(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025105545
(43)【公開日】2025-07-10
(54)【発明の名称】チップを接合する方法およびその方法を実施するためのシステム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20250703BHJP
【FI】
H01L21/60 311S
H01L21/60 311T
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024227951
(22)【出願日】2024-12-24
(31)【優先権主張番号】18/399,329
(32)【優先日】2023-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニラブ ケー ロイ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ティー ジェンキンス
(72)【発明者】
【氏名】ビュン-ジン チョイ
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044KK01
5F044LL15
5F044PP15
5F044PP17
5F044QQ06
5F044RR01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数のチップを一括して接合する方法及びシステムを提供する。
【解決手段】チップを接合するための方法は、第1チップを保持する第1接合ヘッドを、接合面を支持する基板チャックの初期位置に対する第1所定位置に初期位置決めする工程と、第2チップを保持する第2接合ヘッドを、前記基板チャックの前記初期位置に対する第2所定位置に初期位置決めする工程と、前記基板チャックの更新された位置情報の受信と、該受信した更新された位置情報に基づく前記第1接合ヘッドの再位置決めとを、前記第1チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程と、前記基板チャックの更新された位置情報の受信と、該受信した更新された位置情報に基づく前記第2接合ヘッドの再位置決めとを、前記第2チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程と、前記第1チップおよび前記第2チップを前記接合面に接合する工程と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップを接合するための方法であって、
第1チップを保持する第1接合ヘッドを、接合面を支持する基板チャックの初期位置に対する第1所定位置に初期位置決めする工程と、
第2チップを保持する第2接合ヘッドを、前記基板チャックの前記初期位置に対する第2所定位置に初期位置決めする工程と、
前記基板チャックの更新された位置情報の受信と、該受信した更新された位置情報に基づく前記第1接合ヘッドの再位置決めとを、前記第1チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程と、
前記基板チャックの更新された位置情報の受信と、該受信した更新された位置情報に基づく前記第2接合ヘッドの再位置決めとを、前記第2チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程と、
前記第1チップおよび前記第2チップを前記接合面に接合する工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記更新された位置情報の受信と前記第1接合ヘッドの再位置決めとを前記第1チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程は、第1期間で行われ、
前記更新された位置情報の受信と前記第2接合ヘッドの再位置決めとを前記第2チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程は、第2期間で行われ、
前記第1期間と前記第2期間とが重複している、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1期間の長さと前記第2期間の長さとは異なる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1チップが前記接合面に接触した後、前記接合面に向かう方向の第1の力を前記第1チップに付与するように前記第1接合ヘッドを作動させる工程と、
前記第2チップが前記接合面に接触した後、前記接合面に向かう方向の第2の力を前記第2チップに付与するように前記第2接合ヘッドを作動させる工程と、
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の力および前記第2の力を付与した後、前記第1接合ヘッドが前記接合面に向かう方向の第3の力を前記第1チップに付与し、前記第2接合ヘッドが前記接合面に向かう方向の第4の力を前記第2チップに付与するように、前記第1接合ヘッドと前記第2接合ヘッドとを同時に作動させる工程
を更に有することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第3の力の大きさは前記第1チップを前記接合面に完全に接合させるのに十分であり、
前記第4の力の大きさは前記第2チップを前記接合面に完全に接合させるのに十分である、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第3の力の大きさは前記第1の力の大きさよりも大きく、
前記第4の力の大きさは前記第2の力の大きさよりも大きい、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の力の大きさは前記第2の力の大きさに対して±10%であり、
前記第3の力の大きさは前記第4の力の大きさに対して±10%である、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記第3の力の大きさは前記第1の力の大きさよりも10倍大きく、
前記第4の力の大きさは前記第2の力の大きさよりも10倍大きい、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の力の大きさは前記第1チップを前記接合面に完全に接合させるには不十分であり、
前記第2の力の大きさは前記第2チップを前記接合面に完全に接合させるには不十分である、
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項11】
第3チップを保持する第3接合ヘッドを、前記基板チャックの前記初期位置に対する第3所定位置に初期位置決めする工程と、
前記基板チャックの更新された位置情報の受信と、該受信した更新された位置情報に基づく前記第3接合ヘッドを再位置決めとを、前記第3チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程と、
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記更新された位置情報の受信と前記第1接合ヘッドの再位置決めとを前記第1チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程は、第1期間で行われ、
前記更新された位置情報の受信と前記第2接合ヘッドの再位置決めとを前記第2チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程は、第2期間で行われ、
前記更新された位置情報の受信と前記第3接合ヘッドの再位置決めとを前記第3チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程は、第3期間で行われ、
前記第1期間と前記第2期間と前記第3期間とが重複している、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1チップが前記接合面に接触した後、前記接合面に向かう方向の第1の力を前記第1チップに付与するように前記接合ヘッドを作動させる工程と、
前記第2チップが前記接合面に接触した後、前記接合面に向かう方向の第2の力を前記第2チップに付与するように前記第2接合ヘッドを作動させる工程と、
前記第3チップが前記接合面に接触した後、前記接合面に向かう方向の第3の力を前記第3チップに付与するように前記第3接合ヘッドを作動させる工程と、
を更に有することを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記第1の力、前記第2の力、および前記第3の力を付与した後、前記第1接合ヘッドが前記接合面に向かう方向の第4の力を前記第1チップに付与し、前記第2接合ヘッドが前記接合面に向かう方向に第5の力を前記第2チップに付与し、前記第3接合ヘッドが前記接合面に向かう方向に第6の力を前記第3チップに付与するように、前記第1接合ヘッドと前記第2接合ヘッドと前記第3接合ヘッドとを同時に作動させる工程
を更に有することを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記第1の力の大きさ、前記第2の力の大きさ、および前記第3の力の大きさはそれぞれ、前記第1チップ、前記第2チップ、および前記第3チップを前記接合面に完全に接合させるには不十分であり、
前記第4の力の大きさ、前記第5の力の大きさ、および前記第6の力の大きさはそれぞれ、前記第1チップ、前記第2チップ、および前記第3チップを前記接合面に完全に接合させるのに十分である、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1チップが前記接合面に接触すると、前記第1接合ヘッドの前記再位置決めを終了し、
前記第2チップが前記接合面に接触すると、前記第2接合ヘッドの前記再位置決めを終了する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記基板チャックの更新された位置情報の受信と該受信した更新された位置情報に基づく前記第2接合ヘッドの再位置決めとを、前記第1チップが前記接合面に接触した後、前記第2チップが前記接合面に接触する前に、交互に行うことを続ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記更新された位置情報は、更新されたX位置情報、更新されたY位置情報、更新されたチルト情報、更新された回転情報、および更新されたチップ(tip)情報のうちの1つ以上を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
チップを接合するためのシステムであって、
第1チップを保持する第1接合ヘッドと、
第2チップを保持する第2接合ヘッドと、
接合面を支持する基板チャックと、
1つ以上のプロセッサと、
命令を記憶する1つ以上メモリと、を有し、
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、
前記第1接合ヘッドを、前記基板チャックの初期位置に対する第1所定位置に初期位置決めする工程と、
前記第2接合ヘッドを、前記基板チャックの初期位置に対する第2所定位置に初期位置決めする工程と、
前記基板チャックの更新された位置情報の受信と、該受信した更新された位置情報に基づく前記第1接合ヘッドの再位置決めとを、前記第1チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程と、
前記基板チャックの更新された位置情報の受信と、該受信した更新された位置情報に基づく前記第2接合ヘッドの再位置決めとを、前記第2チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程と、
前記第1チップを前記第2チップを前記接合面に接合する工程と、
を前記システムに行わせるための命令を含む、ことを特徴とするシステム。
【請求項20】
複数の物品を製造する方法であって、
第1チップを保持する第1接合ヘッドを、接合面を支持する基板チャックの初期位置に対する第1所定位置に初期位置決めする工程と、
第2チップを保持する第2接合ヘッドを、前記基板チャックの前記初期位置に対する第2所定位置に初期位置決めする工程と、
前記基板チャックの更新された位置情報の受信と、該受信した更新された位置情報に基づく前記第1接合ヘッドの再位置決めとを、前記第1チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程と、
前記基板チャックの更新された位置情報の受信と、該受信した更新された位置情報に基づく前記第2接合ヘッドの再位置決めとを、前記第2チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程と、
前記第1チップおよび前記第2チップを前記接合面に接合する工程と、
前記複数の物品を製造するために前記基板を個片化する工程と、
を有することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のチップを一括して接合することを含む、チップを接合する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高度なパッケージング技術には、チップの精密かつ正確な制御および配置が要求される。生産性/スループットを高めるために、当技術分野では、複数の接合ヘッドを同時に使用して複数のソースチップを接合面に接合することが望ましい。しかし、複数の接合ヘッドを可能な限り同時に作動させる場合であっても、複数の接合ヘッド上の1つのチップが他の接合ヘッド上のチップより必ず先に接合面に接触してしまう。1つの接合ヘッド上の1つのチップによるこの最初の接触により、接合面を支持するキャリッジが回転中心の周りにチルトし、これにより、基板チャックおよび基板がチルトする。キャリッジの回転中心の周りにチルトすることによって、接合ヘッド上の残りのチップに対してアライメント量の増大や不安定なアライメントが誘発される。さらに、オペレータの制御外の要因によって、接合プロセス全体にわたって、あらゆるディメンション(X,Y,Z,チルト(tilt),チップ(tip),回転(rotation))で基板の位置に乱れが生じることもよくある。これらの乱れよって、位置ずれが発生することもある。
【0003】
図23は、キャリッジの回転中心の周りのチルトが生じる接合システムの接合部分1の概略側面図を示す。接合部1は、ブリッジ3に結合された複数の接合ヘッド2を含む。複数の接合ヘッド2の下には、基板6をチャックしている基板チャック5を保持するキャリッジ4がある。キャリッジ4は、軸受7を介してベース8上に乗っている。
図23は、複数の接合ヘッド2が基板6上の接合面10に2つのチップ9を接合しようとする瞬間を示している。しかし、上述のように、2つのチップ9を同時に接合面10に接合しようとしても、必ず1つのチップが最初に接合面10に接触することになる。
図23に示すように、これが起こると、キャリッジ4は、キャリッジが担持する全ての構造体を含めて、回転中心CRの周りを方向11の方向に回転する。この回転により、第1チップが接合面10に接触した後に接合面10に接触する第2チップのアライメントに悪影響を及ぼすオフセット角12が生じる。この回転により、次のチップの接合のアライメント誤差が生じる。チルト量は接合位置に応じて変化するので、そのような追加的な誤差を補償することは困難である。
図23のシステムでは、接合プロセスによって引き起こされる0.2μラジアンより大きいキャリッジ4のチルトによって、例えば10nmより大きいオーダーのアライメント誤差が生じる。アライメント誤差とチルトとの関係は、接合方向(Z軸)におけるキャリッジ4の回転中心CR間の距離の関数でありうる。
図23には示されていないが、上述のように、接合面のどの瞬間にもその他の回避できない外乱が発生する可能性があり、その結果、基板は、そのあらゆるディメンション(X,Y,Z,チルト(tilt),チップ(tip),回転(rotation))で初期位置から移動しうる。
【0004】
したがって、複数のソースチップを接合面に接合する際にキャリッジの回転中心の周りのチルトおよび/または他の外乱に起因するアライメント誤差をなくすまたは最小限に抑える方法およびシステムが、当技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
チップを接合するための方法は、第1チップを保持する第1接合ヘッドを、接合面を支持する基板チャックの初期位置に対する第1所定位置に初期位置決めする工程と、第2チップを保持する第2接合ヘッドを、前記基板チャックの前記初期位置に対する第2所定位置に初期位置決めする工程と、前記基板チャックの更新された位置情報の受信と、該受信した更新された位置情報に基づく前記第1接合ヘッドの再位置決めとを、前記第1チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程と、前記基板チャックの更新された位置情報の受信と、該受信した更新された位置情報に基づく前記第2接合ヘッドの再位置決めとを、前記第2チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程と、前記第1チップおよび前記第2チップを前記接合面に接合する工程と、を有する。
【0006】
チップを接合するためのシステムは、第1チップを保持する第1接合ヘッドと、第2チップを保持する第2接合ヘッドと、接合面を支持する基板チャックと、1つ以上のプロセッサと、命令を記憶する1つ以上メモリと、を有し、前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記第1接合ヘッドを、前記基板チャックの初期位置に対する第1所定位置に初期位置決めする工程と、前記第2接合ヘッドを、前記基板チャックの初期位置に対する第2所定位置に初期位置決めする工程と、前記基板チャックの更新された位置情報の受信と、該受信した更新された位置情報に基づく前記第1接合ヘッドの再位置決めとを、前記第1チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程と、前記基板チャックの更新された位置情報の受信と、該受信した更新された位置情報に基づく前記第2接合ヘッドの再位置決めとを、前記第2チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程と、前記第1チップを前記第2チップを前記接合面に接合する工程と、を前記システムに行わせるための命令を含む。
【0007】
複数の物品を製造する方法は、第1チップを保持する第1接合ヘッドを、接合面を支持する基板チャックの初期位置に対する第1所定位置に初期位置決めする工程と、第2チップを保持する第2接合ヘッドを、前記基板チャックの前記初期位置に対する第2所定位置に初期位置決めする工程と、前記基板チャックの更新された位置情報の受信と、該受信した更新された位置情報に基づく前記第1接合ヘッドの再位置決めとを、前記第1チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程と、前記基板チャックの更新された位置情報の受信と、該受信した更新された位置情報に基づく前記第2接合ヘッドの再位置決めとを、前記第2チップが前記接合面に接触するまで交互に行う工程と、前記第1チップおよび前記第2チップを前記接合面に接合する工程と、前記複数の物品を製造するために前記基板を個片化する工程と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
実施形態は例示にすぎず、添付の図面に限定されるものではない。
【0009】
【
図1】実施形態における接合システムの概略側面図。
【0010】
【0011】
【
図3】実施形態における、
図1の接合システムを使用してチップを接合するための方法のフローチャート。
【0012】
【
図4】実施形態における、接合プロセス中の4つの接合ヘッドの状態の変化を示すタイミングチャート。
【0013】
【
図5】
図5(a)は、実施形態における、4つの接合ヘッドが
図4の時間t1において基板の表面に対して位置決めされるときの概略上面図、
【0014】
図5(b)は、時間t1での、
図5(a)の接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図、
【0015】
図5(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図5(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図、
【0016】
図5(d)は、時間t1での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図、
【0017】
図5(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図5(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図。
【0018】
【
図6】
図6(a)は、実施形態における、
図4の時間t2に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図、
【0019】
図6(b)は、時間t2での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図、
【0020】
図6(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図6(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図、
【0021】
図6(d)は、時間t2での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図、
【0022】
図6(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図6(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図。
【0023】
【
図7】
図7(a)は、実施形態における、
図4の時間t3に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図、
【0024】
図7(b)は、時間t3での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図、
【0025】
図7(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図7(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図、
【0026】
図7(d)は、時間t3での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図、
【0027】
図7(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図7(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図。
【0028】
【
図8】
図8(a)は、実施形態における、
図4の時間t4に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図、
【0029】
図8(b)は、時間t4での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図、
【0030】
図8(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図8(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図、
【0031】
図8(d)は、時間t4での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図、
【0032】
図8(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図8(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図。
【0033】
【
図9】
図9(a)は、実施形態における、
図4の時間t5に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図、
【0034】
図9(b)は、時間t5での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図、
【0035】
図9(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図9(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図、
【0036】
図9(d)は、時間t5での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図、
【0037】
図9(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図9(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図。
【0038】
【
図10】
図10(a)は、実施形態における、
図4の時間t6に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図、
【0039】
図10(b)は、時間t6での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図、
【0040】
図10(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図10(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図、
【0041】
図10(d)は、時間t6での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図、
【0042】
図10(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図10(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図。
【0043】
【
図11】
図11(a)は、実施形態における、
図4の時間t7に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図、
【0044】
図11(b)は、時間t6での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図、
【0045】
図11(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図11(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図、
【0046】
図11(d)は、時間t7での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図、
【0047】
図11(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図11(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図。
【0048】
【
図12】
図12(a)は、実施形態における、
図4の時間t8に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図、
【0049】
図12(b)は、時間t8での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図、
【0050】
図12(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図12(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図、
【0051】
図12(d)は、時間t8での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図、
【0052】
図12(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図12(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図。
【0053】
【
図13】
図13(a)は、実施形態における、
図4の時間t9に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図、
【0054】
図13(b)は、時間t9での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図、
【0055】
図13(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図13(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図、
【0056】
図13(d)は、時間t9での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図、
【0057】
図13(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図13(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図、
【0058】
【
図14】
図14(a)は、実施形態における、
図4の時間t10に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図、
【0059】
図14(b)は、時間t10での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図、
【0060】
図14(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図14(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図、
【0061】
図14(d)は、時間t10での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図、
【0062】
図14(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図14(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図。
【0063】
【
図15】
図15(a)は、実施形態における、
図4の時間t11に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図、
【0064】
図15(b)は、時間t11での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図、
【0065】
図15(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図15(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図、
【0066】
図15(d)は、時間t11での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図、
【0067】
図15(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図15(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図、
【0068】
【
図16】
図16(a)は、実施形態による、
図4の時間t12に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図、
【0069】
図16(b)は、時間t12での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図、
【0070】
図16(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図16(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図、
【0071】
図16(d)は、時間t12での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図、
【0072】
図16(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図16(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図。
【0073】
【
図17】
図17(a)は、実施形態における、
図4の時間t13に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図、
【0074】
図17(b)は、時間t13での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図。
【0075】
図17(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図17(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図、
【0076】
図17(d)は、時間t13での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図、
【0077】
図17(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図14(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図。
【0078】
【
図18】
図18の9(f)は、実施形態における、時間t5での、製品基板の第1方向のチルト(θY)を示す、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図、
【0079】
図18の9(g)は、実施形態における、製品基板がチルトすることを示す、
図18の9(f)に対して反対側の概略側面図、
【0080】
図18の10(f)は、実施形態における、時間t6で、依然として第1方向にチルトしている製品基板を示す、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図、
【0081】
図18の10(g)は、実施形態における、チップチャックをチルトさせることを示す、
図18の10(f)に対して反対側の概略側面図、
【0082】
図18の11(f)および11(g)は、時間t7で、接合ヘッドが製品基板に接触している間に製品基板が第1方向にチルト(θY)したことを示す、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図。
【0083】
【
図19】
図19の12(f)、12(g)は、実施形態における、時間t8で、接合ヘッドが製品基板に接触した後に製品基板が第2方向にチルト(θY)したことを示す、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図、
【0084】
図19の13(f)、13(g)は、実施形態における、時間t9で、製品基板が第2方向にチルト(θY)したことを示す、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図、
【0085】
図19の14(f)、14(g)は、実施形態による、時間t10で、製品基板が第2方向にチルト(θY)したことを示す、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図。
【0086】
【
図20】
図20の15(f)、15(g)は、実施形態における、時間t11で、チップが製品基板に接触したことに応じて製品基板が第1方向にチルト(θY)したことを示す、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図、
【0087】
図20の16(f)、16(g)は、実施形態による、時間t12で、製品基板が第1方向にチルト(θY)しており、製品基板のチルトと合うように接合ヘッドの接合ヘッドステージがチップチャックを移動させることを示す、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図、
【0088】
図20の17(f)、17(g)は、実施形態における、時間t13で、製品基板が第1方向にチルト(θY)しており、チップが製品基板と接触したことを示す、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図。
【0089】
【
図21】
図21(a)は、実施形態の4つの接合ヘッドおよび基板のX方向位置のタイミングチャート、
【0090】
図21(b)は、実施形態の4つの接合ヘッドおよび基板のZ方向位置のタイミングチャート、
【0091】
図21(c)は、実施形態の4つの接合ヘッドによって付与されるZ方向の総力のタイミングチャート、
【0092】
図21(d)は、実施形態の4つの接合ヘッドの残留力のタイミングチャート、
【0093】
【0094】
【
図22】実施形態における、
図1の接合システムを使用してチップを接合するための方法を実施するコントローラのフローチャートおよび情報フロー図。
【0095】
【
図23】接合プロセス中にキャリッジがチルトする従来技術の接合システムの概略側面図。
【0096】
図中の要素は簡略化および明瞭化するように示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことは、当業者には理解されよう。例えば、図中の要素のいくつかの寸法は、本発明の実施の理解を助けるために、他の要素と比較して誇張される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0097】
図面と組み合わせた以下の説明は、本明細書に開示される教示の理解を助けるために提供される。以下の議論は、教示の特定の実施に焦点を当てる。この焦点は、教示を説明するのを助けるために提供されるものであり、教示の範囲または適用性に対する限定として解釈されるべきではない。
【0098】
別途の定義がない限り、本明細書に用いられる全ての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の技術者により一般に理解されるものと同じ意味をもつ。材料、方法、例は、例示にすぎず、限定することを意図するものではない。本明細書で説明されていない限り、特定の材料や処理動作に関する多くの詳細は従来通りであり、当技術分野の教科書やその他の情報源で見つけることができるものである。
【0099】
図1は、実施形態における接合システム100の概略側面図である。
図1に示すように、接合システム100は、チップソースセクション102と、チップ移送・活性化セクション104と、チップ接合セクション106とを含む。チップソースセクション102は、接合プロセスで使用されるソースチップを含む接合システム100全体のうちの部分である。チップ移送・活性化セクション104は、チップをチップソースセクション102からチップ接合セクション106に移送する接合システム100全体のうちの部分である。別の構成では、チップソースセクションは別個の装置でありうる。同様に、チップ活性化セクションは、別個の装置でありうる。チップ移送・活性化セクション104は、ソースチップを活性化することで、ソースチップを接合可能な状態にする。代替実施形態では、チップ移送・活性化セクション104は、チップがチップソースセクション102に配置される前に、複数のチップ124を活性化する。チップ接合セクション106は、活性化されたチップを受け入れて接合を行う。
【0100】
チップソースセクション102は、チップのための1つまたは複数のソースを含む。例えば、
図1に示すように、チップソースセクションは、その上にチップ124を有するソースチャック110によって保持された基板114を含むことができ、及び/又は、前面開口部統一/ユニバーサルポッド112(「FOUP」として当該技術分野において知られている)を含むことができる。FOUPは、複数の基板114及びチップ124を収容することができる。トレイ、フレーム内の接着テープ、剛性基板上の接着層など、当技術分野で知られている他のチップソースが、チップソースセクション102に使用されうる。本明細書で使用される場合、チップは、マイクロチップ、コンピュータチップなどとも呼ばれる集積回路をいう。チップは、所与の機能回路がその上に製造される半導体材料の小さなブロックとして定義されうる。個々のチップに分割されたウエハ/基板の文脈において、チップはダイであることが知られている。チップは、典型的にはパターニング、コーティング、エッチング、ドーピング、めっき、個片化などによってその上に形成された集積電子部品および回路のセットを担持する。チップは、典型的には、メモリ、ロジック、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、アクセラレータ回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、セキュリティコプロセッサ、グラフィックス処理ユニット(GPU)、機械学習回路、専用プロセッサ、コントローラ、デバイス、電気回路、受動構成要素のアレイなどの電気的機能を有する。チップはまた、微小電気機械システム(MEMS)デバイス、光学デバイス、電気光学デバイスなどであってもよい。
【0101】
チップ移送・活性化セクションは、チップ接合セクション106における第2基板チャック130へ、基板114を持ち上げて運ぶことができる移送ロボット126を含む。当技術分野で理解されるように、移送ロボット126は一般に、1つの基板チャックから別の基板チャックへ、または基板保管場所から基板チャックへなど、1つの場所から別の場所へ基板を持ち上げ、運び、配置するための動作を提供する、ハンドおよびロボットアームを含む。移送ロボット126は、当技術分野で知られている任意の適切なデバイス、例えば、日本の広島県福山市のローツェ株式会社によって提供されるウエハハンドリングロボットRR756L15などのロボットでありうる。チップ移送・活性化セクション104は、活性化デバイス128をさらに含む。活性化デバイス128は、搬送されるチップをハイブリッド接合のために準備するデバイスである。ハイブリッド接合は、埋め込まれた金属(例えば、銅)パッドを有する電気絶縁(二酸化ケイ素)チップ表面を互いに接触させるチップ接合技術である。金属パッドは互いに整列され、一方、電気絶縁表面は直接接触を介して互いに接合される。次いで、熱が接合構造体に加えられ、これにより、金属パッドが電気絶縁材料に対してより大きく膨張し、互いに接触し、それにより、チップ間の電気接続が形成される。例示的な実施形態では、活性化デバイス128が例えば脱イオン水を適用する流体源と、移送ロボット126によって運ばれる前にチップの表面を活性化させるプラズマ源とを含みうる。チップの材料(すなわち、誘電体)により、活性化されたチップが別のチップと接触すると、2つのチップの誘電体表面間に融合接合が生じる。
【0102】
チップ接合セクション106は、搬送ロボット126によって搬送され、活性化デバイス128によって活性化されたチップを有する基板114を受け入れるための第2基板チャック130を含む。本明細書では、第2基板チャック130のことを、中間基板チャックともいう。チップ接合セクション106は、中間基板チャック130が取り付けられるブリッジ132を含みうる。チップ接合セクション106は、ブリッジ132に取り付けられた複数の接合ヘッド134も含む。
【0103】
図2は、チップ接合セクション106の部分160の概略拡大図を示している。
図2に示すように、接合ヘッド134は、接合ヘッドベース116、接合ヘッドステージ120、接合ヘッドセンサ(図示せず)、およびチップチャック122を含みうる。接合ヘッドセンサは、チップチャックの相対位置の情報を提供するために使用される、干渉、スペクトル干渉、リニアエンコーダ、ロータリエンコーダ、容量センサ、電位差センサ、誘導センサなどを含みうる。プロセッサは、接合ヘッドステージに取り付けられたチップチャックの位置を制御するために、接合ヘッドセンサからの情報を使用することができる。チップチャックは、チップ124の裏面をチップの外周に沿って保持する。
図2に示す実施形態では、第1接合ヘッドBH1が第1チップ124aを保持し、第2接合ヘッドBH2が第2チップ124bを保持している(後続の図に示す第3チップ124cを保持する第3接合ヘッドBH3および第4チップ124dを保持する第4接合ヘッドBH4も同様)。以下に説明するように、追加の接合ヘッドおよび追加のチップが存在してもよい。接合ヘッドステージ120は接合ヘッドベース116を含むことができ、接合ヘッドベース116に対して製品基板チャック136に向かって少なくともZ方向にチップチャックを移動させる1つ以上のアクチュエータを含みうる。接合ヘッドステージ120は、チップチャック122を6軸方向(X方向、Y方向、Z方向、チップ(tip)(θX、X軸周りの回転)、チルト(tilt)(θY、Y軸周りの回転)、θZ(Z軸周りの回転))に移動させる1つ以上のアクチュエータを含みうる。接合ステージは、所望の運動方向にチップを操作することができる機械的運動システムである。それは、所望の方向への運動を容易にするために必要な軸受機構及びアクチュエータを含むことができる。接合ヘッドステージ120は、チップチャック122を移動させる互いに積み重ねられた一連のステージであってもよい。システムの代替設計は、パラレルキネマティクスを有する単一ステージを使用して、マルチDoF(自由度)運動を可能にする。各ステージは、6軸のうちの1つの軸に沿ってチップチャックを移動させることができる。ステージのうちの1つ以上は、6軸のうちの2つ以上に沿ってチップを移動させることができる。接合ステージ120は、チップチャック122を6つまでの軸に沿って移動させるための複数のアクチュエータおよびパラレルキネマティクスを有する複数軸ポジショナであってもよい。複数軸ポジショナの一例は、2つのスイベルジョイントに取り付けられた複数のアクチュエータを含むヘキサポッドステージである。したがって、全体として、チップは、X,Y,Z,チルト(tilt),チップ(tip),回転(rotation)の6つの次元で移動することができる。アクチュエータは、ボイスコイルモータ、圧電モータ、リニアモータ、ナットおよびスクリューモータ、ピエゾ作動ステージ、ブラシレスDCモータステージ、DCモータステージステッピングモータであってもよく、これらは、チップチャック122を製品基板チャック136との間で移動させ、チップが接合面140と接触したときに、制御された力をチップ124に印加するように構成される。チップチャック122は、真空、静電力、電磁力、機械的把持力、またはチップを接合ヘッド134のチャック面に解放可能に保持する任意の他の方法を使用して、チップ124をチャック面に保持することができる。チップ接合セクション106は、製品基板138を保持する製品基板チャック136をさらに含む。製品基板138は、接合面140を有する。図示の実施形態における接合面140は、製品基板138の上面である。別の例示的な実施形態では、接合面が製品基板138上に既にあるチップの表面であってもよい。すなわち、本明細書に記載の接合は、ソースチップを製品基板の表面上に接合するために使用されてもよく、および/またはソースチップを製品基板上の製品チップの表面に接合するために使用されてもよい。
【0104】
接合システム100は、製品基板138の位置を特定するためのセンサをさらに含みうる。より詳細には、センサは、製品基板チャック136の開始/初期位置に対する製品基板チャック136のX方向位置、Y方向位置、チップ(tip)位置、チルト(tilt)位置、および回転(rotation)位置を検出する。
図2は、X方向位置を計測するための第1センサ、Y方向位置を計測するための第2センサ(図示せず)、Z方向位置を測定するための第3センサ(図示せず)を示し、追加のセンサを含みうる。接合システム100は、基板の位置、姿勢、またはその両方を得るために、基板チャック136の周りに配置された複数のセンサを含む。これらのセンサは、X方向位置、Y方向位置、チップ位置、チルト位置、および回転位置のうちの1つ以上を計測する。これらのセンサは、光-干渉センサ、スペクトル干渉センサ、リニアエンコーダ、ロータリエンコーダ、容量センサ、電位差センサ、誘導センサなどのうちのいずれかでありうる。1つ以上の位置は、複数のセンサによる計測値に基づいて計算されうる。製品基板チャック136が基板を保持するので、基板チャックの位置情報は基板138の相対位置も知らせる。したがって、本明細書では、基板チャックの位置および基板の位置は、互換的に使用される。基板チャック136および基板138の開始/初期位置は、以下に説明する接合方法を実行する前の
図2に示す位置である。
【0105】
図1および
図2に示すように、接合システム100は、基板チャック136および1つ以上の移送ヘッド148を支持するキャリッジ142と、1つまたは複数のアライメントデバイス(図示せず)とをさらに含む。キャリッジ142は、ベアリング118上に載置されてもよく、基板チャック位置決めシステムの一部であってもよい。基板チャック位置決めシステムは、平行な一組の接合ヘッドに対する基板チャックの最大6自由度の運動を提供するための1つ以上の運動ステージを含みうる。
【0106】
上述のように、チップ接合セクション106は、複数のアライメントデバイス146及び複数の移送ヘッド148を更に含むことができ、これらの全ては、キャリッジ142によって担持される。
図1に示すように、キャリッジ142のベアリング118は、アライメントデバイス146及び移送ヘッド148を支持することができる。複数の移送ヘッド148の各々は、ベルヌーイチャック、吸引ノズル、静電チャック、エッジ把持チャック、ラッチ機構、またはチップを解放可能に保持する任意の方法を含むが、これらに限定されない、チップを保持する様々な方法のうちのいずれか1つを含むことができる。複数の移送ヘッド148の各々は、ブリッジ132に向かって、およびそれから離れるように少なくともZ方向に移動するためのアクチュエータを含みうる。複数のアライメントデバイス146は、複数の接合ヘッド134にチップを移送した後に、複数の接合ヘッド134上のチップのアライメントを検査するために用いられる。各アライメントデバイスは、顕微鏡、カメラ、干渉計、またはサブmm、ミクロン、またはナノメートルスケールで各チップの位置を測定することができる任意の種類の計測装置でありうる。複数のアライメントデバイス146によって提供される情報は、オペレータが各チップが許容可能な誤差量内の目標位置にあるかどうかを知ることを可能にする。複数のアライメントデバイス146は、当該技術分野で知られている任意の適切なデバイス、例えば、日本の東京のキヤノン株式会社のCI-5MGMCLなどの5メガピクセルカメラ付き20x顕微鏡であってもよい。複数の移送ヘッド148は、中間基板チャック130に保持された基板114から複数の接合ヘッド134にチップを移送するために用いられる。
【0107】
複数の接合ヘッドに含まれる接合ヘッドの数は少なくとも2つであるが、300個であってもよい。接合ヘッドの数は例えば、2~300個、5~100個、又は8~16個とすることができる。複数の接合ヘッドの配置は、1×2、2×1、2×2、1×3、3×1、2×3、2×3、3×2、3×3、4×1、1×4、4×2、2×4、3×4、4×3、4×4などの列および行の形成であってもよい。図示の例示的な実施形態では、複数の接合ヘッドは、2×2の合計4つの接合ヘッドである。複数の移送ヘッドの移送ヘッドの数および配置は、複数の接合ヘッドの数および配置と同じでありうる。あるいは、複数の移送ヘッドの移送ヘッドの数および配置は、複数の接合ヘッドの数および配置よりも多くてもよい。
【0108】
チップ接合セクション106は、キャリッジ142上の顕微鏡(図示せず)と、ブリッジ132上の顕微鏡(図示せず)とをさらに含んでもよい。キャリッジ142上の顕微鏡は、複数の移送ヘッド148、製品基板チャック136、および複数のアライメントデバイス146と共に移動可能である。キャリッジ上の顕微鏡は、中間基板チャック130に向かう方向に上方に向けられる。キャリッジ上の顕微鏡は、基板114上の複数のチップの位置を計測するように機能する。ブリッジ上の顕微鏡は、製品基板チャック136に向かう方向に下方を向いている。ブリッジ上の顕微鏡は、製品基板138上のチップの位置を計測するように機能する。それぞれの顕微鏡は、当技術分野で公知の適切な装置、例えば、日本の東京のキヤノン株式会社のCI-5MGMCLなどの5メガピクセルカメラを備えた20x顕微鏡でありうる。
【0109】
接合システム100は、チップソースセクション102、チップ移送・活性化セクション104、チップ接合セクション106、ソースチャック110、FOUP112、移送ロボット126、活性化デバイス128、中間基板チャック130、複数の接合ヘッド134、センサ162、製品基板チャック136、あるいは、キャリッジ142、複数のアライメントデバイス146、複数の移送ヘッド148、および任意の顕微鏡を含む製品基板位置決めシステムなどの、1つ以上の構成要素および/またはサブシステムと通信する1つ以上のプロセッサ154(コントローラ)によって調整、制御されうる。プロセッサ154は、非一時的コンピュータメモリ156に記憶されたコンピュータ読取り可能なプログラムにおける命令に基づいて動作しうる。プロセッサ154は、CPU、MPU、GPU、ASIC、FPGA、DSP、および汎用コンピュータのうちの1つまたは複数であるか、またはそれらを含みうる。プロセッサ154は、専用コントローラであってもよく、またはコントローラであるように適合された汎用コンピューティングデバイスであってもよい。非一時的コンピュータ読取り可能なメモリの例としては、RAM、ROM、CD、DVD、Blu-Ray(登録商標)、ハードドライブ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、イントラネット接続非一時的コンピュータ読取り可能なストレージデバイス、およびインターネット接続非一時的コンピュータ読取り可能な記憶デバイス等があるが、これらに限定されない。本明細書で説明されるステップのすべては、プロセッサ154によって実行されうる。
【0110】
図3は、接合システム100を使用してチップ300を接合するための方法のフローチャートである。チップ300を接合するための方法は、ステップS302から始まり、ここで、第1接合ヘッド(例えば、第1接合ヘッドBH1)は、基板チャック(例えば、製品基板チャック136)の初期位置に対する第1所定位置に初期位置決めされる。ここで、第1接合ヘッドは第1チップ(例えば、第1チップ124a)を保持し、基板チャックは接合面(例えば、接合面140)を支持する。ただし、
図3に示される第1ステップの前に、接合方法の一部でありうるいくつかのステップが行われてもよい。例えば、以下の追加のステップが、ステップS302の前に実行されてもよい。第1に、どのような品質のチップが必要であるか、およびチップが接合面上に配置されるべき場所を含む、所望のチップ情報を受信することができる。チップの品質は、最大クロックレート、1つ以上の指定されたクロックレートで機能するトランジスタのパーセンテージ、ローカルキャッシュサイズ、熱伝導率、およびチップの製造性能に応じて変化しうる、チップの性能に影響を及ぼす他の特性として定義することができる。チップ情報を受信した後、まだ活性化されていない場合、移送ロボット126は、活性化デバイス128を通してソース基板114を運び、上述の方法でチップを活性化し、その後、ソース基板114がチップ接合セクション106に受け入れられる。チップが活性化された状態で活性化デバイス128を通過した後、移送ロボット126は、ソース基板114をチップ接合セクション106の第2基板チャック130に運ぶ。代替の実施形態では、ソース基板114上のチップは既に活性化されており、チップソースセクション102からチップ接合セクション106に直接転送される。
【0111】
活性化されたチップ124を有するソース基板114は、次いで、第2基板チャック130によってチャックされうる。次に、活性化されたチップ124を有するソース基板114が第2基板チャック130に取り付けられると、顕微鏡を使用して複数のチップ124の位置が測定されうる。このステップは、顕微鏡が複数のチップ124の下に来るまでキャリッジ142を移動させることによって実行されうる。第1顕微鏡からのフィードバックが、複数のチップ124のうちの特定のチップが許容可能な誤差を超えていることを示す場合、交換基板114を準備する必要がある。顕微鏡からのフィードバックが、複数のチップ124が許容可能な誤差内の適切な位置に配置されていることを示す場合、方法は進行しうる。
【0112】
次いで、ソース基板114からのチップの第1セットが、複数の接合ヘッド134に移送されうる。このステップは、まず、複数の移送ヘッド148が複数のチップ124の下に来るまでキャリッジ142を移動させることによって実行されうる。複数の移送ヘッド148は、複数の接合ヘッド134と同じピッチを有する同数のヘッドを含みうる。複数の移送ヘッド148は複数の接合ヘッド134をミラーリングするように構成されており、複数の移送ヘッド148は、単一の接合工程において複数の接合ヘッドが接合することができるのと同じ数のチップを移送することができる。複数の移送ヘッド148は例えば、真空力をアクティブ化させることによって、ソース基板114からチップの第1セットをピックアップすることができる。複数の移送ヘッド148は、第1セットのチップを担持する複数の移送ヘッド148がキャリッジ142を介して複数の接合ヘッド134の下の位置に移動される間、真空力を維持することができる。複数の移送ヘッド148または複数の接合ヘッド134のいずれかが、第1チップセットが複数の接合ヘッド134に移送される位置に来るまで、他方に向かって移動する(または両方が同時に移動する)。一旦十分に接近すると、複数の移送ヘッド148上の真空力が終了され、複数の接合ヘッド134の真空力が作動され、それによって、チップの第1セットを複数の接合ヘッド134に移送することができる。チップ124(チップの第1セット)が接合ヘッドに移送された後、キャリッジ142は製品基板138を位置決めするように移動され、その結果、接合面140は第1セットのチップを保持する接合ヘッド134に対して所定位置に到達する。すなわち、プロセッサ154は、現在の接合手順のチップ124(第1セットのチップ)が接合面140上に配置されるべき場所に関する情報を受信/処理することができ、この情報に基づいて、プロセッサは、接合ヘッド134によって保持されたチップ124がX/Y方向に適切に配置されるようにキャリッジ142を移動させる。ステップS302の直前でこれら全てのステップが実行された瞬間が、
図2に示される瞬間である。すなわち、
図2に示す瞬間に、各接合ヘッド134は接合面140の上方に位置するチップ124を保持しており、システムは、接合方法を進める準備ができている。
【0113】
上述の初期ステップが完了すると、接合方法300は、製品チップ部位を、基板チャックの初期位置に対する第1所定位置(第1ターゲットチップ位置105a)に第1接合ヘッドを初期位置決めする上述のステップS302を開始する準備ができる。方法300はまた、第2チップ(例えば、チップ124b)を保持する第2接合ヘッド(例えば、第2接合ヘッドBH2)を、基板チャック(例えば、製品基板チャック136)の初期位置にする、第2製品チップ部位(第2ターゲットチップ位置105b)の第2所定位置に初期位置決めするステップS304を実行することを含む。
図4は、例示的な実施形態による、接合プロセス中の4つの接合ヘッドの状態の変化を示す制御状態タイミングチャートを示している。制御状態タイミングチャートは、異なるパターン(402、404、406、408、および410)を有する各接合ヘッドの異なる制御状態を表す。
図4において、X軸は時間(Time)であり、時間t0で接合プロセスが開始され、時間tfで接合プロセスが終了する。
図4に示されるように、S302およびS304のステップは、接合プロセスの重複期間中に生じうる。すなわち、第1接合ヘッドBH1及び第2接合ヘッドBH2は、ステップS302の少なくとも一部がステップS304と同時に実行されるように、重複期間中に基板チャックの初期位置に基づいてそれぞれの初期所定位置に移動されうる。別の実施形態では、第1接合ヘッドが位置決めされる期間が第2接合ヘッドが位置決めされるのと正確に同じ期間に生じてもよく、または第2接合ヘッドが位置決めされた後もしくはその前に生じてもよい。この同じ原理は残りの接合ヘッド、例えば、例示的な実施形態に示される第3接合ヘッドBH3および第4接合ヘッドBH4にも適用されうる。
図4のタイミングチャートでは、接合ヘッドが初期所定位置に到達する時間を第1パターン402で表している。第1パターン402によって表される状態にある間の接合ヘッドステージ120のそれぞれの制御状態は、製品基板チャック上の製品基板の位置への乱れを考慮することなく接合ヘッドステージのそれぞれが動作制御にある状態である。
図4の例示的な実施形態では、初期位置決めの時間は接合ヘッドごとに異なる。すなわち、全ての接合ヘッドについて、ステップS302及びステップS304に対応する同じステップが実行されうる。第1パターン402に対応する
図4のキーに示されるように、最初に接合ヘッドを位置決めするこの期間中、接合ヘッドは基板の初期位置を考慮して所定位置に移動される一方、接合ヘッドは基板の更新された位置情報を考慮することなく移動される(基板の更新された位置は基板の位置の変化を検出するセンサから特定される)。一般に、この初期位置決めの期間中、各接合ヘッドは最初に、チップが接合される所望のX/Y座標位置および所望のθZ方向に移動され、次いで、接合ヘッドは、Z方向に下方に移動する。すなわち、初期位置決め期間の大部分において、接合ヘッドは、X方向またはY方向におけるチップの位置を変えることなく、Z方向においてチップを接合面に近づける。各接合ヘッドの所定位置は、所望の接合位置、チップチャック上のチップの計測位置、所望の位置決め軌跡、及びチップチャックの計測位置に基づいて、予め予測される。
【0114】
図5(a)~(e)は、ステップS302及びステップS304が実行されている期間内に生じる時間t1における接合ヘッド及び基板位置の異なる概略図を示している。
図4のタイミングチャートに、時間t1が発生した接合プロセスの瞬間を示す。
図5(a)は、
図4の時間t1において、基板の表面に対して4つの接合ヘッドが配置されている例示的な実施形態の概略上面図である。
図5(b)は、時間t1での。接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図である。
図5(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図5(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図である。
図5(d)は、時間t1での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図である。
図5(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図5(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図である。これら全ての図により、時間t1における4つの例示的な実施形態の接合ヘッド(例えば、接合ヘッドBH1、BH2、BH3、およびBH4)の全ての位置が見える。
【0115】
5(a)~5(e)に示すように、時間t1において、接合ヘッドBH1、BH2、BH3、BH4は特定のX、Y、Z方向位置において接合面140の上方の位置に位置する。すなわち、基板チャック138の初期位置に基づいて接合ヘッドを初期位置決めする工程の間、キャリッジ142はチップ124が接合面140の上方の所定のX/Y座標位置およびθZ方向に位置するようにすでに移動されており、Z次元において接合面に向かって下方に移動する過程にある。このように、
図5(a)に示すように、ステップS302及びステップS304を実行する際、接合ヘッドBH1、BH2、BH3、BH4はチップ124a、124b、124c、124dのいずれかを有し、接合ヘッドBH1、BH2、BH3、BH4は、接合面140の上方に位置する。この所定のX及びY方向位置及びθz方向は、チップを配置することが望まれる基板上のターゲットX及びY方向位置及びθz方向に対応する。
図5(a)~
図5(e)に示すように、本実施形態において、第1接合ヘッドBH1に対応する第1ターゲットチップ位置150aと、第2接合ヘッドBH2に対応する第2ターゲットチップ位置150bと、第3接合ヘッドBH3に対応する第3ターゲットチップ位置150cと、第4接合ヘッドBH4に対応する第4ターゲットチップ位置150dがある。
図5(a)~
図5(e)(および後続の図)はまた、本明細書に記載される同じ接合方法300に続く前の接合プロセスで接合されたものであろう、すでに接合されたチップ152を含む。
【0116】
図示の実施形態ではすべての接合ヘッドが基板に面しているが、いくつかの例ではすべての接合ヘッドが接合面に面しているわけではない。接合方法300の利点は主に、少なくとも2つの接合ヘッドがアクティブに使用されているときに達成されるが、接合ヘッドのうちの少なくとも1つが使用されている限り、接合方法300を依然として実行することができる。利用可能な接合ヘッドのうちのいずれかが接合面に面していない場合、接合面に面していないものは作動されず、接合面に面している少なくとも1つ(好ましくは2つ以上)の接合ヘッドが作動される。
【0117】
接合ヘッドを最初に位置決めするステップが進むにつれて、接合ヘッド134は、チップ124a、124b、124c、124dが接合面140に向かってZ方向に移動するように作動される。さらに、接合ヘッドはチップが基板に適合するように、チップを所定のチップ(tip)およびチルト(tilt)で下降させることができる。各チップのこのチップおよびチルト(tip & tilt)は、接合ヘッド上のチップチャックによって保持されるとき、各ターゲット位置における基板のチップ-チルト回転および各チップのチップ-チルト回転の一方または両方によって決定されうる。接合ヘッドがチップチャックに保持されたチップから所定のZ位置または推定された所定のギャップ内に達し、基板平面の推定値が得られると、所定のX/Y位置においても、基板チャックの初期位置に基づいて接合ヘッドを初期位置決めするステップ、すなわち、ステップS302およびステップS304が完了する。同じことが、存在する全ての他の接合ヘッドにも当てはまり、すなわち、任意の他の接合ヘッドのための対応する位置決めステップが完了する。
図4に示す例示的な実施形態では4つの接合ヘッドBH1、BH2、BH3、BH4は異なる時間にそれぞれの所定のX、Y、およびZ位置に達する。すなわち、特定の接合ヘッドがその接合ヘッドの所定位置に達すると、基板チャック(または基板)の更新された位置情報を考慮せずに、基板チャックの初期位置に基づいて接合ヘッドが位置決めされる接合プロセスの一部が完了する。初期位置決め期間が完了したときのZ方向位置は、基板面からの所定のギャップによって決定される。これらのギャップのいくつかの例は、5μm、10μm、20μm、30μm、50μm、100μmなどでありうる。
【0118】
接合ヘッドBH1、BH2、BH3、BH4が所定のX、Y、Z位置に達した後(すなわち、ステップS302/S304を完了した後)、方法はステップS306およびステップS308に進む。この遷移は、
図4では、第1パターン402が終了し第2パターン404が開始されることにより表されている。ステップS306において、基板チャック(または基板)の更新された位置情報を連続的にモニタリングおよび受信し、受信した更新された位置情報に基づいて第1接合ヘッド(例えば、接合ヘッドBH1)を再位置決めする。ステップS306において、この連続的なモニタリングは、基板チャック(または基板)の更新された位置情報の受信と、受信した更新された位置情報に基づく第1接合ヘッド(たとえば、接合ヘッドBH1)の再位置決めとを、交互に行うことによって実施されうる。この受信と再位置決めとの交互の動作は、第1チップが接合面に接触するまで行われる。すなわち、ステップS306は、第1接合ヘッド(例えば、接合ヘッドBH1)が所定のZ位置に到達した後に開始され、第1チップ(例えば、チップ124a)が接合面(例えば、接合面140)に接触するまで継続する。接触が生じると、ステップS306は終了する。この期間は、
図4の第2パターン404によって表される。
図4のキーに記載されるように、第2パターン404によって表される期間中に、接合ヘッドは、基板の位置(基板チャックの位置の感知された変化を介して推定される)の変化を考慮しながら移動される。第2パターン404によって表される状態にある間の接合ヘッドステージ120の各々の制御状態は、接合ヘッドステージの各々が製品基板チャック136上の製品基板138の位置の乱れを考慮した動作制御にある状態である。
【0119】
同様に、ステップS308において、方法は、基板チャック(又は基板)の更新された位置情報の受信と、受信した更新された位置情報に基づく第2接合ヘッド(例えば、接合ヘッドBH2)の再位置決めとを交互に行う。基板チャックの更新された位置情報を受信することは、計測レートで基板チャックの位置を計測する1つ以上のセンサを用いて行われうる。プロセッサは、アナログ技術またはデジタル技術、またはその両方を使用して信号調整を実行しうる。信号調整は、平均化、時間フィルタリング、空間変換などを含みうる。各接合ヘッドの位置は、接合ヘッド位置制御サブシステムによって制御される。プロセッサは、計測レート未満の速度で基板位置を接合ヘッド位置制御サブシステムに供給しうる。各接合ヘッド位置制御サブシステムは、各接合ヘッドステージに再位置決め命令を供給する。この受信と再位置決めとの交互の動作は、第2チップ(例えば、チップ124b)が接合面(例えば、接合面140)に接触するまで行われる。すなわち、ステップS308は、第2接合ヘッドが所定のZ位置に到達した後に開始され、第2チップが接合面に接触するまで継続する。チップと接合面との接触が生じると、ステップS308は終了する。
図4に示されるように、接合ヘッドの移動のタイミングは、ステップS306およびステップS308がいくつかの重複を伴って、異なる時間に開始および終了するようにすることができる。より多くの接合ヘッドが存在する場合(図示の例示的実施形態では4つなど)、基板チャックの更新された位置情報の受信と、受信した更新された位置情報に基づく接合ヘッドを再位置決めとを交互に行う対応するステップを、追加の接合ヘッドごとに実施することができる。また、
図4に示すように、ステップS306とステップS308の継続時間は異なっていてもよい。すなわち、上述のように、チップが接合面に接触するまで、受信と再位置決めとを交互に行うステップが継続する。特定のチップが接合面に到達するのに要する時間は様々である。したがって、
図4の例示的な実施形態に示すように、第2接合ヘッドBH2に保持された第2チップ124bが接合面に到達する(時間t7)前に、第1接合ヘッドBH1に保持された第1チップ124aが接合面に到達する(時間t4)。この例示的な実施形態では、ステップS308の期間はステップS306の期間よりも長い。
【0120】
図6(a)~
図6(e)は、ステップS306およびS308が実行されている期間内に生じる、時間t2における接合ヘッドおよび基板位置の異なる概略図である。
図4に示されるように、t2は、4つの例示的な接合ヘッドがすべてパターン404によって表される状態にあるときに生じる。
図6(a)は、
図4の時間t2に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図である。
図6(b)は、時間t2での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図である。
図6(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図6(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図である。
図6(d)は、時間t2での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図である。
図6(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図6(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図である。これら全ての図により、時間t2における4つの例示的な実施形態の接合ヘッド(例えば、接合ヘッドBH1、BH2、BH3、およびBH4)の全ての位置が見える。
【0121】
7(a)~7(e)は、ステップS306およびS308が実行される期間内の時間t2の直後に生じる、時間t3における接合ヘッドおよび基板位置の異なる概略図である。
図4に示すように、時間t2の直後において、4つの接合ヘッドが全てパターン404で表される状態にあるとき、t3が発生する。t2とt3の期間は、接合ヘッド運動制御システムの応答性に依存し、例えば5msでありうる基板位置計測システムのサンプルレートの2~10倍でありうる。
図7(a)は、
図4の時間t3に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図である。
図7(b)は、時間t3での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図である。
図7(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図7(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図である。
図7(d)は、時間t3での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図である。
図7(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図7(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図である。
【0122】
時間t2は、初期所定位置に対する基板の何らかの移動がある時間であり、時間t3は、基板の移動を補償するために接合ヘッドが調整される時間である。
図4に見られるように、例示的な実施形態では、時間t2およびt3が基板の移動に応答して、4つの例示的な接合ヘッドBH1、BH2、BH3、BH4のすべての位置が同時に調整されているときに生じる。したがって、
図6(a)~
図6(e)は、基板が移動したときの時間t2の例を示しており、
図7(a)~
図7(e)は、基板のモーメントを補償するために全ての接合ヘッドが再位置決めされた時間t3の例を示している。
【0123】
図全体を通して、実線は構成要素の現在の位置を表し、破線は、構成要素の元の位置を表す。
図6(a)~
図6(e)に示すように、時間t2において、基板138がX方向に移動するような乱れが発生する。
図6(a)、
図6(d)、
図6(e)に示すように、基板138の破線は基板が以前にどこに配置されたかを示し、実線は基板138が乱れの後にどこに配置されたかを示している。ただし、この例では、乱れはX方向、チルト(θy)のみである。したがって、
図6(a)、
図6(d)、
図6(e)は、X方向における距離158の変化を示す一方、
図6(b)および
図6(c)は、時間t2においてはY方向またはZ方向における移動はなかったため、変化を示さない。時間t2において、接合ヘッドの位置の調整も未だ行われていない。したがって、
図5(a)~
図5(e)で実線で示すように、全ての接合ヘッドBH1、BH2、BH3、BH4は同じ位置に示されている。
図6(a)、
図6(d)、
図6(e)は、接合ヘッドの位置を調整する前に、基板138がX方向に移動したために、ターゲットチップ位置150a、150b、150c、150dの位置が、X方向における対応するチップ124a、124b、124c、124dと合わなくなったことを示している。一方、この例ではY方向の移動がないので、
図6(b)および6(c)は、Y方向においては、ターゲットチップ位置150a、150b、150c、150dの位置は、対応するチップ124a、124b、124c、124dと依然として合っているを示している。単純化のためにX方向の乱れのみが示されているが、乱れは、上述の方向、すなわち、X,Y,Z,チルト(tilt),チップ(tip),回転(rotation)のいずれにおいても生じうる。
【0124】
図7(a)~
図7(e)を参照すると、上述のように、これらの図は、
図6(a)~
図6(e)に示した基板の移動を補償するために接合ヘッドが調整された時間t3を示している。
図7(a)~
図7(e)の破線は、接合ヘッドおよび基板の元の位置を表し、実線は、現在の位置を表している。
図7(a)、
図7(d)、
図7(e)に示すように、例示的な実施形態における接合ヘッドBH1、BH2、BH3、BH4の全ては、時間t2において生じたX方向における基板の移動を補償するために、X方向において同じ距離158だけ移動されている。例示的な実施形態において、基板138はX方向においてのみ乱されたので、
図7(b)は、Y方向における接合ヘッドBH2、BH3の移動を示さない。接合ヘッドBH1、BH2、BH3、BH4の各々は、基板が時間t2に移動したのと同じ量だけX方向に移動したが、反対方向に移動したので、チップ124a、124b、124c、124dはここで、X方向において、対応するターゲットチップ位置150a、150b、150c、150dと再位置合わせされる。
【0125】
また、
図7(e)に示すように、調整用X方向移動に加えて、本実施形態の接合ヘッドBH1は、時間t3において、Z方向に接合面140に向かって移動し、他の全ての接合ヘッド(BH2、BH3、BH4)は、Z方向には変化しなかった。上述のように、本明細書に記載されている方法の1つの利点は、接合ヘッド上のチップが(ナノ秒からミリ秒のスケールで)わずかに異なる時間に接合面と接触する不可避の状況において生じるチップのずれを解決する。したがって、図はBH1が最初に接触し、続いてBH2が接触し、続いてBH3が接触し、続いてBH4が接触する接合方法が進むにつれて、異なるZ方向変化率を示す。この順序は例示的な実施形態として選択され、本明細書に記載の方法は任意の接触順序、および任意の数の接合ヘッドに適用することができる。
【0126】
基板の更新された位置情報は、基板チャックの位置及び姿勢を計測する3つ以上のセンサによって取得されてもよい。すなわち、上述のように、更新された位置情報は、基板のX方向位置の変化、基板のY方向位置の変化、基板のチルト位置の変化、基板のチップ(tip)位置の変化、および基板の回転位置の変化を含みうる。センサはこれらの態様のすべてにおいて新たな位置を感知し、この情報はコントローラに提供される。次いで、コントローラは、基板の位置変化を打ち消すために必要な接合ヘッドの必要な補正調整を計算しうる。センサは、0.1~1msから0.5~1s毎に、基板の更新された位置を検出することができる。接合ヘッドの対応する調整は、0.2ミリ秒(ms)~10秒(s)毎に行われうる。すなわち、ステップS306およびS308の期間の全体にわたって、2ms~2sごとに再位置決めが実行されうる。これは、接合プロセスにおける接合ヘッドの2~1000回の調整に相当する。
【0127】
図8(a)~8(e)は、接合ヘッドの1つによって運ばれるチップの1つが接合面140に接触し、他の接合ヘッドによって運ばれる他のチップがまだ接合面に接触していないときに生じる、時間t4における接合ヘッドおよび基板位置の異なる概略図を示す。
図8(a)は、
図4の時間t4に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図である。
図8(b)は、時間t4での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図である。
図8(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図8(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図である。
図8(d)は、時間t4での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図である。
図8(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図8(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図である。
【0128】
第3のパターン406によって表される状態にある間の接合ヘッドステージ120のそれぞれの制御状態は、初期接触期間IC(BH1のIC1およびBH2のIC2)の間、製品基板チャック136上の製品基板138の位置の乱れを考慮する、接合ヘッドステージのそれぞれが動作制御にある状態である。初期接触期間ICの間に、チップ124は製品基板138と接触し始める。製品基板138とチップ124との間の摩擦により、接合インターフェースの平面における接合ヘッドステージ120の運動制御の有効性が低下する。この初期接触期間ICは、Z方向の残留力の増加によって検出されうる。高速移動接合システムにおいて初期接触期間ICの開始を検出することは困難でありうる。初期接触期間ICの終了は、接合ヘッドステージ120によってZ方向に加えられる残留力がしきい値2よりも大きいときとして定義される。しきい値2は、残留力が確実に検出されうるシステムの雑音限界によって決定されうる。しきい値2はまた、動作制御を実行することに起因する剪断応力が高すぎ、チップ102および製品基板の一方または両方に損傷を引き起こす可能性があるときに基づいて決定されうる。
図4のタイミングチャートは、初期接点IC1の終了時に時間t4が生じた場合を示している。図示の実施形態では、時間t4において、第1接合ヘッドBH1によって運ばれたチップが接合面140に接触している一方で、他の接合ヘッドBH2、BH3、BH4によって運ばれたチップは接合面140にまだ接触していない。チップが接合面140と確実に接触すると、基板チャックの更新された位置情報の受信と、受信した更新された位置情報に基づく第1接合ヘッドの再位置決めとを交互に行うステップが終了する。すなわち、接合面と接触する接合ヘッドの位置のさらなる調整もはや存在しない。したがって、例示的な実施形態では、時間t4において、第1接合ヘッドBH1の位置もはや調整することができず、チップはステージの位置および向きに追従しようとするが、基板に対するチップの実際の相対運動は不可能でありうる。IC1の持続時間にわたって、全残留Z力の増加が見られ、全残留Z力が所定のしきい値(しきい値2)を超えると、BH1が製品基板138と接触していると判定され、BH1が製品基板に対するチップの任意の位置の調整を中止し、力-モーメント制御に移行する。すなわち、チップが接合面に接触した特定の接合ヘッドについて、基板チャックの新しい位置情報の受信と、その情報に基づく接合ヘッドの再位置決めとを交互に行うステップは、もはや実行されない。ただし、同時に、接合面にまだ接触していない全ての接合ヘッドの位置は、基板の移動に基づいて調整され続ける。基板は、チップが接合面と接触した後、移動し続けるか、またはその向きを変化させることができる。したがって、接合面とすでに接触しているチップを運ぶ接合ヘッドを調整する必要もはやないが、残りの接合ヘッドは調整を必要とし続けることがある。チップが接触したときは、Z方向の残留力を計測することによって特定され、これについては、
図21に関して以下でより詳細に説明する。
【0129】
図8(a)~8(e)に示す時間t4は、第1接合ヘッドBH1が接合面140に接触し始めた瞬間であり、まだ何らの乱れも生じていない。これは、全残留Z力または全チップ(tip)-チルト残留モーメントが初期接触により大きさが増加し始めるときに特定される。したがって、
図8(a)~
図8(e)では、
図7(a)~
図7(e)に示す時間t3と比較して、位置の変化は第1接合ヘッドBH1のZ方向の移動のみである。
図4にも示されるように、接合ヘッドの1つによって運ばれるチップ(例えば、第1接合ヘッドBH1によって運ばれる第1チップ124a)が接合面に接触すると、接合ヘッドは、
図4の第3のパターン406の端部によって表される新たな状態に入る。
図4のキーに記載されるように、第3のパターン406によって表される初期接触IC1の期間中に、第1接合ヘッドBH1はもはや移動することができない(すなわち、もはやX,Y,Z,チルト(tilt),チップ(tip),回転(rotation)に移動することができない)が、初期接触力(全残留Z力)または短い持続時間IC1にわたる全残留モーメントは、大きさが増加し始め、チップの基板への接触が確立される。初期接触期間IC1の持続時間にわたって、全残留Z力の増加が見られ、それが所定のしきい値(しきい値2)を超えると、BH1が基板と接触していると判定され、BH1は基板に対するチップの任意の位置を調整することを中止し、力モーメント制御に移行する。
【0130】
図9(a)~
図9(g)は、いずれかのチップが接合面に接触した後に基板が移動し、他のチップはまだ接合面に接触していないときに生じる時間t5における接合ヘッドおよび基板の位置の異なる概略図を示している。
図9(a)は、
図4の時間t5に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図である。
図9(b)は、時間t5での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図である。
図9(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図9(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図である。
図9(d)は、時間t5での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図である。
図9(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図9(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図である。
図18の9(f)は、時間t5での、製品基板の第1方向のチルト(θY)を示す、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図であり、このチルトは、例えば、製品基板138に接触する第1チップ124aに対する反応でありうる。なお、BH1のチップチャックは、基板のチルトやチップチャックの静止状態に起因する歪み状態となっている。
図18の9(f)では、図で見ることができるように歪みが誇張されており、実際の歪みは非常に小さなものである。
図18の9(g)は、製品基板がチルトすることを示す、
図18の9(f)に対して反対側の概略側面図である。
【0131】
図10(a)~
図10(e)、
図18の10(f)、10(g)は、時間t5で発生する基板の移動に応じて、接合面に接触していないチップを有する接合ヘッドが移動するときに発生する、時間t6での接合ヘッドおよび基板の位置の異なる概略図を示している。
図10(a)は、
図4の時間t6に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図である。
図10(b)は、時間t6での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図である。
図10(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図10(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図である。
図10(d)は、時間t6での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図である。
図10(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図10(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図である。
図18の10(f)は、時間t6で、依然として第1方向にチルトしている製品基板を示す、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図であり、製品基板と接触していない接合ヘッド(BH2、BH3、BH4)の接合ヘッドステージ120は、製品基板のチルトに応答してチップチャックをチルトさせる。
図18の10(g)は、チップチャックをチルトさせる接合ヘッドBH3およびBH4の接合ヘッドステージ120を示す、
図18の10(f)に対して反対側の概略側面図である。
【0132】
図4のタイミングチャートは、時間t5、t6が発生した場合を示している。図示の例示的な実施形態では、時間t5において、基板138が移動する。基板の移動に対する接合ヘッドの応答は、時間t6において生じる。接合ヘッド(例えば、BH2、BH3、BH4)によって運ばれたチップ(例えば、124b、124c、124d)はまだ接合面140と接触していないため、時間t6では、時間t5で生じた基板の移動を相殺するために、接合ヘッドBH2、BH3、BH4の位置を調整するステップは、依然として実行される。しかし、時刻t4において、接合ヘッドBH1によって運ばれたチップ124aは既に接合面に接触しているため、時刻t5に発生した基板の移動に応じて、時刻t6において接合ヘッドBH1が移動することはない。接合ヘッドの同時状態を
図4に示す。
図4に見られるように、時間t4の終わりに、第1接合ヘッドBH1は接合ヘッドの移動がない第3パターン406によって表される状態の終わりにあり、初期接触期間IC1の間に、接触を確立しているBH1のための全残留Z力(チップが基板に適合するように、BH1供給の接合ヘッドステージ102のアクチュエータが基板に適合する力)の増加がありうる。この残留Z力は、接合ヘッドステージによるBHのZ方向の運動を補助するバネ、フレクシャなどの弾性力に打ち勝つのに必要な力を除外する。
図4に同じ時間t5およびt6にも示されているように、第2接合ヘッドBH2、第3接合ヘッドBH3、第4接合ヘッドBH4は、いずれも第2パターン404で表される状態のままである。すなわち、各接合ヘッドBH2、BH3、BH4は、基板の移動に対応して接合ヘッドが移動した状態のままである。要するに、時間t5において基板が移動し、時間t6においてチップがまだ基板に接触していない接合ヘッドのみが、基板の移動を考慮して移動される。
【0133】
図9(a)~
図9(e)、
図18の9(f)、9(g)は、基板の移動が発生した時間t5で、対応する補正動作が接合ヘッドに適用される時間t6より前に何が起こるかを示している。
図9(a)、
図9(d)、
図9(e)で最もよくわかるように、基板138は、
図5(a)~
図5(e)の初期位置に対して距離162だけ移動している。図示された例示的な実施形態では、基板がX方向に移動しているか、またはy軸を中心に傾いている(θy)。ただし、基板はX、Y、Z方向に移動し、あるいはチップ(tip)、チルト(tilt)、または回転(rotation)しうる。運動の各々は、単独で、または6つの運動の全てが一度に起こるインスタンスを含む運動の任意の組合せで起こりうる。
図9(a)、9(d)、
図9(e)、および
図18の9(g)に示すように、基板138がX方向に移動し、y軸周りに傾く(θy)ため、接合面に接触していないチップの位置は、ターゲット接合位置150と合わなくなる。図示の実施形態では、第2チップ124b、第3チップ124c、第4チップ124dはもはやそれぞれのターゲット位置150b、150c、150dと位置が合っていない。しかし、基板の移動にもかかわらず、接合面と接触したチップは、接触後に固定されるため、正しいターゲット位置に留まる。したがって、図示の実施形態では、第1チップ124aが依然としてターゲット位置150aと位置が合っている。実際には、BH1のうちの1つがある場所で基板に接触すると、基板のチップ(tip)-チルト(tilt)回転軸が基板平面とは異なる平面にありうるので、この初期接触は基板のチップ-チルト運動を誘発しうる。このチップ(tip)-チルト(tilt)運動は、基板ステージ位置センサによって観察される位置誤差、姿勢誤差、またはその両方として現れうる。基板ステージセンサによって観察されるこれらの位置誤差は、変換され、オフセットとして、まだ基板と接触していない接合ヘッドコントローラに供給されうる。
図18の9(f)に最もよく示されるように、第1チップ124aの製品基板への接触は、製品基板138のチルトを誘発する。
【0134】
図10(a)~(e)、
図18の10(f)、10(g)は、チップが接合面にまだ接触していない接合ヘッドに、対応する補正動作が適用された時間t6で何が起こるかを示している。図示の例示的な実施形態では、第1接合ヘッドBH1は、もはや基板の移動に基づいて再位置決めされない。
図10(a)および
図10(e)と
図9(a)および
図9(e)とを比較するとわかるように、時刻t5において基板がX方向に移動しても、接合ヘッドBH1のX方向の位置は変化しない。上述のようにチップが接合面140に接触すると、基板チャックの更新された位置情報の受信と、受信した更新された位置情報に基づく第1接合ヘッドの再位置決めとを交互に行うステップが終了する。しかし、
図10(a)、
図10(d)、
図10(e)において最もよくわかるように、残りの接合ヘッドBH2、BH3、BH4は、基板が移動したのと同じ距離158だけX方向に移動されている。したがって、
図4に示されるように、時間t6において、接合ヘッドBH2、BH3、BH4の各々は、依然として、基板の移動を考慮して接合ヘッドが移動されるパターン404によって表される状態にある。同時に、例示的な実施形態では、
図10(b)に示すように、第2接合ヘッドBH2は接合面に近いZ方向に下方に移動しているが、第3接合ヘッドBH3および第4接合ヘッドBH4は移動していない。
【0135】
図11(a)~(e)、
図18の11(f)、11(g)は、1つの接合ヘッドによって運ばれたチップのうちの第2チップが接合面140に接触し、他の接合ヘッドによって運ばれた他のチップがまだ接合面に接触していないときに生じる、時間t7における接合ヘッドおよび基板の位置の異なる概略図を示している。
図11(a)は、
図4の時間t7に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図である。
図11(b)は、時間t6での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図である。
図11(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図11(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図である。
図11(d)は、時間t7での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図である。
図11(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図11(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図である。
図18の11(f)、11(g)は、時間t7で、接合ヘッドが製品基板に接触している間に製品基板が第1方向にチルト(θY)したことを示す、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図である。
【0136】
図4のタイミングチャートは、初期接触期間IC2の終了時に時間t7が発生した場合を示している。図示の実施形態では、時間t7において、第2接合ヘッドBH2によって運ばれたチップが接合面140と接触したが、接合ヘッドBH3およびBH4によって運ばれたチップ124c、124dは接合面140とまだ接触していない。第1接合ヘッドBH1によって運ばれたチップ124aは、予め接合面に接触していた。第1チップ124aと同様に、第2チップ124bが接合面140に接触すると、基板チャックの更新された位置情報の受信と、受信した更新された位置情報に基づく第2接合ヘッドの再位置決めとを交互に行うステップが終了する。すなわち、チップが接合面に接触した第2接合ヘッドBH2の位置をさらに調整することができなくなる。このように、本実施形態では、時間t7において、基板が移動しても第2接合ヘッドBH2の位置が調整されなくなる。ただし、同時に、接合面に接触していない全ての接合ヘッド(例えば、第3接合ヘッドBH3および第4接合ヘッドBH4)の位置は、基板の移動に基づいて調整され続ける。
【0137】
具体的には、
図11(a)~(e)、
図18の11(f)、11(g)に示す時間t7は、第2接合ヘッドBH2が接合面140に接触する瞬間であり、まだ何らの乱れも生じていない。したがって、
図11(a)~(e)では、
図10(a)~(e)に示す時間t6と比較して、位置の変化は第2ボンディングヘッドBH2のZ方向の移動のみである。図示の例示的実施形態では、基板の移動もなかったので、この特定の時間t7において、時間t6に対するいかなる接合ヘッドのX/Y移動もない。また、
図4に示すように、第2接合ヘッドBH2によって運ばれた第2チップ124bが接合面に接触すると、第2接合ヘッドBH2は、
図4の第3パターン406によって表される状態を出る。
図4のキーに記載されるように、第3パターン406によって表される期間中、第2接合ヘッドBH2は依然として移動しているが、接合ヘッドによって付与される残留力はしきい値2を超える残留力が計測されるまで増加する。また、
図4に示すように、時刻t7に先立って、第1接合ヘッドBH1の状態が第3パターン406で表される状態から、第4パターン408で表される状態に切り替わる。
図4のキーに記載されるように、第4パターン408によって表される期間中、接合ヘッドの移動はないが、Z方向において一定の低い力が維持される。第4パターン408によって表される状態にある間の各接合ヘッドステージ120の制御状態は、各接合ヘッドステージが製品基板チャック上の製品基板の位置の乱れを考慮することなく、Z方向に低い一定の力であり、ゼロモーメント制御まで低い。製品基板の位置の乱れは非常に小さく、チップチャック122および接合ヘッドステージ120の一部の一方または両方において歪みとして吸収することができる。BH1は位置制御からZ-チップ-チルト(Z-tip-tilt)における力-モーメント制御に切り替わり、BH1はIC1およびS306の終わりに印加される電流の最後のセットを保持し、X、Y、θZにおける最後の位置を保持する。Z-チップ-チルト(Z-tip-tilt)方向において、力-モーメント制御は、接合ヘッドステージ120のアクチュエータがZ方向にチップチャックに供給する力とモーメントMxおよびMyを制御することを意味する。これは、総Z力に対する基準力軌跡に従い、Mx、Myのモーメントを0、低い一定値、または低い一定の平均値に調整することを伴いうる。モーメントMxは、接合ヘッドステージがチップチャックに加える力のモーメントのx成分である。モーメントMyは、接合ヘッドステージ120がチップチャック122に加える力のモーメントのy成分である。Z方向の総力軌跡は、小さな力の大きさに保持されたBH1に供給される。一実施形態では、Z方向の小さい力の大きさは0.1N、0.5N、1N、2N、5Nでありうる。Z方向の力軌跡は、最終的に小さな力軌跡に到達する一連の値でありうる。力の軌跡は、臨界的に減衰されるか、過減衰されるか、または過小減衰されうる。この比較的低い力(小さな力の大きさ)は、チップと接合面との不完全な接合を維持するのに十分な力であるが、チップの表面領域全体を接合面に完全に接合するには不十分な力である。
【0138】
図12(a)~(e)、
図19の12(f)、12(g)は、2つのチップが接合面に接触した後に基板が移動し、他のチップはまだ接合面に接触していないときに生じる、時間t8における接合ヘッドおよび基板の位置の異なる概略図を示している。
図12(a)は、
図4の時間t8に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図である。
図12(b)は、時間t8での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図である。
図12(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図12(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図である。
図12(d)は、時間t8での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図である。
図12(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図12(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図である。
図19の12(f)、12(g)は、時間t8で、接合ヘッドが製品基板に接触した後に製品基板が第2方向にチルト(θY)したことを示す、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図である。なお、BH1、BH2のチップチャックは、基板のチルトやチップチャックの静止状態に起因する歪み状態となっている。
図19の12(f)では、図で見ることができるように歪みが誇張されており、実際の歪みは非常に小さなものである。
【0139】
図13(a)~(e)、
図19の13(f)、13(g)は、時間t8で発生する基板の移動に応じて、接合面に接触していないチップを有する接合ヘッドが移動するときに発生する、時間t9での接合ヘッドおよび基板の位置の異なる概略図を示している。
図13(a)は、
図4の時間t9に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図である。
図13(b)は、時間t9での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図である。
図13(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図13(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図である。
図13(d)は、時間t9での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図である。
図13(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図13(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図である。
図19の13(f)、13(g)は、時間t9で、製品基板が第2方向にチルト(θY)したことを示す、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図である。
図19の13(g)は、製品基板のチルトに応答してチップチャックをチルトさせる製品基板と接触していない接合ヘッド(BH3およびBH4)の接合ヘッドステージを示している。
【0140】
図4のタイミングチャートは、時間t8、t9が発生した場合を示している。図示の例示的な実施形態では、時間t8において、基板138が移動する。基板の移動に対する接合ヘッドの応答が、時間t9において生じる。接合ヘッド(例えば、BH3、BH4)によって運ばれたチップ(例えば、124c、124d)はまだ接合面140と接触していないため、時間t9では、時間t8で生じた基板の移動を相殺するために、接合ヘッドBH3、BH4の位置を調整するステップが依然として実行される。しかし、接合ヘッドBH1によって運ばれたチップ124aと、第2接合ヘッドBH2によって運ばれたチップ124bとが、既に接合面に接触しているため、時間t9では、時間t8で発生した基板の移動に応じて接合ヘッドBH1と接合ヘッドBH2とが移動することはない。接合ヘッドの同時状態を
図4に示す。
図4に示すように、時間t8、t9において、第1接合ヘッドBH1は、接合ヘッドの移動がなく、Z方向の一定の力が小さい第4パターン408に示す状態である。時間t7において、
図4にも示されるように、第2接合ヘッドBH2は第3パターン406によって表される状態の終わりにあり、ここでは接合ヘッドは依然として動作制御中であるが、Z方向の残留力の量は初期接触によって変化している。最後に、
図4は、第3接合ヘッドBH3および第4接合ヘッドBH4が依然として第2パターン404によって表される状態にあることを示す。すなわち、接合ヘッドBH3、BH4は、依然として、基板の移動に対応して接合ヘッドを移動させた状態である。要するに、時間t8において、基板は移動し、時間t9において、チップがまだ基板に接触していない接合ヘッドのみが、基板の移動を考慮して移動される。
【0141】
図12(a)~(e)、
図19の12(f)、12(g)は、基板の移動が発生する時間t8において、対応する補正動作が接合ヘッドBH3、BH4に適用される時間t9の前に、何が発生するかを示している。
図12(a)、
図12(d)、
図12(e)において最もよくわかるように、基板138は、
図5(a)~
図5(e)の初期位置に対して距離164だけ移動している。
図19の12(f)、12(g)は、製品基板のチルトを示している。図示の例示的な実施形態では、基板がX方向およびチルト方向にのみ移動している。ただし、基板はX、Y、Z方向に移動してもよく、あるいはチップ(tip)、チルト(tilt)、または回転(rotation)してもよい。運動の各々は、単独で、または6つの運動の全てが一度に起こるインスタンスを含む運動の任意の組合せで起こりうる。
図12(a)および
図12(d)に示すように、基板138がX方向に移動することにより、接合面に接触していないチップは、ターゲット接合位置150に位置が合わなくなる。図示の実施形態では、第3チップ124cおよび第4チップ124dがもはやそれぞれのターゲット位置150c、150dと位置が合っていない。しかし、接合面と接触したチップは、接触後にチップの位置が固定されたため、基板の移動にもかかわらず、正しいターゲット位置に留まる。したがって、図示の実施形態では、第1チップ124aおよび第2チップ124bが依然としてターゲット位置150a、150bと位置が合っている。
【0142】
図13(a)~(e)、
図19の13(f)、13(g)は、チップが接合面にまだ接触していない接合ヘッドに対応する補正動作が適用された時間t9で何が起こるかを示している。図示の例示的な実施形態では、第1接合ヘッドBH1および第2接合ヘッドBH2は基板の移動に基づいてもはや再位置決めされない。したがって、
図13(a)および13(e)と
図12(a)および12(e)とを比較するとわかるように、時間t8において基板がX方向に移動しても、ボンディングヘッドBH1、BH2のX方向の位置は変化しない。上述のように、チップが接合面140に接触すると、基板チャックの更新された位置情報の受信と、受信した更新された位置情報に基づく接合ヘッド(例えば、接合ヘッドBH1および接合ヘッドBH2)の再位置決めとを交互に行うステップが終了する。しかし、
図13(a)および
図13(d)に最もよくみられるように、残りの接合ヘッドBH3、BH4はすべて、基板が移動したのと同じ距離158だけX方向に移動している。したがって、
図4に示されるように、時間t9において、接合ヘッドBH3、BH4の各々は、依然として、基板の移動を考慮して接合ヘッドが移動されるパターン404によって表される状態にある。同時に、例示的な実施形態では、
図13(c)に示すように、第3接合ヘッドBH3は接合面に近いZ方向に下方に移動しているが、第4の接合ヘッドBH4は移動していない。
図13Gに見られるように、接合ヘッドBH3およびBH4の接合ヘッドステージ120は、チップチャック122をチルトさせる。
【0143】
図14(a)~(e)、
図19の14(f)、14(g)は、第3接合ヘッドBH3によって運ばれた第3チップ124cが接合面140に接触し、第4接合ヘッドBH4によって運ばれた残りの第4チップ124dがまだ接合面に接触していない場合の、時間t10における接合ヘッドおよび基板の位置の異なる概略図を示している。
図14(a)は、
図4の時間t10に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図である。
図14(b)は、時間t10での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図である。
図14(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図14(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図である。
図14(d)は、時間t10での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図である。
図14(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図14(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図である。
図19の14(f)、14(g)は、時間t10で、製品基板が第2方向にチルト(θY)したことを示す、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図である。
図19の14(g)は、製品ステージに接触する接合ヘッドBH3を示している。
【0144】
図4のタイミングチャートは、時間t10が発生した場合を示している。図示された例示的な実施形態では、時間t10において、第3接合ヘッドBH3によって運ばれたチップ124cは接合面140と接触し、一方、第4接合ヘッドBH4によって運ばれたチップ124dは接合面140とまだ接触していない。第1接合ヘッドBH1によって運ばれたチップ124aと、第2接合ヘッドBH2によって運ばれたチップ124bとは、予め接合面に接触していた。第1チップ124aおよび第2チップ124bと同様に、第3チップ124cが接合面140に接触すると、基板チャックの更新された位置情報の受信と、受信した更新された位置情報に基づく第3接合ヘッドBH3の再位置決めとを交互に行うステップは終了する。すなわち、チップが接合面に接触した第3接合ヘッドBH3の位置をさらに調整することはできなくなる。したがって、本実施形態では、時間t10において、基板が移動しても、第3接合ヘッドBH3の位置は調整されなくなる。ただし、同時に、まだ接合面に接触していない残りの接合ヘッドBH4の位置は、基板の移動に基づいて調整され続ける。
【0145】
具体的には、
図14(a)~(e)、
図19の14(f)、14(g)に示す時間t10は、第3接合ヘッドBH3が接合面140に接触した瞬間であり、まだ何らの乱れも発生していない。したがって、
図13(a)~
図13(e)では、
図13(a)~
図13(e)に示す時間t9と比較して、位置の変化は第3ボンディングヘッドBH3のZ方向の移動のみである。図示された例示的な実施形態では、基板の移動もなかったので、この特定の時間t10において、時間t9に対するいかなる接合ヘッドのX/Y移動もない。また、
図4に示すように、第3接合ヘッドBH3に搭載された第3チップ124cが接合面に接触し始めると、第3接合ヘッドBH3は、
図4の第3パターン406によって表される新たな状態になる。すなわち、第3パターン406によって表される初期接触期間IC3の間、第3接合ヘッドBH3は依然として移動するが、接合ヘッドによって付与される残留力は増加し始める。
図4にも示すように、時刻t10の直前では、第1接合ヘッドBH1の状態は依然として第4パターン408で表される状態であり、第2接合ヘッドBH2も第4パターン408で表される状態に入っている。上述のように、第4パターン408によって表される期間中、接合ヘッドの移動は依然としてないが、Z方向に一定の低い力が維持される。したがって、時刻t10において、第1接合ヘッドBH1および第2接合ヘッドBH3の両方は、それぞれのチップに比較的低い力を付与しており、この力は、チップと接合面との不完全な接合を維持するのに十分な力であるが、チップの表面積全体を接合面に完全に接合するのに不十分な力である。
【0146】
図15(a)~(e)、
図20の15(f)、15(g)は、3つのチップ(124a、124b、124c)が接合面に接触した後に基板の移動があるが、第4チップ124dが接合面にまだ接触していないときに生じる、時間t11における接合ヘッドおよび基板の位置の異なる概略図を示している。
図15(a)は、
図4の時間t11に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図である。
図15(b)は、時間t11での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図である。
図15(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図15(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図である。
図15(d)は、時間t11での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図である。
図15(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図15(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図である。
図15(f)、15(g)は、時間t11で、チップが製品基板に接触したことに応じて製品基板が第1方向にチルト(θY)したことを示す、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図である。
【0147】
図16(a)~(e)、
図20の16(f)、16(g)は、時刻t11における基板の移動に応じて、接合面に接触していない第4チップ124dを有する第4接合ヘッドBH4が移動する際に生じる、時刻t12における接合ヘッドおよび基板の位置の模式図である。
図16(a)は、
図4の時間t12に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図である。
図16(b)は、時間t12での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図である。
図16(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図16(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図である。
図16(d)は、時間t12での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図である。
図16(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図16(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図である。
図20の16(f)、16(g)は、実施形態による、時間t12で、製品基板138が第1方向にチルト(θY)しており、製品基板のチルトと合うように接合ヘッドの接合ヘッドステージがチップチャックを移動させることを示す、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図である。
【0148】
図4のタイミングチャートは、時間t11、t12が発生した場合を示している。図示の例示的な実施形態では、時間t11において、基板138が移動する。基板の移動に対する接合ヘッドBH4の応答は、時間t12において生じる。第4接合ヘッドBH4によって運ばれたチップ124dはまだ接合面140に接触していないので、時間t12では、時刻t11で生じた基板の移動を相殺するために、接合ヘッドBH4の位置を調整するステップが依然として実行される。しかし、接合ヘッドBH1によって運ばれたチップ124a、第2接合ヘッドBH2によって運ばれたチップ124b、および第3接合ヘッドBH3によって運ばれたチップ124cは、既に接合面に接触しているため、時間t11で発生した基板の移動に応じて、時間t12で接合ヘッドBH1、BH2、BH3が移動することはない。接合ヘッドの同時状態を
図4に示す。
図4に示すように、時間t11、t12において、第1接合ヘッドBH1および第2接合ヘッドBH2は、接合ヘッドの移動がなく、Z方向の一定の力が小さい第4パターン408に示す状態である。
図4にも示すように、時間t10において、第3接合ヘッドBH3は第3パターン406で表される状態の、まだ接合ヘッドが移動しているが、Z方向の残留力量が増加している状態の端部にある。最後に、
図4は、第4接合ヘッドBH4が依然として第2パターン404によって表される状態にあることを示す。すなわち、接合ヘッドBH4は、依然として、基板の移動を考慮して接合ヘッドを移動させた状態である。要するに、時間t11において、基板は移動し、時間t12において、第4接合ヘッドBH4のみが、その第4接合ヘッドBH4が、そのチップがまだ基板に接触していない唯一の残りの接合ヘッドであるため、基板の移動を考慮して移動する。
【0149】
図15(a)~(e)、
図20の15(f)、15(g)は、基板の移動が発生した時間t11において、対応する補正動作が第4接合ヘッドBH4に適用される時間t12の前に何が発生するかを示している。
図15(a)、
図15(d)、
図15(e)で最もよくわかるように、基板138は、
図5(a)~
図5(e)の初期位置に対して距離166だけ移動している。図示の実施形態では、基板はX方向およびチルト方向θyにのみ移動している。ただし、基板はX、Y、Z方向に移動し、あるいはチップ(tip)、チルト(tilt)、または回転(rotation)しうる。運動の各々は、単独で、または6つの運動の全てが一度に起こるインスタンスを含む運動の任意の組合せで起こりうる。
図15(a)および
図15(d)に示すように、基板138がX方向に移動することにより、接合面に接触していない第4チップ124dは、ターゲット接合位置150dに位置が合わなくなる。しかし、接合面と接触したチップは、接触後にチップの位置が固定されたため、基板が移動しても正しいターゲット位置に留まる。したがって、図示の実施形態では、第1チップ124a、第2チップ124b、第3チップ124cは、依然としてターゲット位置150a、150b、150cと位置が合っている。
【0150】
図16(a)~(e)、
図20の16(f)、16(g)は、チップ124dが接合面に接触していない第4接合ヘッドBH4に対して、対応する補正動作が行われた場合の、時間t12における動作を示している。図示の例示的な実施形態では、第1接合ヘッドBH1、第2接合ヘッドBH2、第3接合ヘッドBH3は、基板の移動に基づいてもはや再位置決めされない。したがって、
図16(a)、16(d)、16(e)と
図15(a)、15(d)、15(e)と比較するとわかるように、時間t11において基板がX方向に移動しても、接合ヘッドBH1、BH2、BH3のX方向の位置は変化しない。上述のように、チップが接合面140に接触すると、基板チャックの更新された位置情報の受信と、受信した更新された位置情報に基づく接合ヘッド(例えば、接合ヘッドBH1、接合ヘッドBH2、接合ヘッドBH3)の再位置決めとを交互に行うステップが終了する。ただし、
図16(a)および
図16(d)に最もよくみられるように、残りの接合ヘッドBH4は、基板が移動したのと同じ距離166だけX方向に移動している。したがって、
図4に示されるように、時間t12において、接合ヘッドBH4は、依然として、基板の移動を考慮して接合ヘッドが移動されるパターン404によって表される状態にある。同時に、例示的な実施形態では、
図16(b)に示すように、第4接合ヘッドBH4は接合面に近いZ方向に下方に移動している。
図20の16(g)に示すように、接合ヘッドステージ120は、接合ヘッドBH4のチップチャック120を傾けて、第4チップが第4ターゲットチップ位置150dに位置が合うようにする。
【0151】
図17(a)~(e)、
図20の17(f)、17(g)は、第4接合ヘッドBH4によって運ばれた第4チップ124dが接合面140に接触し、他のすべてのチップ124a、124b、124cが接合面に接触したままであるときに生じる、時間t13における接合ヘッドおよび基板の位置の異なる概略図を示している。
図17(a)は、
図4の時間t13に対応する接合ヘッドおよび基板の概略上面図である。
図17(b)は、時間t13での、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図である。
図17(c)は、接合ヘッドおよび基板の、
図17(b)に対して反対側のYZ平面の概略側面図である。
図17(d)は、時間t13での、接合ヘッドおよび基板のXZ平面の概略側面図である。
図17(e)は、接合ヘッドおよび基板の、
図14(d)に対して反対側のXZ平面の概略側面図である。
図20の17(f)、17(g)は、時間t13で、製品基板が第1方向にチルト(θY)しており、チップが製品基板と接触したことを示す、接合ヘッドおよび基板のYZ平面の概略側面図である。
【0152】
図4のタイミングチャートは、時間t13が発生した場合を示している。図示の実施形態では、時間t13において、第4接合ヘッドBH4によって運ばれたチップ124dが接合面140に接触している。第1接合ヘッドBH1によって運ばれたチップ124aと、第2接合ヘッドBH2によって運ばれたチップ124bと、第3接合ヘッドBH3によって運ばれたチップ124cとが、予め接合面に接触していた。第1チップ124a、第2チップ124b、第3チップ124cと同様に、第4チップ124dが接合面140に接触すると、基板チャックの更新された位置情報の受信と、受信した更新された位置情報に基づく第4接合ヘッドBH4の再位置決めとを交互に行うステップは終了する。すなわち、チップが接合面に接触した第4接合ヘッドBH4の位置をさらに調整することはできなくなる。したがって、本実施形態では、時間t13において、基板が移動しても第4接合ヘッドBH4の位置は調整されなくなる。
【0153】
上述のように、
図17(a)~
図17(e)に示される時間t13は、第4接合ヘッドBH4が接合面140に接触した瞬間である。図示の実施形態では、第4接合ヘッドBH4が最終的な接合ヘッドであるため、第4チップ124dが接合面140に接触した後、基板の位置の変化を補償するために接合ヘッドのいずれかの位置を調整する必要もはやない。したがって、
図17(a)~17(e)では、図に示される時間t12と比較される。したがって、
図17(a)~17(e)では、
図16(a)~(e)に示す時間t12と比較して、第4チップ124dが接合面140に接触するように第4接合ヘッドBH4が移動する以外は、接合ヘッドの位置は変化しない。基板の移動があっても、接合ヘッドのいずれも移動しないので、この特定の時間t13において、時間t12に対するいかなる接合ヘッドのX/Y移動もない。
図4にも示されるように、第4接合ヘッドBH4によって運ばれた第4チップ124dが接合面に接触すると、第4接合ヘッドBH4は、
図4の第3パターン406によって表される新たな状態になる。すなわち、第3パターン406によって表される期間中、第4接合ヘッドBH4はもはや移動されない(すなわち、もはやX,Y,Z,チルト(tilt),チップ(tip),回転(rotation)方向に移動されない)が、接合ヘッドによって付与される力は変化する。また、
図4に示すように、時間t13の直前では、第1接合ヘッドBH1および第2接合ヘッドBH2の状態が依然として第4パターン408で表される状態であり、第3接合ヘッドBH3も、第4パターン408で表される状態になっている。上述のように、第4パターン408によって表される期間中、接合ヘッドの移動は依然としてないが、Z方向に一定の低い力が維持される。したがって、時間t13において、第1接合ヘッドBH1、第2接合ヘッドBH2、第3接合ヘッドBH3のすべてが、それぞれのチップに比較的低い力を付与しており、この力は、チップと接合面との不完全な接合を維持するのに十分な力であるが、チップの表面積全体を接合面に完全に接合するのに不十分な力である。
【0154】
図4は、第4接合ヘッドBH4が第3パターン406によって表される状態を完了し、接合ヘッドの動きはまだないが、Z方向に一定の低い力が維持される第4パターン408によって表される状態に入った時間である、時間t14をさらに示す。このため、時間t14において、全ての接合ヘッドが同じ状態となる。すなわち、全てのチップが接合面に接触しており、全ての接合ヘッドが静止しており、全ての接合ヘッドは、Z方向に比較的低い力を与えており、その力は、チップと接合面との不完全な接合を維持するのに十分であるが、チップの全表面積を接合面に完全に接合するには不十分である。
【0155】
特に、
図4にも示されるように、時間t15は、全ての接合ヘッドが第4パターン408によって表される状態から、第5パターン410によって表される新たな状態に切り替わるときである。
図4の第5パターンは、まだ接合ヘッドの動きはないが、接合ヘッドによって保持されたチップに対してZ方向にはるかに高い接合力が加えられている状態を表している。第5パターン410によって表される状態にある間の接合ヘッドステージ120の各々の制御状態は、製品基板チャック上の製品基板の位置の乱れを考慮することなく、接合ヘッドステージの各々がZ方向に高い一定の力であり、低いないし0モーメント制御であることである。第5パターン410によって表される状態の間に加えられる力は、第4パターン408によって表される状態の間に加えられる力よりも2~20倍高い。この力は、チップを接合面に完全に接合するのに十分である。特に、全ての接合ヘッドに対して同時にt14で、スイッチが生じる。すなわち、他の全ての状態は、接合ヘッド毎に異なる時間続く可能性があるが、全ての接合ヘッドが第4パターン408で表される状態から第5パターン410で表される状態に同時に切り替わるようにタイミングが制御される。言い換えれば、比較的はるかに強い接合力が全てのチップに同時に加えられる。全てのチップが接合面に完全に接合され、各接合ヘッドによって加えられた力が加えられなくなる時間tfで、接合プロセスは終了する。
【0156】
図21(a)は、本実施形態の4つの接合ヘッドのX方向位置制御信号と基板計測位置とのタイミングチャートである。X方向位置制御信号は、コントローラが接合ヘッドステージ120に送る信号である。X軸は、
図4のタイミングチャートと同じ期間を表す。Y軸はX位置を表す。
図21(a)に示すように、本実施形態では、接合プロセスの開始から終了までの間に、基板はX方向に比較的小さな量だけ散発的に移動する。
図21(a)は、接合ヘッドおよび基板のそれぞれについて、基板/接合ヘッドが基準点に対する全体の所定の初期X方向位置まで移動しているランプ期間を示している。同時に、接合ヘッドは、Z方向に基板に向かって移動する。
【0157】
図21(b)は、4個の接合ヘッドのZ方向位置のタイミングチャートを示す。X軸は、
図4のタイミングチャートと同じ期間を表す。Y軸はZ位置を表す。
図21(b)に示すように、本実施形態では、接合ヘッドは、X方向に移動する(
図21(a))のと同時に基板に向かって移動する。接合ヘッドが所定のZ位置しきい値(しきい値1)に達すると、接合ヘッドの状態は、基板の位置を考慮しない動作制御から基板の位置を考慮する動作制御に切り替わる。しきい値1は、製品基板からの小さなギャップ/距離であるZ位置でありうる。このギャップは、5μm、10μm、20μm、30μm、50μm、100μmでありうる。
図21(a)の均一な線が不均一になることは、基板がX方向に移動した結果として、X位置制御信号に対して行われる調整を示す。各接合ヘッドについて、プロセッサがZ位置しきい値(しきい値1)の交差を検出すると、接合ヘッドは、第2パターン404によって表される制御状態で動作する。
【0158】
図21(c)は、実施形態の4つの接合ヘッド(Z方向)のアクチュエータによって付与される総Z方向力のタイミングチャートを示している。X軸は、
図4のタイミングチャートと同じ期間を表す。Y軸は、接合ヘッドのアクチュエータによってZ方向に加えられる総力(大きさ)を表す。総Z方向力は、特定の接合ヘッドのための全てのアクチュエータの全てのZ方向の力成分の合計である。すなわち、各接合ヘッドは複数の方向に移動する複数のアクチュエータを有するので、各アクチュエータのZ成分は総Z力に到達するように組み合わされる。
図21(c)に示すように、本実施形態では、総Z力が一定に保たれる期間に達するまで、接合ヘッド毎に総Z力が着実に増加する。
図4の第4パターン408によって表される状態で、総Z力が一定に保持される期間を有する。第2しきい値(しきい値2)に達すると、前の状態(第3パターン406)から第4パターン408に状態が切り替わると判定される。
【0159】
しきい値2を
図21(d)に示す。
図21(d)は、本実施形態の4つの接合ヘッドの残留力のタイミングチャートを示している。X軸は、
図4の開始タイミングチャートと同じ期間を表す。Y軸は残留力を表す。接合ヘッドは、アクチュエータの全ての力が印加されるのを防止するフレクシャおよびばねを含むので、結果として生じる実際の力が残留力である。すなわち、チップが受ける残留Z力は、フレクシャ/ばね力に対してバランスがとられたチップを運ぶ接合ヘッドの全てのアクチュエータによって加えられる総Z力である。フレクシャ/ばね力に打ち勝つ接合ヘッドのアクチュエータによって与えられる過剰なZ力が、残留力である。コントローラは、接合ヘッドの計測位置に基づいて残留力を計算し、接合ヘッドステージ120の弾性力を、事前較正データおよび接合ヘッドの計測位置に基づいて減算することができる。所定の残留Z力(しきい値2)に達すると、接触が生じたと判定され、接触したチップに加えられたZ力は、チップを接合面に完全に接合するには不十分な第1の力の大きさまで迅速に増加される。第1の力の大きさは、チップが接触すると一定に保持され、それらが接触するときに各後続のチップに印加される。全てのチップが接触し、同じ総Z力および残留Z力で保持されると、チップを接合面に完全に接合するために、第2の力の大きさが全てのチップに同時に印加される。第2の力の大きさは、第1の力の大きさよりも大きい。第2の力の大きさは、第1の力の大きさよりも5~10倍大きい。
【0160】
図21(e)は、
図4と同じタイミングチャートを示している。
図21(e)は
図21(a)~
図21(d)と並列に記載しているため、
図21(a)~
図21(d)に示されている同じ時間軸において接合ヘッドの状態を容易に確認することができる。
図21(a)~
図21(e)を総合して見れば、任意の時点における、接合ヘッドの状態、X位置、Z位置、総Z力、残留Z力がわかる。
【0161】
図21(a)は例示の目的のためX位置を示したチャートであり、同じ原理が他の5つの方向、すなわち、Y、Z、チルト(tilt)、チップ(tip)、回転(rotation)のいずれにも適用されうる。
図21(a)~(e)は一緒に理解されることを意図しており、どの軸にもスケールは示されていないが、水平軸のタイミングは全ての図で同じであり、接合ヘッドのさまざまな機能の相関動作を示すことを目的にしている。値のスケールは、定量的なものではなく、接合ヘッドおよび基板の挙動の定性的な理解を与えるためのものである。
【0162】
図22は、接合システム100のチップ接合セクション106における接合プロセス2300の情報の流れの一部を示すフローチャートである。接合プロセス2300は、第1受信ステップ2302aと、第2受信ステップ2304bと、第3受信ステップ2304cとを含む。第1受信ステップ2302aは、プロセッサ154が所望の基板位置を受信することを含む。第2受信ステップ2302bは、プロセッサ154がN個の接合ヘッドのi番目の接合ヘッドBHiの所望の接合ヘッド位置Diを受信することを含む。第3受信ステップ2302cは、プロセッサ154がN個の接合ヘッドのi番目の接合ヘッドBHiのチップチャック122上のチップ124の計測されたチップ位置Ciを受信することを含む。所望の基板位置、所望の接合ヘッド位置、およびチップ位置は、それぞれ1~6個の座標位置を含みうる。
【0163】
接合プロセス2300は、基板位置計測ステップ2304aと、各接合ヘッドBHiにおける接合ヘッド位置計測ステップ2304bとを有する。各接合ヘッドBHiは、2~6個の座標における各接合ヘッドBHiのチップチャックの相対位置を計測するための1つ以上のセンサを含み、それらの位置は、各チップチャックについて計測された接合ヘッド位置Miとしてプロセッサ154に提供される。基板位置計測ステップ2304aは、製品基板チャックの位置を計測することを含みうる。
【0164】
接合プロセス2300は、基板位置誤差推定ステップ2306を含む。基板位置誤差推定ステップ2306において、プロセッサ154は、計測された基板位置、キャリブレーションデータ、センサの既知の相対位置、製品基板チャック上の基板の位置および向き、ならびに製品基板上のターゲットチップ位置に基づいて基板の位置を推定し、製品基板の接合面の位置を特定する。その後、プロセッサ154は、基板の推定位置を所望の基板位置と比較して、1~6方向における基板位置誤差ΔSを求める。基板位置計測工程2304aおよび基板位置誤差推定工程2306は、接合プロセスが終了するまで繰り返し行われる。典型的には、基板位置誤差ΔSが最初は大きいが、時間経過に伴って小さくなる。基板位置誤差ΔSは、ランダムな乱れと予測可能な乱れを考慮に入れるために連続的に取得される。基板位置誤差ΔSは、その後、比例積分微分(PID)コントローラなどの位置コントローラに供給され、基板位置決めシステムに送信する必要がある調整信号が決定される。接合プロセス2300は、プロセッサが調整信号を基板位置決めシステムに送信する第1送信ステップ2312aを含む。
【0165】
接合プロセス2300は、Z位置推定ステップ2308を含む。Z位置推定ステップ2308は、プロセッサが、キャリブレーションデータおよび計測された接合ヘッド位置Miに基づいて、BHi上のチップチャックのZ位置である位置Ziを推定するステップを含む。位置Ziは、第1テストステップ2310においてしきい値1と比較される。Z位置がしきい値1よりも大きい場合、接合プロセス2300は第2送信ステップ2312bに進み、Z位置がしきい値1よりも大きくない場合、接合プロセス2300は、第1推定ステップ2314に進む。各接合ヘッドBHiについての第2送信ステップ2312bにおいて、プロセッサ154は、PIDコントローラ、チップ位置Ci、所望の接合ヘッド位置Di、および計測された接合ヘッド位置Miに基づいて、チップチャックの位置を調整するために接合ヘッドステージに送信する調整信号を決定する。そして、プロセッサは、接合ヘッドBHiのチップチャックに調整信号を送信する。ステップ2404b、2308、2310、2312bは、第1テストステップ2310で結果がNOとなるまで、繰り返し行われる。
【0166】
第1テストステップ2310で結果がNOである場合、プロセッサは第1推定ステップ2314を実行する。第1推定ステップ2314は、各接合ヘッドBHiについて、PIDコントローラを使用してチップチャックの位置を調整するために接合ヘッドステージに送る調整信号Fi、チップ位置Ci、所望の接合ヘッド位置Di、計測された接合ヘッド位置Mi、および基板位置誤差ΔSを求めることを含む。第1推定ステップ2314の後、第2推定ステップ2316がプロセッサによって実行される。第2推定ステップ2316は、プロセッサが調整信号Fi、計測された接合ヘッド位置Mi、およびキャリブレーションデータに基づいて、接合ヘッドBHiの残留力Riを推定することを含む。
【0167】
接合プロセス2300は、プロセッサにより実行される第2テストステップ2318を含む。第2テストステップ2318は、プロセッサが、接合ヘッドBHiの残留力Riがしきい値2よりも大きいかどうかを判定することを含む。第2テストステップ2318の結果がNOである場合、第3送信ステップ2312cが実行され、第2テストステップ2318の結果がYESである場合、第4送信ステップ2312dが実行される。第3送信ステップ2312cは、プロセッサが調整信号FiをBHiの接合ヘッドステージ120に送信することを含む。第1テストステップ2310の結果がNOである場合、ステップ2304b、2314、2316、2318bが、第2テストステップ2318の結果がYESになるまで繰り返し行われる。
【0168】
第2テストステップ2318の結果がYESである場合、第4送信ステップ2312dが実行される。第4送信ステップ2312dは、プロセッサが、接合ヘッドBHiの接合ヘッドステージ120に命令を送信し、低い保持力FLを適用しながら、X軸およびY軸(MxおよびMy)の周りの力モーメントを低くまたはゼロに維持することを含む。低い保持力が接合ヘッドBHiに送られた後、プロセッサは、第3テストステップ2320を継続的に実行する。第3テストステップは、全ての接合ヘッドが最小の低力保持時間を超えて低保持力FLで保持されているかどうかを判定することを含む。第3テストステップ2320の結果がNOである場合、第3テストステップ2320が定期的に繰り返し実行される。第3テストステップ2320の結果がYESである場合、第4送信ステップ2312eが実行される。第4送信ステップ2322は、接合ヘッドステージ120に、x軸およびy軸(MxおよびMy)の周りに低いまたはゼロの力モーメントを有する高い保持力を適用する命令を送信することを含む。第4送信ステップ2312eが高力保持時間の間実行された後、全てのチップがチップチャックから解放され、全ての接合ヘッドが接合ヘッドステージと共に製品基板チャックから離れるように移動される。
【0169】
全てのチップが接合面に完全に接合された後、接合されたチップの全てが接合ヘッドから解放される。すなわち、チップの一方の面が接合面に接合された状態で、接合ヘッドは、接合ヘッドによって保持されている、チップの反対側を解放することができる。解放されると、接合プロセスは完了する。このとき、より多くのチップを使用して接合プロセスを繰り返すことができる。
【0170】
本明細書に記載される接合方法を実施することによって、チルトによるアライメント誤差や基板に対するその他の乱れによるアライメント誤差が排除または最小化される。特に、接合ヘッドによって運ばれるチップが接合面に接触するまで、接合ヘッドの各々の位置が基板(基板チャック)の位置に基づいて調整されるので、基板の移動によるアライメントへの影響が排除または最小化される。すなわち、チップが接合面に接近している間に基板が移動すると、チップを運ぶ接合ヘッドを移動させることによって対応する。
【0171】
チップを接合面に接合する工程(数百、数千、または数万個のチップを接合するための接合方法200の多くのサイクルを含みうる)が完了した後、製品基板138は、例えば搬送ロボット126などによってチップ接合セクション106から取り除かれる。その後、製品基板は、ハイブリッド接合プロセスが完了するアニール処理(熱および圧力の一方または両方を含みうる)に供されうる。製品基板は、アニール処理の前または後に追加のチップを製品基板に追加する追加のプロセスに供されてもよい。次いで、製品基板は、製品基板から複数の物品を製造するために使用される、個片化、検査、封入などの追加のプロセスに供されうる。
【0172】
上述の一般的な説明または実施例において上記で説明した動作のすべてが必要とされるわけではなく、特定の動作の一部が必須ではない可能性もあり、説明したものに加えて1つ以上のさらなる動作が実行されうることに留意されたい。さらに、動作が列挙される順序は、必ずしもそれらが実行される順序ではない。上述の説明は、ハイブリッド接合プロセスの文脈で説明されたが、はんだ付け、フリップチップ接合、ボールグリッドアレイ接合、またはチップ間の複数の電気接続を形成するために使用される別のプロセスなど、他の接合プロセスが使用されてもよい。
【0173】
上述の説明では、特定の実施形態に関して、有益性、他の利点、および問題に対する解決策について説明した。ただし、有益性、利点、問題に対する解決策、ならびに、任意の有益性、利点、解決策を生じさせるかまたはより顕著になりうる任意の特徴は、特許請求の範囲における一部または全ての請求項の重要な、必須の、または本質的な特徴として解釈されるべきではない。
【0174】
本明細書で説明される実施形態および例示は、様々な実施形態の構造を一般的に理解できるようにすることを目的としている。本明細書および例示は、本明細書に記載の構造または方法を使用する装置およびシステムの要素および特徴のすべてを網羅的かつ包括的に説明するものではない。別個の実施形態を単一の実施形態において組み合わせて提供することもでき、逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴を、個別または任意のサブコンビネーションで提供することもできる。さらに、範囲で指定された値への参照には、その範囲内のそれぞれのおよびすべての値が含まれる。当業者には、本明細書を読んだ後で初めて、多くの他の実施形態が明らかになるであろう。本開示の範囲から逸脱することなく、構造的置換、論理的置換、または別の変更が行われ、本開示から他の実施形態が使用されおよび派生しうる。したがって、本開示は、限定的ではなく例示的なものであるとみなされるべきである。