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特開2025-10549情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010549
(43)【公開日】2025-01-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   A41H 43/00 20060101AFI20250115BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20250115BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
A41H43/00 Z
A41H43/00 D
G06T19/00 A
G06T1/00 500A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196482
(22)【出願日】2021-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(71)【出願人】
【識別番号】505417437
【氏名又は名称】MNインターファッション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(72)【発明者】
【氏名】平井 悠佑
(72)【発明者】
【氏名】多田 早織
(72)【発明者】
【氏名】新林 寛之
(72)【発明者】
【氏名】若山 翔平
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 敬介
【テーマコード(参考)】
5B050
5B057
【Fターム(参考)】
5B050AA03
5B050BA09
5B050BA20
5B050CA07
5B050CA08
5B050EA26
5B050FA02
5B050FA05
5B050FA13
5B057AA18
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CC01
5B057CE01
5B057CE08
5B057CE11
5B057CE20
5B057DA16
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC09
5B057DC22
5B057DC25
(57)【要約】
【課題】所望の生地の選定を支援することができる情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法を提供する。
【解決手段】情報取得部は、生地の素材の特性を示す素材情報と、前記素材から生産される生地の特性を示す生地情報とを取得し、画像合成部は、前記素材情報ならびに前記生地情報と、前記生地の立体形態を表す画像との関係を示す画像合成モデルを用いて、取得された素材情報と生地情報から生地の画像を合成する。本実施形態は、情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法のいずれの形態でも実現できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地の素材の特性を示す素材情報と、前記素材から生産される生地の特性を示す生地情報とを取得する情報取得部と、
前記素材情報ならびに前記生地情報と、前記生地の立体形態を表す画像との関係を示す画像合成モデルを用いて、取得された素材情報と生地情報から生地の画像を合成する画像合成部と、を備える
情報処理システム。
【請求項2】
前記情報取得部は、
三次元空間における視点を示す視点情報を取得し、
前記画像合成部は、
前記視点から観察される前記生地の画像を合成する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記情報取得部は、
照明条件を示す照明情報を取得し、
前記画像合成部は、
前記照明条件に従って光を照らして表現される生地の画像を合成する
請求項1から請求項2のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記画像合成部は、
前記生地の少なくとも一部分を変形し、
前記変形に応じて変化した形状と模様を有する前記生地の画像を合成する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記画像合成部は、
前記形状と模様の変化が時間経過に応じて変化する前記生地の画像を合成する
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記情報取得部は、
品種を示す品種情報を取得し、
前記画像合成部は、
前記生地から生産される前記品種の製品の画像を合成する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記画像合成部は、
前記製品を装着した人物の画像を合成する
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
生地の立体形態を表す画像を取得する情報取得部と、
前記画像と、前記生地の素材の特性を示す素材情報と前記素材から生産される前記生地の特性を示す生地情報との関係を示す生産条件モデルを用いて、取得された画像から前記素材情報ならびに前記生地情報を定める画像解析部と、を備える
情報処理システム。
【請求項9】
前記素材情報は、前記素材の銘柄、品種、繊度、繊維タイプ、断面形状、光沢、色彩、潜在捲縮特性、収縮特性、捲縮特性、繊維長、フィラメント長、および、総繊度のうち少なくとも1項目を含み、
前記生地情報は、トレンド情報、価値観情報、用途情報、動物の種類、生地タイプ、複数の素材間の構成比率、パイル長、段差情報、変色加工状態、植え込み密度、目付、および、植え込みパターンのうち少なくとも1項目を含む
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記生地の表面は、前記素材からなり、長さ方向に異なる複数色で着色された繊維を含み、
前記変色加工状態は、前記複数色の分布を示す
請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記生地の表面は、前記素材からなる複数の種類の繊維の組である繊維束が植毛され、
前記生地情報は、
前記繊維束の構成を示す繊維束構成情報を含む
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記生地は、人工毛皮である
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項13】
生地の素材の特性を示す素材情報と、前記素材から生産される生地の特性を示す生地情報とを取得する情報取得部と、
前記素材情報ならびに前記生地情報と、前記生地の立体形態を表す画像との関係を示す画像合成モデルを用いて、取得された素材情報と生地情報から生地の画像を合成する画像合成部と、を備える
情報処理装置。
【請求項14】
生地の立体形態を表す画像を取得する情報取得部と、
前記画像と、前記生地の素材の特性を示す素材情報と前記素材から生産される前記生地の特性を示す生地情報との関係を示す生産条件モデルを用いて、取得された画像から前記素材情報ならびに前記生地情報を定める画像解析部と、を備える
情報処理装置。
【請求項15】
情報処理装置における方法であって、
前記情報処理装置が、
生地の素材の特性を示す素材情報と、前記素材から生産される生地の特性を示す生地情報とを取得する情報取得ステップと、
前記素材情報ならびに前記生地情報と、前記生地の立体形態を表す画像との関係を示す画像合成モデルを用いて、取得された素材情報と生地情報から生地の画像を合成する画像合成ステップと、を実行する
情報処理方法。
【請求項16】
情報処理装置における方法であって、
前記情報処理装置が、
生地の立体形態を表す画像を取得する情報取得ステップと、
前記画像と、前記生地の素材の特性を示す素材情報と前記素材から生産される前記生地の特性を示す生地情報との関係を示す生産条件モデルを用いて、取得された画像から前記素材情報ならびに前記生地情報を定める画像解析ステップと、を実行する
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法に関する。本発明は、例えば、合成素材からなる生地の標本を表す画像の合成に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料品の生地やその素材を取引する際、素材メーカは、生地の標本(見本)を作成し、作成した標本を生地メーカやアパレルメーカなどの取引業者に提示することがある。取引業者は、提示された標本を参照して取引対象とする標本または素材を選択することがある。従来から、所望の特徴を有する標本、または、その特徴の検索を効率化することが試みられてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、生地の商品名および重さを含む商品データと、視覚および触覚を感性尺度として生地を評価した感性評価値データと、生地の生地種、素材及び生地の用途を基本項目とする基本項目データとをそれぞれ関連付けして記憶し、感性評価値データから生地を検索するか、基本項目データから生地を検索するかを選択することができる生地検索システムについて記載されている。
【0004】
特許文献2には、ユーザの体型情報と衣服情報に基づいてユーザの体型を有する人体モデルが衣服を着た状態の試着画像を作成し、表示装置に表示し、生地見本の作成が指示されると、試着画像の衣服情報として生地、色、柄等を出力し、この情報に基づき白色の生地に色、柄をプリントし、後処理、洗浄および乾燥の各工程を経て生地見本を作成する試着画像作成システムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-016378号公報
【特許文献2】特開2002-024319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、感性は人により異なるため、特許文献1に記載の感性尺度からの検索では、ユーザによっては、目的の生地を見つけることが困難なことがある。特許文献2に記載の手法では、試着画像の衣服情報に基づいて生地、色、柄等の特徴が特定されるが、生地自体の特徴までは特定されない。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題の一つは、所望の生地の選定を支援することができる情報処理装置、情報処理システムおよび画像処理方法を提供することである。また、生地サンプルの立体形態を表す画像を提供することにより、物理的な生地サンプルを生産する必要がなくなるため生地の開発効率の向上と、生地サンプルの廃棄を解消して環境保護に貢献できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、生地の素材の特性を示す素材情報と、前記素材から生産される生地の特性を示す生地情報とを取得する情報取得部と、前記素材情報ならびに前記生地情報と、前記生地の立体形態を表す画像との関係を示す画像合成モデルを用いて、取得された素材情報と生地情報から生地の画像を合成する画像合成部と、を備える情報処理システムである。
(2)本発明の他の態様は、生地の立体形態を表す画像を取得する情報取得部と、前記画像と、前記生地の素材の特性を示す素材情報と前記素材から生産される前記生地の特性を示す生地情報との関係を示す生産条件モデルを用いて、取得された画像から前記素材情報ならびに前記生地情報を定める画像解析部と、を備える情報処理システムである。
【0009】
(3)本発明の他の態様は、生地の素材の特性を示す素材情報と、前記素材から生産される生地の特性を示す生地情報とを取得する情報取得部と、前記素材情報ならびに前記生地情報と、前記生地の立体形態を表す画像との関係を示す画像合成モデルを用いて、取得された素材情報と生地情報から生地の画像を合成する画像合成部と、を備える情報処理装置である。
(4)本発明の他の態様は、生地の立体形態を表す画像を取得する情報取得部と、前記画像と、前記生地の素材の特性を示す素材情報と前記素材から生産される前記生地の特性を示す生地情報との関係を示す生産条件モデルを用いて、取得された画像から前記素材情報ならびに前記生地情報を定める画像解析部と、を備える情報処理システムである。
【0010】
(5)本発明の他の態様は、情報処理装置における方法であって、前記情報処理装置が、生地の素材の特性を示す素材情報と、前記素材から生産される生地の特性を示す生地情報とを取得する情報取得ステップと、前記素材情報ならびに前記生地情報と、前記生地の立体形態を表す画像との関係を示す画像合成モデルを用いて、取得された素材情報と生地情報から生地の画像を合成する画像合成ステップと、を実行する情報処理方法である。
(6)本発明の他の態様は、情報処理装置における方法であって、前記情報処理装置が、生地の立体形態を表す画像を取得する情報取得ステップと、前記画像と、前記生地の素材の特性を示す素材情報と前記素材から生産される前記生地の特性を示す生地情報との関係を示す生産条件モデルを用いて、取得された画像から前記素材情報ならびに前記生地情報を定める画像解析ステップと、を実行する情報処理方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所望の生地の選定を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの機能構成の第1例を示す概略ブロック図である。
図2】本実施形態の画像合成モデルの学習と推論の例を示す説明図である。
図3】本実施形態に係る生産条件情報の例を示す表である。
図4】本実施形態に係る生地の第1例を示す図である。
図5】本実施形態に係る生地の第2例を示す図である。
図6】本実施形態に係る表示画面の第1例を示す図である。
図7】本実施形態に係る表示画面の第2例を示す図である。
図8】本実施形態に係る注文画面の例を示す図である。
図9】本実施形態に係る評価画面の例を示す図である。
図10】本実施形態に係る情報処理システムの機能構成の第2例を示す概略ブロック図である。
図11】本実施形態の画像解析モデルの学習と推論の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。まず、本実施形態の概要について説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の機能構成の第1例を示す概略ブロック図である。情報処理システム1は、情報処理装置10と端末装置20を含んで構成される。情報処理装置10と端末装置20は、ネットワークを経由して無線または有線で各種のデータを送受信可能に接続される。ネットワークは、インターネット、公衆ネットワーク、構内ネットワーク(LAN:Local Area Network)、仮想専用線(VPN:Virtual Private Network)、専用回線、などのいずれか、または、いずれかの組み合わせであってもよい。
【0014】
情報処理装置10は、素材の生産条件を示す情報(本願では、「生産条件情報」と呼ぶこともある)を取得する。生産条件情報には、素材情報と生地情報が含まれる。素材情報は、生地の素材の特性を示す情報である。生地情報は、素材から生産される生地の特性を示す情報である。生地は、具体的には人工毛皮(合成毛皮、人造毛皮、エコファー、フェイクファー、などとも呼ばれることがある)である。人工毛皮は、一般に基布(地組織部という場合がある)上に化学繊維からなる繊維束を編みや織り等の方法により立毛組織を形成してなる立毛調生地である。生地は、サンプル(標本、見本、などとも呼ばれることがある)として形成されうる。素材は、生地の原材料となる化学繊維を少なくとも含み、天然繊維を含んでいてもよい。情報処理装置10は、例えば、端末装置20から素材情報と生地情報を取得することができる。情報処理装置10は、素材情報ならびに生地情報と、生地の立体形態を表す画像との関係を示す画像合成モデルを用いて、取得された素材情報と生地情報から生地の画像を合成する。情報処理装置10は、合成した画像を示す画像データを端末装置20に送信する。端末装置20は、情報処理装置10から受信した画像データに基づいて生地の立体形態を表す画像を表示する。端末装置20のユーザは、表示された画像を視認して、画像に表れた生地が所望の生地であるか確認することができる。
【0015】
端末装置20のユーザは、主に生地の生産者もしくは販売者、または、生地を材料とする衣料品のデザイナー、生産者もしくは販売者、一般消費者などである。情報処理装置10は、端末装置20から生地に関する注文情報を取得する。情報処理装置10のユーザは、主に素材の生産者もしく販売者、または、それらの委託を受けた事業者、衣料品のデザイナー、生産者もしくは販売者である。生地サンプルの生産を軽減または省略することができるため、生地の開発を効率化することができる。さらには、端末装置20のユーザは、端末装置20を用いて生産条件情報を変更し、生地サンプルの画像データを視認して所望の生地をすぐに確認できるため、必要以上の生地サンプルの開発に係る労力や時間を節減することができる。
【0016】
なお、情報処理装置10は、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)、ワークステーション、サーバ装置などの汎用の機器として構成されてもよいし、専用の機器として構成されてもよい。端末装置20は、PC、タブレット端末装置、スマートフォンなどの汎用の機器として構成されてもよいし、専用の機器として構成されてもよい。
【0017】
次に、情報処理装置10の機能構成例について説明する。情報処理装置10は、制御部120、記憶部140および入出力部150を含んで構成される。
制御部120は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを含んで構成される。プロセッサは、記憶部140に予め記憶させた所定のプログラムに記述された命令に示される処理を実行して、情報処理装置10の機能を発揮する。本願では、プログラムに記述された命令に示される処理を実行することを、「プログラムの実行」、「プログラムを実行する」などと呼ぶことがある。プロセッサは、例えば、所定のプログラムを実行して制御部120としての機能を実現する。制御部120は、専用の部材を用いて実現されてもよい。
【0018】
記憶部140は、制御部120が実行する処理に用いる各種のデータを記憶する。記憶部140は、制御部120が取得した各種のデータを記憶する。記憶部140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの記憶媒体を含んで構成される。
入出力部150は、他の機器と無線または有線を用いて各種のデータの入力または出力する。入出力部150は、他の機器とネットワークを経由して接続してもよい。入出力部150は、例えば、入出力インタフェース、通信インタフェースなどのいずれか、または両者を含んで構成されてもよい。
【0019】
次に、制御部120について説明する。制御部120は、情報取得部122、画像合成部124、モデル学習部126、注文処理部128およびユーザ管理部130を含んで構成される。
情報取得部122は、生地の生産条件情報を取得する。情報取得部122は、端末装置20から入出力部150を用いて生産条件情報を受信し、受信した生産条件情報を画像合成部124に出力する。生産条件情報の要素となるパラメータの例については、後述する。
【0020】
画像合成部124は、所定の画像合成モデルを用いて、情報取得部122から入力された生産条件情報に基づいて生地の立体形態を表す画像を合成し、生成した画像を示す三次元の画像データを生成する(推論)。画像合成部124は、生成した画像データを端末装置20に入出力部150を用いて送信する。立体形態は、三次元形状と、表面に付された模様をなす色の分布で表現される。色は、一般に色調(色合い)と階調(濃淡)の一方または両方を指す。三次元形状と大きさは、予め設定されてもよい。画像に表される三次元形状には少なくとも1つの表面と1つの断面が含まれる。三次元画像データとして、点群データ、二次元の画像データと奥行データの組、などが用いられうる。画像合成モデルとして、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)などの数理モデルを用いることができる。画像合成モデルを用いた演算処理のパラメータ群(ハイパーパラメータ、モデルパラメータ、などとも呼ばれる)として、モデル学習部126により得られたモデルパラメータが用いられる。以下の説明では、画像データと奥行データにおける信号値の設定単位である画素(ピクセル)、点群データにおける信号値の設定単位である体積要素(ボクセル)を「表示単位」と総称することがある。
【0021】
モデル学習部126は、予め生成された訓練データを用いて、生産条件情報と生地の立体形態を表す画像との関係を示す画像合成モデルのモデルパラメータを算出する(モデル学習)。訓練データは、複数の訓練セットを含んで構成される。個々の訓練セットは、入力情報として生産条件情報と出力情報として画像の組を含む。モデル学習部126は、例えば、訓練セット全体として、入力情報に基づく推定画像と、出力情報をなす画像との差分が低減されるように、モデルパラメータを再帰的に更新する。学習により得られたモデルパラメータが、画像合成部124における推論に用いられる。モデル学習および推論については、後述する。
【0022】
注文処理部128は、画像合成部124において生成された画像データに立体形態が示された生地に関する注文情報を端末装置20から入出力部150を用いて受信する。注文処理部128は、受信した注文情報に示される生産条件情報を特定することができる。特定した生産条件情報は生地の生産に用いられてもよい。例えば、注文処理部128は、特定した生産条件情報を生地の生産設備に送信してもよい。注文処理部128は、生産設備に対し、生産条件情報で示される生産条件に従って生地を生産させることができる。本実施形態では、生産対象とする製品は、主に生地の標本(以下、「生地サンプル」と呼ぶことがある)である場合を例にする。なお、注文処理部128は、取得した注文条件をユーザ管理部130に出力し、ユーザごとに管理させるようにしてもよい。
【0023】
ユーザ管理部130は、端末装置20を用いてアクセスするユーザを管理する。ユーザ管理部130は、例えば、ログイン処理を行う。記憶部140には、ユーザごとにユーザ識別情報と認証情報を含み、これらを関連付けてなるユーザ登録データを記憶させておく。ユーザ識別情報と認証情報として、例えば、ユーザIDとパスワードが用いられる。ユーザ管理部130は、端末装置20からユーザ識別情報と認証情報を取得する。ユーザ管理部130は、ユーザ登録データを参照し、取得したユーザ識別情報に関連付けられた認証情報と取得した認証情報とを照合し、ユーザ認証の成否を判定する。ユーザ管理部130は、ユーザ認証に成功したユーザ識別情報の送信元となる端末装置20からのアクセスを許可し、ユーザ認証に失敗したユーザ識別情報の送信元となる端末装置20からのアクセスを許可しない。ユーザ管理部130は、端末装置20からログアウト処理が指示されるまでの間、端末装置20からのアクセスにより通知されるIPアドレスなどの機器識別情報を用いて、アクセス元の端末装置20を特定することができる。
【0024】
次に、端末装置20の機能構成例について説明する。端末装置20は、制御部220、記憶部240、入出力部250、表示部260および操作部270を含んで構成される。
制御部220、記憶部240および入出力部250の機能構成は、それぞれ情報処理装置10の制御部120、記憶部140および入出力部150の機能構成と同様であってもよい。制御部220、記憶部240および入出力部250の機能構成は、それぞれ制御部120、記憶部140および入出力部150の説明を援用する。
【0025】
表示部260は、制御部220から入力される表示データに従って各種の情報(例えば、表示画面など)を表示する。表示部260は、例えば、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどのディスプレイを備える。
操作部270は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作で指示される各種の情報(例えば、座標値、文字、など)を示す操作信号を生成する。操作部270は、生成した操作信号を制御部220に出力する。操作部270は、ボタン、レバー、つまみ、などの専用の部材を備えてもよいし、タッチセンサ、マウス、ジョイスティック、などの汎用の部材を備えてもよい。操作部270をなすタッチセンサは、表示部260をなすディスプレイと重なり合い、タッチパネルとして構成されてもよい。
【0026】
次に、制御部220について説明する。制御部220は、入力処理部222および表示処理部224を含んで構成される。
入力処理部222は、表示処理部224と協働して、グラフィックユーザインタフェース(GUI:Graphic User Interface)を構成する。入力処理部222は、操作部270または入出力部250に入力される操作信号で指示される情報を特定する。特定される情報には、素材情報、生地情報、注文情報などの要素情報や情報処理装置10へのアクセス要求などがある。入力処理部222は、特定した素材情報および生地情報を情報処理装置10に送信する。入力処理部222は、操作信号に基づいて画像の表示態様を特定し、特定した表示態様を表示処理部224に通知してもよい。入力処理部222は、操作情報に基づいて注文情報を特定し、特定した注文情報を情報処理装置10に送信する。
【0027】
表示処理部224は、各種の表示画面を構成し、構成された表示画面を示す表示データを表示部260に出力する。表示画面には、素材情報、生地情報を特定するための項目や、生地の立体形態を表す画像の表示欄、画像の表示態様を指示するための画面部品などが含まれうる。表示画面には、注文条件を特定するための項目や画像に対する評価項目などが含まれうる。表示画面の具体例については後述する。
【0028】
次に、画像合成モデルの学習と推論について説明する。図2は、本実施形態の画像合成モデルの学習と推論の例を示す説明図である。情報処理装置10は、学習ステップ(S02)と推論ステップ(S04)を実行可能とする。学習ステップS02は、入力される素材情報と生地情報から所定の画像合成モデルを用いて生地の立体形態を表す画像を合成するためのモデルパラメータを定める処理である。学習ステップS02において、モデル学習部126は、教師あり学習(Supervised Learning)を実行する。教師あり学習において、モデル学習部126は、既知の入力値と目標値を含むデータセットを訓練セットとして用い、入力値に対して画像合成モデルに従って算出される推定値が目標値に近似するようにモデルパラメータを再帰的に算出する。本実施形態では、入力値として素材情報と生地情報のそれぞれをなす要素を示す数値が用いられる。
【0029】
モデル学習部126は、学習ステップS02において入力値として素材情報と生地情報をなす数値を用い、目標値として、生地サンプル画像を示す画像データをなす表示要素ごとの信号値を用いる。生地サンプル画像とは、生地サンプルを表す画像である。学習ステップS02では、モデル学習部126は、推定値と目標値との差分の大きさを示す損失関数が複数通りの訓練セットを跨いで最小化されるようにモデルパラメータを再帰的に算出する。画像合成モデルとして用いられる数理モデルとして、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)が利用可能である。ここで、最小化とは絶対的に最小にすることの他、極力最小にすることを目的としてモデルパラメータを推定または探索するための演算を行うことを意味する。従って、最小化の過程で損失関数は単調に減少するとは限られず、一時的に増加することもありうる。損失関数として、例えば、平均二乗誤差(SSD:Sum of Squared Differences)、交差エントロピー誤差(cross entropy error)などを用いることができる。モデルパラメータを定める手法は、最急降下法(steepest descent)、確率的最適化(stochastic optimization)、逆誤差伝播法(back-propagation)、などのいずれの手法でもよい。モデル学習部126は、損失関数が所定の損失関数の閾値以下となったとき、モデルが収束したと判定し、学習ステップS02を停止する。モデル学習部126は、その時点で算出されたモデルパラメータを示す画像合成モデルデータを記憶部140に記憶する。
【0030】
推論ステップS04は、入力される素材情報と生地情報から所定の画像合成モデルを用いて生地の立体形態を表す画像を合成する処理である。画像合成部124は、記憶部140に記憶された画像合成モデルデータを読み出し、読み出した画像合成モデルデータに示されるモデルパラメータを画像合成モデルに展開する。推論ステップS04において、画像合成部124は、素材情報と生地情報を示す入力値に対し、画像合成モデルを用いて表示要素ごとの推定値を算出し、算出した表示要素ごとの推定値を示す画像データを生成する。生成された画像データにより生地サンプルの立体形態を表す三次元画像が表現される。この時点で表される生地サンプルの三次元形状は、生地サンプルの基本形状であってもよい。基本形状は、予め定めた基本的形状を意味する。生地サンプルの基本形状は、例えば、平板状の直方体である。主面の形状は、正方形または長方形である。厚みは、通例、主面に平行な2つの辺のそれぞれの長さよりも小さい。
【0031】
次に、画像合成モデルとして用いる数理モデルの例として、CNNについて説明する。CNNは、人工ニューラルネットワークの一種であり、1層の入力層、複数の中間層および出力層を備える。各層は、複数の節点(ノード、ニューロンなどとも呼ばれる)を有する。各節点は、入力値に対する所定の関数の関数値を出力値として出力する。入力層には、素材情報と生地情報を表す各次元の値が対応する次元の節点に入力され、次の層の対応する節点に出力される。CNNは、中間層として1層以上の畳み込み層と1層以上のプーリング層を備える。
【0032】
畳み込み層とは、複数の節点のそれぞれに直前の層から入力される入力値に対してカーネルごとに畳み込み演算を行って畳み込み値を算出する層である。カーネルとは、一度に1つの出力値を算出するための処理単位を指す。1個のカーネルは1以上の並列した節点からなる。畳み込み演算では、各節点には直前の層から1個または複数の入力値が入力され、それぞれの入力値に対して独立な畳み込み係数が用いられる。畳み込み層は、カーネルごとに算出した畳み込み値とバイアス値を加算して得られる補正値に対する所定の活性化関数の関数値を出力値として算出し、算出した出力値を次の層の対応する節点に出力する層である。畳み込み係数、バイアス値および活性化関数のパラメータは、1セットのモデルパラメータの一部となる。
【0033】
プーリング層とは、直前の層の複数の節点からそれぞれ入力される入力値から1つの代表値を定め、定めた代表値を出力値として次の層に出力する節点を有する層である。代表値は、例えば、最大値、平均値、最頻値など複数の入力値を統計的に代表する値が用いられる。プーリング層によれば、直前の層からの入力値を、より低い次元に縮約(ダウンサンプル)して出力値が次の層に提供される。
【0034】
なお、中間層には、その他の種類の演算を行う階層、例えば、正規化層、平坦化層、全結合層のいずれか1層または複数層が含まれる。
正規化層は、複数の節点のそれぞれに入力される入力値に対して共通の正規化パラメータを用いて所定の値域内に正規化し(バッチ正規化)、正規化された値を出力値として次の層に出力する層である。
平坦化層は、高次元(例えば、3次元)の入力値を、より低次元(例えば、二次元)の出力値に展開し、展開された出力値を次の層に出力する層である。
全結合層は、複数の節点のそれぞれに直前の層から入力される入力値に対して畳み込み演算を行って畳み込み値を算出し、算出した畳み込み値とバイアス値を加算して得られる演算値を出力値として算出し、算出した出力値を次の層に出力する層である。
出力層は、正規化層、平坦化層、全結合層のいずれかで構成されてもよい。出力層は、表示要素ごとに節点を有し、節点ごとの信号値を出力値として出力する。
【0035】
画像合成モデルとして用いられる数理モデルは、CNNに限らず、RNN(Recurrent Neural Network)、ResNet(Residual Network)のいずれであってもよいし、ニューラルネットワーク以外の数理モデルであってもよい。モデル学習部126は、他の機器から訓練データを取得し、取得した訓練データを用いてモデルパラメータを算出してもよい。
【0036】
次に、生産条件情報の例について説明する。図3は、生産条件情報の例を示す表である。生産条件情報は、素材情報と生地情報を含む。素材情報は、素材の特性を示す情報である。本実施形態では、素材とは、生地の材料となる繊維を指す。特性とは、性質、状態、属性、などを意味する。素材情報の要素として、銘柄、品種(繊維の種類)、繊度、繊維タイプ、断面形状、光沢、色、潜在捲縮特性、収縮特性、繊維長、捲縮特性、フィラメント数およびフィラメントの総繊度の全部または一部が含まれる。
【0037】
銘柄とは、繊維の名称を指す。銘柄として、商品名が用いられることがある。銘柄は、ユーザによる認識が容易であるため、生地の仕様の特定にしばしば用いられる。銘柄は、繊維の特性、例えば、断面の形状や太さ、配合(色、光沢)、捲縮特性、などと関連付けて観念されることがある。品種とは、繊維の種類を指す。繊維には、フィラメント(長繊維)とステープル(短繊維)がある。フィラメントとは、単体の長さが比較的長い繊維(例えば、数十m~数km、理論的には無限)を指す。ステープルとは、単体での長さが比較的短い(例えば、数cm~数十cm程度)繊維を指す。繊維の種類(フィラメント、ステープルに共通)は、例えば、天然繊維と化学繊維に分類される。天然繊維には、麻、綿などの植物繊維と、羊毛、カシミヤなどの動物繊維がある。人工毛皮の素材として、化学繊維の他、その一部に天然繊維が用いられることもある。化学繊維には、レーヨンなどの再生繊維と、アセテート等の動物繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル繊維等の合成繊維がある。人工毛皮の素材として、アクリル繊維、アクリル系繊維、ポリエステル繊維がしばしば用いられる。アクリル系繊維には、例えば、モダクリル繊維がある。品種は、例えば、個々の種類を示す整数値(品種コード)で表される。
【0038】
繊度は、単繊維の単位長さ当たりの重量を意味する。繊度の単位として、デシテックス(dtex)、デニール(den)などが用いられる。1デシテックスは、10000m当たりの重量(g)に相当する。1デニールは、9000m当たりの重量(g)に相当する。
繊維タイプは、ステープルかフィラメントのいずれに分類されるかを示す情報である。
断面形状は、繊維の長手方向に垂直に切断して表れる断面の形状である。断面形状には、丸断面、扁平、異形扁平(扁平多葉型)、Y字、H字、W型などがある。人工毛皮では、丸、楕円、扁平、異形扁平などが、しばしば用いられる。
光沢は、繊維の外観上の濁り感の度合いを指し、ダル性とも呼ばれる。ダル性とは、繊維が濁り透明感が乏しく光が透過しない状態を意味する。ダル性の段階には、フルダル、ダル、セミダル、ブライトなどがある。これらの段階のうち、フルダルが最もダル性が高く、その順にダル性が低くなる。
【0039】
色は、繊維の色を指す。色合い(色調)と明るさ(階調)の組み合わせに相当する。色は、所定の色空間を用いて表現された色空間値を用いて表現される。色空間として、例えば、Labが利用可能である。Lab色空間は、人間の視覚を近似するよう設計される。Lab色空間値は、実数となる要素としてL、a、bを含む三次元のベクトル値で表現される。L、a、bは、それぞれ明度、第1種の補色、第2種の補色の次元に対応する。aの値により、赤もしくはマゼンタから緑の間の色合いが定量化される。bの値により、黄から青の間の色合いが定量化される。本実施形態では、Lab色空間に限られず、RGB色空間が用いられてもよい。合成繊維は、製造時に着色する工程(原着)に限らず、製造後に着色する工程(染色)が介在することもある。
【0040】
潜在捲縮特性とは、例えば、サイドバイサイド型の複合繊維が有する螺旋状の形状の特性を指す。かかる特性を有する繊維によれば、羊毛と同様な弾性が得られるので、シープタイプの人工毛皮の生産に用いられることがある。潜在捲縮特性の要素として、潜在捲縮の有無、捲縮の形状(例えば、螺旋の直径、ピッチ)などが含まれうる。
収縮特性は、繊維に熱を加えた時の収縮率を表す特性である。段差情報のボア編み生地の例で後述するように、複数種類の原綿を素材として形成される生地の毛先を一定の長さに切り揃えた後で、収縮処理(一般には、加熱処理)を施し、収縮率に応じた長さとなるように段差を形成することがある。この場合は、個々の繊維の収縮率が段差を形成する上で重要となる。
【0041】
以上の項目は、いずれもステープルとフィラメントに共通するが、捲縮特性は、ステープルに特有の項目である。
繊維長は、1個に限らず、複数個設定されることがある。動物の毛皮のタイプは、複数個の繊維長の組み合わせで特徴づけられるためである。このことを利用して、複数個の繊維長の組み合わせに基づいて、ある動物の毛皮を再現(模擬)するための手がかりとして用いられることがある。
捲縮特性は、ステープルが有する捲縮の特性を指す。捲縮とは、いわゆる縮れを意味し、クリンプとも呼ばれる。捲縮は、複数本の繊維をより合わせて糸を形成する際、繊維同士の絡み合いを確保するために必要な形状である。捲縮特性の要素として、捲縮数、捲縮率、残留捲縮率、捲縮弾性率などがある。これらのパラメータの定義や試験方法は、例えば、日本工業規格JIS L1015:2010「化学繊維ステープル試験方法」に規定されている。
【0042】
フィラメントに特有の項目は、フィラメント数とフィラメントの総繊度である。
フィラメント数は、1本のフィラメント束をなす単糸の数を指す。フィラメント束は、通例、数十本の単糸がより合わされてなる(マルチフィラメント)。
フィラメントの総繊度は、1本のフィラメント束全体の繊度を指す。フィラメントの総繊度は、単糸1本の繊度にフィラメント数を乗じて得られる。
情報処理装置10の情報取得部122には、トレンド情報、価値観情報、または、用途情報として、これらを表すキーワードが、端末装置20のユーザの操作に応じて直接入力されてもよいし、予め準備された複数のキーワードの一覧からユーザの操作に応じて選択されてもよい。
【0043】
生地情報は、素材から生産される生地の特性を示す情報である。一般的に、生地は編みまたは織りの方法で生産される。人工毛皮の生地は、主に編みにより生産される。人工毛皮の生産に用いられる編み方には、例えば、ハイパイル編み、ボア編み、ラッセル編み、その他の方法がある。そのうち、ハイパイル編み(スライバーニットとも呼ばれる)は、一般的にステープルを用いて作成される。ボア編みは、ステープルで作られた梳毛糸を用いても、フィラメントを直接用いても実現可能である。ラッセル編みは、ステープルで作られた梳毛糸を用いても(梳毛糸ラッセル)、フィラメントを直接用いても実現可能である。
【0044】
生地情報は、主に生地の生産工程において生地に表れる性質、状態、属性、などが該当する。生地情報の要素として、動物の種類、構成比率、パイル長、変色加工状態、目付、植え込み密度、および、総繊度が含まれる。
動物の種類は、生地により模擬される動物の種類を意味する。動物の種類は、個々の動物の種類を示す整数値(銘柄コード)で表される。この「銘柄コード」の「銘柄」とは、上記のように「繊維の名称」ではなく、「動物の種類」を意味する。動物の種類には、例えば、フォックス(図4)、ラビット(図5)、ミンク、ラクーン、セーブル、シープ、ウルフ、チンチラ(図示せず)、などがある。動物の種類により、毛足の長さ(ロング、ミドル、ショート)、段差構造(1層構造(プレーン)、2層構造(ガードヘア、ダウンヘアからなる)、3層構造(ガードヘア、ダウンヘア、ミドルヘアからなる))、繊維にかけるウェーブの有無、などの要件が異なりうる。例えば、フォックスタイプの生地は、毛足の長さがロングであり3層構造をなす。セーブルタイプの生地は、毛足の長さがミドルであり、2層構造をなす。モンゴリアンシープタイプの生地は、毛足の長さがロングであり、3層構造をなすとともに、ウェーブを有する。
生地タイプとは、生地の形成方法を指す。生地タイプは、上記のハイパイル、ボア、およびラッセルに限られず、その他の織り方でも、その他の加工方法、例えば、フロック加工が指定されうる。
【0045】
構成比率とは、素材として用いられる原綿の組成比である。構成比率は、例えば、原綿の種類ごとの重量比、などの実数値で与えられる。その前提として、素材情報は原綿の種類ごとに定義されていてもよいし、主成分とする原綿の限定された種類だけに定義されてもよい。なお、素材とする原綿の種類ごとに、上記の素材情報が設定されうる。
パイル長とは、繊維束の長さを示す。繊維束の長さは、生地の地組織から毛先までの長さに相当する。本実施形態では、繊維束の長さの平均値が与えられてもよい。なお、繊維束の長さを一定の長さに切り揃えるか否かを示す情報として、剪毛情報が生地情報に含まれてもよい。剪毛情報は、繊維束の長さを切り揃えるか否かにより1または0を示すフラグ値を用いて表現される。図5の例では、毛の長さがほぼ一定に切り揃っているが、図4の例では、繊維束の長さは切り揃えられていない。繊維束の長さを切り揃えない場合には、パイル長が設定されなくてもよい。
【0046】
段差情報とは、段差構造の特性を示す情報である。段差情報には、段差構造の有無と、段差構造を有する生地については、段差ごとの毛の長さ(即ち、ダウンヘア、ミドルヘアの長さ)が要素として含まれる。段差の付け方には、種々の方法がある。ハイパイル編みでは、繊維長が異なる複数種類の原綿を素材とする生地に現れる。ボア編みミンク生地では、収縮率が異なる複数種類の原綿を素材として形成される生地の毛先を一定の長さに切り揃えた後で、収縮処理(一般には、加熱処理)を施し、収縮率に応じた長さとなるように段差が現れる。ボア編みにおいて、1ループごとに毛をカットする場合には、ループの長さを1ループごとに変更することで段差が現れる。
【0047】
植え込みパターンとは、地組織の編み目に立毛部の繊維を植え込む位置の分布のパターンを示す。植え込みパターンには、編み目ごとの植え込み、飛ばし編み、ジャガード編みなどがある。飛ばし編みとは、編み目を飛ばして(スキップ)植え込まれることを指す。ジャガード編みとは、任意の編み目に埋め込まれることを指す。
【0048】
変色加工状態とは、個々の毛に対する変色加工として、一部分の着色または脱色の状態を示す。変色加工は、一般的にはプリント加工(着色)、抜染加工(脱色)とも呼ばれる。変色加工状態は、変色加工単位ごとの着色または脱色により表れる色の色信号値と、変色加工単位の分布で表される。例えば、根本部分、中間部分、毛先部分をそれぞれ変色加工単位とし、その長さと色が表される。変色加工状態は、変色加工単位ごとの変色加工処理の内容と長さで表されてもよい。変色加工処理の内容として、例えば、着色と着色後の色、抜染がある。目付とは、単位面積当たりの重量である。目付が大きいほど、繊維の密度が高くなる傾向がある。植え込み密度とは、単位面積当たりの繊維本数である。
【0049】
なお、個々の人工毛皮は、複数種類の繊維を用いて構成されることがある。その場合、毛の種類ごとに、人工毛皮の生地全体としてパイル長、植え込み密度、変色加工状態、および、総繊度の一部または全部が設定されてもよい。また、人工毛皮は、個々の繊維に代え、繊維束が基布上に立毛部組織を構成されることがある。個々の繊維束は、複数本の繊維の基端部を結合してなる。その場合、植え込み密度は繊維束に対して設定され、繊維の種類ごとに設定されなくてもよい。繊維の種類には、例えば、差毛と綿毛がある。差毛の方が綿毛よりも太く、かつ、長くなりうる。繊維束は、例えば、1個の差毛とその周囲に複数(例えば、3~10本)の綿毛の根元を揃えて束ねて構成され、基布に接着される。繊維束の構成は、これには限られず、綿毛のみから構成されるものや、差毛のみから構成されるものもある。また、綿毛のみから構成される繊維束と差毛もみから構成される繊維束とが隣り合って配置され一連の立毛部を構成することもある。そこで、生地情報には、繊維束の構成に関する繊維束構成情報を要素情報として含まれてもよい。繊維束構成情報には、繊維束の構成の有無を示す情報、構成ありの場合、1本の繊維束における繊維の種類間の構成比(例えば、本数の比率)、1本の繊維束における複数の繊維の種類の配置などを示す情報、のいずれか、または、それらの組み合わせが含まれてもよい。
【0050】
なお、生地情報の要素には、生産された生地の利用状況に関する情報、例えば、トレンド情報、価値観情報、用途情報などのいずれか、または、それらの組が含まれてもよい。
トレンド情報とは、生地のトレンドを反映する情報である。トレンドとは、主に流行を指す。一般に、衣料はシーズンごとにトレンドが変化する。トレンド情報は、例えば、その衣料の特徴、その衣料の流行の要因となった生地の特徴、などを反映したキーワードで表現される。
【0051】
価値観情報とは、ユーザ、または、最終消費者が生地に対して求める価値感(例えば、「リアル」、「ゴージャス」、「環境保護」、等)を反映する情報である。価値観情報は、例えば、その価値観を示すキーワードで表現される。
用途情報とは、生地の用途を示す情報である。生地の用途として、例えば、衣服の外面やコートのフード周り(トリミングともいう)等の衣料への用途の他、クッションカバーやソファーカバー等のホームテキスタイルへの用途、カバンや靴等のファッション小物への用途などがある。用途情報は、例えば、その用途を示すキーワードで表現される。
情報処理装置10の情報取得部122には、トレンド情報、価値観情報、または、用途情報として、これらを表すキーワードが、端末装置20のユーザの操作に応じて直接入力されてもよいし、予め準備された複数のキーワードの一覧からユーザの操作に応じて選択されてもよい。
【0052】
次に、表示画面について説明する。図6は、表示画面の第1例を示す図である。図6に例示される表示画面は、ユーザにより指示された素材情報と生地情報に基づく生地サンプルの形態を閲覧および生地サンプルを注文するためのサービス画面である。サービス画面には、画像表示欄、表示条件指定欄、生産条件指定欄、および、注文ボタンboが配置される。画像表示欄は、指示された素材情報と生地情報に基づいて生産される生地サンプルの立体形態を表すサンプル画像を表示するための欄である。
【0053】
図6において、画像表示欄vaは、表示画面の左上端付近において一定の大きさを示す領域である。画像表示欄vaは、タイトル「エコファーサンプル」の直下に配置されている。画像表示欄va内に描かれている線分ax、ay、azは、それぞれ生地サンプルが表示される仮想的な三次元空間(以下、「生地サンプル空間」と呼ぶことがある)内のx軸、y軸、z軸を表す。生地サンプル空間は、生地サンプルの代表点(例えば、重心、中心、など)を原点とする仮想的な三次元空間である。生地サンプルが曲げられてない状態において、その表面の法線方向がz方向に向けられ、1つの断面の法線方向がy方向に向けられている。x方向は、y方向とz方向の両者に対して直交する方向となる。線分ax、ay、azの向きにより、視点の方向が表現される。
【0054】
生産条件指定欄は、生産条件情報を操作に応じて定めるための画面部品が配置されている領域である。タイトル「素材の指定」の直下には、素材情報の要素である品種、繊度、繊維長、色を指示するための画面部品が配置されている。画面部品に対する操作により、個々の要素が指示される。品種は、入力欄mvを指示して表れるプルダウンメニューに列挙された品種の候補から選択される。品種は、1種類に限られず、複数種類指示可能である。複数種類の品種が指示される場合には、その他の要素、つまり、繊度、繊維長、および、色が品種ごとに指示可能であってもよい。繊度、繊維長は、それぞれ入力欄mf、ml内に数値を記入することにより指示される。色として、素材の明るさ、赤み、青みをそれぞれ操作により特定するためのスライダーバーml、ma、mbが表示されている。明るさ、赤み、青みは、色の要素を示す。明るさ、赤み、青みは、それぞれLab空間におけるL値(明度)、a値(2種類の補色軸の一方)、b値(2種類の補色軸の他方)に対応する。
【0055】
タイトル「生地の指定」の直下には、生地情報の要素である動物の種類(タイプ)、構成比率、パイル長、植え込み密度、目付、総繊度を指示するための画面部品が配置されている。動物の種類は、入力欄cvを指示して表れるプルダウンメニューに列挙された動物の種類の候補から選択される。構成比率は、2以上の部分領域と個々の部分領域の面積を操作に応じて可変とするスライダーバーccを用いて設定される。個々の部分領域には、指示により表れるプルダウンメニューに列挙された原綿の種類の候補から1つの種類が選択される。パイル長、植え込み密度、目付、総繊度は、それぞれ入力欄cp、cd、cw、cc内に数値を記入することにより指示される。
【0056】
表示条件指定欄は、操作に応じて生地サンプルの画像を表示(閲覧)するための条件をなすパラメータを操作信号に応じて指定するための端である。図6の例では、視点方向、照明条件、および、品種(製品イメージ)が指定可能である。視点方向として、それぞれ方位角(水平面内方位)と仰角を指示するためのダイヤルdp、dtが表示されている。入力処理部222は、ダイヤルdp、dtに対するドラッグ操作により指示される操作点の位置に応じて、それぞれ方位角、仰角を特定することができる。照明条件として、照明光の明るさ、赤み、青みをそれぞれ操作により特定するためのスライダーバーll、la、lbが表示されている。入力処理部222は、ドラッグ操作により指示された操作点の位置に応じて、スライダーバーll、la、lbそれぞれの制御点の位置を変更可能とし、制御点の位置に応じたL値、a値、b値を特定する。品種として、生地サンプル(エコファーサンプル)、オーバーコート、マフラーのいずれかを操作により選択するためのボタンse、sc、smが表示されている。入力処理部222は、ボタンse、sc、smへの操作を待ち受け、いずれか1つの操作により位置が指示されたボタンに対応する製品を特定する。入力処理部222は、特定した表示条件を示す表示条件情報を情報処理装置10に送信する。
【0057】
情報処理装置10の画像合成部124は、画像合成モデルを用いて合成された画像に対し、入力処理部222から受信した表示条件情報に示される表示条件に従って所定のグラフィクス処理を実行することにより画像を操作(レンダリング)する。
指示された品種が生地を材料として構成される製品(この例では、オーバーコートまたはマフラー)である場合には、画像合成部124は、合成された生地サンプルの画像に基づいて、その生地を用いて指示された品種の製品の立体形態を示す画像を合成する(品種変換)。画像合成部124には、品種ごとの典型的な立体形態の特性を示すパラメータを立体形態特性パラメータとして設定しておく。画像合成部124は、指示された品種の立体形態特性パラメータを用いて、その製品の立体形態を示す画像を合成する。指示される品種の物体は、オーバーコートとマフラーに限られず、生地を材料として生産される他の品種の製品が含まれてもよい。但し、画像合成モデルを用いて生成される画像に示される物体の品種が生地サンプルである場合には、画像合成部124は、品種変換処理を要しない。
【0058】
指示された品種が生地を材料として構成される製品(つまり、オーバーコートまたはマフラー)である場合には、画像合成部124は、その製品を装着した人物の立体形態を示す画像を合成してもよい。そこで、立体形態特性パラメータとして、ある形状をなす人物に装着された状態での立体形態の特性を示すパラメータを設定しておく。画像合成部124は、指示された品種の立体形態特性パラメータを用いて、その製品の立体形態を示す画像を合成し、その人物の身体の立体形態に対して、合成した製品の立体形態で覆った画像を合成する。
【0059】
視点方向が指示される場合には、画像合成部124は、原点から指示された視点方向に所定距離離れた位置を視点として定める。画像合成部124は、定めた視点から観察され、その重心が原点に設置された合成された物体(または生地サンプル)の立体形態を示す画像を合成する。
照明条件が指示される場合には、画像合成部124は、合成された物体(または生地サンプル)の立体形態の色の分布に対して、指示された照明条件での照明光が照射されて得られる色の分布に変換する(色変換)。
【0060】
画像合成部124は、操作に応じて、いずれかの表示条件の要素が変更される都度、更新後の表示条件に基づいて合成された画像の画像データを端末装置20に送信してもよい。端末装置20には、情報処理装置10から、更新された表示条件に応じた画像データが受信される。情報処理装置10の画像合成部124は、操作に応じて、いずれかの表示条件の要素が変更される都度、更新後の表示条件に基づいて合成された画像の画像データを端末装置20に送信してもよい。
【0061】
なお、入力処理部222は、操作に応じて、いずれかの生産条件の要素が更新される都度、生産条件情報を情報処理装置10に送信してもよい。画像合成部124は、操作に応じて更新された生産条件情報で示される生産条件に基づいて上記の物体の立体形態を示す画像を合成し、合成した画像を示す画像データを端末装置20に送信する。端末装置20には、情報処理装置10からは、更新された生産条件情報に応じた画像データが受信される。
よって、生産条件情報または表示条件の更新されるたびに立体形態を示す画像が更新される。そして、端末装置20は、操作に応じて表示画面に更新された画像を見ながら生産条件情報を定め、生地サンプルを発注することができる。
【0062】
注文ボタンboは、生地サンプルの注文を押下により指示するための画面部品である。表示処理部224は、注文ボタンboへの押下を検出するとき、その時点で表示されているサービス画面を消去し、注文画面を表示部260に表示させる。本願では、「押下」とは、現実に押下することの他、表示領域内の位置を指示する操作信号が入力される、つまり、操作に応じて指示される、という意味も含む。注文画面の例については、後述する。
【0063】
図8は、注文画面の例を示す図である。図8に例示される注文画面には生地サンプルの注文条件を操作に応じて入力するための入力欄と、確定ボタンbc、および、前画面ボタンbbが配置される。注文条件として、発注者名、発注者連絡先、決済方法、数量、サイズのそれぞれについて入力欄op、oa、cm、dq、dsが配置されている。入力欄ms、csは、操作に応じて素材情報、生地情報を入力可能とする入力欄である。表示処理部224は、図6に例示されるサービス画面を用いて入力された素材情報、生地情報をそれぞれ入力欄ms、csに配置して表示させてもよい。これにより、ユーザは指定した素材情報と生地情報を確認できるとともに入力操作により調整することができる。
【0064】
確定ボタンbcは、押下により注文を確定するための画面部品である。表示処理部224は、確定ボタンbcへの押下を検出するとき、入力された注文条件を示す注文情報と生産条件情報(即ち、素材情報と生地情報)を対応付けて情報処理装置10に送信する。
前画面ボタンbbは、押下により直前に表示されたサービス画面の表示を指示するための画面簿品である。表示処理部224は、前画面ボタンbbへの押下を検出するとき、注文画面を消去し、直前に表示されたサービス画面を表示部260に表示させる。
【0065】
情報処理装置10の注文処理部128は、端末装置20から注文情報を受信する。注文処理部128は、個々の注文を識別するための契約番号を発番する。契約番号は、契約ごとに異なる。注文処理部128は、例えば、新たな注文情報が受信される都度、一定値ずつ増加した値を契約番号として定める。
【0066】
次に、表示画面の第2例について説明する。図7は、表示画面の第2例を示す図である。図7に例示される表示画面は、予め定めた複数の生産条件情報のうち、いずれかの生産条件情報を閲覧および生地サンプルを注文するためのサービス画面である。図7のサービス画面は、画像表示欄、表示条件指定欄、サンプル指定欄、希望条件指定欄、微調整ボタンba、および、注文ボタンboが配置されてなる。画像表示欄は、指示された素材情報と生地情報に基づいて生産される生地サンプルの立体形態を表すサンプル画像を表示するための欄である。
【0067】
サンプル指定欄は、予め定めた生産条件情報に関連付けられた生地サンプルを特定するための入力欄swとサンプル候補リストslの表示領域を備える。
入力欄swは操作に応じて特徴語を入力するための欄である。端末装置20の入力処理部222は、操作信号に基づいて入力欄swに入力された語句を検索語として特定し、検索ボタンの押下が検出されるとき、検索語を示すサンプル検索要求情報を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10の情報取得部122は、端末装置20から受信したサンプル検索要求情報に示される検索語を特定し、特定した検索語またはその類義語に合致した特徴語に対応するサンプル識別情報を記憶部140から読み出す。記憶部140には、サンプル識別情報ごとに、予め定めた生産条件情報、画像データ、および、特徴語(キーワード)の組を対応付けて記憶させておく。サンプル識別情報は、例えは、個々の生産条件情報または生地サンプルを一意に特定するための識別子である。記憶させておく画像データとして、対応する生産条件情報に基づいて画像合成部124により生成された生地サンプルの立体形態を示す画像データが用いられる。特徴語として、その立体形態の特徴を表す語句が用いられる。用いられる語句には、動物の種類(タイプ;例えば、「フォックス」等)のように客観的な情報に限られず、その特徴に対する心理的な印象など主観的な情報を表す語句(例えば、「どっしり」等)が含まれてもよい。主観的な情報を表す語句として、例えば、擬態語(例えば、「もふもふ」等)が含まれてもよい。
【0068】
情報取得部122は、読み出したサンプル識別情報を検索結果として端末装置20に送信する。端末装置20の表示処理部224は、情報処理装置10から受信したサンプル識別情報のリストをサンプル候補リストslとしてサービス画面に配置する。
図7の例では、サンプル候補リストslには、サンプル01、04、07が掲げられている。個々のサンプル識別情報はボタン上に表示されている。表示処理部224は、操作信号に基づいて、いずれかのサンプル識別情報を選択し、選択したサンプル識別情報に対応する画像データを要求するための画像要求情報を情報処理装置10に送信する。
情報処理装置10の情報取得部122は、端末装置20から受信した画像要求情報で指示されるサンプル識別情報に対応する画像データを記憶部140から読み出し、端末装置20に送信する。端末装置20の表示処理部224は、情報処理装置10から受信した画像データに示される生地サンプルの立体形態の画像をサービス画面の画像表示欄に配置する。
図7の例では、サンプル候補リストslからサンプル01が選択され、サンプル01に対応する生産条件情報により生成された生地サンプルの立体形態を示す画像が画像表示欄に表示されている。
【0069】
希望条件指定欄は、生地サンプルの希望条件を操作に応じて入力されるための入力欄である。図7の例では、希望条件指定欄において、数量、サイズ、その他の条件(詳細指定)を指示するための入力欄dq、ds、sdが配置されている。
注文ボタンboは、指示されたサンプル識別情報に対応する生産条件情報と指示された希望条件を示す希望条件情報のもとで、押下により生地サンプルの注文を指示するためのボタンである。入力処理部222は、注文ボタンboへの押下を検出するとき、選択したサンプル識別情報と入力された希望条件を示す希望条件情報と対応付けてなる注文希望情報を情報処理装置10に送信する。
【0070】
微調整ボタンbaは、選択されたサンプル識別情報に対応する生産条件情報の微調整を押下により指示するためのボタンである。表示処理部224は、例えば、微調整ボタンbaへの押下を検出するとき、上記の生産条件指定欄(図6参照)を表示部260に表示させる。端末装置20のユーザは、生産条件指定欄を用いて、操作により生産条件情報の各項目を指示することができる。そのため、選択したサンプルに対応する生産条件情報を基礎として、より嗜好に沿った生産条件情報を指示することができる。
【0071】
情報処理装置10の注文処理部128は、端末装置から受信した注文希望情報に含まれるサンプル識別情報に対応する生産条件情報を記憶部140から読み出す。注文処理部128は、読み出した生産条件情報と注文希望情報に対応する希望条件情報に基づいて生地サンプルの注文条件の要素として価格を定めてもよい。記憶部140には、例えば、生産条件情報と対応付けて単位数量当たりの単価とサイズごとの基本料を示す価格算出データを記憶させておく。注文処理部128は、価格算出データを参照して、受信した生産条件情報に対応する単価と基本料を特定し、特定した単価と基本料と、希望条件情報で示される数量とサイズに基づいて価格を算出することができる。
【0072】
次に、ユーザが操作により評価情報を回答するための評価画面の例について説明する。図9は、評価画面の例を示す図である。評価画面には、画像表示欄、回答欄、および、回答ボタンbaが配置される。画像表示欄には、契約番号に関連付けられる生産条件情報に基づいて合成された生地サンプルの立体形態を示す画像が表示される。回答欄は、契約番号と発注者名の下部に配置される。図9の例では、色合い、現実感、質感、有用性、総合評価が回答項目として掲げられ、回答項目ごとにスライダーバーec、er、eq、eu、etが配置されている。各回答項目に関して主観的な良否の程度を示す評価値が操作に応じて回答可能とされている。良否の程度は、予め定めた値域(段階数)の整数で示されてもよい。評価値は、その値が大きいほど高い評価を示すように定義されてもよい。入力処理部222は、その他、任意のテキストを入力可能な回答欄emが設けられている。回答ボタンbaは、押下により回答された評価情報の送信を指示するための画面部品である。入力処理部222は、回答ボタンbaへの押下を検出するとき、回答内容を示す評価情報を情報処理装置10に送信する。
【0073】
情報処理装置10のユーザ管理部130は、受注した生地サンプルの生産後に、その注文に係る生産条件情報に基づいて合成された画像データの所在を示すアドレス(例えば、URL:Uniform Resource Locator)を示す案内情報を端末装置20に送信してもよい。案内情報は、例えば、電子メールとして伝達されてもよい。端末装置20の入力処理部222は、情報処理装置10から受信した案内情報で通知されたアドレスに所在する画像データを取得し、取得した画像データに基づく画像、契約番号および発注者名に基づいて評価画面を構成することができる。評価画面には、生地サンプルの現物との比較を促す文言を含めてもよい。図9の例では、「お手元に届くサンプルをご覧になり、左記の画像について率直なご意見をお知らせ下さい」とのメッセージが記述されている。これにより、発注者に対して、現実に生産された生地サンプルと比較して合成された画像に対する評価を促すことができる。
【0074】
情報処理装置10のユーザ管理部130は、端末装置20から受信した評価情報をその注文の生産条件情報と対応付けて記憶部140に記憶する。ユーザ管理部130は、評価情報に示される評価項目ごとの評価値のうち、いずれか1項目(例えば、総合評価)の評価値を代表値として選択してもよいし、評価値の評価項目間の単純平均値または加重平均値を代表値として算出してもよい。ユーザ管理部130は、算出した代表値を評価情報に含めて記憶部140に記憶してもよい。
【0075】
モデル学習部126は、出荷済みの生地サンプルについて、その生地サンプルに係る生産条件情報とその生地サンプルの立体形態を示す生地サンプル画像を示す画像データを対応付けてなる訓練セットを構成してもよい。モデル学習部126は、構成した訓練セットを訓練データの一部として用い、上記の学習ステップを実行して画像合成モデルのモデルパラメータを更新してもよい。この学習ステップにおいて、モデル学習部126は、未使用の新たに構成された訓練セットを用い、既存の訓練セットを用いずに既存のモデルパラメータを更新してもよい(転移学習)。また、モデル学習部126は、学習ステップにおいて、評価が高い画像に係る訓練セットほど重視してもよい。より具体的には、モデル学習部126は、パラメータセットの更新量を算出する際、訓練セットごとの画像の信号値(目標値)と生産条件情報から算出される推定値との差分に対して重み係数を乗算して重み付き差分を算出し、単純差分に代えて、算出した重み付き差分とパラメータセットの重み係数に対する勾配を用いて当該更新量を算出する。ここで、モデル学習部126は、評価が高い代表値ほど大きくなる正の実数を重み係数として予め定義しておけばよい。
【0076】
生産される生地サンプルは、通例、平面をなす基布に植毛して形成される。そのため、個々の訓練セットに用いられる生地サンプル画像に示される生地サンプルの概形は直方体となる。ひいては、画像合成部124により合成される画像に示される生地サンプルの概形も直方体となる。画像合成部124は、公知の立体画像処理(3Dグラフィックス)技術を用い、推論ステップにより合成した画像に示される生地サンプルの形状の一部を変形し、変形した形状を有する生地サンプルの画像を合成してもよい。例えば、図6図7に示されるように、モデル学習部126は、生地サンプルをなす基布の一断面の中間部を、その周囲よりも突出するように湾曲させてもよい。生地サンプルに植毛された個々の毛の基端部の位置も生地の変形に応じて移動し、毛の長手方向が基端部における基布に交差する方向に変化する。よって、観察される生地サンプルの全体として色や模様の分布も変化する。モデル学習部126は、例えば、所定の数理モデル(例えば、二次曲面の方程式)を用いて基布の表面の形状を定めてもよい。その場合、モデル学習部126は、所定の制御点の位置の変化に応じて数理モデルのパラメータを算出し、定めたパラメータを用いて表面全体の位置を定めることができる。モデル学習部126は、操作に応じて指示された位置を制御点として採用してもよい。
【0077】
モデル学習部126は、基布の部位と変形量の一方または両方の時間経過による変化に従って生地サンプルの形態と模様(形態)が変化する画像を合成してもよい。ここで、モデル学習部126は、端末装置20から受信した変形情報で指示された基布の部位と変形量に従って変形した生地サンプルの形態を示す画像を合成してもよい。ここで、端末装置20の入力処理部222は、操作信号に応じて変形情報を定めてもよい。モデル学習部126は、新たな画像が合成する都度、合成した画像を示す画像データを端末装置20に送信する。端末装置20のユーザは、操作によりサービス画面に表示されている生地サンプル画像の形態を変形させることができる。
【0078】
なお、上記の説明では、情報処理装置10が、素材情報と生地情報を含む生産条件情報から画像合成モデルを用いて生地の立体形態を表す画像を合成する場合を主としたが、これには限られない。情報処理装置10は、図10に例示されるように、生地の立体形態を表す画像から画像解析モデルを用いて素材情報と生地情報を含む生産条件情報を定めることができるように構成されてもよい。次に、本実施形態に係る情報処理システム1の機能構成の第2例について、図10図11を用いて説明する。以下の説明では、上記の機能構成例との差異点を主とし、共通点については共通の符号を付して、その説明を援用する。
【0079】
図10は、本実施形態に係る情報処理システム1の機能構成の第2例を示す概略ブロック図である。
端末装置20の入力処理部222は、生地の立体形態を表す画像を示す画像データを取得し、取得した画像データを情報処理装置10に送信する。入力処理部222は、ユーザの操作に応じて端末装置20に内蔵された撮影部(図示せず)から画像データを取得してもよいし、他の機器(例えば、撮影装置、画像合成装置など)から画像データを取得してもよい。表示処理部224は、かかる画像データの収集を案内するための案内情報を含めた表示画面(例えば、図6図7)を表示部260に表示させてもよい。かかる案内情報として、例えば、「お気に入りのサンプルの立体画像をアップロードしてご希望の条件を指定できます」などのメッセージを示すテキストが含まれてもよい。
【0080】
情報処理装置10は、画像解析部134をさらに備える。図10に示す例では、画像合成部124が情報処理装置10に備わるが、省略されてもよい。
情報取得部122は、入出力部150を用いて生地の立体形態を表す画像(生地サンプル画像)を示す画像データを端末装置20から取得する。情報取得部122は、取得した画像データを画像解析部134に出力する。
【0081】
画像解析部134は、所定の画像解析モデルを用いて、情報取得部122から入力される画像データに示される画像に基づいて、素材情報と生地情報を含む生産条件情報を定める。画像解析部134は、定めた生産条件情報を注文処理部128に出力する。生産条件情報は、上記のように生地の受注または生産などに用いられうる。
上記の画像合成モデルが可逆な数理モデルである場合には、その画像合成モデルの入出力関係を逆に適用することで、画像解析モデルとして機能させることができる。その場合には、画像解析部134は、画像合成部124と一体化した単一のモデル演算部として構成されてもよい。当該モデル演算部は、画像合成モデルを用いて、取得した画像データに示される画像を表す入力値から生産条件情報を示す出力値を定めることができる。
【0082】
但し、画像合成モデルが非可逆な数理モデルである場合には、モデル学習部126は、画像合成モデルとは独立に画像解析モデルを学習させる必要がある。
ここで、画像解析モデルの学習と推論について説明する。図11は、本実施形態の画像解析モデルの学習と推論の例を示す説明図である。情報処理装置10は、学習ステップ(S12)と推論ステップ(S14)を実行可能とする。学習ステップS12は、入力される生地の立体形態を表す画像から素材情報と生地情報を定めるためのモデルパラメータを定める処理である。学習ステップS12において、モデル学習部126は、既知の入力値と目標値を含むデータセットを訓練セットとして用い、入力値に対して画像解析モデルに従って算出される推定値が目標値に近似するようにモデルパラメータを再帰的に算出する。
【0083】
モデル学習部126は、学習ステップS12において入力値として画像データをなす表示要素ごとの信号値を用い、目標値として、素材情報と生地情報をなす数値を用い。生地サンプル画像とは、生地サンプルを表す画像である。学習ステップS12では、モデル学習部126は、推定値と目標値との差分の大きさを示す損失関数が複数通りの訓練セットを跨いで最小化されるようにモデルパラメータを再帰的に算出する。モデル学習部126は、損失関数が所定の損失関数の閾値以下となったとき、モデルが収束したと判定し、学習ステップS02を停止する。モデル学習部126は、その時点で算出されたモデルパラメータを示す画像解析モデルデータを記憶部140に記憶する。
【0084】
推論ステップS14は、入力される画像データをなす表示要素ごとの信号値から所定の画像解析モデルを用いて、素材情報と生地情報を示す数値を演算する処理である。
画像解析部134は、記憶部140に記憶された画像解析モデルデータを読み出し、読み出した画像解析モデルデータに示されるモデルパラメータを画像解析モデルに展開する。推論ステップS14において、画像解析部134は、表示要素ごとの信号値を示す入力値に対して、画像解析モデルを用いて算出される推定値に基づいて素材情報と生地情報を特定することができる。
【0085】
以上に説明したように、本実施形態に係る情報処理システム1は、生地の素材の特性を示す素材情報と、前記素材から生産される生地の特性を示す生地情報とを取得する情報取得部122と、前記素材情報ならびに前記生地情報と、前記生地の立体形態を表す画像との関係を示す画像合成モデルを用いて、取得された素材情報と生地情報から生地の画像を合成する画像合成部124と、を備える。また、生地は、人工毛皮であってもよい。
この構成によれば、素材自体の特性と素材を原料とする生地の特性に基づいて生地の立体形態を表す画像が得られる。得られた画像を視認することで、素材の特性と生地の特性に応じた立体形態を把握できるので、所望の生地の選択が促される。
【0086】
本実施形態に係る情報処理システム1は、生地の立体形態を表す画像を取得する情報取得部122と、前記画像と、前記生地の素材の特性を示す素材情報と前記素材から生産される前記生地の特性を示す生地情報との関係を示す生産条件モデルを用いて、取得された画像から前記素材情報ならびに前記生地情報を定める画像解析部134と、を備える。
この構成によれば、生地の立体形態を表す画像に基づいて素材自体の特性を示す素材情報と素材を原料とする生地の特性を示す生地情報が特定される。所望の立体形態を表す画像を用いて素材情報と生地情報が特定されるので、所望の立体形態を有する生地を生産するための要件を効率的に把握することができる。
【0087】
素材情報は、前記素材の銘柄、品種、繊度、繊維タイプ、断面形状、光沢、色彩、潜在捲縮特性、繊維長、捲縮特性、フィラメント長、フィラメントの総繊度、および、収縮特性のうち少なくとも1項目を含み、生地情報は、動物の種類、生地タイプ、複数の素材間の構成比率、パイル長、段差情報、変色加工状態、植え込み密度、繊維長、目付、植え込みパターン、トレンド情報、価値観情報、および、用途情報のうち少なくとも1項目を含んでもよい。
この構成により、素材の特性として素材の銘柄、品種、繊度、繊維タイプ、断面形状、光沢、色彩、潜在捲縮特性、繊維長、捲縮特性、フィラメント長、フィラメントの総繊度、および、収縮特性のうち少なくとも1項目と、生地の特性として動物の種類、生地タイプ、複数の素材間の構成比率、パイル長、段差情報、変色加工状態、植え込み密度、繊維長、目付、植え込みパターン、トレンド情報、価値観情報、および、用途情報のうち少なくとも1項目が用いられることで、素材自体の特性と生地に加工する過程の特性の両面により、質感を備えた立体形態を示す画像が得られる。
【0088】
生地の表面は、前記素材からなり、長さ方向に異なる複数色に着色された毛で覆われ、前記変色加工状態は、前記複数色の分布を示してもよい。
生地を覆う毛に付された色の分布により、毛で覆われた現実感の高い生地の画像が得られる。
【0089】
生地の表面は、前記素材からなる複数の種類の繊維の組である繊維束が植毛され、前記生地情報は、前記繊維束の構成を示す繊維束構成情報を含んでもよい。
生地に植毛された繊維束の構成により、繊維束が植毛された現実感の高い生地の画像が得られる。
【0090】
情報取得部122は、三次元空間における視点を示す視点情報を取得し、画像合成部124は、前記視点から観察される前記生地の画像を合成してもよい。
この構成により、合成された画像に示される生地の立体形態が種々の視点から観察される。特定の視点のみから観察される画像よりも的確に生地を選択することができる。
【0091】
情報取得部122は、照明条件を示す照明情報を取得し、画像合成部124は、前記照明条件に従って光を照らして表現される生地の画像を合成してもよい。
この構成により、指示された照明条件で観察される生地の画像が得られる。照明条件による立体形態の依存性を把握することで、特定の照明条件で観察されるよりも的確に生地を選択することができる。
【0092】
画像合成部124は、前記生地の少なくとも一部分を変形し、前記変形に応じて変化した形状と模様を有する前記生地の画像を合成してもよい。
この構成によれば、画像合成部124は、変形と、変形に応じた模様の変化のいずれか、または両者をさらに考慮して生地の画像を合成することができる。そのため、合成された画像に表される生地の立体形態を視認することで、より的確な生地の選択が促される。
【0093】
画像合成部124は、形状と模様の変化が時間経過に応じて変化する生地の画像を合成してもよい。
この構成によれば、形状と模様が時間経過に応じて変化する生地の画像が得られる。合成された画像に表される形状と模様の動的変化を視認することで、より的確な生地の選択が促される。
【0094】
情報取得部122は、品種を示す品種情報を取得し、画像合成部124は、生地から生産される前記品種の製品の画像を合成してもよい。
この構成によれば、生地から生産され、品種情報で示される品種の製品の画像が合成される。合成された画像を視認することで、画像に表された製品の印象を考慮することができるので、生地の的確な選択が促される。
【0095】
画像合成部124は、製品を装着した人物の画像を合成してもよい。
この構成によれば、人物に装着され画像に表された製品の印象を考慮することができるので、生地の的確な選択が促される。
【0096】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0097】
例えば、素材情報をなす要素情報の組、生地情報をなす要素情報の組は、上記に説明したものに限られず、任意に定められうる。また、表示画面における画面部品の配置、表示項目の組、設定項目の組、それらの配置、メッセージ、形状、色彩などは、任意に上記に説明したものに限られず、任意に定められうる。
画像合成モデルまたは画像解析モデルとして用いられる数理モデルは、CNNに限らず、RNN(Recurrent Neural Network)、ResNet(Residual Network)のいずれであってもよいし、ニューラルネットワーク以外の数理モデルであってもよい。モデル学習部126は、他の機器から訓練データを取得し、取得した訓練データを用いてモデルパラメータを算出してもよい。
【0098】
また、情報処理装置10、端末装置20の入力処理部222と表示処理部224に相当する機能部を備えてもよい。その場合には、上記の情報処理装置10と端末装置20における各種情報の送受信が情報処理装置10における入出力となる。
また、情報処理装置10において、モデル学習部126が省略されてもよい。但し、画像合成部124には、予め取得したモデルパラメータを設定しておく。
画像合成部124の一部の処理は、例えば、照明条件、視点、生地サンプル形状のいずれかの変更に応じた生地サンプル画像の合成(レンダリング)に係る処理は、端末装置20の表示処理部224が実行してもよい。
端末装置20において、表示部260と操作部270の一方または両方が省略されてもよい。端末装置20は、操作信号の入力元、表示データの送信先となる機器と無線または有線で各種のデータを送受信可能に接続できればよい。
【0099】
また、上述した実施形態における情報処理装置10の一部、または全部を、LSI(Large Scale integration)等の集積回路として実現してもよい。情報処理装置10の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0100】
10…情報処理装置、20…端末装置、120…制御部、122…情報取得部、124…画像合成部、126…モデル学習部、128…注文処理部、130…ユーザ管理部、140…記憶部、150…入出力部、220…制御部、240…記憶部、250…入出力部、260…表示部、270…操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11