脂、ウレタン系樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、フェノール系樹脂、尿素系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、メラミン系樹脂、グアナミン系樹脂、メラミン尿素共縮合系樹脂、珪素系樹脂、シロキサン系樹脂が挙げられる。
【0038】
一方、電離放射線硬化性樹脂(電離放射線硬化性化合物)は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する材料であれば限定されない。電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合またはエポキシ基を分子中に有する、プレポリマー、オリゴマーおよびモノマーが挙げられる。本開示においては、電離放射線硬化性樹脂を1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。中でも、電離放射線硬化性樹脂として、多官能モノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方を用いることが好ましい。
【0039】
電離放射線硬化性化合物としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系樹脂;シロキサン等のケイ素系樹脂;エステル系樹脂;エポキシ系樹脂が挙げられる。(メタ)アクリレート系樹脂とは、アクリレート系樹脂またはメタクリレート系樹脂をいう。
【0040】
電離放射線硬化性化合物の重量平均分子量は、例えば、500以上、80,000以下であり、1,000以上、50,000以下であってもよい。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレンを標準物質に用いて測定される値である。
【0041】
電離放射線硬化性化合物として、重量平均分子量が500以上である、多官能モノマーまたはオリゴマーを少なくとも含有することが好ましい。このような多官能モノマーまたはオリゴマーとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系樹脂が挙げられる。
【0042】
パターン層は、マット化剤を含有していてもよい。マット化剤としては、例えば、無機粒子、合成樹脂粒子が挙げられる。無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリンが挙げられる。合成樹脂粒子としては、例えば、アクリルビーズ、ウレタンビーズ、ナイロンビーズ、シリコーンビーズ、シリコーンゴムビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリオレフィンワックス(例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス)が挙げられる。
【0043】
マット化剤の平均粒径は、例えば、0.3μm以上、10μm以下であり、0.5μm以上、7μm以下であってもよく、1μm以上、5μm以下であってもよい。平均粒径は、レーザー回折散乱法により測定される、体積基準粒度分布によるD50である。マット化剤の含有量は、パターン層の樹脂成分100質量部に対して、例えば、5質量部以上、50質量部以下であり、10質量部以上、40質量部以下であってもよい。
【0044】
パターン層は、無色であってもよく、着色されていてもよい。後者の場合、パターン層は、着色剤を含有することが好ましい。着色剤については、後述する意匠層で使用する着色剤と同様のものを使用することができる。
【0045】
パターン層は、必要に応じて、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、酸化防止剤、レベリング剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、熱ラジカル発生剤、アルミキレート剤等の添加剤を含有していてもよい。
【0046】
パターン層の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上であり、1.0μm以上であってもよい。一方、パターン層の厚さは、例えば、20μm以下であり、10μm以下であってもよく、5μm以下であってもよい。
【0047】
パターン層の形成方法としては、例えば、版型や格子等を用いたグラビア印刷により、硬化性樹脂Xを含有するパターン層形成用インキを、樹脂フィルム層の一方の面に塗工し、硬化させることにより、パターン形状を有するパターン層を形成することができる。
【0048】
パターン層形成用インキが、熱硬化性樹脂を含有する場合、通常、加熱することで、熱硬化性樹脂の硬化物を得る。加熱温度は、熱硬化性樹脂の種類に応じて、適宜設定される。パターン層形成用インキは、熱硬化性樹脂とともに、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を含有していてもよい。硬化剤としては、例えば、イソシアネート、有機スルホン酸塩、有機アミン、過酸化物(例えばメチルエチルケトンパーオキサイド)、ラジカル開始剤(アゾイソブチルニトリル)が挙げられる。
【0049】
パターン層形成用インキが、電子線硬化性樹脂を含有する場合、通常、電子線を照射することで、電子線硬化性樹脂の硬化物を得る。電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。電子線のエネルギーとしては、例えば、100kV以上、1000kV以下であり、100kV以上、300kV以下であってもよい。電子線の照射量は、例えば、2Mrad以上、15Mrad以下である。
【0050】
パターン層形成用インキが、紫外線硬化性樹脂を含有する場合、通常、紫外線を照射することで、紫外線硬化性樹脂の硬化物を得る。紫外線源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯が挙げられる。紫外線の波長としては、例えば、190nm以上、380nm以下である。
【0051】
パターン層形成用インキは、必要に応じて、溶媒を含有していてもよい。溶媒としては、例えば、水;トルエン、キシレン等の炭化水素化合物;メタノール、エタノール、メチルグリコール等のアルコール化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル化合物;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物;テロラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物;ジメチルスルホキシドが挙げられる。
【0052】
3.意匠層
本開示における意匠層は、多孔質基材と樹脂フィルム層との間に配置される。意匠層は、柄を有することが好ましい。
【0053】
意匠層の柄としては、例えば、有機質柄、無機質柄、抽象柄が挙げられる。有機質柄とは、動植物等の生物の生命活動に由来した柄をいう。また、無機質柄とは、有機質柄に該当しない柄をいう。また、抽象柄とは、対象(例えば自然界に存在する形象)を抽象的に解釈し、はっきりとした形を表さない柄をいう。有機質柄としては、例えば、木目柄、レザー柄、花柄、ボタニカル柄が挙げられる。無機質柄としては、例えば、石目柄、コンクリート柄、砂目柄、布目柄、金属柄、タイル貼柄、煉瓦積柄が挙げられる。抽象柄としては、例えば、揺らぎ柄(例えば、インクの揺らぎ柄)、煙柄、マーブル柄が挙げられる。
【0054】
意匠層は、例えば、絵柄層を有する。また、意匠層は、絵柄層より多孔質基材側に、ベタ層を有していてもよい。本開示において、絵柄層とは、多孔質基材の一方の面に部分的(特にパターン状)に形成された層を意味する。また、ベタ層とは、多孔質基材の一方の面の全面に形成された層を意味する。
【0055】
意匠層は、例えば、着色剤および樹脂成分を含有する。着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料が挙げられる。着色剤として、染料を用いてもよい。
【0056】
樹脂成分としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、エステルウレタン系樹脂、アクリルアミド系樹脂、エチレンオキシド系樹脂、N-ビニルピロリドン系樹脂、エステル系樹脂、アミド系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ウレタン(メタ)アクリル系樹脂、天然ゴム、合成ゴムが挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。また、カゼイン等の水性タンパク質、セルロース、アセチルセルロース、硝化綿、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等に代表されるセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアルコール誘導体、メラミン樹脂等のアミノ系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂、フェノール樹脂、アクリルポリオール、天然高分子(例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類)なども使用することができる。本開示においては、上記樹脂成分を1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
【0057】
意匠層は、必要に応じて、フィラー(例えばシリカ)、体質顔料(例えば有機ビーズ)、中和剤、界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。意匠層の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上、20μm以下である。
【0058】
意匠層の形成方法としては、例えば、着色剤、バインダー樹脂および溶媒(または分散媒)を含有する意匠層形成用インキを用いた塗工法が挙げられる。例えば、意匠層形成用インキを、多孔質基材の一方の面に塗工し、乾燥することで、意匠層が得られる。
【0059】
上記溶剤(または分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸-2-メトキシエチル、酢酸-2-エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤が挙げられる。
【0060】
上記塗工法としては、例えば、印刷法が挙げられる。印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法が挙げられる。また、ベタ層を形成するための塗工法としては、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。
【0061】
4.多孔質基材
本開示における多孔質基材は、未硬化樹脂(硬化性樹脂Y)の硬化物を含有する。多孔質基材として、例えば、浸透性のある繊維質基材が挙げられる。浸透性のある繊維質基材としては、例えば、紙、合成紙、不織布、織布が挙げられる。上記紙としては、例えば、チタン紙、薄葉紙、クラフト紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、上質紙、コート紙、パーチメント紙、和紙が挙げられる。また、繊維質基材として、ビニル壁紙原反(紙にポリ塩化ビニル樹脂をドライラミネートしたもの)を用いることもできる。繊維質基材の他の例としては、ガラス繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維等の無機等繊維質を含む、不織布または織布が挙げられる。また、繊維質基材の他の例としては、ポリエステル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂繊維を含む、不織布または織布が挙げられる。これらの多孔質基材の中でも、硬化性樹脂Yの含浸性の点で、チタン紙、薄葉紙、クラフト紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙および和紙が好ましい。特に、チタン紙は、硬化性樹脂Yの含浸性に優れ、かつ、隠蔽性にも優れているため、多孔質基材として好ましい。
【0062】
多孔質基材は、着色されていてもよい。例えば、多孔質基材の製造段階で、着色剤を配合することにより、着色された多孔質基材が得られる。例えば、多孔質基材が紙である場合、抄造段階で着色剤を配合することにより、着色された紙が得られる。着色剤としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料、各種の染料が挙げられる。また、多孔質基材は、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤を含有していてもよい。
【0063】
多孔質基材の坪量は、特に限定されないが、例えば、40g/m2以上、150g/m2以下である。多孔質基材の厚さは、特に限定されないが、例えば、50μm以上、170μm以下である。例えば、意匠層を形成するインキの密着性を高めるために、多孔質基材の意匠層側の面に、コロナ放電処理が施されていてもよい。
【0064】
硬化性樹脂Yとしては、熱硬化性樹脂を広く使用することができる。硬化性樹脂Yとしては、例えば、メラミン系樹脂(メラミン系樹脂前駆体)、メラミン-尿素共縮合体系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、フェノール系樹脂、尿素系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、グアナミン系樹脂、珪素系樹脂、ポリシロキサン系樹脂が挙げられる。
【0065】
5.多孔質層
本開示における樹脂含浸化粧板は、意匠層および樹脂フィルム層の間に、硬化性樹脂Zの硬化物を含有する多孔質層を有していてもよい。本開示における樹脂含浸化粧板は、多孔質層を有することにより、意匠層上に配置されている層の厚さをより一層厚くすることができ、耐摩耗性に優れるものとなる。多孔質層は、硬化性樹脂Zの硬化物を含有することにより、意匠層が視認し得る程度に光透過性が向上する。
【0066】
多孔質層は、繊維材料を含むことが好ましい。繊維材料としては、紙または不織布であることが好ましい。本開示における多孔質層としては、耐摩耗性が良好であり、硬化性樹脂Zの硬化物を含むことによって光透過性が向上し、さらに、パターン層の印刷適性が良好であることが好ましい。このような性質を有する紙としては、例えば、α-セルロース成分の多い木材パルプ繊維抄造紙、マニラ麻バルブ繊維抄造紙、リンター紙、綿繊維紙等のセルロース系パルプから抄造した紙が挙げられる。これらの紙には、必要に応じてビニロン、アクリル樹脂等の非セルロース系樹脂繊維を混抄しても良い。また、樹脂含浸後の十分な光透過性を確保するため、紙には、チタン白、カーボンブラック等の隱蔽性顔料は、無添加とするか、添加しても少量とすることが好ましい。不織布としては、例えば、セルロース繊維、アクリル樹脂等の非セルロース系樹脂繊維等の繊維を含む不織布が挙げられる。
【0067】
多孔質層は、単層であってもよく、2層以上の積層体であってもよい。積層体の場合、多孔質層は、同じ種類の層を2層以上有していてもよく、異なる種類の層を2層以上有していてもよい。
【0068】
多孔質層の厚さは、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。一方、多孔質層の厚さは、例えば、100μm以下であり、80μm以下であってもよい。多孔質層の厚さが上記範囲であることにより、距離Lを上述した範囲に調整しやすい。また、多孔質層の厚さが厚すぎると、意匠層の視認性が低下する場合がある。なお、多孔質層の厚さとは、多孔質層が2層以上の積層体である場合には、多孔質層を構成する層の合計厚さをいう。
【0069】
多孔質層の坪量(硬化性樹脂Zの含浸前における坪量)は、例えば、15g/m2以上であり、20g/m2以上であることが好ましく、30g/m2以上であることがより好ましく、40g/m2以上であることがさらに好ましい。多孔質層の坪量が上記範囲であることにより、硬化性樹脂Zの硬化物を含有しやすくなる。一方、多孔質層の坪量は、例えば、100g/m2以下であってもよく、80g/m2以下であってもよい。
【0070】
硬化性樹脂Zとしては、上述した硬化性樹脂Yで例示した熱硬化性樹脂を広く使用することができる。中でも、硬化性樹脂Zは、硬化性樹脂Yと同一の熱硬化性樹脂であることが好ましい。層間密着性を向上させることができるためである。同様に、多孔質層に充填された硬化性樹脂Zの硬化物と、多孔質基材に充填された硬化性樹脂Yの硬化物と、硬化樹脂層に含まれる硬化性樹脂Yの硬化物とは、同一の硬化性樹脂により形成されることが好ましい。一方、硬化性樹脂Zと硬化性樹脂Yとは、異なる硬化性樹脂であってもよい。
【0071】
6.硬化樹脂層
後述する第1シートに硬化性樹脂Yを含浸させる工程において、意匠層の多孔質基材とは反対側の面に、硬化性樹脂Yを含む未硬化樹脂層が形成される場合がある。そのため、本開示における樹脂含浸化粧板は、意匠層の多孔質基材とは反対側の面に、硬化性樹脂Yの硬化物を含む硬化樹脂層を有していてもよい。硬化樹脂層の厚さは、例えば、1μm以上であり、5μm以上であってもよい。一方、硬化樹脂層の厚さは、例えば、10μm以下である。
【0072】
7.接着層
本開示における樹脂含浸化粧板10は、
図4に示すように、樹脂フィルム層3のパターン層4とは反対側の面に、接着層7が配置されていることが好ましい。樹脂含浸化粧板は、その製造方法における積層工程において、硬化性樹脂Yが含浸した第1シートにおける意匠層と、硬化性樹脂Yが含浸していない第2シートにおける樹脂フィルム層とを対向させ、積層させるため、樹脂フィルム層および意匠層の間の密着性が低くなりやすい。本開示における樹脂含浸化粧板は、接着層を配置することにより、樹脂フィルム層および意匠層の間の密着性が向上する。接着層としては、接着剤層、ヒートシール層およびプライマー層が挙げられる。
【0073】
接着剤層に用いられる接着剤としては、特に限定されず、公知の接着剤を使用することができ、用途に応じて適宜選択すればよい。接着剤は、汎用の感圧接着剤、感熱接着剤、硬化性接着剤(熱硬化接着剤、光硬化接着剤、二液硬化接着剤等)を用いることができる。中でも、ウレタン系接着剤が、密着性が良好であることから好ましい。これらの接着剤に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレン-アクリル共重合、ポリエステル樹脂、アミド樹脂、シアノアクリレート樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。ウレタン系接着剤としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール等の各種ポリオール化合物と、イソシアネート化合物等の硬化剤とを含む2液硬化型ウレタン樹脂を利用した接着剤が挙げられる。
【0074】
接着剤層には、粘着剤を用いることもできる。粘着剤としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系等の各種粘着剤を適宜選択して用いることができる。
【0075】
接着剤層の厚さは特に制限はないが、優れた接着性を得るため、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましく、10μm以上30μm以下が更に好ましい。
【0076】
プライマー層は、主としてバインダー樹脂から構成され、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を含有してもよい。
【0077】
バインダー樹脂としては、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン-アクリル共重合体、ポリカーボネート系ウレタン-アクリル共重合体(ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、末端、側鎖に2個以上の水酸基を有する重合体(ポリカーボネートポリオール)由来のウレタン-アクリル共重合体)、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体樹脂、塩素化プロピレン樹脂、ニトロセルロース樹脂(硝化綿)、酢酸セルロース樹脂等の樹脂が好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。また、バインダー樹脂は、これら樹脂に、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤等の硬化剤を添加し、架橋硬化したものであってもよい。これらの中でも、アクリルポリオール樹脂等のポリオール系樹脂をイソシアネート系硬化剤で架橋硬化したものが好ましく、アクリルポリオール樹脂をイソシアネート系硬化剤で架橋硬化したものがより好ましい。
【0078】
プライマー層の厚さは、0.1μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上8μm以下がより好ましく、2μm以上6μm以下がさらに好ましい。
【0079】
ヒートシール層は、熱により粘着性を発現する。ヒートシール層に含まれる樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルポリオール、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系樹脂、スチレン-アクリル共重合系樹脂、アクリル-酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、アミド系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられ、これらを単独で、または、複数種を組み合わせて使用できる。
【0080】
(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、例えば、90℃以上150℃以下であり、95℃以上120℃以下であってもよい。また、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、例えば、50℃以上85℃以下であり、55℃以上80℃以下であってもよい。また、ヒートシール層が(メタ)アクリル系樹脂および塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系樹脂を含有する場合、(メタ)アクリル系樹脂および塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系樹脂の合計に対する、(メタ)アクリル系樹脂の割合は、例えば、30質量%以上70質量%以下であり、40質量%以上60質量%以下であってもよい。
【0081】
ヒートシール層の厚さは、例えば、1μm以上50μm以下が好ましく、10μm以上30μm以下がより好ましい。
【0082】
8.第1領域および第2領域
本開示における樹脂含浸化粧板は、
図1に示すように、パターン層4と重複する第1領域R1、およびパターン層4と重複しない第2領域R2を有する。
図1に示すように、第1領域R1において、パターン層4は厚さ方向D
Tにおける最外層であってもよい。第2領域R2において、樹脂フィルム層3は厚さ方向D
Tにおける最外層であってもよい。一方、
図3(a)および
図3(b)に示すように、第2領域R2において、艶調整層6が厚さ方向D
Tにおける最外層であってもよい。
【0083】
厚さ方向DTにおいて、第1領域R1の高さは、通常、第2領域R2の高さより高い。第1領域および第2領域の表面高低差は、例えば、パターン層の厚さと同様である。
【0084】
本開示においては、樹脂フィルム層上にパターン層を形成するため、多孔質層上にパターン層を形成する場合に比べて、パターン層形成用インキが樹脂フィルム層に浸透する恐れがない。そのため、第1領域R1および第2領域R2の表面高低差を大きくすることができる。
【0085】
また、厚さ方向から見て、第1領域の面積をS1とし、多孔質基材の面積をS2とした場合、S2に対するS1の割合(S1/S2)は、例えば5%以上であり、10%以上であってもよい。一方、S1/S2は、例えば80%以下であり、70%以下であってもよく、60%以下であってもよい。
【0086】
本開示における樹脂含浸化粧板は、
図1、
図2および
図3(a)の好ましい態様に示すように、第2領域R2がグロス調の意匠感を与え、第1領域R1がマット調の意匠感を与えることにより、グロスマット調の意匠感を表現することができる。すなわち、第1領域R1の60°グロス値を、第2領域R2の60°グロス値よりも小さくすることができる。
【0087】
この場合、第1領域R1の60°グロス値は、例えば、10以下であり、8.0以下であることが好ましく、6.0以下であることがより好ましい。第2領域R2とのグロスの差が大きくなり、グロスマット意匠がより顕著に発現するためである。一方、第1領域R1の60°グロス値は、例えば、0.5以上であり、1.0以上であり、2.0以上であることが好ましい。また、第2領域R2の60°グロス値は、例えば、15以上であり、20以上であってもよい。一方、第2領域R2の60°グロス値は、例えば、60以下であり、50以下であってもよく、30以下であってもよい。
【0088】
この場合、第1領域の60°グロス値と、第2領域の60°グロス値との差が、3.0以上であることが好ましく、5.0以上であることがより好ましい。
【0089】
一方、本開示における樹脂含浸化粧板は、
図3(b)の好ましい態様に示すように、第2領域R2がマット調の意匠感を与え、第1領域R1がグロス調の意匠感を与えることにより、グロスマット調の意匠感を表現することができる。すなわち、第1領域R1の60°グロス値を、第2領域R2の60°グロス値よりも大きくすることができる。この場合、第1領域R1の60°グロス値は、例えば、8.0以上であり、10.0以上であることが好ましい。第2領域R2とのグロスの差が大きくなり、グロスマット意匠がより顕著に発現するためである。一方、第1領域R1の60°グロス値は、例えば、30以下であり、20以下であってもよい。また、第2領域R2の60°グロス値は、例えば、7.0以下であり、6.0以下であってもよい。一方、第2領域R2の60°グロス値は、例えば、1以上である。
【0090】
この場合、第1領域の60°グロス値と、第2領域の60°グロス値との差が、1.0以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましい。
【0091】
本開示において、第1領域R1の60°グロス値とは、以下の方法により測定された値である。樹脂含浸化粧板をパターン層側が上になるように置き、パターン層側から、グロスメーターを用いて、JIS Z 8741:1997の方法3に準拠して第1領域の60°鏡面光沢度を測定する。第1領域の60°グロス値は、任意の10箇所の第1領域における測定値の平均値である。各測定箇所においては、グロスメーターの測定部位の中心に第1領域があり、かつ、測定部位の面積の50%以上が第1領域と重複するようにして測定する。グロスメーターの測定部位の中心とは、グロスメーターの光源からの光が入射する入射領域の中心のことをいう。
【0092】
第2領域R2の60°グロス値の測定方法は、グロスメーターの測定部位の中心に第2領域R2があり、かつ、測定部位の面積の50%以上が第2領域R2と重複するようにして測定する以外は、上述した第1領域R1の60°グロス値の測定方法と同様である。
【0093】
第1領域R1の60°グロス値は、パターン層に含まれるマット化剤の平均粒子径、マット化剤の含有量、パターン層の厚さによって調整することができる。例えば、パターン層の厚さを薄くすることによって、60°グロス値を下げることができる。例えば、マット化剤の含有量を多くすることによって、60°グロス値を下げることができる。例えば、マット化剤の平均粒子径を大きくすることによって、60°グロス値を下げることができる。
【0094】
第2領域R2の60°グロス値は、樹脂フィルム層3とパターン層4との間に艶調整層6を有さない場合には、樹脂フィルム3表面の60°グロス値に相当する。また、第2領域R2の60°グロス値は、
図3(a)および
図3(b)に示すように、樹脂フィルム層3とパターン層4との間に艶調整層6を配置することによって、調整することができる。艶調整層は、例えば、樹脂フィルム層のパターン層側の面の全面に配置されている。樹脂フィルム層のパターン層側の面の全面とは、樹脂フィルム層のパターン層側の面の90%以上の領域をいう。艶調整層は、樹脂フィルム層のパターン層側の面の95%以上を覆うように配置されていてもよく、その100%を覆うように配置されていてもよい。
【0095】
樹脂フィルム層3とパターン層4との間に、艶調整層6が配置されている場合、第2領域R2の60°グロス値は、艶調整層に含まれるマット化剤の平均粒子径、マット化剤の含有量、艶調整層の厚さ等によって調整することができる。マット化剤の平均粒子径および含有量、艶調整層の厚さ等は、艶調整層とパターン層との間で艶差が生じるように調整すればよい。例えば、艶調整層の厚さを薄くすることによって、60°グロス値を下げることができる。例えば、マット化剤の含有量を多くすることによって、60°グロス値を下げることができる。例えば、マット化剤の平均粒子径を大きくすることによって、60°グロス値を下げることができる。
【0096】
艶調整層は、例えば、樹脂成分およびマット化剤を含有する。樹脂成分としては、例えば、上述したパターン層で例示した硬化性樹脂の硬化物と同様の種類が挙げられる。マット化剤としては、例えば、上述したパターン層で例示した無機粒子および合成樹脂粒子と同様の種類が挙げられる。艶調整層におけるマット化剤の含有量は、パターン層との間に艶差が生じる量であれば特に限定されず、上記60°グロス値が得られるように適宜調整することができる。同様に、艶調整層におけるマット化剤の平均粒子径は、パターン層との間に艶差が生じる平均粒子径であれば特に限定されず、上記60°グロス値が得られるように適宜調整することができる。
【0097】
艶調整層の平均厚さは、パターン層との間に艶差が生じる厚さであれば特に限定されず、上記60°グロス値が得られるように適宜調整することができる。艶調整層の平均厚さは、例えば、1μm以上あり、5μm以上であることが好ましい。艶調整層の平均厚さが上記範囲であることにより、艶調整効果が得られる。一方、艶調整層の平均厚さは、例えば、50μm以下であり、30μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。
【0098】
9.他の部材について
本開示における樹脂含浸化粧板は、多孔質基材の意匠層とは反対側の面に、多孔質なコア基材を有していてもよい。コア基材としては、例えば、フェノール樹脂含浸紙が挙げられる。フェノール樹脂含浸紙は、例えば、コア紙であるクラフト紙にフェノール樹脂を含浸し、乾燥させることにより得られる紙である。
【0099】
10.用途
本開示における樹脂含浸化粧板は、例えば、基体の面に配置されて用いられる。基体としては、例えば、木質部材、樹脂部材、金属部材、窯業部材が挙げられる。木質部材としては、例えば、木材単板、木材合板、パーティクルボード、木質繊維板が挙げられる。木質部材に用いられる木材としては、例えば、杉、檜、松、ラワンが挙げられる。樹脂部材に用いられる樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、エステル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン系共重合体(ABS系樹脂)、フェノール系樹脂、セルロース系樹脂、カーボネート系樹脂、メラミン系樹脂、ゴムが挙げられる。金属部材に用いられる金属としては、例えば、鉄、アルミニウムが挙げられる。窯業部材の材料は、ガラス、陶磁器等のセラミックスであってもよく、石膏等の非セメント窯業系材料であってもよく、ALC(軽量気泡コンクリート)等の非陶磁器窯業系材料であってもよい。
【0100】
本開示における樹脂含浸化粧板の用途としては、例えば、建材、家具が挙げられる。建材は、内装材であってもよく、外装材であってもよい。建材としては、例えば、壁、床、天井、ドア、棚が挙げられる。家具としては、例えば、テーブル、デスク、キャビネットが挙げられる。
【0101】
11.樹脂含浸化粧板の製造方法
図5は、本開示における樹脂含浸化粧板の製造方法を例示する概略断面図である。本開示における樹脂含浸化粧板の製造方法は、
図5(a)および
図5(b)に示すように、多孔質基材1の一方の面に、意匠層2を形成し、第1シート15を準備する工程(第1シート準備工程)と、
図5(c)に示すように、第1シート15に、硬化性樹脂Yを含浸させる工程(樹脂含浸工程)と、
図5(d)および
図5(e)に示すように、樹脂フィルム層3の一方の面に、パターン形状を有し、かつ、硬化性樹脂Xの硬化物を含有するパターン層4を形成し、第2シート16を準備する工程(第2シート準備工程)と、
図5(f)に示すように、硬化性樹脂Yを含浸させた第1シート15および第2シート16を積層し、積層体11を作製する工程(積層工程)と、
図5(g)に示すように、積層体11を、加熱および加圧し、硬化性樹脂Yを硬化させることにより、樹脂含浸化粧板10を得る工程(加熱加圧工程)と、を有する。
【0102】
(1)第1シート準備工程
本工程では、多孔質基材1の一方の面に、意匠層2を形成し、第1シート15を準備する。多孔質基材、意匠層および意匠層の形成方法については、上述した内容と同様である。
【0103】
(2)樹脂含浸工程
本工程では、第1シート15に、硬化性樹脂Yを含浸させる。例えば、硬化性樹脂Yを含む硬化性樹脂組成物に、第1シート15を浸漬する。浸漬後には、乾燥することが好ましい。この際、硬化性樹脂の一部を硬化し、半硬化状態としてもよい。硬化性樹脂Yの含浸方法としては、例えば、硬化性樹脂Yを入れた浴槽に、第1シートを浸漬させる方法;キスコーター、コンマコーター等のコーターにより、硬化性樹脂Yを、第1シートに塗工する方法;スプレー装置またはシャワー装置により、硬化性樹脂Yを、第1シートに吹き付ける方法が挙げられる。
【0104】
硬化性樹脂組成物中の硬化性樹脂Yの割合は、例えば、50質量%以上であり、70質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよい。硬化性樹脂組成物は、溶媒として、例えば、水、アルコールまたは有機溶剤を含んでいてもよい。
【0105】
本工程により得られる、硬化性樹脂Yを含浸させた第1シートは、意匠層の多孔質基材とは反対側の面に、硬化性樹脂Yを含む未硬化樹脂層が形成されていてもよい。
【0106】
(3)第2シート準備工程
本工程では、樹脂フィルム層3の一方の面に、パターン形状を有し、かつ、硬化性樹脂Xの硬化物を含有するパターン層4を形成し、第2シート16を準備する。この際、パターン層は、第1シートにおける意匠層と同調するように形成することが好ましい。樹脂フィルム層およびパターン層の形成方法については、上述した内容と同様である。第2シートは、樹脂フィルム層のパターン層とは反対側の面に、プライマー層およびヒートシール層等の易接着層が配置されていてもよい。
【0107】
(4)積層工程
本工程においては、硬化性樹脂Yを含浸させた第1シート15および第2シート16を積層し、積層体11を作製する。この際、第1シート15の意匠層2側の面が、第2シート16の樹脂フィルム層3に対向するように積層する。本工程においては、第1シートにおける意匠層および第2シートにおけるパターン層の位置合わせを行うことが好ましい。中でも、第1シートにおける意匠層の絵柄と、第2シートにおけるパターン層が同調するように積層することが好ましい。また、第1シートの第2シートとは反対側の面にコア基材を配置してもよい。第1シートと第2シートとは、第2シートにおける上述した易接着層を介して積層してもよいし、第1シートと第2シートとの間に配置した接着剤層を介して積層してもよい。
【0108】
本工程においては、硬化性樹脂Zを含浸させた多孔質層を、硬化性樹脂Yを含浸させた第1シート15および第2シート16の間に配置してもよい。
【0109】
(5)加熱加圧工程
本工程では、積層体11を、加熱および加圧し、硬化性樹脂Y(および硬化性樹脂Z)を硬化させることにより樹脂含浸化粧板10を得る。加熱温度は、例えば、90℃以上、160℃以下である。印加する圧力は、例えば、50kg/cm2以上、150kg/cm2以下である。また、加熱加圧時間は、例えば、30秒間以上、30分間以下である。
【0110】
本開示は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
【実施例0111】
[実施例1]
(第1シートの作製)
多孔質基材として、坪量80g/m2のチタン紙(KJ特殊紙株式会社製、PM-77P)を準備した。下記の印刷インキを用いたグラビア印刷法により、多孔質基材上に、石目柄状の意匠になるように、部分的に厚み2μmの意匠層(絵柄層)を積層した。これにより、多孔質基材および意匠層を有する第1シートを作製した。
【0112】
<印刷インキ>
・カゼイン/アクリル系樹脂 20質量部
・水 70質量部
・ジプロピルグリコール 5質量部
・イソプロピルアルコール 5質量部
【0113】
(第2シートの作製)
樹脂フィルム層として、東レ(株)製 ルミラー(登録商標)#75-T60(厚さ75μmのPETフィルム)を準備した。下記のパターン層形成用インキを、絵柄層と同調するようなパターン形状となるように塗布した後、120℃、15分の条件で熱硬化させ、厚み5μmのパターン層を形成した。これにより、樹脂フィルム層およびパターン層をこの順に有する第2シートを作製した。
【0114】
<パターン層形成用インキ>
・アクリルポリオール 20質量部
・シリカ粒子(粒径4μm) 8質量部
・酢酸エチル 47質量部
・硬化剤(ヘキサンメチレンジイソシアネート) 15質量部
・シリコーンオイル 10質量部
【0115】
(樹脂含浸化粧板の製造)
作製した上記第1シートに対し、メラミン樹脂の未硬化物(水溶性メチロールメラミン樹脂、日本カーバイド工業社製ニカレヂンS-260)60質量部、水35質量部、及びイソプロピルアルコール5質量部を含む液状の未硬化メラミン樹脂組成物を、含浸用の含浸装置を用いて未硬化メラミン樹脂組成物が80g/m2(乾燥時)の割合となるように含浸した。原紙表裏のメラミン樹脂をゴムへらでかきとった後、乾燥させて、未硬化メラミン樹脂組成物を含浸させた第1シートを製造した。
【0116】
未硬化メラミン樹脂組成物を含浸させた第1シートを、クラフト紙にフェノール樹脂液を含浸させて製造した、坪量245g/m2のフェノール樹脂含浸コア紙(コアクラフト紙にフェノール樹脂からなる液体状の未硬化樹脂組成物に含浸させて得られたもの)3枚からなるコア基材の上に、第1シートの多孔質基材側が接するように積層した。次に、第1シートの意匠層と、第2シートの樹脂フィルム層とが対向するように、第1シート上に第2シートを積層した。この時、第1シートの意匠層の絵柄模様と、第2シートのパターン層とが同調するように積層し、積層体を得た。
【0117】
形成された積層体を2枚の鏡面板で挟み、熱プレス機を用いて圧力100kg/cm2で、成型温度150℃で10分間の条件にて加熱成型し、第1シートに含浸している未硬化メラミン樹脂組成物を熱硬化させた。これにより、樹脂含浸基板を製造した。意匠層の樹脂フィルム層側の面qから樹脂フィルム層のパターン層側の面pまでの距離Lを表1に示す。
【0118】
[実施例2]
(樹脂含浸化粧板の製造)
作製した上記第1シートおよび多孔質層として準備したオーバーレイ原紙(坪量42g/m2、厚み80μm、材質:セルロース)に対し、メラミン樹脂の未硬化物(水溶性メチロールメラミン樹脂、日本カーバイド工業社製ニカレヂンS-260)60質量部、水35質量部、及びイソプロピルアルコール5質量部を含む液状の未硬化メラミン樹脂組成物を、含浸用の含浸装置を用いて未硬化メラミン樹脂組成物が80g/m2(乾燥時)の割合となるようにそれぞれ含浸した。原紙表裏のメラミン樹脂をゴムへらでかきとった後、乾燥させて、未硬化メラミン樹脂組成物を含浸させた第1シートおよび未硬化メラミン樹脂組成物を含浸させた多孔質層を製造した。
【0119】
未硬化メラミン樹脂組成物を含浸させた第1シートを、クラフト紙にフェノール樹脂液を含浸させて製造した、坪量245g/m2のフェノール樹脂含浸コア紙(コアクラフト紙にフェノール樹脂からなる液体状の未硬化樹脂組成物に含浸させて得られたもの)3枚からなるコア基材の上に、第1シートの多孔質基材側が接するように積層した。次に、第1シートの意匠層と、未硬化メラミン樹脂組成物を含浸させた多孔質層用シートとが対向するように、第1シート上に多孔質層用シートを積層した。次に、多孔質層用シートと上記第2シートの樹脂フィルム層とが対向するように、多孔質層用シート上に第2シートを積層した。この時、第1シートの意匠層の絵柄模様と、第2シートのパターン層とが同調するように積層し、積層体を得た。
【0120】
形成された積層体を2枚の鏡面板で挟み、熱プレス機を用いて圧力100kg/cm2で、成型温度150℃で10分間の条件にて加熱成型し、第1シートに含浸している未硬化メラミン樹脂組成物および多孔質層用シートに含浸している未硬化メラミン樹脂組成物を熱硬化させた。これにより、樹脂含浸基板を製造した。意匠層の樹脂フィルム層側の面qから樹脂フィルム層のパターン層側の面pまでの距離Lを表1に示す。
【0121】
[比較例1]
(化粧シートの作製)
多孔質基材として上記チタン紙を準備した。上記の印刷インキを用いたグラビア印刷法により、多孔質基材上に、石目柄状の意匠になるように、部分的に厚み2μmの意匠層(絵柄層)を積層した。これにより、多孔質基材および意匠層を有する第1シートを作製した。第1シートの意匠層側の面に、下記離型層形成用インキを、絵柄層と同調するような形状となるように積層した後、165kVの加速電圧にて3Mradの電子線照射を行うことにより、厚み5μmの離型層を形成した。これにより、多孔質基材、意匠層および離型層をこの順に有する化粧シートを製造した。
【0122】
<離型層形成用インキ>
・電離放射線硬化性モノマー(東亞合成株式会社製、アロニックス M-400) 48質量部
・反応性シリコーン(信越化学株式会社製、X-22-164B) 4質量部(全固形分100質量部に対して6.7質量部)
・シランカップリング処理シリカ(粒径2μm)8質量部(全固形分100質量部に対して13.3部)
・メチルエチルケトン 40質量部
【0123】
(樹脂含浸化粧板の製造)
作製した上記化粧シートに対し、メラミン樹脂の未硬化物(水溶性メチロールメラミン樹脂、日本カーバイド工業社製ニカレヂンS-260)60質量部、水35質量部、及びイソプロピルアルコール5質量部を含む液状の未硬化メラミン樹脂組成物を、含浸用の含浸装置を用いて未硬化メラミン樹脂組成物が80g/m2(乾燥時)の割合となるように含浸した。原紙表裏のメラミン樹脂をゴムへらでかきとった後、乾燥させて、未硬化メラミン樹脂組成物を含浸させた化粧シートを製造した。
【0124】
図6(a)に示すように、未硬化メラミン樹脂組成物を含浸させた化粧シート25を上記コア基材40の上に、化粧シート25の多孔質基材1側が接するように積層し、更に含浸化粧シート上にリリースフィルム50を、リリースフィルム50の剥離層が含浸化粧シートの硬化性樹脂層30と接するように積層し、積層体51を得た。
【0125】
次に、
図6(b)に示すように、形成された積層体を2枚の鏡面板で挟み、熱プレス機を用いて圧力100kg/cm
2で、成型温度150℃で10分間の条件にて加熱成型し、未硬化メラミン樹脂組成物を熱硬化させることにより、メラミン樹脂の硬化物を含む硬化樹脂層31(メラミン層)を形成した。これにより、硬化積層体52を得た。
【0126】
次いで、
図6(c)に示すように、メラミン樹脂の硬化物を含む硬化樹脂層31から、リリースフィルム50を剥離することにより、硬化樹脂層のうち、厚さ方向において離型層と重複する第1領域に配置された硬化樹脂層31を除去しつつ、離型層と重複しない第2領域に配置された硬化樹脂層31を残存させた。これにより、樹脂含浸化粧板60を得た。
【0127】
[参考例]
(化粧シートの作製)
多孔質基材として上記チタン紙を準備した。上記の印刷インキを用いたグラビア印刷法により、多孔質基材上に、石目柄状の意匠になるように、部分的に厚み2μmの意匠層(絵柄層)を積層した。これにより、多孔質基材および意匠層を有する化粧シートを作製した。また、多孔質層としてオーバーレイ原紙(坪量42g/m2、厚み80μm、材質:セルロース)を準備した。
【0128】
(樹脂含浸化粧板の製造)
作製した上記化粧シートおよび多孔質層に対し、メラミン樹脂の未硬化物(水溶性メチロールメラミン樹脂、日本カーバイド工業社製ニカレヂンS-260)60質量部、水35質量部、及びイソプロピルアルコール5質量部を含む液状の未硬化メラミン樹脂組成物を、含浸用の含浸装置を用いて未硬化メラミン樹脂組成物が80g/m2(乾燥時)の割合となるようにそれぞれ含浸した。原紙表裏のメラミン樹脂をゴムへらでかきとった後、乾燥させて、未硬化メラミン樹脂組成物を含浸させた化粧シートおよび未硬化メラミン樹脂組成物を含浸させた多孔質層を製造した。
【0129】
未硬化メラミン樹脂組成物を含浸させた化粧シートを上記コア基材の上に、化粧シートの多孔質基材側が接するように積層した。次に、化粧シートの意匠層と、未硬化メラミン樹脂組成物を含浸させた多孔質層用シートとが対向するように、化粧シート上に多孔質層用シートを積層した。更に、多孔質層用シート上にリリースフィルムを、リリースフィルムの剥離層が多孔質層と接するように積層し、積層体を得た。形成された積層体を2枚の鏡面板で挟み、熱プレス機を用いて圧力100kg/cm2で、成型温度150℃で10分間の条件にて加熱成型し、未硬化メラミン樹脂組成物を熱硬化させた。リリースフィルムを剥離することにより、樹脂含浸基板を製造した。
【0130】
[評価]
(グロスマット意匠性評価)
得られたメラミン化粧板のグロスマット意匠性を、目視により評価した。具体的には、自然色形蛍光灯演色AA(パナソニック株式会社製、型番:FLR40S・D-SDL/M)の光源下で、得られた化粧板を50cm離れた位置から、化粧板表面を斜めの角度でそれぞれ目視にて観察し、グロスマット意匠性の発現状態を確認した。観察者は、グロスマット意匠性を1~5点の5段階(1点が最も悪く、5点が最も高い)で得点付けした。なお、グロスマット意匠が確認できない場合を1点、十分なグロスマット意匠が確認できた場合を5点、として段階的に評価した。観察者10名でそれぞれ実施し、全員の平均点を算出し、以下の基準でグロスマット意匠性を評価した。
・評価基準
A:グロスマット意匠性を評価した際の平均得点が3点以上
B:グロスマット意匠性を評価した際の平均得点が2点以上3点未満
C:グロスマット意匠性を評価した際の平均得点が2点未満
【0131】
(耐摩耗性評価)
得られたメラミン化粧板に対して、JASフローリング摩耗A試験に基づき摩耗試験を行い、耐摩耗性を評価した。テーバー摩耗試験機を使用し、研摩紙:S-42、荷重1000gの条件にて、絵柄が取られ始める回転数(IP)および絵柄の95%がとられるまでの回転数(FP)を25回転刻みで計測した。回転数Pを、(IP+FP)/2の式により算出した。この試験をメラミン化粧板の異なる位置で3回行い、上記回転数Pの算術平均値を算出し、下記の基準で評価を行った。
・評価基準
AA:800回以上
A:400回以上
B:200回以上
C:200回未満
【0132】
【0133】
表1に示すように、樹脂フィルム層を有する実施例1および実施例2の樹脂含浸化粧板は、グロスマット調の意匠感を発現しつつ、優れた耐摩耗性を有することが確認された。実施例2は、多孔質層を含むため、実施例1よりも耐摩耗性に優れる結果となった。一方、比較例1の樹脂含浸化粧板は、離型層およびメラミン層の間でグロスマット意匠が発現したものの、意匠層上に配置されている層の厚さが薄く、耐摩耗性に劣る結果となった。参考例の樹脂含浸化粧板は、パターン状を有する離型層を有さず、グロスマット意匠が発現しなかった。
【0134】
このように、本開示においては、例えば、以下の発明が提供される。
【0135】
[1]
樹脂含浸化粧板であって、
前記樹脂含浸化粧板は、多孔質基材と、意匠層と、樹脂フィルム層と、パターン形状を有し、かつ、硬化性樹脂Xの硬化物を含むパターン層と、を厚さ方向において、この順に有し、
前記多孔質基材は、硬化性樹脂Yの硬化物を含有する、樹脂含浸化粧板。
【0136】
[2]
前記意匠層および前記樹脂フィルム層の間に、前記硬化性樹脂Zの硬化物を含有する多孔質層を有する、[1]に記載の樹脂含浸化粧板。
【0137】
[3]
前記パターン層は、前記意匠層の柄と同調するように配置されている、[1]または[2]に記載の樹脂含浸化粧板。
【0138】
[4]
前記厚さ方向における、前記意匠層の前記樹脂フィルム層側の面から、前記樹脂フィルム層の前記パターン層側の面までの距離は、20μm以上である、[1]から[3]までのいずれかに記載の樹脂含浸化粧板。
【0139】
[5]
前記樹脂含浸化粧板は、前記厚さ方向からみて、前記パターン層と重複する第1領域と、前記パターン層と重複しない第2領域と、を有し、
前記第1領域の60°グロス値は、前記第2領域の60°グロス値よりも小さい、[1]から[4]までのいずれかに記載の樹脂含浸化粧板。
【0140】
[6]
前記第1領域の60°グロス値と、前記第2領域の60°グロス値との差が、3.0以上である、[5]に記載の樹脂含浸化粧板。
【0141】
[7]
前記樹脂含浸化粧板は、前記厚さ方向からみて、前記パターン層と重複する第1領域と、前記パターン層と重複しない第2領域と、を有し、
前記第1領域の60°グロス値は、前記第2領域の60°グロス値よりも大きい、[1]から[4]までのいずれかに記載の樹脂含浸化粧板。
【0142】
[8]
前記第1領域の60°グロス値と、前記第2領域の60°グロス値との差が、1.0以上である、[7]に記載の樹脂含浸化粧板。
【0143】
[9]
前記樹脂フィルム層の前記パターン層とは反対側の面に、接着層が配置されている、[1]から[8]までのいずれかに記載の樹脂含浸化粧板。
【0144】
[10]
前記樹脂フィルム層のヘイズは、5.0%以下である、[1]から[9]までのいずれかに記載の樹脂含浸化粧板。
【0145】
[11]
前記樹脂フィルム層が、ポリエチレンテレフタレートを含むフィルムである、[1]から[10]までのいずれかに記載の樹脂含浸化粧板。
【0146】
[12]
前記意匠層の前記多孔質基材とは反対側の面に、前記硬化性樹脂Yの硬化物を含有する硬化樹脂層が配置されている、[1]から[11]までのいずれかに記載の樹脂含浸化粧板。
【0147】
[13]
前記樹脂フィルム層と前記パターン層との間に、艶調整層を有する、[1]から[12]までのいずれかに記載の樹脂含浸化粧板。