(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010541
(43)【公開日】2025-01-21
(54)【発明の名称】二酸化炭素を使用するエタンの酸化脱水素
(51)【国際特許分類】
C07C 5/48 20060101AFI20250110BHJP
C07C 11/04 20060101ALI20250110BHJP
B01J 3/00 20060101ALI20250110BHJP
A62D 3/172 20070101ALN20250110BHJP
【FI】
C07C5/48
C07C11/04
B01J3/00 B
A62D3/172
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024187462
(22)【出願日】2024-10-24
(62)【分割の表示】P 2023006446の分割
【原出願日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】62/550,990
(32)【優先日】2017-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】312000387
【氏名又は名称】8 リバーズ キャピタル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100227329
【弁理士】
【氏名又は名称】延原 愛
(72)【発明者】
【氏名】ボーシャン,ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】リュ,キシジア
(72)【発明者】
【氏名】ラファティ,モハマド
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AA04
4H006AC12
4H006AD17
4H006BC10
4H006BC51
4H006BC52
4H006BD33
4H006BD34
4H006BD51
4H006BD52
4H006BD82
4H006BE41
(57)【要約】
【課題】穏やかな酸化剤として二酸化炭素を利用する、エタンの脱水素による化学品生産に適切な方法およびシステムを提供する。
【解決手段】エタンおよび二酸化炭素は触媒反応器中で反応して、少なくともエチレンおよび二酸化炭素を含む反応生成物流を生成する。二酸化炭素は、触媒反応器中へ戻されて再循環されるために分離され得、エチレンは様々なプロセスユニットを使用して改良され得る。反応生成物流からの熱は、触媒反応器で必要とされる追加の加熱の量を低減することを含む、さらなる使用のために再循環され得る。一酸化炭素、水素、合成ガス、メタノール、メタン、エタン、およびさらにはより重い炭化水素などの追加の材料が提供され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学品生産のための方法であって、前記方法は、
提供される二酸化炭素の量が、炭化水素との完全な反応のために化学量論的に必要な量を超えるようなモル比で、前記炭化水素および二酸化炭素を反応器中へ提供することと、
触媒の存在下において前記反応器中で前記炭化水素を前記二酸化炭素と反応させて、オレフィン、水、および二酸化炭素を含む反応生成物流を形成することと、
前記反応生成物流を一次熱交換器に通してそこから熱を取り出すことと、
前記反応生成物流中に存在する水および随意に任意のさらなる凝縮物を除去することと、
前記反応生成物流を少なくとも20バールの圧力に圧縮することと、
分離ユニット中で前記反応生成物流から二酸化炭素を分離して前記オレフィンを含む改良流を提供することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記反応生成物流から取り出された熱を使用して前記反応生成物流から分離された二酸化炭素の少なくとも一部を加熱して加熱された二酸化炭素流を形成することと、
前記加熱された二酸化炭素流を前記反応器中へ戻して再循環させることと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱された二酸化炭素流を前記反応器中へ戻して再循環させることは、
前記加熱された二酸化炭素流を前記反応器に直接注入すること、
前記加熱された二酸化炭素流を二酸化炭素源に注入すること、
前記加熱された二酸化炭素流を、二酸化炭素源から前記反応器へ二酸化炭素を送達する二酸化炭素ラインに注入すること、
前記加熱された二酸化炭素流を前記炭化水素の源に注入すること、および
前記加熱された二酸化炭素流を、前記炭化水素の源から前記反応器へ前記炭化水素を送達する炭化水素ラインに注入すること
のうち1つ以上を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記加熱された二酸化炭素流の少なくとも一部は、前記加熱された二酸化炭素流から、前記反応器中へ通される1つ以上の流れへの熱伝達のために構成されたラインヒータに通される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記反応器は、固定床反応器触媒反応器または流動床触媒反応器である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記反応生成物流は、500℃~800℃の温度にある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記反応生成物流は、前記反応器を出る反応生成物の全質量に基づいて、10~60質量%の二酸化炭素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記一次熱交換器は、移送ライン交換器(TLE)である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記一次熱交換器を出る反応生成物流は、200℃~400℃の温度にある、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記反応生成物中に存在する水および随意に任意のさらなる凝縮物を除去することは、前記反応生成物流を凝縮ユニットに通すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記反応生成物流から取り出された熱を使用して前記反応生成物流から分離された二酸化炭素の少なくとも一部を加熱することは、二酸化炭素を、前記反応生成物流から取り出された熱を使用して前記一次熱交換器中で加熱される循環流に接する二次熱交換器に通すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記一次熱交換器中で前記反応生成物流から取り出された熱の一部は、
前記反応器、
二酸化炭素源、
前記二酸化炭素源から前記反応器へ二酸化炭素を送達する二酸化炭素ライン、
前記炭化水素の源、および
前記炭化水素の源から前記反応器へ前記炭化水素を送達する炭化水素ライン
のうち1つ以上を加熱するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記一次熱交換器中で前記反応生成物流から取り出された熱の一部は、電力生産のために作動流が繰り返し圧縮および膨張される閉ループまたは半開ループ電力生産システムにおける発電用の加圧水蒸気流および加圧CO2流の一方または両方を加熱するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記一次熱交換器中で前記反応生成物流から取り出された熱の一部は、前記反応器に注入される水蒸気流を加熱するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、前記オレフィンを含む改良流を処理して少なくとも1つの化学生成物を提供することをさらに含み、前記処理は、
前記オレフィンを含む改良流を吸着器に通して、前記オレフィンを含む改良流の中の任意の水を吸着するステップ、
前記オレフィンを含む改良流を冷凍ユニットに通して、前記オレフィンを含む改良流を-50℃未満の温度に冷却するステップ、
前記オレフィンを含む改良流を脱メタンユニットに通すステップ、および
前記オレフィンを含む改良流を脱エタンユニットに通すステップ
のうち1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
水蒸気を前記反応器に注入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記炭化水素は、エタン、プロパン、およびブタンのうち1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
化学品生産のためのシステムであって、前記システムは、
450℃以上の温度で炭化水素を二酸化炭素と反応させて、少なくとも二酸化炭素およびオレフィンを含む反応生成物流を形成するために構成された触媒反応器と、
前記触媒反応器中への前記炭化水素の送達のために構成された炭化水素ラインと、
前記触媒反応器中への二酸化炭素の送達のために構成された二酸化炭素ラインと、
前記触媒反応器から前記反応生成物流を受け取ってそこから熱を取り出すように構成された一次熱交換器と、
水および随意に他の凝縮物の前記反応生成物流からの除去のために構成された気液分離ユニットと、
前記反応生成物流を少なくとも20バールの圧力に圧縮するために構成されたコンプレッサと、
圧縮の少なくとも1つの段階の後に前記反応生成物流を受け取り、前記反応生成物流からの二酸化炭素の少なくとも一部を分離して前記少なくとも1つのオレフィンを含む改良流を提供するために構成された二酸化炭素分離ユニットと、
前記一次熱交換器中で前記反応生成物流から取り出された熱の少なくとも一部で加熱されながら、前記二酸化炭素分離ユニット中で前記反応生成物流から分離された二酸化炭素の少なくとも一部を前記反応器へ送達するために構成されたラインと、
を含む、システム。
【請求項19】
前記システムは、二次熱交換器を含み、前記二酸化炭素分離ユニット中で前記反応生成物流から分離された二酸化炭素の少なくとも一部を前記反応器へ送達するために構成されたラインは、加熱のために、前記一次熱交換器からの加熱された循環流を通すラインに接する二次熱交換器を通る、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記炭化水素の送達のために構成された炭化水素ラインおよび前記二酸化炭素の送達のために構成された二酸化炭素ラインの一方または両方を加熱するために構成されたラインヒータを含み、かつ、前記一次熱交換器から前記ラインヒータへ加熱流を送達するために構成された1つ以上のラインを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
熱伝達のために、前記一次熱交換器から、
前記反応器、
二酸化炭素源、および
前記炭化水素の源
のうち1つ以上へ加熱流を送達するために構成された1つ以上のラインを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記システムは、前記反応器を加熱するために構成された熱エネルギー源を含み、前記熱エネルギー源は、集光型太陽エネルギーヒータ、燃焼ヒータ、および外部工業熱源のうち1つ以上を含む、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学品生産プロセスを提供する。具体的には、本開示は、酸化剤としてCO2を利用する化学変換プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの化学変換プロセスは、非常に大量のエネルギーを消費し、様々な汚染物質の供給源でもあり得る。例えば、エチレンを発生させるための既知の方法は、エタンまたはナフサの水蒸気分解を含み、そのようなプロセスは、世界のエネルギー生産の1%も消費することが知られている。プロセスは、著しい二酸化炭素の放出ももたらす。加えて、分解プロセスで使用される触媒の(ブードア反応を介する)炭素コーキングは、触媒の失活をもたらし得、プロセスのコストをさらに上昇させ得る。したがって、当該技術分野において、さらなる化学変換プロセスに対するニーズが依然として存在する。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、エタン(C2H6)を出発物質として利用する化学品生産プロセスに関する。例えば、本開示は、エタンを出発物質として利用するエチレン(C2H4)の生産を提供し得る。本プロセスは、化学品生産のエネルギー必要量を低減し得、触媒失活を防止し得、二酸化炭素(CO2)を(生成する代わりに)消費し得、(例えば、水性ガスシフト反応を介して)水素ガスおよび/または(逆水性ガスシフトに続くメタノール合成を介して)メタノールなどの、他の有益な商品材料を発生させ得る。
【0004】
1つ以上の実施形態では、本開示の方法は、エタンの酸化脱水素(ODH)を行うための穏やかな酸化剤として二酸化炭素を利用し得、したがってエタンCO2分解を通じるエチレンの生産を達成し得る。方法は、エタンおよび二酸化炭素を好適な反応器中へ提供すること、ならびに好適な熱源(例えば、集光型太陽エネルギー、燃焼、地熱、または工業熱源)から供給される熱を利用することを含み得る。エタンおよび二酸化炭素の一方または両方は、反応器中へ通る前に、熱交換器を通ることになどよって加熱され得、これは変換方法のさらなる段階から回収された廃熱を利用してよい。反応器中のエタンの酸化脱水素(ODH)は、エチレン、未変換エタン、二酸化炭素、一酸化炭素(CO)、水素(H2)、メタン(CH4)、水(H2O)、ならびに使用される触媒および全体の反応条件に依存しておそらく微量のより重い炭化水素を含む、多数の生成物をもたらし得る。
【0005】
有利には、反応条件は、反応生成物の所望の比率に反応を促すように最適化され得る。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン、一酸化炭素、および水が、一次反応生成物として存在し得る。そのような実施形態では、エチレンを単離するために、およびメタノールなどのさらなる材料の形成に残りの反応生成物を利用するために、様々な分離技術および変換技術が反応生成物に適用され得る。好ましい実施形態では、ODH反応は、反応生成物がより多くの反応生成物を含むように実行され得る。本明細書にさらに記載されるように、より複雑な反応生成物の混合物は、その後、所望の商品を単離し、熱を回収し、かつさらなる反応のために化学品を再循環させるために、さらに処理され得る。
【0006】
1つ以上の実施形態では、本開示は、具体的には、エタンからの化学品生産のための方法を提供し得る。例示的実施形態では、そのような方法は、提供される二酸化炭素の量が、エタンとの完全な反応のために化学量論的に必要な量を超えるようなモル比で、エタンおよび二酸化炭素を反応器中へ提供することと、触媒存在下、反応器中でエタンを二酸化炭素と反応させて、約450℃以上の温度で少なくともエチレンおよび二酸化炭素を含む反応生成物流を形成することと、反応生成物流を一次熱交換器に通してそこから熱を取り出すことと、反応生成物流中に存在する水および随意に任意のさらなる凝縮物を除去することと、反応生成物流を少なくとも20バールの圧力に圧縮することと、分離ユニット中で反応生成物流から二酸化炭素を分離して改良エチレン流を提供することと、反応生成物流から取り出された熱を使用して反応生成物流から分離された二酸化炭素の少なくとも一部を加熱して、加熱された二酸化炭素流を形成することと、加熱された二酸化炭素流を反応器中へ戻して再循環させることと、改良エチレン流をさらに処理して、生成された化学品として少なくともエチレンを提供することとを含み得る。さらなる実施形態では、方法は、以下の記述の1つ以上によって特徴付けられ得、それらは任意の順序または数で組み合わされ得る。
【0007】
反応器は、固定床反応器触媒反応器または流動床触媒反応器であり得る。
【0008】
反応生成物流は、約500℃~約800℃の温度であり得る。
【0009】
反応生成物流は、反応器を出る反応生成物の全質量に基づいて少なくとも10質量%の二酸化炭素を含み得る。
【0010】
反応生成物流は、反応器を出る反応生成物の全質量に基づいて、約10質量%~約60質量%の二酸化炭素を含み得る。
【0011】
一次熱交換器は、移送ライン交換器(TLE)であり得る。
【0012】
一次熱交換器を出る反応生成物流は、約200℃~約400℃の温度にあり得る。
【0013】
反応生成物流中の水および随意に任意のさらなる凝縮物を除去することは、反応生成物流を凝縮ユニットに通すことを含み得る。
【0014】
反応生成物流は、凝縮ユニット中でほぼ周囲温度に冷却され得る。
【0015】
反応生成物流から取り出された熱を使用して反応生成物流から分離された二酸化炭素の少なくとも一部を加熱することは、二酸化炭素を、反応生成物流から取り出された熱を使用して一次熱交換器中で加熱される循環流に接する二次熱交換器に通すことを含み得る。
【0016】
加熱された二酸化炭素流を反応器中へ戻して再循環させることは、以下:加熱された二酸化炭素流を反応器に直接注入すること、加熱された二酸化炭素流を二酸化炭素源に注入すること、加熱された二酸化炭素流を、二酸化炭素源から反応器へ二酸化炭素を送達するラインに注入すること、加熱された二酸化炭素流をエタン源に注入すること、加熱された二酸化炭素流を、エタン源から反応器へエタンを送達するラインに注入することの1つ以上を含み得る。
【0017】
加熱された二酸化炭素流の少なくとも一部は、加熱された二酸化炭素流から、反応器中へ通される1つ以上の流れへの熱伝達のために構成されたラインヒータに通され得る。
【0018】
一次熱交換器中で反応生成物流から取り出された熱の一部は、以下:反応器、二酸化炭素源、二酸化炭素源から反応器へ二酸化炭素を送達する二酸化炭素ライン、エタン源、エタン源から反応器へエタンを送達するエタンラインの1つ以上を加熱するために使用され得る。
【0019】
一次熱交換器中で反応生成物流から取り出された熱の一部は、電力生産のために作動流が繰り返し圧縮および膨張される閉ループまたは半開ループ電力生産システムにおける発電用の加圧水蒸気流および加圧CO2流の一方または両方を加熱するために使用され得る。
【0020】
一次熱交換器中で反応生成物流から取り出された熱の一部は、反応器に注入される水蒸気流を加熱するために使用され得る。
【0021】
改良エチレン流をさらに処理することは、以下:改良エチレン流を吸着器に通して改良エチレン流中の任意の水を吸着するステップ、改良エチレン流を冷凍ユニットに通して改良エチレン流を-50℃未満の温度に冷却するステップ、改良エチレン流を脱メタンユニットに通すステップ、改良エチレン流を脱エタンユニットに通すステップ、脱エタン装置からのエタンおよびエチレンの混合物をC2スプリッタユニット中へ通すステップの1つ以上を含み得る。
【0022】
本方法は、水蒸気を反応器に注入することを含み得る。
【0023】
1つ以上の実施形態では、本開示は、エタンからの化学品生産のためのシステムに関し得る。例示的実施形態では、そのようなシステムは、約450℃以上の温度でエタンを二酸化炭素と反応させて、少なくともエチレンおよび二酸化炭素を含む反応生成物流を形成するために構成された触媒反応器、触媒反応器中へのエタンの送達のために構成されたエタンライン、触媒反応器中への二酸化炭素の送達のために構成された二酸化炭素ライン、触媒反応器から反応生成物流を受け取ってそこから熱を取り出すように構成された一次熱交換器、水および随意に他の凝縮物の反応生成物流からの除去のために構成された気液分離ユニット、反応生成物を少なくとも20バールの圧力に圧縮するために構成されたコンプレッサ、一次熱交換器の下流で反応生成物流を受け取り、反応生成物流から二酸化炭素の少なくとも一部を分離して改良エチレン流を提供するために構成された二酸化炭素分離ユニット、一次熱交換器中で反応生成物流から取り出された熱の少なくとも一部で加熱されながら、二酸化炭素分離ユニット中で反応生成物流から分離された二酸化炭素の少なくとも一部を反応器へ送達するために構成されたラインを含み得る。さらなる実施形態では、システムは、以下の記述の1つ以上によって特徴付けられ得、それらの記述は任意の順序または数で組み合わされ得る。
【0024】
システムは二次熱交換器を含み得、二酸化炭素分離ユニット中で反応生成物流から分離された二酸化炭素の少なくとも一部を反応器へ送達するために構成されたラインは、加熱のために、一次熱交換器からの加熱された循環流を通すラインに接する二次熱交換器を通り得る。
【0025】
システムは、エタンラインおよび二酸化炭素ラインの一方または両方を加熱するために構成されたラインヒータを含み得る。
【0026】
システムは、一次熱交換器からラインヒータへ加熱流を送達するために構成された1つ以上のラインを含み得る。
【0027】
システムは、熱伝達のために、一次熱交換器から、以下:反応器、二酸化炭素源、エタン源の1つ以上へ加熱流を送達するために構成された1つ以上のラインを含み得る。
【0028】
二酸化炭素分離ユニット中で反応生成物流から分離された二酸化炭素の少なくとも一部を反応器へ送達するために構成されたラインは、二酸化炭素ラインおよびエタンラインの一方または両方へ二酸化炭素の少なくとも一部を送達するために特に構成され得る。
【0029】
システムは、反応器を加熱するために構成された熱エネルギー源を含み得る。
【0030】
熱エネルギー源は、以下:集光型太陽エネルギーヒータ、燃焼ヒータ、地熱ヒータ、外部工業熱源の1つ以上を含み得る。
【0031】
改良エチレン流を受け取るために構成された以下の構成要素:改良エチレン流を少なくとも10バールの圧力に圧縮するために構成されたコンプレッサ、改良エチレン流中の任意の水を吸着するために構成された吸着器、改良エチレン流を-50℃未満の温度に冷却するように構成された冷凍ユニット、脱メタンユニット、脱エタンユニット、C2スプリッタユニットの1つ以上を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】エタンが穏やかな酸化剤として二酸化炭素を利用する酸化脱水素を受けるプロセスの例示的実施形態を示す流れ図である。
【
図2】エタンが穏やかな酸化剤として二酸化炭素を利用する酸化脱水素を受けるプロセスの別の例示的実施形態を示す流れ図である。
【
図3】エタンが穏やかな酸化剤として二酸化炭素を利用する酸化脱水素を受けるプロセスのさらに別の例示的実施形態を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本発明の主題について、その例示的実施形態を参照して、以下でより完全に記載する。これら例示的実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であるように記載され、当業者に主題の範囲を完全に伝えるものであろう。実際、主題は、多くの異なる形態で具現化されることができ、本明細書に明記される実施形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これら実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「一」、「一つ」、「その」は、文脈で特段他の意味が明示されていない限り、複数形を含む。
【0034】
本開示は、エタンからの化学品生産のための方法に関する。開示される方法は、二酸化炭素分解によるエタンの酸化脱水素を利用する。反応は、好ましくは触媒反応であり、様々な触媒が使用されてよい。例えば、いくつかの実施形態では、固体粒子ヒータが反応器として利用されてよく、混合遷移金属触媒(または同様の材料)でコーティングされた粒子が(例えば、集光型太陽熱発電を使用して)加熱されてハイブリッド熱触媒を提供し得る。そのようなハイブリッド熱触媒は、以下に示すような、穏やかな酸化剤として二酸化炭素を使用するエタンのエチレンへの酸化脱水素反応を促すのに有用であり得る。
C2H6+CO2+熱→C2H4+H2O+CO
生成されたCOは、タービンを駆動するために分離および完全に酸化されてよい。あるいは、生成されたH2OおよびCOで水性ガスシフト反応(WGSR)が使用されてH2ガスを生成してよい。これは、以下に示すような正味の反応を提供することになる。
C2H6+熱→C2H4+H2
粒子流系を利用するそのような方法では、触媒粒子は再生/洗浄を受けてよく、これはプロセスの妨害を低減し得る。さらに、プロセスは、粒子上の触媒コーティングを変えて利用することによって様々な工業反応に適用されてよい。触媒は、様々な要素上のコーティングとして提供されてよい。例えば、いくつかの実施形態では、触媒は、エタンおよび二酸化炭素がパイプを通って流れて触媒と接触するときに触媒反応が起こってよいように、1つ以上のパイプまたはチューブの内面上にコーティングされてよい。
【0035】
1つ以上の実施形態では、エタンの二酸化炭素分解のための方法は、
図1に示すプロセス図に一般的に記載されたように実行され得る。具体的には、反応器110中へ、エタン源101からのエタンはライン103を通して提供され、二酸化炭素源102からの二酸化炭素はライン104を通して提供される。エタンおよび二酸化炭素は、反応器110に別々に加えられてよく、または反応器中へ通る前に組み合わされてよい。いくつかの実施形態では、それぞれライン103およびライン104中のエタンおよび/または二酸化炭素は、反応器へ通される1つ以上の流れへの熱伝達のために特に構成されてよい随意のラインヒータ105に通されてよい。反応器110は、好適な触媒を含有する固定床反応器触媒反応器または流動床触媒反応器などの、任意の好適なタイプの反応器であり得る。追加の触媒が、必要に応じて反応器110に加えられてよい。熱エネルギーは、供給源の1つまたは組み合わせから反応のために供給される。本明細書にさらに記載されるように、復熱式加熱が特に利用されてよい。加えて、熱エネルギー源112は、以下:ライン112aを通して直接、反応器110、ライン112bを通してラインヒータ105、ライン112cを通して二酸化炭素ライン104、ライン112dを通して二酸化炭素源102、ライン112eを通してエタン源101、ライン112fを通してエタンライン103のいずれか1つまたは組み合わせに熱エネルギーを供給してよい。熱エネルギー源112は、以下の熱エネルギー源の供給源、集光型太陽エネルギー熱源、燃焼熱の供給源、外部工業熱源の1つであり得るか、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0036】
反応器110内で、エタンの酸化脱水素(ODH)が行われて少なくともエチレン(および/または他の好適なオレフィン)、一酸化炭素、水素、ならびに水をもたらす。以下にさらに記載されるように、さらなる化学生成物が反応生成物流中に同様に存在し得、本明細書に別途記載されるようなさらなるステップと組み合わせて本実施形態にしたがって取り扱われ得る。
図1に戻ると、反応生成物流は、ライン115で反応器110を出て、エチレン分離ユニット120に通され、そこからライン121にエチレンが取り出される。一酸化炭素、水素、および水を含む残りの反応生成物は、ライン122に出る。
【0037】
ライン122中の一酸化炭素、水素、および水混合物は、分離器125から2つの流れに分離され得る。モル(X)の一酸化炭素、水素、および水混合物は、ライン130に抜き取られ、凝縮器135で冷却されて凝縮を介してライン136に水を分離しかつライン137に精製されたCO/H2を提供する。モル分率(1-X)の一酸化炭素、水素、および水混合物は、ライン140に抜き取られ、WGS反応器145で水性ガスシフト反応を経てライン147に二酸化炭素および水素ガスの混合物を提供する。二酸化炭素および水素の混合物は、分離器155で分離されてライン157に再循環二酸化炭素流を提供し、これは以下:直接、反応器110、二酸化炭素源102、二酸化炭素ライン104、ラインヒータ105、エタン源101、エタンライン103の1つ以上中に再循環され得る。ライン157中の二酸化炭素は、例えば随意の復熱式熱交換器162を使用して、ライン115中の反応生成物から取られた廃熱を利用して加熱されてよい。二酸化炭素から水素ガスを分離するために利用される分離器155は、以下の分離方法:圧力変動吸着(PSA)、膜分離、深冷分離のいずれか1つ以上を利用し得る。ライン159に出る生じた水素流は、商品として提供するために、または電力生産に使用するために、(例えば、少なくとも20バール、少なくとも30バール、または少なくとも50バールの圧力、例えば、約20バール~約150バール、約30バール~約125バール、または約50バール~約100バール、特に約74バールに)圧縮され得る。いくつかの実施形態では、ライン159中の水素の少なくとも一部は、ライン160を通ってユニオン165へ入ってよく、ライン137からの一酸化炭素の少なくとも一部と組み合わされて、組み合わされた一酸化炭素および水素ガスの流れをライン166に提供する。ライン166中の組み合わされた一酸化炭素および水素ガスの流れは、電力生産に使用される合成ガス生成物として搬出され得る。同様に、ライン166から搬出される合成ガスの少なくとも一部は、熱エネルギー源112で熱生産のために燃焼されてよい。所望により、ライン166中の組み合わされた一酸化炭素および水素ガスの少なくとも一部は、さらなる化学品の生産のために、ライン167を通して合成ユニット170中に提供され得る。例えば、合成ユニット170は、メタノール合成ユニットを含んでよく、組み合わされた一酸化炭素および水素ガスの混合物は、メタノール合成に利用され得る。そのような場合、ライン171中の生成されたメタノールは、エチレンおよび水の別々の流れを生成する脱水反応を受け得る。
【0038】
本方法のさらなる例示的実施形態を
図2に示す。そこに見られるように、反応器210中へ、エタン源201からのエタンはライン203を通して提供され、二酸化炭素源202からの二酸化炭素はライン204を通して提供される。エタンおよび二酸化炭素は、反応器210に別々に加えられてよく、または反応器中へ通る前に組み合わされてよい。いくつかの実施形態では、それぞれライン203およびライン204中のエタンおよび/または二酸化炭素は、反応器へ通される1つ以上の流れへの熱伝達のために特に構成されてよい随意のラインヒータ205に通されてよい。反応器210は再び、任意の好適なタイプの反応器であり得るが、好ましくは好適な触媒を含有する触媒反応器である(必要に応じてメイクアップ触媒を追加して補充されてよい)。すでに記載されているように、熱エネルギーは、供給源の1つまたは組み合わせから反応のために供給される。具体的には、熱エネルギー源212は、以下:ライン212aを通して直接、反応器210、ライン212bを通してラインヒータ205、ライン212cを通して二酸化炭素ライン204、ライン212dを通して二酸化炭素源202、ライン212eを通してエタン源201、ライン212fを通してエタンライン203のいずれか1つまたは組み合わせに熱エネルギーを供給してよい。
【0039】
反応器210内で、エタンの酸化脱水素(ODH)が行われて少なくともエチレン(および/または他の好適なオレフィン)、一酸化炭素、水素、ならびに水をもたらす。反応生成物流は、ライン215で反応器210を出て、WGS反応器245に通されて一酸化炭素、水素、二酸化炭素およびエチレンの混合流をライン247に提供する。ライン247に提供された一酸化炭素および水素のモル分率は、WGS反応器245中での反応の程度に依存して様々な比率に調整され得る。一酸化炭素、水素、二酸化炭素、およびエチレンの混合流は、分離器225を通って3つの流れに分離される。再循環二酸化炭素で形成された第1の流れは、流れ257を通って以下:直接、反応器210、二酸化炭素源202、二酸化炭素ライン204、ラインヒータ205、エタン源201、エタンライン203の1つ以上中に再循環される。ライン257中の二酸化炭素は、例えば随意の復熱式熱交換器262使用して、ライン215中の反応生成物から取られた廃熱を利用して加熱されてよい。エチレンで形成された第2の流れはライン221に出る。一酸化炭素、水素、および二酸化炭素の混合物を含む第3の流れは、ライン267に出て、さらなる化学品の生産のために処理され得る。例えば、一酸化炭素、水素、および二酸化炭素の混合物の少なくとも一部は、ライン268を通ってメタノール合成ユニット270中に入りライン271にメタノールを生成し得、メタノールはエチレンおよび水の別々の流れを生成する脱水反応を受け得る。
【0040】
1つ以上の実施形態では、本開示の方法は、反応流が過剰の二酸化炭素を含むように、分解プロセスで利用される二酸化炭素の量が必要量を超えて有利に増加される場合に、特に有用であり得る。これは、提供される二酸化炭素の量が、エタンとの完全な反応のために化学量論的に必要な量を超えるようなモル比で、エタンおよび二酸化炭素を反応器中へ提供することを含み得る。モル過剰の二酸化炭素は、反応器を出る反応生成物が、反応器を出る反応生成物の全質量に基づいて、少なくとも5質量%、少なくとも10質量%、少なくとも20質量%、少なくとも25質量%、少なくとも30質量%、または少なくとも40質量%の二酸化炭素、具体的には最高約80質量%までの二酸化炭素を含み得るように十分であり得る。好ましい実施形態では、反応器を出る反応生成物は、反応器を出る反応生成物の全質量に基づいて、約5質量%~約70質量%、約10質量%~約60質量%、または約20質量%~約50質量%の二酸化炭素を含み得る。過剰の二酸化炭素の存在は、複数の理由で有利である。例えば、過剰の二酸化炭素の提供は、最大限のエタン変換が反応器中で起こることを保証し得る。それはさらに、反応器中に補充されてよいメイクアップ二酸化炭素の量を低減し得る大質量の再循環可能な材料を提供し得る。それはさらに、反応器中での加熱のために費やされなければならないエネルギーの量を低減するために回収され得る大量の熱を提供し得る。
【0041】
反応に過剰の二酸化炭素を利用することの利点を、
図3に関連してさらに説明する。そこに見られるように、反応器310中へ、エタン源301からのエタンはライン303を通して提供され、二酸化炭素源302からの二酸化炭素はライン304を通して提供される。エタンおよび二酸化炭素は、反応器310に別々に加えられてよく、または反応器中へ通る前に組み合わされてよい。いくつかの実施形態では、それぞれライン303およびライン304中のエタンおよび/または二酸化炭素は、反応器へ通される1つ以上の流れへの熱伝達のために特に構成されてよい随意のラインヒータ305に通されてよい。反応器310は再び、任意の好適なタイプの反応器であり得るが、好ましくは好適な触媒を含有する触媒反応器である(必要に応じてメイクアップ触媒を追加して補充されてよい)。すでに記載されているように、熱エネルギーは、供給源の1つまたは組み合わせから反応のために供給される。具体的には、熱エネルギー源312は、以下:ライン312aを通して直接、反応器310、ライン312bを通してラインヒータ305、ライン312cを通して二酸化炭素ライン304、ライン312dを通して二酸化炭素源302、ライン312eを通してエタン源301、ライン312fを通してエタンライン303のいずれか1つまたは組み合わせに熱エネルギーを供給してよい。特定の実施形態では、ライン303中のエタンおよびライン304中の二酸化炭素の両方は、反応器310へ送られる前にラインヒータ305で予熱される。そのような加熱単独で、反応器301内の所望の反応温度を提供するのに十分であり得るが、さらなる加熱が反応器に直接提供され得る。いくつかの実施形態では、水蒸気流が、熱エネルギー源312から熱エネルギーを送達するためにライン312aに提供されてよい。あるいは、水蒸気流は、熱エネルギー源からの熱エネルギーに加えて提供されてよい。
【0042】
反応器内の反応は、好ましくは、少なくとも450℃、少なくとも475℃、または少なくとも500℃の温度、最高約1000℃までの温度などで実行される。好ましい実施形態では、反応が起こるための反応器310内の温度は、約450℃~約1000℃、約500℃~約800℃、または約550℃~約700℃の範囲である。そのような温度は、本明細書に記載された他の実施形態にさらに適用され得る。反応器中でのエタンと二酸化炭素の反応は、少なくともエチレン、一酸化炭素、水、および二酸化炭素を含む反応生成物流を生成するが、未反応エタン、水素、メタン、および微量のより重い炭化水素も含み得る。反応生成物の混合物は、ライン315で反応器310を出て、熱交換器362中へ通される。熱交換器362は、識別を簡単にするために一次熱交換器362と呼ばれ得る。例示的実施形態では、熱交換器362は、移送ライン交換器(TLE)であり得る。TLEを通ると、反応生成物は、約200℃~約400℃の温度に急速に冷却され、これはさらなる副反応が起こるのを実質的に防止し、したがって望ましくない副生成物の生成を低減または排除するのに有利である。反応生成物流から取り出された廃熱(Q)は、複数の目的に利用され得る。例えば、廃熱は、反応器供給流を予熱するのに利用されてよい。したがって、流れ312a~312fの1つ以上を通して提供される熱は、熱交換器362から提供される熱であってよい。このようにして、反応生成物流から取り出された熱は、エタン流および/または二酸化炭素流を加熱するのに使用されてよい。同様に、反応生成物流から取り出された熱は、直接、反応器310に熱を提供するのに使用されてよい。
図3に示すように、第1の熱量(Q1)は、熱交換器362から取り出されて、反応器310、エタン源301、エタンライン303、二酸化炭素源302、および二酸化炭素ライン304のいずれかに熱を提供するのに使用される。さらなる実施形態では、
図3に示すように、熱交換器362からの廃熱(Q2)は、電力生産のために作動流が繰り返し圧縮および膨張される閉ループまたは半開ループ電力生産システムにおける発電用の高圧水蒸気流および/または高圧CO
2流を加熱するのに使用され得る。したがって、本開示の方法は、電力生産で知られている任意のシステムおよび方法、特にCO
2を生成することが知られているシステムおよび方法と確実に組み合わされ得る。例えば、それらの開示内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,596,075号、米国特許第8,776,532号、米国特許第8,959,887号、米国特許第8,986,002号、米国特許第9,068,743号、米国特許第9,416,728号、米国特許第9,546,814号、米国特許第10,018,115号、および米国特許出願公開第2012/0067054号はすべて、本開示の方法と組み合わされてよいシステムおよび方法を記載している。そのようなシステムおよび方法は、化学変換プロセス用のCO
2の確実な供給源であり得る。同様に、熱交換器362からの廃熱は、そのようなシステムおよび方法に追加の加熱を提供するのに使用されてよい。
【0043】
反応生成物流は、熱交換器362で冷却された後、反応生成物流をおよそ周囲温度にさらに冷却し、水および他の凝縮物を急冷水または急冷油を使用して除去するための水分離塔または他の凝縮ユニットなどの気液分離器335に、ライン317を通って入り得る。
図3に示すように、水および任意の同伴凝縮物は、流れ336を通して取り出される。
【0044】
反応生成物流は、反応生成物流中のエチレン濃度を改良するために、1つ以上のシステムユニットを通ることによって様々なプロセスステップを受け得る。したがって、改良エチレン流は、それが由来する流れより高いエチレン重量パーセントを含む流れと定義され得る。これは、例えば、二酸化炭素、硫化水素、および他の酸性ガスなどの、1つ以上の他の構成成分の反応生成物流からの除去を通して達成され得る。いくつかの実施形態では、濃縮または改良されたエチレン流は、反応生成物(例えば、エチレン)の少なくとも一部を依然として含有し、非エチレン成分(例えば、二酸化炭素、水等)の少なくとも一部がないため、浄化反応生成物流と呼ばれてよい。
【0045】
反応生成物流は、好ましくは、例えば、吸収剤、吸着剤、および/または膜分離の使用を通じる、反応生成物流のさらなる構成成分の分離を強化するために圧縮される。二酸化炭素分離器355などの、下流のユニットの高圧操作は、設備のサイズ、したがって必要な資本コストを低減するのにも有用であり得る。
【0046】
ライン337中の急冷反応生成物流は、少なくとも20バール、少なくとも25バール、または少なくとも30バール(例えば、最高約100バール)の圧力に圧縮され得、好ましくは、約10バール~約100バール、約20バール~約90バール、または約30バール~約80バールの圧力に圧縮される。
図3に示すように、圧縮は、多段中間冷却遠心コンプレッサ361を使用して実行されるが、必要な圧縮を提供するのに適切な任意の代替のコンプレッサが使用されてよい。随意に、苛性ソーダ洗浄が、プロセス流から微量の酸性ガスを除去するために各圧縮段階の出口で適用され得る。
【0047】
ライン359中の急冷および圧縮された反応生成物流は、二酸化炭素が反応生成物流から分離されてライン364中の第1のエチレン濃縮流およびライン357中の再循環二酸化炭素流を形成する二酸化炭素分離器355に向けられ得る。ライン364中の第1のエチレン濃縮流は、ライン364中の流れのエチレン重量パーセントが、ライン337中の急冷反応生成物流および/またはライン359中の圧縮反応生成物流のエチレン重量パーセントより高いため、改良エチレン流と見なされ得る。流れ357中の再循環二酸化炭素は、熱交換器362からの廃熱(Q3)を使用して加熱され得る。廃熱が利用されるいずれかまたはすべての場合において、加熱される流れは熱交換器362を通ってよいか、または二次循環加熱流体が、加熱されるさらなる流れへの熱伝達のために熱交換器を通って循環されてよいことが理解される。したがって、1つ以上の追加の熱交換器が、流れの混入なく循環流体から所与のライン中の流れへ熱を伝達するのに利用されてよい。
図3に示すように、流れ357中の再循環二酸化炭素は、二次熱交換器363を通ることによって廃熱(Q3)で加熱され得る。例示的実施形態では、ライン357中の二酸化炭素が、一次熱交換器362中で反応生成物流から取り出された熱を使用して加熱されるように、循環流体は、一次熱交換器362および二次熱交換器363を通って循環されてよい。
図3に示されていないが、ライン(Q3)は、反応生成物流からの熱のさらなる取り出しのために二次熱交換器363から一次熱交換器362中へ戻るであろうことが理解される。廃熱(Q3)で加熱される流れ357中の再循環二酸化炭素は、加熱を提供するために以下:反応器310、二酸化炭素源302、二酸化炭素ライン304、ラインヒータ305、エタン源301、エタンライン303のいずれか1つ以上と組み合わされてよい。このようにして、再循環二酸化炭素は、フレッシュなエタンとの脱水素反応のために戻されて再循環され得、反応に加えられなければならない追加の二酸化炭素の量を低減し得る。
【0048】
二酸化炭素分離器355は、吸収塔、吸着床、膜ベース分離器、冷凍プロセス、またはそれらの任意の組み合わせなどの、様々なユニット操作を利用するように構成され得る。二酸化炭素の分離は、下流の、反応生成物流内の炭化水素および他の種の分離の前に実行されるのが好ましく、それは、そのような分離が典型的には、二酸化炭素の三重点を超える温度へのプロセスガスの冷凍および冷却を伴い、そのような温度に二酸化炭素を冷却することは、配管および設備内での固体二酸化炭素の昇華および形成を引き起こすためである。
【0049】
二酸化炭素分離器355は、コンプレッサ361の下流にあるように図示されているが、いくつかの実施形態では、二酸化炭素分離は、圧縮状態間で実行されてよい。したがって、ライン337中の反応生成物流は、最初に1段目のコンプレッサ361a、その後二酸化炭素分離器355、その後2段目のコンプレッサ361bを通ってよい。二酸化炭素分離器355は、例えば、中間冷却器361cと2段目のコンプレッサ361bとの間に位置してよい。さらなる実施形態では、二酸化炭素分離器355は、コンプレッサ361の完全に上流にあるように構成されてよい。したがって、二酸化炭素分離の前に、圧縮は実質的に実行されなくてよい。さらなる実施形態では、しかしながら、反応生成物流を、二酸化炭素分離が実行される第1の圧力(例えば、約15バールまで、約5バール~約15バールなど)に圧縮するために、補助的なコンプレッサが気液分離器335の下流に設けられてよく、二酸化炭素分離器を出る反応生成物流は、第2のより高い圧力に圧縮されるためにコンプレッサ361を通されてよい。
【0050】
圧縮された第1のエチレン濃縮流は、ライン364で二酸化炭素分離器355を出て、適切な材料(モレキュラーシーブなど)の吸着剤床を含み得る吸着器375に通される。吸着器375に利用される材料は、好ましくは、微量の水分を除去するように構成され、そうしないと水分は、水の凝固点未満で操作される下流の配管および設備中で凍って氷を形成する恐れがある。
【0051】
ライン376で吸着器を出る乾燥および加圧された第1のエチレン濃縮流は、その後、-50℃未満、-100℃未満、または-150℃未満の温度に冷却され、好ましくは約-50℃~約-200℃、約-100℃~約-190℃、または約-150℃~約-180℃の温度範囲、具体的には約-165℃の温度に冷却される、冷凍ユニット377中に供給される。乾燥および加圧された第1のエチレン濃縮流は、好ましくは、流れ中に存在する水素および一酸化炭素は蒸気の段階のままであり、一方、第1のエチレン濃縮流の他の成分は液化し、そこから分離され得るような温度および圧力である。したがって、冷凍ユニット377は、相分離器を含み得る。
【0052】
流れ340で冷凍ユニットを出るのは、上にすでに記載されているように化学品生産に使用され得る一酸化炭素および水素の混合物である。例えば、流れ340中の一酸化炭素および水素の混合物は、WGS反応器345に通されて一酸化炭素および水素の混合流を提供し得、メタノールおよび/またはフィッシャー-トロプシュ(FT)合成などの下流の化学品生産に使用され得る。一酸化炭素および水素の比率は、化学品生産要件を満たすように水性ガスシフトステップで随意に調節され得る。
【0053】
第2のエチレン濃縮流は、ライン379で冷凍ユニット377を出て、そこから任意のメタンを分離するために脱メタンユニット380に供給される。上記の議論に加えて、ライン379中の第2のエチレン濃縮流は、すぐ上流の、冷凍ユニット377を通されるライン376中の流れと比べてより高いエチレン重量パーセントを含むため、改良エチレン流と見なされ得る。メタンリッチ流は、ライン381で脱メタンユニット380を出る。メタンリッチ流は、商品として搬出されてよい。いくつかの実施形態では、メタンの少なくとも一部は、反応器310で利用されて反応の加熱を提供するために、および/または熱エネルギー源312で利用されて燃焼加熱を提供するために、ライン382に取り出されてよい。
【0054】
第3のエチレン濃縮流(同様に改良エチレン流と見なされ得る)も、ライン385で脱メタンユニット380を出て、脱エタンカラム387に供給される。C3およびより大きい炭化水素で構成される底部生成物はライン389に抜き取られる。いくつかの実施形態では、脱メタンカラムユニットの頂部からのメタンおよび他の軽いガスは、反応器310および/または熱エネルギー源312用の補助燃料として使用され得る。さらなる実施形態では、C2スプリッタからの未変換エタンは、反応器310および/または熱エネルギー源312用の補助燃料として使用され得る。
【0055】
第4のエチレン濃縮流(主にエチレンおよびエタンを含む)は、ライン391を通ってC2スプリッタカラム392中へ入り、流れをその主成分であるエチレンおよびエタンにさらにさらに分割する。C2スプリッタカラム392からのライン393中の塔頂エタン流は、脱水素反応器310へ戻されて再循環される。精製エチレン流は、ライン395でC2スプリッタカラム392の底部を出る。脱エタンユニット387の底部からの流れ中のより重い炭化水素の分離および精製は、脱プロパン装置/C3スプリッタ、脱ブタン装置/C4スプリッタなどの任意の適切な組み合わせで実行され得る。
【0056】
前述のことからわかるように、本開示は、世界的に化学工業の3つの最も基本的な構成要素である、エチレン、H2、およびメタノールの生産のための持続可能かつ環境に優しい方法を提供する。エチレンは、地球上で最も生産された有機化合物であり、数多くの製品に使用されることが知られている。本開示の方法は、H2、メタノール、およびさらなる化学生成物も同様に生成しながら、工業的により少ないエネルギーを使用してエチレンを生成することを可能にし得る。さらに、開示の方法はまた、CO2を、最終使用でそのCO2を再放出しない化合物中に本質的に「固定する」ことによって消費する。
【0057】
当業者であれば、前述の説明および付随する図面に示される教示の利益を有して本開示の主題に関連する、本開示の主題の多くの変更形態および他の実施形態を思いつくであろう。それゆえ、本開示は、本明細書に記載される具体的な実施形態に限定されるものではなく、変更形態および他の実施形態が添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されていることを理解されたい。明細書において具体的な用語が用いられているが、それらは単に一般的かつ記述的な意味で使用されており、限定を目的としていない。