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特開2025-105211歩行姿勢状態推定システム、歩行姿勢状態推定方法、歩行姿勢状態推定装置及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025105211
(43)【公開日】2025-07-10
(54)【発明の名称】歩行姿勢状態推定システム、歩行姿勢状態推定方法、歩行姿勢状態推定装置及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/107 20060101AFI20250703BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20250703BHJP
【FI】
A61B5/107 300
A61B5/11 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223616
(22)【出願日】2023-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】523128623
【氏名又は名称】Auror株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】山村 淳貴
(72)【発明者】
【氏名】中丸 啓
(72)【発明者】
【氏名】田島 康太郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 真吾
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VA12
4C038VB02
4C038VB11
4C038VB12
4C038VB14
(57)【要約】
【課題】歩行姿勢状態をより精度良く推定することが可能な歩行姿勢状態推定システム、歩行姿勢状態推定方法、歩行姿勢状態推定装置、制御プログラムを提供する。
【解決手段】歩行姿勢推定システムは、ユーザに装着可能で、ユーザが歩行した際に得られる第1データを取得する第1ウェアラブル装置と、ユーザに装着可能で、ユーザが歩行した際に得られる前記第1データとは異なる第2データを取得する第2ウェアラブル装置と、前記第1データ及び前記第2データを受信し、前記第1ウェアラブル装置及び前記第2ウェアラブル装置を装着したユーザの推定された歩行姿勢状態を出力可能な情報処理装置と、を有し、前記情報処理装置は、前記第1データ及び前記第2データに基づいて推定された前記歩行姿勢状態を出力可能な学習済みモデルを記憶する記憶部を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに装着可能で、ユーザが歩行した際に得られる第1データを取得する第1ウェアラブル装置と、
ユーザに装着可能で、ユーザが歩行した際に得られる前記第1データとは異なる第2データを取得する第2ウェアラブル装置と、
前記第1データ及び前記第2データを受信し、前記第1ウェアラブル装置及び前記第2ウェアラブル装置を装着したユーザの推定された歩行姿勢状態を出力可能な情報処理装置と、を有し、
前記情報処理装置は、前記第1データ及び前記第2データに基づいて推定された前記歩行姿勢状態を出力可能な学習済みモデルを記憶する記憶部を有する、
ことを特徴とする歩行姿勢状態推定システム。
【請求項2】
前記第1ウェアラブル装置は、
前記第2ウェアラブル装置から前記第2データを受信する受信部と、
ユーザの所定歩数分の前記第1データ及び前記第2データを前記情報処理装置へ送信する送信部と、を有する、請求項1に記載の歩行姿勢状態推定システム。
【請求項3】
前記歩行姿勢状態は、歩幅の状態、重心位置の状態、振出脚の状態、支持脚の状態、及び、股関節の状態の何れか1つ又は複数を含む、請求項1または2に記載の歩行姿勢状態推定システム。
【請求項4】
前記学習済みモデルは、前記第1データに基づいて推定された第1歩行姿勢状態を出力可能な第1学習済みモデル、及び、前記第2データに基づいて推定された第2歩行姿勢状態を出力可能な第2学習済みモデルを含む、請求項1または2に記載の歩行姿勢状態推定システム。
【請求項5】
前記学習済みモデルは、前記第1データ及び前記第2データに基づいて推定された前記歩行姿勢状態を出力可能な単一の学習済みモデルである、請求項1または2に記載の歩行姿勢状態推定システム。
【請求項6】
前記学習済みモデルは、前記第1データに基づく第1画像データに基づいて推定された第1歩行姿勢状態を出力可能な第1学習済みモデル、及び、前記第2データに基づく第2画像データに基づいて推定された第2歩行姿勢状態を出力可能な第2学習済みモデルを含む、請求項1または2に記載の歩行姿勢状態推定システム。
【請求項7】
前記学習済みモデルは、前記第1データ及び前記第2データに基づく画像データに基づいて推定された前記歩行姿勢状態を出力可能な単一の学習済みモデルである、請求項1または2に記載の歩行姿勢状態推定システム。
【請求項8】
前記情報処理装置は、前記第1データに基づくデータを前記学習済みモデルに含まれる第1学習済みモデルの第1階層に入力し、前記第2データに基づくデータを前記学習済みモデルに含まれる第2学習済みモデルの前記第1階層と異なる第2階層に入力することにより、前記歩行姿勢状態を取得する、請求項1または2に記載の歩行姿勢状態推定システム。
【請求項9】
前記歩行姿勢状態は、前記第1データに基づくデータを前記学習済みモデルに入力した際に前記学習済みモデルの第1階層から出力される情報と、前記第2データに基づくデータを前記学習済みモデルに入力した際に前記学習済みモデルの前記第1階層と異なる第2階層から出力される情報とを含む、請求項1または2に記載の歩行姿勢状態推定システム。
【請求項10】
ユーザに装着可能な第1ウェアラブル装置により、ユーザが歩行した際に得られる第1データを取得し、
ユーザに装着可能な第2ウェアラブル装置により、ユーザが歩行した際に得られる前記第1データと異なる第2データを取得し、
前記第1データ及び前記第2データに基づいて推定された前記第1ウェアラブル装置及び前記第2ウェアラブル装置を装着したユーザの歩行姿勢状態を出力可能な学習済みモデルを利用して、取得された前記第1データ及び前記第2データに基づいて、前記歩行姿勢状態を推定し、
前記歩行姿勢状態を出力する、
ことを特徴とする歩行姿勢状態推定方法。
【請求項11】
ユーザが歩行した際に得られる第1データを計測する第1センサ及びユーザが歩行した際に得られる前記第1データとは異なる第2データを計測する第2センサから前記第1データ及び前記第2データを取得する取得部と、
前記第1データ及び前記第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を出力可能な学習済みモデルを利用し、取得した前記第1データ及び前記第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を取得する推定部と、
を有することを特徴とする歩行姿勢状態推定装置。
【請求項12】
ユーザが歩行した際に得られる第1データを取得する第1センサ及びユーザが歩行した際に得られる前記第1データとは異なる第2データを取得する第2センサから前記第1データ及び前記第2データを取得し、
前記第1データ及び前記第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を出力可能な学習済みモデルを利用し、取得した前記第1データ及び前記第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を取得する、
ことを特徴とする歩行姿勢状態推定方法。
【請求項13】
歩行姿勢状態推定装置の制御プログラムであって、
ユーザが歩行した際に得られる第1データを取得する第1センサ及びユーザが歩行した際に得られる前記第1データとは異なる第2データを取得する第2センサから前記第1データ及び前記第2データを取得し、
前記第1データ及び前記第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を出力可能な学習済みモデルを利用し、取得した前記第1データ及び前記第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を取得する、
ことを前記歩行姿勢状態推定装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項14】
ユーザが歩行した際に得られる第1データを計測する第1センサと、
ユーザが歩行した際に得られる前記第1データとは異なる第2データを計測する第2センサから前記第2データを取得する取得部と、
前記第1データ及び前記第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を出力可能な学習済みモデルを記憶する記憶部と、
前記学習済みモデルを利用し、取得した前記第1データ及び前記第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を取得する推定部と、
を有することを特徴とする歩行姿勢状態推定装置。
【請求項15】
第1ユーザが歩行した際に得られる第1データを取得する第1センサを有する歩行姿勢状態推定装置による歩行姿勢状態推定方法であって、
ユーザが歩行した際に得られる前記第1データとは異なる第2データを取得する第2センサから前記第2データを取得し、
前記第1データ及び前記第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を出力可能な学習済みモデルを記憶し、
前記学習済みモデルを利用し、取得した前記第1データ及び前記第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を取得する、
ことを特徴とする歩行姿勢状態推定方法。
【請求項16】
第1ユーザが歩行した際に得られる第1データを取得する第1センサを有する歩行姿勢状態推定装置の制御プログラムであって、
ユーザが歩行した際に得られる前記第1データとは異なる第2データを取得する第2センサから前記第2データを取得し、
前記第1データ及び前記第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を出力可能な学習済みモデルを記憶し、
前記学習済みモデルを利用し、取得した前記第1データ及び前記第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を取得する、
ことを前記歩行姿勢状態推定装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、歩行姿勢状態推定システム、歩行姿勢状態推定方法、歩行姿勢状態推定装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの歩き方、姿勢のクセ等を分析し、改善方法を提案するシステムが開発されている。このようなシステムにおいて、適切な改善方法を提案するためには、ユーザの歩き方、姿勢のクセ等をより精度良く推定する必要がある。
【0003】
特許文献1には、ユーザの身体に着用されて、歩行または走行姿勢を導出する運動姿勢導出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-98027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
歩行姿勢状態をより精度良く推定することが可能なシステムを提供することが要求されている。
【0006】
歩行姿勢状態推定システム、歩行姿勢状態推定方法、歩行姿勢状態推定装置、制御プログラムの目的は、歩行姿勢状態をより精度良く推定することを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る歩行姿勢推定システムは、ユーザに装着可能で、ユーザが歩行した際に得られる第1データを取得する第1ウェアラブル装置と、ユーザに装着可能で、ユーザが歩行した際に得られる第1データとは異なる第2データを取得する第2ウェアラブル装置と、第1データ及び第2データを受信し、第1ウェアラブル装置及び第2ウェアラブル装置を装着したユーザの推定された歩行姿勢状態を出力可能な情報処理装置と、を有し、情報処理装置は、第1データ及び第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を出力可能な学習済みモデルを記憶する記憶部を有する。
【0008】
実施形態に係る歩行姿勢推定システムにおいて、第1ウェアラブル装置は、第2ウェアラブル装置から第2データを受信する受信部と、ユーザの所定歩数分の第1データ及び第2データを情報処理装置へ送信する送信部と、を有することが好ましい。
【0009】
実施形態に係る歩行姿勢推定システムにおいて、歩行姿勢状態は、歩幅の状態、重心位置の状態、振出脚の状態、支持脚の状態、及び、股関節の状態の何れか1つ又は複数を含むことが好ましい。
【0010】
実施形態に係る歩行姿勢推定システムにおいて、学習済みモデルは、第1データに基づいて推定された第1歩行姿勢状態を出力可能な第1学習済みモデル、及び、第2データに基づいて推定された第2歩行姿勢状態を出力可能な第2学習済みモデルを含むことが好ましい。
【0011】
実施形態に係る歩行姿勢推定システムにおいて、学習済みモデルは、第1データ及び第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を出力可能な単一の学習済みモデルであることが好ましい。
【0012】
実施形態に係る歩行姿勢推定システムにおいて、学習済みモデルは、第1データに基づく第1画像データに基づいて推定された第1歩行姿勢状態を出力可能な第1学習済みモデル、及び、第2データに基づく第2画像データに基づいて推定された第2歩行姿勢状態を出力可能な第2学習済みモデルを含むことが好ましい。
【0013】
実施形態に係る歩行姿勢推定システムにおいて、学習済みモデルは、第1データ及び第2データに基づく画像データに基づいて推定された歩行姿勢状態を出力可能な単一の学習済みモデルであることが好ましい。
【0014】
実施形態に係る歩行姿勢推定システムにおいて、情報処理装置は、第1データに基づくデータを学習済みモデルに含まれる第1学習済みモデルの第1階層に入力し、第2データに基づくデータを学習済みモデルに含まれる第2学習済みモデルの第1階層と異なる第2階層に入力することにより、歩行姿勢状態を取得することが好ましい。
【0015】
実施形態に係る歩行姿勢推定システムにおいて、歩行姿勢状態は、第1データに基づくデータを学習済みモデルに入力した際に学習済みモデルの第1階層から出力される情報と、第2データに基づくデータを学習済みモデルに入力した際に学習済みモデルの第1階層と異なる第2階層から出力される情報とを含むことが好ましい。
【0016】
実施形態に係る歩行姿勢推定方法は、ユーザに装着可能な第1ウェアラブル装置により、ユーザが歩行した際に得られる第1データを取得し、ユーザに装着可能な第2ウェアラブル装置により、ユーザが歩行した際に得られる第1データと異なる第2データを取得し、第1データ及び第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を出力可能な学習済みモデルを利用して、取得された第1データ及び第2データに基づいて、第1ウェアラブル装置及び第2ウェアラブル装置を装着したユーザの歩行姿勢状態を推定し、歩行姿勢状態を出力する。
【0017】
実施形態に係る歩行姿勢推定装置は、ユーザが歩行した際に得られる第1データを計測する第1センサ及びユーザが歩行した際に得られる第1データとは異なる第2データを計測する第2センサから第1データ及び第2データを取得する取得部と、第1データ及び第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を出力可能な学習済みモデルを利用し、取得した第1データ及び第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を取得する推定部と、を有する。
【0018】
実施形態に係る歩行姿勢推定方法は、ユーザが歩行した際に得られる第1データを取得する第1センサ及びユーザが歩行した際に得られる第1データとは異なる第2データを取得する第2センサから第1データ及び第2データを取得し、第1データ及び第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を出力可能な学習済みモデルを利用し、取得した第1データ及び第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を取得する。
【0019】
実施形態に係る制御プログラムは、歩行姿勢状態推定装置の制御プログラムであって、ユーザが歩行した際に得られる第1データを取得する第1センサ及びユーザが歩行した際に得られる第1データとは異なる第2データを取得する第2センサから第1データ及び第2データを取得し、第1データ及び第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を出力可能な学習済みモデルを利用し、取得した第1データ及び第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を取得することを歩行姿勢状態推定装置に実行させる。
【0020】
実施形態に係る歩行姿勢推定装置は、ユーザが歩行した際に得られる第1データを計測する第1センサと、ユーザが歩行した際に得られる第1データとは異なる第2データを計測する第2センサから第2データを取得する取得部と、第1データ及び第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を出力可能な学習済みモデルを記憶する記憶部と、学習済みモデルを利用し、取得した第1データ及び第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を取得する推定部と、を有する。
【0021】
実施形態に係る歩行姿勢推定方法は、第1ユーザが歩行した際に得られる第1データを取得する第1センサを有する歩行姿勢状態推定装置による歩行姿勢状態推定方法であって、ユーザが歩行した際に得られる第1データとは異なる第2データを取得する第2センサから第2データを取得し、第1データ及び第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を出力可能な学習済みモデルを記憶し、学習済みモデルを利用し、取得した第1データ及び第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を取得する。
【0022】
実施形態に係る制御プログラムは、第1ユーザが歩行した際に得られる第1データを取得する第1センサを有する歩行姿勢状態推定装置の制御プログラムであって、ユーザが歩行した際に得られる第1データとは異なる第2データを取得する第2センサから第2データを取得し、第1データ及び第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を出力可能な学習済みモデルを記憶し、学習済みモデルを利用し、取得した第1データ及び第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を取得することを歩行姿勢状態推定装置に実行させることを歩行姿勢状態推定装置に実行させる。
【発明の効果】
【0023】
歩行姿勢状態推定システム、歩行姿勢状態推定方法、歩行姿勢状態推定装置、制御プログラムは、歩行姿勢状態をより精度良く推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係る歩行姿勢状態推定システム1の概略構成を示す図である。
図2】第1ウェアラブル装置100の概略構成を示す図である。
図3】第2ウェアラブル装置200の概略構成を示す図である。
図4】情報処理装置300の概略構成を示す図である。
図5】データテーブル312のデータ構造の一例を示す模式図である。
図6】推定処理の動作の例を示すシーケンスである。
図7】他の推定処理の動作の例を示すシーケンスである。
図8】さらに他の推定処理の動作の例を示すシーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施形態の一側面に係る歩行姿勢状態推定システム、歩行姿勢状態推定方法、歩行姿勢状態推定装置、制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0026】
図1は、実施形態に係る歩行姿勢状態推定システム1の概略構成を示す図である。
【0027】
図1に示すように、歩行姿勢状態推定システム1は、第1ウェアラブル装置100、一又は複数の第2ウェアラブル装置200、情報処理装置300及びサーバ装置400等を有する。第1ウェアラブル装置100及び各第2ウェアラブル装置200は、ユーザに装着されて使用される。情報処理装置300は、ユーザの健康を管理する管理者等により使用される。サーバ装置400は、例えばクラウドネットワーク上に配置されたサーバ等である。
【0028】
第1ウェアラブル装置100と、各第2ウェアラブル装置200とは、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)等の無線ネットワークを介して相互に通信可能に接続される。また、第1ウェアラブル装置100と、情報処理装置300と、サーバ装置400とは、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続される。ネットワークNは、インターネット又はイントラネット等の有線ネットワークである。ネットワークNは、無線LAN(Local Area Network)等の無線ネットワークでもよい。また、各第2ウェアラブル装置200と、情報処理装置300と、サーバ装置400とは、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続されてもよい。
【0029】
図2は、第1ウェアラブル装置100の概略構成を示す図である。
【0030】
第1ウェアラブル装置100は、歩行状態推定装置の一例である。第1ウェアラブル装置100は、多機能携帯電話(いわゆるスマートフォン)、タブレットPC等の、ユーザに装着可能な端末装置である。第1ウェアラブル装置100は、第1入力装置101、第1表示装置102、第1通信装置103、第1インタフェース装置104、第1センサ105、第1記憶装置110及び第1処理装置120等を有する。第1入力装置101、第1表示装置102、第1通信装置103、第1インタフェース装置104、第1センサ105、第1記憶装置110及び第1処理装置120は、CPU(Central Processing Unit)バス等を介して相互に接続される。
【0031】
第1入力装置101は、タッチパネル式等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。
【0032】
第1表示装置102は、出力部の一例である。第1表示装置102は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0033】
第1通信装置103は、出力部の一例である。第1通信装置103は、無線信号を送受信するアンテナと、無線LAN等の通信プロトコルに従った無線通信インタフェース回路を有する。第1通信装置103は、無線LAN等の通信規格に従って、ネットワークNと通信接続する。第1通信装置103は、ネットワークNを介して情報処理装置300又はサーバ装置400等から受信したデータを第1処理装置120に送る。また、第1通信装置103は、第1処理装置120から受け取ったデータを、ネットワークNを介して情報処理装置300又はサーバ装置400等に送信する。
【0034】
第1インタフェース装置104は、無線信号を送受信するアンテナと、Bluetooth(登録商標)等の通信プロトコルに従った無線通信インタフェース回路を有する。第1インタフェース装置104は、Bluetooth(登録商標)等の通信規格に従って、各第2ウェアラブル装置200と通信接続する。第1インタフェース装置104は、各第2ウェアラブル装置200から受信したデータを第1処理装置120に送る。また、第1インタフェース装置104は、第1処理装置120から受け取ったデータを、各第2ウェアラブル装置200に送信する。
【0035】
第1センサ105は、第1ウェアラブル装置100にかかる3軸方向の加速度を計測する加速度センサ、及び、第1ウェアラブル装置100にかかる3軸方向の角速度を計測するジャイロセンサ等を含む。加速度センサ及びジャイロセンサは、計測した加速度及び角速度を示す計測信号を第1処理装置120に出力する。
【0036】
なお、第1センサ105は、第1ウェアラブル装置100にかかる地磁気、即ち第1ウェアラブル装置100を装着する利用者の移動を検知する地磁気センサ等を含んでもよい。また、第1センサ105は、第1ウェアラブル装置100の周囲の気圧、即ち第1ウェアラブル装置100を装着する利用者の鉛直方向における移動を検知する気圧センサを含んでもよい。また、第1センサ105は、第1ウェアラブル装置100の位置、即ち第1ウェアラブル装置100を装着する利用者の移動を検知するGPS(Global Positioning System)センサを含んでもよい。その場合、第1センサ105は、検知した地磁気、気圧又は位置を示す計測信号を第1処理装置120に出力する。
【0037】
第1記憶装置110は、記憶部の一例である。第1記憶装置110は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第1記憶装置110には、第1ウェアラブル装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から公知のセットアッププログラム等を用いて第1記憶装置110にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。コンピュータプログラムは、所定のサーバが有する記録媒体に記憶され、ネットワークNを介してインストールされてもよい。
【0038】
第1処理装置120は、予め第1記憶装置110に記憶されているプログラムに基づいて動作する。第1処理装置120は、例えばCPUである。第1処理装置120として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。第1処理装置120は、第1入力装置101、第1表示装置102、第1通信装置103、第1インタフェース装置104、第1センサ105及び第1記憶装置110等と接続され、各装置を制御する。第1処理装置120は、ユーザが歩行した際に第1センサ105により計測されたデータを取得する。また、第1処理装置120は、第1インタフェース装置104を介して第2ウェアラブル装置200から、第2ウェアラブル装置200を保持するユーザが歩行した際に第2ウェアラブル装置200により計測されたデータを取得する。第1処理装置120は、取得した各データを、第1通信装置103を介して情報処理装置300に送信する。
【0039】
第1処理装置120は、第1記憶装置110に記憶されたコンピュータプログラムを読み取り、読み取ったコンピュータプログラムに従って動作する。これにより、第1処理装置120は、第1取得部121及び第1送信部122として機能する。第1取得部121は、受信部の一例であり、第1送信部122は、送信部の一例である。
【0040】
図3は、第2ウェアラブル装置200の概略構成を示す図である。
【0041】
第2ウェアラブル装置200は、ユーザに装着可能な端末装置である。例えば、第2ウェアラブル装置200は、ユーザの腕に装着される腕時計型ウェアラブルコンピュータである。また、第2ウェアラブル装置200は、ユーザの耳に装着されるイヤホン型ウェアラブルコンピュータである。また、第2ウェアラブル装置200は、ユーザの靴内部に装着されるインソール(中敷き)型ウェアラブルコンピュータである。第2ウェアラブル装置200は、第2入力装置201、第2表示装置202、第2通信装置203、第2インタフェース装置204、第2センサ205、第2記憶装置210及び第2処理装置220等を有する。第2入力装置201、第2表示装置202、第2通信装置203、第2インタフェース装置204、第2センサ205、第2記憶装置210及び第2処理装置220は、CPUバス等を介して相互に接続される。
【0042】
第2入力装置201は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。第2入力装置201は、省略されてもよい。
【0043】
第2表示装置202は、液晶、有機EL等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。第2表示装置202は、LED(Light Emitting Diode)等を有し、点灯又は消灯によりユーザに対する通知を行ってもよい。第2表示装置202は、省略されてもよい。
【0044】
第2通信装置203は、無線信号を送受信するアンテナと、無線LAN等の通信プロトコルに従った無線通信インタフェース回路を有する。第2通信装置203は、無線LAN等の通信規格に従って、ネットワークNと通信接続する。第2通信装置203は、ネットワークNを介して情報処理装置300又はサーバ装置400等から受信したデータを第2処理装置220に送る。また、第2通信装置203は、第2処理装置220から受け取ったデータを、ネットワークNを介して情報処理装置300又はサーバ装置400等に送信する。
【0045】
第2インタフェース装置204は、無線信号を送受信するアンテナと、Bluetooth(登録商標)等の通信プロトコルに従った無線通信インタフェース回路を有する。第2インタフェース装置204は、Bluetooth(登録商標)等の通信規格に従って、第1ウェアラブル装置100と通信接続する。第2インタフェース装置204は、第1ウェアラブル装置100から受信したデータを第2処理装置220に送る。また、第2インタフェース装置204は、第2処理装置220から受け取ったデータを、第1ウェアラブル装置100に送信する。
【0046】
第2センサ205は、第2ウェアラブル装置200にかかる3軸方向の加速度を計測する加速度センサ、及び、第2ウェアラブル装置200にかかる3軸方向の角速度を計測するジャイロセンサ等を含む。加速度センサ及びジャイロセンサは、計測した加速度及び角速度を示す計測信号を第2処理装置220に出力する。第2センサ205は、インソール型圧力センサを含んでもよい。その場合、第2センサ205は、1次元又は2次元に配置された抵抗変化型又は静電容量変化型の圧力センサを含み、各圧力センサにより測定された圧力の大きさを示す足裏データを生成して、第2処理装置220に出力する。足裏データは、例えば各圧力センサにより測定された圧力の大きさを各画素の階調値とする足裏画像である。足裏データは、例えば各圧力センサにより測定された圧力を要素とする足裏ベクトルでもよい。
【0047】
第2記憶装置210は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第2記憶装置210には、第2ウェアラブル装置200の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から公知のセットアッププログラム等を用いて第2記憶装置210にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM、DVD-ROM等である。コンピュータプログラムは、所定のサーバが有する記録媒体に記憶され、ネットワークNを介してインストールされてもよい。
【0048】
第2処理装置220は、予め第2記憶装置210に記憶されているプログラムに基づいて動作する。第2処理装置220は、例えばCPUである。第2処理装置220として、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。第2処理装置220は、第2入力装置201、第2表示装置202、第2通信装置203、第2インタフェース装置204、第2センサ205及び第2記憶装置210等と接続され、各装置を制御する。第2処理装置220は、ユーザが歩行した際に第2センサ205により計測されたデータを取得し、第2インタフェース装置204を介して第1ウェアラブル装置100に送信する。
【0049】
第2処理装置220は、第2記憶装置210に記憶されたコンピュータプログラムを読み取り、読み取ったコンピュータプログラムに従って動作する。これにより、第2処理装置220は、第2取得部221及び第2送信部222として機能する。
【0050】
図4は、情報処理装置300の概略構成を示す図である。
【0051】
情報処理装置300は、歩行姿勢状態推定装置の一例である。情報処理装置300は、第3通信装置301、第3記憶装置310及び第3処理装置320等を有する。第3通信装置301、第3記憶装置310及び第3処理装置320は、CPUバス等を介して相互に接続される。
【0052】
第3通信装置301は、出力部の一例である。第3通信装置301は、TCP/IP等の通信プロトコルに従った有線通信インタフェース回路を有する。第3通信装置301は、イーサネット(登録商標)等の通信規格に従って、ネットワークNと通信接続する。第3通信装置301は、ネットワークNを介して第1ウェアラブル装置100、第2ウェアラブル装置200又はサーバ装置400等から受信したデータを第3処理装置320に送る。第3通信装置301は、第3処理装置320から受け取ったデータを、ネットワークNを介して第1ウェアラブル装置100、第2ウェアラブル装置200又はサーバ装置400等に送信する。なお、第3通信装置301は、無線信号を送受信するアンテナと、無線LAN等の通信プロトコルに従った無線通信インタフェース回路とを有し、無線LAN等の通信規格に従って、ネットワークNと通信接続してもよい。
【0053】
第3記憶装置310は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第3記憶装置310には、情報処理装置300の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、例えばCD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第3記憶装置310にインストールされてもよい。コンピュータプログラムは、所定のサーバが有する記録媒体に記憶され、ネットワークNを介してインストールされてもよい。
【0054】
第3記憶装置310には、データとして、学習済みモデル311、データテーブル312等が記憶される。学習済みモデル311は、第1ウェアラブル装置100及び第2ウェアラブル装置200を装着したユーザの歩行姿勢状態を推定するためのモデルである。データテーブル312には、第1ウェアラブル装置100の第1センサ105又は第2ウェアラブル装置200の第2センサ205により測定された各情報が記憶される。データテーブル312の詳細については後述する。
【0055】
第3処理装置320は、予め第3記憶装置310に記憶されているプログラムに基づいて動作する。第3処理装置320は、例えばCPUである。第3処理装置320として、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。第3処理装置320は、第3通信装置301及び第3記憶装置310等と接続され、各装置を制御する。
【0056】
第3処理装置320は、第3記憶装置310に記憶されたコンピュータプログラムを読み取り、読み取ったコンピュータプログラムに従って動作する。これにより、第3処理装置320は、第3取得部321、推定部322及び出力制御部323として機能する。
【0057】
図5は、データテーブル312のデータ構造の一例を示す模式図である。
【0058】
データテーブル312には、第1ウェアラブル装置100又は第2ウェアラブル装置200から取得した角速度及び加速度、地磁気、気圧(不図示)、位置(不図示)又は足裏データが、各装置の識別情報(装置ID)及び各データが取得された取得時刻と関連付けて記憶される。
【0059】
図6は、歩行姿勢状態推定システム1における推定処理の動作の例を示すシーケンスである。
【0060】
以下、図6に示したフローチャートを参照しつつ、推定処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め歩行姿勢状態推定システム1が有する各装置の各記憶装置に記憶されているプログラムに基づき主に各装置の各処理装置により各装置の各要素と協働して実行される。
【0061】
最初に、各第2ウェアラブル装置200の第2取得部221は、第2センサ205から計測信号を取得する。第2取得部221は、計測信号に示される第2ウェアラブル装置200にかかる3軸方向の加速度及び角速度又はユーザの足裏の各位置にかかる圧力の大きさを示す足裏データを、ユーザが歩行した際に得られる第2データとして取得する(ステップS101)。第2取得部221は、定期的に第2データを取得する。
【0062】
次に、第2送信部222は、第2取得部221が取得した第2データを、第2ウェアラブル装置200の装置ID及び第2データを取得した取得時刻とともに、第2インタフェース装置204を介して第1ウェアラブル装置100に送信する(ステップS102)。第2送信部222は、第2取得部221が第2データを取得するたびに、第2データを第1ウェアラブル装置100に送信する。第2送信部222は、第2取得部221が取得した複数の第2データをまとめて任意のタイミングに第1ウェアラブル装置100に送信してもよい。
【0063】
次に、第1ウェアラブル装置100の第1取得部121は、第1インタフェース装置104を介して第2ウェアラブル装置200から第2データ、装置ID及び取得時刻を受信することにより取得する(ステップS103)。
【0064】
次に、第1取得部121は、第1センサ105から計測信号を取得する。第1取得部121は、計測信号に示される第1ウェアラブル装置100にかかる3軸方向の加速度及び角速度、地磁気、気圧又は位置を、ユーザが歩行した際に得られる第1データとして取得する(ステップS104)。第1データは、第2データとは異なるデータである。第1取得部121は、定期的に第1データを取得する。
【0065】
次に、第1送信部122は、第1取得部121が取得した第1データ及び第2データを、各データに対応する装置ID及び取得時刻とともに、第1通信装置103を介して情報処理装置300に送信する(ステップS105)。第1送信部122は、連続して計測された複数の第1データ及び第2データを解析して、時系列に並んだ第1データ及び第2データにおける極大値及び極小値を検出する。第1送信部122は、検出した極大値及び極小値に基づいて、第1ウェアラブル装置100及び第2ウェアラブル装置200の振動周期を検出する。第1送信部122は、検出した振動周期に基づいて、第1ウェアラブル装置100及び第2ウェアラブル装置200を装着したユーザの脚の振り出し間隔を特定する。そして、第1送信部122は、ユーザの所定歩数(例えば10歩)分ずつの第1データ及び第2データを情報処理装置300に送信する。
【0066】
これにより、後述するように、学習済みモデル311に入力すべき入力データが所定歩数分のデータである場合、情報処理装置300は、取得した第1データ及び第2データから所定歩数分のデータを抽出する必要がない。歩行姿勢状態推定システム1は、情報処理装置300における処理負荷を軽減させることが可能となり、全体として処理負荷を軽減させることが可能となる。
【0067】
なお、第1送信部122は、第1取得部121が第1データ又は第2データを取得するたびに、第1データ又は第2データを情報処理装置300に送信してもよい。また、第1送信部122は、第1取得部121が取得した複数の第1データ及び第2データをまとめて任意のタイミングに情報処理装置300に送信してもよい。
【0068】
次に、情報処理装置300の第3取得部321は、第3通信装置301を介して第1ウェアラブル装置100から第1データ、第2データ、装置ID及び取得時刻を受信することにより取得する(ステップS106)。第3取得部321は、取得した第1データ及び第2データを対応する装置ID及び取得時刻と関連付けてデータテーブル312に記憶する。
【0069】
次に、推定部322は、第3取得部321が取得した第1データ及び第2データに基づいて、第1ウェアラブル装置100及び第2ウェアラブル装置200を装着したユーザの歩行姿勢状態を推定する(ステップS107)。推定部322は、学習済みモデル311を用いて、ユーザの歩行姿勢状態を推定する。
【0070】
学習済みモデル311は、一又は複数の学習済みモデルを含む。学習済みモデル311は、情報処理装置300又はサーバ装置400等により事前に生成される。学習済みモデル311は、ディープラーニング、サポートベクターマシン等の教師あり学習により事前学習される。学習済みモデル311は、ランダムフォレスト等により事前学習されてもよい。学習済みモデル311は、入力データが入力された場合に、その入力データを生成したウェアラブル装置を装着したユーザの歩行姿勢状態を出力するように学習される。
【0071】
入力データは、第1ウェアラブル装置100により取得された第1データ、及び/又は、第2ウェアラブル装置200により取得された第2データである。入力データは、第1データ及び/又は第2データに基づいて生成されたデータでもよい。例えば、入力データは、連続する所定歩数分又は所定期間(例えば5秒間)分の第1データ及び/又は第2データのセット(各データを要素として一次元又は二次元に並べたベクトル)である。入力データは、連続する所定歩数分又は所定期間分の第1データ及び/又は第2データの平均値、中央値、最大値又は最小値等の統計値でもよい。また、入力データは、第1データ及び/又は第2データに含まれる角速度、加速度又は地磁気から算出されたクォータニオンでもよい。
【0072】
また、入力データは、第1データ及び/又は第2データに含まれる3軸方向の角速度もしくは加速度又は足裏データに対して主成分分析によって算出された所定成分(第一主成分及び/又は第二主成分等)でもよい。その場合、第一主成分の寄与率が所定比率(例えば80%)より大きい場合、第一主成分が入力データとして使用され、第一主成分の寄与率が所定比率以下である場合、第二主成分が入力データとして使用されてもよい。また、主成分分析は、公知のノイズ処理技術を利用して、ノイズが除去されてから実行されてもよい。これらの場合、学習済みモデル311として、ランダムフォレスト等により事前学習されたモデルが使用される。これらの場合、学習済みモデル311として、ニューラルネットワーク等により事前学習されたモデルが使用されてもよい。これにより、歩行姿勢状態推定システム1は、学習済みモデル311の精度をより向上させることができる。
【0073】
また、入力データは、第1データ及び/又は第2データに含まれる3軸方向の各角速度及び/又は加速度に対して短時間フーリエ変換又はウェーブレット変換によって変換されたスペクトルの画像でもよい。第1データに含まれる3軸方向の各角速度及び/又は加速度に対して短時間フーリエ変換又はウェーブレット変換によって変換されたスペクトルの画像は、第1画像データ及び画像データの一例である。第2データに含まれる3軸方向の各角速度及び/又は加速度に対して短時間フーリエ変換又はウェーブレット変換によって変換されたスペクトルの画像は、第2画像データ及び画像データの一例である。これらの場合、学習済みモデル311として、ランダムフォレスト等により事前学習されたモデルが使用される。これらの場合、学習済みモデル311として、ニューラルネットワーク等により事前学習されたモデルが使用されてもよい。これにより、歩行姿勢状態推定システム1は、学習済みモデル311の精度をより向上させることができる。
【0074】
また、入力データは、足裏画像の各画素の階調値(圧力)もしくは足裏ベクトルの各要素と、角速度、加速度、地磁気、気圧及び/又は位置とを要素とする特徴ベクトルでもよい。
【0075】
学習済みモデル311から出力される歩行姿勢状態は、五つの要素を含む。第1要素は、歩幅の状態、特にユーザの歩幅が十分であるか不十分であるかを示す。第2要素は、重心位置の状態、特にユーザの重心が正常であるか前傾であるか後傾であるかを示す。第3要素は、振出脚の状態、特にユーザが出す足を蹴っていないか引きずっているか蹴っているかを示す。第4要素は、支持脚の状態、特にユーザの軸足が突っ張っているか突っ張っていないかを示す。第5要素は、股関節の状態、特にユーザの股関節が開いているか開いていないかを示す。第1要素は、歩行姿勢の前提に関する要素である。第2要素及び第3要素は、前後方向の軸に関する要素である。第4要素及び第5要素は、回転(左右方向の)軸に関する要素である。歩行姿勢状態は、第1要素から第5要素までの全ての要素を含んでいなくてもよく、少なくとも一つの要素を含んでいればよい。
【0076】
学習済みモデル311から出力される歩行姿勢状態は、第1要素から第5要素までの各要素を直接示す情報に限定されず、第1要素から第5要素までの各要素に関する所定の特徴量でもよい。
【0077】
学習済みモデル311は、例えば、第1ウェアラブル装置100及び各第2ウェアラブル装置200のそれぞれに対応する学習済みモデルを含む。即ち、学習済みモデル311は、第1ウェアラブル装置100から取得した第1データに基づいて推定された第1歩行姿勢状態を出力可能な第1学習済みモデルと、それぞれ各第2ウェアラブル装置200から取得した第2データに基づいて推定された第2歩行姿勢状態を出力可能な第2学習済みモデルとを含む。
【0078】
または、学習済みモデル311は、第1ウェアラブル装置100から取得した第1データに基づく第1画像データに基づいて推定された第1歩行姿勢状態を出力可能な第1学習済みモデルと、それぞれ各第2ウェアラブル装置200から取得した第2データに基づく第2画像データに基づいて推定された第2歩行姿勢状態を出力可能な第2学習済みモデルとを含む。
【0079】
これらにより、歩行姿勢状態推定システム1は、ウェアラブル装置が装着される体の部位毎に歩行姿勢状態を推定し、部位毎に推定した歩行姿勢状態に基づいて、ユーザの歩行姿勢状態を総合的に推定することができる。
【0080】
なお、これらの場合、推定部322は、第1データに基づく入力データを第1学習済みモデルの第1階層に入力することにより歩行姿勢状態を取得し、第2データに基づく入力データを第2学習済みモデルの第2階層に入力することにより歩行姿勢状態を取得してもよい。この第1階層は、入力層又は中間層のうちの特定の層である。この第2階層は、第1階層と異なる層であり、入力層又は中間層のうちの特定の層である。これにより、歩行姿勢状態推定システム1は、各学習済みモデルにおける処理階層数(処理ステップ数)を柔軟に変更でき、処理時間及び処理負荷の増大を抑制することができる。
【0081】
また、推定部322は、第1データに基づく入力データを第1学習済みモデルに入力した際に第1学習済みモデルの第1階層から出力される情報を歩行姿勢状態として取得し、第2データに基づく入力データを第2学習済みモデルに入力した際に第2学習済みモデルの第2階層から出力される情報を歩行姿勢状態として取得してもよい。この第1階層は、中間層又は出力層のうちの特定の層である。この第2階層は、第1階層と異なる層であり、中間層又は出力層のうちの特定の層である。これにより、歩行姿勢状態推定システム1は、各学習済みモデルにおける処理階層数(処理ステップ数)を柔軟に変更でき、処理時間及び処理負荷の増大を抑制することができる。
【0082】
なお、学習済みモデル311は、第1ウェアラブル装置100及び第2ウェアラブル装置200のうちの複数の装置に対応するように生成されてもよい。特に、学習済みモデル311は、第1ウェアラブル装置100及び第2ウェアラブル装置200の全てに対応するように生成されてもよい。即ち、学習済みモデル311は、第1ウェアラブル装置100から取得した第1データ及び各第2ウェアラブル装置200から取得した第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を出力可能な単一の学習済みモデルを含む。
【0083】
または、学習済みモデル311は、第1ウェアラブル装置100及び各第2ウェアラブル装置200から取得した第1データ及び各第2データに基づく画像データに基づいて推定された歩行姿勢状態を出力可能な単一の学習済みモデルを含む。
【0084】
これらの場合、学習済みモデル311は、相互に対応する時刻(略一致する時刻)に複数のウェアラブル装置から取得された第1データ及び第2データを要素とするベクトルが入力された場合に、歩行姿勢状態を出力するように学習される。
【0085】
これにより、歩行姿勢状態推定システム1は、複数のウェアラブル装置から取得したデータに基づいて、複合的に歩行姿勢状態を推定することができる。
【0086】
また、学習済みモデル311は、第1要素から第5要素までの各要素に対応する学習済みモデルを含む。即ち、学習済みモデル311は、第1要素から第5要素までの各要素に関する情報を出力可能な複数の学習済みモデルを含む。学習済みモデル311は、第1要素から第5要素までの各要素に関する情報をまとめて出力可能な単一の学習済みモデルを含んでもよい。
【0087】
また、学習済みモデル311は、直列に配列される上流側学習済みモデル及び下流側学習済みモデルを含んでもよい。その場合、上流側学習済みモデルは、入力データが入力された場合に所定の特徴量を出力するように学習され、下流側学習済みモデルは、上流側学習済みモデルの中間層又は出力層から出力された特徴量が入力された場合に、歩行姿勢状態を出力するように学習される。所定の特徴量は、入力データに関する特徴量、又は、歩行姿勢状態に関する特徴量である。
【0088】
また、学習済みモデル311は、上記した各学習済みモデルの任意の組み合わせを含んでもよい。例えば、学習済みモデル311は、第1上流側学習済みモデル、第2上流側学習済みモデル、第3上流側学習済みモデル及び下流側学習済みモデルを含む。第1上流側学習済みモデルは、足裏データの第一主成分が入力された場合に所定の特徴量を出力するように学習される。第2上流側学習済みモデルは、足裏データの第二主成分が入力された場合に所定の特徴量を出力するように学習される。第3上流側学習済みモデルは、角速度又は加速度の第一主成分が入力された場合に所定の特徴量を出力するように学習される。または、第3上流側学習済みモデルは、角速度及び/又は加速度に対して短時間フーリエ変換又はウェーブレット変換によって変換されたスペクトルの画像が入力された場合に所定の特徴量を出力するように学習される。下流側学習済みモデルは、第1上流側学習済みモデル、第2上流側学習済みモデル及び第3上流側学習済みモデルの出力層又は中間層から出力されたデータを要素とする特徴ベクトルが入力された場合に、歩行姿勢状態を出力するように学習される。これにより、歩行姿勢状態推定システム1は、学習済みモデル311の精度をより向上させることができる。
【0089】
または、学習済みモデル311は、第1上流側学習済みモデル、第2上流側学習済みモデル及び下流側学習済みモデルを含む。第1上流側学習済みモデルは、足裏データが入力された場合に所定の特徴量を出力するように学習される。第2上流側学習済みモデルは、角速度又は加速度が入力された場合に所定の特徴量を出力するように学習される。下流側学習済みモデルは、第1上流側学習済みモデル及び第2上流側学習済みモデルの出力層又は中間層から出力されたデータを要素とする特徴ベクトルが入力された場合に、歩行姿勢状態を出力するように学習される。これにより、歩行姿勢状態推定システム1は、学習済みモデル311の精度をより向上させることができる。
【0090】
このように、学習済みモデル311は、第1ウェアラブル装置100及び第2ウェアラブル装置200を装着したユーザの推定された歩行姿勢状態を出力可能に設けられる。
【0091】
学習済みモデル311の学習用データは、事前に生成された入力データと、その入力データを生成したウェアラブル装置を装着したユーザの歩行姿勢状態との組合せを含む。各学習用データは、各ウェアラブル装置により第1データ又は第2データが生成された時に、第1データ又は第2データを生成したウェアラブル装置を装着したユーザを撮像した動画像を見た専門家により作成される。
【0092】
各学習用データは、例えば連続する所定歩数分又は所定期間分の第1データ又は第2データのセットと、歩行姿勢状態との組合せとで構成される。その場合、各学習用データは、各学習用データに含まれる第1データ又は第2データの一部が重複するように生成されてもよい。即ち、第1の学習用データには、第1時刻から所定歩数分又は所定期間分のデータが含まれ、第2の学習用データには、第1時刻の直後(例えば1秒後)の第2時刻から所定歩数分又は所定期間分のデータが含まれてもよい。これにより、歩行姿勢状態推定システム1は、少ないサンプルデータから、学習済みモデル311を効率良く生成することができ、学習済みモデル311の生成に要する時間及び手間を低減させることができる。
【0093】
学習済みモデル311がランダムフォレスト等により事前学習される場合、各学習用データは、例えば連続する所定歩数分又は所定期間分の第1データ又は第2データを一次元に並べたベクトルと、歩行姿勢状態との組合せとで構成される。各学習用データは、例えば第1データ又は第2データのうち、3軸方向の角速度のみを含んでもよい。歩行姿勢状態推定システム1は、角速度と加速度の両方に基づいて学習済みモデル311を生成することにより、学習済みモデル311の精度を向上させることができる。一方、歩行姿勢状態推定システム1は、角速度のみに基づいて学習済みモデル311を生成することにより、学習済みモデル311の生成に要する時間及び手間を低減させることができる。これらの場合も、各学習用データは、各学習用データに含まれる第1データ又は第2データの一部が重複するように生成されてもよい。
【0094】
推定部322は、ステップS106で取得した第1データ及び第2データを、学習済みモデル311に対応する形式に変換して、学習済みモデル311に入力する。推定部322は、学習済みモデル311から出力された情報に基づいて、第1ウェアラブル装置100及び第2ウェアラブル装置200を装着したユーザの歩行姿勢状態を推定する。推定部322は、歩行姿勢状態に含まれる要素毎に、ユーザの歩行姿勢状態を推定する。
【0095】
学習済みモデル311から出力される情報が特徴量である場合、情報処理装置300は、特徴量と歩行姿勢状態との関係を示すテーブル又は式を予め第3記憶装置310に記憶しておく。推定部322は、第3記憶装置310に記憶されたテーブル又は式を参照し、学習済みモデル311から出力される特徴量に対応するユーザの歩行姿勢状態を特定する。
【0096】
また、学習済みモデル311が各ウェアラブル装置に対応する複数の学習済みモデルを含む場合、推定部322は、各学習済みモデルから出力された歩行姿勢状態のうち、最も多くの学習済みモデルから出力された歩行姿勢状態が、そのユーザの歩行姿勢状態であると推定する。
【0097】
このように、推定部322は、学習済みモデル311を利用して、取得した第1データ及び第2データに基づいて、ユーザの歩行姿勢状態を推定する。即ち、推定部322は、学習済みモデル311を利用し、取得した第1データ及び第2データに基づいて推定された歩行姿勢状態を取得する。
【0098】
次に、出力制御部323は、第1ウェアラブル装置100及び第2ウェアラブル装置200を装着したユーザの推定された歩行姿勢状態を、第3通信装置301を介して第1ウェアラブル装置100に送信することにより、出力する(ステップS108)。
【0099】
次に、第1ウェアラブル装置100の第1取得部121は、第1通信装置103を介して情報処理装置300から、ユーザの推定された歩行姿勢状態を受信することにより取得する(ステップS109)。
【0100】
次に、第1取得部121は、取得した歩行姿勢状態を第1表示装置102に表示することにより出力してユーザに通知し(ステップS110)、一連のステップを終了する。これにより、ユーザは、自分の歩行姿勢状態を認識することができる。
【0101】
なお、ステップS108において、情報処理装置300の出力制御部323は、第1ウェアラブル装置100及び第2ウェアラブル装置200を装着したユーザの推定された歩行姿勢状態を、ユーザの健康を管理する管理者が所有する管理者装置へ送信してもよい。その場合、管理者装置は、受信した歩行姿勢状態を表示することにより管理者に通知する。管理者は、ユーザの歩行姿勢状態を認識し、ユーザに歩行姿勢状態の改善を提案することができる。
【0102】
また、ステップS101の処理及びステップS104の処理が実行されるタイミングは任意でよく、同時でもよい。例えば、第1ウェアラブル装置100の第1取得部121は、第1入力装置101を用いて利用者から測定開始の指示を受信した場合、測定開始を要求する測定要求信号を、第1インタフェース装置104を介して第2ウェアラブル装置200に送信するとともに、第1データを取得する。一方、第2ウェアラブル装置200の第2取得部221は、第2インタフェース装置204を介して第1ウェアラブル装置100から測定要求信号を受信した場合、第2データを取得し、第2インタフェース装置204を介して第1ウェアラブル装置100に送信する。第1取得部121は、第1入力装置101を用いて利用者から測定終了の指示を受信するまで、上記の処理を繰り返した後に、ステップS105の処理を実行する。
【0103】
発明者は、第1要素から第5要素の全てについて、学習済みモデル311の評価を行い、学習済みモデル311から出力される情報の正解率が93%以上であり、精度が十分に高いことを確認した。即ち、歩行姿勢状態推定システム1が、学習済みモデル311を用いることにより、ユーザの歩行姿勢状態をより精度良く推定できることが確認された。また、歩行姿勢状態推定システム1は、学習済みモデル311を用いることによって、様々な種類のパラメータの様々な組み合わせに対する歩行姿勢状態を高精度に且つ効率よく算出することができる。また、歩行姿勢状態推定システム1は、学習済みモデル311を用いることによって、様々な種類のパラメータの様々な組み合わせについて対応する歩行姿勢状態を記憶しておくことなく、歩行姿勢状態を特定できるため、記憶装置の記憶容量を低減させることができる。また、歩行姿勢状態推定システム1は、学習済みモデル311を用いることによって、様々な種類のパラメータの様々な組み合わせに応じた複雑な判定を実行することなく、歩行姿勢状態を特定できるため、推定処理の処理時間の低減及び処理負荷の低減を図ることができる。
【0104】
以下、歩行姿勢状態が、第1要素から第5要素までを含むことの技術的意義について説明する。
【0105】
歩く動作の主な動力源は、太ももの引き上げであり、走る動作の主な動力源は、つま先の蹴りである。したがって、歩く動作と、走る動作、即ち極限までゆっくり走る動作とは、根本的に異なる動作であり、歩く動作と走る動作とで明確に動きを変えることが、ユーザの健康に繋がる。つま先で蹴るためには、母指球を床に付けるために、足が内巻きになり、土踏まずがなくなってしまう。これにより、足の骨は全体的に緩み、足への衝撃が膝又は腰に伝わりやすくなる。走る動作は、足への負担を伴うため、歩いている際に、足への負担がかかる走る動作を行うことは望ましくない。
【0106】
歩行姿勢状態推定システム1は、ユーザの歩行姿勢状態として、第1要素から第5要素までの各要素を推定することにより、ユーザが、走る動作を行わずに適切に歩く動作を行っているか否かを識別することができる。特に、第1要素から第5要素までの各要素は、相互に関連しており、第1要素から第5要素の順に、ユーザの姿勢が改善されることにより、ユーザは、歩行姿勢を容易に改善することができる。
【0107】
まず、歩幅が短くなりすぎて歩行速度が遅くなる、ということはあってはならず、歩幅は一定以上担保されている必要がある。歩行姿勢状態が、前提として、ユーザの歩幅が十分であるか不十分であるかを示す第1要素を含むことにより、歩行姿勢状態推定システム1は、ユーザの歩幅を一定以上担保することができる。
【0108】
次に、ユーザの姿勢がまっすぐでない場合、ユーザは、走る動作を行わざるを得なくなる。ユーザは、かかとを重心にしてまっすぐ立てていると、太ももを使って足を上げることができるが、前傾姿勢になると、上半身がかぶさって、太ももを使って足を上げることが困難になり、つま先で蹴らざるを得なくなる。歩行姿勢状態が、前後方向の軸に関する要素として、ユーザの重心が正常であるか前傾であるか後傾であるかを示す第2要素を含むことにより、歩行姿勢状態推定システム1は、ユーザの姿勢がまっすぐに保たれているか否かを確認することができる。
【0109】
次に、ユーザの重心がまっすぐであっても、太ももの引き上げが正しく行われていない場合、ユーザは、走る動作を行わざるを得ない。ユーザの重心がまっすぐであり、つま先で蹴らなくても足が上がるにもかかわらず、つま先で蹴ってしまうと上下動が激しくなる。また、ユーザの重心がまっすぐであるにもかかわらず、太ももで足を上げる癖がついていないため、ユーザは足を引きずってしまう場合がある。歩行姿勢状態が、前後方向の軸に関する要素として、ユーザが出す足を蹴っていないか引きずっているか蹴っているかを示す第3要素を含むことにより、歩行姿勢状態推定システム1は、ユーザの太ももの引き上げが正しく行われているか否かを確認することができる。
【0110】
次に、前後方向の軸が正しくても、回転(左右方向の)軸が正しくない場合、適切に歩く動作が行われない。つま先に対して膝が内側に入っていると、膝が邪魔になって反対側の足が正しく出ない。即ち、軸足が突っ張っている場合、又は、股関節が開いていない場合、出したい足が正しく上がらない。一方、ユーザが股関節を回すと、反対側の足が出るスペースが確保され、足が上がりやすくなり、太ももの引き上げが正しく行われる。歩行姿勢状態が、回転(左右方向の)軸に関する要素として、ユーザの軸足が突っ張っているか突っ張っていないかを示す第4要素と、ユーザの股関節が開いているか開いていないかを示す第5要素とを含むことにより、歩行姿勢状態推定システム1は、回転軸が正しいか否かを確認することができる。
【0111】
以上詳述したように、歩行姿勢状態推定システム1は、第1ウェアラブル装置100が取得した第1データと第2ウェアラブル装置200が取得した第2データとに基づいて、学習済みモデル311を用いて、ユーザの歩行姿勢状態を推定する。これにより、歩行姿勢状態推定システム1は、ユーザの歩行姿勢状態をより精度良く推定することが可能となる。
【0112】
図7は、他の実施形態に係る歩行姿勢状態推定システム1における推定処理の動作の例を示すシーケンスである。
【0113】
以下、図7に示したフローチャートを参照しつつ、本実施形態に係る推定処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め歩行姿勢状態推定システム1が有する各装置の各記憶装置に記憶されているプログラムに基づき主に各装置の各処理装置により各装置の各要素と協働して実行される。本実施形態では、学習済みモデル311は、サーバ装置400に記憶されている。図7のステップS201~S206、S213~S215の処理は、図6のステップS101~S106、S108~S110の処理と同様であるため説明を省略し、以下では、ステップS207~S212についてのみ説明する。
【0114】
ステップS207において、情報処理装置300の推定部322は、ユーザの歩行姿勢情報の送信を要求する要求信号を、第3通信装置301を介してサーバ装置400に送信する(ステップS207)。要求信号には、ステップS106で取得され、学習済みモデル311に対応する形式に変換された第1データ及び第2データが含まれる。
【0115】
次に、サーバ装置400は、情報処理装置300から要求信号を受信する(ステップS208)。次に、サーバ装置400は、受信した要求信号に含まれる第1データ及び第2データを学習済みモデル311に入力し、学習済みモデル311から出力された出力情報を取得する(ステップS209)。次に、サーバ装置400は、取得した出力情報を情報処理装置300に送信する(ステップS210)。
【0116】
次に、情報処理装置300の推定部322は、第3通信装置301を介してサーバ装置400から出力情報を受信することにより取得する(ステップS211)。次に、推定部322は、取得した出力情報に基づいて、第1ウェアラブル装置100及び第2ウェアラブル装置200を装着したユーザの歩行姿勢状態を推定する(ステップS212)。推定部322は、図6のステップS107の処理と同様にして、ユーザの歩行姿勢状態を推定する。
【0117】
以上詳述したように、歩行姿勢状態推定システム1は、学習済みモデル311が、情報処理装置300以外のサーバ装置400に記憶されている場合も、ユーザの歩行姿勢状態をより精度良く推定することが可能となる。
【0118】
歩行姿勢状態推定システム1は、サーバ装置400に記憶されている学習済みモデル311を利用することにより、サーバ装置400によって更新されている最新の学習済みモデルを用いてユーザの歩行姿勢状態を推定することができる。また、歩行姿勢状態推定システム1は、サーバ装置400に記憶されている学習済みモデル311を利用することにより、情報処理装置300の記憶容量の低減を図ることできる。一方、情報処理装置300は、自装置に記憶された学習済みモデル311を利用することにより、サーバ装置400との通信接続が切断されている状態でもユーザの歩行姿勢状態を推定することができる。また、情報処理装置300は、自装置に記憶された学習済みモデル311を利用することにより、情報処理装置300とサーバ装置400の間の通信量の低減を図ることできる。
【0119】
図8は、さらに他の実施形態に係る歩行姿勢状態推定システム1における推定処理の動作の例を示すシーケンスである。
【0120】
以下、図8に示したフローチャートを参照しつつ、本実施形態に係る推定処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め歩行姿勢状態推定システム1が有する各装置の各記憶装置に記憶されているプログラムに基づき主に各装置の各処理装置により各装置の各要素と協働して実行される。本実施形態では、学習済みモデル311及びデータテーブル312は、第1ウェアラブル装置100の第1記憶装置110に記憶されている。また、第1処理装置120は、第1取得部121及び第1送信部122として機能するとともに、推定部322及び出力制御部323と同様の機能を有する推定部及び出力制御部として機能する。図8のステップS301~S303、S306の処理は、図6のステップS101~S103、S110の処理と同様であるため説明を省略し、以下では、ステップS304~S305についてのみ説明する。
【0121】
ステップS304において、第1ウェアラブル装置100の第1取得部121は、ステップS104の処理と同様にして、ユーザが歩行した際に得られる第1データを取得する(ステップS304)。第1取得部121は、取得した第1データ及び第2データを対応する装置ID及び取得時刻と関連付けてデータテーブル312に記憶する。
【0122】
次に、第1ウェアラブル装置100の推定部は、ステップS107の処理と同様にして、第1データ及び第2データに基づいて、第1ウェアラブル装置100及び第2ウェアラブル装置200を装着したユーザの歩行姿勢状態を推定する(ステップS305)。
【0123】
以上詳述したように、歩行姿勢状態推定システム1は、第1ウェアラブル装置100がユーザの歩行姿勢状態を推定する場合も、ユーザの歩行姿勢状態をより精度良く推定することが可能となる。
【0124】
以上、好適な実施形態について説明してきたが、実施形態はこれらに限定されない。例えば、第1ウェアラブル装置100がユーザの歩行姿勢状態を推定する場合も、第1ウェアラブル装置100は、サーバ装置400に記憶された学習済みモデル311の出力情報に基づいてユーザの歩行姿勢状態を推定してもよい。
【0125】
また、第2ウェアラブル装置200は、第2データを、第1ウェアラブル装置100を介して情報処理装置300に送信するのでなく、情報処理装置300に直接送信してもよい。これにより、歩行姿勢状態推定システム1は、第1ウェアラブル装置100における処理負荷を軽減することができる。一方、第1ウェアラブル装置100が第2ウェアラブル装置200からの第2データを集約することにより、歩行姿勢状態推定システム1は、情報処理装置300における処理負荷を軽減することができる。
【0126】
また、歩行姿勢状態推定システム1において、複数の第1ウェアラブル装置100及び/又は複数の情報処理装置300が協働して、上記した各処理の各ステップを分担してもよい。
【符号の説明】
【0127】
1 歩行姿勢状態推定システム、100 第1ウェアラブル装置、105 第1センサ、110 第1記憶装置、121 第1取得部、122 第1送信部、200 第2ウェアラブル装置、205 第2センサ、300 情報処理装置、310 第3記憶装置、311 学習済みモデル、321 第3取得部、322 推定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8