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特開2025-105116レーザマーキング装置及び情報処理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025105116
(43)【公開日】2025-07-10
(54)【発明の名称】レーザマーキング装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20250703BHJP
   B23K 26/70 20140101ALI20250703BHJP
【FI】
B23K26/00 B
B23K26/00 M
B23K26/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223430
(22)【出願日】2023-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 崇浩
(72)【発明者】
【氏名】カン チュースン
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AA00
4E168CA02
4E168CA06
4E168CB04
4E168CB23
4E168CB24
4E168EA15
(57)【要約】
【課題】印字パターンの印字画像を汎用制御機器と共有して、汎用制御機器により印字画像を可視化できるレーザマーキング装置を提供する。
【解決手段】レーザマーキング装置は、レーザ光源から出射されたレーザ光を光走査手段にて走査して加工対象物にマーキング加工を行うレーザマーキング装置であって、プロセッサと、通信デバイスと、を備え、プロセッサは、少なくとも、加工対象物にマーキング加工する印字パターンに関する情報と、マーキング加工可能な加工エリアのレイアウトに関するレイアウト情報と、を含むマーキング情報を取得し、通信デバイスを介して、汎用制御機器から命令として画像要求を受信し、画像要求に応じて、マーキング情報に基づいてーンの印字画像を生成し、印字画像に基づいてテキスト形式の画像データを生成し、通信デバイスを介して、画像要求に対する応答としてデータを汎用制御機器に送信する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源から出射されたレーザ光を光走査手段にて走査して加工対象物にマーキング加工を行うレーザマーキング装置であって、
プロセッサと、通信デバイスと、を備え、
前記プロセッサは、
少なくとも、前記加工対象物にマーキング加工する印字パターンに関する情報と、マーキング加工可能な加工エリアのレイアウトに関するレイアウト情報と、を含むマーキング情報を取得し、
前記通信デバイスを介して、汎用制御機器から命令として画像要求を受信し、
前記画像要求に応じて、前記マーキング情報に基づいて前記印字パターンの印字画像を生成し、前記印字画像に基づいてテキスト形式の画像データを生成し、
前記通信デバイスを介して、前記画像要求に対する応答として前記画像データを前記汎用制御機器に送信する、
レーザマーキング装置。
【請求項2】
前記レイアウト情報は、前記レーザマーキング装置の内部又は外部に設置されるカメラによって撮像される撮影画像を含む、
請求項1に記載のレーザマーキング装置。
【請求項3】
前記命令は、前記印字画像の幅、高さ、及び解像度の少なくとも1つを指定する第1のコマンドと、前記印字画像に対する前記印字パターンの位置及び前記印字画像の倍率の少なくとも1つを指定する第2のコマンドと、を含み、
前記プロセッサは、前記第1のコマンド及び前記第2のコマンドに基づいて、前記印字画像を生成する、
請求項1又は2に記載のレーザマーキング装置。
【請求項4】
前記画像データは、前記印字画像の前記幅、前記高さ、及び前記解像度の少なくとも1つの情報と、前記印字画像に対する前記印字パターンの前記位置及び前記印字画像の前記倍率の少なくとも1つの情報と、を含む、
請求項3に記載のレーザマーキング装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記汎用制御機器が結合可能な形式で前記画像データを分割して複数の画像分割データを生成し、
前記通信デバイスを介して、前記応答として前記複数の画像分割データを複数回に分けて送信する、
請求項1又は2に記載のレーザマーキング装置。
【請求項6】
前記レイアウト情報は、前記加工エリアに対する前記印字パターンの位置を計測するスケールに関する情報を含む、
請求項1又は2に記載のレーザマーキング装置。
【請求項7】
レーザ光源から出射されたレーザ光を光走査手段にて走査して加工対象物にマーキング加工を行うレーザマーキング装置の情報処理方法であって、
少なくとも、前記加工対象物にマーキング加工する印字パターンに関する情報と、マーキング加工可能な加工エリアのレイアウトに関するレイアウト情報と、を含むマーキング情報を取得するステップと、
汎用制御機器から命令として画像要求を受信するステップと、
前記画像要求に応じて、前記マーキング情報に基づいて前記印字パターンの印字画像を生成し、前記印字画像に基づいてテキスト形式の画像データを生成するステップと、
前記画像要求に対する応答として前記画像データを前記汎用制御機器に送信するステップと、
を有する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザマーキング装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレーザマーキング装置として、印字パターンに関するマーキング情報を設定するための設定部を有するコンソールと、コンソールを介して設定されたマーキング情報に基づいて印字パターンの印字イメージを表示画面のイメージ表示欄に表示する制御装置と、を備える装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-149158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のレーザマーキング装置は、専用機器ではなく専用ツールを有していない汎用の制御機器(例えばPLC(programmable logic controller、)又はPC(Personal Computer))への印字イメージの出力に対応していない。そのため、汎用の制御機器には印字イメージ(印字画像)を共有できず、汎用の制御機器が印字イメージを表示することが困難である。
【0005】
本開示は、印字パターンの印字画像を汎用制御機器と共有して、汎用制御機器により印字画像を可視化できるレーザマーキング装置及び情報処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、レーザ光源から出射されたレーザ光を光走査手段にて走査して加工対象物にマーキング加工を行うレーザマーキング装置であって、プロセッサと、通信デバイスと、を備え、前記プロセッサは、少なくとも、前記加工対象物にマーキング加工する印字パターンに関する情報と、マーキング加工可能な加工エリアのレイアウトに関するレイアウト情報と、を含むマーキング情報を取得し、前記通信デバイスを介して、汎用制御機器から命令として画像要求を受信し、前記画像要求に応じて、前記マーキング情報に基づいて前記印字パターンの印字画像を生成し、前記印字画像に基づいてテキスト形式の画像データを生成し、前記通信デバイスを介して、前記画像要求に対する応答として前記画像データを前記汎用制御機器に送信する、レーザマーキング装置である。
【0007】
本開示の一態様は、レーザ光源から出射されたレーザ光を光走査手段にて走査して加工対象物にマーキング加工を行うレーザマーキング装置の情報処理方法であって、少なくとも、前記加工対象物にマーキング加工する印字パターンに関する情報と、マーキング加工可能な加工エリアのレイアウトに関するレイアウト情報と、を含むマーキング情報を取得するステップと、汎用制御機器から命令として画像要求を受信するステップと、前記画像要求に応じて、前記マーキング情報に基づいて前記印字パターンの印字画像を生成し、前記印字画像に基づいてテキスト形式の画像データを生成するステップと、前記画像要求に対する応答として前記画像データを前記汎用制御機器に送信するステップと、を有する情報処理方法である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、印字パターンの印字画像を汎用制御機器と共有して、汎用制御機器により印字画像を可視化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態におけるレーザマーキングシステムの概略構成例を示す斜視図である。
図2】レーザマーキングシステムの概略構成例を示すブロック図
図3】レーザマーキングシステムのハードウェアの一例を示すブロック図
図4】レーザマーキングシステムの機能の概要を示す図
図5】レーザマーキングシステムによる動作例を示すシーケンス図
図6A】IMCコマンドの一例を示す図
図6B】IMGR0コマンドの一例を示す図
図6C】IMGAコマンドの一例を示す図
図6D】IMGR1コマンドの一例を示す図
図6E】IMGAコマンドの一例を示す図
図7A】IMGコマンドに対応する印字画像の第1例を示す図
図7B】IMGコマンドに対応する印字画像の第2例を示す図
図7C】IMGコマンドに対応する印字画像の第3例を示す図
図7D】IMGコマンドに対応する印字画像の第4例を示す図
図7E】IMGコマンドに対応する印字画像の第5例を示す図
図8A】ユーザツールの画面表示の第1例を示す図
図8B】ユーザツールの画面表示の第2例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。尚、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
また、実施形態でいう「部」又は「装置」とは単にハードウェアによって機械的に実現される物理的構成に限らず、その構成が有する機能をプログラムなどのソフトウェアにより実現されるものも含む。また、1つの構成が有する機能が2つ以上の物理的構成により実現されても、又は2つ以上の構成の機能がたとえば1つの物理的構成によって実現されていてもかまわない。
【0012】
(本開示の実施形態を得るに至った経緯)
特許文献1のレーザマーキング装置(レーザマーカ)では、専用機器や専用ソフトウェアをインストールしたPC又は組込み型のコンソールから設定専用ツールを使用して、設定された印字画像を専用機器の表示画面に表示させていた。この場合、専用機器や専用ソフトウェアをインストールしたPLCやPCから汎用通信によってレーザマーカへ印字イメージの出力を要求しても、レーザマーカは印字イメージの出力に対応していない。そのため、このようなPLCやPCは、印字画像を表示することが困難である。
【0013】
以下の実施形態では、印字パターンの印字画像を汎用制御機器と共有して、汎用制御機器により印字画像を可視化できるレーザマーキング装置及び情報処理方法について説明する。
【0014】
(実施形態)
<レーザマーキングシステムの構成>
図1は、本開示の実施形態におけるレーザマーキングシステム5の概略構成例を示す斜視図である。図2は、レーザマーキングシステム5の概略構成例を示すブロック図である。レーザマーキングシステム5は、レーザマーカ100と制御装置200とを含む構成である。
【0015】
レーザマーカ100は、レーザ光を樹脂又は金属等の加工対象物に照射し、加工対象物の表面の状態を変質させることで、文字、記号、2次元コード又は図形等の様々なパターン(印字パターン)をマーキング(印字)する加工(マーキング加工)を行う。
【0016】
制御装置200は、例えば、汎用の制御装置である。制御装置200は、PLC(programmable logic controller、)、PC(Personal Computer)、又はHMI(Human Machine Interface)等であってもよい。制御装置200は、各種制御や処理を行い、例えば、マーキング加工に関する各種処理を行う。
【0017】
レーザマーカ100は、加工対象物としてのワークWを搬送する搬送ラインTRの上方に配置される。制御装置200は、レーザマーカ100に例えばケーブル3を介して接続される。レーザマーカ100と制御装置200とは、有線又は無線により通信可能に接続される。
【0018】
レーザマーキングシステム5は、順次搬送される複数のワークWの表面に文字、記号又は図形等の印字パターンをそれぞれマーキング(マーキング加工)する。レーザマーカ100は、レーザマーカ100のハウジング10内に、レーザ光源11、ビームエキスパンダ12、ガルバノスキャナ13、カメラ14を備える(図2参照)。なお、カメラ14は、レーザマーカ100に内蔵されてもよいし、レーザマーカ100の外部に設置されてレーザマーカ100に接続されてもよい。
【0019】
図2に示すように、制御装置200は、プロセッサ210とメモリ220とを備える。プロセッサ210は、レーザマーキングシステム5を統括的に制御し、制御装置200内の各部を制御する。メモリ220は、各種情報、データ、プログラム等を記憶する。
【0020】
レーザマーカ100のレーザ光源11は、制御装置200のプロセッサ210によって発振が制御され、マーキング用のレーザ光Lを出射する。ビームエキスパンダ12は、レーザ光源11の後段に配置され、レーザ光源11から出射されたレーザ光Lのビーム径を所定の倍率で一旦拡大する。
【0021】
ガルバノスキャナ13は、ビームエキスパンダ12の後段に配置され、ガルバノミラー13aと、ガルバノミラー13aを駆動するガルバノモータ13bと、を有する。ガルバノミラー13aは、ビームエキスパンダ12によって径が拡大されたレーザ光Lを反射し、レーザ光Lの照射方向を変更自在である。ガルバノミラー13aは、例えば、対をなすX軸ミラーとY軸ミラーとで構成される。ガルバノミラー13aは、プロセッサ210の制御に基づくガルバノモータ13bの駆動により角度制御され、設定された所望の印字パターンのデータに基づいて、2次元的にレーザ光Lを走査する。よって、ガルバノスキャナ13は、レーザ光Lを走査する光走査手段として動作する。
【0022】
収束レンズ(fθレンズ)17は、ガルバノミラー13aの後段に配置され、レーザ光LをワークWの表面において所定のスポット径となるまで収束させ、マーキングに適したエネルギー密度まで高める。このようにして、レーザマーキングシステム5は、ワークWにマーキングを施す。
【0023】
また、レーザマーカ100は、レーザ光Lの光軸上におけるビームエキスパンダ12とガルバノミラー13aとの間に、コールドミラー21を備える。コールドミラー21は、可視光域の光を反射し、レーザ光Lを透過させる。
【0024】
カメラ14は、コールドミラー21の近傍に設けられ、カメラ14の光軸がコールドミラー21により屈曲し、コールドミラー21の後段側(レーザ出射側)においてカメラ14の光軸がレーザ光Lの光軸と一致するように配置される。即ち、レーザ光Lの出射部(収束レンズ17部分)から取り込まれてコールドミラー21により反射された可視光は、カメラ14に到達する。これにより、カメラ14は、ワークWへのマーキング後には、ワークWにマーキングされた印字パターンを撮像可能である。また、カメラ14は、ワークWへのマーキング前には、ワークWのマーキング対象の表面を撮像画像である。カメラ14は、撮像画像のデータを制御装置200に出力する。
【0025】
また、レーザマーカ100は、レーザ出力測定部22を備える。レーザ出力測定部22は、レーザ光源11とビームエキスパンダ12との間に配置され、レーザ光Lの出力値を測定する。レーザ出力測定部22は、レーザ光Lの光軸上におけるレーザ光源11とビームエキスパンダ12との間に配置されたビームスプリッター等を含む光路分岐部22aと、ハウジング10内に設けられた受光素子22bと、を備える。光路分岐部22aは、レーザ光源11から出射されたレーザ光Lの数パーセントを受光素子22bに向かって反射する。受光素子22bは、光路分岐部22aによって反射されたレーザ光Lを入射し、受光結果に基づく検出信号を制御装置200に出力する。
【0026】
また、レーザマーカ100は、プロセッサ110と、メモリ120と、コンソール150と、を有する(図3参照)。コンソール150は、タッチパネル機能を有する表示画面を備える。コンソール150は、ワークWにマーキングする所望の印字パターンをユーザから受け付ける。プロセッサ110は、コンソール150からの印字パターンのデータを取得し、印字パターンを印字対象として設定し、設定された印字パターンのデータをメモリ120に記憶させる。
【0027】
なお、印字パターン(印字内容)は、制御装置200により決定されてもよい。この場合、プロセッサ110は、通信デバイス130を介して印字パターンのデータを取得し、印字パターンを印字対象として設定し、設定された印字パターンのデータをメモリ120に記憶させる。
【0028】
レーザマーカ100は、印字パターンのデータに基づいてレーザ光を照射することで、所望の印字を実現できる。1つのワークWに対するマーキング加工(印字)が終了すると、レーザマーカ100の下方(マーキング領域)に次のワークWが搬送されて、そのワークWに対して同様にマーキング加工する。レーザマーキングシステム5は、マーキング加工を繰り返すことで、複数のワークWにマーキング可能である。
【0029】
図3は、レーザマーキングシステム5のハードウェアの一例を示すブロック図である。図3では、レーザマーカ100と制御装置200とについて主に説明する。
【0030】
レーザマーカ100は、プロセッサ110と、メモリ120と、通信デバイス130と、コンソール150と、を含む構成である。
【0031】
プロセッサ110は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)を用いて構成されてよい。プロセッサ110は、各種集積回路(例えばLSI(Large Scale Integration)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成されてもよい。プロセッサ110は、メモリ120に保持されたプログラムを実行することで、各種機能を実現する。プロセッサ110は、レーザマーカ100の各部を統括的に制御し、各種処理を行う。
【0032】
メモリ120は、一次記憶装置(例えばRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)を少なくとも含む。メモリ120は、他の記憶装置を含んでもよい。また、メモリ120は、外部記憶媒体でもよく、レーザマーカ100に対して着脱可能であってもよい。メモリ120は、各種データ、情報、プログラム等を記憶する。
【0033】
通信デバイス130は、有線又は無線による通信方式に従って、各種データ又は情報等を通信する。通信デバイス130による通信方式は、LAN(Local Area Network)、電力線通信、等の通信方式を含んでよい。通信デバイス130は、各種の通信コマンドを用いて通信してもよい。
【0034】
コンソール150は、操作デバイスと表示デバイスとの双方の機能を有する。操作デバイスは、各種ボタン、キー、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクロホン、又はその他の操作デバイスを含んでよい。操作デバイスは、各種データ又は情報等の入力を受け付ける。操作デバイスは、例えばレーザマーカ100を使用するユーザにより操作可能である。表示デバイスは、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electroluminescence)(有機EL)等のディスプレイを用いて構成される。表示デバイス250は、各種のデータ又は情報等を表示する。なお、コンソール150における操作デバイスと表示デバイスとが、別体で構成されてもよい。なお、操作デバイスと表示デバイスとの少なくとも一方は、レーザマーカ100から独立して設けられてもよい。
【0035】
制御装置200は、プロセッサ210と、メモリ220と、通信デバイス230と、操作デバイス240と、表示デバイス250と、を含む構成である。なお、制御装置200が操作デバイス240と表示デバイス250とを備えなくてもよく、操作デバイス240と表示デバイス250との少なくとも一方が、制御装置200から独立した装置であってもよい。
【0036】
プロセッサ210は、例えばCPU又はDSPを用いて構成されてよい。プロセッサ210は、各種集積回路(例えばLSI又はFPGA)を用いて構成されてもよい。プロセッサ210は、メモリ220に保持されたプログラムを実行することで、各種機能を実現する。プロセッサ210は、制御装置200の各部を統括的に制御し、各種処理を行う。
【0037】
メモリ220は、一次記憶装置(例えばRAM又はROM)を含む。メモリ220は、他の記憶装置を含んでもよい。また、メモリ220は、外部記憶媒体でもよく、制御装置200に対して着脱可能であってもよい。メモリ220は、各種データ、情報、又はプログラム等を記憶する。
【0038】
通信デバイス230は、有線又は無線による通信方式に従って、各種データ又は情報等を通信する。通信デバイスによる通信方式は、LAN、電力線通信、等の通信方式を含んでよい。
【0039】
操作デバイス240は、各種ボタン、キー、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクロホン、又はその他の入力デバイスを含んでよい。操作デバイスは、各種データ又は情報等の入力を受け付ける。操作デバイスは、例えば制御装置200を使用するユーザにより操作可能である。
【0040】
表示デバイス250は、LCD又は有機EL等のディスプレイを用いて構成される。表示デバイス250は、各種のデータ又は情報等を表示する。なお、操作デバイス240と表示デバイス250とが、例えばタッチパネル等のように一体的に構成されてもよい。
【0041】
図4は、レーザマーキングシステム5の機能の概要を示す図である。
【0042】
ユーザは、制御装置200の操作デバイス240を介して、レーザマーカ100に対して画像要求を行う。つまり、操作デバイス240は、ユーザからの画像要求を行うための操作を受け付ける。プロセッサ210が実行するアプリケーション(上位制御アプリとも称する)は、通信デバイス230を介して、レーザマーカ100に対して画像要求を送信する。
【0043】
レーザマーカ100は、通信デバイス130が画像要求を受信する。レーザマーカ100では、プロセッサ110は、メモリ120に保持された印字パターンのデータに基づいて、マーキングにより印字される印字画像を生成する。プロセッサ110は、メモリ120に印字画像を保持させてもよい。プロセッサ110は、カメラ14から、カメラ14により撮像された撮像画像を取得する。プロセッサ110は、メモリ120に撮像画像を保持させてもよい。プロセッサ110は、取得された撮像画像と印字画像(印字パターン)とを合成した合成画像を生成してもよい。プロセッサ110は、メモリ120に合成画像を保持させてもよい。プロセッサ110は、通信デバイス130を介して、生成された印字画像又は合成画像を示す画像データを生成し、送信する。この際、画像データは、必要に応じて分割され、分割された画像データ(画像分割データ)が送信されてもよい。画像データは、例えばPNG(Portable Network Graphics)ファイルである。画像データは、画像又はテキスト等によって示される。プロセッサ110は、メモリ120に画像データを保持させてもよい。メモリ120は、撮像画像、印字画像、合成画像、又は画像データ等を、少なくとも一時的に保持するキャッシュ(画像データキャッシュ)として保持してもよい。
【0044】
レーザマーカ100は、通信デバイス130が、画像データを制御装置200のプロセッサ210(例えば上位制御アプリ)に送信する。制御装置200のプロセッサ210(例えば上位制御アプリ)は、画像データを表示デバイス250に送り、表示デバイス250に画像データに基づく画像(例えばPNG画像)を表示させる。この場合、プロセッサ210(例えば上位制御アプリ)は、分割されていた画像データを結合して、結合された画像データに基づく画像を表示させてもよい。
【0045】
また、レーザマーカ100と制御装置200との間では、例えば、通信コマンドを用いて通信される。通信コマンドは、IMGコマンド及びIMCコマンド等を含む。IMCコマンドは、印字画像の設定(印字画像設定)に関するコマンドであり、どのような印字画像を生成するかを指示するコマンドである。IMCコマンドは、印字画像の幅、高さ、及び解像度等を指定可能である。IMGコマンド及びIMCコマンドの詳細については後述する。IMGコマンドは、印字エリア(加工エリア)に対する印字画像(印字パターン)の位置及び印字画像の倍率を指定可能である。印字パターンの位置は、例えばX座標及びY座標で示され、2次元平面における位置で示されてもよい。印字画像の位置は、例えば、印字エリア(加工エリア)に対する印字画像の位置であってよい。印字画像は、印字パターンの全体が含まれてもよいし、一部が含まれてもよい。なお、IMCコマンドは、一度決定するとあまり変更されなくてよい。なお、解像度が指定されることで、違和感のない画像が生成可能である。なお、IMGコマンドは、例えば、IMGR0コマンド、IMGR1コマンド、IMGR2コマンド及びIMGR3コマンドを含む。IMGR0コマンドは、印字画像生成コマンドとして機能してもよい。IMGR1コマンド、IMGR2コマンド及びIMGR3コマンドは、それぞれ、印字画像読み出しコマンドとして機能してもよい。
【0046】
このように、レーザマーキングシステム5では、制御装置200が、上位制御アプリ経由で通信コマンドをレーザマーカ100に送信する。レーザマーカ100は、プロセッサ110が、通信コマンドを受けて、印字パターンを含む画像データを制御装置200の上位制御アプリに分割して転送する。制御装置200の上位制御アプリが、分割された画像データを再構築して、表示デバイス250に表示させる。なお、画像データの分割が行われないこともある。
【0047】
ここで、レーザマーカ100のプロセッサ110の具体的な処理について補足する。
【0048】
プロセッサ110は、印字パターンに関するマーキング情報を設定する。設定されたマーキング情報は、メモリ120に保持される。プロセッサ110は、必要時にマーキング情報をメモリ120から取得する。マーキング情報は、少なくとも、加工対象物にマーキング加工する印字パターンに関する印字パターン情報と、マーキング加工可能な印字エリアのレイアウトに関するレイアウト情報と、を含む。プロセッサ110は、通信デバイス130を介して、制御装置200から命令として画像要求を受信する。プロセッサ110は、画像要求に応じて、マーキング情報に基づいて印字パターンを可視化した印字画像を生成し、印字画像に基づいてテキスト形式の画像データを生成する。プロセッサ110は、通信デバイス130を介して、画像要求に対する応答として画像データを制御装置200に送信する。制御装置200は、画像データに基づく画像(印字画像)を表示する。つまり、プロセッサ110は、印字画像を制御装置200に表示させてもよい。
【0049】
つまり、レーザマーカ100は、汎用制御機器(例えば制御装置200)からの命令(画像要求)に応じて、印字パターンとレイアウト情報を含む設定情報のイメージ画像を、汎用的な通信(プロトコル)に対応するテキスト形式の画像データを生成・送信することで、専用の(特別な)ソフトウェアやプロトコル対応の画像データを必要とすることもない。
【0050】
また、レイアウト情報は、レーザマーカの内部又は外部に設置されるカメラ14によって撮像される撮影画像を含んでもよい。この場合、プロセッサ110は、マーキング情報に基づいて印字画像を生成することで、印字パターンを示す画像と、撮像画像とが合成された合成画像を生成可能である。
【0051】
また、命令は、印字画像の幅、高さ、及び解像度の少なくとも1つを指定するIMCコマンドと、印字画像に対する印字パターンの位置及び印字画像の倍率の少なくとも1つを指定するIMGコマンドと、を含んでもよい。プロセッサ110は、IMCコマンド及びIMGコマンドに基づいて、印字画像を生成してもよい。
【0052】
また、画像データは、印字画像の幅、高さ、及び解像度の少なくとも1つの情報と、印字画像に対する印字パターンの位置及び印字画像の倍率の少なくとも1つの情報と、を含んでもよい。
【0053】
また、プロセッサ110は、制御装置200が結合可能な形式で画像データを分割して複数の画像分割データを生成し、通信デバイス130を介して、応答として複数の画像分割データを複数回に分けて送信してもよい。
【0054】
また、レイアウト情報は、印字エリアに対する印字パターンの位置を計測するスケールに関する情報を含んでもよい。この場合、プロセッサ110は、マーキング情報に基づいて印字画像を生成することで、スケールSLを含めて印字パターンを示す印字画像を生成可能である。
【0055】
次に、レーザマーキングシステム5の動作について説明する。
図5は、レーザマーキングシステム5による動作例を示すシーケンス図である。
【0056】
まず、制御装置200は、印字パターンを可視化した印字画像を生成するための設定(印字画像設定)をレーザマーカ100に指示する(S101)。印字画像設定は、例えば、印字画像の幅、高さ、及び解像度の設定を含む。印字画像設定の指示は、例えばIMCコマンドを用いて通信される。
【0057】
図6Aは、IMCコマンドの一例を示す図である。
【0058】
ステップS101で送信されるIMCコマンドは、例えば設定要求コマンドである。例えば、印字画像の幅に関する情報(幅情報)、印字画像の高さに関する情報(高さ情報)、及び印字画像の解像度(PPI:Pixels Per Inch)に関する情報(解像度情報)、等を含む。幅情報は、生成される印字画像の幅(例えばX方向の長さ)をピクセル単位で指定する情報を含む。高さ情報は、生成される印字画像の高さ(例えばY方向の長さ)をピクセル単位で指定する情報を含む。印字画像の幅及び高さはそれぞれ、例えば、64ピクセル~1024ピクセルの間のいずれかの値で指定され得る。解像度情報は、生成される印字画像の解像度(例えばピクセル/インチで示される)を指定する情報を含む。印字画像の解像度は、例えば、010.0~999.9(ピクセル/インチ)の間のいずれかの値で指定され得る。
【0059】
レーザマーカ100は、印字画像設定の指示を受信し、印字画像設定に基づいて印字画像を生成するための各種設定を行う。ここでの設定は、例えば、印字画像の幅、高さ、及び解像度の設定を含む。ここで設定された情報は、メモリ120に保持されてよい。
【0060】
レーザマーカ100は、印字画像設定の指示を正常に受信したことを示す正常受信応答を、制御装置200に送信する(S102)。正常受信応答は、例えばIMCコマンドの一つであるIMGAコマンドを用いて通信される。
【0061】
このようにして、レーザマーキングシステム5は、IMCコマンドにより、生成可能な印字画像の仕様を設定できる。
【0062】
図5に戻る。制御装置200は、印字画像を生成する指示(印字画像生成指示)をレーザマーカ100に送信する(S103)。印字画像生成指示は、例えば、IMGコマンドの1つであるIMGRコマンドの1つであるIMGR0コマンドを用いて通信される。
【0063】
図6Bは、IMGR0コマンドの一例を示す図である。
【0064】
S103で送信されるIMGR0コマンドは、読み出しを要求する読み出し要求コマンドである。読み出し要求コマンドは、指示内容に関する情報(指示内容情報)、印字画像のX位置に関する情報(X位置情報)、印字画像のY位置に関する情報(Y位置情報)、及び印字画像の倍率に関する情報(倍率情報)、等を含む。指示内容情報は、例えば、データ長が1バイトであり、画像の生成指示又はブロックの読み出し指示を指定する情報を含む。例えば、指示内容情報が「0」である場合、印字画像を生成する指示(印字画像生成指示)であることを示す。X位置情報は、印字エリアAR(印字画像)の中心に表示される印字パターンのX位置(X座標)を指定する情報を含む。Y位置情報は、印字エリア(印字画像)の中心に表示される印字パターンのY位置(Y座標)を指定する情報を含む。印字パターンにおける指定されたX座標及びY座標が印字エリアARの中心となるように、印字画像が生成される。倍率情報は、例えば、印字エリアに表示される印字画像の倍率つまり印字画像のサイズを指定する情報を含む。
【0065】
ステップS103で送信されるIMGR0コマンドは、例えば、指示内容:「0」、X位置:130mm、Y位置:-40mm、倍率:100%、のような情報を含む。
【0066】
図5に戻る。レーザマーカ100は、制御装置200から印字画像生成指示を受信する。レーザマーカ100は、プロセッサ110が、印字画像生成指示に従って印字画像を生成し、印字画像に基づいて画像データを生成する。レーザマーカ100は、印字画像生成指示を受信したことを示す印字画像生成指示応答を制御装置200に送信する(S104)。印字画像生成指示応答は、例えば、IMGコマンドの1つであるIMGAコマンドを用いて通信される。
【0067】
図6Cは、IMGAコマンドの一例を示す図である。
【0068】
S104で送信されるIMGAコマンドは、データサイズに関する情報(データサイズ情報)を含む。データサイズ情報は、転送される画像データ(例えば画像ファイル)のデータサイズ(例えばファイルサイズ)を示す情報を含む。このデータサイズは、例えば、16進数で示され、Base64でエンコードされる前のデータサイズを示してもよい。
【0069】
図5に戻る。制御装置200は、レーザマーカ100から印字画像生成指示応答をレーザマーカ100から受信する。制御装置200は、印字画像を読み出す指示(印字画像読み出し指示)を制御装置200に送信する(S105)。印字画像読み出し指示は、IMGコマンドの1つであるIMGRコマンドの1つであるIMGR1コマンドを用いて通信される。
【0070】
図6Dは、IMGR1コマンドの一例を示す図である。
【0071】
S105で送信されるIMGR1コマンドは、読み出しを要求する読み出し要求コマンドであり、例えば、指示内容に関する情報(指示内容情報)と、ブロックサイズ上限に関する情報(ブロックサイズ上限情報)を含む。
【0072】
この指示内容情報は、例えばデータ長が1バイトであり、画像データにおける読み出すブロックを指定する情報を含む。例えば、指示内容情報が「1」である場合、画像データにおける次ブロックの読み出しの指定を示す。この場合、レーザマーカ100は、画像データにおける前回読みだしたデータ(ブロック)の続きから読み出す。また、例えば、指示内容情報が「2」である場合、画像データにおけるブロックの再読み出しの指定を示す。この場合、レーザマーカ100は、画像データにおける前回の読み出し開始位置から読み出しを行う。つまり、ブロックの再読み出しでは、画像データにおける読み出し対象のブロックが移動しない。また、例えば、指示内容情報が「3」である場合、画像データにおけるブロックの読み出しの強制終了の指定を示す。
【0073】
このブロックサイズ上限情報は、例えばデータ長が4バイトであり、指示内容情報が「1」又は「2」の場合に、読み出されるブロックのサイズの上限を指定する。ブロックサイズ上限は、例えば、4の倍数である値に設定される。なお、ブロックサイズ上限情報は、IMGR1コマンドに含まれなくてもよく、省略可能である。ブロックサイズ上限情報が省略された場合には、レーザマーカ100は、ブロックサイズ上限が所定の最大値であるものとして動作する。指示内容情報が「3」である場合には、ブロックサイズ上限に関する情報が省略される。
【0074】
図5に戻る。レーザマーカ100は、印字画像読み出し指示を制御装置200から受信する。制御装置200は、印字画像読み出し指示に従って読み出し、読み出したことを示す読み出し応答を制御装置200に送信する(S106)。この読み出し応答は、IMGコマンドの1つであるIMGAコマンドを用いて通信される。
【0075】
図6Eは、IMGAコマンドの一例を示す図である。
【0076】
S106で送信されるIMGAコマンドは、読み出し要求に対して応答する読み出し応答コマンドであり、例えば、ブロックサイズに関する情報(ブロックサイズ情報)と、転送データに関する情報(転送データ情報)と、を含む。ブロックサイズ情報は、例えば、データ長が4バイトであり、本ブロックにて転送したデータの容量を示す情報を含む。データの容量は、例えば16進数で示される。例えば、ブロックサイズは、「0000」~「1000」の間のいずれかの値である。例えば、ブロックサイズに関する情報が「FFFF」であることは、転送終了であることを示す。
【0077】
転送データ情報は、例えば、データ長が、最小である0バイト以上且つ最大である4096バイト以下において可変であり、転送データを示す情報を含む。転送データは、例えば、RFC(Request for Comments)4648に準拠するBase64によってエンコードされたデータである。なお、IMGAコマンドにおいて、ブロックサイズが「FFFF」である場合には、転送データは存在しない。
【0078】
図5では、必要に応じて画像データが複数のブロックに分割され、Base64でエンコードされて転送されることを例示している。レーザマーキングシステム5は、制御装置200が、IMGAコマンドのブロックサイズに関する情報が「FFFF」である読み出し応答をレーザマーカ100から受信するまで、繰り返し、ステップS105の印字画像読み出し指示とステップS106の読み出し応答を通信する。
【0079】
なお、レーザマーカ100は、画像データのサイズが4096バイト以下である場合、1つのブロックのブロックサイズ(4096バイト)内に画像データが収まるので、プロセッサ110は、画像データの分割を行わずに、制御装置200に送信する。一方、レーザマーカ100は、画像データのサイズが4096バイトより大きい場合、1つのブロックのブロックサイズ(4096バイト)内に画像データが収まらないで、プロセッサ110は、画像データを分割して複数の画像分割データを生成し、複数の画像分割データを制御装置200に送信する。
【0080】
そして、制御装置200は、通信デバイス230が、レーザマーカ100からの読み出し応答を受信し、プロセッサ210が、読み出し応答に含まれる転送データ(画像データ)を復号する。制御装置200は、プロセッサ210が、例えばBase64によって画像データを復号する。制御装置200は、画像データが分割されていない場合、この画像データに基づく画像を表示デバイス250に表示させる。制御装置200は、プロセッサ210が、画像データが分割されている場合、複数の画像分割データを結合して1つの画像データ(例えばPNG画像)を復元し、画像データに基づく画像を表示デバイス250に表示させる。
【0081】
次に、生成される印字画像の一例について説明する。
【0082】
図7Aは、IMGコマンドに対応する印字画像PIの第1例を示す図である。図7Aでは、IMGR0コマンドのX座標情報が「0」であり、つまり、印字エリアAR(印字画像PI)の中心に表示される印字パターンPTのX座標が「0」である。また、IMGR0コマンドのY座標情報が「0」であり、つまり、印字エリアAR(印字画像PI)の中心に表示される印字パターンPTのY座標が「0」である。また、IMGR0コマンドの倍率情報が「60%」であり、つまり、印字パターンPTが60%のサイズに縮小されて印字画像PIが生成される。レーザマーカ100は、プロセッサ110が、印字画像PIに基づいて画像データを生成する。レーザマーキングシステム5は、レーザマーカ100がこのIMGコマンドに対して制御装置200に画像データを含む応答を送信することで、図7Aのような印字画像PIを表示できる。
【0083】
図7Aでは、印字画像PIの表示倍率が60%にされることで、印字画像PIの全体が印字エリアARに収まることを例示している。
【0084】
図7Bは、IMGコマンドに対応する印字画像PIの第2例を示す図である。図7Bでは、IMGR0コマンドのX座標情報が「-30」であり、つまり、印字エリアAR(印字画像PI)の中心に表示される印字パターンPTのX座標が「-30」である。また、IMGR0コマンドのY座標情報が「0」である。また、IMGR0コマンドの倍率情報が「60%」である。レーザマーカ100は、プロセッサ110が、印字画像PIに基づいて画像データを生成する。レーザマーキングシステム5は、レーザマーカ100がこのIMGコマンドに対して制御装置200に画像データを含む応答を送信することで、図7Bのような印字画像PIを表示できる。
【0085】
図7Cは、IMGコマンドに対応する印字画像PIの第3例を示す図である。図7Cでは、IMGR0コマンドのX座標情報が「-30」である。また、IMGR0コマンドのY座標情報が「-15」であり、つまり、印字エリアAR(印字画像PI)の中心に表示される印字パターンPTのY座標が「-15」である。また、IMGR0コマンドの倍率情報が「100%」であり、つまり、印字パターンPTがサイズ変更無しで印字画像PIが生成される。レーザマーカ100は、プロセッサ110が、印字画像PIに基づいて画像データを生成する。レーザマーキングシステム5は、レーザマーカ100がこのIMGコマンドに対して制御装置200に画像データを含む応答を送信することで、図7Cのような印字画像PIを表示できる。
【0086】
図7Dは、IMGコマンドに対応する印字画像PIの第4例を示す図である。図7Dでは、IMGR0コマンドのX座標情報が「-30」である。また、IMGR0コマンドのY座標情報が「-15」である。また、IMGR0コマンドの倍率情報が「200%」であり、つまり、印字パターンPTが2倍のサイズに拡大されて印字画像PIが生成される。レーザマーカ100は、プロセッサ110が、印字画像PIに基づいて画像データを生成する。レーザマーキングシステム5は、レーザマーカ100がこのIMGコマンドに対して制御装置200に画像データを含む応答を送信することで、図7Dのような印字画像PIを表示できる。
【0087】
図7Eは、IMGコマンドに対応する印字画像PIの第5例を示す図である。図7Eでは、IMGR0コマンドのX座標情報が「-30」である。また、IMGR0コマンドのY座標情報が「-15」である。また、IMGR0コマンドの倍率情報が「300%」であり、つまり、印字パターンPTが3倍のサイズに拡大されて印字画像PIが生成される。レーザマーカ100は、プロセッサ110が、印字画像PIに基づいて画像データを生成する。レーザマーキングシステム5は、レーザマーカ100がこのIMGコマンドに対して制御装置200に画像データを含む応答を送信することで、図7Eのような印字画像PIを表示できる。
【0088】
次に、印字画像PIを表示する汎用の表示アプリケーションについて説明する。
【0089】
ここでは、汎用の表示アプリケーションは、ユーザツール(汎用ツール)であることを例示する。ユーザツールは、例えば、PCツール、又は所定の機器に組み込まれた汎用の組込設定ツールなどが考えられる。
【0090】
図8A及び図8Bは、ユーザツールの画面例を示す図である。
【0091】
図8Aに示すように、表示デバイス250は、印字画像PIを表示するためのアプリケーション画面G1を表示し、アプリケーション画面G1内に印字エリアARを表示し、印字エリアAR内に実際の印字内容(印字パターン)を含む印字画像PIを表示する。印字エリアARには、印字パターンPTとして、1つ以上の印字オブジェクトPOが表示され得る。なお、図8Aでは、印字画像PIが図7Aに示した印字画像であることを例示しているが、図7A図7Eに示した印字画像、又はその他の印字画像であってもよい。
【0092】
表示対象の印字オブジェクトPOは、印字することが設定されたオブジェクトである。印字パターンPTとしての印字オブジェクトPO自体は、予め制御装置200又はレーザマーカ100のコンソール150により設定され、レーザマーカ100のメモリ120に保持されている。レーザマーカ100は、通信デバイス130が、IMGコマンドを用いて、印字オブジェクトPOを含む印字画像PIに基づく画像データを含む読み取り応答を制御装置200に送信する。制御装置200は、通信デバイス230がこの読み取り応答を取得し、プロセッサ210が、取得された画像データに基づいて、印字画像PIを表示デバイス250に表示させる。
【0093】
印字オブジェクトPOとして、1つ以上の文字や記号や符号やコード(例えば一次元コード、二次元コード)、これらの組み合わせ、その他の印字データ、等が考えられる。図8Aでは、一例として、印字オブジェクトPOは、直線状に配置された様々なサイズ(例えば7種類のサイズ)の文字「ABCDE12345」で示された印字オブジェクトPO1を含む。また、印字オブジェクトPOは、円弧状に配置された様々なサイズ(例えば4種類のサイズ)の文字「VWXYZ」で示された印字オブジェクトPO1を含む。また、印字オブジェクトPOは、データマトリックスコードで示された印字オブジェクトPO3、QRコード(登録商標)で示された印字オブジェクトPO4、及びバーコードで示された印字オブジェクトPO5を含む。各印字オブジェクトPO1~PO5は、IMGコマンドで指定された所定の位置に配置されている。
【0094】
また、アプリケーション画面G1では、印字エリアARの周辺には、印字オブジェクトPOのサイズを計測可能なスケールSL(メモリ)が配置されている。レーザマーカ100は、スケールSLの情報を、IMGコマンドを用いて制御装置200に送信してもよいし、IMGコマンドとは別に制御装置200に送信してもよい。また、制御装置200が独自にスケールSLの情報をメモリ220に保持していてもよい。制御装置200は、スケールSLの情報を取得し、表示デバイス250を介して、スケールSLを印字エリアAR内又は印字エリアARの周辺に表示する。また、図8Bに示すように、表示デバイス250は、スケールSLに具体的な数値(例えば、…、「-10(mm)」、「0(mm)」、「+10(mm)」、…)も付して表示してもよい。
【0095】
次に、カメラ14による撮像画像の活用例について説明する。
【0096】
レーザマーキングシステム5では、レーザマーカ100は、プロセッサ110が、印字画像と、カメラ14により撮像された撮像画像と、を合成して合成画像を生成してもよい。プロセッサ110は、合成画像に基づいて画像データを生成し、通信デバイス130を介して画像データを制御装置200へ送信してもよい。制御装置200は、画像データを取得し、画像データに基づいて合成画像を表示してよい。
【0097】
合成画像を用いることで、ユーザは、印字画像による印字パターンだけでなく、印字される加工対象物(ワークW)も観察可能である。つまり、実空間での印字エリアが観察可能である。よって、表示デバイス250を確認したユーザは、よりリアルに印字パターンのマーキング時の様子を把握できる。また、合成画像を用いることで、ユーザは、加工対象物に対する印字パターンの位置合わせもし易くなる。また、制御装置200は、合成画像を表示することで、実空間の画像と仮想的な印字画像とを同時にユーザに確認させることができる。
【0098】
このように、制御装置200は、IMGコマンドを用いて、印字エリアARの中心に表示される印字画像の位置(X座標情報及びY座標情報)と倍率(倍率情報)とを指定して画像データを取得することで、画像の表示位置を変更可能である。また、レーザマーキングシステム5は、ユーザツール(汎用ツール)としての表示アプリケーションによって印字画像を表示でき、つまり汎用的な制御装置200によって印字画像を表示でき、印字画像を共有できる。
【0099】
このように、本実施形態のレーザマーキングシステム5は、レーザマーカ100の外部に接続される汎用の制御装置200に対して、設定された印字パターンを示す印字画像を提供できる。つまり、レーザマーキングシステム5は、専用機器や専用ソフトを使用しなくても、レーザマーカ100の外部で設定された印字パターンに対応するイメージ情報(印字画像)を表示できる。
【0100】
また、レーザマーキングシステム5は、制御装置が実行するユーザツール(上位制御アプリ)に親和性の高い印字画像を含む画像データを提供でき、柔軟なアプリケーションのためのUI(ユーザインタフェース)設計が可能である。このような柔軟なUI設計により、上位機器としての制御装置200の選択肢が増える。また、このような制御装置200として比較的安価な画面サイズを有する機器も選択可能であるので、制御装置200のコストが低減可能である。
【0101】
また、レーザマーカ100は、汎用の制御装置200からの画像要求の命令に応答可能である。レーザマーカ100は、設定された印字画像を含む画像データを生成し、画像要求の命令に応じて、画像データを応答に含めて送出する。これにより、制御装置200の表示デバイス250(UI)上で、レーザマーカ100により印字される印字画像を表示可能である。よって、レーザマーカ100は、制御装置200が専用機器ではなく設定専用ツール(コンソールやPC用専用ソフト)を有していなくても、制御装置200との間で印字画像を共有でき、印字画像を可視化できる。したがって、ユーザは、レーザマーカ100による印字前に、容易に印字内容を視覚的に確認できる。
【0102】
また、印字内容には、レーザマーカ100内で可変するパラメータ(例えば日付)を含むことがあり、このような印字内容も確認したいという要望がある。制御装置200側で独自に印字内容を生成する場合、レーザマーカ100内で可変するパラメータを可視化することは困難である。これに対し、本実施形態では、制御装置200は、画像要求及び画像要求に対する応答により、レーザマーカ100が生成した印字画像を取得できるので、レーザマーカ100内で可変するパラメータも可視化できる。
【0103】
また、レーザマーキングシステム5は、レーザマーカ100は、レーザマーカ100の設定画面そのものではなく、レーザマーカ100が生成した印字パターンに対応する印字画像の全体又は一部を、制御装置200に送信可能である。よって、制御装置200は、印字画像の一部を切り出した画像や印字画像の一部を拡大した画像などを取得し、表示可能である。
【0104】
また、例えば工場内では、レーザマーカ100の他に様々なFA(Factory Automation)機器が配置され、それぞれのFA機器が通信可能に接続されており、例えば制御装置200が様々なFA機器を制御することがある。この場合、レーザマーキングシステム5は、レーザマーカ100による印字画像の他にも、各種のFA機器に関する多数の情報を含めて汎用のアプリケーション画面に表示できる。このような場合に、上記の印字画像の一部の表示や拡大表示が有益である。これにより、レーザマーキングシステム5は、様々な機器を制御するための親和性の高い統一UIを生成することを支援できる。
【0105】
また、制御装置200は、IMCコマンドを用いて、印字画像のサイズ(幅、高さ)や印字画像の細かさ(解像度)を指定できる。また、制御装置200は、IMGコマンドを用いて、印字画像の表示範囲(X位置、Y位置)や表示サイズ(倍率)を指定できる。
【0106】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0107】
<本実施形態の概要>
以上により、本開示には、少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を例示しているが、これに限定されるものではない。
【0108】
(項目1)
レーザ光源(レーザ光源11)から出射されたレーザ光(レーザ光L)を光走査手段(ガルバノスキャナ13)にて走査して加工対象物(ワークW)にマーキング加工を行うレーザマーキング装置(レーザマーカ100)であって、
プロセッサ(プロセッサ110)と、通信デバイス(通信デバイス130)と、を備え、
前記プロセッサは、
少なくとも、前記加工対象物にマーキング加工する印字パターン(印字パターンPT)に関する情報と、マーキング加工可能な加工エリア(印字エリアAR)のレイアウトに関するレイアウト情報と、を含むマーキング情報を取得し、
前記通信デバイスを介して、汎用制御機器から命令として画像要求を受信し、
前記画像要求に応じて、前記マーキング情報に基づいて前記印字パターンの印字画像(印字画像PI)を生成し、前記印字画像に基づいてテキスト形式の画像データを生成し、
前記通信デバイスを介して、前記画像要求に対する応答として前記画像データを前記汎用制御機器に送信する、
レーザマーキング装置。
【0109】
これにより、レーザマーキング装置は、専用機器ではなく専用ツールを有していない汎用制御機器であっても、印字パターンの印字画像を汎用制御機器と共有し、汎用制御機器により印字画像を可視化できる。
【0110】
(項目2)
前記レイアウト情報は、前記レーザマーキング装置の内部又は外部に設置されるカメラ(カメラ14)によって撮像される撮影画像を含む、
項目1に記載のレーザマーキング装置。
【0111】
これにより、レーザマーキング装置は、加工対象物へのマーキング結果をより直感的に確認できる。
【0112】
(項目3)
前記命令は、前記印字画像の幅、高さ、及び解像度の少なくとも1つを指定する第1のコマンド(IMCコマンド)と、前記印字画像に対する前記印字パターンの位置及び前記印字画像の倍率の少なくとも1つを指定する第2のコマンド(IMGコマンド)と、を含み、
前記プロセッサは、前記第1のコマンド及び前記第2のコマンドに基づいて、前記印字画像を生成する、
項目1又は2に記載のレーザマーキング装置。
【0113】
これにより、レーザマーキング装置は、印字画像のサイズ(幅、高さ)や細かさ(解像度)の少なくとも1つを指定でき、印字画像の表示範囲(X位置、Y位置)や表示サイズ(倍率)を指定できる。
【0114】
(項目4)
前記画像データは、前記印字画像の前記幅、前記高さ、及び前記解像度の少なくとも1つの情報と、前記印字画像に対する前記印字パターンの前記位置及び前記印字画像の前記倍率の少なくとも1つの情報と、を含む、
項目1から3のいずれか1項に記載のレーザマーキング装置。
【0115】
これにより、レーザマーキング装置は、汎用制御機器へ、印字画像の実際の生成結果を通知できる。
【0116】
(項目5)
前記プロセッサは、
前記汎用制御機器が結合可能な形式で前記画像データを分割して複数の画像分割データを生成し、
前記通信デバイスを介して、前記応答として前記複数の画像分割データを複数回に分けて送信する、
項目1から4のいずれか1項に記載のレーザマーキング装置。
【0117】
これにより、レーザマーキング装置は、画像データのデータサイズが大きい場合でも、汎用制御機器へ画像データを送信できる。
【0118】
(項目6)
前記レイアウト情報は、前記加工エリアに対する前記印字画像の位置を計測するスケールに関する情報を含む、
項目1から5のいずれか1項に記載のレーザマーキング装置。
【0119】
これにより、レーザマーキング装置は、汎用制御機器にスケールの情報を提供でき、ユーザに対して、印字画像の位置、二次元平面の各方向への長さ、サイズ、等を認識させ易くすることができる。
【0120】
(項目7)
レーザ光源から出射されたレーザ光を光走査手段にて走査して加工対象物にマーキング加工を行うレーザマーキング装置の情報処理方法であって、
少なくとも、前記加工対象物にマーキング加工する印字パターンに関する情報と、マーキング加工可能な加工エリアのレイアウトに関するレイアウト情報と、を含むマーキング情報を取得するステップと、
汎用制御機器から命令として画像要求を受信するステップと、
前記画像要求に応じて、前記マーキング情報に基づいて前記印字パターンの印字画像を生成し、前記印字画像に基づいてテキスト形式の画像データを生成するステップと、
前記画像要求に対する応答として前記画像データを前記汎用制御機器に送信するステップと、
を有する情報処理方法。
【0121】
これにより、情報処理方法は、項目1と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本開示は、印字パターンの印字画像を汎用制御機器と共有して、汎用制御機器により印字画像を可視化できるレーザマーキング装置及び情報処理方法等に有用である。
【符号の説明】
【0123】
5 レーザマーキングシステム
11 レーザ光源
13 ガルバノスキャナ
14 カメラ
100 レーザマーカ
110 プロセッサ
120 メモリ
130 通信デバイス
200 制御装置
210 プロセッサ
220 メモリ
230 通信デバイス
240 操作デバイス
250 表示デバイス
L レーザ光
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B