(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025105306
(43)【公開日】2025-07-10
(54)【発明の名称】磁気センサ及び位置検出装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20250703BHJP
【FI】
G01D5/245 110A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223769
(22)【出願日】2023-12-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大山 裕樹
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA38
2F077AA43
2F077JJ03
2F077JJ09
2F077TT16
2F077WW06
(57)【要約】
【課題】磁気センサの小型化を図る。
【解決手段】磁気センサ1は、検出対象が所定方向D1に相対移動することで生じる磁界強度の変化に基づいて検出対象の位置を検出するように構成された磁気センサ1であって、検出対象の相対位置を検出するために所定方向D1に配列された相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、検出対象の原点を検出するために所定方向D1に配列された原点検出用の磁気抵抗素子群3と、を備える。相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、原点検出用の磁気抵抗素子群3と、がグランド端子61及び電源端子62の少なくとも一方を共有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象が所定方向に相対移動することで生じる磁界強度の変化に基づいて前記検出対象の位置を検出するように構成された磁気センサであって、
前記検出対象の相対位置を検出するために前記所定方向に配列された相対位置検出用の磁気抵抗素子群と、
前記検出対象の原点を検出するために前記所定方向に配列された原点検出用の磁気抵抗素子群と、を備え、
前記相対位置検出用の磁気抵抗素子群と、前記原点検出用の磁気抵抗素子群と、はグランド端子及び電源端子の少なくとも一方を共有している、
磁気センサ。
【請求項2】
前記原点検出用の磁気抵抗素子群を一対備え、
前記一対の原点検出用の磁気抵抗素子群の一方が、前記相対位置検出用の磁気抵抗素子群との間で前記グランド端子又は前記電源端子を共有している、
請求項1の磁気センサ。
【請求項3】
前記原点検出用の磁気抵抗素子群を一対備え、
前記一対の原点検出用の磁気抵抗素子群の一方が、前記相対位置検出用の磁気抵抗素子群との間で前記グランド端子を共有し、
前記一対の原点検出用の磁気抵抗素子群の他方が、前記相対位置検出用の磁気抵抗素子群との間で前記電源端子を共有している、
請求項1の磁気センサ。
【請求項4】
前記相対位置検出用の磁気抵抗素子群は、フルブリッジ回路を形成するように電気的に接続された4個の磁気抵抗素子で、構成されている、
請求項2又は3の磁気センサ。
【請求項5】
前記原点検出用の磁気抵抗素子群を一対備え、
前記所定方向に配列され、かつフルブリッジ回路を形成するように電気的に接続された8個の磁気抵抗素子で、前記相対位置検出用の磁気抵抗素子群と、前記一対の原点検出用の磁気抵抗素子群と、が構成されている、
請求項1の磁気センサ。
【請求項6】
前記8個の磁気抵抗素子は、それぞれミアンダ形状を有する、
請求項5の磁気センサ。
【請求項7】
前記フルブリッジ回路には、前記グランド端子が電気的に接続される1つの接地接続点と、前記電源端子が電気的に接続される1つの電源接続点と、が設けられている、
請求項6の磁気センサ。
【請求項8】
請求項1の磁気センサと、
N極及びS極が前記所定方向において交互に着磁された磁気スケールと、を備え、
前記磁気スケールが前記検出対象を構成する、
位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、磁気センサ及び位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気センサと、磁気スケールと、を備えた位置検出装置が、従来公知である。特許文献1には、この種の位置検出装置において、磁気スケールの原点を検出するための磁気抵抗素子群を更に備えることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した磁気センサでは、原点検出用の磁気抵抗素子群を更に備えるので、チップサイズが大型化しやすい。そのため、磁気センサひいては位置検出装置の小型化を図ることが困難であるという問題があった。
【0005】
本開示が解決しようとする課題は、磁気センサひいては位置検出装置の小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一様態に係る磁気センサは、検出対象が所定方向に相対移動することで生じる磁界強度の変化に基づいて前記検出対象の位置を検出するように構成された磁気センサであって、前記検出対象の相対位置を検出するために前記所定方向に配列された相対位置検出用の磁気抵抗素子群と、前記検出対象の原点を検出するために前記所定方向に配列された原点検出用の磁気抵抗素子群と、を備える。前記相対位置検出用の磁気抵抗素子群と、前記原点検出用の磁気抵抗素子群と、はグランド端子及び電源端子の少なくとも一方を共有している。
【0007】
本開示の一態様に係る位置検出装置は、前記磁気センサと、N極及びS極が前記所定方向において交互に着磁された磁気スケールと、を備える。前記磁気スケールが前記検出対象を構成する。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、磁気センサひいては位置検出装置の小型化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1Aは第1実施形態の位置検出装置の概略図であり、
図1Bは同上の位置検出装置において相対位置が変更された概略図である。
【
図2】
図2は、同上の位置検出装置が備える磁気センサの概略的な回路図である。
【
図3】
図3は、比較例の磁気センサの概略的な回路図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態の磁気センサの概略的な回路図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態の磁気センサの概略的な回路図である。
【
図7】
図7は、同上の磁気センサが備える複数の磁気抵抗素子の形状を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、第1実施形態の磁気センサ1及び位置検出装置9について、添付図面を参照して説明する。以下の実施形態等において参照する図は、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
1.第1実施形態
(位置検出装置)
図1A及び
図1Bに概略的に示されるように、第1実施形態の位置検出装置9は、磁気スケール8と、磁気センサ1と、を備える。
【0012】
磁気スケール8には、N極81及びS極82が所定方向D1において交互に着磁されている。所定方向D1において、隣接する2つのN極81の中心間の距離と、隣接する2つのS極82の中心間の距離と、は互いに同一である。
【0013】
(磁気センサ)
磁気センサ1は、検出対象が所定方向D1に相対移動することで生じる磁界強度の変化に基づいて、検出対象の位置を検出するように構成されている。第1実施形態の位置検出装置9では、磁気スケール8が、検出対象を構成する。
【0014】
第1実施形態の位置検出装置9において、磁気センサ1は、所定方向D1に長く形成されている。つまり、磁気センサ1の長手方向が所定方向D1である。
【0015】
磁気センサ1は、
図2に示される相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、原点検出用の磁気抵抗素子群3と、を備える。第1実施形態の位置検出装置9においては、磁気センサ1が、原点検出用の磁気抵抗素子群3を一対備えている。
【0016】
以下、一対の原点検出用の磁気抵抗素子群3のうち一方には符号3Aを付し、他方には符号3Bを付す。
【0017】
一対の原点検出用の磁気抵抗素子群3A,3Bは、所定方向D1において、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2を挟んだ両側に位置している。言い換えると、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2は、所定方向D1において、一対の原点検出用の磁気抵抗素子群3A,3Bの間に位置している。
【0018】
(相対位置検出用の磁気抵抗素子群)
相対位置検出用の磁気抵抗素子群2は、検出対象である磁気スケール8の相対位置を検出するために、所定方向D1に配列されている。
【0019】
詳細に述べると、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2は、所定方向D1に配列された複数の磁気抵抗素子41-44で、構成されている。複数の磁気抵抗素子41-44は、フルブリッジ回路を形成するように電気的に接続されている。第1実施形態の磁気センサ1において、複数の磁気抵抗素子41-44は、所定方向D1に配列された4個の磁気抵抗素子41-44である。4個の磁気抵抗素子41-44は、第1磁気抵抗素子41と、第2磁気抵抗素子42と、第3磁気抵抗素子43と、第4磁気抵抗素子44と、で構成されている。
【0020】
第1実施形態の磁気センサ1は、第1配線パターン51と、第2配線パターン52と、第3配線パターン53と、第4配線パターン54と、を備える。
【0021】
また、第1実施形態の磁気センサ1は、グランド端子61と、電源端子62と、第1出力端子63と、第2出力端子64と、を備える。
【0022】
第1磁気抵抗素子41、第2磁気抵抗素子42、第3磁気抵抗素子43及び第4磁気抵抗素子44は、フルブリッジ回路を構成している。具体的には、第1磁気抵抗素子41及び第2磁気抵抗素子42の直列回路と、第3磁気抵抗素子43及び第4磁気抵抗素子44の直列回路と、が互いに並列に接続されている。すなわち、4個の磁気抵抗素子41-44は、互いに直列に接続されている第1磁気抵抗素子41及び第2磁気抵抗素子42と、互いに直列に接続されている第3磁気抵抗素子43及び第4磁気抵抗素子44と、を含む。
【0023】
第1磁気抵抗素子41と第2磁気抵抗素子42との接続点P1は、第1配線パターン51を介してグランド端子61に接続されている。言い換えると、第1磁気抵抗素子41と第2磁気抵抗素子42との接続点P1が、接地接続点71である。
【0024】
第3磁気抵抗素子43と第4磁気抵抗素子44との接続点P2は、第2配線パターン52を介して電源端子62に接続されている。言い換えると、第3磁気抵抗素子43と第4磁気抵抗素子44との接続点P2が、電源接続点72である。
【0025】
第2磁気抵抗素子42と第4磁気抵抗素子44との接続点P3は、第3配線パターン53を介して第1出力端子63に接続されている。言い換えると、第2磁気抵抗素子42と第4磁気抵抗素子44との接続点P3が、第1出力接続点73である。
【0026】
第1磁気抵抗素子41と第3磁気抵抗素子43との接続点P4は、第4配線パターン54を介して第2出力端子64に接続されている。言い換えると、第1磁気抵抗素子41と第3磁気抵抗素子43との接続点P4が、第2出力接続点74である。
【0027】
(原点検出用の磁気抵抗素子群)
原点検出用の磁気抵抗素子群3A,3Bは、それぞれ、検出対象である磁気スケール8の原点を検出するために、所定方向D1に配列されている。
【0028】
詳細に述べると、原点検出用の磁気抵抗素子群3Aは、所定方向D1に配列された複数の磁気抵抗素子45,46で、構成されている。複数の磁気抵抗素子45,46は、電気的に直列に接続されている。
【0029】
第1実施形態の磁気センサ1において、複数の磁気抵抗素子45,46は、所定方向D1に配列された2個の磁気抵抗素子45,46である。2個の磁気抵抗素子45,46は、電気的に直列に接続された第5磁気抵抗素子45と第6磁気抵抗素子46とで構成されている。
【0030】
第5磁気抵抗素子45は、第6磁気抵抗素子46に電気的に接続される第1端部と、これとは反対側の第2端部と、を有する。第5磁気抵抗素子45の第2端部には、電源端子67が電気的に接続されている。
【0031】
第6磁気抵抗素子46は、第5磁気抵抗素子45に電気的に接続される第1端部と、これとは反対側の第2端部と、を有する。第6磁気抵抗素子46の第1端部は、第5磁気抵抗素子45の第1端部に対して、第5配線パターン55を介して電気的に接続されている。第5配線パターン55には、第3出力端子65が電気的に接続されている。第6磁気抵抗素子46の第2端部は、グランド端子61に対して電気的に接続されている。
【0032】
つまり、グランド端子61には、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2が電気的に接続され、かつ原点検出用の磁気抵抗素子群3Aが電気的に接続されている。
【0033】
より詳細に述べると、グランド端子61には、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2に含まれる第1磁気抵抗素子41と第2磁気抵抗素子42との接続点P1が、電気的に接続されている。加えて、グランド端子61には、原点検出用の磁気抵抗素子群3Aに含まれる第6磁気抵抗素子46が、電気的に接続されている。グランド端子61は、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、原点検出用の磁気抵抗素子群3Aと、で共有されている。
【0034】
原点検出用の磁気抵抗素子群3Bは、所定方向D1に配列された複数の磁気抵抗素子47,48で、構成されている。複数の磁気抵抗素子47,48は、電気的に直列に接続されている。
【0035】
第1実施形態の磁気センサ1において、複数の磁気抵抗素子47,48は、所定方向D1に配列された2個の磁気抵抗素子47,48である。2個の磁気抵抗素子47,48は、電気的に直列に接続された第7磁気抵抗素子47と第8磁気抵抗素子48とで構成されている。
【0036】
第7磁気抵抗素子47は、第8磁気抵抗素子48に電気的に接続される第1端部と、これとは反対側の第2端部と、を有する。第7磁気抵抗素子47の第2端部には、電源端子68が電気的に接続されている。
【0037】
第8磁気抵抗素子48は、第7磁気抵抗素子47に電気的に接続される第1端部と、これとは反対側の第2端部と、を有する。第8磁気抵抗素子48の第1端部は、第7磁気抵抗素子47の第1端部に対して、第6配線パターン56を介して電気的に接続されている。第6配線パターン56には、第4出力端子66が電気的に接続されている。第8磁気抵抗素子48の第2端部には、グランド端子69が電気的に接続されている。
【0038】
つまり、第1実施形態の磁気センサ1において、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2に電気的に接続されるグランド端子61と、原点検出用の磁気抵抗素子群3Bに電気的に接続されるグランド端子69と、は互いに独立して設けられている。
【0039】
第3出力端子65から出力される信号は、第1出力端子63や第2出力端子64から出力される信号に近い信号となるが、磁気スケール8の一端部の存在に起因した成分を含む。そのため、第1出力端子63や第2出力端子64からの出力信号と、第3出力端子65からの出力信号との差分を取ることで、磁気スケール8の一端部の存在を検出することが可能である。同様に、第1出力端子63や第2出力端子64からの出力信号と、第4出力端子66からの出力信号との差分を取ることで、磁気スケール8の別端部の存在を検出することが可能である。
【0040】
(端子の共有)
上記したように、第1実施形態の磁気センサ1において、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、これに隣接して位置する原点検出用の磁気抵抗素子群3Aと、はグランド端子61を共有している。
【0041】
そのため、第1実施形態の磁気センサ1には、9個の端子61-69が設けられている。9個の端子61-69は、グランド端子61、電源端子62、第1出力端子63、第2出力端子64、第3出力端子65、第4出力端子66、電源端子67、電源端子68及びグランド端子69である。
【0042】
図3には、比較例を示している。比較例において、第1実施形態と同様の構成については同一符号が付されている。比較例の磁気センサ1では、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、原点検出用の磁気抵抗素子群3Aと、の間でグランド端子61が共有されていない。原点検出用の磁気抵抗素子群3Aに含まれる第6磁気抵抗素子46の第2端部には、グランド端子61とは別のグランド端子60が電気的に接続されている。変形例の磁気センサ1には、10個の端子60-69が設けられている。
【0043】
上記の比較例との対比から明らかなように、第1実施形態の磁気センサ1のように、原点検出用の磁気抵抗素子群3A,3Bの一方(ここでは磁気抵抗素子群3A)が、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2との間でグランド端子61を共有することで、端子数が1個減じられる。そのため、第1実施形態の磁気センサ1によれば、チップサイズの小型化が可能となり、磁気センサ1の小型化、ひいては位置検出装置9の小型化が可能となる。
【0044】
2.第2実施形態
第2実施形態の位置検出装置9及び磁気センサ1について、
図4及び
図5に基づいて説明する。第2実施形態の位置検出装置9及び磁気センサ1では、磁気センサ1が備える相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、原点検出用の磁気抵抗素子群3Bと、の間で電源端子62を共有しており、この点で、第1実施形態の位置検出装置9及び磁気センサ1とは相違する。
【0045】
上記の相違点以外については、第2実施形態の位置検出装置9及び磁気センサ1は第1実施形態と同様の構成を備える。第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0046】
図4に示されるように、第3実施形態の磁気センサ1において、第7磁気抵抗素子47は、第8磁気抵抗素子48に電気的に接続される第1端部と、これとは反対側の第2端部と、を有し、第7磁気抵抗素子47の第2端部は、電源端子62に対して電気的に接続されている。
【0047】
つまり、電源端子62には、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2が電気的に接続され、かつ原点検出用の磁気抵抗素子群3Bが電気的に接続されている。
【0048】
より詳細に述べると、電源端子62には、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2に含まれる第3磁気抵抗素子43と第4磁気抵抗素子44との接続点P2が、電気的に接続されている。加えて、電源端子62には、原点検出用の磁気抵抗素子群3Bに含まれる第7磁気抵抗素子47が、電気的に接続されている。電源端子62は、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、原点検出用の磁気抵抗素子群3Bと、で共有されている。
【0049】
つまり、第2実施形態の磁気センサ1では、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、原点検出用の磁気抵抗素子群3Aと、でグランド端子61が共有され、かつ相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、原点検出用の磁気抵抗素子群3Bと、で電源端子62が共有されている。
【0050】
そのため、例えば
図3に示される比較例と対比した場合に、端子数が2個減じられる。
【0051】
図5には、第2実施形態の磁気センサ1の外観が示されている。第2実施形態の磁気センサ1は、所定方向D1を長手方向とした支持基板10と、支持基板10の表面に設けられた複数の電極11-18と、を備える。支持基板10は、例えば、セラミック基板である。複数の電極11-18の材料は、例えば、CuNi(銅ニッケル)系合金である。
【0052】
複数の電極11-18は、8個の電極11-18である。8個の電極11-18は、
図4に示される8個の端子61-67,69に対して一対一で電気的に接続されている。8個の端子61-67,69は、グランド端子61、電源端子62、第1出力端子63、第2出力端子64、第3出力端子65、第4出力端子66、電源端子67及びグランド端子69である。
【0053】
第2実施形態の磁気センサ1によれば、チップサイズの小型化が可能となり、磁気センサ1の小型化、ひいては位置検出装置9の小型化が可能となる。
【0054】
3.第3実施形態
第3実施形態の位置検出装置9及び磁気センサ1について、
図6から
図8に基づいて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0055】
第3実施形態の磁気センサ1においても、所定方向D1に配列された8個の磁気抵抗素子41-48を備えており、これら8個の磁気抵抗素子41-48によって、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、一対の原点検出用の磁気抵抗素子群3A,3Bと、が構成されている。
【0056】
第3実施形態の磁気センサ1においては、8個の磁気抵抗素子41-48が、フルブリッジ回路を形成するように電気的に接続されている。
【0057】
8個の磁気抵抗素子41-48は、所定方向D1に配列された4個の磁気抵抗素子41-44と、所定方向D1において4個の磁気抵抗素子41-44を挟んだ両側に位置する二対の磁気抵抗素子45-48と、で構成されている。
【0058】
4個の磁気抵抗素子41-44は、第1磁気抵抗素子41、第2磁気抵抗素子42、第3磁気抵抗素子43及び第4磁気抵抗素子44であり、この順で所定方向D1に配列されている。一対の磁気抵抗素子45,46は、第5磁気抵抗素子45及び第6磁気抵抗素子46であり、この順で所定方向D1に配列されている。第6磁気抵抗素子46は、所定方向D1において第1磁気抵抗素子41と隣接して配列されている。もう一対の磁気抵抗素子47,48は、第7磁気抵抗素子47及び第8磁気抵抗素子48であり、この順で所定方向D1に配列されている。第7磁気抵抗素子47は、所定方向D1において第4磁気抵抗素子44と隣接して配列されている。つまり、第5磁気抵抗素子45、第6磁気抵抗素子46、第1磁気抵抗素子41、第2磁気抵抗素子42、第3磁気抵抗素子43、第4磁気抵抗素子44、第7磁気抵抗素子47及び第8磁気抵抗素子48が、この順で所定方向D1に配列されている。
【0059】
4個の磁気抵抗素子41-44においては、第1磁気抵抗素子41と第3磁気抵抗素子43とが電気的に接続され、第2磁気抵抗素子42と第4磁気抵抗素子44とが電気的に接続されている。
【0060】
また、第1磁気抵抗素子41は、第5磁気抵抗素子45に電気的に接続され、第2磁気抵抗素子42は、第6磁気抵抗素子46に電気的に接続されている。第5磁気抵抗素子45と第6磁気抵抗素子46とが電気的に接続されている。
【0061】
第3磁気抵抗素子43は、第7磁気抵抗素子47に電気的に接続され、第4磁気抵抗素子44は、第8磁気抵抗素子48に電気的に接続されている。第7磁気抵抗素子47と第8磁気抵抗素子48とが電気的に接続されている。
【0062】
これら8個の磁気抵抗素子41-48を含むフルブリッジ回路には、接地接続点71と、電源接続点72と、第1出力接続点73と、第2出力接続点74と、第3出力接続点75と、第4出力接続点76と、が設けられている。
【0063】
接地接続点71には、グランド端子61が電気的に接続されている。接地接続点71は、第5磁気抵抗素子45と第6磁気抵抗素子46との接続点P5で、構成されている。
【0064】
電源接続点72には、電源端子62が電気的に接続されている。電源接続点72は、第7磁気抵抗素子47と第8磁気抵抗素子48との接続点P6で、構成されている。
【0065】
第1出力接続点73には、第1出力端子63が電気的に接続されている。第1出力接続点73は、第2磁気抵抗素子42と第4磁気抵抗素子44との接続点P3で、構成されている。
【0066】
第2出力接続点74には、第2出力端子64が電気的に接続されている。第2出力接続点74は、第1磁気抵抗素子41と第3磁気抵抗素子43との接続点P4で、構成されている。
【0067】
第3出力接続点75には、原点検出用の第3出力端子65が電気的に接続されている。第3出力接続点75は、第1磁気抵抗素子41と第5磁気抵抗素子45との接続点P7で、構成されている。
【0068】
第4出力接続点76には、原点検出用の第4出力端子66が電気的に接続されている。第4出力接続点76は、第4磁気抵抗素子44と第8磁気抵抗素子48との接続点P8で、構成されている。
【0069】
第3実施形態の磁気センサ1では、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2及び原点検出用の磁気抵抗素子群3A,3Bで、グランド端子61及び電源端子62がそれぞれ共有されている。そのため、例えば
図3に示される比較例と対比した場合に、端子数が4個減じられる。
【0070】
図8には、第3実施形態の磁気センサ1の外観が示されている。第3実施形態の磁気センサ1は、支持基板10の表面に設けられた6個の電極11-16を備える。6個の電極11-16の材料は、例えば、CuNi(銅ニッケル)系合金である。
【0071】
6個の電極11-16は、
図7に示される6個の端子61-66に対して一対一で電気的に接続されている。6個の端子61-66は、グランド端子61、電源端子62、第1出力端子63、第2出力端子64、第3出力端子65及び第4出力端子66である。
【0072】
第3実施形態の磁気センサ1によれば、チップサイズの小型化が可能となり、磁気センサ1の小型化、ひいては位置検出装置9の小型化が可能となる。
【0073】
複数の磁気抵抗素子41-48はそれぞれ、ミアンダ形状に形成されていることが好ましい。
図7に示されるように、第3実施形態の磁気センサ1において、8個の磁気抵抗素子41-48は、平面視においてそれぞれミアンダ形状に形成されている。
【0074】
ミアンダ形状を有する第1から第4磁気抵抗素子41―44は、均一幅の隙間を介して所定方向D1に配列されている。同様に、ミアンダ形状を有する第5及び第6磁気抵抗素子45,46は、均一幅の隙間を介して所定方向D1に配列されており、ミアンダ形状を有する第7及び第8磁気抵抗素子47,48は、均一幅の隙間を介して所定方向D1に配列されている。第6磁気抵抗素子46及び第1磁気抵抗素子41は、比較的大きな幅の隙間を介して所定方向D1に配列され、第4磁気抵抗素子44及び第7磁気抵抗素子47は、比較的大きな幅の隙間を介して所定方向D1に配列されている。第6磁気抵抗素子46及び第1磁気抵抗素子41の間の所定方向D1の幅と、第7磁気抵抗素子47及び第4磁気抵抗素子44の間の所定方向D1の幅と、は同一である。
【0075】
第1及び第2実施形態においても、複数の磁気抵抗素子41-48はそれぞれ、ミアンダ形状に形成されていることが好ましい。なお、これら複数の磁気抵抗素子41-48を、ミアンダ形状以外の形状に設けることも可能である。
【0076】
4.変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つにすぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用することが可能である。
【0077】
第1実施形態の磁気センサ1では、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、原点検出用の磁気抵抗素子群3Aと、でグランド端子61を共有しているが、共有する端子はこれに限定されない。例えば、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、原点検出用の磁気抵抗素子群3Aと、で電源端子62を共有することも可能である。
【0078】
第2実施形態の磁気センサ1では、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、原点検出用の磁気抵抗素子群3Aと、でグランド端子61を共有し、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、原点検出用の磁気抵抗素子群3Bと、で電源端子62を共有しているが、共有する端子はこれに限定されない。例えば、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、原点検出用の磁気抵抗素子群3Aと、で電源端子62を共有し、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、原点検出用の磁気抵抗素子群3Bと、でグランド端子61を共有することも可能である。相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、原点検出用の磁気抵抗素子群3Aと、ではグランド端子61及び電源端子62のいずれも共有せず、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、原点検出用の磁気抵抗素子群3Bと、でグランド端子61及び電源端子62の少なくとも一方を共有することも可能である。また、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、原点検出用の磁気抵抗素子群3Bと、ではグランド端子61及び電源端子62のいずれも共有せず、相対位置検出用の磁気抵抗素子群2と、原点検出用の磁気抵抗素子群3Aと、でグランド端子61及び電源端子62の少なくとも一方を共有することも可能である。
【0079】
上記の実施形態では、検出対象の原点を検出するための磁気抵抗素子群3として、一対の原点検出用の磁気抵抗素子群3A,3Bを備えているが、磁気抵抗素子群3を1つだけ備えることも可能である。例えば、第1実施形態の磁気センサ1において、検出対象の原点を検出するための磁気抵抗素子群3として、原点検出用の磁気抵抗素子群3Aだけを備えることも可能である。
【0080】
5.まとめ
上記の実施形態及び変形例に基づいて説明したように、第1態様の磁気センサ(1)は、検出対象が所定方向(D1)に相対移動することで生じる磁界強度の変化に基づいて検出対象の位置を検出するように構成された磁気センサ(1)であって、検出対象の相対位置を検出するために所定方向(D1)に配列された相対位置検出用の磁気抵抗素子群(2)と、検出対象の原点を検出するために所定方向(D1)に配列された原点検出用の磁気抵抗素子群(3)と、を備える。相対位置検出用の磁気抵抗素子群(2)と、原点検出用の磁気抵抗素子群(3)と、はグランド端子(61)及び電源端子(62)の少なくとも一方を共有している。
【0081】
この態様によれば、相対位置検出用の磁気抵抗素子群(2)と、原点検出用の磁気抵抗素子群(3)と、でグランド端子(61)及び電源端子(62)の少なくとも一方が共有されるので、チップサイズの小型化を図ることができる。そのため、磁気センサ(1)の小型化を図ることができる。
【0082】
第2態様の磁気センサ(1)は、第1態様において、原点検出用の磁気抵抗素子群(3)を一対備える。一対の原点検出用の磁気抵抗素子群(3)の一方が、相対位置検出用の磁気抵抗素子群(2)との間でグランド端子(61)又は電源端子(62)を共有している。
【0083】
この態様によれば、一対の原点検出用の磁気抵抗素子群(3)を利用して、検出対象の原点を検出することができ、しかも、磁気センサ(1)が大型化することは抑えることができる。
【0084】
第3態様の磁気センサ(1)は、原点検出用の磁気抵抗素子群(3)を一対備える。一対の原点検出用の磁気抵抗素子群(3)の一方が、相対位置検出用の磁気抵抗素子群(2)との間でグランド端子(61)を共有している。一対の原点検出用の磁気抵抗素子群(3)の他方が、相対位置検出用の磁気抵抗素子群(2)との間で電源端子(62)を共有している。
【0085】
この態様によれば、一対の原点検出用の磁気抵抗素子群(3)を利用して、検出対象の原点を検出することができ、しかも、磁気センサ(1)の大型化は抑えることができる。
【0086】
第4態様の磁気センサ(1)では、第2又は第3態様において、相対位置検出用の磁気抵抗素子群(2)は、フルブリッジ回路を形成するように電気的に接続された4個の磁気抵抗素子(41-44)で、構成されている。
【0087】
第5態様の磁気センサ(1)は、原点検出用の磁気抵抗素子群(3)を一対備える。所定方向(D1)に配列され、かつフルブリッジ回路を形成するように電気的に接続された8個の磁気抵抗素子(41-48)で、相対位置検出用の磁気抵抗素子群(2)と、一対の原点検出用の磁気抵抗素子群(3)と、が構成されている。
【0088】
この態様によれば、8個の磁気抵抗素子(41-48)を利用して、相対位置を精度よく検出することができ、しかも、磁気センサ(1)が大型化することは抑えることができる。
【0089】
第6態様の磁気センサ(1)では、第5態様において、8個の磁気抵抗素子(41-48)は、それぞれミアンダ形状を有する。
【0090】
この態様によれば、磁気抵抗素子(41-48)の有効長を、限られた範囲内で増大させることができる。
【0091】
第7態様の磁気センサ(1)では、第6態様において、フルブリッジ回路には、グランド端子(61)が電気的に接続される1つの接地接続点(71)と、電源端子(62)が電気的に接続される1つの電源接続点(72)と、が設けられている。
【0092】
この態様によれば、フルブリッジ回路に接続される接地接続点(71)及び電源接続点(72)がそれぞれ1つなので、磁気センサ(1)の大型化を抑えることができる。
【0093】
第8態様の位置検出装置(9)は、第1から第7態様のいずれか1つの磁気センサ(1)と、N極(81)及びS極(82)が所定方向において交互に着磁された磁気スケール(8)と、を備える。磁気スケール(8)が検出対象を構成する。
【0094】
この態様によれば、相対位置検出用の磁気抵抗素子群(2)と、原点検出用の磁気抵抗素子群(3)と、でグランド端子(61)及び電源端子(62)の少なくとも一方が共有されるので、チップサイズの小型化を図ることができる。そのため、磁気センサ(1)ひいては位置検出装置(9)の小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0095】
1 磁気センサ
2 相対位置検出用の磁気抵抗素子群
3 原点検出用の磁気抵抗素子群
41 磁気抵抗素子(第1磁気抵抗素子)
42 磁気抵抗素子(第2磁気抵抗素子)
43 磁気抵抗素子(第3磁気抵抗素子)
44 磁気抵抗素子(第4磁気抵抗素子)
45 磁気抵抗素子(第5磁気抵抗素子)
46 磁気抵抗素子(第6磁気抵抗素子)
47 磁気抵抗素子(第7磁気抵抗素子)
48 磁気抵抗素子(第8磁気抵抗素子)
61 グランド端子
62 電源端子
71 接地接続点
72 電源接続点
8 磁気スケール
81 N極
82 S極
9 位置検出装置