(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001055
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】乳酸発酵溶液MT(及び、乳酸発酵スターターSTMT)を、サトイモ(未利用資源:親サトイモ)を主原料にして乳酸発酵技術により、発酵・分解・分離して抽出する製造方法。
(51)【国際特許分類】
C12N 1/20 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
C12N1/20 A
C12N1/20 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189458
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】398052678
【氏名又は名称】告田 政秋
(71)【出願人】
【識別番号】599177330
【氏名又は名称】告田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】告田 政秋
(72)【発明者】
【氏名】告田 幸子
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065BB26
4B065CA54
4B065CA55
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バイオプラスチックであるポリ乳酸の製造のための乳酸発酵溶液の製造方法を提供する。
【解決手段】乳酸発酵スターターの主原料をサトイモ、特に廃棄されている親サトイモとして乳酸発酵させる、乳酸発酵溶液の製造方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸発酵スターターの主原料をサトイモ、特に廃棄されている親サトイモを乳酸発酵技術で得た、乳酸発酵溶液の製造方法。
【請求項2】
乳酸発酵技術の活用(嫌気性発酵)に、逆止弁を装着した発酵容器を用いた製造方法。
【請求項3】
発酵初期に嫌気的状況下で、制御した攪拌にて乳酸発酵を均一化する製造方法。
【請求項4】
サトイモを主原料にした製造方法で、選抜された乳酸菌を添加したスターター原液を1~2%添加した製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳酸発酵溶液MT(及び、乳脂発酵スターターSTMT)を、主原料にサトイモ(特に、未利用資源である親サトイモ)を乳酸発酵により、乳酸発酵溶液化に関する製造方法である。
【背景技術】
【0002】
乳酸発酵溶液MT(及び、乳酸発酵スターターSTMT)主原料は、サトイモである。特に未利用(廃棄されている)資源の親サトイモの乳酸発酵(嫌気性発酵)に関するメカニズムに注目して、その製造方法の確立に向けた乳酸発酵技術である。
【0003】
家畜の保存飼料であるサイレージを効率良く生産するための研究がある。サイレージとは、牧草などに乳酸菌を作用させて保存性を高め、牧草のない冬季などに家畜を飼育するための保存飼料である。牧草などには乳酸菌が利用できる単糖が少ないため乳酸が十分できないことがある。そこで、乳酸菌に植物性多糖を分解する酵素遺伝子を導入し、酵素を多量に発現させたところ、植物性多糖から効率良く乳酸を生成させる。
食品以外の他の例として、乳酸を原料とする生分解性の「ポリ乳酸樹脂」も注目される。乳酸生成効率の良い菌株で乳酸を多量に作り、合成反応によってポリ乳酸樹脂が作られすでに市場に出回っている。バイオ技術の応用によって乳酸の生産効率が改良された乳酸菌ができれば、コストが低減し安くて利用しやすい生分解樹脂の消費が増大し、地球環境の保全に寄与する。
【0004】
サトイモ特有のネバネバには、ガラクタンという栄養素が含まれている。これは食物繊維の一種で、水に溶けやすい水溶性食物繊維ある。
水溶性食物繊維は、その粘着性により食べ過ぎ防止に効果があるとされており、糖質の吸収をゆるやかにするため血糖値の上昇も抑えてくれる。
また、ガラクタンには、腸内環境を整える整腸作用があります。便秘に悩む人には、ぜひ取り入れていただきたい食材。
サトイモにはガラクタンの他に、こんにゃくの主成分ともいわれるグルコマンナンという食物繊維が多く含まれている。
このグルコマンナンは、ガラクタン同様、水溶性食物繊維と呼ばれるもので、血中コレステロールの低下や血糖値の上昇予防に効果がある。
同じ芋類のジャガイモやサツマイモには、水に溶けづらい不溶性食物繊維が多く含まれているのに対し、サトイモは芋類の中では珍しく水溶性食物繊維を多く含む。
サトイモを調理する際に特有の粘りがでるのは、この水溶性食物繊維が水に溶け出すから。
ガラクタンは、カラギーナンなど、ガラクトースを主成分とする多糖類の総称。
ガラクトースから構成される多糖類の総称、植物、海藻などに広く分布するが、ほかの糖と結合したヘテロ多糖として存在することも多い。ルピナスの種子やリンゴのペクチン質には、(β1→4)結合をもつ単独のD-ガラクタンが約25%含まれており、これらのペクチン酸の側鎖として結合している。また、針葉樹材中のアラビノガラクタン中にも、同様な重合度がD-ガラクタンが見出される。
ガラクトースが多数つながった多糖類。命名の慣行に-amつけてガラクタンという。糖は誘導体のこともあり、例えば寒天では、硫酸エステル化したガラクトースが2%ほど存在する。植物の細胞壁の中層の…着成分であるペクチン質は、ガラクトースのウロン酸型誘導体であるガラクツクロン酸を主体とするので、ガラクタン誘導体とみなすこともできる。ガラクタンには、通常のD型糖でなくLガタガタを含むものもある。
【0005】
【特許文献1】特願2020-193044
【特許文献2】特願2009-045069
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カーボンニュートラルな合成樹脂、ポリ乳酸が生分解性を持つゆえに環境配慮に優れている。
ポリ乳酸は植物起源の素材から合成できるバイオプラスチックの一つである。ブドウ糖(グルコース)・砂糖(スクロース)などに乳酸菌を作用させると、その発酵作用により乳酸が得られる。
原料となる糖類はジャガイモやトウモロコシなどから得られるデンプンに酵素(アミラーゼなど)を作用させる、あるいはサトウキビなどから抽出することにより大量に得られる。
しかし、このトウモロコシや芋、サトウキビ、ビートは食品としての価値もあり生産する上では原料が競合する、またバイオ燃料とも競合する。
でんぷん質原料であるトウモロコシや芋のデンプンは、水と加熱処理の工程を得た後、酵素(アミラーゼなど)による糖化のプロセスである、この加熱処理はCO₂の排出の要因でもある。
ジャガイモやトウモロコシのデンプンは、水に溶けず、消化がされにくいため、生で食べる事は出来ない。このような水に溶けず、消化も難しい生の状態のデンプンをベーター・デンプンという。これに水と熱を加えて湖化(デンプンの結晶構造がほどけて緊張し、粘り気のあるのりになること。)させたものがアルファ・デンプンだ。そこにカビを使って麹を作る。その中でできる酵素のアミラーゼによって糖化を行い、その後、酵母で発酵(清酒造り)させる。西洋では、麦芽にできるアミラーゼを使ってデンプンを分解する。こうして大麦から麦芽を使って造られるのがビールである。発酵を利用して造られるお酒は「醸造酒」と呼ばれ、清酒やビール、ブドウ酒などが代表的なお酒だ。一方、よりアルコールが強いのが蒸留酒で、これは簡単にいうと、醸造酒を蒸して造られる。例えば、米や麦、イモなどの発酵酒を蒸留すれば焼酎が出来上がる。蒸留酒は別名スピリッツという、ウィスキーや焼酎のほかにも、カクテルのベースとしても活躍するウオッカやテキーラ、ジン、ラムが代表だ
【0007】
原料によって「ブドウ糖原料」と「デンプン質原料」の2つに分けられる場合がある。「ブドウ糖原料」は、リンゴやブドウなどの果実のように、糖質、特にグルコース(ブドウ糖)を含む原料のこと。酵母でアルコール発酵し、リンゴ酒やブドウ酒(ワイン)が出来上がる。
「デンプン質原料」は、米や麦、トウモロコシなどの穀類、ジャガイモ、サツマイモなどのイモ類であり、その主成分はデンプン。
ブドウ糖原料は、非加熱で発酵に進めるが、デンプン質原料のデンプンは加熱処理が必要である。法
【課題を解決するための手段】
【0008】
トイモ特有のネバネバは、ガラクタンである。ガラクタンは、カラギーナンなど、ガラクトースを主成分とする多糖類の総称。これは食物繊維の一種で、水に溶けやすい水溶性食物繊維である。
このガラクタン(多糖類)は、乳酸菌の糖分として活用して乳酸を生成して、乳酸発酵溶液の製造方法である。
特に特に親サトイモは小芋(食用サトイモ)を収穫後、畑に漉き込まれるか、廃棄されている未利用資源である。
カーボンニュウトラルの概念から、未利用資源の親サトイモのガラクタを乳酸菌によって乳酸発酵(嫌気性発酵)から生成した乳酸発酵溶液のよって、熱処理を必要としない処理方法及び乳酸発酵(嫌気性発酵)のよりCO₂の排出ゼロの製造方法である。
更に、魚の内臓の乳酸発酵スターターとしてもその利便性がある。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、特に親サトイモは小芋(食用サトイモ)を収穫後、畑に漉き込まれるか、廃棄されている未利用資源で、毎年国内で100万トン程が算出される。
原料によってブドウ糖原料とデンプン質原料の2つに分けられる場合がある。ブドウ糖原料は、リンゴやブドウなどの果実のように、糖質、特にグルコース(ブドウ糖)を含む原料で、酵母でアルコール発酵し、リンゴ酒やブドウ酒(ワイン)が出来上がる。 デンプン質原料は、米や麦、トウモロコシなどの穀類、ジャガイモやサツマイモのイモ類であり、その主成分はデンプンでる。
ブドウ糖原料は、酵母でグルコース(ブドウ糖)を代謝しアルコール発酵のメカニズムであるのが、デンプン質原料は、デンプンを加熱処理した後、酵素のアミラーゼで糖化させた後、酵母でアルコール発酵を行うメカニズムである。サトイモのデンプンは、水に溶けやすい水溶性食物繊維で、ガラクタン(ガラクトースから構成される多糖の総称)やグルコマンナンで、乳酸菌による乳酸発酵で、乳酸発酵溶液が生成されるメカニズムの技術開発が確立した。これまで、未利用資源の親サトイモから、その主成分であるガラクタンやグルコマンナンの多糖を乳酸菌による、乳酸発酵で、乳酸発酵溶液MT(乳酸発酵スターターSTMT)を生成することで、PLA樹脂(ポリ乳酸)の原料して活用することができる。また、食品やバイオ燃料の原料と競合しない。また、加熱処理の必要性がないためCO₂の排出ゼロである。カーボンニュウトラルの概念を踏襲できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の乳酸発酵に関する、乳酸の分析結果。
【
図8】乳酸発酵溶液MT(右2本)及び、乳酸発酵スターターSTMT
【発明を実施するための形態】
【実施例0011】
本発明の実施の形態を以下に説明する。
【0012】
【0013】
表1は、サトイモの形態及び、作付面積から算出した親サトイモの収量。全国で100万t程の親サトイモを算出できる。
【0014】
【0015】
表2は、ブドウ糖原料とデンプン質原料のこれまでの区分け。ジャガイモやサツマイモの実施例はある。
【0016】
図2は、サトイモのデンプンは、水に溶けやすい水溶性食物繊維で、ガラクタン(ガラクトースから構成される多糖の総称)やグルコマンナンで、乳酸菌による乳酸発酵で、乳酸発酵溶液が生成されるメカニズ。
【0017】
図3は、親サトイモの乳酸発酵の分析結果、7月26日分析結果pH3.90及び乳酸菌数4億9千万・一般生菌数17万、10月11日pH4.11及び乳酸菌数7千3百万・一般生菌数103であった。
【0018】
図4は、サトイモの糖質・水溶性食物繊維(ガラクタン等)に乳酸菌による阻止円、乳酸の生成状況のイメージ図。
【0019】
図5は、サトイモのデンプン・水溶性食物繊維(ガラクタン等)から乳酸菌により乳酸発酵、そして、魚の内蔵と混合して乳酸発酵に関してのフロー図。
【0020】
図6は、魚の内蔵(ひらめ)に乳酸発酵スターターを混合して、乳酸発酵させた分析結果、5月3日処理日、5月31日分析結果は、pH6.39・乳酸菌数10万以上・一般生菌数315万、6月7日分析結果は、pH6.42・乳酸菌数7億6千万・一般生菌数100万であった。
【0021】
【0022】
表3は、全国のサトイモの作付面積である。千葉県・宮崎県・埼玉県等全国で栽培されている。
【0023】
図7は、親サトイモを畑から集めて、乳酸発酵溶液MTの製造方法フロー及び魚の内蔵(ひらめ)と乳酸発酵スターターSTMTと混合して乳酸発酵させ、魚の油分分離に関する技術開発のフロー。
【0024】
図8は、乳酸発酵溶液MT(右2本)及び、乳酸発酵スターターSTMT(左から3本)である。