(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025105458
(43)【公開日】2025-07-10
(54)【発明の名称】画像処理装置、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/62 20060101AFI20250703BHJP
B41J 2/525 20060101ALI20250703BHJP
【FI】
H04N1/62
B41J2/525
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024188547
(22)【出願日】2024-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2023223265
(32)【優先日】2023-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 真一
(72)【発明者】
【氏名】石川 尚
(72)【発明者】
【氏名】山田 顕季
(72)【発明者】
【氏名】松井 文乃
(72)【発明者】
【氏名】大林 正明
(57)【要約】
【課題】色変換方法の設定と、該設定された色変換方法の画像データへの適用を適切に実行する画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置は、入力された画像データの表す画像上で、画像データの色変換方法の設定に使用する第1領域と、前記色変換方法の設定に使用しない第2領域とを設定する領域設定手段と、前記領域設定手段による設定の結果、前記画像上に前記第1領域と前記第2領域とが含まれる場合、前記領域設定手段により設定された前記第1領域の画像データに基づいて、前記色変換方法を設定する色変換方法設定手段と、前記画像上の前記第1領域と、前記第2領域の少なくとも一部とを含む領域に対して適用する色変換方法として、前記色変換方法設定手段により設定された前記色変換方法を決定し、当該決定された色変換方法を用いて色変換後の画像データを生成する生成手段とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像データの表す画像上で、画像データの色変換方法の設定に使用する第1領域と、前記色変換方法の設定に使用しない第2領域とを設定する領域設定手段と、
前記領域設定手段による設定の結果、前記画像上に前記第1領域と前記第2領域とが含まれる場合、
前記領域設定手段により設定された前記第1領域の画像データに基づいて、前記色変換方法を設定する色変換方法設定手段と、
前記画像上の前記第1領域と、前記第2領域の少なくとも一部とを含む領域に対して適用する色変換方法として、前記色変換方法設定手段により設定された前記色変換方法を決定し、当該決定された色変換方法を用いて色変換後の画像データを生成する生成手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像上で、前記色変換方法設定手段により設定された前記色変換方法を適用する第3領域と、前記色変換方法を適用しない第4領域とを設定する第2領域設定手段、をさらに備え、
前記第2領域設定手段による設定の結果、前記画像上に前記第3領域が含まれる場合、
前記生成手段は、前記第2領域設定手段により設定された前記第3領域に対して適用する色変換方法として、前記色変換方法設定手段により設定された前記色変換方法を決定し、当該決定された色変換方法を用いて色変換後の画像データを生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2領域設定手段による設定の結果、前記画像上に前記第4領域が含まれる場合、
前記生成手段は、前記第2領域設定手段により設定された前記第4領域に対して適用する色変換方法として、前記色変換方法設定手段により設定された前記色変換方法とは異なる色変換方法を決定することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記色変換方法設定手段により設定された前記色変換方法は、前記第4領域に対して適用する色変換方法として決定されないことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第4領域の画像データに基づいて第2色変換方法を設定する第2色変換方法設定手段、をさらに備え、
前記生成手段は、前記第4領域に対して適用する色変換方法として、前記第2色変換方法設定手段により設定された前記第2色変換方法を決定し、当該決定された前記第2色変換方法を用いて色変換後の画像データを生成することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第4領域は、連続的に階調が変化する領域であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1領域は、前記第3領域に含まれることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第1領域と前記第4領域は互いに異なる領域であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記第2領域は、前記第1領域に隣接する領域であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記入力された画像データは、低解像度に解像度変換された後、元の解像度に解像度変換された画像データであり、
前記第2領域は、元の解像度に解像度変換されたことにより生じる領域を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記色変換方法設定手段により設定された前記色変換方法は、前記入力された画像データの色域を記録装置の色域に変換する第3色変換方法が前記第1領域に対して適用されて色変換が行われた結果、小さくなった色間を広げるように、前記第3色変換方法が補正された色変換方法であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記色変換方法設定手段により設定された前記色変換方法は、前記第3色変換方法が前記第1領域に対して適用されて色変換が行われた結果、小さくなった色間を明度、彩度、色相角の少なくともいずれかの方向に沿って広げるように補正された色変換方法であることを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記記録装置は、インクジェット記録方式により記録媒体に画像を形成する記録装置であることを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記色変換方法設定手段による前記色変換方法の設定を行うか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記色変換方法設定手段は、前記色変換方法設定手段による前記色変換方法の設定を行うと前記判定手段により判定された場合、前記第1領域の画像データに基づいて、前記色変換方法を設定することを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記判定手段は、前記第3色変換方法が前記第1領域に対して適用されて色変換が行われた結果、色間が小さくなったか否かに基づいて、前記色変換方法設定手段による前記色変換方法の設定を行うか否かを判定することを特徴とする請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記判定手段は、前記第1領域の画像データが表す複数の色間のうち、所定の数の組み合わせについて色間が小さくなった場合、前記色変換方法設定手段による前記色変換方法の設定を行うと判定することを特徴とする請求項15に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記色変換方法は、色変換テーブルであることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項18】
画像データを入力する入力手段、をさらに備え、
前記入力された画像データは、前記入力手段により入力された画像データであることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項19】
前記生成手段により生成された画像データを出力する出力手段、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項20】
画像処理装置において実行される方法であって、
入力された画像データの表す画像上で、画像データの色変換方法の設定に使用する第1領域と、前記色変換方法の設定に使用しない第2領域とを設定する領域設定工程と、
前記領域設定工程における設定の結果、前記画像上に前記第1領域と前記第2領域とが含まれる場合、
前記領域設定工程において設定された前記第1領域の画像データに基づいて、前記色変換方法を設定する色変換方法設定工程と、
前記画像上の前記第1領域と、前記第2領域の少なくとも一部とを含む領域に対して適用する色変換方法として、前記色変換方法設定工程において設定された前記色変換方法を決定し、当該決定された色変換方法を用いて色変換後の画像データを生成する生成工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1乃至19のいずれか1項に記載の画像処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガマットマッピングを実行可能な画像処理装置、方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定の色空間で記述されたデジタル原稿を受け取り、その色空間中の各色についてプリンタで再現可能な色再現域へのマッピングを行い、出力を行うプリンタが知られている。例えば、原稿内のオブジェクトを識別し、グラフィック領域には「測色的」なマッピングを行い、写真領域には「知覚的」なマッピングを行う方法が知られている。しかしながら、オブジェクトの識別は非常に困難であり、特に複数のオブジェクトが重なる場合は、領域がマージされ、マージされたオブジェクトに合ったマッピングが選択されていた。
【0003】
特許文献1には、記録対象の原稿データを解析し、原稿データを複数の部分原稿データに分割することが記載されている。そして、部分原稿データ毎に部分原稿に含まれる画素値と記録時の色再現域(色域)とに基づいて、部分原稿に対する印刷色再現域へのカラーマッピング方法(色変換方法)を設定して色変換することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
色変換方法を設定するための領域と、設定された色変換方法を適用する領域とが一致していると、必要のない色を考慮して色変換方法が設定される場合があり、結果、適切な色変換結果が得られないことがある。そのため、色変換方法の設定と、該設定された色変換方法の画像データへの適用についてさらなる工夫が求められる。
【0006】
本発明は、色変換方法の設定と、該設定された色変換方法の画像データへの適用を適切に実行する画像処理装置、方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像処理装置は、入力された画像データの表す画像上で、画像データの色変換方法の設定に使用する第1領域と、前記色変換方法の設定に使用しない第2領域とを設定する領域設定手段と、前記領域設定手段による設定の結果、前記画像上に前記第1領域と前記第2領域とが含まれる場合、前記領域設定手段により設定された前記第1領域の画像データに基づいて、前記色変換方法を設定する色変換方法設定手段と、前記画像上の前記第1領域と、前記第2領域の少なくとも一部とを含む領域に対して適用する色変換方法として、前記色変換方法設定手段により設定された前記色変換方法を決定し、当該決定された色変換方法を用いて色変換後の画像データを生成する生成手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、色変換方法の設定と、該設定された色変換方法の画像データへの適用を適切に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】原稿データの印刷処理を示すフローチャートである。
【
図9】第1領域と第2領域を説明するための図である。
【
図10】色変換テーブルの作成処理を示すフローチャートである。
【
図13】第1~第4領域を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
[第1実施形態]
本実施形態で使用する用語について、あらかじめ以下のように定義する。
【0012】
(色再現域)
色再現域とは、任意の色空間における再現可能な色の範囲のことを指す。色再現範囲、色域、ガマットとも称する。また、この色再現域の広さを表す指標として、色域体積がある。色域体積は任意の色空間での3次元の体積のことである。色再現域を構成する色度点が離散的であることがある。例えば、特定の色再現域をCIE-L*a*b*上の729点をもって代表させ、その間の点については四面体補間や、立方体補間などの公知の補間演算を用いて求めることがある。このような場合には、対応する色域体積は補間演算方法に対応して、色再現域を構成する四面体や、立方体などのCIE-L*a*b*上の体積を求めて累積したものを使用することができる。本実施形態における色再現域や色域も特定の色空間に限られるものではないが、本実施形態では、CIE-L*a*b*空間での色再現域を例として説明している。また、同様に本実施形態中での色再現域の数値は四面体補間を前提としてCIE-L*a*b*空間で累積計算した場合の体積を示している。
【0013】
(ガマットマッピング)
ガマットマッピングとは、異なる色域間を変換する処理のことである。例えば、入力色域を出力色域にマッピングすることである。同じ色域内での変換はガマットマッピングとは呼ばない。ICC(International Color Consortiaum)プロファイルのPerceptual、Saturation、Colorimetric等が一般的である。マッピング処理は例えば、三次元3DLUT(Look Up Table)1個で変換しても良い。また、標準色空間に色空間変換後、マッピング処理を行っても良い。例えば、入力色空間がsRGBであった場合、CIE-L*a*b*色空間に変換する。CIE-L*a*b*色空間上で、出力色域にマッピング処理を行う。マッピング処理は、3DLUT処理でも良いし、変換式を用いても良い。また、入力時の色空間と出力時の色空間の変換も同時に行っても良い。例えば、入力時はsRGB色空間であり、出力時には記録装置固有のRGB値またはCMYK値に変換しても良い。
【0014】
(色縮退)
本実施形態において、任意の2つの色に対して、ガマットマッピングを行う際に、所定の色空間におけるマッピング後の色間の距離がマッピング前の色間の距離より小さくなることを色縮退と定義する。具体的には、デジタル原稿における色Aと色Bがあり、プリンタの色域にマッピングすることで色Aが色Cに、色Bが色Dに変換されたとする。その場合、色Cと色Dの色間の距離が色Aと色Bの色間の距離より小さくなっていることを色縮退と定義する。色縮退がおこると、デジタル原稿において異なる色だと認識していたものが、画像を記録すると同じ色として認識してしまう。例えば、グラフは、異なる項目を異なる色にすることにより異なる項目であることを認識させている。色縮退が起こることにより、異なる色が同じ色と認識されてしまうことにより、グラフの異なる項目も同じ項目であると誤認させてしまう弊害が起こる可能性がある。ここでいう色間の距離を算出する所定の色空間は、任意の色空間で良い。例えば、sRGB色空間、Adobe RGB色空間、CIE-L*a*b*色空間、CIE-LUV色空間、XYZ表色系色空間、xyY表色系色空間、HSV色空間、HLS色空間などである。
【0015】
<画像処理装置全体>
図1は、本実施形態における画像処理装置の構成を示すブロック図である。画像処理装置101として、PCやタブレット、サーバや記録装置が用いられる。CPU102は、HDDやROMなどの記憶媒体104に記憶されているプログラムをワークエリアとしてのRAM103に読み出して実行することにより各種画像処理を実行する。例えば、CPU102は、HID(Human Interface Device)I/F(不図示)を介してユーザよりコマンドを取得する。そして、取得したコマンドや、記憶媒体104に記憶されているプログラムに従って、各種画像処理を実行する。また、CPU102は、データ転送I/F106を介して取得した原稿データに対し、記憶媒体104に記憶されているプログラムに従って所定の処理を行う。そして、その結果や様々な情報をディスプレイ(不図示)に表示し、データ転送I/F106を介して送信する。画像処理アクセラレータ105は、CPU102よりも高速に画像処理を実行可能なハードウェアである。画像処理アクセラレータ105は、CPU102が画像処理に必要なパラメータとデータをRAM103の所定のアドレスに書き込むことにより起動される。画像処理アクセラレータ105は、上記のパラメータとデータを読み込んだ後、そのデータに対し画像処理を実行する。但し、画像処理アクセラレータ105は必須な要素ではなく、同等の処理をCPU102で実行するようにしても良い。画像処理アクセラレータ105は、具体的には、GPUや専用に設計された電気回路である。上記のパラメータは記憶媒体104に記憶されても良いし、データ転送I/F106を介して外部から取得しても良い。
【0016】
記録装置108では、CPU111は、記憶媒体113に記憶されているプログラムをワークエリアとしてのRAM112に読み出して実行することにより記録装置108を統括的に制御する。画像処理アクセラレータ109は、CPU111よりも高速に画像処理を実行可能なハードウェアである。画像処理アクセラレータ109は、CPU111が画像処理に必要なパラメータとデータをRAM112の所定のアドレスに書き込むことにより起動される。画像処理アクセラレータ109は、上記のパラメータとデータを読み込んだ後、そのデータに対し画像処理を実行する。但し、画像処理アクセラレータ109は必須な要素ではなく、同等の処理をCPU111で実行するようにしても良い。上記のパラメータは記憶媒体113に記憶されても良いし、フラッシュメモリやHDDなどのストレージ(不図示)に記憶されても良い。
【0017】
ここで、CPU111または画像処理アクセラレータ109が行う画像処理について説明する。画像処理は、例えば、取得した記録データに基づいて、記録ヘッド115による各走査でのインクのドット形成位置を示すデータを生成する処理である。CPU111または画像処理アクセラレータ109は例えば、取得した記録データの色変換処理と量子化処理を行う。
【0018】
色変換処理は、記録装置108で扱うインク濃度に色分解する処理である。例えば、取得した記録データには、画像を示す画像データが含まれる。画像データがモニタの表現色であるsRGB等の色空間座標で画像を示すデータである場合、そのsRGBの色座標(R、G、B)で画像を示すデータは、記録装置108で扱うインクデータ(CMYK)に変換される。色変換方法は、マトリクス演算処理や三次元のルックアップテーブル(3DLUT)、四次元の4DLUTを用いた処理等によって実現される。
【0019】
本実施形態の記録装置108は、一例として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクを用いる。そのため、RGB信号の画像データは、K、C、M、Yの各8ビットの色信号からなる画像データ(インクデータ)に変換される。各色の色信号は各インクの付与量に対応する。また、インク色の数としてはK、C、M、Yの4色を例に挙げたが、画質向上の為に、濃度の薄いライトシアン(Lc)やライトマゼンタ(Lm)やグレー(Gy)のインクなど、他のインク色が用いられても良い。その場合、それらに応じたインクデータが生成される。
【0020】
色変換処理の後、インクデータに対して量子化処理を行う。量子化処理は、インクデータの階調のレベル数を下げる処理である。本実施形態では、各画素についてインクデータの値と比較するための閾値を配列したディザマトリックスを用いて量子化を行う。量子化処理を経て、最終的には、各ドット形成位置にドットを形成するかしないかを示す二値データが生成される。
【0021】
画像処理が行われた後、記録ヘッドコントローラ114によって、記録ヘッド115へ二値データが転送される。同時に、CPU111は、記録ヘッドコントローラ114を介して、記録ヘッド115を動作させるキャリッジモータを動作させ、さらに、記録媒体を搬送する搬送モータを動作させるよう記録制御を行う。記録ヘッド115は記録媒体上を走査し、同時に、記録ヘッド115によってインク滴が記録媒体上に吐出されることにより、画像が記録される。
【0022】
画像処理装置101と記録装置108との間は、通信回線107を介して接続されている。本実施形態では、通信回線107の一例としてローカル・エリア・ネットワークを説明するが、USBハブ、無線のアクセスポイントを用いた無線通信ネットワーク、Wi-Fi(登録商標)ダイレクト通信機能を用いた接続等であっても良い。以下、記録ヘッド115が、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ-(Y)、ブラック(K)の4色のカラ-インクの記録ノズル列を有するものとして説明する。
【0023】
図2は、本実施形態における記録ヘッド115を説明するための図である。本実施形態では、1ノズル列分の単位領域に対して、N回の複数回走査で画像が記録される。記録ヘッド115は、キャリッジ116と、ノズル列117、118、119、120と、光学センサ122とを有する。5つのノズル列117、118、119、120と光学センサ122とを搭載したキャリッジ116は、ベルト121を介して伝達されるキャリッジモータの駆動力によって、主走査方向(図中X方向)に沿って往復移動可能である。キャリッジ116が、記録媒体に対し相対的にX方向に移動するとともに、ノズル列の各ノズルからインク滴が記録デ-タに基づいて重力方向(図中-Z方向)に吐出される。本実施形態では、各ノズルからインク滴を吐出する吐出素子は、電熱変換素子により気泡を発生させて液体を吐出するサーマル方式とする。しかしながら、これに限られず、圧電素子(ピエゾ)により液体を吐出する方式、または他の吐出方式の吐出素子であってもよい。
【0024】
これにより、プラテン123上に載置された記録媒体に主走査1/N(N:自然数)回分の画像が記録される。1回分の主走査が完了すると、記録媒体は主走査1/N回分の幅に対応する距離だけ、主走査方向と交差する搬送方向(図中-Y方向)に搬送される。これらの動作により、1ノズル列分の幅の領域に対してN回の走査で画像が記録される。このような主走査と搬送動作とを交互に繰り返すことにより、記録媒体上に徐々に画像が記録される。こうすることにより所定領域に対する画像記録を完成させるように制御することができる。
【0025】
<記録処理>
図3は、画像処理装置101における記録処理を示すフローチャートである。
図3の処理は、例えばCPU102がRAM103に読み出されたプログラムを実行することにより実現される。本実施形態では、記録処理は画像処理装置101で実施される例を示すが、記録装置108で実施されてもよいし、画像処理装置101と記録装置108で分担して処理される構成でもよい。
【0026】
S101において、CPU102は、記録対象となる原稿データを取得する。具体的には、CPU102は、ホストPCのデータ転送インタフェースから、画像処理装置101のデータ転送I/F106を介して原稿データを取得する。ここで、原稿データは、複数ページから構成される文書データとする。
【0027】
次に、S102において、CPU102は、原稿データを複数の部分原稿データに分割する。本実施形態では記録対象の原稿データは例えば、複数のページから構成される文書データである。部分原稿データは、原稿データが分割された処理単位であればどのような形でもよい。
図4は、部分画像データを説明するための図である。例えば、
図4(a)に示す画像データ200のようにページ単位を部分原稿データとしてもよい。
図4(b)は記録ヘッド115の走査で記録される記録領域を示している。領域204は、記録ヘッド115の2回の走査(矢印は走査方向を示す)で記録が完了する例を示している。領域204のような記録ヘッドで記録する単位のデータを部分原稿データとしてもよい。また、
図4(a)の画像データがページ記述言語であるPDL(Page Description Language)で記述される場合、描画命令で決まる領域単位である領域201または領域202を部分原稿データとしてもよい。また、例えばページ単位であれば、1ページ目と2ページ目を合わせて部分原稿データとするように、ページ、バンド、描画命令で決まる複数の領域単位を1つにまとめて部分原稿データとしてもよい。本実施形態では、ページ単位で部分原稿データに分割する例を示す。
【0028】
次に、S103において、CPU102は、それぞれの部分原稿データについて実行されるループ処理である。S103において、CPU102は、部分原稿データに対して色変換処理を行う。色変換処理の詳細は後述する。
【0029】
次に、S104において、CPU102は、全ての部分原稿データの色変換が終了したか否かを判定する。終了したと判定された場合、S105に移り、終了していないと判定された場合、次の部分原稿データに対してS103の色変換処理を実施する。次に、S105において、CPU102は、原稿データの記録を行う。具体的には、S103で変換された画像データの各画素に対して、インク色分解、出力特性変換、量子化、記録、の4つの処理を行う。
【0030】
インク色分解は、色変換処理の出力値であるRout、Gout、Boutを、インクジェット記録方式により記録する各インク色の出力値に変換する処理である。本実施形態では、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色インクによる記録を想定する。この変換には種々の実現方法があり、例えば、色変換処理と同様、出力画素値(Rout,Gout,Bout)の組み合わせに対して、好適なインク色画素値(C,M,Y,K)の組み合わせを算出するために、3次元LUTが用いられる。例えば、以下のような3次元LUT2[256][256][256][4]が用いられる。
【0031】
C=LUT2[Rout][Gout][Bout][0]・・・(1)
M=LUT2[Rout][Gout][Bout][1]・・・(2)
Y=LUT2[Rout][Gout][Bout][2]・・・(3)
K=LUT2[Rout][Gout][Bout][3]・・・(4)
また、LUTのグリッド数を256グリッドから例えば16グリッド等に減らし、複数のグリッドのテーブル値を補間して出力値を決定する等、テーブルサイズを小さくするようにしても良い。
【0032】
続いて、出力特性変換は、各インク色の濃度を記録ドットの率に変換する処理である。具体的には、例えば各色256階調の濃度を、各色1024階調の記録ドットの率Cout、Mout、Yout、Koutに変換する。そのために、例えば、以下のような、各インク色の濃度に対する好適な記録ドットの率を設定した1次元LUT3[4][256]が用いられる。
【0033】
Cout=LUT3[0][C]・・・(5)
Mout=LUT3[1][M]・・・(6)
Yout=LUT3[2][Y]・・・(7)
Kout=LUT3[3][K]・・・(8)
また、LUTのグリッド数を256グリッドから例えば16グリッド等に減らし、複数のグリッドのテーブル値を補間して出力値を決定する等、テーブルサイズを小さくするようにしても良い。
【0034】
続いて、量子化は、各インク色の記録ドットの率Cout、Mout、Yout、Koutを、実際の各画素の記録ドットのOn/Offに変換する処理である。量子化の方法については、例えば、誤差拡散法やディザ法等、様々な手法が用いられ得る。例えば、ディザ法により、以下の式のように実現される。
【0035】
Cdot=Halftone[Cout][x][y]・・・(9)
Mdot=Halftone[Mout][x][y]・・・(10)
Ydot=Halftone[Yout][x][y]・・・(11)
Kdot=Halftone[Kout][x][y]・・・(12)
そして、各画素位置(x,y)に応じた閾値と比較することにより、各インク色の記録ドットのOn/Offを実現する。ここでは例えば、Cout、Mout、Yout、Koutはそれぞれ10bitで表現され、0~1023の値域を取るとする。よって、各記録ドットの発生確率は、Cout/1023、Mout/1023、Yout/1023、Kout/1023となる。最後に、生成された画像データの記録が行われる。
【0036】
<色変換処理>
図5は、第1実施形態における
図3のS103の色変換処理を説明するフローチャートである。
図5の処理は、例えばCPU102がRAM103に読み出されたプログラムを実行することにより実現される。本実施形態では、色変換処理は画像処理装置101で実施される例を示すが、記録装置108で実施されてもよいし、画像処理装置101と記録装置108で分担して処理される構成でもよい。本実施形態では、色縮退を低減して原稿データの色が記録装置108の出力においても弁別可能(識別可能)となる色変換テーブルを作成する例を示す。
【0037】
S201において、CPU102は、色変換処理のための画像データを取得する。本実施形態で取得される画像データは前述のS102から出力される部分原稿データであり、例えばページ単位の画像データである。画像データには所定の色空間で定義された色を表す色情報が含まれている。本実施形態での色情報はsRGBデータとする。色情報は、これに限らずAdobe RGBデータ、CIE-L*a*b*データ、CIE-LUVデータ、XYZ表色系データ、xyY表色系データ、HSVデータ、HLSデータ等、色が定義できればどのような形式のデータでもよい。
【0038】
次に、S202において、CPU102は、予め記憶媒体104に記憶された色変換テーブルを用いて、画像データに対して色変換を行う。本実施形態における色変換は、画像データに対してガマットマッピングを行うことであり、sRGBデータの色再現域を記録装置108の色再現域にマッピングする。記録装置108は、出力モード毎に決まる記録方法や記録速度等によって色再現域が異なる。そのため、画像処理装置101は複数の出力モードに対応したガマットマッピングが必要になる。ガマットマッピング後の画像データは、RAM103または記憶媒体104に記憶される。具体的には、色変換テーブルは、3次元LUTとなっている。3次元LUTによって、入力画素値(Rin,Gin,Bin)の組み合わせに対して、出力画素値(Rout,Gout,Bout)の組み合わせを算出することができる。入力値であるRin、Gin、Binがそれぞれ256階調を持つ場合、256×256×256の合計16,777,216組の出力値を持つテーブルLUT1[256][256][256][3]を用いることが好ましい。前述したガマットマッピングテーブルを用いて色変換を行う。具体的には、S101において入力された画像データのRGB画素値で構成される画像の各画素に対して、下記の式を実行する事で実現出来る。
【0039】
Rout = LUT1[Rin][Gin][Bin][0]・・・(13)
Gout = LUT1[Rin][Gin][Bin][1]・・・(14)
Bout = LUT1[Rin][Gin][Bin][2]・・・(15)
また、LUTのグリッド数を256グリッドから例えば16グリッドに減らし、複数のグリッドのテーブル値を補間して出力値を決定する等、テーブルサイズを小さくする公知の工夫を用いても良い。
【0040】
次に、S203において、CPU102は、S201で取得した画像データが表す画像上で、画像データの色変換方法を設定するために使用する第1領域と、画像データの色変換方法を設定するために使用しない第2領域とを設定する(領域設定)。色変換方法の設定とは、本実施形態では、ガマットマッピングの色変換テーブルを作成することである。色変換方法の設定は、変換式を作成してもよいし、色変換テーブルを作成してもよく、色変換を実施できる方法を設定できればどのような方法でもよい。
【0041】
図6はS201で取得した画像データの例である。
図6(a)は、ユーザが画像処理装置101に入力するために作成した原稿データそのものである。
図6(b)は、
図6(a)の画像データを低解像度に単純間引きで解像度変換した後に、再度元の解像度にバイリニア変換で解像度変換した画像である。画像処理装置101では、画像処理装置101の記憶媒体104の容量制限から、入力された原稿データを解像度変換や圧縮を行って記憶媒体104に保持し、使用する際に展開して使用する場合がある。
図6(a)は棒グラフの色601と色602の2色しかいないが、
図6(b)は色601と色602に加えて、色603と色604が上記の解像度変換により発生している。一般的に、上記のように低い解像度から元の解像度に解像度変換した場合にユーザが意図せずに発生する色603は色601に近い色となり、同様にユーザが意図せずに発生する色604は色602に近い色となる。
【0042】
図7(a)~
図7(c)は色縮退とその改善を説明するための図である。
図7(a)は色変換前の画像データが
図6(a)の場合を示し、
図7(b)、
図7(c)は色変換前の画像データが
図6(b)の場合を示している。色再現域701は、画像データの色再現域であり、本実施形態ではsRGBの色再現域を示している。色再現域702は、後述するS205の色変換処理後の色再現域であり、記録装置108の所定の出力モードにおける色再現域に相当する。
【0043】
図7(a)において、色703は、色601をガマットマッピングにより色変換した後の色である。色704は、色602をガマットマッピングにより色変換した後の色である。色703と色704の色差ΔE705が、色601と色602の色差ΔE706に比べて小さい場合に色縮退していると判定される。色差ΔEの計算方法としては、色空間におけるユーグリッド距離を用いる。本実施形態では、好適な例としてCIE-L*a*b*色空間におけるユークリッド距離(以降、色差ΔEと記載)を用いて説明する。CIE-L*a*b*色空間は視覚均等な色空間であるため、ユークリッド距離が色の変化量であると近似することができる。そのため、人はCIE-L*a*b*色空間上のユークリッド距離が小さくなると色が近づいていると知覚し、大きくなると色が離れていると知覚する。CIE-L*a*b*色空間における色情報はそれぞれL*とa*とb*の3軸の色空間で表される。色(L1、a1、b1)と色(L2、a2、b2)との色差ΔEの算出式は、下の式である。
・・・(16)
そこで、本実施形態では、色703と色704を所定の色空間上での色間距離を引き離すことによって色縮退を補正する色変換テーブルを作成する。具体的には、色703と色704が、人の視覚特性に基づいて異なる色だと識別できる色間距離以上に、色間距離を大きくする補正処理を行う。視覚特性上、異なる色だと識別できる色間距離は、色差ΔEが2.0以上である。より好適には色703と色704の色差が、色差ΔE706と同程度であることが望ましい。そのため、色601が色707に、色602が色708にガマットマッピングされる色変換テーブルを作成する。その結果、色差ΔE706と等しい色差ΔE709をデバイス色域で再現することができる。
【0044】
一方、
図7(b)、
図7(c)において、色710は、色603をガマットマッピングにより色変換した後の色である。色711は、色604をガマットマッピングにより色変換した後の色である。これを上述と同様に色縮退を補正するために色間距離を大きくする補正をすると、色601が色712に、色602が色713に、色603が色714に、色604が色715にガマットマッピングされる色変換テーブルを作成することになる。そのため、色間距離はつくが、色712と色713の色差ΔE716が、2.0以上、もしくは色差ΔE706と同程度までデバイス色域で色間距離を大きくすることが出来なくなる場合がある。その結果、モニタに表示された原稿データでは識別できる色が、記録装置108の出力結果で識別できなくなってしまう場合がある。
【0045】
本実施形態では画像データの全画素の色情報を使用して色変換方法を設定するのではなく、入力画像データの色変換方法を設定するために使用する第1領域と、入力画像データの色変換方法を設定するために使用しない第2領域とを設定し、第1領域の色情報を使用して色変換方法を設定する。後述するように、本実施形態では、入力画像データから色の弁別に必要な領域を設定し、その領域の色情報に限定して色変換テーブルを作成する。その結果、
図6(b)の画像データが入力された場合にも、
図7(c)ではなく、
図7(a)の色の弁別に適した色変換方法を設定することが可能になり、上述の記録装置108の出力で色差が識別できなくなることを改善することができる。
【0046】
本実施形態では、人が識別可能で、かつ記録装置108の出力において弁別可能な画像データの色情報は、平面的に所定以上の面積を持つ領域であるとして、その領域を第1領域として設定する。そのため、画像データにおいて同一の色情報を持つ画素が縦に2画素以上連続し、かつ横に2画素以上連続する領域を第1領域として設定する。
図8は本実施形態における第1領域の設定を説明するための図である。
図8(a)の矢印で示すように、本実施形態ではライン処理で、画素単位の画像データに対して順次処理を行う。画素単位の処理では、
図8(b)に示す処理対象の画素(注目画素)800の周囲3画素(画素801、画素802、画素803)それぞれの色情報が注目画素の色情報と同じかを判定する。判定結果が同じであれば注目画素を含む4画素を第1領域として設定する。既に第1領域として設定されている画素は、画素単位の処理において第1領域として再設定してもよい。本実施形態では、上述の方法を用いて第1領域を設定したが、平面的に所定以上の面積を持つ同じ色情報の領域を抽出できれば上述の方法に限られない。また、本実施形態では同じ色情報を持つ領域を抽出したが、元の画像データでは同じ色情報が、例えばJPEG等の非可逆圧縮の画像データでは、色情報が所定の範囲でばらつく場合もある。そのため、同じ色情報を持つ領域を例えば色差ΔEが1.0以内、あるいはRGB値の差分が所定値以内とする等、ばらつきを許容する範囲を設定してもよい。
【0047】
設定した結果、本実施形態では、
図6(a)、
図6(b)のいずれの画像データに対しても、
図9で黒く塗りつぶされた領域が第1領域として設定され、白く塗りつぶされた領域が第2領域として設定される。言い換えれば、ユーザが意図せぬ色603、色604が発生したとしても、入力画像データの色変換方法を設定するために、それらの色は考慮されない。
【0048】
次に、S204において、CPU102は、以下の情報に基づいて、色変換テーブルを作成する。
【0049】
・S201で取得した画像データ
・S202で用いた予め記憶媒体104に記憶された色変換テーブル
・S202で予め記憶媒体104に記憶された色変換テーブルを用いて色変換した画像データ
・S203で設定した領域情報
S204で作成される色変換テーブルの形式は、S202で用いた予め記憶媒体104に記憶された色変換テーブルの形式と同様でも良い。次に、S205において、CPU102は、S204で作成された色変換テーブルを用いてS201で取得された画像データに演算することで、色変換後の画像データを生成する。生成された画像データは、RAM103または記憶媒体104に記憶される。
【0050】
<色変換方法の設定>
S204の色縮退を低減する色変換テーブルを作成する方法を、
図10のフローチャートを用いて詳細に説明する。
図10の処理は、例えばCPU102がRAM103に読み出されたプログラムを実行することにより実現される。本実施形態では、色変換テーブルの作成処理は画像処理装置101で実施される例を示すが、記録装置108で実施されてもよいし、画像処理装置101と記録装置108で分担して処理される構成でもよい。
【0051】
S301において、CPU102は、S203で設定した
図9の第1領域の色情報を検出する。検出処理は、第1領域の画像データの画素毎に繰り返し、第1領域の画像データに含まれる全ての画素について実施する。本実施形態では、
図6(a)もしくは
図6(b)の色601と色602が検出される。なお、色情報のリストはS301の開始時に初期化される。
【0052】
S302において、CPU102は、S301で検出された色情報リストに基づいて、色情報リストの組み合わせの中で、色縮退している色の組み合わせ数を検出する。ここでは、S203で説明したように色601と色602の組み合わせは縮退しているとして検出される。
【0053】
S303において、CPU102は、S302において色縮退している色の組み合わせ数がゼロであるか否かを判定する。色縮退している色の組み合わせ数がゼロであると判定された場合、S304へ進み、色縮退補正が不要な画像であると判断する。その場合、色変換テーブルはS202で用いられた予め記憶媒体104に記憶された色変換テーブルが設定される。色縮退している色の組み合わせ数がゼロでないと判定された場合、S305へ進み、CPU102は、色縮退補正を行う。
【0054】
色縮退補正により色が変化することになる。そのため、色縮退していない色の組み合わせに対しても色変化を生じさせてしまい、不要な色変化となってしまう。そのため色情報リストの組み合わせの総数と色縮退している色の組み合わせ数とから色縮退補正の必要性を判断しても良い。具体的には例えば、色縮退している色の組み合わせ数が、色情報リストの組み合わせの総数の過半数の場合に色縮退補正を必要であると判断しても良い(即ち、S303で色縮退補正ありと判定)。こうすることにより、色縮退補正による色変化の弊害を抑制することができる。例えば、
図6(a)、
図6(b)では色601と色602の2色について棒グラフが示されているが、10色の棒グラフが示されているとすると、組み合わせ総数は45通りとなる。その場合に、色縮退している色の組み合わせ数が例えば23通り以上である場合には、色縮退補正を必要であると判断しても良い。
【0055】
S305において、CPU102は、画像データと色変換後の画像データと色変換テーブルに基づいて、色縮退する色の組み合わせに対して色縮退補正を行う。
図7で説明したように、色703と色704の色差ΔE705を、色差ΔE706と同程度である色707と色708の色差ΔE709となるように色縮退補正を行う。色縮退の補正処理は、色縮退する色の組み合わせ数分を繰り返す。色の組み合わせ数分の色縮退補正の結果は、補正前の色情報と補正後の色情報とをテーブルで保持する。
図7においては、色情報はCIE-L*a*b*色空間における色情報である。そのため、入力時の画像データと出力時の画像データの色空間に変換しても良い。その場合、入力時の画像データの色空間での補正前の色情報と、出力時の画像データの色空間での補正後の色情報とをテーブルで保持する。
【0056】
また、
図7では色703と色704との間の延長線上であったが、本実施形態では、これに限るものではない。色707と色708の色差ΔE709が、色差ΔE706分離れていれば、CIE-L*a*b*色空間における、明度方向、彩度方向、色相角方向のどの方向であっても良い。また、一方向だけでなく、明度方向、彩度方向、色相角方向のそれぞれの組み合わせであっても良い。また、
図7では色703と色704の両方を補正する例を示しているが、片方の色のみを補正することで色差ΔE706分離れるように補正してもよい。
【0057】
S306において、CPU102は、S305の縮退補正の結果を用いて色変換テーブルを変更する。変更前の色変換テーブルは、
図6(a)、
図6(b)の色601を色703へ、色602を色704へ変換するテーブルである。S305の結果を用いて、
図6(a)の色601を色707へ、色602を色708へ変換するテーブルに変更する(色変換方法設定)。一方、S303で色縮退補正なしと判定された場合、S306の処理は行われない。即ち、S303の処理は言い換えれば、S306における色変換テーブルの変更を行うか否かを判定する処理ともいえる。以上のように、色縮退補正後テーブルを作成することができる。色変換テーブルの変更は、色縮退する色の組み合わせ数分を繰り返す。
【0058】
図9に示すように、本実施形態では人が識別可能で、かつ記録装置108の出力において弁別可能な画像データの色情報は、平面的に所定以上の面積を持つ領域であるとして、その領域を色601と色602として設定する。そのため、例えば
図6(a)または
図6(b)の棒グラフ下部の横線は検出されないが、色縮退補正を設定する対象ではないため、上記の作成された変更後の色変換テーブルを適用しなくても良い。また、S201の画像データが
図6(b)の場合、
図9(b)に示すように、色603と色604は補正用色変換テーブルを生成するために使用する第1領域ではなく、第1領域に隣接する領域(第2領域)である。そして、上述したように、色603と色604は色601と色602に近い色であるため、色603と色604に対しても上記の変更後の色変換テーブルで色変換される。言い換えれば、変更後の色変換テーブルを適用する領域は、第1領域と、第2領域の少なくとも一部を含む領域といえる。このように、変更後の色変換テーブルを生成するために使用する領域と、生成された変更後の色変換テーブルを適用する領域とを異ならせることで、不要な色縮退補正を防止し、最適な出力画像を得ることが可能となる。
【0059】
本実施形態によれば、画像データの色変換方法を設定するために使用する第1領域と、画像データの色変換方法を設定するために使用しない第2領域とを設定する。各領域を設定することで、不要な色縮退補正を防止し、色縮退補正に必要な領域(即ち、第1領域)の情報のみに基づいて適切な色変換方法を設定することができる。その結果、画像全体で記録装置108に好適な色変換結果を得ることができる。
【0060】
本実施形態では、人が識別可能で、かつ記録装置108の出力において弁別可能な画像データの色情報は、平面的に所定の面積を持つ領域として、同一の色情報を持つ画素が縦に2画素以上連続し、かつ横に2画素以上連続するという条件で第1領域を設定した。しかしながら、記録装置108の出力解像度や記録装置108の出力物を鑑賞する人の視覚特性等に応じて縦横の連続する画素数を設定してもよい。その結果、より最適に第1領域を設定することが可能になる。また、記録装置108を使用するユーザが記録装置108のユーザインタフェース(UI)や原稿データの付属情報から第1領域の設定条件を指定してもよい。その結果、第1領域の設定条件にユーザの意図を反映することが可能になる。
【0061】
また、本実施形態では、色変換テーブルの設定に予め記憶媒体104に記憶された色変換テーブルを使用し、かつ、その色変換テーブルと同一の形式で色変換テーブルを作成した。例えば、S202の色変換では、記憶媒体104に記憶された色変換テーブルを使用せずに、取得した画像データの色再現域から記録装置108の色再現域に相対的に色を変換するように所定のルールで変換してもよい。その結果、予め記憶媒体104に色変換テーブルを保持する必要がなく、記憶容量の低減が可能になる。また、S204の色変換方法の設定では、色変換テーブルを設定せず、色変換前後の色情報を1:1対応(いわゆる辞書形式)で設定してもよいし、計算式で近似できる場合は計算式で設定してもよい。その結果、色変換テーブルと比較して、色変換方法を保持するための記憶容量の低減が可能になる。
【0062】
[第2実施形態]
以下、第1実施形態と異なる点について第2実施形態を説明する。第1実施形態では、画像データに対して適切な色変換をするために、色変換に必要な第1領域の情報に基づいて色変換方法を設定する構成を説明した。しかしながら、設定された色変換方法を画像データに適用すると、設定された色変換方法では画質が低下する領域が発生する場合がある。
【0063】
図11は第2実施形態におけるS201で取得した画像データの例である。
図11の画像データ下部には、
図6(a)の画像データに加えて、横棒の棒グラフである領域1101と領域1102が描画されている。棒グラフの領域1101と領域1102の領域内にはいずれも、横方向のグラデーションが描かれている。説明を分かり易くするために、領域の左端は
図6の色601、右端は色602であり、その間は連続的に色601と色602の間で明度が連続して変化していくグラデーションの画素が構成されている。
【0064】
第1実施形態のS202で予め記憶媒体104に記憶された色変換テーブルを
図11の領域1101に適用した場合、
図6(a)の色601から色602をつなぐ滑らかなグラデーションが記録装置108から出力される。一方、第1実施形態のS306で作成した色縮退を低減するための色変換テーブルを
図11の領域1101に適用した場合、
図7(a)の色707と色708との間のグラデーションが記録装置108から出力される。この場合、
図7(a)に示すように、グラデーションを再現する色再現範囲が拡張されるものの、グラデーションを形成する画素数は同じなので、グラデーションを構成するそれぞれの画素の色情報がより離散的なデータとなる。そのため、グラデーションの階調間で段差が発生する場合がある。このように、例えば色の弁別を重視する色変換テーブル(即ち、色縮退を低減するための色変換テーブル)を設定した場合には、色の連続(階調)を重視する領域に対しては画質低下が発生する場合がある。
【0065】
そのため、本実施形態では、画質低下を低減するため、設定された色変換方法を適用する領域と、設定された色変換方法を適用しない領域とを設定し、設定された領域に応じて色変換方法を切り替える例について説明する。
【0066】
図12は、第2実施形態における
図3のS103の色変換処理を説明するフローチャートである。
図12の処理は、例えばCPU102がRAM103に読み出されたプログラムを実行することにより実現される。本実施形態では、色変換処理は画像処理装置101で実施される例を示すが、記録装置108で実施されてもよいし、画像処理装置101と記録装置108で分担して処理される構成でもよい。S201からS203までは第1実施形態と同様であるためそれらの説明を省略する。また、S202及びS203と、S401とは並行して実行される。更には、S201、S401、S202の順序で逐次処理を行っても良い。
【0067】
S401では、CPU102は、S201で取得した画像データから、後段のS402で設定される色変換方法を適用する第3領域と、S402で設定される色変換方法を適用しない第4領域とを設定する。ここでは、色の階調を重視するため、色の弁別を重視する色変換テーブルを適用しない領域を第4領域とする。即ち、色の階調を重視する領域を第4領域とする。
【0068】
本実施形態における色の階調を重視するため、色の弁別を重視する色変換テーブルを適用しない第4領域の設定を説明するために第1実施形態と同様に
図8を用いて説明する。
図8(a)の矢印で示すように、ライン処理で、画素単位の画像データに対して順次処理を行う。画素単位の処理では、
図8(b)に示すように、注目画素(処理対象の画素)800の周囲3画素(画素801、画素802、画素803)の色情報が注目画素の色情報と連続しているかを判定する。本実施形態では、注目画素800の周囲3画素それぞれの色情報が注目画素800の色情報と同一ではなく、かつ色差ΔEで2.0以上離れていなければ、注目画素を第4領域として設定する。既に第4領域として設定されている画素は、画素単位の処理において第4領域として再設定してもよい。本実施形態では、上述の方法を用いて第4領域を抽出したが、画像データとして色情報が連続的に変化している領域を設定できれば上記の方法に限られない。
図11の画像データに対して、
図13(a)で示す黒く塗りつぶされた領域が第4領域として設定され、白く塗りつぶされた領域が第3領域として設定される。
【0069】
図13(b)は、S203で設定された画像データの色変換方法を設定するために使用する第1領域と、S203で設定された画像データの色変換方法を設定するために使用しない第2領域とを示す。
図13(b)では、第1領域は、黒く塗りつぶされた領域として示され、第2領域は、白く塗りつぶされた領域として示されている。第1実施形態で説明したように、色603と色604は第2領域に含まれる。
図13(a)、
図13(b)に示すように、色の弁別を重視する色変換方法を適用可能な第3領域の中に、色の弁別を重視する色変換方法を設定するために使用される第1領域が含まれるように、第1領域と第2領域を設定する条件と、第3領域と第4領域を設定する条件とを設定することが望ましい。つまり、色の弁別を重視する色変換方法を設定するために使用する領域が、色の弁別を重視する色変換方法を適用しない領域とならないように設定することが望ましい。
【0070】
次に、S402では、CPU102は、S401で設定された第3領域と第4領域に対する色変換テーブルを作成する。第3領域に対する色変換テーブルは、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。第4領域に対する色変換テーブルは、S202で用いた予め記憶媒体104に記憶された色変換テーブルとは異なる、予め記憶媒体104に記憶された階調重視の色変換テーブルを設定する。また、階調重視の色変換テーブルは、第3領域に対して適用可能な色変換テーブルとも異なるものである。
【0071】
次に、S403では、CPU102は、以下の情報に基づいて、色変換を実施する。
【0072】
・S401の領域情報
・S402で設定した第3領域に対する色変換テーブル
・S402で設定した第4領域に対する予め記憶媒体104に記憶された階調性重視の色変換テーブル
S201で取得した画像データに対して、S401で抽出された第3領域に対しては、S402で設定した、第3領域に対する色変換テーブルを用いて演算することで色変換後の画像データを生成する。一方で、S401で抽出された第4領域に対しては、S402で設定した、予め記憶媒体104に記憶された階調性重視の色変換テーブルを用いて演算することで色変換後の画像データを生成する。生成された画像データは、RAM103または記憶媒体104に記憶される。
【0073】
本実施形態によれば、画像データの色変換方法を設定するために使用する第1領域と、画像データの色変換方法を設定するために使用しない第2領域とを設定することで、色変換に必要な領域の情報に基づいて適切な色変換方法を設定することができる。加えて、色変換方法を設定するための領域の設定とは異なる、色変換方法を適用する第3領域と色変換方法を適用しない第4領域とを設定する。これにより、設定した色変換方法を適用しても画質低下しない領域に対してのみ色変換を実施することができる。
【0074】
本実施形態では、第1領域から生成された色変換方法を画像データに適用すると画質が低下する領域を第4領域として設定し、第4領域には、第1領域から生成された色変換方法を適用しないことで、画質低下を回避する例を示した。しかしながら、第1領域から生成された色変換方法を画像データに適用しても画質低下が発生しない第3領域を設定することで第3領域と第4領域を分離してもよい。
【0075】
本実施形態では、第4領域に対して予め記憶媒体104に記憶された階調性重視の色変換テーブルを適用したが、第1実施形態のS202で用いた予め記憶媒体104に記憶された色変換テーブルが適用可能であれば、それを適用する構成でもよい。
【0076】
以上、各実施形態を用いて説明したが、上記の実施形態に記載の範囲には限定されない。上記の実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得る。
【0077】
各実施形態において、色縮退を低減して原稿データ上の色が出力物において弁別可能となる色変換テーブルを第1領域の色情報から設定する例を説明した。そして、色の弁別を重視する色変換方法を設定した場合には、階調性を重視する領域には画質低下が発生する場合がある。そのため、第4領域として階調性を重視する領域を抽出する例を説明した。しかしながら、これに限られない。例えば、記録装置108の色再現域が狭く、取得される画像データの色再現域が広い場合には、画像データの高彩度部分の連続する階調は、記録装置108の色再現域の色再現域境界にマッピングされて階調性が低下する場合がある。そのため、階調性を重視する領域を第1領域として設定しても良い。そして、その第1領域の色情報から階調を重視する色変換テーブルを作成してもよい。そして、階調を重視する色変換テーブルを作成した場合には、色の弁別を重視する領域に対してその色変換テーブルを適用すると、画質低下が発生する場合がある。そのため、色の弁別を重視する領域を第4領域として設定してもよい。その結果、階調領域から生成した階調を重視する色変換テーブルを設定でき、かつ、階調を重視する色変換テーブルを適用しても画質低下が発生しない領域にその色変換テーブルを適用することが可能となる。言い換えれば、階調性を重視する領域を第1領域とし、色の弁別を重視する領域を第4領域として上記の実施形態の動作を適用すると、色の弁別を重視する領域に対する、階調を重視する色変換テーブルの適用を防ぐことができる。また、上記の色の弁別を重視する領域の変わりに、彩度を重視する領域を設定し、上記の実施形態の動作を適用してもよい。それにより、彩度を重視した領域から彩度を重視した色変換テーブルを生成し、彩度を重視する色変換テーブルを適用しても画質低下が発生しない領域にその色変換テーブルを適用することが可能となる。
【0078】
各実施形態において、色縮退補正を実行するか否かの指示をユーザから入力可能としても良い。その場合、画像処理装置101または記録装置108に搭載されている表示部(不図示)に、
図14のようなUI画面を表示して、ユーザ指示を受付可能にしてもよい。
図14に示すUI画面においては、ユーザに対して、色補正の種類をトグルボタンによって選択させることが可能である。さらには、各実施形態で説明した処理を示す「適応的ガマットマッピング」を実行するか否かのONとOFFをトグルボタンによって選択させることが可能である。このような構成により、ユーザの指示に従って、適応的ガマットマッピングを実行するか否かを切り替えることが可能である。その結果、ユーザが色縮退の度合いを低減させたいときに、各実施形態で説明したガマットマッピングを実行することができる。
【0079】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0080】
本実施形態の開示は、以下の画像処理装置、方法、およびプログラムを含む。
(項目1)
入力された画像データの表す画像上で、画像データの色変換方法の設定に使用する第1領域と、前記色変換方法の設定に使用しない第2領域とを設定する領域設定手段と、
前記領域設定手段による設定の結果、前記画像上に前記第1領域と前記第2領域とが含まれる場合、
前記領域設定手段により設定された前記第1領域の画像データに基づいて、前記色変換方法を設定する色変換方法設定手段と、
前記画像上の前記第1領域と、前記第2領域の少なくとも一部とを含む領域に対して適用する色変換方法として、前記色変換方法設定手段により設定された前記色変換方法を決定し、当該決定された色変換方法を用いて色変換後の画像データを生成する生成手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
(項目2)
前記画像上で、前記色変換方法設定手段により設定された前記色変換方法を適用する第3領域と、前記色変換方法を適用しない第4領域とを設定する第2領域設定手段、をさらに備え、
前記第2領域設定手段による設定の結果、前記画像上に前記第3領域が含まれる場合、
前記生成手段は、前記第2領域設定手段により設定された前記第3領域に対して適用する色変換方法として、前記色変換方法設定手段により設定された前記色変換方法を決定し、当該決定された色変換方法を用いて色変換後の画像データを生成する、
ことを特徴とする項目1に記載の画像処理装置。
(項目3)
前記第2領域設定手段による設定の結果、前記画像上に前記第4領域が含まれる場合、
前記生成手段は、前記第2領域設定手段により設定された前記第4領域に対して適用する色変換方法として、前記色変換方法設定手段により設定された前記色変換方法とは異なる色変換方法を決定することを特徴とする項目2に記載の画像処理装置。
(項目4)
前記色変換方法設定手段により設定された前記色変換方法は、前記第4領域に対して適用する色変換方法として決定されないことを特徴とする項目3に記載の画像処理装置。
(項目5)
前記第4領域の画像データに基づいて第2色変換方法を設定する第2色変換方法設定手段、をさらに備え、
前記生成手段は、前記第4領域に対して適用する色変換方法として、前記第2色変換方法設定手段により設定された前記第2色変換方法を決定し、当該決定された前記第2色変換方法を用いて色変換後の画像データを生成することを特徴とする項目3に記載の画像処理装置。
(項目6)
前記第4領域は、連続的に階調が変化する領域であることを特徴とする項目2乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(項目7)
前記第1領域は、前記第3領域に含まれることを特徴とする項目2乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(項目8)
前記第1領域と前記第4領域は互いに異なる領域であることを特徴とする項目2乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(項目9)
前記第2領域は、前記第1領域に隣接する領域であることを特徴とする項目2乃至8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(項目10)
前記入力された画像データは、低解像度に解像度変換された後、元の解像度に解像度変換された画像データであり、
前記第2領域は、元の解像度に解像度変換されたことにより生じる領域を含むことを特徴とする項目1乃至9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(項目11)
前記色変換方法設定手段により設定された前記色変換方法は、前記入力された画像データの色域を記録装置の色域に変換する第3色変換方法が前記第1領域に対して適用されて色変換が行われた結果、小さくなった色間を広げるように、前記第3色変換方法が補正された色変換方法であることを特徴とする項目1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(項目12)
前記色変換方法設定手段により設定された前記色変換方法は、前記第3色変換方法が前記第1領域に対して適用されて色変換が行われた結果、小さくなった色間を明度、彩度、色相角の少なくともいずれかの方向に沿って広げるように補正された色変換方法であることを特徴とする項目11に記載の画像処理装置。
(項目13)
前記記録装置は、インクジェット記録方式により記録媒体に画像を形成する記録装置であることを特徴とする項目11又は12に記載の画像処理装置。
(項目14)
前記色変換方法設定手段による前記色変換方法の設定を行うか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記色変換方法設定手段は、前記色変換方法設定手段による前記色変換方法の設定を行うと前記判定手段により判定された場合、前記第1領域の画像データに基づいて、前記色変換方法を設定することを特徴とする項目11乃至13のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(項目15)
前記判定手段は、前記第3色変換方法が前記第1領域に対して適用されて色変換が行われた結果、色間が小さくなったか否かに基づいて、前記色変換方法設定手段による前記色変換方法の設定を行うか否かを判定することを特徴とする項目14に記載の画像処理装置。
(項目16)
前記判定手段は、前記第1領域の画像データが表す複数の色間のうち、所定の数の組み合わせについて色間が小さくなった場合、前記色変換方法設定手段による前記色変換方法の設定を行うと判定することを特徴とする項目15に記載の画像処理装置。
(項目17)
前記色変換方法は、色変換テーブルであることを特徴とする項目1乃至16のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(項目18)
画像データを入力する入力手段、をさらに備え、
前記入力された画像データは、前記入力手段により入力された画像データであることを特徴とする項目1乃至17のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(項目19)
前記生成手段により生成された画像データを出力する出力手段、をさらに備えることを特徴とする項目1乃至18のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(項目20)
画像処理装置において実行される方法であって、
入力された画像データの表す画像上で、画像データの色変換方法の設定に使用する第1領域と、前記色変換方法の設定に使用しない第2領域とを設定する領域設定工程と、
前記領域設定工程における設定の結果、前記画像上に前記第1領域と前記第2領域とが含まれる場合、
前記領域設定工程において設定された前記第1領域の画像データに基づいて、前記色変換方法を設定する色変換方法設定工程と、
前記画像上の前記第1領域と、前記第2領域の少なくとも一部とを含む領域に対して適用する色変換方法として、前記色変換方法設定工程において設定された前記色変換方法を決定し、当該決定された色変換方法を用いて色変換後の画像データを生成する生成工程と、
を有することを特徴とする方法。
(項目21)
項目1乃至19のいずれか1項に記載の画像処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【0081】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0082】
101 画像処理装置: 108 記録装置: 102、111 CPU: 103、112 RAM: 104、113 記憶媒体