(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010524
(43)【公開日】2025-01-21
(54)【発明の名称】コイルまたは巻心を交換するための装置、コイルまたは巻心を交換するためのアセンブリおよび方法
(51)【国際特許分類】
B65H 19/12 20060101AFI20250110BHJP
B65H 19/30 20060101ALI20250110BHJP
H01M 10/04 20060101ALN20250110BHJP
H01M 10/0587 20100101ALN20250110BHJP
【FI】
B65H19/12 B
B65H19/30
H01M10/04 W
H01M10/0587
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024108918
(22)【出願日】2024-07-05
(31)【優先権主張番号】10 2023 206 476.6
(32)【優先日】2023-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 2, 38440 Wolfsburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トミー ピーチュ
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン デアシュ
【テーマコード(参考)】
3F064
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
3F064AA03
3F064AA06
3F064BA03
3F064EB09
3F064EB14
3F064FA04
5H028AA05
5H028BB08
5H028BB15
5H028BB17
5H028CC08
5H029AJ14
5H029BJ14
5H029CJ07
5H029CJ28
5H029CJ30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コイルまたは巻心を交換するための装置、特にこの装置と巻取りステーションとを備えるアセンブリならびにコイルまたは巻心を交換するための方法に関する。
【解決手段】コイル(2)または巻心(3)を交換するための装置(1)であって、コイル(2)は、スリーブ状の巻心(3)と、この巻心(3)に巻き取られたフィルムとを備え、装置(1)は、フィルムをコイル(2)から繰り出すことができるかまたは巻心(3)に巻き取ることができる巻取りステーション(5)に対して定置に配置されており、装置(1)は、少なくとも1つのスタンド(6)と、このスタンド(6)に可動に配置された支持アーム(7)とを有し、この支持アーム(7)は、水平方向に延びる第1の軸線に沿って延在しており、コイル(2)または巻心(3)は、第1の軸線に沿ってスライド可能に支持アーム(7)に配置可能である、アセンブリおよび方法を対象とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル(2)または巻心(3)を交換するための装置(1)であって、前記コイル(2)は、スリーブ状の巻心(3)と、該巻心(3)に巻き取られたフィルム(4)とを備え、前記装置(1)は、前記フィルム(4)を前記コイル(2)から繰り出すことができるかまたは前記巻心(3)に巻き取ることができる巻取りステーション(5)に対して定置に配置されており、前記装置(1)は、少なくとも1つのスタンド(6)と、該スタンド(6)に配置された支持アーム(7)とを有し、該支持アーム(7)は、水平方向に延びる第1の軸線(8)に沿って延在しており、前記コイル(2)または前記巻心(3)は、前記第1の軸線(8)に沿ってスライド可能に前記支持アーム(7)に配置可能であり、前記スタンド(6)は前記支持アーム(7)と共に前記巻取りステーション(5)に対して、鉛直な第1の方向(9)に沿って延びる回動軸線(10)を中心として少なくとも回動可能である、装置(1)。
【請求項2】
前記支持アーム(7)は、前記スタンド(6)に対して前記第1の軸線(8)に沿って変位可能である、請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
前記支持アーム(7)に配置された前記コイル(2)または前記巻心(3)を前記第1の軸線(8)に沿ってスライドさせるための第1のスライドユニット(11)を付加的に備える、請求項1または2記載の装置(1)。
【請求項4】
前記スタンド(6)は、前記巻取りステーション(5)に対して定置にまたは走行可能に配置されており、前記スタンド(6)を走行させるための機構(12)が、前記装置(1)の構成部材であり、前記スタンド(6)の走行経路(13)が、前記巻取りステーション(5)に対して不変である、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項5】
コイル(2)または巻心(3)を交換するためのアセンブリ(14)であって、前記コイル(2)は、スリーブ状の巻心(3)と、該巻心(3)に巻き取られたフィルム(4)とを備え、前記アセンブリ(14)は、請求項1から4までのいずれか1項記載の少なくとも1つの装置(1)と、前記巻取りステーション(5)とを備え、該巻取りステーション(5)は少なくとも1つの外嵌心棒(15)を有し、該外嵌心棒(15)は、水平方向に延びる第2の軸線(16)に沿って延在しており、前記コイル(2)または前記巻心(3)は、前記第2の軸線(16)に沿ってスライド可能に前記外嵌心棒(15)に配置可能であり、前記装置(1)の前記支持アーム(7)と前記外嵌心棒(15)とは、前記コイル(2)または前記巻心(3)を移送するために、互いに適切に配置可能である、アセンブリ(14)。
【請求項6】
前記外嵌心棒(15)に配置された前記コイル(2)または前記巻心(3)を前記第2の軸線(16)に沿ってスライドさせるための第2のスライドユニット(17)を付加的に備える、請求項5記載のアセンブリ(14)。
【請求項7】
前記アセンブリ(14)は、前記コイル(2)または前記巻心(3)用の第1の載置装置(18)を付加的に備え、該第1の載置装置(18)は、前記支持アーム(7)が、前記第1の軸線(8)に沿って行われる運動の範囲内で少なくとも前記スリーブ状の巻心(3)内に走入可能であるかまたは前記スリーブ状の巻心(3)から取出し可能であるように、前記装置(1)に対して配置されている、請求項5または6記載のアセンブリ(14)。
【請求項8】
前記アセンブリ(14)は、前記コイル(2)または前記巻心(3)用の第2の載置装置(19)を付加的に備え、前記第1の載置装置(18)は、少なくとも前記巻心(3)を受け取るために適切に形成されており、前記第2の載置装置(19)は、少なくとも前記コイル(2)を受け取るために適切に形成されている、請求項7記載のアセンブリ(14)。
【請求項9】
請求項5から8までのいずれか1項記載のアセンブリ(14)によってコイル(2)または巻心(3)を交換するための方法であって、出発状態では、前記コイル(2)または前記巻心(3)は、前記巻取りステーション(5)の前記外嵌心棒(15)に配置されており、前記出発状態から出発して、
a)前記支持アーム(7)を前記外嵌心棒(15)に向かって運動させ、これによって、前記コイル(2)または前記巻心(3)をスライドさせるべく、前記軸線(8,16)を互いに適切に配置するステップと、
b)前記コイル(2)または前記巻心(3)を前記外嵌心棒(15)から出発して前記軸線(8,16)に沿って前記装置(1)の前記支持アーム(7)に向かってスライドさせるステップと、
c)前記支持アーム(7)を前記コイル(2)または前記巻心(3)用の第1の載置装置(18)に向かって運動させるステップと、
d)前記コイル(2)または前記巻心(3)を前記第1の載置装置(18)に載置するステップと、
e)前記支持アーム(7)を前記巻心(3)または前記コイル(2)用の第2の載置装置(19)に向かって運動させるステップと、
f)前記支持アーム(7)に新たな巻心(3)またはコイル(2)を配置するステップと、
g)前記支持アーム(7)を前記外嵌心棒(15)に向かって運動させ、これによって、前記巻心(3)または前記コイル(2)をスライドさせるべく、前記軸線(8,16)を互いに適切に配置するステップと、
h)前記巻心(3)または前記コイル(2)を前記支持アーム(7)から出発して前記軸線(8,16)に沿って前記外嵌心棒(15)に向かってスライドさせるステップと、
i)前記巻取りステーション(5)を運転するステップと、前記巻心(3)にフィルム(4)を巻き取って前記コイル(2)を形成するステップまたは前記コイル(2)から前記フィルム(4)を繰り出すステップと
を少なくとも含む、方法。
【請求項10】
少なくともステップe)において、専ら前記支持アーム(7)を前記スタンド(6)に対して前記第1の軸線(8)に沿って変位させるかまたは少なくとも前記スタンド(6)を走行経路(13)に沿って走行させ、前記スタンド(6)を走行させるための機構(12)が、前記装置(1)の構成部材であり、前記スタンド(6)の前記走行経路(13)は、前記巻取りステーション(5)に対して不変である、請求項9記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルまたは巻心を交換するための装置、特にこの装置と巻取りステーションとを備えるアセンブリならびにコイルまたは巻心を交換するための方法に関する。
【0002】
装置、アセンブリならびに方法は、特に、電極フィルム、特にコーティングされたかつ/またはコーティングされていない電極フィルムを繰り出し、また、巻き取るために用いられる。
【0003】
自動車の駆動装置に電池、特にリチウムイオン電池を使用することが増えてきている。この電池は、通常、複数の電池セルから形成されている。各々の電池セルは、場合により層または材料層の形態で存在するアノードフィルム、カソードフィルムおよびセパレータフィルムのスタックを有している。アノードフィルムおよびカソードフィルムの少なくとも一部は、電池セルから提供された電流を、電池セルの外部に配置された消費器に向かって導出するための集電体として形成されている。以下では、スタックの個々の要素を電極またはフィルムとも呼ぶ。
【0004】
個々のフィルムは、特にエンドレス材料として提供され、場合により、例えば活物質でコーティングされ、再び巻き取られる。こうして製造されたフィルムは、その後、巻き取られたコイルとして、電池セルを製造するためのプロセスに供給される。このプロセスでは、場合によりコーティングされた電極フィルムを備えるコイルが繰り出され、例えば切断されるかもしくは個々の層に分離もしくは分割され、これによって、個々の層を互いに積み重ねて配置することができる。コーティングされたフィルムのうちのコーティングされていない領域は、集電体として使用されてよい。
【0005】
コイルは、特にいわゆる巻取りスリーブ(本明細書では巻心と呼ぶ)を備えている。この巻取りスリーブには、フィルムが巻き取られ、また、巻取りスリーブから、フィルムはのちに再び繰り出される。
【0006】
(リチウムイオン)電池セルを製造するための工場における生産チェーンの自動化が進んでいることを考慮して、個々の機械の間の連係を改善することが必然的に必要となっている。このような生産チェーンには、特に、電極製造(つまり、特に、活物質での担体材料のコーティング、カレンダリング、スリッティングおよびノッチング)と、スタッキング(フィルムの個別化された層の積層)とが含まれている。これらのプロセスには、特に複数回のスプライシング操作(つまり、電極フィルム同士を結合してエンドレス材料を形成するための結合過程)および(電極フィルムの個々の層をエンドレス材料から切断または分離するための)カッティング操作が含まれている。特に、これらのプロセスもしくは過程によって、連続的な製造プロセスが可能となることが求められている。
【0007】
スプライス結合過程は、特に、エンドレス材料をコイルから繰り出し、また、コイルに巻き取る際に使用される。第1のフィルムがコイルから十分に繰り出されていると、第1のフィルムの端部に、すでに機械内に提供されている新たなコイルの新たな第2のフィルムが自動化されて接合される。第1のフィルムと第2のフィルムとの間のこの結合部は、スプライス箇所もしくは接合箇所と呼ばれる。続いてまたは前もって、第1のフィルムの端部はコイルもしくは巻取りスリーブから分離されなければならず、これによって、空の巻取りスリーブがプロセスから切り離されて、機械から遠ざけられる。その後、空の巻取りスリーブを新たなコイルに置き換えることができる。
【0008】
特に、第1のフィルムのエンドレス材料は、プロセスの実施後、例えば第1のフィルムのコーティング後、(別の)巻取りスリーブに再び巻き取られる。スプライス箇所がプロセスを通過した後(つまり、例えばフィルムをコーティングした後)、第1のフィルムが第2のフィルムから再び分離されなければならず、これによって、第1のフィルムを備えたコイルが機械から取出し可能となる。続いて、第2のフィルムの端部が再び新たなもしくは空の巻取りスリーブに接合され、これによって、欠陥のない巻取りを保証することができる。
【0009】
エンドレス材料の分離、つまり、分離箇所の形成は、工業的に特にカッタ切断またはロールカッタ切断によって実施され、複雑な自動化技術の点で際立っている。
【0010】
巻取りスリーブへのフィルム材料の結合は、工業的に特に接着プロセスとして実施され、手間のかかる自動化の点で同じく際立っている。
【0011】
コイルもしくは巻心をハンドリングするために、全自動化されたプロセスは現状まだ存在していない。特に、AGV(無人搬送車)は、コイルもしくは巻心の引渡し時に要求される高い精度に基づき、特に巻心もしくはコイル用の受取り装置の単に片側の支承体(支持アーム/カンチレバー)では、実際使用しにくいものでしかない。
【0012】
独国特許出願公開第102013110944号明細書に基づき、ストックロールに巻き取られた面状の包装材料を備えた支持体ユニットを包装機械の内部で交換するための方法および装置が公知である。
【0013】
国際公開第03/006355号に基づき、ロール材料を組み付けるための組付け装置および選択的に移送するためのキャリッジが公知である。
【0014】
欧州特許出願公開第4119475号明細書に基づき、電気的なエネルギー貯蔵器を製造するための材料コイルを置き換えるためのシステムと、そのための方法とが公知である。この公知のシステムは、巻取りステーションに接近してコイルを取り出すかもしくは供給することができる自走式の車両を含んでいる。
【0015】
本発明の課題は、先行技術に関して記載した問題を少なくとも部分的に解決することである。特に、コイルおよび/または巻心のハンドリングもしくは取扱いのプロセスを改善し、これによって、生産チェーンの高度の自動化を保証することができるようにすることが求められている。
【0016】
この課題の解決には、独立請求項1の特徴による装置が役立つ。有利な改良形態は従属請求項の対象である。特許請求の範囲に個々に記載した特徴は、技術的に有意に互いに組合せ可能であり、明細書に基づき説明した実情および/または図面に基づく詳細によって補填されてよい。その際には、本発明の別の実施形態が示される。
【0017】
コイルまたは巻心を交換するための装置が提案される。コイルは、スリーブ状の巻心と、この巻心に巻き取られたフィルムとを備えている。装置は、フィルムをコイルから繰り出すことができるかまたは巻心に巻き取ることができる巻取りステーションに対して定置に配置されている。装置は、少なくとも1つのスタンドと、このスタンドに配置された支持アームとを有しており、この支持アームは、水平方向に延びる第1の軸線に沿って延在しており、中空の巻芯またはコイルは、第1の軸線に沿ってスライド可能に支持アームに配置可能であるかもしくは配置されている。スタンドは支持アームと共に巻取りステーションに対して、鉛直な第1の方向に沿って延びる回動軸線を中心として少なくとも回動可能である。
【0018】
本明細書に記載したフィルムは、特に電池セル用の電極フィルムである。
【0019】
電池セルは、特にリチウムイオン電池セルまたは別の種類の電池セルである。電池セルは、例えば自動車において電気的なエネルギーを蓄えるために使用される蓄電器である。特に、例えば自動車は、この自動車を駆動するための電気機械(トラクション駆動装置)を有している。この電気機械は、電池セルに蓄えられた電気的なエネルギーによって駆動可能である。
【0020】
電池セルは、特に、容積を取り囲むハウジングと、容積内に配置された、第1の種類の電極(例えばアノード)の少なくとも1つの電極フィルム、第2の種類の電極(例えばカソード)の電極フィルム、相互間に配置されたセパレータ材料と、電解質、例えば液状または固形の電解質とを備えている。
【0021】
個々のフィルムは互いに重なり合って配置されていて、特にスタックを形成している。電極フィルムは、それぞれ異なる種類の電極に割り当てられていて、つまり、アノードまたはカソードとして形成されている。このアノードとカソードとは、それぞれセパレータ材料により互いに分離されて交互に配置されている。
【0022】
フィルムは、特に、それぞれ電池セルの構成要素として使用される、電極フィルムの担体材料、少なくとも1つの活物質を有する電極フィルムまたはセパレータフィルムを備えている。担体材料は、特に金属材料、例えば銅またはアルミニウムを含む材料もしくは合金を含んでいる。
【0023】
スリーブ状の巻心もコイル(つまり、フィルムが巻き取られた巻心)も、特に既知のように形成されていて、基本的に知られている。巻心は、特にスリーブ状の中空室を有している。巻心の周面は、特に円筒形に形成されている。巻心は、第1の端部から出発して第2の端部にまで延在している。端部同士の間に位置する周面には、フィルムが配置されているかもしくは配置されてよい。
【0024】
提案した装置によって、特に、高い自動化度と同時に、本発明において実施するべき方法ステップの高い再現性が可能となる。特に、AGVの使用時に必要となる手間のかかるセンサシステムを提供する必要がなくなる。なぜならば、本発明では、装置の定置の配置が提案されるからである。
【0025】
定置とは、本明細書では、特に、装置の位置が巻取りステーションに対して不変であることを意味している。つまり、特に、自由にプログラミング可能であり、まさに持続的に固定して設定されていない走行経路を備えたAGVは設けられていない。
【0026】
スタンドは、特に実質的に第1の方向に沿って延在している。支持アームはスタンドに結合されているかもしくはスタンドに(可動に)配置されている。
【0027】
支持アームは、特にスタンドと一緒に回動軸線を中心として回動可能である。また、支持アームをスタンドに対して回動させることができ、これによって、その後、支持アームを、回動軸線を中心として延在する周方向に沿ってスタンドに対して回動させることができることも可能となる。
【0028】
特に、支持アームは、スタンドに対して第1の軸線に沿って変位可能である。
【0029】
特に、装置は、支持アームに配置されたコイルまたは巻心を第1の軸線に沿ってスライドさせるための第1のスライドユニットを付加的に備えている。この第1のスライドユニットは、特に支持アームまたはスタンドに配置されている。
【0030】
スライドユニットを介して、特にコイルまたは巻心を巻取りステーションの外嵌心棒に被せることができるまで、コイルまたは巻心を支持アームに対してスライドさせることができる。
【0031】
支持アームは、特に、(場合によりコイルの)スリーブ状の巻心を貫いて延在しているかもしくはスリーブ状の中空室内に押し込まれてよい。
【0032】
特に、スタンドは、巻取りステーションに対して定置にまたは走行可能に配置されている。スタンドを走行させるための機構は、装置の構成部材であり、スタンドの走行経路は、巻取りステーションに対して不変である。
【0033】
スタンドは、特に、巻取りステーションに対して定置に配置されている。定置とは、本明細書では、スタンドの位置が巻取りステーションに対して不変であることを意味している。ただし、回動軸線を中心としたスタンドの回転は可能である。
【0034】
スタンドが巻取りステーションに対して走行可能に配置されている場合には、機構が設けられている。この機構により可能となるスタンドの走行経路は、巻取りステーションに対して不変である。例えば、機構は、自体巻取りステーションに対して定置に配置されたレールシステムまたはこれに類するガイド機構を備えている。この場合、スタンドの走行経路は、特に1空間次元でしか、つまり、走行経路に沿ってしか可能とならない。機構によって、AGVにより一般的には達成することができない、スタンドの運動の高い反復精度が保証される。
【0035】
さらに、コイルまたは巻心を交換するためのアセンブリが提案される。コイルは、スリーブ状の巻心と、この巻心に巻き取られたフィルムとを備えている。アセンブリは、少なくとも前述した装置と、巻取りステーションとを備えている。この巻取りステーションは少なくとも1つの外嵌心棒を有している。この外嵌心棒は、水平方向に延びる第2の軸線に沿って延在しており、コイルまたは中空の巻心は、第2の軸線に沿ってスライド可能に外嵌心棒に配置可能であるかもしくは配置されている。装置の支持アームと巻取りステーションの外嵌心棒とは、(支持アームから外嵌心棒へのかつ/または逆に外嵌心棒から支持アームへの)コイルまたは巻心を移送するために、互いに適切に(例えば互いに整合した軸線を有して)配置可能である。
【0036】
移送に適した配置、例えば互いに整合した軸線の配置のためには、特に(専ら)スタンドおよび/または支持アームおよび/または機構が、巻取りステーションに対して運動させられなければならない。
【0037】
(支持アームから外嵌心棒へのかつ/または逆に外嵌心棒から支持アームへの)コイルまたは巻心の移送のために、軸線同士は、特に、コイルもしくは巻心が軸線の方向に沿ってスライド可能であり、こうして、支持アームから外嵌心棒に(または逆に外嵌心棒から支持アームに)入れ替わるように、互いに相対的に配置される。特に、このために、支持アームと外嵌心棒とが相互に接触させられることが特定されていてよい。特に、支持アームと外嵌心棒との間の接触は不要である(なぜならば、スタンドの定置の配置もしくは機構によって精度を保証することができるからである)。
【0038】
特に、アセンブリは、外嵌心棒に配置されたコイルまたは巻心を第2の軸線に沿ってスライドさせるための第2のスライドユニットを付加的に備えている。
【0039】
第2のスライドユニットを介して、特にコイルまたは巻心を装置の支持アームに被せることができるまで、コイルまたは巻心を外嵌心棒に対してスライドさせることができる。
【0040】
特に、アセンブリは、コイルまたは巻心用の第1の載置装置を付加的に備えており、この第1の載置装置は、支持アームが、第1の軸線に沿って行われる運動の範囲内で少なくともスリーブ状の巻心内に走入可能であるかまたはスリーブ状の巻心から取出し可能であるように、装置に対して配置されている。
【0041】
載置装置は、特に、コイルもしくは巻心が巻取りステーションまたは支持アームに配置されていない場合に、コイルまたは巻心を受け取るために用いられる。載置装置は、特に、コイルもしくは巻心をストックするかまたは装置もしくはアセンブリに向かって、また、装置もしくはアセンブリから離れる方向に移送するために用いられる。
【0042】
特に、載置装置は受取り部を有している。この受取り部を介して、巻心だけを接触させることができ、これによって、場合により巻き取られたフィルムは載置装置によって接触させられない。特に、例えば、スリーブ状の巻心の端部が、受取り部によって支持されてよい。代替的には、受取り部が、(装置の支持アームまたは巻取りステーションの外嵌心棒に類似して)巻心もしくはコイルを被せることができる片持ち梁の形態で形成されていてよい。
【0043】
特に、アセンブリは、コイルまたは巻心用の第2の載置装置を付加的に備えており、第1の載置装置は、少なくとも巻心を受け取るために適切に形成されており、第2の載置装置は、少なくともコイルを受け取るために適切に形成されている。
【0044】
特に、各々の載置装置は、巻心を受け取りかつコイルを受け取るために適切に形成されている。第1の載置装置に対する構成は、特に第2の載置装置にも当てはまり、また、その逆も然りである。
【0045】
さらに、前述したアセンブリによってコイルまたは巻心を交換するための方法が提案される。出発状態では、コイルまたは巻心は、巻取りステーションの外嵌心棒に配置されている。方法は、出発状態から出発して、
a)支持アームを外嵌心棒に向かって運動させ、これによって、コイルまたは巻心をスライドさせるべく、軸線を互いに適切に(例えば整合させて)配置するステップと、
b)コイルまたは巻心を外嵌心棒から出発して軸線に沿って装置の支持アームに向かってスライドさせるステップと、
c)支持アームをコイルまたは巻心用の第1の載置装置に向かって運動させるステップと、
d)コイルまたは巻心を第1の載置装置に載置するステップと、
e)支持アームを巻心またはコイル用の第2の載置装置に向かって運動させるステップと、
f)支持アームに新たな巻心またはコイルを配置するステップと、
g)支持アームを外嵌心棒に向かって運動させ、これによって、巻心またはコイルをスライドさせるべく、軸線を互いに適切に(例えば整合させて)配置するステップと、
h)巻心またはコイルを支持アームから出発して軸線に沿って外嵌心棒に向かってスライドさせるステップと、
i)巻取りステーションを運転するステップと、巻心にフィルムを巻き取ってコイルを形成するステップまたはコイルからフィルムを繰り出すステップと
を少なくとも含んでいる。
【0046】
a)~i)への方法ステップの(確定ではない)上記分類は、優先的に区別のために用いているにすぎず、順序および/または関係性を強要するものではない。また、方法ステップの頻度も変化してよい。また、方法ステップを互いに少なくとも部分的に時間的に重畳させることも可能である。特に、各々のステップは、第1のステップおよびその後に続くステップとして以下で実施されてよい。特に、ステップa)~i)は、記載した順序で実施される。
【0047】
特に、支持アームもしくはスタンド(または装置)は、ステップa)に先だって出発位置に配置されている。この出発位置では、例えば、巻取りステーションまたは場合により設けられた載置装置との相互作用(例えば衝突または運動自由度の妨害)を排除することができる。
【0048】
ステップa)の範囲内では、(出発位置から出発して)外嵌心棒に向かっての支持アームの運動が行われ、これによって、軸線が互いに相対的に(例えば整合して)配置されて、ステップb)の範囲内でコイルまたは巻心のスライドを行うことができる。特に、運動は、回動軸線を中心としたスタンドの回動またはスタンドを中心として周方向に沿った支持アームの運動しか含んでいない。場合により、付加的に、第1の方向に沿った支持アームの運動が必要となる。場合により、付加的に、スタンドに対する第1の軸線に沿った支持アームの運動が必要となる。
【0049】
ステップb)の範囲内では、外嵌心棒から出発して装置の支持アームに向かっての軸線に沿ったコイルまたは巻心のスライドが行われる。特に、このスライドは、巻取りステーションに設けられた(前述した)第2のスライドユニットによって行われる。特に、ステップb)の範囲内では、コイルもしくは巻心は外嵌心棒から押し離され、支持アームに被せられる。
【0050】
ステップc)の範囲内では、コイルまたは巻心用の第1の載置装置に向かっての支持アームの運動が行われる。特に、運動は、回動軸線を中心としたスタンドの回動またはスタンドを中心として周方向に沿った支持アームの運動しか含んでいない。場合により、付加的に、第1の方向に沿った支持アームの運動が必要となる。場合により、機構による規定の走行経路に沿ったスタンドの運動が行われる。
【0051】
ステップd)の範囲内では、第1の載置装置へのコイルまたは巻心の載置が行われる。特に、この載置は、第1の方向に沿った(つまり、特にスタンドもしくは鉛直な方向に沿った)支持アームの運動しか含んでいない。特に、支持アームは、載置装置へのコイルもしくは巻心の載置後に巻心のスリーブ状の中空室から遠ざけられる。支持アームは、特に、専ら第1の軸線に沿って運動させられる。この運動は、特に、スタンドに対して相対的にまたはスタンドと一緒に機構によって行われる。代替的には、第1の軸線に沿ったコイルまたは巻心のスライドしか必要とならない。スライドは、例えば第1のスライドユニットを介して行われてよい。
【0052】
ステップe)の範囲内では、巻心またはコイル用の第2の載置装置に向かっての支持アームの運動が行われる。特に、運動は、回動軸線を中心としたスタンドの回動またはスタンドを中心として周方向に沿った支持アームの運動しか含んでいない。代替的または付加的に、運動は、(専ら)第1の軸線に沿った支持アームのスライドを含んでいる。この運動は、特に、スタンドに対して相対的にまたはスタンドと一緒に機構によって行われる。場合により、付加的に、第1の方向に沿った支持アームの運動が必要となる。場合により、機構による規定の走行経路に沿ったスタンドの運動が行われる。
【0053】
ステップf)の範囲内では、支持アームへの新たな巻心またはコイルの配置が行われる。特に、このステップは、(専ら)スリーブ状の巻心内への第1の軸線に沿った支持アームの押込みを含んでいる。場合により、付加的に、スタンドに対する第1の軸線に沿った支持アームの運動が必要となる。
【0054】
ステップg)の範囲内では、外嵌心棒に向かっての支持アームの運動が行われ、これによって、軸線が互いに相対的に(例えば整合して)配置されて、ステップh)の範囲内で巻心またはコイルのスライドを行うことができる。特に、運動は、回動軸線を中心としたスタンドの回動またはスタンドを中心として周方向に沿った支持アームの運動しか含んでいない。代替的に、運動は、付加的に、第1の軸線に沿った支持アームのスライドを含んでいる。この運動は、特に、スタンドに対して相対的にまたはスタンドと一緒に機構によって行われる。場合により、機構による規定の走行経路に沿ったスタンドの運動が行われる。
【0055】
ステップh)の範囲内では、支持アームから出発して外嵌心棒に向かっての軸線に沿った巻心またはコイルのスライドが行われる。特に、このスライドは、装置に設けられた(前述した)第1のスライドユニットによって行われる。特に、ステップh)の範囲内では、コイルもしくは巻心が支持アームから押し離され、外嵌心棒に被せられる。
【0056】
ステップi)の範囲内では、巻取りステーションの運転と、巻心へのフィルムの巻取りによるコイルの形成またはコイルからのフィルムの繰出しとが行われる。
【0057】
特に、少なくともステップe)において、専ら支持アームをスタンドに対して第1の軸線に沿って変位させる。代替的には、少なくともステップe)において、少なくともスタンドを走行経路に沿って走行させる。スタンドを走行させるための機構は、装置の構成部材であり、スタンドの走行経路は、巻取りステーションに対して不変である。
【0058】
方法は、特に、データ処理用のシステム、例えば制御装置によって実施可能である。このシステムは、方法のステップを実施するために適切に装備、構成またはプログラミングされた手段もしくは方法を実施する手段を有している。システムによって、少なくとも
・ 巻取りステーションの運転、
・ 装置の運転、
・ アセンブリの運転、
・ 載置装置の提供
を行うことができるかもしくは閉ループ制御/開ループ制御することができる。
【0059】
装置またはアセンブリは、特に、データ処理用のシステムを備えている。
【0060】
システムの手段は、例えば、プロセッサと、このプロセッサにより実行すべき命令が格納されたメモリと、記載した要素同士の間での命令、測定値、データまたはこれに類するものの伝送を可能にするデータ線路または伝送装置とを備えている。
【0061】
さらに、コンピュータプログラムであって、コンピュータによるプログラムの実行時にコンピュータに、前述した方法もしくは前述した方法のステップを実施させる命令を含む、コンピュータプログラムが提案される。
【0062】
さらに、コンピュータ可読の記憶媒体であって、コンピュータによる実行時にこのコンピュータに、前述した方法もしくは前述した方法のステップを実施させる命令を含む、コンピュータ可読の記憶媒体が提案される。
【0063】
装置に対する記載は、特に、アセンブリ、方法、電池セル、データ処理用のシステムならびにコンピュータ実装法(つまり、コンピュータもしくはプロセッサ、コンピュータ可読の記憶媒体)に転用可能であり、また、その逆も然りである。
【0064】
特に特許請求の範囲中および特許請求の範囲を再現している明細書中での不定冠詞(「ein」、「eine」、「einer」および「eines」)の使用は、自体数詞を意味するものではない。したがって、これにより相応に導入した概念もしくは構成要素は、この概念もしくは構成要素が少なくとも1回存在していて、しかしながら、特に複数回存在していてもよいことを意味している。
【0065】
念のために付言しておくと、本明細書に使用した数詞(「第1の」、「第2の」、・・・)は、優先的に複数の同様の対象物、大きさまたはプロセスを区別するため(だけ)に用いており、つまるところ、特にこれらの対象物、大きさまたはプロセス相互の関係性および/または順序を必然的に設定するものではない。仮に関係性および/または順序が必要となれば、このことを本明細書に明示的に記載するかまたは具体的に説明した構成の調査時に当業者に自明となる。構成部材が何度も現れることがある限り(「少なくとも1つ」)、これらの構成部材のうちの1つに対する説明が、これらの構成部材の全てまたは複数のうちの一部に同様に当てはまるものの、このことは必須ではない。
【0066】
以下に、本発明ならびに周辺技術を添付の図面に基づき詳しく説明する。付言しておくと、本発明は、記載した実施例によって限定されるものではない。特に、特段明示しない限り、図面に示した実態の一部態様を抜き出して、本明細書に基づく別の要素および知見に組み合わせることも可能である。特に付言しておくと、図面および特に図示の縮尺は概略的なものでしかない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図2】アセンブリの第1の実施形態を示す図である。
【
図3】
図2に示したアセンブリ用の巻取りステーションの側面図である。
【
図4】方法のステップb)による
図2に示したアセンブリの側面図である。
【
図5】方法のステップc)による
図4に示したアセンブリの側面図である。
【
図6】方法のステップd)による
図5に示したアセンブリを示す図である。
【
図7】方法のステップe)による
図6に示したアセンブリを示す図である。
【
図8】方法のステップf)直後の
図7に示したアセンブリを示す図ある。
【
図9】方法のステップg)中の
図8に示したアセンブリを示す図である。
【
図10】方法のステップh)による
図9に示したアセンブリを示す図である。
【
図11】方法のステップh)直後の
図10に示したアセンブリを示す図である。
【
図12】アセンブリの第2の実施形態および方法のステップd)を示す図である。
【
図13】
図12に示したアセンブリおよび方法のステップe)を示す図である。
【
図14】アセンブリの第3の実施形態および方法のステップc)を示す図である。
【
図15】
図14に示したアセンブリおよび方法のステップe)を示す図である。
【
図16】
図15に示したアセンブリおよび方法のステップg)を示す図である。
【
図17】
図16に示したアセンブリおよび方法のステップh)を示す図である。
【0068】
図1には、複数の巻取りステーション5が側面図で示してある。各々の巻取りステーション5は、巻心3もしくはコイル2を収容するために適切に形成されている。方法のステップi)の範囲内では、巻取りステーション5の運転と、巻心3へのフィルム4の巻取りによるコイル2の形成(右側の巻取りステーション5)と、コイル2からのフィルム4の繰出し(左側の巻取りステーション5)とが行われる。巻取りステーション5同士の間では、フィルム4の加工、例えばコーティングまたは切断が行われてよい。
【0069】
図2には、アセンブリ14の第1の実施形態が示してある。
図3には、
図2に示したアセンブリ14用の巻取りステーション5が側面図で示してある。
図4には、方法のステップb)による
図2に示したアセンブリ14が側面図で示してある。
図5には、方法のステップc)による
図4に示したアセンブリ14が側面図で示してある。
図6には、方法のステップd)による
図5に示したアセンブリ14が示してある。
図7には、方法のステップe)による
図6に示したアセンブリ14が示してある。
図8には、方法のステップf)直後の
図7に示したアセンブリ14が示してある。
図9には、方法のステップg)中の
図8に示したアセンブリ14が示してある。
図10には、方法のステップh)による
図9に示したアセンブリ14が示してある。
図11には、方法のステップh)直後の
図10に示したアセンブリ14が示してある。以下に
図2~
図11を一緒に説明する。
図1に対する記載を参照のこと。
【0070】
アセンブリ14は、装置1と巻取りステーション5とを備えている。装置1は、フィルム4をコイル2から繰り出すことができるかまたは巻心3に巻き取ることができる巻取りステーション5に対して定置に配置されている。装置1は、スタンド6と、このスタンド6に配置された支持アーム7とを有している。この支持アーム7は、水平方向に延びる第1の軸線8に沿って延在している。中空の巻心3またはコイル2は、第1の軸線8に沿ってスライド可能に支持アーム7に配置可能であるかまたは配置されている。スタンド6は支持アーム7と共に巻取りステーション5に対して、鉛直な第1の方向9に沿って延びる回動軸線10を中心として回動可能である。
【0071】
スリーブ状の巻心3もコイル2(つまり、フィルム4が巻き取られた巻心3)も既知のように形成されている。巻心3はスリーブ状の中空室を有している。巻心3の周面は円筒形に形成されている。巻心3は、第1の端部20から出発して第2の端部21にまで延在している。端部20,21同士の間に位置する周面22には、フィルム4が配置されているかもしくは配置されてよい。
【0072】
巻取りステーション5は外嵌心棒15を有している。この外嵌心棒15は、水平方向に延びる第2の軸線16に沿って延在している。コイル2または中空の巻心3は、第2の軸線16に沿ってスライド可能に外嵌心棒15に配置可能であるかまたは配置されている。装置1の支持アーム7と巻取りステーション5の外嵌心棒15とは、(支持アーム7から外嵌心棒15への、逆に、外嵌心棒15から支持アーム7への)コイル2または巻心3の移送に適していて、例えば互いに整合する軸線8,16を伴って配置可能である。
【0073】
スタンド6は、実質的に第1の方向9に沿って延在している。支持アーム7はスタンド6に結合されているかもしくはスタンド6に可動に配置されている。
【0074】
支持アーム7は、スタンド6と一緒にまたはスタンド6から独立して回動軸線10を中心として回動可能である。さらに、支持アーム7は、スタンド6に対して第1の軸線8および第1の方向9に沿って変位可能である。
【0075】
装置1は、付加的に、支持アーム7に配置されたコイル2または巻心3を第1の軸線8に沿ってスライドさせるための第1のスライドユニット11を備えている。この第1のスライドユニット11は支持アーム7に配置されている。
【0076】
第1のスライドユニット11を介して、コイル2または巻心3を支持アーム7に対してスライドさせることができ、特に、コイル2または巻心3を巻取りステーション5の外嵌心棒15に被せることができるまでスライドさせることができる。
【0077】
支持アーム7は、(場合によりコイル2の)スリーブ状の巻心3を貫いて延在しているかもしくはスリーブ状の中空室内に押し込まれてよい。
【0078】
スタンド6は巻取りステーション5に対して定置である。定置とは、本明細書では、スタンド6の位置が巻取りステーション5に対して不変であることを意味している。ただし、回動軸線10を中心としたスタンド6の回転は可能である。
【0079】
支持アーム7もしくはスタンド6(または装置1)は、ステップa)に先だって出発位置に配置されている(例えば
図2参照)。この出発位置では、例えば、巻取りステーション5または設けられた載置装置18,19との相互作用(例えば衝突または運動自由度の妨害)を排除することができる。
【0080】
ステップa)の範囲内では、(出発位置から出発して)外嵌心棒15に向かっての支持アーム7の運動が行われ、これによって、軸線8,16が互いに相対的に(例えば整合して)配置されて、コイル2が支持アーム7に向かってスライド可能となる(
図4参照)。運動は、回動軸線10を中心としたスタンド6もしくは支持アーム7の回動しか含んでいない。
【0081】
ステップb)の範囲内では、外嵌心棒15から出発して装置1の支持アーム7に向かっての軸線8,16に沿ったコイル2のスライドが行われる(
図4参照)。このスライドは、巻取りステーション5に設けられた第2のスライドユニット17によって行われる。ステップb)の範囲内では、コイル2は外嵌心棒15から押し離され、支持アーム7に被せられる(
図5参照)。
【0082】
ステップc)の範囲内では、コイル2用の第1の載置装置18に向かっての支持アーム7の運動が行われる。この運動は、回動軸線10を中心としたスタンド6もしくは支持アーム7の回動しか含んでいない(
図6参照)。
【0083】
ステップd)の範囲内では、第1の載置装置18へのコイル2の載置が行われる。この載置は、第1の方向9に沿った支持アーム7の運動しか含んでいない(
図6参照)。
【0084】
載置装置18は受取り部23を有している。この受取り部23を介して、巻心3だけを接触させることができ、これによって、巻き取られたフィルム4は載置装置18によって接触させられない。スリーブ状の巻心3の端部20,21が、受取り部23によって支持される。
【0085】
支持アーム7は、第1の載置装置18へのコイル2の載置後に巻心3のスリーブ状の中空室から遠ざけられる。支持アーム7は、専ら第1の軸線8に沿ってスタンド6に対して運動させられる(
図7参照)。
【0086】
ステップe)の範囲内では、巻心3用の第2の載置装置19に向かっての支持アーム7の運動が行われる。この運動は、専ら第1の軸線8に沿った支持アーム7のスライドを含んでいて、スタンド6に対して相対的に行われる(
図8参照)。
【0087】
ステップf)の範囲内では、支持アーム7への(新たな)巻心3の配置が行われる。このステップは、専らスリーブ状の巻心3内への第1の軸線8に沿った支持アーム7の押込みを含んでいる。このために、載置装置18,19は、この載置装置18,19に載置された巻心3が互いに同軸に配置されているように配置されている。
【0088】
ステップg)の範囲内では、外嵌心棒15に向かっての支持アーム7の運動が行われ、これによって、軸線8,16が互いに相対的に(例えば整合して)配置されて、巻心3が外嵌心棒15に向かってスライド可能となる。この運動は、回動軸線10を中心としたスタンド6もしくは支持アーム7の回動を含んでいる。この場合、付加的に、巻心3を第2の載置装置19から取り出すために、第1の方向9に沿った支持アーム7の運動が必要となる(
図9および
図10参照)。
【0089】
ステップh)の範囲内では、支持アーム7から出発して外嵌心棒15に向かっての、互いに同軸に配置された軸線8,16に沿った巻心3のスライドが行われる。このスライドは、装置1に設けられた第1のスライドユニット11によって行われる。ステップh)の範囲内では、巻心3が支持アーム7から押し離され、外嵌心棒15に被せられる(
図11参照)。
【0090】
ステップi)の範囲内では、巻取りステーション5の運転と、巻心3へのフィルム4の巻取りによるコイル2の形成またはコイル2からのフィルム4の繰出しとが行われる(
図1参照)。
【0091】
図12には、アセンブリ14の第2の実施形態および方法のステップd)が示してある。このステップd)の範囲内では、第1の載置装置18へのコイル2の載置が行われる。この実施形態では、載置装置18は、コイル2(または巻心3)を単に支持アーム7から第1の軸線に沿って載置装置18に向かってスライドさせることによって移送することができるように構成されている。このために、載置装置18の受取り部23は、(装置1の支持アーム7または巻取りステーション5の外嵌心棒15に類似して)コイル2を被せることができる片持ち梁の形態で形成されている。この載置は、回動軸線10を中心とした支持アーム7の回動しか含んでおらず、これによって、この回動後、第1の軸線8が、載置装置18の受取り部23に対して(実質的に)同軸に配置されている。
【0092】
図13には、
図12に示したアセンブリ14および方法のステップe)が示してある。このステップe)の範囲内では、巻心3用の第2の載置装置19に向かっての支持アーム7の運動が行われる。支持アーム7は、コイル3の載置(必ずしも必要ではない)後、第1の方向9に沿ってスタンド6に対して相対的に運動させられ、スタンド6が、回動軸線10を中心として第2の載置装置19に向かって回動させられる。
【0093】
図14には、アセンブリ14の第3の実施形態および方法のステップc)が示してある。
図15には、
図14に示したアセンブリ14および方法のステップe)が示してある。
図16には、
図15に示したアセンブリ14および方法のステップg)が示してある。
図17には、
図16に示したアセンブリ14および方法のステップh)が示してある。以下に
図14~
図17を一緒に説明する。
図1~
図13に対する記載を参照のこと。
【0094】
ステップc)の範囲内では、コイル2用の第1の載置装置18に向かっての支持アーム7の運動が行われる。この運動は、回動軸線10を中心としたスタンド6もしくは支持アーム7の回動を含んでいる。付加的に、第1の方向9に沿った支持アーム7の運動が必要となる(
図14参照)。
【0095】
ステップd)の範囲内では、第1の載置装置18へのコイル2の載置が行われる。この載置には、第1の方向9に沿った支持アーム7の運動しか必要とならない(
図14参照)。
【0096】
支持アーム7は、載置装置18へのコイル2の載置後、巻心3のスリーブ状の中空室から遠ざけられる。この運動は、スタンド6と一緒に機構12によって行われる(
図15参照)。場合により、支持アーム7は第1の軸線8に沿って運動させられる。
【0097】
ステップe)の範囲内では、巻心3用の第2の載置装置19に向かっての支持アーム7の運動が行われる。この運動は、場合により、回動軸線10を中心としたスタンド6の回動と、規定の走行経路13に沿った機構12によるスタンド6と一緒の運動とを含んでいる(
図15参照)。
【0098】
ステップf)の範囲内では、支持アーム7への新たな巻心3の配置が行われる。このステップは、専ら第1の軸線8に沿ったスリーブ状の巻心3内への支持アーム7の押込みを含んでいる。この運動は、場合により、スタンド6と一緒に機構12によって行われる(
図15および
図16参照)。
【0099】
ステップg)の範囲内では、外嵌心棒15に向かっての支持アーム7の運動が行われ、これによって、軸線8,16が互いに相対的に(例えば整合して)配置されて、ステップh)の範囲内でスライドを行うことができる。運動は、回動軸線10を中心にしたスタンド6の回動と、規定の走行経路13に沿った機構12によるスタンド6と一緒の運動とを含んでいる(
図16参照)。
【0100】
ステップh)の範囲内では、支持アーム7から出発して外嵌心棒15に向かっての軸線8,16に沿った巻心3のスライドが行われる。このスライドは、装置1に設けられた第1のスライドユニット11によって行われる。ステップh)の範囲内では、巻心3が支持アーム7から押し離され、外嵌心棒15に被せられる。
【符号の説明】
【0101】
1 装置
2 コイル
3 巻心
4 フィルム
5 巻取りステーション
6 スタンド
7 支持アーム
8 第1の軸線
9 第1の方向
10 回動軸線
11 第1のスライドユニット
12 機構
13 走行経路
14 アセンブリ
15 外嵌心棒
16 第2の軸線
17 第2のスライドユニット
18 第1の載置装置
19 第2の載置装置
20 第1の端部
21 第2の端部
22 周面
23 受取り部
【手続補正書】
【提出日】2024-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル(2)または巻心(3)を交換するための装置(1)であって、前記コイル(2)は、スリーブ状の巻心(3)と、該巻心(3)に巻き取られたフィルム(4)とを備え、前記装置(1)は、前記フィルム(4)を前記コイル(2)から繰り出すことができるかまたは前記巻心(3)に巻き取ることができる巻取りステーション(5)に対して定置に配置されており、前記装置(1)は、少なくとも1つのスタンド(6)と、該スタンド(6)に配置された支持アーム(7)とを有し、該支持アーム(7)は、水平方向に延びる第1の軸線(8)に沿って延在しており、前記コイル(2)または前記巻心(3)は、前記第1の軸線(8)に沿ってスライド可能に前記支持アーム(7)に配置可能であり、前記スタンド(6)は前記支持アーム(7)と共に前記巻取りステーション(5)に対して、鉛直な第1の方向(9)に沿って延びる回動軸線(10)を中心として少なくとも回動可能である、装置(1)。
【請求項2】
前記支持アーム(7)は、前記スタンド(6)に対して前記第1の軸線(8)に沿って変位可能である、請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
前記支持アーム(7)に配置された前記コイル(2)または前記巻心(3)を前記第1の軸線(8)に沿ってスライドさせるための第1のスライドユニット(11)を付加的に備える、請求項1記載の装置(1)。
【請求項4】
前記スタンド(6)は、前記巻取りステーション(5)に対して定置にまたは走行可能に配置されており、前記スタンド(6)を走行させるための機構(12)が、前記装置(1)の構成部材であり、前記スタンド(6)の走行経路(13)が、前記巻取りステーション(5)に対して不変である、請求項1記載の装置(1)。
【請求項5】
コイル(2)または巻心(3)を交換するためのアセンブリ(14)であって、前記コイル(2)は、スリーブ状の巻心(3)と、該巻心(3)に巻き取られたフィルム(4)とを備え、前記アセンブリ(14)は、請求項1記載の少なくとも1つの装置(1)と、前記巻取りステーション(5)とを備え、該巻取りステーション(5)は少なくとも1つの外嵌心棒(15)を有し、該外嵌心棒(15)は、水平方向に延びる第2の軸線(16)に沿って延在しており、前記コイル(2)または前記巻心(3)は、前記第2の軸線(16)に沿ってスライド可能に前記外嵌心棒(15)に配置可能であり、前記装置(1)の前記支持アーム(7)と前記外嵌心棒(15)とは、前記コイル(2)または前記巻心(3)を移送するために、互いに適切に配置可能である、アセンブリ(14)。
【請求項6】
前記外嵌心棒(15)に配置された前記コイル(2)または前記巻心(3)を前記第2の軸線(16)に沿ってスライドさせるための第2のスライドユニット(17)を付加的に備える、請求項5記載のアセンブリ(14)。
【請求項7】
前記アセンブリ(14)は、前記コイル(2)または前記巻心(3)用の第1の載置装置(18)を付加的に備え、該第1の載置装置(18)は、前記支持アーム(7)が、前記第1の軸線(8)に沿って行われる運動の範囲内で少なくとも前記スリーブ状の巻心(3)内に走入可能であるかまたは前記スリーブ状の巻心(3)から取出し可能であるように、前記装置(1)に対して配置されている、請求項5記載のアセンブリ(14)。
【請求項8】
前記アセンブリ(14)は、前記コイル(2)または前記巻心(3)用の第2の載置装置(19)を付加的に備え、前記第1の載置装置(18)は、少なくとも前記巻心(3)を受け取るために適切に形成されており、前記第2の載置装置(19)は、少なくとも前記コイル(2)を受け取るために適切に形成されている、請求項7記載のアセンブリ(14)。
【請求項9】
請求項5から8までのいずれか1項記載のアセンブリ(14)によってコイル(2)または巻心(3)を交換するための方法であって、出発状態では、前記コイル(2)または前記巻心(3)は、前記巻取りステーション(5)の前記外嵌心棒(15)に配置されており、前記出発状態から出発して、
a)前記支持アーム(7)を前記外嵌心棒(15)に向かって運動させ、これによって、前記コイル(2)または前記巻心(3)をスライドさせるべく、前記軸線(8,16)を互いに適切に配置するステップと、
b)前記コイル(2)または前記巻心(3)を前記外嵌心棒(15)から出発して前記軸線(8,16)に沿って前記装置(1)の前記支持アーム(7)に向かってスライドさせるステップと、
c)前記支持アーム(7)を前記コイル(2)または前記巻心(3)用の第1の載置装置(18)に向かって運動させるステップと、
d)前記コイル(2)または前記巻心(3)を前記第1の載置装置(18)に載置するステップと、
e)前記支持アーム(7)を前記巻心(3)または前記コイル(2)用の第2の載置装置(19)に向かって運動させるステップと、
f)前記支持アーム(7)に新たな巻心(3)またはコイル(2)を配置するステップと、
g)前記支持アーム(7)を前記外嵌心棒(15)に向かって運動させ、これによって、前記巻心(3)または前記コイル(2)をスライドさせるべく、前記軸線(8,16)を互いに適切に配置するステップと、
h)前記巻心(3)または前記コイル(2)を前記支持アーム(7)から出発して前記軸線(8,16)に沿って前記外嵌心棒(15)に向かってスライドさせるステップと、
i)前記巻取りステーション(5)を運転するステップと、前記巻心(3)にフィルム(4)を巻き取って前記コイル(2)を形成するステップまたは前記コイル(2)から前記フィルム(4)を繰り出すステップと
を少なくとも含む、方法。
【請求項10】
少なくともステップe)において、専ら前記支持アーム(7)を前記スタンド(6)に対して前記第1の軸線(8)に沿って変位させるかまたは少なくとも前記スタンド(6)を走行経路(13)に沿って走行させ、前記スタンド(6)を走行させるための機構(12)が、前記装置(1)の構成部材であり、前記スタンド(6)の前記走行経路(13)は、前記巻取りステーション(5)に対して不変である、請求項9記載の方法。
【外国語明細書】