IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025105656
(43)【公開日】2025-07-10
(54)【発明の名称】ポリアミド組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20250703BHJP
【FI】
C08L77/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025067888
(22)【出願日】2025-04-17
(62)【分割の表示】P 2023545638の分割
【原出願日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2021142318
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022063916
(32)【優先日】2022-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】奥村 省吾
(72)【発明者】
【氏名】三上 純
(72)【発明者】
【氏名】家田 真次
(72)【発明者】
【氏名】梅村 亮介
(72)【発明者】
【氏名】三好 貴章
(57)【要約】
【課題】機械物性、180℃下、2000時間程度の長期間での耐熱エージング性、及び電気特性に優れ、80℃、相対湿度95%下における添加剤のブリードアウトが抑制されており、添加剤が水に溶出しにくく、且つ、外観に優れる成形品が得られるポリアミド組成物の提供。
【解決手段】(A)ポリアミドと、前記(A)ポリアミド100質量部に対して、0.1質量部以上3質量部以下の(B)分岐型ポリアミンと、0.05質量部以上3質量部以下の(C)立体障害フェノールと、0.01質量部以上0.5質量部以下の(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料とを含むポリアミド組成物であって、前記ポリアミド組成物の総質量に対する、燃焼イオンクロマトグラフィによって測定される(F)ハロゲン化物イオンの濃度が500質量ppm以下である、ポリアミド組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリアミドと、
前記(A)ポリアミド100質量部に対して、
0.1質量部以上3質量部以下の(B)分岐型ポリアミンと、
0.05質量部以上3質量部以下の(C)立体障害フェノールと、
0.01質量部以上0.5質量部以下の(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料と、
を含むポリアミド組成物であって、
前記ポリアミド組成物の総質量に対する、燃焼イオンクロマトグラフィによって測定される(F)ハロゲン化物イオンの濃度が500質量ppm以下である、ポリアミド組成物。
【請求項2】
前記(A)ポリアミドが、ポリアミド66を含み、
ポリアミド66の含有量が、前記(A)ポリアミドの総質量に対して、50質量%以上である、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項3】
前記(B)分岐型ポリアミンが、ポリエチレンイミンホモポリマー又はコポリマーである、請求項1又は2に記載のポリアミド組成物。
【請求項4】
前記(B)分岐型ポリアミンの重量平均分子量が400以上2000以下である、請求項1又は2に記載のポリアミド組成物。
【請求項5】
前記(C)立体障害フェノールが、1つ以上のアミド基を含有する、請求項1又は2に記載のポリアミド組成物。
【請求項6】
前記(A)ポリアミド100質量部に対して、さらに(E)カーボンブラックを0.01質量部以上0.5質量部以下含む、請求項1又は2に記載のポリアミド組成物。
【請求項7】
前記(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料の質量に対する、燃焼イオンクロマトグラフィによって測定される(F)ハロゲン化物イオンの濃度が1質量%未満である、請求項1又は2に記載のポリアミド組成物。
【請求項8】
前記(B)分岐型ポリアミンと前記(C)立体障害フェノールの重量比率が0.06~30であって、前記(C)立体障害フェノールと前記(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料の重量比率が0.5~60である、請求項1又は2に記載のポリアミド組成物。
【請求項9】
(G)充填材を更に含む、請求項1又は2に記載のポリアミド組成物。
【請求項10】
(A)ポリアミドと、
100質量部の前記(A)ポリアミドに対し、0.1質量部以上3質量部以下の(B)分岐型ポリアミンと、を含むポリアミド組成物であって、
ISO2555に準拠してブルックフィールド粘度計によって測定される20℃における前記(B)分岐型ポリアミンの粘度が、1000mPa・s以上2500mPa・s以下である、ポリアミド組成物。
【請求項11】
前記(A)ポリアミドはポリアミド66を含み、前記ポリアミド66の含有量は前記(A)ポリアミドの総質量に対して50質量%以上である、請求項10に記載のポリアミド組成物。
【請求項12】
前記(B)分岐型ポリアミンが、ポリエチレンイミンホモポリマー又はコポリマーである、請求項10又は11に記載のポリアミド組成物。
【請求項13】
前記(B)分岐型ポリアミンの重量平均分子量は、400以上2000以下である、請求項10又は11に記載のポリアミド組成物。
【請求項14】
前記(A)ポリアミド100質量部に対して、さらに(C)有機熱安定剤を0.05質量部以上3質量部以下含む、請求項10又は11に記載のポリアミド組成物。
【請求項15】
前記(C)有機熱安定剤は(C1)立体障害フェノールである、請求項14に記載のポリアミド組成物。
【請求項16】
前記(C1)立体障害フェノールは、1つ以上のアミド基を含有する、請求項15に記載のポリアミド組成物。
【請求項17】
(D)アジン系染料またはフタロシアニン系染料を更に含む、請求項10又は11に記載のポリアミド組成物。
【請求項18】
前記(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料の質量に対する、燃焼イオンクロマトグラフィによって測定される(F)ハロゲン化物イオンの濃度が1質量%未満である、請求項17に記載のポリアミド組成物。
【請求項19】
前記(A)ポリアミド100質量部に対して、0.001質量部以上0.5質量部以下の(E)カーボンブラックを更に含む、請求項10又は11に記載のポリアミド組成物。
【請求項20】
前記ポリアミド組成物の総質量に対する、燃焼イオンクロマトグラフィによって測定される(F)ハロゲン化物イオンの濃度が500質量ppm以下である、請求項10又は11に記載のポリアミド組成物。
【請求項21】
(G)充填材を更に含む、請求項10又は11に記載のポリアミド組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミドは、強度、耐熱性、耐薬品性に優れ、比重に優れている。すなわち金属よりも比重が小さいことから、従来から金属代替材料として、自動車の機構部品等に使用されている。
【0003】
自動車部品の中には、高温の環境に長時間晒されるものもある。この場合、部品材料には、高温の環境に長時間おかれても強度を保持する熱安定性(以下、「長期耐熱エージング性」という)が求められる。さらに、自動車の電動化、EV化に伴い、電子接点を有する部品であって、かつ高温環境(例えば180℃以下)に晒される部品も存在する。このような部品に使用される材料には、180℃での長期耐熱エージング性と、高い電気特性(例えば体積抵抗率や耐トラッキング性)が求められる。
【0004】
ポリアミドに用いられる熱安定剤として、ハロゲン化銅及びそれと併用されるハロゲン化アルカリ金属が知られている(例えば、特許文献1等参照)。しかしながら、これらの熱安定剤の添加は、熱安定剤としての効果は大きい反面、この熱安定剤に含まれるハロゲン化物イオンによって、電気抵抗率や耐トラッキング性の低下が引き起こされるという課題がある。以上の制約から、180℃における長期耐熱エージング性と、高い電気抵抗率及び高い耐トラッキング性を両立することは難しく、今もなお活発に検討がなされている。
【0005】
以上の背景から、180℃での長期耐熱エージング性、高い電気特性、及び外観のすべてを同時に満たすポリアミド材料の実現が望まれている。
【0006】
ポリアミドの電気特性を損なわずに長期耐熱エージング性を向上させる技術として、例えば、立体障害フェノール、芳香族アミン、立体障害アミンといった有機熱安定剤を使用する方法が知られている。しかしながら、有機熱安定剤単独での使用では、180℃における耐熱エージング性は不十分である。また、長期耐熱エージング性を向上させるために、有機熱安定剤の添加量を増加させると、成形品から添加剤がブリードアウトし、外観が損なわれるという課題がある。
【0007】
一方で、ポリアミド樹脂の長期耐熱エージング性を向上させる技術として、ポリエチレンイミンを、ポリアミドに効果的な熱安定剤として添加する方法が知られている(例えば、特許文献2、3等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8-325382号公報
【特許文献2】特開2019-116607号公報
【特許文献3】特表2012-512301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2及び3では、銅のハロゲン化物を併用する例のみが示されている。ハロゲン化物イオンは、電気特性の低下を引き起こす。また、特許文献2及び3では、レーザーを吸収する添加剤を使用した例について具体的に検討されていない。すなわち、長期耐熱エージング性と電気特性に優れ、外観に優れ、添加剤のブリードアウトの抑制もされたポリアミド樹脂組成物は未だ得られていない。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、機械物性、180℃下、2000時間程度の長期間での耐熱エージング性、及び電気特性に優れ、80℃、相対湿度95%下における添加剤のブリードアウトが抑制されており、添加剤が水に溶出しにくく、且つ、外観に優れる成形品が得られるポリアミド組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1)(A)ポリアミドと、
前記(A)ポリアミド100質量部に対して、
0.1質量部以上3質量部以下の(B)分岐型ポリアミンと、
0.05質量部以上3質量部以下の(C)立体障害フェノールと、
0.01質量部以上0.5質量部以下の(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料と
を含むポリアミド組成物であって、
前記ポリアミド組成物の総質量に対する、燃焼イオンクロマトグラフィによって測定される(F)ハロゲン化物イオンの濃度が500質量ppm以下である、ポリアミド組成物。
(2)前記(A)ポリアミドが、ポリアミド66を含み、ポリアミド66の含有量が、前記(A)ポリアミドの総質量に対して、50質量%以上である、(1)に記載のポリアミド組成物。
(3)前記(B)分岐型ポリアミンが、(Ba)ポリエチレンイミンホモポリマー又はコポリマーである、(1)又は(2)に記載のポリアミド組成物。
(4)前記(B)分岐型ポリアミンの重量平均分子量が400以上2000以下である、(1)~(3)のいずれか一つに記載のポリアミド組成物。
(5)前記(C)立体障害フェノールが、1つ以上のアミド基を含有する、(1)~(4)のいずれか一つに記載のポリアミド組成物。
(6)前記(A)ポリアミド100質量部に対して、さらに(E)カーボンブラックを0.01質量部以上0.5質量部以下含む、(1)~(5)のいずれか一つに記載のポリアミド組成物。
(7)前記(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料の質量に対する、燃焼イオンクロマトグラフィによって測定される(F)ハロゲン化物イオンの濃度が1質量%未満である、(1)~(6)のいずれか一つに記載のポリアミド組成物。
(8)前記(B)分岐型ポリアミンと前記(C)立体障害フェノールの重量比率が0.06~30であって、前記(C)立体障害フェノールと前記(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料の重量比率が0.5~60である、(1)~(7)のいずれか一つに記載のポリアミド組成物。
(9)(G)充填材を更に含む、(1)~(8)のいずれか一つに記載のポリアミド組成物。
(10)(A)ポリアミドと、
100質量部の前記(A)ポリアミドに対し、0.1質量部以上3質量部以下の(B)分岐型ポリアミンと、を含むポリアミド組成物であって、
ISO2555に準拠してブルックフィールド粘度計によって測定される20℃における前記(B)分岐型ポリアミンの粘度が、1000mPa・s以上2500mPa・s以下である、ポリアミド組成物。
(11)前記(A)ポリアミドはポリアミド66を含み、前記ポリアミド66の含有量は前記(A)ポリアミドの総質量に対して50質量%以上である、(10)に記載のポリアミド組成物。
(12)前記(B)分岐型ポリアミンが、(Ba)ポリエチレンイミンホモポリマー又はコポリマーである、(10)又は(11)に記載のポリアミド組成物。
(13)前記(B)分岐型ポリアミンの重量平均分子量は、400以上2000以下である、(10)~(12)のいずれか一つに記載のポリアミド組成物。
(14)前記(A)ポリアミド100質量部に対して、さらに(C)有機熱安定剤を0.05質量部以上3質量部以下含む、(10)~(13)のいずれか一つに記載のポリアミド組成物。
(15)前記(C)有機熱安定剤は(C1)立体障害フェノールである、(14)に記載のポリアミド組成物。
(16)前記(C1)立体障害フェノールは、1つ以上のアミド基を含有する、(15)に記載のポリアミド組成物。
(17)(D)アジン系染料またはフタロシアニン系染料を更に含む、(10)~(16)のいずれか1つに記載のポリアミド組成物。
(18)前記(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料の質量に対する、燃焼イオンクロマトグラフィによって測定される(F)ハロゲン化物イオンの濃度が1質量%未満である、(17)に記載のポリアミド組成物。
(19)前記(A)ポリアミド100質量部に対して、0.001質量部以上0.5質量部以下の(E)カーボンブラックを更に含む、(10)~(18)のいずれか一つに記載のポリアミド組成物。
(20)前記ポリアミド組成物の総質量に対する、燃焼イオンクロマトグラフィによって測定される(F)ハロゲン化物イオンの濃度が500質量ppm以下である、(10)~(19)のいずれか一つに記載のポリアミド組成物。
(21)(G)充填材を更に含む、請求項10~20のいずれか一つに記載のポリアミド組成物。
【発明の効果】
【0012】
上記態様のポリアミド組成物によれば、機械物性、180℃下、2000時間程度の長期間での耐熱エージング性、及び電気特性に優れ、80℃、相対湿度95%下における添加剤のブリードアウトが抑制されており、添加剤が水に溶出しにくく、且つ、外観に優れる成形品が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0014】
なお、本明細書において、「ポリアミド」とは主鎖中にアミド(-NHCO-)基を有する重合体を意味する。
【0015】
≪ポリアミド組成物(1)≫
本発明の一つの実施形態のポリアミド組成物は、
(A)ポリアミドと、
前記(A)ポリアミド100質量部に対して、
0.1質量部以上3質量部以下の(B)分岐型ポリアミンと、
0.05質量部以上3質量部以下の(C)立体障害フェノールと、
0.01質量部以上0.5質量部以下の(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料と、
を含む。
【0016】
また、ポリアミド組成物の総質量に対する、燃焼イオンクロマトグラフィによって測定される(F)ハロゲン化物イオンの濃度が500質量ppm以下である。
【0017】
本実施形態のポリアミド組成物は、上記構成を有することで、180℃下、2000時間程度の長期間での耐熱エージング性、及び電気特性に優れ、80℃、相対湿度95%下における添加剤のブリードアウトが抑制されており、且つ、外観及びレーザーマーキング性に優れる成形品が得られる。
【0018】
なお、以降において、上記(A)ポリアミド~(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料および(F)ハロゲン化物イオンをそれぞれ、(A)成分~(D)成分および(F)成分と称する場合がある。
【0019】
本実施形態のポリアミド組成物の各構成要素について以下に詳細を説明する。
【0020】
<(A)ポリアミド>
(A)ポリアミドとしては、例えば、(a-1)ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、(a-2)ω-アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、(a-3)ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びに、これらの共重合物等が挙げられる。ポリアミドとしては、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0021】
(a-1)ポリアミドの製造に用いられるラクタムとしては、以下に制限されないが、例えば、ピロリドン、カプロラクタム、ウンデカラクタム、ドデカラクタム等が挙げられる。
(a-2)ポリアミドの製造に用いられるω-アミノカルボン酸としては、以下に制限されないが、例えば、上記ラクタムの水による開環化合物であるω-アミノ脂肪酸等が挙げられる。
また、上記ラクタム又は上記ω-アミノカルボン酸としては、それぞれ2種以上の単量体を併用して縮合させてもよい。
【0022】
(a-3)ポリアミドの製造に用いられるジアミン(単量体)としては、以下に制限されないが、例えば、直鎖状の脂肪族ジアミン、分岐鎖状の脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、芳香族ジアミン等が挙げられる。
直鎖状の脂肪族ジアミンとしては、以下に制限されないが、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族ジアミンとしては、以下に制限されないが、例えば、2-メチルペンタンジアミン、2-エチルヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
脂環族ジアミンとしては、以下に制限されないが、例えば、シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミン、シクロオクタンジアミン等が挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、以下に制限されないが、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン等が挙げられる。
(a-3)ポリアミドの製造に用いられるジカルボン酸(単量体)としては、以下に制限されないが、例えば、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、以下に制限されないが、例えば、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸等が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸としては、以下に制限されないが、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、以下に制限されないが、例えば、フタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。
上記した単量体としてのジアミン及びジカルボン酸は、それぞれ単独又は2種以上組み合わせて縮合させてもよい。
【0023】
ポリアミド組成物に含まれるポリアミドとして具体的には、例えば、ポリアミド4(ポリα-ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド56(ポリペンタメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ポリアミド612(ポリヘキサメチレンドデカミド)、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)、及び、これらを構成成分として含む共重合ポリアミド等が挙げられる。
中でも、ポリアミドとしては、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド610(PA610)、又は、ポリアミド612(PA612)が好ましい。PA66は、耐熱性、成形性及び靭性に優れていることから、自動車部品に好適な材料である。また、PA610、PA612等の長鎖脂肪族ポリアミドは、耐薬品性に優れる。
【0024】
また、耐熱性、成形性及び靭性の観点から、(A)ポリアミドの総質量に対するPA66の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、80質量%以上であることがよりさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましく、100質量%以上であることが最も好ましい。
【0025】
[末端封止剤]
(A)ポリアミドの末端は、公知の末端封止剤により末端封止されていてもよい。
このような末端封止剤は、上記ジカルボン酸と上記ジアミンと、必要に応じて、上記ラクタム及び上記アミノカルボン酸のうち少なくともいずれか一方とから、ポリアミドを製造する際に、分子量調節剤としても添加することができる。
【0026】
末端封止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類等が挙げられる。酸無水物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、無水フタル酸等が挙げられる。これら末端封止剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、末端封止剤としては、モノカルボン酸又はモノアミンが好ましい。ポリアミドの末端が末端封止剤で封鎖されていることにより、熱安定性により優れるポリアミド組成物となる傾向にある。
【0027】
末端封止剤として使用できるモノカルボン酸としては、ポリアミドの末端に存在し得るアミノ基との反応性を有するものであればよい。モノカルボン酸として具体的には、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族モノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸等が挙げられる。
脂環族モノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、シクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。
芳香族モノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、安息香酸、トルイル酸、α-ナフタレンカルボン酸、β-ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等が挙げられる。
これらモノカルボン酸は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
末端封止剤として使用できるモノアミンとしては、ポリアミドの末端に存在し得るカルボキシ基との反応性を有するものであればよい。モノアミンとして具体的には、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族モノアミン、脂環族モノアミン、芳香族モノアミン等が挙げられる。
脂肪族アミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等が挙げられる。
脂環族アミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等が挙げられる。
これらモノアミンは、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
末端封止剤により末端封止された(A)ポリアミドを含有するポリアミド組成物は、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性及び剛性により優れる傾向にある。
【0030】
[(A)ポリアミドの含有量]
ポリアミド組成物中の(A)ポリアミドは、ポリアミドの総質量に対して、例えば40.0質量%以上99.8質量%以下とすることができ、例えば50.0質量%以上90.0質量%以下とすることができ、例えば55.0質量%以上80.0質量%以下とすることができる。
【0031】
[(A)ポリアミドの製造方法]
(A)ポリアミドを製造する際に、ジカルボン酸の添加量とジアミンの添加量とは、同モル量付近であることが好ましい。重合反応中のジアミンの反応系外への逃散分もモル比においては考慮して、ジカルボン酸全体のモル量1に対して、ジアミン全体のモル量は、0.9以上1.2以下が好ましく、0.95以上1.1以下が好ましく、0.98以上1.05以下がさらに好ましい。
【0032】
(A)ポリアミドの製造方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジカルボン酸単位を構成するジカルボン酸と、ジアミン単位を構成するジアミンと、必要に応じて、ラクタム単位を構成するラクタム及びアミノカルボン酸単位を構成するアミノカルボン酸のうち少なくともいずれかと、を重合して重合体を得る工程を含む。
また、ポリアミドの製造方法において、ポリアミドの重合度を上昇させる工程を、さらに含むことが好ましい。
また、必要に応じて、得られた重合体の末端を末端封止剤により封止する封止工程を含んでもよい。
【0033】
ポリアミドの具体的な製造方法としては、例えば、以下の1)~4)に例示するように種々の方法が挙げられる。
1)ジカルボン酸-ジアミン塩若しくはジカルボン酸とジアミンとの混合物の水溶液、又は、これらの水の懸濁液を加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(以下、「熱溶融重合法」と称する場合がある)。
2)熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下、「熱溶融重合・固相重合法」と称する場合がある)。
3)ジカルボン酸-ジアミン塩、又は、ジカルボン酸とジアミンとの混合物を固体状態を維持したまま重合させる方法(以下、「固相重合法」と称する場合がある)。
4)ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド成分及びジアミン成分を用いて重合させる方法(以下、「溶液法」と称する場合がある)。
中でも、ポリアミドの具体的な製造方法としては、熱溶融重合法を含む製造方法が好ましい。また、熱溶融重合法によりポリアミドを製造する際には、重合が終了するまで、溶融状態を保持することが好ましい。溶融状態を保持する方法としては、例えば、ポリアミドの組成に適した重合条件で製造する方法等が挙げられる。重合条件としては、例えば、以下に示す条件等が挙げられる。まず、熱溶融重合法における重合圧力を14kg/cm以上25kg/cm以下(ゲージ圧)に制御し、加熱を続ける。次いで、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm)になるまで30分以上かけながら降圧することで、所望の組成のポリアミドが得られる。
【0034】
ポリアミドの製造方法において、重合形態としては、特に限定されず、バッチ式でも連続式でもよい。
ポリアミドの製造に用いる重合装置としては、特に限定されるものではなく、公知の装置を用いることができ、例えば、オートクレーブ型の反応器、タンブラー型反応器、ニーダー等の押出機型反応器等が挙げられる。
【0035】
以下、ポリアミドの製造方法として、バッチ式の熱溶融重合法によりポリアミドを製造する方法を具体的に示すが、ポリアミドの製造方法は、これに限定されない。
まず、ポリアミドの原料成分(ジカルボン酸、ジアミン、並びに、必要に応じて、ラクタム及びアミノカルボン酸のうち少なくともいずれか)を、約40質量%以上60質量%以下含有する水溶液を、110℃以上180℃以下の温度、及び、約0.035MPa以上0.6MPa以下(ゲージ圧)の圧力で操作される濃縮槽で、約65質量%以上90質量%以下に濃縮して濃縮溶液を得る。
次いで、得られた濃縮溶液をオートクレーブに移し、当該オートクレーブにおける圧力が約1.2MPa以上2.2MPa以下(ゲージ圧)になるまで加熱を続ける。
その後、オートクレーブにおいて、水及びガス成分のうち少なくともいずれかを抜きながら圧力を約1.2MPa以上2.2MPa以下(ゲージ圧)に保ち、温度が約220℃以上260℃以下に達した時点で、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。
オートクレーブ内の圧力を大気圧に降圧後、必要に応じて減圧することにより、副生する水を効果的に除くことができる。
その後、オートクレーブを窒素等の不活性ガスで加圧し、オートクレーブからポリアミド溶融物をストランドとして押し出す。押し出されたストランドを、冷却、カッティングすることにより、ポリアミドのペレットを得る。
【0036】
[(A)ポリアミドのポリマー末端]
(A)ポリアミドのポリマー末端としては、特に限定されないが、以下のように分類され、定義することができる。
すなわち、1)アミノ末端、2)カルボキシ末端、3)封止剤による末端、4)その他の末端である。
1)アミノ末端は、アミノ基(-NH基)を有するポリマー末端であり、原料のジアミン単位に由来する。
2)カルボキシ末端は、カルボキシ基(-COOH基)を有するポリマー末端であり、原料のジカルボン酸に由来する。
3)封止剤による末端は、重合時に封止剤を添加した場合に形成される末端である。封止剤としては、上述した末端封止剤が挙げられる。
4)その他の末端は、上述した1)~3)に分類されないポリマー末端である。その他の末端として具体的には、例えば、アミノ末端が脱アンモニア反応して生成した末端、カルボキシ末端から脱炭酸反応して生成した末端等が挙げられる。
【0037】
[(A)ポリアミドの特性]
((A)ポリアミドの分子量)
ポリアミドの分子量の指標としては、重量平均分子量Mwを利用できる。ポリアミドの重量平均分子量Mwは、例えば10000以上100000以下とすることができ、例えば15000以上95000以下とすることができ、例えば20000以上90000以下とすることができ、例えば25000以上85000以下とすることができる。
なお、重量平均分子量Mwの測定は、下記実施例に記載するように、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
【0038】
((A)ポリアミドの分子量分布)
ポリアミドの分子量分布は、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnを指標とする。
ポリアミドのMw/Mnは、1.8以上とすることができ、例えば1.8以上3.0以下とすることができ、例えば1.9以上2.5以下とすることができる。
【0039】
ポリアミドのMw/Mnを上記範囲内に制御する方法としては、例えば、ポリアミドの熱溶融重合時の添加物としてリン酸や次亜リン酸ナトリウムのような公知の重縮合触媒を加える方法、及び、加熱条件や減圧条件のような重合条件を制御する方法等が挙げられる。
ポリアミドのMw/Mnは、下記実施例に記載するように、GPCを用いて得られた重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを使用して計算することができる。
【0040】
<(B)分岐型ポリアミン>
(B)分岐型ポリアミンとしては、例えばポリアルキレンイミン、ポリアルキレンポリアミンが挙げられる。ポリアルキレンイミンとしては、ポリエチレンイミン、ポリトリメチレンイミンなどが挙げられる。
【0041】
(B)分岐型ポリアミンの中でも、耐熱エージング性、成型品の強度・外観の点で、(Ba)ポリエチレンイミンホモポリマー又はコポリマーが特に好ましい。
【0042】
本明細書における「ポリエチレンイミン」とは、UllMannの電子版にキーワード「アジリジン」で記載されている方法、又は国際公開第94/012560号(参考文献1)に記載されている方法により得られるホモポリマー及びコポリマーである。
以降、「(Ba)ポリエチレンイミンホモポリマー又はコポリマー」を「(Ba)ポリエチレンイミン」と称する場合がある。
【0043】
一般的に、前記エチレンイミンのホモポリマーは、反応開始剤、酸又はルイス酸の存在下で、水溶液又は有機溶液中でのエチレンイミン(アジリジン)の重合により得られる。
このような方法により得られるエチレンイミンのホモポリマーは、一般的に、第一級、第二級、第三級アミノ基を、第一級アミノ基:第二級アミノ基:第三級アミノ基=約30%:40%:30%のモル比で含有する分岐ポリマーである。アミノ基の分布は13C-NMR分光法を用いて測定することができる。
【0044】
前記エチレンイミンのコポリマーを形成するためのコモノマーとしては、上記のように、少なくとも2個のアミノ基を有するアミンが挙げられる。
当該コモノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルキレン基中に2個以上10個以下のC原子を有するアルキレンジアミンが挙げられる。特に、エチレンジアミン又はプロピレンジアミンが好ましい。
前記コモノマーとしては、上記の他に、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、ジヘキサメチレントリアミン、アミノプロピルエチレンジアミン、ビスアミノプロピルエチレンジアミン等が挙げられる。
【0045】
(Ba)ポリエチレンイミンとしては、上記の他、ポリエチレンイミンと、官能基として少なくとも1つのハロゲンヒドリン-、グリシジル-、アジリジン-、イソシアネート単位、及びハロゲン原子からなる群より選ばれるものを有する二官能性又は多官能性架橋剤との反応により得られる架橋性ポリエチレンイミンが好適なものとして挙げられる。
例えば、ポリアルキレングリコールと、エチレンオキシド単位及びプロピレンオキシド単位からなる群より選ばれるいずれかの単位2以上100以下とのエピクロロヒドロリン;ビスクロロヒドリンエーテル、独国特許出願公開第19931720号明細書(参考文献2)及び米国特許第4144123号明細書(参考文献3)中に記載されている化合物等が挙げられる。
架橋性ポリエチレンイミンの製造方法としては、上記の参考文献や、欧州特許出願公開第0895521号明細書(参考文献4)及び欧州特許出願公開第0025515号明細書(参考文献5)に記載されている方法を適用できる。
【0046】
さらに、(Ba)ポリエチレンイミンとしては、グラフト化ポリエチレンイミンも好適なものとして挙げられる。
グラフト剤としては、ポリエチレンイミンのアミノ基又はイミノ基と反応し得る全ての化合物が使用できる。
グラフト剤及びグラフト化ポリエチレンイミンの製造方法としては、例えば、欧州特許出願公開第0675914号明細書(参考文献6)に記載されている方法を適用できる。
【0047】
また、(Ba)ポリエチレンイミンは、カルボン酸、カルボン酸のエステル若しくは無水物、カルボン酸アミド又はカルボン酸ハロゲン化物との反応により得られるアミド化されていてもよい。ポリエチレンイミン鎖中のアミド化窒素原子の割合に応じて、アミド化ポリマーは、所定の架橋剤により後から架橋されうる。この際、前記引き続く架橋反応のために、なお十分に第一級窒素原子及び第二級窒素からなる群より選ばれる少なくともいずれかの原子を供給できるように、アミノ官能基の30モル%までがアミド化される。すなわち、アミド化ポリマー中において、十分な量の第一級窒素原子及び第二級窒素からなる群より選ばれる少なくともいずれかの原子が存在している状態を確保するために、アミド化ポリマー中のアミノ官能基は、30モル%以下の割合でアミド化されていることが好ましい。
なお、カルボン酸類はアミド化により全て消費され、アミド化ポリマーにカルボン酸末端基は無く、有機酸とは明確に区別できる。
【0048】
また、(Ba)ポリエチレンイミンは、例えば、ポリエチレンイミンとエチレンオキシド及びプロピレンオキシドからなる群より選ばれる少なくともいずれかとの反応より得られるアルコキシ化ポリエチレンイミンであってもよい。このようなアルコキシル化ポリマーはその後、架橋可能である。
【0049】
また、(Ba)ポリエチレンイミンは、例えば、ポリアミド樹脂との親和性の観点から、ヒドロキシ基含有ポリエチレンイミン及び両性ポリエチレンイミン(アニオン性基の組み込み)、並びに、一般に、長鎖炭化水素基のポリマー鎖中への組み込みにより得られる親油性ポリエチレンイミンであってもよい。このようなポリエチレンイミンポリマーの製造方法は、本技術分野の当業者に公知である。
【0050】
[(Ba)ポリエチレンイミンの特性]
((Ba)ポリエチレンイミンの重量平均分子量)
(Ba)ポリエチレンイミンの重量平均分子量は、100以上3000000以下であることが好ましく、200以上2000000以下であることがより好ましく、300以上20000以下がさらに好ましく、400以上2000以下が特に好ましく、700以上1000以下が最も好ましい。
(Ba)ポリエチレンイミンの重量平均分子量が上記下限値以上であることで、耐熱エージング性をより良好なものとすることができる。一方で、(Ba)ポリエチレンイミンの重量平均分子量が上記上限値以下であることで、成形品としたときの外観をより良好なものとすることができる。
(Ba)ポリエチレンイミンの重量平均分子量は、光散乱法により測定することができる。
【0051】
((Ba)ポリエチレンイミンの粘度)
(Ba)ポリエチレンイミンの粘度は1000mPa・s以上2500mPa・s以下であることが好ましく、1200mPa・s以上2300mPa・s以下がより好ましく、1200mPa・s以上2100mPa・s以下がさらに好ましく、1400mPa・s以上1900Pa・smPa・s以下が特に好ましい。
(Ba)ポリエチレンイミンの粘度が上記下限値以上であると、耐熱エージング性と機械物性がより良好となる。
(Ba)ポリエチレンイミンの粘度が上記上限値以下であると、成形品としたときの耐熱エージング性及び外観がより良好となり、かつ成形品に含まれる(B)ポリエチレンイミンが水に溶出しにくくなる。
(Ba)ポリエチレンイミンの粘度は、20℃においてISO2555に準拠してブルックフィールド粘度計によって測定することができる。
【0052】
[(Ba)ポリエチレンイミンの含有量]
本実施形態のポリアミド組成物において、成形品としたときの耐熱エージング性、外観、強度及び剛性の観点から、(Ba)ポリエチレンイミンの含有量は、(A)ポリアミド100質量部に対して、0.1質量部以上3質量部以下であり、0.2質量部以上2質量部以下であることが好ましく、0.3質量部以上1.4質量部以下であることがより好ましい。
(Ba)ポリエチレンイミンの含有量が上記下限値以上であることで、耐熱エージング性及び外観が向上する。一方、(Ba)ポリエチレンイミンの含有量が上記上限値以下であることで、成形品としたときの強度及び剛性等が向上する。
【0053】
<(C)立体障害フェノール>
本実施形態のポリアミド組成物は、(C)立体障害フェノールを含むことで、成形品としたときの耐熱エージング性に優れ、且つ、80℃、相対湿度95%下における添加剤のブリードアウトを抑制することができる。
【0054】
(C)立体障害フェノールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、N,N’-ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2-チオビス(4-メチル-6-1-ブチルフェノール)、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロキシンナマミド)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルフォスファスフォネート-ジエチルエステル、1,3,5-トリメチル-2,4、6-トリス(3,5-ジ-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルスルホン酸エチルカルシウム、トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイト、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレンビス-(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス-(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、オクチル化ジフェニルアミン、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-o-クレゾール、イソオクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス[3,3’-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-sec-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、d-α-トコフェロール等が挙げられる。
【0055】
上記で列挙した(C)立体障害フェノールの中でも、1つ以上のアミド基を有する立体障害フェノールが好ましく、N,N’-ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]がより好ましい。1つ以上のアミド基を有する(C)立体障害フェノールは、アミド基を有さない(C)立体障害フェノールと比較し、(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料とより強く相互作用することによって、(C)立体障害フェノールのブリードアウトがより効果的に抑制される。
【0056】
[(C)立体障害フェノールの含有量]
本実施形態のポリアミド組成物において、成形品としたときの耐熱エージング性及びブリードアウトの抑制の観点から、(C)立体障害フェノールの含有量は、(A)ポリアミド100質量部に対して、0.05質量部以上3質量部以下であり、0.1質量部以上2質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上1.5質量部以下であることがより好ましい。
(C)立体障害フェノールの含有量が上記下限値以上であることで、耐熱エージング性が向上する。一方、(C)立体障害フェノールの含有量が上記上限値以下であることで、ブリードアウトを抑制することができる。
本実施形態のポリアミド組成物において、成形品としたときの耐熱エージング性、機械物性、ブリードアウトの抑制の観点から、(B)分岐型ポリアミンと(C)立体障害フェノールの含有量の重量比率は、0.06~30であることが好ましく、0.3~8.0であることがより好ましく、0.67~5.0であることがさらに好ましい。
(B)分岐型ポリアミンと(C)立体障害フェノールの含有量の重量比率が上記下限値以上であることで、耐熱エージング性が向上し、(C)立体障害フェノールのブリードアウトを防ぐことができる。一方、(B)分岐型ポリアミンと(C)立体障害フェノールの含有量の重量比率が上記上限値以下であることで、耐熱エージング性と機械物性が向上する。
【0057】
<(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料>
本実施形態のポリアミド組成物は、(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料を含むことで、これらが結晶化遅延剤として働き、成形品の外観を一層向上させる。
【0058】
アジン系染料としては、ニグロシンが好ましい。フタロシアニン系染料としては、銅フタロシアニン系染料が好ましい。
【0059】
(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料には、(C)立体障害フェノールとの相互作用により、(C)立体障害フェノールのブリードアウトを抑制する効果がある。このブリードアウト抑制効果の大きさの観点から、(D)成分のうち、アジン系染料を使用することが好ましく、ニグロシンがより好ましい。このとき、アミド基を有する(C)立体障害フェノールとニグロシンが強く相互作用することによって、(C)立体障害フェノールのブリードアウトはより一層抑制される。
【0060】
[(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料の含有量]
本実施形態のポリアミド組成物において、(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料の含有量は、(A)ポリアミド100質量部に対して、0.01質量部以上0.5質量部以下であり、0.05質量部以上0.32質量部以下であることが好ましく、0.08質量部以上0.2質量部であることがより好ましい。
(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料の含有量が上記下限値以上であることで、成形品としたときの外観が良好になり、さらに(C)立体障害フェノールのブリードアウトを防ぐことができる。一方、(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料の含有量が上記上限値以下であることで、成形品の強度及び剛性等の低下を防ぐことができる傾向がある。
本実施形態のポリアミド組成物において、(C)立体障害フェノールと(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料の含有量の重量比率は0.5~60であることが好ましく、1.0~20であることがより好ましく、1.67~12であることがさらに好ましい。
(C)立体障害フェノールと(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料の含有量の重量比率が上記下限値以上であることで、引張強度を向上させることができる。(C)立体障害フェノールと(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料の含有量の重量比率が上記上限値以下であることで、(C)立体障害フェノールのブリードアウトを防ぐことができる。
【0061】
[ハロゲン化物イオンの含有量]
(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料には、ハロゲン化物イオンが含まれることがある。ハロゲン化物イオンは電気特性の低下を引き起こすことから、(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料に含まれるハロゲン化物イオンの濃度は、(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料の質量に対して、1質量%未満であることが好ましく、0.6質量%未満であることがさらに好ましく、0.2質量%未満であることがさらに好ましい。ここで、ハロゲン化物イオンの濃度は燃焼イオンクロマトグラフィによって測定される。
【0062】
<(E)カーボンブラック>
本実施形態のポリアミド組成物は、(E)カーボンブラックを含むことができる。(E)カーボンブラックを含むことで、レーザーマーキング性を良好なものとすることができる。また、(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料と共に使用することで、(E)カーボンブラックが結晶核剤として働いても、(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料の結晶化遅延効果によって、成形品としたときの外観が損なわれずに良好なものとすることができる。
【0063】
なお、ここでいうレーザーマーキングとは、品名、製造番号、注意事項等を、レーザーを用いて、印刷することを示す。レーザーマーキングを可能にするためには、レーザーを吸収する添加剤として、(E)カーボンブラック等の黒色の添加剤が用いられる。
【0064】
しかしながら、このようなレーザーを吸収する添加剤は、結晶核剤として働くことがあり、マトリックス樹脂の結晶化を促進する。これゆえに、成形品の外観が損なわれやすくなる。
【0065】
本実施形態のポリアミド組成物は、(D)成分と共に使用する場合には、(E)カーボンブラックが結晶核剤として働いても、(D)成分の結晶化遅延効果によって、成形品としたときの外観が損なわれずにより良好なものとすることができる。
【0066】
(E)カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、ガスブラック、オイルブラックが挙げられる。これら(E)カーボンブラックは単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0067】
[(E)カーボンブラックの含有量]
本実施形態のポリアミド組成物において、(E)カーボンブラックの含有量は、(A)ポリアミド100質量部に対して、0.01質量部以上0.5質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上0.25質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以上0.2室慮部以下であることがさらに好ましい。
(E)カーボンブラックの含有量が上記下限値以上であることで、レーザーによる加熱効率が向上し、レーザーマーキング性が良好なものとなる。一方、(E)カーボンブラックの含有量が上記上限値以下であることで、加熱による樹脂の炭化を防ぐことができる。
【0068】
<(F)ハロゲン化物イオン>
本実施形態のポリアミド組成物において、(F)ハロゲン化物イオンの濃度は、ポリアミド組成物の総質量に対して、500質量ppm以下であり、400質量ppm以下であることが好ましく、300質量ppm以下であることがより好ましく、200質量ppm以下であることがさらに好ましく、100質量ppm以下であることが特に好ましい。
一方、(F)ハロゲン化物イオンの濃度の下限値は少なければ少ないほど好ましいが、例えば、0.0質量ppmとすることができ、0.1質量ppmとすることができ、1質量ppmとすることができる。
【0069】
本実施形態のポリアミド組成物において、(A)成分~(E)成分には、その製法に応じて、ハロゲン化物イオンが不純物として含まれることがある。本実施形態のポリアミド組成物において、(F)ハロゲン化物イオンが上記上限値超含まれると、体積抵抗率や耐トラッキング性といった電気特性が損なわれる虞がある。そのため、(A)成分~(E)成分それぞれに含まれる(F)ハロゲン化物イオンの量を抑え、ポリアミド組成物に含まれる(F)ハロゲン化物イオンの濃度を上記上限値以下とすることで、成形品としたときの電気特性に優れるポリアミド組成物が得られる。
【0070】
<(G)充填材>
本実施形態のポリアミド組成物は、(A)成分~(E)成分に加えて、(G)充填材を更に含むことが好ましい。本実施形態のポリアミド組成物は、(G)充填材を含むことで、形品としたときの強度及び剛性等の機械物性がより向上させることができる。
【0071】
(G)充填材としては、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、ゼオライト、ベーマイト、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、黄銅、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母、アパタイト、ミルドファイバー等が挙げられる。これら(G)充填材は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
中でも、(G)充填材としては、剛性及び強度等の観点で、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、タルク、カオリン、マイカ、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、カーボンナノチューブ、グラファイト、フッ化カルシウム、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母、又は、アパタイトが好ましい。
また、(G)充填材としては、ガラス繊維、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ウォラストナイト、及びミルドファイバーからなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましく、ガラス繊維又は炭素繊維がさらに好ましく、ガラス繊維が特に好ましい。
【0073】
(G)充填材がガラス繊維又は炭素繊維である場合、数平均繊維径(d1)が3μm以上30μm以下であることが好ましい。また、重量平均繊維長(L)が100μm以上5mm以下であることが好ましい。さらに、重量平均繊維長(L)に対する数平均繊維径(d1)のアスペクト比((L)/(d1))が10以上100以下であるものが好ましい。上記構成のガラス繊維又は炭素繊維を用いることで、より高い特性を発現することができる。
【0074】
また、(G)充填材がガラス繊維である場合、数平均繊維径(d1)が3μm以上30μm以下であることがより好ましい。重量平均繊維長(L)が103μm以上5mm以下であることがより好ましい。さらに、アスペクト比((L)/(d1))が3以上100以下であるものがより好ましい。
【0075】
(G)充填材の数平均繊維径及び重量平均繊維長は、以下の方法を用いて測定することができる。
まず、成形品を、ギ酸等の、(A)ポリアミドが可溶な溶媒で溶解する。次いで、得られた不溶成分の中から、例えば100本以上の(G)充填材を任意に選択する。次いで、(G)充填材を光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡等で観察し、測定した繊維径の合計を、測定した(G)充填材の数で割ることで、数平均繊維径を求めることができる。或いは、測定した繊維長の合計を、測定した(G)充填材の合計重量で割ることで、重量平均繊維長を求めることができる。
【0076】
[(G)充填材の含有量]
本実施形態のポリアミド組成物において、(G)充填材の含有量は、(A)ポリアミド100質量部に対して、0質量部以上150質量部以下であることが好ましく、10質量部以上140質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上135質量部以下であることがさらに好ましく、25質量部以上130質量部以下であることが特に好ましく、30質量部以上100質量部以下であることが最も好ましい。
(G)充填材の含有量が上記下限値以上であることにより、成形品の強度及び剛性等の機械物性がより向上する傾向にある。一方、(G)充填材の含有量が上記上限値以下であることにより、表面外観により優れ、且つ、レーザーマーキング性により優れる成形品を得ることができる傾向にある。
特に、(G)充填材がガラス繊維であり、且つ、(G)充填材の含有量が、(a)ポリアミド100質量部に対して、上記範囲であることにより、成形品の強度及び剛性等の機械物性がさらに向上する傾向にある。
【0077】
<その他の添加剤>
ポリアミド組成物は、本実施形態の目的を損なわない範囲で、ポリアミドに慣用的に用いられるその他の添加剤を含有することもできる。その他の添加剤としては、例えば、フィブリル化剤、潤滑剤、蛍光漂白剤、可塑化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、流動性改良剤、補強剤、展着剤、造核剤、ゴム、強化剤、その他のポリマー等が挙げられる。本実施形態のポリアミド組成物中のその他の添加剤の含有量は、その目的に応じて、適宜当業者が設定することができる。
【0078】
<ポリアミド組成物の製造方法>
ポリアミド組成物の製造方法において、各構成成分を添加する方法は、(A)成分~(E)成分と、必要に応じて、(G)成分や上述したその他の添加剤を混合する方法であれば、特に限定されるものではない。
【0079】
構成材料の混合方法として、例えば、ヘンシェルミキサー等を用いて混合し溶融混練機に供給し混練する方法や、トップフィーダーから単軸又は2軸押出機で溶融状態にした(A)成分、並びに、(B)成分~(E)成分と、サイドフィーダーから必要に応じて、充填材(C)やその他の添加剤(D)を配合する方法等が挙げられる。
【0080】
ポリアミド組成物を構成する成分を溶融混練機に供給する方法は、すべての構成成分を同一の供給口に一度に供給してもよく、(A)成分~(E)成分、及び必要に応じて(G)成分をそれぞれ異なる供給口から供給してもよい。
【0081】
溶融混練温度は、樹脂温度にして250℃以上375℃以下程度であることが好ましい。
【0082】
溶融混練時間は、0.5分間以上5分間以下程度であることが好ましい。
【0083】
溶融混練を行う装置としては、特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、単軸又は2軸押出機、バンバリーミキサー、ミキシングロール等の溶融混練機を用いることができる。
≪ポリアミド組成物(2)≫
本発明のもう一つの実施形態のポリアミド組成物は、
(A)ポリアミドと、
100質量部の前記(A)ポリアミドに対し、0.1質量部以上3質量部以下の(B)分岐型ポリアミンと、を含む。
また、ISO2555に準拠してブルックフィールド粘度計によって測定される20℃における前記(B)分岐型ポリアミンの粘度が、1000mPa・s以上2500mPa・s以下である。
【0084】
本実施形態のポリアミド組成物は、上記構成を有することで、耐熱エージング性、電気特性、外観、及び機械物性に優れ、添加剤が水に溶出し難い成形品が得られる。
【0085】
本実施形態のポリアミド組成物の各構成要素について以下に詳細を説明する。
[(A)ポリアミド]
本実施形態のポリアミド組成物において、(A)ポリアミドは、上述の≪ポリアミド組成物(1)≫の<(A)ポリアミド>に記載のとおりである。
【0086】
[(B)分岐型ポリアミン]
本実施形態のポリアミド組成物において、(B)分岐型ポリアミンは、上述の≪ポリアミド組成物(1)≫の<(B)分岐型ポリアミン>に記載のとおりである。
【0087】
[(C)有機熱安定剤]
本実施形態のポリアミド組成物は、(C)有機熱安定剤を含むことができる。(C)有機熱安定剤を含むことで、成形品としたときの耐熱エージング性をより良好なものすることができる。
本実施形態のポリアミド組成物において、成形品としたときの耐熱エージング性及びブリードアウトの抑制の観点から、(C)有機熱安定剤の含有量は、(A)ポリアミド100質量部に対して、0.05質量部以上3質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上2質量部以下であることがより好ましく、0.2質量部以上1.5質量部以下であることが特に好ましい。
【0088】
(C)有機熱安定剤の含有量が上記下限値以上であることで、耐熱エージング性が向上する。一方、(C)有機熱安定剤の含有量が上記上限値以下であることで、ブリードアウトを抑制することができる。
【0089】
(C)有機熱安定剤は特に限定されないが、例えば、立体障害フェノール系有機熱安定剤、リン系有機熱安定剤、芳香族アミン系有機熱安定剤、立体障害アミン系有機熱安定剤等を使用することができる。中でも(C)有機熱安定としては、立体障害フェノール系有機熱安定剤が好ましい。立体障害フェノール系有機熱安定剤を「(C1)立体障害フェノール」と記載する場合がある。
(C1)立体障害フェノールは、上述の≪ポリアミド組成物(1)≫の<(C)立体障害フェノール>に記載のとおりである。
【0090】
[(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料]
本実施形態のポリアミド組成物において、(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料は、上述の≪ポリアミド組成物(1)≫の<(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料>に記載のとおりである。
【0091】
[(E)カーボンブラック]
本実施形態のポリアミド組成物において、(E)カーボンブラックは、上述の≪ポリアミド組成物(1)≫の<(E)カーボンブラック>に記載のとおりである。
ただし、本実施形態のポリアミド組成物において、(E)カーボンブラックの含有量は、(A)ポリアミド100質量部に対して、0.001質量部以上0.5質量部以下であり、0.005質量部以上0.25質量部以下であることが好ましく、0.01質量部以上0.2質量部以下であることがさらに好ましい。
(E)カーボンブラックの含有量が上記下限値以上であることで、レーザーによる加熱効率が向上し、レーザーマーキング性が良好なものとなる。一方、(E)カーボンブラックの含有量が上記上限値以下であることで、加熱による樹脂の炭化を防ぐことができる。
【0092】
[(F)ハロンゲン化物イオン]
本実施形態のポリアミド組成物において、(F)ハロンゲン化物イオンは、上述の≪ポリアミド組成物(1)≫の<(F)ハロンゲン化物イオン>に記載のとおりである。
【0093】
[(G)充填剤]
本実施形態のポリアミド組成物において、(G)充填剤は、上述の≪ポリアミド組成物(1)≫の<(G)充填剤>に記載のとおりである。
【0094】
<使用用途>
本発明の実施形態のポリアミド組成物から得られた成形品は、例えば、自動車用、機械工業用、電気及び電子用、産業資材用、工業材料用、建築資材用、日用及び家庭品用等の各種用途の材料部品として好適に用いられる。中でも、耐熱エージング性及び電気特性に優れることから、自動車部品として特に好適に用いられる。
【実施例0095】
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下、本実施例及び比較例に用いた樹脂組成物の各構成成分について説明する。
【0096】
<構成成分>
[(A)ポリアミド]
A-1:ポリアミド66(PA66)
A-2:ポリアミド66(PA66)
A-3:ポリアミド6(PA6)(宇部興産製、SF1013)
【0097】
ポリアミドA-1及びA-2の合成方法については、後述する。なお、得られたポリアミドA-1及びA-2は、窒素気流中で乾燥し、水分率を約0.1質量%に調整してから、ポリアミド組成物の原料として用いた。
【0098】
[(B)分岐型ポリアミン]
B-1:Lupasol (商標登録)FG(ビーエーエスエフ社製、重量平均分子量800、粘度1680mPa・s)
B-2:エポミン(商標登録)SP-006(日本触媒社製、数平均分子量600、粘度2900mPa・s)
B-3:Lupasol(商標登録)G20 WF(ビーエーエスエフ社製、重量平均分子量 1300、粘度8000mPa・s)
B-4:エポミン(商標登録)SP-003(日本触媒社製、数平均分子量300、粘度300mPa・s)
【0099】
[(C)立体障害フェノール]
C-1:N,N’-hexane-1,6-diylbis(3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenylpropionamide))(ビーエーエスエフ社製、商品名「Irganox(登録商標) 1098」、アミド基あり)
C-2:3,9-Bis{2-[3-(3-tert-butyl-4-hydroxy-5-methylphenyl)propionyloxy]-1,1-dimethylethyl}-2,4,8,10-tetraoxaspiro[5.5]undecane(ADEKA社製、商品名「アデカスタブ(登録商標)AO-80」、アミド基なし)
【0100】
[(C’)熱安定剤]
C’-1:ヒンダードアミン系熱安定剤(クラリアント社製、商品名「Nylostab(商標登録)S-EED」)
C’-2:芳香族アミン系熱安定剤(大内新興化学工業社製、商品名「ノクラックCD」)
C’-3:芳香族アミン系熱安定剤(大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック224」)
C’-4:ヨウ化銅とヨウ化カリウムの混合物
【0101】
[(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料]
D-1:ニグロシン染料(オリエント化学社製、TH807)(ハロゲン化物イオンの濃度:0.06質量%)
D-2:ニグロシン染料(オリエント化学社製、TH870)(ハロゲン化物イオンの濃度:1.6質量%)
【0102】
[(E)カーボンブラック]
E-1:カーボンブラック(一次粒径27nm)
【0103】
[(G)充填材]
G-1:ガラス繊維(GF)(日本電気硝子製、商品名「ECS03T275H」、平均繊維径10μm、カット長3mm)
【0104】
<(A)ポリアミドの合成>
[合成例1]
(ポリアミドA-1(PA66)の合成)
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
まず、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの等モル塩1500gを蒸留水1500gに溶解させて、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。この水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブに仕込み、窒素置換した。次いで、110℃以上150℃以下の温度下で撹拌しながら、溶液濃度70質量%まで水蒸気を徐々に抜いて濃縮した。次いで、内部温度を220℃に昇温した。このとき、オートクレーブは1.8MPaまで昇圧した。そのまま1時間、内部温度が245℃になるまで、水蒸気を徐々に抜いて圧力を1.8MPaに保ちながら1時間反応させた。次いで、1時間かけて圧力を降圧した。次いで、オートクレーブ内を真空装置で650torr(86.66kPa)の減圧下に10分維持した。このとき、重合の最終内部温度は265℃であった。次いで、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、100℃、窒素雰囲気下で12時間乾燥し、ポリアミドA-1(PA66)を得た。
得られたポリアミドA-1(PA66)は、重量平均分子量が35000、分子量分布(Mw/Mn)が2.0であった。
【0105】
[合成例2]
(ポリアミドA-2(PA66)の合成)
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を以下のとおり実施した。
まず、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの等モル塩1500gを蒸留水1500gに溶解させて、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。この水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブに仕込んだ。ここに、ヨウ化銅とヨウ化カリウムを投入し、窒素置換した。次いで、110℃以上150℃以下の温度下で撹拌しながら、溶液濃度70質量%まで水蒸気を徐々に抜いて濃縮した。次いで、内部温度を220℃に昇温した。このとき、オートクレーブは1.8MPaまで昇圧した。そのまま1時間、内部温度が245℃になるまで、水蒸気を徐々に抜いて圧力を1.8MPaに保ちながら1時間反応させた。次いで、1時間かけて圧力を降圧した。次いで、オートクレーブ内を真空装置で650torr(86.66kPa)の減圧下に10分維持した。このとき、重合の最終内部温度は265℃であった。次いで、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、100℃、窒素雰囲気下で12時間乾燥し、ポリアミドA-2(PA66)を得た。
得られたポリアミドA-2(PA66)は、重量平均分子量が35000、分子量分布(Mw/Mn)が2.0であった。
【0106】
<ポリアミド組成物の製造>
[実施例1~22及び比較例1]
表1~表4に示す配合量となるように、東芝機械社製、TEM35mm 2軸押出機(設定温度:290℃、スクリュー回転数300rpm)を用いて、押出機最上流部に設けられたトップフィード口より、(A)成分、(B)成分、(C)成分又は(C’)成分、(D)成分、及び(E)成分を供給した。また、押出機下流側(トップフィード口より供給された樹脂が充分溶融している状態)のサイドフィード口より(G)成分を供給した。次いで、ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズして、ポリアミド組成物のペレットを得た。
【0107】
<物性の測定方法>
[物性1]
(ハロゲン化物イオンの濃度)
ポリアミド組成物のペレットに含まれるハロゲン化物イオン(Cl、Br、I)の濃度を燃焼イオンクロマトグラフィによって定量した。具体的には、三菱化学アナリテック製AQF-2100Hを使用し、吸収液として超純水(過酸化水素水、抱水ヒドラジン含有)を用いた燃焼菅燃焼法によってサンプルを作成した。イオンクロマトグラフィ(IC)の装置には、Thermo Fisher Scientific製のIntegrion RFICを、カラムにはThermo Fisher Scientific製のIonPac AS18-4μm(4mmφ×150mm)を、溶離液にはKOH水溶液を、検出器には、UV検出器を使用した。
【0108】
測定結果から、下式を用いてハロゲン化物イオン(Cl、Br、I)の濃度を算出した。具体的には、下式を用いてCl、Br、及びIそれぞれについて試料中の濃度を算出し、それらを合計した値をハロゲン化物イオンの濃度とした。
【0109】
「Cl、Br、又はIの濃度(質量ppm)」
=[(IC測定値(mg/L))×(希釈率)-(ブランクのIC測定値(mg/L))]×[(吸収液量(mL))/1000]×[1000000/(試料の質量(mg))]
【0110】
<評価方法>
[多目的試験片の製造]
ポリアミド組成物のペレットを、窒素気流中で乾燥し、ポリアミド組成物中の水分量を500質量ppm以下にした。次いで、水分量を調整した各ポリアミド組成物のペレットを、射出成形機(PS-40E、日精樹脂株式会社製)を用いて、ISO3167に準拠して、多目的試験片(A型、ダンベル形引張試験片)を成形した。なお、多目的試験片の寸法は、全長≧170mm、タブ部間距離109.3±3.2mm、平行部の長さ80±2mm、肩部の半径24±1mm、端部の幅20±0.2mm、中央の平行部の幅10±0.2mm、厚さ4±0.2mmである。具体的な射出成形時の条件としては、射出及び保圧の時間:25秒、冷却時間:15秒、金型温度:80℃、シリンダー温度:290℃に設定した。
【0111】
[評価1]
(引張強度及び耐熱エージング性)
多目的試験片(A型)を用いて、ISO527に準拠して引張速度5mm/分で引張試験を行い、初期引張強度(MPa)を測定した(S0)。次いで、各多目的試験片(A型)をISO188に準拠したオーブンに入れて、180℃でそれぞれ2000時間加熱して、耐熱エージング試験を行った。2000時間後にオーブンから各多目的試験片(A型)を取り出し、23℃で24時間冷却させた。次いで、耐熱エージング試験後の各多目的試験片(A型)をISO527に準拠して引張速度5mm/分で引張試験を行い、耐熱エージング試験後の引張強度(MPa)を測定した(S1)。次いで、下記に示す式を用いて、引張強度保持率(%)を算出した。
【0112】
「引張強度保持率(%)」 = S1/S0×100
【0113】
[平板成形品の製造]
平板成形品を以下のとおり製造した。
射出成形機(NEX50III-5EG:日精樹脂工業株式会社製)を用いて、冷却時間25秒、スクリュー回転数200rpm、金型温度を80℃、シリンダー温度を290℃に設定し、充填時間が1.6±0.1秒の範囲となるように、射出圧力及び射出速度を適宜調整し、平板成形品(6cm×9cm、厚さ2mm)を製造した。
【0114】
[評価2]
(耐トラッキング性)
平板成形品を使用し、耐トラッキング試験機(ヤマヨ試験器有限会社製)を用いてIEC60112に従って試験を行い、耐トラッキング指数(CTI)を算出した。耐トラッキング指数(CTI)が高いほど、電気特性が優れると判断した。
【0115】
[評価3]
(体積抵抗率)
平板成形品を使用し、ASTM D257に従って体積抵抗率を測定した。体積抵抗率が高いほど、電気特性が優れると判断した。
【0116】
[評価4]
(表面外観)
平板成形品の中央部を、光沢計(HORIBA製IG320)を用いてJIS-K7150に準じて60度グロスを測定した。グロス値が高いほど、表面外観が優れると判断した。
【0117】
[評価5]
(ブリードアウト試験)
(C)立体障害フェノールや(C’)熱安定剤が含まれる場合で、かつ成型品の色が黒色の場合に、(C)立体障害フェノールや(C’)熱安定剤のブリードアウトが目視で観測されるようになる。(C)立体障害フェノールや(C’)熱安定剤を含み、かつ(D)アジン系染料又はフタロシアニン系染料または(E)カーボンブラックを含む場合に、ブリードアウト試験を行った。
平板成形品を使用し、恒温恒湿槽(温度:80℃、相対湿度:95%)に500時間静置した。平板成形品を取り出し、表面に発生したブリード物を観察して、ブリードアウトの起こりやすさを以下の基準で評価した。表には、「ブリードアウト抑制」として表記した。
【0118】
(評価基準)
◎:平板成形品にブリード物が見られない。
〇:平板成形品の一部にブリード物が見られる。
△:平板成形品全体にブリード物が見られる。
×:平板成型品全体に多量のブリード物が見られる。
【0119】
[評価6]
(レーザーマーキング性)
平板成形品に、株式会社キーエンス製MD-V9920又はMD-S9910を用いて、3mm×3mmの正方形からなる印字をレーザーマーキングによって施した。レーザーマーキングの条件としては、波長を1064nm、出力を7.8Wとした。レーザーマーキングされた部分を観察し、レーザーマーキング性を以下のように評価した。
【0120】
(評価基準)
○:レーザーマーキングされた部分が白く見える。
×:レーザーマーキングされた部分が白く見えない。
【0121】
[評価7]
(シャルピー衝撃強さ)
実施例及び比較例で得られたポリアミド組成物成形品(多目的試験片)を用いて、ISO 179に準拠し、ノッチ有シャルピー衝撃強さを測定した。
【0122】
[評価8]
(添加剤の水への溶出しにくさの評価)
ポリアミド組成物のペレット30gと、蒸留水30gを、容積が100mLのプラスチックボトルにいれて密閉し、電気オーブン中で80℃、24時間放置した。冷却後、プラスチックボトル内の水をビーカーに取り出し、pH計で23℃におけるpHを測定した。(B)ポリエチレンイミン水溶液は塩基性を示すため、pHの値が7に近いほど、(B)ポリエチレンイミンが水に溶出しにくいと判断した。表には、溶出水pHと表記した。
【0123】
各ポリアミド組成物について、上述した物性の測定方法及び評価方法を実施した。結果を表1~表4に示す。なお、表中に示す引張強度は、初期引張強度(S0)(MPa)である。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0128】
本実施形態のポリアミド組成物によれば、機械物性、180℃下、2000時間程度の長期間での耐熱エージング性、及び電気特性に優れ、80℃、相対湿度95%下における添加剤のブリードアウトが抑制されており、添加剤が水に溶出しにくく、且つ、外観に優れる成形品が得られる。本実施形態のポリアミド組成物から得られる成形品は、例えば、自動車用、機械工業用、電気及び電子用、産業資材用、工業材料用、建築資材用、日用及び家庭品用等の各種用途の材料部品として好適に用いられる。