(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010561
(43)【公開日】2025-01-22
(54)【発明の名称】道路の検出された変化をブロックチェーンを用いて共有するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20250115BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20250115BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20250115BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20250115BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20250115BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G08G1/09 H
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024100114
(22)【出願日】2024-06-21
(31)【優先権主張番号】18/213,517
(32)【優先日】2023-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521042770
【氏名又は名称】ウーブン・バイ・トヨタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】ジャスパル シン
(57)【要約】
【課題】道路の検出された変化をネットワーク内のブロックチェーンを用いて共有するための方法及びシステムを提供すること。
【解決手段】ネットワークは、道路の変化を検出するように動作可能な車両、複数のローカルブロックチェーン、及びグローバルブロックチェーンを含む。車両は、ローカル車両のグループに分けられる。複数のローカルブロックチェーンは変化のローカルブロックを含み、第1の車両がローカル車両のグループの間に道路の変化を公開したあと、少なくともローカル閾値の数のローカル車両が変化を承認すると、変化のブロックがローカルブロックチェーンに組み込まれる。グローバルブロックチェーンは変化のブロックを含み、少なくともグローバル閾値の数の車両が変化を承認すると、変化のブロックがグローバルブロックチェーンに組み込まれる。トークンが第1の車両に与えられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の変化を検出するように動作可能な車両と、変化のブロックを備えるグローバルブロックチェーンと、を備えるネットワークであって、
前記ネットワーク内で最初に前記変化を公開した第1の車両によって前記変化が検出され、少なくとも閾値の数の前記車両が前記変化を承認すると、前記変化のブロックが前記グローバルブロックチェーンに組み込まれ、
トークンが前記第1の車両に与えられる、ネットワーク。
【請求項2】
前記変化が前記道路の静的特徴に関係し、前記静的特徴が前記道路の幾何学的特徴、前記道路上の交通標識、及び中期及び長期の前記道路の建設を含む、請求項1に記載のネットワーク。
【請求項3】
前記ネットワークが、各車両の所有するトークンに基づいて前記車両の評価を公開する、請求項1に記載のネットワーク。
【請求項4】
前記ネットワークが、少なくとも1個のトークンと引きかえに車両にサービスを提供する、請求項1に記載のネットワーク。
【請求項5】
前記変化が道路インフラストラクチャの変更と確証されたときには、複数のトークンが前記第1の車両に与えられる、請求項1に記載のネットワーク。
【請求項6】
前記変化を承認した前記車両からランダムに選択された幸運な車両にトークンが与えられる、請求項1に記載のネットワーク。
【請求項7】
前記第1の車両以外の車両が、センサを用いて前記変化を検出することによって、変化を承認するように動作可能である、請求項1に記載のネットワーク。
【請求項8】
前記第1の車両が、センサを用いて前記変化を再検出することによって、前記変化を承認するように動作可能である、請求項1に記載のネットワーク。
【請求項9】
前記車両の閾値の数が前記車両の50%である、請求項1に記載のネットワーク。
【請求項10】
ローカル車両のグループに分けられる、道路の変化を検出するように動作可能な車両と、
変化のローカルブロックを備える複数のローカルブロックチェーンであって、第1の車両がローカル車両のグループの間に前記道路の変化を公開したあと、少なくともローカル閾値の数の前記ローカル車両が前記変化を承認すると、前記変化のブロックがローカルブロックチェーンに組み込まれる、複数のローカルブロックチェーンと、
変化のブロックを備えるグローバルブロックチェーンであって、前記変化がローカルブロックに含まれ、少なくともグローバル閾値の数の前記車両が前記変化を承認すると、前記変化のブロックが前記グローバルブロックチェーンに組み込まれる、グローバルブロックチェーンと、を備えるネットワーク。
【請求項11】
前記道路の前記変化が前記道路の静的特徴に関係し、前記静的特徴が前記道路の幾何学的特徴、前記道路上の交通標識、及び中期及び長期の前記道路の建設を含む、請求項10に記載のネットワーク。
【請求項12】
前記第1の車両以外の車両が、センサを用いて前記変化を検出することによって、前記変化を承認するように動作可能である、請求項10に記載のネットワーク。
【請求項13】
前記第1の車両が、センサを用いて前記変化を再検出することによって、前記変化を承認するように動作可能である、請求項10に記載のネットワーク。
【請求項14】
前記車両のグローバル閾値の数が前記車両の50%であり、前記ローカル車両のローカル閾値の数が前記ローカル車両の50%である、請求項10に記載のネットワーク。
【請求項15】
ネットワーク内の道路の静的特徴の、前記ネットワークの第1の車両によって検出された変化を公開することと、
前記ネットワークの車両から前記変化の承認を受信することと、
前記ネットワークの少なくとも閾値の数の前記車両が前記変化を承認するかどうか判定することと、
前記ネットワークの少なくとも閾値の数の前記車両が前記変化を承認したと判定したあと、前記変化のブロックを前記ネットワークのグローバルブロックチェーンに組み込むことと、を含む方法。
【請求項16】
前記道路の静的特徴の前記変化を前記ネットワーク内で公開する前に、前記方法は、
前記道路の変化をローカル車両を含むグループに公開することと、
前記ローカル車両から前記変化の承認を受信することと、
少なくともローカル閾値の数の前記ローカル車両が前記変化を承認するかどうか判定することと、
少なくとも前記ローカル閾値の数の前記ローカル車両が前記変化を承認したと判定したあと、前記変化のローカルブロックをローカルブロックチェーンに組み込むことと、をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の車両以外の車両からの承認が、センサを用いて前記変化を検出することによって生み出される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の車両からの承認が、センサを用いて前記変化を再検出することによって生み出される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも閾値の数の前記ネットワークの前記車両が前記変化を承認したと判定したあと、前記第1の車両にトークンを付与することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも閾値の数の前記ネットワークの前記車両が前記変化を承認したと判定したあと、前記変化を承認した前記車両からランダムに選択された幸運な車両にトークンを付与することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はデータ共有技術に関し、より詳しくは車両用のデータ共有技術に関する。
【背景技術】
【0002】
データを車両間で共有することは、車両の動作を改善し、効率を向上させ、個人向け情報及びサポートによりカスタマーサービスを改善するために用いることができる。車両間の共有に存在する障壁としては、データの価値が不確かであることや、異なる車種のプラットフォーム間での潜在的な非互換性などを含む。したがって、システムがデータを車両間で効果的に共有するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様において、ネットワークは、道路の変化を検出するように動作可能な車両と、変化のブロックを含むグローバルブロックチェーンとを含む。ネットワーク内で最初に変化を公開した第1の車両によって変化が検出され、少なくとも閾値の数の車両が変化を承認すると、変化のブロックがグローバルブロックチェーンに組み込まれる。トークンが第1の車両に与えられる。
【0004】
第2の態様において、ネットワークは、道路の変化を検出するように動作可能な車両と、複数のローカルブロックチェーンと、グローバルブロックチェーンとを含む。車両は、ローカル車両のグループに分けられる。複数のローカルブロックチェーンは変化のローカルブロックを含み、第1の車両がローカル車両のグループの間に道路の変化を公開したあと、少なくともローカル閾値の数のローカル車両が変化を承認すると、変化のブロックがローカルブロックチェーンに組み込まれる。グローバルブロックチェーンは変化のブロックを含み、変化がローカルブロックに含まれ少なくともグローバル閾値の数の車両が変化を承認すると、変化のブロックがグローバルブロックチェーンに組み込まれる。
【0005】
第3の態様において、方法は、ネットワーク内の道路の静的特徴の、ネットワークの第1の車両によって検出された変化を公開することと、ネットワークの車両から変化の承認を受信することと、ネットワークの少なくとも閾値の数の車両が変化を承認するかどうか判定することと、ネットワークの少なくとも閾値の数の車両が変化を承認したと判定したあと、変化のブロックをネットワークのグローバルブロックチェーンに組み込むことと、を含む。
【0006】
本明細書に記載の実施形態によって提供されるこれらの特徴及び追加の特徴は、図面と共に以下の詳細な説明を考慮すると、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面に示される実施形態は、本質的に例示的かつ典型的なものであり、請求項によって定義される主題を制限することを意図するものではない。以下の例示的な実施形態の詳細な説明は、以下の図面と共に読むことで理解することができ、図面では、同様の構造は同様の参照番号で示される。
【0008】
【
図1】本明細書に示され説明される1つ以上の実施形態による、複数の車両とブロックチェーンとを有する分散型車両ネットワークの例を模式的に示す図である。
【
図2A】本明細書に示され説明される1つ以上の実施形態による、分散型車両ネットワーク内の車両を、ピアツーピア通信方式を有する分割された車両グループにグループ化する例を模式的に示す図である。
【
図2B】本明細書に示され説明される1つ以上の実施形態による、分散型車両ネットワーク内の車両を、グループ間通信方式を有する分割された車両グループにグループ化する例を模式的に示す図である。
【
図3】本明細書に示され説明される1つ以上の実施形態による、分散型車両ネットワークの車両に搭載の装置の非限定的な構成要素を模式的に示す図である。
【
図4】本明細書に示され説明される1つ以上の実施形態による、分散型車両ネットワークの動作のグラフィック表現の例を示す図である。
【
図5A】本明細書に示され説明される1つ以上の実施形態による、ピアツーピア通信方式を備える分割された車両グループを有する分散型車両ネットワークの動作のグラフィック表現の例を模式的に示す図である。
【
図5B】本明細書に示され説明される1つ以上の実施形態による、グループ間通信方式を備える分割された車両グループを有する分散型車両ネットワークの動作のグラフィック表現の例を模式的に示す図である。
【
図6】本明細書に示され説明される1つ以上の実施形態による、分散型車両ネットワークのブロックチェーンにブロックを実装するための例示的なステップのフロー図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において記載される実施形態は、道路の検出された変化を分散型車両ネットワークのブロックチェーンを用いて共有する方法及びシステムを対象とする。道路の変化を検出するセンサを備えた複数の車両とブロックチェーンを含む分散型車両ネットワークは、変化のブロックを含む。道路の幾何学的特徴、交通標識、道路建設などの道路の変化を最初に公開した車両は、報告された変化がネットワーク内の他の車両の一部によって承認され、ブロックチェーンに組み込まれたあとに、トークンによって報酬を与えられてもよい。
【0010】
車両は、ナビゲーションのためのさまざまな地図システムを使用する。例えば、ある車両は自身の地図データを用いる内蔵型ナビゲーションシステムを備えてもよく、他の車両は異なる地図システムを用いるスマートフォンアプリケーション又はスタンドアロン全地球測位システム(GPS)装置に依存してもよい。特定のプラットフォームは、検出された道路状況や道路の静的特徴などのデータ共有において、異なるマップシステムを使用する異なる車両間で互換性の問題に直面することがありうる。さらに、道路を走行する車両は概して私用のものであり、したがって車両によって収集されるデータも私用のものである。情報の共有は道路上のドライバ全体の利益につながりうるが、自分のデータを自分の収集の内に留めておくことを好む人もいる。たとえば、車両が交通事故現場に遭遇して通り過ぎたあと、その現場に向かうかもしれないが道路状況により遅れるであろう他の車両と情報を共有することによって、その車両には何も得るものは無い。
【0011】
車両にブロックチェーン技術を活用することが、異なるモデルや地図システムを持つ車両間で道路状況データや道路特徴の更新の共有を可能とする。これが、さまざまな地図システムにわたる地図更新の精度、一貫性、費用効果を向上させ、ドライバのためのより信頼性が高く最新のナビゲーション情報をもたらす。さらに、ブロックチェーン技術を用いて、車両が検出情報を共有したことに対して報酬を与えることで、人々が情報を共有するインセンティブを提供することができる。
【0012】
本明細書に開示された、道路の検出された変化をブロックチェーンを用いて共有する方法及びシステムは、すべての地図システムに対して道路の普遍的な検出された変化を提供するため、すべてのドライバが最新の地図を利用できる。さらに、本明細書に開示された、道路の検出された変化をブロックチェーンを用いて共有する方法及びシステムは、利用可能なデータの質と量を向上させる道路の検出された変化の共有に、個人が積極的に貢献するように動機付ける報酬システムを作成する。これは、より正確で最新のマップ情報をもたらすことができる。さらに、ブロックチェーンの分散化され不変の性質が、一旦データが記録されるとそれを変更したり操作したりすることを困難にするので、ブロックチェーン及びブロックチェーンのトークン又は他の形式の潜在通貨の使用は、共有データの完全性及び安全を確実にするのに役立つ。
【0013】
道路の検出された変化をブロックチェーンを用いて共有するための方法及びシステムの種々の実施形態が、本明細書において更に詳細に記載される。可能な限り、同じ又は類似の部分を参照するために、図面全体で同じ参照番号を使用する。
【0014】
本明細書において用いられるように、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに別の意味を示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、たとえば、文脈が明らかに別の意味を示さない限り、「1つの(a)」要素の参照は2つ以上のそのような要素を有する態様を含む。
【0015】
本願明細書において開示されるように、ブロックチェーンとは絶えず成長する一組のデータブロックを指す。各ブロックは、承認された道路の変化などの一まとまりのデータを記録することができる。ブロックチェーンは、メンバーコンピュータ又はブロックチェーンのブロックを処理及び保存できるコントローラを搭載した車両のグループ全体に、これらの承認された変化を配布してもよい。各車両は、承認された変化のコピーを保持してもよい。ブロックチェーンは、暗号を用いて連結され保護されたブロックのリストを継続的に成長させることができる。ブロックチェーンは、データの改変に耐性があってもよい。ブロックチェーンは、当事者間の処理を効率的かつ検証可能で永続的な方法で記録できる、公開された分散型台帳を実装してもよい。
【0016】
図1は、分散型車両ネットワーク100の一実施形態を概して示す。分散型車両ネットワーク100は、複数の車両101を含む。各車両110は、分散型車両ネットワーク100の独立ノードである。各車両110は、接続120を通して他のいかなる車両110とも接続し、いずれかの車両110が別の車両110のピアである。接続120によって車両が互いに通信することができる。互いに接続している車両110は、隣接ノード又は隣接車両である。実施形態において、通信はゴシッププロトコル又は伝送制御プロトコルに従ってもよい。ゴシッププロトコルにおいて、車両110は接続120を通してその隣接車両だけに通信して、ブロック又は処理を送信する。一旦車両110が検出された変化又は他のデータをその隣接車両の1台と通信すると、分散型車両ネットワーク100のすべての車両110が同じ検出された変化又はデータを受信するまで、隣接車両は他の隣接車両と同様に通信し続けてもよい。伝送制御プロトコルにおいて、車両110はインターネット又は無線ネットワークを通して直接互いに通信する。
【0017】
分散型車両ネットワーク100の車両110は、例えば、自動車、オートバイ、スクータ、バス、レクリエーション用車両、ボート又は他の車両であってもよい。車両110は、センサ308、例えば位置センサ、近接センサ、カメラ、レーダ又は超音波センサを(例えば
図3に示すように)各々含み、車両周辺の道路及び環境の種々の状態及び条件を検出して記録することができる。例えば、センサ308は(例えば
図3に示すように)、道路の変化、変化の位置(例えば、GPS座標)、温度、雨、雪、光量及び太陽位置に対応するデータを検出し保存してもよい。道路の変化は、道路の静的特徴、例えば道路の幾何学的特徴、交通標識、車線境界線、動線、及び、中期及び長期の道路の建設に関係する。中期の建設は、数カ月から2年にまでわたりうる。長期の建設は、数年又は数十年にわたりうるもので、大規模なインフラストラクチャ開発を含む。中期及び長期の建設活動は、居住用又は商業用建設、改修及び改造プロジェクト、及び高速道路、橋、トンネル、空港の建設などのインフラストラクチャ開発を含んでもよい。センサ308によって(例えば
図3に示すように)集められるデータは、それぞれの車両110によって保存及び/又は分析されてもよい。
【0018】
分散型車両ネットワーク100は、グローバルブロックチェーン130を含む。グローバルブロックチェーン130は、複数のブロック131を含む。ブロック131は、暗号を用いて連結され保護されてもよい。各ブロック131は、前のブロックの暗号ハッシュ、タイムスタンプ及び情報を含んでもよい。各ブロック131は、分散型車両ネットワーク100の少なくとも閾値の数の車両110によって承認される道路の変化を保存する。変化は、道路の静的特徴に関係していてもよい。車両110の閾値の数は、具体的な車両の数であっても車両のパーセンテージ数であってもよい。
【0019】
例えば道路の変化などのブロックのデータは、分散型車両ネットワーク100の複数の車両101と共有されてもよい。各車両110は、グローバルブロックチェーン130のコピーを車両110に保存してもよい。しかしながら、車両110は、複数の車両101の少なくとも一部からの承認が無ければグローバルブロックチェーン130のコピーに書きこんではいけない。グローバルブロックチェーン130は、集合的にノード間通信のためのプロトコルを守り新しいブロックを検証する、複数の車両101によって管理されてもよい。一旦記録されると、与えられたブロックのデータは、後続のすべてのブロックを変更しない限り遡及的に変更することはできず、それは複数の車両101間の合意を必要とする。グローバルブロックチェーン130は、開始ブロックから最後に追加された現在のブロックまでの最長の一連のブロックであるメインチェーンを含んでもよい。グローバルブロックチェーン130は、メインチェーンの外側に孤立ブロックを含んでもよい。場合によっては、メインチェーンブロックに保存されているデータと同じ事象と場所に対応する検出された変化の検証済み記録を孤立ブロックが含む場合、その孤立ブロックはメインチェーンブロックにリンクされたプライマリチェーンに組み込まれてもよい。
【0020】
図2A及び
図2Bを参照すると、分散型車両ネットワークの複数の車両101の分割されたグループ201の例が示されている。分散型車両ネットワーク100の複数の車両101は(例えば
図1に示すように)、車両110の分割されたグループ201に分けられてもよい。それぞれの分割されたグループ201は、少なくとも1台の車両110を含んでもよい。グループ化が車両の位置に基づく場合、分割されたグループ201の車両110はローカル車両として示される。グループ化は、車種、サービスプロバイダ、通信ネットワーク、備えられたセンサ、又は他の類似の条件に基づいてもよい。以下でさらに開示されるように、分散型車両ネットワーク100(例えば
図1に示すように)は、分割されたグループ201の車両110が、報告された変化を検証する機会をより多く持つことを可能にするグループ化戦略、例えば車両110の位置に基づく、を選択してもよい。
【0021】
車両の分割されたグループは、異なる分割されたグループに属する車両の間で、例えばピアツーピア通信方式及びグループ間通信方式など、異なる通信方式を有してもよい。一部の実施形態では、分割されたグループ201の車両110は、他の分割されたグループ201の車両110と直接通信してもよい(すなわち、ピアツーピア通信方式)。例えば
図2Aに示すように、複数の車両101は、3つの分割されたグループ201に分けられる。分割されたグループの端にある車両110と、別の分割されたグループに属する他の車両との間には、接続120が存在する。このような場合、グループ境界を越える通信には、分割されたグループ201内の車両110間の合意を必要としなくてもよい。他の実施形態では、分割されたグループ201の車両110は分割されたグループ内の車両110と通信するように制限されてもよく、分割されたグループは他の分割されたグループと全体として通信する(すなわち、グループ間通信方式)。例えば
図2Bに示すように、分割されたグループ201の車両は、他の分割されたグループ201と直接接続しない。その代わりに、分割されたグループ201は、グループ接続220を通して互いに接続する。このような場合、グループ条件が満たされることを必要としてもよい。例えば、分割されたグループ101の車両110が、(例えば
図4に示すような)車線の走行方向の変更などの道路の変化を検出したときに、グループ条件が満たされるまで、車両110はネットワーク外の車両へ通信することができない。このようなグループ条件は、他の分割されたグループ201と通信するべきかどうかについての多数決又は合意アルゴリズムによって満たされてもよい。一旦グループ条件が満たされると、分割されたグループ201の車両110は他の分割されたグループ201の車両110と通信することができる。
【0022】
図3を参照すると、分散型車両ネットワークの車両に搭載の装置300の非限定的な構成要素が示されている。分散型車両ネットワークの車両のコントローラ301は、接続120を通して別の車両のコントローラ301に接続してもよい。コントローラ301は、メモリ302、プロセッサ304、入出力用ハードウェア305、ネットワークインタフェースハードウェア306、データ記憶要素307、及びローカルインタフェース303などの各種構成要素を備えることができる。コントローラ301は、近接センサ、カメラ、位置センサ、温度センサ、光センサ及びレーダなどの各種センサ308を備えてもよい。
【0023】
コントローラ301は、プロセッサ304及び非一時的コンピュータ可読メモリなどのメモリ302を備える、いかなる装置又は構成要素の組合せであってもよい。プロセッサ304は、非一時的コンピュータ可読メモリに保存される機械可読命令セットを実行可能ないかなる装置であってもよい。したがって、プロセッサ304は、電気コントローラ、集積回路、マイクロチップ、コンピュータ、又は他のいかなる計算装置であってもよい。プロセッサ304は、(たとえばデータ記憶要素307及び/又はメモリ要素302からの)プログラミング命令を、受信して実行するように構成されたいかなる処理要素を含んでもよい。命令は、データ記憶要素307及び/又はメモリ要素302に保存される機械可読命令セットの形であってもよい。プロセッサ304は、ローカルインタフェース303によって、コントローラ301の他の構成要素に通信可能に接続される。したがって、ローカルインタフェース303は、いかなる数のプロセッサ304をも通信可能に互いに接続し、ローカルインタフェース303に接続された構成要素が分散コンピューティング環境において作動することを可能にしてもよい。ローカルインタフェース303は、コントローラ301の構成要素間の通信を容易にするためにバス又は他のインタフェースとして実装されてもよい。一部の実施形態では、各コンポーネントは、データを送信及び/又は受信することができるノードとして作動してもよい。
図3に示される実施形態はシングルプロセッサ304を含むが、他の実施形態は1台を超えるプロセッサ304を含んでもよい。
【0024】
機械可読命令がプロセッサ304によってアクセスされ実行されることができるように、メモリ302(例えば、非一時的コンピュータ可読メモリ要素)は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、又は機械可読命令を保存可能ないかなる非一時的メモリデバイスを含んでもよい。機械可読命令セットは、たとえば、プロセッサ304によって直接実行できる機械語、又は機械可読命令にコンパイル又はアセンブルされてメモリ302に保存できるアセンブリ言語、オブジェクト指向プログラミング(OOP)、スクリプト言語、マイクロコードなど、任意の世代(1GL、2GL、3GL、4GL又は5GLなど)の任意のプログラミング言語で記述されたロジック又はアルゴリズムを含んでもよい。あるいは、機械可読命令セットは、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)構成又は特定用途向け集積回路(ASIC)、又はそれらの等価物を介して実装されるロジックなどのハードウェア記述言語(HDL)で記述されてもよい。したがって、本明細書において記載される機能は、予めプログラムされたハードウェア要素として、又はハードウェア及びソフトウェア要素の組合せとして、いかなる従来のコンピュータプログラミング言語で実装されてもよい。たとえば、メモリ要素302は、プロセッサ304によって実行されるときに、本明細書において記載されているように方法又は制御方式をプロセッサ304に実行させる命令を保存する、機械可読メモリ(非一時的プロセッサ可読メモリ又は媒体と呼ばれてもよい)であってもよい。
図3に示される実施形態はただ一つの非一時的コンピュータ読取可能メモリ302を含むが、他の実施形態は1つを超えるメモリモジュールを含んでもよい。このようなプログラムモジュールは、後述するように、本開示に従って特定のタスクを実行するか又は特定の抽象データ型を実行するためのルーチン、サブルーチン、プログラム、オブジェクト、要素、及びデータ構造を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0025】
入出力用ハードウェア305は、データを受信、送信、及び/又は提示するためのモニタ、キーボード、マウス、プリンタ、カメラ、マイクロホン、スピーカ、及び/又は他の装置を含んでもよい。ネットワークインタフェースハードウェア306は、他のネットワーク及び/又は装置と通信するためのモデム、LANポート、WiFiカード、WiMaxカード、移動通信ハードウェア、及び/又は他のハードウェアなどの、いかなる有線又は無線のネットワークハードウェアを含んでもよい。
【0026】
データ記憶要素307は、ローカルブロックチェーン550、グローバルブロックチェーン130、変化401、トークン441、車両間の通信データ、及びセンサによって発生するデータなどのデータを保存する。
【0027】
図4を参照すると、分散型車両ネットワークの動作のグラフィック表現の例が示されている。変化401のブロック431は、(たとえば、
図1に示すような)分散型車両ネットワーク100で最初に変化を報告411する第1の車両410によって変化401が検出され、少なくとも閾値の数の車両110が変化401を承認すると、グローバルブロックチェーン130に組み込まれる。一例では、トークン441が第1の車両410に与えられる。別のトークン441が幸運な車両412に与えられる。幸運な車両412は、変化401を承認する承認車両430からランダムに選択される。
【0028】
複数の車両101のうちの車両110は、自動的に道路の変化401を検出するように動作可能である、近接センサ、カメラ、光検出及び測距(LiDAR)センサなどのセンサ308を(例えば
図3に示すように)含んでもよい。変化401は、道路の静的特徴に関係するものであってもよい。例えば、変化は、道路の幾何学的特徴、道路上の交通標識、及び中期及び長期の道路の建設に関連するものであってもよい。幾何学的特徴は、舗道幅、水平及び垂直配列、勾配の車線分離、交差点、及び、道路の運用、安全、及び収容力に影響を及ぼす他の特徴を含んでもよい。
図4に示すように、車両410は、ある地点において道路の走行方向が一方向から双方向に変わったという道路の変化401を検出する。次に車両410は、変化401を分散型車両ネットワークで報告することを決める。分散型車両ネットワークの他のいずれの車両110も変化401を報告していないときには、車両410は第1の車両となる。
【0029】
実施形態において、(例えば
図1に示すような)分散型車両ネットワーク100が変化を公開し、変化はさまざまな方法を介して分散型ネットワークの車両110によって受信されてもよい。例えば、伝送制御プロトコルの下では、変化は、隣接車両からの接続120から独立して、インターネット又は無線ネットワークを介して直接受信されてもよい。ゴシッププロトコルの下では、変化のデータは、最初に接続120を通して第1の車両の隣接車両に伝達され、次に、分散型車両ネットワークのすべての車両110が変化401のデータを受信するまで、変化401のデータを受信した車両の隣接車両に伝達されてもよい。
【0030】
変化401の公開及び受信のあとに、車両110は、変化401に投票をしてもよい。投票は、賛成でも、中立でも、反対でもよい。同じ変化401を検出した車両110は、変化401を承認する賛成の投票をしてもよい。賛成投票する車両110は、承認車両430である。
図4には、4台の承認車両430がある。第1の車両410以外の車両110は、近接センサなどのセンサを用いて変化を検出することによって、変化を承認するように動作可能である。第1の車両410は、センサを用いて変化を再検出することによって、変化を承認するように動作可能であってもよい。再検出は、変化の現場を再訪中に変化を検出することによって遂行されてもよい。再検出は、最初に変化を発見したセンサ以外の異なるセンサを用いて変化を検出することによって遂行されてもよい。例えば、第1の車両410は、カメラ及びレーダを備えていてもよい。カメラ及びレーダは、両方とも道路の変化401を検出する。レーダによって検出された同じ変化が、カメラによって検出された変化を承認するために用いられてもよい。
【0031】
同じ変化401を検出しない車両110は、変化を承認しない中立の又は反対の投票をしてもよい。中立の又は反対の投票をする車両110は、非承認車両440である。
図4には、3台の非承認車両440がある。一部の実施形態では、分散型車両ネットワークは、変化に反対する反対票を考慮して、それに応じて総承認数を減らしてもよい。総承認数は、賛成票の総数から反対票の総数を引いた数と等しくてもよい。分散型車両システムは、ブロックをブロックチェーンに組み込むかどうかを決定するときに、変化を承認する車両の数と同じように総承認数を用いてもよい。
【0032】
すべて又は少なくとも大多数の車両110が変化に賛成の投票をしたあと、分散型車両ネットワークは、第1の車両によって報告された変化を含むブロック431を、グローバルブロックチェーン130に組み込むかどうか決定してもよい。分散型車両ネットワーク100内の少なくとも閾値の数の車両110が変化を承認(つまり、肯定的に投票)する場合、又は承認総数の少なくともしきい値数に達する場合、分散型車両ネットワークはブロック431を統合することに同意してもよい。閾値の数は、具体的な車両の数であっても車両のパーセンテージ数であってもよい。車両の閾値の数は特定の具体的な数に設定されてもよく、いかなる数であってもよい。実施形態において、具体的な数は2から1,000までの範囲に及んでもよい。具体的な数は、限定されるものではないが、2、4、6、8、10、20、40、80、100、200、400、600、800、1000、又はその間の任意の数値など、特定の値の組であってもよい。同様に、車両の閾値の数はネットワークの車両の総数のパーセンテージとしてセットされてもよく、1から100までの範囲に及んでもよい。実施形態において、パーセンテージ数は、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90又は100などの、特定の値の組であってもよい。車両の閾値の数として具体的な数又はパーセンテージ数を選択することは、分散型車両ネットワーク100のサイズ、ノードの密度、通信効率の望ましいレベル、及びブロックチェーンに組み込まれる変化の信頼性など、さまざまな要因に左右されうる。一部の実施形態では、車両の閾値の数は、変化の現場に達しうる車両に基づく。
【0033】
図4に示す実施形態において、車両の閾値の数は、4台又は車両の50%であってもよい。4台の承認車両430を判定したあと、分散型車両ネットワークは、少なくとも閾値の数の車両が変化を承認していることを検出し、ブロック131のメインチェーンを含むグローバルブロックチェーン130にブロック431を組み込む。
【0034】
ときに、分散型車両ネットワークは、別の車両110によって以前に報告された変化を公開することがある。このような場合には、公開された変化は、同じ変化を含むメインチェーンブロックに接続される孤立ブロックに組み込まれてもよい。
【0035】
ブロック431が組み込まれあと、グローバルブロックチェーン130は複数の車両101の全体にわたって更新され、地図の更新などの変更の適用のために、種々のベンダー491、地図システム492、又はサーバ493に提供されてもよい。更に、トークン441が第1の車両410に与えられてもよい。別のトークン441が、変化を承認した車両からランダムに選択された幸運な車両に与えられてもよい。ときに、変化401が道路インフラストラクチャの変更と確証されたときには、1個を超えるトークンが第1の車両410に与えられてもよい。道路インフラストラクチャの変更は、道路システムの物理的要素の変更又は改良をもたらすプロセスである。道路インフラストラクチャの変更は、道路の幅拡張や縮小、交差点の追加や削除、交通の流れの方向変更、道路の再配置、路面の改良、制限速度の変更、二輪車レーンや歩道の追加や削除など、道路利用の安全性や効率性に関連するものであってもよい。道路インフラストラクチャの変更は、変化の承認と同様の方法で分散型車両ネットワークによって確証されるか、又はモノのインターネット(IoT)システムなどのネットワーク外システムによって確証されてもよい。分散型車両ネットワークは、各車両の所有するトークンに基づいて車両110の評価を公開し更新してもよい。車両110は、分散型車両ネットワークが少なくとも1個のトークンと引きかえにサービスを提供することを要求してもよい。分散型車両ネットワークは、車載地図システムの改良、投票、及びプラットフォームへのアクセスなどのサービスを提供してもよい。
【0036】
図5A及び
図5Bを参照すると、車両の分割されたグループを有する分散型車両ネットワークの動作のグラフィック表現の例が示されている。分散型車両ネットワークは、複数の車両を複数の車両グループに分割し、各分割された車両グループは複数のローカルブロック551を含む自身のローカルブロックチェーン550を有してもよい。
図5Aにおいて、分割されたグループのみが別の分割されたグループと通信することができ、分割されたグループの中の車両は別の分割されたグループの車両と直接通信することができないが(すなわち、グループ間通信方式)、
図5Bにおいて、分割されたグループの車両は別の分割されたグループの車両と直接通信することができる(すなわち、ピアツーピア通信方式)。
【0037】
図5A及び
図5Bにおいて、複数の車両101は、3つの分割されたグループ201に分割されている。グループは車両の位置に基づいて分割されてもよく、分割されたグループの車両は位置車両と呼ばれてもよい。グループの分割は、車内に備えられたセンサなどの他の条件に基づいてもよい。第1の車両410が最初に道路の変化を報告411すると、変化は、複数の車両101全体の代わりに、分割されたグループ201のうちの1つで公開される。分散型車両ネットワークは、ローカル車両が全体として変化を確証又は無効化する可能性が高い分割グループ201を選択してもよい。たとえば、分散型車両ネットワークは、分割されたグループのローカル車両が変化の現場を通過する可能性がより高いときに、位置に基づいて分割されたグループを選択してもよい。
【0038】
選択されたあとに、選択されたグループのローカル車両は、変化を承認して投票をしてもよい。変化を承認する賛成の投票をしたローカル車両は、ローカル承認車両530として示され、変化に対して中立又は反対の投票をしたローカル車両は、ローカル非承認車両540として示さる。
図5A及び
図5Bでは、分割されたグループ201は、4台のローカル承認車両530と、3台のローカル非承認車両540とを有する。分散型車両ネットワークは、次に、ローカル承認車両530の数に基づいて、変化を含むローカルブロックをローカルブロックチェーン550に組み込むかどうか決定する。ローカルブロック553は、少なくともローカル閾値の数のローカル車両が変化を承認すると、ローカルブロックチェーン550に組み込まれてもよい。ローカル閾値の数は、
図4に記載される閾値の数と類似の特性を有してもよい。例えば
図5Aにおいて、ローカル閾値の数は、分割されたグループ201のローカル車両の50%であってもよい。分割されたグループ201のローカル車両の50%超が変化を承認する(7台のうち4台のローカル車両が変化を承認する)ので、ローカルブロック553はローカルブロックチェーン550に組み込まれる。
【0039】
ローカルブロックチェーン550が組み込まれたあと、分散型車両ネットワークは、複数の車両101に変化を公開するかどうか決定してもよい。
図5Aのようなグループ間通信方式では、複数の車両101に変化を公開するかどうかの決定562は、条件561を満足するかどうかに依存してもよい。条件は、変化を含むローカルブロックチェーン550がローカルブロックチェーン550に組み込まれるかどうかである。条件561が満足されたあと、変化は他の分割されたグループに公開され、投票のためにローカル車両によって受信される。
図5Bのようなピアツーピア通信方式では、変化は、条件561の満足無しに複数の車両101に公開されてもよい。
【0040】
変化が複数の車両101に公開されたあと、複数の車両のうちの車両110は、変化に対して賛成の、中立の、又は反対の投票をする。次に、分散型車両ネットワークは、
図4に記載されるのと同様の方法で、車両110による承認に基づいて、ブロック554をグローバルブロックチェーン130に組み込むべきかどうかを決定する。すべて又は少なくとも大多数の車両110が変化に賛成の投票をしたあと、分散型車両ネットワークは、分散型車両ネットワーク内の少なくともグローバルしきい値の数の車両が変化を承認(つまり、肯定的に投票)する場合、ブロック554を組み込むことに同意してもよい。車両のグローバル閾値の数は、複数の車両101の30%、又は6車両など、複数の車両101の大多数より少なくてもよい。例えば、
図5A及び5Bに示すように、7台の車両、又は複数の車両のうち1/3が変化を承認する。分散型車両ネットワークは、それが統合の条件を満足するのに十分であると決定し、変化を含むブロック554をブロック131を含むグローバルブロックチェーン130に組み込む。
図5Aのようなピアツーピア通信方式において、ローカルブロックの組み込みが、ブロック554をグローバルブロックチェーン130に組み込むかどうか決定する際の追加の条件として用いられてもよい。
【0041】
図5Bのようなピアツーピア通信方式及び
図5Aのようなグループ間通信方式を比較すると、グループ間通信方式は、複数の車両101に変化を公開する前に、ローカルブロックがローカルブロックチェーンに組み込まれるように求める。グループ間通信方式の利点は、ローカル車両間の通信がより高速でより効率的でありうるという点にある。選択されたグループがローカルブロックを組み込まないと一旦決定すると、他の分割されたグループ201の車両は変化に投票する必要はない。ピアツーピア通信方式の利点は、通信がより分散化され障害に対して回復力があるという点にある。例えば、選択されたグループ外のより多くの車両が変化の現場を訪れた可能性があり、変化を承認することができたときには、グローバルブロックはグループ間方式の下でではなくピアツーピア通信方式の下で組み込まれてもよい。結局のところ、分散型車両ネットワークは、車両101の台数、データ転送のために採用される通信技術及び変化検出に関連した他の要因を考慮して、2つの方式の間の選択をしてもよい。
【0042】
図6を参照すると、分散型車両ネットワークのブロックチェーンにブロックを実装するための例示的なステップのフロー図が示されている。ブロック601において、分散型車両ネットワークのブロックチェーンにブロックを実装するための方法は、道路の変化をローカル車両を含むグループに公開することを含む。ブロック602において、分散型車両ネットワークのブロックチェーンにブロックを実装するための方法は、ローカル車両から変化の承認を受信することを含む。ブロック603において、分散型車両ネットワークのブロックチェーンにブロックを実装するための方法は、少なくともローカル閾値の数のローカル車両が変化を承認するかどうか判定することを含む。ブロック604において、分散型車両ネットワークのブロックチェーンにブロックを実装するための方法は、少なくともローカル閾値の数のローカル車両が変化を承認したと判定したあと、変化のローカルブロックをローカルブロックチェーンに組み込むことを含む。ブロック605において、分散型車両ネットワークのブロックチェーンにブロックを実装するための方法は、道路の静的特徴の変化をネットワークで公開することを含み、変化はネットワークの第1の車両によって検出される。ブロック606において、分散型車両ネットワークのブロックチェーンにブロックを実装するための方法は、ネットワークの車両から変化の承認を受信することを含む。ブロック607において、分散型車両ネットワークのブロックチェーンにブロックを実装するための方法は、少なくとも閾値の数のネットワークの車両が変化を承認するかどうか判定することを含む。ブロック608において、分散型車両ネットワークのブロックチェーンにブロックを実装するための方法は、少なくとも閾値の数のネットワークの車両が変化を承認したと判定したあと、変化のブロックをネットワークのグローバルブロックチェーンに組み込むことを含む。
【0043】
本明細書では特定の実施形態が図示及び説明されているが、請求された主題の精神及び範囲から逸脱することなく、さまざまな他の変更及び修正を行うことができることを理解されたい。さらに、請求された主題のさまざまな態様が本明細書で説明されているが、そのような態様は組み合わせて利用される必要はない。したがって、添付の請求項は、請求された主題の範囲内にあるそのような変更及び修正をすべて網羅することが意図されている。
【0044】
請求された主題の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態にさまざまな修正及び変更を加えることができることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本明細書は、本明細書に記載されたさまざまな実施形態の修正及び変更を、そのような修正及び変更が添付の特許請求の範囲及びその同等物の範囲内にある限り、カバーすることを意図している。
【外国語明細書】